JP2008515806A - 代償療法を受けている患者における過敏症および/またはアナフィラキシーの抗IgE抗体による処置および予防 - Google Patents

代償療法を受けている患者における過敏症および/またはアナフィラキシーの抗IgE抗体による処置および予防 Download PDF

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Abstract

本発明は、一般に、IgE媒介型反応を誘発する代償療法分子を与えられている患者における、アナフィラキシーを含む過敏症の処置および/または予防の方法に関し、この方法は、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントを投与することによる方法である。抗IgE抗体は、哺乳動物においてIgE媒介型アレルギー性反応を阻害し、そしてまた、代償療法分子に対するアナフィラキシー反応の危険性を低下させ得る。長期間にわたる抗IgE抗体の投与はまた、高親和性IgEレセプターをダウンレギュレートし、過敏症および/またはアナフィラキシーの危険性をさらに低下させる。この方法はまた、代償療法分子に特異的な中和IgE抗体を減少させるかまたは除去することにより、代償療法分子の投与の用量および/または頻度を低下させ得る。

Description

(発明の背景)
薬物誘導型アナフィラキシーは、医薬品のより広範な使用に伴って、頻度が上昇している。抗細菌薬は、最も通常の有害物(offender)であり、ペニシリンが最も研究されている。このような反応を通常引き起こす他の化合物としては、非ステロイド性抗炎症薬、麻酔薬、筋弛緩薬、ラテックスおよび造影媒体が挙げられる。より近年、このような反応が、代償療法分子を投与された患者において観察されている。代償療法分子としては、例えば、血友病Aもしくは血友病Bを有する患者における第VIII因子および第IX因子を含む凝固剤(非特許文献1;非特許文献2);ムコ多糖症を有する患者におけるヒトα−L−イズロニダーゼ(非特許文献3);ゴーシェ病を有する患者におけるヒトβ−グルコセレブロシダーゼ(非特許文献);およびファブリー病を有する患者におけるヒトβ−ガラクトシダーゼA(非特許文献5)である。
アナフィラキシーは、肥満細胞および好塩基球からのメディエータの免疫グロブリン(Ig)E媒介型免疫学的放出によって引き起こされる、全身性の重篤な即時反応である。
この即時過敏性反応は、B細胞による、免疫グロブリンクラスEの抗体(IgE抗体)の産生に基づく。B細胞は、アレルゲンとして作用する物質に曝露した際に抗体分泌性プラスマ細胞に分化する。この場合、この物質は、代償療法分子である。IgEは、局在性の肥満細胞を最初に感作するIgE抗体は、その定常領域によって肥満細胞上のFcεレセプターに結合し、次いで、プラスマB細胞から産生されたIgEが、循環に入り、そして循環している好塩基球上のFcεレセプターおよび体中の組織における肥満細胞上のFcεレセプターの両方に結合する。この結合したIgEが、その結果アレルゲンと接触する場合、高親和性IgEレセプター(FcεRI)は、アレルゲンの結合によって架橋される。このことは、細胞を脱顆粒させ、そして多くのアナフィラキシーメディエータ(例えば、ヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、プロテアーゼなど)を放出させる。これは、即時過敏症の臨床症状(すなわち、気道における平滑筋の収縮、微小血管の拡張ならびに水および血漿タンパク質に対する微小血管の透過性の増大、粘液の分泌、ならびに痒みおよび疼痛をもたらす皮膚における神経末端の刺激)を担う物質の放出である。さらに、このアレルゲンとの2度目の接触は、増強される。何故なら、いくつかのB細胞は、細胞表面上に発現されるIgEによるこのアレルゲンとの最初の接触後に、表面IgE陽性B細胞(sIgEB細胞)の「記憶プール(memory pool)」を形成するからである。この第2の曝露は、幾人かの患者においてアナフィラキシーをもたらし得る。
抗IgE抗体による喘息の処置は、循環するIgEの除去およびIgE免疫反応(喘息の誘導における最も初期の事象)のダウンレギュレーションによるアレルギー性反応の阻害のために、有益であることが示されている。他の抗体クラスの反応は影響されないので、アレルギー症状における即時効果および持続性効果の両方が達成される。ヒト好塩基球密度の初期研究は、患者の血漿におけるIgEのレベルと好塩基球あたりのFcεRIレセプターの数との間の相関を示した(非特許文献6)。Malveauxらは、アレルギーを有するヒトおよびアレルギーを有さないヒトにおけるFcεRI密度は、好塩基球あたり10〜10個のレセプターの範囲であると記載している。後に、抗IgEによるアレルギー性疾患の処置は、循環するIgEの量を処置前レベルの1%まで低下させることが示された(非特許文献7)。MacGlashanは、完全抗IgE抗体によって処置された患者から得た血清を分析した。この抗体は、患者の血清中を循環している遊離のIgEに結合する。MacGlashanらは、患者における循環するIgEのレベルを低下させることは、好塩基球の表面上に存在するレセプターの数の減少をもたらしたことを報告した。従って、MacGlashanらは、好塩基球および肥満細胞の表面上のFcεRI密度が、循環するIgE抗体のレベルによって直接的にもしくは間接的に調節されるという仮説を立てた。
この治療アプローチは、アレルギー性疾患(例えば、アレルギー性鼻炎および喘息)の処置において使用されており、ヒト化IgE抗体であるXOLAIR(登録商標)(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12)を用いる。これらの臨床データは、IgEのレセプターに対するIgEの結合の阻害は、IgE媒介型疾患を処置するための有効なアプローチであることを示す。
代償療法分子を受けいている患者であって、この分子に対してアレルギー性反応を示す患者は、低用量の大量の輸液を受けて、免疫寛容を誘導するか、またはこの患者を脱感作しなければならない。このことは、重篤なアレルギー性反応を示している患者において非常に危険性が高く、アナフィラキシーショックをもたらし得る。幾人かの患者は、この種の処置を受けることができず、そして代替の、有効性の低い薬物に頼らざるを得ない。遺伝子欠損によって完全な遺伝子の欠失を有する患者は、この種のアナフィラキシーの危険性が高い。なぜなら、このような患者は、この薬物に対する耐性を有さないからである。これらは、薬物が投与され得ない場合、およびなおこの処置もまた同様に生命を脅かす場合、しばしば生命を脅かす疾患である。
Shopnickら,Transfusion,1996年第36巻,p.358−61 Diounら,B.J.Allergy Clin Immunol,1998年,第102巻,p.113−7 Wraithら,J Pediatr,2004年,第144巻,p.581−588 Avinerら,Blood Cells Mol Dis,1999年,第25巻,p.92−94 Wilcoxら,Am J Hum Genet,2004年,第75巻,p.65−74 Malveauxら,J.Clin.Invest.,1978年,第62巻,p.176 MacGlashanら,J.Immunol.,1997年,第158巻,p.1438−1445 Corne,J.ら,J.Clin.Invest.,1997年,第99巻,p.879−887 Racine−Poon,A.ら,Clin.Pharmcol.Ther.,1997年,第62巻,p.675−690 Fahy,J.V.ら,Am.J.Resp.Crit.Care Med.,1997年,第155巻,p.1824−1834 Boulet,L.P.ら,Am.J.Resp.Crit.Care Med.,1997年,第155巻,p.1835−1840 Milgrom,E.ら,N.Engl.J.Med.,1999年,第341巻,p.1966−1973
従って、過敏症もしくはアナフィラキシーの危険性を伴わずに、代償療法分子の投与が可能な処置の方法についての、深刻な必要性が存在する。
(発明の要旨)
本発明は、一般に、IgE媒介型反応を誘発する1種以上の代償療法分子を投与されている哺乳動物において、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントを投与することにより、過敏症および/またはアナフィラキシーを処置および/または予防するための方法に関する。この抗IgE抗体は、哺乳動物においてIgE媒介型アレルギー性反応を阻害し、それによって、代償療法分子に対するアナフィラキシー反応の危険性を低下させる。抗IgE抗体の長期にわたる投与は、高親和性IgEレセプター(FcεRI)をダウンレギュレートし、アレルギー性反応の危険性をさらに低下させる。
本発明の方法において、抗IgE抗体は、循環しているかまたは血清のIgEおよび/またはIgE結合B細胞に結合するが、好ましくは、肥満細胞もしくは好塩基球に結合したIgEには結合しない。何故なら、肥満細胞もしくは好塩基球に結合したIgEへの結合は、架橋を引き起こし得るからである。さらに、抗IgE抗体はまた、B細胞および抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)上の低親和性IgEレセプター(FcεRII)へのIgEの結合を妨げ、それによって、B細胞によるアレルゲン特異的IgEの産生をさらに減少させる。
本発明はまた、代償療法分子を投与された哺乳動物におけるIgE媒介型反応を低減させるかまたは除去するための方法に関連し、この方法は、抗IgE抗体をこの哺乳動物に投与する工程を包含する。
本発明はまた、代償療法分子および抗IgE抗体またはその結合性フラグメント、アナログもしくは誘導体を含有する薬学的組成物に関する。
さらに、治療に対する反応において哺乳動物によって産生された幾種かのIgE抗体は、中性化され、それによって、代償療法(RT)の効力は、長期にわたって低下する。結果として、最適な臨床的利益を達成するために、より高用量のRT分子が必要とされる。RT分子特異的IgEに結合する抗IgE抗体を投与することにより、患者を処置するために必要とされるRT分子の量は減少し、それによって、薬物投与の頻度は低下し、かつ治療に対する患者の潜在的な費用は減少する。
IgE媒介型反応を示す、処置されるべき疾患の例としては、限定されないが、遺伝子欠損疾患(例えば、血友病Aおよび血友病B)、ゴーシェ病、ファブリー病、ムコ多糖症、先天的代謝障害に関する疾患、および肝臓酵素疾患(例えば、酸−α−グルコシダーゼ)が挙げられる。
抗IgE抗体としては、限定されないが、天然抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一価抗体、二重特異性抗体、ヘテロ結合体抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、脱免疫化抗体、またはキメラ抗体、単鎖抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって産生されたフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合性フラグメントが挙げられる。この抗体は、フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、および単一の結合性ドメインフラグメント)であってもよい。この抗体はまた、ScFvのような一本鎖抗体であってもよい。
本発明はまた、上記の抗IgE抗体を、1種以上の薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤、もしくは安定化剤の1種以上と組み合わせて含有する組成物の使用に関する。本発明において有用な抗体もしくは組成物は、1種以上の経路によって投与され得、これらの経路としては、静脈内投与、腹腔内投与、吸入投与、筋肉内投与、皮下投与および経口投与が挙げられる。本発明において有用な抗体もしくは組成物は、特許請求される本発明に従って、治療的に有効な量の抗体を患者に送達する吸入デバイスを用いて、投与され得る。
本発明の他の局面は、詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになる。
(発明の詳細な説明)
本願を通して使用される用語は、通常かつ代表的な意味を有することが、当業者によって解釈される。しかし、以下の用語は、以下で提供される説明によって示されるように、最も広範な合理的構成を与えられる。
本明細書中で使用される用語「抗体」は、その最も広範な意味において使用され、そして免疫グロブリン分子もしくは免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を包含する。この免疫グロブリン分子は、免疫グロブリンの任意の種(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAもしくはIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1もしくはIgA2)またはサブクラスであり得る。抗体としては、限定されないが、天然抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一価抗体、二重特異性抗体、ヘテロ結合体抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、脱免疫化抗体、またはキメラ抗体が挙げられる。天然抗体および免疫グロブリンは、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質である。各重鎖は、一端において可変ドメイン(V)を有し、その後、多くの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一端において可変ドメイン(V)を有し、そして他方の端において定常ドメインを有する。しかし、本明細書中で使用される「抗体」は、標的に対する特異性を有する重鎖もしくは軽鎖のいずれかのみの一本の鎖を有する一ドメイン抗体、ならびに単鎖抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって産生されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗−Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合性フラグメントを含む。
