JP2008521890A - アフィニティー精製の方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、免疫親和性による精製方法であって、標的分子上に少なくとも2箇所存在するエピトープに結合する結合剤の使用を含む方法に関する。別の実施態様において、本発明は、少なくとも2つの異なる結合剤であって、それぞれ標的分子上の異なるエピトープに結合する結合剤を使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アフィニティー精製の方法およびその方法にて使用される結合剤(binding agent)に関する。
アフィニティー精製における結合剤の使用は、EP-A-434317により知られる。この文献は、固相担体に小さな特定の結合剤を固定化することが可能であることを開示している。結合剤は、特に、相当するVHおよびVLドメインタンパク質で構成され、それらの本来の相互作用によって結合する。固定化において、これらの小さな結合剤は、その標的リガンドに対する親和性を維持する。開示される技術の例は、抗リゾチームFvのアガロースへの固定化および免疫吸着剤(immunoadsorbent)としてのその使用である。固定化抗リゾチームFvを含む免疫吸着剤がカラムに詰められ、このカラムに、リゾチームおよびその他のタンパク質の混合物が添加された。カラムは洗浄によって非結合タンパク質が除去され、その後結合タンパク質が溶出された。
この種の免疫親和性システムにおいて、免疫吸着剤の結合の強度、特異性および容量は、重要なパラメーターである。
結合の強度および特異性は、結合剤と標的との間の結合に関係する。特に、結合剤は、抗体またはその断片であり、結合は標的に対して非常に特異的である。好ましくは、標的への特異的な結合は最大化され、非特異的な結合は最小化される。非常に限定された特異性による結合は、プロテインAおよびプロテインLに基づく市販される精製システムの基礎となっている。これらは、ヒト、マウスおよびラット由来の免疫グロブリンといった幅広い免疫グロブリン分子に結合することが知られている。
結合の強度は、カラムへの標的物質の添加が容易であり溶出操作前に非標的物質が溶出されるような良好な結合と、標的分子における不必要な障害を避けるため穏和な溶出条件を使用したいという要望との間で、平衡が保たれるべきである。非常に厳密な溶出条件は、標的物質の変性、断片化またはその他の欠損を引き起こす可能性があるため、好ましくない。そのうえ、穏和な条件はカラム物質にとって有益であり、その寿命を増大させる。
免疫吸着剤の容量とは、結合の条件下で免疫吸着剤物質(immunoadsorbent material)が結合しうる標的物質の量のことを表す。一度免疫吸着剤の最大容量に達すると、標的をさらに添加しても結合は得られず、溶出液中への材料物質の漏出を引き起こすことが予想される。このことは、タンパク質精製における収率の減少をもたらし、または、(再度)更なる処理段階を含める必要性を生じさせる。
EP-A-434317において、これらの目標の幾つかは、例えば、抗原への親和性が低下した可変ドメインを使用し、穏和な条件下で溶出または脱離を引き起こすことで取り組まれている。非特異的結合は、結合剤のサイズを結合に必要な最小限のサイズまで小さくすることで減少する。
これらの処置は、ある程度、免疫吸着剤のもつ容量、特異性および親和性の特性を改善する可能性があるものの、なお免疫吸着剤物質のさらなる改良が望まれている。
発明の概要
我々は、驚くべきことに、標的上の少なくとも2つのエピトープに結合する、特定の結合剤(好ましくは抗体またはその断片)を含む免疫吸着剤物質が、所望の高い親和性を有する一方で、穏和な条件下で溶出を行うことができることを発見した。カラムクロマトグラフィーの材料として使用した場合、そのことは、カラムの高い容量をもたらすことがわかった。
それゆえ、本発明は、免疫親和性による標的分子の精製の方法であって、標的分子に少なくとも2つ存在するエピトープに対する結合親和性を有する結合剤を含む免疫吸着剤物質の使用を含む方法に関する。
別の側面において、本発明は、免疫親和性による標的分子の精製の方法であって、標的分子上の1つのエピトープ(1)に対する結合親和性を有する結合剤および標的分子上の別のエピトープ(2)に対する結合親和性を有する結合剤を含む、少なくとも2つの結合剤を含む免疫吸着剤物質の使用を含む方法に関する。
更なる側面において、本発明は、標的分子上に少なくとも2つ存在するエピトープに対する結合親和性を有する、特定の結合剤を含む免疫吸着剤物質に関する。
発明の詳細な説明
標的分子とは、抗体といった結合剤に結合すべき分子として定義される。標的分子の例は、精製が必要なタンパク質、同定しようとするタンパク質である。
結合親和性(KD)とは、特異的な結合と関連して定義され、少なくとも1x106 M-1の親和性を意味する。好ましくは、結合親和性(単離された結合剤および標的にて測定される)は、少なくとも1x107 M-1であり、より好ましくは少なくとも1x108 M-1である。
免疫吸着剤物質は、ここにおいて、担体および担体に固定される結合剤の組み合わせを意味すると解される。担体は、結合剤の固定に使用してもよい何れの物質であってもよい。適した例は、結合剤を包括するためのマトリックス物質、結合剤が提示される細胞表面、および結合剤に共有結合可能なポリマーである。アフィニティークロマトグラフィーに精通する当業者は、例えばセファロースなどの適した担体について熟知している。結合剤は、好ましくは共有結合で担体に固定される。
エピトープとは、結合剤が結合する標的分子の部分と定義される。結合剤が抗体である場合、標的分子による種の免疫化において免疫学的応答を引き起こす、標的分子の部分である。一般に、抗体への結合が起こる、標的分子上の部位である。
エピトープは、好ましくは、標的分子に本来存在している。任意に、エピトープは、標的分子に人為的に導入された配列である。任意に、多数の同一または異なるエピトープが、その精製および検出を促進するために標的分子中に導入される。
結合剤は、所望の結合親和性にて標的分子に特異的に結合する構成成分である。結合剤は、好ましくは、単一特異的(mono-specific)な結合剤である。本発明による免疫吸着剤物質といった、単一特異的な結合剤を含む組成物は、結合剤の均質な集合を有する組成物を意味すると解される。当然、単一特異的な結合剤は、単一のエピトープまたはリガンドに対して特異的である。しかしながら、免疫吸着剤物質は、1種類を超える単一特異的な結合剤であって、それぞれ均質な集合(homogeneous population)から成るものを含んでよいことが、本発明に明確に含まれる。通常、しかしながら、本発明に関連して、免疫吸着剤物質は、4、6、8、10または20を超える異なる単一特異的な結合剤を含まないだろう。結合剤は、抗体またはその断片であることが非常に好ましい。その場合、単一特異的な結合剤は、従って、モノクローナル抗体またはその断片であり、ハイブリドーマから得られてよく、またクローン化したコード配列から発現されてよい。ここにおいて使用される単一特異的な結合剤という用語は、従って、ポリクローナル抗体および抗血清を除外する。使用してよい、適した断片の例は、CDR(相補性決定領域(complementary determining region))と呼ばれる抗体の結合部分である。そのような断片を、天然または合成足場(scaffold)分子(例えば合成分子)に適切に挿入してよい。
