JP2008512800A - 流動接触分解ユニットへの異常事象検知技術の適用 - Google Patents

流動接触分解ユニットへの異常事象検知技術の適用 Download PDF

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Abstract

本発明は、流動接触分解ユニットのプロセス・ユニットにおける異常事象を検知する方法である。本方法は、プロセス・ユニットの動作を統計および工学モデルと比較する。統計モデルは、これらの装置の正常動作の主成分分析により構築される。また、当該工学モデルは、部分最小二乗法分析および変数間の相関分析に基づいている。プロセス・ユニットと正常なモデル結果の動作の差違が異常状態を示す場合、異常状態の原因を特定して是正する。
【選択図】図1

Description

本発明は、供給予熱装置、反応炉、再生装置、湿式ガス圧縮機、主精留装置および下流ライトエンド処理塔を含む流動接触分解ユニット(FCCU)の動作に関する。特に、本発明は、プロセスが正常動作から逸脱している場合の検知およびプロセスの異常部分を分離する通知の自動生成に関する。
接触分解は、重質油をより有用なガソリンおよびより軽量の生成物に変換する最重要且つ広範に利用されている精練プロセスの一つである。当該プロセスは、現代的な精練所の中心であるFCCUにおいて実行される。FCCUは、反応炉および再生装置を含む、複雑且つ緊密に統合されたシステムである。図23に、典型的なFCCUのレイアウトを示す。新規供給およびリサイクルの流れは、熱交換器により予熱され、フィードライザ底部で装置に投入されて高温再生触媒に混ぜ合わせられる。FCCプロセスは触媒を、蒸気に通された際に流体として振舞う極めて微細な粒子(約70ミクロン)の形状で使用する。平均ライザ反応炉温度は900〜1000°F、油供給温度は500〜800°F、触媒の再生装置出口温度は1200〜1500°Fの範囲にある。当該プロセスは、フィードライザ線内で高温の供給油に触媒を接触させる工程を含む。触媒からの熱で供給油を蒸発させて所望の反応温度まで上昇させる。分解反応は、供給油がライザ内の高温触媒に接触した時に始まり、反応炉内で油蒸気が触媒から分離されるまで続く。分解反応が進行するにつれて、触媒の表面におけるコークスの形成により、触媒が次第に不活性化する。使用済み触媒は再生装置内に流入し、コークス堆積物を空気で焼き払うことにより再生される。煙道ガスおよび触媒は、サイクロン集塵器において分離される。流動化された触媒は、反応ゾーンと再生ゾーンの間を連続的に循環して、再生装置から供給油と反応炉へ熱を伝導する媒体として作用する。触媒および炭化水素蒸気は機械的に分離され、触媒に残留している油は、触媒が再生装置に入る前に水蒸気蒸留により除去される。いくつかの装置の触媒は、再生装置を出る際に水蒸気蒸留されて、触媒が油供給と接触する前に吸着酸素を除去する。炭化水素蒸気は、合成精留装置へ送られて液体およびガス状生成物に分離される。これらは次いで、下流のライトエンド塔で更に精製されて、ガソリンその他の商品生成物が製造される。FCCUおよび下流装置の完全な模式図を図24に示す。
FCCUの複雑な動的特性に起因して、各種の根本原因により異常なプロセス動作が生じ易く、深刻な問題に発展して工場の操業停止にまで至る恐れがある。これらの動作は、生産の機会損失から、設備の損傷、環境汚染、死傷事故の発生に到る深刻な安全および経済的な打撃を与えかねない。オペレータの主要な仕事は、異常な状況の原因を突き止めて、適時的且つ効率的に補償または是正措置を行なうことである。
米国特許第5,859,964号明細書 米国特許第5,949,678号明細書 米国特許第6,522,978号明細書 米国特許第6,368,975号明細書 米国特許第6,466,877号明細書 米国特許第6,521,080号明細書 米国特許第6,564,119号明細書 米国特許第6,636,842号明細書 Cardoso,J.ら著「Fuzzy Petri Nets:An Overview」(13th Word Congress of IFAC、Vol.I:Identification II、Discrete Event Systems、San Francisco、CA、USA、1996年6月30日〜7月5日、443〜448ページ) Jackson,E.著「A User’s Guide to Principal Component Analysis」(John Wiley & Sons、1991) Kourti,T.著「Process Analysis and Abnormal Situation Detection:From Theory to Practice」(IEEE Control Systems Magazine、2002年10月、10〜25ページ) Ku,W.著「Disturbance Detection and Isolation for Statistical Process Control in Chemical Processes」(PhD論文、Lehigh University、1994年8月17日) Martens,H.およびNaes,T.著「Multivariate Calibration」(John Wiley&Sons、1989) Piovoso,M.J.ら著「Process Data Chemometrics」(IEEE Trans on Instrumentation and Measurement、Vol.41、No.2、1992年4月、262〜268ページ)
現在実用化されているのは、高度なプロセス制御装置アプリケーションを用いて軽微なプロセス撹乱に応答して自動的にプロセスを調整し、中程度〜重度の異常動作の場合はプロセスへの人の介入に依存して、極めて重大な異常動作の場合は自動非常プロセス停止システムを用いることである。コンソールのオペレータに異常なプロセス動作が始まったことを知らせる通常の方式は、プロセス警報を介するものである。これらの警報は、主要なプロセス測定値(温度、圧力、流量、レベルおよび組成)が動作範囲の所定の静的な組から逸脱した場合に作動する。この通知技術は、主要な測定値同士がFCCU等の複雑なプロセスにおける相関が求められた場合、偽陽性の発生率を低く抑えながらタイムリな警報を発することは困難である。
典型的なFCCUの動作に対応する600種を超える主要なプロセス測定値が存在する。従来型の分散制御システム(DCS)配下で、オペレータはセンサーのリストおよびその傾向を調べ、正常FCCU動作について記憶している知識と比較して、自身のスキルを用いて潜在的な問題を検知しなければならない。動作中のFCCUには極めて多くセンサーがあるため、異常を見過ごしやすい場合がある。現在のDCSに基づく監視技術では、オペレータが有する唯一の自動化された検知支援機能は、所定の限度を超えた場合に各センサーに警報を発することに基づくDCS警報システムである。FCCUのように大規模且つ複雑なあらゆるプロセスにおいて、この種の通知は往々にして到着が遅過ぎるため、オペレータが問題を抑制すべく予防的処置を講じるための充分な時間が取れない。本発明は、FCCUのオペレータにより効果的に通知を提供する。
本発明は、FCCUのプロセス・ユニット用に異常事象を検知する方法である。異常事象検知(AED)システムは、多数の高度に統合された動的プロセス・ユニットを含んでいる。本方法は、現在の動作を、対応ユニットの正常動作の各種のモデルと比較する。ユニットの動作と正常動作の差違がプロセス・ユニットにおける異常状態を示す場合、異常状態の原因が特定されて、オペレータが是正処置を講じるべく関連する情報を効率的に提示する。
本発明は、異常事象検知(AED)技術を用いて、オペレータに対し、FCCU区画における異常状態の早期通知を提供する方法である。
スナップショットに基づいてオン/オフの表示だけを行なう警報技術とは対照的に、本方法はファジー論理を用いて、動作上の問題に寄与する異常性を立証する複数の証拠を組み合わせて、その確率をリアルタイムに推定する。この確率を、連続信号としてオペレータに提示することにより、現行の単一センサーの警報に基づくオン/オフ方法に付随するチャタリングが除去される。オペレータには、問題の完全な調査および根本原因まで掘り下げて的を射た処置を講じることを可能にする一組のツールが提供される。この方式は、オペレータに対し、従来の警報システムより数分〜数時間も早い、異常動作の高度な警告を与えることが示されてきた。このような早期の通知により、オペレータは情報に裏付けられた決断を行ない、問題の拡大や災害を回避するための是正処置を講じることができる。本方法はFCCUに成功裏に適用されている。例えば、図27に、触媒循環問題(下位問題の詳細は後述する)に対する完全な掘り下げを示す。
FCCUアプリケーションは、特定の動作に関する知識の各種の出典を用いて、主成分分析法(PCA)、部分最小二乗法(PLS)に基づく推論モデル、相関に基づく工学モデル、および関連するセンサー変換からの表示を組み合わせて、いくつかのファジー論理ネットワークに統合する。このファジー論理ネットワークは、証拠を集約して、潜在的な問題の信頼度を示す。従って、ネットワークは問題の初期拡大段階において、より高い信頼度を以ってこれを検知することができ、オペレータに対し、重大な事故を回避すべく補償的または是正的処置を講じるために必須なリードタイムを与えることができる。これは、DCSシステムからの単一センサー警報に基づいてFCCUを監視する現行の実用方式に対する主要な優位性である。FCCUの複雑且つ高速の動的特性に起因して、オペレータが動作上の問題を回避するには警報が届くのが遅すぎるか、或いは、膨大な警報がオペレータに殺到して当人を混乱させ、対応を支援するどころか却って阻害してしまう場合が極めて多い。
接触分解ユニットは、設備グループ(主要な機能区画または動作区画と称する)に分けられる。これらの設備グループは、その設計に応じて、異なる接触分解ユニット毎に異なっていてよい。接触分解ユニットの特定のプロセス・ユニットを含む設備グループを選択する手順を付録1に記述している。
好適な実施形態において、本発明は流動接触分解ユニット(FCCU)動作を以下の全般的モニター即ち、
1.全般的FCCU例外動作
2.全般的FCCU極限動作
3.全般的触媒ライトエンド例外動作
4.全般的触媒ライトエンド極限動作
およびこれらの特別要注意モニターに分類する。
1.反応炉−再生装置触媒循環
2.再生装置スタックバルブ動作
3.サイクロン動作
4.送風機動作
5.炭素収支チェック
6.主精留装置への触媒キャリーオーバー
7.湿式ガス圧縮機
8.バルブ−流量整合性モデル
全般的モニターは、全般的動作に何らかの逸脱があれば検知して多数のセンサーをカバーすべく「グロスモデル検査」を実行する。特別要注意モニターは、潜在的に重大な要注意領域をカバーして、早期検知用の的を絞ったモデルで構成されている。本アプリケーションは、これらのモニターの全てに加え、正常/通常の動作関連事象から生じる通知を抑制して特別な原因の動作による偽陽性を除去する等を行なう、いくつかの実用的なツールを提供する。
A.オペレータ・インターフェース
オペレータ・ユーザー・インターフェースは、オペレータにプロセスの全体像を示すため、システムに必須な構成要素である。ディスプレイは、オペレータにFCCU動作の全体像を素早く提示して、拡大しつつある異常があればその確率を示すことを意図している。
図25に、本システムのオペレータ・インターフェースを示す。オペレータ・インターフェースの設計検討に関する詳細な説明を、付録1のIV節内の「AED用のPCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備」節のサブセクション「オペレータ対話環境およびインターフェースの設計」に記述している。本インターフェースは上述の異常事象モニターで構成されている。これは、各動作域において重要な異常兆候のリストを表わすために開発された。モデルの結果を主要なセンサーの状態と比較することにより異常兆候が生成される。ファジー論理を用いて異常な徴候を集約し、ある問題生じる単一の確率を評価する。各区画の正常動作に関する固有の知識に基づいて、ある問題の確率を評価すべくセンサーおよびモデル残差からの入力を取得するためにファジー論理ネットワークを開発した。図26は、図28に示す対応ファジー論理ネットワークを用いる触媒循環問題の確率を示す。図27は、触媒循環問題の完全な掘り下げを示す。図28の緑色のノードは、下位問題を組み合わせて「触媒循環問題」の最終的な確実性を決定する様子を示す。異常状態の推定された確率を連続的な傾向として操作チームに提示して状態の進行状況を示す。図29に、全ての領域について連続的な信号徴候を提示している、当該問題のオペレータ向け表示を示す。これはオペレータにとって、各々のセンサーの状態を個別に検査する必要なしにプロセスの健全性の全体像を得るために重要な利点をもたらす。更に重要なのは、このカバー範囲が広く、事象を見逃す可能性が低くなるため、オペレータに「安心感」を与える点である。従って、これは正常性インジケータとしても利用可能である。確率が0.6に達した場合、問題インジケータは黄色(注意)に変わり、確率が0.9に達した場合、インジケータは赤色(警告)になる。
本発明は、触媒循環(CCR)、反応炉−再生装置動作(FCC)、および触媒ライトエンド(CLE)動作の領域をカバーすべく3種類の主成分分析(PCA)を含んでいる。PCAモデルのカバー範囲は、異なるプロセス・ユニットの相互作用に基づいて決定されており、各モデルはこれを考慮するために重なり合うセンサーを備えている。反応炉−再生装置領域には顕著な相互作用があるため、1種類のPCAモデルがそれら両方の動作をカバーすべく設計されている。触媒循環PCAは、反応炉−再生装置間の触媒流を特に監視することを狙いとして的を絞ったモデルである。FCCUからの生成物を処理する触媒ライトエンド(CLE)塔は、別々のPCAに含まれている。また、重大な事象に発展する恐れがある状況を監視することを意図した多くの特別要注意モニターが存在する。その目的は、オペレータが処置を行なうために充分なリードタイムを持てるよう、早めに問題を検知することである。
正常動作時において、オペレータは供給速度の変更やセットポイントの移動等、PCAモデル内のいくつかのセンサーに持続期間が短い高残差を生じ得るいくつかの定常的な処置を実行する。そのような通知は冗長であって新たな情報を与えないため、本発明ではそれらの開始を検知して通知を抑制するための仕組みを組み込んでいる。
オペレータは、色が緑色から黄色に、次いで赤色に変化する警報三角形により切迫しつつある問題について知らされる。本アプリケーションは、優先順位付けされた下位問題のリストを閲覧することにより更に問題を調べる掘り下げ能力をオペレータに提供する。この新規な方法は、下位問題まで深堀する能力をオペレータに。これによりオペレータは、根本原因の探索を絞り込むことができる。図29に、触媒循環、FCC例外およびFCC極限動作が注意喚起する警告を有する様子を示す。これは、オペレータが補償または是正処置が講じることができるよう、状態の根本原因の分離と診断を支援する。図30に、黄色の三角形をクリックした結果、即ち逸脱しているセンサーを逸脱の度合いでソートした残差を示すパレート図を示す。
本アプリケーションは、パレート図方式を用いてオペレータに対し極めて広範囲に情報を示す。一連の提示は、正常動作からの個々の逸脱の降順になされている。これにより少数の重大な不良要因まで絞り込まれたプロセスを簡潔且つ手短に見ることが可能になるため、コンソール・オペレータは講じるべき処置について情報に裏付けられた決定を行なうことができる。図30に、パレート図として構成されたセンサーのリストを介してこの機能を示す。個々のバーをクリックすれば、センサーのタグ傾向対モデル予測を示すカスタマイズされたプロット図が作成される。オペレータはまた、「マルチ傾向ビュー」を用いて問題含みのセンサー群の傾向を見ることができる。例えば、図31に、図30のパレート図のセンサーの値の傾向とモデル予測を示す。図32は同じ概念を、今回は正規化された射影偏差誤差に基づいて、バルブ流量・モデルのランキングに適用したものを示す。この場合、バーをクリックすれば、正常動作の境界(図33)に関する現在の動作点を示すX−Y散布図を生成する。当該アプリケーションの別の例を、図34にパレート図、および送風機モニター用のX−Yプロット図に示す。
