JP2008528710A - 熱硬化性粉末塗料組成物、並びにそれの製造に使用できるポリエステル樹脂 - Google Patents
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Abstract
本発明は、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂及び硬化剤としてのポリエポキシド及び/またはβ−ヒドロキシアルキルアミドに基づく熱硬化性粉末塗料組成物に関する。このポリエステル樹脂は、10〜100の酸価、及び高くとも15mgKOH/gポリエステル樹脂のヒドロキシル価を有し、そして含まれるジカルボン酸の総量を基準にして少なくとも50モル%がイソフタル酸の単位、及び含まれるジオールの総量を基準にして少なくとも50モル%がネオペンチルグリコールの単位からなり、そして全てのジカルボン酸及びジオールの総量を基準にして最大で10モル%の量で官能価が3もしくはそれ以上のモノマーを含む。この粉末塗料原料にヘテロ環式ポリカルボン酸を0.05〜5重量%の量で加えることによって(好ましくは、該粉末塗料の製造に使用されるポリエステル樹脂にそれの製造に次いでこの酸の溶融物を加えることによって)、優れた機械的性質及び表面外観を有する高耐候性の粉末被膜を達成することができる。
Description
本発明は、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂及びそれの架橋に好適な結合剤成分に基づく熱硬化性粉末状調合物、並びに粉末塗料組成物の製造のための末端カルボキシル基を有するポリエステル樹脂に関する。
粉末塗料は、溶剤を含まないことから、経済的及び環境的な理由で非常に高く評価されている。これらは、多数の有利な技術的性質を利点とし、更に、適当に組成することで、良好な乃至非常に良好な高い耐候性を示す。
中でも熱硬化性粉末塗料、その中でも特に末端カルボキシル基を有するポリエステル樹脂に基づく熱硬化性粉体塗料が最も広く使用されている。これらは、従来技術から周知である。例えば、独国特許出願公開第2 163 962 A1号明細書、独国特許出願公開第2 618 729 A1号明細書、独国特許出願公開第4 012 020 A1号明細書、米国特許第4,471,108 A号明細書及び欧州特許第EP 0 389 926 B1号明細書などが挙げられる。これらの文献は、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸及びイソフタル酸を本質的に含む調合物を開示している。架橋に使用される結合剤成分は、ポリエポキシド化合物、好ましくはトリグリシジルイソシアヌレートである。欧州特許第0 110 450 B1号明細書は、10〜30mgKOH/gの酸価を有するカルボキシ基含有ポリエステル、及びジグリジジルフタレート類に基づく粉体塗料を開示している。この際、フタル酸のジグリシジルエステル、例えばフタル酸、テレフタル酸及びイソフタル酸及びこれらのヒドロ誘導体、例えばヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジグリシジルエステルが意図される。
欧州特許第0 389 926 B1号明細書の教示によると、この種の調合物に基づいて達成できる耐候性は、樹脂調合物中においてイソフタル酸が単独で使用される芳香族ジカルボン酸として機能した場合に(すなわち、テレフタル酸を使用しない場合に)最大化できる。おおよそ当モル量のテレフタル酸とイソフタル酸からなるポリエステルは、上記の文献によると、少なくとも70モル%のテレフタル酸及び多くとも30モル%のイソフタル酸からなる調合物と比較して、確かに向上した耐候性を有するが、この系の機械的性質(可撓性)は、多くの用途にとって不十分である。欧州特許第0 389 926 B1号明細書は、更に、樹脂調合物中に使用されるジカルボン酸の全量を基準にして1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が少なくとも5%のモル割合で存在する場合に、イソフタル酸の優勢的なもしくは単独の使用に伴う被膜の可撓性の低下を抑制できることを開示している。
本出願人の実験が示すように、欧州特許第0 389 926 B1号明細書に記載の例は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を用いずに調合されたイソフタル酸を豊富に含むポリエステル樹脂に基づく塗料よりも、より良好な可撓性を与えるが、その達成可能な可撓性は、主たるものとして使用されるジカルボン酸としてテレフタル酸を含む塗料ほどではない。このポリエステルの調合に官能価が3以上の樹脂原料を一緒に使用することを避けられず、そのため表面の外観が損なわれる。例えば、流展の悪化や、これを用いて製造しそして焼き付けした調合物の“ピンホール”による光沢の低下が起こる。
欧州特許出願公開第0 487 485 A2号明細書及び欧州特許第0 561 102 B1号明細書は、ジカルボン酸として排他的にもしくは少なくとも主たるものとして1,4−シクロヘキサンジカルボン酸がその製造に使用されるポリエステルを記載している。記載されている種のポリエステルは、この文献によると、ポリエポキシド化合物、好ましくはトリグリシジルイソシアヌレートと一緒に、粉末状の熱硬化性塗料に配合することができ、これは、加速風化条件下に向上した耐性を示す。