本発明は、免疫親和性精製の方法であって、少なくとも2つの部位で標的分子に結合する結合剤の使用を含む方法に関する。これは多価結合(multivalent binding)と呼ばれる。一実施態様において、結合剤は、標的分子に少なくとも2つ存在するエピトープに結合する。別の実施態様において、方法は、少なくとも2つの異なる結合剤であって、それぞれ標的分子上の異なるエピトープに結合する結合剤を使用する。
従って、本発明は、免疫親和性による標的分子の精製の方法であって、以下のa)またはb)のどちらかを含む結合剤を含む免疫吸着剤物質の使用を含む方法に関する:
a) 標的分子に少なくとも2つ存在するエピトープに対して結合親和性を有する結合剤;
b) 標的分子のエピトープ(1)に対して結合親和性を有する結合剤および標的分子の異なるエピトープ(2)に対して結合親和性を有する異なる結合剤。
以下に、この方法の好ましい更なる段階を示す。
代替の実施態様において、本発明は、免疫親和性による標的分子の精製の方法であって、標的分子に対して一価の結合を示す少なくとも1つの結合剤との組み合わせによる、上記の(a)または(b)による結合剤の使用を含む方法に関する。そのような複数の結合剤の組み合わせは、個々の結合剤が、標的に対して1x108 M-1未満の結合親和性を有する場合に、特に使用に適している。
任意に、本発明による方法は、上記の(a)および(b)の組み合わせである。
好ましい実施態様において、本発明は、標的分子の精製の方法であって、少なくとも1つの単一特異的結合剤を含む免疫吸着物質への標的分子の結合の段階を含み、該結合剤が標的分子上の空間的に分離した少なくとの2つのエピトープに親和性を有する方法に関する。
好ましくは、標的分子上の少なくとも2つのエピトープの空間的な分離は、標的分子上の第1のエピトープによる結合剤への結合が、実質的に、第2のまたは別のエピトープによる結合剤への結合を妨げないような分離である。これは、標的分子の第1のエピトープによる結合剤への結合が、実質的に、第2のまたは別のエピトープによる結合剤への結合を低下させないまたは「妨害(block)」しないことを意味する。実質的な妨害が無いということは、ここにおいて、標的分子の第1のエピトープによる結合剤への結合が、第2のまたは別のエピトープによる結合剤への結合を、50、40、30、20、10または5%を超えて低下させないということを意味すると解される。実質的な妨害が無いことは、標準的交差妨害試験法(standard cross-blocking assays) (例えば、"Using Antibodies" E. Harlow and D. Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press NY, 1999を参照)にて、または本出願の実施例5に記載されるように決定してよい。
標的分子上の少なくとも2つのエピトープの空間的な分離とは、従って、好ましくは、標的分子上の少なくとも2つのエピトープが、免疫吸着剤上の結合剤に結合することが可能である状態である。少なくとも2つのエピトープの空間的な分離は、従って、それが多価結合をもたらすような状態である。多価結合は、結合剤を含む免疫吸着剤物質に対する標的分子の脱離率(k-diss)の顕著な低下および顕著に高いKD値をもたらす。好ましくは、標的分子上の少なくとも2つの空間的に分離したエピトープの存在は、同じエピトープを単一コピーのみ含む標的分子における親和性またはKD値と比較して、結合剤を含む免疫吸着剤物質に対する親和性またはKD値において少なくとも5、10、50、100、500または1000倍の増大をもたらす。ここにおいて、120 fMは、例えば6.3 nMよりも高い親和性またはKD値であると理解される。標的分子上に少なくとも2つの空間的に分離したエピトープが存在することは、従って、単一コピーのエピトープのみを含む標的分子と比較して、結合剤を含む免疫吸着剤に対する結合力(avidity)を誘導する。結合力とは、ここにおいて、標的分子と、より大きな複合体を成す結合剤による複数の結合部位との結合の強度、すなわち多価結合の結合強度を意味すると解される。親和性とは、一方で、単純な一価受容体リガンドシステムに関係する。
従って、好ましい実施態様において、標的分子に対する免疫吸着剤物質の結合力は、標的分子上の個々のエピトープに対する結合剤の最小の親和性よりも、少なくとも5、10、50、100、500または1000倍高い。ここにおいて、最小の親和性とは、免疫吸着剤物質が標的分子上の免疫学的に異なるエピトープに対する結合剤を1種類より多く含み、およびそれぞれの種類の結合剤がそのエピトープに対して異なる親和性を有してもよい状態を指す。単一種の結合剤が標的分子上に繰り返されるエピトープに結合する状況において、最小の親和性とは、単一コピーのエピトープのみを含む試験分子に対する結合剤の親和性である。
標的分子上の少なくとも2つのエピトープの空間的な分離はさらに、従って、好ましくは、標的分子に対する結合剤を含む免疫吸着剤物質の動的結合容量(dynamic binding capacity)が、単一コピーのエピトープのみを含む標的分子に対する物質の動的結合容量と比較して、少なくとも10、20、50、100または200%増大する状態となる分離である。動的結合容量(DBC)は、ここにおいて、溶出ピーク面積を全ピーク面積(フロースルー(flowthrough) + 溶出)で割り(devised)、その値に標的分子の量を乗じた値として定義される(実施例3参照)。
本発明の別の重要な特徴は、免疫吸着剤物質に対する標的分子の多価結合が標的分子に対する高い結合親和性または結合力をもたらすものの、穏和な溶出条件にて該分子の放出行うことができるということである。従って、好ましい実施態様において、標的分子に対する結合剤を含む免疫吸着剤物質の結合力は、少なくとも1x109 M-1、1x1010 M-1、1x1011 M-1、または1x1012 M-1である。好ましくは、同時に、標的分子の少なくとも90%が、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5またはより高い値のpHにおいて、免疫吸着剤物質から溶出できる。しかしながら、好ましくは、標的分子上のエピトープに対する結合剤の個々の親和性は、1x1010 M-1、1x1011 M-1、または1x1012 M-1未満である。
