JP2008526229A - 幹細胞の維持のためのRNAi剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞の増殖および分化を誘導するように幹細胞中の遺伝子標的に対するRNAi剤を送達するのに好適な組成物および方法を提供する。

Description

配列特異的な様式で遺伝子発現を阻害するための二本鎖RNAの使用は、創薬業に革命をもたらしてきた。哺乳動物においては、RNA干渉、すなわちRNAiは、低分子干渉RNA(RNAi剤)と呼ばれる15〜49ヌクレオチド長の二本鎖RNA分子により媒介される。RNAi剤は、細胞外で化学的もしくは酵素的に合成することができ、その後細胞に送達することができるし(例えば、Fireら、Nature, 391:806-11 (1998); Tuschlら、Genes and Dev., 13:3191-97 (1999);およびElbashirら、Nature, 411:494-498 (2001)を参照)、あるいは細胞中で好適なベクターによりin vivoで発現させることができる(例えば、米国特許第6,573,099号を参照)。
ヒトにおける使用のための有効な治療剤としての未修飾RNAi剤のin vivoでの送達は、多くの技術的ハードルに直面している。第一に、細胞内および血清中のヌクレアーゼのために、in vivoで注入されたRNAの半減期は、たったの約70秒である(例えば、Kurreck, Eur. J. Bioch. 270:1628-44 (2003)を参照)。化学的修飾の使用により、注入されたRNAの安定性を増加させるための努力が為されてきた。しかしながら、化学的変更が細胞傷害作用の増加を誘導するいくつかの例が存在する。1つの特定の例においては、細胞は、全ての第2リン酸基がホスホロチオエートにより置換されたRNAi二本鎖の投与剤に対して不耐性であった(Harborthら、Antisense Nucleic Acid Drug Rev. 13(2): 83-105 (2003))。依然として継続中の努力が、組織特異的送達を提供するように非修飾もしくは修飾RNAi剤を送達し、ならびに治療的応答を引き出すのに十分であるが毒性ではない量で該RNAi剤を送達するための方法を発見することに向けられている。
RNAi送達のために探索される他の選択肢としては、標的細胞に感染するか、またはさもなければそれをトランスフェクトし、in situでRNAi分子を送達および発現することができるウイルスに基づくベクター系およびウイルスに基づかないベクター系の使用が挙げられる。低分子RNAは、ウイルスまたは非ウイルスベクター骨格から、短いヘアピンRNA(shRNA)前駆体として転写されることが多い。一度転写されたら、shRNAはDicer酵素により好適な活性RNAi剤へとプロセッシングされる。ウイルスに基づく送達手法は、ウイルスの標的化特性を利用して組織特異性をもたらすことを試みるものであり、一度好適に標的化されれば、内因性細胞機構に依存して治療上有効量を達成するのに十分なレベルのRNAi剤を生成する。
RNAi治療剤の1つの有用な用途は、造血幹細胞の維持および増殖にある。哺乳動物の血液細胞は、並外れて多様な活性を提供する。血液細胞は、リンパ球、骨髄細胞および赤血球などのいくつかの系列に分けられる。B細胞およびT細胞を含む、リンパ球系列は、抗体の産生、細胞性免疫系の調節、血液中の外来物質の検出、宿主にとって外来性の細胞の検出などを提供する。単球、顆粒球、巨核球ならびに他の細胞を含む骨髄細胞系列は、血流中の異物の存在をモニターし、新生物細胞に対する防御を提供し、血流中の外来物質を捕捉除去し、血小板を産生したりなどする。赤血球系列は、酸素運搬体として働く赤血球細胞を提供する。
血液細胞の性質、形態、特性および機能の多様性にも拘らず、自己複製することができ、かつ増殖因子への曝露によって特定の系列に専念するようになる単一の前駆造血幹細胞が存在すると現在考えられている。造血幹細胞(HSC)集団は、骨髄中の白血球の総数のうち少ない割合を構成するに過ぎない。
幹細胞の分化および/または特定の系列への幹細胞の専念を妨げ、さらに幹細胞増殖を制御することに強い興味がもたれている。より多い量の幹細胞を利用できることは、骨髄移植、ならびに骨髄の移植に関連する他の器官の移植において非常に有用であろう。幹細胞は、遺伝子治療の重要な標的であり、そこで挿入された遺伝子は、幹細胞が移植された個体の健康を向上させる。さらに、幹細胞を単離できることは、リンパ腫および白血病、ならびに他の新生物病態、例えば乳癌の治療において役立ち得る。
臨床研究者および基礎研究者は同じ根本的な問題、すなわち、ヒトHSCを増殖させ、その数を増大させる能力の限界を共有している。臨床医師は、幹細胞移植物中の細胞数が多いほど、より少数の細胞よりも患者が生存する可能性が高まることを繰り返し見ている。胎盤および臍帯血移植から入手可能な細胞の数が限られていることは、現在のところ、臍帯血バンクが小児科患者にとっては有用であるが、成人患者にとっては有用ではないことを意味する。in vivoまたはin vitroにおけるヒトHSCの数を増大させることができれば、HSC移植の現在および将来の医学的使用全体に対する非常に大きな後押しとなることは明らかであろう。
かくして、治療および研究のために増大させた数の幹細胞を提供するために、幹細胞増殖を促進し、アポトーシスおよび分化を阻害する、安定した有効なRNAi方法を開発することが当業界において必要である。本発明は、当業界におけるこの必要性を満たすものである。
発明の概要
本発明は、安定で有効なsiRNAおよびddRNAi試薬ならびに幹細胞の分化および増殖と直接的または間接的に関連する1以上の転写活性を有する遺伝子領域の発現のレベルを変更することにより、幹細胞の分化および増殖を制御するためのそれらの使用方法を提供する。
本発明は、それと共に使用するための遺伝子薬剤を一緒に用いて、幹細胞の分化および増殖を制御するための方法、ならびに該遺伝子薬剤を含む遺伝的に改変された細胞を提供する。本発明は、研究目的のための幹細胞のin vitroにおける増殖を可能にするであろう。本発明の別の態様は、特定の進路の前駆細胞に分化するように、幹細胞をex vivoで刺激することを可能にする。本発明は、幹細胞の分化および増殖に直接的もしくは間接的に関連する1以上の転写活性を有する遺伝子領域を下方調節するか、または沈黙させるRNAiを介する遺伝子サイレンシングを促進する遺伝子薬剤の使用に部分的に基礎を置いている。そのような転写活性を有する領域はまた、本明細書においては「幹細胞に関連する遺伝子標的」または「SCAT」とも呼ぶ。1以上のSCATのsiRNAおよびddRNAi媒介サイレンシングは、被験体または細胞培養物における幹細胞の増殖の制御をもたらす。
従って、本発明の一態様は、被験体もしくは細胞培養物において細胞増殖を促進し、分化を阻害する方法であって、SCATまたはその誘導体、オルソログもしくはホモログを含むヌクレオチド配列の少なくとも一部と少なくとも70%同一であるヌクレオチド配列を含むRNA分子をコードし、かつ該被験体におけるSCATの発現を遅延、抑制、もしくはさもなければ減少させる少なくとも1個のddRNAi発現カセットを含む遺伝子構築物を、該被験体もしくは細胞培養物に投与することを含む前記方法を意図する。本発明の一態様においては、処理すべき幹細胞は、骨髄移植物、アフェレーシス法、臍帯血、または当業者には公知の任意の他の起源から獲得した造血幹細胞などの当業界で公知の幹細胞系から構成されていてもよい。
別の態様においては、本発明は、幹細胞の分化および増殖に直接的もしくは間接的に関連する1以上の転写活性を有する遺伝子領域の発現を遅延、抑制、またはさもなければ減少させるddRNAi剤を発現するddRNAi発現カセットを含む遺伝的に改変された細胞を提供する。好ましくは、この細胞は哺乳動物細胞であり、さらにより好ましくは、この細胞は霊長類またはげっ歯類の細胞であり、最も好ましくは、この細胞はヒトまたはマウスの細胞である。さらに、さらなる別の態様においては、本発明は、本発明の遺伝的に1以上の改変がなされた細胞を含む多細胞構造を提供する。多細胞構造としては、特に、組織、器官または生物全体が挙げられる。
本発明のさらに別の態様は、被験体または細胞培養物において細胞増殖を促進し、分化を阻害する方法であって、SCATまたはその誘導体、オルソログもしくはホモログを含むヌクレオチド配列の少なくとも一部と少なくとも70%同一であるヌクレオチド配列を含むRNA分子をコードし、かつ該被験体におけるSCATの発現を遅延、抑制か、もしくはさもなければ減少させるsiRNAを、該被験体または細胞培養物に投与することを含む前記方法を意図する。
本発明の他の課題および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図面の簡単な説明
本発明の上記の特徴、利点および課題を達成し、詳細に理解することができるように、上記に簡単にまとめられた本発明のより具体的な説明を、添付の図面中に例示された実施形態を参照することにより行うことができる。しかしながら、添付の図面は本発明の特定の実施形態のみを例示するものであり、従って、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではなく、本発明について、他の等しく有効な実施形態を許容し得ることに留意すべきである(図面の簡単な説明については別節を参照)。
発明の詳細な説明
本発明の組成物および方法を説明する前に、本発明が、記載された特定の方法、生成物、装置および因子に限定されず、同様に、そのような方法、装置および製剤は、勿論、変化してもよいことが理解されるべきである。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろうことも理解されるべきである。
本明細書で用いられる単数形の「a」、「an」および「the」は、本文が明確に指示しない限り、複数の言及対象を含む。かくして、例えば、「a factor(因子)」に対する言及は、1つの因子、または複数の因子の混合物を指し、「the method of production(製造方法)」は、当業者には公知の等価な工程および方法などに対する言及を含む。
特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載の全ての刊行物は、限定されることなく、該刊行物に記載され、記載の本発明と関連して用いることができる装置、製剤および方法を記載および開示する目的のために、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
以下の説明においては、多くの特定の詳細が、本発明のより完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明を、これらの特定の詳細の1つ以上を用いることなく実施することができることは当業者には明らかであろう。他の例においては、よく知られた特徴および当業者にはよく知られた手順は、本発明を分かりにくくするのを避けるために記載されていない。
本発明は、幹細胞の増殖を促進し、および/または細胞分化を阻害するための革新的で強固な遺伝学的組成物および方法に向けられている。この組成物および方法は、標的遺伝子または遺伝子ファミリーの安定的で永続的かつ調節可能な阻害を提供する。
一般的には、当業界の技術の範囲内にある分子生物学、微生物学、組換えDNA技術、細胞生物学、およびウイルス学の従来の方法を、本発明において用いる。そのような技術は文献で十分に説明されており、例えば、Maniatis, Fritsch & Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (1982); DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes IおよびII (D. N. Glover(編)、1985); Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait(編)、1984); Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins(編)、1984); Animal Cell Culture (R. I. Freshney(編)、1986);ならびにRNA Viruses: A practical Approach (Alan, J. Cann, Ed., Oxford University Press, 2000)を参照されたい。
「ベクター」は、別のDNA断片をそれに結合させることができるプラスミド、ファージ、ウイルス構築物またはコスミドなどのレプリコンである。ベクターを用いて、細胞中に該DNA断片を形質導入し、発現させる。本明細書で用いられる用語「ベクター」、「構築物」、「ddRNAi発現ベクター」または「ddRNAi発現構築物」は、1個以上のddRNAi発現カセットをそれに連結することができるか、または連結しているプラスミド、ファージ、ウイルス構築物、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、ヒト人工染色体(HAC)などのレプリコンを含んでもよい。