本明細書中で使用される場合、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、ヒト免疫グロブリンライブラリーから単離された抗体、または以下およびKucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号において記載されるように、1種以上のヒト免疫グロブリンについてのトランスジェニック動物から単離され、かつ内因性の免疫グロブリンを発現しない抗体を含む。
本明細書中で使用される用語「抗体フラグメント」は、一般に、標的結合領域もしくは可変領域である、完全長抗体の一部分を含む。抗体フラグメントの例としては、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメントおよびFvフラグメントが挙げられる。抗体の「結合性フラグメント」という用語は、完全長抗体と共通する、定性的生物学的活性もしくは検出可能な免疫学的活性を有する化合物を意味する。例えば、抗IgE抗体の結合性フラグメントは、IgE免疫グロブリンに結合し、かつ/またはこのような分子が高親和性レセプターFcεRIおよび/または低親和性IgEレセプターFcεRIIに結合する能力を実質的に低減させるフラグメントである。
本明細書中で使用される用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を含む。この集団を構成する個々の抗体は、天然に存在し得る変異を除いて同一であり、この変異は微量で存在し得る。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、1つの標的化部位に対して指向される。さらに、代表的に異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、標的上の1つの決定基に対して指向される。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養物によって合成され得、他の免疫グロブリンが夾雑しないので、有利である。修飾語「モノクローナルの」は、抗体の実質的に均質な集団から得られたという抗体の特徴を示し、この抗体の集団の産生が任意の特定の方法によることを必要とするとは解釈されない。例えば、本発明における使用のためのモノクローナル抗体は、周知の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離され得る。本発明に従って使用される本発明のモノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein、Nature256、495(1975)において最初に記載されたハイブリドーマ方法によって作製され得るか、または組換え方法によって作製され得る。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態としては、キメラ免疫グロブリン、その免疫グロブリン鎖もしくはフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)または抗体の他の標的結合性配列)が挙げられ、これらは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含む。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、そして代表的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、全てまたは実質的に全てのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、そして全てまたは実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリン共通配列のFR領域に対応する。このヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分を含み、代表的に、選択したヒト免疫グロブリンテンプレートの一部分を含む。
本明細書中で使用される用語「抗IgE抗体」は、1つ以上のIgE分子に結合し、そしてこのIgE分子の高親和性レセプターFcεRIおよび/または低親和性レセプターFcεRIIに対する結合を阻害するか、もしくは実質的に低減させる抗体を含む。抗IgE抗体は、IgE分子の任意の部分(例えば、IgE分子の定常領域もしくは可変領域)に結合し得る。抗IgE抗体は、種々の種類のIgE分子に結合可能であってもよく、または特定のIgE種に(例えば、IgE抗体の結合性部位に対する結合によって)結合してもよい。
本明細書中で使用される用語「IgE媒介型」は、免疫グロブリンIgEの過剰産生ならびに/もしくはIgE依存性の免疫学的反応および炎症性反応によって特徴付けられる、状態または疾患を含む。これは、限定されないが、アナフィラキシー過敏症に関連する状態を含む。
哺乳動物がこのような処置を必要であるか否かを決定するために、RAST試験が行われ得る。RAST試験(ラジオアレルゴソルベント試験の短縮形)は、患者が所定の化合物に対してアレルギー性であるか否かを決定するために使用される血液検査である。RAST試験は、患者の血液中のIgE(これは、所定のアレルゲンに特異的に反応する)の量を検出する。本発明は、RAST試験が、アレルゲンとして代償療法分子を用いて行われ得ることを企図する。
(標的調製)
可溶性の標的もしくはそのフラグメントが、抗体(この場合、IgEもしくはそのフラグメント)を産生するための免疫原として使用され得る。この標的は、組換え的に産生されてもよく、または合成方法を用いて作製されてもよい。この標的はまた、天然の供給源から単離され得る。
(抗IgE抗体産生)
本発明において有用な抗体は、当該分野で公知の任意の適切な方法によって産生され得る。本発明において使用され得る抗体は、モノクローナル抗体を含み得る。抗体を調製する方法は、当業者に公知である(Harlowら,Antibodies:a Laboratory Manual,Cold spring Harbor Laboratory Press,第2版(1988),本明細書中でその全体が参考として援用される)。
例えば、上記の免疫原は、この抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために、種々の宿主動物に投与され得る。これらの宿主動物としては、限定されないが、ウサギ、マウス、ラットなどが挙げられる。この免疫原の投与は、免疫化剤および所望される場合アジュバントの、1回以上の注射を必要とする。宿主の種に依存して、種々のアジュバントが、免疫学的反応を増大するために使用され得、これらとしては、限定されないが、以下が挙げられる:フロイント(完全および不完全)アジュバント、無機物のゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、表面活性物質(例えば、リゾレシチン、pluronicポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノールおよび有用であり得るヒトアジュバント(例えば、BCG(カルメット−ゲラン杆菌)およびCorynebacterium parvum)。使用され得るアジュバントの更なる例としては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成トレハロースジコリノミコレート(dicorynomycolate))が挙げられる。免疫化プロトコールは、過度の実験を用いることなく、当業者によって選択され得る。このようなアジュバントもまた、当該分野で周知である。
代表的に、免疫原および/またはアジュバントは、多数回の皮下注射もしくは腹腔内注射によって哺乳動物に注射されるが、これらはまた、筋肉内に与えられてもよく、そして/または静脈内に与えられてもよい。この免疫原は、ヒトIgEポリペプチドまたは融合タンパク質もしくはその改変体を含み得る。このポリペプチドの性質(すなわち、疎水性百分率、親水性百分率、安定性、正味の電荷、等電点など)に依存して、免疫原を、免疫化された哺乳動物において免疫原性であることが公知であるタンパク質と結合体化させることが有用であり得る。このような結合体化としては、本発明において有用な抗体および免疫原性タンパク質の両方に対して活性な化学官能基を誘導体化することによる化学的結合体化(例えば、共有結合が形成される)、または融合タンパク質ベースの方法論もしくは当業者に公知の他の方法を介する結合体化のどちらかを含む。このような免疫原性タンパク質の例としては、限定されないが、キーホールリンペットヘモシアニン、オボアルブミン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、大豆トリプシンインヒビターおよび無差別(promiscuous)Tヘルパーペプチドが挙げられる。種々のアジュバントが、上記のような免疫学的反応を増大するために使用され得る。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法を用いて調製され得る。このハイブリドーマ方法は、例えば、以下に記載される:KohlerおよびMilstein,Nature,256:495(1975)ならびに米国特許第4,376,110号、Harlowら,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold spring Harbor Laboratory Press,第2版補遺(1988),Hammerlingら,Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas(Elsevier,N.Y.(1981))、または当業者に公知の他の方法。モノクローナル抗体を産生するために使用され得る方法の他の例としては、限定されないが、以下が挙げられる:ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら,1983,Immunology Today 4:72;Coleら,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2026−2030)、およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら,1985,Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96)。このような抗体は、任意の免疫グロブリンクラスの抗体であり得、このクラスとしては、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびその任意のサブクラスが挙げられる。本発明のmAbを産生するハイブリドーマは、インビトロもしくはインビボで培養され得る。
ハイブリドーマ方法において、マウス、ヒト化マウス、ヒト免疫系を有するマウス、ハムスターもしくは他の適切な宿主動物は、代表的に、免疫原によって免疫化されて、IgEに特異的に結合する抗体を産生するかもしくはこの抗体を産生可能であるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球は、抗原によってインビトロで免疫化され得る。
一般に、抗体産生性ハイブリドーマの作製において、末梢血リンパ球(「PBL」)が使用される(ヒト起源の細胞が所望される場合)か、または脾臓細胞もしくはリンパ節細胞が使用される(非ヒト哺乳動物供給源が所望される場合)。次いで、リンパ球は、適切な融合剤(例えば、ポリエチレングリコール)を使用して不死化細胞株と融合されて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,(1986),pp.59−103)。不死化細胞株は、通常、形質転換された哺乳動物細胞であり、特に、げっ歯類、ウシおよびヒト起源の骨髄腫細胞である。通常、ラットもしくはマウスの骨髄腫細胞株が、使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは1種以上の未融合不死化細胞の増殖もしくは生存を阻害する物質を含む、適切な培養培地中で培養され得る。例えば、親細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTもしくはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのためのの培養培地は、代表的に、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含み(「HAT培地」)、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を妨げる。
