JP2008523056A - 蛍光造影剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、炎症に関連した疾患のイメージング用造影剤に関する。具体的には、本発明は、活性化白血球のイメージング用光学イメージング用造影剤及びそのイメージング法に関する。造影剤は、活性化白血球によって生成するオキシダントとの反応によってその蛍光特性が変化する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炎症に関連した疾患のイメージングのための造影剤に関する。具体的には、本発明は、活性化白血球のイメージングのための光学イメージング用造影剤並びにそのイメージング法を提供する。
発熱が通例炎症の徴候であることははるか昔から認識されていた。もう一つの有用な徴候は赤血球沈降速度の増加である。前世紀の後半に、これらの指標に加えて、C反応性タンパク質又は炎症性メディエーターの濃度増加のようなインビトロ試験が補充された。これらの試験は、体内での炎症の存在の指標として非常に信頼性が高い。しかし、炎症を効果的に治療するには、予め炎症の位置を知っておかなければならない場合もある。
潜在性炎症の存在は、例えば、大手術から回復しつつある衰弱した患者では、臨床上極めて重大な問題となることがある。
炎症プロセスは、炎症として広く認知されている局部的発赤及び膿瘍よりもはるかに多くのものからなる。炎症は、一般には炎症とみなされていない数多くの重大で広範な疾患にも関与している。持続性の軽度感染症は今日では循環器疾患の危険因子として認識されている。癌では、腫瘍の周囲に炎症が発生することが多い。持続性の炎症反応は、幾つかの極めて重要な器官である肝臓、肺及び心臓で線維症を招きかねない。線維症は、発症した組織の機能を低下させ、最終的には臓器不全を招くおそれがある。免疫系は悪性疾患に強く関与している。動脈硬化プラークについては、炎症プロセスは、プラーク形成の開始、病変部の成長、並びに最後に述べるが決して軽んじるべきではないこととして、プラークが安定な構造となるか或いは破裂して致命的な血栓を形成しかねない不安定な「不安定プラーク」となるか否かが決まる際に、重要な役割を演じる。
炎症の最初の最も重要な二つの特徴は、血流の増加と内皮の完全性の喪失である。次いで数時間以内に、血液中で最も数の多い貪食細胞である顆粒球が流入する。炎症の特徴は白血球の活性化である。その結果、オキシダントが生成する。
無痛の又は直接視認できない炎症病巣の位置の特定に利用できる選択肢は極めて少ない。
国際公開第01/66789号には、炎症性メディエーターのような免疫応答メディエーターの測定のための組成物及び方法が記載されている。この方法は、好中球を含有する溶液を得て、好中球を発色団に暴露し、発色団を酸化させて発光化合物を形成し、可視光又は紫外光の強度を測定することを含む。しかし、この文献は、体液中の炎症性メディエーターの存在をインビトロで測定する方法に関するものであり、インビボでの炎症部位の検出には応用できない。
既存の大半の炎症部位の検出法では、血液試料を採取し、顆粒球を単離して標識する。標識化は通例放射性同位体によってなされる。標識化合物は、細胞の表面に直接結合してもよいし、白血球抗原に対するモノクロナール抗体に結合してもよいし、或いは細胞に取り込まれる複合体(例えば、99mTc−ヘキサメチル−プロピレンオキシム)を形成してもよい。最後に、標識化学走性ペプチドのような標識化合物は細胞表面の顆粒球受容体に結合してもよい。かかる炎症検出法は、Roddie M.E. et al, Radiology (1988) 166(3)767−72, “Inflammation: imaging with 99mTc−HMPAO−labeled leukocytes”に記載されている。
このように、公知の方法では、顆粒球を単離し、それらを標識化して細胞を再注入して、炎症病巣へと移動させ、放射線によって炎症の位置を特定することが必要とされる。この種の方法は、侵襲性であり、時間がかかり、細胞懸濁液の汚染を回避するため相当の注意を必要とする。活性化細胞が炎症プロセスに直接関与する細胞であるので、かかる方法の対象は活性化細胞を検出することである。単離及び/又は標識化段階での顆粒球又はマクロファージの活性化を避けるための配慮と熟練が必要とされる。活性化細胞が注入されてしまうと、それらは肺に非特異的に保持される可能性が高いからである。
そこで、以上の点を考慮すると、炎症のイメージングのための改良造影剤及び方法に対するニーズが存在する。本発明の光学イメージング用造影剤及びその使用方法によって、炎症部位の検出の機会が高まる。
国際公開第01/66789号パンフレット Roddie M. E. et al, Radiology (1988) 166 (3) 767-72, "Inflammation: imaging with 99mTc-HMPAO-labeled leukocytes"