免疫吸着剤物質への標的分子の結合についての上記にて定義した特徴は、標的分子上の少なくとも2つのエピトープが、少なくとも10、20、25、30、40、50または60オングストロームだけ空間的に分離している場合に、達成されてよい。
本発明の方法において、標的分子上の少なくとも2つのエピトープは、少なくとも2つの免疫学的に異なるエピトープであってよい。そのような場合、少なくとも2つの異なる結合剤が、免疫吸着剤物質に要求され、好ましくは、それぞれの免疫学的に異なるエピトープに対するものが要求される。
あるいは、本発明の方法において、標的分子上の少なくとも2つのエピトープは、標的分子上に繰り返される少なくとも2つの免疫学的に同一なエピトープであってよい。そのような場合、単一の種類のみの結合剤が免疫吸着剤物質に要求される。エピトープの反復を有する標的分子は、例えば、2つの軽鎖および2つの重鎖を含む免疫グロブリンといった、ホモ多量体タンパク質である。
方法は、好ましくは、結合剤の選択の段階を含む。この選択は、好ましくは、添加(loading)の際に標的分子に対して十分な親和性でもって結合しまた容易に溶出することができる結合剤を探すため、添加および溶出の条件を模した条件にて行われる。
本発明の一実施態様において、結合剤は、標的分子上に少なくとも2つ存在するエピトープに対して結合親和性を有すべきである。この選択によって、標的分子に対して多価結合を提供しうる、結合剤、特に抗体またはその断片が選択される。使用において、2つの個々の結合剤、特に抗体分子は、同一の標的分子の異なるエピトープに結合してよく、標的分子の多価結合が生じてよい。この多価性(multivalency)は、非常に高いレベルで免疫吸着剤の結合親和性および容量を増大させる。何れかの理論に結びつけることを望むことなく、多価結合は、高い親和性、またはむしろ結合力、高い動的結合容量および穏和な溶出(これらは、本発明の目的である)を達成するために必須であると信じられている。
そのような抗体またはその断片の例は、ヒト抗体のカッパーまたはラムダ軽鎖に存在するエピトープを特異的に認識する抗体である。この例において、ヒト抗体は、標的分子である。ヒト抗体は、エピトープを含む2つのカッパー軽鎖を含む。
本発明の選択段階における別の実施態様において、標的分子上のエピトープ(1)に対して結合親和性を有する1つの結合剤および標的分子上の異なるエピトープ(2)に対して結合親和性を有する1つの結合剤を含む、少なくとも2つの結合剤が選択される。使用において、吸着物質は、これらの2つの異なる結合剤、特に抗体またはその断片であって、同一の標的分子に同時に結合し、標的分子の多価の結合をもたらしてよいものを含むだろう。
上述のとおり、標的分子の多価結合、すなわちそれぞれの標的分子が少なくとも2つの結合剤-エピトープ結合を介して免疫吸着剤物質に結合することは、本発明の好ましい側面である。
標的分子の3次元構造が、この複数の結合を許す構造である場合に、多価の結合が最適に起こると予想されることが理解されるであろう。実際に、これは、好ましくは標的分子上の2つのエピトープ間に一定の距離が存在するということを意味する。多価結合のための標的分子の適性は、その3D結晶構造に起因しうる。
抗体または断片の選択の後、好ましくは、その大量生成が行われる。適した生成システムには、Saccharomyces Cerevisiaeまたはその他の酵母、糸状菌または細菌の発現システムが含まれる。
好ましくは、この後に、結合剤を、免疫吸着剤物質に接触させた状態にする段階が続く。免疫吸着剤および結合剤は、共有結合またはその他の相互作用を介してつなげてよい。好ましくは、結合剤は、免疫吸着剤物質と共有結合される。タンパク質または断片を吸着物質に固定化するための既知のプロトコールは多く存在する。
「1つの」(“one” or “a”)結合剤を含む免疫吸着剤について言及された場合、これは、免疫吸着剤が多くの個々(individual)の結合剤分子が添加されている状態をも言及していることを意味すると理解されるであろう。
適した免疫吸着剤物質の例は、アガロース、ポリスチレン、調節細孔ガラス(controlled pore glass)、セルロース、デキストラン、キースラガー(kieselguhr)、セファロース(商標)といった合成ポリマー、多孔性非晶質シリカといった、多孔性固相担体物質を含む。担体物質は、粒子、粉末、シート、ビーズ、フィルター等といった、何れかの適した形態であってよい。適した担体物質のさらなる特定は、例えば、EP-A-434317に開示されている。
選択された官能基を通して、すばやく、容易におよび安全にリガンドを固定化するための方法が利用できる。カップリング法の適切な選択は、固定化する物質に依存する。例えば、以下の商業的に既知のセファロース(商標)の誘導体は、タンパク質をそこへ好都合に固定化することを可能とする:CnBr-活性化セファロース(商標)は、一級アミノ基を含むリガンドが、自発的な反応によって急速に固定化するのを可能にする。
AH-セファロース(商標) 4BおよびCH-セファロース(商標) 4Bはともに、6つの炭素の長いスペーサーアームを有し、それぞれカルボキシル基およびアミノ基を解したカップリングを可能にする。可動性の(Flexible)スペーサーは、標的分子の可動性が限定されている状況または標的の3次元構造が最適な結合を可能とするために結合剤の一定の可動性を必要とする状況における使用に適す。
活性化CH-セファロース(商標) 4Bは、アミノ基を介した自発的カップリングのための、6炭素原子スペーサーアームおよび活性エステルを提供する。
これらは、適した固定化手段のほんの一例に過ぎない。
任意に、免疫吸着剤物質は、容易なクロマトグラフィー分離を促進するためにカラムに入れられる。
好ましい次の段階において、免疫吸着剤物質は、標的を含む組成物に接触される。しばしば、組成物は、精製しようとする標的以外の多くの他のタンパク質を含む水性組成物であるだろう。この接触段階の条件は、結合剤の標的分子への結合が生じる条件である。
好ましくは、この段階において、6.5から8付近のpHを有した添加緩衝液(loading buffer)が使用される。適した緩衝液は、PBS緩衝液である。
添加された物質は、非特異的な結合物(binders)が溶出されるまで、すすがれる。
次の段階は、標的分子の脱離である。これは、好ましくは、抗体または断片が、標的分子にもはや結合しなくなるような条件の変化によって行われる。
溶出は、pH、塩、温度または何れかのその他の適した処置に関した条件の変化によって達成してよい。脱離のための好ましい溶出方法は、pHが3未満の緩衝液による溶出である。
より明確には、本発明は、免疫親和性による標的分子の精製方法であって、以下の段階を含む方法に関する:
a) 標的分子上に少なくとも2つ存在するエピトープに結合する、抗体またはその断片の選択;
b) 免疫吸着剤物質への抗体またはその断片の結合;