PCAモデルに加え、工学関係および部分最小二乗法に基づく推論を用いて構築された多くの特別要注意モニターがある。これらは、送風機および湿式ガス圧縮機等、反応炉−再生装置領域内の重要な設備に適用される。これらのモニターの基礎として、単一の異常信号を生成するファジー論理ネットワークがある。
要約すれば、本発明の利点には以下のものが含まれる。
1.監視のため、全般的FCCU動作を10個動作領域、即ち反応炉−再生装置、触媒ライトエンド塔、触媒循環、スタックバルブ、サイクロン、送風機、炭素収支、主精留装置への触媒キャリーオーバー、湿式ガス圧縮機、バルブ−流量モデルへ分解すること。
2.全般的FCCUの動作状態を12個の単一警報に要約すること。
3.PCAモデルが、モデルによりカバーする600個以上のセンサーのモデル予測を提供すること。
4.これら600個以上のセンサーの異常な逸脱が、3個のPCAモデルの二乗誤差和に基づいて5種の警報に要約されること。
5.再生装置スタックバルブ、再生装置サイクロン、送風機、炭素収支、触媒キャリーオーバーおよび湿式ガス圧縮機に対する工学モデル推論により、的確且つ早期な検知能力が強化されること。
6.バルブ−流量モデルが、制御処置に影響するため不調の源であるかまたはその影響を受ける制御ループを監視する強力な方法を提供すること。
7.特別な原因/定常動作から生じる事象が抑制されて、偽陽性が除去される。600個以上の個別タグから単に12個の信号へ大幅に規模を縮小することにより、偽陽性率が大幅に減少する。PCAモデリング方式は本質的に、単一センサー警報問題を洗練された方法で解決する。
B.FCCU用のAEDモデルの構築および配備
本アプリケーションは、FCCUの異常動作を検知すべく、PCAモデル、工学モデルおよび発見的方法を有する。第1工程は、動作上の履歴的な問題の要注意ユニットを分析することを含む。この問題識別工程は、アプリケーションの範囲を定めるために重要である。
これらのモデルの構築を、付録1に一般的に記述する。流動接触分解ユニットのこれらのモデルを構築に関するいくつかの特定の要注意事項を以下に述べる。
問題の識別
アプリケーション構築の第1工程は、プロセス動作の利点となる重要な問題を識別することである。異常事象検知アプリケーションは一般に、2種類の異なる問題に適用することができる。第一は、何らかの異常事象を求めてプロセス領域全体を監視する汎用的な異常事象アプリケーションである。このタイプは、数百個の測定値を使用するが、特定の異常動作の履歴的な記録を一切必要としない。本アプリケーションは、異常事象を検知してプロセスの部分(タグ)に紐付けるだけである。問題の診断には、オペレータまたは技術者のスキルを必要とする。
第2のタイプは、特定の異常動作に着目する。このタイプは、異常が検知された場合に特定の診断を提供する。通常、少数(5〜20個)の測定値しか含まないが、事象の履歴データレコードを必要とする。このモデルは、PCA/PLSまたは簡単な工学相関(質量/エネルギー収支ベース)に基づいている。本明細書は、広い範囲をカバーすべく両方の種類のアプリケーションを記述している。オペレータまたは技術者は次いで、自身のプロセス知識/専門性に頼って正確に原因を診断する。通常、大部分の事象は、主に計測器やバルブに関する問題の結果であると思われる。
異常事象検知の問題を選択する際に、以下の問題含みの特性を考慮しなければならない。異常が稀(3〜4ヶ月毎)であるため、異常事象検知器を作成する努力が無駄に思えるかもしれない。また、特定の異常が3〜4ヶ月毎にしか発生しない場合、個々のオペレータは数年間にわたり当該事象を見ない可能性もある。その結果、一旦事象が起きた際に、オペレータはどう対処すべきかわからない恐れがある。従って問題の識別を充分広範に行なって、オペレータが定期的にアプリケーションと対話するようにしなければならない。
問題を特定しようとする場合に、異常事象検知のアプリケーションを正当化するのに充分な数の異常事象が存在しないとの誤った印象を現場担当者から受けるのが一般的である。一般に、異常事象がプロセスに対して影響を及ぼす頻度が過小評価されがちである。その理由は以下の通りである。
往々にして、異常事象の記録および解析が行なわれない。重大な損失を与えたものだけが追跡および解析される。
オペレータは毎日これらを取扱うため、異常事象も正常動作の一部と見なしがちである。
定期的に繰り返し発生する異常事象が存在しない限り、本アプリケーションは異常事象を定期的に(例えば週5回超)「見る」ためにプロセスの充分広範な部分を包含していなければならない。
1.PCAモデル
PCAモデルは、FCCU AEDの心臓部である。PCAは、実際のプロセス変数を、元の変数の線形結合である主成分(PC)と呼ばれる一組の「直交」または独立変数に変換する。基礎となるプロセスには、プロセスに影響を及ぼす特定の独立した事象を表わす多くの自由度がある。これらの異なる独立した事象は、プロセス変動とし当該プロセスのデータに出現する。プロセス変動は、供給速度の変更等の意図的な変更、または周囲温度の変化等の意図しない撹乱に起因する場合がある。
各々の主成分は、当該プロセスに対するこれらの異なる独立事象により生じたプロセス変動の一意な部分を捕捉する。主成分は、変動が減少する順序で抽出される、後続する各々の主成分は、全体のプロセス変動性のより小さい部分を捕捉する。主要な主成分は、プロセス変動の重要な基礎となる発生源を表わしていなければならない。例えば、供給速度の変更が最も大きいプロセス変動の単一発生源であるため、第1の主成分はしばしば供給速度変更の効果を表わす。
本アプリケーションは、プロセスの主成分分析法(PCA)に基づいており、「正常動作」の経験的モデルを精製する。PCAモデルの構築プロセスは、付録1の「AED用PCAモデル構築」節に詳述している。以下に、FCCU用の異常事象検知アプリケーション構築へ向けてPCAを適用する場合に必要な特別の考慮について述べる。
FCCU PCAモデルの構築
本アプリケーションは、反応炉−再生装置領域(FCC−PCA)、触媒循環(CCR−PCA)、および触媒ライトエンド塔(CLE−PCA)をカバーするPCAモデルを有している。これにより、FCC動作全般および初期警報を広範囲にカバーすることが可能になる。
PCAモデルの構築は以下の工程を含む。
1)入力データおよび動作範囲の選択
2)履歴データの収集および前処理
3)データおよびプロセスの分析
4)初期モデルの生成
5)モデルのテストおよびチューニング
6)モデルの配備
PCAモデルの構築に関する一般的な原理を、付録1の「AED用PCAモデルの構築」節内のサブセクションI「概念的PCAモデルの設計」に記述している。これらの工程はモデル構築における努力の主要部をなす。PCAモデルはデータ駆動であるため、正常動作を表わす訓練データの高い品質および量が極めて重要である。基本的な構築戦略は、極めて粗いモデルから出発し、次いで当該モデルの忠実度を逐次改良してくことである。これには、モデルがどの程度実際のプロセス動作に匹敵するかを観察し、および観察に基づいてモデルを再訓練することが必要である。そのような工程について、次に簡潔に述べる。
入力データおよび動作範囲の選択
PCAモデル内のタグのリストがカバー範囲を表わすため、要注意領域内の全てのタグの総合的なリストから出発する。測定値および変数の選択プロセスを、付録1の「AED用PCAモデルの構築」節内のサブセクションII「入力データおよび動作範囲の選択」で概説している。信頼できない、または誤った振る舞いを示すことがわかっている測定値は全てリストから除外すべきである。初期PCAモデルが得られたならば、反復的な手順を用いて更に測定値の削減が実行される。
履歴データの収集および前処理
正常動作の良いモデルを構築するには正常動作の訓練データ集合が必要である。このデータ集合は以下のようでなければならない。
・正常動作範囲にわたる
・正常動作データだけを含む
ある拠点で異常事象の履歴の完全な記録を保存していることは極めて稀であるため、履歴データは訓練データ集合を生成する出発点としてしか利用できない。オペレータログ、オペレータ変更ジャーナル、警報ジャーナル、計器保守記録等の操作記録は、異常プロセス履歴の部分的な記録を提供する。データ収集のプロセスを、付録I.の「AED用PCA モデルの構築」節内のサブセクションIII「履歴データの収集」に詳述している。
FCCUの場合、履歴データは、夏期と冬期の両期間をカバーすべく1.5年の動作にわたっている。1分毎にデータ平均を取った結果、各々のタグについて時点の数が約700,000個以上になることがわかった。基礎となる情報を保持したまま、データ集合をより扱い易くするために工学的判定が適用されて、6番目毎の点を保持した結果、各センサーについて約100,000個以上の点が得られた。これにより、代表的な挙動をPCAモデルが補足することができる。
全てのタグが内部に含まれる変動範囲/情報を判定すべく、平均、最小/最大および標準偏差等の基本的統計量を計算した。また、動作ログを調べて、既知のユニット停止または異常動作を有するウインドウ内に含まれるデータを除外した。各々の候補測定値を精査して、訓練データ集合に含める際の適正性を判定した。
バランスのよい訓練データ集合の生成
動作ログを用いて、履歴データを既知の異常動作が生じた期間と、識別された異常動作が生じていない期間に分ける。識別された異常動作が存在しないデータが予備訓練データ集合となる。
これらの除外がなされたならば、第1の粗いPCAモデルを構築することができる。これは極めて粗いモデルになるため、保持される主成分の正確な数は重要ではない。これは、モデルに含まれる測定値の個数の5%以下であるべきである。PCの個数は、最終的にプロセスの自由度の数に一致しなければならないが、これはプロセス撹乱の異なる全ての発生源を含んでいるため、通常は未知である。何個の主成分を含めるべきかを決定する標準的な方法がいくつか存在する。またこの段階で、可変スケーリングへの統計的なアプローチを用いるべきである。即ち、全ての変数をユニット分散に応じてスケーリングする。
ここで、訓練データ集合をこの予備モデルに通して、データがモデルに一致しない期間を識別しなければならない。これらの期間を調べて、その時点で異常事象が生じていたか否かを知る必要がある。そうであると判定された場合、これらの期間には、既知の異常事象が生じている時間としてフラグを立てなければならない。これらの期間を訓練データ集合から除外して、修正されたデータでモデルを再構築しなければならない。データおよびプロセス分析を用いてバランスの取れた訓練データ集合を生成するプロセスを、付録1の「AED用PCAモデルの構築」節の第IV節「データおよびプロセス分析」に概説している。
初期モデルの構築
モデル構築の戦略は、極めて粗いモデル(疑わしい訓練データ集合の結果)から出発し、次いで当該モデルを用いて高品質訓練データ集合の収集することである。次いでこのデータを用いてモデルを改良し、次いで当該モデルを用いて品質が向上した訓練データを収集し続ける。このプロセスは、モデルが満足すべき状態になるまで繰り返される。
特定の測定値が選択されて、訓練データ集合が構築されたならば、標準的な統計ツールを用いて短時間でモデルを構築することができる。各々の主成分により捕捉された百分率分散を表わすそのようなプログラムの例を図45に示す。モデル構築プロセスについて、付録1の「AED用PCAモデルの構築」節内の第V節「モデルの生成」に記述している。
モデルのテストおよびチューニング
初期モデルが構築されたならば、新規の訓練データ集合を生成することにより強化する必要がある。これは、当該モデルを用いてプロセスを監視することにより行なわれる。モデルが潜在的な異常状況を示したならば、技術者はプロセス状況を調べて分類しなければならない。技術者は3種類の異なる状況、即ち、何らかの特別なプロセス動作が生じている、実際に異常な状況が生じている、或いは、プロセスは正常で誤った徴候を示している、のいずれかを発見するであろう。
プロセスデータは、ガウスまたは正規分布をなさないであろう。従って、残余誤差の変動性から異常事象を検知すべくトリガを設定する標準的な統計的方法を用いるべきではない。その代わりに、トリガ位置は、モデルの使用経験に基づいて経験的に設定する必要がある。付録1の「AED用PCAモデルの構築」節内の第VI節「モデルのテストおよびチューニング」にモデルのテストおよび強化手順を記述している。
PCAモデルの配備
プロセス・ユニットにAEDをうまく配備するには、精密なモデル、うまく設計されたユーザー・インターフェース、および適切なトリガ位置の組合せを必要とする。PCAモデルを配備する詳細な手順を、付録1の「AED用PCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備」に記述している。
時間の経過につれて、構築担当者または拠点技術者は、モデルの1個を改良する必要がると判断する場合がある。プロセスの状態が変化したか、モデルが誤った徴候を提示しているかのいずれかである。この場合、訓練データ集合は、追加的なプロセスデータにより拡張されて、改良されたモデル係数を得ることができる。トリガ位置は、先に述べたのと同じ経験則を用いて再計算することができる。
もはや適切に現在のプロセス動作を表わさない古いデータは、訓練データ集合から削除しなければならない。特定の種類の動作がもはや実行されていない場合、当該動作からの全てのデータを削除しなければならない。大規模なプロセス変更の後では、訓練データおよびAEDモデルを最初から作り直す必要があるかもしれない。
FCCU PCAモデルは388個のタグの初期セットから出発し、次いで228個のタグへ修正された。触媒循環PCA(CCR−PCA)モデルは24個のタグを含んでいて、必須の触媒循環機能を監視する。触媒ライトエンドPCA(CLE−PCA)のタグは366個から256個まで絞り込まれ、回収に関わる下流区画、即ち主精留装置、脱エタン吸収装置、脱ブタン装置、スポンジ吸収装置、LPGスクラバーおよびナフサ・スプリッタ(図24)をカバーする。FCC−PCAモデルの詳細を付録2Aに示し、触媒循環PCAモデルを付録2Bに記述し、CLE−PCAモデルを付録2Cに記述している。
II.AED工学モデル
工学モデルの構築
工学モデルは、異常状態の特定の検知に的を絞った推論および相関に基づくモデルで構成されている。工学モデルの構築に関する詳細な説明は、付録1の「AED用の簡単な工学モデル」節に見られる。
FCCUアプリケーションの工学モデル要件は、履歴プロセスデータの工学的評価と、コンソール・オペレータおよび設備専門化へのインタビューを実施することにより決定された。工学的評価は、FCCU動作の重大な要注意領域および最悪ケースのシナリオを含んでいた。工学的評価の結論について述べるために、FCCU AEDアプリケーション用に以下の工学モデルが構築された。
・触媒循環モニター
・スタックバルブ・モニター
・再生装置サイクロン動作モニター
・送風機動作モニター
・炭素収支モニター
・主精留装置モニターへの触媒キャリーオーバー
・湿式ガス圧縮機モニター
・バルブ−流量整合性モニター
推論を構築する手順は、先に議論したPCAモデルの場合と全く同様である。しかし、特定の出力が予測されていない(全てのデータは入力である)PCAモデルの場合とは異なり、推論については予測のため望ましい変数がある。特定の入力に基づいて出力タグをモデル化するために部分最小二乗法(PLS)を使用する。PCAの場合のように、これは測定値の選択とデータの前処理を必要とする。しかし、この場合は、測定値の選択は、出力タグにとって最適の予測手段である変数の観点から行なわれる。これは、プロセスの専門家と対話して数回の繰り返しを行ない、入力リストを最適な組に絞り込むことを含む。
触媒循環モニターは6個の下位問題領域、即ち(a)触媒循環の動作範囲、(b)触媒循環PCAモデル残差、(c)Rx−Rg J屈曲密度、(d)Rx−Rg触媒レベル、(e)異常RxRgデルタP制御、(f)エネルギーと圧力収支の触媒循環計算との間の整合性、を用いて触媒循環の健全性を監視する。触媒循環は効率的なFCC動作の主要な要素であり、問題の早期検知は大幅な節約につながる。問題の完全な切り分けを図27および図28の対応するファジー・ネットワークに示す。