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の高レベルの発現を安定的に支持し、かつHAT培地のような培地に対し感受性である細胞株である。例えば、不死化細胞株としては、マウス骨髄腫株が挙げられ、これは、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,Calif.およびthe American Type Culture Collection,Manassas,Va.から得られ得る。明細書を通して推察されるように、ヒト骨髄腫細胞株およびマウス−ヒトヘテロ骨髄腫細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,Marcel Dekker,Inc.,New York,(1987)pp.51−63)。
ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地は、従って、IgEに対して指向されるモノクローナル抗体の存在についてアッセイされ得る。このハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、またはインビトロ結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA))によって決定され得る。このような技術は、当該分野および当業者の間で公知である。IgEに対するモノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Scatchard分析によって決定され得る(Munsonら,Anal.Biochem、107:220(1980))。
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、このクローンは、限界希釈手順によってサブクローニングされ得、そして標準的方法によって増殖させられ得る(Goding,前出)。この目的のための適切な培養培地としては、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地およびRPMI−1640が挙げられる。
このサブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、従来的免疫グロブリン精製手順(例えば、タンパク質A−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグフィー、ゲル排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析もしくは親和性クロマトグラフィー)によって培養培地から単離され得、そして精製され得る。
モノクローナル抗体の産生のための種々の方法が、当該分野に存在する。従って、本発明は、ハイブリドーマにおけるモノクローナル抗体の産生のみに限定されない。例えば、このモノクローナル抗体は、組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号に記載される)によって作製されてもよい。この文脈において、用語「モノクローナル抗体」とは、1つの真核細胞クローン、1つのファージクローン、または1つの原核生物クローンに由来する抗体をいう。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来的手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖、またはヒト供給源、ヒト化供給源もしくは他の供給源に由来する重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)用意に単離され得、そして配列決定され得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として寄与する。一旦単離されると、DNAは、発現ベクター内に配置され得、この発現ベクターは、次いで、NS0細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞のような宿主細胞(これらは、形質転換されない限り免疫グロブリンタンパク質を産生しない)内に形質転換されて、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得る。このDNAはまた、例えば、ヒト重鎖定常ドメインおよび軽鎖定常ドメインについてのコード配列を、同種のマウス配列と置換すること(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、前出)、または免疫グロブリンコード配列に、非免疫グロブリンポリペプチドについてのコード配列の全体もしくは一部に共有結合させることによって、改変され得る。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインと置換されるか、または本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインと置換されて、1つより多い抗原に結合し得る二価抗体を作製し得る。
この抗体は、一価抗体であってもよい。一価抗体を調製するための方法は、当該分野で周知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖および改変重鎖の組換え発現を包含する。この重鎖は、Fc領域の任意の点で遺伝的に切断されて、重鎖の架橋を防ぐ。あるいは、関連するシステイン残基が、別のアミノ酸と置換されるか、または欠失されて、架橋を防ぐ。
特異的エピトープを認識する抗体フラグメントは、公知の技術によって作製され得る。例えば、本発明において有用であるFabフラグメントおよびF(ab’)フラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを産生するため)もしくはペプシン(F(ab’)フラグメントを産生するため)のような酵素を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク分解性切断によって産生され得る。F(ab’)フラグメントは、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含む。
抗体のヒトにおけるインビボの使用およびインビトロ検出アッセイを含むいくつかの使用のために、キメラ抗体、ヒト化抗体、もしくはヒト抗体を用いることが好ましい場合がある。キメラ抗体は、抗体の異なる部分が異なる動物種に由来する分子であり、例えば、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有する抗体である。キメラ抗体を産生する方法は、当該分野で公知である。例えば、Morrison,Science 229:1202(1985);Oiら,BioTechniques 4:214(1986);Gilliesら,(1989)J.Immunol.Methods 125:191−202;米国特許第5,807,715号;同第4,816,567号;および同第4,816,397号(これらは、本明細書中でその全体が参考として援用される)を参照のこと。ヒト化抗体は、1つ以上の非ヒト種由来の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク(FR)領域を有する所望の抗原に結合する、非ヒト種抗体由来の抗体分子である。多くの場合、ヒトフレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、抗原結合を改変するため、好ましくは改善するために、CDRドナー抗体に由来する対応する残基と置換される。これらのフレームワーク置換は、当該分野で周知の方法によって(例えば、CDRとフレームワーク残基との相互作用をモデリングして抗原結合のために重要なフレームワーク残基を同定すること、および特定の位置における異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較によって)同定される。(例えば、Queenら,米国特許第5,585,089号;Riechmannら,Nature 332:323(1988),(これらは、その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。)
抗体は、当該分野で公知の種々の技術を用いてヒト化され得る。これらの技術としては、例えば、以下が挙げられる:CDR−グラフティング(grafting)(欧州特許第239,400号;PCT公開第91/09967号;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号;および同第5,585,089号)、ベニヤリング(veneering)もしくはリサーフェシング(resurfacing)(欧州特許第592,106号;欧州特許第519,596号;Padlan,Molecular Immunology 28(4/5):489−498(1991);Studnickaら,Protein Engineering 7(6):805−814(1994);Roguskaら,PNAS 91:969−973(1994))、ならびに鎖シャッフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「移入(import)」残基と呼ばれ、代表的に、「移入」可変ドメインから得られる。ヒト化は、本質的にWinterおよび共同研究者ら(Jonesら,Nature,321:522−525(1986);Reichmannら,Nature,332:323−327(1988);Verhoeyenら,Science,239:1534−1536(1988)の方法に従って、複数もしくは単数のげっ歯類CDR配列を対応するヒト抗体の配列と置換することによって実施される。従って、このような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、ここで、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない部分が、非ヒト種からの対応する配列によって置換されている。実際に、ヒト化抗体は、代表的に、ヒト抗体であり、ここで、いくつかのCDR残基がげっ歯類抗体における類似部位から置換され、そしていくつかのFR残基もげっ歯類抗体における類似部位から置換され得る。
一般に、このヒト化抗体は、実質的に全ての可変ドメインもしくは少なくとも1つの可変ドメイン、そして代表的には2つの可変ドメインを含み、ここで、全てもしくは実質的に全てのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、そして全てもしくは実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリン共通配列のFR領域に対応する。このヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)(代表的にはヒト免疫グロブリンFc)の少なくとも一部分を含む(Jonesら,Nature,321:522−525(1986);Riechmannら,Nature 332:323−329(1988)1およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593−596(1992))。
完全ヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置のために特に望ましい。ヒト抗体は、当該分野で公知の種々の方法によって作製され得、これらの方法としては、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いる、上記のファージディスプレイ方法が挙げられる。また、米国特許第4,444,887号および同第4,716,111号;およびPCT公開第98/46645号、同第98/50433号、同第98/24893号、同第98/16654号、同第96/34096号、同第96/33735号、および同第91/10741号(これらの全体は本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。Coleらの技術およびBoerderらの技術もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能である(Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Riss,(1985);およびBoernerら,J.Immunol.,147(1):86−95、(1991))。
ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンを発現し得ないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現可能である、トランスジェニックマウスを用いて産生され得る。例えば、ヒト重鎖免疫グロブリン遺伝子と軽鎖免疫グロブリン遺伝子との複合体が、マウス胚性幹細胞内に無作為に導入されてもよく、もしくは相同組換えによって導入されてもよい。あるいは、ヒトの可変領域、定常領域、および多様性領域(diversity region)が、ヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖遺伝子に加えてマウス胚性幹細胞内に導入され得る。マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子および軽鎖免疫グロブリン遺伝子は、相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と別個に、もしくはこれと同時に、非機能的(non−functional)にされ得る。特に、JH領域のホモ接合体欠損は、内因性抗体産生を防止する。改変胚性幹細胞は、増殖され、そして胚盤胞内にマイクロインジェクションされて、キメラマウスを産生する。このキメラマウスは、次いで、交配されて、ヒト抗体を発現するホモ接合体の子孫を産生する。
