JP2008512800A - 流動接触分解ユニットへの異常事象検知技術の適用 - Google Patents
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Abstract
【選択図】図1
Description
1.全般的FCCU例外動作
2.全般的FCCU極限動作
3.全般的触媒ライトエンド例外動作
4.全般的触媒ライトエンド極限動作
およびこれらの特別要注意モニターに分類する。
1.反応炉−再生装置触媒循環
2.再生装置スタックバルブ動作
3.サイクロン動作
4.送風機動作
5.炭素収支チェック
6.主精留装置への触媒キャリーオーバー
7.湿式ガス圧縮機
8.バルブ−流量整合性モデル
オペレータ・ユーザー・インターフェースは、オペレータにプロセスの全体像を示すため、システムに必須な構成要素である。ディスプレイは、オペレータにFCCU動作の全体像を素早く提示して、拡大しつつある異常があればその確率を示すことを意図している。
1.監視のため、全般的FCCU動作を10個動作領域、即ち反応炉−再生装置、触媒ライトエンド塔、触媒循環、スタックバルブ、サイクロン、送風機、炭素収支、主精留装置への触媒キャリーオーバー、湿式ガス圧縮機、バルブ−流量モデルへ分解すること。
2.全般的FCCUの動作状態を12個の単一警報に要約すること。
3.PCAモデルが、モデルによりカバーする600個以上のセンサーのモデル予測を提供すること。
4.これら600個以上のセンサーの異常な逸脱が、3個のPCAモデルの二乗誤差和に基づいて5種の警報に要約されること。
5.再生装置スタックバルブ、再生装置サイクロン、送風機、炭素収支、触媒キャリーオーバーおよび湿式ガス圧縮機に対する工学モデル推論により、的確且つ早期な検知能力が強化されること。
6.バルブ−流量モデルが、制御処置に影響するため不調の源であるかまたはその影響を受ける制御ループを監視する強力な方法を提供すること。
7.特別な原因/定常動作から生じる事象が抑制されて、偽陽性が除去される。600個以上の個別タグから単に12個の信号へ大幅に規模を縮小することにより、偽陽性率が大幅に減少する。PCAモデリング方式は本質的に、単一センサー警報問題を洗練された方法で解決する。
本アプリケーションは、FCCUの異常動作を検知すべく、PCAモデル、工学モデルおよび発見的方法を有する。第1工程は、動作上の履歴的な問題の要注意ユニットを分析することを含む。この問題識別工程は、アプリケーションの範囲を定めるために重要である。
アプリケーション構築の第1工程は、プロセス動作の利点となる重要な問題を識別することである。異常事象検知アプリケーションは一般に、2種類の異なる問題に適用することができる。第一は、何らかの異常事象を求めてプロセス領域全体を監視する汎用的な異常事象アプリケーションである。このタイプは、数百個の測定値を使用するが、特定の異常動作の履歴的な記録を一切必要としない。本アプリケーションは、異常事象を検知してプロセスの部分(タグ)に紐付けるだけである。問題の診断には、オペレータまたは技術者のスキルを必要とする。
往々にして、異常事象の記録および解析が行なわれない。重大な損失を与えたものだけが追跡および解析される。
オペレータは毎日これらを取扱うため、異常事象も正常動作の一部と見なしがちである。
定期的に繰り返し発生する異常事象が存在しない限り、本アプリケーションは異常事象を定期的に(例えば週5回超)「見る」ためにプロセスの充分広範な部分を包含していなければならない。
PCAモデルは、FCCU AEDの心臓部である。PCAは、実際のプロセス変数を、元の変数の線形結合である主成分(PC)と呼ばれる一組の「直交」または独立変数に変換する。基礎となるプロセスには、プロセスに影響を及ぼす特定の独立した事象を表わす多くの自由度がある。これらの異なる独立した事象は、プロセス変動とし当該プロセスのデータに出現する。プロセス変動は、供給速度の変更等の意図的な変更、または周囲温度の変化等の意図しない撹乱に起因する場合がある。
本アプリケーションは、反応炉−再生装置領域(FCC−PCA)、触媒循環(CCR−PCA)、および触媒ライトエンド塔(CLE−PCA)をカバーするPCAモデルを有している。これにより、FCC動作全般および初期警報を広範囲にカバーすることが可能になる。
1)入力データおよび動作範囲の選択
2)履歴データの収集および前処理
3)データおよびプロセスの分析
4)初期モデルの生成
5)モデルのテストおよびチューニング
6)モデルの配備
PCAモデル内のタグのリストがカバー範囲を表わすため、要注意領域内の全てのタグの総合的なリストから出発する。測定値および変数の選択プロセスを、付録1の「AED用PCAモデルの構築」節内のサブセクションII「入力データおよび動作範囲の選択」で概説している。信頼できない、または誤った振る舞いを示すことがわかっている測定値は全てリストから除外すべきである。初期PCAモデルが得られたならば、反復的な手順を用いて更に測定値の削減が実行される。
正常動作の良いモデルを構築するには正常動作の訓練データ集合が必要である。このデータ集合は以下のようでなければならない。
・正常動作範囲にわたる
・正常動作データだけを含む
動作ログを用いて、履歴データを既知の異常動作が生じた期間と、識別された異常動作が生じていない期間に分ける。識別された異常動作が存在しないデータが予備訓練データ集合となる。
モデル構築の戦略は、極めて粗いモデル(疑わしい訓練データ集合の結果)から出発し、次いで当該モデルを用いて高品質訓練データ集合の収集することである。次いでこのデータを用いてモデルを改良し、次いで当該モデルを用いて品質が向上した訓練データを収集し続ける。このプロセスは、モデルが満足すべき状態になるまで繰り返される。
初期モデルが構築されたならば、新規の訓練データ集合を生成することにより強化する必要がある。これは、当該モデルを用いてプロセスを監視することにより行なわれる。モデルが潜在的な異常状況を示したならば、技術者はプロセス状況を調べて分類しなければならない。技術者は3種類の異なる状況、即ち、何らかの特別なプロセス動作が生じている、実際に異常な状況が生じている、或いは、プロセスは正常で誤った徴候を示している、のいずれかを発見するであろう。