本発明の目的は、炎症の診断イメージングに有用な造影剤を提供することである。炎症に関連した疾患及び徴候としては、動脈硬化病変及び循環器疾患がある。また、炎症反応はある種の腫瘍の周囲にも発生する。
炎症の特徴は、白血球の活性化であり、オキシダントの生成をもたらす。今回、光学イメージング法によって炎症部位をインビボで検出できるという予想外の知見が得られた。白血球によって生成したオキシダントで酸化され、酸化プロセスで蛍光特性が変化する光学イメージング用造影剤を提供する。光学イメージング用造影剤の蛍光特性の変化としては、励起又は発光波長の変化、蛍光強度の変化が挙げられ、或いは蛍光の消失を伴うこともある。
一態様では、本発明は、活性化白血球のイメージング用光学イメージング用造影剤であって、活性化白血球によって生成するオキシダントとの反応によってインビボでの蛍光特性が変化する造影剤を提供する。
白血球は白色の血液細胞であり、その機能は異物及び侵入細胞を破壊することであるである。本明細書で言及する白血球とは、貪食細胞及びリンパ球を意味する。貪食細胞には、顆粒球、マクロファージ及び単球が含まれ、細菌その他の異物を貪食し、それらを破壊する能力がある。白血球は通常は静止状態にある。例えば、単球、リンパ球及び顆粒球は血液中を循環する。白血球が炎症促進性刺激物に遭遇すると、活性化される。活性化で生じる変化は、細胞型及び個々の刺激物によって決まる。ある種のリンパ球は、例えば、大きさ及び代謝活性が増し、リンパ節へと移動する。単球及び顆粒球は血液から周辺組織へと移動する。ただし、顆粒球は寿命が限られているが、単球はマクロファージへと分化して在住マクロファージとなる。炎症の性状とは無関係に、応答は炎症部位における多数の白血球によって特徴付けられる。
異物を攻撃する際に、活性化白血球は炎症部位で反応性酸素種つまりオキシダントを生成する。主な生成物はスーパーオキシドアニオン(O )であるが、この分子種は反応性であり、例えばスーパーオキシドジスムターゼ、ミエロペルオキシダーゼ及び鉄イオンなどでの酵素反応及び非酵素反応によって変換される。炎症カスケードの副生物及び/又はマーカーであるオキシダントの例としては、特に限定されないが、過酸化水素(H)、スーパーオキシドアニオン(O )、酸塩化物アニオン(OCl)、ヒドロキシルラジカル、一重項及び三重項酸素、一酸化窒素(NO)及びペルオキシ亜硝酸アニオン(OONO)のような酸素ラジカルが挙げられる。本発明の一実施形態は、造影剤の蛍光特性の変化を惹起するこれらのオキシダントのいずれかによってインビボで酸化されて活性化させることのできる光学イメージング用造影剤である。これらのオキシダントの多くは、不対電子を有していないので化学的にはラジカルではないが、酸化し得る物質と容易に反応するので「酸素ラジカル」と呼ばれることが多い。
この態様の一実施形態では、本発明は、次の式(I)の光学イメージング用造影剤を提供する。
Q−(L−R) (I)
式中、
Qは還元型の蛍光色素を表し、
Rは親水基を表し、
Lはリンカーを表し、
pは、1〜4の整数を表す。
本発明の造影剤は蛍光色素を含む。蛍光色素とは、蛍光を呈する化学物質又は分子と定義され、フルオロフォア(蛍光発色団)とは、蛍光の原因となる化学基と定義される。フルオロフォアは蛍光色素の「中核」である。蛍光色素又は蛍光色素前駆体はフルオロフォア又はフルオロフォア前駆体を含む。蛍光色素は特定の波長で蛍光を発し、多数の共役電子系を有する。可視及び近赤外(NIR)スペクトル域で発光する蛍光色素が好ましく、NIR発光蛍光色素が最も好ましい。蛍光色素は、活性化白血球によって生成するオキシダントと反応するフルオロフォアを含んでおり、その反応で蛍光特性が変化する。一実施形態では、本発明の造影剤は還元型のフルオロフォアを含む。好ましくは、フルオロフォアは、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、キノリン、フルオレン、キサンテン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾオキサジアゾール、ピロリドン、フェノキサジン、スチレン、カルボシアニン、オキサカルボシアニン、インドール及びイソインドールの誘導体の還元型から選択される。造影剤は、蛍光の変化を伴う酸化を受けやすいフルオロフォアを含む。蛍光色素は還元型フルオロフォアを含んでいるので、蛍光色素も当然ながら還元型である。
本発明の造影剤は、オキシダントとの反応の結果として活性化白血球の部位で蛍光特性が変化する蛍光色素を含む。Setsukinai K. et al, The Journal of Biological Chemistry (2003), Vol.278, No.5, 3170−3175には、反応性の高い酸素種のための2種類の蛍光プローブが記載されている。これらの蛍光プローブは反応性酸素種と反応すると、酸化修飾によって炭素原子を含む分子の一部が脱離するので、プローブの分子骨格が変化する。
