JP2008517985A - 唇の美しさを高める組成物 - Google Patents

唇の美しさを高める組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、(1)生理的に寛容される血管拡張物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物、ならびに(2)生理的に寛容される血管収縮物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物を含む化粧品キットを提供する。さらに必要ならそれらの組成物を唇および唇の周辺に塗布するための説明書ならびに上記組成物用の容器または支持体を該キットに含めてもよい。前記血管拡張物質はカプサイシンまたはサンザシ(hawthorn)が好ましく、前記血管収縮物質はハマメリスが好ましい。

Description

本発明は化粧品キットおよびそのキットの構成成分、ならびに唇を強調するためにそのキットを使用して局所的な化粧の手入れ法に関する。
濃い赤色の唇は若さと健康の象徴として考えられている。体が老いるにつれて、唇は自然と色あせて、ほっそりとすぼんでくる。したがって、例えばリップスティックまたはリップグロスを使用し唇に色をつけることによって、若い印象を引き出す努力が、長い間なされてきた。ごく最近では、唇を大きくするため天然または合成の物質を局所注入または移植することも行われている。
しかしながら、リップグロスおよびリップスティックには重大な欠点が二点ある。一点目は唇が乾燥し、使用者に不快感を与えることである。二点目は唇が接触して衣類を汚したり、または皮膚にしみを残す傾向があるということである。医師の処置による注射や移植は費用が嵩み、痛みを伴い、元の状態に戻せない。さらに、患者の希望どおりの効果が得られないこともある。
したがって、唇を強調する効果を発揮し、自ら塗布できる化粧品の開発が引き続き必要とされている。
本発明者は、唇の表面に塗布する血管拡張物質を含む第一組成物ならびに唇の周辺に塗布する血管収縮物質を含む第二組成物を有する化粧品キットを提案する。これら二つの組成物を組み合わせる効果は唇の本体を膨らませ、唇の周辺の皮膚を引き締めることによって、唇を強調させることである。
このように一つの面から本発明は下記(1)または(2)を含む化粧品キットを提供する。
(1)生理的に寛容される血管拡張物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物。
(2)生理的に寛容される血管収縮物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物。
必要であれば、上記組成物を唇および唇周辺に塗布するための説明書を含む化粧品キットを提供する。さらに必要に応じて、上記組成物に適した容器または支持体を含む化粧品キットを提供する。
別の面からは本発明は、生理的に寛容される血管拡張物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤、ならびに唇の表面に該組成物を塗布するとともに、併せて唇の周辺に生理的に寛容される血管収縮物質を含むもう一つの局所的な化粧品組成物を塗布するという説明書を含む局所用の化粧品組成物を提供する。
さらに別の面からみると本発明は、生理的に寛容される血管収縮物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤、ならびに唇の周辺に該組成物を塗布するとともに、併せて唇の表面に生理的に寛容される血管拡張物質を含むもう一つの局所的な化粧品組成物を塗布するという説明書を含む局所用の化粧品組成物を提供する。
もうひとつ別の面からみると本発明は、唇を強調する化粧での手入れ法を提供する。その方法は、唇の表面に生理的に寛容される血管拡張物質を有効な量、塗布することならびに唇の周辺に生理的に寛容される血管収縮物質を有効な量、塗布することを含んでいる。
