JP2008505163A - 2,2’位結合のアキラルまたはキラル基を有する1,1−ジホスフィノフェロセン - Google Patents

2,2’位結合のアキラルまたはキラル基を有する1,1−ジホスフィノフェロセン Download PDF

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Abstract

式I(式中、Rは、例えばメチルまたはフェニルを表す)で示されるフェロセンジホスフィンにおいて、対応する金属錯体の触媒特性は、多くの場合、CP環の一方または両方の構造変化により明確に影響を受け、選択した基材に関する触媒反応が最適化され顕著に改善され得る。この型のジホスフィン配位子は、新規な製造法を用いることにより利用し易くなる。

Description

本発明は、キラルα炭素原子を有する基、または1,1’位に結合したCH2基を介して結合したアキラルもしくはキラル基を有し、シクロペンタジエニル環中の更なる置換基を少なくとも1個含む2,2'−ジホスフィノフェロセン;それらを製造する方法;配位子としてこれらのジホスフィンを伴う遷移金属の金属錯体;および不斉または対称付加反応における均一触媒としての金属錯体の使用;ならびに、好ましくはプロキラル不飽和有機化合物の不斉水素化の方法に関する。
キラルジホスフィンは、不斉付加反応、特に水素化のための均一触媒として用いられる遷移金属錯体の貴重な配位子であることが立証された。ジホスフィンタイプのキラル配位子が、多数知られている。この立体選択性触媒の分野では、規定の基材との特定の反応で、どの配位子が良好な触媒活性および立体選択性を達成させることができるかを予測することは可能でないという、未解決の問題が残されている。この理由から現在では、適切な配位子は試行により同定されている。適切な配位子が見つかれば、配位子の構造および目的反応の特性に関する最適化を実行できることが、非常に有利になる。
マンジホス(mandyphos)(慣用名)タイプのフェロセンジホスフィン:
Figure 2008505163
(式中、Rは、例えばメチルまたはフェニルである)は、知られるようになって比較的長く、中でも、P. Knochel et alによりTetrahedron: Asymmetry 10(1999), pages 375-384に記載されている。そのような配位子の金属錯体では、特定の基材の場合、他のジホスフィン配位子との錯体よりも良好な水素化が得られる。これらの配位子の特性は、置換基:Rおよび/または第二級ホスフィノ基中の置換基の選択によってのみ、変えることができる。シクロペンタジエニル環の一方または両方の構造変化により更に最適化する可能性を利用することにより、配位子の使用の範囲を広げることが非常に望ましい。しかし、そのような構造の改変もそれらを実現する方法も、知られるようになっていない。
驚くべきことに、冒頭に挙げた型の配位子のシクロペンタジエニル環の一方もしくは両方に置換基を導入すること、および/または第二級アミノ基を変化させることが、多くの場合、対応する金属錯体の触媒特性に大きく影響を与え、触媒反応をより良好に最適化することができ、選択した基材を大きく改善し得ることが、ここに見出された。そのような新規なジホスフィン配位子が、新規な製造方法により得られ、規定の中間体を介してモジュール式(modular fashion)で製造し得ることも見出された。
本発明は、第一に、ラセミ体、立体異性体の混合物、または光学的に純粋な立体異性体の形態の式IまたはI':
Figure 2008505163
〔式中、
Rは、水素、あるいは非置換、またはF−、Cl−、OH−、C1〜C4−アルキル−もしくはC1〜C4−アルコキシ−置換の、C1〜C8−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、またはC7〜C11−アラルキルであり;
1およびX2は、それぞれ互いに独立して、第二級ホスフィノ基であり;
1は、アミノ基であるか;または
1は、−OR3基(式中、R3は、水素、あるいは非置換、またはF−、C1〜C4−アルキル−、C1〜C4−アルコキシ−、フェニル−もしくはN(C1〜C4−アルキル)2−置換の、C1〜C18−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C11−アラルキルまたはC1〜C18−アシルである)であり;
1およびR2は、それぞれ互いに独立して、ハロゲン原子、またはC原子、N原子、S原子、Si原子、P(O)基もしくはP(S)基を介してシクロペンタジエニル環に結合した置換基であり;
mは、1〜3であり、
nは、0または1〜3である〕で示される化合物を提供する。
立体異性体のうち、R,S,R',S'配置、R,R,R',R'配置、S,R,S',R配置、およびS,S,S',S'配置を有するもの、ならびにそれらの混合物が好ましい。
Figure 2008505163
1〜C8−アルキル基:Rは、直鎖状または分枝状であってもよく、アルキル基:R1は、好ましくはC1〜C4−アルキルである。これらは、例えば、メチル、エチル、n−またはi−プロピル、およびn−、i−またはt−ブチルにすることができ、また、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルの異性体にすることもできる。置換されたアルキルの例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ヒドロキシメチル、β−ヒドロキシエチル、メトキシメチル、エトキシメチルおよびβ−メトキシエチルである。アルキル基は、好ましくは直鎖状である。アルキル基:R1は、好ましくはメチルまたはエチルである。
シクロアルキル基:Rは、好ましくはC5〜C8−シクロアルキルである。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルにすることができ、例えば、F、C1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルコキシにより置換されていてもよい。好ましいシクロアルキル基は、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
6〜C10−アリール基:Rは、例えば、フェニルまたはナフチルにすることができる。アリール基:R1は、好ましくはフェニルであり、非置換でも、またはF、Cl、C1〜C4−アルキルもしくはC1〜C4−アルコキシにより置換されていてもよい。
アラルキル基:Rは、好ましくはフェニル−C1〜C4−アルキル、特に好ましくはベンジルまたはβ−フェニルエチルであり、フェニル基は、F、Cl、C1〜C4−アルキルまたはC1〜C4−アルコキシにより置換されることができる。
好ましい実施形態において、式Iで示される化合物中のRは、水素、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジルまたはフェニルである。
第二級ホスフィノ基:X1およびX2は、2個の同一または2個の異なる炭化水素基にすることができる。第二級ホスフィノ基:X1およびX2は、好ましくは、それぞれ同一の炭化水素基を2個含んでいる。更に、第二級ホスフィノ基:X1およびX2は、同一にまたは異なることができる。第二級ホスフィノ基:X1およびX2は、好ましくは同一である。
炭化水素基は、非置換であるか、もしくは置換されることができ、そして/またはO、SおよびNからなる群から選択されるヘテロ原子を含有することができる。それらは、炭素原子を1〜22個、好ましくは1〜18個、特に好ましくは1〜14個含有することができる。好ましいsec−ホスフィノ基は、直鎖状または分枝状C1〜C12−アルキル;非置換またはC1〜C6−アルキル−もしくはC1〜C6−アルコキシ−置換の、C5〜C12−シクロアルキルまたはC5〜C12−シクロアルキル−CH2−;フェニル、ナフチル、フリル、またはベンジル;あるいはハロゲン−(例えば、F−、Cl−またはBr−)、C1〜C6−アルキル−、C1〜C6−ハロアルキル−(例えばトリフルオロメチル−)、C1〜C6−アルコキシ−、C1〜C6−ハロアルコキシ−(例えばトリフルオロメトキシ−)、(C653Si−、(C1〜C12−アルキル)3Si−、sec−アミノ−または−CO2−C1〜C6−アルキル−(例えば−CO2CH3−)置換の、フェニルおよびベンジル、からなる群から選択される同一または異なる基を2個含む。
好ましくは炭素原子を1〜6個含む、P上のアルキル置換基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ならびにペンチルおよびヘキシルの異性体である。P上の非置換またはアルキル置換のシクロアルキル置換基の例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシルおよびジメチルシクロヘキシルである。P上のアルキル−、アルコキシ−、ハロアルキル−、ハロアルコキシ−およびハロゲン−置換の、フェニルおよびベンジル置換基の例は、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、ジフルオロフェニル、ジクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、メチルベンジル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビストリフルオロメチルフェニル、トリストリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、ビストリフルオロメトキシフェニル、および3,5−ジメチル−4−メトキシフェニルである。
好ましい第二級ホスフィノ基は、C1〜C6−アルキル、非置換のシクロペンチルもしくはシクロヘキシル、置換基としてC1〜C4−アルキルもしくはC1〜C4−アルコキシ基を1〜3個有するシクロペンチルもしくはシクロヘキシル、ベンジル、および特にフェニル(非置換であるか、またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、F、Cl、C1〜C4−フルオロアルキルもしくはC1〜C4−フルオロアルコキシ置換基1〜3個により置換されている)からなる群から選択される同一の基を含むものである。置換基:Fは、また、4または5回存在することもできる。
sec−ホスフィノ基は、好ましくは、式:−PR34(式中、R3およびR4は、それぞれ互いに独立して、炭素原子を1〜18個有し、非置換であるか、またはハロゲン、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−ハロアルキル、C1〜C6−アルコキシ、C1〜C6−ハロアルコキシ、(C1〜C4−アルキル)2アミノ、(C563Si−、(C1〜C12−アルキル)3Siもしくは−CO2−C1〜C6−アルキルで置換されており、そして/あるいはヘテロ原子:Oを含む炭化水素基である)に相当する。
3およびR4は、好ましくは、直鎖状もしくは分枝状C1〜C6−アルキル、非置換のシクロペンチルもしくはシクロヘキシル、置換基としてC1〜C4−アルキルもしくはC1〜C4−アルコキシ基を1〜3個含むシクロペンチルもしくはシクロヘキシル、フリル、ノルボルニル、アダマンチル、非置換のベンジル、置換基としてC1〜C4−アルキルもしくはC1〜C4−アルコキシ基を1〜3個含むベンジル、および特に非置換のフェニル、またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、−NH2、−N(C1〜C6−アルキル)2、OH、F、Cl、C1〜C4−フルオロアルキルもしくはC1〜C4−フルオロアルコキシ置換基1〜3個で置換されたフェニルからなる群から選択される同一の基である。
3およびR4は、特に好ましくは、C1〜C6−アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フリル、非置換のフェニル、ならびにC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、および/またはC1〜C4−フルオロアルキル基1〜3個で置換されたフェニルからなる群から選択される同一の基である。
第二級ホスフィノ基:X1およびX2は、非置換であるか、または−OH、C1〜C8−アルキル、C4〜C8−シクロアルキル、C1〜C6−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、フェニル、C1〜C4−アルキルフェニル、C1〜C4−アルコキシフェニル、ベンジル、C1〜C4−アルキルベンジル、C1〜C4−アルコキシベンジル、ベンジルオキシ、C1〜C4−アルキルベンジルオキシ、C1〜C4−アルコキシベンジルオキシ、もしくはC1〜C4−アルキリデンジオキシルにより一置換もしくは多置換された、環式sec−ホスフィノ基、例えば、式:
