JP2008523090A - 新生児肺高血圧症の治療のための方法および組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、新生児持続性肺高血圧症(PPHN)への治療的介入のための新規な方法及び組成物を指向する。さらに具体的には、本明細書は、BH4を含む組成物を用いた、種々の種類のPPHNを治療するための方法及び組成物を記載する。BH4とそのほかの治療計画の併用療法が企図される。本発明により、正常より低い動脈血酸素分圧(PaO)を有する乳児を治療する方法が提供され、この方法は、テトラヒドロビオプテリン(BH4)又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物を前記対象に投与することを含み、BH4の投与が、BH4の投与の非存在下でのPaOに比べて乳児のPaOを高めるのに有効な量で投与される。

Description

(発明の分野)
本発明は一般に、新生児の呼吸器疾患の治療的介入を指向する。さらに詳しくは、本発明は、新生児持続性肺高血圧症(PPHN)の治療のための方法及び組成物を指向する。
(関連技術の背景)
胎児の循環から出生後の循環への移行は、4つの段階で生じる:(1)出生前、子宮内段階にある間、胎児の肺血管抵抗は、胎児の肺を介した血流をほとんど生じない体血管抵抗に比べて相対的に高い。代わりに高い肺血管抵抗は、卵円孔(左右の心房の間の開口部)及び動脈管開存(肺動脈を大動脈に接続する血管)を介して血液を肺から、抵抗の低い体循環及び胎盤循環に迂回させる。(2)第2の即時段階は、誕生後1分もたたないうちに生じる。出生時、胎盤循環が除かれ、体循環抵抗が上がり、左心室と左心房の血圧上昇をもたらし、そのことが卵円孔を閉鎖するのを助ける。通気の際、肺胞における酸素分圧及び動脈の血圧は上昇し、それによって血管収縮を緩和し、続いて肺血管抵抗を体血管抵抗より低く下げる。動脈の酸素負荷の増加は、動脈管開存を閉鎖することも助ける。全体的な結果は、肺への血流の移動であり、血液の酸素負荷に必須である空気に満たされた臓器への肺の転換である。(3)迅速段階は、出生後12〜24時間で生じ、内因性の血管拡張剤、プロスタサイクリン及び一酸化窒素(NO)の産生による肺血管抵抗の最大の低下を特徴とする。プロスタサイクリンは、肺のリズミカルな膨張に反応して産生される。プロスタサイクリンを阻害する、アスピリン及びたとえば、インドメタシンのような非ステロイド系抗炎症剤の母親による用量が、新生児において新生児持続性肺高血圧症(PPHN)の進行を招く可能性がある。NOは、肺脈管構造の広がり、換気量、酸素負荷の増加及び肺液のクリアランスを含む種々の因子に反応して放出される。(4)最終段階は、肺血管の筋肉組織のリモデリングに関与し、終末細気管支に伸びる完全に筋肉化された動脈は、出産後数日以内に厚さが減る(非特許文献1)。
新生児持続性肺高血圧症(PPHN)は、肺血管抵抗における出生後の正常な低下の破綻の結果生じ、胎児性流路を横切る持続性の右から左へのシャント及びその結果の低酸素症に関係する(非特許文献2)。PPHNはまた、持続性胎児循環、持続性移行循環、持続性肺血管障害又は肺血管痙攣としても知られる(非特許文献3)。PPHNは通常、正期産児及び過期産児又は早産児(妊娠週令37〜41週)で見られ、出生後最初の12〜24時間以内に発生する。心エコー検査によってPPHNの正確な診断が提供され、先天性心臓疾患の疑いが排除され、肺動脈圧が規定され、動脈管開存及び卵円孔を介したシャントが特徴付けられ、心室の拍出が規定される(非特許文献4)。PPHNは、1000人の生存出生のうち1〜6人の赤ん坊に生じ、満期産児及び満期に近い産児における罹患率(15〜25%は神経上の障害)及び死亡率(20〜50%)の主な原因である(非特許文献5)。一次PPHN、二次PPHN及び肺形成不全と関係するPPHNを含めて3種のPPHNがある。
一次PPHNは、出生直後に現れ、臨床的にも放射線医学的にも正常な肺を持つ赤ん坊における低酸素症を特徴とする。一次PPHNは、肺内皮の血管拡張機構の一次機能不全が原因で生じる可能性がある。この形態のPPHNは普通、起源が特発性であり、母親の糖尿病、母親の高血圧、妊娠の延長、管の早期閉鎖を生じるプロスタグランジンの母親による摂取、多血症、胎児の貧血及び管の早期閉鎖を含む妊娠の種々の合併症に関連してもよい(非特許文献4;非特許文献6)。二次PPHNは、肺の実質組織における疾患に対して二次的に生じる。二次PPHNの乳児では、肺の血管収縮が結果として低酸素症、アシドーシス及び換気圧により生じる(非特許文献4;非特許文献6;非特許文献7)。二次PPHNは、胎便吸引、B群連鎖球菌性肺炎、敗血症、呼吸窮迫症候群及び重度の肺胞硝子膜症を含む種々の呼吸器疾患から生じてもよい。肺の形成不全に関係するPPHNは、横隔膜ヘルニア又は羊水過少症とともに見られることが最も多い。それは、肺毛細血管の数の解剖学的な減少を特徴とする(非特許文献1)。この種のPPHNは、二次PPHNの分類のもとに含まれることが多い。
PPHNの治療の目的は:(1)恒常性を維持すること、(2)アジュバント療法を提供すること、(3)肺動脈圧を下げるために特定の療法を提供することである。恒常性の維持には、低酸素症、アシドーシス、低体温症、多血症、低血糖症、低カルシウム血症及び低マグネシウム血症を含む、PPHNの素因となる因子の是正が関与する。アジュバント療法は、鎮痛、麻痺、感染の治療、栄養補給及び新生児の最少限の取り扱いから成る。特定の療法は、適切な酸素負荷を維持することをに向けられる。
PPHNを治療することの第一義的目的の1つは、正常な動脈酸素レベル及び生体の臓器への正常な酸素送達を維持することである。2つの最も強力な天然の血管拡張剤は、酸素と肺の膨張である。酸素の供給は、動脈酸素レベルを維持し、肺の血管拡張剤として作用するであろう。動物のデータによって、120mmHg前後のpOにて最適な肺の血管拡張が生じることが示唆されている。成人では、正常な血液ガスの値は、pH7.35〜7.45、PaCO:35〜45mmHg、PaO:75〜100mmHg、HCO :20〜26mEq/L、塩基過剰:−2〜+2mEq/L及びO飽和:94〜100%である。新生児の正常な動脈血ガスの値は、pH7.35〜7.45、PaCO:35〜45mmHg、PaO:50〜70mmHg(正常産児)、及び45〜65mmHg(早生児)、HCO :22〜26mEq/L、塩基過剰:−2〜+2mEq/L及びO飽和:92〜94%である(Askin,Neonatal Network 16(6):23−29(1997))。ヘマトクリットは40%を超えて維持されるべきである。
従来の人工呼吸は呼吸支援の頼みの綱であり、300mls/kgを超える高い分時拍出量での人工呼吸を必要とする。PPHNの治療では低い吸気圧ピークで時間設定圧限定の人工呼吸(TCPLV)が使用され、経皮モニターによるPaOとPaCOのモニタリングを必要とする。換気亢進は、肺の血管拡張を促進するのに役立つ。呼吸アルカローシスは、肺動脈圧を体血液圧よりも低いレベルに低下させ、それによって酸素負荷及びシャントの閉鎖を改善する。pHレベルは7.55で、PaCOは25〜30mmHgの間で維持されなければならない。換気亢進の短所は、パンクロニウム及びモルヒネのような筋肉弛緩剤及び鎮痛剤を投与する必要性を求める、肺の損傷及び乳児の動揺を引き起こす可能性があることである。換気亢進(1分間に100回を超える呼吸数及び臨界PaCOを達成するピーク圧)は、気圧性外傷、難聴及び不利な神経発達予後の高い発生率と関連する。PPHNは、換気亢進なしで上手く管理されてきた(Marron,ら,Pediatr90(3):392−6(1992);Wung,ら,Pediatr.76(4):488−94(1985))。重炭酸ナトリウム又はトリス(ヒドロキシ−メチル)アミノメタン(THAM)のようなアルカリ化剤が有用であってもよい。重炭酸ナトリウムの長期使用及び高い用量は、高ナトリウム血症と関連する可能性があり、THAMの浸潤は重篤な外傷を引き起こす可能性がある。
高周波振動人工呼吸(HFOV)は、重篤な低酸素呼吸不全の赤ん坊で従来の人工呼吸より良好な酸素負荷を提供し、二次PPHNに有効である(非特許文献2)。高周波人工呼吸を使用してPPHNを効果的に管理することができ、体外膜型酸素供給(ECMO)の必要性を低下させることができる。しかしながら、HIFIは、脳室内出血及び脳室周囲白質軟化症の発生の増加に関連している。
体外膜型酸素供給(ECMO)は、肺を休めることができる心肺支援の形態であり、膜型人工肺を介して血液が送り込まれるのにつれてガス交換が生じる。ECMOは、酸素飽和指数が40より大きい赤ん坊の死亡率を有意に減らすことが示されており、吸入させた一酸化窒素及びHFOVに反応しない乳児で考慮されるべきである(Lancet 348:75−82(1996))。それは、重篤な低酸素血症の呼吸不全の乳児期での救助療法として使用されている。生存の可能性20%未満とみなされた重篤なPPHNの乳児が、ECMOで治療された場合、80%を超える生存率だった。体外生命維持機構で報告されているように12,000人を超える新生児がECMOで治療されてきた。ECMOは、胎便吸引を経験した乳児で使用されることが最も多い。ECMO治療に関連する合併症には、脳梗塞、脳出血及び発作が挙げられる(Kanto,Pediatr.124(3):335−47(1994);Wilson,ら,J.Pediatr.Surg.31(8):1116−23(1996))。
全身の血圧を維持し、心拍出を高めるためにPPHNの乳児に、筋収縮剤、ドーパミン及びドブタミンが投与されている。
血管拡張剤は、肺動脈圧を下げるのに使用されている。トラゾリン及びプロスタサイクリンは、全身性の血管拡張剤であり、全身性の低血圧を引き起こす可能性があるが、一次PPHNで酸素負荷の増大を生じることが示されている(Eronen,ら,Pediatr.Cardiol.18:3−7(1997))。当初、多数の施設で使用された血管拡張剤、トラゾリンによる治療は、60%の反応率にしか関連せず、高率の合併症に関連し、合併症には、全身性の低血圧、乏尿症、消化管出血、十二指腸穿孔及び発作が挙げられた。血管収縮及び膜興奮性のモジュレータである硫酸マグネシウムも筋肉弛緩及び鎮痛に効果を有するが、高い用量で、低血圧及び呼吸抑制を含む合併症を引き起こした(Wu,ら,Pediatr.96:472−4(1995))。強力な直接作用型の血管拡張剤、ニトロプルシドは、新生児で上手く使用されている(Benitz,らJ.Pediatr.106(1):102−10(1985))。cGMPを不活化する酵素、ホスホジエステラーゼ5を阻害するジピラミドールは、PPHNの患者における受け入れ難い全身性の血流力学的障害に関連する(Dukarm,ら,Pediatr.Res.44(4):831−7(1998))。ニトロプルシド及びジピリダモールのような非経口の血管拡張剤の併用による治療は、評価中である(Benitz,ら,J.Perinatol.16(6):443−8(1996);Thebaud,ら,Intensive Care Med.25(3):300−3(1999))。アデノシン三リン酸によるPPHNの治療は、徐脈、低血圧又は長い出血時間のような有害な副作用なしで、PPHNの乳児6人中5人で反応を生じた(Patole,ら,74(5):345−50(1998))。
新生児期における吸入一酸化窒素NOによる治療は、1992年初めて公表され、以来、投与、疾患に関連した反応及び毒性について評価されている(I−NO/PPHN試験グループ。Pediatr 101:325−34(1998);Mercier,et al,Eur.J.Pediatr.101:325−34(1998);Mercier,ら,Eur.J.Pediatr.157(9):747−52(1998);George,et al,J.Pediatr.132:731−4(1998);Hallman,ら,J.Pediatr.132:827−9(1998))。NOは、PPHNの乳児期で選択される血管拡張剤である(Finer,Arch.Dis.Child 77:F81−4(1997))。試験によって、NOは酸素負荷を有意に改善し、ECMOによる救助の必要性を減らすことが示されている(Roberts,ら,N.Engl.J.Med.336:605−10(1997);乳児吸入一酸化窒素試験グループ、N.Engl.J.Med.336:597−604(1997))。最適な用量はおそらく10〜40ppmの間である。NOが80ppmに達すると、メトヘモグロビン及び二酸化窒素の血中濃度が上昇する(I−NO/PPHN試験グループ、Pediatr.101:325−34(1998))。NOは、さらに特異的な血管拡張剤であり、トラゾリン及びプロスタサイクリンに取って代わっている。NOに対する反応は、内在する病態生理に依存し、NOは、一次PPHNの治療に有効であることが示されている。しかしながらNOは、二次PPHNの患者の一部で無効であることが示されており、肺拡張を改善し、局所の肺拡張不全をできるだけ抑えることによってNOへの反応を補完するためにHFOVが必要とされる(Kinsella,ら,J.Pediatr.131:55−62(1997))。最大限の呼吸支援にもかかわらず、80mmHgを超えるPaOが維持できないことを特徴とする重篤な低酸素呼吸不全の乳児及び有意な(>50%)の酸素要求性及び乏しい心拍出(<150mls/kg/分)とともに全身性の血圧に近い又はそれを超える肺動脈圧の心エコー検査による証拠を持った人工呼吸されている乳児においてNOは推奨される。
Nair and Bataclan,Saudi Med.J.25(6):693−699(2004) Kinsella,らJ.Pediatr.126:853−64(1995) Geggel,ら,Clin.Perinatol.11:525−549(1983) Evans,ら,Arch.Dis.Child(1998) Pierce,Hospital Medicine 65(7):418−421(2004) Fox,ら,J.Pediatr.103:505−14(1983) Evans,ら,Arch.Dis.Child 74:F88−94(1996)
従って、重篤な有害副作用を起こさずにPPHNを治療するための一貫して有効で且つ特異的な作用剤に対するニーズが残っている。本発明はそのようなニーズに対処することを指向する。
(発明の要旨)
一般に、本発明は、新生児持続性肺高血圧症(PPHN)の治療的介入を記載する。実施態様の1つでは、本発明は、テトラヒドロビオプテリン(BH4)又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物を対象に投与することを含む、正常より低い動脈血酸素分圧(PaO)を有する対象を治療する方法を提供し、その際、BH4の投与は、前記BH4の非存在下での前記PaOに比べて前記対象のPaOを高めるのに有効である。好ましい実施態様では、本発明は、新生児持続性肺高血圧症(PPHN)を有するとして診断された対象を治療する方法を提供する。
側面の1つでは、本発明は、一次PPHNの患者の治療のための方法及び組成物を指向し、その際、対象は、臨床的にも且つ放射線医学的にも正常な肺で低酸素血症を呈する。一次PPHNは、肺内皮血管拡張機構における一次機能不全が原因で生じ、母親の糖尿病、母親の高血圧、妊娠の延長、及び母親のインドメタシン、多血症、胎児の貧血及び管の早期閉鎖を含む妊娠の合併症を含むが、これらに限定されない種々の症状、障害及び疾患に関連してもよい。別の側面では、本発明は、肺の実質組織における疾病に二次的に生じる二次PPHNの対象を治療するための方法及び組成物を指向する。二次PPHNは、低酸素、アシドーシス及び高い換気圧からの肺の血管収縮の結果生じてもよい。二次PPHNは、胎便吸引、肺炎及び重篤な肺胞硝子膜症を含むが、これらに限定されない種々の呼吸器障害に関連してもよい。さらなる側面では、本発明は、横隔膜ヘルニア及びそのほかの形態の肺形成不全に関連するPPHNの対象を治療するための方法及び組成物を指向する。
好ましい実施態様では、対象は、早期産児(妊娠週令37週未満)、正期産児(妊娠週令37〜42週の間)又は過期産児(通常の9ヵ月又は280日の妊娠よりも2週間以上たって生まれた)であり、(1)100%O(高酸素試験)に置いた場合の50mmHg未満及び/又は15mmHgを超える、管前動脈血ガスと管後動脈血ガスのPaOの差異のPaO;或いは(2)100%Oで手動人工呼吸器でPaCOが20〜25mmHgに達するまで乳児の肺を過剰に拡張させた(高酸素−過剰換気試験)場合、100mmHgのPaO;或いは(3)高酸素−過剰換気試験の対象とした場合100mmHg未満のPaO及び心エコー検査で正常なエコー、或いは(4)0.50を超える右心室比及び0.38を超える左心室比を示す。最も好ましい実施態様では、乳児はPPHNと診断される。
本発明は、PaOの上昇を生じるのに有効な量でBH4を前記対象に投与することを含むPPHNを有する対象を治療する方法を企図する。好ましい実施態様では、BH4の投与は、PPHNの乳児にてPaOを45mmHgより上に高める。さらに好ましい実施態様では、BH4の投与は、PPHNの乳児にてPaOを約45〜120mmHgの間、さらに好ましくは50〜100mmHgの間に高める。
BH4は、約0.1mg/kg〜約30mg/kgの間の量で投与される。BH4は、1日単回用量又は1日複数回用量で投与されてもよい。一部の実施態様では、BH4療法は連続的ではないが、PaOが45mmHgより高く維持される、さらに好ましくは約45〜120mmHgの間、最も好ましくは50〜100mmHgの間で維持されるまで、BH4が投与される。PaCOのレベルは、25〜45mmHg、最も好ましくは35〜45mmHgの範囲内で、正常〜低いレベルで維持されるべきである。動脈血のpHは、pH7.35〜7.55の間、最も好ましくは、pH7.35〜7.45の間であるべきである。酸素飽和度は、92〜100%の間、さらに好ましくは94〜99%の間、最も好ましくは95%より高く維持されるべきである。好ましくは、対象のPaOが連続を基本にモニターされ、BH4が投与される場合、PaOにおける10mmHg又は20%の上昇が認められる。
室温で8時間を超えて安定である、BH4の安定化され、結晶化された形態、薬学上許容可能なキャリア、希釈剤又は賦形剤を含む組成物も企図される。ほかの実施態様では、BH4組成物は、特殊調製粉乳の一部である。好ましくは、投与されるBH4は、非結晶化の安定化BH4よりもさらに大きな安定性を有するBH4の安定化された結晶化形態である。さらに好ましくは、BH4の安定化された結晶化形態は、少なくとも99.5%の純粋な6R BH4を含む。ジヒドロビオプテリン(BH2)及びセピアプテリンのような誘導体も投与してもよい。BH4は経口で投与してもよい。
BH4は、単独で、又は、恒常性を維持するために使用される作用剤及び介入、血管拡張剤のような適切な酸素負荷を提供するアジュバント療法及び特定の療法を含むが、これらに限定されないPPHNを治療するのに現在使用されているそのほかの治療剤若しくは治療的介入との併用のいずれかで、筋肉内に、皮下に、又は静脈内に、肺内投与を介して投与してもよい。低酸素症、アシドーシス、低体温症、多血症、低血糖症、低カルシウム血症及び低マグネシウム血症を含むPPHNの素因となる因子を是正するように恒常性を維持するためにそのような治療剤若しくは治療的介入が使用できる。そのようなアジュバント療法には、鎮痛及び麻痺を誘導する、感染を治療する及び栄養的支援を提供する作用剤及び介入が挙げられるが、これらに限定されない。酸素負荷を改善し、それによって肺血管抵抗を減らすことを指向するそのような特定の療法には、高周波人工呼吸、体外膜型酸素供給(ECMO)、並びにトラゾリン、硫酸マグネシウム、ニトロプレシド、プロスタサイクリン、ジピラミドール、アデノシン三リン酸、吸入NO及び一酸化窒素合成酵素の活性を高めることに関連する因子を含むが、これらに限定されない血管拡張剤が挙げられてもよい。
本発明は、結晶多形体形態A、結晶多形体形態B、結晶多形体形態F、結晶多形体形態J、結晶多形体形態K、結晶水和物形態C、結晶水和物形態D、結晶水和物形態E、結晶水和物形態H、結晶水和物形態O、溶媒和物結晶形態G、溶媒和物結晶形態I、溶媒和物結晶形態L、溶媒和物結晶形態M、溶媒和物結晶形態N及びこれらの組み合わせから成る群から選択される1以上の結晶形態のBH4を投与することを企図する。