本発明の反応の様式は、還元型蛍光色素を含有する造影剤の酸化反応を含む。典型的には、この反応は1以上の水素原子の除去と二重結合(共役二重結合系の一部でもよい)の形成とを伴うか、或いはこの反応はヒドロキシル基がケト基又はアルデヒド基へと変換するものでもよい。さらに、この反応はハロゲン原子又は−NOや−NOのような窒素含有基による水素原子の置換を含んでいてもよい。これらの置換は、置換基がそれらに結合した炭素原子から電子を求引するという点で酸化反応である。これらはすべて有機化学における酸化反応の範疇に属する化学プロセスである。想定される反応様式には、蛍光色素の酸素、窒素及びイオウのようなヘテロ原子を含めた炭素骨格の一部の脱離は含まれない。
一実施形態では、本発明の造影剤は、還元型のフルオレセイン、フルオレセイン誘導体、ローダミン及びローダミン誘導体からなる群から選択される蛍光色素を含む。好ましくは、造影剤はジヒドロフルオレセイン、ジクロロジヒドロフルオレセイン、ジヒドロローダミン123、ジヒドロローダミン6G、ジヒドロローダミン110、ジヒドロローダミン800、ジヒドロローダミンB、還元型スルホローダミンB及びジヒドロエチジウム(別名ジヒドロエチジン)からなる群から選択される蛍光色素を含む。
幾つかの関連する還元型蛍光色素の構造を以下に示す。
Figure 2008523056
以上の蛍光色素のいずれかを含む光学イメージング用造影剤が本発明の好ましい実施形態である。
造影剤は、還元型蛍光色素に結合した1以上の親水基Rをさらに含んでいる。本発明では、造影剤の細胞透過性は望ましくない。細胞透過性分子は体内のすべての細胞に取り込まれ、必要とされる用量が不必要に増大してしまうからである。炎症病巣では、スーパーオキシドアニオンのような反応性酸素種は免疫系の細胞から輸送される。従って、造影剤は細胞外区画に留まるべきである。細胞透過性は一般に分子が細胞膜の脂質二重層の疎水性コアを通過する能力によって求められ、ある種の分子は生理的膜貫通型輸送分子によって運ばれる。細胞膜透過性は、造影剤中にイオン性基又は親水性基を導入することによって大幅に低減できる。親水基Rは細胞透過性の低減に役立ち、例えばスルホン酸基、カルボキシレート基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニル基又はアルコキシアルキル基、アミノ基、糖類、線状又は環状ポリオール並びにポリエチレングリコール又はグリカンのような親水性ポリマーからなる群から選択される。Rは、アミノ酸残基とPEG様構造とを共に含む基を表すものであってもよい。一実施形態では、Rは、次の式(II)の17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸の単分散性PEG様構造からなる単位を表す。
Figure 2008523056
式中、mは1〜10の整数であり、C末端はアミド又は酸部分である。PEG様構造は、組織(筋肉、肝臓など)への化合物の取り込みを下げることによって、造影剤の薬物動態及び血液クリアランス速度を変化させ、バックグラウンド干渉が低減するので診断画像が向上する。腎濾過の低減及び/又は受容体との相互作用の低減によって体内分布を変化させるために、かかるRを結合させてもよい。
親水基Rは、蛍光色素の蛍光特性に影響を与えないように還元型蛍光色素に結合させる。R基は、好ましくは、共役フルオロフォア系から離れた位置に配置される。ジヒドロフルオレセインのようなフルオレセインでは、この種の基は蛍光を妨害せずに5位又は6位に導入することができる。
本発明の造影剤は、蛍光色素と親水基とを連結するリンカーLを含む。その最も単純な形態では、Lは共有結合であるか、或いは構成ブロックを容易に結合することができる官能基を含む。Lは好ましくは、第二又は第三アミン、アミド、チオエーテル、エーテル、スルホン、スルホキシド、スルフィド、ポリ乳酸基、ポリグリコール酸基、1〜5残基のアミノ酸及びアルキル基からなる群から選択される。最も好ましいくは、Lは共有結合又はアルキル基、さらに好ましくはC1〜6アルキル鎖である。
以下、ジヒドロローダミン800を親水基でどのように修飾できるかの例を挙げる。酸化型蛍光色素の蛍光を妨害しないように1以上のL−R基が配置される。
Figure 2008523056
好ましくは、造影剤はオキシダントと反応する際に蛍光型に切り替わるように活性化される。すなわち、造影剤はオキシダントとの反応前は非蛍光型として投与され、オキシダントとの反応で蛍光化合物へと変換される。このような変化には、酸化によって蛍光の強度が変化するという代替も含まれる。好ましくは、強度レベルは低レベルから高レベルへと変化し、例えば、造影剤は酸化前はほとんど非蛍光性であるが、酸化後は強い蛍光を有する。この実施形態では、造影剤の強度変化は酸化の前後で3倍以上、さらに好ましくは5倍以上、最も好ましくは10倍以上である。これに関して、還元型蛍光色素は好ましくは非蛍光性であるので、蛍光色素の前駆体とみなすことができる。さらに別の代替は、造影剤がオキシダントとの反応によってその励起/発光波長を変化させることである。最も考慮すべき事項は、フィルター又はモノクロメーターを用いて酸化の前後の発光を識別できるように励起/発光波長の変化が十分でなければならないことである。幾つかの有用な蛍光色素は発光スペクトルの半値幅が約25nmであり、それらの励起/発光ピークの間隔が10〜20nm以下の場合もあり、これは最小分解能の例である。この実施形態では、励起/発光波長の変化は酸化の前後で10nm以上、さらに好ましくは20nmを超える。別法として、酸化によって半減期が変化する場合、蛍光発光半減期の変化を非酸化型造影剤と酸化型造影剤の区別に用いることもできる。