「プロモーター」または「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼに結合して、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、核内低分子の核RNAまたは任意のクラスの任意のRNAポリメラーゼにより転写される任意の種類のRNAなどのポリヌクレオチドもしくはポリペプチドをコードする配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。
細胞は、外因性もしくは異種性核酸が、細胞の内側に、例えば、トランスフェクション試薬との複合体として、またはウイルス粒子中にパッケージングされて、導入されている場合、そのような核酸またはベクターにより「形質転換」、「形質導入」または「トランスフェクト」されている。形質転換DNAは、細胞のゲノム中に組込まれて(共有結合して)いてもしていなくてもよい。真核細胞に関しては、安定に形質転換された細胞は、形質転換DNAが宿主細胞の染色体中に組込まれるようになるか、または形質転換DNAが細胞複製中に娘細胞により受け継がれるように染色体外で維持されるか、または持続性のエピソームがその中に存在する、非複製性の分化した細胞であるものである。
用語「RNA干渉」または「RNAi」とは、一般的には、二本鎖RNA分子が、該二本鎖RNA分子が実質的または全体的な相同性を有するその核酸配列の発現を変化させるプロセスを指す。用語「RNAi剤」とは、RNAiを生成させる、修飾されたかまたは修飾されていない合成オリゴリボヌクレオチド(「siRNA」)もしくはDNAに由来するRNAi(すなわち、ベクターから転写されるRNAi剤、「ddRNAi」とも呼ばれる)であるRNA配列を指す。用語「短いヘアピンRNA」または「shRNA」とは、二本鎖領域とループ領域とを有するRNA構造を指す。本発明のいくつかの実施形態においては、ddRNAi剤をshRNAとして最初に発現させる。用語「RNAi発現カセット」とは、少なくとも1個の[プロモーター-RNAi剤-ターミネーター]ユニットを有する本発明の実施形態に従うカセットを指す。用語「多重プロモーターRNAi発現カセット」とは、2個以上の[プロモーター-RNAi剤-ターミネーター]ユニットを含む、RNAi発現カセットを指す。用語「RNAi発現構築物」または「RNAi発現ベクター」とは、RNAi発現カセットを含むベクターを指す。
遺伝子もしくはヌクレオチド配列の「誘導体」とは、該遺伝子もしくはヌクレオチド配列またはその一部に対してかなりの配列類似性を含む任意の単離された核酸分子を指す。さらに、「誘導体」は、修飾されたヌクレオチドを含むそのような単離された核酸または天然のヌクレオチドの模倣物質(mimetic)を含む。
図1A、1Bおよび1Cは、本発明によるRNAi剤を用いることができる本発明の3つの実施形態に従う方法の工程を示す簡略なフローチャートである。図1Aの方法100は、ddRNAi発現カセットを構築する工程200を含む。そのようなddRNAi発現カセットは、最も頻繁には、少なくとも1個のプロモーター、発現させようとするddRNAi配列、および少なくとも1個のターミネーターを含むであろう。そのようなddRNAi発現カセットの種々の配置を以下で詳細に説明する。工程300においては、ddRNAi発現カセットをウイルス送達ベクターに連結し、工程400では、ddRNAiウイルス送達ベクターをウイルス粒子中にパッケージングする。最後に、工程500で、ウイルス粒子を標的細胞、組織または器官に送達する。図1Bは、同様に工程200でddRNAi発現カセットを構築する方法101を示す。しかしながら、図1Bにおいては、工程600で、ddRNAi発現カセットを非ウイルス送達ベクターに連結する。次いで、工程700で、非ウイルスddRNAi送達ベクターを標的細胞、組織または器官に送達する。図1Cは、工程800で、siRNA剤を送達のために構築する方法102を示す。工程900で、siRNAを、送達のための好適な担体と共に製剤化する。最後に、工程1000で、siRNA剤/担体を標的細胞、組織、または器官に送達する。
本発明によるRNAi剤を、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)に記載されるようにして、当業者には公知のいくつかの異なるプロトコルにより合成的または酵素的に作製し、さらに、標準的な組換えDNA技術を用いて、例えば、組換えDNA研究に関する米国保険社会福祉省の国立衛生研究所(NIH)のガイドラインに記載された規則の下で精製することができる。
RNAi剤は、siRNA(合成RNA)またはDNA指向性RNA(ddRNA)を含んでもよい。siRNAは、通常のオリゴヌクレオチド合成などの当業界で公知の方法により製造することができ、またそれはしばしば、siRNA剤の半減期および/もしくは効力を増加させ、ならびに/またはより強固な送達製剤を可能にするための化学的修飾を含むであろう。オリゴヌクレオチドの多くの修飾が当業界で公知である。例えば、米国特許第6,620,805号は、ポルフィリンなどの正味の正電荷を有する大員環と組み合わされたオリゴヌクレオチドを開示しており;米国特許第6,673,611号は様々な式を開示しており;米国特許公開第2004/0171570号、2004/0171032号、および2004/0171031号は、シクロブチルヌクレオシド、シクロペンチルヌクレオシド、プロリンヌクレオシド、シクロヘキセンヌクレオシド、ヘキソースヌクレオシドまたはシクロヘキサンヌクレオシドなどの多環式糖代用物を含む修飾を含むオリゴマー、および非リン含有ヌクレオシド間結合を含むオリゴマーを開示しており;米国特許公開第2004/0171579号は、その修飾が、HでもOHでもない糖部分上の2'置換基である修飾オリゴヌクレオチドを開示しており;米国特許公開第2004/0171030号は、-BH2CN、-BH3、および-BH2COOR(式中、RはC1〜C18アルキルである)からなる群より選択されるホウ素含有置換基を有するホウ素化されたCおよびUまたはT修飾結合塩基を含む反対の鎖におけるシトシン、ウラシル、またはチミン塩基への結合のための修飾塩基を開示しており;米国特許公開第2004/0161844号は、3'アミノホスホルアミダート、アミノアルキルホスホルアミダート、またはアミノアルキルホスホルチオアミダートヌクレオシド間結合などのホスホルアミダートヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドを開示しており;米国特許公開第2004/0161844号は、いくつかの実施形態においては、修飾がペプチド核酸、ペプチド核酸模倣物質、モルホリノ核酸、アミド結合を有するヘキソース糖、シクロヘキセニル核酸(CeNA)、もしくは非環式骨格部分である、さらに他の修飾された糖および/または骨格修飾を開示しており;米国特許公開第2004/0161777号は、
3'末端キャップ基を有するオリゴヌクレオチドを開示しており;米国特許第2004/0147470号は、ヌクレアーゼ耐性を改善するか、またはオリゴマー化合物の薬物動態学的特性および薬力学的特性を改変もしくは増強する1以上の架橋を含み、そのような架橋はジスルフィド、アミド、アミン、オキシム、オキシアミン、オキシイミン、モルホリノ、チオエーテル、尿素、チオウレア、もしくはスルホンアミド部分を含むオリゴマー化合物を開示しており;米国特許第2004/147023号は、第1の種類のヌクレオチドを有する2個の末端RNA断片と第2の種類のヌクレオチドを有する内部RNA断片とを含むギャップマーであって、ただし該第1の種類のヌクレオチドは独立に少なくとも1個の糖置換基を含み、該糖置換基はハロゲン、アミノ、トリフルオロアルキル、トリフルオロアルコキシ、アジド、アミノオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、O-、S-、もしくはN(R*)-アルキル;O-、S-、もしくはN(R*)-アルケニル;O-、S-、もしくはN(R*)-アルキニル;O-、S-もしくはN-アリール、O-、S-、もしくはN(R*)-アラルキル基を含み、該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールもしくはアラルキルは置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキルであってよく;ならびに置換されている場合、該置換はアルコキシ、チオアルコキシ、フタルイミド、ハロゲン、アミノ、ケト、カルボキシル、ニトロ、ニトロソ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、イミダゾール、アジド、ヒドラジノ、アミノオキシ、イソシアナート、スルホキシド、スルホン、ジスルフィド、シリル、ヘテロ環、もしくは炭素環基、または挿入剤、リポーター基、コンジュゲート、ポリアミン、ポリアミド、ポリアルキレングリコール、もしくは式(--O-アルキル)m(式中、mは1〜約10である)のポリエーテルであり;およびR*は水素、もしくは保護基である、前記ギャップマーを開示しており;または米国特許公開第2004/0147022号は、糖部分上の2'-OCH3置換基などの修飾された糖および/または骨格修飾を有するオリゴヌクレオチドを開示している。
あるいは、DNA指向性RNAi(ddRNAi)剤を用いることができる。ddRNAi剤は発現カセットを含み、最も頻繁には、ウイルスまたは非ウイルスベクター骨格中に少なくとも1個のプロモーター、少なくとも1個のddRNAi配列および少なくとも1個のターミネーターを含む。例えば、1つの好ましい実施形態においては、ddRNAi発現カセットは、一般構造(I):
Figure 2008526229
(ここで、
Figure 2008526229
は、プロモーター配列を表し、
Figure 2008526229
は、SCAT配列またはその一部と少なくとも70%同一である、少なくとも10個のヌクレオチドを含むddRNAi標的化配列を表し、
Figure 2008526229
は、A'の少なくとも10個連続したヌクレオチドがAにより表されるヌクレオチド配列の逆方向相補体を含む、10〜30個のヌクレオチドの配列を表し、
Figure 2008526229
は、AとA'を分離する役割をする5〜20個の非自己相補性ヌクレオチドの配列を含む構造をコードする「ループ」を表し、そして
Figure 2008526229
は、ターミネーター配列を表す)
を含む核酸分子を含む。 一般構造(I)により表されるddRNAi発現カセットの発現により生成されたddRNAi剤は、二本鎖RNAの末端が一本鎖のリンカーRNAにより接続されたステムループ構造を有する前駆体(shRNA)を含む。shRNAの一本鎖ループ部分の長さは、5〜20 bpの長さであり、好ましくは5〜9 bpの長さである。従って、好ましい実施形態においては、一般構造(I)中のLは、5、6、7、8または9個の非自己相補性ヌクレオチドを含む。
別の実施形態においては、ddRNAi発現カセットは、一般構造(II):
Figure 2008526229
(ここで、
Figure 2008526229
は、プロモーター配列を表し、
Figure 2008526229
は、SCAT配列またはその一部と少なくとも70%同一である、少なくとも10個のヌクレオチドを含むddRNAi標的化配列を表し、
Figure 2008526229
は、A'の少なくとも10個連続したヌクレオチドがAにより表されるヌクレオチド配列の逆方向相補体を含む10〜30個のヌクレオチドの配列を表し、そして
Figure 2008526229
は、ターミネーター配列を表す)
の核酸分子を含む。
さらに別の実施形態においては、ddRNAi発現カセットは、一般構造(III):
Figure 2008526229
(ここで、
Figure 2008526229
は、プロモーター配列を表し、
Figure 2008526229
は、SCAT配列またはその一部と少なくとも70%同一である、少なくとも10個のヌクレオチドを含むddRNAi標的化配列を表し、
Figure 2008526229
は、Aと相補的な核酸配列を表し、そして
Figure 2008526229
は、ターミネーター配列を表す)
の核酸分子を含む。
さらに別の好ましい実施形態においては、ddRNAi発現カセットは、一般構造(IV):
Figure 2008526229
(ここで、
Figure 2008526229
は、プロモーター配列を表し、
Figure 2008526229
は、SCAT配列またはその一部と少なくとも70%同一である、少なくとも10個のヌクレオチドを含むddRNAi標的化配列を表し、
Figure 2008526229
は、Aと相補的な核酸配列を表し、そして
Figure 2008526229
は、ターミネーター配列を表す)
の核酸分子を含む。