このトランスジェニックマウスは、通常の様式で選択された抗原によって免疫化される。この抗原に指向されるモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて免疫化したトランスジェニックマウスから得られ得る。このトランスジェニックマウスによって保持されているヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化の間に再編成され、その後クラススイッチおよび体細胞変異を受ける。従って、このような技術を用いて、治療的に有用なIgG抗体、IgA抗体、IgM抗体およびIgE抗体を産生することが可能である。ヒト抗体を産生するための技術の概要について、LonbergおよびHuszar,Int.Rev.Immunol.13:65−93(1995)を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するための技術ならびにこのような抗体を産生するためのプロトコールの詳細な考察については、例えば、PCT公開第98/24893号;同第92/01047号;同第96/34096号;同第96/33735号;欧州特許第0598877号;米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号;同第5,814,318号;同第5,885,793号;同第5,916,771号および同第5,939,598号を参照のこと。これらの全体は、本明細書中で参考として援用される。さらに、Abgenix,Inc.(Freemont,CA)、Genpharm(San Jose,CA.)およびMedarex,Inc.(Princeton,NJ)のような会社は、上記の技術と同様の技術を用いて、選択された抗原に対して指向されるヒト抗体を提供することを契約可能である。
同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的にもしくは完全に不活性化されているトランスジェニック動物(例えば、マウス)内に導入することによって作製され得る。チャレンジの際、ヒト抗体産生が観察され、この抗体産生は、全ての局面(遺伝子再編成、アセンブリおよび抗体レパートリーの作製を含む)においてヒトにおいて見られる抗体産生と非常に類似している。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,106号において、ならびに以下の科学刊行物:Marksら,Biotechnol.,10:779−783(1992);Lonbergら,Nature368:856−859(1994);Fishwildら,NatureBiotechnol.,14:845−51(1996);Neuberger,NatureBiotechnol.,14:826(1996);LonbergおよびHuszer,Intern.Rev.Immunol.,13:65−93(1995)において記載される。
また、ヒトモノクローナル抗体は、ヒト末梢血白血球、脾細胞もしくは骨髄で移植された免疫化マウスによって作製され得る(例えば、XTLのTrioma技術)。選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「案内選択(guided selection)」と呼ばれる技術を用いて産生され得る。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)が、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を導くために使用される(Jespersら,Bio/technology 12:899−903(1988))。
ヘテロ結合体抗体もまた、本発明において有用であると企図される。ヘテロ結合体抗体は、2つの共有結合した抗体から構成される。このような抗体は、例えば、所望しない細胞に対して免疫系を標的化することが示唆されていた(米国特許第4,676,980号)。この抗体は、合成タンパク化学における公知の方法(架橋剤に関する方法を含む)を用いてインビトロで調製され得ることが企図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いるか、もしくはチオエステル結合の形成によって構築され得る。この目的のための安定な試薬としては、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチリミデート、ならびに例えば米国特許第4,676,980号に開示される試薬が挙げられる。
(抗IgE抗体の同定)
候補抗IgE抗体が、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、ウェスタンイムノブロッティングもしくは他の免疫化学技術によって試験されており、かつ同定され得る。個々の抗体を性質決定するために行われるアッセイとしては、以下が挙げられる:(1)FcεRIを保有する肥満細胞および好塩基球へのIgEの結合の阻害、(2)FcεRIIを保有する樹状細胞およびB細胞へのIgEの結合の阻害、(3)膜IgE保有B細胞への結合、ならびに(4)固相上の組換え可溶性FcεRIタンパク質へのIgEの結合の阻害。1種以上のアッセイが、抗IgE抗体である個々の抗体を選択するために使用され得る。
本発明において有用である抗体としては、限定されないが、天然抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、一価抗体、二重特異性抗体、ヘテロ結合体抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、脱免疫化抗体、もしくはキメラ抗体、単鎖抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーによって産生されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗−Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗−Id抗体を含む)、および上記のいずれかのエピトープ結合性フラグメントが挙げられる。
この抗体は、ヒト抗原結合性抗体フラグメントであってもよく、これらとしては、限定されないが、Fab、Fab’およびF(ab’)、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(sdFv)および(結合性フラグメントの例である)VLドメインもしくはVHドメインを含むフラグメントが挙げられる。一本鎖抗体を含む抗原結合性抗体フラグメントは、可変領域(単数または複数)のみを含んでもよく、またはこれを以下の実体もしくは一部分と組み合わせて含んでもよい:ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン。また、本発明には、可変領域(単数または複数)とヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメインとの任意の組み合わせを含む抗原結合性フラグメントが含まれる。本発明の抗体は、任意の動物起源に由来し得、これらの動物起源としては、鳥類および哺乳類が挙げられる。好ましくは、この抗体は、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、もしくはニワトリである。
本発明において使用される抗体は、認識するかもしくは特異的に結合するIgEのエピトープもしくは部分に関して記載され得るかまたは特定され得る。このエピトープ(単数もしくは複数)またはポリペプチド部分(単数もしくは複数)は、本明細書中で記載されるように、例えばN−末端位置およびC−末端位置によって、連続するアミノ酸残基の大きさによって、または国際公開第05/075504号(本明細書中で参考として援用される)において公開されたエピトープもしくはポリペプチド部分として、特定され得る。
(抗体フラグメント)
抗体フラグメントの産生のために、種々の技術が開発されている。従来、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク分解性消化を介して誘導された(例えば、Morimotoら、Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)およびBrennanら、Science 229:81(1985)を参照のこと)。しかし、これらのフラグメントは、現在、組換え宿主細胞によって直接的に産生され得る。例えば、この抗体フラグメントは、抗体ファージライブラリーから単離され得る。あるいは、F(ab’)−SHフラグメントは、E.coliから直接回収され得、そして化学的に結合されて、F(ab’)フラグメントを形成する(Carterら、Bio/Technology 10:163−167(1992))。別のアプローチに従い、F(ab’)フラグメントは、組換え宿主培養物から直接的に単離され得る。抗体フラグメントの産生のための他の技術は、当業者に明らかである。他の実施形態において、選択される抗体は、単鎖Fvフラグメント(scFv)である(PCT出願公開第93/16185号)。抗体についての結合性フラグメントとしては、Fvフラグメント、F(ab)フラグメントおよびF(ab’)フラグメントが挙げられる。「Fv」フラグメントは、完全な標的認識部位および標的結合性部位を含む。これに関連して、各可変ドメインの3つのCDRは、相互作用して、V−Vダイマーの表面上の標的結合性部位を規定する。集合的に、6つのCDRが、標的結合特異性をこの抗体に与える。しかし、1つの可変ドメイン(もしくは標的に対して特異的な3つのCDRを含むFvの半分)は、完全な結合部位よりも低い親和性においてであるが、標的を認識しそして結合する能力を有する。一本鎖Fv(ScFv)抗体フラグメントは、抗体のVドメインおよびVドメインを含み、ここで、これらのドメインは、1つのポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、VドメインとVドメインとの間のポリペプチドリンカーを含み、このリンカーは、ScFvが標的結合のための所望の構造を形成することを可能にする。
Fabフラグメントは、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1定常ドメイン(CH1)を含む。Fab’フラグメントは、重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端におけるいくつかの残基の付加(抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のヒスチジンを含む)によって、Fabフラグメントと異なる。F(ab’)フラグメントは、F(ab’)ペプシン消化産物のヒンジシステインにおけるジスルフィド結合の切断によって産生される。抗体フラグメントのさらなる化学結合は、当業者に公知である。
(抗IgE抗体を産生する方法)
本発明において有用な抗体は、抗体の合成のための当該分野で公知の任意の方法によって(特に、化学合成によって、好ましくは、組換え発現技術によって)産生され得る。
抗IgE抗体もしくはそのフラグメント(例えば、抗体の重鎖もしくは軽鎖または単鎖抗体)の組換え発現は、この抗体もしくはこの抗体のフラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築を必要とする。一旦、本発明の抗体分子あるいはこの抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはこれらの一部分をコードするポリヌクレオチドが得られたら、この抗体分子を産生するためのベクターが、当該分野で周知の技術を用いる組換えDNA技術によって産生され得る。従って、抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発言することによるタンパク質の調製のための方法が、本明細書中で記載される。当業者に周知である方法が、抗体をコードする配列および適切な転写制御シグナルおよび翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築するために使用され得る。これらの方法としては、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ遺伝的組換えが挙げられる。従って、本発明に有用な抗体分子またはその重鎖もしくは軽鎖、あるいは重鎖もしくは軽鎖の可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能ベクターは、抗IgE抗体を調製するために、プロモーターに作動可能に連結される。このようなベクターは、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含み得(例えば、PCT公開第86/05807号;同第89/01036号;および米国特許第5,122,464号を参照)、そしてこの抗体の可変ドメインは、完全な重鎖もしくは軽鎖の発現のために、このようなベクター内にクローニングされ得る。
この発現ベクターは、従来技術によって宿主細胞に移動され、そしてトランスフェクトされた細胞は、次いで、従来技術によって培養されて、本発明の抗体を産生する。二本鎖抗体の発現のための好ましい実施形態において、完全な免疫グロブリン分子の発現のために、重鎖をコードするベクターおよび軽鎖をコードするベクターの両方が、宿主細胞内に同時発現され得る。