第二の態様では、本発明は、第一の態様で説明したような還元型蛍光色素を含むが、インビボにおいて二段階機構で活性化される造影剤を提供する。二段階機構は、オキシダントとの反応に加えて、酵素反応を含む。
この態様の造影剤は、酵素、好ましくは加水分解酵素の基質である。そこで、この造影剤は酵素の基質であるとともに、蛍光色素又はその前駆体を含んでいる。この態様の造影剤はそれ自体ではオキシダントと反応する能力はないが、酵素反応後はオキシダントと反応性となる。従って、造影剤は、オキシダントとの反応前に酵素反応を受ける。この態様では、造影剤の蛍光色素を、酵素の基質をなす部分で誘導体化する。誘導体化によって、造影剤は酵素反応に感受性となる。また、蛍光色素の誘導体化によって、酵素反応が起こるまで造影剤の蛍光色素部分がオキシダントと反応しなくなる。この態様の造影剤は、次の式(III)の酵素基質である。
(R−L)−Q−E (III)
式中、Qは還元型の蛍光色素を表し、
Eは酵素が認識できるものを表し、
nは1〜3の整数を表し、
Rは親水基を表し、
Lはリンカーを表し、
rは0〜4の整数を表す。
こうした二段階機構で反応する造影剤の利点は、蛍光色素の酸化が炎症部位以外では起こらないようになることである。酸素ラジカルは、抗酸化酵素を豊富に含むミトコンドリアの呼吸鎖の副生物である。酸化され易い物質は、循環血液中で酸素ラジカルに遭遇することがある。炎症に対する特異性がさらに向上した造影剤を得るため、特異的酵素の作用によって変換されるまでは酸化され難い化合物を使用することが提案される。造影剤は、活性化白血球に付随する酵素群と反応してから、オキシダントと反応して蛍光特性が変化する。この態様の造影剤は、好ましくは炎症部位に対する特異性が向上している。
関連酵素群は、マクロファージその他の貪食細胞のような活性化白血球から分泌され、白血球が活性化される炎症部位に存在する。この種の用途に有用な関連酵素群としては、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、スルファターゼ、グルコシダーゼ及びエステラーゼのような加水分解酵素が挙げられる。その他の有用な酵素としては、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、レダクターゼ、キナーゼ、トランスフェラーゼ及びリガーゼがある。造影剤は、還元型蛍光色素(Q)又はその前駆体を、好ましくは上述の酵素のいずれかの酵素基質をなす部分Eで誘導体化したものを含む。
Eは、ホスファターゼ、グルコシダーゼ及びペプチダーゼに対する酵素基質となる造影剤を得るため、好ましくはリン酸、糖類及びペプチドからなる群から選択される。
ホスファターゼの基質は、Eがリン酸基であってEが蛍光色素(好ましくは、ジヒドロフルオレセインのような還元型蛍光色素のヒドロキシル基)に結合している場合に得られる。ホスファターゼの基質の例を以下に示すが、この例では還元型蛍光色素に2つのリン酸基が結合している。
Figure 2008523056
グルコシダーゼの基質は、蛍光色素に所定の糖(E)をグリコシド結合で結合させることによって得られ、例えば、N−アセチルグルコサミニダーゼの基質は、ジヒドロフルオレセインのヒドロキシル基にN−アセチルグルコサミンをグリコシド結合で結合させることによって合成できる。その他の糖は、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン、マンノース及びフコースである。ガラクトシダーゼの基質を以下に示す。
Figure 2008523056
この態様においてペプチダーゼの基質である造影剤は、ペプチド部分(E)を還元型蛍光色素(例えば還元型ローダミン110のアミノ基など)に結合させることによって得られる。ペプチドは、ペプチダーゼと反応できて、還元型蛍光色素から1〜5残基のアミノ酸を含むペプチドを開裂する任意のペプチドから選択される。ペプチドは20種類の天然アミノ酸から選択されるものを含んでいてもよいし、或いは修飾又は異常アミノ酸を含んでいてもよい。アミノ酸は、イソペプチド結合及び/又はα−アミノ基とα−カルボキシル基との本来のペプチド結合で連結し得る。ペプチドは公知の化学合成法を用いて合成することができ、特に有用な方法は自動ペプチド合成装置を用いたMerrifieldの固相法である(J.Am.Chem.Soc.85:2149(1964))。さらに、蛍光色素とペプチドのカップリングも自動ペプチド合成装置を用いて自動的に実施でき、ペプチドと蛍光色素との間にアミド結合を生ずる。固相法によるペプチドの合成は、適宜リンカー基を介して固相担体と結合した保護アミノ酸を順次付加していくものである。一般に用いられる一つの方法では、α−アミノ基を酸不安定又は塩基不安定性保護基で適切に保護する。最初のアミノ酸残基の付加とカップリングの後、α−アミノ保護基を取り外す。
