JP2017532055A - 糸状真菌二重突然変異宿主細胞 - Google Patents

糸状真菌二重突然変異宿主細胞 Download PDF

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裕晃 宇田川
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Abstract

本発明は、α−グルカン合成に関与する2つ以上のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが不活性化された、目的のポリペプチドを産生する突然変異糸状真菌宿主細胞;前記突然変異体におけるポリペプチドの生成方法並びにそのような突然変異体の構築方法に関する。

Description

配列表の参照
本出願は、コンピュータ読み取り可能な形態の配列表を含んでおり、これは本明細書において参照により援用される。
リポータタンパク質の発現を駆動する細胞壁ストレス誘導プロモータによる、糸状真菌における抗真菌化合物の同定のためのリポータ系が開示されており;このような誘導プロモータの1つが、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAプロモータであり;変性プライマーを用いた完全長agsA遺伝子ならびに他の真菌からのags相同体の単離が記載されている(国際公開第03/020922号パンフレット)。また、A.ニガー(A.niger)agsAにおけるagsAの不活性化も記載されている(Damveld R.et al.2004.Expression of agsA,one of five 1,3−alpha−D−glucan synthase−encoding genes in Aspergillus niger,is induced in response to cell wall stress.Fungal Genetics and Biology 42(2005)165−177)。
また、5つの1,3−α−D−グルカンシンターゼコード遺伝子のもう1つのagsEが欠失したアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)突然変異体も開示されている;このような突然変異体において、グルコースオキシダーゼ、ホスホリパーゼA2およびリパーゼ発現が改善されることが報告されている(国際公開第2014/013074号パンフレット)。
本発明は、α−グルカン合成に関与する2つ以上のポリペプチドが不活性化された糸状真菌発現宿主に関する。
本発明者らは、対象の酵素の生産性を高めることに関心を有し、文献に報告されていることとは反対に、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のAgsAまたはAgsEを不活性化した単一突然変異体が、彼らが試験したプロテアーゼの低い発現をもたらすことを見出した(以下に示す)。しかし、本発明者らが驚いたことに、二重突然変異体は、有意に高いプロテアーゼ発現をもたらした(以下に示す)。
従って、第1の態様では、本発明は、対象のポリペプチドを産生する突然変異糸状真菌宿主細胞に関し、ここで、α−グルカン合成に関与する2つ以上のポリペプチドをコードする2つ以上のポリヌクレオチドが不活性化され、前記2つ以上のポリペプチドは、以下のものからなる群から選択される:
(a)配列番号3のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsAポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド、および配列番号6のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsEポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;
(b)(i)配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列と少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリペプチド、および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;または
(ii)(i)配列番号2および配列番号5にそれぞれ示すcDNAヌクレオチド配列;ならびに
(c)中度の緊縮条件下で、以下:
(I)それぞれ、配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と;
(II)(I)配列番号2および配列番号5にそれぞれ示すcDNAヌクレオチド配列と、または
(III)(I)もしくは(II)の完全長補体と
ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与する2つのポリペプチド。
第2の態様では、本発明は、突然変異糸状真菌宿主細胞において対象のポリペプチドを生成する方法に関し、前記方法は、以下:
(a)対象のポリペプチドの産生を促す条件下で、本発明の第1の態様で定義した通りの突然変異糸状真菌宿主細胞を培養するステップ;および、任意選択で、
(b)対象のポリペプチドを回収するステップ
を含む。
第3の態様では、本発明は、突然変異した糸状真菌宿主細胞を構築する方法に関し、前記方法は、糸状真菌宿主細胞において2つ以上のポリペプチドをそれぞれコードする2つ以上のポリヌクレオチドを不活性化するステップを含み、上記2つ以上のポリペプチドは、以下のものからなる群から選択される:
(a)配列番号3のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsAポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド、および配列番号6のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsEポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;
(b)(i)配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列と少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリペプチド、および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;または
(ii)(i)配列番号2および配列番号5にそれぞれ示すcDNAヌクレオチド配列;ならびに
(c)中度の緊縮条件下で、以下:
(I)それぞれ、配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と;
(II)(I)配列番号2および配列番号5にそれぞれ示すcDNAヌクレオチド配列と、または
(III)(I)もしくは(II)の完全長補体と
ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与する2つのポリペプチド。
以下の実施例で使用される株の構築戦略の図を示す。 プラスミドpHUda1685の概略マップを示す。 プラスミドpHUda1701の概略マップを示す。 プラスミドpHUda1657の概略マップを示す。 プラスミドpHUda1694の概略マップを示す。
定義
cDNA:「cDNA」という用語は、真核細胞または原核細胞から得られる成熟したスプライシングされたmRNA分子からの逆転写により調製されることが可能であるDNA分子を意味する。cDNAは、対応するゲノムDNA中に存在し得るイントロン配列を欠いている。初期の一次RNA転写物は、成熟型のスプライシングされたmRNAとして出現する前にスプライシングを含む一連のステップを介して処理されるmRNAの前駆体である。
コード配列:「コード配列」という用語は、ポリペプチドのアミノ酸配列を直接規定するポリヌクレオチドを意味する。コード配列の境界は、一般に、オープンリーディングフレームによって決定されるが、これは、ATG、GTG、またはTTGなどの開始コドンで開始し、TAA、TAG、またはTGAなどの終止コドンで終了する。コード配列は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、またはこれらの組合せのいずれであってもよい。
核酸構築物:「核酸構築物」という用語は、一本鎖または二本鎖いずれかの核酸分子を意味し、これは、天然の遺伝子から単離されるか、もしくは、そうでなければ自然に存在しないであろう様式で核酸のセグメントを含有するよう修飾されるか、または、合成物であり、これは、1つまたは複数の制御配列を含む。
作動可能にリンクされた:「作動可能にリンクされた」という用語は、制御配列がコード配列の発現を指令するように、ポリヌクレオチドのコード配列に対して適切な位置に制御配列を配置する構造を意味する。
制御配列:「制御配列」という用語は、本発明の成熟型ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現に必要な核酸配列を意味する。各制御配列は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して在来(すなわち、同じ遺伝子に由来する)もしくは外来の(すなわち、異なる遺伝子に由来する)ものであっても、または、相互に在来もしくは外来のものであってもよい。このような制御配列としては、これらに限定されないが、リーダ、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモータ、シグナルペプチド配列、および転写ターミネータが挙げられる。少なくとも、制御配列は、プロモータ、ならびに、転写および翻訳終止シグナルを含む。制御配列は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコード領域と制御配列の連結を促進させる特定の制限部位を導入する目的で、リンカーを備えていてもよい。
発現:「発現」という用語は、限定するものではないが、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾および分泌物を含むポリペプチドの生成に関与するいずれかのステップを含む。
発現ベクター:「発現ベクター」という用語は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、また、その発現をもたらす制御配列に作動可能にリンクされている直鎖または環状DNA分子を含む。
宿主細胞:「宿主細胞」という用語は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築物または発現ベクターによる形質転換、形質移入、形質導入などに対する感受性を有するあらゆる細胞型を意味する。「宿主細胞」という用語は、複製の最中に生じる突然変異による親細胞と同じではない親細胞のあらゆる子孫を包含する。
単離された:「単離された」という用語は、自然界においては生じない形態または環境にある物質を意味する。単離された物質の非限定的な例としては、(1)いずれかの非天然物質、(2)限定するものではないが、自然界において関連している天然構成成分の1種または複数種もしくは全てから少なくとも部分的に取り出されたいずれかの酵素、変異体、核酸、タンパク質、ペプチドもしくは補因子を含むいずれかの物質;(3)自然界において見出される物質に対して人為的に修飾されたいずれかの物質;または、(4)自然界で関連する他の成分に対して物質量の増加により修飾されたいずれかの物質(例えば、宿主細胞中の組み換え産物;物質をコードする遺伝子の複数のコピー;物質をコードする遺伝子と自然界で関連するプロモータより強力なプロモータの使用)が挙げられる。単離された物質は、発酵ブロスサンプル中に存在してもよい。
非常に高度の緊縮条件:「非常に高度の緊縮条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブに関して、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法に続く、42℃、5×SSPE、0.3%SDS、200マイクログラム/ml断片処理および修飾済みのサケ精子DNA、ならびに、50%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2%SDSを用いて、70℃で15分間ずつ3回洗浄される。
高度の緊縮条件:「高度の緊縮条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブに関して、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法に続く、42℃、5×SSPE、0.3%SDS、200マイクログラム/ml断片処理および修飾済みのサケ精子DNA、ならびに、50%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2%SDSを用いて、65℃で15分間ずつ3回洗浄される。
中度−高度の緊縮条件:「中−高度の緊縮条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブに関して、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法に続く、42℃、5×SSPE、0.3%SDS、200マイクログラム/ml断片処理および修飾済みのサケ精子DNA、ならびに、35%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2%SDSを用いて、60℃で15分間ずつ3回洗浄される。
低度の緊縮条件:「低度の緊縮条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブに関して、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法に続く、42℃、5×SSPE、0.3%SDS、200マイクログラム/ml断片処理および修飾済みのサケ精子DNA、ならびに、25%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2%SDSを用いて、50℃で15分間ずつ3回洗浄される。
中度−高度の緊縮条件:「中−高度の緊縮条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブに関して、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法に続く、42℃、5×SSPE、0.3%SDS、200マイクログラム/ml断片処理および修飾済みのサケ精子DNA、ならびに、35%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2%SDSを用いて、60℃で15分間ずつ3回洗浄される。
極めて低度の緊縮条件:「極めて低度の緊縮条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブに関して、12〜24時間の標準的なサザンブロッティング法に続く、42℃、5×SSPE、0.3%SDS、200マイクログラム/ml断片処理および修飾済みのサケ精子DNA、ならびに、25%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2%SDSを用いて、45℃で15分間ずつ3回洗浄される。
配列同一性:2つのアミノ酸配列間または2つのヌクレオチド配列間の関連性は、「配列同一性」というパラメータによって表される。
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度は、好ましくはバージョン5.0.0以降のEMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276−277)のNeedleプログラムにおいて実装されている、Needleman−Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443−453)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティおよびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(−nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のように算出される:
(同等の残基×100)/(アラインメントの長さ−アラインメント中のギャップの総数)
本発明の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性の程度は、好ましくはバージョン5.0.0以降のEMBOSSパッケージ(前述のEMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000)のNeedleプログラムにおいて実装されている、Needleman−Wunschアルゴリズム(前述のNeedleman and Wunsch,1970)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティおよびEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(−nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のように算出される:
(同等のデオキシリボヌクレオチド×100)/(アラインメントの長さ−アラインメント中のギャップの総数)
α−グルカン合成に関与する:「α−グルカン合成に関与する」という用語は、このように関与するポリヌクレオチドが、α−グルカン、特にα−D−グルカンの合成に参加する酵素をコードすることを意味する。本発明に関連して、好ましいコードされたポリペプチドは、1,3α−D−グルカンシンターゼ、最も好ましくは、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のAgsAおよびAgsEまたはそれらの対立遺伝子相同体もしくは変異体である。
上の発明の概要に既に概説したように、本発明の第1の態様は、対象のポリペプチドを産生する突然変異糸状真菌宿主細胞に関し、ここで、α−グルカン合成に関与する2つ以上のポリペプチドをコードする2つ以上のポリヌクレオチドが不活性化されており、第2の態様は、第1の態様で定義した通りの突然変異宿主細胞において対象のポリペプチドを生成する方法に関し、また、第3の態様は、突然変異糸状真菌宿主細胞を構築する方法に関する。
本発明の態様は全て、糸状真菌宿主細胞においてα−グルカン合成に関与する2つ以上のポリペプチドをコードする2つ以上のポリヌクレオチドの不活性化を必要とし、前記2つ以上のポリペプチドは、以下のものからなる群から選択される:
(a)配列番号3のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsAポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド、および配列番号6のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsEポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;好ましくは、各ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3または6に対して、少なくとも65%、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の配列同一性を有する。一態様では、ポリペプチドは、それぞれ、配列番号3または6のポリペプチドと、10以下、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10アミノ酸だけ異なる。アミノ酸変異は、副次的な性質のものであってもよく、すなわち、タンパク質の折り畳みおよび/もしくは活性に顕著に影響しない保存的アミノ酸置換もしくは挿入;小さな欠失、アミノ−端子メチオニン残基などの小さなアミノ−もしくはカルボキシル−末端伸長;小さなリンカーペプチド;あるいは、正味電荷または他の機能、例えば、ポリヒスチジン配列、抗原性エピトープもしくは結合性ドメインなどを変化させることによって精製を促進させる小さな伸長であってもよく;