種々の宿主−発現ベクター系が、本発明において有用な抗体分子を発現するために使用され得る。このような宿主−発現系は、目的のコード配列が産生され得、その後精製され得るビヒクルを表すが、また、適切なヌクレオチドコード配列によって形質転換されるかもしくはトランスフェクトされる場合にインサイチュで本発明の抗体分子を発現し得る細胞をも表す。これらとしては、限定されないが、以下が挙げられる:抗体をコードする配列を含む組換えバクテリオファージDNA発現ベクター、組換えプラスミドDNA発現ベクターもしくは組換えコスミドDNA発現ベクターによって形質転換された細菌(例えば、E.coli、B.subtilis)のような微生物;抗体をコードする配列を含む組換え酵母発現ベクターによって形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス属、ピチア属(Pichia));抗体をコードする配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュウロウイルス)によって感染した昆虫細胞系;抗体をコードする配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、タバコモザイクウイルス(TMV))によって感染した植物細胞系、または抗体をコードする配列を含むプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)によって形質転換された植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、293細胞、3T3細胞)。好ましくは、例えばE.coliのような細菌細胞、より好ましくは、特に組換え抗体分子全体の発現のために、真核細胞が、組換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと組み合わせたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)のような哺乳動物細胞が、抗体のための有効な産生系である(Foeckingら,Gene 45:101(1986);Cockettら,Bio/Technology 8:2(1990))。
細菌系において、多くの発現ベクターが、発現される抗体分子について意図される私用に依存して、有利に選択され得る。例えば、抗体分子の薬学的組成物の産生のために大量のこのようなタンパク質が産生される場合、高レベルの容易に精製される融合タンパク質産物の発現を指向するベクターが、所望され得る。このようなベクターとしては、限定されないが、E.coli発現ベクターpUR278(Rutherら,EMBOJ.2:1791(1983))(ここで、抗体をコードする配列は、このベクター内に、lac Zコード領域のフレーム内に個々にライゲーションされ得、それによって融合タンパク質が産生される);pINベクター(Inouye&Inouye,Nucleic Acids Res.13:3101−3109(1985);Van Heeke & Schuster,J.Biol.Chem.24:5503−5509(1989));などが挙げられる。pGEXベクターもまた、外来性ポリペプチドをグルタチオンS−トランスフェラーゼとの融合タンパク質として発現するために使用され得る。一般に、このような融合タンパク質は、可溶性であり、そして、マトリックスグルタチオン−アガロースビーズへの吸着および結合、並びにその後のグルタチオン存在下での溶出によって、溶解した細胞から容易に精製され得る。pGEXベクターが、トロンビンもしくは第Xa因子のプロテアーゼ切断部位を含むように設計され、その結果、クローニングした標的遺伝子産物は、GST部分から放出され得る。
昆虫系において、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)が、外来性遺伝子を発現するためのベクターとして使用される。このウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞において増殖する。抗体をコードする配列は、ウイルスの本質的でない領域(例えば、ポリヒドリン(polyhedrin)遺伝子)内に個々にクローニングされ得、そしてAcNPVプロモーター(例えば、ポリヒドリンプロモーター)の制御下に置かれ得る。
哺乳動物宿主細胞において、多くのウイルスベースの発現系が、使用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、目的の抗体をコードする配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体(例えば、後期プロモーターおよび三部構成(tripartite)リーダー配列)にライゲーションされる。このキメラ遺伝子は、次いで、インビトロもしくはインビボの組換えにより、アデノウイルスゲノム内に挿入され得る。ウイルスゲノムの本質的でない領域(例えば、領域E1もしくは領域E3)への挿入は、感染した宿主において生存可能でありかつ抗体を産生可能である組換えウイルスを生じる(例えば、Logan & Shenk,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:355−359(1984)を参照)。特異的開始シグナルもまた、挿入された抗体をコードする配列の効率的な翻訳のために必要とされ得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接した配列を含む。さらに、この開始コドンは、完全な挿入物の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと同じ相に存在しなければならない。これらの内因性翻訳制御シグナルは、天然起源および合成起源の両方の、種々の起源のシグナルであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写終結因子などを含めることによって増強され得る(Bittnerら,Methods in Enzymol.153:51−544(1987)を参照のこと)。
さらに、挿入された配列の発現を調節するか、または所望される特定の様式で遺伝子産物を改変しかつプロセシングする、宿主細胞株が、選択され得る。タンパク質産物のこのような改変(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、このタンパク質の機能のために重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の転写後プロセシングおよび改変についての特徴および特異的メカニズムを有する。適切な細胞株もしくは宿主系が、発現される外来性タンパク質の正確な改変およびプロセシングを確実にするために選択され得る。この目的のために、一次転写産物の正確なプロセシング、グリコシル化および遺伝子産物のリン酸化のための細胞性機構を有する真核宿主細胞が、使用され得る。このような哺乳動物宿主細胞としては、CHO細胞、COS細胞、293細胞、3T3細胞、もしくは骨髄腫細胞が挙げられる。
組換えタンパク質の、長期間の高収率の産生のために、安定的な発現が、好ましい。例えば、抗体分子を安定的に発現する細胞株が、操作され得る。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いるよりもむしろ、宿主細胞は、適切な発現制御エレメントによって制御されるDNA(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写終結因子、ポリアデニル化部位など)および選択可能なマーカーによって形質転換され得る外来性DNAの導入後、操作された細胞は、富化培地中で1〜2日間増殖させられ得、次いで、選択培地に交換される。組換えプラスミド内の選択可能なマーカーは、選択のための抵抗性を与え、そして細胞に安定的にプラスミドをその染色体内に組み込ませ、そして増殖させて病巣(focus)を形成させる(この病巣が次に細胞株へとクローン化されそして増殖される)。この方法は、抗体分子を発現する細胞株を操作するために有利に使用され得る。このような操作された細胞株は、抗体分子と直接的もしくは間接的に相互作用する化合物のスクリーニングおよび評価において、特に有用であり得る。
多くの選択系が使用され得、これらとしては、限定されないが、以下が挙げられる:単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerら,Cell 11:223(1977))、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska & Szybalski,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202(1992))およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell 22:817(1980))遺伝子が、それぞれ、tk細胞、hgprt細胞もしくはaprt細胞中で使用され得る。また、代謝拮抗物質抵抗性が、以下の遺伝子について選択の基準として使用され得る:メトトレキサートに対する抵抗性を与えるdhfr(Wiglerら,Proc.Natl.Acad.Sci..USA 77:357(1980);O’Hareら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527(1981));ミコフェノール酸に対する抵抗性を与えるgpt(Mulligan & Berg,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072(1981));アミノグリコシドG−418に対する抵抗性を与えるneo(WuおよびWu,Biotherapy 3:87−95(1991));ならびにヒグロマイシンに対する抵抗性を与えるhygro(Santerreら、Gene 30:147(1984))。組換えDNA技術の分野で一般に公知である方法が、所望の組換えクローンを選択するために慣用的に適用され得、そしてこのような方法は、例えば、以下に記載される:Ausubelら(編),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);ならびに第12章および第13章において,Dracopoliら(編),Current Protocols in human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994);Colberre−Garapinら,J.Mol.Biol.150:1(1981)、これらの全体は、本明細書中で参考として援用される。
抗体分子の発現レベルは、ベクターの増幅によって増加し得る(概説について、BebbingtonおよびHentschel,「The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells」(DNA Cloning,第3巻,Academic Press,New York,1987)を参照のこと)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在するインヒビターのレベルにおける増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増やす。増幅した領域は、抗体遺伝子に関連し、抗体の産生もまた、増大する(Crouseら,Mol.Cell.Biol.3:257(1983))。
宿主細胞は、2つの発現ベクター(第1のベクターは重鎖由来ポリペプチドをコードし、第2のベクターは軽鎖由来ポリペプチドをコードする)によって同時トランスフェクションされ得る。この2つのベクターは、同一の選択可能マーカーを含み得、このマーカーは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの同量の発現を可能にする。あるいは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、そして発現可能である、1つのベクターが使用され得る。このような状況において、軽鎖は、毒素非含有重鎖の過剰を防ぐために、重鎖の前に配置されるべきである(Proudfoot,Nature 322:52(1986);Kohler,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:2197(1980))。重鎖および軽鎖についてのコード配列は、cDNAもしくはゲノムDNAを含み得る。
一旦、抗IgE抗体は動物によって産生されるか、化学合成されるか、または組換え的に発現されると、これは、免疫グロブリン分子の精製についての分野で公知である任意の方法によって(例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、特にタンパク質Aの後の特定の抗原についての親和性クロマトグラフィー、およびサイズ排除クロマトグラフィー)、遠心分離、差次的可溶性もしくはタンパク質の精製のための任意の他の標準的技術によって)精製され得る。さらに、抗体もしくはそのフラグメントは、本明細書中で記載される異種接合体ポリペプチド配列、もしくは当該分野で公知の他の配列へと融合して、精製を容易にし得る。
本発明は、ポリペプチドに組換え的に融合されたかもしくは化学的に結合体化(共有結合的結合体化および非共有結合的結合体化を含む)された、抗IgE抗体もしくはそのフラグメントを包含する。本発明において有用な、融合されたかもしくは結合体化された抗体が、当該分野で公知のインビトロイムノアッセイおよび精製方法において使用され得る。例えば、Harborら,前出、およびPCT公開第93/21232号;欧州特許第439,095号;Naramuraら,Immunol.Lett.39:91−99(1994);米国特許第5,474,981号;Gilliesら,Proc.Natl.Acad.Sci.89:1428−1432(1992);Fellら,J.Immunol.146:2446−2452(1991)(これらの全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
