JP2008509989A - 乾癬症の治療におけるtnf結合タンパク質−1 - Google Patents

乾癬症の治療におけるtnf結合タンパク質−1 Download PDF

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Abstract

本明細書には、抗TFN−アルファ薬の投与による乾癬症の処置について記載する。このような処置は、特定の投与用量、計画および経路に従って実施する。特に、抗TNF−アルファ薬は、組換えヒトTNF結合タンパク質1(r−hTBP−1)であり、乾癬症は、中等度〜重度の乾癬症もしくは乾癬性関節炎を合併しているとして定義される。

Description

本発明は、投薬の特定の用量、計画および経路に従って抗TNF−アルファ薬を投与することによる乾癬の治療に関する。特に、抗TNF−アルファ薬は、組換ヒトTNF結合タンパク質−1(r−hTBP−1)である。
乾癬症
乾癬症は、全人口の1〜2%に発症する炎症性皮膚疾患である。乾癬症は表皮の増殖の亢進を特徴とし、通常、銀鱗で覆われた明確な肥厚性紅斑として発症する。乾癬性関節炎(以後PsAと称す)、炎症性関節炎および乾癬症に伴うほとんどの重篤な疾患が、乾癬症患者のほぼ25%で発症する。PsAは通常、末梢指骨間関節に関与する。現在の乾癬症およびPsAに対する治療法は、いずれも治療効果が認められないので、納得のいくものではない。さらに、もっとも効果的な薬剤は、重篤な副作用を伴う危険性がある。いずれの場合も、乾癬症は、長期的治療が必要な慢性症状である。
乾癬症およびPsAの原因と病理はまだ十分に理解されていないが、その一方で、T細胞や炎症性サイトカインが乾癬症やPsAの発症にとって中心的役割を果たしているという発見により、これら症状を治療するための新しい生物療法薬の開発が可能となる。
乾癬症に対する従来の治療法
薬物療法や光線療法からなる乾癬症およびPsAを対象とした現在の治療法は、病変部を明確化し、疾患の不快な症状を緩和することはできるが、寛解は一般に短期的であり、ほとんどの患者が年に少なくとも一回程度の憎悪もしくは再発に見舞われる。
局所療法は多くの場合軽度〜中程度の乾癬症に対してはじめに選択される治療法である。皮膚軟化剤および保湿剤は副作用が少ないので、第一選択薬となる。これらは、ほとんどの場合、前治療薬としてもしくは他の局所作用薬と併用して用いられている。角質溶解薬は過角化を緩和し、乾癬性鱗屑を軟化させてそれらの剥離を助長することによって効果を発揮する。皮膚軟化剤と同様に、角質溶解薬も多くの場合他の治療法を補足する目的で使用されている。
コルチコステロイドは、最も広く利用されている乾癬症治療薬である。必要な効能に基づいて、多数の剤形でコルチコステロイドを利用することが可能である。極めて効能の優れたコルチコステロイドの全身吸収は、皮膚萎縮を発症させる危険性があり、さらに投薬を急に中止すると、疾患が即時激化する可能性もある。再発率は、用いた処方計画および治療計画によっては、35〜80%の範囲内で多様であることが報告されている。
局所レチノイド(ビタミンA類似体)は、細胞内における遺伝子の発現を調節する受容体との相互作用、すなわち細胞の成長および分化の基本的機序によって作用する。局所レチノイドは、一日に一回適用すると、患者の約50〜60%が、12週間にわたる治療後には良好な反応を示すと考えられる。局所レチノイドの効能は、高効能コルチコステロイドとの併用によりさらに改善可能である。
全身療法は、中程度〜重度の乾癬症に対する治療法として、しばしば選択されている。このような全身療法には、光線療法、レチノイド、メトトレキサートおよびシクロスポリンなどの免疫抑制剤などが含まれる。
紫外線AもしくはBの光線(PUVAもしくはPUVB)を用いる光線療法は、DNAの複製を遮断するので、皮膚の増殖度を低下させると考えられる。UVAによる光線療法は有効であることが実証されているが、その一方でUVAによる光線療法は、皮膚がんの発症に関与するので、広範にわたって日常生活に支障をきたす乾癬症であるとして細心の注意の下に選択された患者および、50歳より上の患者だけに制限されている。
全身性レチノイドの使用は、主として、重度でありしかも稀な型の乾癬症の治療に制限されている。これらの薬剤は、皮膚の増殖度を低下させる抗炎症薬である。ただし、これら薬剤を使用すると、肝臓障害および胎児の奇形を誘発する、重篤な副作用を引き起こす可能性がある。
メトトレキサートは、DNA合成を阻害し、未治療の乾癬部位に認められるような急激な細胞分裂を停止させる葉酸類似体である。メトトレキサートは、通常、使用した場合には肝臓毒性に関与するので、極めて重度の難治性乾癬症の治療手段として取って温存されている。
T細胞を阻害するチクロスポリンなどの免疫抑制剤は、T細胞を阻害することによって作用する。チクロスポリンは、通常、重度の皮屑性乾癬症に用いられているが、腎臓毒性、感覚異常および多毛などの副作用を伴うため、難治性患者に限定されている。
腫瘍壊死因子−アルファ
腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−アルファ)は、多面的生体効果を有するサイトカインである。分泌型のヒトTNF−アルファは、17kDの非グリコシル化タンパク質で、繊維芽細胞、単球、マクロファージならびにT細胞およびB細胞によって主として産生される51kDホモトリマーとして循環する。TNF−アルファの産生は、内毒素、超抗原、浸透ストレスおよび放射線など、多種多様な刺激によって誘発される。TNF−アルファの分泌は、炎症誘発性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインによる影響も受ける。例えばインターフェロン−がんマーは、TNF−アルファの産生で重要な共力刺激剤であるいっぽう、IL−10は、この産生の抑制剤である。TNF−アルファの産生は、転写、翻訳および翻訳後の各レベルで調節されるので、未調節のTNF−アルファの放出に対する防護の必要性が示唆されている。TNF−アルファは、長いシグナルペプチドを含有する26kDプレカーサプロテインとして翻訳される。成熟した形態を得るためプロペプチドを開裂する酵素は、特異的メタロプロテナーゼである。未処理のTNF−アルファは膜結合した状態を維持し、近傍の細胞と接触したときに生物学的に活性化する。
TNF−アルファは、免疫反応および炎症反応で重要な役割を果たす。TNF−アルファは、局部組織の炎症部位への循環性炎症細胞の補充、炎症誘発性サイトカイン産生の亢進、浮腫(毛細血管漏出/内皮損傷)の誘発、凝固作用の活性化、および肉芽腫形成に介在し得る。
可溶性TNF受容体
TNF−アルファは、特異的膜貫通型受容体(TNFR)に結合することにより細胞機能にいくつかの影響を与える。TNFRには、p55(I型)およびp75(II型)の二つの型があり、それぞれ55kDと75kD(1;2)である。I型受容体およびII型受容体はいずれも、リンポトキシン−アルファの受容体でもある(TNF−ベータとしても知られている)。各受容体は、シグナル変換に特異的な細胞内(細胞質)ドメインを含んでおり、4つのシステイン含有量の多い繰返し体の存在下で、同じ相同性を共有する膜貫通型ドメインと細胞外ドメインといった異なる役割をもつことが示唆される。可溶性の両受容体を孤立させたところ(4〜6)、膜結合I型分子およびII型分子の細胞外部分の剥離から生じていることが実証された。これら可溶性のI型受容体とII型受容体はそれぞれ、TNF結合タンパク質1(TBP−1)およびTNF結合タンパク質2(TBP−2)と称されており、TNFに結合する能力を保持している。
TNF結合タンパク質(TBP)は、血清、尿、初乳、乳(7)および滑液などをはじめとする、体液中に生まれつき存在しており、心筋障害もしくは敗血症症候群など、特定の疾患では、最高ng/mLの範囲までの血清レベルに達し得る。このように、TBPの血清濃度は、TNFの血清濃度より約1000倍高く、これらはpg/nLの範囲内にある。可溶性TNF結合タンパク質は、TNF−アルファ分子およびTNF−ベータ分子の細胞面受容体との競合によって作用する。TNFの細胞学的効果の多くは、TBPによって阻害される。生体の体液中におけるTNF結合タンパク質の存在は、特異的細胞受容体へのTNF−アルファおよびTNF−ベータの結合と競合し得る能力によって検出され、TNF−アルファ細胞およびTNF−ベータ細胞溶解活性度によって測定される。
組み換えヒト腫瘍壊死因子結合タンパク質1(r−hTBP−1)
ヒトTNF結合タンパク質1(r−hTBP−1)の組換型は、チャイニーズハムスター卵(CHO)細胞内で産生される。承認されたその国際的一般名(INN)は、オナセプトである。この組換型は、161個のアミノ酸(完全発現分子中における最初の19個のアミノ酸を欠失)からなり、24個の完全対合システイン残基と3個の候補Nグリコシル化部位(Asn 14、Asn 105およびAsn 111)とを含むグリコプロテインである。ポリペプチド部分の分子量は、約18.2kDである。N連鎖グリカンの主構造は、様々なシアル化率でフコース化した、2触覚オリゴ糖複合型である。
乾癬症の治療におけるTBP−1
乾癬症は、炎症誘発性サイトカインであるTNF−アルファが、皮膚の病変部で高い濃度で存在している症状である。炎症を起こしている皮膚では、角化細胞および炎症性細胞がともに、大量のTNFを産生する。したがって、乾癬症は、抗TNF薬にとって適切な治療対象であった。
現在までに、このような適応によりオナセプトを用いたふたつの第2相臨床試験が実施されている。第一の臨床試験では、乾癬症および乾癬性関節炎の合計126名の患者を、1週間に3回、50mgのオナセプト皮下投与(SC)、1週間に3回の100mgオナセプトSC注入、もしくは12週間にわたる条件が整合するプラセボのいずれかを投与するように無作為に振り分けた。患者たちに関して、さらに8週間のフォローアップ調査を行った。
調査の結果、1週間に3回、50mgもしくは100mgの用量でオナセプトを皮下投与した群では、皮膚病変部、関節炎症状および全身性炎症など、乾癬症および乾癬性関節炎の兆候で用量依存性の改善が誘発されることが指摘された。
オナセプトは、乾癬性関節炎に対する正の効果を有し、乾癬性関節炎反応基準(PsARC)、American College of Rheumatology (ACR) 20およびACR 50の反応率が、プラセボ群に比べ有意に改善されている。皮膚乾癬症に関しては、主要評価項目である乾癬面積および重篤度指標(PASI)75%の反応は、どちらの用量レベレルでもオナセプトとプラセボとのあいだに有意差は認められなかった。ただし、二次評価項目に関しては、臨床的に有意な効果が認められた。特に、オナセプト100mgとプラセボのPASI 50%の反応率における差は、統計的有意差に近接しており、PASI 50%の反応には、プラセボ投与患者に比べ、オナセプト投与患者のほうが早い段階で到達していた。オナセプトは、エイスロサイト沈降速度(ESR)、C反応性タンパク質(CRP)およびインターロイキン−6(IL−6)プラズマレベルにおける低下など、全身性炎症のマーカーに対する効果を示した。オナセプトは、病変部T細胞における著しい統計的に有意な減少および循環型T細胞における増大をも誘発した。[http://www.forrelease.com/D20030622/nysu004.P2.06222003082356.09126.htlm and S.N. Nikas, Current Opinion in Investigational Drugs (2003, 4(11): 1369-76)]
これらの結果から、オナセプトの治療濃度域は、完全に検討したり特徴付けすることはできないということが示唆された。さらに高い用量もしくは異なる治療計画がいまだ好ましいリスク−利益率を実現していない皮膚手段に関して、好ましい効能を実現するか否かを判断することが必要であると考えられた。
その後、中等度〜重度の皮屑性乾癬症の患者におけるオナセプトの安全性および効能を評価する目的で、2回目の臨床試験が実施された。130名の患者を、150mgのオナセプトを1週間に3回投与する(TIW)群と1週間に4回条件が整合したプラセボを投与する群、もしくは100mgのオナセプトを毎日1回投与する群、もしくは対応するプラセボを12週間にわたって毎日1回投与する群とに無作為に振り分けた。投与期間の終了後に、処置を施さない患者のフォローアップ調査をさらに12週間実施した。