しかし、実験室での加速風化条件下の場合とは異なり、環状脂肪族ポリエステルに基づくこの種の粉末塗料は、自然な風化条件下において異常に早くダメージを受けることが報告されている。更に、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、慣用の芳香族ジカルボン酸のテレフタル酸及びイソフタル酸と比較して相当高価である。それゆえ、これらの系が実際には価値がないとしても驚きではない。
欧州特許第0 322 834 B1号明細書は、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂に基づく屋外耐性の粉末塗料の製造のために、毒性の懸念がある樹脂であるトリグリシジルイソシアヌレートの代わりにβ−ヒドロキシアルキルアミドを使用し得ることを教示している。更に、この欧州特許明細書は、粉末塗料の製造に、結晶性のカルボキシル基含有材料、例えば脂肪族C4〜C22ポリカルボン酸及び/またはポリマー性ポリ酸無水物を一緒に使用することで、向上した可撓性及び向上した流動性が得られ、更にその結果、生ずる被膜の向上した滑らかさ及び高まった光沢が得られることを開示している。
欧州特許第0 322 834 B1号明細書に開示される例は、イソフタル酸に基づくポリエステルに関するものではなく、そして本出願人が行った実験では、このようなポリエステル樹脂においては、欧州特許第0 322 834 B1号明細書で可撓性の向上に特に好ましいとされているドデカン二酸の同時使用は、所期の目的を達成しないことが示される。
欧州特許第0 649 890 B1号明細書は、欧州特許第0 389 926 B1号と同じく、使用したジカルボン酸の全量を基準にして80モル%を超える割合のイソフタル酸を含むカルボキシル基含有ポリエステル樹脂及び硬化剤としてのβ−ヒドロキシアルキルアミドに基づく向上した可撓性を有する高耐候性粉末塗料をどのように製造し得るかを記載している。
欧州特許第0 389 926 B1号の場合と同じく、開示されている調合物の機械的特性は不十分である。
粉末塗料の可撓性を向上するための更に別の方策は、通常使用される非晶質のポリエステル樹脂の他、半結晶性のポリエステルを使用することである。部分結晶性樹脂が使用される背景は、充分に高い結晶融点が前提となるが、これらが、そのガラス転移温度が室温よりもかなり低い場合にでも固体であるという事情にある。それらの固体の性質は、室温下では当然固体でなければならない粉末塗料のための原料としての適性をそれらに与えるが、その低いガラス転移温度は、通常は50℃を超えるそれらのガラス転移温度で(非晶質の)粉末塗料−結合剤が特徴付けられる程度を越えて被膜の可撓性を高める。上記の欧州特許第0 322 834 B1号明細書は、従来技術が記載される文献の一つに挙げられる。その他は、例えば、国際公開第91/14745 A1号パンフレット、独国特許出願公開第197 54 327 A1号明細書及び国際公開第97/20895 A1号パンフレットがある。
ここで注記すべきは結晶性樹脂の構想では処方の自由さは非常に小さいことである。適当な融点の達成に高い優先権が与えられ、そのため、重要な他の結合剤の性質は一部後回しにせざるを得ない。適当な原料の狭いベースは、何倍も高い価格につながり、更にこれは、煩雑な方法技術上の要件(樹脂の合成後の、定められた温度操作による定められた結晶化、及び大概の場合に非常に堅い塊の煩雑な細化処理)によって一層コスト増となる。しかし、格別の問題は、粉末塗料中の部分結晶性結合剤成分は、非晶質の(主)成分との組み合わせにおいて、それの純粋な形の場合のようには、自然にかつ速やかにはもはや結晶化しないことである。これは、製造工程の際の粉末塗料塊の粉砕性、並びに粉末塗料の貯蔵安定性に顕著な悪影響を及ぼす。なぜならば、元々、完成した粉末塗料中の半結晶性樹脂部分は多かれ少なかれ非晶質として存在し、そしてそれの低いガラス転移温度によって将来の被膜を可撓性にするばかりでなく、上記の問題をもまねくからである。更に、 非晶質ポリエステル及び半結晶性ポリエステルは互いにかなり物理的性質が異なるために、押出加工は非常に困難であると言うことができる。この方策における問題の多さは、国際公開第91/14745 A1号パンフレットに記載の詳細な態様を見ればすぐに分かる(第15頁、第11行〜第18行、第27行)。しかし、その開示される手段は、粉末塗料の製造のための費用相応の日常的な方法とは言うことはできない。
それゆえ、第一級の表面外観及び流展を有し、高耐候性である他に可撓性の粉末塗料の製造を可能にし、粉砕性及び貯蔵安定性に問題がなく、かつイソフタル酸、場合によっては及びテレフタル酸を主たるものとして使用するものの、非晶質ポリエステル樹脂に基づく調合物と価格が同じくらいである、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂及びこの樹脂の熱硬化に好適な架橋剤に基づく粉末塗料組成物に対する要望がある。更に、この主の粉末塗料組成物を製造するための方法に対する要望がある。
