JP2008504356A6 - 炎症性疾患を治療するための組成物及び方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、炎症性疾患を治療するための組成物及び方法に関する。より具体的には、本発明は、抗体組成物、及び炎症性疾患の治療におけるその使用に関する。
Description
本発明は、単一領域抗体リガンド及び二重特異性リガンドを含む抗体ポリペプチド構築物を使用して、関節リウマチを含む疾病を治療する方法、当該リガンドの組成物、並びに当該リガンドの製造及び使用方法に関する。特に、本発明は、TNF−α及びVEGFを含む炎症性サイトカインを結合する単一領域抗体を調製するための方法を提供する。第1の抗原又はエピトープに結合する第1の単一免疫グロブリン可変領域と、第2の抗原又はエピトープに結合する第2の単一免疫グロブリン可変領域とを含む二重特異性リガンドをも開示する。より詳細には、本発明は、第1及び第2の抗原又はエピトープの少なくとも一方に結合することにより、インビボでのリガンドの半減期を増加させるように作用する二重特異性リガンドに関する。2つ以上の結合特異性を含む開放及び閉鎖的構造について述べる。例えばTNF−α、VEGF及びHSAの任意の組合せを含むことが可能である第1及び第2の抗原を結合する単一領域抗体構築物及び二重特異性リガンドを使用する、関節リウマチを治療するための方法を開示する。
TNF−α
名称が暗示するように、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は、抗腫瘍特性を有する分子として本来記述されていたが、その分子は、炎症及び自己免疫疾患を媒介する上での顕著な役割を含む、他のプロセスにおける主要な役割を果たすことが後に確認された。TNF−αは、例えば、関節リウマチ(RA)、クローン病、潰瘍性結腸炎及び他の腸疾患、乾癬、毒物ショック、移植片対宿主病並びに多発性硬化症を含む炎症状態における主要な炎症誘発性サイトカインである。
名称が暗示するように、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)は、抗腫瘍特性を有する分子として本来記述されていたが、その分子は、炎症及び自己免疫疾患を媒介する上での顕著な役割を含む、他のプロセスにおける主要な役割を果たすことが後に確認された。TNF−αは、例えば、関節リウマチ(RA)、クローン病、潰瘍性結腸炎及び他の腸疾患、乾癬、毒物ショック、移植片対宿主病並びに多発性硬化症を含む炎症状態における主要な炎症誘発性サイトカインである。
TNF−αの炎症誘発作用は、血管内皮細胞に対する凝血原活性を誘発すること(Poberら、J.Immunol.136:1680(1986))、好中球及びリンパ球の接着を増強させること(Poberら、J.Immunol.138:3319(1987))、マクロファージ、好中球及び血管内皮細胞からの血小板活性化因子の放出を刺激すること(Camussiら、J.Exp.Med.166:1390(1987))等の組織傷害をもたらす。
TNF−αは、TNF−α変換メタロプロテイナーゼ酵素によって開裂される細胞内尾部により26kD膜間前駆タンパク質として合成され、次いで17kD可溶性タンパク質として分泌される。活性形態は、2つの異なる細胞表面受容体、すなわちp55TNFR1及びp75TNFR2と相互作用する17kD単量体のホモ三量体からなる。TNF−αの細胞表面結合前駆体形態は、その因子のいくつかの生物学的効果を媒介しうるという証拠もある。たいていの細胞は、リガンドの異なる生物学的機能を媒介するp55及びp75受容体の双方を発現する。p75受容体は、リンパ球増殖の誘発に関与し、p55受容体は、TNF媒介細胞毒、アポトーシス、抗ウィルス活性、繊維芽細胞増殖及びNF−κB活性化(Locksleyら、2001、Cell 104:487−501参照)。
TNF受容体は、NGF受容体、Fas抗原、CD27、CD30、CD40、Ox40、及びリンホトキシンα/β六量体を含む一群の膜タンパク質のメンバーである。ホモ三量体による受容体の結合は、p75又はp55の2つ又は3つの分子の小さい集合体への受容体の凝集を誘発する。TNF−αは、主として活性化マクロファージ及びTリンパ球によって生成されるが、急性炎症反応時の好中球、内皮細胞、ケラチノサイト及び繊維芽細胞によっても生成される。
TNF−αは、炎症誘発性サイトカインのカスケードの頂点に存在する(Feldmann & Maini、2001、Ann.Rev.Immunol.19:163に論述されている)。このサイトカインは、さらなる炎症誘発性サイトカイン、特にIL−1及びIL−6の発現又は放出を誘発する(例えば、Rutgeertsら、2004、Gastroenterology 126:1593−1610参照)。TNF−αの阻害により、IL−1、IL−6、IL−8及びGM−CSFを含む炎症性サイトカインの生成が阻害される(Brennanら、1989、Lancet 2:244)。
TNF−αは、炎症において役割を果たすため、炎症性疾患の症状を軽減する取り組みおいて重要な阻害標的にされるようになった。特に可溶性TNF−α受容体、及びTNF−αに特異的な抗体の使用を含む、疾病の臨床治療に対するTNF−αの阻害の手法が追求されてきた。臨床的使用に対して承認された市販の製品としては、例えば、抗体製品Remicade(商標)(インフリキシマブ(Infliximab)(Centocor(ペンシルベニア州Malvern));ヒトIgG4定常領域マウス可変領域を担持するキメラモノクローナルIgG抗体)、Humira(商標)(米国特許第6,090,382号に記載されているアダリムマブ又はD2E7(Abbott Laboratories)及び可溶性受容体製品Enbrel(商標)(エタネルセプト、可溶性p75TNFR2Fc融合タンパク質;イムネクス(Immunex))。
炎症性関節炎におけるTNF−αの役割は、例えば、Li & Schwartz、2003、Sringer Semin.Immunopathol.25:19−33に論述されている。RAにおいて、TNF−αは、炎症滑膜、特に軟骨−パンヌス関節に多く発現される(DiGiovineら、1988、Ann.Rheum.Dis.47:768;Firesteinら、1990、J.Immunol.144:3347;及びSaxneら、1988、Arthritis Rheum.31:1041)。TNF−αは、炎症性サイトカインIL−1、IL−6、IL−8及びGM−CSFのレベルを増加させるという証拠に加えて、TNF−αは、単独で、関節炎症、及び繊維芽細胞様滑膜細胞の増殖を誘発し(Gitterら、1989、Immunology 66:196)、コラゲナーゼを誘発することによって軟骨破壊を誘発し(Dayerら、1985、J.Exp.Med.162:2163;Dayerら、1986、J.Clin.Invest.77:645)、関節軟骨細胞によるプロテオグリカン合成を阻害し(Saklatvala、1986、Nature 322:547;Saklatvalaら、1985、J.Exp.Med.162:1208)、破骨細胞腫形成及び骨吸収を刺激する(Abu−Amerら、2000、J.Biol.Chem.275:27307;Bertoliniら、1986、Nature 319:516)することが可能である。TNF−αは、骨髄によるCD14+単球の放出増加を誘発する。当該単球は、関節を浸透し、RANK(受容体活性化体又はNF−κB)−RANKLシグナル伝達経路を介して炎症応答を増幅させて、関節炎症時に破骨細胞系性を生じる(Anandarajah & Richlin、2004、Curr.Opin.Rheumatol.16:338−343に論述されている)。
TNF−αは、IL−8の誘導を通じて血管浸透性を高めることによって、マクロファージ及び好中球を感染部位に導入する急性期タンパク質である。一度存在すると、活性化されたマクロファージは、TNF−αを生成し続けることによって、炎症応答を維持し、増幅させる。
可溶性受容体構築物エタネルセプトによるTNF−αの滴定は、RAの治療に有効であるが、クローン病の治療には有効でない。対照的に、抗体TNF−αアンタゴニストインフリキシマブは、RA及びクローン病の双方の治療に有効である。したがって、可溶性TNF−αの単なる中和は、抗TNFをベースとする治療効果に関与する唯一のメカニズムではない。むしろ、TNF−αによって誘発される他の炎症誘発性シグナル又は分子の遮断も役割を果たす(Rutgeertsら、前出)。例えば、インフリキシマブの投与は、明らかに接着分子の発現を低下させることで、好中球の炎症部位への浸透を低下させる。また、インフリキシマブ治療は、クローン病における既に炎症を起こした腸粘膜から炎症細胞を消失させる。基底膜におけるこのT細胞の消失は、Fasに依存したカスパーゼ8、9そして3の活性化に続く膜結合TNF−α担持細胞のアポトーシスによって介在される(Lugeringら、2001、Gastroenterology 121:1145−1157参照)。したがって、膜又は受容体結合TNF−αは、抗TNF−α治療手法にとって重要な標的である。他には、インフリキシマブは、活性化された末梢血液細胞及び基底膜細胞に結合し、カスパーゼ3の活性化を通じてアポトーシスを誘発することが示された(Van den Brandeら、2003、Gastroenterology 124:1774−1785)。
細胞内では、三量体TNF−αのその受容体に対する結合は、SODD(死領域のサイレンサ)の如き阻害性分子の置換、及びアダプター因子FADD、TRADD、TRAF2、c−IAP、RAIDD及びTRIP+キナーゼRIP1及び特定のカスパーゼシグナルを含む伝達事象のカスケードを誘発する(Goeddel、2002、Science 296:1634−1635及びMuzio & Saccani、Methods in Molecular Medicine:Tumor Necrosis Factor,Methods and Protocols)、Corti及びGhezzi編(Human Press,New Jersey)、pp.81−99に論述されている)。集合したシグナル伝達複合体は、NF−κB活性化及び後の下流遺伝子活性化を通じて細胞生存経路を活性化することもできるし、カスパーゼ活性化を通じてアポトーシス経路を活性化することもできる。
他の疾病では、同様の細胞外下流サイトカインカスケード及び細胞内シグナル伝達経路が、TNF−αによって誘発されうる。したがって、TNF−α分子が病状に寄与する他の疾病又は疾患については、TNF−αの阻害は、治療の手法を与える。
VEGF
血管形成は、炎症滑膜組織の活発な増殖において重要な役割を果たす。高度に血管化されるRA滑膜組織は、関節周囲軟骨及び骨組織に侵入し、関節破壊をもたらす。
血管形成は、炎症滑膜組織の活発な増殖において重要な役割を果たす。高度に血管化されるRA滑膜組織は、関節周囲軟骨及び骨組織に侵入し、関節破壊をもたらす。
血管内皮成長因子(VEGF)は、知られている最も強力な血管形成サイトカインである。VEGFは、その一次転写物が交互にスプライシングされるため、いくつかの交互形態で存在する排出されたヘパリン結合ホモ二量体糖タンパク質である(Leungら、1989、Science 246:1306)。VEGFは、炎症において重要なプロセスである血管漏れを誘発する能力を有するため、血管浸透因子(VPF)としても知られる。RA患者の滑膜組織におけるVEGFの同定は、RAの病理におけるVEGFの潜在的役割を浮き彫りにした(Favaら、1994、J.Exp.Med.180:341:346;Nagashimaら、1995、J.Rheumatol.22:1624−1630)。RAの病理におけるVEGFの役割は、抗VEGF抗体をマウスコラーゲン誘発関節炎(CIA)モデルに投与した後の試験を強固なものにした。これらの試験において、疾病を誘発させると、関節におけるVEGF発現が増強し、抗VEGF抗血清を投与すると、関節炎疾病の発生が抑止され、設定された疾病が改善された(Soneら、2001、Biochem.Biophys.Res.Comm.281:562−568;Luら、2000、J.Immunol.164:5922−5927)。
抗体ポリペプチド
抗体は、標的の結合が極めて特異的であり、自然の独自の防御メカニズムから誘導されるが、人間の患者における疾病の治療に適用される場合はいくつかの課題に直面する。従来の抗体は、少なくとも4つのポリペプチド鎖を含む大きなマルチサブユニットタンパク質分子である。例えば、ヒトIgGは、ジスルフィド結合して機能的抗体を形成する2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する。従来のIgGのサイズは、約150kDである。完全抗体(例えばIgG、IgA、IgM等)は、比較的サイズが大きいため、例えば組織浸透における問題により治療有用性が限定される。抗体結合機能及び溶解性を保持するより小さい抗体断片の同定及び生成に多大な労力が向けられてきた。
抗体は、標的の結合が極めて特異的であり、自然の独自の防御メカニズムから誘導されるが、人間の患者における疾病の治療に適用される場合はいくつかの課題に直面する。従来の抗体は、少なくとも4つのポリペプチド鎖を含む大きなマルチサブユニットタンパク質分子である。例えば、ヒトIgGは、ジスルフィド結合して機能的抗体を形成する2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する。従来のIgGのサイズは、約150kDである。完全抗体(例えばIgG、IgA、IgM等)は、比較的サイズが大きいため、例えば組織浸透における問題により治療有用性が限定される。抗体結合機能及び溶解性を保持するより小さい抗体断片の同定及び生成に多大な労力が向けられてきた。
抗体の重及び軽ポリペプチド鎖は、抗原相互作用に直接関与する可変(V)領域と、免疫エフェクターとの非抗原特異的相互作用における構造的支援及び機能を提供する定常(C)領域とを含む。従来の抗体の抗原結合領域は、2つの個別領域、すなわち重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL:Vκ又はVλでありうる)で構成される。抗原結合部位自体は、VH領域からの3つのポリペプチドループ(H1、H2及びH3)と、VL領域からの3つのポリペプチドループ(L1、L2及びL3)の6つのポリペプチドループで形成される。インビボにおいて、VH及びVL領域をコードする多様な一次的レパートリーのV遺伝子が、遺伝子セグメントの組合せ再構成により生成される。C領域は、軽鎖C領域(CL領域と称する)及び重鎖C領域(CH1、CH2及びCH3領域と称する)を含む。
プロテアーゼ消化に続いて、天然抗体のいくつかのより小さい抗原結合断片が同定された。これらは、例えば、「Fab断片」(VL−CL−CH1−VH)、「Fab’断片」(重鎖ヒンジ領域を有するFab)及び「F(ab’)2断片’’(重鎖ヒンジ領域で接続されたFab’断片の二量体)を含む。合成ペプチドリンカーで接続されたVL及びVHよりなる「単一鎖FV」(可変断片)又は「scFV」と称するさらに小さい抗原結合断片を生成するために組換え法が用いられてきた。