150mgTIWの用量でオナセプトを投与した群では、12週後に測定したPASI 75の反応がプラセボ処置群の患者における12%に対し54%であることからも明らかなように、乾癬症の兆候および症状が顕著に緩和されていた(P<0.001)。PASI 50の反応は、プラセボ投与患者群における26%に対し、オナセプト150mgTIW投与患者群では74%まで達成されていた(P<0.001)。
乾癬症の治療における他の抗TNF−アルファ薬
最近実施された臨床試験の結果、Enbrel(登録商標)(可溶性おとり受容体)およびRemicade(登録商標)(抗TNFモノクローナル抗体)双方の効能が実証された。Enbrel(登録商標)は、現在、米国では中等度〜重度の乾癬症患者の治療薬として承認されており、ヨーロッパでは2つの第III相臨床試験から得られたデータ(Leonardi et al 2003 NEJM 394:2014-2022 および Gottlieb et al 2003 Arch. Dermatol. 139:1627-1632)に基づいた、CHMPからの積極的意見が受理されたばかりの段階にある。
もうひとつの臨床試験(10)では、0、2、および6週間目にそれぞれ、プラセボ皮下投与群(n=11)、Remicade(登録商標)5mg/kg皮下投与群(n=11)、もしくはRemicade(登録商標)10mg/kg皮下投与群に無作為に割り振った、33名の中等度〜重度の鱗屑性乾癬症患者で、Remicade(登録商標)の臨床試験を実施した。投与後10週間目に、主要評価項目について評価を行った(医師のグローバル評価(Physician's Global Assessment)[PGA]に基づく、よい、非常によい、もしくは解消の段階評価)。33名の臨床試験登録患者のうち3名が試験から脱離した。プラセボ投与群の患者の場合18%でしか反応が認めらなかったのに対し、Remicade(登録商標)5mg/kg投与群の患者では82%で反応が認められ、さらにRemicade(登録商標)10mg/kg投与群の患者では91%で反応が認められた。両Remicade(登録商標)投与群の患者で反応が認められるまでの期間の中央値は、4週間であった。
さらに、メソトレキサート治療(11)に反応しなかった進行性の関節疾患患者と乾癬性皮膚病患者の合計6名に対しても、Remicade(登録商標)の臨床試験を実施した。治療開始前と治療開始10週間後にそれぞれ、PASIスコアを判定した。その結果、すべての患者で、乾癬性皮膚病の改善が認められた。
オナセプトを用いた第II相臨床試験から得られた全結果をまとめた一式のデータをさらに徹底して評価したところ、週用量が高くても(100mg/kg)効能における同様の成果は得られないことが明らかとなった。この処置群におけるPASIの改善率は、オナセプト150mg/kgTIW処置群で観察されたPASIの改善度に比べ遅滞していたが、治療期間終了時、さらには特にフォローアップ調査期間には同等のレベルにまで達した。しかしこれらの結果は、100mgという高い日用量の使用を裏づけるものではない。
さらに、12週間のフォローアップ調査期間(治療薬の投与が中断されていた期間)に得られたデータから、投与中止後もオナセプトの薬効は、治療期間中にオナセプト150mg TIW群の患者の61%で十分に維持されて75のPASIが達成され、フォローアップ期間24週目にいたるまでそのような反応が保持された。実際に、フォローアップ調査の終了時にPASIが75であった患者の比率は、治療期間終了時の54%に対して43%であった。この結果は、治療中止直後に回復していない疾患経路をオナセプトが妨害したことを示している。
したがって本発明の主たる目的は、12週間から最高52週間の断続的期間、ゆえに薬剤投与期間と非投与期間とが交互にくる期間にわたり、一回の注入あたり100〜150mgの用量で1週間につき3回の頻度で薬剤を皮下投与する乾癬症の治療上の処置で薬剤の製造のための薬学的に許容され得る賦形剤とともにr−hTBP−1を使用することにある。
通常、本発明による乾癬症の治療法には、r−hTBP−1が上記指定のように投与される第一の治療(FT)期間とr−hTBP−1が投与されない観察(OB)期間として周知の第二の期間とがある。OB期間の終了時には、再治療(RT)として周知のもう1つの治療期間がFT期間中に適用された条件と同じ条件の下で開始される。
他の周知の乾癬症の処置すべてに関する本発明の利点は、以下のとおりである。
−発明の背景の項に記載されている他の抗TNF−アルファ薬とは対照的に、r−hTBP−1は、人体で自然に生じ、TNFにとって天然の阻害剤であると考えられる産物の組換バージョンである。したがって、r−hTBP−1を用いた治療は、安全性リスクと免疫原性リスクが非常に低い。
−断続的投与により、長期間にわたり患者に投与する活性成分の全体的用量を減少することができるので、注入の繰返しによる毒性のリスクや患者の不快感を緩和することができる。
−1週間に3回、皮下投与する100〜150mgのあいだの用量は、効能、患者のコンプライアンスおよび安全性の観点から最適なr−hTBP−1治療法を表している。
本発明の好ましい実施例によれば、本発明の断続的治療の対象となる患者は、少なくとも以前別の処置に反応することができなかった患者である。
本発明のさらに好ましい実施例によれば、本発明の断続的治療の対象となる患者は、すべての乾癬症患者群の小集団を表す。
したがって、本発明のもうひとつの目的は、12週間から最高52週間の断続的期間、ゆえに薬剤の投与期間と非投与期間が交互にくる期間にわたって、1回の注入につき100〜150mgの用量で週3回の頻度で薬剤を皮下投与し、さらに最初の12週投与期間の終了時にPASI 75に反応したとして定義することのできる患者に薬剤が投与される、乾癬症処置で薬剤の製造を行うための薬学的に許容され得る賦形剤とともにr−hTBP−1を使用することにある。
各期間(処置および非処置)は12週間の長さであることが好ましい。処置期間および非処置期間は、16週の長さであることがさらに好ましい。
1回の注入あたりの好ましい用量は100mgもしくは150mgである。
本発明の別の好ましい実施例によれば、本発明を用いて処置する乾癬症は、中等度から重度の乾癬症もしくは乾癬性関節炎を合併している乾癬症である。
本発明のさらに好ましい実施例によれば、r−hTBP−1は、CHO(チャイニーズハムスターの卵巣)細胞など、形質転換哺乳動物細胞から産生される。
本発明のもうひとつの目的は、12週から最高52週間の断続的期間、ゆえに薬剤の投与期間と非投与期間とが交互にくる期間にわたって1回の注入につき100〜150mgの用量で1週間につき3回の頻度で薬剤を皮下投与し、さらに有効量の組換ヒト腫瘍壊死因子結合タンパク質1(r−hTBP−1)をこのような治療を必要としている患者に投与するプロセスを含む、乾癬症を治療的に処置するための方法である。
本発明による治療法のひとつの例を、図1に図解する。
定義
本発明の範囲内における「治療的処置」は、疾患発症後の病的状態の発現の軽減、低下、減少もしくは希薄化など、病気の進行に対する薬効を表す。
「薬学的に許容され得る」は、活性成分の生物活性の効果を妨害せず、投与する宿主にとって毒性を持たない任意の担体を網羅することを意味する。例えば、非経口投与では、上記活性成分は、生食、デキストローズ液、血清アルブミンおよびリンゲル液など、増量剤における注入のための単一用量の形態で剤形化することが可能である。薬学的に許容され得る担体の他に、本発明の組成は、安定剤、賦形剤、緩衝液および保存料などといった少量の添加物を含有することも可能である。
「有効量」は、上記のような疾患の処置単位および重篤度に十分に影響を与え、このような病気の軽減もしくは緩和を導く活性成分の量を表す。有効量は、投与経路および患者の病態によって異なる。
「1週間」は、約5、6もしくは7日の期間を表す。
「乾癬症」は、乾燥、輪郭が明瞭な銀色の鱗状皮屑性丘疹および各種サイズの斑によって特徴付けされる共通の慢性的再発性疾患を対象とする。乾癬症の重篤度すなわち軽度、中程度および重度への分類は、個々の症例における効果的形態の処置法を判定するのに有効な手段である。これは、適格候補を記述するため、患者の有志を募る乾癬症研究プログラムによって使用されている基準でもある。
各カテゴリは、乾癬症に冒された体表面の割合(%)によって定義されている。
−軽度乾癬症は、体表面の5%未満に発症するとして定義されている。
−中等度の乾癬症は、5〜30%に発症するとして定義されている。
−重度の乾癬症は30%より多くの体表面に発症するとして定義されている。
一般的見積として、手のひらは、体表面の1%に相当するとみなされる。
より具体的には、疾患の重篤度および治療の効能は、国際的に認められている特定のパラメータ、基準およびスコアに従い、医師によって評価される。乾癬症の場合、下記指標、基準およびスコアが臨床試験時に医師らによって国際的に適用され、保健衛生当局によって受け入れられている。
「PASI」は、乾癬面積および重篤度指標(Psoriasis Area and Severity Index)の省略形である。このPASIは、図2に報告されているように、患者の来院時に表に記入してもらった後で医師が判定したものである。医師に対しては、PASIの改善率(%)を治療の終了時に報告するよう要求している。これは、以下の式によっても算出される。
Figure 2008509989
臨床試験を通じてすべて同じ評価者が、個々の対象者に関するPASI判定を実施する必要がある。
本発明によれば、「PASI 75の反応者」は、初期治療期間(12週間)後にPASIが少なくとも75%改善した被験者を対象としている。
初期治療期間(12週間)後にPASIが50〜74%改善した被験者は、一部反応者とみなし、初期治療期間後にPASIが50%未満しか改善されなかった被験者を非反応者とみなす。
「乾癬性BSA」は、乾癬症が発症している総体表面積(BSA)の割合(%)を表す。これは、以下の表1を用いて計算する。
Figure 2008509989
実際には、体躯は、上記の表のカラム1に列挙されており、全身の近似割合(%)がカラム2に記載されている4つの区分に分割されている。これらの近似割合(%)を参考として使用し、6番目のカラムに報告可能な最大値を表す。発症している体躯の区分の面積(カラム3と5)を「手のひらの規則」を用いて判定する(「手のひらの規則」の参照は、患者の手のひらの大きさに基づくものであって、評価者の手のひらではない)。乾癬症を発症している体躯の前面および背面の各部位の割合(%)を、総BSAの割合(%)として判定する。最後の行とカラムは、4つの身体区分の合計値を総計し、総BSAを計算するのに使用する。
判定すべきもうひとつのスコアが、「医師のグローバル評価(PGA)」である。PGAは、治療法に対する全乾癬症病変部の全体的反応についての医師による評価を表している。PGAは、検査日第1日および以下の表2に報告されているカテゴリを用いて、ベースラインの病状と比較して評価する。
Figure 2008509989
PGAスコアには、最低限度、紅斑、鱗屑、皮屑の厚さおよび乾癬症を発症している全体表面積の割合についての全体的考慮事項を含み、これらを反映していなくてはならない。
「静的PGA(sPGA)」も存在する。sPGAを判定する場合、全体的病変部の重篤度の度合いを、以下の表3のカテゴリを用いて評価する。
Figure 2008509989
sPGAスコアは、病変部の全体的外観を最適に説明する記述子を用いて選択しなくてはならない。3つの基準すべてを満たしている必要はない。患者によっては、鱗屑や紅斑が、臨床所見を特徴付けている。このような場合には、sPGAスコアは、皮屑の隆起と主要な特徴(紅斑もしくは鱗屑)の組合せに基づいて評価する必要がある。皮屑の隆起は、もっとも確実な所見であるため、この皮屑の隆起を判定保留の症例のsPGA格付けに影響を及ぼす主要な特徴とせねばならない。
「爪乾癬症」重篤度指標(NAPSI)は、爪におけるこの疾患の進行度を測るのに使用するスコアである。これは以下のように計算する。
爪は、想像上の水平線と垂直線を用いて4分円に分割する。各爪は、その4分円内の爪の乾癬症の特徴のいずれが存在しているかにより、爪床乾癬症(0〜4)および爪基質乾癬症(0〜4)のスコアを割り当てる。