そのほかの実施態様では、BH4は、任意で且つ同時に葉酸前駆体、葉酸及び葉酸誘導体を含む葉酸と共に投与されてもよい。そのような葉酸には、テトラヒドロ葉酸、5−ホルミル−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5,10−メチレン−(6R)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5,10−メテニル−(6R)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、10−ホルミル−(6R)−テトラヒドロ葉酸、5−ホルムイミノ−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、及び前述の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。さらなる実施態様では、BH4は、任意で且つ同時にアルギニンと共に投与されてもよい。
本発明のそのほかの特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、この詳細な説明から、本発明の精神及び範囲の中にある種々の変更や修正が当業者に明らかになるので、詳細な説明及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施態様を指す一方で、説明のみの目的で提示されることが理解されるべきである。
(発明の詳細な説明)
新生児持続性肺高血圧症(PPHN)
上述のように、新生児持続性肺高血圧症(PPHN)は、肺血管抵抗における出生後の正常な低下の破綻の結果生じ、胎児性流路を横切る持続性の右から左へのシャント及びその結果の低酸素症に関係する(Kinsella,らJ.Pediatr.126:853−64(1995))。PPHNは、正期産児(妊娠週令37〜42週の間)及び過期産児(通常の9ヵ月又は280日の妊娠よりも2週間以上たって生まれた)で生じることが最も多く、出生後最初の12〜24時間に進行する。PPHNは心エコー検査で最も正確に診断され、それによって先天性心臓疾患を除外し、肺動脈圧を定義し、動脈管開存及び卵円孔を介したシャントを特徴付け、心室の拍出を定義することができる(Evans,ら,Arch.Dis.Child(1998))。PPHNは、一次、二次又は肺形成不全に関係するものとして分類されてもよい。一次PPHNの乳児は臨床的にも放射線医学的にも正常な肺を有するが、二次PPHNは肺実質組織の疾病に関連する。一次PPHNは、肺内皮の血管拡張機構の一次機能不全が原因で生じる可能性があるが、二次PPHNにおける肺の血管収縮は、低酸素症、アシドーシス及び高い換気圧の結果生じる(Evans,ら,Arch.Dis.Child(1998);Fox,ら,J.Pediatr.103:505−14(1983);Evans,ら,Arch.Dis.Child 74:F88−94(1996))。一次PPHNは普通、起源が特発性であり、母親の糖尿病、母親の高血圧、妊娠の延長、管の早期閉鎖を生じるプロスタグランジンの母親による摂取、多血症、胎児の貧血及び管の早期閉鎖を含む妊娠の種々の合併症に関連してもよい(Evans,ら,Arch.Dis.Child(1998);Fox,ら,J.Pediatr.103:505−14(1983))。二次PPHNは、胎便吸引、B群連鎖球菌性肺炎、敗血症、呼吸窮迫症候群及び重度の肺胞硝子膜症を含む種々の呼吸器疾患から生じてもよい。肺の形成不全に関係するPPHNは、肺毛細血管の数の解剖学的な減少を特徴とする(Nair and Bataclan,Saudi Med.J.25(6):693−699(2004))。
臨床診断
PPHNの乳児は、1分及び5分で5以下のアプガー指数を有してもよく、出生時チアノーゼが存在し、最初の12〜24時間以内に徐々に悪化してもよい。一次PPHNの症状には、出生後早期におけるある程度の呼吸困難を伴ったチアノーゼ、チアノーゼ性の先天性心疾患との類似、X線における透明な又は最少限不透明な肺野、種々の程度の低酸素及び正常な又は低いpCOが挙げられる。二次PPHNの症状には、主として呼吸困難及びX線での肺実質の不透明さが挙げられる。双方の種類のPPHNでは、患者は、顕著な前胸部インパルス、三尖弁閉鎖不全の低い傍胸骨雑音及びX線での大きな心臓の影を呈してもよい。
高酸素試験
PPHNを有することが疑われた乳児は、10分間、100%の酸素フードに置かれる。PaOが100mmHgを超えていれば、肺実質の疾病を疑う。PaOが50〜100mmHgの間であれば、肺実質の疾病又は循環器疾患のいずれかを疑う。PaOが50mmHg未満であれば、右から左への固定したシャントを疑い、チアノーゼ性の先天性心疾患又はPPHNを示唆する。
管前と管後の動脈PaOの比較
右から左へのシャントが疑われた場合、100%Oにおける乳児にて管前と管後の動脈血ガスを測定する。15mmHgを超えるPaOの差異は、管のシャントを裏付ける。管前測定は、右橈骨動脈又は側頭動脈から取り、管後測定は臍帯又は左足から取る。管前及び管後の動脈血酸素分圧を連続的にモニターしてシャントにおける改善を評価することができる。
高酸素−過剰換気試験
手動の人工呼吸器及び100%のOにてPaCOが20〜25mmHgの間に達するまで乳児の肺を過剰拡張させる。過剰拡張でPaOが100mmHgであれは、PPHNを疑う。過剰拡張でPaOが100mmHg未満であれば、先天性心疾患又はPPHNのいずれを疑ってもよく、それに続く心エコー検査を用いて、先天性心疾患(エコーが異常)又はPPHN(エコーは正常)の確定診断を提供することができる。
心エコー検査による診断
心エコー検査による診断は、PPHNの正確な診断を提供し、先天性心疾患を除外することができる。心エコー検査は、三尖弁閉鎖不全又は動脈管シャント速度、動脈管及び卵円孔を介したシャントの存在、程度及び方向、並びに心室拍出を用いて肺動脈圧を規定する。前駆出期(PEP)及び駆出時間(ET)は、左右の心室性能の評価を提供する。PPHNは、高い肺動脈圧及び高い肺血管抵抗による延長した右心室のPEP/ET比に関連する。出生直後、左右の心室のPEP/ET比が測定されれば、PPHNを早期に同定することができる。0.5を超える右心室定量及び0.38を超える左心室定量を持つ乳児は、出生後10〜30時間以内にPPHNを発生させた。
心臓カテーテル法
肺動脈圧をモニターすることによってPPHNの乳児を診断するのに心臓カテーテル法が使用されているが、それは外傷性であり、あまり侵襲性でない手段に置き換えられているので推奨されない。
治療計画の経過中ずっと、都合の良い間隔(たとえば、連続的に、毎日、一日おきに、週ごとに)で患者の動脈血酸素分圧をモニターすることが企図される。そのような規則性で動脈血酸素分圧をモニターすることのよって、臨床医が治療の有効性を評価し、それに応じてBH4の要件を調整することができる。
血管拡張における一酸化窒素(NO)の役割
肺内皮は、血管緊張の適応及び調節に重要な役割を担っている。一酸化窒素は、血圧及び血管緊張の調節において鍵となる生理的役割を担う血管内皮細胞によって構成的に産生されている。一酸化窒素の生物活性の欠損は、冠状動脈疾患、冠状動脈、頚動脈、脳動脈又は末梢動脈を含む動脈のアテローム性硬化症、虚血−再潅流の損傷、高血圧、糖尿病、糖尿病性の血管障害、循環器疾患、末梢血管疾患を含む血管系の機能不全、又は虚血及び/又は炎症に起因する神経変性症状、たとえば、卒中の病態形成に関与し、病態形成が、内皮の損傷、臓器や組織への酸素の不足、高い体血管抵抗(高血圧)、血管平滑筋の増殖、血管狭窄(狭くなること)及び炎症の進行を含むように関与する。血管内皮の中で、一酸化窒素合成酵素(NOS)によりI−アルギニンから、平滑筋弛緩剤、内皮一酸化窒素(eNO)が合成される。eNOは、静止している血管緊張を緩和し、それによって肺動脈圧を下げる。さらに具体的には、eNOは、グアニル酸シクラーゼを活性化することにより平滑筋細胞を弛緩させ、それによって、環状グアノシン3’、5’−環状一リン酸(cGMP)の濃度を高め、動脈の平滑筋の弛緩を導く一連の事象を誘因する(Gao ら,Circulation Research 76:559−565(1995),その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。cGMPのシグナル伝達メカニズムは、3’、5’−環状ヌクレオチドを代謝するホスホジエステラーゼによって制御される。
そのほかの研究によってNOが肺の血管収縮で役割を担っていることが見い出された(Ogata,ら,Am J Physiol 262:H691−H697(1992);Carville ら,J Cardiovasc Pharmacol 22(6):889−896(1993);Kovitz ら,Am J Physiol 265:H139−H148(1993);及びVillamor ら,Biol Neonate 72(1):62−70(1997)、それぞれ、その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。また、一部の研究では、NOの生物利用性を変調する際のスーパーオキシドアニオン(O )の役割が示され、O は、NOと反応してONOO(ペルオキシ亜硝酸)を形成し、NOの血管拡張活性を妨害する。ここで、NOの生物利用性を維持し、内因的に産生されるO の破壊的作用からそれを保護するのにO の捕捉酵素、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)が重要である(Villamor ら,Pediatric Research 54:372−381(2003);Wedgwood ら,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 288(3):L480−L487(2005)、及び、Wedgwood ら,Am J.Physiol Lung Cell MolPhysiol 289(4):L660−L666(2005);その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。そのほかの研究は、新生児のNOレベルに影響を及ぼし、PPHNを制御する手段としてのPDE阻害剤に着目した(Bassler らBiol.Neonate 89(1):1−5(2005);Juliana らEur J Pediatr 164(10):626−629(2005);その全体を参照によって本明細書に組み入れる)。その上、ほかのアプローチは、上述のような、eNO活性の上流のエフェクターであるグアニル酸シクラーゼ(Deruell ら,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 289(5):L798−L806(2005);その全体を参照によって本明細書に組み入れる)のモジュレータを検討した。
PPHNは、血管収縮性の因子と血管拡張性の因子の不均衡の結果生じてもよい。メカニズムの1つは、肺の脈管構造の低酸素に対する異常な反応によって弛緩できなくなることであってもよい。別のメカニズムが、血管作用性のメディエータのレベルの変化であってもよい。Vosatkaら(Biol.Neonate 66(2−3):65−70(1994))は、PPHNの乳児におけるアルギニンの欠乏及びアルギニンの代謝が、低酸素の新生児のNOへの異なる反応に役割を担っている可能性があることを報告した。血管収縮剤である、エンドセリン−1の濃度は、PPHNの新生児で上昇し、吸入NOで調節されるが、cGMPの血漿濃度は、PPHNの乳児では低下した(Rosenberg,ら,J.Pediatr.123(1):109−14(1993);Christou,ら,J.Pediatr.130:603−11(1997);Kuo and Chen,Biol.Neonate 76:223−34(1999))。動物モデルで肺高血圧を起こす、内因性のリン脂質メディエータである血小板活性化因子は、PPHNの新生児で上昇した(Caplan,ら,Am.Rev.Resp.Dis.142(6pt1):1258−62(1990))。予備試験の1つは、内因性のNOSのmRNAは、正常産児すべてで検出されたが、PPHNの乳児の大半では顕著に存在しなかった(Villanueva,ら,Pediatr.Res.44(3):338−43(1998))。eNOS転写物の低下がPPHNの原因なのか、又は分娩ストレスの結果なのかは明らかではない。研究の1つは、強力な血管拡張剤及び抗増殖性生成物eNOの主な供給源である内皮一酸化窒素合成酵素(eNOS)は、成熟ラットでの一次肺緊張のモデルとして役立つ、遺伝子的な性質であるが、成熟フォーン・フーディッドラットで下方制御される(Tyler,ら,Am.J.Physiol.Lung Cell Mol.Physiol.276:L297−L303(1999))。肺のアデノシンのレベルは、新生児の子羊と比べた胎児子羊で、及び肺高血圧症の患者で低下していた(Kondouri,ら,Pediatrics 97:295−300(1996));Saadjian ら,Am.J.Cardiol.85:858−63(2000))。
トラゾリンやプロスタサイクリンのような全身性の血管拡張剤とは異なって、吸入NOは、ヘモグロビンによるNOの迅速な不活化に続いて肺脈管構造を選択的に拡張する。さらに重要なことに、NOは内在するPPHNの病態生理を標的とすると考えられている。研究はPPHNの子羊が、損傷された内皮に依存した肺の血管拡張、低下したNO合成酵素活性及び低下した内皮NO合成酵素遺伝子の発現を特徴とする、NO産生の下方制御を示すことを示した。PPHNのヒト乳児もまた、尿中NO代謝物の低下を示すということは、NO産生における類似した下方制御を示唆している(Ahman,ら,Clin.Invest.83:1849−1858(1989);Shaul ら,Am.J.Physiol.272(5Pt1):L1005−11012(1997))。NOに対する矛盾した反応の基礎は不確かであり、幾つかの因子及び内在するPPHNの病態生理によるものであってもよい。PPHNの子羊及び肺の異形成に関する研究は、可溶性グアニル酸シクラーゼの発現を低下させ、ホスホジエステラーゼ5の発現を増加させ、NO誘導の弛緩に介在するセカンドメッセンジャー、環状GMPのレベルを低下させる変化を示した。従って、低レベルのcGMPは、NOに対する反応の欠如の根拠であってもよい(Tzao,ら,Pediatr.Pulmonol 31:97−105(2001))。しかしながら、吸入NOとホスホジエステラーゼ阻害剤の併用療法は、断続的な成功しか示していない(Kinesella,ら,Lancet 346:647−648(1995))。
PPHNの治療で関心のある現在の領域は、筋肉弛緩のセカンドメッセンジャーである環状GMPの役割である(Steinhorn,ら,Perinatol.21(5):393−408(1997))。シルデナフィルは、cGMPを不活化する酵素、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)の選択的阻害剤であり、NOのシグナルカスケードを増幅するのに有用であってもよい(Jackson,ら,Am.J.Cardiol.83:13C−20C(1999);Dukarm,ら,Am.J.Respir.Crit.Care Med.160:858−65(1999);Weimann,ら,Anesthesiology,92::1702−12(2000);Wallis,ら,Am.J.Cardiol.83:3C−12C(1999):Wallace and Tom,,Anesth Analg.90:840−6(2000),Atz and Wessel,Anesthesiology 91:301−10(1999);Abrams,ら,Heart 84:e4−5(2000))。参照によって本明細書に組み入れられる米国特許出願公報、第2004/0127449A1号は、一酸化窒素合成酵素遺伝子を肺に導入することによって全身の血圧及び心係数に影響を及ぼすことなく、肺の血管拡張を誘導する遺伝子治療法を記載している。
テトラヒドロビオプテリン(BH4)は、NOSによるNOの生合成の補因子であり、PPHNのようなNOSの機能不全の患者に投与した場合、NOSの機能を活性化し、NO産生を増やし及び活性酸素種の産生を抑えて血管内皮細胞の障害を改善することによって、これらの疾患を防いでもよいし、又は治療してもよい。一般に肺高血圧症でのテトラヒドロビオプテリン及び/又はその誘導体の使用は、欧州特許第0908182B1、国際出願公開第WO2004/017955及びW2002/17898に記載されており、その開示を参照によって本明細書に組み入れる。しかしながら、疫学(子供及び成人を冒す)、病態生理(先天性の心臓の欠陥、結合組織の疾病、特定の薬剤、HIV感染、血液凝固、肝臓疾患、未知の原因によって引き起こされる)、臨床的提示(異常な疲れ、息切れ、胸痛、意識喪失、足首の腫脹)、診断法(胸部X−線、血中自己抗体試験、肝機能試験、心臓カテーテル、CAT走査)及び治療(プロスタサイクリン、カルシウムチャンネル遮断剤、ボセンタン、抗凝固剤、ジゴキシン、利尿剤、血栓内視摘除術、及び肺移植)に関して、肺高血圧症は、PPHNと異なる。PPHNとは異なって、プロスタサイクリンが、たとえば、全身性の低血圧のような非特異的効果を生じる場合、プロスタサイクリンは、肺高血圧症の最も有効な治療の1つである。酸素の供給は、PPHNを治療する本質的な側面であるが、肺高血圧症患者では一部で緩和及び快適さを提供するための補完療法として提供されるにすぎない(Nauser and Stites,Am.Fam.Physician 63:1789−98,1800(2001);Benistry,Circulation 106:e192−4(2002))。
本発明は、BH4の投与に基づくPPHNの医薬的介入を初めて記載する。安定化形態又はそのほかの形態の任意の種類のBH4を使用して、一次PPHN、二次PPHN、及び肺の形成不全に関係するPPHNを含む種々のPPHNの対象を含むその患者集団を治療してもよいことがさらに企図される。そのようなBH4に基づいた組成物は、単独で投与されてもよく、又はPPHNの治療に共通して使用される治療剤及び/又は介入(たとえば、人工呼吸)のいずれかとの併用で投与されてもよい。
本発明の特定の実施態様は、BH4若しくはその前駆体若しくはその誘導体を単独で含む、又は従来のPPHNの治療との併用でそれを含む組成物を対象に投与することによってPPHNを治療することを指向し、その際、BH4単独又はBH4と従来のPPHNの治療との併用での投与が、BH4単独又はBH4と従来のPPHNの治療との併用の非存在下での前記濃度に比べて、前記対象のPaOの上昇に有効である。
本発明の実施態様の1つは、正常のPaOより低い個体にそのようなPaOを正常レベルに上昇させるのに有効な量でBH4組成物を投与することを必然的に伴う。好ましい実施態様では、そのような個体はPPHNであると診断される。さらに好ましい実施態様では、そのような個体は乳児であり、そのような乳児は、早生期、すなわち、妊娠週令37週未満、妊娠週令37〜42週の間の正期、又は通常の9ヵ月若しくは280日の妊娠後2週間以上たって生まれる過期であってもよい。最も好ましい実施態様では、そのような早生期、正期、又は過期の乳児は、(1)100%O(高酸素試験)に置いた場合の50mmHg未満及び/又は15mmHgを超える、管前動脈血液ガスと管後動脈血液ガスのPaOの差異のPaO;或いは(2)100%Oで手動人工呼吸器でPaCOが20〜25mmHgに達するまで乳児の肺を過剰に拡張させた(高酸素−過剰換気試験)場合、100mmHgのPaO;或いは(3)高酸素−過剰換気試験の対象とした場合100mmHg未満のPaO及び心エコー検査で正常なエコー、或いは(4)0.50を超える右心室比及び0.38を超える左心室比を特徴とする。
動物データは、最適な肺の血管拡張は、120mmHg前後のpOで生じることを示唆している。成人では、正常は血液ガスの値は、pH7.35〜7.45、PaCO:35〜45mmHg、PaO:75〜100mmHg、HCO :20〜26mEq/L、塩基過剰:−2〜+2mEq/L及びO飽和:94〜100%である。新生児の正常な動脈血ガスの値は、pH7.35〜7.45、PaCO:35〜45mmHg、PaO:50〜70mmHg(正常児)及び45〜65mmHg(早生児)、HCO :22〜26mEq/L、塩基過剰:−2〜+2mEq/L及びO飽和:92〜94%である(Askin, Neonatal Network 16(6): 23−29, 1997)。従って、pOは理想的には、45mmHgを超えて、さらに好ましくは45〜120mmHgの間で、最も好ましくは50〜100mmHgの間で維持されるべきである。pCOのレベルは、25〜45mmHg、最も好ましくは35〜45mmHgの範囲で正常〜低レベルで維持されるべきである。動脈血のpHは、pH7.35〜7.55の間、最も好ましくは、pH7.35〜7.45の間であるべきである。酸素飽和度は、92〜100%の間、さらに好ましくは94〜99%の間、最も好ましくは95%を超えて維持されるべきである。ヘマトクリットは40%を超えて維持されるべきである。