c) 好ましくは標的分子に対して結合剤の多価結合が起こる条件での、免疫吸着剤物質への標的分子を含む組成物の添加;
d) 非特異的な結合物を除去するための、添加した免疫吸着剤の洗浄;および
e) 溶出条件の適用による標的分子の溶出。
結合剤は、何れかの適した供給源生物(source organism)を由来としてよく、または合成的にもしくは遺伝的に改変した生物から調製してよい。断片が、本発明の文脈にそって上記に定義したような結合親和性を保持することが重要である。
適した断片の例は、Fab断片、Fv断片である。
好ましい実施態様において、結合剤は、抗体であり、より好ましくは、そのような抗体またはその断片は、もともと軽鎖を欠く抗体を由来とする。そのような抗体は、例えば、ラマまたはサメの免疫化およびそれによって作製された抗体の精製により得られる。これらの抗体は、重鎖のみを含み、軽鎖を欠いている。これらの抗体の使用における利点は、それらが、高温においてでさえ非常に安定であり、小さく、およびSaccharomyces cerevisiaeといった生物中で容易に生成されることである。これらの抗体は、EP-A-656946に、より詳しく記載されている。
より詳しくは、結合剤は、好ましくは、単一のポリペプチド鎖で標的分子上のエピトープに対して完全な抗原結合部位を含む、免疫グロブリン由来の可変ドメインを含む。そのような薬剤は、従って、特に以下のものを含むがそれらに限定されない:
1) 重鎖のみから成りもともと軽鎖を欠く、ラクダ科動物(camelids)およびサメから得られる抗体;
2) 通常、VHHドメインと呼ばれる、1)に定義した抗体の可変ドメイン;
3) 1)で定義したような、例えば「ラクダ科動物」の抗体の改変された形態(engineered forms)であって、ラクダ科動物(またはサメ)のVHHドメインのフレームワーク配列が、その他の供給源から得られたCDRに融合されたもの;
4) 免疫グロブリン様の可変ドメインの改変された形態であって、様々な免疫グロブリン様分子のフレームワーク配列が、例えばWO 04/108749に記載されるように、所定の標的分子に特異的なCDRに結合したもの。
CDRおよびフレームワーク配列の定義は、ここにおいて、以下に示される。さらに、単一のポリペプチド鎖で標的分子上のエピトープに対する完全な抗原結合部位を含む免疫グロブリン由来の可変ドメインのフレームワークアミノ酸配列は、好ましくは、SEQ ID No’s 1 - 33の何れか1つのフレームワークアミノ酸配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85または90%のアミノ酸の同一性を有すると解される。好ましくは、免疫グロブリン由来の可変ドメインは、ここにおいて上記に定義したようなエピトープに対する親和性を有する。
好ましい、結合剤は、ラクダ科動物の抗体由来の単一のドメインの抗体である。ここにおいて、ラクダ科動物の抗体由来とは、断片のフレームワークアミノ酸配列が、上記に定義したものであるものの、ラクダ科生物から直接得られるものまたはそれらにて生成されるものよりもむしろ、おそらく設計され合成された断片である、ということを意味する。
我々は、ヒト抗体のカッパー軽鎖に特異的に結合する結合剤を含む、本発明の免疫吸着剤物質は、非常に優れた親和性、容量を示し、穏和な溶出条件しか必要としないことを発見した。
それゆえ、特定の実施態様において、本発明は、ヒト抗体のカッパー軽鎖に対して結合親和性を有する結合剤を含む免疫吸着剤物質に関する。
本発明は、さらに、ヒト抗体の精製における、そのような物質の使用に関する。
一実施態様において、本発明は、SEQ ID No’s 1 - 15から選択されるカッパー軽鎖結合VHH分子の群から選択される結合剤、またはSEQ ID No’s 1 - 15のVHH分子のCDRと少なくとも80、85、90、95、98%のアミノ酸の同一性を示す相補性決定領域(CDR)1、2、および/または3を含む免疫グロブリン由来可変領域を含む結合剤に関する。好ましくは、免疫グロブリン由来の可変ドメインは、少なくとも106 M-1、107 M-1、または108 M-1のヒト抗体のカッパー軽鎖への親和性を有する。CDR1、2、および3は、上記に定義した同一性をそれぞれ個々に示してよく、またはCDRは、上記に定義した同一性を共同して示してよい。
VHH分子の相補性決定領域(CDR)1、2、および/または3は、ここにおいて、図3および4に示されるように定義される。より一般的には、ラクダ科動物の可変重鎖ドメインのCDRは、ここにおいて、Vuら(1997, Mol Immunol. 34(16-17):1121-31)に記載されるとおりに定義される。SEQ ID No’s 1 - 33のCDR配列またはVuら(1997, 上記)に定義されるようなCDR配列以外のVHH配列は、ここにおいて、VHHフレームワーク配列と定義される。
別のより明確な実施態様において、本発明は、以下の配列ID 1にて特定されるアミノ酸配列を有する抗体またはその活性断片を含む免疫吸着剤物質に関する。
配列ID 1:
QVQLQESGGGLVQPGGSLRLSCAASGRTISRYAMSWFRQAPGKEREFVAVARRSGDGAFYADSVQGRFTVSRDDAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAIDSDTFYSGSYDYWGQGTQVTVSS。
その他の実施態様において、本発明は、その配列が、ID No.1の配列による配列を含む、または本質的にそれと相同的な、ヒト抗体に結合親和性を有する抗体または断片に関する。本発明と関連して、本質的に相同的とは、相同的な分子が、少なくとも106 M-の所望の結合親和性を示すことを意味する。相同的な配列の例は、フレームワークにて修飾されているが、配列ID 1による抗体の抗原結合部位にて修飾されていない配列である。
さらに別の実施態様において、本発明は、SEQ ID No’s 16 - 33から選択されるラムダ軽鎖結合VHH分子の群から選択される結合剤、またはSEQ ID No’s 16 - 33のVHH分子のCDRと少なくとも80、85、90、95、98%のアミノ酸の同一性を示す相補性決定領域(CDR)1、2、および/または3を含む免疫グロブリン由来可変領域を含む結合剤に関する。好ましくは、免疫グロブリン由来の可変ドメインは、少なくとも106 M-1、107 M-1、または108 M-1のヒト抗体のカッパー軽鎖への親和性を有する。CDR1、2、および3は、それぞれ個々に上記に定義した同一性を示してよく、またはCDRは、共同して上記に定義した同一性を示してよい。
さらに別の実施態様において、免疫吸着剤物質は、ヒトIgG Fcドメインの免疫学的に異なるエピトープにそれぞれ結合する少なくとも2つの異なる結合剤を含み、該ヒトIgG Fcドメインの免疫学的に異なるエピトープは、本出願の上に定義されているとおり、空間的に分離している。