Figure 2008505163
で示されるものにすることができる。
該置換基は、キラル炭素原子を導入するために、α位の一方または両方でP原子に結合されることができる。α位の一方または両方の置換基は、好ましくは、C1〜C4−アルキルまたはベンジルであり、例えば、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、ベンジル、−CH2−O−C1〜C4−アルキル、または−CH2−O−C6〜C10−アリールである。
β、γ位の置換基は、例えば、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、ベンジルオキシ、−O−CH2−O−、−O−CH(C1〜C4−アルキル)−O−、−O−C(C1〜C4−アルキル)2−O−、および−O−CH(C6〜C10−アリール)−O−にすることができる。幾つかの例は、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、−O−CH(フェニル)−O−、−O−CH(メチル)−O−、および−O−C(メチル)2−O−である。
脂肪族5−もしくは6−員環、またはベンゼンは、上記式の基の中の隣接する炭素原子2個で縮合されることができる。
適切な他の公知の第二級ホスフィノ基は、環中に炭素原子を7個有する環式およびキラルホスホランのもの、例えば式:
Figure 2008505163
で示されるものであり、ここで、芳香族環は、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C2−アルキル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシ、C1〜C4−アルキリデンジオキシル、またはC1〜C4−アルキレンジオキシルにより置換されていてもよい(US2003/0073868 A1およびWO02/048161参照)。
置換の型および置換基の数に応じて、環式ホスフィノ基は、C−キラル、P−キラル、またはC−およびP−キラルにすることができる。
環式sec−ホスフィノ基は、例えば、式:
Figure 2008505163
(式中、基:R'およびR''は、それぞれC1〜C4−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、ベンジル、−CH2−O−C1〜C4−アルキルまたは−CH2−O−C6〜C10−アリールであり、R'およびR''は、同一であるかまたは異なる)で示されるものに相当する(可能なジアステレオマーの内の1種だけ図示した)。R'およびR''が、同じ炭素原子に結合している場合、それらが一緒になって、C4〜C5−アルキレンをなしていてもよい。
好ましい実施形態において、式IおよびI'で示される化合物中の基:X1およびX2は、好ましくは、−P(C1〜C6−アルキル)2、−P(C5〜C8−シクロアルキル)2、−P(C7〜C12−ビシクロアルキル)2、−P(o−フリル)2、−P(C652、−P[2−(C1〜C6−アルキル)C642、−P[3−(C1〜C6−アルキル)C642、−P[4−(C1〜C6−アルキル)C642、−P[2−(C1〜C6−アルコキシ)C642、−P[3−(C1〜C6−アルコキシ)C642、−P[4−(C1〜C6−アルコキシ)C642、−P[2−(トリフルオロメチル)C642、−P[3−(トリフルオロメチル)C642、−P[4−(トリフルオロメチル)C642、−P[3,5−ビス(トリフルオロメチル)C632、−P[3,5−ビス(C1〜C6−アルキル)2632、−P[3,5−ビス(C1〜C6−アルコキシ)2632、−P[3,4,5−トリス(C1〜C6−アルコキシ)2632、および−P[3,5−ビス(C1〜C6−アルキル)2−4−(C1〜C6−アルコキシ)C622からなる群から選択される、それぞれの場合の同一もしくは異なる非環式sec−ホスフィノ基、あるいは非置換であるか、またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C2−アルキル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシ、C1〜C4−アルキリデンジオキシル、非置換のメチレンジオキシル、もしくはフェニル置換のメチレンジオキシルにより一置換もしくは多置換された、
Figure 2008505163
からなる群から選択される環式ホスフィノ基である。
幾つかの具体的な例は、−P(CH32、−P(i−C372、−P(n−C492、−P(i−C492、−P(C6112、−P(ノルボルニル)2、−P(o−フリル)2、−P(C652、−P[2−(メチル)C642、−P[3−(メチル)C642、−P[4−(メチル)C642、−P[2−(メトキシ)C642、−P[3−(メトキシ)C642、−P[4−(メトキシ)C642、−P[3−(トリフルオロメチル)C642、−P[4−(トリフルオロメチル)C642、−P[3,5−ビス(トリフルオロメチル)C632、−P[3,5−ビス(メチル)C632、−P[3,5−ビス(メトキシ)C632、−P[3,4,5−トリ(メトキシ)C622、および−P[3,5−ビス(メチル)2−4−(メトキシ)C622、ならびに式:
Figure 2008505163
(式中、R'は、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、またはベンジルオキシメチルであり、R''は、R'と同じ意義を有する)で示される基である。
アミノ基:A1は、−NH2、−NHR5、または−NR56(式中、R5およびR6は、それぞれ互いに独立して、置換もしくは非置換の、脂肪族、脂環式もしくは芳香族炭化水素基であるか、またはR5およびR6が、N原子と一緒になって、N複素環を形成しており、該複素環は、O、SもしくはN(C1〜C4−アルキル)からなる群から選択される更なるヘテロ原子を含んでいてもよい)であってもよい。N−複素環は、好ましくは、3〜12員、より好ましくは3〜8員、特に好ましくは5〜8環員を有する。基:−NHR5または−NR56は、好ましくは、炭素原子を合計で2〜24個、より好ましくは2〜16個、特に好ましくは2〜12個含む。
該炭化水素基およびN−複素環は、例えば、ハロゲン(FまたはCl、特にF)、−CN、−NR0102、−C(O)−O−R03、−C(O)−NR0304、−O−(O)C−R04、−R01N−(O)C−R04(式中、R01およびR02は、それぞれ互いに独立して、水素、C1〜C4−アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルもしくはベンジルであるか、またはR01およびR02が、一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレンもしくは3−オキサペンタン−1,5−ジイルをなしており、R03は、水素、C1〜C8−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニル、またはベンジルであり、R04は、C1〜C18−アルキルであり、好ましくはC1〜C12−アルキル、C1〜C4−ハロアルキル、C1〜C4−ヒドロキシアルキル、C5〜C8−シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、C6〜C10−アリール(例えばフェニルまたはナフチル)またはC7〜C12−アラルキル(例えばベンジル)である)、C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルキルチオ−C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、C5〜C6−シクロアルコキシ、フェニル、ベンジル、フェノキシまたはベンジルオキシにより、一置換または多置換されることができ、例えば一置換〜三置換されることができ、好ましくは一置換または二置換されることができる。
アミノ基:A1は、式:−NHR5およびR56N−(式中、R5およびR6は、それぞれ互いに独立して、置換または非置換のC1〜C12−アルキル(好ましくはC1〜C6−アルキル)、C3〜C8−シクロアルキル(好ましくはC5〜C6−シクロアルキル)、C6〜C10−アリール(好ましくはフェニル)、およびC7〜C11−アラルキル(好ましくはベンジル)(いずれの置換基も先に記載したとおりのものである)であるか、またはR5およびR6が、N原子と一緒になって、3〜8員、好ましくは5〜8員N−複素環を形成しており、先に記載したとおり非置換であるか、または置換されていてもよい)に相当することができる。
好ましくは直鎖状である、アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルである。シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチルである。シクロアルキルの例は、特にシクロペンチルおよびシクロヘキシルである。sec−アミノが、N−複素環を形成する場合は、R5およびR6が、一緒になって、好ましくは、テトラメチレン、ペンタメチレン、3−オキサペンチレン、または3−(C1〜C4−アルキル)N−ペンチレンをなしている。
基:R5およびR6が、不斉炭素原子を含む場合は、これらは、N原子に対して、例えばγ位に位置し、好ましくはα位またはβ位に位置する。不斉炭素原子を形成するための好ましい置換基は、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシメチル、C1〜C4−アルコキシエチル、(C1〜C4−アルキル)2N−、(C1〜C4−アルキル)2N−メチル、および(C1〜C4−アルキル)2N−エチルである。
好ましい実施形態において、R5およびR6は、それぞれ、メチル、エチル、もしくはプロピルおよびブチルの異性体、フェニル、ベンジル、シクロヘキシルであるか、またはR5およびR6が、一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレン、または3−オキサペンチレンをなしており、非置換であるか、またはC1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシメチル、C1〜C4−アルコキシエチル、(C1〜C4−アルキル)2N−、(C1〜C4−アルキル)2N−メチル、および(C1〜C4−アルキル)2N−エチルにより置換されていてもよい。
アルキル基:R3は、C1〜C12−アルキル、好ましくはC1〜C6−アルキルにすることができる。シクロアルキル基:R3は、C5〜C6−シクロアルキルにすることができる。アリール基:R3は、好ましくはフェニルであり、アラルキル基:R3は、好ましくはベンジルである。アシル基:R3は、好ましくは炭素原子を1〜12個、特に好ましくは1〜8個含む。アシルは、好ましくは、カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、クロロ酢酸、ヒドロキシ酢酸、メトキシ酢酸または安息香酸から誘導される。
式Iで示される化合物の好ましい実施形態において、置換基:R1およびR2が、シクロペンタジエニル環上に、1回存在するか(mは1であり、nは0である)、またはそれぞれが1回(mおよびnがそれぞれ1である)、2回(mかnのいずれかが2である)もしくは3回(mは2であり、nは1である)存在する。置換基:R1およびR2の好ましい位置は、3、3'、5および5'位である。好ましい置換様式は、3位、3位と3'位、5位、ならびに5位と5'位である。m+nの合計は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜3である。