一般構造(I)、(II)、(III)および(IV)により表されるddRNAi発現カセットは本発明の好ましい実施形態を表すが、本発明は、これらの特定の一般構造に決して限定されるものではない。当業者には明らかであろうが、上記構造を、機能を保持しながら改変することができる。例えば、前記カセットのエレメントを、1以上のヌクレオチド残基により分離することができる。さらに、構造(III)および(IV)中に示されるターミネーターエレメントとプロモーターエレメントのように、相補鎖上に存在するエレメントが、重複していてもよく、または離れていてもよい。例えば、構造(III)中に示されるターミネーターエレメントは、プロモーターエレメントの相補鎖内に生じてもよく、またはこの領域の上流もしくは下流にあってもよい。当業者には明らかであり、かつdsRNA構造をコードする上で該カセットの機能に実質的に影響しない他の修飾を施すこともでき、そのような修飾されたカセットは本発明の範囲内にある。
図2A〜2Dは、ddRNAi発現カセットのさらなる例を示す。図2Aおよび2Bは、本発明の実施形態に従う単一プロモーターRNAi発現カセットの簡略図である。図2Aは、ddRNAi剤が短いヘアピン(shRNA)として最初に発現される、プロモーター/RNAi/ターミネーター成分(20で示される) 1個を含む単一のRNAi発現カセット(10)の実施形態を示す。図2Bは、ddRNAi剤のセンスおよびアンチセンス成分が別個のプロモーターから別々に発現される、プロモーター/RNAi/ターミネーター成分(20で示される) 1個を有する単一のRNAi発現カセット(10)の実施形態を示す。
図2Cおよび2Dは、本発明の実施形態に従う多重プロモーターRNAi発現カセットの簡略図である。図2Cは、プロモーター/RNAi/ターミネーター成分(20で示される) 3個を含む多重プロモーターRNAi発現カセット(10)の実施形態を示し、図2Dは、プロモーター/RNAi/ターミネーター成分(20で示される) 5個を有する多重プロモーター発現カセット(10)の実施形態を示す。P1、P2、P3、P4およびP5はプロモーターエレメントを示す。RNAi1、RNAi2、RNAi3、RNAi4およびRNAi5は、5個の異なるddRNAi剤の配列を表す。T1、T2、T3、T4およびT5はターミネーターエレメントを表す。本発明の多重プロモーターRNAi発現カセットは、任意の多重プロモーターRNAi発現カセットに含まれるプロモーター/RNAi/ターミネーター成分の数が、例えば、選択された送達系のパッケージングサイズ(例えば、AAVなどのいくつかのウイルスは比較的厳しいサイズ制限を有する);細胞傷害性、および最大有効性(すなわち、例えば、4個のddRNAi剤の発現は、10個のddRNAi剤の発現と同程度に治療上有効である)により制限されるように、プロモーター/RNAi/ターミネーター成分を2個以上含んでもよい。
多重プロモーターRNAi発現カセットを用いる場合、カセットを含むプロモーター/RNAi/ターミネーター成分中の2個以上のddRNAi剤は全て異なる配列を有する;すなわち、RNAi1、RNAi2、RNAi3、RNAi4およびRNAi5は全て、互いに異なる。しかしながら、任意のカセット中のプロモーターエレメントは同じであってよい(すなわち、例えば、P1、P2、P3、P4およびP5のうちの2個以上の配列は同じであってよい);任意のカセット内の全てのプロモーターは、互いに異なっていてもよい;または一度のみ現れるプロモーターエレメントと、任意のカセット内で2回以上現れるプロモーターエレメントとの組合せが存在してもよい。同様に、任意のカセット中のターミネーターエレメントは、同じであってもよい(すなわち、4個以上のT残基の連続的なストレッチなどの、例えば、T1、T2、T3、T4およびT5のうちの2個以上の配列は同じであってよい);任意のカセット内の全てのターミネーターエレメントは、互いに異なっていてもよい;または一度のみ現れるターミネーターエレメントと、任意のカセット内で2回以上現れるターミネーターエレメントとの組合せが存在してもよい。好ましくは、任意のカセットを含むそれぞれのプロモーター/RNAi/ターミネーター成分中のプロモーターエレメントおよびターミネーターエレメントは、成分および/またはカセットの間のDNA組換え事象の可能性を減少させるように全て異なっていてもよい。さらに、好ましい実施形態においては、それぞれのプロモーター/RNAi/ターミネーター成分中で用いられるプロモーターエレメントおよびターミネーターエレメントは互いに適合している;すなわち、プロモーターおよびターミネーターエレメントを、それらが天然に生じる同じ遺伝子から取得する。
図3Aおよび3Bは、短いshRNAを発現する多重プロモーターRNAi発現カセットの代替的な実施形態を含む多重プロモーターRNAi発現構築物を示す。shRNAは、センスおよびアンチセンス鎖がヘアピンループにより連結された短い二本鎖である。一度発現されると、shRNAはRNAi剤へとプロセシングされる。A、BおよびCは、3つの異なるプロモーターエレメントを表し、矢印は転写の方向を示す。Term1、Term2およびTerm3は、3つの異なるターミネーター配列を表し、shRNA-1、shRNA-2およびshRNA-3は3つの異なるshRNA配列を表す。両実施形態において多重プロモーターRNAi発現カセットは、四角AからTerm3まで伸びている。図3Aは、カセット内で同じ配向性を示す3個のプロモーター/RNAi/ターミネーター成分(20)のそれぞれを示すが、図3Bは、ある配向性のshRNA-1およびshRNA-3のプロモーター/RNAi/ターミネーター成分および反対の配向性のshRNA-2のプロモーター/RNAi/ターミネーター成分を示す(すなわち、転写は該カセットの両方の鎖の上で起こる)。他のバリエーションも同様に用いることができる。
図3Cおよび3Dは、ヘアピンループを含まないRNAi剤を発現する多重プロモーターRNAi発現カセットの代替的な実施形態を含む多重プロモーターRNAi発現構築物を示す。両方の図において、P1、P2、P3、P4、P5およびP6はプロモーターエレメントを表し(矢印は転写の方向を示す);ならびにT1、T2、T3、T4、T5およびT6はターミネーターエレメントを表す。また、両方の図において、RNAi1センスとRNAi1アンチセンス(a/s)は相補体であり、RNAi2センスとRNAi2 a/sは相補体であり、RNAi3センスとRNAi3 a/sは相補体である。
図3Cに示される実施形態において、3個全てのRNAiセンス配列は1つの鎖から転写されるが(P1、P2およびP3により)、3個のRNAi a/s配列は相補鎖から転写される(P4、P5、P6により)。この特定の実施形態においては、RNAi1 a/s (T4)のターミネーターエレメントは、プロモーターP1とRNAi1センス配列の間にあるが、RNAi1センス(T1)のターミネーターエレメントはRNAi1 a/s配列とそのプロモーターP4の間にある。このモチーフは、図3C中に示される上の鎖を(+)鎖と命名し、下の鎖を(-)鎖と命名する場合、左から右に移動しながら遭遇するエレメントがP1(+)、T4(-)、RNAi1(センスおよびa/s)、T1(+)、P4(-)、P2(+)、T5(-)、RNAi2(センスおよびa/s)、T2(+)、P5(-)、P3(+)、T6(-)、RNAi3(センスおよびa/s)、T3(+)、およびP6(-)であるように、反復する。アンチセンス配列を「上」の鎖に配置することができるこの一般化された構築物については、種々の代替物が可能であり、そのような実施形態は全て、本発明により想定される。
図3Dに示される代替的な実施形態においては、全てのRNAiセンスおよびアンチセンス配列は同じ鎖から転写される。当業者であれば、図3A〜3Dに示される多重プロモーターRNAi発現カセットの実施形態のいずれか、ならびにその組合せまたは変形を、特定の用途に用いることができることを理解できる。
いくつかの実施形態においては、様々な強度のプロモーターを用いることができる。例えば、2個以上の強力なプロモーター(Pol III型プロモーターなど)の使用が、例えば、利用可能なヌクレオチドまたは転写に必要な他の細胞成分のプールを枯渇させることにより、細胞に負担をかけてもよい。さらに、またはあるいは、数個の強力なプロモーターの使用が、細胞における毒性レベルのRNAi剤の発現を引き起こしてもよい。かくして、いくつかの実施形態においては、多重プロモーターRNAi発現カセット中の1個以上のプロモーターは、該カセット中の他のプロモーターよりも弱いものであってもよく、または該カセット中の全てのプロモーターが最大速度よりも低い速度でRNAi剤を発現してもよい。また、プロモーターを、分子技術を用いて、もしくは、さもなければ、調節エレメントを介して、改変するか、または改変せずに、より弱いレベルの転写を達成することができる。
本発明のいくつかの実施形態において有用なプロモーターは、組織特異的または細胞特異的なものであってよい。プロモーターに適用する場合、用語「組織特異的」とは、特定の型の組織(例えば、幹細胞)に対して、異なる型の組織(例えば、筋肉)中で目的とする同じヌクレオチド配列の発現が比較的欠如する中、目的のヌクレオチド配列の選択的発現を指令することができるプロモーターを指す。プロモーターに適用する場合、用語「細胞特異的」とは、特定の型の細胞において、同じ組織内の異なる型の細胞中の目的とする同じヌクレオチド配列の発現が比較的欠如する中、目的のヌクレオチド配列の選択的発現を指令することができるプロモーターを指す(例えば、Higashibataら、J. Bone Miner. Res. January 19(1):78-88 (2004); Hoggattら、Circ. Res., December 91(12):1151-59 (2002); Sohal,ら、Circ. Res. July 89(1):20-25 (2001);およびZhangら、Genome Res. January 14(1):79-89 (2004)を参照)。プロモーターに適用する場合、用語「細胞特異的」は、単一の組織内のある領域において目的のヌクレオチド配列の選択的発現を促進することができるプロモーターをも意味する。あるいは、プロモーターは構成的または調節可能であってもよい。さらに、プロモーターを、異なる特異性を有するように改変することができる。
プロモーターに関する場合、用語「構成的」とは、該プロモーターが特定の刺激(例えば、熱ショック、化学物質、光など)の非存在下で、機能し得る形で連結された核酸配列の転写を指令することができることを意味する。典型的には、構成的プロモーターは、実質的にいかなる細胞およびいかなる組織においてもコード配列の発現を指令することができる。RNAi剤を転写するのに用いられるプロモーターは、RNAポリメラーゼIIにより制御されるユビキチン、CMV、β-アクチン、ヒストンH4、EF-1αもしくはpgk遺伝子のためのプロモーター、またはRNAポリメラーゼIにより制御されるプロモーターエレメントなどの構成的プロモーターであるのが好ましい。他の実施形態においては、CMV、SV40、U1、β-アクチンなどのPol IIプロモーターまたはハイブリッドPol IIプロモーターを用いる。他の実施形態においては、RNAポリメラーゼIIIにより制御されるプロモーターエレメント、例えば、U6プロモーター(例えば、U6-1、U6-8、U6-9)、H1プロモーター、7SLプロモーター、ヒトYプロモーター(hY1、hY3、hY4(Maraiaら、Nucleic Acids Res. 22(15): 3045-52 (1994)を参照)およびhY5(Maraiaら、Nucleic Acids Res. 24(18): 3552-59 (1994)を参照)、ヒトMRP-7-2プロモーター、アデノウイルスVA1プロモーター、ヒトtRNAプロモーター、5sリボソームRNAプロモーター、ならびにこれらのプロモーターのいずれかの機能的ハイブリッドおよび組合せなどを、用いる。
あるいは、いくつかの実施形態においては、RNAi剤の誘導性発現を可能にするプロモーターを選択することが最適でありうる。そのようなプロモーターを用いる誘導性発現のための多くの系が当業界で公知であり、限定されるものではないが、テトラサイクリン応答系およびlacオペレーター-リプレッサー系(WO 03/022052 A1;および米国特許2002/0162126 A1を参照)、エクジソンに調節される系、または、糖質コルチコイド、プロゲスチン、エストロゲン、RU-486、ステロイド、甲状腺ホルモン、サイクリックAMP、サイトカイン、カルシフェロールファミリーの調節因子により調節されるプロモーター、またはメタロチオネインプロモーター(無機金属により調節される)が含まれる。
1個以上のエンハンサーを、ウイルス多重プロモーターRNAi発現構築物中に存在させて、目的の遺伝子の発現を増加させることもできる。本発明の実施形態における使用にとって好適なエンハンサーとしては、Apo E HCRエンハンサー、最近記載されたCMVエンハンサー(Xiaら、Nucleic Acids Res. 31-17(2003)を参照)、および当業者には公知の他のエンハンサーが挙げられる。