爪基質乾癬症は、以下のいずれかで構成される。圧痕爪甲白斑症、半月における紅斑および爪甲崩壊である。0(なし)〜4(爪の4分円のすべてに存在)に至るまでのスコアを爪基質乾癬症で割り当てる。
爪床乾癬症は、次のいずれかの有無を表す。すなわち爪甲離床症、線状出血、油滴状(サーモンパッチ)変色、および爪床過角化である。
対象となる爪は、爪基質乾癬症および爪床乾癬症に関して等級化する。これら2種類のスコアの総計が該当する爪の総スコア(0〜8)となる。
各爪を評価し、すべての爪の総計を総NAPSIスコアとする。すべての爪から得られたスコアの総計は、0〜80のいずれかの値である。随時、爪基質スコアもしくは爪床スコアを必要に応じて個別に評価することができる。
関連する指の爪すべての全スコアの合計が、その時点における該当する患者の総NAPSIスコアとなる。
「掻痒スケール」は、来院時にその掻痒度を最適に表す(0〜10)の数字をまるで囲むよう要求することによって患者に記入してもらう。
「乾癬性関節炎」(PsA)は、皮膚もしくは爪の乾癬症に合併する炎症性関節炎を対象とする。
「乾癬性関節炎反応基準」(PsARC)は、PsAの処置の効能を評価するのに用いられる(12;13)。
このような反応者に組み入れるには、患者が、以下の「American College of Rheumatology」(ACR)のカテゴリ(少なくとも1つは関節のスコア)の少なくとも2で改善を示し、いずれにおいても悪化していない状態でなくてはならない。
−疾患活動性に関する医師の全体評価:改善は少なくとも1単位分減少するとして定義され、悪化は、少なくとも1単位分増加するとして定義される。
−疾患活動性に関する患者の全体的評価:改善は少なくとも1単位分減少するとして定義され、悪化は少なくとも1単位分増加するとして定義される。
−圧痛関節スコア:改善が少なくとも30%分低下として定義され、悪化が少なくとも30%分増加として定義される。
−関節腫脹のスコア:改善が少なくとも30%分低下として定義され、悪化が少なくとも30%分増加として定義される。
American College of Rheumatology(ACR)基準に従った反応では、圧痛関節カウントと関節腫脹カウント双方における改善と、他の5つの結果のうちの少なくとも3つが改善されていることが必要である(疼痛に関する患者の評価、患者および医師の全体的評価、患者の身体機能に関する評価および急性期反応物質)。反応レベルは、達成された改善度の程度によって判定する。ACR 20%の反応は、これらの結果のそれぞれにおける最低20%の改善率を表しており、ACR 50%は、少なくとも50%の改善率を表している、などである。
次に、本発明の各種態様および実施例について以下の図を参照した例を用いることによってさらに詳しく述べる。本発明の対象範囲から逸脱せずに細部を変更してもよいということは理解されよう。
省略記号のリスト
ACR American College of Rheumatology
ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ
ANOVA 分散分析
ANCOVA 共分散分析
AST アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
B−cell B細胞
BSA 体表面積
CAM 細胞固着分子
CHO チャイニーズハムスターの卵巣
CD− クラスタ差分(例、CD4+細胞、CD8+細胞など)
CRP C反応タンパク質
DMARD(s) 予防維持抗リウマチ薬(複数もあり)
DLQI 皮膚疾患クオリティオブライフ指標
DNA デオキシリボ核酸
ESR 赤血球沈降速度
HCV C型肝炎ウイルス
hCG ヒト絨毛性ゴナドトロピン
IL− インターロイキン(例、IL−1,IL−6など)
IM 筋肉内
ITT 包括解析
IV 静脈注射
IVRS 双方向音声認識システム
MAb モノクローナル抗体
MHC 主要組織適合(遺伝子)複合体
Mg ミリグラム
mL ミリリットル
MMP メタロプロテイナーゼ
MTX メトトレキサート
NAPSI 爪乾癬症重篤度指標
NSAID(s) 非ステロイド系抗炎症薬(複数もあり)
OTC 医師の処方箋なしで購入できる(薬)
PASI 重篤度指標
PGA 医師による全体評価
PsARC 乾癬性関節炎反応基準
SPGA 医師による静的全体評価
PsA 乾癬性関節炎
PsA−GA 乾癬性関節炎全体評価
PT プロトロンビン時間
PUVA ソラレン紫外線A
PUVB ソラレン紫外線B
RA 関節リウマチ
RT 再治療期間
SC 皮下
SRB 安全審査委員会
TB 結核
TBP−1 腫瘍壊死因子結合タンパク質1
T−cell T細胞
TGF−ベータ TGF−ベータ
TIW 3回/週
TNF−アルファ 腫瘍壊死因子アルファ
TNFR 腫瘍壊死因子受容体
ULN 正常上限
実施例
実施例1−急性乾癬症および乾癬性関節炎患者の処置
本臨床試験は、14カ国における28カ所の臨床センターで実施された。
開発相:臨床試験II相
目的:
本発明の第一の目的は、皮屑性乾癬症および活動性乾癬性関節炎(PsA)の患者におけるオナセプトの2種類の投与計画について、皮膚および関節双方における安全性および治療的反応を評価することにある。本発明の第二の目的は、疾患の進行に対するオナセプトの効果、皮膚の発症面積、炎症の生物学的マーカー、骨の代謝回転数、血中脂質濃度特性曲線および血液パラメータを評価し、この母集団におけるオナセプトの薬物速度論を確定することにある。
手法:
12週間の処置および8週間のフォローアップ調査からなる、活動性皮屑性乾癬症および活動性乾癬性関節炎患者における、オナセプト(組換と腫瘍細胞壊死因子−アルファ結合タンパク質1[TBP−1])の第II相多施設無作為二重盲検プラセボ対照臨床試験。
適格な患者を100mgオナセプト処置群、50mgオナセプト処置群、条件が整合するプラセボ処置群に同数無作為に振り分け、12週間にわたり、週3回の頻度で皮下投与した。無作為化は、疾患の重篤度別およびセンター別に層に分類された。各用量を2回ずつ皮下投与した。すなわち50mgのオナセプトを2回皮下注射、プラセボを2回皮下注射、またはそれぞれを1回ずつ皮下注射した。
皮膚疾患を、乾癬面積および重篤度指標(PASI)、医師のグローバル評価(PGA)および乾癬症体表面積(PBSA)の測定を用いて評価した。関節疾患は、圧痛および関節膨張カウント、患者による疼痛および障害の評価、患者および医師による全体的疾患活動度の評価および赤血球沈降速度(ESR)ならびにC反応性タンパク質(CRP)の測定をはじめとする、Psoriatic Arthritis Response Criteria(PsARC)およびAmerican College of Rheumatology(ACR)を使用して評価した。一部のセンターでは、超音波検査、エンセシアル(enthesial)スクリーンおよび関節鏡検査/滑膜細胞生検を実施した。
処置期間中、15日目と29日目および8週目と12週目の終わりに来院してもらった。フォローアップ調査のための来院は、最後の皮下投与後4週間に行い、処置を完了した患者の場合、最終的臨床試験のための来院を最後の皮下投与の8週間後に行ったが、疾患の活動度評価のみ行った。治験薬の最終皮下投与30日後まで、有害事象が報告された。治験の終了時には、進行している有害事象が解消されるかもしくは治験薬の最終用量投与30日後のどちらか早いほうまで追跡した。
頭部病変部用の皮膚軟化剤および保湿剤、サリチル尿酸調製剤および顔面、脚の付け根、股間、鼠径部または腋窩部上の病変部用の低効能局所コルチコステロイドの場合と同様にある(局所ステロイドは、臨床試験評価24時間前以内には使用しなかった)、プレドニソン(10mg/日)および/または1つの非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)の臨床試験中計画の安定性が認められた。掻痒には、経口であるが局所ではない抗ヒスタミン剤を使用したが、臨床試験のための来院24時間前には控えなければならなかった。さらに処置を追加する必要がある場合、もしくは患者が再発した場合には、これは処置の失敗とみなし、患者を臨床試験から脱離させることとした。
患者数:予定:126名の患者(30センター)。登録者数:127名の患者を無作為化し、126名を25のセンターで処置した。
診断および包含するための主要な基準:乾癬症および乾癬性関節炎。
一回の認識されている処置に失敗した皮膚乾癬症患者および少なくとも1回の予防維持抗リウマチ剤(DMARD)処置に失敗した乾癬性関節炎(PsA)の患者を、本臨床試験に参加するよう募集した。主要な包含基準は下記のとおりであった。
−6カ月以上にわたる疾患期間。
−乾癬面積および重篤度指標(PASI)スコアが8以上の体表面積の5%にわたる皮屑性乾癬症。(疾患の全体または優勢な形態としての滴状斑赤色皮膚乾癬症もしくは膿疱性乾癬症の患者は除外した。)
−少なくとも3カ所の関節腫脹および圧痛もしくは、少なくとも3カ所の疼痛のある関節(もしくは関節周囲領域)で動作時に生じる活動性関節炎。破壊性関節炎および車椅子もしくは病臥中の患者は、対象外とした。
主要な除外基準は下記のとおりである。
−臨床試験に参加する前の一定期間内、クロロラムブチルもしくはチクロフォスファミドもしくは生物製剤を投与したことがあるか、他の実験的処置を受けたか、予防維持抗リウマチ薬(DMARD)を服用したか、関節内コルチコステロイドを服用したか、局所療法もしくはレチノイドあるいは光線療法を受けたことがある患者。
−二重鎖DNAに対する抗体。
−活動性結核(TB)の病歴、または活動性TBもしくは他の活動性の重度の感染症(または担当医の裁量により重度でない感染症)のエビデンス。
−骨髄蓄積量、腎機能もしくは肝機能不全。
−鬱血性心不全、造血機能障害の病歴、過去5年間におけるがんの病歴(完全に治療済みの皮膚基質細胞腫瘍を除く)もしくは中枢神経脱髄障害など、本臨床試験とは関係のない他の主要な合併症。
臨床試験に関連する処置に入る前に、すべての患者から文書によるインフォームドコンセントを取得した。妊娠の可能性のある女性患者は、本臨床試験期間中、避妊を行うよう要求し、すでに妊娠している女性患者や授乳中の女性患者は、本臨床試験の対象外とした。
被験製品、投与量および方式、バッチ番号:
皮下投与用オナセプト溶液を、50mgもしくは100mgの用量で週に3回の頻度で(tiw)皮下投与した。腫瘍バッチ番号は、01PC01、01PC02、02PC01、02PC02である。
参照製品、投与量および方式、バッチ番号:
皮下投与用の条件が整合したオナセット溶液に対するプラセボを、1週間に3回の頻度で皮下投与した。使用したバッチ番号は01F101、01F102である。
処置期間:12週間とその後の8週間にわたるフォローアップ調査。
評価基準
効能:皮膚成分に関しては、乾癬面積および重篤度指標(PASI)スコア、皮膚の生検の結果、体表病変面積および医師のグローバル評価(PGA)。関節炎成分では、Psoriatic Arthritis Response Criteria(PsARC)およびAmerican College of Rheumatology(ACR)の各スコアならびにサブスケールスコア。選択されたセンターで、穿刺針関節鏡検査および滑膜生検を実施した。
安全性:重度の有害事象および乾癬症関連有害事象に特に注意を払った有害事象の発生率と重度。局所認容性、有害事象による期限前早期臨床試験離脱、日常的血液疾患、血液化学および尿解析、血中脂質プロファイル、バイタルサインにおける変化および身体検査の結果、腫瘍細胞壊死因子−アルファ結合タンパク質1(TBP−1)に対する抗体の発生、ならびに臨床試験中に使用した併用薬。
統計法:
主要な解析母集団は、包括解析(ITT)母集団(N=126)であった。プロトコルあたりの母集団(N=115)から主要なプロトコルに違反した患者および効能に関係のない理由で早期に脱離した患者は除外した。臨床試験から脱離した患者もしくは治療経験に失敗した患者は、以後、非反応者とみなした。治験薬を投与したすべての無作為抽出患者(N=126)で安全性を評価し、治療済みとして評価を行った。
皮膚乾癬症と乾癬性関節炎についてそれぞれ個別に効能主要評価項目を定義した。主要な皮膚評価項目は、ベースラインと第12週目とのあいだのPASIスコアにおける少なくとも75%(PASI 75%の反応)を示した患者の割合(%)であった。主要関節評価項目は、ベースラインと第12週目とのあいだのPsARC反応を達成した患者の割合(%)であった。