また別の実施態様において、免疫吸着剤物質は、ヒト血漿アルブミンの免疫学的に異なるエピトープにそれぞれ結合する少なくとも2つの異なる結合剤を含み、該アルブミンの免疫学的に異なるエピトープは、本出願の上に定義されているとおり、空間的に分離している。
その他の実施態様において、本発明は、未精製の試料から免疫グロブリン、特にIgM、IgA、IgEのタイプのヒト免疫グロブリンおよび最も特にIgGアイソタイプを吸着または単離および/または精製するのに非常に適した方法および免疫吸着物質を提供する。
免疫吸着剤物質は、免疫グロブリン結合剤として、好ましくはラクダ科動物のVHHの本来軽鎖を欠く重鎖を含み、該重鎖は、標的免疫グロブリン上に少なくとも2つ存在するエピトープに対して特異的であり、該エピトープは、同一または異なる標的であってよい。
一実施態様において、標的エピトープは、カッパーまたはラムダアイソタイプの軽鎖に存在するエピトープであって、その標的が、常に未処理の免疫グロブリンに二重で(duplo)存在するものを含んでよい。
別の実施態様において、それは、免疫グロブリンのFc部分に2つ存在するエピトープであってよく、またはFc部分に存在しVHH結合分子との相互作用を同時に起こしやすい2つの異なるエピトープであってよい。
さらに別の実施態様において、免疫吸着物質は、カッパーまたはラムダ結合抗体と、Fc結合抗体、好ましくは、通常軽鎖を欠くラクダ科動物VHH抗体との組み合わせを含んでよい。
標的となる免疫グロブリンに少なくとも2つ存在するエピトープに対して特異的な免疫グロブリン結合剤の使用によって、カッパー結合抗体に関する実施例の節で実証されるように、10倍から、ある場合には1000倍を超える脱離率という驚くべき減少がもたらされる。脱離率の減少は、単離および精製方法に有用である。というのは、免疫吸着剤物質の動的結合容量(または保持率)は、脱離の減少によって劇的に増大するからである。次に、免疫グロブリンは、穏和な条件下で溶出可能であり、このことは、構造的完全性および抗原の結合の性質を保持するために重要である。
本文書および請求項において、「含む」という動詞およびその活用形は、非限定的な意味で使用され、その語句に続く項目を含むが、明確に言及されていない項目を除外しないよう意味する。加えて、不定冠詞「a」または「an」による要素の言及は、文章にて明確に、1つおよび唯一の要素を必要としていない限り、1を超える要素の存在の可能性を排除しない。不定冠詞「a」または「an」は、従って、通常「少なくとも1つ」を意味する。
本発明は、以下の実施例によって例証される。
実施例1:ヒト抗体のカッパー軽鎖に対するラマVHHリガンドの作製
以下のプロトコールは、特定のVHH断片を、どのように単離し、クローン化し、発現させ、その後所定のマトリックスに結合させることができるかを示す例である。
本実施例に記載される特定のVHH断片は、免疫レパートリー(immune repertoire)由来であったが、それらは、非免疫化VHHライブラリー(EP1051493, Unilever参照)または合成/半合成非免疫化VHHライブラリー(WO00/43507, Unilever参照)からも選択することもできた。
ヒト血漿から沈降およびゲルろ過技術によって精製し、リン酸緩衝食塩水pH 7.4(PBS)で希釈したポリクローナルIgMで、ラマを免疫化した。免疫応答の特異性を増大するため、最初の免疫化の後に(0、28および49日)、上記抗原250μgをスペコール(specol) (ID-DLO, Lelystad, The Netherlands) (Boersma et al., 1992)に溶解して、複数回ラマに追加免疫した。約150 mlのヘパリン血液サンプルを、最後の免疫化の6日後に採取した。末梢血細胞を、Ficoll-Paqueの遠心により得た。事実上、ChomczynnskiおよびSacchi (1987)が記載するとおりに、約2x108のリンパ球から全RNAを採取した。特定のVHH断片をコードするDNAを、次に、WO 94/04678 (Castermanら)に記載のものと同様な方法を用いて単離し、Frenkenらによる以前の記載のとおりに(2000)、例えばエピソームのSaccharomyces cerevisiae発現ベクターに連結した。各々のS. cerevisiaeコロニーを由来とする培養上清を直接スクリーニングすることで、これらのVHH発現ライブラリーから所望の抗原結合特異性(ヒト抗体のカッパーまたはラムダ軽鎖)を有するVHH断片を選択することが可能である(Frenkenら 2000)。
あるいは、ファージディスプレーおよび酵母ディスプレーといった、ディスプレー技術に基づいた選択方法を、抗カッパー軽鎖VHHを産生するクローンを免疫レパートリーから単離するために、使用できる。
スクリーニングのために、Nunc Maxisorp結合プレートを、ヒト抗体抗原でコーティングし、続いて4%(w/v)の粉ミルクのPBS溶液でブロッキングした。結合したVHH断片を、マウス抗His mAbとポリクローナルヤギ抗マウスHRP融合体(Bio-Rad, 172-1011)との組み合わせ、またはポリクローナルウサギ抗ラマVHH血清とポリクローナルブタ抗ウサギIgG-HPO融合体(Dako, P217)との組み合わせのどちらかによって検出した。最初のスクリーニングは、カッパー軽鎖をもつヒトIgG1モノクローナル抗体またはラムダ軽鎖をもつヒトIgG1 mabのどちらかでコーティングしたMaxisorpプレートにて行った。IgG1 カッパーのみへの結合を示したラマVHH断片を、さらにELISAにて異なるヒトモノクローナル抗体(例えば、IgG、IgA、IgM)で試験し、ヒトカッパー軽鎖への結合特異性を確認した。スクリーニング段階にて、ヒトラムダ軽鎖への結合特異性を示す付加的なVHH断片が同定することができた。ELISAで同定された抗ヒトカッパーVHH断片(VHH Hu-カッパー-1)のうちの1つの結合特異性を表1に示す。ここにおいて、その特異性を、ヒトIgG抗体のFc部位に特異的に結合するその他の2つのVHH断片(それぞれ、VHHs Hu-Fc-1およびHu-Fc-2)と比較した。これらのVHH断片は、ヒト血清由来のポリクローナルIgGから調製されたヒトFc断片で免疫化したラマを由来とする免疫VHHライブラリーから得た。表1に示されるように、VHH Hu-カッパー-1は、ヒト抗体のカッパー軽鎖に存在するエピトープを認識している。それゆえVHH Hu-カッパー-1は、例えばIgG、IgAおよびIgE抗体の場合は標的分子に2箇所存在し、またIgM抗体の場合は10箇所存在するエピトープに結合する。VHH断片Hu-Fc-1およびHu-Fc-2はともに、4つ全てのヒトIgGサブクラスのFcドメインに存在するエピトープ、つまりIgG標的分子に1つのみ存在するエピトープに特異性を示す。
これらの抗体の配列は、カッパー軽鎖結合VHHのID no 1 から 15、ラムダ結合VHHのID no 16 から 31に示されている。カッパーおよびラムダ結合物(binders)の両方のコンセンサスは、図1に示されている。