再生装置スタックバルブは、反応炉−再生装置の圧力差を維持するために必須である。これは、反応炉温度がスタックバルブ開口部を操作することにより反応炉−再生装置圧力差を調整する反応炉カスケード温度制御チェーンへの重要なリンクである。バルブを監視するために、(a)スタックバルブの正常動作範囲が調べられて、(b)スタックバルブ開口部と差動圧力コントローラ出力との間の整合性が調べられる。図35に、再生装置スタックバルブ・モニターの掘り下げを示す。付録3Aにこのモニターの詳細を記述している。
再生装置サイクロンを用いて煙道ガスから触媒微粉を凝結させて触媒の損失を防止する。触媒はFCCUでリサイクルすべく触媒ホッパーで集められる。このモニターは、主要なモデルパラメータ、即ち煙道ガス温度、再生装置上部圧力、煙道ガスO2モデル、微粉ホッパー重量変化率、およびサイクロン差圧を検査する。付録3Bに本モニターの詳細を述べ、図36にディスプレイを示す。
送風機は再生装置に空気を供給し、この空気を用いて反応炉から出た使用済み触媒に堆積したコークスを焼き払う。送風機はこのように、安定したFCC動作を維持する設備の必須部分である。送風機モニターは、タービン速度、デルタ空気温度、蒸気圧供給、空気流、蒸気流対タービン、排気温度を検査する。この場合の推論モデルは、(a)送風機への空気流(b)タービンへの蒸気流、(c)再生装置温度、および(d)送風機吐出であった。推理における予測タグの詳細を付録3Cに示す。図37にモニターの掘り下げを示す。
炭素収支モニターは、反応炉−再生装置の炭素収支を検査する。使用される証拠は、触媒循環PCAモデルのT統計量、煙道ガスCO濃度、煙道ガスO2レベル、および他のいくつかのセンサーである。このモニターを図38に示し、付録3Dにその詳細を述べている。
主精留装置への触媒キャリーオーバーは、反応炉ストリッパ・レベル、反応炉差圧、主精留装置へのスラリーのポンプ注入、およびストレーナー差圧を監視する。図39にモニターを示す。付録は3Eにモニターの詳細を述べている。
湿式ガス圧縮機は、主精留装置のオーバーヘッド生成物を取り込み、下流のライトエンド塔で更に処理すべく圧縮する。WGCもまた塔圧を維持するため、モニターすべき別の必須の要注意領域である。当該モニターは、第2段の吸入流、タービンへの蒸気、第1段吐出流、触媒ガス出口温度を検査する。当該モニターの推論モデルは、(a)第2段圧縮機吸入流、(b)タービンへの蒸気流(c)第1段圧縮機吐出流、および(d)触媒ガス吐出である。これらの推論の詳細を付録3.Fに記述し、図40にモニターを示す。
流量−バルブ位置整合性モニターは、測定された流量(バルブ全体の圧力降下に関して補償済み)を流量のモデル推定と比較して導かれた。これらは、プロセスにおいて制御ループの状態が直接監視されているため強力な検査方法である。流量のモデル推定は、係数をバルブ曲線の式(線形または放物線と仮定される)にフィッティングさせることにより履歴データから得られた。初期アプリケーションにおいて、12個の流量/バルブ位置整合性モデルが構築された。再生装置使用済みエアレーション蒸気バルブの例を図33に示す。履歴的に信頼できない性能を示した制御ループについても、いくつかのモデルが構築された。バルブ流量モデルの詳細を付録3Gに記述している。
バルブ−流量モデルの不一致に加え、値超過用いて、制御バルブが制御可能な範囲を超えている旨をオペレータに通知する追加的な検査方法がある。図41にファジー・ネットの両方の構成要素を示し、値超過の例を図42に示す。
長期センサードリフトを補償すべく、時間依存ドリフト項がモデル推定に加えられた。オペレータはまた、センサーを再較正した後、または手動でバイパスバルブが変更された場合にドリフト項のリセットを要求することができる。流量推定装置に対するこの変更により、オンライン検知アルゴリズム内の実装の堅牢性が大幅に向上した。
工学モデル配備
AED内で工学モデルを実装するための手順は相当直接的である。ユニット(例:再生装置サイクロン、スタックバルブ、送風機、湿式ガス圧縮機動作等)内における特定の既知の種類の挙動を識別するモデルの場合、通知のトリガ位置は、コンソール・オペレータの入力と組み合わせた履歴データの分析から決定された。計算モデル(例:流量/バルブ位置モデル)の場合、通知のトリガ位置は、最初にモデル残差の標準偏差から導かれた。動作の最初の数ヶ月間、既知のAED徴候はオペレータにより確認され、トリガ位置が適切であることが保障され、必要に応じて変更された。付録1の「AED用のPCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備」節に工学モデル配備の詳細を記述している。
ある状況の下では、バルブ/流量診断により、オペレータに冗長な通知が行く可能性がある。バルブ/流量の対に生じた問題に対する単一の警報をオペレータに与えるべく、バルブ/流量診断にモデル抑制を適用した。
C.追加的なAEDツール
円滑な日常のAED動作を実現すべく、AEDモデルを保守して実際の要注意事項への対応を支援するための各種のツールが提供される。
事象抑制/タグ無効化
定常的な毎日の運用において、オペレータは通常、多くの操作(例:セットポイントの変更、タグの保守、デコーキング、乾燥機の交換、再生)その他のプロセス変更を行なう。そのような既知の事象を予め抑制するために、システムは事象抑制を可能にする。セットポイント動作を実装する場合は常に、対応するPVその他の関連タグにおける工程の変更が通知を生成する可能性がある。実際には、AEDモデルが既にそのような変更を知らない場合、結果的に異常信号が生じ得る。これを抑制するために、ファジー・ネットは状態の検査および抑制すべきタグのリストを使用する。他の状況において、PCAモデル、バルブ流量モデル、およびファジー・ネットにおけるタグを指定された期間一時的に無効化することができる。大抵の場合、オペレータが再起動するのを忘れないように、再起動を12時間後に設定している。タグが長期間サービスから除外されている場合、無効化することができる。現在抑制されている事象のリストを図43に示す。
事象の詳細のログ取得
上述のようなシステムから最大の利点を引き出すには、オペレータを訓練して、AEDシステムを日常的な業務プロセスに組み込むことが必要である。是正処置を講じる最終的な権限は依然としてオペレータにあるため、AEDの性能発揮および強化のためその入力が重要である。AED事象詳細を体系的に捕捉して精査してフィードバックを与えるために、オペレータに対しAED事象書式が提示される。これらは、事象の記録を維持して、AEDの利点を評価するのに役立った。AEDが稼動した時点から、いくつかの重大な事象が捕捉されて、操作担当者向けに文書化された。サンプル書式を図44に示す。
代替的なソリューションの方が良い場合−反復事象のための是正処置
特定の反復する問題が識別された場合、構築担当者は問題を解決するための、より良いプロセスが存在しないことを確認しなければならない。特に、構築担当者は異常事象検知アプリケーションの構築を試みる前に以下の点を確認しなければならない。
・ 問題を永久に解決することができるか?往々にして、現場担当者が問題を調査して永久に解決する充分な時間が無かったために問題が存在する。当該問題に組織的な関心が向けられたならば永久的な解決策が見つかる場合が多い。これが最善のアプローチである。
・問題を直接測定することができるか?問題を検知するためのより信頼性が高い方法は、当該プロセスにおける問題を直接測定できるセンサーを設置することである。これを用いて、プロセス制御アプリケーションを介して問題を防止することも可能である。これが次善のアプローチである。
・異常動作に対するアプローチを測定する推論的測定法を構築することができるか?推論的測定法は、PCA異常事象モデルに極めて近い。信頼性を以って問題状態へのアプローチを測定するために利用可能なデータ(例:デルタ圧力を用いるタワーフラッディング)が存在する場合、これを状態の存在を検知するためだけでなく、状態が生じるのを防止する制御アプリケーションの基礎としても用いることができる。これが三番目に良いアプローチである。
異常事象検知アプリケーションは警報システムを代替しない
プロセス問題が急に生じる場合は常に、警報システムが異常事象検知アプリケーションと同程度に速く問題を識別する。オペレータが原因を診断するのを支援するために、事象のシーケンス(例:測定値が例外的である順序)が警報の順序よりも役に立つ場合がある。アプリケーションがオンラインになったならば、この可能性を調べるべきである。
しかし、異常事象検知のアプリケーションは、異常事象が緩慢に(15分超)拡大する場合、オペレータに高機能の注意喚起を与えることができる。これらのアプリケーションはプロセスデータのパターンの変化に感応するものであり、単一の変数の大きな変動を必要としない。従って、警報を回避することができる。警報システムが、プロセスが狭い動作領域から逸脱した場合にオペレータに対して警告する(真の安全警報ではない)ように構成されている場合、本アプリケーションはこれらの警報を代替することが可能である。
単に異常事象の存在を検知することに加え、AEDシステムはまた、オペレータが事象を調査できるよう逸脱したセンサーを切り離す。現代的な工場は数千個のセンサーを備えており、人間がその全てをオンラインで監視することは不可能なことを考慮すればこれは重要な利点である。AEDシステムはこのように、異常な状況を効率的且つ効果的に取扱うべくオペレータ・ツールキットへの別の強力な付加機能とみなすことができる。
付録1
様々な規模の事象や撹乱が常にプロセス動作に影響を及ぼしている。ほとんどの場合、これらの事象や撹乱はプロセス制御システムにより処置される。しかし、プロセス制御システムがプロセス事象を適切に処置できない場合は常にオペレータがプロセス動作へ想定外の介入をする必要がある。発明者は、この状況を異常動作と定義し、その原因を異常事象と定義する。
異常動作を検知して、オペレータが根本原因の箇所を切り離すのを支援するために用いるモデルの組を生成してオンライン配備するための方法論およびシステムが開発されている。好適な実施形態において、モデルは主成分分析(PCA)を用いる。これらのモデルの組は、既知の工学関係を表わす簡単なモデルおよび履歴データベースに存在する正常データパターンを表わす主成分分析法(PCA)モデルの両方で構成されている。これら多くのモデル計算の結果が組み合わされて、プロセスが異常動作に入りつつあるか否かをプロセスオペレータが容易に監視できるようにする少数の要約時間傾向となる。
図1に、オンライン・システム内の情報が各種の変換、モデル計算、ファジー・ペトリネット、および圧密処理を経由して流れ、プロセス領域の正常性/異常性を示す概略傾向に到る様子を示す。本システムの核心は、プロセス動作の正常性を監視するために用いる各種のモデルである。
本発明に記載するPCAモデルは、連続的な精製および化学プロセスを広範に監視し、設備およびプロセスにおいて生じつつある問題を迅速に検知することを目的とする。その意図は、特定のコンソールのオペレータ・ポストの責任権限の下で、全てのプロセス設備およびプロセス動作の包括的な監視機能を提供することである。これには、数百〜数千のプロセス測定値を有する多くの大規模な精製または化学プロセス動作ユニット(例:蒸留塔、反応炉、圧縮機、熱交換トレイン等)が含まれていてよい。監視機能は、長期にわたる性能低下ではなく、数分〜数時間の時間尺度で広がる問題を検知するように設計されている。プロセスおよび設備の問題は事前に特定されている必要がない。これは、文献に引用されている、特定の重要なプロセス問題を検知してプロセス動作のはるかに小さい部分を包含すべく構築されたPCAモデルを利用するのとは対照的である。
この目的を達成すべく、PCAモデルを構築して配備する方法は、以下を含む連続的な精製および化学プロセスへのそれらのアプリケーションのために必要とされる多くの新規な機能拡張を含んでいる。
・測定値入力を選択、解析、変換するためのPCAモデル基準および方法の設備範囲を確立するための基準
・主成分モデル、PCAの変動に基づく多変数統計モデルの開発
・付随する統計指標を再構成する簡単な工学関係に基づくモデルの構築
・例外計算および連続的なオンラインモデル更新を提供するオンラインデータの前処理
・ファジー・ペトリネットを用いた、モデル指標が正常か異常かの解釈
・ファジー・ペトリネットを用いた、多数のモデル出力の、プロセス領域の正常性/異常性を示す単一の連続的な概略傾向への組合せ
・操作および保守作業を反映させるため、モデルおよびファジー・ペトリネットとのオペレータの対話環境設計。
これらの拡張は、PCAおよび簡単な工学モデルを効果的に用いることができるたよう、連続的な精製および化学工場の操業の特徴、および対応するデータ特徴を扱うために必要である。これらの拡張は、第I種および第II種の誤りの多くを防止し、且つ異常事象をより速く示すという利点をもたらす。
本節ではPCAに一般的背景を記述しない。そのためには、非特許文献2などの標準的な教科書を参照されたい。
古典的なPCA技術では、以下の統計的な仮定をするが、その多くは正常連続的な精製および化学工場のプロセス動作から発生するデータによりある程度破られる。
1.プロセスは静的、即ちその平均および分散は時間に対して不変である。
2.変数同士の相互相関は、正常プロセス動作にわたり線形である
3.プロセスノイズ確率変数は相互に独立している。
4.プロセス変数の共分散行列は縮退していない(即ち半正定値)。
5.データは、「適切に」スケーリングされる(標準的な統計手法は単位分散へのスケーリング)。
6.(未補償)プロセスダイナミクス(このための標準的な部分補償は当該モデルの遅延変数の包含すること)が存在しない。
7.全ての変数がある程度の相互相関を有する。
8.データは多変数正規分布を示す。
その結果、PCAモデルを構築する際の入力および後続段階の選択、解析および変換において、違反の程度を評価して補償するため各種の調整が実行される。
これらのPCAモデルがオンライン配備されたならば、モデル計算は、既知の動作の効果および保守作業の影響を除去し、故障したかまたは「不正な動作をしている」入力を無効にし、プロセスを通じた事象の伝播をオペレータが観察して承認することを可能にし、プロセスが正常に戻ったならば自動的に計算を再開すべく、特定の例外処理を必要とする。
PCAモデルの利用は、正常動作の間は真でなければならない既知の工学関係に基づく単純な冗長性検査により補われる。これらは、物理的に冗長な測定値を検査するような単純なものであってもよく、或いは物質収支と工学収支を検査するような複雑なものであってもよい。
冗長性検査の最も簡単な形式は、例えば以下のような簡単な2×2検査である。
・温度1=温度2
・流量1=バルブ特性曲線1(バルブ1の位置)
・処理ユニット1への物質流量=処理ユニット1からの物質流量
これらは、図2のバルブ流量プロット等の簡単なx−yプロットとしてオペレータに提示される。各々のプロットには正常動作の領域があり、このプロット線では灰色の部分で示す。この領域の外側の動作は異常であるとして信号が送られる。
多重冗長性もまた、単一の多次元モデルにより調べることができる。多次元冗長性の例として以下のものがある。
・圧力1=圧力2=....=圧力n
・処理ユニット1への物質流量=処理ユニット1からの物質流量=...=処理ユニット2への物質流量
多次元検査は、「PCA的」モデルにより表わされる。図3において、3種の独立且つ冗長な尺度X1、X2、およびX3がある。X3が1ずつ変化する都度、X1はa13ずつ変化し、またX2はa23ずつ変化する。この関係の組は、単一の主成分方向(P)を有するPCAモデルとして表わされる。この種のモデルは、広範なPCAモデルと同様の方法でオペレータに提示される。2次元の冗長性検査と同様に、灰色の部分は正常動作の領域を示す。Pの主成分負荷量は、変動性が最大の方向からPを判定する従来の方法ではなく、工学方程式から直接計算される。