置換基:R1およびR2は、立ち代わって、例えば、ハロゲン(F、ClまたはBr、特にF)、−OH、−SH、−CH(O)、−CN、−NR0102、−C(O)−O−R03、−S(O)−O−R03、−S(O)2−O−R03、−P(OR032、−P(O)(OR032、−C(O)−NR0102、−S(O)−NR0102、−S(O)2−NR0102、−O−(O)C−R04、−R01N−(O)C−R04、−R01N−S(O)−R04、−R01N−S(O)2−R04(式中、R01およびR02は、それぞれ互いに独立して、水素、C1〜C4−アルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジルであるか、またはR01およびR02が、一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレンまたは3−オキサペンタン−1,5−ジイルをなしており、R03は、水素、C1〜C8−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニル、またはベンジルであり、R04は、C1〜C18−アルキルであり、好ましくはC1〜C12−アルキル、C1〜C4−ハロアルキル、C1〜C4−ヒドロキシアルキル、C5〜C8−シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、C6〜C10−アリール(例えばフェニルまたはナフチル)またはC7〜C12−アラルキル(例えばベンジル)である)、C1〜C4−アルキル,C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルキルチオ、C5〜C6−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェノキシまたはベンジルオキシにより一置換または多置換されていてもよく、例えば一置換〜三置換されていてもよく、好ましくは一置換または二置換されていてもよい。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えばC1〜C12−アルキル、好ましくはC1〜C8−アルキル、特に好ましくはC1〜C4−アルキルにすることができる。例は、メチル、エチル、n−またはi−プロピル、n−、i−またはt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、およびドデシルである。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えばC5〜C8−シクロアルキル、好ましくはC5〜C6−シクロアルキルにすることができる。例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルである。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えばC5〜C8−シクロアルキルアルキル、好ましくはC5〜C6−シクロアルキルアルキルにすることができる。例は、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、およびシクロオクチルメチルである。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えばC6〜C18−アリール、好ましくはC6〜C10−アリールにすることができる。例は、フェニルおよびナフチルである。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えばC7〜C12−アラルキル(例えば、ベンジルまたは1−フェニルエタ−2−イル)にすることができる。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えばトリ(C1〜C4−アルキル)Siまたはトリフェニルシリルにすることができる。トリアルキルシリルの例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−n−プロピルシリル、トリ−n−ブチルシリルおよびジメチル−t−ブチルシリルである。
置換基:R1およびR2は、例えばハロゲンにすることができる。例は、F、ClおよびBrである。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えば、式:−SR05、−S(O)R05、および−S(O)205(式中、R05は、C1〜C12−アルキル、好ましくはC1〜C8−アルキル、特に好ましくはC1〜C4−アルキル;C5〜C8−シクロアルキル、好ましくはC5〜C6−シクロアルキル;C6〜C18−アリール、好ましくはC6〜C10−アリール;またはC7〜C12−アラルキルである)で示されるチオ基、スルホキシド基、またはスルホン基にすることができる。これらの炭化水素基の例は、先に列挙した。
置換基:R1およびR2は、例えば、−CH(O)、−C(O)−C1〜C4−アルキル、または−C(O)−C6〜C10−アリールにすることができる。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えば、−CO203または−C(O)−NR0102基(式中、R01、R02およびR03は、好適さを含む、先に示した意義を有する)にすることができる。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えば、−S(O)−O−R03、−S(O)2−O−R03、−S(O)−NR0102、および−S(O)2−O−NR01032基(式中、R01、R02およびR03は、好適さを含む、先に示した意義を有する)にすることができる。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えば、−P(OR032または−P(O)(OR032基(式中、R03は、好適さを含む、先に示した意義を有する)にすることができる。
置換または非置換の置換基:R1およびR2は、例えば、−P(O)(R032または−P(S)(OR032基(式中、R03は、好適さを含む、先に示した意義を有する)にすることができる。
置換基:R1およびR2の好ましい群において、これらは、C1〜C4−アルキル、置換または非置換のフェニル、トリ(C1〜C4−アルキル)Si、トリフェニルシリル、ハロゲン(特に、F、ClおよびBr)、−SR06、−CH2OH、−CHR06OH、−CR06R'06OH、−CH2O−R06、−CH(O)、−CO2H、−CO206(式中、R06は、炭素原子を1〜10個有する炭化水素基である)、および−P(O)(R032(式中、R03は、先に示した意義を有する)から選択される。R1およびR2は、特に好ましくは、C1〜C4−アルキル(特にメチル)、およびトリ(C1〜C4−アルキル)Si(特にトリメチルシリル)である。
置換または非置換の置換基:R1およびR2の例は、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、フェニル、ベンジル、トリメチルシリル、F、Cl、Br、メチルチオ、メチルスルホニル、メチルスルホキシル、フェニルチオ、フェニルスルホニル、フェニルスルホキシル、−CH(O)、−C(O)OH、−C(O)−OCH3、−C(O)−OC25、−C(O)−NH2、−C(O)−NHCH3、−C(O)−N(CH32、−SO3H、−S(O)−OCH3、−S(O)−OC25、−S(O)2−OCH3、−S(O)2−OC25、−S(O)−NH2、−S(O)−NHCH3、−S(O)−N(CH32、−S(O)−NH2、−S(O)2−NHCH3、−S(O)2−N(CH32、−P(OH)2、−PO(OH)2、−P(OCH32、−P(OC252、−PO(OCH32、−PO(OC252、トリフルオロメチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘキシルメチル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、ヒドロキシメチル、β−ヒドロキシエチル、γ−ヒドロキシプロピル、−CH2NH2、−CH2N(CH32、−CH2CH2NH2、−CH2CH2N(CH32、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、HS−CH2−、HS−CH2CH2−、CH3S−CH2−、CH3S−CH2CH2−、−CH2−C(O)OH、−CH2CH2−C(O)OH、−CH2−C(O)OCH3、−CH2CH2−C(O)OCH3、−CH2−C(O)NH2、−CH2CH2−C(O)NH2、−CH2−C(O)−N(CH32、−CH2CH2−C(O)N(CH32、−CH2−SO3H、−CH2CH2−SO3H、−CH2−SO3CH3、−CH2CH2−SO3CH3、−CH2−SO2NH2、−CH2−SO2N(CH32、−CH2−PO32、−CH2CH2−PO32、−CH2−PO(OCH3)、−CH2CH2−PO(OCH32、−C64−C(O)OH、−C64−C(O)OCH3、−C64−S(O)2OH、−C64−S(O)2OCH3、−CH2−O−C(O)CH3、−CH2CH2−O−C(O)CH3、−CH2−NH−C(O)CH3、−CH2CH2−NH−C(O)CH3、−CH2−O−S(O)2CH3、−CH2CH2−O−S(O)2CH3、−CH2−NH−S(O)2CH3、−CH2CH2−NH−S(O)2CH3、−P(O)(C1〜C8−アルキル)2、−P(S)(C1〜C8−アルキル)2、−P(O)(C6〜C10−アリール)2、−P(S)(C6〜C10−アリール)2、−C(O)−C1〜C8−アルキル、および−C(O)−C6〜C10−アリールである。
式Iで示される化合物は、置換基を導入する位置に応じて、様々な方法で製造することができる。基:X1およびX2に対するシクロペンタジエニル(以後短縮のためにcpと呼称する)中のオルト位は、3位または3'位である。A1CHR−基に対するcp中のオルト位は、5位または5'位である。4位は、3位と5位の間に位置する。
唯一の置換基をcp環の3位に導入するつもりの場合、場合により市販される公知の1,1'−ビス(1−sec−アミノエタ−1−イル)−フェロセンから製造を出発することができ、プロセス工程a)において、それらをアルキルリチウムのような金属化試薬により金属化し、次に金属を臭素に置換する。その後、プロセス工程b)において、Liアミドにより臭素に対するオルト位を再度、選択的にリチウム化することができ、次にプロセス工程c)において、適切な親電子性物質との反応により所望の置換基を導入することができる。最後の反応工程d)において、最初に2,2'位の臭素原子を金属化し(例えばアルキルリチウムにより)、次に、X1−ハロゲン化物と反応させて第二級ホスフィノ基を導入する。
最初のプロセス工程のようなフェロセンの金属化は、公知の反応であり、例えば、T. Hayashi et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 53(1980), pages 1138 to 1151、またはJonathan Clayden Organolithiums: Selectivity for Synthesis (Tetrahedron Organic Chemistry Series), Pergamon Press (2002)に記載されている。アルキルリチウム中のアルキルは、例えば、炭素原子を1〜4個含有することができる。メチルリチウムおよびブチルリチウムがよく用いられる。マグネシウムGrinard化合物は、好ましくは式(C1〜C4−アルキル)MgX0(式中、X0は、Cl、BrまたはIである)で示される化合物である。
反応は、有利には低温で、例えば20〜−100℃で、好ましくは0〜−80℃で実施する。反応時間は、約2〜20時間である。反応は、有利には不活性保護ガス、例えば窒素または希ガス(アルゴンなど)の下で実施する。
反応は、有利には不活性溶媒の存在下で実施する。そのような溶媒は、単独で、または少なくとも2種の溶媒の混合物として用いることができる。溶媒の例は、脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素、ならびに開鎖または環状エーテルである。具体的な例は、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルもしくはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジオキサンである。
プロセス工程a)におけるハロゲン化は、一般に、金属化した後に、同じ反応混合物中で、金属化と同様の反応条件を保持しながら直接実施する。好ましいのは、ハロゲン化試薬1〜1.4当量を用いることである。ハロゲン化用試薬は、例えば、Cl、BrもしくはIを導入するための、ハロゲン(Cl2、Br2、I2)、ハロゲン間化合物(Cl−Br、Cl−I)、および脂肪族過ハロゲン化炭化水素(Cl3C−CClまたはBrF2C−CF2Br);またはフッ素を導入するためのN−フルオロビス(フェニル)スルホニルアミンである。
プロセス工程a)における金属化およびハロゲン化は、位置選択的に進行し、および中間体は、高収率で得られる。キラル基:A1CHR−が存在するため、反応は、また、位置選択性である。更に、必要に応じて、この段階で、例えばキラルカラムを用いたクロマトグラフィーにより、光学異性体を分離することもできる。