単一領域抗体
(例えばヒト及びたいていの他の哺乳類における)天然抗体の抗原結合単位は、一対のV領域(VL/VH)で構成されていることが一般に知られているが、ラクダ科の生物種は、軽鎖配列を欠いた大量の十分に機能的で極めて特異的な抗体を発現する。ラクダ科の重鎖抗体は、それらの定常領域を介して二量体化された単一重鎖のホモ二量体として見い出される。これらのラクダ科の重鎖抗体の可変領域は、VHH領域と称し、VH鎖の断片として単離された場合に、高い特異性を有する抗原を結合する能力を保持する(Hamers−Castermanら、1993、Nature 363:446−448;Gahroudiら、1997、FEBS Lett.414:521−526)。抗原結合単一VH領域は、例えば、免疫化マウスの脾臓からのゲノムDNAから増幅され、大腸菌に発現されたマウスVH遺伝子のライブラリーからも同定されている(Wardら、1989、Nature 341:544−546)。Wardらは、「領域抗体」に対して、単離された単一VH領域を「dAb」と命名した。「dAb」という用語は、本明細書では、抗原を特異的に結合する単一免疫グロブリン可変領域(VH、VHH又はVL)ポリペプチドと称する。「dAb」は、他のV領域から独立した抗原を結合するが、その用語が本明細書で用いられるときは、「dAb」は、他の領域が、dAbによる抗原結合に必要とされない場合、すなわちdAbが、さらなるVH、VHH又はVL領域から独立した抗原を結合する場合に、他のVH又はVL領域とともにホモ又はヘテロ多量体に存在しうる。
(例えばヒト及びたいていの他の哺乳類における)天然抗体の抗原結合単位は、一対のV領域(VL/VH)で構成されていることが一般に知られているが、ラクダ科の生物種は、軽鎖配列を欠いた大量の十分に機能的で極めて特異的な抗体を発現する。ラクダ科の重鎖抗体は、それらの定常領域を介して二量体化された単一重鎖のホモ二量体として見い出される。これらのラクダ科の重鎖抗体の可変領域は、VHH領域と称し、VH鎖の断片として単離された場合に、高い特異性を有する抗原を結合する能力を保持する(Hamers−Castermanら、1993、Nature 363:446−448;Gahroudiら、1997、FEBS Lett.414:521−526)。抗原結合単一VH領域は、例えば、免疫化マウスの脾臓からのゲノムDNAから増幅され、大腸菌に発現されたマウスVH遺伝子のライブラリーからも同定されている(Wardら、1989、Nature 341:544−546)。Wardらは、「領域抗体」に対して、単離された単一VH領域を「dAb」と命名した。「dAb」という用語は、本明細書では、抗原を特異的に結合する単一免疫グロブリン可変領域(VH、VHH又はVL)ポリペプチドと称する。「dAb」は、他のV領域から独立した抗原を結合するが、その用語が本明細書で用いられるときは、「dAb」は、他の領域が、dAbによる抗原結合に必要とされない場合、すなわちdAbが、さらなるVH、VHH又はVL領域から独立した抗原を結合する場合に、他のVH又はVL領域とともにホモ又はヘテロ多量体に存在しうる。
単一免疫グロブリン可変領域、例えばVHHは、知られている最も小さい抗原結合抗体である。治療に使用する場合は、主として、患者に投与されたときに免疫応答を引き起こしそうもないという理由でヒト抗体が好ましい。上述したように、単離された非ラクダ科のVHは、比較的不溶性を有する傾向があり、しばしば発現が弱い。ラクダ科のVHHとヒト抗体のVH領域とを比較すると、ヒトVH領域のVH/VL界面に対応するラクダ科のVHH領域の骨組み領域にいくつかの重要な差が存在することが明らかになる。抗原結合活性(Davies & Riechmann、1994、FEBS Lett.339:285−290)を保持しながら、発現及び溶解性が向上した「ラクダ化された」ヒトVH領域を生成するために、これらのヒトVH 3の残基物をVHH配列(具体的にはGly44 Glu、Leu 45 Arg及びTrp47 Gly)へより近づけるための変異が実施された。(本明細書に用いられている可変領域アミノ酸番号付けはKabat番号付け規則(Kabatら、1991、Sequence of Immunological Interest、第5版、米国保健福祉省(ワシントンD.C.)と一致している)。WO03/035694号(Muyldermans)には、Trp103 Arg変異は、非ラクダ科VH領域の溶解性を向上させることが報告されている。また、Davies & Riechman(1995、Biotechnology N.Y.13:473−479)には、ラクダ化されたヒトVH領域のファージディスプレイレパートリーが生成され、100〜400nMの親和性でハプテンを結合するクローンが選択されたことが報告されているが、タンパク質抗原に対する結合のために選択されたクローンは、より弱い親和性を有していた。
抗体の抗原領域は、2つの個別領域、すなわち重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL:Vκ又はVλでありうる)を含む。抗原結合部位自体は、VH領域からの3つのポリペプチドループ(H1、H2及びH3)と、VL領域からの3つのポリペプチドループ(L1、L2及びL3)の6つのポリペプチドループで形成される。VH及びVL領域をコードする多様な一次的レパートリーのV遺伝子が、遺伝子セグメントの組合せ再構成により生成される。VH遺伝子は、VH、D及びJHの3つの遺伝子セグメントの組換えによって生成される。ヒトでは、ハプロタイプに応じて、約51の機能的VHセグメント(Cook及びTomlinson(1995)Immunol Today、16:237)、25の機能的Dセグメント(Corbettら、(1997)J.Mol.Biol.、268:69)及び6つの機能的JHセグメント(Ravetchら、(1981)Cell、27:583)が存在する。VHセグメントは、VH領域(H1及びH2)の第1及び第2の抗原結合ループを形成するポリペプチド鎖の領域をコードするのに対して、VH、D及びJHセグメントは、VH領域(H3)の第3の抗原結合ループを形成するように結合する。VL遺伝子は、VL及びJLのわずか2つの遺伝子セグメントの組換えによって生成される。ヒトでは、ハプロタイプに応じて、約40の機能的Vκセグメント(Schable及びZachau(1993)Biol.Chem.Hoppe− Seyler、374:1001)、31の機能的Vλセグメント(Williamsら、(1996)J.Mol.so Biol.、264:220;Kawasakiら、(1997)Genome Res.、7:250)、5つの機能的Jκ領域(Hieterら、(1982)J.Biol.Chef、257:1516)及び4つの機能的Jλセグメント(Vasicek及びLeder(1990)J.Exp.Med.、172:609)が存在する。VLセグメントは、VL領域(L1及びL2)の第1及び第2の抗原結合ループを形成するポリペプチド鎖の領域をコードするのに対して、VL及びJLセグメントは、VL領域(L3)の第3の抗原結合ループを形成するように結合する。この一次レパートリーから選択された抗体は、少なくとも中程度の親和性でほぼすべての抗原を結合するのに十分な多様性を有すると考えられる。高親和性抗体は、結合の向上に基づいて免疫系により点変異が生成、選択される、再構成された遺伝子の「親和性成熟」によって生成される。
抗体の構造及び配列の分析により、6つの抗原結合ループ(H1、H2、L1、L2、L3)のうちの5つが、限定された数の主鎖構造又は標準構造を有することが示された(Chothia及びLesk(1987)d:Mol.Biol.,196:901;Chothiaら、(1989)Nature、342:877)。主鎖構造は、(i)抗原結合ループの長さ及び(ii)抗原結合ループ及び抗体骨組内での特定の主要位置における特定の残基物又は残基物の種類によって決定される。ループ長及び主要残基物の分析により、大多数のヒト抗体配列によってコードされるH1、H2,L1、L2及びL3の主鎖構造を予測することが可能であった(Chothiaら、(1992)J.Mol.Biol.、227:799;Tomlinsonら、(1995)EMBO J.、14:4628;Williamsら、(1996)J.Mol.Biol.、264:220)。H3領域は、(Dセグメントの使用により)配列、長さ及び構造の観点ではるかに多様であるが、ループ及び抗体骨組内での主要な位置における特定の残基物の長さ及び存在、又は残基物の種類に依存する短いループ長に対する限定された数の主鎖構造をも形成する(Martinら、(1996)J.Mol.Biol.、263:800;Shiraiら、(1996)FEBS Letters、399:1)。
二重特異性抗体
相補的なVH及びVL領域の対を含む二重特異性抗体は、当該技術分野で知られている。これらの二重特異性抗体は、それぞれのVH/VL対が単一の抗原又はエピトープに結合する二対のVH及びVLを含むはずである。記載の方法は、ハイブリッド雑種細胞(Milstein & Cuello、Nature 305:537−40)、ミニボディ(Huら、(1996)Cancer Res 30 56:3055−3061;)、ダイアボディ(Holligerら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90、6444 6448;WO94/13804)、キレート化組換え抗体(CRAbs;(Neriら、(1995)J.Mol.Biol.246、367−373)、biscFv(例えばAtwellら、(1996)Mol.Immunol.33、1301 1312)、「ノブインホール」安定化抗体(Carterら、(1997)Protein Sci.6、781 788)。それぞれの場合において、各抗体種は、それぞれが相補的なVH及びVL領域の対によって作られた2つの抗原結合部位を含む。それにより、各抗体は、2つの異なる抗原又はエピトープと同時に結合することが可能となり、EACH抗原又はエピトープに対する結合は、VH及びその相補的VL領域によって媒介される。これらの技術の各々は、それらに特有の欠点を示す。例えばハイブリッド雑種細胞の場合は、不活性VH/VL対は、二重特異性IgGの部分を著しく減少させうる。
相補的なVH及びVL領域の対を含む二重特異性抗体は、当該技術分野で知られている。これらの二重特異性抗体は、それぞれのVH/VL対が単一の抗原又はエピトープに結合する二対のVH及びVLを含むはずである。記載の方法は、ハイブリッド雑種細胞(Milstein & Cuello、Nature 305:537−40)、ミニボディ(Huら、(1996)Cancer Res 30 56:3055−3061;)、ダイアボディ(Holligerら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90、6444 6448;WO94/13804)、キレート化組換え抗体(CRAbs;(Neriら、(1995)J.Mol.Biol.246、367−373)、biscFv(例えばAtwellら、(1996)Mol.Immunol.33、1301 1312)、「ノブインホール」安定化抗体(Carterら、(1997)Protein Sci.6、781 788)。それぞれの場合において、各抗体種は、それぞれが相補的なVH及びVL領域の対によって作られた2つの抗原結合部位を含む。それにより、各抗体は、2つの異なる抗原又はエピトープと同時に結合することが可能となり、EACH抗原又はエピトープに対する結合は、VH及びその相補的VL領域によって媒介される。これらの技術の各々は、それらに特有の欠点を示す。例えばハイブリッド雑種細胞の場合は、不活性VH/VL対は、二重特異性IgGの部分を著しく減少させうる。
また、たいていの二重特異性手法は、2つの異なるVH/VL結合部位を再現するのに異なるVH/VL対の会合又はVH及びVL鎖の会合に依存する。したがって、集合分子における各抗原又はエピトープに対する結合部位の比を制御することは不可能であるため、集合分子の多くが1つの抗原又はエピトープに結合し、他の抗原又はエピトープに結合しない。双方の抗原又はエピトープに対する結合部位を有する分子の数を増やすためにサブユニット界面における重又は軽鎖をタンパク質工学により改変することが可能である場合もあった(Carterら、1997)が、これによって、すべての分子が、双方の抗原又はエピトープに対する結合を有することにはならない。
2つの異なる抗体結合特異性が同じ結合部位に組み込まれうるという証拠があるが、これらは、一般には、構造的に関連した抗原又はエピトープ、或いは広い交差反応性の抗体に対応する2つ以上の特異性を表す。例えば、交差反応抗体は、通常は、ニワトリ卵白リゾチーム及びシチメンチョウリゾチームの如き2つの抗原が配列及び構造において関連している場合(McCaffertyら、WO92/01047)又は遊離ハプテン、及び担体に結合しているハプテンに対して関連している場合(Griffiths ADら、EMBO J 1994 13:14 3245−60)に、そのように記述されてきた。さらなる例において、WO02/02773(Abbott Laboratories)には、「二重特異性」を有する抗体分子が記載されている。言及される抗体分子は、それらの特異性が2つ以上の単一抗原に及ぶように多数の抗原に対して生成又は選択された抗体である。WO02/02773の抗体における各相補的VH/VL対は、構造的に関連した2つ以上の抗原に対する単一の結合特異性を規定し、そのような相補的な対におけるVH及びVL領域は、それぞれ個別的な特異性を有さない。
したがって、それらの抗体は、構造的に関連した2つの抗原を包含する広い単一の特異性を有する。また、構造的に関連していない少なくとも2つ(通常はそれより多い)異なる抗原又はエピトープと反応する、多反応的な天然自己抗体についても記載されている(Casali & Notlins、Ann.Rev.Immunol.7、515−531)。モノクローナル抗体に対するファージディスプレイ技術を用いた無作為ペプチドレパートリー選択により、抗原結合部位に匹敵する一連のペプチド配列が特定されるであろうことも示された。いくつかの配列は高度に関連し、コンセンサス配列に匹敵するのに対して、他の配列は全く異なっており、ミモトープと名付けられた(Lane & Stephen、Current Opinion in Immunology、1993、5、268−271)。したがって、会合し、且つ相補的なVH及びVL領域を含む天然の四鎖抗体は、知られている多数の抗原から多くの異なる抗原に結合する潜在性を有することは明らかである。同じ抗体における2つの所定の抗原、特に必ずしも構造的に関連していない抗原に対する結合部位をどのように作成するかということはあまり明白ではない。