還元型蛍光色素Qは第一の態様で挙げたものと同種の蛍光色素から選択され、好ましくは、ジヒドロフルオレセイン、ジクロロフルオレセイン、ジヒドロローダミン123、ジヒドロローダミン6G、ジヒドロローダミン110、ジヒドロローダミン800及びジヒドロエチジウムからなる群から選択される。この態様に関して、好ましい蛍光色素はジヒドロローダミン123であるが、これは、酵素が認識できるもので誘導体化し得る2つのアミノ基を有しており、この態様に係る造影剤を形成することができるからである。
Figure 2008523056
上記で挙げた以外の色素も使用できる。インビボで有用な誘導体化し得る蛍光色素、例えば、近赤外域に励起及び発光波長を有する色素が好ましい。蛍光色素はインビボで酸化され易く、酸化の結果として蛍光が変化する。
nは1〜3の整数である。酵素が認識できるもので修飾し得る2以上の基を有する蛍光色素では、これらの基をすべて修飾するのが好ましい。誘導体化し得る蛍光色素の好ましい基の例は、ヒドロキシル基及びアミノ基である。
この態様の造影剤は、第一の態様と同様に、リンカーで蛍光色素に連結した親水基Rを適宜含んでいる。造影剤にイオン性又は親水性基を導入することによって、細胞膜透過性を大幅に低下させることができる。親水基R及びリンカーは、第一の態様と同じ基から選択される。
この態様の造影剤及び二段階機構の一般例を以下に示す。
Figure 2008523056
この式において、ペプチド−Qは本発明のこの態様に係る造影剤を表し、造影剤は酵素(例えばペプチダーゼ)の基質である。Qは還元型(つまり非酸化型)の蛍光色素を表し、oxは酸化型を表す。造影剤は、1残基以上のアミノ酸からなるペプチドを含んでいるが、ペプチド化学で使用される封鎖基を含んでいてもよい。ペプチドは蛍光色素の酸化を防止する。酵素との反応によって蛍光色素からペプチドが開裂して、還元型蛍光色素が遊離する。還元型蛍光色素は次いでオキシダントと反応して、酸化型が生成するとその蛍光に関する特性が変化する。
カテプシンBは、アルギニン又はリシンのカルボキシル末端でペプチドを開裂する酵素である。この態様においてカテプシンBとの反応のための典型的な造影剤基質は(B′−Arg)−Q基を含む。ここで、酵素Eが認識できるものは、B′と連結したアルギニンからなり、B′はアミノ末端封鎖基を表し、Qは還元型蛍光色素を表し、nは1〜3の整数を表す。例えば、ジヒドロローダミン110のアミノ基の一方又は双方をB′−アルギニン基で誘導体化すれば、カテプシンBの基質が得られる。酵素との反応によってアルギニンが除去されて、遊離の還元型フルオロフォアが残る。カテプシンBに対する基質の例を以下に示すが、この例ではB′はベンゾイル基である
Figure 2008523056
第二段階で、還元型蛍光色素Qが、炎症プロセスの作用で生成したオキシダントと反応する。この造影剤で起こる二段階機構を以下に示す。
Figure 2008523056
別の態様では、本発明は、本発明に係る造影剤の製造方法を提供する。本発明に係る造影剤は還元型蛍光色素を含む。還元型蛍光色素は蛍光色素と還元剤との反応によって生成する。還元反応は、通例、蛍光色素への1以上の水素原子の付加を伴い、二重結合は単結合に変換される。二重結合は通常は2つの炭素原子間又は炭素原子と酸素又は窒素原子との間に位置する。フルオレセイン及びローダミン系蛍光色素の化学的還元は、無色の非蛍光性ジヒドロフルオレセイン及びジヒドロローダミンを生じる。かかる還元型蛍光色素は、フルオレセイン、ローダミン110、ローダミン123、ローダミン6G、ローダミン800、ローダミンB、還元型スルホローダミンB、エチジウム又はクレジルバイオレットのような市販の蛍光色素を、例えば、亜ジチオン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ジメチルアミノホウ素リチウム又は水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムのような還元剤と反応させることによって調製できる。ローダミン110は、希酢酸中の亜鉛粉末で還元できる。水素化アルミニウムリチウム又はジボランのような極めて強力な還元剤は、置換基の脱離を招きかねないので注意して使用すべきである。還元型蛍光色素は好ましくは非蛍光性である。