プロセス動作の特徴は、例外動作がこれらの関係を、プロセス動作の正常な範囲、正常領域での装置の変化、および保守作業を通じて正確に保つことを必要とする。例外動作の例として以下のものがある。
・流量計周辺のバイパス弁の開口
・上流の補償/下流の圧力変化
・領域測定値の再カリブレーション
・動作モードに基づくプロセス流の方向変換
ファジー・ペトリネットを用いてPCAモデルおよび工学冗長性検査を組み合わせて、プロセスオペレータに対し、自分の制御下にあるプロセス動作が正常であることを連続的に要約提示する(図4)。
各々のPCAモデルから複数の統計指標が作成され、これら指標をプロセスオペレータが扱うプロセス装置の構成および階層に対応付ける。従来の2乗予測誤差SPEの和による指標の感度は、PCAモデルが対応する完全なプロセス領域の指定された部分からの入力に対するSPE指標への寄与分だけを含むサブセット指標を生成することにより向上する。PCAモデルからの各々の統計指標はファジー・ペトリネットへ送られて当該指標を0〜1の縮尺に変換され、正常動作(値ゼロ)から異常動作(値1)までの範囲を連続的に示す。
各々の冗長性検査もまた、ファジー・ネットを用いて、連続的な正常−異常指標に変換される。これらのモデルが異常性を表示するために用いる2種の異なる指標がある。即ちモデルからの偏差および動作範囲外の偏差である(図3に示す)。これらの偏差は、誤差の2乗とPCAモデルのホテリングT2乗指標との和に等しい。2より大きい次元を検査する場合、どの入力に問題があるかを識別することが可能である。図3において、X3−X2関係が依然として正常エンベロープ内に含まれるため、問題は入力X1にある。各々の偏差尺度は、ファジー・ペトリネットにより0〜1の縮尺に変換されて、正常動作(値ゼロ)から異常動作(値1)までの範囲を連続的に示す。
オペレータの権限下にある各々のプロセス領域の場合、適用可能な正常−異常指標の組を単一の正常−異常指標に組み合わせる。これは、ファジーペトリ論理を用いて異常動作の最悪ケースの表示を選択して行なわれる。このようにして、オペレータはプロセス領域内の全ての検査の高水準な要約を得られる。本節はファジー・ペトリネットの一般的背景を記述しない。そのためには、非特許文献1を参照されたい。
異常事象へのアプリケーションを構築するための全体プロセスを図5に示す。基本的な構築戦略は反復的であり、構築担当者は粗いモデルから出発し、次いで、正常動作および異常動作の両方の間、当該モデルがどの程度実際のプロセス動作を表わすかの観察に基づいて、当該モデルの能力を逐次向上させる。次いで、モデルはこれらの観察に基づいて再構築および再訓練される。
異常事象検知用のPCAモデルの構築
I.概念的PCAモデル設計
全体的な設計目的は以下の通りである。
・コンソールのオペレータが自分の操作権限下にある全ての処理ユニットについてプロセス動作の連続的な状態(正常対異常)を把握できるようにする。
・オペレータが自身の操作権限内で急速(数分から数時間)に拡大しつつある異常事象の早期発見できるようにする。
・オペレータに対し、異常事象の根本原因を診断するために必要な主要プロセスの情報だけを提供する。
実際の根本原因診断は本発明の範囲外である。コンソールのオペレータは、自身のプロセス知識および訓練に基づいてプロセス問題が診断することが求められる。
広範なプロセス範囲を有することが、異常動作監視の全体的な成功にとって重要である。オペレータがシステムを学んで自身の技術を維持するために、定期的にシステムを用いることが必要である。特定の異常事象が稀にしか生じないため、プロセスの小さい部分の異常動作監視は稀にしかオペレータが使わず、恐らくは遂に異常事象を検知した際にオペレータにシステムを無視させる。この広範な範囲は、相当に経済的な関心事である特定のプロセス問題の検知に基づいてモデルを設計する、公開されているモデリングの目的とは対照的である(非特許文献3を参照)。
数千のプロセス測定値が、単一コンソールのオペレータの操作権限下の処理ユニット内にある。連続的な精製および化学プロセスは、これらの測定値中に顕著な時間ダイナミクスを示し、データ同士の相互相関を破る。このことは、相互相関を維持できる個別のPCAモデルにプロセス装置を分割することを必要とする。
概念上のモデル設計は、以下の4種の主な決定からなる。
・プロセス装置を、対応するPCAモデルを有する設備グループに再分割する。
・プロセス動作期間を、異なるPCAモデルを必要とするプロセス動作モードに再分割する。
・設備グループ内のどの測定値を各PCAモデルへの入力として指定すべきかを識別する。
・設備グループ内のどの測定値が既知の事象または他の例外動作を抑制するフラグとして機能すべきかを識別する。
A.処理ユニットの対応範囲
最初の意思決定は、単一PCAモデルで対応する設備のグループを形成することである。これに含まれる特定の処理ユニットは、プロセス統合/相互作用を理解している必要がある。多変数拘束コントローラの設計と同様に、PCAモデルの境界は、全ての重要なプロセス相互作用およびプロセスの変動や撹乱の主要な上流および下流における兆候を包含していなければならない。
以下の規則を用いてこれらの設備グループを判定する。
設備グループは、同一設備グループ内で全ての主要な物質とエネルギーの融合、およびの迅速な再利用を含むことにより定義される。プロセスが多変数拘束コントローラを用いる場合、制御モデルは処理ユニット同士の相互作用位置を明示的に識別する。さもなければ、相互作用は当該プロセスの工学解析を通じて識別する必要がある。
プロセスグループは、プロセス装置グループ同士の相互作用が最小である点で分割されなければならない。最も明確な分割点が生じるのは、相互作用が次の下流ユニットへの供給を含む単一のパイプを介してのみ生じる場合である。この場合、温度、圧力、流量、および供給の組成が下流の設備グループに対する一次影響であり、直ぐ下流にあるユニットの圧力は上流の設備グループへの一次影響である。これらの一次影響の測定値は、上流および下流の両方の設備グループのPCAモデルに含まれているべきである。
上流と下流の設備グループの間にプロセス制御アプリケーションの影響を含める。プロセス制御アプリケーションは、上流で下流の設備グループの間に追加的な影響経路を提供する。フィードフォワードおよびフィードバック経路の両方が存在し得る。このような経路が存在する場合、これらの経路を駆動する測定値は両方の設備グループに含まれていなければならない。プロセス制御アプリケーションの解析により、処理ユニット同士の主要な相互作用が示される。
長時間動特製(significant time dynamics)が存在する場所(例:貯蔵タンク、長いパイプライン等)は設備グループを分割する。PCAモデルは基本的に、急速なプロセス変動(例:数分〜数時間の期間にわたり生じるもの)を扱う。プロセスに影響を及ぼすのに数時間、数日、または数週間もかかる影響はPCAモデルに適していない。これらの影響が正常なデータパターンにとって重要な場合、これらの影響の測定値を動的に補償して、それらの有効時間を他のプロセス測定値と同期化させる必要がある(動的補償についての説明を参照)。
B.プロセス動作モード
プロセス動作モードは、プロセスの挙動が大幅に異なる特定の期間として定義される。これらの例として、異なる等級の製品(例:ポリマー生産)の生産、顕著なプロセス遷移(例:始動、停止、原料の交換)、激変した原料(例:オレフィン生産においてエタンに代えてナフサを分解)の処理、または異なる構成のプロセス設備(異なる組の処理ユニットが稼動)がある。
これらの顕著な動作モードが存在する場合、各々の主要動作モードに対して個別のPCAモデルが構築すれ必要があり得る。必要とされるモデルが少ない方が良い。構築担当者は、特定のPCAモデルが類似の動作モードに対応可能であると仮定すべきである。この仮定は、各動作モードからの新規データをモデルに通して当該モデルが正しく動作するか否かを確認することにより検証されなければならない。
C.履歴的プロセス問題
異常事象検知システムの構築に組織的な関心が持たれるのは、従来から経済的に重大な影響を及ぼすプロセス問題が存在しているためである。しかし、これらの重要な問題を分析して、当該問題に取り組む最適なアプローチを識別する必要がある。特に、構築担当者は、異常事象検知アプリケーションの構築を試みる前に以下の点を確認しなければならない。
1.問題を恒久的に解決することが可能か?往々にして、現場担当者が問題を調査して恒久的に解決する充分な時間が無かったために問題が存在する。当該問題に組織的な関心が向けられたならば恒久的な解決策が見つかる場合が多い。これが最善のアプローチである。
2.問題を直接測定することが可能か?問題を検知するためのより信頼性が高い方法は、当該プロセスにおける問題を直接測定できるセンサーを設置することである。これを用いて、プロセス制御アプリケーションを介して問題を防止することも可能である。これが次善のアプローチである。
3.異常動作に対するアプローチを測定する推論的測定法を構築することが可能か?推論的測定法は通常、部分最小二乗法、PLS、PCA異常事象モデルに極めて近いモデルを用いて構築される。推論的測定法を構築する他の一般的な代替案として、ニューラルネットワークおよび線形回帰モデルが含まれる。信頼性を以って問題状態へのアプローチを測定するために利用可能なデータ(例:デルタ圧力を用いるタワーフラッディング)が存在する場合、これを状態の存在を検知するためだけでなく、状態が生じるのを防止する制御アプリケーションの基礎ベースとしても用いることができる。これが三番目に良いアプローチである。
問題状態の直接測定、およびこれらの状態の推論的測定値は、異常検知モデルの全体的なネットワークに容易に一体化することが可能である。
II.入力データおよび動作範囲の選択
設備グループ内に何千ものプロセス測定値がある。予備設計では以下を行なう。
・全てのカスケード2次コントローラ測定値、および特にこれらのユニットへの最終2次出力(フィールド制御バルブへの信号)を選択する
・コンソールのオペレータがプロセスを監視するのに用いる主要な測定値(例:自身の操作系統に現われるもの)を選択する
・担当技術者がプロセスの性能を測定するために用いる何らかの測定値を選択する
・供給速度、供給温度、または供給品質の何らかの上流測定値を選択する
・プロセスの動作領域、特に圧力に影響を及ぼす下流状態の測定値を選択する
・重要な測定のために追加的な冗長測定値を選択する
・非線形変換の計算に必要となるかもしれない測定値を選択する
・撹乱(例:周囲温度)の何らかの外部測定値を選択する
・プロセス状態の重要な尺度であるとプロセスの専門家が考える他のあらゆる測定値を選択する
上記のリストから以下の特性を有する測定値のみを含める。
・測定値に誤りまたは問題がある性能の履歴が含まれていない
・測定値は満足すべき信号対ノイズ比を有する
・測定値はデータ集合内の他の測定値と相互相関を求められている
・測定値は正常動作期間の10%を超えて飽和していない
・測定値は、稀にしか変化しない固定セットポイントに密接には制御されていない(制御階層の最終一次側)
・測定値は、長期にわたる「不良値」動作、またはトランスミッタの限界まで飽和していない
・測定値は、極めて非線形であることが知られている値の範囲を超えない
・測定値は未加工測定値からの冗長計算ではない
・フィールド制御バルブへの信号は、時間の10%を超えて飽和していない
A.モデル入力を選択するための評価
PCA異常検知モデル、信号対ノイズ比、および相互相関への潜在的入力に優先順位付けを行なうための2種の統計的な基準がある。
1)信号対ノイズテスト
信号対ノイズ比は、入力信号における情報内容の尺度である。
信号対ノイズ比は、以下のように計算される。
1.未加工信号は、プロセスのものに等しい近似動的時定数を有する指数フィルタを用いてフィルタリングされる。連続的な精製および化学プロセスの場合、この時定数は通常、30分〜2時間の範囲にある。他の低域通過フィルタを用いてもよい。指数フィルタの場合の式は以下の通りである。
=P*Yn−1+(1−P)*X 指標フィルタの式 式1
P=Exp(−T/T) フィルタ定数の計算 式2
ここで、
現在フィルタリングされる値
n−1 以前にフィルタリングされた値
現在の未加工値
P 指数フィルタ定数
測定値のサンプル時間
フィルタ時定数
2.残留信号は、未加工信号からフィルタリングされた信号を減算することにより得られる。
=X−Y 式3
3.信号対ノイズ比は、フィルタリングされた信号の標準偏差を残留信号の標準偏差で除算した比である。
S/N=σ/σ 式4
全ての入力が、所定の最小値(例:4)より大きいS/Nを示すことが好ましい。S/Nが当該最小値を下回る入力については、モデルに含めるべきか否かを判定するために個別に調べる必要がある。
S/Nを計算するために用いるデータ集合は、ノイズ内容の推定を極端に長引かせるため、長期間にわたる定常状態動作は全て除外しなければならない。
2)相互相関テスト
相互相関は、入力データ組の情報冗長性の尺度である。任意の2つの信号間の相互相関は次式により計算される。
1.各入力組i、k間の共分散Sikを計算する。
Figure 2008512800
2.共分散からの入力の各組について相関係数を計算する。
CCik=Sik/(Sii*Skk1/2 式6
入力がモデルに含まれていてはならないことをフラグする二つの状況がある。第1の状況は生じるのは、特定の入力と残りの入力データ組との間に顕著な相互相関が存在しない場合である。各々の入力に対して、当該データ組において有意な相関係数、例えば0.4、を有する少なくとも1個の他の入力が存在しなければならない。
第2の状況が生じるのは、異なる識別器を有する何らかの計算に際して同一入力情報が(偶然に)2回含まれた場合である。1に近い(例えば0.95超)相関係数を示す一対の入力は全て、両方の入力をモデルに含めるべきか否か判定すべく個別の検査が必要である。入力が物理的には独立しているが論理的には冗長である(即ち、2個の独立熱電対が別々に同じプロセス温度を測定している)場合、これら両方の入力はモデルに含まれるべきである。
2つの入力がお互いの変換(即ち、温度および圧力補償された温度)である場合、これらの測定値の1個と残りのデータ組との間で顕著に向上した相互相関が存在しない限り、オペレータが馴染んでいる測定値を含めることが好ましい。次いで、より高い相互相関を有する方を含めるべきである。
3)飽和した変数の識別および扱い
精製および化学プロセスは往々にして厳しいか緩い拘束に遭遇して、結果的にモデル入力に対する飽和値および「不良値」が生じる。一般的な拘束は、計器トランスミッタの上下範囲、アナライザ範囲、最大および最小制御バルブ位置、およびプロセス制御アプリケーション出力限度である。入力は、モデル構築およびこれらのモデルのオンライン利用の両方において入力を事前処理する際に特別な扱いを要する飽和に関していくつかのカテゴリに分類することができる。
標準的なアナログ計器(例:4〜20ミリアンペアの電子トランスミッタ)において、不良値は以下の2種の別々の原因で生じる恐れがある。
・実際のプロセス状態がフィールドトランスミッタの範囲外にある
・フィールドとの接続が絶たれた
これらの状況のいずれかが生じた場合、プロセス制御システムを個々の測定値に基づいて設定して、当該測定値が不良値であることを示す特別のコードを当該測定値に割り当てるか、或いは測定の最終良好値を維持する。これらの値は次いで、プロセス制御システムに対して実行されるあらゆる計算全体にわたり伝播する。「最終良好値」オプションが設定された場合、これは検知および除外が困難な誤った計算に至る恐れがある。「不良値」コードがシステム全体に伝播した場合に典型的に、不良測定値に依存する全ての計算も同様に不良としてフラグが立てられる。
プロセス制御システムに設定されたオプションとは無関係に、不良値を含むそれらの期間は、訓練またはテストデータ集合に含まれてはならない。構築担当者は、プロセス制御システムにおいてどのオプションが設定されたかを識別し、次いで、不良値であるサンプルを除外するためのデータフィルタを設定する必要がある。オンライン実装の場合、プロセス制御システムでどのオプションが選択されたかとは無関係に、入力は事前処理して不良値を欠落値としてフラグ付けしなければならない。
通常は長期間にわたり不良値であるこれらの入力をモデルから除外すべきである。