本発明に従い使用される血管拡張物質は、天然物質または合成の物質であってもよいし、薬物または自然界にある物質、たとえば、植物の抽出物またはフラグメントであってもよい。最も好ましくは、自然の植物の抽出物またはフラグメント(たとえば、粉末化された植物性材料)である。化粧品に自然界の材料、特に食品材料にもともとある物質が、動物実験が避けられる点および顧客への受け容れやすさが高い点で特に好ましい。血管拡張物質の例として、タイツリオウギ(Astragalus membranaeceus)、カイエンペッパー(Capsicum frutescens)、ゴツコラ-インディアンペニーワート(Centella asiatica)、シナモン(Cinamomum verum)、コレウス(Coleus forskohlii)、セイヨウサンザシ(Crataegus oxyacantha)、イチョウ(Ginkgo biloba)、ラベンダー(Lavanula officinalis)、ショウガ、アメリカザンショウ(Zanthoxylum americanum)、ナイアシン、Hawthorn berry、カプサイシン、フラボノイド(ほとんどの植物、特に花、葉、液果、たとえば、ローズマリーの葉から抽出できる。)、およびL-アルギニン、アルコール、メントールが挙げられる。局所性の血管拡張効果を持った薬物の例として、アデノシン、グリセリルトリニトレート(glyceryl trinitrate)、ニトロプルシド、フェントラミン(phentolamine)、ヒスタミン、プロスタグランジンおよびブラジキニンが挙げられる。カプサイシン(トウガラシから抽出できる)の使用が特に好ましい。
血管拡張物質の濃度は、通常0.001重量%〜10重量%であり、好ましくは0.01重量%〜10重量%であり、さらに好ましくは0.1重量%〜2重量%である。
本発明による血管収縮物質も同様に天然物質または合成の物質であってもよいし、薬物または自然界にある物質、たとえば、植物の抽出物またはフラグメントであってもよい。最も好ましくは、自然の植物の抽出物またはフラグメント(たとえば、粉末化された植物材料)である。天然の血管収縮物質の例として、セイヨウトチノキ、アロエ(Aloe Vera
)、キンセンカ(Calendula Officinalis) 、ジャーマンカモミール(Chamomilla recutita)、Conchona (Cinchona)、 レモン (Citrus limon) 、ミルラ(Commiphora molmol) 、セイヨウナツユキソウ(Filipendula ulmaria) 、甘草(Glycyrrhiza) 、ハマメリス(Hamamelidaceae) 、シャクヤク(Paeonia lactiflora)、アボカド(Perea Americana) 、ダイオウ(Rheum plamatum) 、ローズマリー酸 (rosemarinic acid; extractable from Rosemary (Romarinus officinalis)) 、セイヨウシロヤナギ(Salix alba)、セージ(Salvia officinalis) 、コンフリー(Symphytum officinale) 、Jambul (Syzgium cumini) 、イラクサ(Urtica dioica) 、コケモモ-ブルーベリー(Vaccinium myrtillus) 、セイヨウカンボク(Viburnum opulus) およびナギイカダ(Butcher's Broom)が挙げられる。局所性の血管収縮効果を持った薬物の例として、フェニレフリ(phenylephrine)、ナファゾリン(naphazoline)、 トラマゾリン(tramazoline)、メトキサミ(methoxamine)、メタラミノール(metaraminol)、エフェドリンおよびバソプレッシンが挙げられる。ハマメリス(アメリカマンサクwitch hazel)の使用が特に好ましい。
血管収縮物質含有組成物における血管収縮物質の濃度は、通常0.01重量%〜10重量%であり、好ましくは0.05重量%〜2重量%である。
血管拡張物質は露出した(すなわち、外面)唇の表面(外部の周辺部を除く)大部分に塗布されることを意図している。したがって、この塗布態様に適した形式であればどのような適用形式でもよい。たとえば、スティック、パウダー、クリーム、ペースト、軟膏、溶液、懸濁液、分散液、含浸させた布(たとえば、“ワイプ”またはティッシュ)、スプレーなどである。特に適した形式は、含浸させた布、クリーム、リップスティックまたは液体形態である。最後の液体形態の場合、刷毛または脱脂ガーゼなどの塗布具を備えた容器に入れて提供されることが好ましい。この組成物は他の化粧品成分を含んでいてもよい