プロセス工程b)において、ハロゲン原子に対してオルト位の酸性H原子を置換するのに十分な金属アミドを用いて、同じシクロペンタジエニル環内のハロゲン原子に対してオルト位で再度、フェロセン骨格を位置選択的に金属化する。フェロセンのシクロペンタジエニル環内のCH基あたりに少なくとも1〜5当量の脂肪族Li sec−アミド、またはCl−、Br−もしくはIMG−sec−アミドを用いる。
脂肪族Li sec−アミドまたはハロゲン−Mg−sec−アミドは、炭素原子を2〜18個、好ましくは2〜12個、特に好ましくは1〜10個含むsec−アミドから誘導することができる。N原子に結合した脂肪族基は、アルキル、シクロアルキルもしくはシクロアルキルアルキルにすることができるか、または窒素原子が、脂肪族基と一緒になって、炭素原子を4〜12個、好ましくは5〜7個有するN−複素環を形成することができる。N原子に結合した基の例は、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ならびにシクロヘキシルメチルである。N−複素環の例は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピペラジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、およびアザノルボルナンである。好ましい実施形態において、アミドは、式:Li−N(C3〜C4−アルキル)2またはX2Mg−N(C3〜C4−アルキル)2(式中、アルキルは、特にi−プロピルである)に相当する。別の好ましい実施形態において、アミドは、Li(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)に相当する。
プロセス工程c)において、親電子性化合物の基は、金属(M)の置換により導入される。芳香族化合物内の反応する=CM基あたり1〜1.2当量の反応性親電子性化合物を用いることが可能である。しかし、また、2.5当量までの相当の過剰を用いることもできる。
反応は、有利には、低温で、例えば20〜−100℃で、好ましくは0〜−80℃で実施する。反応は、有利には不活性保護ガス、例えば希ガス(アルゴンなど)または窒素の下で実施する。反応性親電子性化合物を添加した後に、反応混合物を、有利には温めさせて室温にさせるか、または例えば100℃まで、好ましくは50℃までの高温に加熱し、これらの条件下で数時間撹拌して反応を完了させる。
反応は、有利には不活性溶媒の存在下で実施する。そのような溶媒は、単独で、または少なくとも2種の溶媒の混合物として用いることができる。溶媒の例は、脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素、ならびに開鎖または環状エーテルである。具体的な例は、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、およびジオキサンである。
基:R1およびR2を形成させる反応性親電子性化合物の例は、下記である。
F、Cl、BrもしくはIを導入するための、ハロゲン(Cl2、Br2、I2)、ハロゲン間化合物(Cl−Br、Cl−I)、および脂肪族過ハロゲン化炭化水素(Cl3C−CClまたはBrF2C−CF2Br、N−フルオロビス(フェニル)スルホニルアミン);
カルボキシル基:−CO2Hを導入するためのCO2
カルボキシラート基を導入するためのクロロカルボナートもしくはブロモカルボナート[Cl−C(O)−OR](式中、Rは、炭素原子を1〜18個、好ましくは1〜12個、特に好ましくは1〜8個有し、不活性置換基(例えば、sec−ホスフィノジ(C1〜C8−アルキル)2N−、−C(O)−OC1〜C8−アルキル、または−OC1〜C8−アルキル)により置換された炭化水素基(アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル)である)(金属もしくは金属基の方向により反応性の−CHOのような基が、式Iで示される化合物中に同時に存在する場合、またはClとBr、ClとI、もしくはClとBrが、好ましくは芳香族炭化水素基に同時に結合している場合には、Cl、BrもしくはIのような反応性基も、不活性置換基に包含される);
−CH(O)基を導入するためのジ(C1〜C4−アルキル)ホルムアミド、例えばジメチルホルムアミドまたはジエチルホルムアミド;
−C(O)−R基を導入するためのジ(C1〜C4−アルキル)カルボキサミド;
−CH(O)−R基を導入するための、非置換であるか、もしくは基:R中のsec−ホスフィノにより置換されていてもよいアルデヒド、または−CH2OH基を導入するためのパラホルムアルデヒド;
−C(OH)RRa基を導入するための、非置換であるか、または基:RもしくはRa中のsec−ホスフィノにより置換されていてもよい、対称もしくは非対称ケトン(式中、Raは、独立して、Rの意義の内の一つを有するか、またはRおよびRaが、一緒になって、3〜8環員を有する脂環を形成している);
炭素原子がHまたはRにより置換されていてもよい−C−C−OH基を導入するためのエポキシド;
式:(CH32+=CH2xlで示されるEschenmoser塩;
−CH(R)−NH−Ra基を導入するためのイミン:R−CH=N−Ra(式中、Raは、独立して、Rの意義の内の一つを有するか、またはRおよびRaが、一緒になって、3〜8環員を有する脂環を形成しており、RおよびRaは、同時に水素にはならない);
−C(R)(Rb)−NH−Ra基を導入するためのイミン:R−C(Rb)=N−Ra(式中、Raは、独立して、Rの意義の内の一つを有するか、またはRおよびRaが、一緒になって、3〜8環員を有する脂環を形成しており、Rbは、独立して、Rの意義の一つを有するか、またはRおよびRbが、一緒になって、3〜8員を有する脂環を形成している);
炭化水素基およびヘテロ炭化水素基(例えば、C1〜C18−アルキル、C6〜C14−アリール、C7〜C14−アラルキル)を導入するための炭化水素−ハロゲン化物、およびヘテロ炭化水素−ハロゲン化物、特に塩化物、臭化物およびヨウ化物;
炭化水素およびヘテロ炭化水素基(例えば、C1〜C18−アルキル、C6〜C14−アリール、C7〜C14−アラルキル)を導入するための、異なる反応性のハロゲン原子(特に塩素と臭素またはヨウ素との組合わせ、臭素とヨウ素または臭素原子2個またはヨウ素原子2個との組合わせ)を有するハロ炭化水素およびハロへテロ炭化水素、;
アルケニル基、例えばアリルまたはビニルを導入するためのハロゲン化アルケニル、特に、塩化、臭化およびヨウ化アルケニル;
トリ(C1〜C8−アルキル)Si基を導入するためのハロゲン化(塩化、臭化)トリ(C1〜C8−アルキル)シリル、トリフェニルシリル基を導入するためのハロゲン化トリフェニルシリル;
(CH3O)2(O)P−、(C25O)(O)P−、(シクロヘキシルO)2(O)P−、(エチレンジオキシル)(O)P−のようなホスホン酸エステル基を導入するための、リン酸エステル一ハロゲン化物(塩化物、臭化物);
(CH3O)2(S)P−、(C25O)2(S)P−、(シクロヘキシルO)2(S)P−、(エチレンジオキシル)(S)P−のようなトリホスホン酸エステル基を導入するための、チオリン酸エステル一ハロゲン化物(塩化物、臭化物);
−SR基を導入するための有機ジスルフィド:R−SS−R;ならびに
−SH基を導入するための硫黄(S8)。
先に記載した方法において、可能な立体異性体の内の一つだけ構造式として示す。当業者ならば、その他の立体異性体が分かるものと思う。
cp環の3および3'位に置換基を導入するために、場合により市販されている公知のマンジホス配位子から出発して、例えば、
a)有機過酸化物と反応させて、好ましくは式II:
Figure 2008505163
(式中、R、R3、およびR4は、先に挙げた意義を有し、R'3およびR'4は、独立して、R3およびR4の意義の内の一つを有し、A1は、sec−アミノである)で示される、対応するホスフィンオキシドを形成させ、
b)式IIで示される化合物を好ましくはリチウム化し、その後、親電子性物質と反応させて、3および3'位に基:R1およびR2を導入し、式III:
Figure 2008505163
で示される化合物を形成させ、
c)式IIIで示される化合物を還元して、式Iで示される化合物を形成することが可能である。導入した置換基は、還元条件下で不活性でなければならない。
プロセス工程a)における酸化は、有利には溶媒(例えば上述のもの)中で、約−30〜50℃の温度で実施する。プロセス工程b)における反応条件は、上記条件と類似している。プロセス工程c)における還元は、触媒を用いて、または化学的水素化試薬(例えば、水素化金属[Li(AlH4)]、アルキルボラン、アルコキシボラン、アルキルシラン、アルコキシシラン、アルキルスタンナン、またはアルコキシスタンナン)を、適宜、金属アルコキシド(チタニウムテトラアルコキシド)のようなLewis酸と共に用いて実行することができる。反応は、有利には水素化試薬の反応性に応じて、溶媒の存在下、0〜150℃の温度で実施する。
式Iで示される化合物中のRが水素または置換基であり、金属化において金属を5および5'位に向けるO−またはN−含有置換基が更に基:A1中に存在すれば、5および5'位の置換は、特に良好に進む。
本発明は、式IV:
Figure 2008505163
で示される化合物を、5位のみ、または5位と5'位、のいずれかで1当量または少なくとも2当量の金属化試薬(好ましくはアルキルリチウム)を用いて金属化し、その後、親電子性物質と反応させて基:R1におよびR2を導入することを特徴とする、式Ia:
Figure 2008505163
(式中、R、X1、X2、R1およびR2は、先に示した意義を有するが、Rが水素でなければ、R2が水素ではあり、Rが水素であれば、A2が不斉炭素原子を少なくとも1個有する開鎖もしくは環式sec−アミノ基であり、またはRが水素でなければA2はジ(C1〜C4−アルキル)アミノもしくはC1〜C4−アルコキシにより置換された開鎖もしくは環式アキラルもしくはキラルsec−アミノ基である)で示される化合物を製造する方法を提供する。
式IVで示される化合物は、第一に、本発明の方法の貴重な中間体であり、第二に、遷移金属の均一触媒用の貴重な配位子である。式IVにおいて、Rが、水素、あるいは非置換、またはF−、Cl−、OH−、C1〜C4−アルキル−もしくはC1〜C4−アルコキシ−置換の、C1〜C8−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、またはC7〜C11−アラルキルであり;A2が、不斉炭素原子を少なくとも1個有する開鎖または環式sec−アミノである化合物も、本発明により提供される。
プロセス条件は、先に記載しており、実施例に示される。Rが水素であれば、工程a)における金属化は段階的に実施し得るので、一置換および二置換の化合物だけでなく、異なる置換基を有する化合物も、このプロセスにより製造することができる。
開鎖または環式sec−アミノ基:A2は、式:R56N−(式中、R5およびR6は、それぞれ互いに独立して、C1〜C12−アルキル(好ましくはC1〜C6−アルキル)、C3〜C8−シクロアルキル(好ましくはC5〜C6−シクロアルキル)であるか、またはN原子と一緒になって、3〜8員、好ましくは5〜8員N−複素環を形成しており、R5およびR6の内の少なくとも一方および複素環基は、O−またはN−含有置換基を含んでいてもよい)に相当することができる。
好ましくは直鎖状である、アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルである。シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチルである。シクロアルキルの例は、特にシクロペンチルおよびシクロヘキシルである。sec−アミノ基が、N−複素環を形成する場合には、R5およびR6が、一緒になって、好ましくは、テトラメチレン、ペンタメチレン、3−オキサペンチレン、または3−(C1〜C4−アルキル)N−ペンチレンをなしている。適切な置換基は、例えば、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシメチル、C1〜C4−アルコキシエチル、(C1〜C4−アルキル)2N−、(C1〜C4−アルキル)2N−メチル、および(C1〜C4−アルキル)2N−エチルである。置換基は、例えば、sec−アミノ基のN原子に対して、例えばγ位に、好ましくはα位またはβ位に位置する。R5およびR6は、また、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニルまたはベンジルにより置換されることもできる。