二次評価項目は下記のとおりである。
−PASI 75%反応者の累積比率とPASI 75%反応持続期間。
−PASI 50%反応を呈した患者の割合と最初のPASI 50%反応に達するまでの期間およびPASI 50%反応者の経時的累積割合。
−12週目におけるPASI 75%もしくはPASI 50%反応後に再発した患者の数および再発までの期間。
−PASIおよび個体PASIパラメータ(紅斑、硬結および鱗屑)に置けるベースラインからの変化。
−ベースラインからPASIが25%劣化した(逆説反応)患者の累積割合。
−乾癬症体表面積(PBSA)におけるベースラインからの変化および個体PBSA構成要素(頭部、上肢、体幹、下肢)。
−経時的医師のグローバル評価(PGA)と「解消」もしくは「ほぼ解消」のPGAの患者の割合。
−試験開始当日から第12週目に至るまでの皮膚生検結果の変化。
−経時的PsARC反応者の累積割合。
−PsARC反応の持続期間。
−ACR 20、ACR 50およびACR 70の反応を呈した患者の割合。
−経時的個体ACRパラメータの展開。
−12週目にPASI 50%およびPsARC反応の両方を呈した患者の割合。
−経時的生物学的マーカーの展開。
主要評価項目(PsARC反応とPASI 75%反応)、選択された二次評価項目および12週間の治療期間に及ぶ安全性の結果を、すべての患者の処置期間(TP)が完了した後に解析した。その他の解析も実施し、すべての患者が8週間のフォローアップ期間(FP期間)が完了した後に最終報告書を作成した。
処置群別に要約統計量データを表現した。平均値/中央値の信頼期間(95%)を該当する場合には計算した。P値は両側検定を用いて計算した。これは早期第II相臨床試験であっため、多重度に関する調整を行わなかった。主要評価項目(PASI 75%反応およびPsARC反応を呈した患者の割合)の一次解析では、最適反応率(最適用量)のオナセプト用量をプラセボ処置群と比較した。二次評価項目のすべてで、オナセプト50mg、オナセプト100mgおよび併用オナセプト群をプラセボ群と比較した。
中央評価項目を、地理的に異なる領域とベースラインPASIスコア(PASI 8−12およびPASI>12)に合わせて調節し、コプラン−メンテル−ヘンゼル検定を用いて解析する必要があった。ただし、反応が少数であったため、皮膚の主要評価項目を、代わりにフィッシャーの確率検定を用いて解析した。異なる地域およびベースラインにおける重篤度の影響についても、この結果に関して正式な直接ロジスティック回帰分析法によって調査した。
皮膚に関する二次評価項目を、ANOVAを用いて解析した。正常度に関する前提条件を満たさなかった場合には、主要評価項目の変化もしくはランクに関するANOVAの変更を行った。該当する場合、2値およびカテゴリ的二次評価項目を、コプラン−メンテル−ヘンゼル検定もしくはフィッシャーの確率検定を用いて解析した。カテゴリデータの信頼区間は、アーミテージの確率法を用いて計算した。無作為化は、疾患の重篤度(PASI 8−12もしくはPASI>12)に従って重篤度別に階層化し、選択した皮膚の解析結果をベースラインPASIスコアに合わせて調節した。
該当する場合、傾向試験をヨンキー−テラプストラ検定、コクラン−アーミテージの傾向検定もしくは傾向クジック検定を用いて実施した。
要約と結論
本臨床試験では、84名の患者に対し、最高12週間のあいだ、オナセプト50mgもしくは100mg tiwの投与処置を行った。22名の患者が処置相で、基本的には治療の失敗により処置を打ち切った。このような処置を打ち切った患者の数は、オナセプト群に比べプラセボ群で多く、プラセボ群の患者は処置の失敗の大多数を占めた。
効能に関する結果
12週目における、皮膚に関する主要評価項目であるPASI 75%の反応に関しては、処置群間で統計的有意差は認められなかった(プラセボ群で4.8%、オナセプト50mg群で7.1%およびオナセプト100mg群で7.1%)。PASI 50%の反応は、プラセボ群に比べオナセプト群で高かった(プラセボ群で21.4%、オナセプト50mg群で26.2%およびオナセプト100mg群で40.5%。100mg処置群とプラセボ群で、p=0.063)。第1回目PASI 50%反応までの期間の中央値は、オナセプト服用患者で短く(プラセボ群の111.5に比べ各オナセプト処置群では56.0日)、12週目におけるPASIの低下に関する中央値もまたオナセプト服用患者で高かった。医師のグローバル評価(PGA)の12週目における「まあまあ」もしくは「良好」の格付けに達した患者の累積率(%)は、プラセボ群で33.3%、オナセプト50mg処置群で47.6%およびオナセプト100mg処置群で51.2%であった。また、「解消」または「ほぼ解消」のPGAの格付けに12週目に到達した患者の割合には、有意差は認められなかった。皮膚生検の結果、病変部の重篤度が軽減する傾向が認められた。特に、オナセプト療法後に皮膚CD3 T細胞数に有意な減少が認められた。オナセプト療法後の循環T細胞数における容量依存性の増加も認められた。
12週目におけるPsARC反応(関節に関する主要評価項目)は、オナセプト処置群とプラセボ処置群間に有意な差が存在しており、プラセボ処置群で45.2%、オナセプト50mg処置群で66.7%およびオナセプト100mg処置群で85.7%であった(オナセプト100mg対プラセボ処置群でp<0.001)。PsARC反応に対するオナセプトの効果は、時間および用量依存性が認められた。ACR基準を用いた評価でも、関節疾患における時間および用量依存性の改善が認められた。ACR 20反応率(圧痛のある関節の数と関節膨張件数の双方および他の5つのACR構成要素のうちの少なくとも3つで最低20%の改善に対応している。[Patient’s Assessment of Pain, Patient’s and Physician’s Global Assessments, Patient’s Assessment of Physical Function and acute phase markers])は、プラセボ処置群で31%、オナセプト50mg処置群で59.5%およびオナセプト100mg処置群で66.7%であった。ACR 50反応率(ACR 20に関し記載されている基準における最低50%の改善に対応)は、プラセボ処置群で2.4%、オナセプト50mg処置群で28.6%およびオナセプト100mg処置群で26.2%であった。ほとんどの個体ACR構成要素が、オナセプトによって有意な影響を受けた。
−全身性炎症の一連の生物学的マーカーについて評価し、さらにはCRPおよびESRなどといったあまり炎症に特異的でないマーカーについても評価を行った。
−処置の終了時(第12週目)に、IL−6血漿レベルが、プラセボ群で4.8%、オナセプト50mg処置群で19.4%およびオナセプト100mg処置群で55.8%だけベースラインに比べ低下した。
−血漿血管内皮増殖因子(VEGF)レベルをオナセプトが有意に低下させた。VEGFは、プラセボ処置群で3.4%、オナセプト50mg処置群で13.7%およびオナセプト100mg処置群で16.8%分だけベースラインに比べ低下した。
−オナセプトは、ベースラインでは高い値であった患者で特に、ESRおよびCRPの血漿レベルも下げた。ベースラインCRPが15mg/Lの患者では、CRPが、12週におけるオナセプト50mg投与患者で55.3%、オナセプト100mg投与患者で77.0%の中央値分、プラセボ処置群の0.2%の中央値の増加に比べ減少していた。ベースラインESRが28mm/hrの患者では、プラセボ処置群の14.3%の増加率の中央値に比べ、ESRレベルにおける減少率の中央値33.3%および42.3%が第12週に、オナセプト50mgおよび100mgの各処置群で認められた。
オナセプトは、評価の対象となった他の炎症マーカーに対しては影響を示さなかった。特に、オナセプトは、評価の対象となった炎症後マーカーのどれも誘発せず、また抗炎症性メディエータを低下させるようには思えなかった。
安全性評価の結果
処置母集団における薬剤に対する完全曝露期間の延べ投与日数は約6440日すなわち920患者/週で、注入部位の事象は、オナセプト投与患者の5%以上でのみ有害事象が報告されている。このような患者は用量に関係があり、プラセボ投与患者には認められなかった。他の有害事象は、任意の処置群における2名の患者以外には報告されておらず、その事象の大部分の重大度が軽度〜中程度であった。有害事象における他の傾向は記録されていない。
オナセプト処置に伴う感染症、悪性腫瘍もしくは造血機能障害の発症の増加のエビデンスは認められなかったが、本臨床試験の規模を考慮する必要があった。心疾患や脱髄疾患の報告はなかった。3人の患者で、4件の重度な有害事象が報告された。プラセボ患者群における唯一の有害事象患者は、おそらくは臨床試験の処置に関連すると思われた。
日常的な検査評価の結果では、有意な傾向は認められなかった。オナセプトは、腎機能障害や肝機能障害に関与するとは考えられなかった。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパルターテアミノトランスフェラーゼ(AST)など、肝機能検査の群値は経時的に安定していたが、全処置群で個々の患者に異常が認められた。腎機能検査の結果は、同様に安定していた。全体として、多少の貧血のエビデンスが認められたが、これはこの母集団で予測されていた。これは、本臨床試験中に悪化するとは思えなかった。CD3細胞サブセットなど白血球は、オナセプト処置の結果として免疫抑制の兆候を呈することはなかった。一部の一過性の多少の好酸球の上昇がオナセプト群で認められたが、これらは臨床的に重大であるとは考えられなかった。
オナセプト処置群の患者には、自己免疫反応の増加のエビデンスは認められなかった。オナセプト処置患者の約15%が、TBP−1に対する抗体を作り出していたが、これらの抗体の臨床的重大性はいまだ未知である。
結論
要するに、本臨床試験の結果は、週3回50mgもしくは100mgのオナセプトの皮下投与により、皮膚疾患、関節症状および全身性炎症をはじめとする、乾癬症や乾癬性関節炎の病状が用量依存性改善に至ることを示唆している。
オナセプトはプラセボ群に対し、PsARC、ACR 20およびACR 50の反応率において有意に改善されており、乾癬性関節炎に対して明確な効果を示している。皮膚の乾癬症に関しては、規定の主要評価項目、PASI 75%反応が、どちらの用量レベルでもオナセプト群とプラセボ群とのあいだに有意差を示さなかった。ただし、二次評価項目で臨床的に重大な影響が認められた。特に、PASI 50%反応で、オナセプト100mg処置群とプラセボ群とのあいだの差が、統計的有意差に接近しており、PASI 50%反応は、プラセボ群の患者に比べ、オナセプト処置群の患者で早い段階に達成された。オナセプトは、ESR、CRPおよびIL−6血漿レベルにおける低下をはじめとする、全身性炎症マーカーに対する影響を示している。オナセプトは、病変部T細胞における著しい統計的に有意な減少と循環T細胞における増加を誘発した。
被験用量で、オナセプトは、良好な安全な物理特性曲線を示した。処置群の患者の>5%だけに影響を与えた唯一の有害事象は、注入部位の紅斑と注入部位の反応のみであった。これらは、用量に関係があると考えられ、プラセボ投与患者には認められなかった。処置群における2名の患者を除き、他の有害事象は報告されず、有害事象の大部分の重篤度が軽度〜中等度であった。臨床試験中、4件の重度な有害事象が生じたが、プラセボ患者におけるそれらの1件のみが、処置に関連があると考えられた。オナセプト処置に伴う感染症、悪性腫瘍もしくは造血機能障害の発症率の増大のエビデンスは認められず、心不全もしくは脱髄疾患の発症や悪化を示す事象は報告されていない。CD3細胞サブセットをはじめとする白血球数は、オナセプト処置の結果生じる免疫抑制の兆候を示しておらず、自己免疫反応亢進のエビデンスも認められなかった。オナセプト処置患者の約15%がTBP−1に対する抗体を発現していたが、これら抗体の臨床的重大性はいまだ不明であり、予備解析の結果から、効能に対する抗体形成の影響は示唆されなかった。安全性に関する新たな問題は、特には識別されなかった。