拘束変数とは、測定値がある限界にあって、当該測定値が実際のプロセス状態(値がトランスミッタ範囲の最大または最小限にデフォルト化されている場合とは逆。「不良値」節で記述)に一致する。このプロセス状況は、以下のいくつかの理由により生じる。
・プロセスの各部分は、特に優先的な状況、例えばフレアシステムへの圧力解放流がない限り、通常は不活性である。これらの優先的状況が有効である時間は、データフィルタを設定することにより訓練および検証データ集合から除外しなければならない。オンライン実装の場合、これらの優先事象は、選択されたモデル統計量を自動抑制するトリガ事象である
・プロセス制御システムは、プロセス動作制限、例えば製品仕様限界、に反してプロセスを駆動すべく設計されている。これらの拘束は通常、2種のカテゴリに分類される。即ち時々飽和するものと、通常は飽和しているものである。通常は飽和している入力はモデルから除外しなければならない。稀に(例えば全時間の10%未満)飽和するだけの入力はモデルに含まれてよいが、飽和していない場合には期間に基づいてスケーリングしなければならない。
B.プロセス制御アプリケーションからの入力
プロセス制御アプリケーションは、プロセスデータの相互相関構造に極めて重大な影響を及ぼす。特に以下の通りである。
・被制御変数の変動が大幅に減少するため、プロセスに顕著なプロセス撹乱が出現したか、または、オペレータが主要なセットポイントを変えて意図的に動作点を動かした場合の短期間を除いて、被制御変数内の動きは基本的にノイズである。
・被制御変数における通常の変動は、制御システムにより被操作変数(最終的にはフィールド内の制御バルブへ送られた信号)へ転送される。
精製および化学プロセスの正常動作は通常、2種類の異なる制御機構により制御される。即ち古典的制御カスケード(図6に示す)および、より最近の多変数拘束コントローラMVCC(図7に示す)である。
1)カスケード構造からモデル入力を選択
図6に、典型的な「カスケード」プロセス制御アプリケーションを示す。これは精製および化学プロセス用に極めて一般的な制御機構である。そのようなアプリケーションからの多くの潜在的なモデル入力が存在するが、当該モデルの候補である唯一のものは未加工プロセス測定値(本図の「PV」)およびフィールドバルブへの最終出力である。
カスケード制御機構の最終一次側のPVは、極めて重要な測定値であるにもかかわらず、当該モデルへ含めるには適していない候補である。この測定値は通常、制御機構の目的がこの測定値をセットポイントに保つことであるため、動きが極めて限られる。自身のセットポイントが変えられた場合に最終一次側のPV内に動きがあってもよいが、通常これは稀である。一次セットポイントの不定期的移動から生じるデータパターンは通常、モデルがデータパターンを特徴付けるに足る影響力を訓練データパターンに有していない。
最終一次側のセットポイントの変化から生じるデータパターンを特徴付けることがこのように困難なため、オペレータが当該セットポイントを動かしたならば、当該モデルの指標である二乗予測誤差SPEの和が顕著に増加しそうである。従って、最終一次側のセットポイントがわずかに変化しても「既知事象抑制」を起こす候補トリガである。オペレータが最終一次側セットポイントを変える都度、「既知事象抑制」論理がSPE計算からその影響を自動的に除去する。
構築担当者が最終一次側のPVをモデルに含めるのであれば、当該測定値は、オペレータがセットポイントを変えた時点からプロセスが新規セットポイントの値の近くへ移動するまでの短い期間に基づいてスケーリングすべきである(例えば、セットポイントが10から11まで変化した場合、PVが10.95に達したときに新規セットポイントの95%以内に)。
最終一次側のPVと極めて強い相関(例えば相関係数が0.95を超える)を有する測定値もまたあり得る。例えば、最終一次側のPVとして用いられる、温度測定の近傍に置かれた冗長な熱電対である。これらの冗長な測定値は、最終一次側のPV用に選択されたのと同じ方法で扱われなければならない。
カスケード構造は、各々の二次側に設定ポイント制限を持つことができ、フィールド制御バルブへの信号に対して出力制限を設けることができる。これらの潜在的に拘束された動作の状態を調べることは、セットポイントに関連付けられた測定値が拘束された方法で操作されたか否か、または、フィールドバルブに対する信号が拘束されたか否か見るために重要である。これらの拘束された動作の間の日付を用いてはならない。
2)多変数拘束コントローラ(MVCC)からのモデル入力の選択/計算
図7に、精製および化学プロセス向けの極めて一般的な制御機構である典型的MVCCプロセス制御アプリケーションを示す。MVCCは動的数学モデルを用いて、被操作変数MV(通常は調整制御ループのバルブ位置またはセットポイント)の変化がどのように制御変数CV(プロセス状態を測定する従属温度、圧力、組成および流量)を変えるかを予測する。MVCCは、プロセス動作を動作限度まで押し上げようと試みる。これらの限度は、MV限度またはCV限度のいずれかであってよく、外部オプティマイザにより決定される。プロセス動作の限度の数は、コントローラが操作可能なMVの数から、制御されている物質収支の数を差し引いたものに等しい。従って、MVCCが12個のMV、30個のCV、および2個のレベルを有する場合、プロセスは10個の限度に向けて動作される。MVCCはまた、プロセスに対する測定された負荷変動の影響を予測して、これらの負荷変動(フィードフォワード変数FFとして知られる)を補償する。
未加工MVまたはCVが、PCAモデルに含めるべき良い候補であるか否かは、MVまたはCVがMVCCによる動作限度に対して保持されている時間の割合に依存する。「拘束変数」の節で議論したように、時間の10%を超えて拘束される未加工変数は、PCAモデルへ含める候補としては適していない。通常、非拘束変数は「拘束変数」節の議論に従って扱われなければならない。
無拘束MVが調整制御ループに対するセットポイントである場合、セットポイントを含めるべきではなく、代わりに当該調整制御ループの測定値を含めるべきである。また、当該調整制御ループからのフィールドバルブに対する信号も含めるべきである。
無拘束MVがフィールドバルブ位置に対する信号である場合、これをモデルに含めるべきである。
C.冗長測定値
プロセス制御システムデータベースは、PCAモデルへの候補入力の中で顕著な冗長性を有する可能性がある。冗長性の一種として「物理的冗長性」があり、これはプロセス設備内で互いに物理的に近接して配置された多数のセンサー(熱電対等)が存在する場合である。別の種類の冗長性として「計算的冗長性」があり、これは未加工センサーが新たな変数(例:圧力補償された温度、または容積測定流量測定値から計算されて質量流量)に数学的に組み合わされた場合である。
一般的なルールとして、未加工測定値および当該測定値から計算された入力は共に当該モデルに含まれてはならない。一般に好適なのは、プロセスオペレータが最も馴染んでいる測定値のバージョンを含めることである。このルールにおける例外は、当該モデル用にデータの相互相関構造を向上させるために未加工入力を数学的に変換しなければならない場合である。その場合、未加工測定ではなく、変換された変数を当該モデルに含めるべきである。
物理的冗長性は、モデルの相互検証情報を提供するために極めて重要である。一般的なルールとして、物理的に冗長な未加工測定値はモデルに含めるべきである。多数の物理的に冗長な測定値が存在する場合、これらの測定値は、主成分(可変スケーリングに関する節を参照)の選択を阻害するのを防止すべく特別にスケーリングされなければならない。一般的なプロセスの例は、原子炉暴走を捕捉すべく原子炉に設置された多数の熱電対から生じる。
極めて巨大なデータベースをマイニングする場合、構築担当者は全ての候補入力の中で相互相関計算を行なうことにより冗長な測定値を識別することができる。相互相関が極めて高い(例えば0.95超)測定値ペアを個別に調べて各々の組を物理的に冗長または計算的に冗長のいずれかに分類しなければならない。
III.履歴データの収集
構築に要する努力の多くは、正常なプロセス動作の全てのモードを含むことがわかっている良好な訓練データ集合の生成にある。このデータ集合は以下を満たさなければならない。
正常動作範囲にわたること。動作範囲の小さい部分にわたるデータ集合は殆どがノイズからなる。定常状態動作の間のデータの範囲に比べたデータの範囲は、データ集合の情報の品質を良く示している。
全ての正常動作モード(季節的なモード変動を含む)を含んでいること。各々の動作モードは、異なる相互相関構造を有していてよい。動作モードを特徴付けるパターンがモデルにより捕捉されない限り、これらの非モデル化動作モードは異常動作として現われる。
正常動作データだけを含んでいること。強い異常動作データが訓練データに含まれている場合、モデルは誤ってこれらの異常動作を正常動作としてモデル化してしまう。その結果、後で当該モデルを異常動作と比較した際に、異常動作を検知することができない。
履歴は、オンライン・システムで用いるデータになるべく類似しているべきである。オンライン・システムは、異常事象を検知するのに充分速い周期でスポット値を提供する。連続的な精製および化学的操作の場合、このサンプリング周期は約1分である。データ履歴管理機能の限度内で、訓練データは可能な限り1分のスポット値に等価でなければならない。
データ収集の戦略は、長期間(通常9〜18ヶ月間の範囲)の動作履歴から開始し、これらの期間から明白な、または文書化された異常事象を除外するように試みることである。そのような長期間を用いることにより以下が実現する。
・比較的小さい異常事象は、モデルパラメータに大きく影響する程度には充分な強さを以って訓練データ集合に現われない
・大部分の動作モードが発生して、データ内に現われているはずである。
A.履歴データ収集に関する事項
1)データ圧縮
多くの履歴データベースはデータ圧縮を用いて、必要なデータ記憶容量を最小化する。不都合なことに、これを実行すればデータの相互相関構造を乱す恐れがある。プロジェクトの開始時点において、データベースのデータ圧縮を無効にしてデータのスポット値の履歴を取っておくべきである。可能な場合は常に非圧縮データを用いて最終的なモデルを構築しなければならない。平均化された値は、それらが利用できる唯一のデータであって、利用できる最短のデータ平均でない限り、用いるべきではない。
2)データ履歴の長さ
モデルが正常なプロセスパターンを適切に表わすために、訓練データ集合は、全ての正常動作モード、正常な動作変動、およびプロセスに生じる変化や正常な微小攪乱の例を含んでいなければならない。これは、長期間(例:9〜18ヶ月)にわたるプロセス動作のデータを用いることにより実現される。特に、精製および化学プロセスにおいて季節的(春夏秋冬)な動作の違いは極めて重要であり得る。
時折、これらの長い範囲のデータが未だ利用できない場合(例:プロセス設備の切り替えその他の重要な再構成の後)がある。これらの場合、モデルは訓練データの短い(例:6週間)初期集合から始めて、更なるデータが収集されるにつれて訓練データ集合が拡張されて、モデルが安定するまで当該モデルが毎月更新される(例:モデル係数は新規データを追加しても変化しない)。
3)補助履歴データ
この期間に対する各種の操作ジャーナルもまた収集しなければならない。これを用いて、動作期間を異常とみなすが、または訓練データ集合から除外する必要がある何らかの特別なモードにおいて動作している。特に、重要な履歴的異常事象をこれらのログから選択してモデル用のテストケースとすることができる。
4)特定の測定履歴の欠如
往々にして、セットポイントおよびコントローラ出力は、工場プロセスデータの履歴管理機能で履歴化されないことが多い。これらの値の履歴化は、プロジェクトの開始時点で直ちに開始しなければならない。
5)動作モード
もはや適切に現在のプロセス動作を表わさない旧データは、訓練データ集合から削除しなければならない。大規模なプロセス変更の後で、訓練データおよびPCAモデルを最初から作り直すことが必要な場合がある。特定の種類の動作がもはや実行されていない場合、当該動作からの全てのデータを訓練データ集合から削除しなければならない。
動作ログを用いて、異なる動作モードの下でいつプロセスが稼動したかを識別しなければならない。これらの異なるモードは別々のモデルを必要とする場合がある。モデルがいくつかの動作モードに対応することを意図している場合、各々の動作モデルからの訓練データ集合内のサンプルの数はほぼ等しくなければならない。
6)サンプリングレート
構築担当者は、拠点のプロセス履歴管理機能を使用して数ヶ月分のプロセスデータ、好ましくは1分間隔のスポット値、を収集しなければならない。これが入手可能でない場合、なるべく平均化されておらず、且つ解像度が最も高いデータを使用すべきである。
7)稀にサンプリングされる測定値
品質測定値(アナライザおよび研究室サンプル)は他のプロセス測定値よりも極めて長いサンプリング周期を有し、数十分毎〜1日1回の範囲である。これらの測定値をモデルに含めるには、これらの品質測定値の連続的な推定値を生成する必要がある。図8に、連続的な品質推定値のオンライン計算を示す。これと同じモデル構造を構築して履歴データに適用しなければならない。この品質推定値は次いで、PCAモデルへの入力になる。
8)モデルにより起動されるデータ注釈
極めて明らかな異常を除いて、履歴データの品質を判定するのは困難である。異常動作データを含めることによりモデルが偏る恐れがある。大量の履歴データを用いる戦略は、訓練データ集合における異常な動作により生じるモデルのバイアスをある程度補償する。プロジェクトの開始に先立って履歴データから構築されたモデルは、品質に関しては疑いを持たなければならない。初期訓練データ集合は、プロジェクトが継続している間に生じるプロセス状況の高い品質注釈を含むデータ集合により代替されなければならない。
モデル構築の戦略は、初期の「粗い」モデル(疑わしい訓練データ集合の結果)から出発し、次いでモデルを用いて高品質訓練データ集合の収集を起動することである。モデルを用いてプロセスを監視するに従い、正常動作、特別動作、および異常動作に関する注釈およびデータが集められる。モデルが異常動作のフラグを立てるか、または異常事象をモデルが見逃した都度、事象の原因および持続期間に注釈が付けられる。このように、プロセス動作を監視するモデルの能力に対するフィードバックを訓練データに取り込むことができる。次いでこのデータを用いてモデルを改良し、次いで当該モデルを用いて品質が向上した訓練データを収集し続ける。このプロセスは、モデルが満足すべき状態になるまで繰り返される。
IV.データ及びプロセス解析
A.初期の粗いデータ解析
動作ログを用いて、プロセスの主要な性能指標を調べることにより、履歴データを、異常動作の存在が判明している期間と、識別された異常動作が存在しない期間に分ける。識別された異常動作が存在しないデータが訓練データ集合となる。
ここで、各測定値は、訓練データ集合の候補であるか否かを判定すべく、自身の全履歴を調べられる必要がある。除外しなければならない測定値は以下の通りである。
・「不良値」である期間が長いもの
・自身のトランスミッタの上限または下限に固定された期間が長いもの
・極めて僅かな変動性しか示さないもの(自身のセットポイントに密に制御されているものを除く)
・自身の動作範囲に関して極めて大きい変動性を連続的に示すもの
・データ集合内の他のどの測定値とも殆ど相互相関を示さないもの
・信号対ノイズ比が低いもの
データを調べる間、測定値が短期的に「不良値」を示すか、或いは自身のトランスミッタ上限または下限に短期的に固定されている期間もまた除外されなければならない。
これらの除外がなされたならば、第1の粗いPCAモデルが構築される筈である。これは極めて粗いモデルになるため、保持される主成分の正確な個数は重要でない。これは通常、モデルに含まれる測定値の個数の約5%である。PCの数は最終的に、プロセス内の自由度の個数に合致する筈であるが、これはプロセス撹乱の全ての異なる発生源を含んでいるため、通常は未知である。含めるべき主成分の個数を判定するいくつかの標準的な方法がある。また、この段階では、可変スケーリングへの統計的アプローチを用いるべきである。即ち全ての変数を単位分散にスケーリングする。