さらに、抗体もしくはそのフラグメントは、マーカー配列(例えば、精製をヨウイニするためのペプチド)に融合され得る。好ましい実施形態において、このマーカーアミノ酸配列は、ヘキサ−ヒスチジンペプチドである(とりわけ、例えば、pQEベクター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatsworth,Calif.,91311)において提供されるようなタグであり、これらの多くは市販されている)。Gentzら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824(1989)において記載されるように、例えば、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製のために有用な他のペプチドタグとしては、限定されないが、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに相当する「HA」タグ(Wilsonら,Cell 37:767(1984))および「flag」タグが挙げられる。
(薬学的処方物)
抗IgE抗体もしくはそのフラグメントの治療的処方物が、凍結乾燥処方物としての保存のために調製されてもよく、または所望の程度の純度を有する抗体と、当該分野で代表的に使用される最適な「薬学的に受容可能な」キャリア、賦形剤もしくは安定化剤(これらの全ては「賦形剤」と呼ばれる)を混合することによって水溶液として調製され得る。例えば、緩衝化剤、安定化剤、保存剤、等張化剤、非イオン性界面活性剤、抗酸化剤および他の種々の添加剤。(Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,A.Osol編(1980)を参照。)このような添加剤は、使用される用量および濃度において、レシピエントに対して非毒性でなければならない。治療的処方物はまた、抗IgE抗体もしくはフラグメントと代償療法分子との組み合わせを含有し得る。
緩衝化剤は、およそ生理学的条件の範囲内にpHを維持することを助ける。これらは、好ましくは、約2mM〜約50mMの濃度範囲で存在する。本発明において有用な抗体と共に使用するための適切な緩衝化剤としては、有機酸および無機酸の両方、ならびにそれらの塩が挙げられ、例えば、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物など)、コハク酸緩衝液(例えば、コハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物など)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物など)、フマル酸緩衝液(例えば、フマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物など)、フマル酸緩衝液(例えば、フマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物など)、グルコン酸緩衝液(例えば、グルコン酸−グルコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物など)、シュウ酸緩衝液(例えば、シュウ酸−シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物など)、乳酸緩衝液(例えば、乳酸−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化トリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物など)ならびに酢酸緩衝液(例えば、酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物など)である。さらに、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液およびトリメチルアミン塩(例えば、Tris)が言及され得る。
保存剤は、微生物増殖を遅らせるために添加され得、そして0.2%〜1%(w/v)の範囲の量で添加され得る。本発明において有用な抗体と共に使用するための適切な保存剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化ベンザルコニウム(例えば、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、ヨウ化ベンザルコニウム)、塩化ヘキサメトニウム、アルキルパラベン(例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノールおよび3−ペンタノールが挙げられる。
時々、「安定化剤」として知られる等張剤が、液体組成物の等張性を確実にするために添加され得、そして多価糖アルコール、好ましくは三価糖アルコールもしくはより高級な糖アルコール(例えば、グリセリン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールおよびマンニトール)が挙げられる。
安定化剤とは、機能において、充填剤(bulking agent)から、治療剤を可溶化するかまたは変性もしくは容器の壁への付着を防止することを助ける添加剤までの範囲に及び得る、広範な範疇の賦形剤をいう。代表的な安定化剤は、以下であり得る:多価糖アルコール(上で列挙した);アミノ酸(例えば、アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニンなど)、有機糖もしくは糖アルコール(例えば、乳糖、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロールなど(イノシトールのようなシクリトールを含む);ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー、硫酸含有還元剤(例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α−ものチオグリセロールおよびチオ硫酸ナトリウム);低分子量ポリペプチド(すなわち、10残基未満);ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドン単糖類のような(例えば、キシロース、万ノース、フルクトース、グルコース)親水性ポリマー;二糖類(例えば、乳糖、マルトース、ショ糖)および三糖類(例えばラフィノース);多糖類(例えばデキストラン)。安定化剤は、活性タンパク質の重量あたり0.1〜10,000重量部の範囲で存在し得る。
非イオン性の界面活性剤(surfactant)もしくは界面活性剤(detergent)(「湿潤剤」としても知られる)が、治療剤の可溶化を助け、そして撹拌によって誘導される凝集に対して治療用タンパク質を保護するために添加され得、これは、この処方物が、タンパク質の変性を生じることなく、せん断応力面に曝露され得ることを可能にする。可溶性の非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート(20、80、など)、ポリオキサマー(184、188など)、Pluronic(登録商標)ポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエステル(TWEEN(登録商標)−20、TWEEN(登録商標)−80、など)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/ml、好ましくは約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲内で存在し得る。
さらなる種々の賦形剤としては、充填剤(例えば、デンプン)、キレート化剤(例えばEDTA)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、および共溶媒が挙げられる。本明細書中の処方物はまた、処理されるべき特定の支持のために必要であり、好ましくは、互いに有害に作用しない相補活性を有する、1種より多くの活性化合物を含有し得る。例えば、免疫抑制剤をさらに提供することが、所望され得る。このような分子は、意図される目的のために有効な量の組み合わせで、安定的に存在する。また、この活性成分は、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア(microphere)、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンにおいて、従来技術によってまたは界面重合体化によって調製された微小カプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース微小カプセルもしくはゼラチン微小カプセル、およびポリ(メチルメタクリレート)微小カプセル)中に被包され得る。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,A.Osal編(1980)に記載される。
インビボ投与のために使用される処方物は、無菌である。これは、例えば、滅菌フィルター膜を通してろ過することによって、容易に達成される。徐放調製物が、調製され得る。徐放調製物の適切な例としては、抗体改変体を含む固体疎水性ポリマーの整形された製品の形態(例えば、フィルム)である半透性マトリックス、もしくは微小カプセルが挙げられる。徐放マトリックスの例としては、以下が挙げられる:ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタミン酸塩とのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー(例えばLUPRON DEPOTTM(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射可能ミクロスフィア)、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸。エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸のようなポリマーは、100日間を超えて分子を放出可能であるが、特定のヒドロゲルは、より短い期間でタンパク質を放出する。カプセル化された抗体が、長期間体内に残留する場合、これらは、37℃における湿度への曝露の結果として変性し得るかもしくは凝集し得、このことは、生物学的活性の喪失および免疫原性の変化の可能性をもたらす。関与するメカニズムに依存して、安定化に対する論理的戦略が考え出され得る。例えば、凝集メカニズムが、チオ−ジスルフィド交換を介した分子内S−S結合形成であることが発見される場合、安定化は、スルフヒドリル残基を改変し、酸性溶液から凍結乾燥し、適切な添加剤を用いて水分含量を制御し、そして特定のポリマーマトリックス組成物を開発することによって達成され得る。
特定の障害もしくは状態の処置において有効な抗体もしくはそのフラグメントの量は、障害もしくは状態の性質に依存し、そして標準的臨床技術によって決定され得る。可能な場合、用量−応答曲線を決定し、そして本発明の薬学的組成物を、ヒトにおいて試験する前に、まずインビトロで、次いで有用な動物モデル系で試験することが望ましい。
好ましい実施形態において、抗体もしくはそのフラグメントの水溶液は、皮下注射によって投与される。各用量は、体重1kgあたり約0.5mg〜約50mg、またはより好ましくは、体重1kgあたり約3mg〜約30mgの範囲であり得る。
皮下投与についての投薬スケジュールは、多くの臨床的要因(疾患の種類、疾患の重篤度およびこの治療剤に対する被験体の感受性)に依存して、月に1回から毎日まで変動し得る。
(本発明の治療適用)
抗IgE抗体に結合体化している治療用部分を有するかもしくは有さない抗IgE抗体であって、単独で投与されるかまたは細胞毒性因子と組み合わせるかもしくは代償療法と組み合わせて投与される抗IgE抗体が、治療薬として使用される。本発明は、抗体ベースの治療を包含し、この治療は、抗IgE抗体を好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトである動物に、代償療法に関連するIgE媒介型疾患、障害もしくは状態を処置するかもしくは予防するために投与する工程を、包含する。
本発明において有用な抗IgE抗体は、種々の疾患において治療的に使用され得る。この抗体は、IgE媒介型応答を誘発する代償療法分子が患者に投与されている任意の疾患の処置において使用され得、それによって、アナフィラキシーショックの危険性を低減し、もしくはアレルギー性メディエータの放出に関連する過敏症を軽減する。これらの抗体はまた、投与された分子に特異的な中性化IgE分子を除去することによって、代償療法分子の処置の頻度を低下させ得、そして/または用量を減少させ得る。IgEに対する高親和性かつ/もしくは強力なインビボ阻害性抗体および/または中性化抗体、そのフラグメントあるいは領域を、障害の治療のために使用することが好ましく、そして好ましくは、本発明の方法における治療のために適用可能な好ましい抗体は、感作した肥満細胞および好塩基球上に結合したIgEと反応するべきではないが、可溶性IgEおよびB細胞上の膜IgEに対する認識可能性は残っていなければならない。