プロセス・ユニットにAEDをうまく配備するには、精密なモデル、うまく設計されたユーザー・インターフェース、および適切なトリガ位置の組合せを必要とする。PCAモデルを配備する詳細な手順を、付録1の「AED用PCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備」に記述している。
工学モデルの構築
工学モデルは、異常状態の特定の検知に的を絞った推論および相関に基づくモデルで構成されている。工学モデルの構築に関する詳細な説明は、付録1の「AED用の簡単な工学モデル」節に見られる。
・触媒循環モニター
・スタックバルブ・モニター
・再生装置サイクロン動作モニター
・送風機動作モニター
・炭素収支モニター
・主精留装置モニターへの触媒キャリーオーバー
・湿式ガス圧縮機モニター
・バルブ−流量整合性モニター
AED内で工学モデルを実装するための手順は相当直接的である。ユニット(例:再生装置サイクロン、スタックバルブ、送風機、湿式ガス圧縮機動作等)内における特定の既知の種類の挙動を識別するモデルの場合、通知のトリガ位置は、コンソール・オペレータの入力と組み合わせた履歴データの分析から決定された。計算モデル(例:流量/バルブ位置モデル)の場合、通知のトリガ位置は、最初にモデル残差の標準偏差から導かれた。動作の最初の数ヶ月間、既知のAED徴候はオペレータにより確認され、トリガ位置が適切であることが保障され、必要に応じて変更された。付録1の「AED用のPCAモデルおよび簡単な工学モデルの配備」節に工学モデル配備の詳細を記述している。
円滑な日常のAED動作を実現すべく、AEDモデルを保守して実際の要注意事項への対応を支援するための各種のツールが提供される。
定常的な毎日の運用において、オペレータは通常、多くの操作(例:セットポイントの変更、タグの保守、デコーキング、乾燥機の交換、再生)その他のプロセス変更を行なう。そのような既知の事象を予め抑制するために、システムは事象抑制を可能にする。セットポイント動作を実装する場合は常に、対応するPVその他の関連タグにおける工程の変更が通知を生成する可能性がある。実際には、AEDモデルが既にそのような変更を知らない場合、結果的に異常信号が生じ得る。これを抑制するために、ファジー・ネットは状態の検査および抑制すべきタグのリストを使用する。他の状況において、PCAモデル、バルブ流量モデル、およびファジー・ネットにおけるタグを指定された期間一時的に無効化することができる。大抵の場合、オペレータが再起動するのを忘れないように、再起動を12時間後に設定している。タグが長期間サービスから除外されている場合、無効化することができる。現在抑制されている事象のリストを図43に示す。
上述のようなシステムから最大の利点を引き出すには、オペレータを訓練して、AEDシステムを日常的な業務プロセスに組み込むことが必要である。是正処置を講じる最終的な権限は依然としてオペレータにあるため、AEDの性能発揮および強化のためその入力が重要である。AED事象詳細を体系的に捕捉して精査してフィードバックを与えるために、オペレータに対しAED事象書式が提示される。これらは、事象の記録を維持して、AEDの利点を評価するのに役立った。AEDが稼動した時点から、いくつかの重大な事象が捕捉されて、操作担当者向けに文書化された。サンプル書式を図44に示す。
特定の反復する問題が識別された場合、構築担当者は問題を解決するための、より良いプロセスが存在しないことを確認しなければならない。特に、構築担当者は異常事象検知アプリケーションの構築を試みる前に以下の点を確認しなければならない。
・ 問題を永久に解決することができるか?往々にして、現場担当者が問題を調査して永久に解決する充分な時間が無かったために問題が存在する。当該問題に組織的な関心が向けられたならば永久的な解決策が見つかる場合が多い。これが最善のアプローチである。
・問題を直接測定することができるか?問題を検知するためのより信頼性が高い方法は、当該プロセスにおける問題を直接測定できるセンサーを設置することである。これを用いて、プロセス制御アプリケーションを介して問題を防止することも可能である。これが次善のアプローチである。
・異常動作に対するアプローチを測定する推論的測定法を構築することができるか?推論的測定法は、PCA異常事象モデルに極めて近い。信頼性を以って問題状態へのアプローチを測定するために利用可能なデータ(例:デルタ圧力を用いるタワーフラッディング)が存在する場合、これを状態の存在を検知するためだけでなく、状態が生じるのを防止する制御アプリケーションの基礎としても用いることができる。これが三番目に良いアプローチである。
プロセス問題が急に生じる場合は常に、警報システムが異常事象検知アプリケーションと同程度に速く問題を識別する。オペレータが原因を診断するのを支援するために、事象のシーケンス(例:測定値が例外的である順序)が警報の順序よりも役に立つ場合がある。アプリケーションがオンラインになったならば、この可能性を調べるべきである。
様々な規模の事象や撹乱が常にプロセス動作に影響を及ぼしている。ほとんどの場合、これらの事象や撹乱はプロセス制御システムにより処置される。しかし、プロセス制御システムがプロセス事象を適切に処置できない場合は常にオペレータがプロセス動作へ想定外の介入をする必要がある。発明者は、この状況を異常動作と定義し、その原因を異常事象と定義する。
・測定値入力を選択、解析、変換するためのPCAモデル基準および方法の設備範囲を確立するための基準
・主成分モデル、PCAの変動に基づく多変数統計モデルの開発
・付随する統計指標を再構成する簡単な工学関係に基づくモデルの構築
・例外計算および連続的なオンラインモデル更新を提供するオンラインデータの前処理
・ファジー・ペトリネットを用いた、モデル指標が正常か異常かの解釈
・ファジー・ペトリネットを用いた、多数のモデル出力の、プロセス領域の正常性/異常性を示す単一の連続的な概略傾向への組合せ
・操作および保守作業を反映させるため、モデルおよびファジー・ペトリネットとのオペレータの対話環境設計。
1.プロセスは静的、即ちその平均および分散は時間に対して不変である。