好ましい実施形態において、R5およびR6は、それぞれ、メチル、エチル、シクロヘキシルであるか、またはR5およびR6が、一緒になって、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシメチル、C1〜C4−アルコキシエチル、(C1〜C4−アルキル)2N−、(C1〜C4−アルキル)2N−メチル、および(C1〜C4−アルキル)2N−エチルにより置換され、所望なら更に、C1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニルまたはベンジルにより置換された、テトラメチレン、ペンタメチレンもしくは3−オキサペンチレンをなしている。
特に好ましい例は、式:
Figure 2008505163
(式中、Sは、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシメチル、C1〜C4−アルコキシエチル、(C1〜C4−アルキル)2N−、(C1〜C4−アルキル)2N−メチル、または(C1〜C4−アルキル)2N−エチルである)で示されるものである。
式IVで示される化合物は、式V:
Figure 2008505163
で示される化合物を金属化し、その後、それらをハロゲン化sec−ホスフィンと反応させることにより、式Vで示される化合物から簡便な手法で得ることができる。式Vで示される化合物は、対応するアセトキシもしくはアミン化合物、またはそれらの塩を、アミン:A2Hで置換することにより得ることができる。
上記プロセスにより得られるジアステレオマーとは異なる、式Ib:
Figure 2008505163
で示されるジアステレオマーは、その反応順序の変形、つまり、式Vで示される金属化(リチウム化)化合物を最初に親電子性物質と反応させて基:R1およびR2を導入し、その後、再度、金属化(リチウム化)し、その後、ハロゲン化sec−ホスフィンと反応させることにより製造することができる。
同様に、3,3',5,5'位が置換された、式Iで示される化合物は、式Vで示される化合物から、
a)式Vで示される化合物を金属化(リチウム化)し、その後、それらをハロゲン化して、式VI:
Figure 2008505163
(式中、Halは、Cl、BrまたはIであり、好ましくはBrである)で示される化合物を形成させ、
b)第二級リチウムアミドを用いて式VIで示される化合物を金属化し、その後、それらを親電子性物質と反応させて基:R1およびR2を誘導し、式VII:
Figure 2008505163
で示される化合物を形成させ、
c)式VIIで示される化合物を金属化(リチウム化)し、その後、それらをハロゲン化sec−ホスフィンと反応させて、式VIII:
Figure 2008505163
で示される化合物を形成させ、
式VIIIで示される化合物を金属化(リチウム化)し、その後、それらを親電子性物質と反応させて、基:R1およびR2を誘導して、式IX:
Figure 2008505163
(式中、2個の基:R1および2個の基:R2は、同一のまたは異なる基になることができる)
で示される化合物を形成させることにより、式Vで示される化合物から得ることができる。
4および4'位で置換される式Iで示される化合物は、式IVで示される化合物から、
a)式IVで示される化合物を金属化(リチウム化)し、その後それらをハロゲン化し、好ましくはそれらを臭素化して(式中、Halは、Brである)、式X:
Figure 2008505163
(式中、Halは、Cl、BrまたはIである)で示される化合物を形成させ、
b)第二級リチウムアミドを用いて式Xで示される化合物をリチウム化し、その後それらを親電子性物質と反応させて基:R1およびR2を誘導し、式XI:
Figure 2008505163
(式中、2個の基:R1および2個の基:R2は、同一のまたは異なる基にすることができる)で示される化合物を形成させ、
c)所望なら、アルキルリチウムと反応させることにより、式XIで示される化合物中のハロゲン原子をリチウムに置換し、その後、順次、水での加水分解によりHalを水素に置換するか、またはそれらを親電子性物質と反応させて、基:R1およびR2を誘導する
ことにより得ることができる。
式Iで示される新規な化合物中の第二級アミノ基:A1(A1は、また、A2と同じ意義を有することもできる)は、例えば、無水酢酸を用いた公知の手法で基:A1をアセトキシに置換することにより、更に修飾することができる。アセトキシ基は、加水分解してヒドロキシル基を形成させるか、または所望のアルコール:R3OHもしくはアミンと反応させることにより置換することができる。ヒドロキシル化合物は、また、エステル化またはエーテル化することもできる。そのようなプロセスは、文献に記載されている(例えば、T. Hayashi et al., Bull. Chem. Soc. Jpn. 53 (1980), pages 1138〜1151参照)。
本発明の金属錯体は、反応条件下で活性化し得て、プロキラル不飽和有機化合物上での不斉付加反応に用い得る、均一触媒または触媒前駆体である(E. Jacobsen, A. Pfaltz, H. Yamamoto (Eds.), Comprehensive Asymmetric Catalysis I to III, Springer Verlag, Berlin, 1999,およびB. Cornils et al., Applied Homogeneous Catalysis with Organometallic Compounds, Volume 1,Second Edition, Wiley VCH-Verlag (2002)参照)。
式I、I'およびIVで示される新規な化合物は、TM8金属の群から、特にRu、RhおよびIrからなる群から選択される金属の錯体のための配位子であり、不斉合成、例えばプロキラル不飽和有機化合物の不斉水素化のための優れた触媒または触媒前駆体である。プロキラル不飽和有機化合物が用いられれば、有機化合物の合成において非常に過剰の光学異性体を誘導することができ、短い反応時間で高度の化学的変換を実現することができる。実現され得る鏡像選択性および触媒活性は、優れており、不斉水素化においては、冒頭に挙げた公知の「Kagan配位子」を用いた場合よりもかなり高い。更に、そのような配位子は、また、他の不斉付加または環化反応において用いることもできる。
本発明は更に、配位子として式I、I'またはIVで示される化合物の内の1種とTM8金属の群から選択される金属との錯体を提供する。
可能な金属は、例えば、Cu、Ag、Au、Ni、Co、Rh、Pd、Ir、RuおよびPtである。好ましい金属は、ロジウムおよびイリジウム、ならびにまたルテニウム、白金およびパラジウムである。
特に好ましい金属は、ルテニウム、ロジウムおよびイリジウムである。
該金属錯体は、金属原子の酸化数および配位数に応じて、更なる配位子および/または陰イオンを含むことができる。それらは、また、陽イオン性金属錯体にすることもできる。そのような類似の金属錯体およびそれらの製法は、文献に広範に記載されている。
該金属錯体は、例えば、一般式XIIおよびXIII:
Figure 2008505163
(式中、
3は、式I、I'またはIVで示される化合物の内の1種であり;
Lは、同一のもしくは異なる単座陰イオン性もしくは非イオン性配位子を表すか、またはLは、同一のもしくは異なる二座陰イオン性もしくは非イオン性配位子を表し;
Lが単座配位子であればrは2、3もしくは4であり、またはLが二座配位子であればnは1もしくは2であり;
zは、1、2または3であり;
Meは、Rh、Ir、およびRuからなる群から選択される金属であり、酸化状態:0、1、2、3または4を有し;
-は、オキソ酸または錯酸の陰イオンであり;
該陰イオン性配位子は、該金属の酸化状態:1、2、3または4の電荷と均衡を保っている)に相当する。
先に記載した好適さおよび実施形態は、式IおよびI'で示される化合物に適用される。
単座非イオン性配位子は、例えば、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン)、溶媒和溶媒(solvating solvents)(ニトリル、直鎖状または環状エーテル、非アルキル化またはN−アルキル化アミドおよびラクタム、アミン、ホスフィン、アルコール、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル)、一酸化窒素、および一酸化炭素からなる群から選択することができる。
適切な多座陰イオン性配位子は、例えば、アリル(アリル、2−メタリル)または脱プロトン化1,3−ジケト化合物、例えばアセチルアセトナートおよびシクロペンタジエニルである。
単座陰イオン性配位子は、例えば、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、擬ハロゲン化物(シアニド、シアナート、イソシアナート)、ならびにカルボン酸、スルホン酸およびホスホン酸の陰イオン(カルボナート、ホルマート、アセタート、プロピオナート、メチルスルホナート、トリフルオロメチルスルホナート、フェニルスルホナート、トシラート)からなる群から選択することができる。
二座非イオン性配位子は、例えば、直鎖状または環状ジオレフィン(例えば、ヘキサジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン)、ジニトリル(マロノニトリル)、非アルキル化またはN−アルキル化カルボン酸ジアミド、ジアミン、ジホスフィン、ジオール、ジカルボン酸ジエステルおよびジスルホン酸ジエステルからなる群から選択することができる。
二座陰イオン性配位子は、例えば、ジカルボン酸、ジスルホン酸およびジホスホン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、メチレンジスルホン酸およびメチレンジホスホン酸)からなる群から選択することができる。
好ましい金属錯体としては、E-が、−Cl-、−Br-、−I-、ClO4 -、CF3SO3 -、CH3SO3 -、HSO4 -、(CF3SO22-、(CF3SO23-、テトラアリールボラート(例えば、B(フェニル)4 -、B[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]4 -、B[3,5−ジメチルフェニル]4 -、B(C654 -およびB(4−メチルフェニル)4 -など)、BF4 -、PF6 -、SbCl6 -、AsF6 -またはSbF6 -であるものも挙げられる。
水素化に特に適した特に好ましい金属錯体は、式XIVおよびXV:
Figure 2008505163
(式中、
3は、式I、I'またはIVで示される化合物の内の1種であり;
Me2は、ロジウムまたはイリジウムであり;
1は、2種のオレフィンまたは1種のジエンを表し;
Zは、Cl、BrまたはIであり;
1 -は、オキソ酸または錯酸の陰イオンである)に相当する。
先に記載した実施形態および好適さは、式IおよびI'で示される化合物に適用される。
オレフィン:Y1は、C2〜C12−オレフィン、好ましくはC2〜C6−オレフィン、特に好ましくはC2〜C4−オレフィンにすることができる。例は、プロペン、1−ブテンであり、特にエチレンである。ジエンは、炭素原子を5〜12個、好ましくは5〜8個含有することができ、開鎖ジエン、環式ジエン、または多環式ジエンにすることができる。ジエンのオレフィン基2個は、好ましくは、CH2基1または2個によって結合している。例は、1,4−ペンタジエン、シクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−または1,5−ヘプタジエン、1,4−または1,5−シクロヘプタジエン、1,4−または1,5−オクタジエン、1,4−または1,5−シクロオクタジエン、およびノルボルナジエンである。Yは、好ましくはエチレン2分子、または1,5−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエンもしくはノルボルナジエンを表す。
式IXにおいて、Zは、好ましくはClまたはBrである。E1の例は、BF4 -、ClO4 -、CF3SO3 -、CH3SO3 -、HSO4 -、B(フェニル)4 -、B[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]4 -、PF6 -、SbCl6 -、AsF6 -、またはSbF6 -である。
