JP2008516594A - 選択可能なマーカーとしての相同性amds遺伝子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、生物体の形質転換において優性および双方向性選択マーカー遺伝子として使用することができるA.ニガーからの新規の機能性amdS遺伝子に関する。本発明はさらに、本発明のamdS遺伝子で形質転換された真菌宿主細胞における対象の化合物の産生に関する。好ましい真菌宿主細胞は、糸状菌細胞である。本発明のamdS遺伝子は、他のアスペルギルス種における機能性相同体を同定するための手段を提供する。

Description

本発明は分子生物学の分野に関し、特に本発明は、生物体の形質転換において使用される選択可能なマーカー遺伝子に関する。
アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)amdS遺伝子は、恐らく、糸状菌の形質転換のために最も頻繁に使用される選択可能なマーカーであり、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)(ケリー(Kelly)およびハインズ(Hynes)1985年、EMBO J.4:475−479頁)、ペニシリウム・クリゾゲナム(Penicillium chrysogenum)(ベリ(Beri)およびターナー(Turner)1987年、Curr.Genet.11:639−641頁)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)(ペンチラ(Pentillae)ら、1987年、Gene 61:155−164頁)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus Oryzae)(クリステンセン(Christensen)ら、1988年、Bio/technology 6:1419−1422頁)およびトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)(ピア(Pe’er)ら、1991年、Soil Biol.Biochem.23:1043−1046頁)などの工業上重要な糸状菌の大部分において適用されている。
選択可能なマーカーとしてのamdS遺伝子の人気は、真菌の形質転換において優性の選択可能なマーカーとして使用することができる唯一の利用可能な非抗生物質マーカー遺伝子であるという事実の結果である可能性が最も高い。優性の選択可能なマーカーは、突然変異レシピエント菌株を必要とすることなく、どの菌株においても直接使用可能であるという利点を提供する。しかしながら、ほとんどの国の規制当局は、このような遺伝子を保有する産生菌株の大規模使用の際に生物圏において抗生物質耐性遺伝子が広がるという潜在的な危険を考慮して、抗生物質マーカーの使用に反対するので、抗生物質耐性遺伝子は工業用菌株において使用するために好ましくない。
amdS遺伝子は、内在性amdS遺伝子を含有することが知られている真菌、すなわち、A.ニデュランス(ティルバーン(Tilburn)ら、1983年、Gene 26:205−221頁)およびA.オリゼー(ゴミ(Gomi)ら,1991年、Gene 108:91−98頁)においても優性マーカーとして使用されている。これらの場合、非形質転換体のバックグラウンドは、選択培地にCsClを含ませることによって抑制することができる。さらに、高コピー数の形質転換体は、遺伝子量が高いために非形質転換体を越える成長の利点が与えられる(アセトアミドが唯一の窒素源である場合)。
その優性形質に加えて、amdS選択可能なマーカーは、双方向性マーカーであるという利点を提供する。これは、アセトアミドを唯一の炭素源または窒素源として用いるamdS遺伝子の存在のポジティブ選択は別として、amdS遺伝子の存在に対して選択するためにフルオルアセトアミド(fluoracetamide)を用いて対抗選択が適用され得ることを意味する(ハインズ(Hynes)およびペイトマン(Pateman)、1970年、Mol.Gen.Genet.108、107−106頁)。フルオルアセトアミドの対抗選択は、amdS遺伝子を保有する組換え構築物からの遺伝子操作された菌株をキュアするために適用されている(例えば、ウォード(Ward)ら、1993年、Appl.Microbiol.Biotechnol.39、738−743頁)。
amdSマーカーの欠点は、A.ニデュランスamdS遺伝子が、A.ニガー、A.オリゼー、T.リーゼイおよびP.クリゾゲナムなどの工業用真菌において非相同性遺伝子であるという事実である。これは、ほとんどの分子生物学者にとって取るに足りないことであると思われるが、規制当局は、非相同性A.ニデュランスamdS遺伝子を含有する産生菌株が、新しく(遺伝子は非相同性である)そして不必要であり(形質転換菌株が得られてしまえばマーカー遺伝子は必要でない)、その危険を予測することができない特性を持つことに反対することが多い。
本発明者らは、選択可能なマーカーを含まない組換え真菌産生菌株を得るための方法を開発することによって、この問題に既に対処している(EP−A−0635574号明細書)。この方法では、真菌ゲノム内に導入されたらすぐに、amdSマーカーの双方向性を用いて、特別に構築された発現カセットからマーカーを除去する。しかしながら、この方法は、工業用産生菌株において必要なことが多い高コピー数との適合性が低い。これらの状況では、相同性および優性の選択可能なマーカーは依然として必要とされるであろう。
相同性の優性マーカーとしてのA.ニデュランスamdS遺伝子の使用についての最初の報告以来、思慮深い研究努力によって、例えばA.オリゼー、S.セレビシエ(cerevisiae)、P.クリゾゲナムにおいて、相同性の選択マーカーとして使用されるいくつかの他のamdS遺伝子の発見がもたらされた(EP0758020A2号明細書に記載)。しかしながら、科学界では、A.ニガーが優性マーカーとして使用され得る機能性amdS遺伝子を含有することはとにかく疑問視されてきた(デベッツ(Debets)ら、Mol.Gen.Genet.(1990年)222:284−290頁、デベッツら、Mol.Gen.Genet.(1990年)224:264−268頁、フィンケルステイン(Finkelstein)およびバル(Ball)、Biotechnology of Filamentous fungi、Technology and products(1992年)ISBN0−7506−9115−8)。ほとんど10年の間、A.ニガーにおいてamdS遺伝子は同定されなかったので、この偏見は長年の間に非常に強くなった。最近に、A.ニガーにおいて機能性amdS遺伝子が同定された(EP0758020A2号明細書に記載)。
しかしながら、依然として、優性および双方向性の選択マーカー遺伝子が必要とされている。
発明の詳細な説明
本発明の説明および特許請求の範囲において使用されるいくつかの用語は、以下のように定義される。
「遺伝子」という用語は、本明細書中では、DNA配列がcDNA配列であるかゲノムDNA配列であるかに関係なく、ポリペプチドをコードするDNA配列であると定義され、1つまたは複数のイントロンを含有し得る。
「選択マーカー遺伝子」(または選択可能なマーカー遺伝子)という用語は、本明細書中では、遺伝子を含有する細胞に表現型を提供するポリペプチドをコードする遺伝子であると定義され、表現型は、選択マーカー遺伝子を含有する細胞のポジティブ選択またはネガティブ選択のいずれかを可能にする。選択マーカー遺伝子は、形質転換細胞と非形質転換細胞とを区別するために使用され得る。あるいは、組換えまたは他の種類の遺伝子改変を受けた細胞を同定するために使用され得る。
「アセトアミダーゼ」は、本明細書中では、アセトアミドの酢酸およびアンモニウムへの加水分解を触媒することができる酵素、および/またはアクリルアミドまたはu−アミノ酸などの関連アミド化合物の加水分解を触媒することができる酵素であると定義される。