(b)(i)配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリペプチド、および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;好ましくは、各ゲノムポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号1または4に対して、少なくとも65%、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の配列同一性を有する。一態様では、ポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号1または4のポリヌクレオチドと、10以下、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10ヌクレオチドだけ異なり、または
(ii)(i)配列番号2のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsA cDNAヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列同一性を有するcDNAヌクレオチド配列、および配列番号5のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsE cDNAヌクレオチド配列と少なくとも60%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;好ましくは、各cDNAポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号2または5に対して、少なくとも65%、例えば、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の配列同一性を有する。一態様では、ポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号2または5のポリヌクレオチドと、10以下、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10ヌクレオチドだけ異なり;ならびに
(c)極めて低度、低度、中度、中−高度、高度もしくは極めて高度の緊縮条件下で、以下:
(I)それぞれ、配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と;
(II)(I)配列番号2および配列番号5にそれぞれ示すcDNAヌクレオチド配列と、または
(III)(I)もしくは(II)の完全長補体と
ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与する2つのポリペプチド。(Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d edition,Cold Spring Harbor,New York)。
本発明の好ましい実施形態では、2つ以上のポリヌクレオチドは、配列番号3のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsAポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列若しくはその対立遺伝子変異体を含むか、またはそれから構成される、α−グルカン合成に関与するポリペプチド、および配列番号6のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsEポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列若しくはその対立遺伝子変異体を含むか、またはそれから構成される、α−グルカン合成に関与するポリペプチドをコードする。別の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3もしくは6の成熟型ポリペプチドを含むか、またはそれから構成される。
配列番号1または2のポリヌクレオチドもしくはそのサブ配列および配列番号3のポリペプチドもしくはその断片、ならびに配列番号4または5のポリヌクレオチドもしくはそのサブ配列、配列番号6のポリペプチドもしくはその断片は、当技術分野で公知の方法に従い、様々な属または種の株由来のα−グルカン合成に関与するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを同定し、クローン化するための核酸プローブの設計に用いられ得る。特に、このようなプローブは、標準的なサザンブロッティング法の後に、含まれる対応する遺伝子を同定および単離するために、対象の細胞のゲノムDNAもしくはcDNAとのハイブリダイゼーションに用いられることができる。このようなプローブは、配列全体よりかなり短くてよいが、少なくとも15、例えば、少なくとも25、少なくとも35、または少なくとも70ヌクレオチドと、少なくとも15ヌクレオチドの長さであるべきである。好ましくは、核酸プローブは、例えば、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも600ヌクレオチド、少なくとも700ヌクレオチド、少なくとも800ヌクレオチド、または少なくとも900ヌクレオチドといった、少なくとも100ヌクレオチドの長さである。DNAおよびRNAのいずれを用いてもよい。プローブは、典型的には、対応する遺伝子を検出するために標識化される(例えば、32P、H、35S、ビオチンまたはアビジンで)。このようなプローブは本発明によって包含される。
このような他の系統から調製したゲノムDNAまたはcDNAライブラリは、上記のプローブとハイブリダイズし、α−グルカン合成に関与するポリペプチドをコードするDNAについてスクリーニングされ得る。このような他の系統由来のゲノムまたは他のDNAは、アガロースもしくはポリアクリルアミドゲル電気泳動、または、他の分離技術によって分離され得る。これらのライブラリからのDNAまたは分離されたDNAが、ニトロセルロースもしくは他の好適なキャリア材料に移され、固定化され得る。ハイブリダイズするクローンまたはDNAを同定するために、キャリア材料がサザンブロッティングに用いられる。
本発明の目的に関して、ハイブリダイゼーションとは、極めて低度〜極めて高度の緊縮条件下で、(i)配列番号1もしくは4;(ii)配列番号1もしくは4の成熟型ポリペプチドコード配列;(iii)配列番号2もしくは5に示されるcDNA配列;(iv)その完全長相補体;または(v)そのサブ配列に対応する標識核酸プローブに、ポリヌクレオチドがハイブリダイズすることを意味する。核酸プローブがこれらの条件下でハイブリダイズする分子は、例えば、X線フィルムまたは当技術分野では公知の他のいずれかの検出手段によって検出することができる。
保存的アミノ酸置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシンおよびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシンおよびバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン)、および、小さいアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、スレオニンおよびメチオニン)の群の範囲内である。特異活性を一般に改変しないアミノ酸置換は技術分野において公知であり、例えば、H.Neurath and R.L.Hill,1979,In,The Proteins,Academic Press,New Yorkに記載されている。頻繁に生じる置換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/GluおよびAsp/Glyである。
単一もしくは複数のアミノ酸置換、欠失、および/または挿入は、Reidhaar−Olson and Sauer,1988,Science 241:53−57;Bowie and Sauer,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2152−2156;国際公開第95/17413号パンフレット;または、国際公開第95/22625号パンフレットにより開示されているものなどの公知の突然変異誘発方法、組換え法、および/または、シャッフリング法、これに続く関連するスクリーニング法を用いて行い、テストすることが可能である。用いられることが可能である他の方法としては、エラープローンPCR、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al.,1991,Biochemistry 30:10832−10837;米国特許第5,223,409号明細書;国際公開第92/06204号パンフレット)、および、領域特異的突然変異誘発(Derbyshire et al.,1986,Gene 46:145;Ner et al.,1988,DNA 7:127)が挙げられる。
突然変異誘発/シャッフリング法は、宿主細胞によって発現されたクローン化突然変異誘発ポリペプチドの活性を検出するために、高スループット自動スクリーニング法と組み合わせることが可能である(Ness et al.,1999,Nature Biotechnology 17:893−896)。活性ポリペプチドをコードする突然変異誘発DNA分子は、宿主細胞から回収可能であり、技術分野における標準的な方法を用いて直ぐに配列決定されることが可能である。これらの方法では、ポリペプチドにおける個別のアミノ酸残基の重要性を直ぐに判定することが可能である。
ポリヌクレオチド
本発明は、また、本明細書に記載される通り、α−グルカン合成に関与するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの不活性化に関する。
ポリヌクレオチドの単離またはクローン化に用いられる技術は技術分野において公知であり、ゲノムDNAまたはcDNAからの単離、または、これらの組み合わせが含まれる。ゲノムDNAからのポリヌクレオチドのクローン化は、例えば、発現ライブラリの周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または抗体スクリーニングを用いて共有される構造機構を伴うクローン化されたDNA断片を検出することにより実施されることが可能である。例えば、Innis et al.,1990,PCR:A Guide to Methods and Application,Academic Press,New Yorkを参照のこと。リガーゼ連鎖反応(LCR)、連結活性化転写(LAT)およびポリヌクレオチドベース増幅(NASBA)などの他の核酸増幅法が用いられ得る。ポリヌクレオチドは、アスペルギルス属(Aspergillus)の系統、または、関連する生体からクローン化され得、それ故、例えば、ポリヌクレオチドの領域をコードするポリペプチドの対立形質もしくは種変異体であり得る。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの修飾は、ポリペプチドに実質的に類似するポリペプチドを合成するのに必要であり得る。ポリペプチドに「実質的に同様」という用語は、ポリペプチドの非天然形態を指す。これらのポリペプチドは、天然のソースから単離されたポリペプチドとはいくらかの操作法で異なっていてもよく、例えば、特異活性、耐熱性、至適pHなどが異なる変異体である。変異体は、配列番号1もしくは4のポリペプチドコード配列として表されるポリヌクレオチドに基づいて;または配列番号2もしくは5(例えば、そのサブ配列)におけるcDNAに基づいて構築され得、および/または、ポリペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらさないが、酵素の生成のために意図される宿主生体のコドン利用に対応するヌクレオチド置換の導入により、または、異なるアミノ酸配列をもたらし得るヌクレオチド置換の導入により構築され得る。ヌクレオチド置換の概要については、例えば、Ford et al.,1991,Protein Expression and Purification 2:95−107を参照のこと。
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの不活性化または除去
本発明の様々な態様および実施形態は全て、糸状真菌宿主細胞においてα−グルカン合成に関与する2つ以上のポリペプチドをコードする2つ以上のポリヌクレオチドの不活性化を必要とする。
このような不活性化は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドもしくはその一部を破壊するか、または欠失させることにより達成することができ、これによって、同じ条件下で培養したとき、親細胞より少ないポリペプチドを産生する突然変異細胞が得られる。
突然変異細胞は、当技術分野で公知の方法、例えば、挿入、破壊、置換、または欠失を用いて、ポリヌクレオチドの発現を排除することによって構築することができる。好ましい態様では、ポリヌクレオチドは不活性化される。不活性化しようとするポリヌクレオチドは、例えば、活性に不可欠なコード領域もしくはその部分、またはコード領域の発現に必要な調節エレメントであってもよい。このような調節または制御配列の例は、プロモータ配列またはその機能性部分、すなわち、ポリヌクレオチドの発現に作用する上で十分な部分であってよい。不活性化が考えられる他の制御配列として、限定するものではないが、リーダ、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列、転写ターミネータ、および転写アクチベータが挙げられる。
ポリヌクレオチドの不活性化は、親配列を突然変異誘発に付し、ポリヌクレオチドの発現が排除された突然変異細胞を選択することにより実施され得る。突然変異誘発は、特異的またはランダムのいずれであってもよく、例えば、物理的もしくは化学的突然変異誘発因子の使用、好適なオリゴヌクレオチドの使用、またはDNA配列をPCR突然変異誘発に付すことにより、実施され得る。さらに、突然変異誘発は、これらの突然変異誘発因子の任意の組み合わせの使用により実施してもよい。
本発明の目的に好適な物理的または化学的突然変異誘発因子の例としては、紫外線(UV)照射、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(MNNG)、O−メチルヒドロキシルアミン、亜硝酸、メタンスルホン酸エチル(EMS)、亜硫酸水素ナトリウム、ギ酸、およびヌクレオチド類似体が挙げられる。
このような因子が使用される場合、突然変異誘発は、典型的に、好適な条件下、突然変異誘発しようとする親細胞を最適な突然変異誘発因子の存在下でインキュベートし、当該遺伝子の発現を示さない突然変異細胞をスクリーニングおよび/または選択することにより、実施される。
ポリヌクレオチドの不活性化は、当該遺伝子、またはその転写もしくは翻訳に必要な調節エレメントにおける1つまたは複数のヌクレオチドの挿入、置換、もしくは欠失によって達成され得る。例えば、終止コドンの導入、開始コドンの除去、またはオープンリーディングフレーム内の変更をもたらすように、ヌクレオチドを挿入または除去することができる。このような不活性化は、当技術分野で公知の方法に従って、部位特異的突然変異誘発またはPCR突然変異誘発により達成され得る。原則として、不活性化は、in vivoで、すなわち、不活性化しようとするポリヌクレオチドを発現する細胞に対し直接、実施してよいが、以下に例示するように、in vitroで実施するのが好ましい。
ポリヌクレオチドの発現を排除するための好都合な方法の一例は、遺伝子置換、遺伝子欠失、または遺伝子破壊の技術に基づく。例えば、遺伝子破壊方法では、内因性ポリヌクレオチドに対応する核酸配列をin vitroで突然変異させて、欠陥核酸配列を生成した後、これを親細胞に形質転換することにより、欠陥遺伝子を生成する。相同組換えにより、内因性ポリヌクレオチドを欠陥核酸配列で置換する。欠陥ポリヌクレオチドもマーカをコードするのが望ましい場合もあり、ポリヌクレオチドが修飾または破壊されている形質転換体の選択のために、このマーカを使用することができる。一態様では、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載するものなどの選択マーカによって破壊する。
本発明はさらに、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその制御配列の破壊もしくは欠失、またはポリペプチドをコードする抑制遺伝子を含む親細胞の突然変異細胞に関し、これにより、親細胞と比較して少ないポリペプチドを産生するか、またはポリペプチドを一切産生しない突然変異細胞が得られる。
ポリペプチド欠失突然変異細胞は、ネイティブおよび異種ポリペプチドの発現のための宿主細胞として特に有用である。従って、本発明はさらに、ネイティブまたは異種ポリペプチドを生成する方法にも関し、これは、(a)ポリペプチドの産生を促す条件下で突然変異細胞を培養するステップ;および(b)ポリペプチドを回収するステップを含む。「異種ポリペプチド」という用語は、宿主細胞に対してネイティブではないポリペプチド、例えば、ネイティブタンパク質の変異体を意味する。宿主細胞は、ネイティブまたは異種ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの2つ以上のコピーを含み得る。
本発明の好ましい実施形態では、2つ以上のポリヌクレオチドの不活性化は、2つ以上のポリヌクレオチドおよび/またはそれぞれのプロモータの突然変異により;好ましくは、宿主細胞のゲノムからの2つ以上のポリヌクレオチドおよび/またはそれぞれのプロモータの部分的もしくは完全な欠失により、実施する。
核酸構築物
本発明はまた、制御配列と適合性の条件下で、好適な宿主細胞におけるコード配列の発現を指令する1つまたは複数の制御配列に作動可能にリンクされた、本発明の対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築物にも関する。
ポリヌクレオチドは、対象のポリペプチドの発現をもたらすために様々な方法で操作してもよい。ベクターに挿入する前のポリヌクレオチドの操作は、発現ベクターに応じて望ましいか、または必要となり得る。組換えDNA法を使用してポリヌクレオチドを修飾する技術は、当技術分野で公知である。
制御配列は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現のための宿主細胞によって認識されるポリヌクレオチドであるプロモータであり得る。プロモータは、ポリペプチドの発現を媒介する転写制御配列を含有する。プロモータは、ミュータント、切断およびハイブリッドプロモータを含む宿主細胞において転写活性を示すいずれかのポリヌクレオチドであり得、ならびに、宿主細胞に対して相同性または非相同性である細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られ得る。