これらの結果を取りまとめると、オナセプトの治療濃度液は、いまだ完全に検討されておらず、特徴づけもされていないことが明らかとなった。さらに好ましい便益比を実現しつつ、さらに高い用量の場合、皮膚疾患の治療手段としてより好適な効能が発揮されるか否かについて判断する必要がある。
例2−中等度〜重度の乾癬症患者の処置
臨床試験の表題:中等度〜重度の乾癬症患者における皮下投与オナセプトに関する、第II相多施設無作為二重盲験プラセボ対照臨床試験
開発相:第II臨床相
目的:本臨床試験の目的は、中等度〜中度の乾癬症があり、少なくとも認定されている処置に失敗した患者における(条件が整合したプラセボと比較した)オナセプトの2種類の処置計画の安全性および治療上の効能を評価することにある。
手法:本多施設二重盲験プラセボ対照臨床試験では、本臨床試験の包含基準を満たす中等度〜重度の皮屑性乾癬症の成人患者を本臨床試験の3種類の処置群のどれかひとつに無作為に等しく割り振った。
−1日1回オナセプト100mg処置群
−週4回、条件が整合するプラセボと交互に週3回の頻度でオナセプト150mgを処置する群
−1日1回条件が整合するプラセボ処置群
治験薬の各日用量は、2回の皮下投与で注入された。処置は12週間にわたって行い、その後12週間のフォローアップ観察を実施した。処置期間の2週目、4週目、8週目および12週目に患者を評価し、さらに4週目、8週目および12週目のフォローアップ(処置の1週目、6週目および10週目に小規模な安全性評価を行った)を実施した。効能に関する主要評価を処置の終了時すなわち12週目に行った。
効能については、乾癬面積および重篤度指標(PASI)スコア、医師のグローバル評価(参考のため初回処置来院で撮影した写真を用いる)、乾癬症を発症している体表面積の割合(%)、クオリティオブライフの指標(SF−36 Health Survey and the Dermatology Life Quality Index(DLQI) )ならびに炎症の生物学的マーカー(赤血球沈降速度およびC反応性タンパク質)で、経時的に変化を評価した。効能に関する主要評価項目は、12週目におけるPASI 75%の反応率であり、これはベースラインに比べ第12週目におけるPASIスコアの最低75%の改善率を示した患者の割合として定義される。
安全性については、有害事象の発生率と重篤度、重度の有害事象の発生と有害事象による永久処置打ち止め率、局所容認度、臨床検査値の変化、バイタルサインの変化と身体検査の結果、併用薬の使用と治験薬に対する抗体の形成によって評価した。他の抗TNF療法に関連する安全性の問題が生じるため、乾癬症に関連する有害事象に特に注意を払った。
臨床試験の実施期間を通して、安全審査委員会(Safety Review Board(SRB))が、安全性に関する盲験データを監視したが、この委員会は本臨床試験の実施に直接関与しなかった会社の第三者によって構成されていた。
患者数:約10個所のセンターにおける126名の患者を登録することを計画した。合計130名の患者が9個所のセンターで登録された。
包含基準:本臨床試験は、中等度〜重度の皮屑性乾癬症の成人患者を対象とした。包含基準には、全体表面積の10%以上で発症した皮屑性乾癬症、12.0以上の乾癬面積および重篤度指標スコア、最低6週間の疾患持続期間および臨床試験参加時における通院などがあげられる。妊娠の可能性のある女性は、臨床試験期間中避妊を心掛けるよう要請した。クロラムブチルもしくはシクロフォスファミドの投与を受けている場合、リチウムもしくは抗マラリア治療を受けている場合、全身生物製剤、実験的処置、全身コルチコステロイドの投与処置、免疫抑制剤処置、光線療法、レチノイド、局所乾癬症薬もしくは多重NSAIDを臨床試験参加前の指定期間内に服用した場合、顕著な合併症のある場合、乾癬症以外の皮膚疾患のエビデンスがある場合もしくは皮屑性乾癬症以外の顕著な形態の乾癬症がある場合、およびスクリーニング時もしくは臨床試験参加時に臨床的に顕著な乾癬症の突発が認められた患者は対象外とした。臨床試験に関係する処置に入る前に、すべての患者から文書によるインフォームドコンセントを取得した。
治験製品、投与量および方式、バッチ番号:1週間に3回、150mg(1週間に4回、条件が整合するプラセボと交替に)もしくは1日100mgオナセプト(組換えヒトTBP−1)をそれぞれ皮下投与。
バッチ番号:日用量100mg:02VN01,02VN02,02VN03;150mg TIW:02VN01,02VN02,02VN03,02VM04,02V101,02V102,02V103,02V104。
処置の持続期間:12週間およびその後の12週間に及ぶフォローアップ調査期間。
参照製品、投与量および方式、バッチ番号:1週間に4回(週3回、150mgのオナセプトと交替に)もしくは1日1回皮下投与用の条件の整合したオナセプト液に対するプラセボ。
バッチ番号:02V101,02V102,02V103,02V104。
評価基準:
効能:乾癬面積および重篤度指標(PASI)スコア、病気が発症している体表面積、医師のグローバル評価(PGA)、クオリティオブライフの評価(SF−36 Health SurveyおよびDLQI)。
安全性:重度の有害事象および乾癬関連の有害事象に特に注意を払った有害事象の発症率と重篤度。局所容認性、有害事象による期限前早期臨床試験脱離、臨床試験結果、バイタルサインおよび身体検査の結果の変化、抗TBP−1抗体の発生および臨床試験期間中に使用した併用薬。
統計手法:主要な解析母集団は、包括解析(ITT)母集団(N=130)である。プロトコル単位の母集団(N=113)は、主要なプロトコル違反の患者を排除した。臨床試験を脱離した患者もしくは処置が失敗した患者は、以後非反応者とみなした。治験薬を服用したすべての無作為化した患者(N=130)で安全性を評価し、処置済みとして解析した。効能に関する主要評価項目は、ベースラインと12週目とのあいだの期間におけるPASIスコアの少なくとも75%改善率を示した患者の割合である。二次評価項目は下記のとおりである。
−ベースラインと12週目とのあいだの期間におけるPASI 90%とPASI 50%の反応を示した患者の割合。
−来院別のPASI 50%、PASI 75%およびPASI 90%の反応を実現した患者の割合。
−処置群を比較するためのカプラン−マイヤー法およびログランク検定によって解析した、PASI 75%およびPASI 50%反応までの期間。
−ベースラインからの経時的PASI変化の割合の平均値(%)。
−発生からの(最も早くて2週目)PASI 75%反応の持続期間。
−個体PASIパラメータの経時的展開。
−医師のグローバル評価(PGA)における変化。
−医師のグローバル評価が「解消」もしくは「ほぼ解消」の患者の割合。
−乾癬症が発症している体表面積の割合における経時的変化(%)。
−12週目におけるPASI 75%およびPASI 50%の患者に関する再発までの期間の中央値。
−処置終了後再発したPASI 75%およびPASI 50%の患者の割合。
−SF 36 Health SurveyおよびDLQIクオリティオブライフに関するアンケートにおける変更。
再発は、ベースラインと12週目の処置相の終了時とのあいだの期間に達成されたPASIスコアにおける改善率が少なくとも50%低下したとして定義した。すべての患者が処置相を終了した後に、12週の処置期間に及ぶ主要評価項目(PASI 75%)、選択した二次評価項目および安全性の結果を解析した。その他の解析も実施し、すべての患者で12週フォローアップ調査相を完了した後に、最終報告書を作成した。フォローアップ調査における効能データの解析では、処置相を完了していない患者を除外した。これに加え、全ITT母集団に基づいた感度解析を、反応した患者の母集団で実施した。
各処置群に関する要約統計データを示す。すべての要約データで、平均値/中央値に関する95%の信頼区間を計算した。実施したすべての統計検定で、該当する場合両側検定によりP値を計算した。解析には多重度に関する調整は行わなかった。
効能に関する主要評価項目を、コプラン−マンテル−ヘンゼル(CMH)検定により解析した。予後効果もしくは予測効果があるとみなすことのできる共変数を含むロジスティック回帰法を用いて探索的解析を実施した。最適な割合のオナセプト用量とプラセボとのあいだで評価項目の比較を行った。さらに、二次最適用量および統合オナセプト群をプラセボ群と比較し、2種類の有効投与量を比較した。
ANOVAを用いて連続二次評価項目を解析した。正常度に関する前提条件を満たさなかった場合には、データの変換もしくはランクに関するANOVAの変換を実施した。CMH検定により、2値のカテゴリ的評価項目を解析した。適宜コクラン−アーミテージ検定、ヨンキー−テラプストラ検定もしくはクジック検定などを用いて傾向検定を実施した。カテゴリ別データに関する信頼区間を、アーミテージの確率法を用いて決定した。有害事象に関する評価項目に至る時間は、カプラン−マイヤー見積およびログランク検定を適宜用いて記述した。
要約と結論
本臨床試験では、87名の患者に対し、1週間に3回、150mgの用量でオナセプトで処置するか(TIW;n=43)、または1日1回100mgのオナセプトで処置し(n=44)、さらに43名の患者に対しプラセボで処置した。12週間の処置相のあいだ、16名の患者が途中で処置を中止した。そのうち6名がプラセボ処置群で、3名がオナセプト150mg TIW処置群で、7名が1日1回オナセプト100mg処置群であった。7名の患者全体に関する主要な理由は、有害事象であった。フォローアップ相では、20名の患者が処置を中止したが、その主な理由は効能が認められないかもしくは処置の失敗にあった。
効能の結果:主要評価項目である、12週の処置期間の終了時におけるPASI 75%反応を示した患者の割合は、オナセプト150mg TIW処置群の患者の53.5%(95%CI 37.7%、68.8%)、1日1回オナセプト100mg処置群の患者の25.0%(95%CI 13.2%、40.3%)およびプラセボ処置群の患者の11.6%(95%CI 3.9%、25.1%)であった。オナセプト150mg TIW処置群の反応は、プラセボ処置群の反応に比べ、有意に高かった。1日1回オナセプト100mg処置群とプラセボ処置群とのあいだの差は、統計的に有意ではなかったが、1日1回オナセプト100mg処置群とオナセプト150mg TIW処置群とのあいだの差は有意であった(p=0.007)。すべてのオナセプト処置患者で、PASI 75%の反応が患者の39.1%に認められ、これは、プラセボ処置群に比べ有意に良好であった(p=0.001)。
オナセプト150mg TIW処置群におけるPASI 75%の改善率は、フォローアップ相を通じて保持された。患者が12週間にわたる処置を終了した24週目には、オナセプト150mg TIW処置群の患者の42.5%が、プラセボ処置群の患者における10.8%に比べPASI 75%の反応を示した(p=0.002)。フォローアップ相期間中は、1日1回オナセプト100mg処置群の患者が継続的に改善傾向を示し、24週目の評価項目では35.1%がPASI 75%の反応を示した。これは、プラセボ処置群に比べ有意に良好(p=0.014)であったが、オナセプト150mg TIW処置群に比べ有意差は認められなかった。すべての患者を対象としたフォローアップ相期間中のPASI 75%のさらに内輪の見積では、オナセプト150mg TIW処置群の患者の場合、24週目の割合は39.5%であると見積もった。1日1回オナセプト100mg処置群の患者の対応する見積は、29.5%であった。オナセプト150mg TIW処置群の患者の74.4%、1日1回オナセプト100mg処置群の患者の54.5%およびプラセボ処置群の患者の25.6%に、12週目にPASI 50%の反応が認められた。PASI 50%の反応は、オナセプト150mg TIW(p=0.001)処置群および1日1回オナセプト100mg処置群(p=0.006)の場合、プラセボ群に比べて有意に高かった。第1回目のPASI 50%反応に到達するまでの期間の中央値は、オナセプト150mg TIW処置群で8.1週間であり、これはプラセボ処置群の24.1週間の中央値に比べ有意に短かった。1日1回オナセプト100mg処置群の第1回目のPASI 50%反応までの期間の中央値は、12.1週間であった。これはプラセボ処置群に比べ有意に短かった(p=0.015)が、オナセプト150mg TIW処置群に比べ有意に長かった(p=0.017)。24週目には、オナセプト150mg TIW処置群の患者の62.5%で、1日1回オナセプト100mg処置群の患者の54.1%で、さらにプラセボ処置群の患者の35.1%で、それぞれPASI 50%反応が認められた。オナセプト150mg TIW処置群におけるPASI 50%の反応率は、プラセボ処置群に比べ有意に良好であった(p=0.017)。