本発明のRNAi発現カセットによりコードされるRNAi配列は、正常な哺乳動物細胞中で毒性ではない短い二本鎖RNAである低分子干渉RNAの発現をもたらす。本発明のddRNAi剤の長さは、それらが細胞傷害性を示さない限り、特に制限はない。RNAiは、例えば、15〜49 bpの長さ、好ましくは、15〜35 bpの長さ、およびより好ましくは、19〜29 bpの長さであってよい。RNAiの二本鎖RNA部分は完全に相同であってもよく、または配列ミスマッチ(それぞれの鎖上の対応するヌクレオチドが相補的でない)、突出部(一方の鎖上の対応する相補的ヌクレオチドの欠如)などのために対でない部分を含んでもよい。そのような対でない部分は、それらがRNAi二本鎖の形成または効力を有意に妨げない程度まで許容されうる。
本発明に従うddRNAi剤の末端は、ddRNAi剤が標的遺伝子を効率的にサイレンシングする限り、平滑末端でも付着末端(突出末端)であってもよい。付着(突出)末端構造は、3'突出部のみに限定されず、得られるddRNAi剤がRNAi作用を誘導することができる限り、5'突出構造も含まれうる。さらに、突出しているヌクレオチドの数は、得られるddRNAi剤がRNAi作用を誘導することができる限り、任意の数であってよい。例えば、存在する場合、突出部は1〜8個のヌクレオチドからなっていてもよく、2〜4個のヌクレオチドからなるのが好ましい。
本発明において用いられるddRNAi剤は、二本鎖RNAの末端が一本鎖のリンカーRNAにより連結されているステムループ構造の前駆体(shRNA)を有してもよい。shRNAのループ部分の長さは、5〜20 bpの長さであってよく、5〜9 bpの長さであるのが好ましい。
本発明のRNAi発現カセットの標的である核酸配列としては、限定されるものではないが、テロメア消失などの、一般的にアポトーシスまたは分化に関与する遺伝子が挙げられる。RNAi剤の配列は、標的遺伝子配列の遺伝子配列に基づいて選択する;好ましくは、保存された標的遺伝子配列の領域に基づいて選択する。比較とRNAi配列の選択のために配列をアラインメントする方法は当業界でよく知られている。2個以上の配列の間の同一性%の決定を、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。そのような数学的アルゴリズムの好ましい非限定例は、MyersおよびMiller (1988)のアルゴリズム;PearsonおよびLipman (1988)の類似性検索法;ならびにKarlinおよびAltschul (1993)のそれである。好ましくは、これらの数学的アルゴリズムのコンピューター実装を用いる。そのような実装としては、限定されるものではないが、PC/GeneプログラムにおけるCLUSTAL (Intelligenetics, Mountain View, Calif.から入手可能);ALIGNプログラム(Version 2.0)、GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、Megalign(Jotun Hein, Martinez, Needleman-Wunschアルゴリズム)、DNAStar Lasergene (www.dnastar.comを参照)およびWisconsin Genetics Software Package, Version 8におけるTFASTA(Genetics Computer Group (GCG)、575 Science Drive, Madison, Wis., USAから入手可能)が挙げられる。これらのプログラムを用いるアラインメントを、デフォルトパラメーターまたは操作者により選択されたパラメーターを用いて実施することができる。CLUSTALプログラムはHigginsにより充分に記述されている。ALIGNプログラムはMyersおよびMillerのアルゴリズムに基づくものであり;BLASTプログラムはKarlinおよびAltschulのアルゴリズムに基づくものである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information) (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公共的に入手可能である。
配列比較のために、通常は、1つの配列が、試験配列と比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列および参照配列をコンピューターに入力し、サブ配列座標を必要に応じて指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性%を算出する。
典型的には、RNAiによる標的配列の阻害には、標的配列とRNAi分子のセンス鎖の間に高い程度の配列相同性が必要である。いくつかの実施形態においては、そのような相同性は約70%より高く、約75%より高いものであってもよい。好ましくは、相同性は約80%より高く、85%よりも高いか、またはさらに90%よりも高い。より好ましくは、標的配列とRNAiのセンス鎖の間の配列相同性は、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%よりも高い。
標的遺伝子の保存領域に基づくRNAi配列の選択に加えて、RNAi配列の選択は他の要因に基づくものであってもよい。所望の標的配列の特徴(例えば、GC含量%、翻訳開始コドンからの位置、または提唱されたRNAiのホモログのin silicoでの配列データベース検索に基づく配列類似性、熱力学的対形成基準)に基づいて、RNAiとして有効である配列を同定するための選択基準を考え出す多くの試みにも拘らず、標的遺伝子に対応した無数の可能性のある候補RNAi配列が、実際に最適なRNAサイレンシング応答を引き出すことを、高い程度の信頼性をもって予測することは現在不可能である。代わりに、典型的には、個々の特定の候補RNAiポリヌクレオチド配列を作製し、試験して、所望の標的の発現妨害を引き出すことができるかどうかを決定する。
上述の通り、RNAi発現カセットのddRNAi剤コード領域を、ターミネーターエレメントに機能し得る形で連結する。一実施形態においては、ターミネーターは4個以上のチミジン残基のストレッチを含む。多重プロモーターカセットを用いる実施形態においては、用いるターミネーターエレメントは、全て異なっていてもよく、そのターミネーターが由来する遺伝子に由来するプロモーターエレメントに適合する。そのようなターミネーターとしては、SV40ポリA、Ad VA1遺伝子、5SリボソームRNA遺伝子、およびヒトt-RNAのターミネーターが挙げられる。さらに、RNA pol IIプロモーターおよびターミネーターを用いて一般的に行われるように、プロモーターおよびターミネーターを混ぜ合わせ、適合させることができる。
さらに、RNAi発現カセットは、そのプロモーター、ddRNAi剤およびターミネーターエレメントが容易に除去または置換されるように、マルチクローニング部位および/またはユニークな制限部位を戦略的に位置させるように構成することができる。RNAi発現カセットを、戦略的に配置された制限部位および/または相補的な付着末端を用いてより小さいオリゴヌクレオチド成分から構築することができる。本発明の実施形態に従う1つの手法のための基本ベクターは、そこに含まれる全ての部位がユニークであるマルチリンカーを有するプラスミドからなる(これは絶対的な要件ではないが)。続いて、各プロモーターをその所定のユニークな部位の間に挿入し、その結果、全てが異なる配向を有し得る1個以上のプロモーターを有する基本カセットが得られるが。続いて、アニーリングしたプライマー対を、個々のプロモーターの各々の下流のユニークな部位にさらに挿入し、単一、二重、または多重発現カセット構築物を得る。挿入物を、その単一、二重、または多重発現カセット挿入物にフランキングする2個のユニークな酵素部位(同じか、もしくは異なるもの)を用いて、例えば、AAV骨格中に移すことができる。
ddRNAi剤を用いる場合、RNAi発現カセットを送達ベクター中に連結する。RNAi発現カセットを挿入し、様々な細胞型におけるddRNAi剤の高効率な形質導入および発現に用いられる構築物は、ウイルスから誘導されたものであってよく、ウイルス送達に適合し、あるいは、非ウイルス送達方法を用いることができる。前記構築物の作製を、限定されるものではないが、PCRの標準的な技術、オリゴヌクレオチド合成、制限エンドヌクレアーゼ消化、ライゲーション、形質転換、プラスミド精製、およびDNA配列決定などの当業界で周知の任意の好適な遺伝子操作技術を用いて達成することができる。前記構築物がウイルス構築物である場合、該構築物は、好ましくは、例えば、RNAi発現構築物をウイルス粒子中にパッケージングするのに必要な配列および/またはRNAi発現構築物の標的細胞ゲノムへの組込みを可能にする配列を含む。前記ウイルス構築物はまた、ウイルスの複製および増殖を可能にする遺伝子を含んでもよいが、他の実施形態においては、そのような遺伝子をin transで供給することができる。さらに、ウイルス構築物は、天然の形態で組込まれるか、または改変された、任意の公知の生物のゲノムに由来する遺伝子または遺伝的配列を含んでもよい。例えば、好ましいウイルス構築物は、細菌中での該構築物の複製にとって有用な配列を含んでもよい。
前記構築物は、さらなる遺伝子エレメントを含んでもよい。前記構築物中に含有させることができるエレメントの種類は全く限定されず、当業者であれば選択することができる。例えば、さらなる遺伝子エレメントは、GFPまたはRFPなどの蛍光マーカータンパク質;β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、β-グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼもしくは分泌型胚性アルカリホスファターゼなどの容易にアッセイされる酵素;またはホルモンもしくはサイトカインなどの、免疫アッセイを容易に利用できるタンパク質に対する1以上の遺伝子などのリポーター遺伝子を含んでもよい。本発明の実施形態において有用な他の遺伝子エレメントとしては、アデノシンデアミナーゼ、アミノグリコディックホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸リダクターゼ、ハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼ、薬剤耐性などの、細胞に対して選択的な増殖優位性を付与するタンパク質をコードするもの、または栄養要求株から失われる生合成能力を提供するタンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。リポーター遺伝子をRNAi発現カセットに沿って含有させる場合、内部リボソーム進入部位(IRES)配列を含有させることができる。好ましくは、そのさらなる遺伝子エレメントは、独立したプロモーター/エンハンサーに機能し得る形で連結され、それによって制御される。さらに、細菌中での前記構築物の増殖のための好適な複製起点を用いることができる。複製起点の配列は、一般的には、ddRNAi剤および細胞中で発現させようとする他の遺伝子配列からは離れている。そのような複製起点は当業界で公知であり、pUC、ColE1、2-ミクロンまたはSV40の複製起点が挙げられる。
任意の好適なウイルスに基づくウイルス送達系を用いて、本発明のRNAi発現構築物を送達することができる。さらに、ハイブリッドウイルス系を用いることができる。ウイルス送達系の選択は、細胞への送達の効率、その系の形質導入効率、病原性、免疫学的および毒性懸案事項などの種々のパラメーターに依存するであろう。全ての用途にとって好適である単一のウイルス系は存在しないことが明らかである。本発明において用いるためにウイルス送達系を選択する場合、RNAi発現構築物を含有するウイルス粒子が、好ましくは、1)再生産可能かつ安定的に増殖する;2)高力価まで精製することができる;ならびに3)標的化された送達を媒介することができる(広く分布させることなく所望の細胞に多重プロモーターRNAi発現構築物を送達する)ような系を選択することが重要である。
一般的には、遺伝子治療において用いられる、5つの最も一般的に用いられるクラスのウイルス系を、それらのゲノムが宿主細胞のクロマチンに組込まれるか(癌レトロウイルスおよびレンチウイルス)、または主に染色体外エピソームとして細胞核中で存続するか(アデノ随伴ウイルス、アデノウイルスおよびヘルペスウイルス)どうかに従って2つの群に分類することができる。
例えば、本発明の一実施形態においては、パルボウイルス科に由来するウイルスを用いる。パルボウイルスは、約5000ヌクレオチド長のゲノムを有する低分子一本鎖非エンベロープ型DNAウイルスの一科である。この科のメンバーには、アデノ随伴ウイルス(AAV)、すなわち、その名の通り生産的感染周期を開始し持続するために別のウイルス(典型的には、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)の同時感染を必要とする依存型パルボウイルスが、含まれる。そのようなヘルパーウイルスの非存在下でも、AAVは依然として、受容体媒介性結合および内在化により標的細胞に感染しまたは形質導入され、非分裂細胞および分裂細胞の両方において核に侵入する能力を有する。