「amdS遺伝子」は、本明細書中では、好ましくは糸状菌から得られ、上記で定義したアセトアミダーゼであるポリペプチドをコードする遺伝子であると定義される。好ましくは、amdS遺伝子は、当該技術分野において既知のamdS遺伝子、すなわちA.ニデュランス、A.オリゼー、A.ニガー、P.クリゾゲナムからのamdS遺伝子、またはS.セレビシエからのamdS様遺伝子のうちの1つまたは複数と配列類似性を示す。amdS遺伝子は、好ましくは、約500〜600アミノ酸のタンパク質をコードする。従って、amdS遺伝子は、通常約2.0kbのDNA断片内に含有される。当然ながら、ゲノムamdS遺伝子中のイントロンの存在は、例えば約2.5kb以上まで長さを増大することができる。
「相同性」遺伝子という用語は、本明細書中では、遺伝子を実際に含有する菌株と同一の種に属する菌株(その変異体を含む)から得ることができる遺伝子であると定義される。好ましくは、ドナーおよびアクセプターの菌株は同一である。相同性遺伝子によってコードされるポリペプチドに同じことが適用されることは理解されるべきである。突然変異体または断片が由来する遺伝子が相同性遺伝子である場合には、遺伝子の断片および突然変異体も相同性であると考えられる。また、コード配列が相同性である限り、調節配列およびコード配列のネイティブでない組み合わせは相同性であると考えられる。その結果、本明細書中において、非相同性という用語は、ドナーおよびアクセプターの菌株が同一の種またはその変異体に属さない遺伝子またはポリペプチドを指す。
「内在性」遺伝子という用語は、本明細書中では、問題の生物体のゲノムの遺伝子の天然に存在するコピーであると定義される。
「真菌」という用語は、本明細書中では、菌界の真菌門の全てのメンバーを指し、従って、全ての糸状菌および酵母菌を含む。
「糸状菌」は、真菌亜門および卵菌亜門の全ての糸状形態を含む(ホークスワース(Hawksworth)ら、1995年により定義、上記)。糸状菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン、および他の複合多糖類で構成される菌糸壁によって特徴付けられる。栄養成長は菌糸の伸びによるものであり、炭素異反応は偏性好気性である。糸状菌株としては、アクレモニウム属(Acremonium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アウレオバシディウム属(Aureobasidium)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、フィリバシジウム属(Filibasidium)、フサリウム属(Fusarium)、フミコラ属(Humicola)、マグナポルテ属(Magnaporthe)、ムコール属(Mucor)、ミセリオフトーラ属(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス属(Neocallimastix)、ニューロスポラ属(Neurospora)、ペシロマイセス属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)、ピロミセス属(Piromyces)、シゾフィラム属(Schizophyllum)、タラロマイセス属(Talaromyces)、サーモアスカス属(Thermoascus)、チエラビア属(Thielavia)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)、およびトリコデルマ属(Trichoderma)の菌株が挙げられるが、これらに限定されない。
黒コウジカビ属(black Aspergilli)の命名を考慮して、アスペルギルス・ニガーという用語は、本明細書中では、レイパー(Raper)およびフェネル(Fennell)(1965年、アスペルギルス属、ウィリアムズ&ウィルキンズ・カンパニー(Williams & Wilkins Company)、ボルティモア、293−344頁において)により定義されるように、アスペルギルス・ニガー群において見出すことができる全ての(黒)コウジカビ属を含むと定義される。同様に、他のアスペルギルス種についても、本発明者らは、上記のレイパーおよびフェネルによって定義されるアスペルギルス群を指すことができ、それにより、これらの著者により特定の群に含有される全ての種および変異体を含む。
相同性の優性マーカーとしてのA.ニデュランスamdS遺伝子の使用についての最初の報告以来、思慮深い研究努力によって、例えばA.オリゼー、S.セレビシエ、P.クリゾゲナムにおいて(EP0758020A2号明細書に記載)、そしてA.ニガーにおいて(EP0758020A2号明細書に記載)、相同性の選択マーカーとして使用されるいくつかの他のamdS遺伝子の発見がもたらされた。
意外なことに、本発明者らは、A.ニガーにおいて5つの新規の推定amdS遺伝子を発見した。本発明の新規のamdS遺伝子は相同性の選択可能なマーカー遺伝子として使用することができ、このことは、本明細書では、amdS遺伝子を使用して、amdS遺伝子がもともと由来した種と同じ種の形質転換体を選択することを意味すると理解される。これは、得られる形質転換体が外来性の選択可能なマーカー遺伝子を含有しないという利点を提供する。これによって、原則として、絶対的に必要な遺伝子、すなわち発現すべき対象の(非相同性)遺伝子以外に、外来性DNAを含有しない組換え菌株を構築することが可能になる。
第1の態様では、本発明は、アスペルギルス、好ましくはアスペルギルス・ニガーに由来することができ、アセトアミダーゼをコードするDNA配列に関し、該DNA配列は、EP0758020A2号明細書に記載される配列番号18ではないが、
a.配列番号1、配列番号6、配列番号11、配列番号14、または配列番号17のヌクレオチド配列を有するDNA配列と、
b.(a)のDNA配列のいずれか1つの断片または突然変異体と、
からなる群から選択される。
好ましい実施形態では、(a)または(b)に従う配列によってコードされるアセトアミダーゼはアミノ酸配列を含み、該アミノ酸と、配列番号3、配列番号8、配列番号13、配列番号16、または配列番号19の配列のうちの1つとの位置同一性は、40%よりも大きい。好ましくは、適合率(match percentage)、すなわち位置同一性は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、さらにより好ましくは少なくとも約97%、さらにより好ましくは少なくとも約98%、さらにより好ましくは少なくとも約99%の同一性であり、最も好ましくは整合率、すなわち同一性は100%に等しい。
本発明の目的のために、2つのポリペプチドまたは2つの核酸配列の間の同一性の程度、すなわち適合率は、好ましくは、最適グローバルアライメント法CDA(ファン(Huang)、1994年、配列を比較するための状況依存的方法(A Context Dependent Method for Comparing Sequences)、コンビナトアリアルパターンマッチングに関する第5回シンポジウムの議事録(Proceedings of the 5th Symposium on Combinatorial Pattern Matching)、Lecture Notes in Computer Science 807、シュプリンガー出版(Springer−Verlag)、54−63頁)を使用し、以下のように設定したパラメータ:(i)(ポリ)ペプチドのアライメントでは、Mismatch:−2 GapOpen:11 GapExtend:1 ContextLength:10 MatchBonus:1、そして(ii)ヌクレオチド配列のアライメントでは、Mismatch:−15 GapOpen:5 GapExtend:2 ContextLength:10 MatchBonus:1を用いて決定される。
「同一性の程度」、「同一性」および「適合率」という用語は、上記の最適グローバルアライメント法によって計算される場合の2つのポリペプチドまたは核酸配列の間の同一性の程度を示すために同義的に使用される。