PASI 90%反応は、12週目にオナセプト150mg TIW処置群の患者の20.9%でおよびプラセボ処置群の患者の7.0%で達成された。有意差さは認められなかった(p=0.063)。ただしフォローアップ調査期間中、PASI 90%反応を示した患者の割合は、オナセプト処置患者で増大し、プラセボ処置患者では下降した。24週目に、オナセプト150mg TIW処置群の患者の22.5%がPASI 90%反応を獲得したが、これは、プラセボ処置患者の5.4%に比べ有意に高い値であった(p=0.033)。24週目におけるPASI 90%反応は、1日1回オナセプト100mg処置群の患者では(患者の24.3%)プラセボ処置群の患者に比べ有意に高かった(p=0.023)。
12週目におけるPASIスコアの改善率の平均値(%)は、オナセプト150mg TIW処置群の患者で66.4%であった。これは、プラセボ処置群に認められる24%の改善率に比べ有意に高かった(p<0.001)。1日1回オナセプト100mg処置群の平均改善率は50.3%であったが、これもプラセボ処置群に比べ有意に良好であった(p=0.002)。ベースラインからの改善率(%)を経時的に評価したところ、初期の頃の2週目の来院で、プラセボ処置群に比べオナセプト150mg TIW処置群で大きな改善が認められた。フォローアップ調査期間の終了時の改善率(%)は、オナセプト150mg TIW処置群で67.6%および1日1回オナセプト100mg処置群で59.5%であった。これらの改善率は、プラセボ処置群に認められる37.7%の改善率に比べ有意に良好であった。
乾癬症が発症している体表面積の割合(%)を評価した結果、オナセプト150mg TIW処置群(59.5%の改善率)および1日1回オナセプト100mg処置群(38.3%)の双方が、12週目にプラセボ処置群(19.5%)に比べ高い改善率を示した。処置の終了時における医師のグローバル評価は、オナセプト150mg TIW処置群の患者の52.4%で「解消」もしくは「ほぼ解消」であり、プラセボ処置群の患者では12.2%であった(p<0.001)。1日100mgオナセプト処置群では、解消/ほぼ解消のPGAの割合が26.2%であるが、プラセボ処置群の割合に比べ有意差は認められなかった。
12週目におけるDLQI総スコアの改善率の中央値(%)は、オナセプト150mg TIW処置群で55%、1日1回オナセプト100mg処置群で50%、プラセボ処置群で8%であった。各オナセプト処置群に関する改善率(%)は、プラセボ処置群の改善率に比べ有意に高かった。24週目におけるDLQI総スコアにおける改善率の中央値(%)は、オナセプト150mg TIW処置群で52%、1日1回オナセプト100mg処置群で57%およびプラセボ処置群で25%であったが、これらの見積の解釈は、25%の患者でデータが不明であったために遅れてしまった。SF 36総スコアに関しては、12週目の改善率の中央値(%)が、オナセプト150mg TIW処置群で16%、1日1回オナセプト100mg処置群で11%およびプラセボ処置群で4%であった。150mg TIW処置群における改善率は、プラセボ処置群の改善率に比べ有意に高かった(p=0.020)。
安全性評価結果:オナセプト曝露期間の平均日数は150mg TIW処置群で80.7日間および1日1回100mg処置群で77.5日間であり、オナセプト150mg TIW処置群の場合、延べ496患者−週数の総照射期間であり、1日1回オナセプト100mg処置患者の場合487患者−週であった。その期間にわたって投与されたオナセプトの平均総用量は、オナセプト150mg TIW処置群の患者一人につき5294mgで、1日1回オナセプト100mg処置群の患者一人につき7719mgであった。
有害事象が発症した処置の全体的割合は、100患者−週数につき19.9件であった。発生率は、プラセボ処置群に比べ、2つのオナセプト処置群で高かった。もっとも共通した有害事象は、注入部位の紅斑であり、これはオナセプト150mg TIW処置群の患者13名および1日1回オナセプト100mg処置群の患者14名で報告されたが、プラセボ投与患者での報告はなかった。注入部位の反応を解析の対象外としたときには、有害事象の全体的発生率は、100患者−週数あたり15.0件に減少し、3種類の処置群の発生率は極めて似通っていた。注入部位の事象とは別に、最も一般的に報告されたのが(処置群で10%)、処置により発生した有害事象であった。すなわちアラニンアミノトランスフェラーゼおよびアスパルターテアミノトランスフェラーゼ値の増加であり、1日1回オナセプト100mg処置群で最も頻繁に報告されたのがインフルエンザで、処置群間で同様の発生率を示したのが乾癬症の増悪であった。
事象の大部分の重篤度が軽度〜中等度であった。11件の事象は重度(すべての有害事象の3.8%)で、1つの有害事象(プラセボ処置患者における小さな細胞肺がん)が極めて重篤として分類された。重篤および極めて重篤な有害事象の中で、9件は臨床試験の処置に関連する可能性があると考えられた。オナセプトに関連する脱髄疾患、重度の造血機能障害もしくは心不全のエビデンスは認められなかった。乾癬症の発症率は、オナセプト処置に伴う増加の懸念は認められなかった。
臨床的に関連性のある傾向は、日常的臨床検査評価では顕著ではなかった。総白血球数は、変化しているとは考えられず、差分数は、オナセプト処置期間中、好酸球がわずかに増加を示した。血清ALTおよびAST値をはじめとする肝機能検査結果に関する各群の値は、オナセプト処置に伴う特定の傾向を示さなかったが、個々の患者の異常は顕著であった。TBP−1に対する抗体が処置期間の終了時にはオナセプト処置患者の約70%に存在していた。抗体を発現した患者と発現しなかった患者とのあいだにおける処置に対する反応の比較を行うための正式な解析は実施しなかった。
乾癬症に対する処置のための局所薬剤の使用は、3つの処置群全体で類似していた。ごく一部の患者だけが、臨床試験中に処置に失敗した。処置相では、処置の失敗は、プラセボ投与群では1名の患者に限定され、オナセプト150mg TIW投与群では1名の患者であった。フォローアップ期間中、23名の患者が処置に失敗として記録されたが、そのうちの12名はプラセボ処置患者であった。
結論:全体として、本臨床試験の結果から、オナセプトの皮下投与が、鱗屑性乾癬症における有意な改善を誘発したことを示唆している。12週の処置期間の終了時には、PASI 75%反応が、オナセプト150mg TIW処置群の患者の54%で認められ、プラセボ投与群の患者ではわずか12%であった。1日100mg用量でのオナセプトは、処置期間中に患者の25%でPASI 75%の反応を誘発させ、オナセプト150mg TIW処置群に比べ効果を実現するまでに長い時間がかかった。PASI 50%反応は、プラセボ処置群に比べ、2つのオナセプト処置群の患者では有意に大きな比率で認められた。
12週のフォローアップ相の終了時に、オナセプト処置患者は、元の反応を改善したかもしくは維持していた。24週目には、オナセプト150mg TIW処置群の患者の43%のPASIが75%に達し、これは、プラセボ処置患者の11%に比べ有意に高かった。1日1回オナセプト100mg処置群の患者の場合、フォローアップ調査終了時にPASI 75%の反応を得た割合は35%に増加したが、これはプラセボ処置群に比べ有意に高かった。
PASI反応を獲得するまでに要する期間は、オナセプト150mg TIW処置群に比べ、1日1回オナセプト100mg処置群で発現までに長い時間を要した。最初のPASI 75%反応が認められた期間の中央値は、オナセプト150mg TIW処置群で12.1週間であり、1日1回オナセプト100mg処置群もしくはプラセボ処置群では中央値は評価不能であった。最初のPASI 50%反応までの期間の中央値は、1日1回オナセプト100mg処置群の12.1週間に比べ、オナセプト150mg TIW処置群では8.1週間と有意に短かった。PASIスコアにおける改善率(%)を評価するときには、プラセボ処置群からの差が観察された最も早い時期がオナセプト150mg TIW処置群では2週間であった。1日1回オナセプト100mg処置群とプラセボ処置群とのあいだに関する最も早い時期は8週間であった。
処置期間中、オナセプトの両用量からDLQIおよびSF36に関するアンケートに基づいて評価したクオリティオブライフでプラセボに比べ有意に高い改善率が認められた。
本臨床試験で調査した2つの用量では、オナセプトの処置は、極めて良好な安全性物理特性に関連していた。オナセプト処置に相に関連付けられると考えられる新たな有害事象は特定されなかった。臨床検査パラメータは、プラセボ投与群に比べ、明確な変化パターンを示していなかった。オナセプトの投与を受けた患者だけに影響を与えた主要な処置により発症した有害事象は、注入部位の紅斑であった。有害事象の大部分が、重篤度が軽度〜中等度であった。11の事象が、重度として治験担当医によって分類され、1つは極めて重度に分類された。これらのうちの9件は、おそらく処置に関連していると思われるが、これらは、1名もしくは2名の患者それぞれで発生した極めて個人的な事象であった。オナセプト処置群の患者のなかに、抗TNF療法に関連すると考えられる有害事象の臨床的に関連性のある増加のエビデンスは存在しなかった。白血球数は、オナセプト処置による免疫抑制の兆候を示していなかった。異なる数は、赤血球におけるわずかな増大を示していたが、これは臨床的には関係なく、治療停止時に解決した。患者の約70%でTBP−1に対する抗体が発現したが、臨床的重大性は確立されておらず、これが効能に影響したという証拠は見当たらない。過剰反応の1件の報告が、1日1回オナセプト100mgで治療した患者で発生したが、この患者は抗TBP−1抗体に対し陰性であった。
全体として、本臨床試験の結果は、オナセプトは十分に容認性があり、中等度から重度に至るまでの皮屑性乾癬症の患者の処置に効果があった。この患者母集団におけるオナセプトの処置では新たな安全性の問題は特定されなかった。
例3−請求の範囲に記載されている断続的治療的処置
これは、第3相の多施設無作為化二重盲験プラスボ対照臨床試験で、中等度〜重度の皮屑性乾癬症被験者に150mg TIW SC投与したオナセプトの安全性と効能を評価することを目的としている。約70〜80の試験センターにおける少なくとも840名の被験者を無作為化することが予想されている。臨床試験参加最大持続期間は、以下に強調表示されているような4つの期間で56週(安全性フォローアップ調査も含む)となる。
初期処置(1〜12週):SD1から、すべての無作為化した被験者が無作為被験者をベースラインのPASI スコア(20、>20)、乾癬症の処置歴(はじめてから全身性処置対゛全身性処置歴)および部位別に階層化する。処置は最低12週間行う。各無差別化された被験者は、治験薬の自己投与について臨床試験センターのスタッフから総合的指示を受けることになる。臨床試験のスタッフは、被験者を処置後に観察可能なように最初の用量を投与する。
二重盲験の12週処置期間の終了時に、すべての被験者が、処置反応を判定するために、一連の必須皮膚評価を受ける。被験者たちは、反応者(ベースラインに対しPASI値が少なくとも75%改善している患者)もしくは一部反応者/非反応者(ベースラインに対してPASIが75%未満しか改善しなかった患者)として分類される。
12週目
一部反応者および非反応者は、SC経路TIWによって、オナセプト150mgの注入を受けるOL処置期間に入る。この40週のOL処置期間の終了時に、被験者は、4週間のSF期間に入る。
反応者は、24週のOB期間に入る。再発時(ベースラインと12週間のFT期間の終了時とのあいだの改善率が少なくとも50%損なわれているとして定義される)もしくは初めて発生した24週間のOB期間の終了時に、被験者は、1対1の割合で、SC注入TIWによって150mgオナセットを投与するか、または条件が整合するプラセボを投与するために12週間RT期間に再度無作為化される。