本発明において有用な治療用化合物としては、限定されないが、抗IgE抗体(本明細書中で記載されるように、これらのフラグメント、アナログおよび誘導体を含む)および抗体をコードする核酸である。本発明において有用である抗体は、当該分野で公知であるかまたは本明細書中に記載される、薬学的に受容可能な組成物中で提供され得る。このようなIgEイソ型特異的抗体は、Changら(Biotechnology 8、122−126(1990))、欧州特許第0407392号、およびいくつかの米国特許(米国特許代5,449,760号、同第5,422,258号、および同第5,614,611号)によって記載されている。本発明において有用である他の抗体としては、国際公開第04070010号および同第04070011号に記載される高親和性抗IgE抗体、ならびに米国特許第5,965,709号;同第5,994,511号;同第6,172,213号;同第6329,509号;同第6,682,735号および同第6,761,889号において記載される抗IgE抗体が挙げられる。これらの特許および特許出願の全ては、本明細書中で参考として援用される。
この抗IgE抗体は、単独で投与されてもよく、または他の種の処置(例えば、免疫療法、気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬もしくは抗ロイコトリエン)と組み合わせて投与されてもよい。
この抗IgE抗体は、代償療法の前、代償療法の間もしくは代償療法の後で投与され得る。上述のように、代償療法は、血友病Aもしくは血友病B、ムコ多糖症、ゴーシェ病およびファブリー病、ならびにポーンプ病および他の生物学的タンパク質遺伝性欠損もしくは生物学的タンパク質後天性欠損を有する患者を処置するために使用される。代償療法は、急性でもしくは長期にわたって与えられ得る。代償療法としては、限定されないが、酵素代償療法、IgG代償療法およびホルモン代償療法が挙げられる。代償療法の一般的な例は、血友病を処置するための、低下しているかもしくは失われている凝固因子の血流中への直接の注射である。
抗IgE抗体は、1種以上の代償療法分子投与の前、投与の間もしくは投与の後で投与され得る。代償療法分子としては、限定されないが、第VIII因子および第IX因子を含む凝固因子;ヒトα−L−イズロニダーゼ;ラロニダーゼ(laronidase);ヒトβ−グルコセレブロシダーゼ;イミグルセラーゼ(imiglucerase);アルグルセラーゼ(alglucerase);ヒトβ−ガラクトシダーゼA;アガルシダーゼβ;ヒトα−グルコシダーゼ;アルグルコシダーゼα;もしくは哺乳動物における欠損タンパク質を置き換えるために投与され、かつIgE媒介型反応を引き起こし得る任意のタンパク質が挙げられる。代償療法分子は、遺伝子治療のために送達される分子もしくは遺伝子治療を介して送達される分子を含み得る。例えば、ヒトβ−グルコセレブロシダーゼは、遺伝子治療の使用によって代償療法分子を置き換えるように送達され得る。
本発明は、有効量の抗IgE抗体もしくは抗IgE抗体を含有する薬学的組成物の哺乳動物への投与による、過敏症および/またはアナフィラキシーの処置および予防のッ方法を提供する。好ましい局面において、この抗体は、実質的に精製されている(例えば、その効果を制限するかもしくは望まない副作用を生じる物質を実質的に非含有である)。
種々の送達系が、公知であり、そして本発明において有用である抗体を投与するために使用され得る。これらとしては、例えば、注射、リポソームへのカプセル化、微小粒子、微小カプセル、この化合物を発現可能である組換え細胞、レセプター媒介型エンドサイトーシス(例えば、Wuら、J.Biol.Chem.262:4429−4432(1987)を参照のこと)、レトロウイルスもしくは他のベクターの一部としての核酸の構築などが、挙げられる。
上記抗IgE抗体は、任意の受容可能な様式で、哺乳動物に投与され得る。導入の方法としては、限定されないが、皮内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路、鼻腔内経路、硬膜外経路、吸入経路および経口経路が挙げられる。この抗体または組成物は、任意の簡便な経路によって(例えば、輸液もしくはボーラス注射によって、上皮もしくは粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など)を介する吸着によって)投与され得、そして他の生物学的に活性な薬剤と共に投与され得る。投与は、全身投与であっても、局所投与であってもよい。加えて、任意の適切な経路(心室内注射およびクモ膜下腔内注射を含む)によって、治療用抗体もしくは治療用組成物を、中枢神経系に導入することが所望され得る。心室内注射は、(例えば、Ommayaレザバのようなレザバに結合した)心室内カテーテルによって容易にされ得る。例えば、吸入器もしくはネブライザーおよびエアロゾル化剤による処方物の使用による肺投与が、使用され得る。この交代はまた、乾燥粉末組成物の形態で患者の肺内に投与され得る(例えば、米国特許第6,514,496号を参照)。
特定の実施形態において、本発明において有用な治療用抗体もしくは治療用組成物を、処置の必要な領域に局所的に投与することが所望され得る。このことは、例えば、限定されないが、局所的注入、局所的塗布、注射によって、カテーテルによって、坐剤によってまたは移植物(この移植物は多孔性、非多孔性、またはゼラチン質物質であり、sialastic膜のような膜もしくは膜を含む)によって、達成され得る。好ましくは、抗体を投与する場合、抗体が吸収されない材料を使用することに注意を要する。
別の実施形態において、この抗体は、小胞(特にリポソーム)中で送達され得る(Langer,Science 249:1527−1533(1990);Treatら,Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer,Lopez−Berestein and Fidler(編),Liss,New York,pp.353−365(1989);Lopez−Berestein、同書,pp.317−327を参照;一般に同書を参照)。
なお別の実施形態において、この抗体は、制御放出系において送達され得る。1つの実施形態において、ポンプが使用され得る(Langer,前出;Sefton,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987);Buchwaldら,Surgery 88:507(1980);Saudekら,N.Engl.J.Med.321:574(1989)を参照)。別の実施形態において、ポリマー材料が、使用され得る(Medical Applications of Controlled Release,Langer and Wise(編),CRC Pres.,Boca Raton,Fla.(1974);Controlled Drug Bioavailability,Drug Product Design and Performance,SmolenおよびBall(編),Wiley,New York(1984);RangerおよびPeppas,J.,Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61(1983)を参照;また、Levyら,Science 228:190(1985);Duringら,Ann.Neurol.25:351(1989);Howardら,J.Neurosurg.71:105(1989)を参照)。なお別の実施形態において、制御放出系は、治療標的の近くに配置され得る。
代償療法分子を受けている哺乳動物におけるIgE媒介型反応の処置もしくは予防において有効な抗体の量は、例えば、標準的臨床研究において決定され得る。この抗体は、疾患に合致する処置レジメンにおいて、疾患状態を緩和するために例えば、1〜数日間にわたる1回または数回の用量で投与され得るか、または過敏症もしくはアナフィラキシーの脅威を予防するためにより長期間にわたって定期的な用量で投与され得る。さらに、インビトロアッセイが、最適容量範囲を同定することを補助するために、必要に応じて使用され得る。処方物中に使用される正確な用量はまた、投与の経路および疾患もしくは障害の深刻さに依存し、そして臨床医の判断もしくは各患者の環境にしたがって決定され得る。有効用量は、インビトロ試験系もしくは動物試験系に由来する用量−応答曲線から外挿され得る。
抗体について、患者に投与される投薬量は、代表的に、患者の体重の0.1mg/kg〜100mg/kgである。好ましくは、患者に投与される投薬量は、患者の体重の0.1mg/kgと20mg/kgとの間、より好ましくは患者の体重の1mg/kg〜10mg/kgである。一般に、ヒト抗体は、外来性ポリペプチドに対する免疫反応に起因して、他の種の抗体よりも、ヒトの体内においてより長い半減期を有する。したがって、多くの場合、より低用量のヒト抗体および/または低頻度の投与が、可能である。さらに、抗IgE抗体の投薬量および投与の頻度は、抗体の(例えば、脳内への)取り込みおよび組織浸透を、例えば脂質化(lipidation)のような改変によって増強することによって低下され得る。
さらに、本発明において有用な抗体は、例えば異種ポリペプチド、薬物、放射性核種もしくは毒素のような種々のエフェクター分子に結合体化され得る。例えば、PCT公開第92/08495号;同第91/14438号;同第89/12624号;米国特許第5,314,995号;欧州特許第396,387号を参照。抗体もしくはそのフラグメントは、治療用部分に結合体化され得、この治療用部分は、例えば、細胞毒素(例えば、細胞増殖抑制性剤もしくは殺細胞剤)、治療剤もしくは放射活性金属イオン(例えば、例えば213Biのようなα−放射体)である。細胞毒素もしくは細胞毒性剤としては、細胞に有害である任意の薬剤が挙げられる。例としては、パクリタキソール(paclitaxol)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびプロマイシンおよびそれらのアナログもしくはホモログが挙げられる。治療剤としては、限定されないが、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(正式名称ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(正式名称アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)。
結合体は、所与の生物学的反応を改変するために使用され得るが、治療剤もしくは薬物部分は、古典的化学治療剤に限定されると解釈されない。例えば、この薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質もしくはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば、以下が挙げられ得る:毒素(例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素またはジフテリア毒素);タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経増殖因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノゲン活性化剤、アポトーシス剤(例えば、TNF−α、TNF−β、AIM I(国際公開第97/33899号を参照)、AIM II(国際公開第97/34911号を参照)、Fasリガンド(Takahashiら,Int.Immunol.,6:1567−1574(1994))、VEGI(国際公開第99/23105号を参照)、血栓剤もしくは抗脈管形成剤(例えば、アンジオスタチンもしくはエンドスタチン;または、生物学的反応改変剤(例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または他の増殖因子。
以下の実施例は、例示のために提供され、限定のためには提供されない。
(実施例1 TES−C21およびTESC−2の産生および分泌)
雄性Balb/cマウスを、血清から精製したポリクローナルヒトIgEによって、数回免疫化した(Ventrexによって提供される)。このIgEを、適切なアジュバントと組み合わせた。マウスを、最後の免疫原の注射後に屠殺し、そして脾臓を、骨髄腫細胞との融合のための単個細胞浮遊液を調製するために摘出した。脾臓細胞を、ポリエチレングリコール1450(Kodak)、CMF−PBSおよびDMSOの融合混合物を使用して、Sp2/0と融合させた。DMEMを、細胞浮遊液を混合した後に添加した。
次いで、この融合から得られたハイブリドーマを、Immulon 2プレートに結合したヒトIgEに対する酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)によってスクリーニングした。これらのハイブリドーマのうちの1つは、マウス抗IgE抗体TES−C21を産生した。
Sp2/0細胞を、TES−C21 H鎖およびTES−C21 L鎖の可変領域をコードする核酸配列、ならびにヒトγ1定常領域およびヒトκ定常領域をコードする核酸配列によって同時トランスフェクトし、そして選択のために96ウェルプレート内に等分した。上清を、ヒトIgEに結合するヒトIgGの分泌のためにスクリーニングした。
トランスフェクトーマ(transfectoma)細胞を、無血清培地中で増殖させるために馴化させた。次いで、得られたキメラクローンTESC−2を、固定化プロテインAカラムを用いて、コンフルーエントな培養物の培地から精製した。