アライメントおよび相同性の決定のために使用される代替のプログラムの例は、クラスタル(Clustal)法(ヒギンズ(Higgins)、1989年、CABIOS 5:151−153頁)、LASERGENE.TM.MEGALIGN.TM.ソフトウェア(ウィスコンシン州マディソンのDNASTAR社)を用いるウィルバー−リップマン(Wilbur−Lipman)法(ウィルバー(Wilbur)およびリップマン(Lipman)、1983年、Proceedings of the National Academy of Science USA 80:726−730頁)、BLAST(NCBI)、最適グローバルアライメントのためのGAP(ファン)、MAP(ファン)、MultiBLAST(NCBI)、ClustalW、Cap Assemblerおよび多重アライメントのためのスミス・ウォーターマン(Smith Waterman)である。
Figure 2008516594
ポリペプチドをコードする核酸配列を単離またはクローン化するために使用される技法は当該技術分野において知られており、ゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、またはこれらの組み合わせを含む。このようなゲノムDNAからの本発明の核酸配列のクローン化は、例えば、共有の構造的特徴を有するクローン化DNA断片を検出するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または発現ライブラリーの抗体スクリーニングに基づく方法を用いることによってもたらすことができる(例えば、イニス(Innis)ら、1990年、PCR:方法および用途の手引き(A Guide to Methods and Application)、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨークを参照)。リガーゼ連鎖反応(LCR)、連結活性化転写(ligated activated transcription)(LAT)および核酸配列に基づく増幅(NASBA)などの他の核酸増幅手順が使用されてもよい。
本明細書中で提供されるような配列情報は、誤って同定された塩基の包含を要求するようにあまり狭く解釈されてはならない。本明細書において開示される特異的な配列は、糸状菌、特にA.ニガーから完全な遺伝子を単離するために容易に使用することができ、これは次に、さらなる配列分析を容易に受けることができ、それにより配列決定エラーが同定される。
別途指示されない限り、本明細書においてDNA分子の配列決定により決定される全てのヌクレオチド配列は、自動DNA配列決定装置を用いて決定し、本明細書においてDNA分子によってコードされるポリペプチドの全てのアミノ酸配列は、上記のように決定される核酸配列の翻訳によって予測した。従って、この自動アプローチにより決定されるDNA配列について当該技術分野において知られているように、本明細書において決定されるヌクレオチド配列はどれもいくらかのエラーを含有し得る。自動化により決定されるヌクレオチド配列は、配列決定されるDNA分子の実際のヌクレオチド配列に対して、典型的には少なくとも約90%同一であり、より典型的には少なくとも約95%〜少なくとも約99.9%同一である。実際の配列は、当該技術分野においてよく知られている手動DNA配列決定法を含む他のアプローチによってより正確に決定することができる。同様に当該技術分野において知られているように、実際の配列と比較した決定ヌクレオチド配列における単一の挿入または欠失は、ヌクレオチド配列の翻訳においてフレームシフトを生じ得るので、決定ヌクレオチド配列によりコードされる予測アミノ酸配列は、このような挿入または欠失の点から始まって、配列決定したDNA分子により実際にコードされるアミノ酸配列とは完全に異なるであろう。
当業者は、このような誤って同定された塩基を同定することができ、このようなエラーを補正する方法を知っている。
アスペルギルス属の好ましい種は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)群、アスペルギルス・グラウカス(Aspergillus glaucus)群、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)群、アスペルギルス・レストリクタス(Aspergillus restrictus)群、アスペルギルス・フミガータス(Aspergillus fumigatus)群、アスペルギルス・ケルビヌス(Aspergillus cervinus)群、アスペルギルス・オルナタス(Aspergillus ornatus)群、アスペルギルス・クラバタス(Aspergillus clavatus)群、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)群、アスペルギルス・ウスタス(Aspergillus ustus)群、アスペルギルス・ウェンティ(Aspergillus wentii)群、アスペルギルス・オクラセウス(Aspergillus ochraceus)群、アスペルギルス・カンジダス(Aspergillus candidus)群、アスペルギルス・クレメウス(Aspergillus cremeus)群、アスペルギルス・スパルサス(Aspergillus sparsus)群、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)群、およびアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)群に属する糸状菌である。
第2の態様では、本発明は、本発明の第1の態様に従うDNA配列を含む核酸構築物に関する。
「核酸構築物」は、本明細書中では、一本鎖または二本鎖のいずれかの核酸分子であると定義され、天然に存在する遺伝子から単離されるか、あるいはそうでなければ事実上存在し得ないような形で結合および並列される核酸セグメントを含有するように改変されている。核酸構築物がコード配列の発現に必要とされる全ての制御配列を含有する場合には、核酸構築物という用語は発現カセットという用語と同義的である。本明細書において定義される「コード配列」という用語は、mRNAへ転写され、本発明のアセトアミダーゼ活性を含むポリペプチドに翻訳される配列である。コード配列の境界は、通常、mRNAの5’末端におけるATG開始コドンと、mRNAの3’末端におけるオープンリーディングフレームを終了する翻訳終止コドン配列とによって決定される。コード配列は、DNA、cDNA、および組換え核酸配列を含むことができるが、これらに限定されない。
発現は、転写、転写後改変、翻訳、翻訳後改変、および分泌を含むがこれらに限定されないポリペプチドの産生に関与するいずれかのステップを含むことが理解されるであろう。
「制御配列」という用語は、本明細書中では、ポリペプチドの発現のために必要または有利である全ての成分を含むと定義される。それぞれの制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対してネイティブでも外来性でもよい。このような制御配列には、リーダー、最適翻訳開始配列(コザック(Kozak)、1991年、J.Biol.Chem.266:19867−19870頁において記載される)、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プレプロペプチド配列、プロモーター、シグナル配列、および転写ターミネーターが含まれるが、これらに限定されない。最小限では、制御配列は、プロモーター、ならびに転写および翻訳停止シグナルを含む。
制御配列には、制御配列と、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域との連結を容易にする特異的制限部位を導入するためのリンカーが提供されてもよい。「操作可能に結合される」という用語は、本明細書では、制御配列がポリペプチドの産生を指示するようにDNA配列のコード配列に対する位置に制御配列が適切に置かれた配置であると定義される。