本発明は、本明細書で記載する安定化したBH4組成物を、45mmHgを超えて、さらに好ましくは45〜120mmHgの間で、最も好ましくは50〜100mmHgの間でPaOを上昇させるのに有効な量で、PPHNであると診断された、又は(1)100%O(高酸素試験)に置いた場合の50mmHg未満及び/又は15mmHgを超える、管前動脈血圧と管後動脈血圧のPaOの差異のPaO;或いは(2)100%Oで手動人工呼吸器でPaCOが20〜25mmHgに達するまで乳児の肺を過剰に拡張させた(高酸素−過剰換気試験)場合の100mmHgのPaO;或いは(3)高酸素−過剰換気試験の対象とした場合100mmHg未満のPaO及び心エコー検査で正常なエコー、或いは(4)0.50を超える右心室比及び0.38を超える左心室比を特徴とする乳児に投与することを企図する。
当業者は、本発明が45mmHg未満のPaOの動脈血酸素分圧を持つ乳児をBH4で治療して、45mmHgを超えて、さらに好ましくは45〜120mmHgの間で、最も好ましくは50〜100mmHgの間で動脈血酸素分圧の上昇を生じさせることを企図することを理解するだろう。さらに、当初の動脈血酸素分圧の10mmHg又は20%を超える動脈血酸素分圧の上昇は、乳児のための治療計画の治療結果とみなされるであろう。
好ましい実施態様では、治療されているPPHN患者の動脈血酸素分圧は、PaO45mmHg未満である非拘束の肺動脈圧の量からPaO60mmHgを超える肺動脈圧に上昇する。当然、BH4による治療が動脈血酸素分圧のさらに小さな上昇、たとえば、PaO45mmHg〜PaO約55mmHgの間のレベルを生じても、作用剤及び介入及び有害な副作用の可能性への依存性を減らすことによってこの範囲の全身性の酸素圧を有する患者は、疾患を管理することができるので、これは、臨床的には有用な治療結果であると見られるであろう。
併用療法
本発明は、BH4を単独で、又はPPHNを治療するのに共通して使用される作用剤若しくは介入との併用で投与することによる種々の種類のPPHNの治療的介入をさらに企図する。BH4療法は、PPHNを治療するための従来の作用剤又は介入と併用してそのような乳児における動脈血酸素分圧の治療的上昇を達成してもよいことが理解されるべきである。上述のように、PPHNの治療は、恒常性を維持し、アジュバント療法を提供し、及び特定の療法を提供して肺動脈圧を低下させることを指向する。低酸素症、アシドーシス、低体温症、多血症、低血糖症、低カルシウム血症及び低マグネシウム血症を含むPPHNの素因となる因子を是正することによって恒常性を維持する。アジュバント療法は、たとえば、鎮静、麻痺のような乳児の活動及び乳児の最少限の取り扱いを減らし、同時に、たとえば、感染の治療や栄養支援のような乳児の健康を持続する作用剤又は介入を投与することから成る。特定の療法は、正常な動脈血酸素分圧レベル及び生体の臓器への正常な酸素送達を維持することを指向する。酸素を提供して動脈酸素レベルを維持し、肺の血管拡張を刺激す。PPHNを治療するのに現在使用されている従来の作用剤及び介入は上記で議論した。PPHNを管理、又は治療するのに使用される従来の介入の一部には、時間設定圧限定の人工呼吸(TCPLV)、換気亢進、呼吸器アルカローシスの誘導、高頻度振動換気(HFOV)及び体外膜型酸素供給(ECMO)が挙げられる。以前議論した補助剤の一部には、筋肉弛緩を誘導するパンクロニウム、鎮静を誘導するモルヒネ及び麻薬系薬剤、並びに心拍出を高め、全身性の血圧を維持するドブタミン及びドーパミンのような変力薬が挙げられる。血管拡張を誘導するのに様々な作用剤が使用されていることも前に詳細に議論した。PPHNを管理する及び/又は治療するのに使用される従来の血管拡張剤には、吸入一酸化窒素、トラゾリン及びプロスタサイクリン、硫酸マグネシウム、ニトロプレシド、ジピラミドール及びアデノシン三リン酸が挙げられる。
単独で、又はPPHNを管理する及び/又は治療する治療剤及び介入との併用で投与されるBH4は、必ずしも本明細書で記載される安定化されたBH4組成物である必要はない。当業者は、室温及び光の中では不安定であるBH4組成物を製造する方法に気付く。そのような組成物を用いた療法がBH4組成物の不安定性によって妨害される一方で、PPHNに罹った患者が、BH4治療と従来のPPHN療法の治療単位で治療される場合、特定の併用療法でその使用が依然として企図される。
そのような安定化されたBH4組成物を製造するための方法及び組成は、実施例2でさらに詳しく記載される。本発明の安定化BH4組成物は、室温で8時間を超えて安定であるBH4結晶を含む。本発明の方法及び組成物は、経口、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射などを含むが、これらに限定されない従来の投与経路のいずれかを介して送達されてもよい安定化BH4単独の医薬組成物を企図する。本発明の組成物はさらに、BH4組成物の安定性を延長するのを助ける抗酸化剤と併用したBH4組成物を含んでもよい。
治療で使用するためのBH4組成物
本部分では、本明細書で企図された治療において使用されてもよい組成物の議論を提供する。
米国特許第5,698,408号、同第2,601,215号、同第3,505,329号、同第4,540,783号、同第4,550,109号、同第4,587,340号、同第4,595,752号、同第4,649,197号、同第4,665,182号、同第4,701,455号、同第4,713,454号、同第4,937,342号、同第5,037,981号、同第5,198,547号、同第5,350,851号、同第5,401,844号、同第5,698,408号及びカナダ特許出願CA2420374号(それぞれ参照によって本明細書に組み入れられる)はそれぞれ、本発明の組成物として使用してもよいジヒドロビオプテリン、BH4及びその誘導体の作製方法を記載している。そのような方法を使用して本発明の治療方法で使用するためのBH4組成物を製造してもよい。
米国特許第4,752,573号、同第4,758,571号、同第4,774,244号、同第4,920,122号、同第5,753,656号、同第5,922,713号、同第5,874,433号、同第5,945,452号、同第6,274,581号、同第6,410,535号、同第6,441,038号、同第6,544,994号及び米国特許公報US2002/0187958号、US2002/0106645号、US2002/0076782号、US2003/0032616号(それぞれ参照によって本明細書に組み入れられる)はそれぞれ、種々の治療に対してBH4組成物を投与する方法を記載している。それら特許のそれぞれは、本明細書で記載されるようなPPHNの治療に適応してもよい、当業者に既知のBH4組成物を投与する方法の一般的教示を提供するので、参照によって本明細書に組み入れられる。
BH4の上記一般的な作製方法に加えて、本発明は、特に、安定化されたBH4組成物であるBH4組成物を作製すること及び使用することを企図する。好ましくは、安定化されたBH4組成物は、結晶形態である。本発明で使用するための安定化BH4組成物を作製する方法は実施例2に記載されている。そのような結晶形態は、PPHNの治療のための従来の乳児用製剤への添加剤として有用であることが判明している。結晶形態はまた、経口投与用の錠剤、粉末又はそのほかの固形物に都合よく形成されてもよい。BH4の投与の形態及び経路は以下でさらに詳細に議論される。
好ましい実施態様では、本発明の方法は、それを必要とする患者に、約10mg/kg〜約20mg/kgの間の1日用量のBH4を提供するであろう。当然、当業者は、投与によって達成される有効性に依存して上下してこの用量を調整してもよい。1日用量は、単回用量で投与してもよく、又は代替的には、適宜間をあけた間隔で複数回用量にて投与してもよい。例示となる実施態様では、1日用量は、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/1kg、19mg/kg、20mg/kg、22mg/kg、24mg/kg、26mg/kg、28mg/kg・30mg/kg、32mg/kg、34mg/kg、36mg/kg、38mg/kg、40mg/kg、42mg/kg、44mg/kg、46mg/kg、48mg/kg、50mg/kg又はそれ以上のmg/kgであってもよい。
投与されるBH4の量にかかわらず、投与が患者の動脈血酸素分圧を上記で議論した正常値に高めることが望ましい。
併用療法
本発明の特定の方法は、PPHN患者で治療成果を達成するためにBH4と従来の作用剤及び介入を併用した使用に関与する。本明細書で企図される併用療法で適当な治療成果を達成するために、一般に、所望の治療成果(すなわち、動脈血酸素分圧の上昇)を生じるのに有効な併用量でBH4組成物及び作用剤/介入を対象に投与する。この過程には、BH4組成物及び作用剤/介入を同時に投与することが関与する。単一組成物若しくは治療剤とBH4双方を含む医薬製剤を投与することによって、又は、介入を実施しながらBH4製剤を投与することによってこのことが達成されてもよい。或いは、BH4の医薬製剤(錠剤、注射又は飲料)として、作用剤/介入がほぼ同時に用量されてもよい。ほかの選択肢では、分〜時間の範囲内での間隔によってBH4の治療が作用剤/介入に先立つ又はそれに続く。作用剤/介入とBH4組成物が別々に投与される実施態様では、一般に、BH4が患者に対して依然として有利に効果を発揮できるように双方の作用剤が確実に同時にその効果を発揮するようにする。そのような例では、作用剤/介入の(前後)約2〜6時間以内にBH4を投与することが企図され、約1時間のみの遅延時間が最も好ましい。しかしながら、2つの作用剤の投与間の2〜6時間の時間枠は単に例示であって、BH4と第2の作用剤/介入の投与の間でさらに長い時間間隔、たとえば、24時間、36時間、48時間、72時間、1週間以上あってもよいことも企図される。特定の実施態様では、BH4療法は、BH4の1日用量が患者に無制限に投与される連続療法であることが企図される。
医薬組成物
本発明に従って投与するための医薬組成物は、任意で薬学上許容可能なキャリアと併用される薬学上許容可能な形態のBH4を含む第1の組成物を含むことができる。その意図される目的を達成するいかなる手段によってもこれらの組成物を投与することができる。本発明に係る組成物の投与のための量及び投薬計画は、PPHNを治療する当業者によって容易に決定することができる。上述のように、当業者は、医学的背景で現在提案されているBH4の量及び投薬計画、たとえば、NOSの活性を変調するように提案されたそれらの組成物を最初に採用すればよい。負荷試験でBH4を投与するのに使用された、記載されている手順、製剤及び投与経路のいずれかを本発明での使用のために容易に変調することができる。
本発明の範囲内の組成物は、その意図される目的を達成するのに有効な量で本発明に係るBH4、その類縁体及びその誘導体を含む組成物すべてを包含する。同様に、本発明の特定の治療方法は、PPHNを治療するのに一般に使用される作用剤及び介入に加えてBH4に基づいた組成物が投与される併用療法を企図するので、本発明の医薬組成物はまた、PPHNを治療するのに使用される従来の作用剤及び介入との併用で投与される場合、PPHNの1以上の症状の緩和を達成するのに有効な量で、少なくともBH4に基づく治療剤、その類縁体又はその同族体を含む組成物すべてを企図する。当然、緩和されてもよい最も明らかな症状は、併用療法が動脈血酸素分圧を高めることであるが、たとえば、低酸素症、1分及び5分での5以下の低いアプガー指数、チアノーゼ、頻呼吸、眼球後退、収縮雑音、混合アシドーシス、炭酸過剰、心肥大、低下した肺脈管構造、高酸素試験の対象とされる100%Oでの乳児の管前と管後の動脈血ガスの大きな差異(15mmHgを超える)、及び心エコー検査などで評価される延長した右心室PEP/ET比(0.50を超える)のようなそのほかの症状もモニターしてもよい。そのような兆候は、当業者に既知の技法を用いてモニターされる。
(6R)−L−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド塩の結晶多形体
BH4、特にBH4のジヒドロクロリド塩は結晶多形体を呈することが見い出されている。BH4の構造を以下に示す。
Figure 2008523090
BH4の(6R)型は生物学的な活性型であることが知られているが、BH4はまた、常温で不安定であることが知られている。BH4の結晶多形体の1つがさらに安定であり、常温のもとでの分解に対して安定であることが知られている。
BH4は取り扱いが難しいので、その吸湿性の性質及び酸化への感受性による物質の分解を防ぐために窒素のもとで密封されたアンプル中のジヒドロクロリド塩(スイス、ヨーナのシャークス・ラボラトリーズ)として製造され、提供される。米国特許第4、649、197号は、(6R)−と(6S)−のL−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドのジアステレオマーへの分離が、(6R、S)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの乏しい結晶性のために困難であることを開示している。欧州特許第0079574号は、中間体として固体のテトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを得るテトラヒドロビオプテリンの調製を記載している。S.Matsuuraらは、1984年のChemistry Lettersの735〜738ページ及び1985年のHeterocyclesの第23巻、12号の3115〜3120ページにて無色の針状物の形態での結晶固形物としての(6R)−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを記載し、それは、1985年のJ.Biochem.98:1341〜1348にて開示されたX線解析によって性状分析されている。6.81°の旋光度が、結晶生成物で見い出され、それは、EP−A2−0191335の実施例6における白色結晶の形態での結晶固形物で報告された6.51°の旋光度にかなり類似している。
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの開発の間で得られた結果は、該化合物が、多形体形態及び溶媒和物を含む異なった結晶形態で存在する可能性があることを示した。この領域における継続する関心は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの個々の結晶形態の調製方法及び結晶形態を提供する制御された効率的な信頼性のある結晶化条件を必要としており、それらは、好ましくは、製剤の製造及び調製において取り扱い及び加工するのに安定であり、それが容易であり、物質形態にて又は製剤化された製品として高い保存安定性を提供し、或いは、安定した形態を製造するために制御された結晶化において中間体として好適なあまり安定でない形態を提供する。
多形体形態B
最も安定であることが見い出された結晶多形体は、本明細書では「形態B」又は代替的に「多形体B」と呼ぶ。(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの研究及び開発の間で得られた結果は、調製された幾つかの周知の結晶固形物があることを明らかにしたが、誰も多形現象及びBH4結晶の安定性へのその影響を認識しなかった。
多形体Bは、やや吸湿性の無水物で、約20℃を超えた温度で最高の熱力学的安定性を持つ。さらに、形態Bは、その熱安定性、目標とされた条件による調製の可能性、その好適な形態及び粒度のために容易に加工し、取り扱うことができる。融点は260℃(ΔHF>140J/g)に近いが、融解前及び融解中に分解するために明瞭な融点は検出できない。これらの際立った特性によって多形体形態Bは、高い温度で調製される医薬適用に特に実現可能となっている。多形体Bは、0.2μm〜500μMの範囲であってもよい粒度を持つ微粉末として得ることができる。
形態Bは、8.7(vs)、6.9(w)、5.90(vw)、5.63(m)、5.07(m)、4.76(m)、4.40(m)、4.15(w)、4.00(s)、3.95(m)、3.52(m)、3.44(w)、3.32(m)、3.23(s)、3.17(w)、3.11(vs)、3.06(w)、2.99(w)、2.96(w)、2.94(m)、2.87(w)、2.84(s)、2.82(m)、2.69(w)、2.59(w)、2.44(w)にてd−値(Å)で表される粉末X線回折パターンを示す。図1は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの形態Bによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
本明細書で使用するとき、括弧内の以下の略記は:(vs)=非常に強い強度、(s)=強い強度、(m)=中間の強度、(w)=弱い強度、及び(vw)=非常に弱い強度を意味する。特徴的な粉末X線回折パターンを図1に示す。
BH4のそのほかの多形体は、製造及び製剤化の間安全に取り扱うための、並びに純粋な形態又は製剤で高い保存安定性を提供するための、満足の行く化学的及び物理的安定性を有することが見い出されている。さらに、形態B及びそのほかのBH4の多形体は、非常に大量に(たとえば、100キロの規模)で調製することができ、長時間にわたって保存することができる。
結晶形態Bを含めて結晶形態はすべて(多形体、水和物及び溶媒和物)、最も安定な多形体Bの調製に使用することができる。好適な極性溶媒及び非水性溶媒にて、たとえば、多形体Aのような、多形体形態B以外の非晶性又はそのほかの形態の懸濁液の相平衡によって多形体Bを得てもよい。従って、本明細書に記載される医薬調製物は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態Bの製剤を言う。
室温にてBH4のそのほかの形態を溶媒に分散し、多形体形態Bを生じるのに十分な時間、常温で懸濁液を撹拌し、その後、結晶形態Bを単離し、単離された形態Bから溶媒を取り除くことによってBH4のそのほかの形態を形態Bに変換することができる。本明細書で使用するとき、常温は、0〜60℃、好ましくは15〜40℃の範囲の温度を意味する。段階的に又は連続的に温度を下げることによって、処理中及び撹拌中、適用される温度を変化させてもよい。そのほかの形態から形態Bへの変換に好適な溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、そのほかのC3−及びC4−のアルコール、酢酸、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチル−t−ブチルエーテル、1、4−ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、そのほかのC3−及びC4−の酢酸、メチルエチルケトン及びそのほかのメチル−C3〜C5のアルキルケトンが挙げられるが、これらに限定されない。相平衡を完了する時間は、30時間まで、好ましくは、20時間まで、又は20時間未満である。
多形体Bは、約5%までの水を含有する溶媒混合物、特に、エタノール、酢酸及び水の混合物からの結晶化によって得てもよい。任意で高温にて、好ましくは形態Bよりも低いエネルギーの固体又は(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの形態Bを、エタノール、酢酸及び水を含む溶媒混合物に溶解し、溶液に種を加え、得られた懸濁液を冷却し、形成された結晶を単離することによって(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態Bを調製できることが見い出されている。溶解は、室温又は70℃まで、好ましくは50℃までで行ってもよい。最終的な溶媒混合物を溶解に使用してもよいし、又は、出発物質を先ず水に溶解し、次いでそのほかの溶媒を一緒に若しくは次々に加えてもよい。溶媒混合物の組成は、1:3:2〜1:9:4、好ましくは1:5:4の水:酢酸:テトラヒドロフランの容積比を含んでもよい。溶液は好ましくは撹拌される。冷却は、温度を−40〜0℃まで、好ましくは10〜30℃までに下げることを意味する。好適な種は、類似の又は同一の形態を有する別のバッチ又は結晶からの多形体形態Bである。単離の後、結晶性の形態Bをたとえば、アセトン又はテトラヒドロフランのような非溶媒で洗浄し、普通の方式で乾燥することができる。
多形体形態Bは、メタノール、エタノール及び酢酸のような非溶媒の添加を介した水溶液からの結晶化によって得てもよい。溶液を冷却することなく、室温にて結晶化及び単離の手順を有利に実行することができる。従って、この工程は工業的規模で実施するのに非常に好適である。