親水基Rは、蛍光色素を還元する前に蛍光色素に結合してもよいし、或いは既に還元した蛍光色素に結合してもよい。アミン基及びヒドロキシル基のような修飾すべきでない反応性基を含む蛍光色素は保護すべきである。アミン官能基は、エステル、好適にはC1〜6アルキル又はC1〜6ハロアルキルエステル、好ましくはt−ブトキシカルボニル(Boc)のようなエステルで、或いはエーテル、好ましくはC1〜6アルキルエーテルで保護し得るし、或いはアミド、好適にはホルミルアミドのようなアルキルアミドとして保護し得る。ヒドロキシル基は、シリルエーテルもしくはアルキルエーテルのようなエーテルとして又はエステルとして保護し得る。これらの保護基は、好適には、例えば酸又は塩基の存在下での加水分解で除去し得る。親水基(例えばアミン)との反応は、活性化ヒドロキシル基、チオイソシアネート又は塩化スルホニルを用いて達成することができる。スルホヒドリル基との結合には、例えばマレイミド又はクロロケトンを使用し得る。
酵素が認識できるものを含む造影剤の製造には、蛍光色素を修飾してペプチド、炭水化物又はリン酸基のような置換基を含むようすればよい。ペプチドはペプチドの活性化エステルの反応によって導入でき、ペプチドは副反応をなくすためアミン又はスルフヒドリル基上に保護基を含んでいてもよい。炭水化物は、Marjan Jeselnik et al., “Novobiocin−related compounds”, Carbohydrate Research 328 (2000) 591−597に開示されているように、活性化誘導体(例えばクロロアセトイミデート)として導入でき、かかる活性化誘導体はヒドロキシル上に保護基(通常はアセチル基)を含む。リン酸基は、Lardy Henry A. and Hermann O. L. Fischer, “Phosphoric esters of biological importance. I. The synthesis of glucose−6−phosphate”. J.Biol.Chem. 1946, 164(2) 513−9に開示されているように、適切に保護された蛍光色素をクロロホスホン酸ジフェニルと反応させ、次いでフェニル基をパラジウム上での水素化と加水分解によって除去することによって導入できる。
本発明のもう一つの態様は、インビボ光学イメージングによって組織中の活性化白血球を検出する方法であって、
i)活性化白血球によって生成するオキシダントとの反応によってインビボでの蛍光特性が変化する光学イメージング用造影剤を被検体に投与し、
ii)造影剤の蛍光特性の変化を検出すること
を含む方法である。
この方法の段階i)で投与される造影剤は、本発明の第一の態様又は第二の態様で説明した特性を有する。従って、造影剤は、オキシダントとの反応によってその蛍光特性が変化する還元型蛍光色素又はその前駆体を含む。さらに、段階i)は、適宜、造影剤が酵素の基質として作用し、オキシダントとの反応前に酵素反応を受ける二段階機構を含んでいてもよい。
好ましい方法は、上述の造影剤をヒト又は動物の身体(例えば血管系)に投与して造影剤が分配された身体の少なくとも一部分の画像を生成させることを伴う、蛍光を検出する光学イメージングによってヒト又は動物の身体の部位の画像を生成することを含む。さらに、この方法は、好ましくは、蛍光の検出に基づいて炎症部位を検出することを含む。蛍光特性の変化は、蛍光の出現又は消失の変化、発光及び/励起波長の変化、蛍光強度レベルの変化又は蛍光寿命の変化のいずれかである。かかる蛍光の検出は、蛍光レベルの測定を含んでいてもよいし、炎症部位の同定は、非酸化型造影剤と酸化型造影剤との間の励起/発光波長の相違の検出に基づくものでもよいし、或いは検出は蛍光寿命の測定を含んでいてもよい。
さらに別の態様では、本発明は、上述の造影剤を予め投与しておいたヒト又は動物の身体の強調画像をイメージングによって生成させる方法であって、身体の少なくとも一部分の画像を生成させることを含む方法を提供する。
本発明は、本発明の造影剤の有効量(例えばインビボイメージングでの画像コントラストの強調に有効な量)を、薬学的に許容される1種以上の補助剤、賦形剤又は希釈剤と共に含んでなる医薬組成物も提供する。
本発明の造影剤又はその組成物はインビボ光学イメージングに用いるためのものである。さらに好ましくは、造影剤は、炎症に関連した疾患及び徴候のイメージング及び検出に用いられる。かかる徴候としては、動脈硬化病変、特に活性化マクロファージを含んでいて不安定な病変(「不安定」又は「責任」病変)がある。その他の徴候としては、ある種の腫瘍の周囲に発生するような炎症反応、循環器疾患の危険因子である軽度感染症、及び線維症へと至る持続性炎症反応が挙げられる。
さらに別の態様では、本発明は、コントラスト強調剤をヒト又は動物の身体に投与して身体の少なくとも一部分の画像を生成させる診断法に用いられるコントラスト強調剤の製造における本発明の造影剤の使用を提供する。
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに例示する。
実施例1:ジヒドロローダミン800の合成及び再酸化