制御配列は、適切なプロモーター配列、核酸配列の発現のために宿主細胞によって認識される核酸配列でよい。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、突然変異、切断およびハイブリッドプロモーターを含む細胞において転写活性を示す任意の核酸配列でよく、細胞に対して相同性または非相同性のいずれかである細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
また制御配列は、適切な転写ターミネーター配列、転写を終了するために真菌宿主細胞によって認識される配列でもよい。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に操作可能に結合される。細胞において機能性であるターミネーターはどれも本発明において使用することができる。
真菌宿主細胞のために好ましいターミネーターは、A.オリゼーTAKAアミラーゼ、A.ニガーグルコアミラーゼ(glaA)、A.ニデュランスアントラニレートシンターゼ、A.ニガーアルファグルコシダーゼ、trpC遺伝子およびフサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼをコードする遺伝子から得られる。
また制御配列は、適切なリーダー配列、真菌宿主細胞による翻訳に重要なmRNAの非翻訳領域でもよい。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に操作可能に結合される。細胞において機能性であるリーダー配列はどれも本発明において使用することができる。
真菌宿主細胞のために好ましいリーダーは、A.オリゼーTAKAアミラーゼおよびA.ニデュランストリオースリン酸イソメラーゼおよびA.ニガーglaAをコードする遺伝子から得られる。
その他の制御配列も、ペニシリウムIPNS遺伝子、またはpcbC遺伝子、ベータチューブリン遺伝子から単離することができる。国際公開第01/21779号パンフレットにおいて引用されるは制御配列は全て、参照によって本明細書に援用される。
また制御配列は、ポリアデニル化配列、核酸配列の3’末端に操作可能に結合され、転写されると転写mRNAにポリアデノシン残基を付加するためのシグナルとして真菌宿主細胞によって認識される配列でもよい。細胞において機能性であるポリアデニル化配列はどれも本発明において使用することができる。
真菌宿主細胞のために好ましいポリアデニル化配列は、A.オリゼーTAKAアミラーゼ、A.ニガーグルコアミラーゼ、A.ニデュランスアントラニレートシンターゼ、フサリウム・オキシスポラムトリプシン様プロテアーゼおよびA.ニガーアルファグルコシダーゼをコードする遺伝子から得られる。
ベクターへの挿入の前に、発現ベクターによってはポリペプチドをコードする核酸配列の操作が望ましいまたは必要なこともある。クローン化法を用いる核酸配列の改変のための技法は、当該技術分野においてよく知られている。
好ましい実施形態では、本発明の第1の態様に従うDNA配列を含む核酸構築物は、前記DNA配列に対してネイティブなプロモーターを含む。
もう1つの好ましい実施形態では、本発明の第1の態様に従うDNA配列を含む核酸構築物は、前記DNA配列に対して外来性のプロモーターを含む。この実施形態では、相同性amdS遺伝子のネイティブプロモーターは、異なるプロモーターによって置換されている。本明細書では外来性プロモーターと称されるこの置換プロモーターは、ネイティブamdSプロモーターよりも強力で有り得るか、あるいは異なる方法で調節され得る。いずれにしても、ネイティブamdSプロモーターの置換は、例えば、唯一のN−源またはC−源としてのアセトアミドまたは関連のアミド化合物において成長される際に形質転換体の成長の利点を非形質転換体よりも増大させることによって、形質転換体の選択を容易にすることが意図される。好ましくは、外来性プロモーターは、これらが使用される宿主と相同性でもある。適切な外来性プロモーターは、ホスホグリセレートキナーゼ、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸キナーゼ、ピルベートキナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子からのプロモーターなど、アルコール代謝に関与する解糖酵素をコードする遺伝子に由来することができる。使用することができる好ましい誘導性プロモーターの例は、デンプン−、銅−、オレイン酸−誘導性プロモーターである。
本発明のさらにもう1つの実施形態では、これまでの段落の核酸構築物は、発現すべき対象の遺伝子をさらに含む。対象の遺伝子は、別個の制御配列に操作可能に結合されてもよいし、あるいは本発明のアセトアミダーゼ遺伝子に操作可能に結合される配列の制御下にあってもよい。
好ましくは、核酸構築物は、宿主細胞への導入を可能にするために適切なベクター内に含まれるであろう。ベクターは、組換えDNA手順を都合よく受けることができ、ポリペプチドをコードする核酸配列の発現をもたらすことができるどのベクター(例えば、プラスミドまたはウィルス)でもよい。ベクターの選択は、通常は、ベクターと、ベクターが導入される真菌宿主細胞との適合性に依存し得る。ベクターは、直線状または閉環状プラスミドでよい。ベクターは、自己複製ベクター、すなわち染色体外の実体として存在し、その複製が染色体の複製とは無関係であるベクター、例えばプラスミド、染色体外要素、ミニ染色体、または人工染色体でもよい。真菌宿主細胞のために適切な自律的に維持されるクローニングベクターは、AMA1−配列を含むことができる(例えば、アレクセンコ(Aleksenko)およびクラターバック(Clutterbuck)(1997年)、Fungal Genet.Biol.21:373−397頁を参照)。
あるいは、ベクターは、真菌宿主細胞内に導入されたときにゲノムに組み込まれ、それが組み込まれた染色体と一緒に複製されるものでよい。組込みクローニングベクターは、真菌宿主細胞の染色体内のランダムまたは所定の標的位置に組み込むことができる。組込みクローニングベクターは、クローニングベクターのこの所定位置への組込みを目標とするために真菌宿主細胞のゲノム内の所定の標的位置のDNA配列に対して相同性のDNA断片を含むことができる。標的とされる組込みを促進するために、クローニングベクターは、好ましくは、宿主細胞の形質転換の前に直線化される。直線化は、好ましくは、クローニングベクターの少なくとも一方、しかし好ましくは両方の端部が標的位置に相同性の配列によって隣接されるように実行される。標的位置に隣接する相同性配列の長さは、好ましくは少なくとも30bp、好ましくは少なくとも50bp、好ましくは少なくとも0.1kb、さらに好ましくは少なくとも0.2kb、より好ましくは少なくとも0.5kb、さらにより好ましくは少なくとも1kb、最も好ましくは少なくとも2kbである。好ましくは、標的位置に相同性であるクローニングベクター内のDNA配列は高発現位置に由来し、これは、真菌宿主細胞において高発現レベルであり得る遺伝子に由来することを意味する。高発現レベルであり得る遺伝子、すなわち高発現遺伝子は、本明細書では、例えば誘発条件下でそのmRNAが全細胞mRNAの少なくとも0.5%(w/w)を構成できる遺伝子、もしくはその遺伝子産物が全細胞タンパク質の少なくとも1%(w/w)を構成できるか、または分泌遺伝子産物の場合には、少なくとも0.1g/lのレベルまで分泌され得る遺伝子であると定義される(EP357127B1号明細書に記載)。真菌宿主細胞の多数の好ましい高発現遺伝子は、例として:アミラーゼ、グルコアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、キシラナーゼ、グリセルアルデヒド−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、またはアスペルギルスまたはトリコデルマからのセロビオヒドロラーゼ(cbh)遺伝子によって与えられる。これらの目的のために最も好ましい高発現遺伝子は、グルコアミラーゼ遺伝子、好ましくはA.ニガーグルコアミラーゼ遺伝子、A.オリゼーTAKA−アミラーゼ遺伝子、A.ニデュランスgpdA遺伝子、トリコデルマ・リーゼイcbh遺伝子、好ましくはcbh1である。