このような粉末塗料が、使用する全てのジカルボン酸の総量に基づいて少なくとも50モル%の割合がイソフタル酸の単位からなるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、溶融状態で、少量のヘテロ原子含有ポリカルボン酸、好ましくは三官能性カルボン酸を加え、そしてβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えば、Primid(R) XL 552またはPrimid(R) QM 1260, EMS PRIMID社)あるいはポリエポキシド(例えば、トリグリシジルイソシアヌレート=Araldite (R) PT 810、またはテレフタル酸ジグリシジルエステルとトリメリト酸−トリグリシジルエステルとの混合物=Araldite(R) PT 910またはAraldite(R) PT 912、HUNTSMAN社)を硬化剤として使用して、上記の樹脂を前述の従来技術に従って粉末塗料として調合することによって、得ることができることが全く図らずしも見出された。本発明において、前記カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、少なくとも35℃のガラス転移温度、15〜80mgKOH/gの酸価、及び最大15mgKOH/g、好ましくは最大10mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
特に有利な性質の組み合わせを有する粉末塗料は、本発明に従い1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを樹脂溶融物に加えることによって達成することができる。
本発明のポリエステル樹脂の製造にイソフタル酸の他にテレフタル酸を使用した場合は、それを用いて製造した粉末被膜の耐候性は、欧州特許第0 389 926 B1号明細書の記載と一致して、上記の塗料の場合と比べて低下する。しかし、欧州特許第0 389 926 B1号の記載とは反対に、本発明による被膜は高い可撓性を示す。
本発明による被膜の最良の耐候性は、それに使用されるカルボキシル基含有ポリエステル樹脂が、イソフタル酸を唯一の芳香族ジカルボン酸として含み、かつそのグリコール部位においては、少なくとも主たるものとしてまたは排他的に、ネオペンチルグリコールの単位から構成される場合に達成することができる。既知の従来技術とは対照的に、こうして形成された被膜は可撓性であり、それに加えて、最良の粉砕性、貯蔵安定性、及び優れた表面の外観を示す。
優れた性質は、例えば、1.2〜1.5重量%の量の1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを添加し、そしてPrimid XL 552またはトリグリシジルイソシアヌレートで硬化した、31の酸価を有するイソフタル酸及びネオペンチルグリコールに基づくポリエステルからなる調合物において発揮される。
1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートは、Powderlink(R) 1196樹脂の名称でCytec Industries Inc.から提供されている。これには、この商業製品のポリマー的な特徴を除外した、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートの分子量に正確に相当する“平均分子量”が示される。
製品データシート(改訂日:2004年3月)では、Powderlink(R) 1196は、それのカルボン酸官能価に基づいて、遊離のエポキシド基を有する樹脂、例えばグリシジルメタクリレート(GMA)に基づくアクリルコポリマーに対して反応性の材料と記載されている。(低分子量の高エポキシ官能性化合物、例えばトリグリシジルイソシアヌレートとの組み合わせは理論的には可能であるが、慣用の塗料の用途には僅かな意義しかもたない。なぜならば、このような調合物の非常に高い架橋密度においては、実用上の適合性を持たない極めて脆い材料が生ずるからである。) このデータシートの概要部では、GMA−アクリルコポリマー樹脂及び硬化剤としてのドデカン二酸に基づく一連の調合物において、後者を次第にPowderlink (R) 1196樹脂に置き換えた際に得られた粉末塗料の特性が掲載されている。この際、調合物中においてドデカン二酸の量に対してのPowderlink(R) 1196の割合が増加するにつれ、被膜の硬度は高まるものの、可撓性は低下する点が目に付く。
それゆえ、このような知見に基づくと、欧州特許第0 322 834 B1号明細書の教示に類似して、(脂肪族ジカルボン酸のドデカン二酸の代わりに)Powderlink (R) 1196を使用することが、この特許の場合とは全く反対に、第一級の表面外観、問題のない粉砕性及び貯蔵安定性を有し、かつそのコストが慣用のイソフタル酸調合物と同等であり、そして高いイソフタル酸含有率及びβ−ヒドロキシアルキルアミド硬化剤(Primid XL 552)を有するポリエステル樹脂に基づく高耐候性であると同時に可撓性のある熱硬化性粉末塗料の製造を可能にすることは、決して予期できることではなかった。更に、完成したポリエステル樹脂のもしくは再溶融したポリエステル樹脂の溶融物相にこのような添加を行うことにより、上記の良好な塗料の性質を期待し得ることは、上記のデータシート及び欧州特許第0 322 834 B1号明細書のどちらにも指摘されていない。それに対して、上記のデータシートに紹介されるようにまたは欧州特許第0 322 834 B1号明細書にドデカン二酸の添加について開示される類似法のように、Powderlink(R) 1196を粉末塗料原料に加えると、対応する試験においては殆ど満足できないような結果しか得られない。