糸状真菌宿主細胞において本発明の核酸構築物の転写を指令する好適なプロモータの例としては、以下:アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)アセトアミダーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)酸安定α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)またはアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)グルコアミラーゼ(glaA)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)アルカリ性タンパク分解酵素、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ(国際公開第96/00787号パンフレット)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)アミログルコシダーゼ(国際公開第00/56900号パンフレット)、フザリウム・ベネナツム・ダリア(Fusarium venenatum Daria)(国際公開第00/56900号パンフレット)、フザリウム・ベネナツム・クイン(Fusarium venenatum Quinn)(国際公開第00/56900号パンフレット)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)β−グルコシダーゼ、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼI、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼI、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼV、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼI、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼIII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)β−キシロシダーゼ、およびトリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)翻訳伸長因子、ならびに、NA2−tpiプロモータ(非翻訳リーダが、アスペルギルス属(Aspergillus)トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子由来の非翻訳リーダで置換された、アスペルギルス属(Aspergillus)中性α−アミラーゼ遺伝子由来の修飾プロモータ;非限定的例としては、非翻訳リーダがアスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)またはアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)トリオースリン酸イソメラーゼ遺伝子由来の非翻訳リーダで置換された、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性α−アミラーゼ遺伝子由来の修飾プロモータが挙げられる)の遺伝子から得られるプロモータ;ならびに、その突然変異体、切断およびハイブリッドプロモータがある。その他のプロモータは、米国特許第6,011,147号明細書に記載されている。
制御配列はまた、宿主細胞によって認識されて転写を終結させる転写ターミネータであり得る。ターミネータは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの3’−末端に作動可能にリンクする。本発明においては、宿主細胞において機能するいずれかのターミネータが用いられ得る。
糸状真菌宿主細胞の好ましいターミネータは、下記の遺伝子から得られる:アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)アセトアミダーゼ、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)アントラニル酸シンターゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α−グルコシダーゼ、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)β−グルコシダーゼ、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼI、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼI、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼV、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼI、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼIII、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)β−キシロシダーゼ、ならびに、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)翻訳伸長因子。
制御配列は、プロモータの下流で、かつ遺伝子のコード配列の上流のmRNA安定化領域であってもよく、これは、遺伝子の発現を増大させる。
制御配列はまた、リーダ、すなわち、mRNAの非翻訳領域であってもよく、これは、宿主細胞による翻訳にとって重要である。リーダは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの5’−末端に作動可能にリンクさせる。宿主細胞において機能性であれば、どんなリーダを用いてもよい。
糸状真菌宿主細胞の好ましいリーダは、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼおよびアスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)トリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られる。
制御配列はまた、ポリヌクレオチドの3’−末端に作動可能にリンクし、転写された場合に、ポリアデノシン残基を転写mRNAに負荷するシグナルとして宿主細胞により認識される配列であるポリアデニル化配列であり得る。宿主細胞において機能するポリアデニル化配列のいずれかが用いられ得る。
糸状真菌宿主細胞の好ましいポリアデニル化配列は、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)アントラニル酸シンターゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α−グルコシダーゼ、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、およびフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得られる。
制御配列はまた、ポリペプチドのN−末端にリンクしたシグナルペプチドをコードし、および、ポリペプチドを細胞の分泌経路に送るシグナルペプチドコード領域であり得る。ポリヌクレオチドのコード配列の5’−末端は、ポリペプチドをコードするコード配列のセグメントと共に、翻訳読み枠に元々リンクしたシグナルペプチドコード配列を本質的に含有し得る。または、コード配列の5’−末端は、コード配列に対して外来性のシグナルペプチドコード配列を含有し得る。コード配列がシグナルペプチドコード配列を元々含有していない場合には、外来性のシグナルペプチドコード配列が必要とされる場合がある。または、外来性のシグナルペプチドコード配列は単に、ポリペプチドの分泌を増強するために天然シグナルペプチドコード配列を置き換えてもよい。しかしながら、発現ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路に送るいずれかのシグナルペプチドコード配列がもちいられてもよい。
糸状真菌宿主細胞の効果的なシグナルペプチドコード配列は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)エンドグルカナーゼV、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)リパーゼおよびリゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼの遺伝子から得られるシグナルペプチドコード配列である。
制御配列はまた、ポリペプチドのN−末端でプロペプチド位置をコードするプロペプチドコード配列であり得る。得られたポリペプチドは、酵素原またはプロポリペプチド(または、いくつかの場合においてチモーゲン)として公知である。プロポリペプチドは、一般に非活性であり、プロポリペプチドからのプロペプチドの触媒または自己触媒切断によって活性ポリペプチドに転換されることが可能である。プロペプチドコード配列は、古草菌(Bacillus subtilis)アルカリ性タンパク分解酵素(aprE)、古草菌(Bacillus subtilis)中性タンパク分解酵素(nprT)、ミセリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)ラッカーゼ(国際公開第95/33836号パンフレット)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼおよびサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α−因子の遺伝子から得られ得る。
シグナルペプチドおよびプロペプチド配列の両方が存在する場合、プロペプチド配列はポリペプチドのN−末端に隣接して位置されており、また、シグナルペプチド配列は、プロペプチド配列のN−末端に隣接して位置されている。
宿主細胞の増殖に対してポリペプチドの発現を調節する調節配列を付加することが望ましい場合もある。調節配列の例は、調節化合物の存在を含む化学的または物理的刺激に応じて、遺伝子の発現をオンオフさせるものである。糸状菌においては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼプロモータ、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAα−アミラーゼプロモータ、およびアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)グルコアミラーゼプロモータ、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼIプロモータおよびトリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼIIプロモータが用いられ得る。調節配列の他の例は、遺伝子増幅を可能とするものである。真核系において、これらの調節配列は、メトトレキセートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、および、重金属を伴って増幅されるメタロチオネイン遺伝子を含む。これらの事例において、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、調節配列と作動可能にリンクしているであろう。
本発明の好ましい実施形態では、対象のポリペプチドは、宿主細胞に対して相同的または異種であり;好ましくは、対象のポリペプチドは、分泌されたポリペプチドであり;より好ましくは、これは、ホルモン、酵素、受容体もしくはその一部、抗体もしくはその一部、またはリポータであり;さらに好ましくは、対象のポリペプチドは、ヒドロラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、リアーゼ、オキシドレダクターゼもしくはトランスフェラーゼであり;最も好ましくは、対象のポリペプチドは、α−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−キシロシダーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エンドグルカナーゼ、エステラーゼ、グルコアミラーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、またはキシラーゼである。
発現ベクター
本発明はまた、本明細書に定義した通りの対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、プロモータ、ならびに、転写および翻訳終止シグナルを含む組換え発現ベクターに関する。種々のヌクレオチドおよび制御配列が一緒になって、このような部位でポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの挿入または置換を可能とするために1つまたは複数の好都合な制限部位を含み得る組換え発現ベクターが生成される。または、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む核酸構築物を発現に適切なベクターに挿入することにより発現され得る。発現ベクターの形成において、コード配列は、コード配列が、発現に適切な制御配列と作動可能にリンクするようベクター中に位置されている。
組換え発現ベクターは、組換えDNA法に簡便に供されることが可能であり、ポリヌクレオチドの発現をもたらすことが可能であるいずれかのベクター(例えば、プラスミドまたはウイルス)であり得る。ベクターの選択は、典型的には、ベクターが導入される宿主細胞に対するベクターの親和性に応じることとなる。ベクターは、直鎖または閉鎖された環状プラスミドであり得る。
ベクターは、例えばプラスミド、染色体外要素、微小染色体または人工染色体といった、自己複製ベクター(すなわち、染色体外のエンティティとして存在し、その複製が染色体複製とは無関係なベクター)であり得る。ベクターは、自己複製を確実とするための何らかの手段を含有し得る。または、ベクターは、宿主細胞に導入された際に、ゲノム中に統合され、および、中に統合された染色体と一緒に複製されるものであり得る。しかも、単一のベクターもしくはプラスミド、または、一緒になって、宿主細胞のゲノムに導入される全DNAを含有する2つ以上のベクターもしくはプラスミド、または、トランスポゾンが用いられてもよい。
ベクターは、形質転換、形質移入、形質導入などされた細胞の選択を容易とする1つまたは複数の選択マーカを含有することが好ましい。選択マーカは、その生成物が、殺生剤またはウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求体に対する原栄養性などをもたらす遺伝子である。
糸状真菌宿主細胞に使用される選択マーカとして、限定するものではないが、adeA(ホスホリボシルアミノイミダゾール−スクシノカルボキサミドシンターゼ)、adeB(ホスホリボシル−アミノイミダゾールシンターゼ)、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸レダクターゼ)、pyrG(オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、およびtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、ならびにこれらの同等物が挙げられる。アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)またはアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)amdSおよびpyrG遺伝子ならびにストレプトマイセス・ハイグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)bar遺伝子が、アスペルギルス属(Aspergillus)細胞での使用に好ましい。adeA、adeB、amdS、hph、及びpyrG遺伝子が、トリコデルマ属(Trichoderma)細胞での使用に好ましい。
選択マーカは、国際公開第2010/039889号パンフレットに記載されている通り、二重選択マーカ系であってもよい。一態様では、二重選択マーカは、hph−tk二重選択マーカ系である。
ベクターは、宿主細胞のゲノムへのベクターの統合、または、ゲノムとは無関係の細胞中のベクターの自律複製を許容する要素を含有することが好ましい。
宿主細胞ゲノムへの統合に関して、ベクターは、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列、または、相同的もしくは非相同的組換えによるゲノムへの統合に係るベクターのいずれかの他の要素に依存し得る。または、ベクターは、染色体における正確な位置での宿主細胞のゲノムへの相同的組換えによる統合をもたらす追加のポリヌクレオチドを含有していてもよい。正確な位置で統合される可能性を高めるために、統合要素は、相同的組換えの確率を高めるために対応する標的配列に対して高度の配列同一性を有する、100〜10,000塩基対、400〜10,000塩基対および800〜10,000塩基対などの十分な数の核酸を含有しているべきである。統合要素は、宿主細胞のゲノム中の標的配列と相同的であるいずれかの配列であり得る。さらに、統合要素は、非コーディングまたはコーディングポリヌクレオチドであり得る。他方で、ベクターは、非相同的組換えにより宿主細胞のゲノムに統合され得る。
自律複製に関して、ベクターは、対象の宿主細胞におけるベクターの自律的な複製を可能とする複製起点をさらに含んでいてもよい。複製起点は、細胞において機能する自律複製を媒介するいずれかのプラスミドレプリケータであり得る。「複製起点」または「プラスミドレプリケータ」という用語は、インビボでのプラスミドまたはベクターの複製を可能とするポリヌクレオチドを意味する。
糸状真菌細胞において有用な複製起点の例は、AMA1およびANS1(Gems et al.,1991,Gene 98:61−67;Cullen et al.,1987,Nucleic Acids Res.15:9163−9175;国際公開第00/24883号パンフレット)である。AMA1遺伝子の単離およびAMA1遺伝子を含むプラスミドまたはベクターの構築は、国際公開第00/24883号パンフレットに開示されている方法に従って達成可能である。
本発明のポリヌクレオチドの2つ以上のコピーが宿主細胞に挿入されて、ポリペプチドの生成が高められてもよい。ポリヌクレオチドのコピーの数は、配列の少なくとも1つの追加のコピーを宿主細胞ゲノムに統合することにより、または、増幅可能な選択マーカ遺伝子をポリヌクレオチドに含めることにより増加させることが可能であり、ここで、選択マーカ遺伝子の増幅されたコピー、従って、ポリヌクレオチドの追加のコピーを含有する細胞は、適切な選択可能な薬剤中で細胞を培養することにより選択可能である。
上記の要素を連結して本発明の組換え発現ベクターを構築するために用いられる手法は、当業者に周知である(例えば、前述のSambrook et al.,1989を参照のこと)。
宿主細胞