一度核に入れば、ウイルスは脱殻し、トランスジーンは多くの異なる形態から発現されるが、その最も持続性のあるものは、環状モノマーである。AAVは、安定に形質導入された細胞の1〜5%のゲノムに組込まれるであろう(Nakaiら、J.Virol. 76:11343-349 (2002))。このトランスジーンの発現は、非常に安定であり得、第IX因子のAAV送達を用いるある研究においては、イヌモデルは1回の直接的なウイルス注入の5.0年後にも治療レベルのそのタンパク質を発現し続ける。子孫ウイルスはヘルパーウイルスの非存在下ではAAV感染から産生されないため、形質導入の程度はウイルスに感染した最初の細胞にのみ制限される。AAVを本発明のための好ましい遺伝子治療用ベクターにするのはこの特徴である。さらに、レトロウイルス、アデノウイルス、および単純ヘルペスウイルスと違って、AAVはヒトへの病原性および毒性を欠くようである(Kayら、Nature. 424: 251 (2003)およびThomasら、Nature Reviews, Genetics 4:346-58 (2003))。
典型的には、AAVのゲノムは2個の遺伝子のみを含む。「rep」遺伝子は、DNA複製に用いられる少なくとも4個の別々のタンパク質をコードする。「cap」遺伝子産物は、示差的にスプライシングされて、ウイルスのキャプシドを含む3個のタンパク質を生成する。ゲノムを新生ウイルス中にパッケージングする場合、逆方向末端反復配列(ITR)のみが必須の配列であり、repおよびcapをゲノムから欠失させ、選択した異種配列で置換することができる。しかしながら、新生ビリオン中でAAVに基づく異種構築物を複製させ、パッケージングするのに必要とされるタンパク質を産生させるために、repおよびcapタンパク質をin transで提供しなければならない。上記のアデノウイルスまたはヘルペスウイルスなどのヘルパーウイルスとの同時感染によって通常提供されるヘルパー機能を、1種以上のDNA発現プラスミドの形態でin transで提供することもできる。前記ゲノムは通常、2個の遺伝子のみをコードするため、送達ビヒクルとして、AAVが4.5キロベース(kb)の一本鎖のパッケージング能力に制限されることは驚くべきことではない。しかしながら、このサイズ制限は置換遺伝子治療のために送達することができる遺伝子を制限し得るが、RNAiなどのより短い配列のパッケージングおよび発現には悪影響を与えない。
RNAi適用のためのAAVの使用は、AAVを用いてin vitroでshRNAを送達して、p53およびキャスパーゼ8の発現を阻害する実験において証明された(Tomarら、Oncogene. 22: 5712-15 (2003))。中身を抜かれたAAV-2ベクター中に好適な配列をクローニングした後、感染性AAVビリオンをHEK293細胞中で生成させ、これを用いてHeLa S3細胞を感染させた。内因性キャスパーゼ8およびp53レベルの用量依存的低下が証明された。Bodenらはまた、AAVを用いてin vitroでshRNAを送達して、使用済みの培地中でのp24の産生による評価で、組織培養系におけるHIVの複製を阻害した(Bodenら、J. Virol. 77(21): 115231-35 (2003))。
しかしながら、RNAi発現構築物のための運搬体としてAAVを用いる場合、技術的なハードルに取り組まなければならない。例えば、ヒト集団の様々な割合が、特定のAAV血清型に対する中和抗体を有し得る。しかしながら、いくつかのAAV血清型が存在し、その一部では中和抗体を担持する個体の割合は非常に低いため、他の血清型を用いるか、または擬似型を用いることができる。特性評価された少なくとも8種の異なる血清型が存在し、その他にも多くの、単離されているが、あまりよく報告されていないものが存在する。別の制限は、AAVに対するありうる免疫応答の結果として、AAVに基づく治療を1回しか投与することができないということである;しかしながら、代替物の使用や非ヒト由来血清型により、反復投与が可能になる。投与経路、血清型、および送達されるゲノムの組成は全て、組織特異性に影響する。
RNAi発現構築物を含む未改変のAAV系を用いる際の別の制限は、形質導入が効率的でない場合があることである。in vivoでの安定な形質導入は、5〜10%の細胞に限定される。しかしながら、安定な形質導入レベルを押し上げる様々な方法が当業界で公知である。1つの手法は、AAV-2ゲノムを、他の血清型に由来するcapタンパク質を用いてパッケージングする、擬似型を用いることである。例えば、AAV-5 cap遺伝子をそのAAV-2対応物に置換することにより、Mingozziらは肝細胞の約15%へと、安定な形質導入を増加させた(Mingozziら、J. Virol. 76(20): 10497-502 (2002))。Thomasらは、AAV8キャプシド遺伝子を用いて、in vivoで30%を超えるマウス肝細胞に形質導入した(Thomasら、J. Virol. 印刷中)。Grimmら(Blood. 2003-02-0495)は、組織培養研究のためにAAV-1、AAV-3B、AAV-4、AAV-5、およびAAV-6を用いてAAV-2を徹底的に擬似型化した。最も高いレベルのトランスジーン発現は、AAV-6を用いて擬似型化されたビリオンにより誘導され、AAV-2よりもほぼ2000%高いトランスジーン発現をもたらした。かくして、本発明は、RNAi多重プロモーター発現構築物の発現における対応する増加と共に、高い形質導入レベルを達成するための擬似型化されたAAVウイルスの使用を意図する。
本発明のRNAi発現構築物と共に有用な別のウイルス送達系は、レトロウイルス科に由来するウイルスに基づく系である。レトロウイルスは、2個のユニークな特徴を特徴とする一本鎖RNA動物ウイルスを含む。第一に、レトロウイルスのゲノムは、2コピーのRNAからなる2倍体である。第二に、このRNAは、ビリオン関連酵素である逆転写酵素により、二本鎖DNAに転写される。次いで、この二本鎖DNAまたはプロウイルスを宿主ゲノム中に組込み、該宿主ゲノムの安定に組込まれた成分として、親細胞から子孫細胞に伝達することができる。
いくつかの実施形態においては、レンチウイルスが、本発明における使用にとって好ましいレトロウイルス科のメンバーである。レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルスの糖タンパク質(VSV-G)を用いて擬似型化されることが多く、そして、ヒト後天性免疫不全症候群(AIDS)の病原因子であるヒト免疫不全ウイルス(HIV);ヒツジにおいて脳炎(ビスナ)または肺炎を引き起こすビサン-マエディ(visan-maedi);ウマにおいて自己免疫性溶血性貧血および脳障害を引き起こすウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV);ネコにおいて免疫不全を引き起こすネコ免疫不全ウイルス(FIV);ウシにおいてリンパ節症およびリンパ球増加症を引き起こすウシ免疫不全ウイルス(BIV);ならびに非ヒト霊長類において免疫不全および脳障害を引き起こすサル免疫不全ウイルス(SIV)に由来している。HIVに基づくベクターは、一般的には5%未満の親ゲノムを保持し、25%未満のゲノムをパッケージング構築物に組込むことにより、復帰した複製能力を有するHIVの生成の可能性を最小化する。下流の末端反復配列中の調節エレメントの欠失を含み、組込まれたプロウイルスからの転写を排除する自己不活化ベクターの開発により、生物安全性をさらに増加させている。
レトロウイルスのRNAゲノムの逆転写は、細胞質中で起こる。C型レトロウイルスとは異なり、他のウイルス因子と複合体化したレンチウイルスcDNA(開始前複合体として知られる)は、核膜を横切って移行し、非分裂細胞に形質導入することができる。このウイルスcDNAの構造的特徴(DNAフラップ)は、効率的な核輸送に寄与するようである。このフラップは、ウイルスポリメラーゼ遺伝子中に位置する中央ポリプリントラクト(cPPT)の完全性に依存し、そのため多くのレンチウイルス由来ベクターはこの配列を保持する。レンチウイルスは、広範な向性、低い炎症性を示し、ベクターの組込みをもたらす。主な制限は、組込みが一部適用において腫瘍形成を誘導し得ることである。レンチウイルスベクターの使用にとっての主な利点は、遺伝子導入が、組換えゲノムの組込みのため、大部分の組織または細胞型において持続的であることである。
ddRNAi剤を発現させるのに用いられるレンチウイルスに基づく構築物は、レンチウイルスの5'および3'LTRに由来する配列を含むのが好ましい。最も好ましくは、前記ウイルス構築物は、レンチウイルス由来の不活化されたかまたは自己不活性の3'LTRを含む。3'LTRを、当業界で公知の任意の方法により自己不活性にすることができる。好ましい実施形態においては、3'LTRのU3エレメントは、そのエンハンサー配列、好ましくはTATAボックス、Sp1およびNF-κB部位の欠失を含む。自己不活性3'LTRの結果として、宿主細胞ゲノム中に組込まれているプロウイルスは、不活化された5'LTRを含むであろう。LTR配列は、任意の種に由来する任意のレンチウイルスに由来するLTR配列であってよい。レンチウイルスに基づく構築物はまた、MMLVもしくはMSCV、RSVもしくは哺乳動物遺伝子の配列を組込んでもよい。さらに、レンチウイルスの5'LTRに由来するU3配列を、該ウイルス構築物中のプロモーター配列で置換することができる。これは、パッケージング細胞系から回収されたウイルスの力価を増加させ得る。エンハンサー配列を含有させることもできる。
当業者には公知の他のウイルスまたは非ウイルス系を用いて、本発明のRNAi発現カセットを細胞に送達することができ、たとえば、限定されるものではないが、宿主細胞中への組込みによりin vivoでウイルスにコードされたトランスジーンを安定に維持する遺伝子欠失アデノウイルス-トランスポゾンベクター(Yantら、Nature Biotech. 20:999-1004 (2002)を参照);シンドビスウイルスもしくはセムリキ森林熱ウイルスから誘導された系(Perriら、J. Virol. 74(20):9802-07 (2002)を参照);ニューカッスル病ウイルスもしくはセンダイウイルスに由来する系;または細菌性DNA配列を欠くミニサークル状DNAベクター(Chenら、Molecular Therapy. 8(3):495-500 (2003)を参照)などが含まれる。米国特許公開第2004/0214329号に記載のミニサークル状DNAは、高いレベルのタンパク質を持続的に提供するベクターを開示する。その環状ベクターは、発現をサイレンシングする細菌配列を含まないことを特徴とし、発現カセットに加えて、一方向の部位特異的組換え産物配列を含んでもよい。
さらに、ハイブリッドウイルス系を用いて、2つ以上のウイルス系の有用な特性を組合わせることができる。例えば、野生型AAVの部位特異的な組込み機構を、アデノウイルスの効率的な内在化および核標的化特性と結びつけることができる。アデノウイルスまたはヘルペスウイルスの存在下でのAAVは、生産的な複製サイクルを経験する。しかしながら、ヘルパー機能の非存在下では、AAVゲノムは第19染色体上の特定の部位に組込まれる。AAVゲノムの組込みはAAV repタンパク質の発現を必要とする。従来のrAAVベクターは、repを含む全てのウイルス遺伝子を欠失しているので、これらは第19染色体中に特異的に組込むことができない。しかしながら、この特徴を、好適なハイブリッド系において生かすことができる。さらに、部位特異的組換えを可能にする遺伝子エレメントなどの非ウイルス遺伝子エレメントを用いて、ウイルス送達系において所望の特性を達成することができる。
図1Aの工程400においては、RNAi発現構築物をウイルス粒子中にパッケージングする。当業界で公知の任意の方法を用いて、ゲノムが1コピーのウイルスRNAi発現構築物を含む感染性ウイルス粒子を産生させることができる。図4Aおよび4Bは、本発明のRNAi発現構築物を送達のためにウイルス粒子にパッケージングするための代替的な方法を示す。図4A中の方法は、ウイルス粒子中へのウイルスRNAi発現構築物の組み込みにとって必要であるウイルスタンパク質、ならびに特定のウイルス送達系にとって必要であるか、もしくは好ましい他の配列(例えば、複製、構造タンパク質およびウイルス構築にとって必要とされる配列)および組織侵入のためのウイルス由来リガンドもしくは人工リガンドをin transで安定に発現するパッケージング細胞を使用する。図4Aにおいては、RNAi発現カセットをウイルス送達ベクターに連結し(工程300)、得られるウイルスRNAi発現構築物を用いて、パッケージング細胞をトランスフェクトする(工程410)。次いで、パッケージング細胞はウイルス配列を複製し、ウイルスタンパク質を発現し、およびウイルスRNAi発現構築物を感染性ウイルス粒子中にパッケージングする(工程420)。パッケージング細胞系は、ウイルスタンパク質を発現することができる任意の細胞系であってよく、限定されるものではないが、293、HeLa、A549、PerC6、D17、MDCK、BHK、ビングチェリー(bing cherry)、フェニックス(phoenix)、Cf2Th、または当業者には公知であるか、もしくは当業者により開発された任意の他の細胞系が挙げられる。1つのパッケージング細胞系は、例えば、米国特許第6,218,181号に記載されている。