本明細書に記載される組成物及び方法の実施態様の1つでは、常温にて形態B以外の固体形態又は(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの形態Bを水に溶解し、懸濁液を形成するのに十分な量で非溶媒を加え、任意で特定の時間、懸濁液を撹拌し、その後、形成された結晶を単離することによって(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態Bを含む組成物が調製される。該組成物はさらに以下に記載されるような医薬組成物に改変される。
水溶液中の(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの濃度は、溶液を参照することにより10〜80重量パーセント、さらに好ましくは20〜60重量パーセントであってもよい。好ましい非溶媒(すなわち、BH4の懸濁液を調製するのに有用な溶媒)は、メタノール、エタノール及び酢酸である。非溶媒は水溶液に加えられてもよい。さらに好ましくは、水溶液が非溶媒に添加される。懸濁液の形成後の撹拌時間は、30時間まで、好ましくは20時間まで又は20時間未満であってもよい。ろ過による単離及び乾燥は、上述のような既知の方式で行われる。
多形体形態Bは、非常に安定な結晶形態であり、容易にろ過し、乾燥し、医薬製剤で所望される粒度に粉砕することができる。これらの際立った特性によって多形体形態Bが医薬適用に特に実行可能となる。
多形体形態A
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの別の結晶多形体は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するための安定な好ましいBH4の形態であり、本明細書では、「形態A」又は「多形体A」と呼ばれるべきであることが見い出されている。多形体Aは、やや吸湿性で、約3重量%までの含量に水を吸収し、10℃/分の比率で加熱すると、50〜200℃の間で連続的に放出される。多形体Aは、吸湿性の無水物で、形態Bに関して準安定性の形態であるが、密封された容器に保持されるなら数ヵ月にわたって周囲条件において安定である。形態Aは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Aは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
15.5(vs.)、12.0(m)、6.7(m)、6.5(m)、6.3(w)、6.1(w)、5.96(w)、5.49(m)、4.89(m)、3.79(m)、3.70(s)、3.48(m)、3.45(m)、3.33(s)、3.26(s)、3.22(m)、3.18(m)、3.08(m)、3.02(w)、2、95(w)、2.87(m)、2.79(w)、2.70(w)のd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折パターンを示す多形体A。図2は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの形態Aによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
多形体Aは、2934(w)、2880(w)、1692(s)、1683(m)、1577(w)、1462(m)、1360(w)、1237(w)、1108(w)、1005(vw)、881(vw)、813(vw)、717(m)、687(m)、673(m)、659(m)、550(w)、530(w)、492(m)、371(m)、258(w)、207(w)、101(s)、87(s)cm−1にて波数(cm−1)で示される、特徴的なラマン分光バンドを呈する。
多形体形態Aは、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水溶液の凍結乾燥又は水除去によって得てもよい。常温にて水に(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを溶解し、(1)溶液を低温に冷却して溶液を固化し、減圧下で水を除くこと、又は(2)前記水溶液から水を除くことによって(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態Aを調製することができる。
ろ過によって結晶性の形態Aを単離し、次いで、乾燥して吸収した水を生成物から蒸発させることができる。乾燥の条件及び方法は既知であり、本明細書に記載される変異体(2)に従った単離された生成物の乾燥又は水の除去は、適用されている高温にて、たとえば、80℃まで、好ましくは30〜80℃の範囲内で、減圧下又は高温減圧下にて実施してもよい。変異体(2)で得られた沈殿物の単離に先立って、相平衡のために特定の時間、懸濁液を撹拌してもよい。水溶液での(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの濃度は、溶液を参照することによって5〜40重量パーセントであってもよい。
出発物質としての固体溶液を得るには迅速冷却が好ましい。溶媒が完全に除かれるまで減圧が適用される。凍結乾燥は、当該技術で周知の技術である。溶媒の除去を完了する時間は、0.01〜1ミリバールであってもよい適用される減圧、使用される溶媒及び凍結温度に依存する。
多形体形態Aは、実質的に水を含まない条件下で、室温又は室温より低い温度で安定であり、それは、室温にて窒素のもとで、それぞれ5日間及び18時間撹拌したテトラヒドロフラン又は3級ブチルメチルエーテル中の懸濁物の相平衡テストによって実証される。室温でのろ過及び風乾によって荷電されない多形体形態Aが得られる。
多形体形態F
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの別の結晶多形体は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するための安定な好ましいBH4の形態であり、本明細書では、「形態F」又は「多形体F」と呼ばれるべきであることが見い出されている。多形体Fは、やや吸湿性で、約3重量%までの含量に水を吸収し、10℃/分の比率で加熱すると、50〜200℃の間で連続的に放出される。多形体Fは、準安定形態であり、吸湿性の無水物であり、常温より低い温度では形態Aより安定であり、高温では形態Bより安定性が低く、形態Fは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Fは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
多形体Fは、17.1(vs.)、12.1(w)、8.6(w)、7.0(w)、6.5(w)、6.4(w)、5.92(w)、5.72(w)、5.11(w)、4.92(m)、4.86(w)、4.68(m)、4.41(w)、4.12(w)、3.88(w)、3.83(w).3.70(m)、3.64(w)、3.55(m)、3.49(s).3.46(vs)、3.39(s)、3.33(m)、3.31(m).3.27(m)、3.21(m)、3.19(m)、3.09(m)、3.02(m)及び2.96(m)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図3は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの形態Fによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
好適な極性溶媒及び非水性溶媒、前記の低いエネルギー形態をほとんど溶解しないもの、特にアルコール、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールにおける多形体形態Aの懸濁液の相平衡によって多形体Fを得てもよい。室温より低い温度で、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドをほとんど溶解しない非水性溶媒に(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの固形形態Aの粒子を分散し、前記温度にて、多形体形態Fを製造するのに十分な時間、懸濁液を撹拌し、その後、結晶性の形態Fを単離し、単離された形態Fから溶媒を除くことによって、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態Fを調製することもできる。溶媒の除去及び乾燥は、大気下、乾燥空気、又は窒素若しくは希ガスのような乾燥保護気体のもと、室温より低い温度、たとえば、0℃まで下げて行ってもよい。相平衡の間の温度は、好ましくは5〜15℃、最も好ましくは約10℃である。
多形体形態J
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの別の結晶多形体は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するための安定な好ましいBH4の形態であり、本明細書では、「形態J」又は「多形体J」と呼ばれるべきであることが見い出されている。多形体Jは、やや吸湿性で、湿気のある大気で取り扱うと水を吸収する。多形体Jは、準安定性形態であり、吸湿性の無水物であり、75%を超える相対湿度のような高い相対湿度条件にさらすとそれから得られる、以下で記載する形態Eに転換することができる。形態Jは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Jは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Jは、14.6(m)、6.6(w)、6.4(w)、5.47(w)、4.84(w)、3.29(vs)及び3.21(vs)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図4は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの形態Jによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
真空下、適度の温度にて形態Eを脱水することによって多形体Jを得てもよい。特に、形態Eを利用し、25〜70℃、最も好ましくは30〜50℃の範囲内の温度を意味してもよい適度な温度にて、形態Jを得るための真空ドライヤーで形態Eを処理することにより、形態Eを取り出し、形態Eから水を除くことによって(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態Jを調製することができる。
多形体形態K
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの別の結晶多形体は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するための安定な好ましいBH4の形態であり、本明細書では、「形態K」又は「多形体K」と呼ばれるべきであることが見い出されている。多形体Kは、やや吸湿性で、約2.0重量%までの含量に水を吸収し、10℃/分の比率で加熱すると、50〜100℃の間で連続的に放出される。多形体Kは、準安定形態であり、吸湿性の無水物であり、高温では形態Bより安定性が低く、形態Kは、安定な多形体形態、特に形態Bを製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Kは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Kは、14.0(s)、9.4(w)、6.6(w)、6.4(w)、6.3(w)、6.1(w)、6.0(w)、5.66(w)、5.33(w)、5.13(vw)、4.73(m)、4.64(m)、4.48(w)、4.32(vw)、4.22(w)、4.08(w)、3.88(w)、3.79(w)、3.54(m)、3.49(vs)、3.39(m)、3.33(vs)、3.13(s)、3.10(m)、3.05(m)、3.01(m)、2.99(m)及び2.90(m)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図5は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの形態Kによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
少量のアスコルビン酸の存在下、少量の水を含有する極性溶媒の混合物から結晶化することによって多形体Kを得てもよい。溶媒混合物のための溶媒は、酢酸及び、たとえば、メタノール、エタノール、n−又はイソプロパノールのようなアルコールから選択されてもよい。特に、高い温度にて少量の水及び少量のアスコルビン酸を含有する酢酸及びアルコール又はテトラヒドロフランの混合物に(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを溶解し、室温より低く温度を下げて前記ジヒドロクロリドを結晶化させ、沈殿物を単離し、任意で真空下、高温にて単離した沈殿物を乾燥することによって(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態Kを調製することができる。好適なアルコールは、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールであり、そのために、エタノールが好ましい。酢酸とアルコール又はテトラヒドロフランの比は、2:1〜1:2、好ましくは約1:1であってもよい。(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの溶解は、高い含水量の存在下実施することができ、より多くの抗−溶媒混合物を添加して完全な沈殿を得ることができる。双方とも溶媒混合物を参照することによって、最終組成物中の水の量は0.5〜5重量パーセントであってもよく、アスコルビン酸の量は、0.01〜0.5重量パーセントであってもよい。溶解の温度は、30〜100℃、好ましくは35〜70℃の範囲内であってもよく、乾燥温度は30〜50℃の範囲であってもよい。単離後、たとえば、ろ過の後、エタノールのようなアルコールで沈殿物を洗浄してもよい。たとえば、イソプロパノールにおける相平衡を行い、30〜40℃の温度のような上記室温にて形態Bの結晶によって任意に種をまくことによって多形体Kを容易に最も安定な形態Bに変換することができる。
(6R)−L−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド塩の水和物形態
以下でさらに記載するように、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドは、多数の結晶性水和物として存在し、それらは、本明細書では形態C、D、E、H及びOと記載され、定義されなければならないことが見い出されている。これらの水和物形態は、医薬組成物のためのBH4の安定な形態として及びBH4の安定な結晶多形体を含む組成物の調製に有用である。
水和物形態C
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するための安定な好ましいBH4の形態であり、本明細書では、「形態C」又は「水和物C」と呼ばれるべきであることが見い出されている。水和物Cは、やや吸湿性で、約5.5重量%の含量に水を有し、それは形態Cが一水和物であることを示す。水和物Cは、94℃(△Hは約31J/g)に近い融点を有し、水和物Cは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Cは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Cは、18.2(m)、15.4(w)、13.9(vs)、10.4(w)、9.6(w)、9.1(w)、8.8(m)、8.2(w)、8.0(w)、6.8(m)、6.5(w)、6.05(m)、5.77(w)、5.64(w)、5.44(w)、5,19(w)、4.89(w)、4.76(w)、4.70(w)、4.41(w)、4.25(m)、4.00(m)、3、88(m)、3.80(m)、3.59(s)、3.50(m)、3.44(m)、3.37(m)、3.26(s)、3.19(vs)、3.17(s)、3、11(m)、3.06(m)、3.02(m)、2.97(vs)、2.93(m)、2.89(m)、2.83(m)及び2.43(m)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図6は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物形態Cによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
溶媒を参照することによって好ましくは約5重量パーセントの量で水を含有する非溶媒において多形体Bの懸濁液のような多形体形態の常温での相平衡を行うことによって、水和物形態Cを得てもよい。非溶媒、たとえば、ヘプタン、メタノール、エタノール、1−若しくは2−プロパノールのようなC1‐C4アルコール、酢酸エチル、アセトニトリル、酢酸、又はテトラヒドロフラン、ジオキサン、3級ブチルメチルエーテルのようなエーテル、又はそのような非溶媒の二元若しくは三元混合物に(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを懸濁し、それに十分な水を加えて一水和物を形成し、常温以下の温度(たとえば、0〜30℃)にて一水和物を形成するのに十分な時間、懸濁液を撹拌することによって(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物形態Cを調製することができる。十分な水は、溶媒の量を参照して1〜10重量パーセント、好ましくは3〜8重量パーセントを意味する。固形物をろ過し、およそ室温にて風乾してもよい。固形物は多少の水を吸収することができるので、5.5重量パーセントの理論値よりも高い水含量を持つ。水和物形態Cは、形態D及びBに関して不安定であり、約40℃の温度にて空気中で相対的に低い湿度で容易に多形体形態Bに変換される。室温での懸濁平衡によって形態Cをさらに安定な水和物Dに転換することができる。
水和物形態D
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの別の水和物結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するための安定な好ましいBH4の形態であり、本明細書では、「形態D」又は「水和物D」と呼ばれるべきであることが見い出されている。水和物形態は、やや吸湿性で、約5.0〜7.0重量%の含量に水を有し、それは形態Dが一水和物であることを示唆する。水和物Dは、153℃(△Hは約111J/g)に近い融点を有し、形態Cよりもはるかに安定であり、常温で空気湿度にさらされても安定である。従って、水和物形態Dは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として、もしくは製剤を調製するのに使用することができる。多形体形態Dは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Dは、8.6(s)、6.8(w)、5.56(m)、4.99(m)、4.67(s)、4.32(m)、3.93(vs)、3.88(w)、3.64(w)、3.41(w)、3.25(w)、3.17(m)、3.05(s)、2.94(w)、2.92(w)、2.88(m)、2.85(w)、2.80(w)、2.79(m)、2.68(w)、2、65(w)、2.52(vw)、2.35(w)、2.34(w)、2.30(w)及び2.29(w)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折パターンを示す。図7は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物形態Dによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