X’=(X−Xavg)/σ 式7
ここで訓練データ集合をこの事前モデルに通して、データがモデルに合致しない期間を識別しなければならない。これらの期間を調べて、その時点で異常事象が生じていたか否かを判定しなければならない。そうであると判定されたならば、これらの期間はまた、既知の異常事象が生じている時間としてフラグを立てられなければならない。これらの期間を訓練データ集合から除外し、修正されたデータによりモデルを再構築しなければならない。
B.外れ値および異常動作期間の除外
以下を通じて、明らかな異常事象を除去する。
文書化された事象の除外。拠点において異常事象の履歴の完全な記録が残されていることは極めて珍しい。しかし、顕著な動作問題は、オペレータのログ、オペレータの変更ジャーナル、警報ジャーナル、および計器保守記録等の動作記録に文書化されなければならない。これらは、異常事象の履歴の部分的な記録しか提供しない。
主要性能指標KPIが異常である期間の除外。供給レート、製品レート、製品品質等の測定値が共通の主要性能指標である。各々のプロセス動作には、装置に固有の追加的なKPIがあってよい。この限られた測定値の集合を注意深く調べることにより、異常動作の期間が明確に示される。図9に、KPIのヒストグラムを示す。このKPIの動作目的はこれを最大化することであるため、このKPIが低い場合の動作期間は異常動作である可能性がある。プロセス品質は、最適動作が仕様限界以内であって、正常な供給速度の変動に対する感度が低いため、往々にして最も解析が容易なKPIである。
C.ノイズの補償
ノイズとは、プロセスに関して有用な情報を含んでいない測定信号の高周波内容を指す。ノイズは、オリフィス・プレートを横断する二相流またはレベルの撹乱等の特定のプロセス状況により生じ得る。ノイズは、電気インダクタンスにより生じ得る。しかし、恐らくはプロセス撹乱により生じた顕著なプロセス変動性は有用な情報にあって、フィルタリングで除去してはならない。
精製および化学的プロセスの測定で生じる2種の一次ノイズがある。即ち測定スパイクおよび指数相関を有する連続ノイズである。測定スパイクにより、信号は、自身の以前の値に近い値に戻る前に、サンプル数が少ない割に不合理なほど大幅に飛ぶ。ノイズ・スパイクは、ユニオン・フィルタ等の従来型スパイク除外フィルタを用いて除外される。
信号におけるノイズの量は、信号対ノイズ比として知られる尺度により定量化できる(図10参照)。これは、高周波ノイズに起因する信号変動性の程度に対するプロセス変動に起因する信号変動性の程度の比として定義される。4未満の値が、信号が顕著なノイズを含んでいてモデルの効果を阻害し得ることを示す典型的な値である。
構築担当者が顕著なノイズを含む信号に遭遇するたびに、三種の選択の一つを行なう必要がある。好ましい順に以下の通りである。
・ノイズの発生源を除去することにより信号を固定する(最良の対応策)
・フィルタリング技術を用いてノイズを除去/最小化する
・信号を当該モデルから除去する
信号対ノイズ比が2〜4の間にある信号では通常、指数相関を有する連続ノイズは、指数フィルタ等の従来型低域通過フィルタにより除去することができる。指数フィルタの式は以下の通りである。
=P*Yn−1+(1−P)*X 指数フィルタの式 式8
P=Exp(−T/T) フィルタ定数の計算 式9
は現在のフィルタリングされた値
n−1は以前にフィルタリングされた値
は現在の未加工値
Pは指数フィルタ定数
は測定値のサンプル時間
フィルタが時定数
信号対ノイズ比が極めて低い(例えば2未満の)信号は、直接モデルに含まれる程度にはフィルタリング技術によっても充分に改善できないであろう。入力が重要と見なされる場合、変数のスケーリングはスケーリング係数のサイズを大幅に増す(通常は2〜10の範囲)ことにより、モデルの感度を下げるべく設定されなければならない。
D.変換された変数
変換された変数は、二つの異なる理由によりモデルに含まれなければならない。
第一に、特定の設備およびプロセス化学の工学的解析に基づいて、プロセス内で既知の非線形性を変換して当該モデルに含めなければならない。PCAの仮定の一つが、モデルの変数が線形に相関していることであるため、プロセスまたは設備の顕著な非線形性はこの相互相関構造を壊して、モデルからの偏差として現われる。これは、モデルの使用可能範囲に影響を及ぼす。
既知の非線形変換の例として以下のものがある。
・蒸留塔における還流対供給比
・高純度蒸留の組成のログ
・圧力補償された温度測定
・副流の生成
・バルブ位置への流れ(図2)
・指標的温度変化への反応率
第二に、過去に生じたプロセス問題からのデータもまた、これらの問題が当該プロセスの測定値にどのように現われるかを理解するために調べなければならない。例えば、装置のデルタ圧力と供給速度の関係は、フラッディング点に達するまでは比較的線形であるが、そこからデルタ圧力は指数的に増加する。タワーフラッディングは、この線形相関が破れたことで検出されるため、デルタ圧力および供給速度の両方が含まれなければならない。別の例として、触媒流問題が移送ラインのデルタ圧力にしばしば見られる。従って、絶対圧力測定値をモデルに含めるのではなく、デルタ圧力を計算して含めなければならない。
E.動的変換
図11に、プロセスダイナミクスが2個の測定値の現在値同士の相互相関をどのように乱すかを示す。遷移時間中、一方の値は常に変化しているが他方はそうでなく、従って遷移時間中は現在値同士の相互相関は存在しない。しかし、これら2個の測定値は、動的伝達関数を用いて主要な変数を変換することにより、時間同期に戻すことができる。データの時間同期化には通常、無駄時間動的モデル(式9にラプラス変換形式で示す)を有する第1オーダーで充分である。
Figure 2008512800
Y:未加工データ
Y’:時間同期化データ
T:時定数
Θ:無駄時間
S:ラプラス変換パラメータ
この技術が必要とされるのは、モデルで用いる変数同士に顕著な動的分離がある場合のみである。通常、変数の1〜2%だけがこの処理を必要とする。これは、オペレータによりしばしば大きな刻みで変えられるセットポイント等の独立変数、およびモデル化されている主処理ユニットのかなり上流にある測定値に当てはまる。
F.平均的な動作点の除去
連続的な精製および化学プロセスは、ある動作点から別の動作点へ常に移動されている。これらは、オペレータまたは最適化プログラムが主要なセットポイントを変更した意図的なものであったてもよく、或いは、熱交換器の汚れや触媒の非活性化等の遅いプロセス変動により生じる場合がある。その結果、未加工データは静止していない。これらの動作点の変更は、静止データを生成するために除去する必要がある。さもなければ、これらの変更は異常事象として誤って現われる。
プロセスの測定値は偏差変数、即ち移動平均動作点からの偏差に変換される。異常事象検知用のPCAモデルを生成する際に、平均動作点を除去する当該変換が必要である。これは、自身の未加工値から測定値の指数的にフィルタリングされた値(指数フィルタ式については式8、9を参照)を減算し、当該モデルでこの差を用いることにより行なわれる。
X’=X−Xfiltered 式10
X’:動作点変化を除去すべく変換された測定値
X:元の未加工測定値
filtered:指標的にフィルタリングされた未加工測定値
指数フィルタ用の時定数は、プロセスの主要な時定数とほぼ同じサイズでなければならない。多くの場合、時定数は約40分で充分である。この変換の結果、PCAモデルへの入力が、移動平均動作点からのプロセスの最近の変化の測定値となる。
この変換を正確に実行すべく、多くの場合毎分またはそれ以上速くオンライン・システムと合致するサンプリング周期でデータを集めなければならない。これは結果的に、1年分の動作データに対応すべく各々の測定について525,600個のサンプルを集めることになる。この変換を計算したならば、データ集合を再サンプリングして、より管理しやすいサンプル数、通常は30,000〜50,000サンプルの範囲内に減らす。
V.モデル構築
特定の測定値が選択されて、訓練データ集合が構築されたならば、標準的なツールを用いてモデルは素早く構築することができる。
A.モデル入力のスケーリング
PCAモデルの性能は、入力のスケーリングに依存している。スケーリングへの従来型のアプローチは、訓練データ集合内で各々の入力を自身の標準偏差σで分割することである。
’=X/σ 式11
多数のほぼ同一の測定値(固定された触媒反応床の多数の温度測定値)を含む入力集合の場合、このアプローチは更に、測定値をほぼ同一の測定値の個数の二乗根で除算することで修正される。
冗長なデータ群の場合
’=X/(σ*sqrt(N)) 式12
ここで、N=冗長なデータ群における入力の個数
これらの従来方式のアプローチは、連続的な精製および化学プロセスからの測定値に対しては不適当である。プロセスは通常、指定された動作点でうまく制御されているため、データの分布は定常状態動作からのデータと、「乱された」および動作点が変化した動作からのデータとの組合せである。これらのデータは、優位な定常状態動作データからの過度に小さい標準偏差を有する。その結果生じるPCAモデルは、プロセス測定値における微小又は適度な偏差に極端に影響される。
連続的な精製および化学プロセスの場合、スケーリングは、正常プロセス撹乱の最中、または連続定常状態動作中に生じる変動性の程度に含まれない動作点変化の最中に生じる変動性の程度に基づくべきである。通常の無拘束変数の場合、スケーリング係数を決定する二つの異なる方式がある。
第一の方式は、プロセスが定常状態で動作しておらず、且つ顕著な異常事象が生じていない期間を識別するものである。限られた個数の測定値が定常状態動作の主要な指標の役割を果たす。これらは典型的なプロセスの主要性能指標であって、通常はプロセスの供給速度、製品生産速度、および製品品質を含んでいる。これらの主要な尺度を用いて、動作を正常な定常状態動作、正常な撹乱された動作、および異常動作の期間に区分する。正常な撹乱された動作期間からの標準偏差が大部分の測定値に対する良好なスケーリング係数を与える。
撹乱された動作に基づいてスケーリングを明示的に計算する代替的な方式は、以下のように訓練データ集合全体を用いるものである。スケーリング係数は、平均から3標準偏差外れたデータ分布に注目することにより近似することができる。例えば、データの99.7%が平均の3標準偏差以内に存在し、データの99.99%が平均の4標準偏差以内に存在する筈である。平均から99.7%と99.99%の間にあるデータ値の拡がりは、データ集合内の「撹乱された」データの標準偏差の近似としての役割を果たすことができる。図12を参照されたい。
最後に、測定値がしばしば拘束される(飽和変数に関する議論を参照)場合、スケーリング係数として用いる標準偏差の計算には変数が拘束されない期間だけを用いるべきである。
B.主成分の個数を選択する
PCAは実際のプロセス変数を主成分PCと呼ばれる一組の独立変数に変換する。これは、元の変数の線形結合である(式13)。
PC=Ai,1*X+Ai,2*X+Ai,3*X+... 式13
プロセスには、プロセスに影響を及ぼす特定の独立した事象を表わす多くの自由度がある。これらの異なる独立した事象は、プロセス変動とし当該プロセスのデータに出現する。プロセス変動は、供給速度の変更等の意図的な変更、または周囲温度の変化等の意図しない撹乱に起因する場合がある。
各々の主成分は、プロセスに対するこれらの異なる独立した効果により生じるプロセスの変動性の一部をモデル化する。主成分は、データ集合における変動が減少する方向で抽出され、後続する各々の主成分は、次第にプロセス変動性をモデル化しなくなっていく。顕著な主成分はプロセス変動の顕著な発生源を表わす。例えば、供給速度の変更が最も大きいプロセス変動の発生源であるため、第1の主成分は通常、供給速度変更の効果を表わす。ある時点で構築担当者は、主成分によりモデル化されたプロセス変動が、いつ独立発生源を表わさなくなったかを決定しなければならない。
主成分の正確な個数を選択する工学的アプローチは、主成分の一次寄与分である変数のグループがもはや工学的に意味を持たなくなった時点で止めることである。PCによりモデル化されたプロセス変動の一次要因は、元の変数(それは、負荷と呼ばれる)の係数Ai,nに着目することにより識別される。規模が比較的大きいそれらの係数は、特定のPCの主要な寄与分である。プロセスを良く理解する者であれば、PCの主要な寄与分である変数の群に着目し、当該PCに名前(例:供給速度効果)を割り当てることができる筈である。次第に多くのPCがデータから抽出されるにつれて、係数のサイズが更に等しくなる。この時点で、特定のPCによりモデル化されている変動は基本的にノイズである。
いつPCが単にノイズをモデル化しているかを判定する従来の統計的方法は、各々の新規PCによりモデル化されているプロセス変動がいつ一定になるかを識別することである。これはPRESS統計で測定され、各々の連続するPC(図13)によりモデル化された変化の量をプロットする。不都合なことに、このテストは、精製および化学プロセス用に構築されたPCAモデルには往々にして曖昧である。
VI.モデルのテスト及びチューニング
プロセスデータは、ガウス即ち正規分布を示さない。その結果、残留誤りの3標準偏差における異常事象を検知するトリガを設定する標準的な統計的方法を用いてはならない。その代わり、トリガ位置は、モデルを用いて経験に基づいて経験的に設定されなければならない。
最初に、拠点技術者が受容できる頻度、通常は毎日5、6回異常事象が通知されるようにトリガ・レベルを設定しなければならない。これは、訓練データ集合のSPE(これはQ統計またはDMOD統計とも呼ばれる)統計に着目して決定することができる。このレベルは、実際の異常事象を見逃すことなく、しかも誤警報に拠点技術者が振り回されないように設定されている。
A.モデルの強化
初期モデルが生成されたならば、新たな訓練データ集合を生成することにより強化する必要がある。これはモデルを用いてプロセスを監視することにより行なわれる。モデルが潜在的に異常な状況を示す場合、技術者はプロセス状況を調べて分類しなければならない。技術者は以下の3種の異なる状況を見出す。即ち何らかの特殊なプロセス動作が生じている、実際に異常な状況が生じている、或いは、プロセスは正常であって異常は虚偽の通知である。
新たな訓練データ集合は、特殊動作および正常動作からのデータで構成されている。初期モデルを生成するために実行されたのと同じ分析をデータに対して実行氏、且つモデルを再計算することが必要である。この新たなモデルでは、依然としてトリガレバーが経験的に設定されるが、今回はより良い注釈が付けられたデータを伴うため、このトリガ点を調整して、真の異常事象が生じた場合のみ通知を与えるようにすることができる。
異常事象検知のための単純な工学モデル
プロセス設備の物理的、化学的および機械的の設計、並びに多くの類似測定の挿入により、連続的な精製および化学プロセスからのデータにかなりの程度の冗長性をもたらす。この冗長性は、同一の測定が存在する場合は物理的冗長性と呼ばれ、物理的、化学的または機械的関係を用いてプロセス状態の独立であるが等価な推定を実行する場合は計算的冗長性と呼ばれる。このクラスのモデルを工学的冗長性モデルと呼ぶ。
I.2次元工学的冗長性モデル
これはモデルの最も簡単な形式であり、以下のような一般形式を有する。
F(y)=G(x)+フィルタリング済みバイアス(filtered bias)+オペレータ・バイアス(operator bias)+誤差 式14
未加工バイアス=F(y)−{G(x)+フィルタリング済みバイアス+オペレータ・バイアス}=誤差 式15
フィルタリング済みバイアス=フィルタリング済みバイアスi−1+N*未加工バイアスi−1 式16
N−収束係数(例:0.0001)
正常動作範囲:xmin<x<xmax
正常モデル偏差:−(最大誤差)<誤差<(最大誤差)
オペレータが、モデルのシフトを必要とする何らかのフィールド事象(例:バイパスフロー)があったと判定する都度、「オペレータ・バイアス」項は更新される。オペレータの命令があれば、式14が正確に満足される(誤差=0)ように、オペレータ・バイアス項が更新される。