2.変数同士の相互相関は、正常プロセス動作にわたり線形である
3.プロセスノイズ確率変数は相互に独立している。
4.プロセス変数の共分散行列は縮退していない(即ち半正定値)。
5.データは、「適切に」スケーリングされる(標準的な統計手法は単位分散へのスケーリング)。
6.(未補償)プロセスダイナミクス(このための標準的な部分補償は当該モデルの遅延変数の包含すること)が存在しない。
7.全ての変数がある程度の相互相関を有する。
8.データは多変数正規分布を示す。
・温度1=温度2
・流量1=バルブ特性曲線1(バルブ1の位置)
・処理ユニット1への物質流量=処理ユニット1からの物質流量
・圧力1=圧力2=....=圧力n
・処理ユニット1への物質流量=処理ユニット1からの物質流量=...=処理ユニット2への物質流量
・流量計周辺のバイパス弁の開口
・上流の補償/下流の圧力変化
・領域測定値の再カリブレーション
・動作モードに基づくプロセス流の方向変換
I.概念的PCAモデル設計
全体的な設計目的は以下の通りである。
・コンソールのオペレータが自分の操作権限下にある全ての処理ユニットについてプロセス動作の連続的な状態(正常対異常)を把握できるようにする。
・オペレータが自身の操作権限内で急速(数分から数時間)に拡大しつつある異常事象の早期発見できるようにする。
・オペレータに対し、異常事象の根本原因を診断するために必要な主要プロセスの情報だけを提供する。
・プロセス装置を、対応するPCAモデルを有する設備グループに再分割する。
・プロセス動作期間を、異なるPCAモデルを必要とするプロセス動作モードに再分割する。
・設備グループ内のどの測定値を各PCAモデルへの入力として指定すべきかを識別する。
・設備グループ内のどの測定値が既知の事象または他の例外動作を抑制するフラグとして機能すべきかを識別する。
最初の意思決定は、単一PCAモデルで対応する設備のグループを形成することである。これに含まれる特定の処理ユニットは、プロセス統合/相互作用を理解している必要がある。多変数拘束コントローラの設計と同様に、PCAモデルの境界は、全ての重要なプロセス相互作用およびプロセスの変動や撹乱の主要な上流および下流における兆候を包含していなければならない。
プロセス動作モードは、プロセスの挙動が大幅に異なる特定の期間として定義される。これらの例として、異なる等級の製品(例:ポリマー生産)の生産、顕著なプロセス遷移(例:始動、停止、原料の交換)、激変した原料(例:オレフィン生産においてエタンに代えてナフサを分解)の処理、または異なる構成のプロセス設備(異なる組の処理ユニットが稼動)がある。
異常事象検知システムの構築に組織的な関心が持たれるのは、従来から経済的に重大な影響を及ぼすプロセス問題が存在しているためである。しかし、これらの重要な問題を分析して、当該問題に取り組む最適なアプローチを識別する必要がある。特に、構築担当者は、異常事象検知アプリケーションの構築を試みる前に以下の点を確認しなければならない。
1.問題を恒久的に解決することが可能か?往々にして、現場担当者が問題を調査して恒久的に解決する充分な時間が無かったために問題が存在する。当該問題に組織的な関心が向けられたならば恒久的な解決策が見つかる場合が多い。これが最善のアプローチである。
2.問題を直接測定することが可能か?問題を検知するためのより信頼性が高い方法は、当該プロセスにおける問題を直接測定できるセンサーを設置することである。これを用いて、プロセス制御アプリケーションを介して問題を防止することも可能である。これが次善のアプローチである。
3.異常動作に対するアプローチを測定する推論的測定法を構築することが可能か?推論的測定法は通常、部分最小二乗法、PLS、PCA異常事象モデルに極めて近いモデルを用いて構築される。推論的測定法を構築する他の一般的な代替案として、ニューラルネットワークおよび線形回帰モデルが含まれる。信頼性を以って問題状態へのアプローチを測定するために利用可能なデータ(例:デルタ圧力を用いるタワーフラッディング)が存在する場合、これを状態の存在を検知するためだけでなく、状態が生じるのを防止する制御アプリケーションの基礎ベースとしても用いることができる。これが三番目に良いアプローチである。
設備グループ内に何千ものプロセス測定値がある。予備設計では以下を行なう。
・全てのカスケード2次コントローラ測定値、および特にこれらのユニットへの最終2次出力(フィールド制御バルブへの信号)を選択する
・コンソールのオペレータがプロセスを監視するのに用いる主要な測定値(例:自身の操作系統に現われるもの)を選択する
・担当技術者がプロセスの性能を測定するために用いる何らかの測定値を選択する
・供給速度、供給温度、または供給品質の何らかの上流測定値を選択する
・プロセスの動作領域、特に圧力に影響を及ぼす下流状態の測定値を選択する
・重要な測定のために追加的な冗長測定値を選択する
・非線形変換の計算に必要となるかもしれない測定値を選択する
・撹乱(例:周囲温度)の何らかの外部測定値を選択する
・プロセス状態の重要な尺度であるとプロセスの専門家が考える他のあらゆる測定値を選択する
・測定値に誤りまたは問題がある性能の履歴が含まれていない
・測定値は満足すべき信号対ノイズ比を有する
・測定値はデータ集合内の他の測定値と相互相関を求められている
・測定値は正常動作期間の10%を超えて飽和していない
・測定値は、稀にしか変化しない固定セットポイントに密接には制御されていない(制御階層の最終一次側)
・測定値は、長期にわたる「不良値」動作、またはトランスミッタの限界まで飽和していない
・測定値は、極めて非線形であることが知られている値の範囲を超えない
・測定値は未加工測定値からの冗長計算ではない
・フィールド制御バルブへの信号は、時間の10%を超えて飽和していない
PCA異常検知モデル、信号対ノイズ比、および相互相関への潜在的入力に優先順位付けを行なうための2種の統計的な基準がある。
信号対ノイズ比は、入力信号における情報内容の尺度である。
1.未加工信号は、プロセスのものに等しい近似動的時定数を有する指数フィルタを用いてフィルタリングされる。連続的な精製および化学プロセスの場合、この時定数は通常、30分〜2時間の範囲にある。他の低域通過フィルタを用いてもよい。指数フィルタの場合の式は以下の通りである。