およそ室温にて、過剰量の非溶媒、たとえば、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、1−又は2−プロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、酢酸、又はテトラヒドロフラン、ジオキサン、3級ブチルメチルエーテルのようなエーテル、又はそのような非溶媒の混合物に、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの濃縮水溶液を加え、常温で懸濁液を撹拌することによって、水和物形態Dを得てもよい。結晶性固形物をろ過し、常温にて乾燥窒素のもとで乾燥してもよい。好ましい非溶媒はイソプロパノールである。急激な沈殿を回避するために、水溶液の添加は一滴ずつ行ってもよい。およそ室温にて、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの濃縮水溶液を過剰の非溶媒に加え、常温で懸濁液を撹拌することによって、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物形態Dを調製することができる。過剰の非溶媒は、1:10〜1:1000の水対非溶媒の比を意味してもよい。形態Dは一水和物に関係する小過剰の水を含有し、それは、この結晶性水和物の軽い吸湿性の性質によって吸収された水であると考えられる。水和物形態Dは、常温及び70%未満の相対湿度で既知の水和物のもとで最も安定なものであると思われる。この水和物が安定である条件下で調製される製剤のために水和物形態Dが使用されてもよい。常温は20〜30℃を意味してもよい。
水和物形態E
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの別の水和物結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するための安定な好ましいBH4の形態であり、本明細書では、「形態E」又は「水和物E」と呼ばれるべきであるいことが見い出されている。水和物形態Eは、約10〜14重量%の含量に水を有し、それは形態Eが二水和物であることを示唆する。水和物Eは室温より低い温度で形成される。水和物形態Eは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。窒素のもと又は任意で真空下で乾燥して水を含まない形態Jを製造するのにそれは特に好適である。形態Eは非吸湿性であり、むしろ高い相対湿度、すなわち、約60%より高い、約85%までの相対湿度で安定である。多形体形態Eは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Eは、15.4(s)、6.6(w)、6.5(w)、5.95(vw)、5.61(vw)、5.48(w)、5.24(w)、4.87(w)、4.50(vw)、4.27(w)、3.94(w)、3.78(w)、3.69(m)、3.60(w)、3.33(s)、3.26(vs)、3.16(w)、3.08(m)、2.98(w)、2.95(m)、2.91(w)、2.87(m)、2.79(w)、2.74(w)、2.69(w)及び2.62(w)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図8は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物形態Eによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
約10〜−10℃、好ましくは0〜10℃の間の温度に冷却された過剰の非溶媒に(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの濃縮水溶液を加え、前記温度にて懸濁液を撹拌することによって水和物形態Eを得てもよい。結晶性固形物をろ過し、次いで常温にて乾燥窒素のもとで乾燥してもよい。非溶媒はたとえば、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、1−又は2−プロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、酢酸、又はテトラヒドロフラン、ジオキサン、3級ブチルメチルエーテルのようなエーテル、又はそのような非溶媒の混合物である。好ましい非溶媒はイソプロパノールである。急激な沈殿を回避するために、水溶液の添加は一滴ずつ行ってもよい。約10〜−10℃の温度に冷却された過剰の非溶媒に(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの濃縮水溶液を加え、常温にて懸濁液を撹拌することによって(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物形態Eを調製することができる。過剰の非溶媒は、1:10〜1:1000の水対非溶媒の比を意味してもよい。好ましい非溶媒はテトラヒドロフランである。別の調製工程は、70〜90%、好ましくは約80%の相対湿度の大気に多形体形態Bを暴露することを含む。水和物形態Eは二水和物であると思われ、そのために多少の追加の水を吸収してもよい。0〜100ミリバールの圧力にて20〜50℃の間を意味する適度な温度にて真空下で乾燥して、多形体形態Eを多形体Jに転換することができる。形態Eは、高い相対湿度におけるその安定性のために、半固形形態での製剤化に特に好適である。
水和物形態H
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの別の水和物結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するための安定な好ましいBH4の形態であり、本明細書では、「形態H」又は「水和物H」と呼ばれるべきであることが見い出されている。水和物形態Hは、約5.0〜7.0重量%の含量に水を有し、それは形態Hが吸湿性の一水和物であることを示唆する。水和物形態Hは室温より低い温度で形成される。水和物形態Eは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Hは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Hは、8.615.8(vs)、10.3(w)、8.0(w)、6.6(w)、6.07(w)、4.81(w)、4、30(w)、3.87(m)、3.60(m)、3.27(m)、3.21(m)、3.13(w)、3.05(w)、2.96(m)、2、89(m)、2.82(w)及び2.67(m)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図9は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物形態Hによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
常温にて酢酸と水の混合物に(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを溶解し、次いで非溶媒を加えて結晶性固形物を沈殿させ、得られた懸濁液を冷却し、冷却された懸濁液を特定の時間撹拌することによって水和物形態Hを得てもよい。結晶性固形物をろ過し、次いで常温にて真空下乾燥してもよい。非溶媒はたとえば、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、1−又は2−プロパノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、酢酸、又はテトラヒドロフラン、ジオキサン、3級ブチルメチルエーテルのようなエーテル、又はそのような非溶媒の混合物である。好ましい非溶媒はテトラヒドロフランである。常温にて、酢酸と酢酸より少ない量の水との混合物に(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを溶解し、非溶媒を加え、得られた懸濁液を−10〜10℃、好ましくは−5〜5℃の範囲内の温度に冷却し、特定の時間、前記温度で懸濁液を撹拌することによって(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物形態Hを調製することができる。特定の時間は1〜20時間を意味する。酢酸と水の重量比は、2:1〜25:1、好ましくは5:1〜15:1であってもよい。酢酸/水と非溶媒の重量比は、1:2〜1:5であってもよい。水和物形態Hは、吸湿性の性質により吸収されたやや過剰な水を伴う一水和物であると思われる。
水和物形態O
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの別の水和物結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するための安定な好ましいBH4の形態であり、本明細書では、「形態O」又は「水和物O」と呼ばれるべきであることが見い出されている。水和物形態Oは室温に近い温度で形成される。水和物形態Oは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Oは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Oは、15.9(w)、14.0(w)、12.0(w)、8.8(m)、7.0(w)、6.5(w)、6.3(m)、6.00(w)、5.75(w)、5.65(m)、5.06(m)、4.98(m)、4.92(m)、4.84(w)、4.77(w)、4、42(w)、4.33(w)、4.00(m)、3.88(m)、3.78(w)、3.69(s)、3.64(s)、3.52(vs)、3.49(s)、3.46(s)、3.42(s)、3.32(m)、3.27(m)、3.23(s)、3.18(s)、3.15(vs)、3.12(m)、3.04(vs)、2.95(m)、2.81(s)、2.72(m)、2.67(m)及び2.61(m)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図10は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの水和物形態Oによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
約52%の結果として生じる相対湿度の水蒸気を含有する窒素雰囲気に多形体Fを約24時間暴露することによって水和物形態Oを調製することができる。やや吸湿性の無水物である形態Fを52%の相対湿度のもとで形態Oを調製するのに使用できるという事実は、常温及び湿度条件では、形態Oは、形態Fより安定である水和物であることを示唆している。
(6R)−L−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド塩の溶媒和物形態
以下でさらに記載されるように、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドが多数の結晶性溶媒和物形態として存在し、それらは、本明細書で形態G、I、L、M及びNとして記載され且つ定義されなければならないことが見い出されている。これらの溶媒和物形態は、本明細書で記載される医薬組成物のためのBH4の安定な形態として、及びBH4の安定な結晶多形体を含む組成物の調製に有用である。
溶媒和物形態G
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドのエタノール溶媒和物の結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するためのBH4の安定な好ましい形態であり、本明細書では「形態G」又は「水和物G」と呼ばれるべきであることが見い出されている。エタノール溶媒和物形態Gは、約8.0〜12.5重量パーセントのエタノール含量を有し、それは、形態Gが吸湿性のモノエタノール溶媒和物であることを示唆している。溶媒和物形態Gは室温より低い温度で形成される。形態Gは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Gは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Gは、14.5(vs)、10.9(w)、9.8(w)、7.0(w)、6.3(w)、5.74(w)、5.24(vw)、5.04(vw)、4.79(w)、4.41(w)、4.02(w)、3.86(w)、3.77(w)、3.69(w)、3.63(m)、3.57(m)、3.49(m)、3.41(m)、3.26(m)、3.17(m)、3.07(m)、2.97(m)、2.95(m)、2.87(w)及び2.61(w)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図11は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの溶媒和物形態Gによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
水に溶解したL−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを結晶化し、大過剰のエタノールを加え、常温以下で得られた懸濁液を撹拌し、およそ室温にて大気又は窒素のもとで単離した固形物を乾燥することによってエタノール溶媒和物形態Gを得てもよい。ここで、大過剰のエタノールは、10%未満の水、好ましくは約3〜6%の水を伴ったエタノールと水の結果として生じる混合物を意味する。室温〜75℃の温度にて、水とエタノールの混合物に水中の(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを溶解し、加熱した溶液を室温及び5〜10℃に冷却し、任意でエタノールを加えて沈殿を完了し、得られた懸濁液を20〜5℃の温度で撹拌し、白色の結晶性固形物をろ過し、およそ室温の温度にて大気又は窒素のような保護気体のもとで固形物を乾燥することによって、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドのエタノール付加物形態Gを調製することができる。第1の変異体において、室温にて少量の水に(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを溶解すること、及び次いで過剰のエタノールを加えること、及び次いで相平衡に十分な時間、得られた懸濁液を撹拌することで工程を実施してもよい。第2の変異体では、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドをエタノールに懸濁してもよく、任意で、少量の水を加え、懸濁液を加熱して(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを溶解し、約5〜15℃の温度に溶液を冷却し、懸濁液に追加のエタノールを加え、次いで、相平衡に十分な時間、得られた懸濁液を撹拌する。
溶媒和物形態I
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの酢酸溶媒和物の結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するためのBH4の安定な好ましい形態であり、本明細書では「形態I」又は「水和物I」と呼ばれるべきであることが見い出されている。酢酸溶媒和物形態Iは、約12.7重量パーセントの酢酸含量を有し、それは、形態Iが吸湿性の酢酸モノ溶媒和物であることを示唆している。溶媒和物形態Iは室温より低い温度で形成される。酢酸溶媒和物形態Iは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Iは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Iは、14.5(m)、14.0(w)、11.0(w)、7.0(vw)、6.9(vw)、6.2(vw)、5.30(w)、4.79(w)、4.44(w)、4.29(w)、4.20(vw)、4.02(w)、3.84(w)、3.80(w)、3.67(vs)、3.61(m)、3.56(w)、3.44(m)、3.27(w)、3.19(w)、3.11(s)、3.00(m)、2.94(w)、2.87(w)及び2.80(w)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図12は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの溶媒和物形態Iによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
高温にて、酢酸と水の混合物にL−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを溶解し、溶液にさらに酢酸を加え、約10℃の温度まで冷却し、次いで、形成された懸濁液を約15℃に温め、次いで、3日間まで続いてもよい、相平衡に十分な時間、得られた懸濁液を撹拌することによって酢酸溶媒和形態Iを得てもよい。次いで、結晶性固形物をろ過し、およそ室温の温度にて大気又は窒素のような保護気体のもとで乾燥する。
溶媒和形態L
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの混合されたエタノール溶媒和物/水和物の結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するためのBH4の安定な好ましい形態であり、本明細書では「形態L」又は「水和物L」と呼ばれるべきであることが見い出されている。形態Lは、4%ただし13%までのエタノール及び0〜6%の水を含有してもよい。約0〜20℃の温度でエタノールで処理すると、形態Lが形態Gに転換されてもよい。さらに、常温(10〜60℃)にて有機溶媒で処理すると、形態Lが形態Bに転換されてもよい。多形体形態Lは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Lは、14.1(vs)、10.4(w)、9.5(w)、9.0(vw)、6.9(w)、6.5(w)、6.1(w)、5.75(w)、5.61(w)、5.08(w)、4.71(w)、3.86(w)、3.78(w)、3.46(m)、3.36(m)、3.06(w)、2.90(w)及び2.82(w)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図13は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの溶媒和物形態Lによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
室温にて水和物形態Eをエタノールに懸濁し、0〜10℃、好ましくは約5度の温度にて、10〜20時間であってもよい、相平衡に十分な時間、懸濁液を撹拌することによって形態Lを得てもよい。次いで、結晶性固形物をろ過し、好ましくは窒素のもとで30℃にて減圧下、乾燥する。TG−FTIRによる解析は、形態Lが様々な量のエタノール及び水を含有してもよく、すなわち、それは、多形体(無水物)として、混合されたエタノール溶媒和物/水和物として、又は水和物として存在することができる、ということを示唆している。
溶媒和形態M
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドのエタノール溶媒和物の結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するためのBH4の安定な好ましい形態であり、本明細書では「形態M」又は「水和物M」と呼ばれるべきであることが見い出されている。形態Mは、4%、ただし13%までのエタノール及び0〜6%の水を含有してもよく、それは、形態Mがやや吸湿性のエタノール溶媒和物であることを示唆している。溶媒和物形態Mは室温で形成される。約−10〜15℃の間の温度にてエタノール中で処理されると、形態Mは形態Gに転換することができ、たとえば、エタノール、C3及びC4のアルコール、又はTHF及びジオキサンのような環状エーテルのような有機溶媒で処理されると形態Mは形態Bに変換することができるので、形態Mは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Mは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Mは、18.9(s)、6.4(m)、6.06(w)、5.66(w)、5.28(w)、4.50(w)、4.23(w)及び3.22(vs)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図14は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの溶媒和物形態Mによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドをエタノールに溶解し、常温、すなわち、10〜40℃の間にて窒素のもとで溶液を蒸発させることによってエタノール溶媒和物形態Mを得てもよい。約20〜100mL/分の比率での乾燥窒素の緩やかな流れのもとで形態Gを乾燥することによっても形態Mを得ることができる。窒素のもとでの乾燥の程度によって、エタノールの残りの量は変化してもよく、すなわち、約3〜13%で変化してもよい。
