JP2008528023A - ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体由来の治療ペプチド - Google Patents

ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体由来の治療ペプチド Download PDF

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Abstract

本発明は、ウロキナーゼ受容体から誘導可能な走化性が活性なエピトープ、走化性の阻害剤として作用する変異型ペプチド、およびそれらの治療上の使用に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ウロキナーゼ受容体から誘導可能な走化性が活性なエピトープ、走化性の阻害剤として作用する変異型ペプチド、およびそれらの治療上の使用に関する。
細胞移動および浸潤は、腫瘍浸潤、例えばHIV等の感染体に対する免疫応答、血管新生および炎症等の多くの病理学/生理学的状態において重要なプロセスである。
特許文献1は、PDGRF-βの阻害剤、特に配列番号21〜40に開示された1つ以上のポリペプチドである抗癌剤を投与されて癌治療されている患者の反応をモニタリングする方法を開示している。しかし、この配列はGEEGモチーフを含んでおり、本発明者らはこれは走化性であり従って癌治療には不適切であると判断した。
特許文献2は、ウロキナーゼのアミノ末端断片に結合する抗体を使用して細胞移動を防ぐことに関する。「腫瘍増殖におけるuPA-uPARの重要な役割、および正常な組織ではなく腫瘍において大量発現することから、この系が魅力のある診断および治療上の標的となる」と教示している。しかし、重要なことに、関連モチーフが示されていない。
特許文献3は、少なくとも1つのuPAR形態を検出することを含む、癌の存在または段階をモニタリングする方法に関する。しかし、開示されているuPAR の形態は、無傷のuPAR、uPARドメイン2+3、およびuPARドメイン1である。ドメイン2、ましてモチーフGEEGの重要性は認識されていない。
特許文献4は、多数の疾患状態における使用が主張される、多くの異なるLy-6様ポリペプチドを開示している。
特許文献5は、uPAまたはuPARの阻害剤を使用することを含む、関節炎の治療方法を開示している。
特許文献6は、特定のuPAR変異体に対する抗体を開示している。
特許文献7も、uPARに対する抗体を開示している。
特許文献8は、uPARまたはその一部の生成、および治療または診断コンポーネントとして使用するuPAR結合uPA分子に関する。uPARの少なくとも5つのアミノ酸〜完全な配列(アミノ酸1〜313)を含む任意のポリペプチドが有用であると主張している。GEEGモチーフの有用性に関する具体的な開示または記載はない。
特許文献9も、uPARに対する抗体を開示している。
特許文献10は、純粋なUPARおよびその平滑末端化形態、ならびにuPAの類似体について議論している。
特許文献11は、uPARに関係する多型を検出する診断方法に関する。
特許文献12は、uPARのエピトープと交差反応するエピトープを提示するポリペプチドを開示する。GEEGモチーフの具体的な開示はない。
特許文献13は、uPARのエピトープと交差反応するエピトープを提示するポリペプチドを開示している。GEEGモチーフの具体的な開示はない。
特許文献14は、遊走性を有する細胞の移動をモジュレートする組成物に関する。
特許文献15は、創傷治癒を促す方法に関する。
特許文献16は、神経再生ペプチド、および脳損傷治療におけるそれらの使用方法に関する。
特許文献17は、皮膚細胞において発現され得るポリペプチドに関する。
しかし、走化性プロセスを制御する方法を得ることが引き続き必要とされている。本発明は、これを得ることを追求した。本発明者らはまた、幹細胞を刺激する新しい方法を見いだした。
WO2005/067650 WO2005/048822 WO2004/099780 WO2004/007672 WO03/033009 DE10117381A US6,113,897 US5,891,664 US5,519120 WO90/12091 EP1122318A US2003/0027981 US6,248,712 WO2005/009350 US2003/0180302 WO03/018754 US2003/0022835
本発明者らは、走化性ペプチドとして作用するヒトuPAR 由来のアミノ酸モチーフGEEG(G=Gly=グリシン、E=Glu=グルタミン酸)(本明細書においてエピトープとも称する)を同定した。
特に(ただし限定するものではない)、ペプチドD2Aは、元のヒトuPAR配列(aa130〜142)に対応し、走化性ペプチドとして作用する。ペプチドD2Bは、D2Aの逆配列を有し、同じく走化性ペプチドとして作用する。
本発明者らはまた、走化性の阻害剤として作用するアミノ酸モチーフGAAG(A=Ala=アラニン)(本明細書において、エピトープとも称する)も同定した。このモチーフが走化性の全般的な阻害剤として作用することを見いだした。
特に(ただし限定するものではない)、ペプチドD2A-AlaはD2Aと同じ配列を有するが、2つのグルタミン酸がアラニンに変異している。これは、細胞移動の新しい阻害剤であり、GAAGモチーフを含む他のペプチドと共に調査目的のために極めて有用であり得る。さらに、このような阻害ペプチドは、例えば、血管新生、炎症、感染性疾患、自己免疫疾患、血管疾患および癌に対する新しい薬剤を開発するためのツールとして作用または使用され得る。
本発明の一態様によれば、走化性を含む細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化を阻害し、アミノ酸モチーフGAAGを含むポリペプチドが提供される。
プラスミノーゲンアクチベーター、それらの阻害剤、およびそれらの細胞表面受容体(1つまたは複数)は、細胞外タンパク質分解、細胞接着およびシグナル伝達を調節することにより、これらのプロセスにおいて中心的な役割を果たす。組織において、細胞外タンパク質分解は、特異的な膜受容体であるuPARに結合するプラスミノーゲンアクチベーター、主にウロキナーゼ(uPA)1により生じるプラスミン生成により制御される。
完全にプロセシングを受けたヒトuPARは、グリコシルホスファチジルイノシトール脂質アンカーにより外膜リーフレット(leaflet)に結合した45〜55 kDaの糖タンパク質である。このタンパク質は、uPAR/Ly-6スーパーファミリー特有のジスルフィド結合パターンを持つ3つの相同ドメインから構成される。
uPAとuPARとの結合は、誘導型(directed)細胞外マトリックス分解を行うための手段を細胞に提供すると共に、細胞接着、移動および増殖に著しい影響を及ぼす。
本発明者らは、GAAGモチーフがこのようなuPA仲介型プロセスと相互作用することを見いだした。
uPARとの結合は必要であると思われるが、接着、移動、増殖および/または分化はuPAのタンパク質分解活性とは無関係であることが多く、他のタンパク質相互作用が関与していることを強く示唆している。例えば、uPAR は、ビトロネクチン(Vn)と結合する能力、すなわちヒト骨髄U937細胞の分化の間に細胞接着を誘発し、遺伝子発現を変化させる機能を有する。
本発明者らは、GAAGモチーフが、接着、移動、増殖および/または分化を含むビトロネクチン(VN)仲介型細胞プロセスと相互作用することを見いだした。
本発明者らは、GAAGモチーフがインテグリン仲介型シグナリングと相互作用し、従って細胞接着、移動、増殖および/または分化に影響を及ぼすことを見いだした。例えば、GAAGモチーフが、αvβ3、α5β1および/またはα3β1インテグリン仲介型シグナリングに影響を及ぼすことを実証した。
フィブロネクチンおよびラミニンは、走化性に影響を及ぼすことが分かっている。本発明者らはまた、GAAGモチーフがフィブロネクチン(FN)仲介型細胞移動および/またはラミニン(LN)仲介型細胞接着、移動、増殖および/または分化に影響を及ぼすことも見いだした。
表皮成長因子は、有力な化学誘引物質である。本発明者らは、GAAGモチーフがEGF仲介型細胞接着、移動、増殖および/もしくは分化、ならびに/またはUTP仲介型細胞接着、移動、増殖および/もしくは分化と相互作用することを見いだした。
本発明者らはまた、GAAGモチーフがインスリン仲介型細胞接着、移動、増殖および/または分化を阻害することも見いだした。
本発明の一実施形態によれば、アミノ酸モチーフGAAGを含むポリペプチドが提供され、該ポリペプチドはウロキナーゼ受容体(uPAR)から入手または誘導可能である。
別の実施形態において、ポリペプチドはアミノ酸モチーフGAAGから構成され、該ポリペプチドはウロキナーゼ受容体(uPAR)から誘導可能である。
一実施形態において、ポリペプチドはEP1122318の配列番号1または2ではない。
ポリペプチドは、アミノ酸配列IQEGAAGRPKDDRまたはRDDKPRGAAGEQIを含むかまたはそれから構成されることが好ましい。
別の実施形態によれば、ポリペプチドは、野生型配列の34および35位にあるアミノ酸残基がグルタミン酸からアラニンに変化したuPARのドメイン2またはその断片を含むかまたはそれから構成される。
本発明の別の態様によれば、本発明の前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。
本発明の別の態様によれば、本発明の前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターが提供される。
本発明の別の態様によれば、本発明の前記発現ベクターを含む細胞が提供される。
本発明の別の態様によれば、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、発現ベクターまたは細胞を、製薬上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤と共に含む医薬組成物が提供される。
本発明の別の態様によれば、血管新生、組織の線維症、炎症、癌、免疫障害、上皮細胞過形成、感染性疾患またはそれらに関連する疾患を治療または制御する方法であって、有効量の本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞または医薬組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、走化性を含む細胞移動、細胞接着、増殖および/または分化を活性化し、アミノ酸モチーフGEEGを含むポリペプチドが提供される。このようなプロセスは、前記経路のいずれによっても活性化され得る。
一実施形態において、アミノ酸モチーフGEEGを含むペプチドは、ウロキナーゼ受容体(uPAR)から入手または誘導可能である。
他の実施形態において、前記ポリペプチドは以下のものではない:
WO2005/067650の配列番号35、
WO2005/048822の配列番号1、もしくはそのアミノ酸49〜135、
天然型uPAR、uPARドメイン1、2もしくは3、またはそれらの組合せ、特にuPARドメイン2+3、
WO2004/007672の配列番号102、
WO03/033009(GenBank Q03405)の配列番号6、
DE10117381Aの配列番号8、
US6,113,897もしくはUS5,891,664に開示されているuPAR配列、
US5,891,664の配列番号4に開示されているuPAR配列、
US5,519,120の配列番号4、12もしくは13に開示されているuPAR配列、
WO90/12091に開示されるuPARの純粋な形態でも、uPAの15kDのアミノ末端断片の受容体結合ドメインでもなく、
US2003/0027981の請求項1に開示されるuPAR結合配列、特にその配列番号3、および/または該ポリペプチドはu-PARの少なくとも5つのアミノ酸〜完全配列を含むu-PAR由来のアミノ酸配列(特に該配列が配列GEEGを含まない場合)、
US6,248,712の配列番号4、22または23に開示される配列、
熱ショックタンパク質、より好ましくはWO2005/009350のHSP60ではない、
J Chem Soc, Perkin Transactions 1:Organic and Bio-Organic Chemistry (1994)、vol.21、3201-7頁に開示されているペプチド、
WO2003/0180302の配列番号31または32、
WO03/018754の配列番号22、ならびに/または
US 2003/0022835の配列番号138、294もしくは382(前記配列の任意の組合せを含む)。
一実施形態において、ポリペプチドはアミノ酸モチーフGEEGから構成され、該ポリペプチドはウロキナーゼ受容体(uPAR)から誘導可能である。
別の実施形態では、前記ポリペプチドは、アミノ酸配列IQEGEEGRPKDDRまたはアミノ酸配列RDDKPRGEEGEQIを含むかまたはそれから構成される。
本発明の別の態様によれば、 uPARのドメイン2のアミノ酸配列、その逆配列またはその断片を含むかまたはそれから構成されるポリペプチドが提供される。
本発明の別の態様によれば、本発明の前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。
本発明の別の態様によれば、本発明の前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターが提供される。
本発明の別の態様によれば、本発明の前記発現ベクターを含む細胞が提供される。
本発明の別の態様によれば、本発明のいずれかのポリペプチドに対する抗体が提供される。
本発明の別の態様によれば、本発明の前記ポリペプチド、ポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞もしくは抗体、またはuPARから誘導可能かつそのドメイン2を欠くポリペプチドを、製薬上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤と共に含む医薬組成物が提供される。
本発明の別の態様によれば、幹細胞動員の低下に関連する疾患の治療方法であって、有効量の本発明の前記ポリペプチド、ポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞または医薬組成物をそれを必要とする患者に投与することを含む方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、幹細胞移植におけるアジュバントとしての、本発明の前記ポリペプチド、ポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞または医薬組成物の使用が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、uPARのモジュレーターである因子の同定方法であって:該因子の存在下および不在下にてuPAR活性を測定すること;観察される活性を比較すること;ならびに該因子の存在下および不在下にて観察されるuPAR活性の差異に基づきモジュレーターとして該因子を同定すること、を含み;ならびに本発明の任意のポリペプチドの使用を伴う方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、幹細胞移植におけるアジュバントとして、前記ポリペプチド、ポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞または医薬組成物のポリペプチドの使用が提供される。
本発明の別の態様によれば、KG-I 幹細胞等の造血CD-34陽性幹細胞を含む幹細胞を刺激する方法であって、前記ポリペプチド、ポリヌクレオチド、発現ベクター、細胞、医薬組成物を細胞集団に適用することを含む方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、uPAR、インテグリン(αvβ3、α3β1、α5β1等)、VN、FN、LN、EGF-R、P2Y2、インスリン-R活性のモジュレーターである因子を同定する方法であって:uPAR、インテグリン(αvβ3、α3β1、α5β1等)、VN、FN、LN、EGF-R、P2Y2、インスリン-R活性をそれぞれ該因子の存在下および不在下で測定すること;観察される活性を比較すること;ならびに該因子の存在下および不在下におけるuPAR 、インテグリン、α5β1、α3β1、VN、FN、LN、EGF-R、P2Y2、インスリン-R活性(必要に応じて)において見とめられた差異に基づき該因子をモジュレーターとして同定することを含み;ならびに本発明の任意のポリペプチドの使用を伴う、方法が提供される。
一実施形態において、前記方法は該因子を調製することをさらに含む。
本発明のさらなる態様によれば、本発明の方法により同定可能、または本発明の方法により調製可能な因子が提供される。
以下、本発明の様々な好ましい特徴および実施形態を限定しない実施例により説明する。
本発明の実施は、特に明記しない限り、化学、分子生物学、細菌学、組換えDNAおよび免疫学の従来技術を採用し、これらは当業者の技術範囲内である。このような技術は文献に記載されている。例えば、J.Sambrook, E.F.FritschおよびT.Maniatis、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第二版、1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F.M.ら(1995および定期臨時号;Current Protocols in Moleular Biology、第9、13および16章、John Wiley and Sons、New York、N.Y.);B.Roe、J.CrabtreeおよびA.Kahn、1996、DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques、John Wiley and Sons;J.M.PolakおよびJames O’D.McGee、1990、In Situ Hybridization:Principles and Practice;Oxford University Press;M.J.Gait(編)、1984、Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach、Irl Press;ならびにD.M.J.LilleyおよびJ.E.Dahlberg、1992、Methods of Enzymology:DNA Structure Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology、Academic Pressを参照のこと。これらの概説テキストはそれぞれ参照により本明細書に援用する。
細胞移動、接着、増殖および分化
細胞移動は、受精から死まで私たちに伴うものである。この総合的なプロセスは、まず発生中の胚の形態形成に関与する。細胞が移動できないこと、または不適切な場所への細胞移動は、脳における顕著な先天性損傷等命に関わる結果を及ぼすこともあり得る。成人において、細胞移動は、有効な免疫応答を高め、損傷した組織の修復等の恒常プロセスの中心となる。血管疾患、慢性炎症性疾患、ならびに腫瘍形成および転移を含む病理の一因となる。本発明は、これらの分野全てにおいて応用され得る。
発生に関与する移動タンパク質の欠陥は、コンポーネント細胞が適切な場所まで進まなかったか、または適切に進んだが隣接細胞および周辺と適切な連結を形成できなかったために組織が乱れる形成異常の胚を生じる。早期胎児死亡を生じないこれらの欠陥は、脳発生において多数の先天性異常を起こし、癲癇、局所神経障害および知能発育不全を生じ得る。
免疫および創傷治癒は、細胞の移動する能力に依存する、身体における2つの恒常プロセスである。
さらに、これらの細胞移動プロセスにおいて問題が発生した場合、病理が発生する。免疫応答が永久に続く場合、移動に関連するタンパク質が極めて重要な役割を果たすと思われる慢性的な炎症症状を生じる。喘息は、周囲環境から吸い込んだ外来物質(アレルゲン)に対する持続的な免疫応答から生じる気道の慢性炎症である。喘息患者の気道(肺)中の白血球の不変的な存在および活性化は、組織損傷を引き起こし、運動、ストレスおよび冷気等の通常は無害な刺激に対する気道の過敏反応を生じる。関節リウマチにおいて、自己免疫障害の一部としてこれらの画分に移動する炎症性細胞による関節組織の不変的な破壊は、手足の機能の損傷および手足を不自由にさせる痛みを生じる。
まとめると、移動は、細胞がその前方に突出部を延ばし、これが、細胞が移動する先の基質に付着する動力学的な周期的プロセスである。これはその後細胞体を突出部に向かって進ませるよう収縮し、最終的に細胞が前方に進み続けるに伴い細胞後部にある付着部が放たれる。このサイクルは外部シグナル(走化性分子)により開始され、このシグナルは細胞膜中の特殊な受容タンパク質により感受され、細胞内部に伝えられる。これらのシグナルに応答して、細胞はアクチンを重合することにより突出部を延ばし、これが感触器(feeler)として作用し、新しい領域を探し、シグナルを受ける方向を感じ取る。移動方向が確立したら、移動を可能にする機構が移動方向に関して組み立てられる。けん引に必要な接着性複合体が突出部の前方に集まり、突出部を基質に連結させる。アクトミオシンフィラメントは、細胞の前方で収縮し、細胞体を突出部に向かって引っ張る。細胞の後方における接着性連結の解放、および尾部の収縮(retraction)によりサイクルが終了する。この複合プロセスの編成は、細胞の前方と後方を区別する作用をし、それらの作用が注意深くタイミング調節される多くの分子に備わっている。