非盲験(OL):FT期間の12週目における一部反応者(PASIにおける50−74%の低下)および非反応者(PASIにおける<50%の低下)は、40週間のOL処置期間に直接進み、臨床試験の残りの期間150mg TIW活性薬剤の投与を受ける。処置を中断する理由がない限り、被験者は、この期間中、最大40週間にわたってオナセプトの投与を受けることになる。約550名の被験者が、40週間のOL処置期間に入るものと予想されている。
観察(OB):12週間のFT期間の終了時に、反応者(PASIが75%低下)は、OB臨床試験期間に入る。OB臨床試験期間中、被験者が再発するか観察24週間に達するか、どちらかはじめに来る方まで処置は中断される。再発は、FT期間(ベースラインから12週目)にPASIの最適改善率から50分だけ低下したとして定義される。約230名の反応者が24週間のOB期間に入るものと予想されている。
再処置(RT):OB期間中に再発したかもしくは再発せずにOB期間の24週目に到達した被験者は、次いで、16週間のRT期間に入る。200名の被験者が二重盲験RT期間に登録されると予想されている。各被験者を、1対1の割合(100対100の被験者)でオナセプト150mg TIW投与もしくは条件が整合するプラセボ投与を受けるため、IVRSを用いて再度無作為化した。無作為化は、FT期間中に処置歴別(プラセボ、オナセプト150mg)、被験者がOB期間中に再発したか否か(ハイもしくはイイエ)別に階層化した。RT期間中、二重盲験薬を、最高16週間の処置期間にわたってSC注入TIW投与を行った。
RTもしくはOL処置期間の完了後、あるいは早期打ち切り時に、被験者は、臨床試験の完了を示す4週間のSF期間に入る。被験者は、他の利用可能な代替処置について、医師と検討しあうことになる。
被験者
中等度から重度の皮屑性乾癬症の1,008名の被験者を適性基準すべてを満たす840名の適格被験者を獲得するためにスクリーニングを行う。
参加基準
包含基準
本臨床試験に包含するための適性を有するには、被験者は、臨床検査第1日(SD1)の無作為化作業の前に下記の基準すべてを満たしていなくてはならない。
−今後の医療に対する偏見を持たずに、随時被験者がその意思を撤回することができるということを理解して、被験者の通常の医療の一環ではない臨床試験に関連する処置以前に与えられる文書によるインフォームドコンセント。
−18〜75歳の年齢。
−女性の被験者は、妊婦であったり授乳中であったりしてはならず、また、以下によって定義されるように、妊娠する可能性があってはならない。
−閉経後(すなわち最後に生理があってから少なくとも12カ月経過)もしくは不妊手術をしている、あるいは
−効果的形態の避妊具を使用している(例えばコンドーム、経口避妊薬もしくはIUDなど)。
−被験者が妊婦でないことの確認は、SD1の7日前以内に尿中hCG検査の陰性によって確定しておかなくてはならない。妊娠検査は、被験者が閉経後であったり避妊手術をしている場合には必要ない。
−登録時には通院していること。
−少なくとも12カ月間、皮屑性乾癬症であること。
−総体表面積の少なくとも10%で、皮屑性乾癬症が発症しており、PASIスコアが12.0以上である。
−光線療法もしくは全身療法の候補者
−静的医師のグローバル評価(sPGA)が3以上。
除外基準
本臨床試験に包含するのに有資格であるためには、被験者は、以下の基準のどれかを満たしていてはならない。
−SDI 28日前のあいだに、複数のNSAIDを使用しているかまたはNSAIDを変更している。
−SD13カ月前以内の、インターフェロンまたはサイトカイン/抗サイトカイン(例えば抗TNF−アルファ、抗CD4、IL−10、IL−1ra、抗CD11aなど)をはじめとする生物製剤の全身処置歴。
−SD1 3カ月前以内の臨床試験と相互作用するとみなされる他の臨床試験もしくは実験治療処置に参加していた(スポンサーとともに除外について話し合う)。
−SD1 28日前までの期間に、全身性コルチコステロイドまたは関節内コルチコステロイド注入措置を受けた。
−クロランブチルもしくはシクロフォスファミドの処置歴がある。
−SD1より28日以内に、シクロスポリンもしくはメトトレキサーテあるいは経口レチノイドで処置した。
−SD1の14日前以内に局所療法(ビタミンD誘導体、コルチコステロイド)の処置を受けた。
−SD1前28日以内に光線療法を受けた。
−SD1前14日以内に日焼け室を利用した。
−総ビリルビン値が通常の値の上限の1.2倍より大、アスパルターテアミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼもしくはアルカラインフォスファターゼレベルが正常値の上限の1.5倍より大であることで定義される異常肝機能。
−下記で定義される骨髄蓄積量不足。
O 白血球3.5×109/L、もしくは
O 血小板100×109/L、もしくは
O ヘモグロビン5.5mmol/L(8.9g/dL)
−血漿クレアチニン値が150micromol/Lより大により定義される異常な腎機能。
−ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)もしくはC型肝炎ウイルス(HCV)の血清反応陽性。
−臨床試験の処置期間内に大きな外科手術を予定している。
−前5年間内にがんを発症(皮膚の細胞がん、十分に処置された皮膚の基質細胞がんもしくは扁平上皮内がんを除く)。
−活動性結核、現在活動性結核もしくは治療を受けている、もしくは結核の予防薬治療を受けている。
−活動性重度乾癬症(もしくは治験担当医の裁量の下に非重度乾癬症)。
−SD1より3カ月の期限内に日和見感染。
−臨床的に重大で(治験担当医の裁量の下に)心電図もしくは胸部X線で重大な異常が認められた場合。
−臨床試験に不適合な他の重篤な合併症。特に、鬱血性心不全、血液造血機能障害もしくは中枢神経系脱髄疾患の被験者は臨床試験の対象とはならない。
−現在、薬物(麻薬を含む)乱用もしくは履歴、あるいはアルコール乱用で現在問題がある場合。
−全臨床試験期間を通じて、免疫付与、アレルギー感染またはワクチン接種の必要がある(これらは、SD1開始少なくとも14日前、あるいは治験薬の最後の注入後3カ月以上先に予定するようお薦めする)。
−乾癬症の全体もしくはほとんどが滴状乾癬症、鱗屑性乾癬症もしくは膿胞性乾癬症である。
−乾癬症疾患評価と相互作用する他の乾癬症(例えばアトピー性皮膚炎など)の皮膚状態のエビデンス。
−スクリーニング中、もしくは登録時に直ちに寛解の必要がある臨床的に重大な乾癬性炎症(治験担当医の裁量による)。
−生ウイルスもしくは弱毒化ウイルスもしくはバクテリアワクチン(SD1 14日以内)。
−車椅子または横臥状態。
−オナセプトの使用歴あり。
処置相
処置相は、4つの異なる期間に分けられる。まず、オナセプト150mgTIWもしくは条件が整合するプラセボをSC(皮下)投与する、12週間にわたる初期処置(FT)期間がある。12週目が終了すると、ベースラインからのPASIにおける改善率が<75%の被験者は、40週の非盲検(OL)期間に入る。PASIにおける改善率が75%の被験者は、24週の観察(OB)期間に入る。OB期間中に各自のPASI改善率を保持した(すなわち、FT期間(ベースラインと12週目とのあいだの期間)にPASIの最適改善率の低下率が50%として定義される臨床的再発が認められない)反応被験者は、(OB期間の)24週目が終了すると、再処置(RT)期間に入る。ただし、臨床試験期間13〜36週のあいだに臨床的再発が認められた被験者は、ただちにRT期間に入る。
RTもしくはOL処置期間の完了後もしくは期限前打ち切り時には、被験者は臨床試験の完了を示す4週間のSF期間に入る。
初期処置期間(1−12週)
FT期間中、1週目、2週目、4週目および8週目に、下記の各評価を実施する。
−主訴に基づく身体観察、体重およびバイタルサイン
−臨床検査:血液検査、血液化学検査および標準的尿検査
−PASIおよびsPGA
−4週目と8週目限定のPGA
−抗TBP−1抗体の4週目限定の中央解析用血液標本
−有害事象、併用薬、処置
PK/PD被験者限定4週目における投与前と投与6−12時間後。8週目における投与前と投与24−36時間後
12週目もしくは早期打ち切り
−クオリティオブライフに関するアンケートに被験者が記入(SF−36、掻痒、鱗屑、DLQI)
−体重およびバイタルサインをはじめとする全身体観察
−臨床検査:血液検査、血液化学検査および標準的尿検査
−抗TBI−1抗体の血液標本
−最も重度の乾癬症発症部位の半身写真
−PASI、PGAおよびsPGA
−爪に侵襲している場合には、NAPSI
−活動型乾癬性関節炎のみ発症している被験者に関するPsoriatic Arthritis Global Assessment(PsA−GA)
−有害事象、併用薬および処置の見直し
PK/PD被験者限定:12週目の投与後に最終的PK血液標本を採取した。
観察期間(13−36週)
被験者が再発しなかった場合には、臨床試験参加のための来院の間隔を、FT期間と同じ4週間とする。16、20、24、28および32週目には、追跡評価を実施する。
−主訴に基づく体重およびバイタルサインをはじめとする身体観察
24週目限定の体重およびバイタルサインをはじめとする全身体観察
−臨床検査:血液検査、血液化学検査および標準的尿検査
16週目限定の抗TBP−1抗体用血液標本
−PASI、PGAおよびsPGA
−有害事象、併用薬および処置の見直し
−再発時には、上記評価に加え、下記データを収集のこと
−新しい病態の乾癬症を含む、皮膚疾患の病歴
再処置期間(37−56週)
この期間中には、40、44、48および52の各週に臨床試験参加のため来院してもらい、下記の評価を実施する。
52週目限定のクオリティオブライフに関するアンケートに被験者が記入(SF−36、掻痒、鱗屑およびDLQI)
40、44および48週目限定のバイタルサインおよび体重をはじめとする、主訴に基づく身体観察
52週目限定の体重およびバイタルサインをはじめとする全身体観察
−臨床検査:血液検査、血液化学検査および標準的尿検査
52週目限定の抗TBP−1抗体用血液標本
−PASIおよびsPGA
−52週目限定のPGA
−爪への侵襲時には、52週目限定のNAPSI
−活動性乾癬性関節炎の被験者に関する、52週目限定のPsoriatic Arthritis Assessment (PsA−GA)
−有害事象、併用薬および処置の見直し
PK被験者限定:40、44および52週目にPK血液標本を採取
非盲検期間(13−52週)
この期間中には、16、20、24、28、32、36、40、44および48の各週に臨床試験参加のため来院してもらい、下記の評価を実施する。
52週目限定のクオリティオブライフに関するアンケートに被験者が記入(SF−36、掻痒、鱗屑およびDLQI)
−バイタルサインおよび体重をはじめとする、主訴に基づく身体観察
24、36および52週目限定の体重およびバイタルサインをはじめとする全身体観察
−臨床検査:血液検査、血液化学検査および標準的尿検査
52週目限定の抗TBP−1抗体用血液標本
24、36および52週限定のPASI、PGAおよびsPGA
−爪への侵襲時には、52週目限定のNAPSI
−有害事象、併用薬および処置の見直し
安全性フォローアップ調査期間もしくは処置後期間
RTもしくはOL処置期間の完了後または早期打ち切り時には、処置後安全性フォローアップ調査を実施する。フォロ−アップ調査のための来院時には、下記の評価を実施する。
−バイタルサインおよび体重をはじめとする、主訴に基づく身体観察
−臨床検査:血液検査、血液化学検査および標準的尿検査
−抗TBP−1抗体用血液標本
−有害事象、併用薬および処置の見直し
効能の観察および測定
疾患憎悪マーカー
評価スケジュールに従い、臨床試験期間を通じて疾患憎悪マーカーを収集した。
乾癬症特定の疾患評価(PASI、PGA、sPGA、NAPSI、PsA−GA)を、乾癬症の憎悪を追跡するための参照基準と見なす。これらは、皮膚科医によって広く利用されており、DFAおよびEMEAによって効能マーカーとして認定されている。
治験薬
本臨床試験の治験薬は、オナセプト150mgもしくは条件が整合するプラセボである。
治験薬の内容