溶媒和物形態N
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの別の溶媒和物の結晶形態は、本明細書で記載される医薬調製物で使用するためのBH4の安定な好ましい形態であり、本明細書では「形態N」又は「水和物N」と呼ばれるべきであることが見い出されている。形態Nは、合計10%までのイソプロパノール及び水を含有してもよく、それは、形態Nがやや吸湿性のイソプロパノール溶媒和物であることを示唆している。イソプロパノールによる形態Dの洗浄、それに続く約30℃での真空下の乾燥を介して形態Nを得てもよい。形態Nは、安定な多形体形態を製造するための中間体及び出発物質として特に好適である。多形体形態Nは、通常1〜約500μmの範囲である所望の中程度の粒度範囲を持つ固形粉末として調製することができる。
形態Nは、19.5(m)、9.9(w)、6.7(w)、5、15(w)、4.83(w)、3.91(w)、3.56(m)、3.33(vs)、3.15(w)、2.89(w)、2.81(w)、2.56(w)及び2.36(w)にてd−値(Å)で表現される特徴的なピークを持つ特徴的な粉末X線回折を示す。図15は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの溶媒和物形態Nによって示される特徴的なX線回折パターンのグラフである。
イソプロパノールと水の混合物(混合容積比、たとえば、4:1)4.0mLにL−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドを溶解することによってイソプロパノール形態Nを得てもよい。この溶液に、イソプロパノール(IPA、たとえば、4.0mL)をゆっくり加え、得られた懸濁液を0℃に冷却し、この温度で数時間(たとえば、10〜18時間)撹拌する。懸濁液をろ過し、固形残留物を室温にてイソプロパノールで洗浄する。次いで常温(たとえば、約20〜30℃)及び減圧(約2〜10ミリバール)にて数時間(たとえば、約5〜20時間)、得られた結晶性物質を乾燥する。TG−FTIRは、25〜200℃の間で9.0%の重量損失を示し、それはイソプロパノール及び水の双方に起因する。この結果は、形態Nが、イソプロパノール溶媒和物の形態で、又は混合されたイソプロパノール溶媒和物/水和物の形態で、又は少量の水を含有する非溶媒和の形態としてのいずれかで存在することを示唆している。
多形体形態の調製については、当該技術で周知の使用される結晶化技法、たとえば、懸濁液の撹拌(相平衡)、沈殿、再結晶化、蒸発、溶媒様水分吸着法又は溶媒和物の分解があってもよい。好適な核剤と共に種まきの有無で、希釈した、飽和した又は過飽和した溶液を結晶化に用いてもよい。100℃までの温度を適用して溶液を形成してもよい。結晶化及び沈殿を開始するために−100℃までの、好ましくは、−30℃までの冷却を適用してもよい。準安定な多形体又は擬似多形体形態を使用して、さらに安定な形態を調製するための溶液又は懸濁液を調製し、溶液のさらに高い濃度を達成することができる。
驚くべきことに、水和物形態Dは水和物のもとで最も安定な形態であり、形態B及びDは医薬製剤で使用されるのに特に好適であることが見い出されている。形態B及びDは、目的とする製造、好都合な結晶サイズ及び形態による良好な取り扱い、種々の種類の製剤の製造条件下での非常に良好な安定性、保存安定性、高い溶解性、及び高い生物利用性のような幾つかの利点を提示する。従って、本明細書で開示される組成物及び方法の実施態様の1つは、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態B及び/又は水和物形態D並びに薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を含む医薬組成物である。
葉酸又はテトラヒドロ葉酸又は、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩若しくはアンモニウム塩のような薬学上許容可能なそれらの塩を単独で一緒に、又はさらにアルギニンと一緒に、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの結晶形態を使用してもよい。結晶形態:葉酸又はその塩:アルギニンの重量比は、およそ1:10:10〜およそ10:1:1であってもよい。
本発明は、低下した動脈血酸素分圧に関連する症状、最も特にPPHNの治療のために、本明細書に記載のテトラヒドロビオプテリン多形体のいずれか、又はそのような多形体を含む安定な医薬組成物を使用する方法を提供する。テトラヒドロビオプテリン多形体と葉酸の双方を含む医薬組成物又は食料品による治療なので、葉酸前駆体、葉酸、又は葉酸誘導体を含む葉酸による同時治療も企図される。例示となる葉酸は、参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6、001、040号及び同第6、544、994号に開示されており、葉酸(プテロイルモノグルタメート)、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸、5−メチルテトラヒドロ葉酸、5、10−メチレンテトラヒドロ葉酸、5、10−メテニルテトラヒドロ葉酸、5、10−ホルムイミノテトラヒドロ葉酸、5−ホルミルテトラヒドロ葉酸(ロイコボリン)、10−ホルミルテトラヒドロ葉酸、10−メチルテトラヒドロ葉酸、1以上のホリポリグルタメート、葉酸のプテリン部分のピラジン環又は葉酸ポリグルタミンが還元されてジヒドロ葉酸若しくはテトラヒドロ葉酸を生じる化合物、又は、N−5若しくはN−10位が種々の酸化レベルで炭素単位を1つ持つ先行する化合物すべての誘導体、又は薬学上適合可能なそれらの塩、又は2以上のそれらの組み合わせが挙げられる。例示となるテトラヒドロ葉酸には、5−ホルミル−(6S)−テトラヒドロ葉酸、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸、5、10−メチレン−(6R)−テトラヒドロ葉酸、5、10−メテニル−(6R)−テトラヒドロ葉酸、10−ホルミル−(6R)−テトラヒドロ葉酸、5−ホルムイミノ−(6S)−テトラヒドロ葉酸、又は(6S)−テトラヒドロ葉酸、及びそれらの塩が挙げられる。
医薬製剤
本明細書で記載される製剤は好ましくは経口製剤として投与される。経口製剤は好ましくは、たとえば、カプセル、錠剤、丸薬及びトローチのような固体製剤、又は、水性懸濁液、エリキシル及びシロップのような液体製剤である。本明細書に記載されるBH4の種々の形態は、粉末(微細化された粒子)、顆粒、懸濁液若しくは溶液としてそのまま使用することができ、又は、成分の混合においてそのほかの薬学上許容可能な成分と一緒に組み合わせ、任意でそれらを微細に分割し、次いで、たとえば、硬質若しくは軟質のゼラチンで構成されるカプセルに充填し、錠剤、丸薬若しくはトローチに圧縮し、懸濁用キャリア、エリキシル及びシロップに懸濁してもよく又は溶解してもよい。圧縮して丸薬を形成した後、コーティングを適用してもよい。
薬学上許容可能な成分は、種々の種類の製剤で周知であり、たとえば、天然又は合成のポリマーのような結合剤、賦形剤、潤滑剤、界面活性剤、甘味剤及び風味剤、コーティング材、防腐剤、染料、濃厚剤、アジュバント、抗菌剤、抗酸化剤、及び種々の種類の製剤用キャリアであってもよい。本明細書で記載される組成物で有用な結合剤の非限定例には、トラガカントゴム、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、及び、たとえば、ジカルボン酸、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール及び/又は脂肪族ヒドロキシルカルボン酸のホモポリエステル又はコポリエステル;ジカルボン酸、アルキレンジアミン、及び/又は脂肪族アミノカルボン酸のホモポリアミド又はコポリアミド;相当するポリエステル−ポリアミド−コ−ポリマー、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリホスファゼン及びポリカーボネートのような生分解性ポリマーが挙げられる。生分解性ポリマーは、直鎖、分枝鎖であってもよく、又は架橋されてもよい。具体例は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、及びポリ−d、l−ラクチド/グリコリドである。ポリマーのそのほかの例は、水溶性ポリマー、たとえば、ポリオキサアルキレン類(ポリオキサエチレン、ポリオキサプロピレン及びそれらの混合ポリマー)、ポリアクリルアミド及びヒドロキシアルキル化ポリアクリルアミド、ポリマレイン酸及びそのエステル若しくはアミド類、ポリアルキル酸及びそのエステル若しくはアミド、ポリビニルアルコール及びそのエステル若しくはエーテル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、並びにキトサンのような天然のポリマーである。
本明細書で記載される組成物で有用な賦形剤の非限定例には、リン酸二カルシウムのようなリン酸塩が挙げられる。本明細書で記載される組成物で有用な潤滑剤の非限定例には、天然若しくは合成の油、脂肪、ワックス、又はステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸が挙げられる。
本明細書で記載される組成物で使用するための界面活性剤は、アニオン性、アニオン性、両性又は中性であることができる。本明細書で記載される組成物で有用な界面活性剤の非限定例には、レシチン、リン脂質、硫酸オクチル、硫酸デシル、硫酸ドデシル、硫酸テトラデシル、硫酸ヘキサデシル及び硫酸オクタデシル、オレイン酸ナトリウム若しくはカプリン酸ナトリウム、1−アシルアミノエタン−2−硫酸、たとえば、1−オクタノイルアミノエタン−2−硫酸、1−デカノイルアミノエタン−2−硫酸、1−ドデカノイルアミノエタン−2−硫酸、1−テトラデカノイルアミノエタン−2−硫酸、1−ヘキサデカノイルアミノエタン−2−硫酸及び1−オクタデカノイルアミノエタン−2−硫酸、並びにタウロコール酸及びタウロデオキシコール酸、胆汁酸及びその塩、たとえば、コール酸、デオキシコール酸及びグリココール酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム若しくはラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硫酸化ヒマシ油及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン及びラウリルベタイン、脂肪アルコール、コレステロール、グリセロモノステアレート若しくはジステアレート、グリセロールモノ−若しくはジ−ジオレエート及びグリセロールモノ−若しくはジ−パルミテート、並びにステアリン酸ポリオキシエチレンが挙げられる。
本明細書で記載される組成物で有用な甘味剤の非限定例には、スクロース、フルクトース、ラクトース又はアスパルテームが挙げられる。本明細書で記載される組成物で使用するための香辛料の非限定例には、ペパーミント、冬緑樹の油、又はサクランボ若しくはオレンジの風味のような果実風味が挙げられる。本明細書で記載される組成物で使用するためのコーティング材の非限定例には、ゼラチン、ワックス、シェラック、糖又はそのほかの生分解性ポリマーが挙げられる。本明細書で記載される組成物で使用するための防腐剤の非限定例には、メチルパラベン又はプロピルパラベン、ソルビン酸、クロロブタノール、フェノール及びチメロサールが挙げられる。
本明細書に記載される水和物形態Dは、水性環境で崩壊して飲料溶液を提供する発泡錠又は粉末として製剤化されてもよい。シロップ又はエリキシルは、本明細書に記載される多形体、甘味剤としてのスクロース又はフルクトース、メチルパラベンのような防腐剤、染料及び風味剤を含有してもよい。
消化管の体液と接触して活性剤の制御された放出を達成し、血漿中で活性剤の実質的に一定の且つ有効なレベルを提供するために、本明細書に記載される多形体から徐放性製剤も調製してもよい。この目的で、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は双方の混合物のポリマーマトリクス及び任意で好適な界面活性剤の中に結晶形態を埋め込んでもよい。埋め込みは、この背景で、ポリマーのマトリクスへの微小粒子の取り込みを意味することができる。制御放出製剤は、既知の分散又は乳化コーティング技術によって、分散された微小粒子又は乳化された微小液滴のカプセル化を介しても得られる。
個々のニーズが変化する一方で、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当該技術の技量の範囲内である。BH4の典型的な投与量は、約1〜約20mg/kg体重/日を構成し、それは普通、総計で約5(1mg/kgx5kg体重)〜3000mg/日(30mg/kgx100kg体重)に達する。そのような用量を単回用量で投与してもよく、又は複数回用量に分割してもよい。連続的な毎日の投与が企図される一方で、動脈血酸素分圧が特定の閾値レベルを超えて改善すれば、BH4療法を中止することが望ましくてもよい。当然、動脈血酸素分圧が再び落ちれば、該療法を再開してもよい。
本発明に係る組成物の好適な用量は、受容者の年齢、健康状態及び体重、あるとすれば同時治療の種類、治療の頻度、所望される効果の性質(すなわち、所望される肺動脈圧の低下量)に依存することが理解される。投与の頻度も、動脈血酸素分圧に対する薬物力学効果に依存する。しかしながら、最も好ましい投与量は、過度の実験をしないで当業者によって理解され、決定できるので、個々の対象に誂えることができる。このことは通常、標準用量の調整、たとえば、患者が少ない体重を有するならば用量を減らすことに関与する。
上記で議論したように、各治療に必要とされる合計用量を複数回用量又は単回用量で投与してもよい。BH4組成物は、単独で投与してもよく、又は疾患に向けられた若しくはそのほかの症状に向けられたほかの治療剤との併用で投与してもよい。
本明細書で提示される開示から明らかなように、広い側面において、本出願は、結晶化BH4製剤を含有する組成物の臨床応用を企図する。組成物は、好適な医薬組成物、すなわち、そのような併用療法における生体内応用に適した形態に製剤化すべきである。一般に、このことは、発熱物質、並びにヒト又は動物に有害であるほかの不純物を本質的に含まない組成物を調製することを必然的に伴う。好ましくは、結晶化BH4組成物を含む製剤は、そのままPPHNの治療に使用できるようにしてもよい。
一般に、適当な塩及び緩衝液を用いてBH4を摂取に好適にすることが望まれる。本発明の水性組成物は、薬学上許容可能なキャリア又は水性媒体に溶解された又は分散された有効量のBH4を含む。経口で又は注射によって、そのような組成物を投与してもよい。
語句、「薬学上又は薬学上許容可能な」は、動物又はヒトに投与した場合、有害な、アレルギー性の又はそのほかの都合の悪い反応を生じない分子実体又は組成物を言う。本明細書で使用するとき、「薬学上許容可能なキャリア」には、溶媒のいずれか及びすべて、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学上活性のある物質へのそのような媒体及び作用剤の使用は当該技術で周知である。従来の媒体及び作用剤が有効成分と不適合である範囲を除いて、治療用組成物でのその使用が企図される。補完的な有効成分も組成物に組み入れられる。例示となる実施態様では、医用タンパク質製剤は、コーンシロップ固形物、高オレイン酸ベニバナ油、ココナッツ油、大豆油、L−ロイシン、リン酸カルシウム3塩基、L−チロシン、L−プロリン、L−リジン酢酸、DATEM(乳化剤)、L−グルタミン、L−バリン、リン酸カリウム2塩基、L−イソロイシン、L−アルギニン、L−アラニン、グリシン、L−アスパラギン一水和物、L−セリン、クエン酸カリウム、L−スレオニン、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、L−ヒスチジン、L−メチオニン、アスコルビン酸、炭酸カルシウム、L−グルタミン酸、L−シスチン二塩酸塩、L−トリプトファン、L−アスパラギン酸、塩化コリン、タウリン、m−イノシトール、硫酸第一鉄、パルミチン酸アスコルビル、硫酸亜鉛、L−カルニチン、酢酸α−トコフェリル、塩化ナトリウム、ナイアシンアミド、混合トコフェロール、パントテン酸カルシウム、硫酸銅、塩化チアミン塩酸塩、ビタミンAパルミテート、硫酸マンガン、リボフラビン、ピリドキシン塩酸塩、葉酸、β−カロテン、ヨウ化カリウム、フィロキノン、ビオチン、セレン酸ナトリウム、塩化クロム、モリブデン酸ナトリウム、ビタミンD3並びにシアノコバラミンを含んでもよい。補完物中のアミノ酸、ミネラル及びビタミンは、各成分の推奨される毎日の用量を提供する量で提供されるべきである。
本明細書で使用するとき、「薬学上許容可能なキャリア」には、溶媒のいずれか及びすべて、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学上活性のある物質へのそのような媒体及び作用剤の使用は当該技術で周知である。従来の媒体及び作用剤が治療用組成物と不適合である範囲を除いて、治療用組成物でのその使用が企図される。補完的な有効成分も組成物に組み入れられる。
本発明の活性組成物は、本明細書で議論したBH4の古典的医薬組成物並びに当業者に既知のものを包含する。本発明に係るこれら組成物の投与は、栄養補助食品の一般的な経路のいずれかを介するであろう。タンパク質は好ましくは、BH4と同様に経口で投与される。
特定の実施態様では、PPHNの治療に使用されるBH4又はその前駆体又はその誘導体を、吸入を介する投与のために吸入可能な製剤として製剤化することが企図される。そういうものとして、BH4又はその前駆体又はその誘導体をエアゾール製剤として調製してもよい。吸入可能な組成物を用いて肺高血圧症を治療する方法は、当業者に既知であり、たとえば、米国特許第6、756、033号(参照によって本明細書に組み入れる)に記載されており、それは、吸入によりプロスタグランジン調製物を送達することによる肺高血圧症の治療の教示を提供している。プロスタグランジンについて前述の特許に記載された吸入法は、BH4及び/又はその前駆体及び誘導体の吸入可能な調製物を製造するのに有用であろう。さらに、BH4に基づく組成物とプロスタグランジン調製物の併用投与によってPPHNが治療されてもよいことが企図される。
塩基を含まない又はたとえば、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と好適に混合される薬学上許容可能な塩の溶液として投与するために、活性化合物を調製してもよい。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物中で、並びに油中で分散液も調製することができる。保存及び使用の普通の条件下で、これらの調製物は防腐剤を含有して微生物の増殖を防ぐ。
注射での使用に好適な医薬形態としてBH4組成物を調製してもよい。そのような組成物は、無菌の注射用の溶液又は分散液の即席調製のための無菌の水溶液又は水分散液及び無菌の粉末を包含する。すべての場合で、形態は無菌でなければならず、容易な注射針通過性が存在する程度に流体でなければならない。それは、製造及び保存の条件下で安定でなければならず、細菌や真菌のような微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。キャリアは、たとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの安定な混合物、並びに植物油を含有する溶液又は分散媒であることができる。たとえば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散液の場合、必要とされる粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって適度な流動性を維持することができる。種々の抗菌剤、抗真菌剤、たとえば、パラベン類、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって微生物の作用の防止をもたらすことができる。多くの場合、等張剤、たとえば、糖又は塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。吸収を遅延させる作用剤、たとえば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物での使用によって注射用組成物の吸収延長をもたらすことができる。