Figure 2008521890
抗体生成および固定金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)精製法
VHH抗体断片を、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝的に改変した株を用いて、1リッターまた10リッター(振盪フラスコ)の発酵スケールで作製し、SPセファロースfast flow (Amersham Biosciences)のイオン交換クロマトグラフィーを用いて精製した。精製した抗体を、3.5 kDa遮断(cut-off)チューブ(Spectra/Por 3; Spectrum Medical Industries)を用いて、4℃で48時間、pH 7.4のPBS緩衝液または所望のカップリング緩衝液を3回交換して透析を行った。精製したサンプルの濃度は、OD280で決定した。精製した全てのサンプルは、使用しない場合は-20℃で保存した。
実施例2 親和性の測定
VHH断片Hu-カッパー-1、Hu-Fc-1およびHu-Fc-2の結合親和性定数を、BiaCore 3000の表面プラズモン共鳴解析法(surface plasmon resonance analysis)(SPR)を用いて決定した。この目的のため、精製したVHH断片を、CM5センサーチップの表面に固定し、次に、異なる濃度でヒトFabおよび/またはヒトIgG抗体を含むHBS-EP緩衝液(0.01 M HEPES, pH7,4; 0.15 M NaCl; 3 mM EDTA; 0.005% 界面活性剤P20)とともにインキュベートした。30μl/minで3分間結合させ、その後30μl/minで15分間脱離段階を行った。結合曲線を、Biacoreソフトウェアを用いて、1:1ラングミュア結合モデルに従って適合させた。計算した親和性データの概観を表2に示す。抗Hu-カッパー-1断片に関して、結合力の効果が、Fab分子とIgG分子との間の脱離率における大きな差から明らかに実証される。抗Hu-カッパー-1断片がセンサーチップの表面に固定されているため、該表面は、1つのIgG分子に存在する2つの異なるエピトープと同時に相互作用することができる。ヒトFab断片との一価の相互作用と比較して、IgGの脱離率(kdiss)は有意に低く(> 1000倍)、KD値はIgGが約120 fMであるのに対してFab断片が6.3 nMとなった。後者の値は、2つの抗Hu-Fc VHHのKD値と同じ範囲であり(それぞれ、IgGに対して6.4および2.2 nM)、一価の相互作用を表している。
Figure 2008521890
結合力によって生じる脱離率(kdiss)におけるこの効果は、さらに図2に図示される。図2では、FabおよびIgGのBiacore結合曲線(センサーグラム(sensorgrams))を比較している。
実施例3:カップリングおよびクロマトグラフィー試験の一般的材料および方法
N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)活性化セファロース4 Fast Flowへのカップリング
精製後、抗体をNHSカップリング緩衝液で透析した。この緩衝液は、0.1 MのHEPES pH 8.3を含む。最適なカップリング効率のために推奨される、カップリング溶液/NHSセファロースの体積の割合は、0.5:1である。抗体は、0.5-15 mg/mlの異なる濃度とし、抗体/抗体のNHSセファロースの割合は1:1から10:1の間で変えた。2つのリガンドの混合物をマトリックスに固定化する場合、1:1のリガンド比を使用した。以下の方法を、抗体を、NHS活性化セファロース4 Fast Flow (General Electric Healthcare)にカップリングするために使用した。その後、マトリックスをNHSカップリング緩衝液で2度洗浄した。NHSセファロースを、抗体溶液と混合し、4℃で一晩または室温で1時間放置した。インキュベーション後、ゲル材料をガラスろ過器でろ過し、ゲル材料の非反応基を、Tris (0.1 M pH 8.0)にて室温で1時間ブロッキングした。カップリングした培地を、低いpHおよび高いpHのものを交互に用いて(3x 10 cv PBS pH 2および 3x 10 cv PBS pH 7.4)洗浄した。非結合画分を用いて、カップリング効率を決定した。これは、カップリングの前後に、カップリング溶液のOD280値を測定することで決定した。また、カップリング効率は、カップリング前後で、カップリング溶液のSDS-PAGEでのタンパク質パターンをみることでも決定した。
クロマトグラフィー実験
カラムは、HR 5/カラム(GE health)を用いて、カップリングした抗体マトリックスで構成した。400μlのカラムボリュームを使用した。全てのクロマトグラフィー実験は、Akta explorer 100にて行った。2緩衝液システムを使用した。緩衝液A1のローディング緩衝液は、PBS pH 7.4であり、緩衝液Bの溶出緩衝液は、例えば、PBSに8 M HClを添加してpH 2.1にしたもの、または0.1 Mグリシン-HClを添加してpH 2もしくは3にしたものを用いた。ことなるプログラムを用いた。タンパク質検出は、OD214およびOD280のシグナルをモニターして、流れ作業(on line)で行った。1 mlの体積で画分を回収した。画分は、20μlのTris(2 M)ですぐに中和した。
抗体がカップリングされたマトリックスの動的結合容量の決定
動的結合容量を決定するため、カラムに標的分子を添加した。150 cm/hの流速を使用した。フロースルーおよび溶出液中の標的分子の量を、フロースルーおよび溶出液ピーク面積の積分から算出した。動的容量は、溶出ピーク面積を全ピーク面積(フロースルー + 溶出)で割り(devised)、その値に標的分子の量を乗じた値である。
実施例4:ヒトIgGに対する異なるVHHマトリックスの動的結合容量
VHH断片(リガンド)Hu-カッパー-1、Hu-Fc-1およびHu-Fc-2を、先に記載のとおり、NHSセファロースに固定化した。リガンド密度は、マトリックス1 ml当り20 mgのリガンドとした。動的結合容量は、上述の方法を用いて決定した。カラムに、予想される動的結合容量よりも高い量のヒトIgGを添加した。溶出は、pH値が2から4の間の0.1 Mグリシン緩衝液を用いて行った。
表3からわかるように、ヒトIgGに対する最高の動的結合容量(DBC)が、Hu-カッパー-1マトリックスにてみられ、Hu-Fc-1およびHu-Fc-2マトリックスの両方に比べてほぼ2倍高い。親和性の測定から、ヒトIgG分子(2つの同一なカッパー軽鎖を含む)に対するこの抗体の結合親和性(KD)は、約120 fMである。これは、一価結合のFab断片で決定される(6.3 nM)ような、カッパー軽鎖に存在するエピトープに対するHu-カッパー-1の実際の結合親和性よりも有意に高い。後者の図は、試験したヒトFc特異的VHH断片および先行技術にて一般に知られる組成物の両方の範囲において、その傾向が強い。このことは、本発明による免疫吸着剤物質の使用により、多価結合の特徴を含まないシステムと比較した場合の結合容量の増大をもたらすことを示している。