ベクター系は単一のベクターまたはプラスミド、もしくは2つ以上のベクターまたはプラスミドでよく、糸状菌細胞のゲノムに導入すべき全DNA、またはトランスポゾンを一緒に含有する。
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様のDNA配列によってコードされるアセトアミダーゼ活性を有するポリペプチドに関する。
好ましい実施形態では、前記ポリペプチドは、配列番号3、配列番号8、配列番号13、配列番号16、または配列番号19の配列のいずれか1つを含む。
第4の態様では、本発明は、本発明の第2の態様に従う核酸構築物を含む真菌宿主細胞に関する。
好ましい実施形態では、前記宿主細胞は、発現すべき対象の遺伝子をさらに含む。
発現すべき対象の遺伝子は、ポリペプチドをコードすることができる。ポリペプチドは、真菌宿主細胞に対してネイティブであっても非相同性であっても、どんなポリペプチドでもよい。「非相同性ポリペプチド」という用語は、本明細書では、野生型真菌宿主細胞により産生されないポリペプチドであると定義される。「ポリペプチド」という用語は、本明細書では、コード化産物(encoded produce)の特異的な長さを指すことは意味せず、従って、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質を包含する。またポリペプチドは、ポリペプチドの産生に関与する、核酸配列に対して外来性の1つまたは複数の制御配列を含む核酸配列によってコードされる細胞に対してネイティブなポリペプチドである組換えポリペプチドでもよい。ポリペプチドは、野生型ポリペプチドまたはその変異体でもよい。またポリペプチドは、少なくとも2つの異なるポリペプチドから得られる部分または完全ポリペプチド配列の組み合わせを含有するハイブリッドポリペプチドでもよく、ここで1つまたは複数のポリペプチドは細胞に対して非相同性でもよい。ポリペプチドは、上記のポリペプチドの天然に存在する対立遺伝子変異および操作された変異をさらに含む。
好ましくは、ポリペプチドは、抗体またはその一部、抗原、凝固因子、酵素、ホルモンまたはホルモン変異体、レセプターまたはその一部、調節タンパク質、構造タンパク質、レポーター、または輸送タンパク質、細胞内タンパク質、分泌プロセスに関与するタンパク質、折り畳みプロセスに関与するタンパク質、シャペロン、ペプチドアミノ酸トランスポーター、グリコシル化因子、転写因子である。好ましくは、ポリペプチドは、細胞外で分泌される。
あるいは、ポリペプチドは、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、デキストラナーゼ、エステラーゼである。
あるいは、ポリペプチドは、カルボヒドラーゼ、例えばセルラーゼ(エンドグルカナーゼ、β−グルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼまたはβ−グルコシダーゼなど)、ヘミセルラーゼ、またはペクチン分解酵素(キシラナーゼ、キシロシダーゼ、マンナナーゼ、ガラクタナーゼ、ガラクトシダーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、エンドポリガラクツロナーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ ラムノガラクツロナーゼ、アラバナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、アラビノキシランヒドロラーゼ、ガラクツロナーゼ、リアーゼ、またはデンプン分解酵素(amylolytic enzyme)など);ヒドロラーゼ、イソメラーゼ、またはリガーゼ、ホスファターゼ(フィターゼなど)、エステラーゼ(リパーゼなど)、タンパク質分解酵素、オキシドレダクターゼ(オキシダーゼなど)、トランスフェラーゼ、もしくイソメラーゼである。より好ましくは、所望される遺伝子は、フィターゼをコードする。さらにより好ましくは、ポリペプチドは、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシぺプチダーゼ、エンド−プロテアーゼ、メタロ−プロテアーゼ、セリン−プロテアーゼ カタラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファ−ガラクトシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ−グルコシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、ホスホリパーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、またはグルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、モノオキシゲナーゼである。
あるいは、ポリペプチドは、ヒトインスリンまたはその類似体、ヒト成長ホルモン、エリスロポエチン、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)またはインスリノトロピンである。
非相同性ポリペプチドをコードする核酸配列は、原核生物、真核生物、または他の源から得ることができる。本発明の目的のために、本明細書において所与の源と関連して使用される「から得られる」という用語は、ポリペプチドが、その源によって、あるいはその源からの遺伝子が挿入された細胞によって産生されることを意味するものとする。
あるいは、ポリペプチドは、例えば、シャペロン、プロテアーゼまたは転写因子などの細胞内タンパク質または酵素でもよい。このことの例は、Appl Microbiol Biotechnol.1998年10月、50(4):447−54頁(「黒コウジカビ属において相同性および非相同性タンパク質の分泌における主要な小胞体シャペロンタンパク質をコードする遺伝子bipAの役割の分析(Analysis of the role of the gene bipA,encoding the major endoplasmic reticulum chaperone protein in the secretion of homologous and heterologous proteins in black Aspergilli)」パント(Punt)PJ、バン・ゲメレン(van Gemeren)IA、ドリント−クイベンホーベン(Drint−Kuijvenhoven)J、ヘッシング(Hessing)JG、バン・ムイルウィク−ハーテベルド(van Muijlwijk−Harteveld)GM、ベイエルスベルゲン(Beijersbergen)A、ベリップス(Verrips)CT、バン・デン・ホンデル(van den Hondel)CA)において記載されている。シャペロン、プロテアーゼまたは転写因子などのこのポリペプチドが、タンパク質産生における制限因子であることがわかっていれば、これは、例えばタンパク質産生株(protein producer)としての宿主細胞の効率を改善するために使用することができる。
また本発明の方法では、真菌宿主細胞は、細胞に対してネイティブであるポリペプチドの組換え産生のために使用することもできる。例えば、異なるプロモーターの制御下でポリペプチドをコードする遺伝子を配置してポリペプチドの発現を強化し、シグナル配列の使用により対象のネイティブポリペプチドの細胞の外側への輸送を促進し、そして細胞によって正常に産生されるポリペプチドをコードする遺伝子のコピー数を増大することによって、ネイティブポリペプチドは組換え産生され得る。また本発明は、細胞に対してネイティブなポリペプチドのこのような組換え産生も、このような発現が、細胞に対してネイティブでない遺伝因子の使用、または糸状菌細胞において通常は発生しない形で機能するように操作されたネイティブ因子の使用を含む限りは、「非相同性ポリペプチド」という用語の範囲内に包含する。非相同性ポリペプチドをコードする核酸配列を単離またはクローン化するために使用される技法は当該技術分野において知られており、ゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、またはこれらの組み合わせを含む。