Yn=P*Yn−1+(1−P)*Xn 指標フィルタの式 式1
P=Exp(−Ts/Tf) フィルタ定数の計算 式2
ここで、
Yn 現在フィルタリングされる値
Yn−1 以前にフィルタリングされた値
Xn 現在の未加工値
P 指数フィルタ定数
Ts 測定値のサンプル時間
Tf フィルタ時定数
2.残留信号は、未加工信号からフィルタリングされた信号を減算することにより得られる。
Rn=Xn−Yn 式3
3.信号対ノイズ比は、フィルタリングされた信号の標準偏差を残留信号の標準偏差で除算した比である。
S/N=σY/σR 式4
相互相関は、入力データ組の情報冗長性の尺度である。任意の2つの信号間の相互相関は次式により計算される。
1.各入力組i、k間の共分散Sikを計算する。
CCik=Sik/(Sii*Skk)1/2 式6
精製および化学プロセスは往々にして厳しいか緩い拘束に遭遇して、結果的にモデル入力に対する飽和値および「不良値」が生じる。一般的な拘束は、計器トランスミッタの上下範囲、アナライザ範囲、最大および最小制御バルブ位置、およびプロセス制御アプリケーション出力限度である。入力は、モデル構築およびこれらのモデルのオンライン利用の両方において入力を事前処理する際に特別な扱いを要する飽和に関していくつかのカテゴリに分類することができる。
・実際のプロセス状態がフィールドトランスミッタの範囲外にある
・フィールドとの接続が絶たれた
・プロセスの各部分は、特に優先的な状況、例えばフレアシステムへの圧力解放流がない限り、通常は不活性である。これらの優先的状況が有効である時間は、データフィルタを設定することにより訓練および検証データ集合から除外しなければならない。オンライン実装の場合、これらの優先事象は、選択されたモデル統計量を自動抑制するトリガ事象である
・プロセス制御システムは、プロセス動作制限、例えば製品仕様限界、に反してプロセスを駆動すべく設計されている。これらの拘束は通常、2種のカテゴリに分類される。即ち時々飽和するものと、通常は飽和しているものである。通常は飽和している入力はモデルから除外しなければならない。稀に(例えば全時間の10%未満)飽和するだけの入力はモデルに含まれてよいが、飽和していない場合には期間に基づいてスケーリングしなければならない。
プロセス制御アプリケーションは、プロセスデータの相互相関構造に極めて重大な影響を及ぼす。特に以下の通りである。
・被制御変数の変動が大幅に減少するため、プロセスに顕著なプロセス撹乱が出現したか、または、オペレータが主要なセットポイントを変えて意図的に動作点を動かした場合の短期間を除いて、被制御変数内の動きは基本的にノイズである。
・被制御変数における通常の変動は、制御システムにより被操作変数(最終的にはフィールド内の制御バルブへ送られた信号)へ転送される。
図6に、典型的な「カスケード」プロセス制御アプリケーションを示す。これは精製および化学プロセス用に極めて一般的な制御機構である。そのようなアプリケーションからの多くの潜在的なモデル入力が存在するが、当該モデルの候補である唯一のものは未加工プロセス測定値(本図の「PV」)およびフィールドバルブへの最終出力である。
図7に、精製および化学プロセス向けの極めて一般的な制御機構である典型的MVCCプロセス制御アプリケーションを示す。MVCCは動的数学モデルを用いて、被操作変数MV(通常は調整制御ループのバルブ位置またはセットポイント)の変化がどのように制御変数CV(プロセス状態を測定する従属温度、圧力、組成および流量)を変えるかを予測する。MVCCは、プロセス動作を動作限度まで押し上げようと試みる。これらの限度は、MV限度またはCV限度のいずれかであってよく、外部オプティマイザにより決定される。プロセス動作の限度の数は、コントローラが操作可能なMVの数から、制御されている物質収支の数を差し引いたものに等しい。従って、MVCCが12個のMV、30個のCV、および2個のレベルを有する場合、プロセスは10個の限度に向けて動作される。MVCCはまた、プロセスに対する測定された負荷変動の影響を予測して、これらの負荷変動(フィードフォワード変数FFとして知られる)を補償する。
プロセス制御システムデータベースは、PCAモデルへの候補入力の中で顕著な冗長性を有する可能性がある。冗長性の一種として「物理的冗長性」があり、これはプロセス設備内で互いに物理的に近接して配置された多数のセンサー(熱電対等)が存在する場合である。別の種類の冗長性として「計算的冗長性」があり、これは未加工センサーが新たな変数(例:圧力補償された温度、または容積測定流量測定値から計算されて質量流量)に数学的に組み合わされた場合である。
構築に要する努力の多くは、正常なプロセス動作の全てのモードを含むことがわかっている良好な訓練データ集合の生成にある。このデータ集合は以下を満たさなければならない。
・比較的小さい異常事象は、モデルパラメータに大きく影響する程度には充分な強さを以って訓練データ集合に現われない
・大部分の動作モードが発生して、データ内に現われているはずである。
1)データ圧縮
多くの履歴データベースはデータ圧縮を用いて、必要なデータ記憶容量を最小化する。不都合なことに、これを実行すればデータの相互相関構造を乱す恐れがある。プロジェクトの開始時点において、データベースのデータ圧縮を無効にしてデータのスポット値の履歴を取っておくべきである。可能な場合は常に非圧縮データを用いて最終的なモデルを構築しなければならない。平均化された値は、それらが利用できる唯一のデータであって、利用できる最短のデータ平均でない限り、用いるべきではない。
モデルが正常なプロセスパターンを適切に表わすために、訓練データ集合は、全ての正常動作モード、正常な動作変動、およびプロセスに生じる変化や正常な微小攪乱の例を含んでいなければならない。これは、長期間(例:9〜18ヶ月)にわたるプロセス動作のデータを用いることにより実現される。特に、精製および化学プロセスにおいて季節的(春夏秋冬)な動作の違いは極めて重要であり得る。