細胞移動の調節におけるウロキナーゼ受容体(uPAR)の役割は、広く研究されてきた(概説に関しては、BlasiおよびCarmeliet、2002;Degryse 2003を参照のこと)。ウロキナーゼ(uPA)を結合することにより、uPARは接着および非接着細胞(正常または腫瘍性のどちらでもよい)の両方の移動を引き起こすシグナルを仲介する。uPAR-/-マウスにおいては、野生型マウスと比べて、肺緑膿菌(Pseudomonas aeroginosa)感染に応答して好中球動員が大幅に低下する。他の研究では、uPAR欠損マウスにおいて、急性炎症部位への白血球動員が劇的に低下したことが実証されている(Gyetkoら、2000、2001;Rijneveldら、2002;Mayら、1998)。これらのデータから、血管新生、腫瘍浸潤、感染性疾患への反応および炎症等、細胞移動を必要とする生理学的および病理学的プロセスにおけるuPARの関与の説明がつく。しかし、uPARの影響は細胞移動の制御に限定されない。なぜならuPAとの結合により、uPARは細胞周囲のタンパク質分解も調節して、uPAを細胞表面に留め、完全に活性なセリンプロテアーゼプラスミンになるプラスミノーゲンの活性化率を高めるからである。さらに、uPARは、ビトロネクチン(VN)(細胞外マトリックス由来分子)(Waltzら、1994;Weiら、1994)、および高分子キニン非含有キニノゲン(uPARと結合するのにVNと競合するため抗接着性質を有する最近発見されたリガンド)(Kanseら、1996)と結合することにより細胞接着を直接的に促す。uPARは、インテグリンまたはuPARAP(ウロキナーゼ受容体関連タンパク質)等の膜タンパク質との側方(lateral)相互作用を介して間接的に細胞接着を生じ得る(概説に関してはChavakisら、2002;OssowskiおよびAguirre Ghiso、2000を参照)。
uPARは、グリコシル-ホスファチジル-イノシトール(GPI)アンカーにより形質膜に結合しており、従って細胞質ドメインを持たない。uPARは3つの相同ドメインから構成される。受容体のN末端であるドメイン1は、uPAの結合の主要部位をなす。しかし、ドメイン3も結合に直接関与し、ドメイン2および3の存在によりドメイン1とuPAとの親和性が高くなる(Ploug、2003) 。VNに対するuPARの親和性も、uPAの結合により高められる(Weiら、1994)。ドメイン1と2との間には、uPARのリンカー領域が配置されており、その中でその最小の走化性エピトープすなわち5残基の短い配列ggSRSRY92が同定されている(Resnatiら、1996;Fazioliら、1997;Nguyenら、1998;Degryseら、1999)。この配列はuPARの移動性質の原因である。uPARに結合したuPAは、この予めマスキングされたSRSRYエピトープを露出させる受容体の構造変化を引き起こす。この変化は、uPARをFPRL1のリガンドに変え、これが細胞移動を刺激する(Resnatiら、1996、2002;Fazioliら、1997;Degryseら、1999)。FPRL1(またはリポキシンA4 受容体、LXA4R)は、fMLPの低親和性受容体として知られ(Resnatiら、2002)、FPRファミリーに属する7回膜貫通(seven-spanning)膜受容体である。最近のデータは、FPRファミリーの他のメンバー(FPR 自体およびFPRL2 等)も、SRSRYからシグナルを伝達することを示している(Selleriら、2004; De Paulisら、2004)。従って、uPARおよびケモカインの作用メカニズムの類似性により、uPARを膜固定型ケモカイン様タンパク質(MACKINE)と考えることができる(Degryse、2003;Degryseおよびde Virgilio、2003)。ドメイン2および3は、Zn2+依存的にuPARに結合する2重鎖キニン非含有高分子量キニノゲン(HKa)の結合部位であると報告されている(Colmanら、1997;Chavakisら、2000)。HKaは、uPARに対する結合をVNと競合でき、uPARに興味深い接着性および抗接着性質を付与する。
細胞質ドメインを欠いているにも関わらず、uPARは複合シグナリングが可能である。膜において、uPARは、例えばhck、c-SrcおよびFAK(焦点接着キナーゼ)等のシグナリング分子を含む大きい複合体に存在する。プロテインキナーゼAおよびCは、uPAR依存性シグナリング経路を調節することが示されている(Degryseら、2001a)。さらに、uPARに結合したuPAは、MAPキナーゼを含む下流のシグナリング経路を活性化する(Resnatiら、1996;Nguyenら、1998;Degryseら、2001a)。uPAR はまた、細胞骨格(Ridleyら、1992)および細胞形態の調節に関与するRac等の小さいGタンパク質も制御する(KjoellerおよびHall、2001)。
uPARは細胞質ドメインを持たないため、他の受容体と相互作用しなければならない。uPARは形質膜中の多数の分子(例えば、FPRL1、EGF 受容体、gp130およびインテグリン)と相互作用する。さらに、uPARはこれらの受容体を介して、シグナリング経路を活性化および/またはモジュレートすることが示されている(BlasiおよびCarmeliet、2002;Degryse 2003)。本発明者らは、u-PA-およびVN誘導型走化性、細胞骨格再編成および細胞形状変化がuPAR-αvβ3シグナリング複合体の形成を必要とすることを既に示している(Degryseら、1999、2001a)。いくつかの研究により、uPARに結合可能で従ってuPAR-インテグリン相互作用を妨害可能なインテグリンのαサブユニット中のアミノ酸配列が同定された一方で(Weiら、1996、2001;Simonら、2000)、uPARについては同様の情報がない。本発明者らは、今回、uPARとαvβ3との関係を調査し、この相互作用において構造的および機能的役割を果たすuPARのドメイン2に位置する配列を見つけた。
モジュレーター
本発明者らは、ウロキナーゼ受容体(uPAR)とインテグリンαvβ3との相互作用の性質および機能を調査した。ビトロネクチン(VN)はuPARへの結合により細胞移動を引き起こさないが、uPAR発現はVN誘導型細胞移動を有意に高める。これらの結果は、uPARが、αvβ3と側方向に相互作用することによりVN/αvβ3依存性細胞移動の調節に関与することを示唆している。完全長ヒトuPARを発現するようにトランスフェクトされた細胞とは対照的に、ドメイン2を欠くuPAR 変異体を発現する細胞はVNチャレンジに応答しては移動しない。
興味深いことに、ドメイン2の配列から誘導される合成ペプチドのD2Aは、この突然変異の影響を克服でき、これらの後者の細胞をVNに応答可能にでき、D2Aは、VN/αvβ3依存性細胞移動をブロックする因子により阻害できる走化性活性を有し、D2Aがαvβ3依存性シグナリング経路を活性化することを示唆している。実際、D2AはuPAR-αvβ3およびuPAR-αvβ1 複合体を破壊し、D2Aが様々なインテグリンと相互作用できることを示唆する。2つのグルタミン酸の2つのアラニンでの置換により、走化性活性を失ったペプチドD2A-Alaが生成される。さらに、これらの変化はD2A-Alaをインテグリン依存性細胞移動の幅広い阻害剤に変える。結論として、本発明者らは、uPARのドメイン2において、αvβ3依存性シグナリング経路に結合し活性化することで細胞移動を引き起こす新しい走化性配列を同定した。この配列は、uPAR-インテグリン相互作用の調節において極めて重要な役割を果たすと思われる。
従って、本発明は、細胞移動活性ならびにそれに関連する活性(細胞接着、増殖および/または分化等)のモジュレーターを提供する。
さらに、本発明者らは様々な異なる刺激を介して作用する走化性を含む細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または分化の潜在的なモジュレーターを見つけた。前記uPARおよびインテグリン活性(αvβ3、α3β1、α5β1依存性活性等)に並び、モジュレーターは他の刺激(VN、FN、EGF、UTPおよびインスリン等)に依存する活性に影響する。
本明細書で使用する「モジュレート」という用語は、細胞接着に関与するuPARおよび他の刺激(走化性、移動、増殖および/または分化を含む)の生物学的活性の変化または改変を指す。「モジュレート」という用語はまた、化学的または生物学的因子が細胞移動、接着、増殖および/または分化に影響する能力も指す。
「モジュレーション」とは、生物学的活性またはプロセスの測定可能な機能的性質を、少なくとも10%、15%、20%、25%、50%、100%またはそれ以上増加または低下させる能力を指す;このような増加または低下は、特定の事象が起こることを条件とし得る、および/または特定の細胞型でのみ現れ得る。
より具体的には、本発明は、細胞移動、接着、増殖および/または分化を阻害またはブロック(拮抗)する化合物の使用に関する。本発明はまた、細胞移動、接着、増殖および/または分化を増加または活性化(作動)する化合物の使用にも関する。このようなモジュレーションは、直接的または間接的に生じ得、部分的なモジュレーションを伴い得る。
より詳細には、プラスミノーゲン活性化の焦点(focus point)および鍵となる調節因子として始めは知られていたGPI-膜結合uPARは、シグナリングおよび付着性受容体の両方としても認識される。uPARは細胞質ドメインを持たないため、細胞膜レベルにおいて他の受容体でこの驚くべきパラダイム相互作用を得ることが必要である。幅広い膜貫通型受容体(例えば、LRPおよび他の内在化受容体、EGF 受容体、Gタンパク質共役型受容体FPRL1を含む)が、uPARと相互作用することが報告されている(概説に関しては(BlasiおよびCarmeliet、2002)、DegryseおよびDi Virgilio、2003を参照)。FPRL1の場合、uPAR に結合したuPA は、uPARのドメイン1と2との間のリンカー領域に配置された走化性配列を露出させるコンホメーション変化を引き起こす。このコンホメーション変化はuPARをFPRL1のリガンドに変え、これは最後にuPAの走化性シグナルを仲介する(Resnatiら、1996;Fazioliら、1997;Degryseら、1999;Resnatiら、2002)。同様のメカニズムが、最近発見された2つの新規uPAR 仲介因子であるFPRおよびFPRL2に適用され得る。
インテグリンは、uPARと相互作用する別の重要な受容体ファミリーである(Chapman、1997;OssowskiおよびAguirre Ghiso、2000;Preissner、2000)。インテグリンは、細胞接着および移動の調節における役割が周知であるが、uPARとは異なり、下流のシグナリング分子に連結した細胞質ドメインを所有する。さらに、インテグリンは、外から内および内から外へシグナルを伝達する双方向シグナリングが可能である。おそらくこの理由のため、インテグリンは、IAP(インテグリン関連タンパク質)、テトラスパニンおよびuPAR(本明細書に概説している)等の多数の膜タンパク質と相互作用する。実際、uPARは、β1、β2およびβ3 サブファミリーの多くのインテグリンとシスおよびトランスの両方で相互作用することが示されており、最適な例としてαMβ2(Mac-1)、α3β1、α5β1およびαvβ3が挙げられる(Weiら、1996、2001;Simonら、2000;Taruiら、2000)。これらの相互作用の役割も調査されており、uPARはインテグリン機能のモジュレーターとして作用することが示唆されてきた(Xueら、1994;Simonら、1996;Weiら、1996、2001;Xueら、1997)。
細胞移動におけるuPARの役割は、uPAシグナルを仲介することに限定されない。事実、fMLPおよびVN(Gyetkoら、1994;Yebraら、1996;Degryseら,2001a)またはMCP-1およびRANTES(Furlanら、2004)のシグナル等の他のシグナルにおいても関与している。本発明において、本発明者らは、uPARがVN 細胞移動にどのように関与するかを調べ、細胞シグナリング、細胞骨格編成、細胞形態および細胞移動に対するuPAR インテグリン相互作用の因果関係を検討した。本発明者らは、uPAR がインテグリン機能の重要な調節因子であることを確認した。絶対に必要というわけではないが(uPARを欠くHEK-293、NIH-3T3 またはLB6細胞に対するVNの効果を参照)、uPAR過剰発現はVN誘導型細胞移動を大幅に高める。インテグリンαvβ3 に対するuPARの存在の影響は、uPARの2つの変異体D1D2-uPARおよびD1HD3-uPARの影響によりさらに実証されている。前者がVNへの応答をわずかに変化するのみなのに対して、後者は全体的に失効させる(表1;図1b)。これらの変異体の影響は、uPARが直接結合メカニズムによりVN走化性を仲介する可能性を排除する。なぜなら2つの変異体のいずれもVNに結合できないからである(図1)(Hoyer-Hansenら、1997)。実際、uPARのための結合部位を含むソマトメジンBドメインを欠く、VNの変異体であるVN40-459は、完全長VNと同じく細胞移動を促した(図1d)。さらに、VNは、uPARを欠くHEK-293細胞の移動を刺激できる。従って、既に報告されるように、VNは、それ自身のインテグリン受容体(特にαvβ3)への結合を介して細胞移動を刺激し(Yebraら、1996、1999;Degryseら、2001a)、インテグリンとuPARとの側方相互作用を利用する(Weiら、1994)。
この見解は、D1HD3-uPAR発現の阻害効果を無効にする一方でVNと同じ直接シグナリング性質を示し、アミノ酸配列130IQEGEEGRPKDDR142を有し、ドメイン2に位置する本明細書において「D2A」と称するuPARペプチドの同定により明白に裏づけされる。ペプチドD2A は、例えばuPAR-αvβ3およびuPAR-α5β1複合体を破壊し、多くのインテグリンと直接相互作用できることを示す。D2A結合はまた、機能的に関連するとも思われる。なぜなら、これは、uPARを発現する細胞の移動を促し、さらに重要なことにはLB6細胞を発現するD1HD3-uPARの阻害効果を除去するからである(図1)。VN-と同様、D2A誘導型細胞移動は、αvβ3に対するモノクローナル抗体であるLM609により完全にブロックされた。従って、D2Aは、インテグリンに結合するだけでなく、それを介してシグナルを生成する。本発明者らによるペプチドD2A により活性化される下流のシグナリング経路の調査は、この考えに全く合致する。uPAR-とVN依存性シグナリングとを区別する既に同定されている阻害剤を使用して(Degryseら、2001a)、本発明者らはD2AがVN依存性シグナリング経路を介して移動を刺激し、そしてuPAR依存性シグナリング経路を介しては移動を刺激しないことを見いだした。実際、一方で、uPA誘導型細胞移動に対して影響のないホルスコリンおよびIBMXを用いた細胞内cAMPの増加は(Degryseら、2001a)、D2A-およびVN誘導型走化性の両方を完全に阻害する。他方で、MAPキナーゼ活性化を防ぎ、uPA誘導型細胞移動をブロックするMEK阻害剤であるPD98059(Nguyenら、2000;Degryseら、2001a)は、D2AおよびVN依存性走化性の両方とも阻害できない(図3)。D2AおよびVNの両方が、ケモカイン等の多くの他の化学誘引物質に観察されるようにJak/Statシグナリング経路を活性化する(AaronsonおよびHorvath、2002)。さらに、D2A-およびVN促進型走化性の両方がキナーゼのJanusファミリーの阻害剤であるAG-490によりブロックされ、D2Aが少なくとも1つのJakを活性化できることを示唆する。事実、D2AおよびVNの両方が、RSMCの核へのStat1再局在化を誘導した(図5)。StatはJakの下流エフェクターであり、一度活性化されると、これらの側方細胞質転写因子は核に転座する。さらに、D2Aは、運動性細胞に特有の伸長形態(ハンドミラー形状とも呼ばれる場合がある)の出現、およびこの運動性形態を明らかに反映するアクチン細胞骨格の再編成を促進し(図5)、Jak/Stat経路以外に、D2Aは、アクチン細胞骨格の編成を調節することが知られているGTP結合小タンパク質等の他の下流シグナリング分子を活性化できることを示す(Ridleyら、1992)。これは、線維芽細胞における先の観察に沿っている(Degryseら、1999;KjoellerおよびHall、2001)。総合すると、これらの観察はD2A がシグナリング能力を有し、例えばαvβ3依存性経路を介してそしてuPAR制御型経路は介さずに作用し、Jak/Stat経路がD2A誘導型細胞移動の調節に直接関与することを示す。
本発明者らは、D2Aが少なくとも2種類の配列情報を含むことを提案する:インテグリンへの結合、および細胞移動の調節に関与するインテグリン依存性シグナリング経路の活性化。D2Aの配列に突然変異を導入した場合に、これら2組の性質の間の分離が見とめられた。特定のGEEGエピトープに対する本発明者らの関心は、ペプチドD2BがD2Aと逆の配列を有していても、走化性において同等に活性であり、両方のペプチドが同じGEEG配列を含むという事実に基づく。従って、本発明者らはGEEG をGAAGエピトープに改変し、2つのグルタミン酸残基の代わりに2つのアラニンがあること以外はD2Aと同じであるD2A-Alaと名づけたこの新しいペプチドの走化性活性をテストした。ペプチドD2A-Alaは走化性ではなく、シグナリング活性を持たず(図4、6、7)、GEEG配列がペプチドD2AおよびD2Bに含まれる走化性が活性なエピトープであることを実証した。本発明者らはまた、D2A-Alaが不活性であっても、αvβ3およびα5β1と相互作用できることを発見し、これはsuPAR-インテグリン同時沈降の阻害により示される(図5)。驚くべきことに、GAAGエピトープの導入により、D2Aが、約10〜20 fMの極めて低いIC50を有するVN誘導型細胞移動の強力な阻害剤に変化した(図7)。さらに、D2A-AlaはまたStat1活性化、すなわちVNにより促進される運動性細胞形態の出現およびアクチン細胞骨格再編成を阻害することにも成功した。さらに、D2A-Alaは、FNおよびLN等の他のECMタンパク質により誘導される移動を阻害し、他のインテグリンをブロック可能であることを示唆した。従って、D2A-Alaの阻害能力は、uPAR-αvβ3およびuPAR -α5β1 複合体等のuPAR-インテグリン複合体を破壊する能力に存在し得る。従って、D2A のGEEGエピトープに導入される突然変異は、αvβ3インテグリンと相互作用する能力には影響を及ぼすことなく、そのシグナリング情報を破壊した。
uPARを発現しない細胞に対するD2AおよびD2A-Alaの影響を調査した場合、ペプチドD2AはHEK-293細胞(uPARを持たない)の移動を刺激しない一方で、D2A-Alaが同じ細胞においてVN誘導型走化性を阻害するのに成功したことを見とめた。従って、D2Aによる細胞移動の誘導が細胞表面上のuPARの存在を必要とする一方で、VN走化性の阻害はD2A-Alaとインテグリンとの結合のみを必要とする。これらのデータは、ペプチドD2AおよびD2A-Alaのアゴニストおよびアンタゴニストメカニズムにおけるわずかな違いを明らかにし、uPARの結合によりインテグリンの構造が改変できることを示唆する。
さらに、D2Aのアゴニスト効果およびD1HD3-uPARの優性ネガティブ作用を総合すると、uPARがインテグリンに対して正および負の両方の調節を発揮可能であることが示唆される。これらのデータはまた、D2Aエピトープ以外に、おそらくはuPARのドメイン3に配置された他の結合部位が細胞移動の誘導に必要であることも示唆する。この考えはまた、LB6-D1D2細胞が低用量のVN に対して感受性が低いことが分かった事実によっても裏付けられる(図1)。以下の段階的モデルは、インテグリンに対するuPAR の調節効果を説明付けるかもしれない(図9)。正の調節、すなわち細胞移動の誘導のために、三段階メカニズムを提案する。uPARはまず、未だ定義されていないエピトープを介してインテグリンを「係留」(または接触)する。これにより、その後のD2A配列とインテグリンとの相互作用が可能になり、相互作用を強めて、シグナリングさせる。次いで、VN等のインテグリンリガンドが「活性化された」インテグリンに結合できるが、インテグリンに結合したVNがuPAR-インテグリン相互作用の必要条件となり得る可能性がある。本発明者らのモデルでは、GEEG領域がシグナリングには必要であるが結合には必要ないため、D2A領域の機能であるインテグリン結合およびシグナリングは分離できる。いかなる理論にも限定されることを望まないが、uPARのコンホメーションがこの相互作用において重要であり得る。本発明者らは、シグナリングを活性化可能なuPARのコンホメーションをd3d2と称する。なぜなら接触にはドメインD2およびD3の両方が必要だからである。