。たとえば、担体(たとえば、布または溶剤)、顔料、加湿剤、油、ワックス、pH調整
剤、香料、反射物質(たとえば光反射粒子)、充填剤などである。特に、アルファ-ヒド
ロキシ酸(たとえば、保湿により皮膚をまるまる太らせ膨らませるものとして知られている化粧品成分)が好ましい。アルファ-ヒドロキシ酸の例として、グリコール酸、乳酸、
リンゴ酸、クエン酸、アルファ-ヒドロキシエタン酸、アルファ-ヒドロキシオクタン酸およびアルファ-ヒドロキシカプリル酸が挙げられ、好ましくは、グリコール酸およびリン
ゴ酸が挙げられる。
所望により、血管拡張物質は、全体的にまたは部分的に継続して放出する形態であってもよい。たとえば持続性の軟膏に溶解させたり、または分散させる。あるいはリポソーム中に封じ込める。あるいは、多孔性または中空の粒子担体(たとえば多孔性シリカまたは他の本質的に不活性な物質の粒子)に吸収させる。通常、粒子のモード粒径は1μm〜10μmのオーダーである。
特に好ましくは、血管拡張物質含有組成物のすべての成分が自然界に存在する有機物質または無機物質(特に、植物の成分、フラグメント、抽出物、または発酵物もしくは温浸物)であればよい。
さらに好ましくはその組成に顔料がない方がよい(血管拡張物質自体が唇の表面への血流を増大させ、唇をより赤くさせる効果があるからである。)。
所望により、生理的に寛容されるストロンチウム化合物(たとえば塩化ストロンチウム)が血管拡張物質含有組成物に含まれていてもよい。通常、ストロンチウム化合物は皮膚の炎症および皮下の痛みを抑えるからである。
所望により、血管拡張物質含有組成物は、ミント油を含んでいてもよいし、あるいは使用者の感じるいずれの感覚を減少させる局所麻酔を含んでいてもよい。
血管収縮物質の組成物もまた、唇の周辺に塗布するのに適していれば、どのような投与形式でもよい。たとえば、スティック、ペンシル、液体などである。塗布するのに組成物の比較的細い線(たとえば幅が0.5mm〜3mm)ができるような形式がより好ましい。このためには、スティックまたはペンシルとして、あるいは塗布具(たとえば、刷毛または脱脂ガーゼ)を備えた容器中の液体として、その組成物が提供される形態が好ましい。
一方、血管拡張物質含有組成物に関して上述したタイプの任意の成分を組成物中に含んでいてもよい。また、その組成物中には、天然の組成物のみ含み、顔料を含んでいないことが望ましい。さらに、その組成物は、所望により、全体的にまたは部分的に継続して放出される形態で含まれていてもよい。
唇の上で使用される血管拡張物質は、唇を充血させる点において、対称的な作用を持っているものであるか、あるいは非対称的作用を持つものであっても優勢な非対称性を打ち消すものが好ましい。
所望により、血管収縮物質は、血管拡張物質を塗布する前に、たとえば唇に輪郭を描くようにして、唇の周辺のみに塗布される。
本発明の特に好ましい態様は、血管収縮物質を皮膚の収縮を所望する部分より大きい表面の面積に塗布することである。特に、皮膚の充血が望まれている部分に対して、血管拡張物質を塗布する前に、塗布することが好ましい。
したがって、血管収縮物質を唇の外表面(または、たとえば後述する他の処置した表面)全体に対して十分に、一般的な洗浄水または油性の塗りものとして適切に塗布してもよい。
この方法で血管収縮物質と血管拡張物質との相乗効果によって、両者が塗布された部分は皮膚の充血を高め、または血流を増大させることになる。特に、血管拡張物質がカプサイシンであり、血管収縮物質がハマメリス(witch hazel)であることが好ましい。
血管収縮物質は、50:50(体積比)のレモン抽出液および蒸留ハマメリス溶液BPCが好
都合である。血管拡張物質は、1mLのメントール油(ペパーミントの日本の油)とともに0.5mLのオリーブ油に溶かし、1mLのhawthorn berry抽出物(2g/エタノール1mL)および1mLのカプサイシン(0.0017重量%)を一緒に加えた、100mgのナイアシンが好都合である。このものは、蜂蜜(honey)および ワセリン(petroleum jelly)を、たとえばそれぞれ約1gずつ加え、完全に混合したものでもよい。