あるいは、必須のウイルスタンパク質を安定に発現しない細胞系に、2種以上の構築物を同時トランスフェクトして、機能的粒子の効率的産生を達成することができる。この構築物の一方はウイルスRNAi発現構築物を含み、他方のプラスミドは、細胞が機能的ウイルス(複製およびパッケージング構築物)ならびに他のヘルパー機能をもたらすのを可能にするのに必要なタンパク質をコードする核酸を含む。図4Bに示される方法は、ウイルスの複製およびパッケージング遺伝子を安定に発現しないパッケージングのための細胞を使用する。この場合、RNAi発現構築物をウイルス送達ベクターに連結し(工程300)、次いで、感染性ウイルス粒子の複製および産生にとって必要なウイルス配列を発現する1種以上のベクターで同時トランスフェクトする(工程470)。細胞はウイルス配列を複製し、ウイルスタンパク質を発現し、ウイルスRNAi発現構築物を感染性ウイルス粒子中にパッケージングする(工程420)。
パッケージング細胞系または複製およびパッケージング構築物は、エンベロープ遺伝子産物を発現しなくてもよい。これらの実施形態においては、エンベロープ遺伝子をコードする遺伝子を、ウイルスRNAi発現構築物と共に同時トランスフェクトする別の構築物上に提供することができる。エンベロープタンパク質は、部分的には、ウイルス粒子の宿主範囲の原因となるので、ウイルスを擬似型化することができる。上記のような、「擬似型化」ウイルスは、ゲノムが由来するウイルス以外のウイルスに由来するエンベロープタンパク質を有するウイルス粒子である。当業者であれば、用いるウイルス送達系のための好適な擬似型および標的とすべき細胞を選択することができるであろう。特定の宿主範囲を付与することに加えて、選択された擬似型は、ウイルスが非常に高い力価に濃縮されるようにする。あるいは、ウイルスを、特定の種へ感染を限定する同種指向性エンベロープタンパク質を用いて擬似型化することができる(例えば、同種指向性エンベロープは、例えば、マウス細胞のみの感染を許容し、両種性エンベロープは、例えば、ヒト細胞およびマウス細胞の両方の感染を許容する)。さらに、肝細胞についてはアシアロ糖タンパク質、または受容体媒介結合についてはトランスフェリンなど、遺伝的に改変されたリガンドを、細胞特異的標的化に用いることができる。
パッケージング細胞系における産生の後、RNAi発現カセットを含むウイルス粒子を精製し、定量(力価測定)する。精製戦略としては、密度勾配遠心、または、好ましくは、カラムクロマトグラフィー法が挙げられる。
本発明の特定の実施形態において用いられる多重プロモーターRNAi発現カセットは、幹細胞の増殖の促進および分化の阻止において特に有用であるが、これはそれらのプロセスに関与する複数の遺伝子に対するRNAi剤を同時に標的とすることができるからである。例えば、テロメラーゼおよび/またはサイトカインを抑制する1以上の遺伝子を、同時に抑制することができる。
あるいは、RNAi発現カセットを、細菌ベクターまたはミニサークルなどの非ウイルス手段により細胞中に送達することができる(Chenら、Molecular Therapy. 8(3):495-500 (2003)および米国特許公開第2004/0214329号(参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照)。ミニサークルは、核酸の転写の持続的な高い発現を提供する非ウイルスDNAベクターである。ミニサークルベクターは、発現をサイレンシングする細菌DNA配列を含まないことを特徴とし、ddRNAi発現カセットに加えて、一方向部位特異的組換え産物配列を含んでもよい。
本発明のsiRNAおよびddRNAi発現カセットを、in vitroまたはex vivoで細胞中に送達した後、動物中に入れて治療を行うことができる。例えば、リポソームもしくはミセル媒介トランスフェクションまたは形質転換、または細胞交配もしくはマイクロインジェクションによる、あるいは当業界で公知の他の技術などの細胞への核酸の送達のための様々な技術が利用可能であり、またよく知られている。
RNAi剤
増殖を促進しながら、アポトーシスもしくは分化を遅延させるか、または停止させることができる任意のRNAi剤は、本発明の幹細胞中への取込みにとって好適である。幹細胞としては、限定されるものではないが、造血幹細胞、筋芽細胞、骨芽細胞、神経幹細胞および胚性幹細胞が挙げられる。本発明の1つの重要な特徴は、その細胞を、治療用トランスジーンを送達するのに用いることができ、またそれが増殖するか、または特殊化された細胞に分化する場合でさえ、該治療用トランスジーンを保持し得ることである。今までのところ試みられた細胞に基づく遺伝子治療の多くは、ウイルス運搬体を用いて、トランスジーンを造血幹細胞に導入してきた。これを達成するための1つの方法は、治療用トランスジーンを幹細胞の染色体の1つに挿入することである。レトロウイルスはこれを行うことができ、この理由のため、それらは、幹細胞を感染させ、該治療用トランスジーンを染色体DNAに導入するための運搬体として用いられることが多い。多くのレトロウイルスは、活発に分裂している細胞に感染させる場合にのみ有効である。本発明のRNAi剤は、治療目的で挿入された任意のトランスジーンを保持しながら細胞増殖を促進するのが好ましいであろう。これにより、実際に治療用トランスジーンを受容する幹細胞数が大きく増加する。分化を遅延させながら、細胞分裂を促進するRNAi剤を挿入することは、研究および治療目的の両方にとって有益である。
幹細胞の分化のプロセスは、幹細胞が創始者細胞を生成する時に始まる。胎児および成体の組織中の創始者細胞または前駆細胞は、分裂し、分化した細胞を生じる、部分的に分化した細胞である。そのような細胞は通常、特定の細胞発達経路に沿って分化するようにコミットされていると見做される。遺伝子治療の目的のために収集される幹細胞を、アフェレーシスとして知られる方法を用いて、骨髄または末梢血から回収することができる。次いで、いずれかの様式で回収された幹細胞を、本発明の方法により遺伝的に改変し、さらなる研究のために用いるか、または遺伝的に改変して所望の表現型を有する幹細胞を作製することができる。
本発明に従うRNAi剤としては、幹細胞の自己複製能を誘導する経路に影響を及ぼし得るものが挙げられる。これらのものとしては、限定されるものではないが、Notch、WNT、HOXB4、およびTERTなどのタンパク質を伴うシグナル伝達経路およびテロメア維持経路が挙げられる。総論については、Elwood, Cancer Control 11(2):77-85 (2004)を参照されたい。
Notchシグナリングは、胚の発達および成体の組織恒常性の両方における多くの細胞運命決定事象の調節に関与する。Notch1およびNotch2分子は、サイトカイン特異的様式で骨髄分化を阻害し、その際、Notchサイトカイン応答ドメインがこの機能的特異性にとって必要である。Notchタンパク質のリン酸化も、サイトカインシグナルに応答するNotchの活性にとって重要である(Ingles-Esteveら、J. Biol. Chem. 276(48):44873-44880 (2001))。Notchタンパク質のリン酸化は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)により制御される。G-CSFタンパク質の阻害は、Notchタンパク質のリン酸化の防止およびその結果として分化経路の遅延を誘導する。
別のタンパク質、HOXB4はHSCを調節することが証明されている。HOXB4の過剰発現は、幹細胞の自己複製のための効率的な方法を提供することができる。in vitroで10〜14日間のHOXB4のレトロウイルス過剰発現は、新鮮な骨髄幹細胞と比較して、再増殖HSCの数を40倍に増加させることができた(Antonchukら、Exp. Hematol. 29(9):1125-34 (2001))。
さらに、HOXB4タンパク質は培養物中のHSCの自己複製を誘発することができることが示された。HOXB4発現のレベルを、WNTの活性化により増加させることができる。
WNTタンパク質は、造血前駆細胞の生存/増殖を誘発するが、これはWNTタンパク質が造血細胞調節因子のクラスを含むことを示している。WNTはTCF1により抑制される(Austinら、Blood 89(10): 3624-3625(1997))。従って、RNAi剤によるTCF1の阻害は、分化を阻害しながら、in vitroまたはin vivoでの幹細胞集団の増殖に影響するであろう。
シグナル伝達因子Stat5は、造血分化および造血幹細胞機能の調節において重要な役割を果たす。造血系列の起源の時点でのStat5の誘導(胚様体分化の4〜6日目)は、コロニー形成能力を有する造血前駆細胞の数を大幅に増大させる(Kyba, PNAS 100: 11904-11910 (2003))。それは、総数を有意に変化させることも、アポトーシスを誘導することもなくそうするが、このことは造血細胞集団の発達能またはクローン形成に対するStat5の細胞固有の作用を示唆している。
別の因子、SMRT(レチノイン酸受容体および甲状腺ホルモン受容体のサイレンシングメディエーター)は、in vitroでSTAT5依存的転写を強力に抑制する(Nakajima, Embo 20: 6836-6844 (2001))。RNAi剤によるSMRTの阻害は、分化を阻害しながら、in vitroまたはin vivoでの幹細胞集団の増殖に影響する。
本発明は、部分的には、RNAiを介して、幹細胞分化および/またはアポトーシスに直接的もしくは間接的に関連する1以上の転写活性を有する遺伝子領域のサイレンシングを促進する遺伝子薬剤の使用に基礎を置くものである。そのような転写活性を有する領域を、本明細書では「幹細胞関連遺伝子標的」または「SCAT」とも呼ぶ。1以上のSCATのddRNAi媒介サイレンシングは、被験体または細胞培養物における細胞分化またはアポトーシスの開始の1つ以上の制御に影響し得る。
本明細書で用いられる用語「幹細胞遺伝子標的」または「SCAT」とは、脊椎動物、特に、哺乳動物および最も特には、霊長類もしくはげっ歯類動物における幹細胞の増殖および分化の制御に直接的もしくは間接的に関連する任意の遺伝子配列またはその転写物を指す。従って、SCATは、幹細胞増殖に直接的に関連する遺伝子もしくはその転写物、または幹細胞に関連する調節性RNAをコードする核酸領域であってよく、あるいはSCATは、それ自身は幹細胞と関連しないがその発現が幹細胞に直接的に関連する遺伝子もしくは調節性RNAの発現を調節し得るタンパク質または調節性RNAをコードする核酸配列を含んでもよい。従って、用語「SCAT」は、被験体または細胞培養物における分化またはアポトーシスの開始に直接的または間接的に関与する遺伝子標的を含むと理解されるべきである。
本発明は、部分的には、1種以上のSCATの発現をサイレンシング(沈黙)させるRNAiの使用であって、それが次に被験体または細胞培養物におけるHSCの分化またはアポトーシスの開始を制御する前記使用に基礎を置くものである。表1は、例示的なSCAT配列の一覧を示す。この文脈における用語「発現のサイレンシング」は、SCATから誘導された機能的RNA転写物の量を調節することを含む。機能的RNA転写物の量の調節は、転写物の分解を容易にするか、または翻訳を阻害する核酸ベースの分子の形成を容易にすることにより、生じ得る。本発明の遺伝子RNAi剤は、転写後の遺伝子サイレンシングを促進するか、または容易にする。本明細書で用いられる「機能的RNA転写物」とは、その通常の機能を実行することができるRNA転写物を指す。例えば、タンパク質をコードする遺伝子であるSCATの場合、「機能的RNA転写物」は翻訳可能なmRNAである。しかしながら、SCATが翻訳されない調節的RNAをコードする場合、「機能的RNA転写物」は別の遺伝子配列の調節を行うことができるRNA転写物であってよい。
Figure 2008526229
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本発明と共に用いて有用な他の薬剤は、当業者には容易に明らかとなるであろう。
共有結合したRNAi剤
いくつかの実施形態においては、RNAi剤を、送達のための担体もしくはコーティングと結合させることができる反応基に共有結合させることができる。当技術分野には、核酸をポリマー表面上に結合させ、核酸およびポリマーを誘導体化してこの結合を可能にする、誘導体化された重合可能なモノマーを調製するための方法がたくさん存在している(例えば、Hermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press, 1996およびその参考文献を参照)。一般的な手法としては、誘導体化された核酸分子の反応基をモノマーもしくはポリマー上の反応基に結合させるための結合ビヒクルとして役立つ、特に、グルタルアルデヒド、シアノーゲンブロミド、p-ベンゾキノン、コハク酸無水物、カルボジイミド、ジイソシアネート、エチルクロロホルマート、ジピリジルジスルフィド、エピクロロヒドリン、アジドなどの結合剤の使用を含む。