0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中の1mMローダミン800(Fluka社製、製造番号83701)溶液2mLに、約5mgの水素化ホウ素ナトリウムを添加した。混合物を振盪し、室温で2時間放置した。この還元型溶液40μLを960μLのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に添加した。図1Aは、Hewlett−Packard社製ダイオードアレイ分光光度計で記録した還元型ローダミン蛍光色素、すなわちジヒドロローダミン800のスペクトルである(点線)。未処理ローダミン800のスペクトルを全く同じ方法で記録した(実線)。希釈した還元型蛍光色素の試料を空気中で穏やかに酸化して、そのスペクトルを記録した(破線)。図1Bに、ローダミン800及びジヒドロローダミン800の化学式を示す。
本例は、ローダミン800をジヒドロローダミン800に還元すると、可視域の吸収がほとんど消失することを示している。蛍光の励起には、蛍光色素によって光が吸収される必要がある。可視域に吸収がないので、可視光に露光しても還元型ローダミン800からの蛍光は存在しない。還元型蛍光色素を酸化するとその光学特性が回復する。
実施例2:ジヒドロローダミン110の合成及び再酸化
0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中の1mMローダミン110(Fluka社製、製造番号83695)溶液2mLに、約5mgの水素化ホウ素ナトリウムを添加した。混合物を振盪し、室温で2時間放置した。この還元型溶液40μLを960μLのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に添加した。図2Aは、Hewlett−Packard社製ダイオードアレイ分光光度計で記録した還元型ローダミン蛍光色素、すなわちジヒドロローダミン110のスペクトルである(点線)。未処理ローダミン110のスペクトルを全く同じ方法で記録した(実線)。希釈した還元型蛍光色素の試料を空気中で穏やかに酸化して、そのスペクトルを記録した(破線)。図2Bに、ローダミン110及びジヒドロローダミン110の化学式を示す。
本例は、ローダミン110をジヒドロローダミン110に還元できることを示している。蛍光の励起には、蛍光色素によって光が吸収される必要がある。可視域に事実上吸収がないので、可視光に露光しても還元型ローダミン110からの蛍光はわずかしか存在しない。ただし、還元型蛍光色素を酸化するとその光学特性が回復する。
実施例3:ジヒドロフルオレセインの合成及び再酸化
0.1Mホウ酸緩衝液(pH8.5)中の1mMフルオレセイン(Sigma社製、製造番号F−6377)溶液2mLに、約5mgの水素化ホウ素ナトリウムを添加した。混合物を振盪し、室温で2時間放置した。この還元型溶液40μLを960μLのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に添加した。図3Aは、Hewlett−Packard社製ダイオードアレイ分光光度計で記録した還元型フルオレセイン蛍光色素、すなわちジヒドロフルオレセインのスペクトルである(点線)。未処理フルオレセインのスペクトルを全く同じ方法で記録した(実線)。希釈した還元型蛍光色素の試料を空気中で穏やかに酸化して、そのスペクトルを記録した(破線)。図3Bに、フルオレセイン(蛍光性)及びジヒドロフルオレセイン(非蛍光性)の化学式を示す。
本例は、フルオレセインをジヒドロフルオレセインに還元すると、可視域の吸収がほとんど消失することを示している。蛍光の励起には、蛍光色素によって光が吸収される必要がある。可視域に吸収がないので、可視光に露光しても還元型フルオレセインからの蛍光は存在しない。しかし、還元型蛍光色素を酸化するとその光学特性が回復する。
実施例4:過酸化水素による還元型ローダミン110の酸化
ローダミン110を実施例2と同様に還元した。還元型ローダミン110(すなわちジヒドロローダミン110)溶液の一部に、過酸化水素を最終濃度が10μMとなるまで添加し、蛍光の増加をThermo Fluoroscan Ascent FL蛍光光度計を用いて538nm(励起波長485nm)で記録した。実験は、図4Aに示すように、低濃度の過酸化水素で還元型ローダミン110が急速に酸化されることを示している。図4Bに、ジヒドロローダミン110及びローダミン110の化学式を示す。
酸化型(実線)、還元型(点線)及び再酸化(破線)ローダミン800のスペクトルを示す図。 ローダミン110及びジヒドロローダミン800の化学構造を示す図。 酸化型(実線)、還元型(点線)及び再酸化(破線)ローダミン110のスペクトルを示す図。 ローダミン110及びジヒドロローダミン110の化学構造を示す図。 酸化型(実線)、還元型(点線)及び再酸化(破線)フルオレセインのスペクトルを示す図。 フルオレセイン及びジヒドロフルオレセインの化学化学構造を示す図。 低濃度の過酸化水素で還元型ローダミン110が急速に酸化されることを示す図。 ローダミン110及びジヒドロローダミン110の化学構造を示す図。