唇と顔の皮膚に塗布する化粧品に従来から使用される成分は公知ものであり、ここではより詳しくは述べる必要はない。
上記組成物は、二つの組成物を別々に含む容器、ならびに唇にその二つの組成物を塗布する説明を表示する印刷フォームまたはラベルを収容する外部容器またはケースを備えたキットの形式でパッケージされることが望ましい。
好ましい態様の一つとして、一つの容器または支持体が両方の組成物を含むことが挙げられる。たとえば、二つの端をもったリップペンシルまたはリップスティック/リップペンシルの組み合わせという形式である。
組成物の効果は長時間(たとえば、少なくとも5時間、好ましくは少なくとも8時間)持続して、唇を強調することである。
本発明の血管拡張物質含有組成物は、所望によりほお紅として使用してもよい。この用途も本発明の部分を形成すると考える。
さらに本発明の別の態様として、皮膚の表面上に皺または細かい線の発生を最小限にする血管拡張物質を含む組成物の使用であり、必要に応じて血管収縮物質を含む組成物と組み合わせて使用することもできる。
血管拡張は血流を増大させ、組織を膨らませることになる。血管拡張物質と血管収縮物質とを組み合わせて使用すると、血流を増大させる部分と減少させる部分を選択的に区別することができ、その結果、皺の発生を抑制できる。
したがって、本発明を別の面からみると、下記(1)および(2)を含む化粧品キットであって、必要に応じて、下記(1)および(2)を皺になっている部分に塗布することを指示する説明書を含む化粧品キット、および必要に応じて、下記(1)および(2)用の容器もしくは支持体を含む化粧品キットを提供する。
(1)生理的に寛容される血管拡張物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物。
(2)生理的に寛容される血管収縮物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物。
本発明を別の面からみると、生理的に寛容される血管拡張物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物、ならびに上記組成物を皮膚の表面に塗布するための説明書も提供する。必要に応じて、限定した部分に生理的に寛容される血管収縮物質を含むさらに局所用の化粧品組成物を塗布するための説明書も組み合わせることができる。
また、さらに本発明を別の面からみると、皺の発生を抑制する化粧の処置方法を提供する。その方法は、生理的に寛容される血管拡張物質の効果的な量を塗布すること、ならびに必要に応じて限定した部分に生理的に寛容される血管収縮物質の効果的な量を皮膚表面に塗布すること含む。
具体的には、血管拡張物質だけ使用するときは皮膚の表面の細かい線上に使用することが好ましい。より深い皺の発生を抑制するためには血管拡張物質および血管収縮物質の組み合わせが好ましい。後者の場合、血管拡張物質含有組成物は皺の周辺もしくは部分に塗布され、血管収縮物質の組成物は血流を減少させたい部分(たとえば、皮膚の表面を平らにするために皺の端の周辺部)に塗布される。この使用は皺に限定される必要はない。血管収縮物質および/または血管拡張物質を顔のある部分に塗布することによって、整形手術をしないで、皺をとる効果が得られる。
本発明の組成物は傷の治療にもまた適している。というのは本発明の組成物は、治癒が起きる可能性を最大限利用するようにして血流を促進することができるからである。特に創面切除術(傷の中および周りから死んだまたは崩壊した組織(バイオフィルム(biofilm)を含む)を切除する手術)後が好ましい。
したがって、本発明の別の面は、慢性の傷および潰瘍の生成を予防する薬剤(すなわち、最初の兆候が現れたときの使用、または、最初の兆候が現れる前の予防措置としての使用)を提供できる。あるいは慢性になる前後の傷の治療を促進させるための製剤を提供できる。
これは以下の方法またはそれらを組み合わせた方法のいずれでも行うことができる。
a)傷の可能性のある箇所に直接塗布する方法
b)最適の治癒環境を維持する製剤において、抗菌性/抗バイオフィルムの製剤のような
他の有用な薬剤と組み合わせて傷に直接塗布する方法