更に、Powderlink (R) 1196は、本発明による調合物中においては、製造業者の明細に示されるように、(当然ながら、エポキシド基を含まない)該樹脂成分(ポリエステル)の架橋剤として機能することができず、むしろ、一般的な解釈では(低い分子量及び充分に定義された構造の故に)それら自体が架橋剤として見なされるPrimid XL552やトリグリシジルイソシアヌレートなどの構成分の架橋剤として機能するにもかかわらず、上記の効果が観察し得るという状況は驚くべきことである。これらの状況から生じそしてこの硬化剤分子の環境において更に高められる架橋密度は、高められた可撓性よりはむしろ高められた硬度を予期させ得る。
樹脂溶融物及びヘテロ環状ポリカルボン酸、好ましくはトリカルボン酸から、いわゆるマスターバッチを製造することも有利であり得る。これは、これらのポリカルボン酸もしくはトリカルボン酸のその後の計量供給のより柔軟な態様を可能にする。
当該ポリエステル樹脂と上記の架橋剤とは、この架橋剤の製造業者の推奨に従って組み合わせることができる。粉末塗料は、結合剤成分の他に、通常、更に別の物質、例えば、流展剤、硬化触媒、脱ガス助剤、艶消し剤または構造形成剤として働く添加剤や、場合によっては顔料及びフィラーを含む。これらの成分は密に混合し、次いで、通常は、押出機を用いて溶融物の状態で均一化する。その押出物は冷却し、次いで粉砕及び篩い分けする。この際、<90μmの粒度上限とするのがよい。
上記の方法の他、各成分を溶解された形で均一化する方法も知られている。溶剤を使用して、次いで典型的な噴霧乾燥方法によって該粉末塗料を製造することができる。溶剤として例えば超臨界二酸化炭素を使用した場合には、所望の粉末状の材料とするためには、得られた溶液をノズルを介して常圧に解放すれば充分である。
こうして得られた粉末状材料は、通常は、静電気もしくは摩擦電気的に帯電させて噴霧装置によって被覆すべき物体に塗布し、そして約150〜200℃の温度下に約5〜30分間焼き付けする。そのためには、熱対流炉または赤外線放射器を使用することができる。また、被覆すべき部分を予め加熱し、そして粉末塗料を流動床法により塗布する方法も知られている。
粉末塗料の製造法及び加工処理法についての更なる説明は、Pieter Gillis de Lange (Vincentz, 2004)による詳細なモノグラフ“Powder Coatings - Chemitry and Technology”に記載されている。
本発明によるポリエステル樹脂は、使用する全てのカルボン酸単位の全量を基準にして少なくとも50モル%の割合がイソフタル酸の単位から、及び使用する全てのヒドロキシ官能性単位の総量を基準にして少なくとも50モル%の割合がネオペンチルグリコールの単位から構成される。既に上で述べた通り、このポリエステル樹脂は、それを用いて形成された粉末被膜の特に高い耐候安定性を与える。
そのほか、更に別のカルボン酸及びヒドロキシ官能性単位を、原料として使用することができる。
このようなカルボン酸としては、芳香族ポリカルボン酸、例えばフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、トリメシン酸、3,6−ジクロロフタル酸、及びテトラブロモフタル酸を使用することができる。その他、脂肪族及び/または環状脂肪族ポリカルボン酸も同様に使用でき、これには例えばテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロエンドメチレン−テトラヒドロフタル酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、グルタル酸、コルク酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、マレイン酸、フマル酸、ダイマーもしくはトリマー脂肪酸などが挙げられる。遊離のカルボン酸の代わりに、(入手し得る場合には)それらの官能性誘導体、例えばエステル、酸無水物またはアシルハロゲン化物も使用し得る。多官能性カルボキシル基含有成分の更に別の源としては、ヒドロキシカルボン酸並びに場合によっては入手し得るラクトン類、例えば12−ヒドロキシステアリン酸、ε−カプロラクトン、ヒドロキシピバリン酸またはジメチロールプロピオン酸を使用することができる。これらの多官能性カルボキシル基含有原料の他、(より少ない量の)モノカルボン酸成分、例えば安息香酸、tert−ブチル安息香酸、ヘキサヒドロ安息香酸、及び脂肪族モノカルボン酸も使用することができる。