この期間に対する各種の操作ジャーナルもまた収集しなければならない。これを用いて、動作期間を異常とみなすが、または訓練データ集合から除外する必要がある何らかの特別なモードにおいて動作している。特に、重要な履歴的異常事象をこれらのログから選択してモデル用のテストケースとすることができる。
往々にして、セットポイントおよびコントローラ出力は、工場プロセスデータの履歴管理機能で履歴化されないことが多い。これらの値の履歴化は、プロジェクトの開始時点で直ちに開始しなければならない。
もはや適切に現在のプロセス動作を表わさない旧データは、訓練データ集合から削除しなければならない。大規模なプロセス変更の後で、訓練データおよびPCAモデルを最初から作り直すことが必要な場合がある。特定の種類の動作がもはや実行されていない場合、当該動作からの全てのデータを訓練データ集合から削除しなければならない。
構築担当者は、拠点のプロセス履歴管理機能を使用して数ヶ月分のプロセスデータ、好ましくは1分間隔のスポット値、を収集しなければならない。これが入手可能でない場合、なるべく平均化されておらず、且つ解像度が最も高いデータを使用すべきである。
品質測定値(アナライザおよび研究室サンプル)は他のプロセス測定値よりも極めて長いサンプリング周期を有し、数十分毎〜1日1回の範囲である。これらの測定値をモデルに含めるには、これらの品質測定値の連続的な推定値を生成する必要がある。図8に、連続的な品質推定値のオンライン計算を示す。これと同じモデル構造を構築して履歴データに適用しなければならない。この品質推定値は次いで、PCAモデルへの入力になる。
極めて明らかな異常を除いて、履歴データの品質を判定するのは困難である。異常動作データを含めることによりモデルが偏る恐れがある。大量の履歴データを用いる戦略は、訓練データ集合における異常な動作により生じるモデルのバイアスをある程度補償する。プロジェクトの開始に先立って履歴データから構築されたモデルは、品質に関しては疑いを持たなければならない。初期訓練データ集合は、プロジェクトが継続している間に生じるプロセス状況の高い品質注釈を含むデータ集合により代替されなければならない。
A.初期の粗いデータ解析
動作ログを用いて、プロセスの主要な性能指標を調べることにより、履歴データを、異常動作の存在が判明している期間と、識別された異常動作が存在しない期間に分ける。識別された異常動作が存在しないデータが訓練データ集合となる。
・「不良値」である期間が長いもの
・自身のトランスミッタの上限または下限に固定された期間が長いもの
・極めて僅かな変動性しか示さないもの(自身のセットポイントに密に制御されているものを除く)
・自身の動作範囲に関して極めて大きい変動性を連続的に示すもの
・データ集合内の他のどの測定値とも殆ど相互相関を示さないもの
・信号対ノイズ比が低いもの
X’=(X−Xavg)/σ 式7
以下を通じて、明らかな異常事象を除去する。
ノイズとは、プロセスに関して有用な情報を含んでいない測定信号の高周波内容を指す。ノイズは、オリフィス・プレートを横断する二相流またはレベルの撹乱等の特定のプロセス状況により生じ得る。ノイズは、電気インダクタンスにより生じ得る。しかし、恐らくはプロセス撹乱により生じた顕著なプロセス変動性は有用な情報にあって、フィルタリングで除去してはならない。
・ノイズの発生源を除去することにより信号を固定する(最良の対応策)
・フィルタリング技術を用いてノイズを除去/最小化する
・信号を当該モデルから除去する
Yn=P*Yn−1+(1−P)*Xn 指数フィルタの式 式8
P=Exp(−Ts/Tf) フィルタ定数の計算 式9
Ynは現在のフィルタリングされた値
Yn−1は以前にフィルタリングされた値
Xnは現在の未加工値
Pは指数フィルタ定数
TSは測定値のサンプル時間
Tfフィルタが時定数
変換された変数は、二つの異なる理由によりモデルに含まれなければならない。
・蒸留塔における還流対供給比
・高純度蒸留の組成のログ
・圧力補償された温度測定
・副流の生成
・バルブ位置への流れ(図2)
・指標的温度変化への反応率
図11に、プロセスダイナミクスが2個の測定値の現在値同士の相互相関をどのように乱すかを示す。遷移時間中、一方の値は常に変化しているが他方はそうでなく、従って遷移時間中は現在値同士の相互相関は存在しない。しかし、これら2個の測定値は、動的伝達関数を用いて主要な変数を変換することにより、時間同期に戻すことができる。データの時間同期化には通常、無駄時間動的モデル(式9にラプラス変換形式で示す)を有する第1オーダーで充分である。
Y’:時間同期化データ
T:時定数
Θ:無駄時間
S:ラプラス変換パラメータ
連続的な精製および化学プロセスは、ある動作点から別の動作点へ常に移動されている。これらは、オペレータまたは最適化プログラムが主要なセットポイントを変更した意図的なものであったてもよく、或いは、熱交換器の汚れや触媒の非活性化等の遅いプロセス変動により生じる場合がある。その結果、未加工データは静止していない。これらの動作点の変更は、静止データを生成するために除去する必要がある。さもなければ、これらの変更は異常事象として誤って現われる。
X’=X−Xfiltered 式10
X’:動作点変化を除去すべく変換された測定値
X:元の未加工測定値
Xfiltered:指標的にフィルタリングされた未加工測定値
特定の測定値が選択されて、訓練データ集合が構築されたならば、標準的なツールを用いてモデルは素早く構築することができる。
PCAモデルの性能は、入力のスケーリングに依存している。スケーリングへの従来型のアプローチは、訓練データ集合内で各々の入力を自身の標準偏差σで分割することである。
Xi’=Xi/σi 式11
冗長なデータ群の場合
Xi’=Xi/(σi*sqrt(N)) 式12
ここで、N=冗長なデータ群における入力の個数
PCAは実際のプロセス変数を主成分PCと呼ばれる一組の独立変数に変換する。これは、元の変数の線形結合である(式13)。
PCi=Ai,1*X1+Ai,2*X2+Ai,3*X3+... 式13
プロセスデータは、ガウス即ち正規分布を示さない。その結果、残留誤りの3標準偏差における異常事象を検知するトリガを設定する標準的な統計的方法を用いてはならない。その代わり、トリガ位置は、モデルを用いて経験に基づいて経験的に設定されなければならない。