また本発明の方法では、非相同性ポリペプチドは、ポリペプチドまたはその断片のN−末端またはC−末端に別のポリペプチドが融合した融合またはハイブリッドポリペプチドを含むこともできる。融合ポリペプチドは、1つのポリペプチドをコードする核酸配列(またはその一部)を、別のポリペプチドをコードする核酸配列(またはその一部)に融合することによって産生される。
融合ポリペプチドを産生するための技法は当該技術分野において知られており、フレーム内にあって、融合ポリペプチドの発現が同じプロモーターおよびターミネーターの制御下にあるようにポリペプチドをコードするコード配列を連結することを含む。ハイブリッドポリペプチドは、1つまたは複数が突然変異真菌細胞に対して非相同性であってもよい少なくとも2つの異なるポリペプチドから得られる部分または完全ポリペプチド配列の組み合わせを含むことができる。対象の非相同性ポリペプチドをコードする単離した核酸配列は様々な方法で操作されて、ポリペプチドの発現を提供することができる。発現は、転写、転写後改変、翻訳、翻訳後改変、および分泌を含むがこれらに限定されない、ポリペプチドの産生に関与するいずれかのステップを含むことが理解されるであろう。ベクターへの挿入の前に、発現ベクターによってはポリペプチドをコードする核酸配列の操作が望ましいまたは必要なこともある。クローン化法を用いる核酸配列の改変のための技法は、当該技術分野においてよく知られている。
もう1つの好ましい実施形態では、真菌宿主細胞の内在性アセトアミダーゼ活性は、特異的またはランダムな変異誘発、部位特異的変異誘発、PCRで生じる変異誘発、ヌクレオチド挿入および/または欠失および/または置換、遺伝子中断または遺伝子置換技法、アンチセンス技法、RNAi技法、もしくはこれらの組み合わせによる内在性アセトアミダーゼ遺伝子の改変および/または不活性化によって減少される。方法には、親細胞に変異誘発を受けさせ、親細胞との比較により活性が減少したアセトアミダーゼを産生可能な突然変異細胞を選択することが含まれるが、これに限定されない。特異的またはランダムであり得る変異誘発は、例えば、適切な物理的または化学的変異誘発剤の使用により、適切なオリゴヌクレオチドの使用により、あるいはPCRで生じる変異誘発をDNA配列に受けさせることによって実行され得る。さらに、変異誘発は、これらの変異誘発剤の任意の組み合わせの使用によって実行され得る。
本発明の目的に適した物理的または化学的変異誘発剤の例としては、紫外線(W)照射、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)、o−メチルヒドロキシルアミン、亜硝酸、エチルメタンスルホネート(EMS)、重亜硫酸ナトリウム、ギ酸、およびヌクレオチド類似体が挙げられる。
このような薬剤が使用される場合、変異誘発は、通常、適切な条件下で一般に好まれる変異誘発剤の存在下で、変異誘発すべき親細胞をインキュベートし、遺伝子の発現の減少を示す突然変異細胞を選択することによって実行される。
あるいは、遺伝子の改変または不活性化は、遺伝子の核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を用いる確立したアンチセンス技法によって実行されてもよい。さらに具体的には、真菌細胞による遺伝子の発現は、細胞内に転写されて細胞内で産生されるmRNAとハイブリッド形成することができる、核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を導入することによって減少または排除される。従って、相補的なアンチセンスヌクレオチド配列がmRNAとハイブリッド形成できるようにする条件下で、翻訳されるタンパク質の量は減少または排除される。アンチセンスRNAの発現の一例は、Appl Environ Microbiol.2000年2月、66(2):775−82頁(アスペルギルス・ニガーのタンパク質分泌経路におけるフォルダーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼAのキャラクタリゼーション(Characterization of a foldase, protein disulfide isomerase A, in the protein secretory pathway of Aspergillus niger)、ニャン(Ngiam)C、ジーネス(Jeenes)DJ、パント(Punt)PJ、バン・デン・ホンデル(Van Den Hondel)CA、アーチャー(Archer)DB)または(ズレナー(Zrenner)R、ウィルミッツァー(Willmitzer)L、ゾンネワルド(Sonnewald)U.、ポテトウリジン二リン酸−グルコースピロホスホリラーゼの発現およびアンチセンスRNAによるその阻害の分析(Analysis of the expression of potato uridinediphosphate− glucose pyrophosphorylase and its inhibition by antisense RNA)、プランタ(Planta)(1993年)、190(2):247−52頁)に示される。
さらに、遺伝子の改変、下方制御または不活性化は、RNA干渉(RNAi)技法により得ることができる(FEMS Microb.Lett.237(2004年):317−324頁)。この方法では、その発現が影響を受けるヌクレオチド配列の同一センスおよびアンチセンス部分は、その間のヌクレオチドスペーサーで互いに隠れてクローン化され、発現ベクター内に挿入される。このような分子が転写された後、小さい(21−23)ヌクレオチド断片の形成が、影響を受けるmRNAの標的分解をもたらすであろう。特異的なmRNAの排除は、様々な程度であり得る。国際公開第2005/05672A1号パンフレットおよび/または国際公開第2005/026356A1号パンフレットに記載されるRNA干渉技法は、遺伝子の下方制御、改変または不活性化のために使用することができる。
あるいは、本発明のもう1つの好ましい実施形態によると、新規のamdS遺伝子の配列は、新規のamdS遺伝子が由来する生物体のゲノムにおけるamdS遺伝子の内在性コピーを不活性化するために使用される。この点では、不活性化ベクターは、新規のamdS遺伝子の配列を用いて構築されて、ベクターを相同性組換えによる遺伝子の内在性コピーに向けることができる。次に、内在性amdS遺伝子の置換、または内在性amdS遺伝子への挿入のいずれかによって、不活性化を引き起こすことができる。内在性amdS遺伝子の不活性化は、対象の遺伝子の導入のために選択可能なマーカーとしてamdS遺伝子を用いる形質転換において非形質転換細胞のバックグラウンドを低減するという利点を提供する。あるいは、内在性amdSの位置は、発現すべき対象の遺伝子の組込みの確定した部位としての機能を果たすことができる。
もう1つの好ましい実施形態では、本発明の第2の態様の核酸構築物で形質転換され、発現すべき対象の遺伝子を任意で含み、および/または内在性アセトアミダーゼ活性が減少された真菌宿主細胞において、本発明の第2の態様の核酸構築物は、組換えDNA構築物の遺伝子置換および/または不活性化および/または改変および/または破壊、もしくはこれらの組み合わせによって、欠失されるかあるいは不活性にされる。この実施形態では、EP−A1−0635574号明細書に概説されるようにMARKER GENE FREETM組換え菌株を得るために、真菌宿主細胞の形質転換の後、続いて形質転換体のキュアリングが行われる。あるいは、キュアリングは、内在性アセトアミダーゼ遺伝子の発現を低減するために既に記載されている方法を用いて実行することもできる。