更に別のヒドロキシ官能性単位としては、特に、脂肪族もしくは環状脂肪族ジオールも使用することができ、これには、例えば、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−エチル−2−ブチル−プロパン−1,3−ジオール、ヒドロキシ−ピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチル−ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、並びにより高級のアルカンから誘導される1,2−及びα,ω−ジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、水素化されたビスフェノールA、2,2,4,4−テトラメチルシクロブタン−1,3−ジオール、4,8−ビス(ヒドロキシ−メチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、ジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールなどが挙げられる。その他、隣接ジオールの反応性内部エーテルと考えられ得るエポキシ官能性化合物も使用できる。任意の高官能性ポリオールの例は、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリトリトール、ソルビトールまたはジ−ペンタエリトリトールである。ヒドロキシ官能価のための可能な源として使用し得るヒドロキシカルボン酸は、既にカルボン酸についての説明のところで記載した。
ポリエステル樹脂の製造は、それ自体公知の方法に従い、好ましくはジブチルスズオキシドやテトラブチルチタネートなどの適当な触媒を使用して、エステル化もしくはエステル交換することによって行われる。使用する原料、それらの比率並びに合成条件を適切に選択することによって、所望の特性値(少なくとも35℃のガラス転移温度Tg、15〜80mgKOH/gの酸価、及び最大で15mgKOH/g、好ましくは最大で10mgKOH/gのヒドロキシル価)を有する樹脂が得られる。
欧州特許第0 649 890 B1号明細書が教示するように、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂は、二つの方法で製造することができる。いずれの場合でも使用できる2段階方法では、第一反応段階において、反応性が比較的低いカルボン酸をヒドロキシ官能性ポリエステル樹脂に転化し、これを次の第二の反応段階において、比較的反応性の高いカルボン酸と反応させて、所望のカルボキシ官能性ポリエステル樹脂とする。これに対し、樹脂組成が、反応性が類似のカルボン酸だけを含む場合には、全ての原料を一度に反応容器に仕込み、そして完成した樹脂となるまで反応させることができる。
本発明のポリエステル樹脂及び比較用に使用したポリエステル樹脂の製造及び性質、並びにそれらから製造した粉末塗料を以下に例として記載する。この際、これらの例は、単に本発明の態様の例示に過ぎず、これらに限定されるものではない。これらの樹脂は、2段階法によって製造したが、使用する原料によっては単段階法による製造も同様に可能である。
カルボキシル官能性ポリエステル樹脂の製造:
比較例A
攪拌機、温度プローブ、部分還流カラム、蒸留橋及び不活性ガス導管(窒素)を備えた2L容積の反応容器中に、558.30g(5.36モル)の2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3を仕込み、そして窒素雰囲気下に最大140℃まで加熱して溶融する。次いで、攪拌しながら、747.63g(4.50モル)のイソフタル酸、及び完成した樹脂の総量を基準にして0.1%のSn含有触媒を加え、そして材料の温度を徐々に240℃まで高める。蒸留物がもはや生じずそしてヒドロキシ官能性ポリエステル樹脂の酸価(SZ)が、<10mgKOH/gポリエステル樹脂となるまで、この温度で反応を続ける。
攪拌機、温度プローブ、部分還流カラム、蒸留橋及び不活性ガス導管(窒素)を備えた2L容積の反応容器中に、558.30g(5.36モル)の2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3を仕込み、そして窒素雰囲気下に最大140℃まで加熱して溶融する。次いで、攪拌しながら、747.63g(4.50モル)のイソフタル酸、及び完成した樹脂の総量を基準にして0.1%のSn含有触媒を加え、そして材料の温度を徐々に240℃まで高める。蒸留物がもはや生じずそしてヒドロキシ官能性ポリエステル樹脂の酸価(SZ)が、<10mgKOH/gポリエステル樹脂となるまで、この温度で反応を続ける。
次いで、193.55gのイソフタル酸(1.165モル)を加え、そして所望の酸価(約31)となるまでエステル化を続ける。この際、最後に約100mbarの減圧を適用することによって反応を補助する。完成した樹脂は、次の特性値、すなわち31.2の酸価(SZ)、3.4のヒドロキシル価(OHZ)、約63℃のガラス転移温度(Tg)を示す。
比較例B(欧州特許第0 649 890 B1号明細書に記載の例13に相当する例)
比較例Aと同様にして、第一反応段階において、509.34g(4.89モル)の2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3、20.39 5g(0.173モル)のヘキサンジオール−1,6、15.43g(0.115モル)のトリメチロールプロパン、完成した樹脂の総量を基準にして0.1%のSn含有触媒、及び643.79g(3.875モル)のイソフタル酸、及び21.77g(1.133モル)のトリメリト酸無水物を反応させて、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を生成する。