負の調節のメカニズムについて、D1HD3-uPARが優性ネガティブ効果を有するという観察を考慮に入れた。uPARが、uPARのドメイン3(変異体D1HD3)に配置された結合部位(1つまたは複数)のみを介してインテグリンに接触する場合、その結果としてインテグリンがシグナリング不活性状態にロックされる。この場合、uPARは、本発明者らがd3と呼ぶ異なるコンホメーションを有する(図9)。
まとめると、本発明において本発明者らは、uPARのドメイン2に位置する新しい走化性配列を同定した。この配列を担持する合成ペプチドであるペプチドD2Aは、インテグリンと結合し、走化性を仲介する他の経路のうちインテグリン依存性シグナリング経路を活性化するこれらの受容体を介して作用する。GEEGエピトープ中の2つのグルタミン酸残基は、シグナリングにとって不可欠である。さらに、優性ネガティブ変異体として作用するuPARの形態D1HD3も同定した。これらのデータは、uPARによるインテグリン機能の正または負の調節が、異なる種類の相互作用に依存し得る異なるコンホメーションに依存し得ることを示唆している。正の調節は、uPARのドメイン2に位置するD2Aを含む複数の部位に結合し、およびドメイン3上で生じるD1HD3の外挿(extrapolation)により達成され得る。負の調節は、ドメイン3にのみ位置する部位(1つまたは複数)が関与する相互作用により得られる。最終的に、D2A配列に突然変異を導入することにより、強力なインテグリン阻害剤D2A-Alaを生成した。この阻害剤は、極めて興味深く、血管新生、炎症、心臓血管疾患、感染性疾患および癌等の生理学的および病理学的プロセスに対して有効であり得る。
変異体、断片および誘導体
本発明はまた、本発明のモジュレーターの変異体、誘導体および断片にも関する。変異型配列等は、本明細書に提示する配列と少なくとも同等に生物学的に活性であることが好ましい。
本明細書で使用する「生物学的に活性」とは、天然型配列と同様の構造的機能(必ずしも同程度でなくてもよい)、および/または同様の調節機能(必ずしも同程度でなくてもよい)、および/または同様の生化学的機能(必ずしも同程度でなくてもよい)を有する配列を指す。
このような変異体、誘導体および断片は、アゴニストの場合には配列GEEG、アンタゴニストの場合には配列GAAGを含むことが好ましい。
化合物は、uPARの誘導体であり得る。一実施形態では、uPARのドメイン2またはその断片であるか、またはそれらから誘導可能である。別の実施形態では、アゴニストは、ドメイン2またはその断片を欠くuPARであるか、またはそれらから誘導可能である。
「タンパク質」という用語は、一本鎖ポリペプチド分子、および個々の構成ポリペプチドが共有結合または非共有結合手段により結合した多ポリペプチド(multiple-polypeptide)複合体を含む。「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸の長さ、典型的に5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30 以上のアミノ酸を有するペプチドを含む。本明細書で使用するタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドという用語は、同意語とも考えられ、タンパク質は単にポリペプチド中に存在する配列よりも長いアミノ酸配列を示すための一般的な意味で使用し、ポリペプチドは単にペプチド中に存在する配列よりも長いアミノ酸配列を示すための一般的な意味で使用する。全般的に参照する際の簡便性のためにのみ、単純にポリペプチドという用語を使用する。
本発明で使用するアミノ酸配列は、特定の配列もしくはその断片、または特定のタンパク質から得た配列に限定されず、任意の由来源から得た相同配列(例えば、関連するウイルス性/細菌性タンパク質、細胞相同体および合成ペプチド、ならびにそれらの変異体または誘導体)も含むことが理解されよう。また、本発明のアミノ酸モチーフは異なるタンパク質に、そのN末端、カルボキシ末端またはタンパク質の実体(body)において挿入できることが想定される。
従って、本発明は、本発明で使用するアミノ酸配列の変異体、相同体または誘導体、および本発明で使用するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の変異体、相同体または誘導体を網羅する。
本発明は、合成配列、および天然に由来する配列の両方を網羅する。
本発明に関連して、相同配列は、アミノ酸レベルで少なくとも60、70、80または90%の同一性、好ましくは少なくとも95または98%の同一性を持つアミノ酸配列を含むこととする。特に、相同性は、典型的に、非必須隣接配列ではなく、走化性モジュレーションに必須なことが知られている配列の領域(すなわち、GEEGおよびGAAGモチーフ)に関して考慮されるべきである。相同性はまた、類似性(すなわち、同様の化学的性質/機能を有するアミノ酸残基)についても考慮され得、本発明においては、配列同一性および配列類似性の両方に関して相同性を表すことが好ましい。
相同性比較は、目で、またより一般的には入手し易い配列比較プログラムの助けを借りて行うことができる。これらの市販のコンピュータプログラムは、2つ以上の配列の相同性%を計算できる。
相同性%は、連続配列について計算され得る(すなわち一方の配列を他方の配列と整列させ、一方の配列のアミノ酸をそれぞれ他方の配列中の対応するアミノ酸と一度に一残基ずつ直接比較する)。これは「アンギャップド(ungapped)」 アライメントと呼ばれる。典型的に、このようなアンギャップドアライメントは、比較的少ない数の残基(例えば、50未満の連続アミノ酸)についてのみ行われる。
これは非常に単純で一貫した方法であるが、例えば、1つの挿入または欠失によって、それ以外は同一である配列対においてそれ以降のアミノ酸残基がアライメントから排除されてしまい、その結果広範囲のアライメントを行った場合に相同性%が大幅に低くなってしまう可能性があるという考慮を欠く。その結果、ほとんどの配列比較方法は、総体的な相同性スコアに過度にペナルティーを科すことなく、可能性のある挿入および欠失を考慮して最適なアライメントを作るように設計されている。これは、配列アライメントに「ギャップ」 を挿入して局所的相同性を最大にすることにより達成される。
しかし、より複雑なこれらの方法は、アライメント中で生じるギャップにそれぞれ「ギャップペナルティー」を割り当てるため、同じ数の同一アミノ酸について、できるだけ少ない数のギャップを有する配列アライメント(比較する2つの配列間でより高い関係性を反映する)の方がギャップの多いものよりも高いスコアを出す。ギャップの存在については比較的高いコストを科し、ギャップ中のそれ以降の各残基については少ないペナルティーを科す「アフィンギャップコスト」が典型的に使用される。これは最も一般的に使用されるギャップスコア付けシステムである。高いギャップペナルティーは当然、より少ないギャップで最適化アライメントを作る。ほとんどのアライメントプログラムは、ギャップペナルティーを変えられる。しかし、このようなソフトウェアを配列比較のために使う場合には、デフォルト値を用いることが好ましい。例えば、 GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(以下を参照)を使用する場合、アミノ酸配列用のデフォルトギャップペナルティーは、ギャップについては-12、各伸長部(extension)については-4 である。
従って、最大相同性%の計算は、まず、ギャップペナルティーを考慮して最適なアライメントを作ることを必要とする。このようなアライメントを実行するのに適切なコンピュータプログラムはGCG Wisconsin Bestfitパッケージである(University of Wisconsin、U.S.A.;Devereuxら、1984、Nucleic Acids Research 12:387)。配列比較を行える他のソフトウェアの例としては、BLASTパッケージ(Ausubelら、1999前掲−第18章を参照)、FASTA(Atschulら、1990、J. Mol. Biol.、403-410)およびGENEWORKSスイート(suite)の比較ツールが挙げられるがこれらに限定されない。BLASTおよびFASTAの両方は、オフラインおよびオンライン検索で利用可能である(Ausubelら、1999前掲、7-58〜7-60頁を参照)。しかしGCG Bestfitプログラムを使用することが好ましい。
最終的な相同性%は同一性の点から測定できるが、アライメントプロセス自体は一般に絶対的な対比較に基づいていない。変わりに、化学的類似性または進化距離に基づいて対ごとの比較に対してスコア付けするスケールド(scaled)類似性スコアマトリックスが一般的に使用される。一般的に使用されるこのようなマトリックスの例は、BLASTスイートのプログラム用のデフォルトマトリックスであるBLOSUM62マトリックスである。GCG Wisconsin プログラムは、一般的に、公のデフォルト値または提供されればカスタム記号比較表のいずれかを使用する(より詳細についてはユーザマニュアルを参照)。GCG パッケージについては公のデフォルト値を使用することが好ましく、他のソフトウェアの場合にはBLOSUM62等のデフォルトマトリックスを使用することが好ましい。
ソフトウェアが最適なアライメントを作成したら、相同性%、好ましくは配列同一性%が計算できる。ソフトウェアは典型的に、これを配列比較の一部として行い、数値的結果を生成する。
「変異体」または「誘導体」という用語は、本発明のアミノ酸配列に関して言うと、得られるアミノ酸配列が細胞接着、移動、増殖および/または分化活性をモジュレートする能力を有するという前提のもと、配列の1つ(またはそれ以上)のアミノ酸の任意の置換(substitution)、変異、改変、交換(replacement)、欠失または付加を含む。
配列は、本発明に使用するために改変され得る。典型的に、改変は配列の活性を維持するように行われる。アミノ酸置換は、改変された配列が細胞接着、移動、増殖および/または分化モジュレーション活性を保持するという前提で、例えば 1、2、3〜10、20または30の置換から構成され得る。アミノ酸置換は、例えば治療投与されるポリペプチドの血漿半減期を高めるために、非天然型類似体を使用することを含み得る。
保存的置換は例えば以下の表に従って行われ得る。2欄目の同じブロック中のアミノ酸、好ましくは3欄目の同列中のアミノ酸は互いと置換され得る:
Figure 2008528023
本発明のポリペプチドはまた、前記ポリペプチドおよびその変異体の断片も含む(配列の断片も含む)。好ましい断片は、エピトープまたは結合ドメインを含むものを含む。適切な断片は、少なくとも約5(例えば、10、12、15または20)アミノ酸の長さである。これらは、200、100または50アミノ酸未満の長さであってもよい。タンパク質のポリペプチド断片、ならびにそれらの対立遺伝子および種変異体は、保存置換を含む1つ以上(例えば、2、3、5または10)の置換、欠失または挿入を含み得る。例えば組換え技術により置換、欠失および/または挿入が生じた場合、配列表に示す好ましくは20%、10%または5%未満のアミノ酸残基が変えられる。
本発明で使用するタンパク質は、典型的に、例えば以下に記載するように、組換え手段により作製される。しかし、これらはまた、固相合成等の当業者に周知の技術を用いて合成手段によっても作製され得る。化学合成ペプチドのための様々な技術は、BorgiaおよびFields、2000、TibTech 18:243-251で概説されており、またそれに含まれる参考文献に詳細に記載されている。
本発明で使用するタンパク質はまた、例えば抽出および精製を助けるための融合タンパク質として作製され得る。融合タンパク質のパートナーの例としては、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、6xHis、GAL4(DNA結合および/または転写活性化ドメイン)およびβ-ガラクトシダーゼが挙げられる。融合タンパク質パートナーと目的のタンパク質配列との間にタンパク質分解切断部位を含んで、融合タンパク質配列を除去することが都合よくありえる。融合タンパク質は、目的のタンパク質の活性を妨害しないことが好ましい。
本発明で使用するタンパク質は実質的に単離型形態であり得る。タンパク質は、タンパク質の意図する目的を妨げない担体または希釈剤と混合されてもよく、それでも実質的に単離されているとみなされることが理解されよう。本発明のタンパク質はまた実質的に精製した形態であってもよく、この場合、調製物中の本発明のタンパク質が90%を上回る(例えば、95%、98%または99%)、調製物に含まれたタンパク質を概して含む。
ポリヌクレオチド
本発明で使用するポリヌクレオチドは、誘導体、変異体、断片等を含む走化性モジュレーターをコードする核酸配列を含む。多数の異なるポリヌクレオチドが、遺伝子コードの縮重により同じタンパク質をコードできることが当業者に理解される。さらに、当業者が常套技術を用いて、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質配列に影響を及ぼさないヌクレオチド置換を行って本発明で使用するタンパク質が発現される任意の特定の宿主生物のコドン使用頻度を反映できることが理解されよう。
本発明で使用するポリヌクレオチドはDNAまたはRNAを含み得る。これらは一本鎖または二本鎖であり得る。これらは、合成または改変型ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドでもあり得る。オリゴヌクレオチドに対する多くの異なる種類の改変が当該分野で知られている。これらには、メチルホスホン酸およびホスホロチオエート骨格、分子の3’および/または5’端へのアクリジンまたはポリリシン鎖の付加が含まれる。本発明の目的のために、本明細書に記載のポリヌクレオチドは当該分野で利用可能な任意の方法により改変され得ることが理解されよう。このような改変は、本発明で使用するポリヌクレオチドのin vivo活性またはライフスパンを高めるために行われ得る。
「変異体」、「相同体」または「誘導体」という用語は、ヌクレオチド配列に関して言えば、得られるヌクレオチド配列が走化性活性を改変する能力を有するポリペプチドをコードするという前提のもと、配列の1つ(またはそれ以上)の核酸の任意の置換、変異、改変、交換、欠失または付加を含む。
上述したように、配列相同性に関して、本明細書中の配列表に示す配列に対して好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%の相同性を有することが好ましい。より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の相同性を有する。ヌクレオチド相同性比較は、上述したように行うことができる。好ましい配列比較プログラムは上述したGCG Wisconsin Bestfitプログラムである。デフォルトスコア付けマトリックスは、個々のヌクレオチドそれぞれについて10、および各ミスマッチについて-9のマッチ値を有する。各ヌクレオチドについて、デフォルトギャップ作成ペナルティー は-50で、デフォルトギャップ伸長ペナルティーは-3である。
本発明はまた、本明細書に提示する配列、それらの任意の変異体、断片、誘導体、または前記いずれかの相補体と選択的にハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列も含んでいる。ヌクレオチド配列は、好ましくは少なくとも15ヌクレオチドの長さ、より好ましくは少なくとも20、30、40または50ヌクレオチドの長さである。
本明細書で使用する「ハイブリダイゼーション」という用語は、「核酸の鎖が塩基対合を介して相補鎖と結合するプロセス」およびポリメラーゼ連鎖反応技術で行われるような増幅プロセスを含む。
本明細書で提示するヌクレオチド配列、またはそれらの相補体に選択的にハイブリダイズできる本発明で使用するポリヌクレオチドは、本明細書に提示する対応するヌクレオチド配列に対して、少なくとも20、好ましくは少なくとも25または30、例えば少なくとも40、60または100以上の連続ヌクレオチドの領域にわたり、全体的に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80または90%およびより好ましくは少なくとも95%または98%相同である。本発明で使用するのに好ましいポリヌクレオチドは、モチーフに対して好ましくは少なくとも80または90%、より好ましくは少なくとも95%相同である、モチーフに相同な領域を含む。
「選択的にハイブリダイズ可能」という用語は、プローブとして使用するポリヌクレオチドが、本発明で使用する標的ポリヌクレオチドがバックグラウンドレベルよりも有意に高いレベルでプローブにハイブリダイズする条件下で使用されることを意味する。バックグラウンドハイブリダイゼーションは、例えばスクリーニングするcDNAまたはゲノムDNAライブラリーに存在する他のポリヌクレオチドのために生じ得る。この場合、バックグラウンドは、プローブとライブラリーの非特異的DNA メンバーとの間の相互作用により生成されるシグナルのレベルを暗に示しており、これは、標的DNAで観察される特異的な相互作用の10倍未満、好ましくは100倍未満の強度である。相互作用の強度は、例えば、32Pでプローブを放射性標識化することで測定され得る。
ハイブリダイゼーション条件は、BergerおよびKimmelに教示されるように核酸結合複合体の融解温度(Tm)に基づき(1987、Guide to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology、Vol 152、Academic Press、San Diego CA)、以下に説明するように規定の「ストリンジェンシー」を授ける。
最大ストリンジェンシーは、典型的に、約Tm-5℃(プローブのTmより5℃低い)にて;高いストリンジェンシーはTmより約5℃〜10℃低く;中度ストリンジェンシーはTmより約10℃〜20℃低く;および低ストリンジェンシーはTmより約20℃〜25℃低い温度にて生じる。最大ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは同一のポリヌクレオチド配列を同定または検出するのに使用できるのに対して、中度(または低)ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは類似または関連するポリヌクレオチド配列を同定または検出するために使用できることが当業者には理解されよう。
好適な態様では、本発明は、ストリンジェントな条件下(例えば、65℃および0.1×SSC (1×SSC=0.15 M NaCl、0.015 M Na3クエン酸塩 pH 7.0)で本発明のヌクレオチド配列にハイブリダイズできるヌクレオチド配列を網羅する。
本発明で使用するポリヌクレオチドが二本鎖の場合、二本鎖の両方の鎖は、個々にまたは組合せられて、本発明に包含される。ポリヌクレオチドが一本鎖の場合、このポリヌクレオチドの相補配列も本発明の範囲に含まれることが理解されよう。
本発明で使用する配列に対して100%相同でないが本発明の範囲内にあるポリヌクレオチドは、多数の手法により得ることができる。本明細書に記載する配列の他の変異体は、例えば様々な個体、例えば異なる集団由来の個体から構成されるDNAライブラリーをプロービングすることにより得ることができる。さらに、哺乳動物細胞(例えば、ラット、マウス、ウシおよび霊長類細胞)で観察される他のウイルス性/細菌性または細胞相同体、特に細胞相同体が得られ、このような相同体およびそれらの断片は概して、本明細書の配列表に示す配列に選択的にハイブリダイズ可能である。このような配列は、他の動物種に由来するcDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリーをプロービングし、このようなライブラリーをヒトuPAR配列全体または一部を含むプローブで中度から高度のストリンジェンシー条件下でプロービングすることにより得られる。同様の考慮事項が、本発明で使用するタンパク質またはヌクレオチド配列の種相同体および対立遺伝子変異体を得る際に当てはまる。
変異体および株/種相同体はまた、本発明の配列内の保存アミノ酸配列をコードする変異体および相同体中の配列を標的とするように設計されたプライマーを使用する縮重PCRを用いても得ることができる。保存配列は、例えばいくつかの変異体/相同体由来のアミノ酸配列を整列させることにより予測できる。配列アライメントは、当該分野で公知のコンピュータソフトウェアを用いて行うことができる。例えばGCG Wisconsin PileUpプログラムが広く使われている。
縮重PCRで使用されるプライマーは、1つ以上の縮重位置を含み、公知配列に対して単一配列プライマーで配列をクローニングするのに使用するストリンジェンシー条件よりも低いストリンジェンシー条件において使用される。
あるいはまた、このようなポリヌクレオチドは、部位特異的突然変異誘発により得ることができる。これは、例えば、ポリヌクレオチド配列が発現される特定の宿主細胞に対するコドン選択傾向を最適化するために配列にサイレントコドン変化が必要な場合に有用であり得る。他の配列変化が、制限酵素認識部位を導入するために必要であり得る。