工学的冗長性モデルにバイアスを与える持続的な未測定プロセス変動に対処すべく「フィルタリングされたバイアス」項は連続的に更新される。収束係数「N」は、ユーザーが指定した、通常は数日間にわたる期間の後で、あらゆる持続的な変化を除去すべく設定される。
「正常動作範囲」および「正常モデル偏差」は、工学的冗長性モデルの履歴データから決定される。大多数の場合、最大誤差の値は単一の値であるが、これはまた、x軸位置に依存する値のベクトルであり得る。
物質収支、エネルギー収支、推定アナライザ表示対実際のアナライザ表示、圧縮機曲線等、任意の2次元方程式をこのように表わすことができる。図14に、2次元のエネルギー収支を示す。
適用例として、流量対バルブ位置モデルについてより詳細に述べる。
A.流量対バルブ位置モデル
特に有益な工学的冗長性モデルは、流量対バルブ位置モデルである。図2にこのモデルをグラフ的に示す。このモデルの特定の形式は以下の通りである。
Figure 2008512800
ここで、
Flow:制御バルブを通る測定された流量
Delta_Pressure=測定された最も近い上流圧力−測定された最も近い下流圧力
Delta_Pressurereference:正常動作の間の平均デルタ圧力
a:履歴データにフィッティングされたモデルパラメータ
Cv:履歴データから経験的に決定されたバルブ特性曲線
VP:制御バルブへの信号(実際の制御バルブ位置でない)
このモデルの目的は以下の通りである。
・詰まりつつある/詰まった制御バルブの検知
・凍結/故障した流量測定の検知
・制御システムが流量の制御を喪失した箇所の制御バルブ動作の検知
この流量対バルブ式の特定の構成は、人的要因の理由で選択されている。この形式で方程式をx−yプロットするのがオペレータにとって最も容易に理解される。これらのモデルのいずれも、オペレータが最も理解しやすそうな方法で構成することが重要である。
B.流量対バルブ位置モデルの構築
連続的な精製および化学プロセスが受ける長い期間にわたる定常状態動作ため、制御バルブの動作全体にわたる充分なデータを得るには長い履歴記録(1〜2年)が必要である。図15に、定常動作が長期間にわたる流量、バルブ位置、およびデルタ圧力データの典型的な範囲を示す。最初の段階は、図に示すように、動作に何らかの重要な変動がある所で短い期間を切り離すことである。これは次いで、履歴内で様々な期間から取り出された正常動作の期間と混合されなければならない。
往々にして、上流圧力(多くの場合ポンプ吐出)または下流圧力を利用できない。そのような場合、欠落している測定値が当該モデルにおける固定されたモデルパラメータになる。両方の圧力が欠落している場合、当該モデルに圧力効果を含めることは不可能である。
バルブ特性曲線は、線形バルブ曲線、二次バルブ曲線、または区分的線形関数のいずれかにフィットする。区分的線形関数は、最も柔軟であって、任意の形状のバルブ特性曲線にもフィットする。
バルブを直接横断して測定値が得られた場合、「a」の理論値は1/2である。測定値はそこには配置されない。「a」は、圧力測定値の実際の位置決めに対応すべく経験的に決定されたパラメータとなる。
往々にして、デルタ圧力が変化する期間がほとんど無い場合もある。正常動作期間中のデルタ圧力のノイズがモデルフィッティング・プログラムを混乱させる恐れがある。これを克服するために、モデルを二相で構築する。即ち、最初は、デルタ圧力が変化する期間だけを含む小さいデータ集合を用いてモデルのフィッティングを行なう。次いで、決定された値で圧力従属パラメータ(「a」と、恐らくは欠落している上流または下流圧力)を固定して、大きい方のデータを用いてモデルを再構築する。
C.流量対バルブ異常表示のファジー・ネット処理
任意の2次元工学的冗長性モデルと同様に、二種の異常性の尺度、即ち「正常動作範囲」および「正常モデル偏差」がある。「正常モデル偏差」は、正規化された指標即ち誤差/最大誤差に基づいている。これは、4型ファジー識別器(図16)へ送られる。構築担当者は、正規化された指標を用いて、標準的な方法で正常(値ゼロ)から異常(値1)への遷移を検出することができる。
「正常動作範囲」指標は、正常領域からのバルブ位置の距離である。これは通常、バルブ位置の変化の結果バルブ内の流量が殆どまたは全く変化しないバルブの動作の領域を表わす。構築担当者は再度、4型ファジー識別器を用いて、正常動作範囲の上下端、および正常動作から異常動作への遷移の両方をカバーすることができる。
D.複数の流量/バルブモデルのグループ化
オペレータが好む流量/バルブモデルのグループ化の一般的な方法は、これらのモデルの全てを単一のファジー・ネットワークに入れて、傾向インジケータがオペレータに対し、それらの重要な流量コントローラの全てが機能していることを教える。その場合、ファジー・ネットワーク(図4)へのモデル表示は、各々の流量/バルブモデルに対して「正常動作範囲」および「正常モデル偏差」の表示を含んでいる。この傾向は、最悪モデル表示からの識別器の結果を含んでいよう。
共通の設備タイプがグループ化された場合、このグループに注目するオペレータが好む別の方法として、流量/バルブのパレート図を用いるものがある(図17)。このチャートにおいて、上位10個の異常なバルブは、左端の最も異常なものから右端の最異常でないものまで動的に配置されている。各々のパレート・バーもまた、正常範囲内にあるモデル異常性表示の変化の程度を示す参照ボックスを備えている。図17の図は、「バルブ10」が実質的に正常ボックスの外側にあるが、他のものは全て正常に振舞っていることを示す。オペレータは次に、図2と同様に「バルブ10」用のプロットを調べて、流量制御ループに関する問題を診断する。
II.多次元工学的冗長性モデル
次元が2より大きくなったならば、高次元工学的冗長性検査を扱うべく単一の「PCA状」モデルが構築される。
多次元冗長性の例として以下のものがある。
・圧力1=圧力2=....=圧力n
・処理ユニット1へ入る物質流量=処理ユニット1から出る物質流量=...処理ユニット2へ入る物質流量
測定値の較正誤差のため、これらの式は各々で係数を補償する必要がある。従って、最初に構築すべきモデル集合は以下の通りである。
(y)=a(x)+フィルタリング済みバイアス1、i+オペレータ・バイアス+誤差1、i
(y)=a(x)+フィルタリング済みバイアス2、i+オペレータ・バイアス+誤差2、i
(y)=a(x)+フィルタリング済みバイアスn、i+オペレータ・バイアス+誤差n、i 式18
これらのモデルは、2次元の工学的冗長性モデルが構築されたのと同一の方法で構築される。
この組の多次元検査はここで「PCA状」モデルに変換される。この変換は、PCAモデルにおける主成分を、主成分係数(負荷)が、この独立した効果に起因する測定値の比例的変化を表わす、プロセスに対する独立した効果のモデルとしての解釈に依存する。図3において、3個の独立且つ冗長な処置、X1、X2、およびX3がある。X3が1ずつ変化する都度、X1はaだけ変化し、またX2はaだけ変化する。この関係の組は、係数がスケーリングされてない工学単位である、単一の主成分モデル(P)として表わされる。
P=aX1+aX2+aX3 式19
ここにa=1
当該モデルのこの工学単位のバージョンは、以下のように標準的なPCAモデル形式に変換することができる。
標準的な統計概念との類似性を示すならば、各次元Xの変換係数は、正常動作範囲に基づいていてよい。例えば、平均の周囲の3σを用いて正常動作範囲を定義すれば、スケーリングされた変数は以下のように定義される。
scale=Xnormal operating range/6σ 式20
(正常動作データの99.7%は平均から3σ以内に入る筈である)
mid=Xmid point of operating range 式21
(「平均」を正常動作範囲の中点として明示的に定義)
X’=(X−Xmid)/Xscale 式22
(平均とσが決定された際の標準的なPCAスケーリング)
用のP’負荷は以下の通りである。
Figure 2008512800
(負荷ベクトルを正規化する旨の要件)
これはPを以下のように変換する
P’=b*X1+b*X2+・・・+b*XN 式24
P’「標準偏差」=b+b+・・・+b 式25
この変換により、多次元工学的冗長性モデルはここで、標準的なPCA構造を計算、例外処理、オペレータへの提示および対話に用いて取り扱うことができる。
異常事象検知のためにPCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備
I.オペレータおよび既知の事象抑制
抑制論理は、以下の目的に必要とされる。
・測定可能な異常事象から虚偽の表示を除外する方法を提供する
・オペレータが調べた異常な表示を消去する方法を提供する
・保守のため一時的にモデルまたは測定値を無効にする方法を提供する
・不良動作するモデルを、それらが再調整されるまで使用不可にする方法を提供する
・不良動作する計器を永久に使用不可にする方法を提供する
抑制には2種類ある。即ち外部の測定可能な事象により自動的に起動される抑制と、オペレータにより起動される抑制である。これらの2種類の抑制の背後にある論理を図18、19に示す。これらの図はファジー化モデル指標に生じている抑制を示しているが、抑制は、特定の測定値に対して、特定のモデル指標に対して、モデル全体に対して、或いはプロセス領域内のモデルの組合せに対しても生じ得る。
オペレータが起動した抑制には、抑制が終了した時点を判定する2個のタイマーがある。1個のタイマーは、抑制された情報が正常状態を戻ってそのままであることを確かめる。このタイマーの典型的な値は15〜30分である。第2のタイマーは、正常状態に戻ったか否かに拘らず、異常事象の検査を再起動させる。このタイマーの典型的な値は、オペレータの勤務シフト(8〜12時間)に等しいか、または半永久的な抑制の場合には極めて長時間となる。
事象に基づく抑制の場合、測定可能なトリガが必要である。これは、オペレータによるセットポイントの変更、突然の測定値変化、またはデジタル信号であり得る。この信号は、図20に示すタイミング信号に変換される。このタイミング信号は、以下の式を用いてトリガ信号から生成される。
=P*Yn−1+(1−P)*X 指数フィルタの式 式26
P=Exp(−T/T) フィルタ定数の計算 式27
=X−Y タイミング信号の計算 式28
ここで、
トリガ信号の現在のフィルタリング済み値
n−1 トリガ信号の以前のフィルタリング済み値
トリガ信号の現在の値
図20に示すタイミング信号
P 指数フィルタ定数
測定値のサンプル時間
フィルタ時定数
タイミング信号が閾値(図20に0.05として示す)を超える限り、事象は抑制されたままである。構築担当者は、フィルタ時定数Tを変えることにより抑制の長さを設定する。この機能のために簡単なタイマーを用いてもよいが、このタイミング信号は異なるサイズのトリガ信号に対応しており、変化が大きい場合には抑制をより長く、変化が小さい場合には抑制をより短く生成する。
図21に事象抑制とオペレータ抑制がPCAモデル内の所定の入力組を無効にする様子を示す。自動的に抑制される入力組がオンラインモデル性能から決定される。オペレータが見たくない表示をPCAモデルが出す場合は常に、この表示を誤差の2乗和指標に対する少数の個々の寄与分まで辿ることができる。これらの個々の寄与分を抑制すべく、この指標の計算は以下のように修正される。
Figure 2008512800
:入力i(通常は1に等しい)に対する寄与分の重み
:入力iからの2乗和誤差の寄与分
トリガ事象が生じた場合、抑制対象である入力の各々について寄与分の重みがゼロに設定される。これらの入力が再有効化される場合、寄与分の重みは段階的に値1に戻される。
II.PCAモデル分解
PCAモデルは広範なプロセス設備範囲を用いて構築されているが、モデル指標を分離して、オペレータのプロセスに対する認識によりよく合致して、異常事象の兆候に対する感度を向上させるグループに分けることができる。
再び式29を参照すると、誤差の2乗和のいくつかのグループ分けが可能である。
Figure 2008512800
通常、これらのグループ分けは設備(例:装置の再沸器区画)のより小さいサブユニット周辺、または設備の機能に関連する(例:製品の品質)サブグループ分けに基づいている。
各々の寄与分eがプロセスノイズに基づいて常に誤差の2乗和に追加されるため、ノイズに起因する指標のサイズは当該指標に寄与する入力の個数に線形に増加する。誤差の2乗和計算への寄与がより小さいため、当該指標の信号対ノイズ比が向上して、異常事象に対する指標の応答性が向上する。
同様の方法で、各々の主成分を設備のグループ分けに一致するように再分割することができ、各々のサブグループ用にホテリングT指標に類似した指標を生成することができる。
Figure 2008512800
これらの指標の閾値は、テストデータをモデルに通して、テストデータに対するそれらの性能に基づいて閾値の感度を設定することにより計算される。
これらの新たな指標は、通常のPCAモデルが扱われるのと同一の方法でオペレータ向けに解釈される。元の入力に基づくパレート図を、誤差の2乗和の指標への最大寄与分、およびT計算における最大Pへの最大寄与分について示す。
III.重なり合うPCAモデル
入力がいくつかのPCAモデルに現われることにより、モデルに影響を及ぼす全ての相互作用がモデルの範囲内で含まれるようになる。これにより、これらの入力が誤差の2乗和指標の主要な寄与分である場合、オペレータ向けに複数の表示を与えることがあり得る。
この問題を回避するために、複数のPCAモデルに現われるあらゆる入力の対し、それらのPCAモデルの1個をその一次モデルとして割り当てる。一次PCAモデル向けの式29における寄与分の重みは1に保持される一方、非一次PCAモデルの重みはゼロに設定される。
IV.オペレータ対話環境およびインターフェース設計
オペレータ・インターフェースの一次目的は以下の通りである。
・オペレータの権限下にある主要プロセス領域が正常である旨の表示を連続的に提供する
・背景にあるモデル情報への迅速な(マウス・クリック1、2回)ナビゲーションを提供する
・オペレータに対し、モデルを使用可能にする制御を提供する
図22は、オペレータが用いる一次インターフェースにおいてこれらの設計目的がどのように表わされるかを示す。
ファジー・ペトリネットからの最終出力は、図4に示すように正常性傾向である。この傾向は、ファジー識別関数に定義された異常の最大尤度を示すモデル指標を表わす。要約に示される傾向の個数には自由度があり、オペレータとの議論で決定される。この傾向の上に、オペレータが処置を講じるべき時にヘルプ信号への2本の基準線があり、黄色の線は通常は0.6の値で設定され、赤色の線は通常は0.9の値で設定される。これらの線は、オペレータに対し、いつ処置を講じるべきであるかの指針を与える。傾向が黄色の線を越えた場合、図4における緑色の三角形が黄色に変わり、傾向が赤色の線を越えた場合、緑色の三角形は赤色になる。当該三角形にはまた、最も異常な表示を与えているモデルに関連付けられたディスプレイにオペレータを案内する機能を備えている。
当該モデルがPCAモデルであるか、または設備グループ(例:全ての制御バルブ)の一部である場合、緑色の三角形を選択することによりパレート図が作成される。PCAモデルの場合、これはモデル指標への多数の最大寄与分のうち、これは最も異常(左側)から最も異常でない(右側)までを示す。大抵は、主要な異常事象インジケータは最初の2、3個の測定値の中にある。パレート図は、異常の兆候であると見なされる前にどの程度測定が通常とは異なるかをオペレータに示すべく各バーの周辺に赤い囲み枠を含んでいる。
PCAモデルの場合、オペレータには、棒グラフパレート内における順序に合致する傾向パレートが与えられる。傾向パレートにより、各プロットは2個の傾向、即ち実際の測定(シアンで)および、すべてが正常(褐色)な場合に測定値が取るべきであった値のPCAモデルからの推定を有する。
バルブ/流量モデルの場合、パレートの下での詳細は、2次元の流量対バルブ位置モデル・プロットである。このプロットから、オペレータはモデルに対しオペレータ・バイアスを適用することができる。
設備がグループ分けされていない場合、緑色の三角形を選択することにより、オペレータは概略傾向の下での最悪2次元モデルへ直接誘導する。