本発明はまた、本発明のポリペプチドの生成をもたらす1つまたは複数の制御配列に作動可能にリンクした本発明のポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞に関する。ポリヌクレオチドを含む構築物もしくはベクターは、構築物もしくはベクターが染色体性組み込み体として、もしくは、既述の自己複製余剰−染色体性ベクターとして維持されるよう宿主細胞に導入される。「宿主細胞」という用語は、複製の最中に生じる突然変異により親細胞と同等ではない親細胞のいずれかの子孫を包含する。宿主細胞の選択は、ポリペプチドをコードする遺伝子およびそのソースに大きく依存することとなる。
突然変異糸状真菌宿主細胞は、アクレモニウム属(Acremonium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アウレオバシジウム属(Aureobasidium)、ブエルカンデラ属(Bjerkandera)、セリポリオプシス属(Ceriporiopsis)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、コプリヌス属(Coprinus)、コリオルス属(Coriolus)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、フィリバシジウム属(Filibasidium)、フザリウム属(Fusarium)、フミコラ属(Humicola)、マグナポルテ属(Magnaporthe)、ムコール属(Mucor)、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)、ネオカリマスチクス属(Neocallimastix)、ニューロスポラ属(Neurospora)、パエシロマイセス属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)、ファネロケーテ属(Phanerochaete)、フレビア属(Phlebia)、ピロマイセス属(Piromyces)、プレウロツス属(Pleurotus)、シゾフィルム属(Schizophyllum)、タラロマイセス属(Talaromyces)、テルモアスクス属(Thermoascus)、チエラビア属(Thielavia)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)、トラメテス属(Trametes)またはトリコデルマ属(Trichoderma)細胞であり得る。
例えば、糸状真菌宿主細胞は、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、ヤケイロタケ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベスセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パンノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、セリポリオプシス・スブベルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、クリソスポリウム・イノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウム・ケラチノフィルム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ルクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・パンニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クイーンスランジクム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・トロピクム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・ゾナツム(Chrysosporium zonatum)、コプリヌス・シネレウス(Coprinus cinereus)、クリオルス・ヒルスツス(Coriolus hirsutus)、フザリウム・バクテリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クロークウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウムグラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンディ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクランツム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サムブシヌム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウムス・ポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、ファネロケーテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フレビア・ラジアタ(Phlebia radiata)、プレウロツス・エリンギイ(Pleurotus eryngii)、チエラビア・テルレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシコロル(Trametes versicolor)、トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)またはトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞であり得る。
真菌細胞は、それ自体公知の様式でのプロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換、および、細胞壁の再生を含むプロセスにより形質転換され得る。アスペルギルス属(Aspergillus)およびトリコデルマ属(Trichoderma)宿主細胞の形質転換に好適な手法は、欧州特許第238023号明細書、Yelton et al.,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:1470−1474、ならびにChristensen et al.,1988,Bio/Technology 6:1419−1422に記載されている。フザリウム属(Fusarium)種の形質転換に好適な方法は、Malardier et al.,1989,Gene 78:147−156および国際公開第96/00787号パンフレットに記載されている。
生成方法
本発明は、本発明のポリペプチドを生成する方法に関し、この方法は、(a)ポリペプチドの産生を促す条件下で、本発明の第1または第3の態様で定義した通りの組換えもしくは突然変異糸状真菌宿主細胞を培養するステップ;および、任意選択で、(b)ポリペプチドを回収するステップを含む。
宿主細胞は、技術分野において既知である方法を用いてポリペプチドの生成に好適な栄養培地中で培養される。例えば、細胞は、好適な培地中ならびにポリペプチドの発現および/または単離が許容される条件下で行われる、振盪フラスコ培養により、および、実験用もしくは産業用発酵槽における小規模もしくは大規模発酵(連続式、バッチ式、フェドバッチ式または固体状発酵を含む)により培養され得る。培養は、炭素および窒素源および無機塩を含む好適な栄養培地において、技術分野において公知である手法を用いて行われる。好適な媒体は、商業的な供給者から入手可能であるか、または、公開された組成に従って調製され得る(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ)。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは培地から直接回収可能である。ポリペプチドが分泌されない場合、細胞ライセートから回収可能である。
ポリペプチドは、ポリペプチドに特異的な技術分野において公知である方法を用いて検出され得る。これらの検出方法として、限定するものではないが、特定の抗体の使用、酵素産物の形成、または、酵素基質の消失などが挙げられる。例えば、酵素アッセイを用いてポリペプチドの活性を判定してもよい。
ポリペプチドは技術分野において公知である方法を用いて回収され得る。例えば、ポリペプチドは、特にこれらに限定されないが、収集、遠心分離、ろ過、抽出、噴霧乾燥、蒸発または沈殿を含む従来の手法により栄養培地から回収され得る。一態様では、ポリペプチドを含む発酵ブロスを回収する。
ポリペプチドは、実質的に純粋なポリペプチドを得るために、特にこれらに限定されないが、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシングおよびサイズ排除)、電気泳動的手法(例えば、分取等電点電気泳動)、較差溶解度(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS−PAGE、または、抽出(例えば、Protein Purification,JansonおよびRyden編,VCH Publishers,New York,1989を参照のこと)を含む技術分野において公知である多様な手法によって精製され得る。
代替的な態様においては、ポリペプチドは回収されず、ポリペプチドを発現する本発明の宿主細胞がポリペプチドのソースとして用いられ得る。
培養および対象の産物の回収に用いる方法は、当技術分野で公知の方法により実施してよい。
A.ニガー(A.niger)α−グルカンシンターゼ遺伝子及び遺伝子産物
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α−グルカンシンターゼ(agsA)遺伝子は、配列番号1(ゲノムDNA)および配列番号2(cDNA)に示される。コードされたAgsAシンターゼのアミノ酸は、配列番号3に示される。
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α−グルカンシンターゼ(agsE)遺伝子は、配列番号4(ゲノムDNA)および配列番号5(cDNA)に示される。コードされたAgsAシンターゼのアミノ酸は、配列番号6に示される。
材料および方法
分子クローニング技術は、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.,Maniatis,T.(1989)Molecular cloning:a laboratory manual(2nd edn.)Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New Yorkに記載されている。
酵素
DNA操作のための酵素(例えば、制限エンドヌクレアーゼ、リガーゼなど)は、New England Biolabs,Inc.から入手可能であり、製造者の指示に従って使用した。
培地および溶液
AMG微量金属溶液は、0.3gのクエン酸、0.68gのZnCl、0.25gのCuSO・5HO、0.024gのNiCl・6HO、1.39gのFeSO・7HO、1.356gのMnSO・5HO、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
COVE−N−glyプレートは、218gのソルビトール、10gのグリセロール、2.02gのKNO、50mlのCOVE塩溶液、25gのノーブル(Noble)寒天、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
COVE培地は、342.3gのスクロース、20mlの50×COVE塩溶液、10mlの1Mアセトアミド、10mlの1.5M CsCl2、25gのノーブル寒天、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
COVE2培地は、30gのスクロース、20mlの50×COVE塩溶液、10mlの1Mアセトアミド、25gのノーブル寒天、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
COVE−Nプレートは、342.3gのスクロース、20mlのCOVE塩溶液、3gのNaNO、30gのノーブル寒天、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
COVE−Nトップアガロースは、342.3gのスクロース、20mlのCOVE塩溶液、3gのNaNO、10gの低融点アガロース、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
COVE−N JPプレートは、30gのスクロース、20mlのCOVE塩溶液、3gのNaNO、30gのノーブル寒天、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
COVE塩溶液は、26gのKCl、26gのMgSO・7HO、76gのKHPO、50mlのCOVE微量金属溶液、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
COVE微量金属溶液は、0.04gのNa・10HO、0.4gのCuSO・5HO、1.2gのFeSO・7HO、1.0gのMnSO・5HO、0.8gのNaMoO・2HO、10gのZnSO・7HO、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
LB培地は、10gのトリプトン、5gの酵母エキス、5gの塩化ナトリウム、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
LBプラスアンピシリンプレートは、10gのトリプトン、5gの酵母エキス、5gの塩化ナトリウム、15gのバクト(Bacto)寒天、1ml当たり100μgのアンピシリン、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
MSS培地は、70gのスクロース、100gのダイズ粉末、3滴のプロニック(pluronic)消泡剤、および1リットルまでの脱イオン水から構成され;pHを6.0に調節した。
尿素を含まないMU−1glu培地は、260gのグルコース、3gのMgSO・7HO、6gのKSO、5gのKHPO、0.5mlのAMG微量金属溶液、数滴の消泡剤、および1リットルまでの脱イオン水から構成され;pHを4.5に調節した。
50%尿素は、500gの尿素と1リットルまでの脱イオン水から構成された。
YPG培地は、10gの酵母エキス、20gのバクト(Bacto)ペプトン、20gのグルコース、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
STCは、0.8Mソルビトール、25mMまたは50mMトリスpH8、および25mMまたは50mMCaClから構成された。
SPTCは、STCバッファー中40%ポリエチレングリコール4000(PEG4000)から構成された。
SOC培地は、20gのトリプトン、5gの酵母エキス、0.5gのNaCl、10mlの250mM KCl、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
TAEバッファーは、4.84gのトリス塩基、1.14mlの氷酢酸、2mlの0.5M EDTApH8.0、および1リットルまでの脱イオン水から構成された。
購入した材料
プラスミド構築および増幅のために、大腸菌(E.coli)DH5−α(Toyobo)を使用した。PCR断片のクローニングのために市販のプラスミドpBluescript II SK−(Stratagene#212206)を使用した。Qiagen(登録商標)Plasmid Kit(Qiagen)で、増幅プラスミドを回収した。DNA連結キット(Takara)またはT4 DNAリガーゼ(Boehringer Mannheim)を用いて、連結反応を実施した。Expand(商標)PCRシステム(Boehringer Mannheim)を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施した。PCR断片の精製およびアガロースゲルからのDNA断片の抽出のために、QIAquick(登録商標)Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用した。

ノボザイム(Novozyme)により発現宿主株アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を単離し、これを、アミログリコシダーゼ活性およびαアミラーゼ活性の発現を破壊するように遺伝子改変した後、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)シトシンデアミナーゼ遺伝子(fcy1)を導入した。
プラスミド
プラスミドpHUda801は、国際公開第2012160093号パンフレットの実施例4に記載されている。
プラスミドpHUda1019は、国際公開第2012160093号パンフレットの実施例2に記載されている。
酵素遺伝子の発現のベクター用のプラスミドpRika147は、国際公開第2012160093号パンフレットの実施例9に記載されている。
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)の形質転換
親アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)宿主細胞の形質転換は、Yelton et al.,“Transformation of Aspergillus nidulans by using a trpC plasmid,“Proc Natl Acad Sci U S A.1984 Mar;81(5):1470−4に記載されているように、糸状真菌での形質転換のための公知の一般的方法を用いて、下記の通り達成した:
宿主株がpyrG欠失突然変異体である場合には、10mMウリジンで補充した100mlのYPG培地に、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)宿主株を接種し、32℃、80rpmで16時間インキュベートした。ペレットを収集し、0.6M KClで洗浄した後、1ml当たり20mgの最終濃度で市販のβ−グルカナーゼ製品(GLUCANEX(商標)、Novozymes A/S,Bagsvaerd,Denmark)を含有する20mlの0.6M KClに再懸濁させた。プロトプラストが形成されるまで、懸濁液を32℃、80rpmでインキュベートし、続いてSTCバッファーで2回洗浄した。プロトプラストをヘマトメータで計数してから、STC:STPC:DMSOの8:2:0.1溶液に再懸濁させ、最終濃度2.5×10プロトプラスト/mlに調節した。約4μgのプラスミドDNAを100μlのプロトプラスト懸濁液に添加し、穏やかに混合した後、氷上で30分間インキュベートした。1mlのSPTCを添加し、プロトプラスト懸濁液を37℃で20分間インキュベートした。10mlの50℃のCOVE−Nトップアガロースを添加後、混合物を最少培地に注ぎ、これらのプレートを30℃で5日間インキュベートした。
PCR増幅
5×PCRバッファー(MgCl2を含む) 20μl
2.5mM dNTPミックス 10μl
フォワードプライマー(100μM) 1μl
リバースプライマー(100μM) 1μl
エキスパンド ハイフィディリティポリメラーゼ(Roche) 1μl
鋳型DNA(50〜100ng/μl) 1μl
蒸留水 100μlまで
Figure 2017532055