本発明のポリヌクレオチドは、プライマー(例えば、PCRプライマー、代替的な増幅反応用のプライマー)、プローブ(例えば、放射性または非放射性標識を用いた従来手段により露出標識で標識化されたもの)を作成するために使用できるか、またはポリヌクレオチドはベクターにクローニングされ得る。このようなプライマー、プローブおよび他の断片は少なくとも15、好ましくは少なくとも20、例えば少なくとも25、30または40ヌクレオチドの長さであり、本明細書で使用する本発明のポリヌクレオチドという用語に含まれる。
本発明で使用するようなDNAポリヌクレオチドおよびプローブ等のポリヌクレオチドは、組換え、合成、または当業者が利用可能な任意の手段により作製され得る。これらはまた、標準的な技術によってもクローニングされ得る。
一般的に、プライマーは、所望の核酸配列を一度に1ヌクレオチドずつ段階的に製造する合成手段で作製される。これを自動化技術を用いて達成するための技術は当該分野において利用し易い。
より長いポリヌクレオチドは一般的に、組換え手段を用いて、例えばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング技術を用いて作製される。これは、クローニングすることが望ましい脂質標的配列の領域を挟むプライマー対(例えば、約15〜30 ヌクレオチドのもの)を作製し、プライマーを動物またはヒト細胞から得たmRNAまたはcDNAと接触させ、所望の領域の増幅をもたらす条件下でポリメラーゼ連鎖反応を行い、増幅した断片を単離し(例えば、アガロースゲル上で反応混合物を精製することにより)、増幅DNAを回収することを伴う。プライマーは適切な制限酵素認識部位を含むように設計されて、増幅DNAが適切なクローニングベクターにクローニングされるようにしてもよい。
ヌクレオチドベクター
本発明のポリヌクレオチドは、組換え複製可能ベクターに組み込まれ得る。ベクターを使用して、適合する宿主細胞において核酸を複製できる。従って、さらなる実施形態では、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを複製可能ベクターに導入し、該ベクターを適合する宿主細胞に導入し、ベクターの複製をもたらす条件下で該宿主細胞を成長させることにより、本発明で使用するポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。ベクターは宿主細胞から回収され得る。適切な宿主細胞としては、大腸菌等の細菌、酵母、哺乳動物細胞系および他の真核細胞系、例えば昆虫Sf9細胞が挙げられる。
ベクター中の本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞によるコード配列の発現を可能にする制御配列と作用可能に結合している(すなわち、ベクターは発現ベクターである)ことが好ましい。「作用可能に結合」という用語は、記載のコンポーネントが意図されるように機能するような関係にあることを意味する。コード配列と「作用可能に結合」した調節配列は、コード配列の発現が対照配列に適合した条件下で得られるようにライゲートされる。
例えばさらなる転写調節エレメントの付加により制御配列を改変して、制御配列により指示される転写のレベルを転写モジュレーターに対してより反応しやすくするようにしてもよい。
本発明のベクターは、以下に記載するように適切な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトして本発明のタンパク質を発現し得る。このプロセスは、タンパク質をコードするコード配列のベクターにより発現させる条件下で前記したように発現ベクターで形質転換した宿主細胞を培養すること、および発現したタンパク質を任意に回収することを含み得る。
ベクターは、例えば、複製起点、任意にポリヌクレオチドの発現のプロモーター、および任意にプロモーターの調節因子を備えたプラスミドまたはウイルスベクターであり得る。ベクターは1つ以上の選択可能マーカー遺伝子を含み得る(例えば細菌性プラスミドの場合にはアンピシリン耐性遺伝子、または哺乳動物ベクターの場合にはネオマイシン耐性遺伝子)。ベクターは、例えば宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換するために使用できる。
本発明で使用するベクター/ポリヌクレオチドは、トランスフェクション、形質転換およびエレクトロポーレーション等の当該分野で公知の様々な技術を用いて適切な宿主細胞に導入され得る。本発明のベクター/ポリヌクレオチドを動物に投与する場合、いくつかの技術、例えばレトロウイルス、単純ヘルペスウイルスおよびアデノウイルス等の組換えウイルス性ベクターでの感染、核酸の直接注入、および遺伝子銃形質転換が当該分野で公知である。
タンパク質発現および精製
本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を使用して本発明で使用するタンパク質を発現してもよい。宿主細胞は、本発明のタンパク質を発現させる適切な条件下で培養され得る。本発明のタンパク質の発現は、継続的に生成されるかまたは誘導可能で、発現を開始する刺激を必要とすることから構成的であり得る。誘導可能な発現の場合、例えば培養培地への誘導物質(例えば デキサメタゾンまたはIPTG)の添加が必要とされる場合にタンパク質生成が開始され得る。
本発明で使用するタンパク質は、酵素的、化学的および/または浸透圧溶解、ならびに物理的破壊を含む当該分野で公知の様々な技術により、宿主細胞から抽出できる。
アッセイ
本発明はまた、細胞接着、移動、増殖および/または分化に対するアゴニストおよびアンタゴニストを同定するための化合物のスクリーニング方法も提供する。候補化合物は、様々な由来源(例えば、細胞、無細胞調製物、化学ライブラリー、ペプチドおよび遺伝子ライブラリー、ならびに天然の生成物の混合物)から同定され得る。このように同定されたアゴニストまたはアンタゴニストまたは阻害剤は、場合によっては例えばuPARの天然型もしくは改変型基質、リガンド、受容体、酵素等であり得るか;またはそれらの構造的もしくは機能的模倣剤であり得る(Coliganら、Current Protocols in Immunology 1(2):第5章(1991)を参照)。
スクリーニング方法は、候補化合物とエピトープGEEGまたはその改変形態GAAGとの結合を、候補化合物と直接的または間接的に結合する標識により単純に測定する。あるいはまた、スクリーニング方法は、標識化された競合体との競合を伴い得る。さらに、これらのスクリーニング方法は、候補化合物が細胞接着、移動、増殖および/または分化の活性化または阻害により生成されるシグナルを生じるか否かを、受容体を担持する細胞に適した検出系を使用してテストし得る。結合するが反応を誘導はしない化合物は、アンタゴニストとして同定される。アンタゴニスト化合物はまた、結合して、反対の反応を生じるものでもある。
本発明が想定する1つのアッセイは2ハイブリッドスクリーニングである。2ハイブリッド系は、酵母[Chienら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88:9578-9582(1991)]において開発され、およびリポーター遺伝子を活性化する転写因子の機能的in vivo再構成に基づく。uPAR エピトープまたはその改変形態と相互作用するタンパク質を同定するための他のアッセイは、uPARまたはテストタンパク質を固定化し、非固定化結合パートナーを検出可能に標識化し、結合パートナーを一緒にインキュベートし、および標識結合の量を測定することを伴い得る。結合標識は、テストタンパク質がエピトープまたはその改変形態と相互作用することを示す。
細胞接着、移動、増殖および/または分化をモジュレートするタンパク質を同定するための別のタイプのアッセイは、エピトープまたははその改変形態を含むuPARまたはその断片を蛍光剤で被覆した(または含浸させた)固体支持体上に固定化し、蛍光剤を励起可能な化合物でテストタンパク質を標識化し、固定化したuPAR を標識化テストタンパク質と接触させ、蛍光剤による発光を検出し、蛍光剤により発光を生じるテストタンパク質として相互作用するタンパク質を同定することを伴う。あるいはまた、アッセイにおいて、推定の相互作用タンパク質を固定化し、uPARを標識化してもよい。
本発明に同様に包含されるのは、抗体生成物(例えば、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ならびにその抗原結合断片)、ならびに本発明のモチーフまたはその改変形態に特異的な他の結合タンパク質(前記アッセイで同定されるもの等)である。結合タンパク質は、単離された天然型または組換え型酵素を用いて発達され得る。そしてこの結合タンパク質は、組換え型および天然型酵素を精製し、そのような酵素を生成する細胞を同定するのに有用である。細胞および流体中のタンパク質の検出および定量のためのアッセイは、「サンドウィッチ」アッセイ形式において単一の抗体物質または複数の抗体物質を伴い、uPAR タンパク質レベルの細胞学分析を決定し得る。抗イディオタイプ抗体も包含される。
機能的uPARを模倣するタンパク質をコードする遺伝子を適切な細胞へ送達することは、ウイルス性ベクター(例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスもしくはレトロウイルス)を使用してin vivoもしくはex vivoで、または物理的DNA導入方法(例えば、リポソームもしくは化学処理)を採用してex vivoで達成され得る。遺伝子療法技術の概説に関しては、Friedmann、Science、244:1275-1281 (1989);Verma、Scientific American:68-84 (1990);およびMiller、Nature、357:455-460 (1992)を参照。あるいはまた、他のヒト疾患状態においても、細胞接着、移動、増殖および/または分化の発現を妨げるかまたは阻害することが疾患状態を治療するのに有用であり得ることが想定される。アンチセンス療法または遺伝子療法を、走化性を負に調節するのに適用されることが想定される。モチーフまたはその改変形態に特異的に結合可能なアンチセンス核酸(好ましくは10〜20 塩基対のオリゴヌクレオチド)を細胞に導入する(例えば、ウイルス性ベクターまたはリポソーム等のコロイド分散系により)。アンチセンス核酸は細胞中の標的配列に結合し、標的配列の転写または翻訳を妨げる。ホスホチオエートおよびメチルホスフェートアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明による治療上の使用について特に想定されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’端部にあるポリ-L-リシン、トランスフェリンポリリシンまたはコレステロール部分によりさらに改変され得る。
小分子を利用する療法は特に好ましい。なぜならそのような分子は経口投与の後に吸収されやすく、および/またはより大きいタンパク質を利用する医薬よりも潜在的な抗原決定基が少ないからである。本開示を考慮して、当業者は、疾患を治療するための候補小分子医薬を同定するのに有用な薬剤スクリーニング方法論を開発できるであろう。特に、当業者は、モチーフを含む通常および/または変異体/アセチル化ペプチドに結合し、従って通常または変異体/アセチル化ペプチドのin vivo活性を改変する候補であるものを同定するために、小分子の大きいライブラリーをスクリーニングできる。さらに、当業者は、モチーフまたはそれらの改変形態に選択的または優先的に結合する小分子を同定できる。
候補タンパク質結合分子について小分子ライブラリーをスクリーニングする方法は当該分野で周知であり、本開示を考慮すれば、本発明の通常のまたは変異型形態のモチーフに結合する化合物を同定するために採用され得る。
当業者には明白であるように、個々の小分子または小分子の大きいライブラリー(例えば、ファージ提示ライブラリー)をスクリーニングして、本発明の通常または変異型モチーフに結合する化合物を同定するための他の方法は多数ある。これらの方法は全て、通常または変異型モチーフをテスト化合物と混合して、(もしあれば)結合させるステップ、および結合した複合体をアッセイするステップを含む。
本発明の通常もしくは変異型、または両方の形態のモチーフに結合する化合物は治療において有用であり得る。
前記方法で同定した後、候補化合物をその後、医薬投与またはテストのために十分な量で生成するか、または新しい医薬の設計および開発における「リード化合物」として作用させてもよい。例えば、当該分野で周知な通り、小分子の順次的な改変(例えば、ペプチドでのアミノ酸残基の置換;ペプチドまたは非ペプチド化合物での機能的官能基の置換)は、医薬業界において新しい製薬を開発するための標準的なアプローチである。このような開発は、通常、所望の医薬の少なくともいくらかの活性を有することが示された「リード化合物」から進展する。特に、少なくともいくらかの目的の活性を有する1つ以上の化合物が同定された場合、分子の構造比較によって、保存されるべきリード化合物の部分、および新しい候補化合物の設計において改変できる部分を示唆することで、熟練者に大いに情報を提供する。従って、本発明はまた、疾患の治療のために使用する新しい候補化合物を生成するために順次的に改変され得るリード化合物を同定する手段も提供する。これらの新しい化合物はその後、結合(例えば、前記した結合アッセイにおいて)および治療効力(例えば、本明細書に記載する動物モデルにおいて)の両方についてテストされ得る。この手順は、所望の治療活性および/または効力を有する化合物が同定されるまで繰り返され得る。
この方法で同定された化合物は、細胞接着、移動、増殖および/または分化をin vivoで改変するのに潜在的に有用である。これらの化合物は、本明細書において開示および可能になった動物モデルにおいてさらにテストされて、最も有力なin vivo効果を有する化合物を同定し得る。さらに、細胞接着、移動、増殖および/または分化改変活性を有する小分子に関して上述したように、これらの分子は、例えば、化合物を順次的な改変、分子モデリング、および理論的な薬剤設計で採用される他の常套手順に供することにより、医薬のさらなる開発のための「リード化合物」としての役割を果たし得る。
従って、本発明は、例えば、調節因子またはモジュレーター(アゴニストおよびアンタゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニスト、アクチベーター、コアクチベーターおよび阻害剤等)として作用し得る化合物を同定するのに使用できる方法を提供する。従って、本発明は、細胞接着、移動、増殖および/または分化に関連するポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現を調節する試薬および方法を提供する。ポリヌクレオチドの発現、安定性もしくは量、またはポリペプチドの活性をモジュレートする試薬は、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣剤、核酸、核酸類似体(例えば、ペプチド核酸、固定化(locked )核酸)、または小分子であり得る。
本発明の一態様は、テスト化合物をスクリーニングして、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)形成もしくは活性、uPA受容体(uPAR)形成、またはリガンド結合もしくは活性を阻害する因子を同定する方法に関する。本発明の別の態様は、uPAおよびuPAR等の1つ以上の薬剤標的を阻害する活性医薬に関する。さらに別の態様は、細胞接着、移動、増殖および/または分化に関連する疾患または症状を治療または予防するのに活性な医薬に関する。
本発明はまた、細胞接着、移動、増殖および/または分化に関連する疾患または症状を治療または予防するのに有用な因子を同定するためのスクリーニング方法であって、(i)テスト剤のプールを得ること;(ii)該プールのいずれかのテスト剤が、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターおよびウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーの活性を阻害するか否かを決定すること;ならびに(iii)少なくとも1つのメンバーの活性を阻害するテスト剤を、細胞接着、移動、増殖および/または分化に関連した疾患または症状を治療または予防するのに有用な因子として該プールから選択すること、を含む方法も提供する。この方法は、ステップ(i)の前に、テスト剤のプールを選択するステップを任意に含み得る。
一実施形態において、前記決定するステップは、(a)プール由来のテスト剤をウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターおよび基質と接触させて生成物を形成させること;(b)該接触させるステップの後に、該基質または該生成物のレベルを測定すること;(c)該基質レベルと基質対照値とを、または該生成物レベルと生成物対照値とを比較すること;ならびに(d)基質対照値よりも高い基質レベルを有するか、または生成物対照値よりも低い生成物レベルを有するテスト剤を、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターを阻害する因子として選択すること、を含む。
任意に、基質はL-ピログルタミル-グリシル-L-アルギニン-p-ニトロアニリン塩酸塩であり、生成物はp-ニトロアニリン二塩酸塩である。
別の実施形態では、前記決定するステップは、(a)テスト剤をウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体およびウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターと接触させること;(b)該接触させるステップの後に、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体とウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター基質との結合のレベルを測定すること;(c)結合レベルを対照値と比較すること;ならびに(c) 結合レベルが対照値よりも低いテスト剤を、細胞接着、移動、増殖および/または分化に関連した疾患または症状を治療または予防するのに有用な因子として選択すること、を含む。
別の実施形態では、テスト剤は、本発明の少なくとも1つのモチーフに対する抗体の抗原結合断片を含む。
本発明はまた、細胞接着、移動、増殖および/または分化に関連する疾患または症状を治療するのに有用な因子を同定する方法であって、テスト剤を哺乳動物に投与すること、および該テスト剤がウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターまたはウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター受容体を該哺乳動物において阻害するか否かを決定すること、を含む方法も提供する。
治療ペプチド
本発明のペプチドは、治療のために患者に投与され得る。天然型アミノ酸だけから構成されているのではなく改変されたタンパク質を使用して、例えば免疫原性を低くし、患者の体内の循環半減期を高め、生体内利用率を向上させ、ならびに/または効力および/もしくは特異性を向上させることが好ましい。
治療的用途のためにタンパク質を改変するのに多くのアプローチが使用されてきた。ひとつのアプローチでは、ペプチドまたはタンパク質を、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)等の様々なポリマーに結合させる(例えば米国特許第5,091,176号、同第5,214,131号および同第5,264,209号を参照)。
天然型アミノ酸の、D-アミノ酸およびN-メチルアミノ酸等の様々な非コードまたは改変型アミノ酸での置換も、タンパク質を改変するために使用され得る。
別のアプローチは、N-スクシンイミジル3-(2ピリジルジチオ)プロピオネート、スクシンイミジル6-[3-(2 ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート、およびスルホスクシンイミジル6-[3-(2ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート等の二官能性架橋剤を使用することである(米国特許第5,580,853号を参照)。
コンホメーションが拘束された(constrained)本発明のタンパク質の誘導体を使用することが望ましいかもしれない。コンホメーションが拘束とは、タンパク質が取る三次元形状の安定性および好ましいコンホメーションを指す。コンホメーションの拘束には、タンパク質中の単一残基のコンホメーション動員を制限することを伴う局所拘束;いくらかの二次構造ユニットを形成し得る残基のグループのコンホメーション動員を制限することを伴う領域拘束;およびタンパク質構造全体が関与するグローバル拘束が含まれる。