オナセプトは、充填済みガラス製注射器で注入するための無色の滅菌液として、濃度150mg/1.05mLで提供される。賦形剤は、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム緩衝液、水酸化ナトリウムおよびリン酸である。
プラセボ充填済み注射器は、150mg充填済み注射器内液の組成と同じ組成であるが、活性成分は含まない。
各注射器には、1.05mLの抽出可能体積を収納できるように、0.04mLのオーバーフィルが含まれている。
使用する注射器は、25G注射針が付いた2.25mL型である。
用量と投与
IVRSを通じて、処置群への配分を行った。配分された処置薬(150mgのオナセプトと条件が整合したプラセボ)は各週の同じ曜日にTIW SC投与することが好ましい。SC注入部位は、例えば大腿部の外側および前腹壁の各種4分円など、交互に変える必要がある。治験担当医の裁量の下に、被験者もしくは家族にSC注入法を教える。被験者もしくは家族は、注入部位の反応を最低限度に抑えるための適切な注入テクニックに関する指示を受け、さらにSC注入に熟練していることを実証せねばならない。
治験薬の用量の変更は、本臨床試験の実施期間を通じて認められない。
梱包とラベルの貼付
梱包とラベルの貼付は、該当する規制の要求事項に適合させる。治験薬は、1ヶ月間被験者に対して十分投与可能な量である12本の注射器を含む1ヶ月分キットと、3本の注射器を含む非常用キットに梱包する。
調剤、取り扱いおよび保管
治験薬は、使用するまでのあいだ、理想的には鍵のかかった監視付き冷蔵庫など安全な場所に、2〜8℃で保管する。
治験薬の1回分用量は、1回の注入分である1.05mL(充填済み注射器1本)からなる。
注入前に、所望の温度に達するまで冷蔵庫から出して放置しておくことにより(少なくとも15分後)、注射器を室温(20−25℃)にする。
治験薬は、使用前に振って攪拌してはならない。
治験薬は、治験担当医もしくは治験担当医が特に認めた医療スタッフが調剤する。各被験者は、SD1当日に治験センターを去る前に、治験薬の保管、取り扱いおよび投与に関する適切な指示を受ける。
効能解析
効能に関する主要評価項目
本臨床試験の主要評価項目は、ベースラインと12週目とのあいだの期間(FT期間)に少なくとも75%のPASI改善率を示した被験者の割合である。これは、以後PASI 75として簡略表現する。
12週目における改善率(%)を、下記のように定義する。
Figure 2008509989
FT期間終了時における反応状態は、下記のように判定する。
−反応者:ベースライン(SD1)から12週目までの期間(FT期間)中にPASI値が75%低下した被験者
−一部反応者:PASI値が50%低下したが、ベースライン(SD1)から12週目までの期間(FT期間)中には75%低下した被験者
−非反応者:ベースライン(SD1)から12週目までの期間(FT期間)中にPASI値が<50%しか低下しなかった被験者
12週目(FT期間)に至る前に臨床試験から離脱した被検者は、効能に関する主要評価項目を解析するためのPASIにおける75%の改善率を達成できず、ITT母集団の基準を維持できなかったと見なされる。
主要な二次評価項目
主要な二次評価項目は、
−12週目まで(FT期間)に「解消」もしくは「ほぼ解消」のPGAランクを獲得した被験者の割合(%)である。
その他の二次評価項目は、
−ベースライン(SD1)から12週目までの期間(FT期間)中のPASIの改善率の平均値(%)
−ベースライン(SD1)から12週目までの期間(FT期間)中にPASIスコアの改善率が少なくとも90%であった被験者の割合(%)
−ベースライン(SD1)から12週目までの期間(FT期間)中の掻痒スケールの改善率の平均値(%)
−ベースライン(SD1)から12週目までの期間(FT期間)中のDLQIクオリティオブライフ評価の改善率の平均値(%)
効能に関する5つの二次評価項目の解析のため、α=0.05(両側)のI型総合誤差率を確保する目的で、多重比較可能なようにホッホバーグ−ボンフェローニ多重比較手順(Hochberg 1988)を使用して調整を行う。
三次評価項目
−FT期間中にPASI 75に到達するまでの期間
−ベースライン(SD1)から12週目までの期間(FT期間)におけるSF−36クオリティオブライフ評価における改善率の平均値(%)
−12週目(FT期間)にPASI 75の反応を達成した被験者が、OB期間中に再発するまでの期間
−ベースライン(SD1)から12週目までの期間(FT期間)におけるNAPSIの改善率の平均値(%)
−観察期間終了もしくは再発の24週後に再処置を受けたPASI 75反応者の場合、ベースライン(SD1)からRT期間の12週目までにおけるPASIスコアの改善率の平均値(%)。RT期間の16週目におけるPASI 75反応者の割合(%)も評価する
−観察期間終了もしくは再発の24週後に再処置を受けたPASI 75反応者の場合、ベースライン(SD1)からRT期間の12週目までにおけるPASIスコアの改善率の平均値(%)。RT期間の16週目におけるPASI反応者の割合(%)も評価する。
統計手法
ITT母集団を用いて、効能に関するすべての評価項目を解析する。効能に関する主要評価項目と二次評価項目だけを解析する。安全性に関する解析はすべて、安全性母集団を用いて実施する。
統計的検定は、特に記載しない限り、0.05の有意レベルを用いて両側で実施する。
すべての解析で、モデル前提条件と潜在的相互作用について評価する。モデル前提条件を満たさない場合には、変換した(例えば、対数変換、ランク付け)データに基づいて解析を実施する。モデル前提条件および相互作用の詳細については、統計解析計画に記載する。
効能に関する主要評価項目
処置の効果および無作為化で使用したファクタ(ベースラインにおけるPASIスコア、乾癬症の前処置および部位)を含むロジスティック回帰モデルを使用して、主要評価項目を解析する。オナセプト処置群とプラセボ処置群におけるPASI 75の調整済みオッズ比と関連する95%の信頼区間を、ロジスティック回帰モデルに基づいて見積もる。
効能に関する主要評価項目−その他の解析
所定のカテゴリに十分な数の比験者が存在しているという前提の下に、性別、年齢群、ベースラインPASIスコア、乾癬症の治療歴、部位、体重、乾癬症の持続期間および疾患診断時の年齢の各カテゴリ別に、主要評価項目の結果の一般化可能性を調査した。
PASI 75反応者の割合に関する無作為化ファクタによって層化されたコクラン−マンテル−ヘンゼル検定およびフィッシャーの確率検定を使用して、主要項目解析結果の確実性を調査する。さらに、12週目(FT期間)におけるPASI反応のカテゴリ(<50%、50%−<75%、75%−<90%、90%)に属する被験者の割合ではなく頭数に基づき、ヨンキー−テラプストラ両側検定を使用して解析を行った。
12週目(FT期間)以前に本臨床試験から離脱した被験者に対し、離脱時から併用薬を服用しているか否かにかかわらず、予定されている12週目の来院時に復帰し、すべてのPSAI評価に記入するよう要請する。したがって、情報が得られる脱離に伴う潜在的偏りに対する主要項目分析結果の感度を評価する目的で、不明ではない12週目の値のすべてでその他の解析を実施する。不明な反応のインピュテーションに関する他の方法については、統計解析計画に略述する。
効能に関する二次評価項目
処置の効果およびFT無作為化で使用したファクタ(ベースラインにおけるPASIスコア、乾癬症の前処置、部位)をはじめとするランク付けデータに基づき、ANCOVAモデルを使用して主要二次評価項目(12週目(FT期間)に「解消」もしくは「ほぼ解消」のPGAランクを獲得した被験者の割合)を解析する。
処置の効果およびFT無作為化で使用したファクタ(ベースラインにおけるPASIスコア、乾癬症の前処置、部位)をはじめとするランク付けデータに基づき、ANCOVAモデルを使用してベースライン(臨床試験1日目)から12週目までの期間(FT期間)からPASIの改善率の平均値(%)を評価する。
処置の効果およびFT無作為化で使用したファクタ(ベースラインにおけるPASIスコア、乾癬症の前処置、部位)を含むロジスティック回帰モデルを使用して、ベースラインから12週目までの期間(FT期間)にPASIスコアが少なくとも90%改善した被験者の割合を解析する。データの希薄さにより解析の質が劣る場合には、代わりにフィッシャーの確率検定を実施する。
処置の効果およびFT無作為化で使用したファクタ(ベースラインにおけるPASIスコア、乾癬症の前処置、部位)をはじめとするランク付けデータに基づき、ANCOVAモデルを使用してベースライン(臨床試験1日目)から12週目までの期間(FT期間)における掻痒スケールの改善率の平均値(%)を評価する。
ウイルコクソンの順位和検定を使用して、ベースライン(臨床試験1日目)から12週目までの期間(FT期間)におけるDLQIクオリティオブライフの改善率の平均値(%)を評価する。
効能に関する三次評価項目
効能に関する三次評価項目を以下のように解析する。
平均値、中央値、標準偏差値、最小値および最大値をなどの概算要約統計量で、連続評価項目を要約する。主要評価項目および選択した二次評価項目のグラフ式表現図を作成する。データの分散次第で、パラメトリック法もしくは非パラメトリック法(ANCOVA、ウイルコクソンの順位和検定)を用いて、さらに統計解析を実施する。必要に応じて、正常度前提条件を満たすように、データを変換(例えば、ログ変換、ランク付き)する。
カテゴリ別評価項目は作表する(適宜来院により、各処置群における頻度と割合も表示する)。適宜、(無作為化層化変数向けに調整した)ロジスティック回帰法、CMHもしくはフィッシャーの確率検定を使用して、2値および多項評価項目を分析する。反応被験者の割合に関する正確な信頼区間(95%)を算出し、提示する。モデルの変数に関して、ロジスティック回帰モデリングによって生成されたオッズ比を調整する。
事象発生までの期間評価項目に関する生存曲線を、カプラン・マイヤー法を用いて見積もる。コックスの比例ハザードモデルを用いてモデリングを実施する。比例ハザードに関する前提条件を調査する。
OL期間中に取得した効能に関する評価項目の記述統計データを提供する。効能に関する評価項目と安全性に関する評価項目の詳細については、統計解析計画に記載する。
本発明による断続的処置の例をフローチャート形式で図解している。 医師がPASIを計算するために記入すべき表の詳細を示している。

Claims (9)

  1. 12週間から52週間までの断続的期間、ゆえに薬剤投与期間と非投与期間が交互に繰り返される期間中に、1回の注入につき100〜150mgの用量で1週間に3回の頻度で薬剤を皮下投与することを特徴とする、乾癬症の治療上の処置における薬剤を製造するための薬学的に許容され得る賦形剤を伴う組換えヒト腫瘍壊死因子結合タンパク質−1(r−hTBP−1)の使用。
  2. 前記薬剤が、少なくとも以前の別の処置に反応しなかった患者に対し投与される請求項1記載の使用。
  3. 前記薬剤が、最初の12週間の処置期間の終了時に「PASI 75の反応者」として定義された患者に対し投与される請求項1記載の使用。
  4. 処置期間および非処置期間がそれぞれ12週間である請求項1記載の使用。
  5. 処置の対象となる乾癬症が中等度〜重度の乾癬症であるかもしくは乾癬性関節炎を合併している請求項1記載の使用。
  6. r−hTBP−1がチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞などの形質転換哺乳動物細胞から産生される請求項1〜5のいずれか1項記載の使用。
  7. 前記r−hTBP−1が、1回の注入につき150mgの用量で投与される請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
  8. 前記r−hTBP−1が、1回の注入につき100mgの用量で投与される請求項1〜7のいずれか1項記載の使用。
  9. 12週間から52週間までの断続的期間、ゆえに薬剤投与期間と非投与期間が交互に繰り返される期間中に、1回の注入につき100〜150mgの用量で1週間に3回の頻度で薬剤を皮下投与することを特徴とする、有効量の組換えヒト腫瘍壊死因子結合タンパク質−1(r−hTBP−1)をこのような処置が必要な患者に投与すること含む乾癬症を治療的に処置する方法。
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