本発明の金属錯体は、文献で知られる方法により製造する(US−A−5,371,256、US−A−5,446,844、US−A−5,583,241、E. Jacobsen, A. Pfaltz, H. Yamamoto(Eds), Comprehensive Asymmetric Catalysis I to III, Springer Verlag, Berlin, 1999、および本明細書に引用された参考文献を参照)。
ルテニウム錯体は、例えば、式XVI:
Figure 2008505163
(式中、Zは、Cl、BrまたはIであり;A3は、式I、I'またはIVで示される化合物であり;Lは、同一のまたは異なる配位子を表し;E-は、オキソ酸、鉱酸または錯酸の陰イオンであり;Sは、配位子として配位可能な溶媒であり;aは、1〜3であり;bは、0〜4であり;cは、0〜6であり;dは、1〜3であり;eは、0〜4であり;fは、1〜3であり;gは、1〜4であり;hは、0〜6であり;kは、1〜4であり;錯体は全体として無電荷である)に相当することができる。
Z、A3、LおよびE-に関する上記好適さは、式VIIIで示される化合物に適用される。配位子:Lは、また、アレーンまたはヘテロアレーン(例えば、ベンゼン、ナフタレン、メチルベンゼン、キシレン、クメン、1,3,5−メシチレン、ピリジン、ビフェニル、ピロール、ベンズイミダゾール、またはシクロペンタジエニル)、およびLewis酸として機能する金属塩(例えば、ZnCl2、AlCl3、TiCl4およびSnCl4)にすることができる。溶媒の配位子は、例えば、アルコール、アミン、酸アミド、ラクタムおよびスルホンにすることができる。
この型の錯体は、以下に列挙した参考文献、および本明細書に引用した参考文献に記載されている。
Figure 2008505163
本発明の金属錯体は、反応条件下で活性化し得て、プロキラル不飽和有機化合物上での不斉付加反応に用い得る、均一触媒または触媒前駆体を表す。
該金属錯体は、例えば、炭素−炭素または炭素−へテロ原子二重結合を有するプロキラル化合物の不斉水素化(水素の付加)に用いることができる。可溶性均一金属錯体を用いたそのような水素化は、例えば、Pure and Appl. Chem., Vol. 68, No. 1, pp. 131-138(1996)に記載されている。水素化される好ましい不飽和化合物は、基:C=C、C=Nおよび/またはC=Oを含む。本発明によれば、好ましくは、ルテニウム、ロジウムおよびイリジウムの金属錯体が、水素化に用いられる。
本発明は、更に、プロキラル有機化合物中の炭素−炭素または炭素−へテロ原子二重結合に水素を不斉付加することによりキラル有機化合物を製造するための均一触媒としての、本発明の金属錯体の使用を提供する。
本発明の更なる態様は、触媒量の本発明の金属錯体少なくとも1種の存在下で、付加反応を実施することを特徴とする、触媒の存在下でプロキラル有機化合物中の炭素−炭素または炭素−へテロ原子二重結合に水素を不斉付加することによる、キラル有機化合物を製造する方法である。
水素化される好ましいプロキラル不飽和化合物は、開鎖または環式有機化合物中に同一のまたは異なるC=C、C=Nおよび/またはC=O基を1個以上含有することができ、ここで、C=C、C=Nおよび/またはC=O基は、環系の一部または環外基になることができる。該プロキラル不飽和化合物は、アルケン、シクロアルケン、ヘテロシクロアルケン、ならびにまた開鎖または環式ケトン、α,β−ジケトン、αまたはβ−ケトカルボン酸、ならびにそれらのα,β−ケトアセタールまたは−ケタール、エステル、アミド、ケチミン、およびケトヒドラゾン(kethydrazones)にすることができる。
不飽和有機化合物の幾つかの例は、アセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、4−トリフルオロメチルアセトフェノン、4−ニトロアセトフェノン、2−クロロアセトフェノン、対応する非置換またはN−置換のアセトフェノンベンジルイミン、非置換または置換のベンゾシクロヘキサノンまたはベンゾシクロペンタノン、および対応するイミン、イミン(非置換または置換のテトラヒドロキノリン、テトラヒドロピリジンおよびジヒドロピロールからなる群のもの)、および不飽和カルボン酸、エステル、カルボキサミド、ならびにカルボン酸塩、例えば、α−および所望ならβ−置換のアクリル酸またはクロトン酸である。好ましいカルボン酸は、式:
Figure 2008505163
(式中、R01は、C1〜C6−アルキル、非置換でももしくは置換基としてC1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、C1〜C6−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ基を1〜4個有していてもよい、C3〜C8−シクロアルキル、または非置換でももしくは置換基としてC1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、C1〜C6−アルコキシ−C1〜C4−アルコキシ基を1〜4個有していてもよい、C6〜C10−アリール(好ましくはフェニル)であり、R02は、非置換であるか、もしくは先に定義したとおりに置換されていてもよい、直鎖状または分枝状C1〜C6−アルキル(例えばイソプロピル)、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、または保護されたアミノ(例えばアセチルアミノ)である)で示される酸、ならびにそれらの塩、エステルおよびアミドである。
本発明の方法は、低温または高温で、例えば−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃、特に好ましくは10〜80℃の温度で実施することができる。光学収率は、一般に高温よりも比較的低温で良好である。
本発明の方法は、大気圧または超大気圧で実施することができる。圧力は、例えば、105〜2×107Pa(パスカル)であってもよい。水素化は、大気圧または超大気圧で実施することができる。
触媒は、水素化される化合物に基づいて、好ましくは0.0001〜10モル%、特に好ましくは0.001〜10モル%、特に0.01〜5モル%の量で用いる。
配位子および触媒の製造、ならびにまた水素化は、溶媒を用いないでまたは不活性溶媒の存在下で実施することができる。後者の場合、溶媒1種または溶媒混合物を用いることができる。適切な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素(ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、脂肪族ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、およびテトラクロロエタン)、ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、エーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、またはジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ケトン(アセトン、メチルイソブチルケトン)、カルボン酸エステルおよびラクトン(酢酸エチル、酢酸メチル、バレロラクトン)、N−置換のラクタム(N−メチルピロリドン)、カルボキサミド(ジメチルアミド、ジメチルホルムアミド)、非環式尿素(ジメチルイミダゾリン)、スルホキシドおよびスルホン(ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシド、テトラメチレンスルホン)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、および水である。溶媒は、単独で、または少なくとも2種の溶媒の混合物としてのいずれかで用いることができる。
反応は、共触媒、例えば第四級ハロゲン化アンモニウム(ヨウ化テトラブチルアンモニウム)の存在下、および/またはプロトン酸(例えば鉱酸)の存在下で実施することができる(例えば、US−A−5,371,256、US−A−5,446,844、US−A−5,583,241、およびEP−A−0,691,949参照)。同様に、1,1,1−トリフルオロエタノールのようなフッ素化アルコールの存在が、触媒反応にとって有利となり得る。
触媒として用いられる金属錯体を、別個に製造した単離化合物として添加することができるか、またはそれを反応の前にその場で形成させ、その後、基材と混合して水素化することができる。単離した金属錯体を用いた反応の場合には更なる量の配位子を添加することが有利となり得るか、またはその場で製造する場合には、過剰の配位子を用いることが有利となり得る。過剰は、製造に用いる金属化合物に基づいて、例えば1〜6モル、好ましくは1〜2モルにすることができる。
本発明の方法は、一般に、反応容器内に触媒を入れ、その後、基材、ならびに適宜、反応助剤および加えるべき化合物を添加し、次に反応を開始することにより実施する。追加されるガス状化合物、例えば水素またはアンモニアを、好ましくは加圧下で導入する。該方法は、様々な型の反応器で、連続式またはバッチ式で実施することができる。
本発明により製造され得るキラル有機化合物は、特に調味料、香料、医薬品および農芸化学品の製造の分野でそのような物質を製造するための活性物質またはそ中間体である。
以下の実施例は、本発明を例示している。
A)置換のフェロセンジホスフィンの製造
略語:Meはメチルであり、Phはフェニルであり、THFはテトラヒドロフランであり、TBMEはtert−ブチルメチルエーテルであり、nbdはノルボルナジエンである。
実施例A1:3,3'位におけるメチル置換
Figure 2008505163
a)化合物(2)の製造
ノナン中のtert−ブチルヒドロペルオキシド(5.5モル濃度)の溶液2.6ml(14.4mmol)を、0℃のTHF40ml中のS,R化合物(1)5g(7.2ml)の溶液に撹拌しながら滴下した。次に、冷却機(cooling)を取り外して、混合物を更に一晩撹拌し、黄色沈殿物を形成するに至った。ヘプタン40mlを添加して、混合物をろ過し、固体を微量の低温ジエチルエーテルで洗浄して減圧下で乾燥させた(収率:88%)。粗生成物は純粋であり、更に、直接使用することができた。
Figure 2008505163
b)化合物(3)の製造
n−BuLi(ヘキサン中の1.6モル)10.4ml(16.8mmol)を、−78℃のTHF200ml中の化合物(2)4g(5.6mmol)の溶液に撹拌しながら滴下し、反応混合物をこの温度で更に2時間撹拌した。その後、ヨウ化メチル1.05ml(16.8mmol)を−78℃で滴下し、反応混合物を初めは−78℃で0.5時間、その後−40℃で1時間、最後に−10℃で30分間、更に撹拌した後、激しく撹拌ながら−10℃の水5mlを混和した。有機溶媒および未反応のヨウ化メチルを最大50℃までで減圧下で直ちに留去し、残渣を塩化メチレン/NaCl水溶液で抽出した。有機相を収集して硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレータにより減圧下で留去した。粗生成物を橙色固体として得、これを更なる精製を行わずに更に用いた(収率:>98%)。
Figure 2008505163
c)化合物(A1)の製造
トルエン(10ml)中のホスフィンオキシド(3) 390mg(0.53mmol)およびHSi(OEt)3 1.9ml(10.5mmol)の懸濁液を、撹拌しながら加熱還流した。その後、チタン(IV)イソプロポキシド0.19ml(0.64mmol)を、20分間かけて滴下し、反応混合物を一晩還流した。冷却した後に、THFをロータリーエバポレータにより留去し、残渣を酢酸エチル2mlに懸濁させて、カラムに適用した。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離液=トリエチルアミンを1%含む酢酸エチル)により、所望の生成物を橙色泡状物として収率73%で得た。
Figure 2008505163
実施例A2:3位におけるメチル置換
Figure 2008505163
a)化合物(4)の製造
化合物(4)は、文献:P. Knochel et al., Tetrahedron: Asymmetry, 10 (1999) 1839-42に記載されている。
b)化合物(5)の製造
以下の溶液を調製した:
溶液a)n−BuLi(ヘキサン中の1.6M)2.7ml(4mmol)を、0℃のTHF3ml中の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン0.73ml(4.1mmol)に滴下し、その溶液をこの温度で1時間撹拌した。