タンパク質の活性構造は、環化等の共有結合改変、またはγ-ラクタムまたは他のタイプの架橋の導入により安定化され得る。例えば、側鎖を骨格に環化して相互作用部位の両側にL-γ-ラクタム部分を作るようにできる。Hrubyら、"Applications of Synthetic Peptides," Synthetic Peptides掲載:A User’s Guide:259-345 (W.H. Freeman and Co. 1992)を全般的に参照のこと。環化は、例えば、システイン架橋の形成、各末端アミノ酸のアミノおよびカルボキシ末端基の結合、またはLys残基もしくは関連相同体のアミノ基とAsp、Gluもしくは関連相同体のカルボキシ基との結合によっても達成され得る。ポリペプチドのα-アミノ基とリシン残基のε-アミノ基との結合も、無水ヨード酢酸を用いて、行われ得る。WoodおよびWetzel、1992、Int’l J. Peptide Proten Res.39:533-39を参照。
US5,891,418に記載の別のアプローチによれば、タンパク質構造中に金属-イオン複合化骨格を含ませる。典型的に、好ましい金属-ペプチド骨格は、所与の複合化金属イオンの配位圏(coordination sphere)に必要とされる特定の配位基の必須数に基づく。一般的に、有用と思われるほとんどの金属イオンは、4〜6の配位数を有する。タンパク鎖における配位基の性質は、アミン、アミド、イミダゾールまたはグアニジノ官能基を有する窒素原子;チオールまたはジスルフィドの硫黄原子;およびヒドロキシ、フェノール、カルボニルまたはカルボキシル官能基の酸素原子を含む。さらに、タンパク鎖または個々のアミノ酸は、化学的に修飾されて、例えばオキシム、ヒドラジノ、スルフヒドリル、ホスフェート、シアノ、ピリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ等の配位基を含んでも良い。タンパク質構築物は、線状または環式のいずれであってもよいが、線状構築物が典型的に好ましい。小さい線状ペプチドの一例は、Gly-Gly-Gly-Glyであり、これは配位数4で金属イオンに複合化できる骨格において4つの窒素を有する(N4複合体系)。
治療タンパク質の性質を改善するためのさらなる技術は、非ペプチドのペプチド模倣体を使用する。タンパク質の正確な構造を解明するために幅広い種類の有用な技術が使用できる。これらの技術としては、アミノ酸配列決定、X線結晶学、質量分析、核磁気共鳴分光学、コンピュータ支援分子モデリング、ペプチドマッピング、およびそれらの組合せが挙げられる。タンパク質の構造分析は、タンパク質のアミノ酸配列、およびその原子コンポーネントの三次元配置を含む大量のデータを全般的に提供する。この情報から、治療的活性のために必要な化学官能基を有するが、より安定した(例えば生物学的分解をより受けにくい)非ペプチドのペプチド模倣体が設計できる。このアプローチの一例はUS5,811,512に記載されている。
本発明の治療タンパク質を化学的に合成する技術は、前記引用文献に記載されており、またBorgiaおよびFields、2000、TibTech 18:243-251に概説されており、その中で列挙される参考文献に詳細が記載されている。
抗体
本発明はまた、本発明のポリペプチドまたはその断片に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体も提供する。従って、本発明は、本発明のポリペプチドに対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を作製するためのプロセスをさらに提供する。前記した通り、このような抗体は、本明細書に記載する治療もしくは診断において、またはいずれかのアッセイにおいて有用であり得る。
ポリクローナル抗体が所望の場合、選択された哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等)にGEEGまたはGAAGエピトープ(1つまたは複数)を担持する免疫原性ポリペプチドで免疫性を与える。免疫性を与えられた動物から血清を回収し、公知の手順により処置する。GAAGまたはGEEGエピトープに対するポリクローナル抗体を含む血清が他の抗原に対する抗体を含む場合、ポリクローナル抗体をイムノアフィニティークロマトグラフィーにより精製できる。ポリクローナル抗血清を生成および処理するための技術は当該分野で公知である。そのような抗体を作るために、本発明は、別のポリペプチドにハプテン化した、動物またはヒトにおいて免疫原として使用する本発明のポリペプチドまたはそれらの断片も提供する。
本発明のポリペプチド中のGAAGまたはGEEGエピトープに対するモノクローナル抗体はまた、当業者によって容易に作製できる。ハイブリドーマによりモノクローナル抗体を作製する一般的な方法論は周知である。不死化抗体産生細胞系は、細胞融合、および発癌DNAでのBリンパ球の直接形質転換またはエプスタイン・バー・ウイルスでのトランスフェクション等の他の技術により作製され得る。GAAGまたはGEEGエピトープに対して作製されたモノクローナル抗体のパネルは、様々な性質について(すなわち、イソタイプおよびエピトープ親和性について)スクリーニングされ得る。
代替的な技術は、例えばファージが多種多様の相補性決定領域(CDR)を有するコートの表面上でscFvフラグメントを発現するファージ提示ライブラリーをスクリーニングすることを伴う。この技術は当該分野で周知である。
GAAGまたはGEEGエピトープに対する抗体(モノクローナルおよびポリクローナルの両方)は診断において特に有用であり、中和抗体は受動免疫療法において有用である。モノクローナル抗体は特に、抗イディオタイプ抗体を生じさせるために使用できる。抗イディオタイプ抗体は、それに対する保護が望ましい因子の抗原の「内部イメージ(internal image)」を担持する免疫グロブリンである。
抗イディオタイプ抗体を生じさせる技術は当該分野で公知である。これらの抗イディオタイプ抗体は治療においても有用であり得る。
本発明の目的において、「抗体」という用語は、特に明記のない限り、標的抗原に対する結合活性を保持する抗体全体のフラグメントを含む。このようなフラグメントとしては、Fv、F(ab’)およびF(ab’)2フラグメント、および一本鎖抗体(scFv)が挙げられる。さらに、抗体およびそのフラグメントは、例えばEP-A-239400に記載されるようなヒト化抗体であり得る。
治療上の使用
これは、ヒトまたは非ヒト動物のためになるあらゆる治療的用途を含む。哺乳動物の治療が特に好ましい。ヒトおよび獣医的治療の両方が本発明の範囲内にある。
治療は、既存の症状に対するものであるか、または予防的なものであり得る。治療は、成人、若年者、小児、胎児、または前記いずれかの一部(例えば、器官、組織、細胞もしくは核酸分子)のものであり得る。
uPARは、細胞接着、移動および成長のためのシグナリングを調整し、従って、血管新生、炎症、創傷修復、感染性疾患および腫瘍進行における細胞の作用に影響を及ぼすと理解される。
例えば、uPAは腫瘍細胞により合成および分泌される。溶液中またはその受容体uPARに結合する際に、uPAはプラスミンを生成し、これが細胞外マトリックスコンポーネントを分解し、浸潤および転移を生じる。従って、本発明の阻害剤を用いたuPA/uPAR相互作用の阻害が、腫瘍細胞の浸潤および広がりを低くし得ることが理解されよう。
一実施形態においては、ペプチド、抗体、化合物または医薬組成物等(本明細書においては「化合物」とも称する)を使用して、肺癌、膵臓癌、乳癌、結腸癌、喉頭癌、腎癌、子宮癌、前立腺癌、膀胱癌または卵巣癌等の(ただしこれらに限定されない)癌を治療または予防できる。一実施形態において、癌は、固形腫瘍を含む。本発明はまた、小細胞肺癌等の腺癌に関しても有用である。本発明は、白血病等の他の種類の癌に関して有用であり得る。
外傷の後に新しい毛細血管が創傷スペースに向かって成長するプロセスは血管新生として知られている。血管新生は、固形腫瘍増殖および転移、関節リウマチ、乾癬、強皮症、アテローム動脈硬化プラークにおける毛管増殖ならびに骨粗鬆症;ならびに3つの一般的な失明原因- 糖尿病性網膜症、水晶体後線維増殖症および血管新生緑内障(実際、眼の疾患はほとんどの場合に脈管新生を伴う)を含む他の多くの状況でも生じる。創傷血管新生のプロセスは、腫瘍血管新生と共通の特徴を多く有する。本発明の化合物が血管新生を制御するために使用され得ること、および特に本発明の阻害剤が血管新生を阻害するのに有用で、従って血管新生に関連する疾患を治療するのに有用であることが理解されよう。
関節炎は、例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、感染性関節炎、若年性関節リウマチ; 骨関節炎、または脊椎関節症等の変性関節疾患により引き起こされ得る。好適な実施形態では、関節炎は関節リウマチであり、哺乳動物はヒトである。
本発明はまた、アテローム性動脈硬化および再狭窄等の慢性炎症過程に関連する血管症状を治療するのにも有用であり得る。特に、本発明の化合物は、このような疾患の治療に有用であり得る。本発明は、炎症に関連する他の障害を治療するのにも有用であり得る。
従って、別の実施形態では、化合物を使用して、αvβ3発現を伴う疾患等、血管新生が関与する疾患を治療または予防し得る。
前記議論したように、血管新生は、新しい発達中の血管が組織に向かって成長することを伴う組織脈管新生のプロセスであり、新脈管新生とも称される。このプロセスは内皮細胞および平滑筋細胞の浸潤(infiltration)により仲介される。このプロセスは、以下の3つの中のいずれかにより進行すると考えられている:すなわち、血管は既存の血管から伸びることができるか、前駆細胞から血管の新たな発達が生じ得るか(脈管形成)、または既存の小さい血管の直径が拡大し得る(Bloodら、1990)。
血管新生が重要であると考えられている、血管新生疾患と称される様々な疾患があり、免疫性および非免疫性炎症、関節炎等の炎症性障害、糖尿病性網膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、再狭窄、アテローム動脈硬化プラークにおける毛管増殖および骨粗鬆症等の血管の不適切または不適当な浸潤に関連する障害、ならびに固形腫瘍、固形腫瘍転移、血管線維腫、水晶体後線維増殖症、血管腫、カポジ肉腫等(腫瘍増殖を支持するために新脈管新生を必要とする)の癌関連障害が挙げられるがこれらに限定されない。
従って、疾患組織において血管新生を阻害する方法は、疾患の症状を改善し、疾患に応じて疾患の治癒に寄与できる。
別の関連する実施形態では、治療する組織は、糖尿病性網膜症、黄斑変性または血管新生緑内障を患う患者の網膜組織であり、阻害される血管新生は、網膜組織の新脈管新生を伴う網膜組織血管新生である。
さらなる関連する実施形態では、治療する組織は、固形腫瘍、転移、皮膚癌、乳癌、血管腫または血管線維腫等の癌を患う患者の腫瘍組織であり、阻害される血管新生は、腫瘍組織の新脈管新生を伴う腫瘍組織血管新生である。本方法により治療可能な典型的な固形腫瘍組織として、肺、膵臓、胸、結腸、喉頭、卵巣等の組織が挙げられる。
腫瘍組織血管新生の阻害は、特に好適な実施形態である。なぜなら新脈管新生が腫瘍増殖で重要な役割を果たすからである。腫瘍組織の新脈管新生が不在の場合は、腫瘍組織は必要な栄養を得られず、成長が遅れ、それ以上の成長が中断され、退行し、最終的に壊死して、腫瘍が死ぬ。
この方法はまた、転移の形成に対して特に有効である。なぜなら(1)これらの形成は、転移性癌細胞が原発腫瘍から出るために原発腫瘍の脈管新生を必要とし、(2)二次部位におけるこれらの確立は、転移の成長を支持するために新脈管新生を必要とするからである。
関連する実施形態では、本発明は、固形腫瘍に対する従来の化学療法および転移の確立を制御するための方法等の他の療法と併用して本発明を実施することを意図している。血管新生阻害剤の投与は、典型的に化学療法の間または後に実施されるが、化学療法の療法計画の後、腫瘍組織への血液供給および栄養素の提供によって回復するために血管新生を誘導することで腫瘍組織が毒性攻撃に反応する際に血管新生を阻害することが好ましい。さらに、転移の予防として固形腫瘍を除去した術後に血管新生阻害方法を実施することが好ましい。
本方法を腫瘍新脈管新生の阻害に適用する場合には、この方法を、腫瘍組織成長の阻害、腫瘍転移形成の阻害、および確立した腫瘍の退行にも適用できる。
再狭窄は、血管形成の成功を妨げる経皮経管冠動脈形成の部位における平滑筋細胞(SMC)の移動および増殖のプロセスである。再狭窄の間のSMCの移動および増殖は、本方法により阻害される血管新生のプロセスと考慮され得る。従って、本発明は、本方法に従って患者における血管形成過程後の血管新生を阻害することによる再狭窄の阻害も意図する。
本発明の化合物は、他の診断または治療物質と組合せて、別々にまたは順次に使用する調製物としても使用できる。
本発明のモジュレーターはまた、移植片対宿主疾患を治療するのにも有用であり得る。
細菌性およびウイルス性感染(ボレリア症、AIDS等)の両方がuPARおよびuPAを誘導し、HIV陽性患者で循環している可溶性uPARのレベルは、非常に強い陰性の予後マーカーである(Sideniusら、2000)。さらに、uPARはマクロファージ型細胞のHIV感染によって誘導される(Nykjaerら、1994)。特に、本発明の阻害剤はこのような疾患の治療において有用であり得る。本発明はまた、他の剤による感染性障害を治療するのにも有用であり得る。
uPAR 欠損は線維症を促進させることも提示されている。従って、本発明のモジュレーターを使用して、線維症に関連する疾患を制御し得、組織再モデリングおよび創傷治癒の制御にも使用され得ることが理解されよう。
本発明の化合物、特に本発明のアゴニストは、幹細胞刺激および/または動員が望ましい疾患の治療のために有用であり得る。
幹細胞移植は、特に小児科集団における様々な障害を治癒する機会を提供できる。同種幹細胞移植で治療される悪性疾患としては、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、および骨髄異形成症候群が挙げられる。自己幹細胞移植は、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、ならびに脳腫瘍等の固形腫瘍を治療するのに有効である。
移植で使用する幹細胞は、末梢血から得られる。通常の状態では、造血幹細胞および前駆細胞は、骨髄画分に存在し、循環ではほとんど見とめられない。臨床的用途に十分な数のこれらの細胞を末梢血から得るために、幹細胞および前駆細胞は髄画分から末梢血に動員されなければならない。この動員のために3つの方法がよく使用されている:a)骨髄抑制化学療法、b)造血成長因子の投与、またはc) a)およびb)の組み合わせ使用。本発明のアクチベーターがそのような動員プロセスにおいて、単独でまたは他の方法と組み合わせられて使用され得ることが理解されよう。これは特に、uPARと幹細胞動員との関連性を実証するデータ(Selleriら、2004)、およびuPAR KOマウスが造血幹細胞動員を欠損しているという事実を考慮すると当てはまる。本ペプチドは、特にKG-I細胞等の造血CD34-陽性幹細胞を刺激するために使用され得る。
本発明の化合物は、細胞移動、細胞浸潤、細胞増殖、血管新生または転移を特徴とする疾患を患う患者、好ましくはヒトに投与される。このような疾患または症状としては、固形腫瘍の一次成長、白血病、リンパ腫、転移、浸潤および/または腫瘍転移の成長、良性過形成、アテローム性動脈硬化、心筋血管新生、血管線維腫、動静脈奇形、ポストバルーン(post-balloon)血管形成、血管再狭窄、血管外傷後の内膜新生、血管移植片再狭窄、冠動脈側枝形成、深部静脈血栓症、虚血肢血管新生、毛細血管拡張症、化膿性肉芽腫、角膜疾患、ルベオーシス、血管新生緑内障、糖尿病性および他の網膜症、水晶体後線維増殖症、糖尿病性新脈管新生、黄斑変性、子宮内膜症、関節炎、慢性炎症性症状を伴う線維症(乾癬強皮症、血管腫、血友病性関節、肥厚性瘢痕、オスラー・ウェーバー症候群、乾癬、発熱性肉芽腫、水晶体後線維増殖症、強皮症、フォン・ヒッペル・リンドウ症候群、トラコーマ、脈管接着、肺線維症、化学療法誘導型線維症、瘢痕を伴う創傷治癒および線維症を含む)、消化性潰瘍、骨折、ケロイド、ならびに脈管形成、造血、排卵、月経、妊娠および胎盤形成の障害、または細胞浸潤または血管新生が病原となるかもしくは望ましくない任意の他の疾患または症状が挙げられ得る。
さらに最近になって、血管新生阻害剤が、外傷性脊髄損傷の後の炎症性血管新生およびグリオーシスを予防する役割を果たし、ニューロン結合性の再確立を促進し得ることが明らかになった(Wamilら、Proc. Natl. Acad. Sci. 1998、95:13188-13193)。従って、化合物は、外傷性脊髄損傷の後できるだけ早くそして数日から約2週間ほど投与され、ニューロン結合性の再確立を立体的に防御する血管新生およびグリオーシスを阻害する。治療は、脊髄損傷の部位における損傷面積を小さくし、神経機能を再生し易くして、麻痺を防ぐ。化合物はまた、ウォラー変性、逆アミノ酪酸仲介型脱極性(外傷を負ったニューロンにおいて生じる)から軸索を保護し、培養中の単離型中枢神経系細胞および組織の神経伝導性の回復を改善することが期待されている
さらに、特定の実施形態では、化合物は患者、好ましくはヒトに、前記様々な疾患または障害に対する予防対策として投与される。
従って、化合物は、細胞移動、細胞浸潤、細胞増殖、血管新生または転移を特徴とする疾患の発症率が高い患者に予防対策として投与され得る。従って、化合物は、一方の疾患または障害を予防し、および同時に他方を治療するために使用され得る。
一実施形態において、化合物は患者、好ましくはヒトに、診断上有効な量で投与されて前記一覧したような疾患を検出または画像化する。さらに、被検体に診断上有効量の化合物を投与することにより、望ましくない細胞移動、浸潤または増殖を伴う前記一覧したような疾患または症状を検出または画像化するために化合物を使用できる。抗体は、診断のために標識化および使用されて、例えば、ペプチド結合リガンドまたは細胞結合部位/受容体(例えば、uPAR)を、細胞の内部または表面上のいずれかにおいて検出し得る。結合の間または後の抗体の動態は、標識を検出するのに適切な方法を用いてin vitroまたはin vivoで追跡できる。診断のために標識化された抗体は、診断および予後のためにin vivoで利用されて、例えば潜在性転移巣または他の種類のin situ評価を画像化し得る。診断用途のために、抗体は当業者に周知の結合したリンカー部分を含み得る。
標識化抗体のin situ検出は、被検体から組織学的標本を採り、顕微鏡検査により適切な条件下で検査して標識を検出することにより達成され得る。当業者は、このようなin situ検出を達成するために、多種多様な組織学的方法のいずれかを(染色手順等)改変できることが容易に理解できるであろう。
診断のためのin vivo 放射性画像化について、利用できる検出機器の種類は、放射性核種を選択する際の主となる要因である。選択した放射性核種は、特定の機器により検出可能なある種の減衰を有していなければならない。一般的に、診断用画像化を可視化する任意の従来方法が本発明に従って利用できる。放射性核種をin vivo診断のために選択する際の別の要因は、その半減期が、標的組織による最大摂取時において標識がまだ検出可能であるために十分に長いが、宿主の有害な放射が最小限であるために十分短いことである。一つの好適な実施形態では、in vivo画像化で使用される放射性核種は、粒子を放射しないが、140〜200 keVの範囲の多数の光子を放射しており、これは従来のガンマカメラで容易に検出できる。
In vivo画像化を使用して、他の方法では観察できない潜在性転移が検出できる。uPARの発現は、癌患者の疾患の進行と関連し、後期癌を患う患者は原発腫瘍および転移の両方において高レベルのuPARを有する。uPARを標的化する画像化を使用して、腫瘍を非侵襲的に段階分けするか、または高いuPARレベルの存在と関連する他の疾患(例えば、血管形成の後に生じる再狭窄)を検出できる。
化合物は、所望の動物種の任意の適切な細胞、組織、器官または生物学的サンプルと共に、診断、予後または研究手順において使用され得る。「生物学的サンプル」という用語は、正常または病気の被検体の身体から得た任意の流体または他の材料(血液、血清、血漿、リンパ液、尿、唾液、涙液、脳脊髄液、乳汁、羊水、胆汁、腹水、膿汁等)を意図する。この用語の意味には、器官または組織抽出物、および被検体由来の任意の細胞または組織調製物がインキュベートされた培養流体も含まれる。
有用な用量は、特定の診断測定のために有効な量の化合物として定義される。従って、有効量とは、適切な検出系(例えば、磁気共鳴画像化検出器、ガンマカメラ等)を用いて検出されるのに十分な量を意味する。最小限の検出可能量は、血漿または細胞外流体において非特異的に結合しているかまたは遊離状態のいずれかである標識化抗体の量に対する、腫瘍(シグナル)に特異的に結合した標識化抗体の割合に依存する。
投与する診断組成物の量は、選択される厳密な抗体、疾患または症状、投与の経路および熟練した画像化専門家の判断に依存する。一般的に、診断的用途の検出能に必要な抗体の量は、患者の年齢、症状、性別および疾患の程度、もしあれば禁忌、ならびに他の変数等の考慮に応じて異なり、個々の医師または診断医により調節される。
投与
治療で使用する細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化に影響を及ぼし得る化合物は、典型的に製薬上許容可能な担体または希釈剤と共に患者への投与のために製剤化されて、医薬組成物を作製する。製剤化は同定される化合物の性質および投与経路に依存するが、典型的に局所、非経口、筋内、静脈内、腹腔内、鼻腔内吸入、肺吸入、皮内または関節内投与のために製剤化され得る。化合物は、注射可能形態で使用され得る。従って、化合物は注射可能な製剤、好ましくは治療する部位への直接注入のために製薬上許容可能な任意のビヒクルと混合され得るが、全身投与されてもよい。