ポリマーを、例えば、ポリマーまたはポリマー前駆体の製造の際に混合物への添加物として反応基を担持する部分を含むことにより、反応基を官能化することができる。この添加物はポリマーマトリックスを通して分散するが、ポリマー骨格の全体部分を形成しない。この実施形態においては、ポリマー材料の表面を、添加物または改変剤の特性の選択により変更または操作する。添加物の反応基を用いて、該ポリマーに1種以上のRNAi剤を結合させる。
本発明の方法により表面を官能化したポリマー材料を調製するための有用な方法は、例えば、Caldwellの米国特許第5,784,164号で説明されている。Caldwellの方法においては、添加物または改変剤を、その製造中にポリマー材料と混合する。これらの添加物または改変剤としては、反応部位を有する化合物、ポリマー材料から周囲の環境中への薬剤の制御された放出を容易にする化合物、触媒、生物活性材料(RNAi剤など)とポリマー材料の間の付着を促進する化合物、およびポリマー材料の表面化学を変化させる化合物が挙げられる。別の実施形態においては、反応基を担持する重合可能なモノマーを、重合化混合物中に組込む。官能化されたモノマーは、ポリマー骨格の一部分を形成し、好ましくは、該ポリマーの表面上にそれらの反応基を提示する。
本発明の実施において想定される反応基としては、生物活性材料との物理的および/または化学的相互作用を促進する、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸、アミン基などの官能基が挙げられる。改変剤として用いられる特定の化合物は、生物学的に活性なRNAi剤の化学的機能性に応じて決まり、当業者であれば容易に推定することができる。本発明の実施形態においては、この反応部位は共有結合的手段により生物活性剤に結合する。しかしながら、これらの反応基を用いて、疎水性/親水性、イオン性および他の非共有結合機構により、RNAi剤を前記ポリマーに付着させることもできることが、当業者には明らかであろう。
製造の際に前記ポリマーの組成および構造を操作することに加えて、好ましいポリマーを表面誘導体化技術を用いて改変することもできる。RNAi剤/担体および、究極的には、本発明の治療用デバイスの作製における使用にとって好適な多くの表面誘導体化技術が存在する。官能化されたポリマー表面を作製するためのこれらの技術(例えば、移植技術)は、当業者にはよく知られている。例えば、セリウムイオン、オゾン曝露、コロナ放電、UV照射および電離放射線(60Co、X線、高エネルギー電子、プラズマガス放電)に基づく技術が公知であり、本発明の実施において用いることができる。
RNAi剤上の相補的成分と反応することができる実質的にいかなる反応基をもポリマー中に組込み、これを用いて、本発明における使用のための担体コーティングに該RNAi剤を共有結合させることができる。好ましい実施形態においては、前記反応基を、アミン含有基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、およびそれらの組合せから選択する。さらに好ましい実施形態においては、前記反応基はアミノ基である。
本発明を実施するのに有用なアミノ化されたポリマー材料を、当業界でよく知られた多くの方法により容易に製造することができる。例えば、アミンを、HolmesおよびSchwartz, Composites Science and Technology, 38:1-21(1990)に認められるようなアンモニアガスを用いた材料のプラズマ処理により予め形成されたポリマー中に導入することができる。あるいは、アクリルアミドを前記ポリマーに移植した後、化学修飾によって、当業者には周知の方法、例えば、Hofmann再配置反応によりアミン成分を導入することにより、アミンを提供することができる。また、移植されたアクリルアミドを含有するポリマーを、Hoffmanらの米国特許第3,826,678号に記載されたような放射線移植により調製することができる。移植されたN-(3-アミノプロピル)メタクリルアミドを含有するポリマーを、Keoghらの米国特許第5,344,455号に記載のようなセリウムイオン移植により調製することができる。また、ポリビニルアミンまたはポリアルキルイミンを、Solomoneらの米国特許第4,521,564号により教示された方法に従って、ポリウレタン表面に共有結合させることもできる。あるいは、例えば、アミノシランを、Pinchukの米国特許第5,053,048号に記載のようにしてその表面に結合させることができる。
さらに別の実施形態においては、ポリマーコーティング材料、または前駆体材料を、マイクロ波を用いて高周波プラズマに、またはあるいは、磁場支持体と組合せて高周波プラズマに曝露して、RNAi剤を用いて誘導体化しようとする基質上に反応性アミノ基の少なくとも実質的な部分を担持する所望の反応性表面を得る。
官能化された担体またはコーティング表面を、例えば、第一に担体コーティング成分を化学的酸化工程に供することにより調製することができる。次いで、この化学的酸化工程の後、例えば、処理された表面と反応するアンモニアおよび/または有機アミンを含む1種以上のプラズマガスに、酸化された基質を曝露する。一実施形態においては、このガスを、アンモニア、有機アミン、亜酸化窒素、窒素、およびそれらの組合せからなる群より選択する。このガスに由来する窒素含有部分は、アミノ基、アミド基、ウレタン基、尿素基、およびそれらの組合せから選択するのが好ましく、より好ましくは、一次アミノ基、二次アミノ基、およびそれらの組合せから選択する。本実施形態の別の態様においては、窒素源は有機アミンである。好適な有機アミンの例としては、限定されるものではないが、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、n-プロピルアミン、アリルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ブチルメチルアミン、n-アミルアミン、n-ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、シクロヘキシルアミン、n-メチルシクロヘキシルアミン、エチレンイミンなどが挙げられる。さらなる態様においては、化学的酸化工程を、酸素を含むプラズマガスへの1回以上の曝露に前記ポリマーを供することで補充するか、またはそれにより置き換える。さらに好ましい実施形態においては、酸素を含有するプラズマガスはさらに、フリーラジカルを生成するアルゴン(Ar)ガスを含む。酸素を含有するガス、または酸素/アルゴンプラズマガスの組合せを用いる第1工程のプラズマ処理の直後に、酸化されたポリマーをアミン基で官能化するのが好ましい。上記のように、アミンでの官能化を、アンモニア、揮発性有機アミン、またはその混合物などのプラズマガスを用いて実施することができる。
プラズマガスとして、アンモニアおよび/もしくは有機アミン、またはその組合せを用いる例示的な実施形態においては、約13.0 MHz〜約14.0 MHzの範囲の高周波(RF)範囲内の周波数を用いる。プラズマ装置の電極の表面積の0.1ワット/cm2〜約0.5ワット/cm2の出力を用いるのが好ましい。プラズマ処理の例としては、約10〜約50 mTorrの所望の基本圧力まで、プラズマ反応室を排気することが挙げられる。反応室を所望の稼動圧まで安定化させた後、アンモニアおよび/または有機アミンガスを反応室に導入する。典型的には、好ましい流速は約200〜約650標準mL/分である。典型的なガス圧は、約0.01〜約0.5 Torrの範囲であり、好ましくは約0.2〜約0.4 Torrである。所望の周波数および出力レベルを有する電流を、好適な外部電源からの電極を用いて供給する。出力は最大約500ワットであり、好ましくは約100〜約400ワットである。プラズマ処理を、連続的またはバッチ式プロセスを用いて実施することができる。
プラズマ処理のための最適化手順および反応性ポリマーの特性および性能に対するこれらの手順の効果を、例えば、基質官能化の程度を評価することにより決定することができる。官能化されたポリマーを特性評価する方法は当業界でよく知られている。
上記の例示的方法の結果は、顕著な数の一次および/または二次アミノ基を含むポリマー表面であるのが好ましい。これらの基は、RNAi剤上の本来の、または追加の反応性官能基と、室温で容易に反応するのが好ましい。一度、アミンを含有するポリマー担体コーティングを調製したら、それを用いて、例えば、ケトン、アルデヒド、活性化カルボキシル基(例えば、活性化エステル)、ハロゲン化アルキルなどの様々な官能基を用いてRNAi剤を共有結合させることができる。
一般的には、特異的なRNAi剤/担体コンジュゲートの合成を、1)アクリル酸などの活性化ポリマー、および連結を形成させることができる位置をその上に有するRNAi剤を含む担体もしくはコーティング成分を提供すること;2)1,3-ジイソプロピルカルボジイミドもしくは任意の好適なジアルキルカルボジイミド(Sigma Chemical)などのカップリング試薬、およびジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、塩化メチレン、クロロホルムもしくはDMFなどの不活性溶媒中で、RNAi剤の相補的置換基と担体コーティング成分とを反応させることにより、達成する。代替的な特異的合成は、当業者には容易に利用可能である(例えば、Greenwaldら、米国特許第5,880,131号を参照)。
当業者であれば、本発明を実施するのに有用な化合物の合成において、所望の反応を分子の他の部分上で実施しながら、出発化合物および中間体上の種々の反応性官能基を保護する必要があるかもしれないことを理解できる。所望の反応を完了させた後、または任意の所望の時点で、通常はそのような保護基を、例えば、加水分解手段または水素化分解手段により除去することができる。そのような保護および脱保護工程は、有機化学における従来技法である。当業者は、本発明の化合物の調製において有用であり得る保護基の教示のために、Protective Groups in Organic Chemistry, McOmie(編), Plenum Press, NY, N.Y. (1973);およびProtective Groups in Organic Synthesis, Greene(編), John Wiley & Sons, NY (1981)を参照する。
RNAi剤の送達
本発明のRNAi発現構築物およびRNAi剤を、in vitroもしくはex vivoで標的細胞に導入した後でそれを患者に入れて治療を行うか、またはin vivo投与により患者に直接的に投与することができる。標的細胞を、臍帯血、骨髄、末梢血または当業界で公知の幹細胞を取得するための任意の他の方法から取得することができる。
最も一般的なトランスフェクション試薬は、細胞膜を横断することができる荷電した親油性化合物である。これらをRNAi剤と複合体化する場合、これらは細胞膜を横切ってRNAi剤を運搬するように働くことができる。多数のそのような化合物が商業的に入手可能である。ポリエチレンイミン(PEI)は、親油性化合物と類似する様式で働くが、それらが核膜をも横断することができるという利点を有する親油性化合物とは化学的に異なるクラスのトランスフェクション試薬である。そのような試薬の例は、ExGen 500 (Fermentas)である。本発明に従う構築物または合成遺伝子を、標的細胞中への送達のために合成リポソームまたはミセル内の線状断片としてパッケージングすることができる。
本発明の方法にとって有用な別の送達方法は、Davisらの米国特許第6,509,323号に記載のCyclosert(商標)技術の使用を含む。Cyclosert(商標)技術プラットフォームは、シクロデキストリンとして知られるグルコースのカップ型環状反復分子に基づく。シクロデキストリン分子の「カップ」は、Cyclosert(商標)ポリマーを他の部分と結合させて、安定性を増強するか、または標的化リガンドを付加することができる、他の分子との「封入複合体」を形成し得る。さらに、一般的には、シクロデキストリンはヒトにおいては安全であることが判明しており(目下、個々のシクロデキストリンは、FDAに認可された経口およびIV薬剤中で可溶性を増強している)、低費用で大規模に医薬品等級で購入することができる。これらのポリマーは、反復投与した場合でさえ、治療用量で極端に水に可溶性であり、非毒性的であり、および非免疫原性である。このポリマーを、リポソームより有意に高量であってよい薬剤負荷量で様々な低分子治療剤を担持するように容易に適合させることができる。
組成物を、マイクロインジェクションまたは筋肉内ジェットインジェクションにより注入することもできる(例えば、Furthら、Anal. Biochem., 205: 265-368 (1992)により記載のように)。投与の別の経路は、裸の遺伝子構築物、薬剤または合成遺伝子の水性製剤を、通常はDNase阻害剤と共に調製し、患者の血管系に投与する流体力学系である。