これに関係しうるタンパク質工学による方法が示唆された。例えば、1つの可変領域を通じての金属イオンに対する結合活性、並びに金属イオンとの接触及び相補的可変領域を通じてのハプテン(基質)に対する結合活性を有する触媒抗体を作成することが可能であることも提案された(Barbasら、5 1993 Proc.Natl.Acad.Sci USA 90、6385−6389)。しかし、この場合は、基質(第1の抗原)の結合及び触媒には、金属イオン(第2の抗体)の結合が必要であることが提案されている。したがって、VH/VL対に対する結合は、単一であるが、多成分の抗原と関係がある。
1つの可変領域に1つの抗原に対する結合接触部が作成され、第2の可変領域に第2の抗原に対する結合接触部が作成されるラクダ抗体重鎖単一領域から二重特異性抗体を作成するための方法が記載されている。しかし、可変領域は相補的ではなかった。したがって、第1の重鎖可変領域を第1の抗原に対して選択し、第2の重鎖可変領域を第2の抗原に対して選択し、次いで双方の領域を同一の鎖上で互いに結合させて、二重特異性抗体断片を与える(Conrathら、J.Biol.Chem.270、27589−27594)。しかし、ラクダ重鎖単一領域は、軽鎖を有さない天然のラクダ抗体から誘導されるという点で特異的であり、実際、重鎖単一領域は、ラクダ軽鎖と会合して、相補的なVH及びVL対を形成することができない。
軽鎖を通常伴う天然抗体から誘導される単一重鎖可変領域も記載されている(モノクローナル抗体又は領域のレパートリーから;EP−A−0368684参照)。これらの重鎖可変領域は、関連する1つ又は複数の抗原と特異的に相互作用することが示されたが、他の重又は軽鎖可変領域と結合して、2つ以上の異なる抗原に対する特異性を有するリガンドを作成することはなかった。また、これらの単一領域は、インビボ半減期が非常に短いことが示された。したがって、当該領域は、治療価値が限られている。
(上述のように)特異性の異なる重鎖可変領域を互いに結合させることによって二重特異性断片を作ることが示唆された。この手法の短所は、単離された抗体可変領域は、通常は軽鎖と相互作用し、溶媒に接触される疎水性界面を有し、「粘着性」で、単一領域が疎水性表面に結合することを可能にしうるということである。また、パートナーである軽鎖が存在しない状態で、2つ以上の異なる重鎖可変領域の組合せ、及び恐らくはそれらの疎水性界面を介する会合により、それらが分離して結合できるリガンドの一方又は双方に結合することを防止することができる。さらに、この場合は、重鎖可変領域は、相補的軽鎖可変領域に対応づけられないため、安定性が劣り、容易に変性しうる(Worn & Pluckthun、1998 Biochemistry 37、13120−7)。
本発明人らは、本発明人らの同時係属国際特許出願WO03/002609、並びに同時係属未公開英国特許出願第0230203.2号において、それぞれが異なる特異性を有することができる免疫グロブリン単一可変領域を含む二重特異性免疫グロブリンリガンドについて記載した。それらの領域は、互いに競合して、又は独立して作用して、標的分子上で抗原又はエピトープを結合することができる。
本発明は、TNF−α関連炎症性疾患にかかっている個体の当該疾患を治療する方法を記述する。該方法は、治療有効量の単一領域抗体ポリペプチド構築物、好ましくはヒト単一領域抗体構築物を当該個体に投与することを含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物はヒトTNFαを結合し、それによってTNF−α疾患が治療される。
一態様において、炎症性疾患は関節リウマチであり、該方法は、そのいずれかがヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物の使用を含む。本発明は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物と、リガンドの第1の特異性がTNFαに向けられ、第2の特異性がVEGF又はHSAに向けられる二重特異性リガンドとを含む組成物を記述する。本発明は、リガンドの第1の特異性がVEGFに向けられ、第2の特異性がHSAに向けられる二重特異性リガンドをさらに記述する。
疾病を治療するための医薬の調製、特に関節リウマチを治療するための医薬の調製における、本明細書に記載されているポリペプチド構築物の使用も本明細書に包含される。
一態様において、本発明は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、それによって関節リウマチが治療される方法を包含する。
一実施形態において、該組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止する。
他の実施形態において、Tg197遺伝子組換えマウスに対する組成物の投与は、a)異型接合Tg197遺伝子組換えマウスに対して組成物を腹腔内注射により毎週投与する工程と、b)工程a)のマウスの重量を毎週測定する工程と、c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候についてマウスを毎週採点する工程とを含む。
他の実施形態において、関節炎症状の発症が示される前に組成物が投与される。他の実施形態において、マウスが3週齢のときに組成物が最初に投与される。他の実施形態において、マウスが6週齢のときに組成物が最初に投与される。
他の実施形態において、組成物は、統計的有意の範囲内で、エタネルセプト、インフリキシマブ及びD2E7からなる群から選択される薬剤の(mg/kg単位の)同等用量以上である、Tg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する。
他の実施形態において、組成物は、治療が0から0.5の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する。他の実施形態において、組成物は、治療が0から1.0の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する。他の実施形態において、組成物は、治療が0から1.5の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する。他の実施形態において、組成物は、治療が0から2.0の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する。
他の実施形態において、治療は、関節リウマチの進行を抑制することを含む。他の実施形態において、治療は、関節リウマチの発症を防止する、又は遅らせることを含む。
他の実施形態において、投与は、RAの1つ又は複数の指標の統計的に有意な変化をもたらす。他の実施形態において、RAの1つ又は複数の指標は、血沈(ESR)、リッチ(Ritchie)関節指数及び朝のこわばりの持続時間、関節可動度、関節腫脹、1つ又は複数の関節のX線撮像、並びに1つ又は複数の関節の固定部の組織病理学的分析のいずれかを含む。
他の実施形態において、RAの1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎のマクロ表現型徴候について採点され、関節炎のマクロ表現型徴候は、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って採点される。
他の実施形態において、RAの1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎の組織病理学的徴候のマクロ表現型徴候の減少を含み、組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎の組織病理学的徴候について採点され、関節炎の組織病理学的徴候は、関節に実現され、0=検出可能な病状なし、1=滑膜の過形成及び多形核浸潤物の存在、2=パンヌス及び繊維状組織の形成並びに限局性軟骨下骨浸食、3=関節軟骨破壊及び骨浸食、4=広範な関節軟骨破壊及び骨浸食のシステムを用いて採点される。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒト単一領域抗体ポリペプチドを含む。他の実施形態において、ヒト単一領域抗体ポリペプチドは、TNFαを結合する。他の実施形態において、単一領域ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nMから50pMの範囲のKdでヒトTNFαを結合する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、30nMから50pMの範囲のKdでヒトTNFαを結合する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、10nMから50pMの範囲のKdでヒトTNFαを結合する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、1nMから50pMの範囲のKdでヒトTNFαを結合する。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞傷害性細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和する。
本発明は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチドを含む治療有効量の組成物を投与することを含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物はヒトTNFαのTNFα受容体に対する結合を阻害し、それによって関節リウマチが治療される方法をさらに包含する。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、細胞表面受容体に結合されたヒトTNF−αに対して特異的に結合する。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15分から12時間の範囲のインビボtα半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、1から6時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、2から5時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、3から4時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から60時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から48時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から26時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから150mg分/mlのインビボAUC半減期値を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから100mg分/mlのインビボAUC半減期値を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから75mg分/mlのインビボAUC半減期値を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから50mg分/mlのインビボAUC半減期値を有する。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、PEG分子に結合される。他の実施形態において、PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも24kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである。他の実施形態において、PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも200kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである。他の実施形態において、本発明のPEG化タンパク質を平均で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20又はそれより多いポリエチレングリコール分子に結合することができる。
他の実施形態において、抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する2つ以上の単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドを含む。他の実施形態において、抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ二量体を含む。他の実施形態において、抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ三量体を含む。他の実施形態において、抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ四量体を含む。
他の実施形態において、TNFα以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドをさらに含む。他の実施形態において、TNFα以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドは、単一領域抗体ポリペプチドを含む。他の実施形態において、TNFα以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドによるTNFα以外の抗原の結合は、抗体ポリペプチド構築物のインビボ半減期を増加させる。他の実施形態において、TNFα以外の抗原は、血清タンパク質を含む。他の実施形態において、血清タンパク質は、フィブリン、α−2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲン、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、タンパク質、ユビキチン、子宮グロブリン及びβ−2−ミクログロブリンからなる群から選択される。他の実施形態において、TNFα以外の抗原は、HSAを含む。
他の実施形態において、治療は、少なくとも1つのさらなる治療薬の投与をさらに含む。
本発明は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防ぎ、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合し、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和し、それによって関節リウマチが治療される方法をさらに包含する。