c)傷の箇所のまわりに塗布する方法
この発明の組成物のさらなる用途として、循環器異常の症状(特にレイノー病)の軽減が挙げられる。
この疾患の患者は体のある部分(特に手足)に、痛み、疼き、または感覚麻痺を経験する。
したがって本発明は、循環器系の疾患(特にレイノー病)の治療のための薬剤の製造において、(1)生理的に寛容される血管拡張物質を含む局所用の組成物
および
(2)生理的に寛容される血管収縮物質を含む局所用の組成物
の使用を提供する。
本発明の組成物は、(たとえば、頭皮の特定部分の血流を増大させることによって)禿げを抑制することにも適用できる。あるいは(たとえば、特定部分の血流を減少させることによって)むだ毛の成長を抑制することにも適用できる。あるいは(たとえば、爪床の血流を増大させることによって)爪を強くすることにも適用できる。ならびに(たとえば、昼間は赤みを抑えるために血流を減少させることによって、および/または夜間は細胞のサイクルのスピードを上げるために血流を増大させることによって)にきびを抑制することにも適用できる。
本発明を、以下に示す限定されることを意図しない実施例に関して、より詳細に述べる。
リップ軟膏
1重量%のカプサイシンを商業的に入手できる皮膚軟膏(ワセリン(R))に導入する。
Unguentum Merckをワセリン(R)の代わりに使用してもよい。およびL-アルギニンまたはメントールをカプサイシンの代わりに使用してもよい。
リップライナー
0.12重量%のハマメリス(witch hazel)を刷毛またはスパチュラで塗布することができ
るように軟ワックス(またはワセリン(R)(petroleum jelly))に導入する。
調剤A−リップ軟膏
重量%または容量%で表された成分
47%Hawthorn berry extract Freshplant tincture
スイスにおいて有機農法または野草からとれたCrataegus oxyacantha
23.5% ニュージーランドの Clover Honey
23.5% ワセリン
5.88% Japanese Oil of Peppermint
2.35% ナイアシン B3
調剤B−リップ軟膏
重量%または容量%で表された成分
40%Hawthorn berry extract Freshplant tincture
Crataegus oxyacantha
2% ナイアシン B3
20% Japanese Oil of Peppermint
20% ニュージーランドの Clover Honey
20% ワセリン
0.00017% カプサイシン
10% エキストラバージンオリーブ油(Extra virgin Olive Oil)
リップライナー
50% w/v レモン抽出液
50% w/v ハマメリス
唇を際立たせる実験
実験参加者の選抜
この実験を開始することに対して現地の倫理委員会の承認を得た。年齢20〜56歳の30名の健康な女性を実験のために募集した。
実験方法
志願者を無作為に二つのグループに分けた。グループ1(n=18)の両唇に調剤Aを塗布
し、グループ2(n=12)の両唇に調剤Bを塗布した。二人の観察者がすべての測定を実施
した。
唇の径(上部および下部)の基準線の測定は三点で行われた。基準点を清浄なアセテートシート(同じ基準点を、実験を通じて各被験者に使用した)上にマークしたものを使用
して、実験すべてにおいて同じ三つの点を測定した。
唇の径を、微調整測径器(vernier calliper)を用いてマークした基準の三点で測定した。標準の基準点で閉じた唇の写真を取った(基準写真)。(実施例5の)リップライナーを小さな塗布具を使用して唇の境界周辺に塗布した。その後すぐに、調剤Aまたは調剤Bを唇の表面に塗布した。色を増強させる他の物質は使用しなかった。
実験の間は、繰り返し唇の測定と写真撮影を行った(塗布後300分まで)。
結果
調剤A
被験者の61%が、明確な量で唇を際立たせる効果を示した。量的な反応を全く示さなかった被験者は他の39%であった。
保護最小二乗による差の事後検定(protected least squares difference post hoc test)を用いた分散分析によって、基準線からの径において統計的に有意の増大がみられた(P<0.03)。