任意で、宿主細胞は野生型細胞と比較して上昇された非折り畳みタンパク質応答(UPR)を含み、対象のポリペプチドの産生能力を高める。UPRは、米国特許出願公開第2004/0186070A1号明細書および/または米国特許出願公開第2001/0034045A1号明細書および/または国際公開第01/72783A2号パンフレットに記載される技法によって増大され得る。より具体的には、HAC1および/またはIRE1および/またはPTC2のタンパク質レベルは、上昇したUPRを有する宿主細胞を得るために調節されている。
あるいは、もしくは上昇したUPRと組み合わせて、宿主細胞は、対象のポリペプチドの産生能力を高めるために、遺伝子改変されて、野生型細胞と比較して低いプロテアーゼ発現および/またはプロテアーゼ分泌を示す表現型を得る。このような表現型は、プロテアーゼの発現の転写制御因子の欠失および/または改変および/または不活性化によって得ることができる。このような転写制御因子は、例えば、prtTである。prtTの調節によるプロテアーゼの発現の低減は、米国特許出願公開第2004/0191864A1号明細書に記載される技法によって実行され得る。
あるいは、もしくはより低いプロテアーゼ発現および/またはプロテアーゼ分泌を示す上昇したUPRおよび/または表現型と組み合わせて、対象のポリペプチドの産生の収率を高めるために、宿主細胞はオキサレート欠乏性の表現型を示す。オキサレート欠乏性表現型は、国際公開第2004/070022A2号パンフレットに記載される技法によって得ることができる。
あるいは、もしくはより低いプロテアーゼ発現および/またはプロテアーゼ分泌および/またはオキサレート欠乏性を示す上昇したUPRおよび/または表現型と組み合わせて、宿主細胞は、対象のポリペプチドの産生の収率を高めるために、野生型細胞と比較して表現型の相違の組み合わせを示す。これらの相違は、グルコアミラーゼおよび/または中性アルファアミラーゼAおよび/または中性アルファアミラーゼB、プロテアーゼ、およびシュウ酸ヒドロラーゼのより低い発現を含み得るが、これらに限定されない。宿主細胞によって示される前記表現型の相違は、米国特許出願公開第2004/0191864A1号明細書に記載される技法に従う遺伝子改変によって得ることができる。
より好ましい実施形態では、真菌宿主細胞は糸状菌細胞であり、好ましくはアスペルギルス属、ペニシリウム属またはトリコデルマ属の種に属する。より好ましくは、糸状菌宿主細胞は、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ソーヤ、トリコデルマ・リーゼイまたはペニシリウム・クリゾゲナムの群に属する。
第5の態様では、本発明は、第4の態様の真菌宿主細胞における対象の化合物の産生のための方法に関する。第4の態様の宿主細胞は、当該技術分野において既知の方法を用いて、アセトアミダーゼおよび対象の化合物の両方の発現をもたらす条件下で培養される。例えば、細胞は、適切な培地で、対象の化合物が発現および/または単離されるようにする条件下で実行される実験室用または工業用発酵槽における振とうフラスコ培養、小規模または大規模培養(連続、バッチ、フェドバッチ(fed−batch)、または固相培養を含む)によって培養され得る。培養は、当該技術分野において既知の手順を用いて、炭素および窒素源ならびに無機塩を含む適切な栄養培地で行われる。(例えば、ベネット(Bennett)J.W.およびラスア(LaSure)L編、真菌におけるより多くの遺伝子操作(More Gene Manipulations in Fungi)、アカデミック・プレス(Academic Press)、CA、1991年を参照)。適切な培地は商業的な供給業者から入手可能であるか、あるいは公表された組成物(例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)のカタログにおいて)を用いて調製され得る。任意で、対象の化合物は、当該技術分野において既知の方法によって培養物から回収される。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合には、培地から直接ポリペプチドを回収することができる。ポリペプチドが分泌されない場合には、細胞ライセートから回収される。
結果として得られる対象の化合物は、当該技術分野で既知の方法によって単離され得る。例えば、対象の化合物は、遠心分離、ろ過、抽出、スプレー乾燥、蒸発、または沈澱を含むがこれらに限定されない従来の手順によって、栄養培地から単離され得る。次に、対象の単離化合物は、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング、およびサイズ排除)、電気泳動手順(例えば、予備等電点電気泳動(preparative isoelectric focusing)、溶解度差異(例えば、硫酸アンモニウム沈澱)、または抽出(例えば、タンパク質の精製、J.−C.ジャンソン(Janson)およびラーズ・ライデン(Lars Ryden)編、VCH出版、ニューヨーク、1989年を参照)を含むがこれらに限定されない当該技術分野において既知の様々な手順によって、さらに精製されてもよい。
好ましい実施形態において、第4の態様の宿主細胞は、アセトアミドを唯一の炭素および/または窒素源として含む培地において培養され、前記培養が本発明に従う細胞の割合の増大をもたらす方法で培養される。
もう1つの好ましい実施形態において、非形質転換体のバックグラウンドは、唯一の窒素および/または炭素源としてアセトアミドを含む培地にCsClを添加することによって低減される。
本発明はさらに、唯一の炭素および/または窒素源としてアセトアミドを含有する培地においてよく成長する能力を有する本発明に従う真菌細胞、好ましくは糸状菌細胞を開示し、前記能力は、非相同性アセトアミダーゼ遺伝子の発現では引き起こされず、逆に相同性アセトアミダーゼ遺伝子の発現、好ましくは過剰発現によって引き起こされる。唯一の炭素および/または窒素源としてアセトアミドを含有する培地において細胞がよく成長する能力は、本明細書では、対応する野生型細胞よりも速く成長する能力と定義され、ここで野生型は、そのアセトアミダーゼ遺伝子型に関する野生型を意味すると理解される。
本発明は、本発明の範囲を限定すると解釈されてはならない以下の実施例によってさらに説明される。
一般的な分子クローニング技法
本明細書に記載される実施例では、文献(サムブルック(Sambrook)ら(1989年)「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: a laboratory manual)」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリーズ(Cold Spring Harbour Laboratories)、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク、イニス(Innis)ら(編)(1990年)「PCRプロトコル、方法および用途の手引き(PCR protocols, a guide to methods and applications)」、アカデミック・プレス(Academic Press)、サンディエゴ)に記載されるように、核酸の単離および精製、核酸の電気泳動、核酸の酵素改変、切断および/または増幅、大腸菌(E.coli)の形質転換などの標準的な分子クローニング技法を実行した。使用したアスペルギルス・ニガー菌株(CBS513.88)は、寄託番号CBS513.88で既にCBS研究機関に寄託された。
実施例1 新規のA.ニガーamdS遺伝子の同定