初期モデルが生成されたならば、新たな訓練データ集合を生成することにより強化する必要がある。これはモデルを用いてプロセスを監視することにより行なわれる。モデルが潜在的に異常な状況を示す場合、技術者はプロセス状況を調べて分類しなければならない。技術者は以下の3種の異なる状況を見出す。即ち何らかの特殊なプロセス動作が生じている、実際に異常な状況が生じている、或いは、プロセスは正常であって異常は虚偽の通知である。
プロセス設備の物理的、化学的および機械的の設計、並びに多くの類似測定の挿入により、連続的な精製および化学プロセスからのデータにかなりの程度の冗長性をもたらす。この冗長性は、同一の測定が存在する場合は物理的冗長性と呼ばれ、物理的、化学的または機械的関係を用いてプロセス状態の独立であるが等価な推定を実行する場合は計算的冗長性と呼ばれる。このクラスのモデルを工学的冗長性モデルと呼ぶ。
これはモデルの最も簡単な形式であり、以下のような一般形式を有する。
F(yi)=G(xi)+フィルタリング済みバイアス(filtered bias)i+オペレータ・バイアス(operator bias)+誤差i 式14
未加工バイアスi=F(yi)−{G(xi)+フィルタリング済みバイアスi+オペレータ・バイアス}=誤差i 式15
フィルタリング済みバイアスi=フィルタリング済みバイアスi−1+N*未加工バイアスi−1 式16
N−収束係数(例:0.0001)
正常動作範囲:xmin<x<xmax
正常モデル偏差:−(最大誤差)<誤差<(最大誤差)
特に有益な工学的冗長性モデルは、流量対バルブ位置モデルである。図2にこのモデルをグラフ的に示す。このモデルの特定の形式は以下の通りである。
Flow:制御バルブを通る測定された流量
Delta_Pressure=測定された最も近い上流圧力−測定された最も近い下流圧力
Delta_Pressurereference:正常動作の間の平均デルタ圧力
a:履歴データにフィッティングされたモデルパラメータ
Cv:履歴データから経験的に決定されたバルブ特性曲線
VP:制御バルブへの信号(実際の制御バルブ位置でない)
このモデルの目的は以下の通りである。
・詰まりつつある/詰まった制御バルブの検知
・凍結/故障した流量測定の検知
・制御システムが流量の制御を喪失した箇所の制御バルブ動作の検知
連続的な精製および化学プロセスが受ける長い期間にわたる定常状態動作ため、制御バルブの動作全体にわたる充分なデータを得るには長い履歴記録(1〜2年)が必要である。図15に、定常動作が長期間にわたる流量、バルブ位置、およびデルタ圧力データの典型的な範囲を示す。最初の段階は、図に示すように、動作に何らかの重要な変動がある所で短い期間を切り離すことである。これは次いで、履歴内で様々な期間から取り出された正常動作の期間と混合されなければならない。
任意の2次元工学的冗長性モデルと同様に、二種の異常性の尺度、即ち「正常動作範囲」および「正常モデル偏差」がある。「正常モデル偏差」は、正規化された指標即ち誤差/最大誤差に基づいている。これは、4型ファジー識別器(図16)へ送られる。構築担当者は、正規化された指標を用いて、標準的な方法で正常(値ゼロ)から異常(値1)への遷移を検出することができる。
オペレータが好む流量/バルブモデルのグループ化の一般的な方法は、これらのモデルの全てを単一のファジー・ネットワークに入れて、傾向インジケータがオペレータに対し、それらの重要な流量コントローラの全てが機能していることを教える。その場合、ファジー・ネットワーク(図4)へのモデル表示は、各々の流量/バルブモデルに対して「正常動作範囲」および「正常モデル偏差」の表示を含んでいる。この傾向は、最悪モデル表示からの識別器の結果を含んでいよう。
次元が2より大きくなったならば、高次元工学的冗長性検査を扱うべく単一の「PCA状」モデルが構築される。
・圧力1=圧力2=....=圧力n
・処理ユニット1へ入る物質流量=処理ユニット1から出る物質流量=...処理ユニット2へ入る物質流量
F1(yi)=a1G1(xi)+フィルタリング済みバイアス1、i+オペレータ・バイアス1+誤差1、i
F2(yi)=anG2(xi)+フィルタリング済みバイアス2、i+オペレータ・バイアス2+誤差2、i
Fn(yi)=anGn(xi)+フィルタリング済みバイアスn、i+オペレータ・バイアスn+誤差n、i 式18
P=a1X1+a2X2+a3X3 式19
ここにa3=1
Xscale=Xnormal operating range/6σ 式20
(正常動作データの99.7%は平均から3σ以内に入る筈である)
Xmid=Xmid point of operating range 式21
(「平均」を正常動作範囲の中点として明示的に定義)
X’=(X−Xmid)/Xscale 式22
(平均とσが決定された際の標準的なPCAスケーリング)
Xi用のP’負荷は以下の通りである。
これはPを以下のように変換する
P’=b1*X1+b2*X2+・・・+bn*XN 式24
P’「標準偏差」=b1+b2+・・・+bn 式25
I.オペレータおよび既知の事象抑制
抑制論理は、以下の目的に必要とされる。
・測定可能な異常事象から虚偽の表示を除外する方法を提供する
・オペレータが調べた異常な表示を消去する方法を提供する
・保守のため一時的にモデルまたは測定値を無効にする方法を提供する
・不良動作するモデルを、それらが再調整されるまで使用不可にする方法を提供する
・不良動作する計器を永久に使用不可にする方法を提供する
Yn=P*Yn−1+(1−P)*Xn 指数フィルタの式 式26
P=Exp(−Ts/Tf) フィルタ定数の計算 式27
Zn=Xn−Yn タイミング信号の計算 式28
ここで、
Yn トリガ信号の現在のフィルタリング済み値
Yn−1 トリガ信号の以前のフィルタリング済み値
Xn トリガ信号の現在の値
Zn 図20に示すタイミング信号
P 指数フィルタ定数
Ts 測定値のサンプル時間
Tf フィルタ時定数
ei:入力iからの2乗和誤差の寄与分
PCAモデルは広範なプロセス設備範囲を用いて構築されているが、モデル指標を分離して、オペレータのプロセスに対する認識によりよく合致して、異常事象の兆候に対する感度を向上させるグループに分けることができる。