本発明は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防ぎ、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和する組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制する組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和し、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制し、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する組成物をさらに包含する。
本発明は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、それによって関節リウマチが治療される方法をさらに包含する。
一実施形態において、組成物は、コラーゲン誘発関節炎(CIA)マウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止する。マウス型IIコラーゲンによるDBA/1マウスの免疫化は、ヒト自己免疫関節炎に対する強力なモデルを提供する慢性再発性多発関節炎を誘発する。そのモデルは、例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれているCourtenayら、1980、Nature 282:666−668;Katoら、1996、Ann.Rheum.Dis.55:535−539;及びMyersら、1997、Life Sci.61:1861−1878に記載されている。
一実施形態において、マウスに対する組成物の投与は、a)CIAマウスに対して組成物を腹腔内注射により毎週投与する工程と、b)工程a)のマウスの重量を毎週測定する工程と、c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候についてマウスを採点する工程とを含む。
一実施形態において、治療は、関節リウマチの進行を抑制することを含む。
一実施形態において、治療は、関節リウマチの発症を防止する、又は遅らせることを含む。
一実施形態において、投与は、RAの1つ又は複数の指標の統計的に有意な変化をもたらす。その変化は、好ましくは少なくとも10%以上である。
一実施形態において、RAの1つ又は複数の指標は、血沈(ESR)、リッチ関節指数(Ritchieら、1968、Q.J.Med.37:393−406)及び朝のこわばりの持続時間、関節可動度、関節腫脹、1つ又は複数の関節のX線撮像による分析、並びに1つ又は複数の関節の固定部の組織病理学的指標のいずれかを含む。疾患活動性スコア(DAS)及び/又は慢性関節炎体系的指数(CASI)を用いて、疾患活動性、及び治療によって生じた変化を評価することも可能である(Carottiら、2002、Ann.Rheum.Dis.61:877−882、及びSalaffiら、2000、Rheumatology 39:90−96参照)。
一実施形態において、RAの1つ又は複数の指標は、コラーゲン誘発関節炎マウスモデルのマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、組成物は該マウスに投与され、該マウスは、関節炎のマクロ表現型徴候について採点され、関節炎のマクロ表現型徴候は、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って採点される。
一実施形態において、RAの1つ又は複数の指標は、コラーゲン誘発関節炎マウスモデルのマウスにおける関節炎の組織病理学的徴候のマクロ表現型徴候の減少を含み、組成物は該マウスに投与され、該マウスは、関節炎の組織病理学的徴候について採点され、関節炎の組織病理学的徴候は、関節に実現され、0=検出可能な病状なし、1=滑膜の過形成及び多形核浸潤物の存在、2=パンヌス及び繊維状組織の形成並びに限局性軟骨下骨浸食、3=関節軟骨破壊及び骨浸食、4=広範な関節軟骨破壊及び骨浸食のシステムを用いて採点される。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒト単一領域抗体ポリペプチドを含む。
一実施形態において、ヒト単一領域抗体ポリペプチドは、VEGFを結合する。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトVEGFを結合する。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nMから50pMの範囲のKdでヒトVEGFを結合する。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、30nMから50pMの範囲のKdでヒトVEGFを結合する。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、10nMから50pMの範囲のKdでヒトVEGFを結合する。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、1nmから50pMの範囲のKdでヒトVEGFを結合する。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、VEGF受容体1試験又はVEGF受容体2試験で測定されるヒトVEGFを中和する。
本発明は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒトVEGFのVEGF受容体に対する結合を抑制し、それによって関節リウマチが治療される方法をさらに包含する。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、細胞表面受容体に結合されたヒトVEGFに対して特異的に結合する。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、PEG分子に結合される。
一実施形態において、PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも24kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである。
一実施形態において、PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも200kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである。
一実施形態において、本発明のPEG化タンパク質を平均で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20又はそれより多いポリエチレングリコール分子に結合することができる。
一実施形態において、抗体構築物は、ヒトVEGFを結合する2つ以上の単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドを含む。
一実施形態において、抗体構築物は、ヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ二量体を含む。
一実施形態において、抗体構築物は、ヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ三量体を含む。
一実施形態において、抗体構築物は、ヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ四量体を含む。
一実施形態において、構築物は、VEGF以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドをさらに含む。
一実施形態において、VEGF以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドは、単一領域抗体ポリペプチドを含む。
一実施形態において、VEGF以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドによるVEGF以外の抗原の結合は、抗体ポリペプチド構築物のインビボ半減期を増加させる。
一実施形態において、VEGF以外の抗原は、血清タンパク質を含む。
一実施形態において、血清タンパク質は、フィブリン、α−2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲン、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、タンパク質、ユビキチン、子宮グロブリン及びβ−2−ミクログロブリンからなる群から選択される。
一実施形態において、VEGF以外の抗原は、HSAを含む。
一実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15分から12時間の範囲のインビボtα半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、1から6時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、2から5時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、3から4時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から60時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から48時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から26時間の範囲のインビボtβ半減期を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから150mg分/mlのインビボAUC半減期値を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから100mg分/mlのインビボAUC半減期値を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから75mg分/mlのインビボAUC半減期値を有する。他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから50mg分/mlのインビボAUC半減期値を有する。
一実施形態において、治療は、少なくとも1つのさらなる治療薬の投与をさらに含む。
一実施形態において、治療薬は、エタネルセプト、インフリキシマブ及びD2E7からなる群から選択される。
一実施形態において、治療薬は、コルチコステロイド、タンパク質分解酵素、非ステロイド抗炎症薬(NTHES)、アセチルサリチル酸、ピラゾロン、フェナム酸塩、ジフルニサル、酢酸誘導体、プロピオン酸誘導体、オキシカム、メフェナム酸、ポンステル、メクロフェナム酸塩、メクロメン、フェニルブタゾン、ブタゾリジン、ジフルニサル、ドロビド、ジクロフェナク、ボルタレン、インドメタシン、インドシン、スリンダク、クリノリル、エトドラク、ロジン、ケトロラク、トラドール、ナブメトン、レラフェン、トルメチン、トレクチン、イブプロフェン、モツリン、フェノプロフェン、ナルフォン、フルルビプロフェン、アンテ、カルプロフェン、リマジル、ケトプロフェン、オルジス、ナプロキセン、アナプロクス、ナプロシン、ピロキシカム及びフェルデンからなる群から選択される。
本発明は、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも85%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも92%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも92%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも94%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも94%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも96%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも96%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも98%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも98%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも99%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
からなる群から選択されるアミノ酸配列、又はそれに対して少なくとも99%の同一性を有する配列を含む組成物をさらに包含する。
本発明は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、それによって関節リウマチが治療される方法をさらに包含する。
一実施形態において、組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止する。
他の実施形態において、Tg197遺伝子組換えマウスに対する組成物の投与は、a)異型接合Tg197遺伝子組換えマウスに対して組成物を腹腔内注射により毎週投与する工程と、b)工程a)のマウスの重量を毎週測定する工程と、c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候についてマウスを採点する工程とを含む。
他の実施形態において、組成物は、統計的有意の範囲内で、エタネルセプト、インフリキシマブ及びD2E7からなる群から選択される薬剤の効果以上である、Tg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する。
他の実施形態において、治療は、関節リウマチの進行を抑制することを含む。
他の実施形態において、治療は、関節リウマチの発症を防止する、又は遅らせることを含む。
他の実施形態において、投与は、RAの1つ又は複数の指標の統計的に有意な変化をもたらす。
他の実施形態において、RAの1つ又は複数の指標は、血沈(ESR)、リッチ関節指数及び朝のこわばりの持続時間、関節可動度、関節腫脹、1つ又は複数の関節のX線撮像、並びに1つ又は複数の関節の固定部の組織病理学的分析のいずれかを含む。
他の実施形態において、RAの1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎のマクロ表現型徴候について採点され、関節炎のマクロ表現型徴候は、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って採点される。