比較例Aと同様にして、第一反応段階において、509.34g(4.89モル)の2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3、20.39 5g(0.173モル)のヘキサンジオール−1,6、15.43g(0.115モル)のトリメチロールプロパン、完成した樹脂の総量を基準にして0.1%のSn含有触媒、及び643.79g(3.875モル)のイソフタル酸、及び21.77g(1.133モル)のトリメリト酸無水物を反応させて、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を生成する。
この樹脂を、上述のように、235.09g(1.415モル)のイソフタル酸及び41.65g(0.285モル)のアジピン酸を加えて反応させてポリエステル樹脂を完成する。この完成した樹脂は、次の特性値、すなわち46.4のSZ、3.2のOHZ、約53.0℃のTgを示す。
比較例C(欧州特許第0 389 926 B1号明細書に記載の例IVに相当する例)
比較例Aと同様にして、第一の反応段階において、480.70g(4.615モル)の2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3、53.68g(0.400モル)のトリメチロールプロパン、完成した樹脂の総量を基準にして0.1%のSn含有触媒、及び662.07g(3.985モル)のイソフタル酸、並びに99.88g(0.580モル)のシクロヘキサンジカルボン酸−1,4を反応させて、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を生成する。
比較例Aと同様にして、第一の反応段階において、480.70g(4.615モル)の2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3、53.68g(0.400モル)のトリメチロールプロパン、完成した樹脂の総量を基準にして0.1%のSn含有触媒、及び662.07g(3.985モル)のイソフタル酸、並びに99.88g(0.580モル)のシクロヘキサンジカルボン酸−1,4を反応させて、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を生成する。
この樹脂を、上述のように、198.54g(1.195モル)のイソフタル酸を添加して反応させてポリエステル樹脂を完成する。この完成した樹脂は、次の特性値、すなわち51.5のSZ、4.5のOHZ、約59.0℃のTgを示す。
例1、本発明の例
比較例Aのように製造した樹脂に、更に反応容器中で、約240℃の材料温度下に40.36g(0.117モル)の1,3.5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを加え、そしてこの材料が再び均一になるまで攪拌を続ける。この樹脂は、今や、3.0重量%の1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを含み、そして次の特性値、すなわち43.3のSZ、3.7のOHZ、約61.0℃のTgを示す。
比較例Aのように製造した樹脂に、更に反応容器中で、約240℃の材料温度下に40.36g(0.117モル)の1,3.5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを加え、そしてこの材料が再び均一になるまで攪拌を続ける。この樹脂は、今や、3.0重量%の1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを含み、そして次の特性値、すなわち43.3のSZ、3.7のOHZ、約61.0℃のTgを示す。
例1、別態様、本発明の例
比較例Aに記載のものと同じ装置中に、比較例Aからの粒状化した樹脂750gを仕込み、そして窒素雰囲気下に加熱浴で加熱することによって溶融する。この材料の温度を230℃に高め、そして攪拌下に、23.20gの1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを加える。樹脂中のこの物質の濃度は例1の場合と同じである。この材料が均一になるまで攪拌を続ける。得られた樹脂の特性値は、42.8のSZ、3.5のOHZ、62.0℃のTgである。
比較例Aに記載のものと同じ装置中に、比較例Aからの粒状化した樹脂750gを仕込み、そして窒素雰囲気下に加熱浴で加熱することによって溶融する。この材料の温度を230℃に高め、そして攪拌下に、23.20gの1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを加える。樹脂中のこの物質の濃度は例1の場合と同じである。この材料が均一になるまで攪拌を続ける。得られた樹脂の特性値は、42.8のSZ、3.5のOHZ、62.0℃のTgである。
例2、本発明の例
比較例Aと同様にして、第一の反応段階において556.21g(5.34モル)の2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3、完成した樹脂の総量を基準にして0.1%のSn含有触媒、471.84g(2.84モル)のテレフタル酸、及び275.79g(1.66モル)のイソフタル酸を反応させてヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を生成する。