入力がいくつかのPCAモデルに現われることにより、モデルに影響を及ぼす全ての相互作用がモデルの範囲内で含まれるようになる。これにより、これらの入力が誤差の2乗和指標の主要な寄与分である場合、オペレータ向けに複数の表示を与えることがあり得る。
オペレータ・インターフェースの一次目的は以下の通りである。
・オペレータの権限下にある主要プロセス領域が正常である旨の表示を連続的に提供する
・背景にあるモデル情報への迅速な(マウス・クリック1、2回)ナビゲーションを提供する
・オペレータに対し、モデルを使用可能にする制御を提供する
図22は、オペレータが用いる一次インターフェースにおいてこれらの設計目的がどのように表わされるかを示す。
工学モデル/推論
A.再生装置スタックバルブ・モニター
再生装置スタックバルブA、Bの値を差圧コントローラ出力に対して相互検証する。正常な状態の下では、それらは全て合致しなければならない。
本モニターは、触媒循環CCR−PCAモデルの第4主成分のT統計量に的を絞る。
本モニターは、以下の変数が限度内にあるか否かを調べる
(a)反応炉ストリッパ・レベル
(b)反応炉の差圧
(c)主精留装置底部ストレーナー差圧、および
(d)主精留装置からのスラリーポンプ動作圧
AEDアプリケーション用に構築された合計12個のバルブモデルがある。全てのバルブモデルにはバイアス更新が実装されている。流量は、以下のようにデルタ圧を補償される。
補償流量=FL/(DP/StdDP)^a、ここに、
FL=実際の流量、DP=上流圧−下流圧、StdDP=標準デルタ圧、aはパラメータである。次いで、モデルの整合性を検証すべく推定補償流量と実際の補償流量の間のプロット図を作成する(X−Yプロット)。以下は、12個のバルブ流量モデルのリストである。以下のモデルの変数の順序は(OP、FL、UpP−DnP、StdDP、a、Bound)である。
Claims (49)
- 流動接触分解ユニット(FCCU)のいくつかのプロセス・ユニットにおける異常事象検知(AED)を行なう方法であって、
(a)前記プロセス・ユニットからのオンライン測定値を、対応するプロセス・ユニットの正常動作のモデルの組と比較する工程;
(b)現在の動作が、期待される正常動作とは異なっていて、プロセス・ユニットにおける異常状態の存在を示すか否かを判定する工程;
(c)前記プロセスのオペレータが前記FCCUにおける異常状態の根本原因を特定することを支援する工程;および
(d)前記ユニットを正常動作に戻すべく是正処置を実行する工程
を含むことを特徴とする方法。 - 前記モデルの組は、設備グループおよびオペレーティング・モードに対応し、1個以上のオペレーティング・モードを含みうる各グループ毎に1個のモデルが対応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記モデルの組は、設備グループおよびオペレーティング・モードに対応し、各グループおよび各モードに1個のモデルが対応することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記設備グループは、同一グループ内に全ての主要な物質およびエネルギー相互作用を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記設備グループは、同一グループ内に高速リサイクルを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 正常動作の前記モデルの組は、主成分モデルを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 正常動作の前記モデルの組は、工学モデルを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
- 各プロセス・ユニットにおける正常動作の前記モデルの組は、主成分モデルまたは工学モデルのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 各プロセス・ユニットにおける正常動作の前記モデルは、主成分分析(PCA)、部分最小二乗法に基づく推論および相関に基づく工学モデルを用いて決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記流動接触分解ユニットおよび下流塔は、12個の異常モニターに分割されていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
- 前記プロセス・ユニットは、FCCUシステムの動作区画に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 10個の動作区画が存在することを特徴とする請求項11に記載の方法。
- 前記10個の動作区画は、反応炉−再生装置、ライトエンド塔、触媒循環、スタックバルブ、サイクロン、送風機、炭素収支、主精留装置への触媒キャリーオーバー、湿式ガス圧縮機、バルブ流量モデルを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
- 前記異常事象モニターは各々、当該領域における異常状態の確率を示す連続信号を生成することを特徴とする請求項9に記載の方法。
- 前記モデルは、センサーにより測定されたプロセス変数値を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
- 異なるプロセス・ユニットに対するモデルの前記主成分は、同一センサーで測定された、いくつかのプロセス変数値を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
- 前記モデルは、特定ユニット、送風機、再生装置サイクロン、バルブ/流量および湿式ガス圧縮機周辺のタグ間の整合性を更に識別して、関係パターンに何らかの初期破綻があれば表示することを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 前記モデルは、特殊原因による動作における偽陽性を除去すべくモデル計算を抑制する工程を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