製薬上許容可能な担体または希釈剤は、例えば、滅菌等張食塩水溶液、またはリン酸緩衝化食塩水等の他の等張性溶液であり得る。本発明の化合物は、任意の適切な結合剤(1つまたは複数)、潤滑剤(1つまたは複数)、懸濁剤(1つまたは複数)、被覆剤(1つまたは複数)、可溶化剤(1つまたは複数)と混合され得る。化合物を経口的に活性な形態で製剤化することも好ましい。
一般的に、本発明の化合物の治療的に有効な一日あたりの経口または静脈内用量は、0.01〜50 mg/kg(治療する被検体の体重)、好ましくは0.1〜20 mg/kgの範囲にあると思われる。化合物は、0.001〜10 mg/kg/時間の範囲にあると思われる用量でも静脈内注入により投与され得る。
化合物の錠剤またはカプセルは、必要に応じて一度に単独でまたは2つ以上で投与され得る。化合物を叙放性製剤として投与することも可能である。
あるいはまた、本発明の化合物は、吸入により、または座薬もしくはペッサリーの形態で投与され得るか、またはローション、溶液、クリーム、軟膏もしくは粉剤の形態で局所的に適用され得る。経皮投与の代替的手段は、皮膚パッチ剤の使用によるものである。それらは、例えば、ポリエチレングリコールまたは液体パラフィンの水性エマルジョンから構成されるクリームに取り入れられ得る。これらはまた、1〜10重量%の濃度で、ホワイトワックスまたはホワイトソフトパラフィン基質から構成される軟膏に、必要であれば安定剤および保存剤と共に取り入れられ得る。
一部の用途においては、組成物は、デンプンもしくは乳糖等の賦形剤を含む錠剤の形態で、単独でもしくは賦形剤との混合物としてのカプセルもしくは胚珠の形態で、香味料もしくは着色剤を含むエリキシル剤、溶液または懸濁液の形態で経口的に投与されることが好ましい。
組成物(および化合物単独)は、例えば海綿内、静脈内、筋内または皮下に非経口的にも注射され得る。この場合、組成物は適切な担体または希釈剤を含む。
非経口投与のために、組成物は、他の物質、例えば血液との溶液等張性を得るのに十分な塩または単糖類を含み得る滅菌水溶液の形態で使用されることが最も良い
口腔内または舌下投与のために、組成物は、従来の手法で製剤化され得る錠剤またはロゼンジの形態で投与され得る。
被検体(患者等)への経口、非経口、口腔内および舌下投与のために、本発明の化合物ならびにそれらの製薬上許容可能な塩および溶媒和物の一日あたりの投与量レベルは、典型的に10〜500 mg(一回または分割用量)であり得る。従って、一例として、錠剤またはカプセルは、必要に応じて一度に1回または2回以上の投与のために5〜100 mgの活性化合物を含み得る。前記するように、医師は、個々の患者に最も適し、特定の患者の年齢、体重および反応に応じて変化する実際の投与量を決定する。前記投与量が平均的なケースの例であるのに対して、もちろんより高いまたはより低い投与量範囲が望ましい場合の個々の例もあり、このような用量範囲は本発明の範囲内にある。
組成物は、毎日、毎週または毎月の投与が所望の一日投与量を提供するように製剤化され得る。組成物は、2、4、6、8、10または12時間毎等、より少ない頻度で投与されるよう都合よく製剤化され得ることが理解されよう。
ポリペプチドコンポーネントをコードするポリヌクレオチド/ベクターは、ネイキッド核酸構築物として、好ましくは宿主細胞ゲノムに相同な隣接配列をさらに含んで直接投与され得る。
哺乳動物細胞によるネイキッド核酸構築物の摂取は、例えばトランスフェクション剤の使用を含むいくつかの公知のトランスフェクション技術により向上される。これらの剤の例としては、陽イオン剤(例えばリン酸カルシウムおよびDEAE-デキストラン)、ならびにリポフェクタント(例えばリポフェクタムTMおよびトランスフェクタムTM)が挙げられる。典型的に、核酸構築物はトランスフェクション剤と混合されて、組成物を生成する。
本発明のポリヌクレオチドまたはベクターは、製薬上許容可能な担体または希釈剤と組み合わされて医薬組成物を生成することが好ましい。適切な担体および希釈剤としては、等張食塩水溶液、例えばリン酸緩衝化食塩水が挙げられる。組成物は、非経口、筋内、静脈内、皮下、眼内または経皮投与のために製剤化され得る。
本明細書に記載する投与経路および投与量はあくまで手引きとして意図される。なぜなら、熟練した施術者は、任意の特定の患者のために例えば患者の年齢、体重および症状に応じて最適な投与経路および投与量を容易に決定できるからである。
以下、本発明の様々な好適な特徴および実施形態を、以下の限定しない実施例を参照しながら説明する。
材料および細胞培養
マウスLB6およびNIH 3T3 親およびトランスフェクト細胞、ヒト胚腎細胞HEK-293およびトランスフェクトHEK-293-uPAR、ならびにラット平滑筋細胞(RSMC、Bayer Research Laboratories、Milano、Italy)を、10%FCS含有DMEM中で培養した。LB6細胞は、マウスu-PARを発現するが、プラスミノーゲンアクチベーター(RT-PCRおよびザイモグラフィー分析により示される)も、PAI-1(逆ザイモグラフィーおよびRT-PCRにより示される)も発現せず、検出不可能な金属プロテアーゼ活性を有する(Riittinenら、1996;Ossowskiら、1991;Roldanら、1990)。NIH 3T3細胞は、ホルボールエステル誘導および成長因子受容体活性化の後以外はu-PAもt-PAも発現しないが、低いレベルのPAI-1(逆ザイモグラフィー)およびマウスu-PAR(PCR)は発現する(Grimaldiら、1986)。ヒト野生型または変異型u-PAR で細胞をトランスフェクトするのに使用する構築物は記載されている(Roldanら、1990)。LB6クローン19およびNIH 3T3-u-PAR細胞は、直接結合分析により示されたところ約500,000および300,000受容体/細胞をそれぞれ表面上で発現する。LB6-D1HD3およびLB6-D1D2は、約160.000および90.000u-PAR分子/細胞をそれらの表面上でそれぞれ発現する。野生型、クローン19およびD1HD3クローンのu-PAの解離定数は2 nMであり、D1D2クローンの解離定数は8 nMであった(Riittinenら、1996)。RSMCは、免疫染色方法で示されるようにu-PAR、u-PAおよびPAI-1を発現する。ラット試薬についてのアッセイは信頼度が同じでないため、ラット細胞とマウス細胞との発現レベルを直接比較することはできなかった。大動脈および冠動脈のそれぞれに由来するヒト平滑筋細胞(AoSMC、CASMC)を、供給元(Clonetics、Charlotte、NC)に従って培養した。ヒトATF は、Jack Henkin博士から提供してもらった(Abbott Park、IL)。可溶性ヒトuPAR は、Taruiら、2001の方法を用いて調製され得る。ヒト活性2重鎖uPAは、American Diagnosticaから購入した。マウスモノクローナル抗Stat1 抗体はBD Biosciences、Transduction Laboratories(Lexington、KY)から得た。マウスモノクローナル抗αvβ3(LM 609)および抗α5β1抗体、抗マウスIgローダミン結合F(ab’)2フラグメント二次抗体、ならびに精製したヒトαvβ3およびα5β1 インテグリンはChemicon(Temecula、CA)から購入した。非特異的モノクローナルマウスIgG1K(MOPC-21)、FITC-ファロイジン、fMLP、ホルスコリン、イソブチル-メチル-キサンチン(IBMX)およびラミニン(LN)は、Sigmaから得た。AG-490およびPD98059 はBiomol (Plymouth Meeting、PA)から得た。記載されるように(Degryseら、2001a)、VNをヒト血漿から精製した(Yatohgoら、1988)。VN40-459、ヒトVNの平滑末端化形態は記載されている(Okumuraら、2002)。ペプチドD2AおよびD2A-AlaはヒトuPARのドメイン2の配列から誘導した。ペプチドD2Aは、元のヒトuPAR配列130IQEGEEGRPKDDR142に対応し、ペプチドD2A-Alaにおいては2つのグルタミン酸が2つのアラニンに変えられ以下の配列を得た:IQEGAAGRPKDDR。ペプチドD2Bは、D2Aと同じアミノ酸組成を有するが、ただし逆の配列RDDKPRGEEGEQIである。
走化性アッセイ
走化性アッセイを記載されるように(Degryseら、1999、2001a、2001b)、改変型ボイデンチャンバを用いて行った。フィルタ(5μm 孔径、Neuro Probe、Gaithersburg、MD)をコラーゲンI(100μg/ml)およびフィブロネクチン(10μg/ml、Roche)で処理した。約40〜50,000細胞を含む無血清DMEMを、上部ウェルに添加し、テストする化学誘引物質を下部ウェルに添加した。存在すれば、抗体または阻害剤を両方のウェルに添加した。37℃にて一晩の移動の後、フィルタの上面に残った細胞を擦り取り、フィルタをメタノール中で固定し、10%(w/v)クリスタル・バイオレット含有20%(v/v)メタノールの溶液中で染色した。実験は、少なくとも2回、三重で行い、対照に対する倍数として表す結果は、フィルタごとに10倍率視野で数えた細胞数の平均+SDであった。ランダムな細胞移動、すなわち化学誘引物質の不在下での移動は任意の値100%とした。
免疫蛍光顕微鏡検査
既に記載されているように(Degryseら、1999;2004)、15,000〜25,000の細胞(20〜40%のコンフルエンス)を、2cm2ウェルのガラスカバースリップに播種し、10%FCS 含有DMEM において24時間培養し、PBSで洗浄し、FCS無しでさらに24時間培養した。刺激した後、RSMCを3%パラホルムアルデヒド、2%スクロース含有PBS(pH 7.5)で20分間室温にて固定し、PBS-BSA 0.2%で3回洗浄し、20 mM hepes (pH 7.4)、300 mM サッカロース、50 mM NaCl、3 mM MgCl2、0.5%(v/v)Triton X-100 で3分間4℃にて透過化し、PBS-BSA 0.2%で3回洗浄した。RSMCは、PBS-BSA 2%において15分間37℃にて、その後抗Stat1一次抗体で30 分間37℃にてインキュベートし、PBS-BSA 0.2%で3回洗浄し、PBS-BSA 2%で15分間37℃にてさらにインキュベートした。細胞を二次TRITC-抗体およびFITC-ファロイジンで30分間37℃にて染色して、フィラメント状アクチンを可視化した。DAPI(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、Roche)を使用して核を標識化した。最後に、PBS-BSA 0.2%で3回、蒸留水で1回洗浄した後、カバースリップを20%(w/v)Mowiolを用いてマウントした。蛍光写真を、Zeiss Axiophot顕微鏡で撮った。
Stat1の活性化を定量するために、ランダムに写真を撮り、Stat1について陽性に染色された核を数え、%で表した。
125 I-VN細胞結合
ヨードゲン(Pierce Chemical Co.)を、30〜60×106 cpm/mgの比活性にて用いてVNをヨウ化した。簡単に言うと、0.1 M tris(pH 7.6)、0.1%(v/v)Tween 80に溶解した10μgのVNを、0.5μCi125ヨウ素と15分間室温にて100μlの容量でインキュベートした。1 mlの停止/溶出緩衝液、0.1 M tris(pH 8.1)、0.1%(v/v)Chapsおよび50μlのN-アセチルチロシン(10 mg/ml含有0.1 M tris(pH 7.4))を添加して反応を止めた。PD-10カラム(Pharmacia)において停止/溶出緩衝液中のゲルクロマトグラフィーにより、結合していない125ヨウ素から標識化VNを分離した。SDS-PAGEおよびその後のオートラジオグラフィーにより、65〜75 kDaのダブレット(doublet)が明らかになった。
細胞を、1.5%ゼラチン含有PBS(pH 7.4)で一晩処理した96ウェル培養皿に播種し、10%FCS 含有DMEM中でコンフルエンス状態まで培養し、次いでDMEMにおいて24時間血清を不足させた。細胞を氷上で90分間、結合緩衝液(0.1%(w/v)BSAおよび10 mM Hepes(pH 7.4)を含むDMEM)および0.5 nM 125I-VN中でインキュベートすることにより合計の結合を測定した。100倍過剰量の非標識化VNとの競合により非特異的結合を測定した。インキュベーション時間の後、氷冷結合緩衝液で3回、そして氷冷PBSで1回細胞を洗浄し、その後1%SDS、1%Triton X-100の溶液に溶解し、関連する放射能を数えた。1細胞系につき並行培養した6ウェルにおいて細胞数を決定し、結果をcpm/105細胞として標準化した。
プルダウンアッセイ
可溶性uPAR(suPAR)を、1.5×105cpm/ngの比活性にて放射性ヨウ化(VNの場合と同様、前記参照)した。精製したαvβ3またはα5β1インテグリンのいずれか2μg、ならびに2μgの125I-suPARからなる混合物を、4時間4℃にて、4μgのuPA の不在下(対照)または存在下で、5μgのD2AまたはD2A-Alaペプチドのいずれかと共にまたはそれ無しで、結合緩衝液(0.02%BSA、10 mM HEPES(pH 7.4)を含むRPMI、全量300μl)中でインキュベートした。3μgの抗αvβ3(LM609)または抗α5β1モノクローナル抗体、および60μlのプロテインG-アガロースビーズ(Amersham Biosciences)で複合体を免疫沈降させ、結合緩衝液においてビーズを3回洗浄し、還元サンプル緩衝液中で抽出し、タンパク質をSDS-PAGEにより分画した。オートラジオグラフィーおよび濃度測定によりゲルを分析した。結果を、uPA単独に対して標準化した相対密度単位の%として示す。
統計的分析
処置を対比較するためのスチューデントt検定を用いたPrismソフトウェアにより、または試薬の用量を高くして処置を評価するためのANOVAモデルにより統計的分析を行った。
実施例1-VNの移動の影響はuPAR発現と関連する
ヒトuPAR cDNAでトランスフェクトされたまたはされていないマウス細胞に対するVNの走化性の影響を試験することにより、インテグリンαvβ3-uPAR複合体の機能性を調査した。
NIH3T3およびLB6マウス細胞は、マウスu-PARを発現する:これらを、300,000および500,000ヒト受容体/細胞をそれぞれ担持するそれらのトランスフェクト型対応物NIH3T3-uPARおよびLB6クローン19と比較した。これらの2つの細胞モデルにおいて、VNはトランスフェクト型および非トランスフェクト型細胞の両方で走化性活性を有する;しかし、VNに対する高い移動応答が、uPARでトランスフェクトされ従ってより多くの受容体を発現している細胞において見とめられた(表1)。5μg/mlの用量においては、LB6クローン19細胞のVN誘導型細胞移動は、非トランスフェクト型LB6細胞の移動応答と比べて3.3倍高かった(表1)。トランスフェクト細胞と親細胞との差は非常に有意であった(p値 <0.001)。さらに、VN移動促進効果は、天然にuPARを欠くNIH-3T3およびヒトHEK-293細胞における完全長uPARの発現によっても高まった。表1は、トランスフェクト型HEK-293-uPAR細胞において、VNの走化性作用が、非トランスフェクト型HEK-293細胞においてよりも2倍高かったことを示す。総体的に、これらのデータは、u-PAR発現がVNに対する移動応答に影響を及ぼし得ることを示し、これはVN誘導型走化性におけるuPARの直接的な役割に一致する。
実施例2-VN誘導型細胞移動は、uPARに対するVN結合に依存しないが、細胞表面上の無傷uPARの存在に依存する
VNはインテグリンおよびuPARの両方に結合するため;(Hoyer-Hansen 1997)、uPAR過剰発現細胞における高いVN依存性走化性は、VN結合部位の増加によるものであり得る。この可能性を調査するために、それぞれドメイン2または3のいずれかを欠くがヒトu-PA、pro-u-PAまたはATFにまだ結合可能なヒトu-PARの変異型形態であるD1HD3-uPARまたはD1D2-uPARのいずれかでトランスフェクトされたLB6およびNIH3T3細胞のプールをそれぞれテストした(Riittinenら、1996)。結合は無傷u-PARを必要とするため、これらの変異体はVNに結合するとは思われなかった(Hoyer-Hansen 1997;Yebra, Goretzkiら 1999)(Sidenius 2000)。予想通り、VNはLB6クローン19細胞に結合し、u-PARの変異型形態を発現する細胞には弱いが同等に結合した(図1a)。
これらの変異体を使用して、VN依存性細胞移動と細胞へのVN結合との関係を調査した。NIH3T3またはLB6細胞をD1HD3-uPARでトランスフェクトした場合に、VNは10μg/mlでさえもこれらの細胞の走化性を刺激できなかった(図1b)。この影響は、クローン依存性であった。なぜなら、トランスフェクト型細胞のプールの方がクローンよりも使用されたからである。VNに対する移動応答がD1HD3細胞において完全に不在であったという事実は驚くべきことであった。なぜなら、VNは非トランスフェクト型親LB6細胞においてさえも2.5倍の走化性を刺激したからである(表1)。従って、D1HD3-uPAR変異体は、VN走化性に対して優性ネガティブ作用を有し、場合によっては内因性マウスuPARを妨害する。D1D2-uPAR変異体で得られる結果は異なった。LB6-D1D2細胞は、低用量のVN に対し、LB6クローン19細胞(図示せず)と比べて低い感受性を示したが、それでも1μg/mlにて約4倍の最大刺激でVNに応答した(図1b)。さらに、D1D2-uPARでトランスフェクトした細胞は、走化性アッセイにおいてヒトATFに応答したが、D1HD3およびLB6は応答しなかった(図1c)。従って、VN移動シグナルはuPARへの結合に依存しないという本発明者らの先の報告と一致して(Degryseら、2001a)、これらのデータは、VNによる走化性の刺激がuPARとの相互作用を必要しないことを示す。この所見をさらに確認するために、VN40-459、すなわちuPAR結合SMBドメインを欠くVNの形態を使用してuPARに結合できないようにした(Okumuraら、2002)。VN40-459 は細胞移動および完全長VNを刺激し(図1d)、VNがuPARに結合することによって細胞移動を誘導しないことを確認した。これらの結果は、VNがそれ自身のインテグリン受容体に結合することにより細胞移動を誘導することを示唆する。この結論は、抗αvβ3 抗体がVNの走化性作用を阻害するという本発明者らの先の所見によって強められ(Degryseら、2001a、図3bを参照)。しかし、uPAR 抗体はVN依存性走化性も阻害したことから(Degryseら、2001a)、uPARも直接関与しているに違いない。従って、VNの移動促進作用に
おけるuPARの関与は、インテグリンとの側方相互作用によるものかもしれない(Simon 1996;Wei 1996)。ヒト野生型u-PARおよびD1D2-uPARはVNの作用を増強した一方で、ドメイン2を欠く変異体は、VN誘導型細胞移動を妨害し(図1b)、uPARのドメイン2がインテグリンとの相互作用に直接関与しているかもしれないと仮定した。荷電アミノ酸残基に富み、従って露出(expose)されると思われるドメイン2の領域に本発明者らは注目した。
実施例3-D2A、すなわちヒトuPARのドメイン2の配列由来のペプチドは走化性活性を有する
この最後の仮定を調査するために、ヒトuPARのドメイン2の配列から誘導した合成ペプチドD2A、すなわち130IQEGEEGRPKDDR142の影響をテストした。興味深いことに、ペプチドD2A自体で、10 pMにおいて最大2倍の高さでLB6-D1HD3細胞の移動を刺激することができた(図2a)。重要なことに、このペプチドの添加は、さもなくば非応答性のLB6-D1HD3細胞のVN に対する応答を回復させた(図2a)。
実施例4-ペプチドD2Aは、uPAR依存性ではなくαvβ3依存性シグナリング経路を介して細胞移動を刺激する
よく特徴付けされた細胞系(すなわちラット平滑筋細胞(RSMC))におけるペプチドD2Aの影響もテストした(Degryseら、1999、2001a、b、c)。これらの細胞は、uPARおよびαvβ3を所有し、uPAおよびVNチャレンジの両方に対して応答して移動する(Degryseら、1999;2001a、c)。
図2bは、ペプチドD2Aが、用量依存的にRSMCの移動を刺激したことを示す。最大値は、1 pMで3倍の高さの移動で得られた。しかし、D2AおよびVNの走化性作用は付加的ではなかった。なぜなら、最適な用量のペプチドD2A(1 pM)およびVN(1μg/ml)の組合せでは細胞移動がそれ以上高くならなかったからである(図1d)。同様の結果が、VN40-459およびD2Aの組合せでも得られた(図1d)。対照的に、uPA、またはuPARリンカー領域に由来するペプチドのいずれかの走化性作用(Fazioliら、1997)は、VNに付加的であった(データは示していない)(Degryseら、2001a)。従って、これらのデータは、ペプチドD2AおよびuPAが異なる分子メカニズムを利用することを示唆する。