TES−C21を、ELISAによってさらにスクリーニングし、そしてヒトIgEに特異的であり、IgG、IgM、IgA、IgD、ヒト血清アルブミン、トランスフェリンもしくはインスリンと交差反応しないことを確認した。TES−C21は、種々のヒトIgE分子に、同等に良好に結合した。TES−C21は、用量依存性様式において、IgE分泌性細胞株であるSKO−007、U266およびSE44に結合した。このことは、ヒト膜IgEへの結合を示す。しかし、TES−C21は、表面IgM、IgD、IgG、もしくはIgAを保有するヒトB細胞株、またはT細胞株、あるいはSE44の親マウス細胞株、あるいはキメラヒトIgGを分泌するマウス細胞株には結合しなかった。TES−C21はまた、広範な種々の細胞種上に存在する低親和性FcεRIIレセプター上のIgEにも結合しなかった。これはまた、新鮮に調製したヒト血液好塩基球からのヒスタミン放出を誘導しなかった(この好塩基球上で、FcεRIは、IgEによって覆われる)。10μg/mlにおいて、TES−C21は、FcεRIIに対する1μgのIgEの結合を完全に阻害し得る。
(実施例II 結合選択性の決定)
TESC−2およびTES−C21は、マイクロタイタープレートに結合したIgEに対して、同等に良好に結合した。このことを、以下のように実証した。Immulon 2プレートを、HIV−1 gp120由来R15 Kペプチド−オボアルブミン結合体でコーティングし、そしてSE44(HIV−1 gp120由来ペプチドR15Kに結合する抗体の可変領域を保有するキメラヒトIgE)を、この固定化抗原に結合させた。種々の濃度のTES−C21もしくはTESC−2を、添加した。結合を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(「HRP」)−結合体化ヤギ抗マウスIgG(TES−C21に対して)もしくはHRP−ヤギ抗ヒトIgG,Fc(TESC−2に対して)のいずれかを用いて、検出した。TESC−2およびTES−C21は、マイクロタイタープレートに結合したIgEについて同じ相対親和性を有することを決定した。
また、TESC−2およびTES−C21は、IgE産生細胞(SKO−007)に対する結合を同等に示した。このことを、このような細胞を、2x10個の細胞/100μl PBS−1%ヤギ血清で、種々の抗体濃度で、0℃で30分間インキュベーションすることによって、実証した。TES−C21の結合を、FITC−ヤギ(Fab)抗マウスIgGを用いて検出した;TESC−2の結合を、FITC−ヤギ(Fab)抗ヒトIgGを用いて検出した。結合を、Coulter Epics Vを用いて蛍光フローサイトメトリーによって定量化した。FITC強度ゲート(intensity gate)を、一次免疫グロブリンの非存在下で、収率10%±0.5%陽性細胞に設定した。
TES−C21も、TESC−2も、低親和性IgEレセプターに結合しているIgEには結合しなかったことを見出した。TESC−2がCD23と複合体化したIgEを認識した可能性を、IgG分泌性ヒトリンパ芽腫株であるIM−9の細胞を用いて研究した。IM−9細胞上のCD23の存在を、抗−Leu 20(CD23に特異的なMAb)によるその強力な染色によって確認した。IM−9細胞を、5〜10μg/mlのヒトIgEと共にインキュベーションし、洗浄し、次いでビオチン標識化TESC−2もしくはポジティブコントロールである抗IgE MAb TES−19と共にインキュベーションし、その後、FITC−ストレプトアビジンと共にインキュベーションし、そしてフローサイトメトリーによって分析した。
キメラTESC−2およびマウスTES−C21の両方が、IgEのFcεRIIへの結合を阻害することを示した。この抗体を、種々の濃度で、20μg IgE−SE44と共に1時間37℃で事前インキュベーションし、その後、FcεRIIを保有するIM−9細胞を添加した。IgEへの結合を、ビオチン化TES−19およびFITC−ストレプトアビジンを用いて検出し、そして蛍光フローサイトメトリーによって定量化した。
これらの実験においてTESC−2およびIgEの免疫複合体がその事前インキュベーションの間に形成され、それによって擬陽性が生じた可能性を否定しことをするために、これらの免疫複合体もまた、FcεRIIに結合しなかったことを、ビオチン標識化TESC−2もしくはFITCヤギ抗ヒトIgE(TES−C21を有する)を用いて確認した。
(実施例III ヒスタミン放出アッセイ)
以下の表1に示すように、TESC−2も、TES−C21も、新鮮に調製されたヒト血液好塩基球からのヒスタミン放出を誘導しなかった(この好塩基球において、FcεRIは、IgEによって覆われる)。異なるドナーの好塩基球からのメディエータの可変性放出に起因して、この抗体を、多数の濃度で、多数のドナー由来の好塩基球調製物において試験した。TESC−2もしくはTES−C21によるヒスタミン放出の指標は、観察されなかった。しかし、表面IgEとポリクローナルヤギ抗IgE抗体との架橋は、ヒスタミン放出を誘導した。
Figure 2008515806
TES−C21が好塩基球に結合し、そしてレセプターの架橋を誘導してヒスタミン放出を誘導し得る可能性に取り組むために、架橋剤もしくは他の薬剤の導入の際に、二次抗体を、架橋のために使用した。既に単離した好塩基球上のFcγRに結合しているヒトIgGが存在するという事実に起因して、抗ヒトIgGのみがヒスタミンを誘導するので、マウス抗体TES−C21のみを、これらの実験において使用した。架橋ヤギ抗マウスIgGは、ポジティブコントロールマウス抗ヒトIgEの最適未満の濃度(これは、ヒトIgEのFcεRIへの結合を阻害しない)によって誘導したヒスタミン放出を増大した。しかし、TES−C21は、これらの非常に許容的な条件下でヒスタミンを誘導しなかった。
豪州特許第675449号(1997年5月25日付与)に詳細に記載されるように、マウス抗体TES−C21のヒト化バージョンを作製した。他のヒト化抗IgE抗体に対する手順と類似の手順に従い得る。本発明に使用するために適するヒト化抗IgE抗体を産生するいくつかのトランスフェクトーマが、以下の受託番号の下でATCCから利用可能である:11130;11131;11132;11133。受託番号11131の下で寄託されたトランスフェクトーマから産生する抗IgE抗体と類似する抗IgE抗体は、とりわけ、アトピー性皮膚炎の処置のための完全な臨床的開発の可能性を有する。アトピー性皮膚炎の処置のために適する別のヒト化抗体は、E25(rhuMAb−E25)であり、これは、Genentech,Inc.によって製造される。この抗体は、Prestaら,J.Immunol.151:2623−2632(1993)において記載される。
上記の説明、用語、表現および実施例は、例示のみであり、限定ではない。本発明は、上記の実施形態の、公知および未知の両方の、全ての均等物を包含する。本発明は、以下の特許請求の範囲によって規定され、そして本明細書および任意の他の出展のいかなる部分のいかなる他の記載によっても限定されない。

Claims (25)

  1. IgE媒介型反応を誘発する1種以上の代償療法分子を投与されている哺乳動物において過敏症および/またはアナフィラキシーを処置するための方法であって、該方法は、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントを、過敏症および/またはアナフィラキシーを処置もしくは予防するために十分な量で該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
  2. 代償療法分子を投与されている哺乳動物においてIgE媒介型反応を低減させるかもしくは予防する方法であって、該方法は、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントを、該IgE媒介型反応を低減させるかもしくは予防するために十分な量で該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
  3. IgE媒介型反応を誘発する代償療法分子を投与されている哺乳動物においてアナフィラキシーの危険性を低下させる方法であって、該方法は、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントを、アナフィラキシーの危険性を低下させるために十分な量で該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
  4. IgE媒介型反応を誘発する代償療法分子を投与されている哺乳動物において免疫寛容を誘導する方法であって、該方法は、有効脱感作量の代償療法抗原を、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントと組み合わせて、該代償分子に対する寛容を誘導するために十分に該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
  5. 代償療法分子を投与されている哺乳動物においてIgE抗体産生を阻害するための方法であって、該方法は、該哺乳動物に、IgE抗体産生を阻害するために十分な量の抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントを投与する工程を包含する、方法。
  6. 疾患を有効に処置するために必要な代償療法分子の量を減少させる方法であって、該方法は、哺乳動物に、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントを、中和IgEを減少させて必要な代償療法分子の量を減少させるために十分に投与する工程を包含する、方法。
  7. 代償療法を哺乳動物に投与する方法であって、該方法は、代償療法分子を哺乳動物に投与する工程、および抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントを該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
  8. 前記抗IgE抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記モノクローナル抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体もしくは単鎖抗体である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記モノクローナル抗体が、生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤もしくは安定化剤をさらに含有する組成物として投与される、請求項8に記載の方法。
  11. 前記結合性フラグメントが、ScFv、Fv、Fab、F(ab’)もしくはF(ab’)である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記抗体が、静脈内投与されるか、腹腔内投与されるか、吸入によって投与されるか、筋肉内投与されるか、皮下投与されるか、もしくは経口投与される、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記IgE媒介型反応は、アレルギー性反応である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記代償療法分子は、第VIII因子、第IX因子、ヒトα−L−イズロニダーゼ、ヒトβ−グルコセレブロシダーゼもしくはヒトβ−ガラクトシダーゼAである、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の方法。
  15. IgE媒介型反応を誘発する1種以上の代償療法分子を投与されている哺乳動物において過敏症および/またはアナフィラキシーを処置もしくは予防するための医薬の調製における、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントの使用。
  16. 代償療法分子を投与されている哺乳動物においてIgE媒介型反応を低減させるかもしくは予防するための医薬の調製における、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントの使用。
  17. IgE媒介型反応を誘発する代償療法分子を投与されている哺乳動物においてアナフィラキシーの危険性を低下させるための医薬の調製における、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントの使用。
  18. IgE媒介型反応を誘発する代償療法分子を投与されている哺乳動物において免疫寛容を誘導するための医薬の調製における、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントの使用。
  19. 代償療法分子を投与されている哺乳動物においてIgE抗体産生を阻害するための医薬の調製における、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントの使用。
  20. 疾患を有効に処置するために必要な代償療法分子の量を減少させるための医薬の調製における、抗IgE抗体もしくはその結合性フラグメントの使用。
  21. 前記抗IgE抗体が、モノクローナル抗体である、請求項13〜請求項18のいずれか1項に記載の使用。
  22. 前記モノクローナル抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体もしくは単鎖抗体である、請求項19に記載の使用。
  23. 前記モノクローナル抗体が、生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤もしくは安定化剤をさらに含有する組成物として投与される、請求項19に記載の使用。
  24. 前記結合性フラグメントが、ScFv、Fv、Fab、F(ab’)もしくはF(ab’)である、請求項13〜請求項18のいずれか1項に記載の使用。
  25. 代償療法分子および抗IgE抗体またはその結合性フラグメント、アナログもしくは誘導体を含有する、薬学的組成物。
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