リポータ酵素生成のための振盪フラスコ培養
選択した形質転換体の胞子を100mlのMSS培地に接種し、30℃で3日間培養した。10%のシード培養物を実験室規模のタンク内のMU−1glu培地に移し、ここに適切な量のグルコースおよびアンモニウムを供給し、34℃で6日間培養した。上清を遠心分離により取得した。遠心分離後の培養物上清を酵素アッセイに用いた。
サザンハイブリダイゼーション
選択した形質転換体の菌糸体を、3mlのYPG培地中の一晩培養物から採取し、蒸留水で洗浄した。粉砕した菌糸体を、FastDNA SPIN Kit for Soil(MP Biomedicals)を用いたゲノムDNA調製に、製造者の指示に従って供した。PCR DIGプローブ合成キット(Roche Applied Science,Indianapolis IN)を用い、製造者の指示に従って非放射性プローブを合成した。QIAquick(商標)Gel Extraction Kit(QIAGEN Inc.,Valencia,CA)を用い、製造者の指示に従ってDIG標識プローブをゲル精製した。
5マイクログラムのゲノムDNAを適切な制限酵素で16時間完全に消化した(40μl総量、4U酵素/μlDNA)後、0.8%アガロースゲル上で泳動させた。DNAは、0.2M HClで処理することによりゲル中で断片化し、変性させ(0.5M NaOH、1.5M NaCl)、中和した(1Mトリス、pH7.5;1.5M NaCl)後、20×SSC中でHybond N+膜(Amersham)に転移した。DNAを膜にUV架橋させてから、20mlのDIG Easy Hyb(Roche Diagnostics Corporation,Mannheim,Germany)において42℃で1時間プレハイブリダイズした。変性プローブをDIG Easy Hybバッファーに直接添加し、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを実施した。ハイブリダイゼーション後の洗浄(各々、2×SSC、室温で5分を2回、および0.1×SSC、68℃で15分を2回)に続いて、DIG検出システムおよびCPD−Star(Roche)を用いた化学発光検出を製造者のプロトコルに従って実施した。DIG標識DNA Molecular Weight Marker II(Roche)を標準的マーカに用いた。
ブラッドフォード(Bradford)アッセイ(全タンパク質判定)
ブラッドフォード(Bradford)アッセイ、すなわち比色タンパク質分析は、色素Coomassie Brilliant Blue G−250の吸光度シフトに基づき、この場合、酸性条件下で、色素の赤色形態が、より青色の形態に変換されて、アッセイ対象のタンパク質に結合する。色素とタンパク質の結合は、青色のアニオン形態を安定化させる。595nmでの吸光度の増加は、結合した色素の量、従って、サンプル中に存在するタンパク質の量(濃度)に比例する。
酵素サンプルを蒸留水で適度に希釈してから、それらのタンパク質の量をQuick Start(商標)ブラッドフォードタンパク質アッセイ(Bradford Protein Assay)(Bio−Rad inc.)の使用により、製造者の指示に従って測定した。
実施例1:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsA遺伝子の標的遺伝子破壊のためのベクターである、プラスミドpHUda1685の構築
プラスミドpHUda1685は、ターミネータ反復配列を有する選択マーカとしてのA.ニズランス(A.nidulans)オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(pyrG)により分離されるアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α−グルカンシンターゼ(agsA)遺伝子の5’および3’フランキング領域と、ヒト単純ヘルペスウイルス1(HSV−1)チミジンキナーゼ遺伝子を含むように構築した。HSV−1チミジンキナーゼ遺伝子は、agsA遺伝子の3’フランキング領域の3’側に位置し、これによって、agsA遺伝子座への組み込みを正しくターゲティングしないアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)形質転換体の対抗選択が可能になる。プラスミドは、以下に記載する通り、いくつかのステップで構築した。
A.ニガー(A.niger)agsAの5’フランキング領域を含有するPCR産物は、下記のプライマーを用いて作製した。
プライマーagsA1(センス):5’ggtggcggccgcctgtgaatagctaccagc(配列番号7)
プライマーagsA2(アンチセンス):5’ctccactagttgctaatgtattatccatga(配列番号8)
約100ngのアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)C3105のゲノムDNA、1μlのExpand High Fidelityポリメラーゼ(Roche)、100μMのプライマーagsA1、100μMのプライマーagsA2、5×PCRバッファー(MgCl2を含む)、20μlの2.5mM dNTPミックス(総量;100μl)から構成される反応物中のPCRにより、所望の断片を増幅した。反応物をBio−Rad(登録商標)C1000 Touch(商標)Thermal Cyclerにおいてインキュベートしたが、これは、94℃で2分を1サイクル;各々が94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で2分を30サイクル;72℃で7分を1サイクル;ならびに4℃での保持のようにプログラムした。得られた2,509bpのPCR断片は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。精製した2,509bpのPCR断片は、NotIおよびSpeIにより消化した。
プラスミドpHUda801(国際公開第2012160093A1号パンフレットの実施例4)は、NotIおよびSpeIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製したが、ここでは、9,558bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。1μlの上記9,558bp断片、3μlの上記2,509bpPCR断片、1μlの5×リガーゼバッファー、5μlの2×リガーゼバッファー、および1μlのリガーゼから構成される反応物中で、9,558bp断片を2,509bp断片と連結させた(Roche Rapid DNA Ligation Kit)。連結反応物を室温で10分間インキュベートした。5μlの連結混合物をDH5−αケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。形質転換体をLBプラスアンピシリンプレート上に延ばし、37℃で一晩インキュベートした。QIAミニ−プレップキットを用いて、いくつかの形質転換体からプラスミドDNAを精製した。適切な制限酵素の使用により、プラスミドDNAを適切な連結反応についてスクリーニングした後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付した。1つのプラスミドをpHUda801−5’agsAと称した。
A.ニガー(A.niger)agsAの3’フランキング領域を含むPCR産物は、下記のプライマーを用いて作製した。
プライマーagsA3(センス):5’cttctagagtttaaacaaccgcctcagcag(配列番号9)
プライマーagsA4(アンチセンス):5’ttaattaaagaagggcattctatggacgta(配列番号10)
約100ngのアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)C3105のゲノムDNA、1μlのExpand High Fidelityポリメラーゼ(Roche)、100μMのプライマーagsA3、100μMのプライマーagsA4、5×PCRバッファー(MgCl2を含む)、20μlの2.5mM dNTPミックス(総量;100μl)から構成される反応物中のPCRにより、所望の断片を増幅した。反応物をBio−Rad(登録商標)C1000 Touch(商標)Thermal Cyclerにおいてインキュベートしたが、これは、94℃で2分を1サイクル;各々が94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で2分を30サイクル;72℃で7分を1サイクル;ならびに4℃での保持のようにプログラムした。得られた2,299bpのPCR断片は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。精製した2,299bpのPCR断片は、XbaIおよびPacIにより消化した。
プラスミドpHUda801−5’agsAは、XbaIおよびPacIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、10,030bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。1μlの上記10,030bp断片、3μlの上記2,299bp断片、1μlの5×リガーゼバッファー、5μlの2×リガーゼバッファーおよび1μlのリガーゼから構成される反応物中で、10,030bp断片を2,299bpPCR断片と連結させた(Roche Rapid DNA Ligation Kit)。連結反応物を室温で10分間インキュベートした。5μlの連結混合物をDH5−αケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。形質転換体をLBプラスアンピシリンプレート上に延ばし、37℃で一晩インキュベートした。QIAミニ−プレップキットを用いて、いくつかの形質転換体からプラスミドDNAを精製した。適切な制限酵素の使用により、プラスミドDNAを適切な連結反応についてスクリーニングした後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付した。1つのプラスミドをpHUda1685と称した(図2)。
実施例2:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsE遺伝子の標的遺伝子破壊のためのベクターである、プラスミドpHUda1701の構築
プラスミドpHUda1701は、選択マーカとしてのA.ニズランス(A.nidulans)アセトアミダーゼ遺伝子(amdS)により分離されるアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α−グルカンシンターゼ(agsE)遺伝子の5’および3’フランキング領域と、ヒト単純ヘルペスウイルス1(HSV−1)チミジンキナーゼ遺伝子を含むように構築した。HSV−1チミジンキナーゼ遺伝子は、agsE遺伝子の3’フランキング領域の3’側に位置し、これによって、agsE遺伝子座に正しくターゲティングしないアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)形質転換体の対抗選択が可能になる。プラスミドは、以下に記載する通り、いくつかのステップで構築した。
A.ニガー(A.niger)agsEの5’フランキング領域を含むPCR産物は、下記のプライマーを用いて作製した。
プライマーagsE1(センス):5’accgcggtctttcagccagggaatggct(配列番号11)
プライマーagsE2(アンチセンス):5’ttactagtacacaatagtgcaggtgatgtc(配列番号12)
約100ngのアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)C3105のゲノムDNA、1μlのExpand High Fidelityポリメラーゼ(Roche)、100μMのプライマーagsE1、100μMのプライマーagsE2、5×PCRバッファー(MgCl2を含む)、20μlの2.5mM dNTPミックス(総量;100μl)から構成される反応物中で、所望の断片をPCRにより増幅した。反応物をBio−Rad(登録商標)C1000 Touch(商標)Thermal Cyclerにおいてインキュベートしたが、これは、94℃で2分を1サイクル;各々が94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で2分を30サイクル;72℃で7分を1サイクル;ならびに4℃での保持のようにプログラムした。得られた2,300bpのPCR断片は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。精製した2,300bpのPCR断片は、SacIIおよびSpeIにより消化した。
プラスミドpHUda801(国際公開第2012160093A1号パンフレットの実施例4)は、SacIIおよびSpeIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、9,561bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。1μlの上記9,561bp断片、3μlの上記2,300bp断片、1μlの5×リガーゼバッファー、5μlの2×リガーゼバッファーおよび1μlのリガーゼから構成される反応物中で、9,561bp断片を2,300bpPCR断片と連結させた(Roche Rapid DNA Ligation Kit)。連結反応物を室温で10分間インキュベートした。5μlの連結混合物をDH5−αケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。形質転換体をLBプラスアンピシリンプレート上に延ばし、37℃で一晩インキュベートした。QIAミニ−プレップキットを用いて、いくつかの形質転換体からプラスミドDNAを精製した。適切な制限酵素の使用により、プラスミドDNAを適切な連結反応についてスクリーニングした後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付した。1つのプラスミドをpHUda801−5’agsEと称した。
A.ニガー(A.niger)agsEの3’フランキング領域を含有するPCR産物は、下記のプライマーを用いて作製した。
プライマーagsE3(センス):5’tttctagacgccttaatgatgtggtggtg(配列番号13)
プライマーagsE4(アンチセンス):5’ttaattaaatggcgcccactgctacagg(配列番号14)
約100ngのアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)C3105のゲノムDNA、1μlのExpand High Fidelityポリメラーゼ(Roche)、100μMのプライマーagsE3、100μMのプライマーagsE4、5×PCRバッファー(MgCl2を含む)、20μlの2.5mM dNTPミックス(総量;100μl)から構成される反応物中のPCRにより、所望の断片を増幅した。反応物をBio−Rad(登録商標)C1000 Touch(商標)Thermal Cyclerにおいてインキュベートしたが、これは、94℃で2分を1サイクル;各々が94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で2分を30サイクル;72℃で7分を1サイクル;ならびに4℃での保持のようにプログラムした。得られた2,280bpのPCR断片は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。精製した2,280bpのPCR断片をXbaIおよびPacIにより消化した。
プラスミドpHUda801−5’agsEは、XbaIおよびPacIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、9,830bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。1μlの上記9,830bp断片、3μlの上記2,280bp断片、1μlの5×リガーゼバッファー、5μlの2×リガーゼバッファーおよび1μlのリガーゼから構成される反応物中で、9,830bp断片を2,280bpPCR断片と連結させた(Roche Rapid DNA Ligation Kit)。連結反応物を室温で10分間インキュベートした。5μlの連結混合物をDH5−αケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。形質転換体をLBプラスアンピシリンプレート上に延ばし、37℃で一晩インキュベートした。QIAミニ−プレップキットを用いて、いくつかの形質転換体からプラスミドDNAを精製した。適切な制限酵素の使用により、プラスミドDNAを適切な連結反応についてスクリーニングした後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付した。1つのプラスミドをpHUda801−5’agsE−3’agsEと称した。
プラスミドpHUda801−5’agsE−3’agsEは、XbaIおよびSpeIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、9,946bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。プラスミドpHUda1019(国際公開第2012160093号パンフレットの実施例2に記載)は、XbaIおよびAvrIIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、amdS遺伝子、A.オリゼー(A.oryzae)tef1(翻訳伸長因子1)プロモータおよびA.オリゼー(A.oryzae)niaD(硝酸レダクターゼ)ターミネータを含む3,114bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。1μlの上記9,946bp断片、3μlの上記3,114p断片、1μlの5×リガーゼバッファー、5μlの2×リガーゼバッファーおよび1μlのリガーゼから構成される反応物中で、9,946bp断片を3,114bp断片と連結させた(Roche Rapid DNA Ligation Kit)。連結反応物を室温で10分間インキュベートした。5μlの連結混合物をDH5−αケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。形質転換体をLBプラスアンピシリンプレート上に延ばし、37℃で一晩インキュベートした。QIAミニ−プレップキットを用いて、いくつかの形質転換体からプラスミドDNAを精製した。適切な制限酵素の使用により、プラスミドDNAを適切な連結反応についてスクリーニングした後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付した。1つのプラスミドをpHUda1701と称した(図3)。
実施例3:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)C3105agsA遺伝子の破壊
A.ニガー(A.niger)C3105のpyrG遺伝子を以下の通りレスキューした。株C3105を、10mMウリジンおよび1g/Lの5−フルオロ−オロチン酸(5−FOA)を含有するCove−N JP培地に30℃で5日かけて接種した。pyrG遺伝子を欠失した株は、5−FOAの存在下で増殖するであろう;この遺伝子を保持する株は、5−FOAを、毒性中間体である5−フルオロ−UMPに変換するであろう。増殖したコロニーを、無菌爪楊枝を用いて、10mMウリジンで補充したCOVE−N−glyプレートに移し、30℃で7日間増殖させた。単離した株をM1405と称した。