溶液b)THF3ml中の化合物(4)500mg(1.03mmol)
溶液a)を−78℃に冷却した。撹拌しながら、溶液b)を15分間かけて滴下し、反応混合物を初めは−78℃で30分間、その後−30℃で4時間、更に撹拌した。冷却して、−78℃に戻した後に、ヨウ化メチル0.26ml(4mmol)を滴下し、混合物をこの温度で更に2時間撹拌した。次に、反応混合物をTHF/水 2mlと混和して、酢酸エチル/水で抽出した。有機相を収集して硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレータにより留去した。クロマトグラフィー精製(シリカゲル60;溶離液=10 ジクロロメタン/1 トリエチルアミンを1%含有するメタノール)により、主に生成物と出発原料との混合物が得られた。ホスフィンとの反応の後はこの混合物がかなり容易に分離できるので、更なる精製を行わずに更に進行させた。生成物を特性表示するために、更なるクロマトグラフィーにより試料を精製した。
1H−NMR(CDCl3)の特性信号:δ2.10(s,6H)2.08(s,6H)1.95(s,3H),1.45−1.38(m,2×3H)。
c)化合物(A2)の製造
n−BuLi(ヘキサン中1.6モル濃度)1.3ml(2mmol)を、0℃のジエチルエーテル5ml中の工程b)で得た生成物340mgに滴下し、反応混合物をこの温度で2時間撹拌した。−78℃に冷却した後に、ジフェニルクロロホスフィン510mgを添加し、冷却浴を取り外して、混合物を一晩撹拌した。水1mlを添加し、混合物を抽出して、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて、ロータリーエバポレータにより蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離液=1 酢酸エチル/5 トリエチルアミンを1%含有するヘプタン)での精製により、生成物270mgを橙色固体として得た。
Figure 2008505163
実施例A3:5位におけるメチル置換
Figure 2008505163
a)化合物(6)の製造
化合物(6)は、文献:T Hayashi et al., J. Organometal Chem., 370 (1989) 129-139に記載されている。
b)化合物(7)の製造
アセトニトリル50mlおよび水5ml中の化合物(6)5.0g(6.6mmol)およびO−メチル−(S)−プロリノール13.3g(115mmol)の溶液を、100℃で少なくとも80時間撹拌した。冷却した後に、溶媒および過剰のo−メチルプロリノールを、ロータリーエバポレータにより減圧下で留去した。残渣をTBME20mlに取り出し、水で数回洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて、ロータリーエバポレータにより蒸発させた。粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離液=1 酢酸エチル/4 ヘプタンおよびトリエチルアミン1%)により精製した。生成物を橙色固体泡状物として得た(収率:93%)。
Figure 2008505163
c)化合物(A3)の製造
s−ブチルリチウム(s−BuLi)(シクロヘキサン中の1.3M)4ml(5.2mmol)を、0℃のTBME35ml中の化合物(7) 2g(2.4mmol)の溶液に滴下し、反応混合物を0℃で更に2時間撹拌した。その後、−78℃に冷却して、ヨウ化メチル0.195ml(3.1mmol)を添加した。1時間後に、冷却浴を取り外した。温度を0℃に上昇させ、混合物を0℃で更に2時間撹拌した。反応混合物を氷水に注いで、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレータにより減圧下で蒸発させた。残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離液=1 酢酸エチル/4 ヘプタンおよびトリエチルアミン1%)により精製した。生成物を黄色固体として収率71%で得た。
Figure 2008505163
実施例A4:5,5'位における臭素置換
Figure 2008505163
a)化合物(8)の製造
化合物(8)を、C. Glidewell et al.により J. Organometal. Chem. 527 (1997), pages 259-261に記載されたとおり製造した。
b)化合物(9)の製造
(S)−2−(メトキシメチル)ピロリジン4.94g(42.88mmol)を、乾燥アセトニトリル600ml中の化合物(8) 5.01g(8.57mmol)に添加して、反応混合物を100℃で72時間撹拌した。冷却した後に、溶媒をロータリーエバポレータにより留去した。残渣を飽和水性NaHCO3/塩化メチレンに抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて、ロータリーエバポレータにより蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離液=1 THF/2 ヘプタンおよびトリエチルアミン2%)により、所望の生成物を橙色油状物として得た。
Figure 2008505163
c)化合物(10)の製造
化合物(9)730mg(1.66mmol)を、TBME 2mlに溶解した。撹拌しながら、s−BuLi(シクロヘキサン中1.3モル濃度溶液)3.18ml(4.14mmol)を−78℃でゆっくり滴下した。反応混合物を−78℃で1時間、その後−30℃で4時間撹拌した。その後、それを冷却して−78℃に戻し、ジフェニルクロロホスフィン988mg(4.48mmol)を添加した。15分後に、冷却機を取り外して、反応混合物を更に一晩撹拌した。その後、水/TBMEで抽出して、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレータにより減圧下で留去した。クロマトグラフィー(シリカゲル60:溶離液は、初めCl−PPh2が溶出するまでは塩化メチレンであり、その後は1 THF/5 ヘプタンおよびトリエチルアミン1%)により、所望の生成物を黄色固体として得た(収率:70%)。
Figure 2008505163
d)化合物(A4)の製造
TBME10ml中の化合物(10)510mg(0.63mmol)の溶液を−78℃に冷却して、t−ブチルリチウム(ペンタン中1.5モル濃度溶液)1.05ml(1.57mmol)をゆっくり滴下した。温度を−30℃に上昇させて、混合物を初めはこの温度で2時間、次に0℃で30分間撹拌した。冷却して−78℃に戻した後に、THF 1ml中の1,2−ジブロモテトラフルオロエタン408mg(1.57mmol)の溶液をゆっくり滴下し、混合物を−78℃で更に30分間撹拌した。その後、冷却浴を取り外して、混合物を更に1時間撹拌した。反応混合物を水2mlと混和して、塩化メチレンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて、ロータリーエバポレータにより蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離液=20 ヘプタン/1 酢酸エチルおよびトリエチルアミン1%)による精製で、生成物を黄色固体として得た。
Figure 2008505163
実施例A5:5位におけるトリメチルシリル置換
Figure 2008505163
TBME20ml中の化合物(10)500mg(0.62mmol)の溶液を−78℃に冷却して、t−BuLi(ペンタン中1.5モル濃度溶液)0.5ml(0.75mmol)をゆっくり滴下した。次に、混合物を−30℃〜−15℃の範囲の温度で2時間撹拌した。冷却して−78℃に戻した後に、トリメチルクロロシラン0.1ml(0.8mmol)を添加して、混合物を−78℃で更に30分間撹拌した。その後、冷却浴を取り外して、混合物を更に1時間撹拌した。反応混合物を水2mlと混和し、その後、水で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて、ロータリーエバポレータにより蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離液=20 ヘプタン/1 酢酸エチルおよびトリエチルアミン1%)による精製で、生成物を橙色固体として得た。
Figure 2008505163
実施例A6:5,5'位におけるトリメチルシリル置換
Figure 2008505163
TBME20ml中の化合物(10)500mg(0.62mmol)の溶液を、−78℃に冷却して、t−BuLi(ペンタン中1.5モル濃度溶液)0.9ml(1.4mmol)をゆっくり滴下した。次に、混合物を−30℃〜−15℃の範囲の温度で2時間撹拌した。冷却して−78℃に戻した後に、トリメチルクロロシラン0.2ml(1.6mmol)を添加して、混合物を−78℃で更に30分間撹拌した。その後、冷却浴を取り外して、混合物を更に1時間撹拌した。反応混合物を水2mlと混和し、その後、水で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させて、ロータリーエバポレータにより蒸発させた。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離液=20 ヘプタン/1 酢酸エチルおよびトリエチルアミン1%)による精製で、生成物を橙色固体として得、それは1H−および31P−NMRによれば、回転異性体2種の混合物であった。
1H−NMR(C66)、幾つかの特性信号:
O−CH3基の信号:δ3.36および3.32(積分比〜33:67の2個のS、合計6H)
Si(CH33基の信号:δ0.65および0.03(積分比〜67:33の2個のS、合計18H)
31P−NMR(C66):δ −24.5(s,大きい信号),28.1(s,小さい信号)
実施例(A7):
Figure 2008505163
以下の溶液を調製した:
溶液a)n−ブチルリチウム(ヘキサン中の1.6M)0.86ml(1.37mmol)を、0℃のTHF1ml中の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン0.232ml(1.37mmol)に滴下し、その溶液をこの温度で1時間撹拌した。
溶液b)THF10ml中の化合物(A4)220mg(0.23mmol)
溶液a)を−78℃に冷却した。撹拌しながら、溶液b)を15分間かけて滴下し、反応混合物を初めに−78℃で30分間、その後−15〜−20℃で4時間、更に撹拌した。再度、−78℃に冷却した後、トリメチルクロロシラン0.173ml(1.37mmol)を滴下し、その後、混合物を−20℃で更に2時間撹拌した。反応混合物を冷却して−78℃に戻し、この温度で一晩撹拌した。その後、温度を10℃にゆっくり上昇させた。次に、反応混合物を少量の水と混和して、酢酸エチル/水で抽出した。有機相を収集して硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレータにより留去した。クロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離液=1 酢酸エチル/15 ヘプタン、トリエチルアミンを1%含有する)による精製の後に、有機生成物が単離された。
Figure 2008505163
B)金属錯体の製造
実施例B1:
[Rh(nbd)2]BF4 5.1mg(0.0136mmol)および実施例A6からのジホスフィン10.4mg(0.0163mmol)を秤量して、電磁撹拌器を備えたSchlenk容器に入れ、真空およびアルゴンにより換えた。撹拌しながら脱気したメタノール0.8mlを添加して、金属錯体の橙色溶液(触媒溶液)を得た。均一なC2−対称錯体が形成した。
Figure 2008505163
C)使用例
実施例C1:不飽和化合物の水素化
水素化を実施する方法、および光学収率:eeの定量方法は、W. Weissensteiner et al.によるOrganometallics 21 (2002), pages 1766-1774の一般用語内に記載されている。触媒は、それぞれの例で、配位子と触媒前駆体としての金属錯体(他に断りがなければ[Rh(ノルボルナジエン)2]BF4)とを溶媒中で混合することにより、「その場で」製造する。他に断りがなければ、基材濃度は0.25mol/l、金属に対する基材のモル比=200、そして金属に対する配位子のモル比=1.05であった。