比較例Aと同様にして、第一の反応段階において556.21g(5.34モル)の2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3、完成した樹脂の総量を基準にして0.1%のSn含有触媒、471.84g(2.84モル)のテレフタル酸、及び275.79g(1.66モル)のイソフタル酸を反応させてヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を生成する。
この樹脂を、上述のようにして、196.05g(1.18モル)のイソフタル酸を加えて反応させてポリエステル樹脂を完成する。この完成した樹脂は次の特性値、すなわち35.4のSZ、3.6のOHZ、約63.0℃のTgを示す。
次いで、更に反応容器中でこの樹脂に、約240℃の材料温度下に、19.89g(0.0577モル)の1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを加え、そして材料が再び均一になるまで攪拌を続ける。この樹脂は、今や、1.5重量%の1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを含み、そして次の特性値、すなわち42.5のSZ、3.1のOHZ、約61.5℃のTgを示す。
上記の記載に従い製造した樹脂を、それらの合成に引き続いて、平らな金属カップに流し入れ、そして冷えた後に破砕して約4mmの粒度の粒状物にする。以下の表に従い更に別の物質と一緒にこれらを調合して粉末塗料とする。
各処方の原料を、Thermo Prism社製のPilot 3タイプの混合機中で予め密に混合し、次いで、Prism Twinscrew16mmタイプの押出機(スクリュー長=スクリュー径の24倍)で押出しした(材料の流れ方向における各加熱域の温度調節: 100、130及び125℃,回転数:400/分)。冷却した押出物を破砕し、分級ミル(Sichtermuehle)で粉砕し、そして85μmの粒度上限で篩い分けした。次いで、上記粉体塗料を、約80μmの層厚(完成被膜)で、0.7mm厚のクロム化アルミニウムシート上に塗布した。全ての調合物が良好に粉砕し得ることが判明した。
焼き付け条件:
温度勾配炉:(BYK-Gardner社製; 機械的値の評価用):
15分、150〜220℃
空気循環炉 (Heraeus社製; 加速風化後の光沢維持の評価用):
15分、200℃
塗布しなかった粉末塗料の残りを35℃で3週間保存したところ、それらの流動性の低下はなかった。
温度勾配炉中で焼き付けした試験シートを、10℃の温度間隔に相当する間隔で、ASTM D 2794(“Standard Test Method for Resistance of Organic Coatings to the Effects of Rapid Deformation [Impact]”(急速変形[衝撃]の効果に対する有機被膜の耐性のための標準試験方法))に従うボールインパクト試験に付した(加重20in.-lb,ボールの直径15.9mm)。
空気循環炉で焼き付けした試験シートを、Q−パネル加速風化試験器(The Q-Panel Company 製のQUV/SE)で600時間、負荷試験に付した(UVB−313ランプ、4時間及び40℃での降雨、4時間及び50℃での放射線照射、放射線照射強度0.67W/M)。この負荷後、最初に測定した試験シートにつきISO2813準拠の光沢を再び測定し、そして残留光沢を求めた。
その結果を、以下に表の形で示す。
残留光沢値は、イソフタル酸の他に相当な量でテレフタル酸をポリエステル中に含む試験調合物10を除いて、ほぼ同等のレベルを示す。調合物1(比較例)並びに調合物7及び8(本発明の例)は、その他は同等の処方において、ヘテロ環状トリカルボン酸の1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートを使用しているか否かで異なり、測定された残留光沢値がかなり似ている点が注目される。残留光沢レベルは幾らか低いが、調合物3(比較例)及び調合物9(本発明の例)についても同様である。これらのことから、本発明による1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート(Powderlink (R) 1196)の同時使用が、試験調合物の残留光沢値に全く影響を及ぼさないと結論することができる。
表面外観及び流展に関しては、全ての本発明の調合物が、非常に良好乃至良好である。比較調合物においては多くがそうではない。
結果: 本発明の方法及び本発明の調合物は、第一級の表面外観及び流展を有しそして高耐候性であると同時に可撓性の粉末被膜の製造を可能にし、これは、粉砕性及び貯蔵安定性に関して問題がなく、そしてイソフタル酸、場合によっては及びテレフタル酸を主たるものとして使用しながらも、非晶質ポリエステル樹脂に基づく調合物と価格上同等である。