全身投与は、経粘膜または経皮的手段によるものであってもよい。経粘膜または経皮投与のためには、浸透させようとする障壁にとって好適な浸透剤を、前記製剤中で用いる。そのような浸透剤は、当業界で一般的に知られており、例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜または経皮投与のための活性化合物を、当業界で一般的に知られるような軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、またはクリーム中に製剤化する。
前記化合物を、限定されるものではないが、McCaffreyら、Nature 418:38-39, 2002 (水力学的トランスフェクション); Xiaら、Nature Biotechnol, 20:1006-1010, (2002) (ウイルスを介する送達);またはPutnam, Am. J. Health Syst. Pharm. 53:151-160, (1996), Am. J. Health Syst. Pharm. 53:325, (1996)での訂正表に記載の方法などの当業界で公知の方法を用いるトランスフェクションまたは感染により投与することもできる。
前記化合物を、核酸薬剤の投与にとって好適な任意の方法により投与することもできる。これらの方法としては、限定されるものではないが、遺伝子銃、バイオインジェクター、マイクロカプセル化および皮膚パッチ、ならびに、米国特許第6,194,389号に開示されたマイクロ粒子DNAワクチン技術などの針を用いない方法、および米国特許第6,168,587号に開示された粉末形態ワクチンを用いる哺乳動物の経皮的な針を用いないワクチン接種が挙げられる。
一実施形態においては、本発明の核酸薬剤を、埋め込みおよびマイクロカプセル化された送達系を含む制御放出製剤などの、体からの迅速な排出に対して前記化合物を保護し得る担体と共に調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性で生体適合性のポリマーを用いることができる。そのような製剤を、標準的な技術を用いて調製することができる。その材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に取得することもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いて感染細胞に標的化されたリポソームなど)を、製薬上許容し得る担体として用いることもできる。これらを、例えば、米国特許第4,522,811号に記載のものなどの当業者には公知の方法に従って調製することができる。
そのような化合物の毒性および治療効力を、例えば、LD50(50%の集団に対して致死的な用量)およびED50(50%の集団において治療上有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準的な製薬手法により決定することができる。毒性作用と治療作用の間の用量比が治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物を用いることもありうるが、罹患組織の部位に対してそのような化合物を標的化する送達系を設計して、非感染細胞に対する潜在的な損傷を最小化し、それによって副作用を減少させるように注意を払うべきである。
米国特許第5,985,847号および第5,922,687号に記載の動物細胞へのDNAおよびRNA構築物の送達のための技術を適用することもできる。これらの2つの明細書の内容全体は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
ポレーション技術は、角質層を一時的に破壊するために、様々な形態(高周波、レーザ、熱または音など)のエネルギーの高周波パルスを用いるものである。イオン導入と違って、ポレーション技術において用いられるエネルギーは、皮膚を横切って薬剤を輸送するためには用いられないが、その移動を容易にするということに留意するのは重要である。ポレーションは、薬剤物質が、それらが通常通過するよりも容易にかつ迅速に通過することができる「窓」を提供する。
本明細書に記載のRNAi剤を、1種以上の他の化合物もしくは分子と同時投与するか、または別の治療様式と組合せて投与することができる。「同時投与」とは、同じか、もしくは異なる経路による同じ製剤もしくは2つの異なる製剤における同時投与、または同じかもしくは異なる経路による連続投与を意味する。「連続投与」とは、2つのタイプの分子の投与の間に、秒、分、時間または日での時間差があることを意味する。これらの分子は、任意の順序で投与することができる。より具体的には、本発明は、培養などの幹細胞操作の1種以上の公知の方法を用いる本発明に従う遺伝子構築物と、サイトカインなどを含む種々の細胞増殖培地との同時投与を意図する。
本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、種々の変更を行うことができ、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、等価物を置換することができることを理解するべきである。さらに、多くの改変を行って、本発明の課題、精神および範囲に対して特定の状況、材料またはプロセスを適合させることができる。そのような改変は全て、本発明の範囲内にあることが意図される。
本明細書に引用された全ての参考文献は、本発明の理解を助けるためのものであり、限定を含まずにあらゆる目的のために、その全体が組み入れられるものとする。
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図1A、1Bおよび1Cは、本発明に係る幹細胞増殖および/または分化をモジュレートするためにRNAi剤を送達する方法の3つの実施形態の簡略化したブロック図である。 図2Aおよび2Bは、単一発現RNAiカセットの2つの実施形態を示し、図2Cおよび2Dは多重発現RNAiカセットの2つの実施形態を示す。 図3Aおよび3Bは、最初にshRNA前駆体として発現されるRNAi剤をコードする多重発現カセットの2つの実施形態を示す。 図3Cおよび3Dは、shRNA前駆体として発現されないRNAi剤をコードする多重発現カセットの2つの実施形態を示す。 図4Aは、ddRNAi剤を細胞に送達するためのウイルス粒子を製造する代替的な方法を示す。 図4Bは、ddRNAi剤を細胞に送達するためのウイルス粒子を製造する代替的な方法を示す。

Claims (12)

  1. 被験体または細胞培養物において細胞増殖を促進し、分化を阻害するための方法であって、RNAi剤を該被験体または細胞培養物に投与することを含み、かつ該RNAi剤が、幹細胞の分化および増殖に直接的もしくは間接的に関連する1以上の転写活性を有する遺伝子領域の発現を遅延、抑制、またはさもなければ減少させるものである前記方法。
  2. 1以上の転写活性を有する遺伝子領域が、WNT2 (ヒト(Homo sapiens))、Wnt2 (マウス(Mus musculus))、Wnt4 (マウス)、WNT4 (ヒト)、WIF1 (ヒト)、Wnt2 (ラット(Rattus norvegicus))、Wif1 (マウス)、Wif1 (ラット)、Wnt3a (マウス)、WNT3A (ヒト)、Tcf1 (ラット)、TCF1 (ヒト)、Tcf1 (マウス)、Tcf7 (マウス)、Tcf3 (マウス)、TCF3 (ヒト)、TCF7L1 (ヒト)、TCF4 (ヒト)、Tcf4 (マウス)、Tcf4 (ラット)、TP53 (ヒト)、Hoxb4 (マウス)、HOXB4 (ヒト)、HOXB3 (ヒト)、Notch1 (ショウジョウバエ)および(ラット)、NOTCH1 (ショウジョウバエ)および(ヒト)、Notch1 (ショウジョウバエ)および(マウス)、NOTCH2 (ショウジョウバエ)および(ヒト)、NOTCH3 (ショウジョウバエ)および(ヒト)、Notch2 (ショウジョウバエ)および(マウス)、Notch2 (ショウジョウバエ)および(ラット)、Notch3 (ショウジョウバエ)および(マウス)、NOTCH4 (ショウジョウバエ)および(ヒト)、Terf1 (マウス)、TERF2 (ヒト)、Terf2 (マウス)、TERF1 (ヒト)、POT1 (分裂酵母(S. pombe))および(ヒト)、Pot1 (マウス)、CSF3 (ヒト)、Csf3 (マウス)、STAT3 (ヒト)、CSF3R (ヒト)、Csf3r (マウス)、MYC (ヒト)、TERT (ヒト)、MYCBP (ヒト)、MAD (ヒト)、Mad (マウス)、TERC (ヒト)、TEP1 (ヒト)および(マウス)、USF1 (ヒト)および(マウス)ならびにSMRT (ヒト)および(マウス)からなる群より選択される1以上のタンパク質をコードする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記RNAi剤が、幹細胞に関連する遺伝子標的またはその誘導体、オルソログ、もしくはホモログを含むヌクレオチド配列の少なくとも一部と少なくとも70%同一であるヌクレオチド配列を含むRNA分子をコードするddRNAi発現カセットを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ddRNAi発現カセットが、幹細胞に関連する遺伝子標的またはその誘導体、オルソログ、もしくはホモログを含むヌクレオチド配列の少なくとも一部と少なくとも70%同一であるヌクレオチド配列を含む2以上のRNA分子をコードする、請求項3に記載の方法。
  5. 前記RNAi剤が、幹細胞に関連する遺伝子標的またはその誘導体、オルソログ、もしくはホモログを含むヌクレオチド配列の少なくとも一部と少なくとも70%同一であるヌクレオチド配列を含むRNA分子をコードするsiRNAiを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記幹細胞が、造血幹細胞、筋芽細胞、骨芽細胞、神経幹細胞、および胚性幹細胞からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記RNAi剤を、ウイルス送達系により前記被験体または細胞培養物に投与する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記RNAi剤の投与が細菌ベクターを用いることを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記RNAi剤の投与がミニサークルを用いることを含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記RNAi剤の投与が、in vitroまたはex vivoで前記RNAi剤を細胞に送達した後、該細胞を動物被験体に導入することを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 幹細胞の分化および増殖に直接的または間接的に関連する1以上の転写活性を有する遺伝子領域の発現を遅延、抑制、またはさもなければ減少させるddRNAi剤を発現するddRNAi発現カセットを含む、遺伝的に改変された細胞。
  12. 幹細胞の分化および増殖に直接的または間接的に関連する1以上の転写活性を有する遺伝子領域が、WNT2 (ヒト)、Wnt2 (マウス)、Wnt4 (マウス)、WNT4 (ヒト)、WIF1 (ヒト)、Wnt2 (ラット)、Wif1 (マウス)、Wif1 (ラット)、Wnt3a (マウス)、WNT3A (ヒト)、Tcf1 (ラット)、TCF1 (ヒト)、Tcf1 (マウス)、Tcf7 (マウス)、Tcf3 (マウス)、TCF3 (ヒト)、TCF7L1 (ヒト)、TCF4 (ヒト)、Tcf4 (マウス)、Tcf4 (ラット)、TP53 (ヒト)、Hoxb4 (マウス)、HOXB4 (ヒト)、HOXB3 (ヒト)、Notch1 (ショウジョウバエ)および(ラット)、NOTCH1 (ショウジョウバエ)および(ヒト)、Notch1 (ショウジョウバエ)および(マウス)、NOTCH2 (ショウジョウバエ)および(ヒト)、NOTCH3 (ショウジョウバエ)および(ヒト)、Notch2 (ショウジョウバエ)および(マウス)、Notch2 (ショウジョウバエ)および(ラット)、Notch3 (ショウジョウバエ)および(マウス)、NOTCH4 (ショウジョウバエ)および(ヒト)、Terf1 (マウス)、TERF2 (ヒト)、Terf2 (マウス)、TERF1 (ヒト)、POT1 (分裂酵母)および(ヒト)、Pot1 (マウス)、CSF3 (ヒト)、Csf3 (マウス)、STAT3 (ヒト)、CSF3R (ヒト)、Csf3r (マウス)、MYC (ヒト)、TERT (ヒト)、MYCBP (ヒト)、MAD (ヒト)、Mad (マウス)、TERC (ヒト)、TEP1 (ヒト)および(マウス)、USF1 (ヒト)および(マウス)ならびにSMRT (ヒト)および(マウス)からなる群より選択される1以上のタンパク質をコードする、請求項11に記載の遺伝的に改変された細胞。
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