本発明者らはuPAおよびVNが異なるシグナリング経路を活性化するためRSMC走化性において相乗作用することを既に示している(Degryseら、2001a)。従って、D2A 走化性に関与する経路を薬理学的に調査した。VNおよびD2A走化性作用の両方が、IBMXおよびホルスコリンの組合せで細胞内cAMP濃度を上げることによりブロックされた(図3a)。本発明者らは、この組合せが、pro-uPA誘導型細胞移動に対して阻害効果を持たないことを既に報告している(Degryseら、2001a)。pro-uPA誘導型細胞移動、アクチン細胞骨格再編成、およびRSMC核へのERK転座を完全に阻害したが、VN走化性に対しては影響がなかったMEK阻害剤PD98059によって、VN-およびD2A誘導型細胞移動のいずれもブロックされなかった(図3b)(Degryseら、2001a)。さらに、Jakキナーゼの特異的な阻害剤であるAG-490は、RSMC におけるD2AおよびVN走化性の両方を阻害し、これらのキナーゼが、両方の走化性シグナルを仲介するのに関与することを示した(図3c)。さらに、VN-およびD2A誘導型細胞移動の両方がαvβ3を必要とすると思われる:実際、これらはαvβ3に対するモノクローナル抗体であるLM609により阻害され、D2AおよびVN走化性の両方の調節におけるこの特定のインテグリンの重要性が教示された(図3d)。
化学誘引物質が、アクチン細胞骨格の再編成を、細胞運動と同時に生じることは周知である(Cooper、1991)。本発明者らは既に、RSMCを用いて、細胞移動の誘導および細胞骨格再編成を機能的に関連付けており(Degryseら、1999、2001a, b)、逆に走化性作用の欠如を細胞骨格再編成の不在とも関連付けている(Degryseら、2001c)。従って、化学誘引物質であるD2A は細胞形状およびアクチン細胞骨格編成にも影響するはずである。細胞形態に対するD2AまたはVNの影響を観察するために、アクチン細胞骨格およびStat1分布、血清欠乏RSMCのサブコンフルエント培養物を1 pMペプチドD2Aまたは1μg/ml VNで30分間37℃にて刺激した。細胞を、FITC-ファロイジン、Dapiおよび一次抗Stat1 抗体で三重標識化し、その後TRITC-二次抗体で標識化してアクチン細胞骨格、核およびStat1をそれぞれ可視化した。刺激せずに37℃にて30分間置いた細胞は対照条件を表すものとした。図4は、対照条件下ではほとんどのRSMCが多数の張線維(stress fiber)を現し、および非極性細胞形状を呈することを示す。D2Aでの30分間の刺激の後、形態および細胞骨格編成の完全な変化が生じた。RSMCは、アクチン細胞骨格の空間再配列を反映した伸長した極性形態を有していた。アクチンの半環構造および膜の波打ち現象(ruffling)は、細胞の主要部分において存在した。アクチンフィラメントも核に隣接し、引きずり尾部(dragging trail)で見とめられた。予想通り(Degryseら、2001a)、VNは同様の変化を誘導した。側方細胞質転写因子StatsはJakキナーゼの主要な下流基質であるため、シグナルメッセンジャーおよび転写因子としての役割を有する細胞質タンパク質のStatファミリーの一員であるStat1に対するD2AおよびVNの影響を調査した。Statsタンパク質の細胞内局所化はそれらの活性化状態と関連する。なぜなら、細胞質Statsは不活性で、いったん活性化すると核へ転座するからである(AaronsonおよびHorvath、2002)。刺激しなかった対照RSMCでは、Stat1は主に細胞質であったが、D2A処置は核への転座を誘導した(図4)。VNはこの作用をSt
at1局所化に対して再現した(図4)。
これらの結果は、ペプチドD2Aが、αvβ3依存性経路に類似するがuPA-uPAR-FPRL1依存性シグナリング経路とは異なる細胞内シグナリング経路の活性化を介して細胞移動を刺激することを示す。これらのデータは、D2A がαvβ3とのuPARの相互作用を模倣し、従って、このインテグリン依存性シグナリング経路を活性化することも示唆し、ペプチドD2Aに含まれるエピトープがuPAR-αvβ3相互作用に関与し得るという考えを裏付ける。
実施例5-ペプチドD2AはuPAR-αvβ3複合体を破壊する
uPARおよびαvβ3は、細胞表面上で複合体を形成するため(Myohanenら、1993;Xueら、1997;Czekayら、2003)、これらの複合体に対するペプチドD2Aの影響を、ヨウ化suPARおよび非標識化組換え型αvβ3のuPA依存性同時免疫沈降を伴う無細胞アッセイを用いて調査した。図5aは、uPAの添加により、αvβ3に対する抗体で同時免疫沈降されたsuPAR の量がほぼ10倍に増加したことを示す(レーン1対レーン2)。uPAおよびD2Aの存在下において(レーン3)、同時免疫沈降されたsuPARの量は、uPA単独の場合と比べて約50%減った。D2Aのこれらの作用が、単一のインテグリンに限定されないことを実証するために、同じくuPARと相互作用することが示されているα5β1を用いてこれらの実験を繰り返した(Weiら、2001)。再度、同様の結果が得られ(図5b)、D2AがsuPAR-α5β1同時免疫沈降も妨害できることを示した。これらのデータは、ペプチドD2Aが、uPAR-インテグリン相互作用に関与するuPARのエピトープを含むことを示唆する。
実施例6-ペプチドD2Aの必須走化性残基の同定
D2Aに存在する走化性エピトープを決定するために、同じアミノ酸組成を共有するが、配列が逆であるペプチドD2AおよびD2Bの走化性活性を比較した。両方のペプチドが、RSMCの移動を刺激する点において同等に活性であった(図6a)。この結果は、同様のエピトープがD2AおよびD2Bペプチドの両方に存在したことを示唆した。それぞれの配列の検査から、これら2つのペプチドが共通のGEEG配列を共有することが分かった。GEEG配列の走化性活性は、D2Aの逆配列であるD2Bがそれでも走化性であった理由を説明する。この仮定を立証するために、2つのアラニンを2つのグルタミン酸と置き換えてD2A配列に変化を導入し、GAAG配列を得た。次いで、D2A-Alaと名づけたこの新しいペプチドを、D2AおよびD2Bペプチドの両方と走化性アッセイを用いて比較した。これらの条件下で、ペプチドD2A-Alaは細胞移動を刺激しなかった(図6a)。これらのデータは、D2AおよびD2Bペプチドの両方のGEEG配列がそれらの走化性活性に関与することを示唆する。
実施例7-D2A-AlaはVN誘導型細胞移動を阻害する
D2A-Alaを、VN誘導型移動に対するその影響を調査することによりさらにテストした。驚くべきことに、D2Aとは異なり、ペプチドD2A-Alaが、RSMCに対するVNの走化性作用を完全に無効にしたことを見とめた(図6b)。この結果を、冠動脈由来(CASMC)および大動脈由来(AoSMC)のヒト平滑筋細胞の初代培養を用いて確認した。同じく、D2A-Ala はCASMCおよびAoSMCのVN誘導型移動を完全に阻害し、D2A-Alaもヒト細胞の移動もブロックすることを示した(図6c、d)。従って、D2A-Alaは、VN誘導型細胞移動の阻害剤として作用する。
この新しい阻害剤のIC50を測定するために、1 fMの低い用量から開始して、VN刺激型RSMCに対するD2A-Alaの濃度を高めながらテストを行った。図7aは、ペプチドD2A-AlaがVN誘導型細胞移動を用量依存的に阻害することを示した。D2A-Alaはフェントモル範囲において活性である。影響は、10 fMにおいて既に目に見え、1 pMにおいて、約10-20 fMのIC50で完全な阻害が得られた。
suPAR-αvβ3相互作用に対するin vitroでのD2A-Alaの影響もuPAの存在下でテストした。図5aのレーン4に示すように、D2A-AlaはuPAR-αvβ3同時免疫沈降も妨害し、ペプチドD2A-Alaがインテグリンαvβ3とまだ相互作用できることを示唆した。しかし、D2A-Alaは、運動性細胞特有のアクチン細胞骨格の形態および再編成の変化を促さなかった(図4)。D2A-Alaはまた、Stat1およびその後の核への転座も活性化しなかった(図4;7b)。さらに、D2A-Alaは、Stat1のVN誘導型転座を阻害した(図4;7b)。これらのデータは、D2A-Alaがインテグリンαvβ3 と拮抗的に相互作用し、走化性シグナルの変換を妨害することを示す。厳密な分子メカニズムはまだ知られていないが、将来的な実験の焦点となる。
実施例8-D2A-Alaはインテグリン依存性細胞移動の一般的な阻害剤である
インテグリンαvβ3はVNの走化性作用を仲介するため、またuPAR は幅広い種類のインテグリンと相互作用することが示されているため、D2A-Alaも、FNおよびLN等の他の細胞外マトリックス(ECM)タンパク質により誘導される移動を阻害し得るかもしれないという考えを調査した。実際、FNおよびLNは、インテグリンα5β1を含む異なるインテグリンを介して結合および作用することが知られている。D2A-Alaは、FN-およびLN誘導型移動の両方を阻害し、広い阻害効果を有することを示した(図8)。これらのデータは、D2A-Alaが、異なるインテグリンを介して誘導される移動をブロックできることを示唆する。D2A-Alaは、suPARおよびα5β1のuPA誘導型同時免疫沈降も阻害したが、ただし程度はかなり低い(図5b)。in vitroでの同時免疫沈降アッセイは非常に人工的ではあるが、それでもなお導入される突然変異は、このペプチドのuPAR-インテグリン複合体破壊活性を劇的には防がない。
結論として、これらのデータは、D2A-Alaが、細胞外マトリックス誘導型、インテグリン依存性細胞移動の全般的な阻害剤であり、fM〜pMの範囲の非常に低い濃度にて活性であることを示す。さらに、D2A-Alaは、uPARが様々なインテグリンと形成する少なくともいくらかの複合体を破壊できる。
実施例9-ペプチドD2Aの移動促進作用は、細胞表面上のuPARの存在を必要としない
LB6-D1D2細胞は、特に非常に低い濃度において、完全長uPARを発現するLB6クローン19細胞よりもVNに対する感受性が低い(図1b)。これは、uPAR のドメイン1または3にあり得る他のエピトープが、VNにより誘導される移動シグナルにも関与し得ることを示唆している。これはD1HD3の優性ネガティブ作用と対立しない。従って、本発明者らは、ペプチドD2AおよびD2A-Alaの作用が細胞表面上でuPAR の発現を必要とするか否か疑問に思った。HEK-293-uPARと、それらの親のuPARを発現していない対応物とを(Resnati 2002)、D2AおよびD2A-Alaに対する応答について比較した。直接走化性作用をアッセイした際に、D2AがHEK-293-uPAR細胞に対して強い影響を引き出したが、HEK-293細胞の移動を刺激しなかったことを見とめた(表2)。この結果は、uPAR発現が、D2A走化性作用にとって必須条件であることを示す。予想通り、D2A-Alaは、HEK-293およびHEK-293-uPAR細胞のいずれにおいても移動を誘導しなかった(表2)。VNは、HEK-293細胞においても走化性を誘導し、この作用はHEK-293uPAR細胞において上昇した(表2)。またこの場合、D2Aはどちらの細胞においてもVNへの応答を変えなかった。しかし、D2A-Alaは、uPARを発現しないHEK-293細胞においてさえもVN走化性をブロッキングできた(表2、図6)。従って、D2Aが移動を刺激するためにuPAR発現を必要とするのに対して、阻害剤D2A-AlaはuPARの不在下でもVN走化性を阻害できる。
結論として、これらのデータは、D2Aのアゴニスト作用およびD2A-Alaのアンタゴニスト作用が、2つのわずかに異なるメカニズムを使用することを示す(後者には必要ないが前者のためには細胞表面上にuPARの存在を必要とする)。従って、ペプチドD2A の配列は、「相互作用」および「シグナリング」情報の両方を含み、これらの2つは分離できる。全体的に、ここで報告されるデータは、uPARがインテグリンのシグナリング活性の非常に重要な調節因子であるという概念を強める。
実施例10-D2A-AlaおよびGAAGによる走化性の多面的な阻害:ラット平滑筋細胞およびHT1080ヒト線維肉腫細胞における、EGF-およびUTP依存性走化性に対する影響
図10は、ボイデンチャンバアッセイにおいて、D2A-AlaおよびGAAGが、(前記報告されるように)VN依存性およびuPA依存性走化性だけでなく、EGF-およびUTP依存性走化性も阻害することを示す。この効果は用量に依存する。EGF依存性およびUTP依存性走化性は、互いと異なり、かつuPA(uPAR)およびVN(αvβ3)に利用されるものとは異なる受容体(それぞれEGF受容体およびP2Y2受容体)を介して作用することに留意されたい。これらの2つの阻害剤が走化性の全般的な阻害剤であると結論付けた。
実施例11-D2A-AlaおよびGAAGは、ヒトHT1080線維肉腫細胞のin vitro浸潤性を阻害する
癌細胞の悪性度は、その浸潤および転移する能力に大きく依存するため、D2A-AlaおよびGAAG が癌細胞の浸潤性も阻害するか否かを、マトリゲルアッセイを用いてテストした。図11aに示すように、37℃にてD2AまたはGEEG の存在下で24時間後に観察された浸潤は、陽性対照として用いたウロキナーゼ(uPA)またはビトロネクチン(VN)で誘導されるHT1080の浸潤レベルと同様である。これらの同じ1〜10 pMの最適濃度が、マウスLB6腫瘍細胞および正常ラット平滑筋細胞(RSMC)の最大移動も生じ、様々な細胞型および種にわたる共通メカニズムを示唆することも分かった。
対照的に、D2A-AlaおよびGAAGペプチドは影響がなく、マトリゲルに浸潤した細胞数は対照条件で見とめられた値と同じであった。同様のデータを、7日間の浸潤の後に得た。ペプチドD2AおよびGEEGは、uPA、VNおよびFNと同様に、HT1080細胞のマトリゲル浸潤を刺激する。この影響は用量依存的であり、約1 pMでピークに達する(図11b)。他方で、D2A-alaおよびGAAGは、ほぼ同じ濃度にてVN誘導型およびuPA誘導型浸潤を阻害する(図12aおよびb)。D2A-alaおよびGAAGは、同じ濃度にてFN誘導型浸潤も阻害する(図13)。同様のデータを7日間の(VNでの)浸潤または2日間の(FNでの)浸潤の後に得た。本発明者らは、D2A-AlaおよびGAAGペプチドが、複数のインテグリンに依存する浸潤を阻害すると結論付けた。
しかし、これらはまた、より高い濃度(100 pM)でではあるが、EGF-およびインスリン誘導型浸潤性も阻害する(図14aおよびb)。
このデータは、D2AおよびGAAGが、uPA-、VN-、FN-およびLn依存性走化性の刺激因子であり、異なるインテグリンを介して作用することを裏付ける。
D2A-AlaおよびGAAGは、uPA-、VN-、FN-およびLn誘導型走化性および癌細胞浸潤だけでなく、異なる受容体(例えば、uPAR、インテグリン、EGF-R、IR、PY2P-受容体)を介して誘導される走化性および浸潤も阻害する。
従って、データはD2A-AlaおよびGAAGが、移動および浸潤の一般的な阻害剤であることをさらに裏付ける。
実施例12-ヒト造血幹細胞系KG-I細胞の走化性に対するD2Aファミリーのペプチドの影響
KG-I細胞は、急性骨髄白血病に発達した赤白血病を患っている59歳の白人男性の骨髄に由来するヒト急性骨髄白血病細胞である。この細胞系は、造血幹細胞の特徴を有している。この細胞系はKoefflerおよびGolde(1978;Science 200:1153-1154)により単離されている。細胞を10%FCS含有RPMI培地において懸濁させて培養した。
非接着細胞の走化性アッセイを、フィルタは処理しないこと以外は記載されているように(Degryseら、2001;FEBS lett. 505:249-254)、改変型ボイデンマイクロチャンバを用いて行った。50,000の細胞を一番上のウェルの無血清RPMI培地に添加し、1時間37℃にて移動させた。化学誘引物質としてテストされる分子を無血清RPMI培地に希釈して、ボイデンチャンバの下部ウェルに添加した。実験は三重で行った。結果は、5倍率視野で数えた細胞数の平均±SDである。化学誘引物質の不在下での移動を100%とする。
図15は、D2AペプチドがKG-I細胞の移動を刺激したことを示す。そのより短いバージョンであるGEEGペプチドも走化性であった。重要なことに、同じくGEEGモチーフを含むD2Bペプチド(事実、D2Bは、D2Aと同じアミノ酸組成を有するがただし逆配列である)も、KG-I細胞の移動を促す。対照的に、Scr.D2A(D2Aと同じアミノ酸組成を有するがただしスクランブル配列である)、GEEGエピトープを持たないスクランブルバージョンのペプチドD2Aは走化性でなかった。
D2A-Alaペプチドおよびその短いバージョンであるGAAGペプチド(両方ともGEEGモチーフの代わりにGAAGエピトープを示す)は走化性ではなかった(図1)。しかし、両方のペプチドが、KG-I細胞のビトロネクチン(VN)誘導型走化性を阻害した。
結論として、これらの結果は、他の細胞系で既に得られているデータを裏づけ、造血幹細胞系まで広げる。予想通り、GEEGエピトープを含むペプチド(D2A、D2BおよびGEEG)のみが走化性であった。GAAGモチーフを示すD2A-AlaおよびGAAGペプチドは走化性ではなかった。さらに、D2A-AlaおよびGAAGペプチドは、KG-I細胞のVN誘導型走化性をブロックし、インテグリン仲介型移動の阻害剤として作用した。
本明細書に明記される全ての文献を、参照により本明細書に援用する。本発明の範囲および思想から逸脱することなく、記載した本発明の方法および系に対する様々な改変および変更が当業者には明らかであろう。本発明は特定の好適な実施形態に関連して記載してきたが、請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことが理解されよう。実際、本発明を実施するための記載のモードに対する、分子生物学またはその関連分野の当業者に明らかな様々な改変は、請求の範囲内にあることを意図する。
表1:VN依存性細胞移動に対するu-PARの過剰発現の影響
データは対照±SDの%として表す。VN濃度はLB6、LB6クローン19、LB6-D1HD3およびLB6-D1D2については5μg/ml、ならびにNIH 3T3、NIH 3T3-uPAR、NIH 3T3-D1HD3、HEK-293およびHEK-293-uPAR細胞については1μg/mlであった。
Figure 2008528023
表2:細胞移動に対するペプチドD2AおよびD2A-Alaそれぞれのアゴニストおよびアンタゴニスト効果へのuPAR発現の影響
データは対照±SDの%として表す。
Figure 2008528023
参考文献