水素化:
基材:MAC、DMI、MCA、EACの反応条件:
触媒前駆体=[Rh(ノルボルナジエン)2]BF4;溶媒=MeOH;水素圧=1バール;温度=25℃;反応時間=1時間
EACの水素化を、エタノール中CF3CH2OH 5%(v/v)の存在下で実施した。EACの場合、キラルカラム[Lipodex E(30m); 130℃等温式;H2 190Kpa]を用いたガスクロマトグラフィーにより、eeを定量した。
Figure 2008505163
基材:MPGについての反応条件:
触媒前駆体=[Rh(ノルボルナジエン)Cl2];溶媒=トルエン;水素圧=80バール(8×106Pa);温度=25℃;反応時間=16時間
MPG:
Figure 2008505163
基材:EOVについての反応条件:
触媒前駆体=[Rul2(p−クメン)]2;溶媒=エタノール;添加:エタノール10mlあたり1N HCl 0.06ml;水素圧=80バール;温度=80℃;反応時間=16時間
トリフルオロ酢酸無水物を用いた誘導体化の後に、キラルカラム[Lipodex E(30m)]を用いたガスクロマトグラフィーにより、eeの定量を実施した。
Figure 2008505163
基材:MEAについての反応条件:
金属に対する基材のモル比=100;触媒前駆体=[Ir(COD)Cl]2;溶媒=トルエン;添加:Ir 1当量あたりヨウ化テトラブチルアンモニウム2当量、およびトルエン10mlあたりトリフルオロ酢酸0.03ml;水素圧=80バール;温度=25℃;反応時間=16時間
MEA:
Figure 2008505163
水素化の結果を、以下の表1および2に報告する。「ee」は、鏡像体過剰率である。配置をカッコ内に示す。置換が、意外にも配置に影響を与えて反転させ得ることが、表1の比較の配位子および置換した配位子を用いた結果から見ることができる。更に、置換基の導入時に光学収率の上昇が見られる。
Figure 2008505163
Figure 2008505163

Claims (16)

  1. ラセミ体、立体異性体の混合物、または光学的に純粋な立体異性体の形態の式IまたはI':
    Figure 2008505163

    〔式中、
    Rは、水素、あるいは非置換、またはF−、Cl−、OH−、C1〜C4−アルキル−もしくはC1〜C4−アルコキシ−置換の、C1〜C8−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、またはC7〜C11−アラルキルであり;
    1およびX2は、それぞれ互いに独立して、第二級ホスフィノ基であり;
    1は、アミノ基であるか;または
    1は、−OR3基(式中、R3は、水素、あるいは非置換、またはF−、C1〜C4−アルキル−、C1〜C4−アルコキシ−、フェニル−もしくはN(C1〜C4−アルキル)2−置換の、C1〜C18−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、C7〜C11−アラルキル、またはC1〜C18−アシルである)であり;
    1およびR2は、それぞれ互いに独立して、ハロゲン原子、またはC原子、N原子、S原子、Si原子、P(O)基もしくはP(S)基を介してシクロペンタジエニル環に結合した置換基であり;
    mは、1〜3であり、
    nは、0または1〜3である〕で示される化合物。
  2. Rが、水素、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジルまたはフェニルであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  3. 第二級ホスフィノ基:X1およびX2が、2個の同一または2個の異なる炭化水素基を含み、第二級ホスフィノ基:X1およびX2が、同一または異なることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  4. 基:X1およびX2が、−P(C1〜C6−アルキル)2、−P(C5〜C8−シクロアルキル)2、−P(C7〜C12−ビシクロアルキル)2、−P(o−フリル)2、−P(C652、−P[2−(C1〜C6−アルキル)C642、−P[3−(C1〜C6−アルキル)C642、−P[4−(C1〜C6−アルキル)C642、−P[2−(C1〜C6−アルコキシ)C642、−P[3−(C1〜C6−アルコキシ)C642、−P[4−(C1〜C6−アルコキシ)C642、−P[2−(トリフルオロメチル)C642、−P[3−(トリフルオロメチル)C642、−P[4−(トリフルオロメチル)C642、−P[3,5−ビス(トリフルオロメチル)C632、−P[3,5−ビス(C1〜C6−アルキル)2632、−P[3,5−ビス(C1〜C6−アルコキシ)2632、−P[3,4,5−トリス(C1〜C6−アルコキシ)2632、および−P[3,5−ビス(C1〜C6−アルキル)2−4−(C1〜C6−アルコキシ)C622からなる群から選択される、それぞれの場合の同一もしくは異なる非環式sec−ホスフィノ基、あるいは非置換であるか、またはC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシ−C1〜C2−アルキル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシ、C1〜C4−アルキリデンジオキシル、非置換のメチレンジオキシル、もしくはフェニル置換のメチレンジオキシルにより一置換もしくは多置換された、
    Figure 2008505163

    からなる群から選択される環式ホスフィノ基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  5. 1およびX2が、それぞれ、−P(CH32、−P(i−C372、−P(n−C492、−P(i−C492、−P(C6112、−P(ノルボルニル)2、−P(o−フリル)2、−P(C652、−P[2−(メチル)C642、−P[3−(メチル)C642、−P[4−(メチル)C642、−P[2−(メトキシ)C642、−P[3−(メトキシ)C642、−P[4−(メトキシ)C642、−P[3−(トリフルオロメチル)C642、−P[4−(トリフルオロメチル)C642、−P[3,5−ビス(トリフルオロメチル)C632、−P[3,5−ビス(メチル)C632、−P[3,5−ビス(メトキシ)C632、−P[3,4,5−トリ(メトキシ)C622、および−P[3,5−ビス(メチル)2−4−(メトキシ)C622であるか、または式:
    Figure 2008505163

    (式中、R'は、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、またはベンジルオキシメチルであり、R''は、R'と同じ意義を有する)の一つを有する基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  6. 1が、−NH2、−NHR5、または−NR56(式中、R5およびR6は、それぞれ互いに独立して、置換もしくは非置換の、脂肪族、脂環式もしくは芳香族炭化水素基であるか、またはR5およびR6が、N原子と一緒になって、N−複素環を形成しており、該N−複素環は、O、SもしくはN(C1〜C4−アルキル)からなる群から選択される更なるヘテロ原子を含んでいてもよい)であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  7. 5およびR6は、それぞれ、メチル、エチル、もしくはプロピルおよびブチルの異性体、フェニル、ベンジル、シクロヘキシルであるか、またはR5およびR6が、一緒になって、テトラメチレン、ペンタメチレンもしくは3−オキサペンチレンをなしており、それらは、非置換であるか、またはC1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C1〜C4−アルコキシ、C1〜C4−アルコキシメチル、C1〜C4−アルコキシエチル、(C1〜C4−アルキル)2N−、(C1〜C4−アルキル)2N−メチル、および(C1〜C4−アルキル)2N−エチルにより置換されていてもよいことを特徴とする、請求項6記載の化合物。
  8. 置換基:R1およびR2が、シクロペンタジエニル環上に、1回存在するか(mは1であり、nは0である)、またはそれぞれが1回(mおよびnがそれぞれ1である)、2回(mかnのいずれかが2である)もしくは3回(mは2であり、nは1である)存在することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  9. 置換基:R1およびR2の位置が、3、3'、5および5'位であり、好ましい置換様式が、3位、3位と3'位、5位、ならびに5位と5'位であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  10. 置換基:R1およびR2が、C1〜C4−アルキル、置換もしくは非置換のフェニル、トリ(C1〜C4−アルキル)Si、トリフェニルシリル、ハロゲン、−SR06、−CH2OH、−CHR06OH、−CR06R'06OH、−CH2O−R06、−CH(O)、−CO2H、−CO206および−P(O)(R032〔式中、R06は、炭素原子を1〜10個有する炭化水素基であり、R'06Oは、独立して、R'06の意義の内の一つを有しかつR03は、水素、C1〜C8−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、フェニルまたはベンジルである〕から選択されることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
  11. 式IV:
    Figure 2008505163

    (式中、Rは、水素、あるいは非置換、またはF−、Cl−、OH−、C1〜C4−アルキル−もしくはC1〜C4−アルコキシ−置換の、C1〜C8−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、C6〜C10−アリール、またはC7〜C11−アラルキルであり;A2は、不斉炭素原子を少なくとも1個有する開鎖または環式第二級アミノである)で示される化合物。
  12. 配位子としての式I、I'またはIVで示される化合物の1種と、TM8金属、好ましくはCu、Ag、Au、Ni、Co、Rh、Pd、Ir、RuおよびPtの群から選択される金属との錯体。
  13. 式XIIおよびXIII:
    Figure 2008505163

    (式中、
    3は、式I、I'またはIVで示される化合物の1種であり;
    Lは、同一もしくは異なる単座陰イオン性もしくは非イオン性配位子を表すか、またはLは、同一もしくは異なる二座陰イオン性もしくは非イオン性配位子を表し;
    Lが単座配位子である時は、rは2、3もしくは4であり、またはLが二座配位子である時は、nは1もしくは2であり;
    zは、1、2または3であり;
    Meは、Rh、Ir、およびRuからなる群から選択される金属であり、酸化状態:0、1、2、3または4を有し;
    -は、オキソ酸または錯酸の陰イオンであり;
    該陰イオン性配位子は、該金属の酸化状態:1、2、3または4の電荷と均衡を保っている)の一つに相当する、請求項12記載の金属錯体。
  14. 式XVI:
    Figure 2008505163

    (式中、Zは、Cl、BrまたはIであり;A3は、式I、I'またはIVで示される化合物であり;Lは、同一または異なる配位子を表し;E-は、オキソ酸、鉱酸または錯酸の陰イオンであり;Sは、配位子として配位可能な溶媒であり;aは、1〜3であり;bは、0〜4であり;cは、0〜6であり;dは、1〜3であり;eは、0〜4であり;fは、1〜3であり;gは、1〜4であり;hは、0〜6であり;kは、1〜4であり;錯体は全体として無電荷である)に相当する、請求項12記載の金属錯体。
  15. キラル有機化合物を製造するため、好ましくはプロキラル有機化合物中の炭素−炭素または炭素−へテロ原子二重結合に水素を不斉付加するための均一触媒としての、請求項12記載の金属錯体の使用。
  16. 触媒量の、請求項12記載の少なくとも1種の金属錯体の存在下で、付加反応を実施することを特徴とする、触媒の存在下でプロキラル有機化合物中の炭素−炭素または炭素−へテロ原子二重結合に水素を不斉付加することによる、キラル有機化合物を製造する方法。
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