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株M1405のプロトプラストは、10mMウリジンで補充した100mlのYPG培地においてこの株を32℃で16時間にわたり80rpmで穏やかに攪拌しながら培養することにより調製した。ペレットを収集し、0.6M KClで洗浄した後、1ml当たり20mgの最終濃度で市販のβ−グルカナーゼ製品(GLUCANEX(商標)、Novozymes A/S,Bagsvaerd,Denmark)を含有する20mlの0.6M KClに再懸濁させた。プロトプラストが形成されるまで、懸濁液を32℃、80rpmでインキュベートした。MIRACLOTH(登録商標)でライニングした漏斗を介して50mlの無菌プラスチック製遠心管中にプロトプラストを濾過した後、0.6M KClで洗浄して、捕捉したプロトプラストを抽出した。合わせた濾過物および上清を2,000rpmで15分間の遠心分離により収集した。上清を廃棄し、ペレットを10〜25mlのSTCで洗浄し、2,000rpmで10分間再度遠心分離し、続いてSTCバッファーで2回洗浄した。プロトプラストをヘマトメータで計数してから、STC:STPC:DMSOの8:2:0.1溶液に再懸濁させ、最終濃度2.5×10プロトプラスト/mlに調節した。
約10μgのpHUda1685を0.3mlのM1405プロトプラスト懸濁液に添加し、穏やかに混合した後、氷上で30分間インキュベートした。3mlのSPTCを添加し、プロトプラスト懸濁液を37℃で20分間インキュベートした。12mlの50℃のCOVE−Nトップアガロースを添加後、混合物をCOVE−Nプレートに注ぎ、これらのプレートを30℃で7日間インキュベートした。増殖した形質転換体を、pHUda1685に存在する単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)(HSV)チミジンキナーゼ遺伝子(TK)を発現する細胞を殺傷する薬剤である、1.5μM5−フルオロ−2−デオキシウリジン(FdU)で補充したCOVE−N JPプレートに無菌爪楊枝で移した。単一の胞子単離物をCOVE−N−glyプレートに移した。
agsA遺伝子を破壊する、pHUda1685を含有するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株M1405の形質転換体候補をサザン分析によりスクリーニングした。胞子精製形質転換体の各々を3mlのYPG培地で培養し、200rpmで振盪しながら30℃で2日間インキュベートした。MIRACLOTH(登録商標)でライニングした漏斗を用いて、バイオマスを収集した。粉砕した菌糸体を、FastDNA SPIN Kit for Soil(MP Biomedicals)を用いたゲノムDNA調製に製造者の指示に従って供した。
agsA遺伝子座の破壊を確認するために、サザンブロット分析を実施した。各形質転換体からの5μgのゲノムDNAをSpeIで消化した。ゲノムDNA消化反応物は、5μgのゲノムDNA、1μlのSpeI、2μlの10×NEBuffer4、および20μlまでの水から構成された。ゲノムDNA消化物を37℃で約16時間インキュベートした。消化物は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付し、TURBOBLOTTER(登録商標)を用いて、hybond N+(GE Healthcare Life Sciences,Manchester,NH,USA)上に、製造者の推奨事項に従い約1時間ブロッティングした。この膜を500bpジゴキシゲニン標識アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)gasAプローブとハイブリダイズしたが、このプローブは、以下に示すプライマーagsA5(センス)およびagsA6(アンチセンス)を用いたPCRによるジゴキシゲニン−11−dUTPの組み込みにより合成したものである。
フォワードプライマー(agsA5):5’agcagtctcggcggcgagga(配列番号15)
リバースプライマー(agsA6):5’attgcccaagcggcgtctca(配列番号16)
増幅反応物(100μl)は、最終容量100μlで、200μMのPCR DIG Labeling Mix(バイアル2)(Roche Applied Science,Palo Alto,CA,USA)、0.5μMのプライマー、EXPAND(登録商標)High Fidelity Enzymeミックス(バイアル1)(Roche Applied Science,Palo Alto,CA,USA)、および鋳型としての1μl(100pg/μl)のpHUda1685から構成された。増幅反応物をBio−Rad(登録商標)C1000 Touch(商標)Thermal Cyclerにおいてインキュベートしたが、これは、94℃で2分を1サイクル;各々が94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で2分を30サイクル、ならびに4℃での保持のようにプログラムした。PCR産物は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、0.5kb断片をゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。変性プローブをDIG Easy Hybバッファーに直接添加し、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを実施した。ハイブリダイゼーション後の洗浄(各々、2×SSC、室温で5分を2回、および0.1×SSC、68℃で15分を2回)に続いて、DIG検出システムおよびCPD−Star(Roche)を用いた化学発光検出を製造者のプロトコルに従って実施した。DIG標識DNA Molecular Weight Marker II(Roche)を標準的マーカに用いた。
agsA遺伝子座における正しい組み込み(11.9kbから4.7kbにシフトしたハイブリダイズバンド)を有する形質転換体agsA突然変異株M1405−1685−16を後の実験のために選択した。図1を参照されたい。
実施例4:C3105およびM1405−1685−16におけるアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsE遺伝子の破壊
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株C3105およびM1405−1685−16のプロトプラストは、100mlのYPG培地においてこの株を32℃で16時間にわたり80rpmで穏やかに攪拌しながら培養することにより調製した。ペレットを収集し、0.6M KClで洗浄した後、1ml当たり20mgの最終濃度で市販のβ−グルカナーゼ製品(GLUCANEX(商標)、Novozymes A/S,Bagsvaerd,Denmark)を含有する20mlの0.6M KClに再懸濁させた。プロトプラストが形成されるまで、懸濁液を32℃、80rpmでインキュベートした。MIRACLOTH(登録商標)でライニングした漏斗を介して50mlの無菌プラスチック製遠心分離管中にプロトプラストを濾過した後、0.6M KClで洗浄して、捕捉したプロトプラストを抽出した。合わせた濾過物および上清を2,000rpmで15分間の遠心分離により収集した。上清を廃棄し、ペレットを10〜25mlのSTCで洗浄し、2,000rpmで10分間再度遠心分離し、続いてSTCバッファーで2回洗浄した。プロトプラストをヘマトメータで計数してから、STC:STPC:DMSOの8:2:0.1溶液に再懸濁させ、最終濃度2.5×10プロトプラスト/mlに調節した。
約10μgのpHUda1701を0.3mlのプロトプラスト懸濁液に添加し、穏やかに混合した後、氷上で30分間インキュベートした。3mlのSPTCを添加し、プロトプラスト懸濁液を37℃で20分間インキュベートした。12mlの50℃のCOVEトップアガロースを添加後、混合物をCOVEプレートに注ぎ、これらのプレートを30℃で7日間インキュベートした。増殖した形質転換体を、pHUda1701に存在する単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)(HSV)チミジンキナーゼ遺伝子(TK)を発現する細胞を殺傷する薬剤である、1.5μM5−フルオロ−2−デオキシウリジン(FdU)で補充したCOVE−2プレートに無菌爪楊枝で移した。単一の胞子単離物をCOVE−N−glyプレートに移した。
agsE遺伝子を破壊する、pHUda1701を含有するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株C3105およびM1405−1685−16の形質転換体候補をサザン分析によりスクリーニングした。胞子精製形質転換体の各々を3mlのYPG培地で培養し、200rpmで振盪しながら30℃で2日間インキュベートした。MIRACLOTH(登録商標)でライニングした漏斗を用いて、バイオマスを収集した。粉砕した菌糸体を、FastDNA SPIN Kit for Soil(MP Biomedicals)を用いたゲノムDNA調製に製造者の指示に従って供した。
agsE遺伝子座の破壊を確認するために、サザンブロット分析を実施した。各形質転換体からの5μgのゲノムDNAをHindIIIおよびXbaIで消化した。ゲノムDNA消化反応物は、5μgのゲノムDNA、0.5μlのHindIII、0.5μlのXbaI、2μlの10×NEBuffer4、および20μlまでの水から構成された。ゲノムDNA消化物を37℃で約16時間インキュベートした。消化物は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付し、TURBOBLOTTER(登録商標)を用いて、hybond N+(GE Healthcare Life Sciences,Manchester,NH,USA)上に、製造者の推奨事項に従い約1時間ブロッティングした。この膜を500bpジゴキシゲニン標識アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEプローブとハイブリダイズしたが、このプローブは、以下に示すプライマーagsE5(センス)およびagsE6(アンチセンス)を用いたPCRにより、ジゴキシゲニン−11−dUTPの組み込みにより合成したものである。
フォワードプライマー(agsE5):5’accgggcatgaacatttaac(配列番号17)
リバースプライマー(agsE6):5’aagtatttattgtattttgg(配列番号18)
増幅反応物(100μl)は、最終容量100μlで、200μMのPCR DIG Labeling Mix(バイアル2)(Roche Applied Science,Palo Alto,CA,USA)、0.5μMのプライマー、EXPAND(登録商標)High Fidelity Enzymeミックス(バイアル1)(Roche Applied Science,Palo Alto,CA,USA)、および鋳型としての1μl(100pg/μl)のpHUda1685から構成された。増幅反応物をBio−Rad(登録商標)C1000 Touch(商標)Thermal Cyclerにおいてインキュベートしたが、これは、94℃で2分を1サイクル;各々が94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で30秒を30サイクル、ならびに4℃での保持のようにプログラムした。PCR産物は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、0.5kb断片をゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。変性プローブをDIG Easy Hybバッファーに直接添加し、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを実施した。ハイブリダイゼーション後の洗浄(各々、2×SSC、室温で5分を2回、および0.1×SSC、68℃で15分を2回)に続いて、DIG検出システムおよびCPD−Star(Roche)を用いた化学発光検出を製造者のプロトコルに従って実施した。DIG標識DNA Molecular Weight Marker II(Roche)を標準的マーカに用いた。
agsE遺伝子座での正しい組み込みを付与する(5.4kbから3.2kbにシフトしたハイブリダイズバンドにより示される)C3105およびM1405−1685−16からそれぞれ作製された2つの株、M1405−1701−1および1685−1701−11を後の実験のために選択した。図1を参照されたい。
実施例5:サーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)金属−プロテアーゼ遺伝子(ap025)発現ベクターpHUda1657およびpHUda1694の構築
プラスミドpHUda1657は、タンデムで配置されたアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アミラーゼプロモータII(Pna2)およびグルコアミラーゼターミネータ(Tamg)により駆動されるサーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)金属−プロテアーゼ遺伝子(ap025)の2コピー、選択マーカとしてのA.ニズランス(A.nidulans)アセトアミダーゼ遺伝子(amdS)、ならびにアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)酸安定性アミラーゼプロモータ(PasaA)およびA.オリゼー(A.oryzae)硝酸レダクターゼターミネータ(Tniad)により駆動される酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharamyces cerevisiae)FLP組換え遺伝子(flp)を含有するように構築した。プラスミドpHUda1694は、選択マーカとして、amdS選択マーカではなく、A.ニズランス(A.nidulans)オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(pyrG)を有する以外は、pHUda1657と同じ構築物である。プラスミドは、以下に記載するようにいくつかのステップで構築した。
pHUda1260の構築
プラスミドpHUda1260は、pRika147においてA.ニズランス(A.nidulans)オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(pyrG)からA.ニズランス(A.nidulans)アセトアミダーゼ遺伝子(amdS)に変更することにより構築した。
プラスミドpRika147(国際公開第2012160093号パンフレットの実施例9に記載)をSphIおよびSpeIで消化した後、その末端をT4DNAポリメラーゼの使用により、製造者のプロトコル(NEB,New England Biolabs,Inc.)に従って充填した。この断片を、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、9,241bp断片をゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。
プラスミドpHUda1019(国際公開第2012160093号パンフレットの実施例2に記載)をXbaIおよびAvrIIで消化した後、その末端をT4DNAポリメラーゼの使用により、製造者のプロトコル(NEB,New England Biolabs,Inc.)に従って充填した。この断片を、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製したが、ここで、amdS遺伝子、A.オリゼー(A.oryzae)tef1(翻訳伸長因子1)プロモータおよびA.オリゼー(A.oryzae)niaD(硝酸レダクターゼ)ターミネータを含有する3,114bp断片をゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。1μlの上記9,241bp断片、3μlの上記3,114p断片、1μlの5×リガーゼバッファー、5μlの2×リガーゼバッファーおよび1μlのリガーゼから構成される反応物中で、9,241bp断片を3,114bp断片と連結させた(Roche Rapid DNA Ligation Kit)。連結反応物を室温で10分間インキュベートした。5μlの連結混合物をDH5−αケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。形質転換体をLBプラスアンピシリンプレート上に延ばし、37℃で一晩インキュベートした。QIAミニ−プレップキットを用いて、いくつかの形質転換体からプラスミドDNAを精製した。適切な制限酵素の使用により、プラスミドDNAを適切な連結反応についてスクリーニングした後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付した。1つのプラスミドをpHUda1260と称した(PWL:プラスミドマップおよび全配列?)。
プラスミドpHUda1657の構築
サーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)金属−プロテアーゼ遺伝子(ap025)を含有するPCR産物は、下記のプライマーを用いて作製した。
プライマーap025−1(センス):5’tttggatccaccatgcgtttcatttctgtctcc(配列番号19)
プライマーap025−2(アンチセンス):5’ccacgtgttagcaaccaaggtatatggcat(配列番号20)
国際公開第2003048353号パンフレットに記載のap025cDNA遺伝子を有するプラスミドDNA約100ng、1μlのExpand High Fidelityポリメラーゼ(Roche)、100μMのプライマーap025−1、100μMのプライマーap025−2、5×PCRバッファー(MgCl2を含む)、20μlの2.5mM dNTPミックス(総量;100μl)から構成される反応物中のPCRにより、所望の断片を増幅した。反応物をBio−Rad(登録商標)C1000 Touch(商標)Thermal Cyclerにおいてインキュベートしたが、これは、94℃で2分を1サイクル;各々が94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で1分を30サイクル;72℃で7分を1サイクル;ならびに4℃での保持のようにプログラムした。得られた1,073bpのPCR断片は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。精製した1,073bpのPCR断片をBamHIおよびPmIIにより消化した。