- (a)前記モデルを決定する工程が、疑わしいデータに基づく粗いモデルから出発し、
(b)前記粗いモデルを用いて高品質の訓練データを収集してモデルを改良し、
(c)工程(b)を繰り返して更にモデルを改良する
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。 - 前記訓練データは、前記プロセス・ユニットのモデルの履歴データを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
- 前記モデルは、変換された変数を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
- 前記変換された変数は、蒸留塔における還流対供給速度、高純度蒸留における組成の対数、圧力補償された温度測定値、副流歩留まり、流量対バルブ位置および反応速度対exp(温度)を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
- 2個の変数の測定値のいくつかの対は、変数の1個により、動的伝達関数を用いて時間同期化されることを特徴とする請求項19に記載のモデル。
- プロセス動作における動作点の変化に影響を受けるプロセス測定値の変数は、変化する平均を減算することにより偏差変数に変換されることを特徴とする請求項20に記載のモデル。
- 前記モデルは、ノイズについて修正されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
- 前記モデルは、変数のノイズが多い測定値のフィルタリングまたは削除により修正されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
- 変数の測定値は、スケーリングされることを特徴とする請求項20に記載の方法。
- 前記測定値は、当該変数の期待正常範囲にスケーリングされることを特徴とする請求項27に記載の方法。
- 異常現象モニターのリストがオペレータ向けに自動的に識別、分離、ランク付けおよび表示されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- オペレータに対し、事象の調査を支援すべく診断情報が異なるレベルで詳細に提示されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
- 主成分の個数は、主成分の係数同士の大きさが等しくなるように選択されていることを特徴とする請求項20に記載の方法。
- 前記主成分は、オンライン測定値により提供されるプロセス変数を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 測定値のいくつかの対は、動的フィルタを用いて、前記変数の1個と時間同期化されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
- プロセス動作の動作点変化に影響を受けるプロセス測定値変数は、偏差変数に変換されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
- 主成分の個数は、連続する成分により表わされる全体プロセス変動の大きさにより選択されることを特徴とする請求項32に記載の方法。
- 石油精製所のFCCUのプロセス・ユニットのいくつかにおける異常事象検知(AED)を行なうシステムであって、
(a)プロセス・ユニットの動作を記述するプロセス・ユニットのモデルの組;
(b)前記プロセス・ユニットに異常状態が存在することを示すべく現在の動作が期待正常動作と異なるか否かを示すディスプレイ;および
(c)HDCプロセス・ユニットにおける異常状態の根本原因を示すディスプレイ
を含むシステム。 - 各プロセス・ユニットの前記モデルは、主成分モデルまたは工学モデルのいずれかであることを特徴とする請求項36に記載のシステム。
- 前記FCCUは、3個の動作区画に分割されていて、各々の区画に主成分モデルを有することを特徴とする請求項37に記載のシステム。
- 前記主成分は、オンライン測定により提供されるプロセス変数を含むことを特徴とする請求項38に記載のシステム。
- 前記モデルは、オペレータにより誘発された通知および偽陽性を除去すべくモデル計算を抑制する工程を更に含むことを特徴とする請求項38に記載のシステム。
- (a)前記モデルを導く工程が、疑わしいデータに基づく初期モデルの取得から出発し、
(b)前記初期モデルを用いてデータを整備してモデルを改良し、
(c)工程(b)を繰り返してモデルを改良する
ことを特徴とする請求項37に記載のシステム。 - 前記訓練データ集合は、モデル構築用に前記プロセス・ユニットの履歴データを含むことを特徴とする請求項41に記載のシステム。
- 前記モデルは、変換された変数を含むことを特徴とする請求項42に記載のシステム。
- 前記変換された変数は、蒸留塔における還流対合計生成物流量、蒸留塔における組成およびオーバーヘッド圧力の対数、圧力補償温度測定値、流量対バルブ位置および反応床の温度差および圧力差を含むことを特徴とする請求項43に記載のシステム。
- 測定値のいくつかの対は、動的フィルタを用いて、前記変数の1個に時間同期化されることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
- プロセス動作における動作点の変化に影響を受けるプロセス測定値の変数は、偏差変数に変換されることを特徴とする請求項42のシステム。
- モデルの識別に先立って、変数の測定値がスケーリングされることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
- 前記測定値は、当該変数の期待正常範囲によりスケーリングされることを特徴とする請求項47に記載のシステム。
- 主成分の個数は、連続する成分により表わされる全般的プロセス変動の大きさにより選択されることを特徴とする請求項42に記載のシステム。
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