この明確な反応は、300分間まで基準線から有意の増大として維持された。
その調剤に対する最大の(記録された)反応は、唇のサイズの80%近い増大であった。
写真に示されたように、リップライナーと製剤Aの塗布との前後で、一人の被験者の唇が明らかに際立っていることがわかった。
製剤B
この製剤では、被験者の大部分(83%)において唇の径および鮮明度に有意の増大が確認された。17%の被験者だけが量的な反応を示さなかった。
protected least squares difference post hoc testを用いた分散分析によって、基準線からの径において統計的に有意の増大がみられた(P<0.03)。
その明確な反応は、250分間まで基準線から有意の増大として維持された。
その調剤に対する最大の(記録された)反応は、唇のサイズの80%を超える増大であり、それは250分間まで維持された。
写真に示されたように、リップライナーと製剤Bとの塗布の前後で、一人の被験者の唇が明らかに際立っていることがわかった。
結論
リップライナーに調剤Aまたは調剤Bを加えると、唇の大きさおよび鮮明度に有意の増大が得られた。両方の処置効果は長時間作用した。その効果は完全に可逆的であり、副作用がないことも報告された。被験者達はその調剤に良好に耐性を示した。すべての被験者は唇の大きさと鮮明度が増大したことを自覚していると報告した。唇を際立たせるこの技術は非侵襲的であり、ただ塗布するのみであり、また天然の薬剤を使用している。
調剤は非対称的な効果を与える。理論に拘泥はしないが、これは人間の体の非対称性に関連していると考えられる。たとえば、口輪筋は唇部分の下に横たわっている筋肉のひとつである。それは周回する筋肉の同心状の帯である。実際、それは顔の表情を作る筋肉の複合体グループの一部分である。唇または下にある筋肉組織および脈管構造における機能上または解剖学上の非対称性は血管拡張メカニズムに影響しているかもしれない。
調剤A
提案された作用メカニズム:唇および周りの筋肉組織および支持構造に供給している小動脈および毛細血管の亜最高の血管拡張を結果として生じる。血管のレセプター上にその薬物は直接作用する。結果として生じるわずかな非対称性は、人間集団が概して右利きであ
るという傾向によくあらわれている。筋肉または血管系の反応において存在するどんなわずかな違いであってもそれを強調している。
調剤B
提案された作用メカニズム:唇付近での血管の拡張作用、ならびに局所的に放出された内因性メディエイター(血管拡張薬の作用を高める)の産生におけるバニロイド(vanilloid )レセプターの刺激。
結果:直接および間接的なメカニズムによる広範囲の拡張は、結果としてその部分の血流を大幅に増やす。血管の径は最大限まで拡張し、それによって顔の非対称性(機能的または解剖学的)における、いずれの違いも最小限にする。
リップライナー
朱色部分−皮膚の境界を取り囲む血管の収縮は、それにより唇の拡張を唇の赤い部分に限定し、周りの筋肉組織および支持している部分を拡張しない。周辺の皮膚−皮膚の境界辺りでの血管の収縮は、血管拡張を強めるとともに唇をよりくっきりとする。
唇を際立たせること
以下の試験を実施例4の調剤Bを使用して行った。
1.唇に線を引くリップライナー
2.唇の上に調剤Bを塗布して唇に線を引くリップライナー
3.唇に線を引くリップライナーおよびその後に唇の上に調剤Bを塗布
4.上記のバリエーションであるが一つの唇のみに塗布した
5.上記のバリエーションであるが各唇にそれぞれ異なる処置をした
唇の大きさを最も大きく際立たせたのは、試験2および3であった。
皺の治療
軽度、並または重度の皺を持った被験者の皮膚に対して、調剤(AまたはB)または好適なプラシーボの標準化された量を塗布することを含む、無作為二重盲検試験を行った。
皺の程度を、定性的な測定(アンケートの自己申告)および定量的な測定(写真撮影、デジタル化、皺のコンピューター評価)によって評価した。
調剤AまたはBを使用する処置の後に、皺の発生の顕著な減少が見られた。
傷の治療