プラスミドpHUda1260は、BamHIおよびPmIIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製したが、ここでは、10,512bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。1μlの上記10,512bp断片、3μlの上記1,073bp断片、1μlの5×リガーゼバッファー、5μlの2×リガーゼバッファーおよび1μlのリガーゼから構成される反応物中で、10,512bp断片を1,073bpPCR断片と連結させた(Roche Rapid DNA Ligation Kit)。連結反応物を室温で10分間インキュベートした。5μlの連結混合物をDH5−αケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。形質転換体をLBプラスアンピシリンプレート上に延ばし、37℃で一晩インキュベートした。QIAミニ−プレップキットを用いて、いくつかの形質転換体からプラスミドDNAを精製した。適切な制限酵素の使用により、プラスミドDNAを適切な連結反応についてスクリーニングした後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付した。1つのプラスミドをpHUda1555と称した。
プラスミドpHUda1555をSpeIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、11,585bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。
プラスミドpHUda1555をNheIおよびSpeIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、ap025遺伝子、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アミラーゼプロモータII(Pna2)およびグルコアミラーゼターミネータ(Tamg)を含有する2,699bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。1μlの上記11,585bp断片、3μlの上記2,699bp断片、1μlの5×リガーゼバッファー、5μlの2×リガーゼバッファーおよび1μlのリガーゼから構成される反応物中で、11,585bp断片を2,699bp断片と連結させた(Roche Rapid DNA Ligation Kit)。連結反応物を室温で10分間インキュベートした。5μlの連結混合物をDH5−αケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。形質転換体をLBプラスアンピシリンプレート上に延ばし、37℃で一晩インキュベートした。QIAミニ−プレップキットを用いて、いくつかの形質転換体からプラスミドDNAを精製した。適切な制限酵素の使用により、プラスミドDNAを適切な連結反応についてスクリーニングした後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付した。1つのプラスミドをpHUda1657と称した(図4)。
プラスミドpHUda1694の構築
プラスミドpRika147をNheIおよびSpeIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製したが、ここで、7,268bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。
プラスミドpHUda1657をNheIおよびSpeIで消化した後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製したが、ここでは、ap025遺伝子のタンデム構築物、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アミラーゼプロモータII(Pna2)およびグルコアミラーゼターミネータ(Tamg)を含有する5,036bp断片をゲルから切除し、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。1μlの上記7,268bp断片、3μlの上記5,036bp断片、1μlの5×リガーゼバッファー、5μlの2×リガーゼバッファーおよび1μlのリガーゼから構成される反応物中で、7,268bp断片を5,036bp断片と連結させた(Roche Rapid DNA Ligation Kit)。連結反応物を室温で10分間インキュベートした。5μlの連結混合物をDH5−αケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。形質転換体をLBプラスアンピシリンプレート上に延ばし、37℃で一晩インキュベートした。QIAミニ−プレップキットを用いて、いくつかの形質転換体からプラスミドDNAを精製した。適切な制限酵素の使用により、プラスミドDNAを適切な連結反応についてスクリーニングした後、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動に付した。1つのプラスミドをpHUda1694と称した(図5)。
実施例6:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株C3105およびM1405−1685−16へのサーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)金属−プロテアーゼ遺伝子(ap025)発現ベクターpHUda1657の導入
ap025発現プラスミドは、flpリコンビナーゼにより、4つの事前に指定された遺伝子座、すなわち、中性アミラーゼI(amyA)、中性アミラーゼII(amyB)、酸安定性アミラーゼ(asaA)および推定アルカリスルファターゼ(payA)に導入すべきである。
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株C3105およびM1405−1685−16のプロトプラストは、100mlのYPG培地においてこの株を32℃で16時間にわたって80rpmで穏やかに攪拌しながら培養することにより調製した。ペレットを収集し、0.6M KClで洗浄した後、1ml当たり20mgの最終濃度で市販のβ−グルカナーゼ製品(GLUCANEX(商標)、Novozymes A/S,Bagsvaerd,Denmark)を含有する20mlの0.6M KClに再懸濁させた。プロトプラストが形成されるまで、懸濁液を32℃、80rpmでインキュベートした。MIRACLOTH(登録商標)でライニングした漏斗を介して50mlの無菌プラスチック製遠心管中にプロトプラストを濾過した後、0.6M KClで洗浄して、捕捉したプロトプラストを抽出した。合わせた濾過物および上清を2,000rpmで15分間の遠心分離により収集した。上清を廃棄し、ペレットを10〜25mlのSTCで洗浄し、2,000rpmで10分間再度遠心分離した後、STCバッファーで2回洗浄した。プロトプラストをヘマトメータで計数してから、STC:STPC:DMSOの8:2:0.1溶液に再懸濁させ、最終濃度2.5×10プロトプラスト/mlに調節した。
約10μgのpHUda1657を0.3mlのプロトプラスト懸濁液に添加し、穏やかに混合した後、氷上で30分間インキュベートした。3mlのSPTCを添加し、プロトプラスト懸濁液を37℃で20分間インキュベートした。C3105およびM1405−1685−16に存在するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)シトシンデアミナーゼ(fcy1)遺伝子を発現する細胞を殺傷する薬剤である、50マイクログラム/mlの5’フルオロシトシン(5FC)で補充した12mlの50℃のCOVEトップアガロースを添加後、混合物をCOVEプレートに注ぎ、これらのプレートを30℃で10日間インキュベートした。増殖した形質転換体を、10μg/mlの5’フルオロシトシン(5FC)で補充したCOVE−2プレートに無菌爪楊枝で移した。単一の胞子単離物をCOVE−N−glyプレートに移した。
ap025遺伝子を導入する、pHUda1657を含有するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株C3105およびM1405−1685−16の形質転換体候補をサザン分析によりスクリーニングした。胞子精製形質転換体の各々を3mlのYPG培地で培養し、200rpmで振盪しながら30℃で2日間インキュベートした。MIRACLOTH(登録商標)でライニングした漏斗を用いて、バイオマスを収集した。粉砕した菌糸体を、FastDNA SPIN Kit for Soil(MP Biomedicals)を用いたゲノムDNA調製に製造者の指示に従って供した。
4つの事前に指定された遺伝子座(amyA、amyB、asaA、payA)でのap025遺伝子の導入を確認するために、サザンブロット分析を実施した。各形質転換体からの5μgのゲノムDNAをHindIIIで消化した。ゲノムDNA消化反応物は、5μgのゲノムDNA、0.5μlのHindIII、2μlの10×NEBuffer4、および20μlまでの水から構成された。ゲノムDNA消化物を37℃で約16時間インキュベートした。消化物は、TAEバッファーを用いた0.5%アガロースゲル電気泳動に付し、TURBOBLOTTER(登録商標)を用いて、hybond N+(GE Healthcare Life Sciences,Manchester,NH,USA)上に、製造者の推奨事項に従い約1時間ブロッティングした。この膜を500bpジゴキシゲニン標識ap025プローブとハイブリダイズしたが、このプローブは、以下に示すプライマーap025−3(センス)およびap025−4(アンチセンス)を用いたPCRによるジゴキシゲニン−11−dUTPの組み込みにより合成したものである。
フォワードプライマー(ap025−3):5’aggatcagttcctgctccgg(配列番号21)
リバースプライマー(ap025−4):5’ggtatatggcattcgcatag(配列番号22)
増幅反応物(100μl)は、最終容量100μlで、200μMのPCR DIG Labeling Mix(バイアル2)(Roche Applied Science,Palo Alto,CA,USA)、0.5μMのプライマー、EXPAND(登録商標)High Fidelity Enzymeミックス(バイアル1)(Roche Applied Science,Palo Alto,CA,USA)、および鋳型としての1μl(100pg/μl)のpHUda1555から構成された。増幅反応物をBio−Rad(登録商標)C1000 Touch(商標)Thermal Cyclerにおいてインキュベートしたが、これは、94℃で2分を1サイクル;各々が94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で30秒を30サイクル、ならびに4℃での保持のようにプログラムした。PCR産物は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、0.5kb断片をゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。変性プローブをDIG Easy Hybバッファーに直接添加し、42℃で一晩ハイブリダイゼーションを実施した。ハイブリダイゼーション後の洗浄(各々、2×SSC、室温で5分を2回、および0.1×SSC、68℃で15分を2回)に続いて、DIG検出システムおよびCPD−Star(Roche)を用いた化学発光検出を製造者のプロトコルに従って実施した。DIG標識DNA Molecular Weight Marker II(Roche)を標準的マーカに用いた。
親株C3105およびM1405−1685−16からそれぞれ作製され、各々が4つの遺伝子座での正しい組み込み(6.6kb、7.0kb、8.6kbおよび10.1kbのサイズの4つのハイブリダイズバンド)を有する、2つの株C3105−1657−8および1685−1657−16を後の実験のために選択した。図1を参照されたい。
実施例7:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株、M1405−1701−1および1685−1701−11へのサーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)金属−プロテアーゼ遺伝子(ap025)発現ベクターpHUda1694の導入
ap025発現プラスミドは、FLPリコンビナーゼにより、4つの事前に指定された遺伝子座、すなわち、中性アミラーゼI(amyA)、中性アミラーゼII(amyB)、酸安定性アミラーゼ(asaA)および推定アルカリスルファターゼ(payA)に導入すべきである。
M1405−1701−1および1685−1701−11のpyrG遺伝子を以下の通りレスキューした。両方の株を、10mMウリジンおよび1g/Lの5−フルオロ−オロチン酸(5−FOA)を含有するCove−N JP培地に30℃で5日かけて接種した。pyrG遺伝子を欠失した株は、5−FOAの存在下で増殖し;この遺伝子を保持する株は、5−FOAを、毒性中間体である5−フルオロ−UMPに変換するであろう。増殖したコロニーを、10mMウリジンで補充したCOVE−N−glyプレートに無菌爪楊枝で移し、30℃で7日間増殖させた。M1405−1701−1、1685−1701−11から単離した株をそれぞれM1405−1701−P2および1685−1701−11−P1と称した。
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株M1405−1701−P2および1685−1701−11−P1のプロトプラストは、10mMウリジンで補充した100mlのYPG培地においてこの株を32℃で16時間にわたり80rpmで穏やかに攪拌しながら培養することにより、調製した。ペレットを収集し、0.6M KClで洗浄した後、1ml当たり20mgの最終濃度で市販のβ−グルカナーゼ製品(GLUCANEX(商標)、Novozymes A/S,Bagsvaerd,Denmark)を含有する20mlの0.6M KClに再懸濁させた。プロトプラストが形成されるまで、懸濁液を32℃、80rpmでインキュベートした。MIRACLOTH(登録商標)でライニングした漏斗を介して50mlの無菌プラスチック製遠心管中にプロトプラストを濾過した後、0.6M KClで洗浄して、捕捉したプロトプラストを抽出した。合わせた濾過物および上清を2,000rpmで15分間の遠心分離により収集した。上清を廃棄し、ペレットを10〜25mlのSTCで洗浄し、2,000rpmで10分間再度遠心分離した後、STCバッファーで2回洗浄した。プロトプラストをヘマトメータで計数してから、STC:STPC:DMSOの8:2:0.1溶液に再懸濁させ、最終濃度2.5×10プロトプラスト/mlに調節した。
約10μgのpHUda1694を0.3mlのプロトプラスト懸濁液に添加し、穏やかに混合した後、氷上で30分間インキュベートした。3mlのSPTCを添加し、プロトプラスト懸濁液を37℃で20分間インキュベートした。M1405−1701−P2および1685−1701−11−P1に存在するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)シトシンデアミナーゼ(fcy1)遺伝子を発現する細胞を殺傷する薬剤である、50μg/mlの5’フルオロシトシン(5FC)で補充した12mlの50℃のCOVE−Nトップアガロースを添加後、混合物をCOVE−Nプレートに注ぎ、これらのプレートを30℃で10日間インキュベートした。増殖した形質転換体を、10マイクログラム/mlの5’フルオロシトシン(5FC)で補充したCOVE−N JPプレートに無菌爪楊枝で移した。単一の胞子単離物をCOVE−N−glyプレートに移した。
ap025遺伝子を導入する、pHUda1694を含有するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株M1405−1701−P2および1685−1701−11−P1の形質転換体候補をサザン分析によりスクリーニングした。胞子精製形質転換体の各々を3mlのYPG培地で培養し、200rpmで振盪しながら30℃で2日間インキュベートした。MIRACLOTH(登録商標)でライニングした漏斗を用いて、バイオマスを収集した。粉砕した菌糸体を、FastDNA SPIN Kit for Soil(MP Biomedicals)を用いたゲノムDNA調製に製造者の指示に従って供した。
4つの事前に指定された遺伝子座(amyA、amyB、asaA、payA)でのap025遺伝子の導入を確認するために、サザンブロット分析を実施した。各形質転換体からの5μgのゲノムDNAをAvrIIおよびHindIIIで消化した。ゲノムDNA消化反応物は、5μgのゲノムDNA、0.5μlのHindIII、2μlの10×NEBuffer4、および20μlまでの水から構成された。ゲノムDNA消化物を37℃で約16時間インキュベートした。消化物は、TAEバッファーを用いた0.5%アガロースゲル電気泳動に付し、TURBOBLOTTER(登録商標)を用いて、hybond N+(GE Healthcare Life Sciences,Manchester,NH,USA)上に、製造者の推奨事項に従い約1時間ブロッティングした。この膜を500bpジゴキシゲニン標識ap025プローブとハイブリダイズしたが、このプローブは、以下に示すプライマーap025−3(センス)およびap025−4(アンチセンス)を用いたPCRによる、ジゴキシゲニン−11−dUPの組み込みにより合成したものである。
フォワードプライマー(ap025−3):5’aggatcagttcctgctccgg(配列番号23)
リバースプライマー(ap025−4):5’ggtatatggcattcgcatag(配列番号24)
増幅反応物(100μl)は、最終容量100μlで、200μMのPCR DIG Labeling Mix(バイアル2)(Roche Applied Science,Palo Alto,CA,USA)、0.5μMのプライマー、EXPAND(登録商標)High Fidelity Enzymeミックス(バイアル1)(Roche Applied Science,Palo Alto,CA,USA)、および鋳型としての1μl(100pg/μl)のpHUda1555から構成された。増幅反応物をBio−Rad(登録商標)C1000 Touch(商標)Thermal Cyclerにおいてインキュベートしたが、これは、94℃で2分を1サイクル;各々が94℃で30秒、55℃で30秒、および72℃で30秒を30サイクル、ならびに4℃での保持のようにプログラムした。PCR産物は、TAEバッファーを用いた0.8%アガロースゲル電気泳動により精製し、ここで、0.5kb断片をゲルから切除した後、QIAQUICK(登録商標)Gel Extraction Kitを用いて抽出した。変性プローブをDIG Easy Hybバッファーに直接添加し、42℃で一晩のハイブリダイゼーションを実施した。ハイブリダイゼーション後の洗浄(各々、2×SSC、室温で5分を2回、0.1×SSC、68℃で15分を2回)に続いて、DIG検出システムおよびCPD−Star(Roche)を用いた化学発光検出を製造者のプロトコルに従って実施した。DIG標識DNA Molecular Weight Marker II(Roche)を標準的マーカに用いた。
M1405−1701および1685−1701−11からそれぞれ作製され、各々が4つの遺伝子座での正しい組み込み(6.0kb、6.3kb、7.3kbおよび9.4kbのサイズの4つのハイブリダイズバンド)を有する、2つの株1701−1694−1および1685−1701−18を後の実験のために選択した。図1を参照されたい。
実施例8:振盪フラスコ培養物中のAP025プロテアーゼ発現評価