Claims (17)

  1. 次の式(I)の光学イメージング用造影剤。
    Q−(L−R) (I)
    式中、
    Qは還元型の蛍光色素を表し、
    Rは親水基を表し、
    Lはリンカーを表し、
    pは1〜4の整数を表す。
  2. Qが還元型のフルオレセイン又はローダミンから選択される、請求項1記載の光学イメージング用造影剤。
  3. Qがジヒドロフルオレセイン、ジクロロジヒドロフルオレセイン、ジヒドロローダミン123、ジヒドロローダミン6G、ジヒドロローダミン110、ジヒドロローダミン800、ジヒドロローダミンB、還元型スルホローダミンB及びジヒドロエチジウムからなる群から選択される、請求項1又は請求項2記載の光学イメージング用造影剤。
  4. Rがスルホン酸基、カルボキシレート基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、アミノ基、糖類、線状又は環状ポリオール及び親水性ポリマーからなる群から選択される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の光学イメージング用造影剤。
  5. 活性化白血球によって生成するオキシダントとの反応によってインビボでの蛍光特性が変化する、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の光学イメージング用造影剤。
  6. 蛍光特性の変化が、蛍光の出現又は消滅の変化、発光及び/又は励起波長の変化、蛍光強度レベルの変化又は蛍光寿命の変化である、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の光学イメージング用造影剤。
  7. 造影剤とオキシダントとの反応が、1以上の二重結合の形成、ヒドロキシル基からケト基又はアルデヒド基への変換、或いはハロゲン原子又は窒素含有基による水素原子の置換を伴う、請求項5又は請求項6記載の光学イメージング用造影剤。
  8. 次の式(III)の酵素基質である光学イメージング用造影剤。
    (R−L)−Q−E (III)
    式中、Qは還元型の蛍光色素を表し、
    Eは酵素が認識できるものを表し、
    nは1〜3の整数を表し、
    Rは親水基を表し、
    Lはリンカーを表し、
    rは0〜4の整数である。
  9. 酵素反応に加えてオキシダントとの反応による蛍光特性の変化を含むインビボでの二段階機構で活性化される、請求項8記載の光学イメージング用造影剤。
  10. ペプチダーゼ、プロテアーゼ、ホスファターゼ、スルファターゼ、グルコシダーゼ、エステラーゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、レダクターゼ、キナーゼ、トランスフェラーゼ及びリガーゼからなる群から選択される酵素に対する酵素基質である、請求項8又は請求項9記載の光学イメージング用造影剤。
  11. 還元型のフルオレセイン類及びローダミン類からなる群から選択される蛍光色素Qを含む、請求項8乃至請求項10のいずれか1項記載の造影剤。
  12. ジヒドロフルオレセイン、ジクロロジヒドロフルオレセイン、ジヒドロローダミン123、ジヒドロローダミン6G、ジヒドロローダミン110、ジヒドロローダミン800、ジヒドロローダミンB、還元型スルホローダミンB及びジヒドロエチジウムからなる群から選択される蛍光色素Qを含む、請求項8乃至請求項11のいずれか1項記載の造影剤。
  13. インビボ光学イメージングによって組織中の活性化白血球を検出する方法であって、
    i)活性化白血球によって生成するオキシダントとの反応によってインビボでの蛍光特性が変化する光学イメージング用造影剤を被検体に投与し、
    ii)造影剤の蛍光特性の変化を検出すること
    を含む方法。
  14. 造影剤が加水分解酵素の基質であり、造影剤がオキシダントとの反応前に酵素反応を受ける、請求項13記載の方法。
  15. 請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の造影剤を、薬学的に許容される1種以上の補助剤、賦形剤又は希釈剤と共に含んでなる組成物。
  16. 炎症の診断に用いられるコントラスト強調剤の製造における、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の造影剤の使用。
  17. 炎症部位の検出のための診断イメージングに使用するための請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の造影剤。
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