結果: 本発明の方法及び本発明の調合物は、第一級の表面外観及び流展を有しそして高耐候性であると同時に可撓性の粉末被膜の製造を可能にし、これは、粉砕性及び貯蔵安定性に関して問題がなく、そしてイソフタル酸、場合によっては及びテレフタル酸を主たるものとして使用しながらも、非晶質ポリエステル樹脂に基づく調合物と価格上同等である。
Claims (8)
- a) 少なくとも一種のカルボキシル官能性ポリエステル樹脂、ただし、これは、10〜100mgKOH/gポリエステル樹脂の酸価、及び高くとも15mgKOH/gポリエステル樹脂のヒドロキシル価を有し、そしてジカルボン酸、ジオール及び官能価が3またはそれ以上のモノマーの単位に本質的に基づき、この際、ジカルボン酸としては、使用する全てのジカルボン酸の総量を基準にして少なくとも65モル%の、炭素原子数8〜16の芳香族ジカルボン酸(この芳香族ジカルボン酸のうち、イソフタル酸の割合は、含まれる全てのジカルボン酸の総量を基準にして50モル%である)、及び含まれる全てのジカルボン酸の総量を基準にして最大35モル%の、炭素原子数4〜22の脂肪族ジカルボン酸及び/または炭素原子数8〜16の環状脂肪族ジカルボン酸が含まれ、及びジオールとしては、含まれる全てのジオールの総量を基準にして少なくとも50モル%の、炭素原子数が4〜12の分枝状脂肪族ジオール(この分枝状脂肪族ジオールは、エステル基を含むこともでき、そしてこの分枝状脂肪族ジオールのうち、含まれる全てのジオールの総量を基準にして少なくとも50モル%はネオペンチルグリコールである)及び含まれる全てのジオールの総量を基準にして最大で50モル%の、炭素原子数2〜22の線状脂肪族ジオール及び/または炭素原子数6〜16の環状脂肪族ジオールが含まれ、かつこの際、官能価が3もしくはそれ以上のモノマーは、全てのジカルボン酸及びジオールの総量を基準にして最大10モル%の量で含まれる;
b)官能価が2もしくはそれ以上の少なくとも一種のポリエポキシド化合物及び/または官能価が2もしくはそれ以上の少なくとも一種のβ−ヒドロキシアルキルアミドを有する、熱の作用によって上記ポリエステル樹脂と共有結合を形成することができる少なくとも一種の物質、及び
c)慣用の添加剤、
を含む熱硬化性粉末塗料組成物であって、この粉末塗料組成物の総量を基準にして0.05〜5重量%の量でヘテロ環式ポリカルボン酸を含むことを特徴とする、前記熱硬化性粉末塗料組成物。 - ヘテロ環式ポリカルボン酸がトリカルボン酸であることを特徴とする、請求項1の粉末塗料組成物。
- トリカルボン酸が、1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートであることを特徴とする、請求項2の粉末塗料組成物。
- ヘテロ環状ポリカルボン酸、好ましくはトリカルボン酸が、溶融により分布されてポリエステル樹脂中に含まれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの粉末塗料組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一つの熱硬化性粉末塗料組成物の製造のための末端カルボキシル基を有するポリエステル樹脂であって、但し、これは、10〜100mgKOH/gポリエステル樹脂の酸価、及び高くとも15mgKOH/gポリエステル樹脂のヒドロキシル価を有し、そしてジカルボン酸、ジオール及び官能価が3またはそれ以上のモノマーの単位に本質的に基づき、この際、ジカルボン酸としては、使用する全てのジカルボン酸の総量を基準にして少なくとも65モル%の、炭素原子数8〜16の芳香族ジカルボン酸(この芳香族ジカルボン酸のうち、イソフタル酸の割合は、含まれる全てのジカルボン酸の総量を基準にして50モル%である)、及び含まれる全てのジカルボン酸の総量を基準にして最大35モル%の、炭素原子数4〜22の脂肪族ジカルボン酸及び/または炭素原子数8〜16の環状脂肪族ジカルボン酸が含まれ、及びジオールとしては、含まれる全てのジオールの総量を基準にして少なくとも50モル%の、炭素原子数が4〜12の分枝状脂肪族ジオール(この分枝状脂肪族ジオールは、エステル基を含むこともでき、そしてこの分枝状脂肪族ジオールのうち、含まれる全てのジオールの総量を基準にして少なくとも50モル%はネオペンチルグリコールである)及び含まれる全てのジオールの総量を基準にして最大で50モル%の、炭素原子数2〜22の線状脂肪族ジオール及び/または炭素原子数6〜16の環状脂肪族ジオールが含まれ、この際、官能価が3もしくはそれ以上のモノマーは、全てのジカルボン酸及びジオールの総量を基準にして最大10モル%の量で含まれるものであって、
0.05〜5重量%の量でヘテロ環状ポリカルボン酸を含むことを特徴とする、前記ポリエステル樹脂。 - ヘテロ環状ポリカルボン酸がトリカルボン酸であることを特徴とする、請求項5のポリエステル樹脂。
- トリカルボン酸が1,3,5−トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートであることを特徴とする、請求項6のポリエステル樹脂。
- ヘテロ環状ポリカルボン酸、好ましくはトリカルボン酸が、溶融により分布されてポリエステル樹脂中に含まれることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一つのポリエステル樹脂。
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