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株C3105−1657−8、1685−1657−16、1701−1694−1および1685−1701−1694−18をCOVE−N−glyプレート上で30℃にて約1週間培養した。無菌のトランスファーピペットを用いて、各プレートから小さな栓子の一片をつまみ、これらを各々500mlフラスコ内の100mlのMSS培地に接種した。これらのフラスコを30℃、200rpmで3日間インキュベートした。次に、10mlの培養ブロスを500mlフラスコ内の100mlのMU1glu培地に移した。これらのフラスコを30℃、200rpmで6日間インキュベートした。各培養物を10mlの試験管中、5,000rpmで10分間遠心分離し、プロテアーゼ生産性を決定するために培養上清を回収した。プロテアーゼ生産性アッセイは、Quick Start(商標)ブラッドフォードタンパク質アッセイキット(Bradford Protein Assay Kit)(Bio−Rad inc.)を用いて実施した。培養上清は、蒸留水で適度に希釈した。ウシ血清アルブミン(WAKOカタログ番号519−83921)は、蒸留水中0.5mg/mlの濃度で出発し、0.1mg/mlの濃度で終了するいくつかのステップで希釈した。標準を含む各希釈物5μlずつを96ウェル平底プレートに移した。250μlの1×Dye Reagent溶液を各ウェルに添加し、室温で5分間インキュベートした。反応の終点を595nmで測定した。作成した標準曲線からの外挿により、全タンパク質生産性を決定し、100%に設定したアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株C3105−1685−8と比較した。
振盪フラスコ内で、単一のagsAまたはagsE遺伝子破壊株は、親参照株アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株C3105−1657−8と同等か、またはそれより若干低いプロテアーゼAP025生産性を示したものの、agsAおよびagsE二重遺伝子破壊株は、参照株アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)株C3105−1657−8より23%高いAP025生産性を付与した(表1)。
Figure 2017532055

Claims (11)

  1. 対象のポリペプチドを産生する突然変異糸状真菌宿主細胞であって、ここで、α−グルカン合成に関与する2つ以上のポリペプチドをコードする2つ以上のポリヌクレオチドが不活性化され、前記2つ以上のポリペプチドは、以下:
    (a)配列番号3のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsAポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド、および配列番号6のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsEポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;
    (b)(i)配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列と少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリペプチド、および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;または
    (ii)(i)配列番号2および配列番号5にそれぞれ示すcDNAヌクレオチド配列;ならびに
    (c)中度の緊縮条件下で、以下:
    (I)それぞれ、配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と;
    (II)(I)配列番号2および配列番号5にそれぞれ示すcDNAヌクレオチド配列と、または
    (III)(I)もしくは(II)の完全長補体と
    ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与する2つのポリペプチド
    からなる群から選択される、突然変異糸状真菌宿主細胞。
  2. アクレモニウム属(Acremonium)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アウレオバシジウム属(Aureobasidium)、ブエルカンデラ属(Bjerkandera)、セリポリオプシス属(Ceriporiopsis)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、コプリヌス属(Coprinus)、コリオルス属(Coriolus)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、フィリバシジウム属(Filibasidium)、フザリウム属(Fusarium)、フミコラ属(Humicola)、マグナポルテ属(Magnaporthe)、ムコール属(Mucor)、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)、ネオカリマスチクス属(Neocallimastix)、ニューロスポラ属(Neurospora)、パエシロマイセス属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)、ファネロケーテ属(Phanerochaete)、フレビア属(Phlebia)、ピロマイセス属(Piromyces)、プレウロツス属(Pleurotus)、シゾフィルム属(Schizophyllum)、タラロマイセス属(Talaromyces)、テルモアスクス属(Thermoascus)、チエラビア属(Thielavia)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)、トラメテス属(Trametes)、またはトリコデルマ属(Trichoderma)細胞である、請求項1に記載の突然変異糸状真菌宿主細胞。
  3. アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、ヤケイロタケ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベスセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パンノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、セリポリオプシス・スブベルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、クリソスポリウム・イノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウム・ケラチノフィルム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ルクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・パンニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クイーンスランジクム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・トロピクム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・ゾナツム(Chrysosporium zonatum)、コプリヌス・シネレウス(Coprinus cinereus)、クリオルス・ヒルスツス(Coriolus hirsutus)、フザリウム・バクテリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クロークウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンディ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクランツム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サムブシヌム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウムス・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、ファネロケーテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フレビア・ラジアタ(Phlebia radiata)、プレウロツス・エリンギイ(Pleurotus eryngii)、チエラビア・テルレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシコロル(Trametes versicolor)、トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)、またはトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞である、請求項1または2に記載の突然変異糸状真菌宿主細胞。
  4. 前記対象のポリペプチドが、前記宿主細胞に対して相同的または異種であり;好ましくは、前記対象のポリペプチドは、分泌されたポリペプチドであり;より好ましくは、これは、ホルモン、酵素、受容体もしくはその一部、抗体もしくはその一部、またはリポータであり;さらに好ましくは、前記対象のポリペプチドは、ヒドロラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、リアーゼ、オキシドレダクターゼもしくはトランスフェラーゼであり;最も好ましくは、前記対象のポリペプチドは、α−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−キシロシダーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エンドグルカナーゼ、エステラーゼ、グルコアミラーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、またはキシラーゼである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の突然変異糸状真菌宿主細胞。
  5. 前記2つ以上のポリヌクレオチドの不活性化が、前記2つ以上のポリヌクレオチドおよび/またはそれぞれのプロモータの突然変異により;好ましくは、前記宿主細胞のゲノムからの前記2つ以上のポリヌクレオチドおよび/またはそれぞれのプロモータの部分的もしくは完全な欠失により、実施される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の突然変異糸状真菌宿主細胞。
  6. 前記2つ以上のポリヌクレオチドが、配列番号3のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsAポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから構成されるα−グルカン合成に関与するポリペプチド、および配列番号6のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsEポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、またはそれから構成されるα−グルカン合成に関与するポリペプチドをコードする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の突然変異糸状真菌宿主細胞。
  7. 突然変異糸状真菌宿主細胞において対象のポリペプチドを生成する方法であって、前記方法が、以下:
    (a)前記対象のポリペプチドの産生を促す条件下で、請求項1〜6のいずれか1項に記載の突然変異糸状真菌宿主細胞を培養するステップ;および、任意選択で、
    (b)前記対象のポリペプチドを回収するステップ
    を含む方法。
  8. 突然変異した糸状真菌宿主細胞を構築する方法であって、前記方法は、糸状真菌宿主細胞において2つ以上のポリペプチドをそれぞれコードする2つ以上のポリヌクレオチドを不活性化するステップを含み、前記2つ以上のポリペプチドが、以下:
    (a)配列番号3のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsAポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド、および配列番号6のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)AgsEポリペプチドと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;
    (b)(i)配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列と少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリペプチド、および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むゲノムポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与するポリペプチド;または
    (ii)(i)配列番号2および配列番号5にそれぞれ示すcDNAヌクレオチド配列;ならびに
    (c)中度の緊縮条件下で、以下:
    (I)それぞれ、配列番号1のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsAゲノムヌクレオチド配列および配列番号4のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)agsEゲノムヌクレオチド配列と;
    (II)(I)配列番号2および配列番号5にそれぞれ示すcDNAヌクレオチド配列と、または
    (III)(I)もしくは(II)の完全長補体と
    ハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされる、α−グルカン合成に関与する2つのポリペプチド
    からなる群から選択される方法。
  9. 前記糸状真菌宿主細胞が、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、ヤケイロタケ(Bjerkandera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベスセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パンノシンタ(Ceriporiopsis pannocinta)、セリポリオプシス・リブロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、セリポリオプシス・スブベルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、クリソスポリウム・イノプス(Chrysosporium inops)、クリソスポリウム・ケラチノフィルム(Chrysosporium keratinophilum)、クリソスポリウム・ルクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、クリソスポリウム・メルダリウム(Chrysosporium merdarium)、クリソスポリウム・パンニコラ(Chrysosporium pannicola)、クリソスポリウム・クイーンスランジクム(Chrysosporium queenslandicum)、クリソスポリウム・トロピクム(Chrysosporium tropicum)、クリソスポリウム・ゾナツム(Chrysosporium zonatum)、コプリヌス・シネレウス(Coprinus cinereus)、クリオルス・ヒルスツス(Coriolus hirsutus)、フザリウム・バクテリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クロークウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンディ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクランツム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サムブシヌム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウムス・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、ファネロケーテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フレビア・ラジアタ(Phlebia radiata)、プレウロツス・エリンギイ(Pleurotus eryngii)、チエラビア・テルレストリス(Thielavia terrestris)、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシコロル(Trametes versicolor)、トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・レエセイ(Trichoderma reesei)、またはトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記糸状真菌宿主細胞が、対象のポリペプチドを産生し;好ましくは、前記対象のポリペプチドは、宿主細胞に対して相同的または異種であり;より好ましくは、前記対象のポリペプチドは、分泌されたポリペプチドであり;さらに好ましくは、これは、ホルモン、酵素、受容体もしくはその一部、抗体もしくはその一部、またはリポータであり;さらに好ましくは、前記対象のポリペプチドは、ヒドロラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、リアーゼ、オキシドレダクターゼもしくはトランスフェラーゼであり;最も好ましくは、前記対象のポリペプチドは、α−ガラクトシダーゼ、α−グルコシダーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、β−キシロシダーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エンドグルカナーゼ、エステラーゼ、グルコアミラーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、またはキシラーゼである、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記2つ以上のポリヌクレオチドの不活性化が、前記2つ以上のポリヌクレオチドおよび/またはそれぞれのプロモータの突然変異により;好ましくは、前記宿主細胞のゲノムからの前記2つ以上のポリヌクレオチドおよび/またはそれぞれのプロモータの部分的もしくは完全な欠失により、実施される、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
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