上記で列挙した種々のほかの成分と共に必要とされる量の活性化合物を適当な溶媒に組み入れ、次いで、必要に応じてろ過滅菌することによって無菌の注射用溶液が調製される。一般に、基本的な分散媒及び上記で列挙したものからの必要とされるほかの成分を含有する無菌の媒体に種々の滅菌した有効成分を組み入れることによって分散液が調製される。無菌の注射用溶液を調製するための無菌の粉末の場合、調製の好ましい方法は、前にろ過滅菌した溶液からの有効成分プラス追加の所望の成分の粉末が得られる真空乾燥及び凍結乾燥である。
BH4の組成物について及び本明細書で記載される方法での使用について好ましい製剤は、錠剤製剤である。驚くべきことに、錠剤製剤へのアスコルビン酸の添加が製剤の安定性を高めることが見い出されている。安定化の特定のメカニズムに限定されることを意図しないで、種々の賦形剤と共にBH4が医薬組成物に混合される場合、まさに少量のアスコルビン酸(たとえば、2重量%未満)がBH4との複合体を創り、BH4が分解される1以上の経路を阻害すると考えられている。従って、実施例4でさらに詳しく述べるように、本明細書で使用するためのBH4の好ましい錠剤製剤はアスコルビン酸を包含する。
本明細書で記載される組成物で使用されるBH4は好ましくは、ジヒドロクロリド塩として製剤化されるが、BH4のほかの塩形態が所望の生物活性を持ち、その結果、BH4のほかの塩形態を使用できることが企図される。
薬学上許容可能な塩基付加塩は、金属又はアミン、たとえば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、又は有機アミンと共に形成されてもよい。薬学上許容可能なカチオンと共に化合物の薬学上許容可能な塩も調製してもよい。好適な薬学上許容可能なカチオンは当業者に周知であり、アルカリカチオン、アルカリ土類カチオン、アンモニウムカチオン及び四級アンモニウムカチオンが挙げられる。炭酸又は炭酸水素も可能である。カチオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウム又は鉄などである。好適なアミンの例には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン及びプロカインが挙げられる。
薬学上許容可能な酸付加塩には、無機酸又は有機酸の塩が挙げられる。好適な酸塩の例には、塩酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、リン酸塩が挙げられる。そのほかの好適な薬学上許容可能な塩は当業者に周知であり、有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸若しくはホスホ酸若しくはN置換のスルファミン酸、たとえば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4アミノサリチル酸、2フェノキシ安息香酸、2アセトキシ安息香酸、エンボン酸、ニコチン酸若しくはイソニコチン酸と共に;天然のタンパク質の合成に関与する20のアルファアミノ酸のようなアミノ酸、たとえば、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸、及びまた、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン1、2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン2スルホン酸、ナフタレン1、5−ジスルホン酸、2若しくは3ホスホグリセレート、グルコース6リン酸、Nシクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートの形成を伴う)と共に、又はアスコルビン酸のようなそのほかの酸有機化合物と共に;たとえば、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、若しくはマンデル酸、ヒドロ塩素酸、ヒドロ臭素酸、硫酸若しくはリン酸を包含する。
具体的には、無機酸又は有機酸とのBH4塩が好ましい。代替的なBH4塩の非限定例には、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、フマル酸及びマンデル酸のBH4塩が挙げられる。
BH4投与の頻度は、作用剤の薬物力学的パラメータ及び投与経路に依存する。最適な医薬製剤は、投与経路及び所望の投与量に依存して当業者によって決定されるであろう。たとえば、参照によって本明細書に組み入れられるレミングトンの薬学科学、18版(1990、Mack Publ. Co、 Easton PA 18042)1435、1712ページを参照のこと。そのような製剤は、投与された作用剤の物理的状態、安定性、生体内の放出速度及び生体内のクリアランス速度に影響してもよい。投与経路に依存して、体重、体表面積又は臓器の大きさに従って好適な用量を算出してもよい。適当な治療用量を決定するために必要な計算の改良は、特に、本明細書で開示される投与量情報及びアッセイ、並びに動物及びヒトの臨床試験で認められた薬物動態学的データの観点から、過度の実験なしで当業者によって日常的に為される。
関連する用量反応データと併せてPheの血中レベルを測定する確立されたアッセイを使用して適当な投与量を確認してもよい。最終的な投与量計画は、薬剤の作用、たとえば、薬剤の特異的な活性を改変する因子、患者の損傷の重症度及び反応性、患者の年齢、症状、体重、性別及び食事、感染の重症度、投与時間、並びにそのほかの臨床因子を考慮して主治医によって決定されるであろう。試験が行われるので、特定の疾患及び症状に対する適当な投与量レベル及び治療期間に関してさらなる情報が明らかになるであろう。
本発明の医薬組成物及び治療方法はヒトの医学及び家畜の医学の分野で有用であってもよいことが十分に理解されるであろう。従って、治療されるべき対象は、哺乳類、好ましくは、ヒト又はそのほかの動物であってもよい。獣医目的では、対象には、たとえば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ及びヤギを含む家畜、イヌ及びネコのようなペット、外来動物及び/又は動物園動物、マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びハムスターを含む実験動物、並びにニワトリ、七面鳥、アヒル及びガチョウを含む鳥類が挙げられる。
本発明の特定の側面では、BH4を単独で、又は肺疾患の治療に伝統的に使用される作用剤又は介入との併用で用いるPPHNの治療に必要な成分すべてをキットに包装してもよい。具体的には、本発明は、BH4若しくはその誘導体若しくは前駆体を含む薬物、並びに前記薬物を送達可能な形態に調製する緩衝液及びそのほかの成分、及び/又はそのような薬物を送達するための用具、及び/又はそのようなBH4に基づく薬物との併用療法で使用される任意の作用剤、及び/又は薬物と共に包装されるPPHN治療のための指示書の包装されたセットを含むPPHNの治療的介入に使用するためのキットを提供する。指示書は、たとえば、印刷した紙、又はコンピュータで読み取ることが可能な磁気媒体若しくは光学媒体、或いはインターネットを介してアクセス可能なworld wide webのような遠隔コンピュータデータ源を参照する指示書実体のような実体のある媒体に固定されてもよい。
VII.実施例
本発明の好ましい実施態様を実証するために以下の実施例が包含される。以下の実施例で開示される技法は、本発明者によって発見された、本発明の実践で上手く機能する技法を表し、従って、その実践の好ましい形態を構成するとみなされることができることが、当業者によって十分に理解されるべきである。しかしながら、当業者は本開示を踏まえて、開示される特定の実施態様で多数の変更を行うことができ、多数の変更は依然として、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、似た又は類似の結果を得ることを十分に理解すべきである。
(実施例1)
6R−テトラヒドロビオプテリンによる臨床評価
以下の実施例は、本発明の治療方法における臨床評価BH4について使用すべきパラメータの手引きを提供する。本明細書を通して議論されるように、一次及び二次のPPHNを含むPPHNの治療にBH4が使用されるだろう。臨床試験が行われ、代替の及び定義された臨床的エンドポイント双方の安全性、薬物力学及び初期反応に関するBH4の1日経口用量の評価を提供するであろう。最少限の、しかし、各患者について必ずしも1週間に限定されない間、試験が実施され、PPHNを打倒する有効性を評価し、30人の評価可能な患者について十分な安全性情報を集めるであろう。
試験に関する最初の用量は、約2〜約10mg/kgで変化するであろう。この用量が患者における肺動脈圧の低下を生じない、又は[記載]として測定される十分な直接の臨床的利益を生じない事象では、必要に応じて用量を増やし、必ずしも1週間に限定されない追加の最少限の期間、維持して安全性を確立し、さらなる有効性を評価すべきである。低用量、たとえば、0.1〜2mg/kgの用量も企図される。
安全性の測定には、有害事象、アレルギー反応、完全な臨床化学パネル(腎臓及び肝臓の機能)、尿の分析及び分染によるCBCが包含されるであろう。さらに、肺動脈圧の低下[PPHNに特異的なそのほかの症状を列記]を含むそのほかのパラメータもモニターされるであろう。本実施例はまた、循環中の薬剤の薬物力学的パラメータ、並びに血中の6R−BH4の一般的分布及び半減期の測定も企図する。これらの測定は、用量を臨床的反応に関連付けるのに役立つであろうことが十分に理解される。
方法
動脈血酸素分圧の低下、下肢における酸素負荷の低下を含み動脈管開存を介したシャントの証拠、及びPPHNのそのほかの症状を有する患者は、高酸素試験、高酸素−高換気試験及び心エコー検査試験を含みはするが、それらに限定しない臨床設定でPPHNを診断するのに共通して使用されるベースライン、既往歴及び身体検査、並びに種々の診断検査を受ける。2〜約10mg/kgのBH4の提案されたヒト用の用量を、1〜3回の1日用量に分割して投与するであろう。動脈血酸素分圧を含む血液ガスは、およそ1時間毎〜4時間毎の頻繁な間隔でモニターされ、右上肢及び左下肢のパルス酸素濃度計は連続的にモニターされるであろう。治療期間を完了した後1週間で、完全な評価が行われるであろう。用量の段階的増大が必要であれば、患者は上記で概略した同じスケジュールに従うであろう。試験中ずっと安全性がモニターされるであろう。
登録された患者は先ず、無作為化されてBH4又は偽薬を用量し、次いで、1時間後の第2の投与で偽薬又は活性のあるBH4を入れ換えるであろう。活動期のPPHN及び明白なシャントがある患者にNGTを介して薬剤(活性物又は偽薬)を投与し、パルス酸素濃度計及び血液ガスによって1時間、子供をモニターするであろう。1時間後、患者は第2の薬剤(最初に用量したものと反対の偽薬又は薬剤)を用量するであろう。患者を再びモニターするであろう。患者が最初にBH4を用量し、有効であれば、下肢の酸素負荷及び血液ガスでの改善によって証拠とされるように、肺の血流で改善の延長が期待される。エコーを使用して動脈管開存の逆流(右から左)の程度を記録するであろう。この投与の後、患者が偽薬を用量すれば、変化は認められないだろう。患者が最初に偽薬を用量したならば、変化は期待されないが、次いで患者が活性のあるBH4を用量する第2の時間で、効果は1時間以内に生じるはずである。この効果が最初に活性物を用量した乳児で起きることを示すことによって、我々は、患者が特異的にBH4に反応することを示すことができる。そのとき、病気の患者への過度のリスクなしで、これを行うことができる。2時間後、禁忌がないことを確認した後、赤ん坊は、BIDに分割されたBH4を1週間用量し、指摘されればその後、継続するであろう。
診断及び基準の包含/除外
患者は、心エコー検査及びPaO45mmHg未満に低下した動脈血酸素分圧又は室内で94%未満の酸素飽和度の証拠によって確認されたPPHNの文書の診断を持つ0〜1ヵ月児の男女である。
用量、経路及び投薬計画
患者は、5mg/kg/日の用量でBH4を用量するであろう。理に適った量で肺動脈圧が低下しない及び臨床的利益が認められない事象では、20mg/kgの合計1日用量が投与されるまで必要に応じて用量を増やしてもよい。液体、粉末、錠剤又はカプセルとして経口的に又は経鼻胃チューブを介して1日のBH4投与量が投与されるであろう。合計1日用量は単回用量で与えてもよいし、又はおそらく、2又は3回の1日用量に分割されてもよい。有害反応についてと同様に臨床的に患者はモニターされるであろう。異常な症状が認められたら、試験薬剤の投与は直ちに中止され、試験の継続について決定が為されるであろう。
BH4の安全性
試験の経過中、有意な急性の又は慢性の薬剤反応が生じなければ、BH4療法は安全であると判定されるであろう。臨床実験、臨床検査又はそのほかの適当な試験において有意な異常性が認められなければ、薬剤の長期投与は安全であると判定されるであろう。
(実施例2)
BH4の安定化し、結晶化した形態の調製
出願者、スイス、シャフハウゼンのルドルフ・モーザー及びスイス、ダクセンのヴィオラ・グルーンの名のもと、2004年11月17日に出願され、内部参照番号Z7053CH00(本明細書では「モーザーの出願」と呼ぶ)にてメルク−エプロバに譲渡された「(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体」と題する米国特許出願出願番号_____は、改変BH4組成物を調製する方法、改変の性状分析及び改変BH4組成物の安定性データを教示するので、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。その明細書の実施例は、BH4の多形体を特徴付けるX線及びラマン分光の試験を記載している。その出願のBH4組成物のそれぞれを本明細書で記載される治療方法に使用してもよい。以下の記載は、追加的な背景及びそれら例示となる組成物の一部の簡単な性状分析を提供する。
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの開発中得られた結果(「モーザーの出願」を参照のこと)は、該化合物が多形体形態を持ってもよいことを示した。この領域における継続した関心は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの個々の多形体を調製する、並びに、好ましくは安定で、取り扱い易く、且つ製剤の製造及び調製で処理し易い多形体を提供するために制御して結晶化する、効率の良い且つ信頼できる方法を必要としている。
薬剤の結晶を製造するために当該技術で周知の結晶化法を用いて多形体形態を調製する。そのような技法には、たとえば、懸濁、沈殿、再結晶化、蒸発、溶媒様水吸着法、又は溶媒和物の分解のような技法が挙げられるが、これらに限定されない。好適な核剤と共に種付けの有る又は無しで、希釈された、飽和された又は過飽和されたBH4の溶液を結晶化に用いてもよい。薬剤の溶液を形成するのに150℃までの温度を適用してもよい。結晶化及び沈殿を開始させるための−100℃まで、好ましくは−30℃までの冷却を適用してもよい。準安定の多形体又は擬似多形体形態を用いてさらに安定な形態を調製するための溶液又は懸濁液を調製し、溶液のさらに高い濃度を達成することができる。
モーザーの出願で議論したように、極性溶媒混合物からのBH4の結晶化によって多形体形態を得てもよい。モーザーの出願はまた、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの請求された形態よりも低いエネルギー形態の固体を任意で高い温度にて極性溶媒混合物に溶解し、溶液に種を添加し、得られた懸濁液を冷却し、形成された結晶を単離することを含む、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態を調製する方法も記載している。
溶解は、室温〜70℃までで行ってもよい。さらに好ましくは、溶解は50℃までの温度で行われる。出発物質は、溶解のために最終的な溶媒混合物に加えてもよいし、又は代替的に、出発物質を先ず水に溶解し、そのほかの溶媒を一緒に又は次々に加えてもよい。BH4の溶液は好ましくは撹拌される。冷却は、−80℃まで、好ましくは−40〜0℃までの温度を意味してもよい。一部の実施態様では、BH4多形体の結晶化を開始させるために、溶液が播種されてもよい。好適な種には、別のバッチの結晶に由来する多形体形態の一部、又は類似の若しくは同一の形態を有する結晶が挙げられる。単離の後、アセトン又はテトラヒドロフランで結晶性形態を洗浄し、薬剤結晶を乾燥するのに共通して使用される技法を用いて乾燥することができる。
モーザーの出願に記載されるBH4の多形体形態は、薬剤の非常に安定な結晶性形態である。多形体形態は容易にろ過し、乾燥し、医薬製剤について所望される粒度に粉砕することができる。これらの際立った特性によってこの多形体形態が特に医薬適用に実現可能となる。BH4の多形体形態の安定性は、40℃及び相対湿度75%にてミニグリップバッグにBH4x2HCl(多形体形態)を8ヵ月保存した後判定された。8ヵ月間の間、様々な間隔でHPLCによって品質をチェックした。8ヵ月後、多形体の品質及び安定性は、0時間で見られた安定性に驚くほど類似していた。
Figure 2008523090
従って、モーザーの出願は、(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリドの多形体形態及び薬学上許容可能なキャリア又は希釈剤を含む医薬組成物の記載を提供している。そのような組成物は、本明細書に記載される治療方法で有用であろう。
モーザーの出願に加えて、当業者はまた、米国特許第6、596、721号、同第6、441、168号及び同第6、271、374号にも紹介され、これらは、5−メチルテトラヒドロ葉酸の安定な結晶性の塩を製造するための種々の方法及び組成物、並びに6Rテトラヒドロ葉酸の安定な形態を製造するための方法及び組成物、並びに6S及び6Rテトラヒドロ葉酸の安定な形態を製造するための方法及び組成物を記載している。作用剤の結晶性形態を製造する方法及びそのような作用剤を性状分析するための技法を教示しているので、これら特許のそれぞれを参照によってその全体を本明細書に組み入れる。本明細書で教示される治療方法で医薬組成物として使用するためにBH4の安定な形態を製造するのにそのような方法を使用してもよい。
本明細書で開示され、請求された組成物及び/又は方法はすべて、本開示を踏まえて、過度の実験を行わずに作製し、実行することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施態様という点で記載されてきたが、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、該組成物及び方法に、及び本明細書で記載された方法の工程において又は工程に続いて、変異を適用してもよいことは、当業者に明らかであろう。さらに具体的には、同一の又は類似の結果が達成される一方で、化学的にも生理的にも関連する特定の作用剤が本明細書に記載される作用剤について置換されてもよいことは明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の置換及び改変はすべて、添付のクレームによって定義されるような本発明の精神、範囲及び概念の範囲内であると判断される。
(実施例3)
テトラヒドロビオプテリンの安定な錠剤製剤
以下に詳細に記載されるような表Iに示す成分を混合することによって錠剤製剤を調製した。
Figure 2008523090