当業者によく知られているDNA配列相同性検索により完全にアノテーションされた真菌のゲノム配列を注意深く検査することによって、A.ニガーからの新規の推定アセトアミダーゼ遺伝子を同定した。アセトアミダーゼ遺伝子相同体AMD2は、それぞれゲノム、cDNAおよびタンパク質配列である配列番号1、配列番号2および配列番号3と示される。アセトアミダーゼ遺伝子相同体AAE1は、それぞれゲノム、cDNAおよびタンパク質配列である配列番号6、配列番号7および配列番号8と示される。アセトアミダーゼ遺伝子相同体AAE2は、それぞれゲノム、cDNAおよびタンパク質配列である配列番号11、配列番号12および配列番号13と示される。アセトアミダーゼ遺伝子相同体AAE3は、それぞれゲノム、cDNAおよびタンパク質配列である配列番号14、配列番号15および配列番号16と示される。アセトアミダーゼ遺伝子相同体AAE4は、それぞれゲノム、cDNAおよびタンパク質配列である配列番号17、配列番号18および配列番号19と示される。
実施例2 新規のA.ニガーamdS遺伝子の分子クローニング
配列番号4および配列番号5を用いるPCR反応においてテンプレートとしてCBS513.88からのゲノムDNAを使用して、AMD−2遺伝子を増幅した。得られたPCR断片(配列番号20)を製造業者の使用説明書に従って制限酵素PaclおよびAsclで消化し、図1に示されるように、Pacl、Ascl直線化A.ニガー発現ベクターに連結した。この結果、推定A.ニガーアセトアミダーゼをコードするAMD2遺伝子がglaAプロモーターの制御下で配置された構築物が得られた(図2)。
さらに、配列番号9および配列番号10を用いるPCR反応においてテンプレートとしてCBS513.88からのゲノムDNAを使用して、AAE1遺伝子を増幅した。得られたPCR断片(配列番号21)を製造業者の使用説明書に従って制限酵素PaclおよびAsclで消化し、図1に示されるように、Pacl、Ascl直線化A.ニガー発現ベクターに連結した。この結果、推定A.ニガーアセトアミダーゼをコードするAAE1遺伝子がglaAプロモーターの制御下で配置された構築物が得られた(図3)。
推定の新規のA.ニガーアセトアミダーゼをコードする得られた発現構築物(図2および3)を用いて、A.ニガー宿主CBS513.88を形質転換した。PCRによって、アセトアミダーゼ構築物の存在について形質転換体を分析した。選択したクローンを実施例3においてさらに分析した。
実施例3:A.ニガーCBS513.88の形質転換における選択マーカー遺伝子としての新規のA.ニガーamdS遺伝子の使用
アセトアミダーゼの推定のA.ニガー相同体をコードする遺伝子が、A.ニガーの形質転換において選択マーカー遺伝子として使用され得るかどうかを決定するために、AMD2およびAAE1発現構築物(図2および3)を用いて、A.ニガーCBS513.88を形質転換した。プラスミド骨格はフレオマイシン耐性を与えるBLE−遺伝子を含有するので、初めに50μg/mlのフレオマイシンを含有する寒天培地において形質転換体を成長させて、インタクトな発現構築物を含有する形質転換体を選択した(図1、2および3)。続いて、唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する寒天培地に、フレオマイシン耐性の形質転換体を移した。AMD2またはAAE1発現構築物を含有する(PCR分析により例証される)フレオマイシン耐性の形質転換体だけが、唯一の窒素源としてアセトアミドを含有する培地において成長することができ、A.ニガーの形質転換における新規のアセトアミダーゼマーカー遺伝子としてAMD2およびAAE1が実際に使用可能であることが示された。
本明細書において記載されて権利請求の対象とする本発明は、本明細書内に含まれる特定の実施形態によって範囲が限定されてはならない。何故なら、これらの実施形態は、本明細書のいくつかの態様の説明を目的とするからである。等価の実施形態はどれも本発明の範囲内にあることが意図される。実際、本明細書中に図示および記載されるものに加えて、本発明の様々な変更は、上記の説明から当業者には明らかになるであろう。このような変更も特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。抵触する場合には、定義を含む本発明の開示が優先され得る。
A.ニガー発現ベクターpGBFIN−32を描く。 新規のアセトアミダーゼ(acetamidse)コード遺伝子AMD2の発現のためのA.ニガー発現ベクターpGBFINAMD−2を描く。 新規のアセトアミダーゼコード遺伝子AAE1の発現のためのA.ニガー発現ベクターpGBFINAAE−1を描く。

Claims (16)

  1. アスペルギルス、好ましくはアスペルギルス・ニガーに由来することができ、アセトアミダーゼをコードするDNA配列であって、
    前記DNA配列が、EP0758020A2号明細書に記載される配列番号18ではないが、
    c.配列番号1、配列番号6、配列番号11、配列番号14、または配列番号17のヌクレオチド配列を有するDNA配列と、
    d.(a)のDNA配列のいずれか1つの断片または突然変異体と、
    からなる群から選択されるDNA配列。
  2. 前記アセトアミダーゼがアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸と、配列番号3、配列番号8、配列番号13、配列番号16、または配列番号19の配列のうちの1つとの位置同一性が40%よりも大きい請求項1に記載のアセトアミダーゼをコードするDNA配列。
  3. 請求項1または2に記載のDNA配列を含む核酸構築物。
  4. 請求項1または2に記載のDNA配列に対してネイティブであるプロモーターを含む請求項3に記載の核酸構築物。
  5. 請求項1または2に記載のDNA配列に対して外来性であるプロモーターを含む請求項3に記載の核酸構築物。
  6. 発現すべき対象の遺伝子をさらに含む請求項3〜5のいずれか一項に記載の核酸構築物。
  7. 請求項1または2に記載のDNA配列によってコードされるポリペプチド。
  8. 配列番号3、配列番号8、配列番号13、配列番号16、または配列番号19の配列のいずれか1つを含む請求項7に記載のポリペプチド。
  9. 請求項3〜6のいずれか一項に記載の核酸構築物を含む真菌宿主細胞。
  10. 請求項3〜6のいずれか一項に記載の核酸構築物を含み、発現すべき対象の遺伝子をさらに含む真菌宿主細胞。
  11. 内在性アセトアミダーゼ活性が、特異的またはランダムな変異誘発、部位特異的変異誘発、PCRで生じる変異誘発、ヌクレオチド挿入および/または欠失および/または置換、遺伝子中断または遺伝子置換技法、アンチセンス技法、RNAi技法、もしくはこれらの組み合わせによる内在性アセトアミダーゼ遺伝子の改変および/または不活性化によって減少される請求項9または10に記載の真菌宿主細胞。
  12. 請求項1または2に記載のDNA配列、もしくは請求項3〜6のいずれか一項に記載の核酸構築物が、組換えDNA構築物の遺伝子置換および/または不活性化および/または改変および/または破壊、もしくはこれらの組み合わせによって、欠失されるかあるいは不活性にされる請求項9〜11のいずれか一項に記載の真菌宿主細胞。
  13. 前記真菌細胞が、糸状菌細胞、好ましくはアスペルギルス属、ペニシリウム属またはトリコデルマ属の種に属する細胞である請求項9〜12のいずれか一項に記載の真菌宿主細胞。
  14. 前記糸状菌細胞が、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ソーヤ、トリコデルマ・リーゼイまたはペニシリウム・クリゾゲナムに属する請求項9〜13のいずれか一項に記載の真菌宿主細胞。
  15. 真菌宿主において対象の化合物を産生するための方法であって、
    a.アセトアミダーゼおよび対象の化合物の両方の発現をもたらす条件下で、請求項9〜14のいずれか一項に記載の真菌宿主細胞を培養するステップと、任意で、
    b.対象の化合物を回収するステップと、
    を含む方法。
  16. 培地が唯一の炭素および/または窒素源としてアセトアミドを含有する請求項15に記載の方法。
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