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図1のa〜dは、VNの走化性活性がuPAR発現のレベルと関連することを示す一連のグラフである。より詳細には、図1においては以下の通りである。(a)野生型ヒトuPAR、またはドメイン2(LB6-D1HD3)もしくはドメイン3(LB6-D1D2)のいずれかを欠くuPARの変異型形態を発現するようにトランスフェクトされたLB6細胞に結合したVN。125I-VNの結合は、実施例に記載した通りに行った。細胞を、125I-VN(0.5 nM)と氷上で90分間インキュベートし、洗浄および溶解した。非特異的結合を、50 nM VNとの競合により決定し、引いた。結果は、三重で行った4つの実験から得た平均+SDである。(b)異なる形態のuPARを発現する細胞の走化性に対するVNの濃度を上げることによる影響。ドメイン2を欠く組換えu-PARを発現するLB6-D1HD3およびNIH 3T3-D1HD3細胞。LB6-D1D2細胞はドメイン3を欠くu-PAR形態を発現する。データは三重で行った3つの実験を表す。ランダムな細胞移動を100%とした。アスタリスクは統計的有意性(P<0.002)を示す。(c)LB6クローン19細胞と比較したLB6-D1D2およびLB6-D1HD3細胞の移動に対するATFの影響。アスタリスクは統計的有意性(P<0.001)を示す。(d)VN誘導型移動シグナルは、VNとuPARとの結合に依存しなかった。完全長VNおよびSMBドメインを欠くVN40-459 の両方が、RSMCに対して同様の走化性活性を有する。さらに、最適な用量のペプチドD2AおよびVNまたはVN40-459のいずれかの添加により、細胞移動に対して付加的な影響は生じなかった。ペプチドD2A はuPARのドメイン2のヒト配列から誘導される合成ペプチドである。走化性アッセイは実施例に記載するように行った。全ての処置が、対照と比べて移動応答を高める(P<0.0001)。 図2のAおよびBは、ペプチドD2A がVNに対する許容作用、および走化性活性を有することを示すグラフである。より詳細には以下の通りである。(A)において、ペプチドD2A はLB6-D1HD3細胞におけるVN誘導型移動のブロッキングを元に戻す(revert)。VN(1 μg/ml)の存在下または不在下にてペプチドD2Aの用量を増やすことの影響。アスタリスクは、統計的有意性P<0.001を示す。(B)D2A刺激型RSMC走化性の濃度依存性。走化性アッセイを、実施例に記載するように行った。アスタリスクは統計的有意性(P<0.001)を示す。誘引物質の不在下での移動を100%の移動とする。 図3のA〜Dは、RSMC走化性に対するシグナリング阻害剤の影響を示すグラフである。より詳細には、(A)において、RSMC に対するD2AおよびVN走化性作用の両方が、ホルスコリンとIBMXとの組合せの添加により完全に阻害された。ホルスコリンおよびIBMXの混合物を可溶化するのに使用した希釈緩衝液は無影響であった。アスタリスクは統計的有意性(P<0.0001)を示す。(B)MEK(MAPキナーゼキナーゼ)阻害剤であるPD98059は、D2A-およびVN誘導型RSMC移動をブロックしない。(C)Jakキナーゼの特異的な阻害剤であるAG-490は、RSMCのD2A-およびVN依存性走化性の両方をブロックする。アスタリスクは統計的有意性(P<0.0001)を示す。(D)αvβ3(LM 609)に対するモノクローナル抗体はD2A-およびVN誘導型RSMC移動の両方を阻害する。(**)対照との差異が非常に著しい(P<0.0001);(*)有意な差(P<0.05)。100%値は誘引物質の不在下で移動する細胞の数を表す。 図4は、RSMCにおけるアクチン細胞骨格編成(organization)、細胞形態およびStat1の分布に対するD2A、D2A-AlaおよびVNの影響の比較を示す。より詳細には、細胞をD2A、D2A-Ala(1 pM)またはVN(1 μg/ml)のいずれかで30分間、37℃にて処理し、その後固定し、透過化し、FITC-ファロイジン、Dapiおよび一次抗Stat1抗体で三重染色し、その後二次TRITC-抗Igs抗体で染色して、アクチン細胞骨格、核およびStat1をそれぞれ可視化した。30分間37℃にて置いておいた未処置RSMCは対照の役割を果たした。 図5のaおよびbは、ペプチドD2AおよびD2A-AlaがuPAR-αvβ3およびuPAR-α5β1複合体を破壊することを示すグラフである。より詳細には、(a)において、125I可溶性uPARをin vitroにて4時間4℃にて、精製したαvβ3インテグリンと共に、表示の分子の不在下(対照)または存在下でインキュベートした。次いで、複合体を、αvβ3に対するモノクローナル抗体およびタンパク質G-アガロースビーズで免疫沈降させた。免疫沈降させたタンパク質をSDS-PAGEで分画させた。ゲルをオートラジオグラフィーおよび密度測定により分析した。データを、uPA単独の存在下で得られるバンドの密度(つまり、100%とする)に関して標準化し、任意密度単位のパーセントとして示した。レーン1、対照(添加無し);レーン2、+ uPA;レーン3、+ uPAおよびD2A;レーン4、+ uPAおよびD2A-Ala。(b)αvβ1インテグリンを用いた無細胞アッセイ。レーン1、対照(添加無し);レーン2、+uPA;レーン3、+uPAおよびD2A;レーン4、+uPAおよびD2A-Ala。 図6のa〜dは、ペプチドD2A-Alaが走化性活性を持たないが、VN誘導型細胞移動の阻害剤であることを示すグラフである。より詳細には、(a)RSMCの移動に対するペプチドD2A、D2BおよびD2A-Alaの影響の比較。(b、c、d)D2A-AlaはラットSMC(b)、冠動脈由来のヒトSMC(c)、および大動脈由来のSMC (d)のVN誘導型走化性をブロックする。走化性アッセイは、材料および方法の節に記載するように行った。培地単独に向かうSMCの移動を100%の移動とした。アスタリスクは統計的有意性(P<0.0001)を示す。 図7のaおよびbは、ペプチドD2A-Alaが、VN誘導型走化性およびシグナリングの両方の阻害剤であることを示すグラフである。より詳細には、(a)において、D2A-AlaはRSMCのVN誘導型移動を用量依存的に阻害する。走化性アッセイは、実施例に記載するようにVN(1 μg/ml)の不在下(対照)または存在下にて、D2A-Alaの用量を増加せずにまたは増加しながら行った。培地単独(対照)に向かうRSMCの移動を100%の移動とした。アスタリスクは統計的有意性 P<0.001を示す。(b)Stat1の活性化の状態に対するペプチドD2AおよびD2A-Alaの影響。細胞をD2AまたはD2A-Ala(1 pM)のいずれかでVN(1μg/ml)の不在下または存在下で30分間37℃にて処理し、その後固定し、透過化し、FITC-ファロイジン、Dapiおよび一次抗Stat1抗体で三重染色し、その後二次TRITC-抗Igs抗体で染色して、アクチン細胞骨格、核およびStat1をそれぞれ可視化した。30分間37℃にて置いておいた未処置RSMCを対照とした。その後、ランダムな写真を撮り、Stat1について陽性染色された核を数え、パーセントで示した。アスタリスクは統計的有意性(P<0.01)を示す。 図8は、ペプチドD2A-Alaがインテグリン依存性細胞移動をブロックできることを示すグラフである。より詳細には、VN、FNおよびLNにより誘導される、細胞移動に対するD2A-Alaの阻害効果の比較。走化性アッセイは実施例の節に記載するように行った。100%の値は誘引物質の不在下で移動するRSMCの数を表す。アスタリスクは統計的有意性(P<0.0001)を示す。 図9Aは、インテグリン機能に対するuPARの調節的な役割を説明するモデルを模式的に示す図である。より詳細には、図9(A)中、左側、D1HD3-uPARはインテグリンの機能をブロックする優性ネガティブ効果を有し、これはおそらくそのドメイン3に位置する部位を介してαvβ3と相互作用することによる。右側、ペプチドD2A はインテグリンを解除するトリガーであり得る。D2Aはαvβ3との結合によりシグナリングおよび細胞移動を誘導するuPARの配列を含んでおり、従ってD1HD3-uPARにより引き起こされるブロッキングをレスキュー(rescue)できる。 図9のBは、インテグリン機能に対するuPARの調節的な役割を説明するモデルを模式的に示す図である。図9(B)中、左側、uPARのドメイン3に位置する部位(1つまたは複数)のみがαvβ3と相互作用し、インテグリンを負に調節する。この状況において、uPARは、d3と呼ぶ特定のコンホメーションを有する。右側、ペプチドD2A に含まれるuPARの配列はインテグリン機能を正に調節するスイッチである。1.ドメイン3に位置する「係留」部位(1つまたは複数)はインテグリンと相互作用する;2.D2A配列はαvβ3 と結合し、その機能を正に調節し、この場合uPARはd3d2と呼ぶ別のコンホメーションである;3.VNはインテグリンに結合できる。 図10のa〜cは、D2A-AlaおよびGAAGがVN依存性走化性およびuPA依存性走化性だけでなく、EGF-およびUTP依存性走化性も阻害することを示すグラフである。 図11のaおよびbは、uPA、VNおよびD2Aと異なり、D2A-AlaおよびGAAGはHT-1080を刺激しないことを示すグラフである。 図12のaおよびbは、D2A-AlaおよびGAAGがVN-(αvβ3)およびuPA(UPAR)依存性浸潤を阻害することを示すグラフである。 図13は、D2A-AlaおよびGAAGがFN依存性浸潤(α5β1)を阻害することを示すグラフである。 図14のaおよびbは、D2A-AlaおよびGAAG がEGF-(EGF-R)およびインスリン(IR)依存性浸潤を阻害することを示すグラフである。 図15は、D2AおよびGEEGがKG-I細胞の移動を刺激したことを示すグラフである。

Claims (64)

  1. 細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化を阻害し、アミノ酸モチーフGAAGを含む、ポリペプチド。
  2. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がuPA仲介型である、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がインテグリン仲介型である、請求項1に記載のポリペプチド。
  4. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がαvβ3インテグリン仲介型である、請求項3に記載のポリペプチド。
  5. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がα5β1インテグリン仲介型である、請求項3に記載のポリペプチド。
  6. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がα3β1インテグリン仲介型である、請求項3に記載のポリペプチド。
  7. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がビトロネクチン(VN)仲介型である、請求項1に記載のポリペプチド。
  8. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がフィブロネクチン(FN)仲介型である、請求項1に記載のポリペプチド。
  9. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がラミニン(LN)仲介型である、請求項1に記載のポリペプチド。
  10. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がEGF仲介型である、請求項1に記載のポリペプチド。
  11. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がUTP仲介型である、請求項1に記載のポリペプチド。
  12. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がインスリン仲介型である、請求項1に記載のポリペプチド。
  13. アミノ酸モチーフGAAGを含み、ウロキナーゼ受容体(uPAR)から得られる、前記いずれかの項に記載のポリペプチド。
  14. アミノ酸モチーフGAAGを含み、ウロキナーゼ受容体(uPAR)から得られる、ポリペプチド。
  15. アミノ酸モチーフGAAGから構成され、ウロキナーゼ受容体(uPAR)から誘導可能な、前記いずれかの項に記載のポリペプチド。
  16. アミノ酸配列IQEGAAGRPKDDRまたはRDDKPRGAAGEQIを含むかそれから構成される、前記いずれかの項に記載のポリペプチド。
  17. 野生型配列の34および35位にあるアミノ酸残基がグルタミン酸からアラニンに変化したuPARのドメイン2またはその断片を含むかそれから構成される、前記いずれかの項に記載のポリペプチド。
  18. 野生型配列の34および35位にあるアミノ酸残基がグルタミン酸からアラニンに変化したuPARのドメイン2、その逆配列、またはそれらの断片を含むかそれから構成されるポリペプチド。
  19. 改変型である、前記いずれかの項に記載のポリペプチド。
  20. ポリマーへの結合、非コードアミノ酸での天然型アミノ酸の置換、架橋剤を用いた会合、コンホメーション改変、ペプチド模倣体への改変により改変された、請求項19に記載のポリペプチド。
  21. 前記いずれかの項のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  22. 請求項21のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  23. 請求項22の発現ベクターを含む細胞。
  24. 請求項1〜20のいずれか一項のポリペプチド、請求項21のポリヌクレオチド、請求項22の発現ベクター、または請求項23の細胞を、製薬上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤と共に含む、医薬組成物。
  25. 細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化に関連する疾患または症状を治療または制御する方法であって、請求項1〜20のいずれか一項のポリペプチド、請求項21のポリヌクレオチド、請求項22の発現ベクターまたは請求項23の細胞を有効量でそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
  26. 癌を治療または制御する方法であって、請求項1〜20のいずれか一項のポリペプチド、請求項21のポリヌクレオチド、請求項22の発現ベクターまたは請求項23の細胞を有効量でそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
  27. 転移を治療または制御する方法であって、請求項1〜20のいずれか一項のポリペプチド、請求項21のポリヌクレオチド、請求項22の発現ベクターまたは請求項23の細胞を有効量でそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
  28. 癌細胞の浸潤能力を治療または制御する方法であって、請求項1〜20のいずれか一項のポリペプチド、請求項21のポリヌクレオチド、請求項22の発現ベクターまたは請求項23の細胞を有効量でそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
  29. 前記癌が、腺癌、白血病、リンパ腫または骨髄腫である、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 血管新生、組織の線維症、炎症、免疫障害、上皮細胞過形成、感染性疾患またはそれらに関連する疾患を治療または制御する方法であって、請求項1〜20のいずれか一項のポリペプチド、請求項21のポリヌクレオチド、請求項22の発現ベクター、請求項23の細胞または請求項24の医薬組成物を有効量でそれを必要とする患者に投与することを含む、方法。
  31. 細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化を促し、アミノ酸モチーフGEEGを含むポリペプチド。
  32. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がuPA仲介型である、請求項21に記載のポリペプチド。
  33. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がインテグリン仲介型である、請求項31に記載のポリペプチド。
  34. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がαvβ3インテグリン仲介型である、請求項33に記載のポリペプチド。
  35. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がα5β1インテグリン仲介型である、請求項33に記載のポリペプチド。
  36. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がα3β1インテグリン仲介型である、請求項33に記載のポリペプチド。
  37. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がビトロネクチン(VN)仲介型である、請求項31に記載のポリペプチド。
  38. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がフィブロネクチン(FN)仲介型である、請求項31に記載のポリペプチド。
  39. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がラミニン(LN)仲介型である、請求項31に記載のポリペプチド。
  40. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がEGF仲介型である、請求項31に記載のポリペプチド。
  41. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がUTP仲介型である、請求項31に記載のポリペプチド。
  42. 前記細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化がインスリン仲介型である、請求項31に記載のポリペプチド。
  43. 前記アミノ酸モチーフGEEGを含み、ウロキナーゼ受容体(uPAR)から得られる、請求項31〜42のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  44. アミノ酸モチーフGEEGを含み、ウロキナーゼ受容体(uPAR)から得られる、ポリペプチド。
  45. アミノ酸モチーフGEEGから構成され、ウロキナーゼ受容体(uPAR)から誘導可能な、請求項31〜44のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  46. アミノ酸配列IQEGEEGRPKDDRまたはRDDKPRGEEGEQIを含むかそれから構成される、請求項31〜45のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  47. uPARのドメイン2のアミノ酸配列、その逆配列またはそれらの断片を含むかそれから構成されるポリペプチド。
  48. 改変型である、請求項31〜47のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  49. ポリマーへの結合、非コードアミノ酸での天然型アミノ酸の置換、架橋剤を用いた会合、コンホメーション改変、ペプチド模倣体への改変により改変された、請求項48に記載のポリペプチド。
  50. 請求項31〜49のいずれか一項のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  51. 請求項50のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  52. 請求項51の発現ベクターを含む細胞。
  53. 請求項1〜20または31〜49のいずれか一項のポリペプチドに対する抗体。
  54. 請求項31〜49のいずれか一項のポリペプチド、請求項50のポリヌクレオチド、請求項51の発現ベクター、請求項52の細胞、請求項53の抗体、またはuPARから誘導可能でそのドメイン2を欠くポリペプチドを、製薬上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤と共に含む、医薬組成物。
  55. 細胞移動、細胞接着、細胞増殖および/または細胞分化に関連する疾患または症状を治療する方法であって、請求項31〜49のいずれか一項のポリペプチド、請求項50のポリヌクレオチド、請求項51の発現ベクター、請求項52の細胞、または請求項54の医薬組成物を有効量でそれを必要とする患者に投与することを含む、上記方法。
  56. 幹細胞動員の低下に関連する疾患または症状を治療または予防する方法であって、請求項31〜49のいずれか一項のポリペプチド、請求項50のポリヌクレオチド、請求項51の発現ベクター、請求項52の細胞、または請求項54の医薬組成物を有効量で、それを必要とする患者に投与することを含む、上記方法。
  57. 幹細胞移植におけるアジュバントとしての、請求項31〜49のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項50のポリヌクレオチド、請求項51の発現ベクター、請求項52の細胞、または請求項54の医薬組成物の使用。
  58. 請求項31〜49のいずれか一項のポリペプチド、請求項50のポリヌクレオチド、請求項51の発現ベクター、請求項52の細胞、または請求項54の医薬組成物を細胞集団に適用することを含む、幹細胞を刺激する方法。
  59. 前記細胞がKG-I細胞等の造血幹細胞である、請求項58に記載の方法。
  60. 不十分な血管新生に関連する疾患を治療する方法であって、請求項31〜49のいずれか一項のポリペプチド、請求項50のポリヌクレオチド、請求項51の発現ベクター、請求項52の細胞、または請求項54の医薬組成物を有効量で、それを必要とする患者に投与することを含む、上記方法。
  61. 冠動脈疾患、発作および創傷治癒を治療または制御する方法であって、請求項31〜49のいずれか一項のポリペプチド、請求項50のポリヌクレオチド、請求項51の発現ベクター、請求項52の細胞、または請求項54の医薬組成物を有効量で、それを必要とする患者に投与することを含む、上記方法。
  62. uPAR、αvβ3、α5β1、α3β1等のインテグリン、またはVN、FN、LN、EGF-R、P2Y2、インスリン-R活性のモジュレーターである因子を同定する方法であって:該因子の存在下および不在下にて、uPAR、αvβ3、α5β1、α3β1等のインテグリン、またはVN、FN、LN、EGF-R、P2Y2、インスリン-R活性をそれぞれ測定すること;観察される活性を比較すること;および該因子の存在下および不在下にてuPAR、αvβ3、α5β1またはα3β1等のインテグリン、VN、FN、LN、EGF-R、P2Y2、インスリン-R活性(必要に応じて)において観察される差異に基づき該因子をモジュレーターとして同定することを含み;請求項1〜20または31〜49のいずれか一項のポリペプチドの使用を伴う、上記方法。
  63. 前記因子を調製することをさらに含む、請求項62に記載の方法。
  64. 請求項62の方法により同定可能であるか、または請求項63の方法により調製される、因子。
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