他の実施形態において、RAの1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎の組織病理学的徴候のマクロ表現型徴候の減少を含み、組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎の組織病理学的徴候について採点され、関節炎の組織病理学的徴候は、関節に実現され、0=検出可能な病状なし、1=滑膜の過形成及び多形核浸潤物の存在、2=パンヌス及び繊維状組織の形成並びに限局性軟骨下骨浸食、3=関節軟骨破壊及び骨浸食、4=広範な関節軟骨破壊及び骨浸食のシステムを用いて採点される。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒト単一領域抗体ポリペプチドを含む。
他の実施形態において、ヒト単一領域抗体ポリペプチドは、TNFα及びVEGFを結合する。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和する。
他の実施形態において、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、PEG分子に結合される。
他の実施形態において、PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも24kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは、20から60kDaである。
他の実施形態において、PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも200kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは、20から60kDaである。
他の実施形態において、抗体ポリペプチド構築物は、平均で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、17、20又はそれより多いポリエチレングリコール分子に結合される。
他の実施形態において、抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する2つ以上の単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチド、及び/又はヒトVEGFを結合する2つ以上の単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドを含む。
他の実施形態において、抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ二量体、及び/又はヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ二量体を含む。
他の実施形態において、抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ三量体、及び/又はヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ三量体を含む。
他の実施形態において、抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ四量体、及び/又はヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ四量体を含む。
他の実施形態において、構築物は、TNFα又はVEGF以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドをさらに含む。
他の実施形態において、TNFα又はVEGF以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドは、単一領域抗体ポリペプチドを含む。
他の実施形態において、TNFα又はVEGF以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドによるTNFα又はVEGF以外の抗原の結合は、抗体ポリペプチド構築物のインビボ半減期を増加させる。
他の実施形態において、TNFα又はVEGF以外の抗原は、血清タンパク質を含む。
他の実施形態において、血清タンパク質は、フィブリン、α−2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲン、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、タンパク質、ユビキチン、子宮グロブリン及びβ−2−ミクログロブリンからなる群から選択される。
他の実施形態において、TNFα以外の抗原は、HSAを含む。
他の実施形態において、治療は、少なくとも1つのさらなる治療薬の投与をさらに含む。
本発明は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制する組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する組成物をさらに包含する。
本発明は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和し、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制し、単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する組成物をさらに包含する。
他の態様は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する単一領域抗体ポリペプチド構築物であって、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和し、関節リウマチの進行を抑制し、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する単一領域抗体ポリペプチド構築物を選択するための方法であって、(1)各部位においてすべての可能なアミノ置換基が生成されるように、前記単一領域抗体ポリペプチドのいくつかの超可変領域部位をコードする核酸を変異させる工程と、(2)工程(1)で生成された変異超可変領域部位をファージミドディスプレイベクターに導入して、ファージミド表面ディスプレイタンパク質に表示された前記変異超可変領域部位の1つを発現することがそれぞれ可能なディスプレイベクターの大集団を形成する工程と、(3)このようにして生成された変異超可変領域部位が、融合物としての繊維状ファージ粒子から各粒子内に包まれたM13の遺伝子III生成物まで一価的に表示されるように、繊維状ファージ粒子の表面に変異超可変領域部位を発現させる工程と、(4)表面発現ファージ粒子をTNFαに結合する能力についてスクリーニングする工程と、(5)TNFαに結合することが可能な表面発現ファージ粒子を単離する工程と、(6)TNFαを結合することが可能であり、また、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止し、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和し、関節リウマチの進行を抑制し、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する工程(5)の表面発現ファージ粒子を選択することによって、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含有する表示タンパク質を含有する1つ又は複数のファージミドの種を選択する工程を含む方法である。
他の態様は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、それによって前記関節リウマチが治療され、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15分から12時間、1から6時間、2から5時間、又は3から4時間の範囲のインビボtα半減期を有する方法である。
他の実施形態は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、それによって前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から60時間、12から48時間、又は12から26時間の範囲のインビボtβ半減期を有する方法である。
他の実施形態は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、それによって前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから150mg分/ml、15mg分/mlから100mg分/ml、15mg分/mlから75mg分/ml、又は15mg分/mlから50mg分/mlのインビボAUC半減期値を有する方法である。
他の実施形態は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して治療有効量の組成物を投与することを含み、前記組成物は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、それによって前記リウマチ関節を治療し、前記組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、それぞれ100nM未満のKdでヒトTNFα及びVEGFを結合し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、それぞれ100nMから50pMのKdでヒトTNFα及びVEGFを結合し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、それぞれ30nMから50pMのKdでヒトTNFα及びVEGFを結合し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、それぞれ10nMから50pMのKdでヒトTNFα及びVEGFを結合し、又は前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、それぞれ1nmから50pMの範囲のKdでヒトTNFα及びVEGFを結合する方法である。
他の実施形態は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒトTNFαのTNFα受容体に対する結合、及びヒトVEGFのVEGF受容体に対する結合を抑制し、それによって前記関節リウマチが治療される方法である。
他の実施形態は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒトTNFαのTNFα受容体に対する結合、及びヒトVEGFのVEGF受容体に対する結合を抑制し、それによって前記関節リウマチを治療し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、細胞表面受容体に結合されたヒトTNFαに対して特異的に結合する方法である。
他の実施形態は、関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して治療有効量の組成物を投与することを含み、前記組成物は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、それによって前記関節リウマチを治療し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、細胞表面受容体に結合されたヒトTNFαに対して特異的に結合する方法である。
本発明の他の実施形態は、TNFαに対して特異的な抗体構築物を投与することを含む関節リウマチ治療方法であって、抗体構築物の配列は、本明細書に列記されている抗TNF−αクローンのいずれか1つのクローンの配列に対して85、90、95、96、97、98若しくは99%以上又は100%の同一性を有する配列を含む、又は当該配列からなる関節リウマチ治療方法である。
本発明の他の実施形態は、TNFαに対して特異的な抗体構築物を含む組成物であって、抗体構築物の配列は、本明細書に列記されている抗TNF−αクローンのいずれか1つのクローンの配列に対して85、90、95、96、97、98若しくは99%以上又は100%の同一性を有する配列を含む、又は当該配列からなる組成物である。
本発明の他の実施形態は、VEGFに対して特異的な抗体構築物を投与することを含む関節リウマチ治療方法であって、抗体構築物の配列は、本明細書に列記されている抗VEGFクローンのいずれか1つのクローンの配列に対して85、90、95、96、97、98若しくは99%以上又は100%の同一性を有する配列を含む、又は当該配列からなる関節リウマチ治療方法である。
本発明の他の実施形態は、VEGFに対して特異的な抗体構築物を含む組成物であって、抗体構築物の配列は、本明細書に列記されている抗VEGFクローンのいずれか1つのクローンの配列に対して85、90、95、96、97、98若しくは99%以上又は100%の同一性を有する配列を含む、又は当該配列からなる組成物である。
他の実施形態において、第1の抗原又はエピトープを結合するVH又はVL単一領域抗体の2つの複製物と、第2の抗原又はエピトープを結合するVH又はVL単一領域抗体の2つの複製物とを含む四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物が提供される。第1及び第2のエピトープは、同一の抗原、或いは異なる抗原に存在することが可能である。第1の抗原又はエピトープを結合する単一領域抗体の2つの複製物の各々は、それぞれのIgG重鎖定常領域に融合され、第2の抗原又はエピトープを結合する単一領域抗体の2つの複製物の各々は、それぞれの軽鎖定常領域に融合される。これらの四価二重特異性ポリペプチド構築物は、重鎖及び軽鎖定常領域で接続された2つの抗原結合腕を有するという点においてIgG様である。それらは、各腕に2つの異なる抗原特異性単一領域抗体ポリペプチドが存在することにより、各腕は、2つの異なる抗原又はエピトープを結合して、構築物を四価且つ二重特異性にすることが可能であるという点において、天然のIgGとは異なる。一実施形態において、第1及び第2のエピトープは、ポリペプチド構築物に存在するそのエピトープに対する4つの特異的結合部位が存在するように同一になる。他の実施形態において、第1及び第2のエピトープは、異なっており、同一又は異なる抗原に存在する。
本明細書に記載されている二重特異性四価ポリペプチド構築物は、任意の2つの抗原又はエピトープに対して特異的な単一領域抗体配列、詳細にはヒトTNF−α及びVEGFに対して特異的な配列、より詳細には本明細書に記載されている単一領域抗体配列のいずれかを含むことが可能である。他の実施形態において、Cκ又はCλ軽鎖定常領域を使用することが可能であり、IgG1以外のIgG重鎖定常領域を使用することも可能である。