各々の棒の下でオン/オフ動作のボタンを選択することにより、オペレータによる抑制をパレート図レベルで行なうことができる。
Figure 2008512800
Figure 2008512800
Figure 2008512800
Figure 2008512800
Figure 2008512800
Figure 2008512800
Figure 2008512800
Figure 2008512800
付録3
工学モデル/推論
A.再生装置スタックバルブ・モニター
再生装置スタックバルブA、Bの値を差圧コントローラ出力に対して相互検証する。正常な状態の下では、それらは全て合致しなければならない。
Figure 2008512800
Figure 2008512800
D.炭素収支:
本モニターは、触媒循環CCR−PCAモデルの第4主成分のT統計量に的を絞る。
E.主精留装置への触媒キャリーオーバー
本モニターは、以下の変数が限度内にあるか否かを調べる
(a)反応炉ストリッパ・レベル
(b)反応炉の差圧
(c)主精留装置底部ストレーナー差圧、および
(d)主精留装置からのスラリーポンプ動作圧
Figure 2008512800
G.バルブ−流量モデル
AEDアプリケーション用に構築された合計12個のバルブモデルがある。全てのバルブモデルにはバイアス更新が実装されている。流量は、以下のようにデルタ圧を補償される。
補償流量=FL/(DP/StdDP)^a、ここに、
FL=実際の流量、DP=上流圧−下流圧、StdDP=標準デルタ圧、aはパラメータである。次いで、モデルの整合性を検証すべく推定補償流量と実際の補償流量の間のプロット図を作成する(X−Yプロット)。以下は、12個のバルブ流量モデルのリストである。以下のモデルの変数の順序は(OP、FL、UpP−DnP、StdDP、a、Bound)である。
Figure 2008512800
オンライン・システムの情報が、各種の変換、モデル計算、ファジー・ペトリネット、および圧密処理を経由して流れ、プロセス領域の正常性/異常性を示す概略傾向に到達する様子を示す。 オペレータにバルブ流量のプロットを簡単なx−yプロット図として示す。 PCAモデルとして表わされた3次元冗長性を示す。 ファジー・ネットワーク機構の模式図を示す。 異常事象アプリケーション構築の全般的プロセスの模式図を示す。 プロセス制御カスケードの内部構造の模式図を示す。 多変数拘束コントローラMVCCの解剖の模式図を示す。 現在の品質のオンライン推論的評価の模式図を示す。 履歴データのKPI解析を示す。 信号対ノイズ比を示す。 プロセスダイナミクスが2種の測定値の現在値同士の相互相関を乱し得る様子を示す。 プロセスデータの確率分布を示す。 押圧統計量を示す。 2次元エネルギー収支モデルを示す。 長期間定常動作した場合の流量、バルブ位置、およびデルタ圧力データの典型的な動きを示す。 第4種のファジー識別器を示す。 流量対バルブのパレート図を示す。 オペレータ抑制ロジックの模式図を示す。 事象抑制ロジックの模式図を示す。 事象抑制の持続期間の設定を示す。 PCAモデルにおいて所定の組の入力を無効にする事象抑制およびオペレータ抑制を示す。 オペレータが用いる一次インターフェースで設計目的がどのように表わされるかを示す。 FCCUの模式的レイアウトを示す。 FCCUおよびライトエンド塔の全般的模式図を示す。 FCCU動作における全ての問題含みのモニターのオペレータ向け表示を示す。 触媒循環問題に対するファジー論理に基づく連続異常性インジケータを示す。 触媒循環問題の完全な掘り下げを、全ての肯定的な証拠と共に示す。 触媒循環問題のファジー論理ネットワークを示す。 触媒循環、FCC例外およびFCC極限異常事象モニターにおける警報を示す。 図29のFCC例外シナリオに関係するタグのパレート図を示す。 図30のタグのマルチ傾向を示す。これは、タグ値およびモデル予測も示す。 逸脱するバルブ流量モデルのランク付けされたリスト(パレート図)を示す。 バルブ流量モデル、バルブ開口対流量のX−Yプロット図を示す。 送風機モニターにおけるパレート図およびX−Yプロット線を示す。 再生装置スタックバルブ・モニターにおける掘り下げを示す。 再生装置サイクロン・モニターにおける掘り下げを示す。 送風機モニターにおける掘り下げを示す。 炭素収支モニターにおける掘り下げを示す。 主精留装置への触媒キャリーオーバーにおける掘り下げを示す。 湿式ガス圧縮機における掘り下げを示す。 バルブ流量モニターのファジー・ネットワークを示す。 制御可能な範囲から外れたバルブの例を示す。 事象抑制ディスプレイを示す。 AED事象供給バック形式を示す。 各々の連続的なPCによりモデル化された変動量をプロットする標準的な統計プログラムを示す。

Claims (49)

  1. 流動接触分解ユニット(FCCU)のいくつかのプロセス・ユニットにおける異常事象検知(AED)を行なう方法であって、
    (a)前記プロセス・ユニットからのオンライン測定値を、対応するプロセス・ユニットの正常動作のモデルの組と比較する工程;
    (b)現在の動作が、期待される正常動作とは異なっていて、プロセス・ユニットにおける異常状態の存在を示すか否かを判定する工程;
    (c)前記プロセスのオペレータが前記FCCUにおける異常状態の根本原因を特定することを支援する工程;および
    (d)前記ユニットを正常動作に戻すべく是正処置を実行する工程
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記モデルの組は、設備グループおよびオペレーティング・モードに対応し、1個以上のオペレーティング・モードを含みうる各グループ毎に1個のモデルが対応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記モデルの組は、設備グループおよびオペレーティング・モードに対応し、各グループおよび各モードに1個のモデルが対応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記設備グループは、同一グループ内に全ての主要な物質およびエネルギー相互作用を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  5. 前記設備グループは、同一グループ内に高速リサイクルを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 正常動作の前記モデルの組は、主成分モデルを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 正常動作の前記モデルの組は、工学モデルを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 各プロセス・ユニットにおける正常動作の前記モデルの組は、主成分モデルまたは工学モデルのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 各プロセス・ユニットにおける正常動作の前記モデルは、主成分分析(PCA)、部分最小二乗法に基づく推論および相関に基づく工学モデルを用いて決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記流動接触分解ユニットおよび下流塔は、12個の異常モニターに分割されていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記プロセス・ユニットは、FCCUシステムの動作区画に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 10個の動作区画が存在することを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記10個の動作区画は、反応炉−再生装置、ライトエンド塔、触媒循環、スタックバルブ、サイクロン、送風機、炭素収支、主精留装置への触媒キャリーオーバー、湿式ガス圧縮機、バルブ流量モデルを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  14. 前記異常事象モニターは各々、当該領域における異常状態の確率を示す連続信号を生成することを特徴とする請求項9に記載の方法。
  15. 前記モデルは、センサーにより測定されたプロセス変数値を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  16. 異なるプロセス・ユニットに対するモデルの前記主成分は、同一センサーで測定された、いくつかのプロセス変数値を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  17. 前記モデルは、特定ユニット、送風機、再生装置サイクロン、バルブ/流量および湿式ガス圧縮機周辺のタグ間の整合性を更に識別して、関係パターンに何らかの初期破綻があれば表示することを特徴とする請求項13に記載の方法。
  18. 前記モデルは、特殊原因による動作における偽陽性を除去すべくモデル計算を抑制する工程を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. (a)前記モデルを決定する工程が、疑わしいデータに基づく粗いモデルから出発し、
    (b)前記粗いモデルを用いて高品質の訓練データを収集してモデルを改良し、
    (c)工程(b)を繰り返して更にモデルを改良する
    ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  20. 前記訓練データは、前記プロセス・ユニットのモデルの履歴データを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 前記モデルは、変換された変数を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 前記変換された変数は、蒸留塔における還流対供給速度、高純度蒸留における組成の対数、圧力補償された温度測定値、副流歩留まり、流量対バルブ位置および反応速度対exp(温度)を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 2個の変数の測定値のいくつかの対は、変数の1個により、動的伝達関数を用いて時間同期化されることを特徴とする請求項19に記載のモデル。
  24. プロセス動作における動作点の変化に影響を受けるプロセス測定値の変数は、変化する平均を減算することにより偏差変数に変換されることを特徴とする請求項20に記載のモデル。
  25. 前記モデルは、ノイズについて修正されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
  26. 前記モデルは、変数のノイズが多い測定値のフィルタリングまたは削除により修正されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 変数の測定値は、スケーリングされることを特徴とする請求項20に記載の方法。
  28. 前記測定値は、当該変数の期待正常範囲にスケーリングされることを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. 異常現象モニターのリストがオペレータ向けに自動的に識別、分離、ランク付けおよび表示されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  30. オペレータに対し、事象の調査を支援すべく診断情報が異なるレベルで詳細に提示されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  31. 主成分の個数は、主成分の係数同士の大きさが等しくなるように選択されていることを特徴とする請求項20に記載の方法。
  32. 前記主成分は、オンライン測定値により提供されるプロセス変数を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  33. 測定値のいくつかの対は、動的フィルタを用いて、前記変数の1個と時間同期化されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  34. プロセス動作の動作点変化に影響を受けるプロセス測定値変数は、偏差変数に変換されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  35. 主成分の個数は、連続する成分により表わされる全体プロセス変動の大きさにより選択されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
  36. 石油精製所のFCCUのプロセス・ユニットのいくつかにおける異常事象検知(AED)を行なうシステムであって、
    (a)プロセス・ユニットの動作を記述するプロセス・ユニットのモデルの組;
    (b)前記プロセス・ユニットに異常状態が存在することを示すべく現在の動作が期待正常動作と異なるか否かを示すディスプレイ;および
    (c)HDCプロセス・ユニットにおける異常状態の根本原因を示すディスプレイ
    を含むシステム。
  37. 各プロセス・ユニットの前記モデルは、主成分モデルまたは工学モデルのいずれかであることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
  38. 前記FCCUは、3個の動作区画に分割されていて、各々の区画に主成分モデルを有することを特徴とする請求項37に記載のシステム。
  39. 前記主成分は、オンライン測定により提供されるプロセス変数を含むことを特徴とする請求項38に記載のシステム。
  40. 前記モデルは、オペレータにより誘発された通知および偽陽性を除去すべくモデル計算を抑制する工程を更に含むことを特徴とする請求項38に記載のシステム。
  41. (a)前記モデルを導く工程が、疑わしいデータに基づく初期モデルの取得から出発し、
    (b)前記初期モデルを用いてデータを整備してモデルを改良し、
    (c)工程(b)を繰り返してモデルを改良する
    ことを特徴とする請求項37に記載のシステム。
  42. 前記訓練データ集合は、モデル構築用に前記プロセス・ユニットの履歴データを含むことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
  43. 前記モデルは、変換された変数を含むことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
  44. 前記変換された変数は、蒸留塔における還流対合計生成物流量、蒸留塔における組成およびオーバーヘッド圧力の対数、圧力補償温度測定値、流量対バルブ位置および反応床の温度差および圧力差を含むことを特徴とする請求項43に記載のシステム。
  45. 測定値のいくつかの対は、動的フィルタを用いて、前記変数の1個に時間同期化されることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
  46. プロセス動作における動作点の変化に影響を受けるプロセス測定値の変数は、偏差変数に変換されることを特徴とする請求項42のシステム。
  47. モデルの識別に先立って、変数の測定値がスケーリングされることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
  48. 前記測定値は、当該変数の期待正常範囲によりスケーリングされることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
  49. 主成分の個数は、連続する成分により表わされる全般的プロセス変動の大きさにより選択されることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
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