軽度、並または重度の傷の皮膚に対して、調剤(AまたはB)または好適なプラシーボの標準化された量を塗布することを含む無作為二重盲検試験を行った。その調剤を直接傷の箇所に塗布する(該調剤のみ、または最適の治癒環境を維持する処方製剤の中に抗菌性/抗バイオフィルムの薬物のような他に有用な薬物と組み合わせる場合)か、あるいは傷の箇所の周りに塗布する。傷の治癒の割合と程度を、定性的(アンケートによる自己申告)および定量的な傷の治療の測定(写真撮影、デジタル化、傷の大きさのコンピューター評価、傷あとの程度、血液の流れ)で評価した。
レイノー病
調剤Bを、レイノー病でない対照被験者の前腕の特定皮膚部分に塗布した。その結果、血管拡張を起こし、最初に塗布した直接の部分および周辺部分が広範囲に赤くなった。その効果は長く続いた(約3時間)。
レイノー病
レイノー病患者(軽度、並、または重度)の皮膚に対して、調剤(AまたはB)または好適なプラシーボの標準化した量を塗布することを含む、無作為二重盲検法試験を行った。病気のすべてのレベル(軽度、並、重度)について、指、つま先、鼻、耳および手および足といったより大きな範囲、手足の一部または全体といった処置する箇所に応じて、様々な強さと種類の調剤の局所塗布を行った。血管拡張の程度を定性的な測定(アンケートによる自己申告)および定量的な血流の測定(レーザードップラーフローメーター、サーマルイメージング、手足の精密検査および色の変化の評価)で評価した。有用な結果が得られた。

Claims (12)

  1. 下記(1)および(2):
    (1)生理的に寛容される血管拡張物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物
    (2)生理的に寛容される血管収縮物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物
    を含む化粧品キット。
  2. 前記血管拡張物質がカプサイシンまたはサンザシ(hawthorn)である請求項1に記載のキット。
  3. 前記組成物における血管拡張物質が、0.01重量%から10重量%の濃度で存在する請求項1または2記載のキット。
  4. 前記血管収縮物質がハマメリスである請求項1〜3いずれかに記載のキット。
  5. 唇の美しさを高めるための請求項1〜4いずれかに記載のキットの使用。
  6. 皺の発生を抑制するための請求項1〜4いずれかに記載のキットの使用。
  7. 下記(1)および(2):
    (1)生理的に寛容される血管拡張物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物
    (2)生理的に寛容される血管収縮物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤を有する局所用の化粧品組成物
    を含み、さらに必要ならそれらの組成物を唇および唇の周辺に塗布するための説明書ならびに該組成物用の容器または支持体を含む化粧品キット。
  8. 生理的に寛容される血管拡張物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤、ならびに唇の表面に該組成物を塗布するとともに、併せて唇の周辺に生理的に寛容される血管収縮物質を含むもう一つの局所的な化粧品組成物を塗布するという説明書を含む局所用の化粧品組成物。
  9. 生理的に寛容される血管収縮物質および少なくとも一種の化粧品用の担体または賦形剤、ならびに唇の周辺に該組成物を塗布するとともに、併せて唇の表面に生理的に寛容される血管拡張物質を含むもう一つの局所的な化粧品組成物を塗布するという説明書を含む局所用の化粧品組成物。
  10. 唇の表面に生理的に寛容される血管拡張物質を有効な量塗布することおよび唇の周辺に生理的に寛容される血管収縮物質を有効な量塗布することを含む唇を強調する化粧の手入れ方法。
  11. 循環器の病気、特にレイノー病を治療するための薬剤の製造において、生理的に寛容される血管拡張物質を含む局所用の組成物および生理的に寛容される血管収縮物質を含む局所用の組成物の使用。
  12. 傷を治療するための薬の製造において、生理的に寛容される血管拡張物質を含む局所用の組成物および生理的に寛容される血管収縮物質を含む局所用の組成物の使用。
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