本発明の別の重要な特徴は、多価結合リガンドが、標的分子に対して高い結合親和性をもたらすものの、該分子の放出を穏和な溶出条件で行うことが可能であるということである。表3に示されるように、Hu-Fc-2マトリックスの溶出に最適なpHは、Hu-カッパー-1およびHu-Fc-1マトリックス(ともにpH 3)と比較して低い(pH 2)。ヒトIgG上のエピトープに対するHu-Fc-2断片の結合強度は、Hu-Fc-1およびHu-カッパー-1と比較してほぼ3倍高い(それぞれ、2.2 nM対6.4 nMおよび6.3nM)。Hu-カッパー-1マトリックスの多価結合は、例えばHu-Fc-1マトリックスと比較して、ヒトIgGの動的結合容量を増大させるものの、この結合力特性は、明らかに結合したIgGの効率的な放出を得るための条件に影響を与えない。該条件は、多価結合の特徴を含まないシステム(例えば、Hu-Fc-1マトリックス)における条件に匹敵する。
この実施例にて言及される結果は、低いベッド高(bed height)および短い滞留時間にて測定されている。より高いベッド高は、滞留時間および動的容量を増大させるだろう。15 cmのベッド高および150 cm/hrの直線流速と記載されるHu-カッパー-1カラムの動的容量は、30から40 mgヒトIgG/ml マトリックスである。これは、本発明に特有の多価結合の特徴を含まない既知のシステムの容量よりも、約2倍高い。
本実施例は、さらに、本発明による多価の原理は、一方で高い結合容量を、もう一方で穏和な溶出条件をもたらすという特別な組み合わせを可能とすることを実証している。
Figure 2008521890
実施例5:標的分子に存在する異なるエピトープに結合するVHHを含むヒトIgGに対するマトリックスの動的結合容量
この実施例は、標的分子、この場合はヒトIgG抗体の異なるエピトープをそれぞれ認識する、少なくとも2つの異なるVHHリガンドを用いる多価結合によって誘導される、結合容量の増大の特徴を実証する。
この目的のため、2つの抗ヒトIgG Fcリガンド(Hu-Fc-1およびHu-Fc-2)を使用した。Biacore結合分析で実証されるように、それぞれのリガンドは、ヒトIgG抗体のFcドメイン上に存在する異なるエピトープに結合する(表4参照)。このBiacore実験において、精製した抗ヒトIgG Fcリガンドを、CM5センサーチップの表面に固定し、続いてヒトFc断片とインキュベートした。このヒトFc捕捉段階の後に、VHHリガンドHu-Fc-1またはHu-Fc-2の何れかとともにインキュベートした。表4は、固定されたVHHリガンドHu-Fc-1にヒトFc断片が捕捉されている場合に、VHHリガンドHu-Fc-2がヒトFc断片に結合することができること、およびその逆を示しており(それぞれ、51 RUおよび181 RU)、このことから、それぞれのリガンドは、ヒトIgG抗体のFcドメイン上に存在する異なるエピトープに結合することを表している。何れの有意な結合シグナルも、同じリガンドのペアを用いた場合の構成では得られなかった。それゆえ、それぞれのリガンドは、ヒトIgG抗体のFcドメイン上のエピトープであって、1箇所のみしか存在しないまたは利用できないエピトープに結合することが示された。
Figure 2008521890
これはさらに、IgG抗体は2つの同一の重鎖および軽鎖から成るが、抗体に対するリガンドは、該抗体のFcドメインに存在する同一の鎖の組み合わせによって形成されるエピトープを認識することができる、ということを示している。考えられる別の特徴は、リガンドがFcドメインの重鎖の一部に結合したときに、立体障害が生じて、別の同一リガンドの結合を阻害するということである。
この側面から、実施例4にて実証されたような抗体の軽鎖ドメイン(例えば、抗ヒトカッパー軽鎖)が、エピトープ(抗体の場合に2箇所存在)に多価結合できる特異的なリガンドを生じさせる、理想的なエピトープであったことが証明される。該リガンドは、立体障害のこのような特徴から影響を受けないことが明らかである。
以前に記述した方法を用いて、抗ヒトIgG Fcマトリックスの3つの異なるバッチをNHSセファロース上に構築した(Hu-Fc-1、Hu-Fc-2およびHu-Fc-1/2)。それぞれのマトリックスで、最終的なリガンド密度は、マトリックス1 ml当りリガンド2 mgであった。動的結合容量を、以前に記載した方法を用いて決定した。カラムに、予想される動的結合容量より高い量のヒトIgGを添加した。表5からわかるように、混合したマトリックスHu-Fc1/2の動的結合容量は、それぞれのマトリックスよりも高かった。混合したマトリックスの動的結合容量(2.45 mg ヒト IgG/ml マトリックス)は、個々のマトリックスの平均値(1.65 mg ヒトIgG / ml マトリックス)よりも1.5倍高く、混合したマトリックスで多価結合が生じない場合に、最大値をとることが予想できる。本発明による多価結合原理に基づくと、これらの結果は、それぞれが標的分子に存在する異なるエピトープに結合する異なるリガンドの組み合わせを用いることで、高い結合容量のマトリックスを得ることができることを示している。
Figure 2008521890
実施例6:標的分子に存在する異なるエピトープに結合するVHHを含む、ヒト血清アルブミンに対するマトリックスの動的結合容量
この実施例は、標的分子、この場合はヒト血清アルブミンの異なるエピトープをそれぞれ認識する少なくとも2つの異なるリガンドを用いて、多価結合により誘導される結合容量の増大の特徴を実証する。
この目的のため、5つの異なる抗ヒト血清アルブミン(HSA)特異的VHHリガンドを使用した(HSA-1、HSA-2およびHSA-3)。これらのVHHリガンドは、ヒト血清アルブミンで免疫化したラマを由来とする免疫VHHライブラリーから得た。以前に記述したとおりの方法によるBiacore結合分析により、リガンドHSA-2および3が、HSAに存在する同一のエピトープに結合することが示され、他方で、リガンドHSA-1は異なるエピトープと結合することから、VHHリガンドHSA-1がVHHリガンドHSA-2または3のどちらかとの組み合わせで使用された場合に、HSAの多価結合が起こることが明らかとなった。