関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに単量体として投与されると関節炎スコアの増加を防止する単一領域抗TNF−α抗体クローンと、コラーゲン誘発関節炎マウスモデルのマウスに単量体として投与されると関節炎スコアの増加を防止する単一領域抗VEGF抗体クローンとを含むこの種の構築物も包含される。さらなる実施形態において、使用される単一領域抗体TNF−α抗体クローンは、単量体として使用されると、本明細書に記載されているL929細胞傷害性試験におけるTNF−αを中和し、使用される単一領域抗VEGF抗体クローンは、単量体として使用されると、本明細書に記載されているようにVEGF受容体2結合の試験におけるVEGF受容体結合に拮抗する。さらなる実施形態において、使用される単一領域抗体クローンは、100nM未満のKdでそれぞれの抗原又はエピトープを結合する。さらなる実施形態において、二重特異性二価構築物は、100nM未満のKdでそれぞれの抗原又はエピトープを結合し、本明細書に記載されているTg197及びCIAモデルのいずれか又は双方における関節炎スコアの増加を防止する。
当該四価二重特異性構築物を、投与、用量及び効力のモニタリングの観点で、本明細書に記載されている他の構築物と同様にして関節リウマチの治療に使用することが可能である。例えば、PEG成分を添加することによって、又は循環半減期を増加させるタンパク質、例えばHSAの如き血清タンパク質に特異的な結合成分(例えばさらなる単一領域抗体)をさらに融合させることによって、上述したように構築物の半減期を変更することが可能である。
次いで、一態様において、TNF−αを結合する第1の抗体単一領域ポリペプチドと、VEGFを結合する第2の抗体単一領域ポリペプチドとを含む二重特異性抗原結合ポリペプチドが記載される。当該ポリペプチドを、例えば、関節リウマチの治療に使用することが可能である。
次いで、他の態様において、a)IgG重鎖定常領域に融合した、第1のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第1の融合タンパク質の第1の複製物と、b)前記第1の融合タンパク質の第2の複製物と、c)軽鎖定常領域に融合した、第2のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第2の融合タンパク質の第1の複製物と、d)前記第2の融合タンパク質の第2の複製物とを含み、前記第1の融合タンパク質の前記第1及び前記第2の複製物は、それぞれのIgG重鎖定常領域を介して互いにジスルフィド結合され、前記第2の融合タンパク質の前記第1の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第1の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、前記第2の融合タンパク質の前記第2の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第2の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、前記ポリペプチド構築物は、前記第1及び前記第2のエピトープを結合する四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物が記載される。
当該四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物の一実施形態において、第1のエピトープを結合する単一領域抗体は、VH及びVLから選択されるV領域である。
他の実施形態において、第2のエピトープを結合する単一領域抗体は、VH及びVLから選択されるV領域である。
他の実施形態において、IgG重鎖定常領域は、IgG1重鎖定常領域である。
他の実施形態において、軽鎖定常領域は、Cκ又はCλ軽鎖定常領域である。他の実施形態において、軽鎖定常領域は、Cκ軽鎖定常領域である。
他の実施形態において、第1及び第2のエピトープは、同一の抗原に存在する。
他の実施形態において、第1及び第2のエピトープは、異なる第1及び第2の抗原に存在する。
他の実施形態において、第1のエピトープを結合する前記単一領域抗体、及び第2のエピトープを結合する前記単一領域抗体の一方又は双方は、ヒト単一領域抗体である。
他の実施形態において、前記第1のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチド、及び/又は前記第2のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドは、ヒト生殖系列VH遺伝子配列によってコードされたFW1、ヒト生殖系列VH遺伝子配列によってコードされたFW2、ヒト生殖系列VH遺伝子配列によってコードされたFW3、及びヒト生殖系列VH遺伝子配列によってコードされたFW4のいずれかを含む。
他の実施形態において、第1のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドと、第2のエピトープを結合する単一領域抗体の双方がヒト単一領域抗体である。
他の実施形態において、IgG重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖定常領域である。
他の実施形態において、IgG重鎖定常領域は、CH1領域を含む。
他の実施形態において、軽鎖定常領域は、Cκ軽鎖定常領域である。
他の実施形態において、構築物は、TNF−α及びVEGFを結合する。他の実施形態において、VEGFを結合する単一領域抗体は、IgG1重鎖定常領域に融合され、TNF−αを結合する単一領域抗体は、Cκ軽鎖定常領域に融合される。
他の実施形態において、VEGFを結合する単一領域抗体は、コラーゲン誘発関節炎マウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する。
他の実施形態において、ヒトVEGFの活性に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド成分は、100nM未満のKdでヒトVEGFを結合する。
他の実施形態において、ヒトVEGFの活性に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド成分は、VEGF受容体1試験又はVEGF受容体2試験で測定されるヒトVEGFを中和する。
他の実施形態において、ヒトVEGFの活性に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド成分は、細胞表面受容体に結合されたヒトVEGFに対して特異的に結合する。
本態様の他の実施形態において、TNF−αを結合する、又はヒトTNF−αの活性に拮抗する単一領域抗体は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する。他の実施形態において、単一領域抗体は、標準的なL929細胞傷害性試験で測定されるヒトTNF−αを中和する。他の実施形態において、単一領域抗体は、100nM未満のKdでヒトTNF−αを結合する。
本態様の任意の実施形態において、ヒトTNF−αの活性に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド成分は、例えば、クローン
からなる群から選択される抗体ポリペプチドのCDR3のアミノ酸配列、又は前記配列に対して例えば少なくとも85%、或いは少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むことが可能である。
からなる群から選択される抗体ポリペプチドのCDR3のアミノ酸配列、又は前記配列に対して例えば少なくとも85%、或いは少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むことが可能である。
本態様の他の実施形態において、ヒトTNF−αの活性に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド成分は、例えば、クローン
からなる群から選択される抗体ポリペプチドのアミノ酸配列、又は前記配列に対して例えば少なくとも85%、或いは少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むことが可能である。
からなる群から選択される抗体ポリペプチドのアミノ酸配列、又は前記配列に対して例えば少なくとも85%、或いは少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むことが可能である。
本態様の任意の実施形態において、ヒトVEGFのVEGF受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド成分は、例えば、クローン
からなる群から選択される抗体ポリペプチドのCDR3のアミノ酸配列、又は前記配列に対して例えば少なくとも85%、或いは少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むことが可能である。
からなる群から選択される抗体ポリペプチドのCDR3のアミノ酸配列、又は前記配列に対して例えば少なくとも85%、或いは少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むことが可能である。
本態様の他の実施形態において、ヒトVEGFのVEGFに対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド成分は、例えば、クローン
からなる群から選択される抗体ポリペプチドのアミノ酸配列、又は前記配列に対して例えば少なくとも85%、或いは少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むことが可能である。
からなる群から選択される抗体ポリペプチドのアミノ酸配列、又は前記配列に対して例えば少なくとも85%、或いは少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むことが可能である。
定義
特に指定のない限り、本明細書に用いられているすべての科学技術用語は、当業者に広く理解されているものと同じ意味を有する(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術及び生化学)。分子、遺伝子及び生化学的方法(概して、参照により本明細書に組み込まれているSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Mannual、第2版。(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,N.Y.;及びAusubelら、Short protocols in Molecular Biology(1999)、第4版、John Willey & Sons,Inc.)、並びに化学的方法に標準的な技術が用いられている。
特に指定のない限り、本明細書に用いられているすべての科学技術用語は、当業者に広く理解されているものと同じ意味を有する(例えば、細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、ハイブリダイゼーション技術及び生化学)。分子、遺伝子及び生化学的方法(概して、参照により本明細書に組み込まれているSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Mannual、第2版。(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,N.Y.;及びAusubelら、Short protocols in Molecular Biology(1999)、第4版、John Willey & Sons,Inc.)、並びに化学的方法に標準的な技術が用いられている。
本明細書に用いられているように、「領域」という用語は、タンパク質の残りの部分から独立してその三次構造を保持する折りたたみタンパク質を意味する。概して、領域は、タンパク質の個々の機能特性に係わり、多くの場合、タンパク質の残りの部分及び/又は領域の機能を失うことなく、他のタンパク質に対して添加、除去又は転写されうる。
「単一免疫グロブリン可変領域」又は「単一領域抗体ポリペプチド」とは、免疫グロブリン可変領域に特徴的な配列を含み、抗原を特異的に結合する(すなわち解離定数が500nM以下である)折りたたみポリペプチド領域を意味する。したがって、「単一領域抗体ポリペプチド」は、完全抗体可変領域、並びに、例えば、1つ又は複数のループが、抗体可変領域に特徴的でない配列、或いは切断されているか、又はN−若しくはC−末端延長部を含む抗体可変領域で置換された修飾可変領域、並びに500nm以下(例えば450nM以下、400nM以下、350nM以下、300nM以下、250nM以下、200nM以下、150nM以下、100nM以下)の解離定数、及び全長領域の標的抗原特異性を保持する可変領域の折りたたみ断片を含む。好ましくは、抗体単一可変領域は、Vkappa及びVlambdaを含むVH及びVLからなる群から選択される。
「単一領域抗体ポリペプチド構築物」という語句は、単離された単一領域抗体ポリペプチドのみならず、単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチド配列の1つ又は複数の単量体を含むより大きいポリペプチド構築物をも包含する。より大きい構築物の一部である単一領域抗体ポリペプチドは、独自に、標的抗原を特異的に結合することが可能であることが強調される。したがって、2つ以上の単一領域抗体ポリペプチドを含む単一領域抗体ポリペプチド構築物は、例えば、単一抗原分子を特異的に結合するのに必要な結合部位を形成するのにVH及びVL領域がともに必要とされる構築物を包含しない。単一領域抗体ポリペプチド構築物における単一領域抗体ポリペプチド環の結合は、ペプチド又はポリペプチド結合、或いは多価PEGに対するポリペプチド単量体の結合を介する等の他の化学結合でありうる。結合された単一領域抗体ポリペプチドは、同一又は異なっていることが可能であり、構成ポリペプチドの標的特異性も同様に同一又は異なっていることが可能である。
相補的:2つの免疫グロブリン領域は、同族対又はグループを形成する構築物のファミリーに属する、或いは当該ファミリーから誘導され、この特徴を保持する場合は、「相補的」である。例えば、抗体のVH領域及びVL領域は相補的であり、2つのVH領域は相補的でなく、2つのV領域は相補的でない。相補的領域は、T細胞受容体のVα及びVβ(又はVγ及びVδ)領域の如き免疫グロブリンスーパーファミリーの他のメンバーに見い出すことができる。本発明の第2の構成の範囲において、被相補的領域は、標的分子を協同的に結合しないが、同一又は異なる分子に存在しうる異なる標的エピトープに対して独立的に作用する。エピトープを結合するように設計されなければエピトープを結合しないタンパク質骨格に基づく領域の如き人工的な領域は、非相補的である。同様に、(例えば)免疫グロブリン領域及びフィブロネクチン領域に基づく2つの領域は相補的でない。