先ず4kgの6R−L−エリスロ−5、6、7、8−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド塩(サプロプテリン塩酸塩、日本の第一サントリー製薬株式会社より入手可能)を混合機に詰め、1分間に25回転(RPM)で10分間、BH4を混合することによって、表1における12kgバッチのBH4と賦形剤の医薬組成物を調製した。次いで、6.91kgのD−マンニトール(パーリトール、アイオワ州、キオカクのロケッテ・アメリカ社より入手可能)を混合機に加え、混合物を25RPMにてさらに10分間混合した。次いで、260gの無水二塩基リン酸カルシウム(ニュージャージー州、フィリップスバーグのマリンクロット・ベーカー社より入手可能)及び540gのポリビニルピロリドン(コリドンCL、ニュージャージー州、フローハム・パークのBASF社より入手可能)を混合機に加え、混合物を25RPMにてさらに10分間混合した。混合機に200gのアスコルビン酸及び120gのリボフラビンを加え、混合物を25RPMにて3分間混合した。ステアリルフマル酸ナトリウム潤滑剤(PRUV、コネチカット州、ダンベリーのペンウエスト製薬会社より入手可能)を25メッシュのステンレススチールのふるいでバッグの中に通し、次いで、9kgのふるいにかけたステアリルフマル酸ナトリウムを混合機に詰め、得られた混合物を25RPMで5分間混合した。
次いで、混合した混合物を混合機から取り出し、150mg、300mg及び600mgの錠剤を調製するために3種の試料を回収した。上述のように調製された12kgバッチの材料を錠剤プレス(台湾R.O.C.シェン・チェン・マシナリー社より入手可能)に入れ、その際、錠剤プレスのパラメータは、4.5〜5.5ミリメータの範囲の厚さ及び7KPの錠剤硬度を持つ錠剤を提供するように設定した。
次いで、製剤の安定性を判定するために得られた錠剤を分析した。製剤の安定性は、様々な間隔での視覚的検査による時間とともに変化する外見、米国薬局方推奨番号701を利用した製剤の崩壊、及び製剤の成分を評価することによる化学的変化について調べた。安定性試験の結果を表IIに要約する。
Figure 2008523090
これらの安定性試験は、得られた錠剤製剤が、本明細書で開示されるBH4の医薬調製物で安定であり、有用であることを裏付けている。そのほかの好適な錠剤製剤は、少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%、又は少なくとも0.1重量%の濃度での少なくともアスコルビン酸、及び任意で崩壊剤(好ましくは、クロスプロビドン)を包含してもよい。
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明の側面をさらに説明するために包含される。本明細書で提示される特定の実施態様の詳細な説明と組み合わせて図面を参照することによって本発明がさらに良く理解されてもよい。
(6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Bの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Aの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Fの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Jの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Kの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Cの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Dの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Eの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Hの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Oの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Gの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Iの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Lの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Mの粉末X線回折パターンである。 (6R)−L−エリスロ−テトラヒドロビオプテリンジヒドロクロリド形態Nの粉末X線回折パターンである。 PKUの患者(N=20)における10mg/kg及び20mg/kgの複数回毎日BH4を用量後、3日及び7日の血中の平均Pheレベルである。 1日10mg/kgのBH4を投与された12人のPKUの成人における個々の血中Pheである。 1日20mg/kgのBH4を投与された12人のPKUの成人における個々の血中Pheである。 1日10mg/kgのBH4を投与された8人のPKUの小児における個々の血中Pheである。 1日20mg/kgのBH4を投与された8人のPKUの小児における個々の血中Pheである。

Claims (82)

  1. 正常より低い動脈血酸素分圧(PaO)を有する乳児を治療する方法であって、テトラヒドロビオプテリン(BH4)又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物を前記対象に投与することを含み、BH4の投与が、BH4の前記投与の非存在下での前記PaOに比べて前記乳児のPaOを高めるのに有効な量で投与される方法。
  2. 前記乳児が、妊娠週令34週未満〜生後約1ヵ月の年齢の間である請求項1の方法。
  3. 前記乳児が、新生児持続性肺高血圧症(PPHN)を有すると診断された請求項1の方法。
  4. 前記乳児が、一次PPHN、二次PPHN、肺の形成不全に関係するPPHNであると診断された請求項1の方法。
  5. 対象において新生児持続性肺高血圧症(PPHN)を治療する方法であって、テトラヒドロビオプテリン(BH4)又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物を前記対象に投与することを含み、BH4の投与が、前記BH4投与の非存在下での前記動脈血酸素分圧と比べて、前記対象の動脈血酸素分圧を高めるのに有効である方法。
  6. 前記対象が、治療計画の非存在下で45mmHg未満の動脈血酸素分圧(PaO)を有する請求項1〜5のいずれかの方法。
  7. 前記対象が、治療計画の非存在下で100%Oに置かれた場合、45mmHg未満〜15mmHgを超える、動脈管前PaOと動脈管後PaOの間のPaOの差異を有する請求項1〜5のいずれかの方法。
  8. 前記対象が、治療計画の非存在下にて、手動人工呼吸器で過換気され、動脈血二酸化炭素(PaCO)が20〜25mmHgの間になるまで100%Oに置かれた場合、100mmHgのPaOを有する請求項1〜5のいずれかの方法。
  9. 前記対象が、治療計画の非存在下にて、手動人工呼吸器で過換気され、動脈血二酸化炭素(PaCO)が20〜25mmHgの間になるまで100%Oに置かれた場合、100mmHg未満のPaOを有し、前記対象が心エコー検査で評価される場合、先天性心疾患の証拠を欠く正常なエコーを有する請求項1〜5のいずれかの方法。
  10. 前記対象が治療計画の非存在下にて心エコー検査で評価された場合、前記対象が、0.50より大きい右心室の前駆出期(PEP)対駆出時間(ET)の比及び0.38より大きい左心室のPEP/ET比を有する請求項1〜5のいずれかの方法。
  11. 前記BH4の投与が、前記対象のPaOを45mmHgを超えて高める請求項5〜10のいずれかの方法。
  12. 前記BH4の投与が、前記対象のPaOを約45mmHg〜約120mmHgの間に高める請求項5〜10のいずれかの方法。
  13. 前記BH4の投与が、前記対象のPaOを約45mmHg〜約65mmHgの間に高め、前記対象が、PPHNの未熟児であり、妊娠週令37週未満である請求項5〜10のいずれかの方法。
  14. 前記BH4の投与が、前記対象のPaOを約50mmHg〜約70mmHgの間に高め、前記対象が、妊娠37〜42週令の正期産児又は42週令以上の過期産児で、生後0〜1ヵ月のPPHNである請求項5〜10のいずれかの方法。
  15. 前記BH4の投与が、前記対象のPaOを約50mmHg〜約70mmHgの間に高め、前記対象が、280日の妊娠期間より2週間以上後に生まれた過期産児である請求項5〜10のいずれかの方法。
  16. 前記BH4が約0.1mg/kg〜約30mg/kgの間の量で投与される請求項1の方法。
  17. 前記BH4が1日単回用量で投与される請求項16の方法。
  18. 前記BH4が1日複数回用量で投与される請求項16の方法。
  19. 前記対象のPaOが45mmHgを超えて高まるまで、前記BH4が毎日投与される請求項16の方法。
  20. 前記対象のPaOが約45mmHg〜約120mmHgの間に高まるまで、前記BH4が毎日投与される請求項16の方法。
  21. 前記対象のPaOが約45mmHg〜約65mmHgの間に高まるまで、前記BH4が毎日投与され、前記対象が、PPHNの未熟児であり、妊娠37週令未満である請求項16の方法。
  22. 前記対象のPaOが約50mmHg〜約70mmHgの間に高まるまで、前記BH4が毎日投与され、前記対象が、PPHNの正期産児であり、妊娠37〜約41週令である請求項16の方法。
  23. 前記対象のPaOが約50mmHg〜約70mmHgの間に高まるまで、前記BH4が毎日投与され、前記対象が、PPHNの過期産児であり、280日の妊娠期間より2週間以上後に生まれる請求項16の方法。
  24. 前記対象のPaOが毎日モニターされ、PaOにおける10mmHg又は20%の増加が認められる場合、前記BH4が投与される請求項16の方法。
  25. 前記BH4が安定化され、結晶化された形態として投与される請求項1の方法。
  26. 前記BH4の安定化され、結晶化された形態が少なくとも99.5%の純粋な6R BH4を含む請求項25の方法。
  27. 前記安定化されたBH4組成物が室温で8時間を超えて安定である請求項25の方法。
  28. 前記BH4の前駆体がジヒドロビオプテリン(BH2)である請求項1の方法。
  29. 前記BH4の前駆体がセピアプテリンである請求項1の方法。
  30. 前記BH4が経口で投与される請求項1の方法。
  31. BH4が、PPHNを治療するために使用される作用剤又は介入と併用で投与される請求項1の方法。
  32. 前記作用剤が血管拡張剤である請求項31の方法。
  33. 前記血管拡張剤が、トラゾリン、硫酸マグネシウム、ニトロプレシド、プロスタサイクリン、ジピラミドール、アデノシン三リン酸、及び吸入一酸化窒素から成る群から選択される請求項32の方法。
  34. 前記BH4が、結晶多形体形態A、結晶多形体形態B、結晶多形体形態F、結晶多形体形態J、結晶多形体形態K、結晶水和物形態C、結晶水和物形態D、結晶水和物形態E、結晶水和物形態H、結晶水和物形態O、溶媒和物結晶形態G、溶媒和物結晶形態I、溶媒和物結晶形態L、溶媒和物結晶形態M、溶媒和物結晶形態N及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるBH4の結晶形態を含む請求項1〜33のいずれかの方法。
  35. 前記組成物がさらに葉酸を含む請求項34の方法。
  36. 前記葉酸が、5−ホルミル−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5、10−メチレン−(6R)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5、10−メテニル−(6R)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、10−ホルミル−(6R)−テトラヒドロ葉酸、5−ホルムイミノ−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、及び前述の組み合わせから成る群から選択されるテトラヒドロ葉酸を含む請求項35の方法。
  37. 前記組成物がさらにアルギニンを含む請求項35の方法。
  38. 乳児における正常より低い動脈血酸素分圧(PaO)を治療するために薬物を製造するためのBH4又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物の使用。
  39. 前記乳児が、妊娠週令34週未満〜出生後約1ヵ月の間の年齢である請求項38の使用。
  40. 前記薬物が、PPHNを有すると診断された乳児を治療するためである請求項38の使用。
  41. 前記薬物が、一次PPHN、二次PPHN、又は肺の形成不全に関係するPPHNであると診断された乳児を治療するためである請求項38の使用。
  42. PPHNを治療するために薬物を製造するためのBH4又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物の使用。
  43. 前記BH4投与の非存在下での前記動脈血酸素分圧に比べて対象の動脈血酸素分圧を高めるための薬物を製造するためのBH4又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物の使用。
  44. 前記薬物が、1日単回用量として投与するために製剤化される請求項38〜43のいずれかの使用。
  45. 前記薬物が、1日複数回用量として投与するために製剤化される請求項38〜43のいずれかの使用。
  46. 前記薬物が、吸入可能製剤として製剤化される請求項38〜43のいずれかの使用。
  47. 前記薬物が、約0.1mg/kg〜約30mg/kg/日の用量を送達するように製剤化される請求項38〜43のいずれかの使用。
  48. BH4の安定化され、結晶化された形態を用いて前記薬物が調製される請求項38〜43のいずれかの使用。
  49. 前記BH4の安定化され、結晶化された形態が少なくとも99.5%の純粋な6R BH4を含む請求項48の使用。
  50. 前記安定化されたBH4組成物が室温で8時間を超えて安定である請求項48の使用。
  51. 前記薬物中の前記BH4の前駆体がジヒドロビオプテリン(BH2)である請求項38〜47のいずれかの使用。
  52. 前記薬物中の前記BH4の前駆体がセピアプテリンである請求項38〜47のいずれかの使用。
  53. 前記薬物が、PPHNの治療に使用される作用剤又は介入との併用療法で使用するために提供される請求項38〜47のいずれかの使用。
  54. 前記作用剤が血管拡張剤である請求項53の使用。
  55. 前記血管拡張剤が、トラゾリン、硫酸マグネシウム、ニトロプレシド、プロスタサイクリン、ジピラミドール、アデノシン三リン酸、及び吸入一酸化窒素から成る群から選択される請求項53の使用。
  56. 前記BH4が、結晶多形体形態A、結晶多形体形態B、結晶多形体形態F、結晶多形体形態J、結晶多形体形態K、結晶水和物形態C、結晶水和物形態D、結晶水和物形態E、結晶水和物形態H、結晶水和物形態O、溶媒和物結晶形態G、溶媒和物結晶形態I、溶媒和物結晶形態L、溶媒和物結晶形態M、溶媒和物結晶形態N及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるBH4の結晶形態を含む請求項38〜55のいずれかの使用。
  57. 前記薬物がさらに葉酸を含む請求項56の使用。
  58. 前記葉酸が、5−ホルミル−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5、10−メチレン−(6R)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5、10−メテニル−(6R)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、10−ホルミル−(6R)−テトラヒドロ葉酸、5−ホルムイミノ−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、及び前述の組み合わせから成る群から選択されるテトラヒドロ葉酸を含む請求項57の使用。
  59. 前記組成物がさらにアルギニンを含む請求項56の使用。
  60. 請求項37〜59のいずれかの薬物及びPPHNの治療のための指示書及び任意で前記薬物を送達するための用具を含むキット。
  61. 乳児における正常より低い動脈血酸素分圧(PaO)を治療するための薬物を製造するためのBH4又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物。
  62. 前記乳児が、妊娠週令34週未満〜出生後約1ヵ月の間の年齢である請求項61の組成物。
  63. 前記薬物が、PPHNを有すると診断された乳児を治療するためである請求項61の組成物。
  64. 前記薬物が、一次PPHN、二次PPHN、又は肺の形成不全に関係するPPHNであると診断された乳児を治療するためである請求項61の組成物。
  65. PPHNを治療するための薬物を製造するためのBH4又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物。
  66. 前記BH4投与の非存在下での前記動脈血酸素分圧に比べて対象の動脈血酸素分圧を高めるための薬物を製造するためのBH4又はその前駆体又はその誘導体を含む組成物。
  67. 前記薬物が、1日単回用量として投与するために製剤化される請求項61〜66のいずれかの組成物。
  68. 前記薬物が、1日複数回用量として投与するために製剤化される請求項61〜66のいずれかの組成物。
  69. 前記薬物が、吸入可能製剤として製剤化される請求項61〜66のいずれかの組成物。
  70. 前記薬物が、約0.1mg/kg〜約30mg/kg/日の用量を送達するように製剤化される請求項61〜66のいずれかの組成物。
  71. BH4の安定化され、結晶化された形態を用いて前記薬物が調製される請求項61〜66のいずれかの組成物。
  72. 前記BH4の安定化され、結晶化された形態が少なくとも99.5%の純粋な6R BH4を含む請求項71の組成物。
  73. 前記安定化されたBH4組成物が室温で8時間を超えて安定である請求項71の組成物。
  74. 前記薬物中の前記BH4の前駆体がジヒドロビオプテリン(BH2)である請求項61〜73のいずれかの組成物。
  75. 前記薬物中の前記BH4の前駆体がセピアプテリンである請求項61〜73のいずれかの組成物。
  76. 前記薬物が、PPHNの治療に使用される作用剤又は介入との併用療法で使用するために提供される請求項61〜73のいずれかの組成物。
  77. 前記作用剤が血管拡張剤である請求項76の組成物。
  78. 前記血管拡張剤が、トラゾリン、硫酸マグネシウム、ニトロプレシド、プロスタサイクリン、ジピラミドール、アデノシン三リン酸、及び吸入一酸化窒素から成る群から選択される請求項77の組成物。
  79. 前記BH4が、結晶多形体形態A、結晶多形体形態B、結晶多形体形態F、結晶多形体形態J、結晶多形体形態K、結晶水和物形態C、結晶水和物形態D、結晶水和物形態E、結晶水和物形態H、結晶水和物形態O、溶媒和物結晶形態G、溶媒和物結晶形態I、溶媒和物結晶形態L、溶媒和物結晶形態M、溶媒和物結晶形態N及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるBH4の結晶形態を含む請求項61〜78のいずれかの組成物。
  80. 前記薬物がさらに葉酸を含む請求項79の組成物。
  81. 前記葉酸が、5−ホルミル−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5−メチル−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5、10−メチレン−(6R)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、5、10−メテニル−(6R)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、10−ホルミル−(6R)−テトラヒドロ葉酸、5−ホルムイミノ−(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、(6S)−テトラヒドロ葉酸及びその塩、及び前述の組み合わせから成る群から選択されるテトラヒドロ葉酸を含む請求項80の組成物。
  82. 前記組成物がさらにアルギニンを含む請求項61の組成物。
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