以前に記述した方法を用いて、抗HSAマトリックスの5つの異なるバッチをNHSセファロース上に構築した(HSA-1、HSA-2、HSA-3、HSA-1/2およびHSA-2/3)。それぞれのマトリックスで、最終的なリガンド密度は、マトリックス1 ml当りリガンド2 mgであった。動的結合容量を、以前に記載した方法を用いて決定した。カラムに、予想される動的結合容量より高い量のHSAを添加した。表6からわかるように、混合したマトリックスHSA-1/2の動的結合容量は、それぞれのマトリックスおよび混合したマトリックスHSA-1/3よりも高かった。混合したHSA-1/2マトリックスの動的結合容量は、2.14 mg HSA/mlマトリックスであり、これは、多価結合が混合したマトリックスで生じない場合に予想される平均値1.48 mg HSA/ml マトリックス((1.72 + 1.23)/ 2 = 1.48)と比較すると、約1.5倍の高さである。混合したマトリックスHSA-2/3に対するHSAの動的結合容量は、0.83 mg HSA/mlマトリックスである。これは予想される平均値である0.85 mg HSA/mlマトリックスに適合している。というのは、どちらのリガンドもHSAに存在する同一のエピトープに結合し、それゆえ本発明によって実証されたような結合容量の増大を引き起こす多価結合を誘導することができないためである。
Figure 2008521890
参考文献
Boersma, W.J.A., Bogaerts, W.J.C., Bianchi, A.T.J., Claassen, E., 1992. Adjuvant properties of stable water-in-oil emulsions: evaluation of the experience with specol. Res. Immunol. 143, 503-512.
Chomczynnski, P., Sacchi, N., 1987. Single step method of RNA isolation by acid guanidium thiocyanate-phenolchloroform extraction. Anal. Biochem. 162, 156-159.
Frenken G.J., Richard H.J. van der Linden, Pim W.J.J. Hermans ,J. Wil Bos a, Robin C. Ruuls, Bernard de Geus, C. Theo Verrips, 2000, Journal of Biotechnology 78, 11-21.
ヒトカッパーおよびヒトラムダ軽鎖結合VHHのアラインメントおよびCDR領域のコンセンサス。 Biacore親和性測定のセンサーグラム;BiacoreのVHH Hu-カッパー-1コーティングセンサーチップ上のFabおよびIgG結合曲線 (A;結合および脱離、B;脱離のみ、結合力によって誘導される脱離率(kdiss)の効果を示している。 ヒトカッパー軽鎖結合VHH分子のCDRアミノ酸配列。 ヒトラムダ軽鎖結合VHH分子のCDRアミノ酸配列。

Claims (16)

  1. 標的分子を精製する方法であって、単一特異的結合剤を少なくとも1つ含む免疫吸着剤物質に標的分子を結合させる段階を含み、該結合剤が標的分子上の、空間的に分離した少なくとも2つのエピトープに対して親和性を有する方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記標的分子上の少なくとも2つのエピトープの空間的な分離が、標的分子上の第1のエピトープによる結合剤への結合が、実質的に、第2のまたは更なるエピトープによる結合剤への結合を阻害しない分離である方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法であって、標的分子に対する免疫吸着剤物質の結合力が、個々のエピトープに対する結合剤の最も低い親和性よりも、少なくとも50倍高い方法。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載の方法であって、前記少なくとも2つのエピトープが、少なくとも2つの免疫学的に異なるエピトープである方法。
  5. 請求項1から3の何れか1項に記載の方法であって、前記少なくとも2つのエピトープが、標的分子上に繰り返される少なくとも2つの免疫学的に異なるエピトープである方法。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載の方法であって、前記結合剤が免疫グロブリン由来の可変ドメインを含み、該可変ドメインが、単一のポリペプチド鎖で標的分子上のエピトープに対する完全な抗原結合部位を含み、該可変ドメインのフレームワークアミノ酸配列が、SEQ ID No.1-33の何れか1つのフレームワークアミノ酸配列と、少なくとも50%のアミノ酸の同一性を有する方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、前記結合剤が、ラクダ科動物の抗体を由来とする単一ドメイン抗体断片である方法。
  8. 請求項1から7の何れか1項に記載の方法であって、前記標的分子が、免疫グロブリンまたはその断片である方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、少なくとも2つのエピトープが、免疫グロブリンまたはその断片のCDRの外部にある方法。
  10. 請求項8または9に記載の方法であって、少なくとも1つのエピトープが、免疫グロブリンの軽鎖に存在する方法。
  11. 請求項8から10の何れか1項に記載の方法であって、前記少なくとも2つのエピトープが、ヒト免疫グロブリンのエピトープである方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、前記エピトープが、カッパーまたはラムダアイソタイプのヒト免疫グロブリン軽鎖のエピトープである方法。
  13. 請求項12に記載の方法であって、前記結合剤が、SEQ ID No 1-15から選択されるカッパー軽鎖結合VHH分子の群から選択される、または、SEQ ID No 1-15のVHH分子のCDRと少なくとも80、85、90、95、98%のアミノ酸の同一性を示す、相補性決定領域(CDR)1、2、および/または3を含む免疫グロブリン由来可変ドメインを含む結合剤である方法。
  14. 請求項12に記載の方法であって、前記結合剤が、SEQ ID No 16-33から選択されるラムダ軽鎖結合VHH分子の群から選択される、または、SEQ ID No 16-33のVHH分子のCDRと少なくとも80、85、90、95、98%のアミノ酸の同一性を示す、相補性決定領域(CDR)1、2、および/または3を含む免疫グロブリン由来可変ドメインを含む結合剤である方法。
  15. 請求項11に記載の方法であって、前記少なくとも2つのエピトープが、ヒトIgG Fcドメインの少なくとも2つの免疫学的に異なるエピトープである方法。
  16. 請求項1から15の何れか1項に定義される結合剤を1以上含む免疫吸着剤物質。
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