免疫グロブリン:これは、2つのβシート、及び通常は保存ジスルフィド結合を含む、抗体分子の免疫グロブリン折りたたみ特性を保持するポリペプチドのファミリーを意味する。免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーは、免疫系における広範な役割(例えば抗体及びT細胞受容体分子)、細胞接着への関与(例えばICAM分子)及び細胞内シグナル伝達(例えばPDGF受容体の如き受容体分子)を含むインビボの細胞及び非細胞相互作用の多くの態様に関与する。
本発明は、結合領域を保有するすべての免疫グロブリンスーパーファミリー分子に適用可能である。好ましくは、本発明は、抗体に関する。
結合:本発明による可変領域を結合させて、領域のグループを形成する。例えば、VL領域をVH領域に結合させる等、相補的領域を結合させることができる。非相補的領域を結合させることもできる。共有又は非共有結合手段による領域の結合を含む、いくつかの方法で領域を結合させることができる。
閉鎖構造多重特異性リガンド:この語句は、本明細書において考えられている少なくとも2つのエピトープ結合領域を含む、本明細書に定義されている多重特異性リガンドを記述する。「閉鎖構造」(多重特異性リガンド)という用語は、1つのエピトープ結合領域によるエピトープ結合が、他のエピトープ結合領域によるエピトープ結合と競合するように、リガンドのエピトープ結合領域が構成されることを意味する。すなわち、同族エピトープを各エピトープ結合領域により個別に結合させることができるが、同時に結合させることはできない。リガンドの閉鎖構造は、本明細書に記載されている方法を用いて達成されうる。
抗体:抗体を自然に生成する任意の種から誘導される、又は組換えDNA技術によって作成される、或いは血清、B細胞、雑種細胞、トランスフェクト細胞、酵母又は細菌から単離される抗体(例えばIgG、IgM、IgA、IgD又はIgE)又は断片(Fab、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、閉鎖構造多重特異性抗体、ジスルフィド結合scFv、二重特異性抗体(diabody)等)。
二重特異性リガンド:本明細書に定められている第1の免疫グロブリン単一可変領域及び第2の免疫グロブリン単一可変領域を含むリガンドであって、それらの可変領域は、一特異性免疫グロブリンによって通常は結合されない同一抗原上の2つの異なる抗原又は2つのエピトープに結合することが可能であるリガンド。例えば、2つのエピトープは、同一のハプテンに存在しうるが、同一のエピトープに存在せず、また一特異性リガンドによって結合されるほど近接していない。本発明による二重特異性リガンドは、異なる特異性を有する可変領域で構成され、同一の特異性を有する互いに相補的な可変領域対を含まない。
抗原:本発明によるリガンドによって結合される分子。典型的には、抗原は、抗体リガンドによって結合され、インビボで抗体応答を高めることが可能である。それは、ポリペプチド、タンパク質、核酸又は他の分子であってもよい。一般的には、本発明による二重特異性リガンドは、特定の抗原に対する標的特異性について選択される。従来の抗体及びその断片の場合は、可変ループによって定められる抗体結合部位(L1、L2、L3及びH1、H2、H3)は、抗体に結合することが可能である。
エピトープ:従来免疫グロブリンVH/VL対によって結合される構造の単位。エピトープは、抗体に対する最小結合部位を定め、抗体の特異性の標的を表す。単一領域抗体の場合は、エピトープは、個別に可変領域によって結合される構造の単位を表す。
汎用リガンド:レパートリーのすべてのメンバーに結合するリガンド。一般には、上記に定めた抗原結合部位を介して結合しない。非限定的な例としては、タンパク質A、タンパク質L及びタンパク質Gが挙げられる。
選択:スクリーニングによって誘導される、或いは結合相互作用が領域と抗原若しくはエピトープ、又は抗体と抗原若しくはエピトープの間で行われるダーウィン選択プロセスによって誘導される。したがって、第1の可変領域は、相補的可変領域の存在下又は不在下での抗原又はエピトープに結合について選択されうる。
ユニバーサルフレームワーク:Kabat(「Sequences of Proteins of Immunological Interest、米国保健福祉省」によって定められた配列で保存される抗体の領域に対応する、或いはChothia及びLesk、(1987)J.Mol.Biol.196:910−917によって定められているヒト生殖系列免疫グロブリンレパートリー又は構造に対応する単一抗体フレームワーク配列。本発明は、高頻度領域のみの変化を通じて実質的に任意の結合特異性の誘導を可能にすることが確認された単一フレームワーク、又は当該フレームワークの集合体の使用を提供する。
均一免疫試験:結合試薬と未結合試薬を分離する工程を必要とせずに検体を検出する免疫試験。
実質的に同一(又は「実質的に相同的」):第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列が類似の活性を有するように、第2のアミノ酸又はヌクレオチド配列に対する十分な数の同一又は同等の(例えば同様の側鎖を、例えば保存アミノ酸置換基を有する)アミノ酸残基又はヌクレオチドを含む第1のアミノ酸又はヌクレオチド配列。抗体の場合は、第2の抗体は、同じ結合特異性を有し、その親和性の少なくとも50%を有する。
「領域抗体」又は「dAb」は、その用語が本明細書に用いられているように、「単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチド」又は「単一領域抗体ポリペプチド」と同等である。
本明細書に用いられているように、「特異的に結合する」という語句は、例えばBIAcore(商標)表面プラスモン共鳴システム及びBIAcore(商標)動力学的評価ソフトウェア(例えばバージョン2.1)を用いた表面プラスモン共鳴解析により測定される1μM以下の解離定数(Kd)での免疫グロブリン可変領域による抗原の結合を意味する。特異的結合相互作用に対するKdの親和性は、好ましくは約500nM以下、より好ましくは約300nM以下である。
本明細書に用いられているように、「高親和性結合」という用語は、100nM以下のKd以下の結合を意味する。
本明細書に用いられるように、「ヒト単一領域抗体ポリペプチド」という語句は、ヒト生殖系列免疫グロブリンV領域から誘導された配列を有するポリペプチドを意味する。配列は、ヒト個体、又はクローン化ヒト抗体遺伝子配列(又はヒト抗体V領域遺伝子配列)のライブラリーから単離される場合、或いは次に所望の標的抗原に対する結合について選択される1つ又は複数の(無作為又は対象の変異誘発により)1つ又は複数の多様化された配列を精製するのにクローン化ヒト生殖系列V領域配列が使用された場合に、「ヒト生殖系列V領域から誘導」される。最小限、ヒト免疫グロブリン可変領域は、天然ヒト免疫グロブリン可変領域配列に対して少なくとも85%のアミノ酸類似性(例えば87%、90%、93%、95%、97%、又は99%以上の類似性を含む)を有する。
代替的に、又は加えて、「ヒト免疫グロブリン可変領域」は、4つのヒト免疫グロブリン可変領域フレームワーク領域(W1−FW4)(フレームワーク領域はKabatら(1991、前出)によって記載されている通りである)を含む可変領域である。「ヒト免疫グロブリン可変領域フレームワーク領域」は、a)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列と、b)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列の少なくとも8つの連続アミノ酸を含むフレームワーク領域とを包含する。ヒト免疫グロブリン可変領域は、ヒト生殖系列抗体遺伝子セグメントによってデコードされた対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるFW1−FW4のアミノ酸配列を含むことができ、或いはFW1−FW4配列が、ヒト生殖系列抗体遺伝子セグメントによってデコードされた対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して、10以下のアミノ酸配列差、9以下のアミノ酸配列差、8以下のアミノ酸配列差、7以下のアミノ酸配列差、6以下のアミノ酸配列差、5以下のアミノ酸配列差、4以下のアミノ酸配列差、3以下のアミノ酸配列差、2以下のアミノ酸配列差、又は1以下のアミノ酸配列差を一括して含む可変領域を含むこともできる。
本明細書に定められている「ヒト免疫グロブリン可変領域」は、可変領域が、単一免疫グロブリン可変領域として単独で存在しているか、或いは1つ又は複数のさらなるポリペプチド配列と結合して単一免疫グロブリン可変領域として存在しているかにかかわらず、独自に抗原を特異的に結合する能力を有する。「ヒト免疫グロブリン可変領域」は、その用語が本明細書に用いられているように、「ヒト化」免疫グロブリンポリペプチド、すなわちヒトにおいて免疫原生がより低くなるように定常領域が修飾されたヒト以外の(例えばマウス、ラクダ等の)免疫グロブリンを包含しない。
本明細書に用いられているように、「免疫グロブリン可変領域の配列特性」という語句は、免疫グロブリン可変領域配列に含まれる配列に対して、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上又は50以上の連続アミノ酸にわたって相同的であるアミノ酸配列を意味する。
本明細書に用いられているように、「二価」という用語は、抗原結合抗体ポリペプチドが2つの抗原特異性結合部位を有することを意味する。抗原結合部位によって認識されるエピトープは、同一又は異なりうる。抗体ポリペプチドが、それぞれの2つの抗原特異性結合部位を介して(異なる抗原或いは同一の抗原に存在する)2つの異なるエピトープを結合するときは、抗体ポリペプチドは、「二重特異性である」と言われる。
本明細書に用いられているように、「四価」という用語は、抗原結合ポリペプチドが、4つの抗原特異性結合部位を有することを意味する。抗原結合部位によって認識されるエピトープは同一又は異なりうる。「二重特異性」四価抗体ポリペプチドは、1つのエピトープ又は抗原に対して2つの結合部位を有し、異なるエピトープ又は抗原に対して2つの結合部位を有する。
本明細書に用いられているように、「四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物」は、重鎖及び軽鎖定常領域で結合された2つの抗原結合腕を有するという点において、天然IgGに類似した構造を有する。しかし、天然IgGとは異なり、各腕は、第1の抗原に特異的な抗原結合領域と第2の抗原に特異的な抗原結合領域の2つの抗原結合領域を有する。本明細書に記載されている四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物において、抗原結合領域の各々は、単一領域抗体である。すなわち、抗原結合領域は、互いに対合して、例えばscFvsのように単一結合部位を形成しない。
本明細書に用いられているように、「IgG形式」という用語は、構築物が、互いに会合する重鎖及び軽鎖定常領域で結合された2つの抗原結合腕を有するという点において天然IgGに類似した構造を有する人工の抗原結合ポリペプチドを意味する。本明細書に記載されているように、IgG形式における抗原結合ポリペプチドは、IgG重鎖定常領域(例えばCH1−CH2−CH3)に融合される、第1の抗原又はエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第1の融合タンパク質の2つの複製物と、軽鎖定常領域(例えばCλ又はCκ)に融合される、第2の抗原に結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第2の融合タンパク質の2つの複製物との4つのポリペプチド鎖で構成される。この形式において、細胞で共発現されると、重鎖定常領域は互いにジスルフィド結合し、これらの重鎖定常領域の各々も軽鎖定常領域にジスルフィド結合する。IgG形式における抗原結合ポリペプチドは、その用語が本明細書に用いられているように四価である。定常領域に融合された単一領域抗体を、異なる抗体を結合する(例えば重鎖定常領域に融合されたdAb1が1つの抗原を結合し、軽鎖定常領域に融合されたdAb2が他の抗原を結合する)ように、又は同一の抗原上の異なるエピトープを結合する(例えば重鎖定常領域に融合されたdAb1が抗原上の1つのエピトープを結合し、軽鎖定常領域に融合されたdAb2が同一の抗原上の他のエピトープを結合する)ように選択することが可能であり、或いはすべての4つの領域が同一抗原上の同一のエピトープを結合する(dAb1及びdAb2が同一抗原上の同一エピトープを結合する)ことが可能である。
本明細書に記載されているように、「Fab形式」とは、1つの単一領域抗体が軽鎖定常領域CL(例えばCλ又はCκ)に融合され、他の単一領域抗体は、CH1定常領域に融合され、それぞれのCH1及びCL定常領域が互いにジスルフィド結合する二価抗体ポリペプチド構築物を意味する。単一領域抗体を、(二重特異性Fab形式を生成する)異なる抗体、(二重特異性の)同一抗原上の異なるエピトープ、又は同一抗原上の同一エピトープを結合するように選択することが可能である。Fab形式二重特異性抗体ポリペプチドの例は、例えば、例えばCλ軽鎖に融合される、本明細書に記載されている抗TNF−α単一領域抗体、及び2つの融合タンパク質がそれぞれの定常領域を介して互いにジスルフィド結合される、ヒト重鎖CH1定常領域に融合される、本明細書に記載されている抗VEGF単一領域抗体を含む。この形式の抗体ポリペプチド構築物において、抗原結合領域は、互いに対合して、例えばscFvsのように単一結合部位を形成せず、各単一領域抗体は、独自に抗原を結合して、構築物を二価にすることが可能である。
「関節リウマチ」(RA)とは、関節及び/又は他の内臓の内表面の炎症を含む疾病を意味する。RAは、典型的には、多くの異なる関節に影響を与える。それは、典型的には慢性であり、再発の疾病でありうる。RAは、身体全体に影響を与える疾病であり、関節炎の最も一般的な形態の1つである。RAは、疼痛、こわばり、温感、発赤及び腫脹を引き起こす、関節の内面を覆う膜の炎症によって特徴付けられる。炎症を起こした関節内表面、すなわち滑膜は、硬骨及び軟骨を犯し、損傷させうる。炎症性細胞は、硬骨及び軟骨を消化しうる酵素を放出する。影響を受けた関節は、その形及びアラインメントを失い、疼痛及び運動の低下がもたらされる。症状としては、関節の炎症、腫脹、及び運動難及び疼痛が挙げられる。他の症状としては、食欲の低下、発熱、活力喪失、貧血が挙げられる。他の特徴としては、圧力を受ける部分(例えば肘の裏)の皮膚の下の瘤(リウマチ瘤)が挙げられる。関節リウマチは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,698,195号に記載されているようないくつかの臨床的に承認された基準に基づいて臨床的に採点される。手短に言えば、臨床応答試験は、以下のパラメータを評価することが可能である。
1.圧痛関節の数及び疼痛/圧痛の評価
以下の採点法が用いられる。
0=疼痛/圧痛がない
1=軽度の疼痛。患者は、質問されると圧痛があると言う。
2=中等度の疼痛。患者は、圧痛があると言い、ひるむ。
3=重度の疼痛。患者は、圧痛があると言い、ひるみ、引っ込める。
2.腫脹関節の数
圧痛及び腫脹が、関節毎に個別的に評価される。
3.朝のこわばりの持続時間(分)
4.握力
5.目視アナログ疼痛基準(0〜10cm)
6.患者、及びブラインドされた評価者は、薬物に対する臨床的応答を評価するように依頼される。臨床的応答は、以下の主観的採点システムを用いて評価される。
5=優れた応答(見込まれる最良の応答)
4=良好な応答(見込まれる最良の応答より劣る)
3=適正な応答(確実に改善されているが、さらに改善されうる)
2=応答なし(効果なし)
1=悪化している(疾病の悪化)
1.圧痛関節の数及び疼痛/圧痛の評価
以下の採点法が用いられる。
0=疼痛/圧痛がない
1=軽度の疼痛。患者は、質問されると圧痛があると言う。
2=中等度の疼痛。患者は、圧痛があると言い、ひるむ。
3=重度の疼痛。患者は、圧痛があると言い、ひるみ、引っ込める。
2.腫脹関節の数
圧痛及び腫脹が、関節毎に個別的に評価される。
3.朝のこわばりの持続時間(分)
4.握力
5.目視アナログ疼痛基準(0〜10cm)
6.患者、及びブラインドされた評価者は、薬物に対する臨床的応答を評価するように依頼される。臨床的応答は、以下の主観的採点システムを用いて評価される。
5=優れた応答(見込まれる最良の応答)
4=良好な応答(見込まれる最良の応答より劣る)
3=適正な応答(確実に改善されているが、さらに改善されうる)
2=応答なし(効果なし)
1=悪化している(疾病の悪化)
関節リウマチの原因はまだ知られていない。しかし、RAは、免疫系が健康な関節組織を攻撃し、炎症及びそれに続く関節損傷を引き起こす自己免疫疾患である。RAを抱える多くの人は、HLA−DR4と呼ばれる一定の遺伝子マーカーを有する。
本明細書に用いられるように、「TNF−α関連疾患」という語句は、単独又は他の治療と組み合わせた、TNF−αの機能を中和する、又はそれに拮抗する薬剤の投与が、当該疾患を治療するのに有効である疾病又は疾患を意味する(「治療」という用語は本明細書に定められている通りである)。
本明細書に用いられているように、「治療する」又は「治療」という用語は、疾病又は疾病の症状の発症の防止、疾病又は疾病の症状の進行の抑制、或いは疾病又は疾病症状の転換を意味する。
本明細書に記載されているように、「疾病の発症の防止」という語句は、所定の疾病、例えば関節リウマチの1つ又は複数の症状又は測定可能なパラメータが、当該疾病にかかりやすい個体に生じるものではないことを意味する。
本明細書に記載されているように、「疾病の進行の抑制」という語句は、薬剤による治療が、当該治療の存在しない場合の進行に比べて、治療されている個体に既に現れている疾病の症状の重さの増加を停止又は緩めることを意味する。
本明細書に記載されているように、「疾病の転換」という語句は、疾病の1つ又は複数の症状又は測定可能なパラメータが、薬剤の投与後に、当該投与の前の症状又はパラメータに比べて、改善されることを意味する。症状又は測定可能なパラメータの「改善」は、当該測定可能なパラメータの統計的に有意な、好ましくは少なくとも10%の有意な差によって証明される。
測定可能なパラメータは、直接測定可能なパラメータ、並びに間接的に測定可能なパラメータの双方を含むことができる。直接測定可能なパラメータの非限定的な例としては、関節サイズ、関節可動度、関節炎及び組織病理学的スコア又は指標、及びサイトカインの如き指示体の血清レベルが挙げられる。間接的に測定可能なパラメータとしては、例えば、移動についての不快感又は低下に対する患者の自覚、或いは疾病の重度を評価するための臨床的に承認された基準が挙げられる。
本明細書に用いられているように、パラメータ、例えば関節炎スコア又は他の測定可能なパラメータの「増加」は、そのパラメータの統計的に有意な増加を意味する。或いは、「増加」は、少なくとも10%の増加を意味する。同様に、当該パラメータの「減少」は、パラメータの統計的に有意な減少、或いは少なくとも10%の減少を意味する。
本明細書に用いられているように、「拮抗する」という用語は、薬剤が活性に干渉することを意味する。活性が例えばTNF−α、VEGF又は他の生物学的に活性を有する分子又はサイトカインである場合には、その用語は、非限定的な例として、受容体に対する結合又は相互作用(インビトロ又は培養における細胞表面、或いはインビボ)、細胞内シグナル伝達、細胞傷害性、マイトジェネシス、或いは分子又はサイトカインに媒介される他の下流効果又はプロセス(例えば遺伝子活性化)を含む分子又はサイトカインの活性の(少なくとも10%の)抑制を包含する。拮抗することは、因子、例えばTNF、VEGF等による受容体結合への干渉、並びに因子が細胞表面受容体に結合する場合の因子の活性への干渉を包含する。
本明細書に用いられているように、「以上」という用語は、ある値が他の値に等しいか、又は統計的に有意に(p<0.1、好ましくはp<0.05、より好ましくはp<0.01で)その値より大きいことを意味する。例えば疾病治療、又は受容体結合に対する拮抗においてある組成物の効果を他の組成物の効果と比較する場合には、その比較を等モルで行うべきである。
本明細書に用いられているように、「結合された」とは、PEGの如きポリマー成分の抗体ポリペプチド、例えば本明細書に記載されている単一領域抗体のアミノ酸残基に対する結合を意味する。単一領域抗体の如き抗体ポリペプチドのアミノ酸残基へのPEGポリマーの結合は、「PEG化」と称し、N−ヒドロキシルスクシンイミド(NHS)活性エステル、プロピオン酸スクシンイミジル(SPA)、マレイミド(MAL)、スルホン酸ビニル(VS)又はチオールを含むが、それらに限定されないいくつかのPEG結合成分を使用して達成されうる。PEGポリマー又は他のポリマーを所定の位置で抗体ポリペプチドに結合することができ、或いは抗体分子に無作為に結合することができる。しかし、PEGポリマーを所定の位置において抗体ポリペプチドに結合させることが好ましい。PEGポリマーを抗体ポリペプチドにおける任意の残基に結合させることができるが、ポリマーは、抗体ポリペプチドに自然に発生する、又は例えば抗体ポリペプチドにおける天然残基のシステイン又はリジンへの変異誘発により抗体ポリペプチドに組み換えられたリジン又はシステインに結合される。本明細書に用いられているように、「結合される」とは、二量体、三量体、四量体又は他の多量体を形成する2つ以上の抗体単一可変領域単量体の会合を意味することもできる。dAb単量体を融合タンパク質として発現させること、単量体間のペプチドリンカーを介して2つ以上の単量体を結合させること、或いは翻訳後の単量体をジスルフィド結合、又はジ、トリ又は多価結合成分(例えばマルチアームPEG)に対する結合により互いに直接又はリンカーを通じて化学的に結合させることを含むが、それらに限定されない当該技術分野で知られているいくつかの方法によって、dAb単量体を結合させて、多量体を形成することが可能である。
本明細書に用いられているように、抗体ポリペプチド、例えば単一可変領域ポリペプチドに対して「直接結合される」ポリマーに関する「直接結合される」という語句は、本来は可変領域の一部である、例えば定常領域、ヒンジ領域又はリンカーペプチドに含まれない残基にポリマーが結合される状況を意味する。逆に、本明細書に用いられているように、抗体ポリペプチドに「直接結合される」という語句は、自然に発生する可変領域の一部である(例えばヒンジ領域に結合されうる)アミノ酸残基にポリマーが結合しない抗体単一可変領域に対するポリマー分子の結合を意味する。ポリマーは、結合ペプチドを介して抗体ポリペプチドに結合する場合は「間接的に結合」される。すなわち、ポリマーは、抗体自体の一部であるアミノ酸残基に結合されない。或いは、ポリマーは、ポリペプチドのC末端ヒンジに結合される場合は抗体ポリペプチドに「間接的に結合」され、或いは抗体ポリペプチドの一部として存在しうる定常領域の任意の残基に結合される。
本明細書に用いられているように、「相同性」又は「類似性」という用語は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列が構造的に互いに類似している度合いを意味する。本明細書に用いられているように、配列「類似性」とは、アミノ酸配列が、配列のアラインメントにおける対応する位置で類似したアミノ酸残基を共有する度合いの尺度である。アミノ酸は、それらの側鎖が類似している場合に互いに類似する。具体的には、「類似性」は、互いに保存的置換体であるアミノ酸を包含する。「保存的」置換は、blosum62置換行列(Hentikoff及びHentikoff、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915−10919)において正のスコアを有する任意の置換である。「配列Aは配列Bに対してn%の類似性を有する」という表現により、配列AとBの間の最適グローバルアラインメントの位置のn%が同一のアミノ酸又は保存的置換からなる。最適グローバルアラインメントは、Needleman−Wunschアラインメントアルゴリズムにおける以下のパラメータを用いて実現されうる。
ポリペプチドについて:
置換行列:blosum62。
ギャップスコアリング関数:−A −B*LG(ただし、A=11(ギャップペナルティ)、B=1(ギャップ長ペナルティ)、LGはギャップの長さである)。
ヌクレオチド配列について:
置換行列:一致の場合は10、不一致の場合は0。
ギャップスコアリング関数:−A −B*LG(ただし、A=50(ギャップペナルティ)、B=3(ギャップ長ペナルティ)、LGはギャップの長さである)。
ポリペプチドについて:
置換行列:blosum62。
ギャップスコアリング関数:−A −B*LG(ただし、A=11(ギャップペナルティ)、B=1(ギャップ長ペナルティ)、LGはギャップの長さである)。
ヌクレオチド配列について:
置換行列:一致の場合は10、不一致の場合は0。
ギャップスコアリング関数:−A −B*LG(ただし、A=50(ギャップペナルティ)、B=3(ギャップ長ペナルティ)、LGはギャップの長さである)。
典型的な保存的置換は、Met、Val、Leu及びlleの間;Ser及びThrの間;残基Asp、Glu及びAsnの間;残基Gln、Lys及びArgの間;又は芳香族残基Phe及びTyrにある。
本明細書に用いられているように、2つの配列は、Needleman−Wunschアルゴリズム、又はTatusova & Madden、1999、FEMS Microbiol Lett.174:247−250に記載されている「BLAST2配列」を用いて配列されたときに互いに少なくとも85%の同一性を有する場合に互いに「相同」又は類似している。アミノ酸配列が、「BLAST2配列アルゴリズム」を用いて配列される場合には、Blosum62行列はデフォルト行列になる。
「同一性」は、当該技術分野で知られているように、配列を比較することによって判断された場合における2つ以上のポリペプチド配列又は2つ以上のポリヌクレオチド配列の関係である。当該技術分野では、「同一性」は、状況に応じて、配列の列の間の一致によって判断された場合におけるポリペプチド又はポリペプチド配列同士の配列関係の度合いをも意味する。同一性百分率は、Computational Molecular Biology、Lesk、A.M.編、Oxford University Press、New York、1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith、D.W.編、Academic Press、New York、1993;Computer Analysis of Sequence Data 、Part I、Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.編、Human Press、New Jersey、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987;Sequence Analysis Primer、Gribskov,M.and Devereux,J.編、M Stockton Press、New York、1991;Carillo,H.and Lipman,D.、SIAM J.Applied Math.、48:1073(1988)に記載されている方法を含むが、それらに限定されない知られている方法によって容易に計算することが可能である。同一性を求めるための好ましい方法は、試験される配列間の最も高い一致を与えるように設計される。同一性を求めるための方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムで編纂される。2つの配列間の同一性百分率を求めるための好ましいコンピュータプログラム法としては、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.215:403−410(1990)が挙げられるが、それらに限定されない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他の出典(BLAST Manual、Altschul,S.ら、NCBINLM NIH Bethesda、Md.20894;Altschul,S.ら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990))から公的に入手可能である。例示として、「配列番号A」の基準ヌクレオチドに対して少なくとも例えば95%「同一性」を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとは、そのポリヌクレオチド配列が、「配列番号A」の基準ヌクレオチド配列の100のヌクレオチド毎に5つまでの点変異を含むことができるという点を除いては、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は基準配列と同一であることを意味する。換言すれば、基準ヌクレオチド配列に対して少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、基準配列におけるヌクレオチドの5%までを除去するか、又は他のヌクレオチドで置換することができ、或いは基準配列における全ヌクレオチドの5%までの数のヌクレオチドを基準配列に挿入することができる。これらの基準配列の変異は、基準ヌクレオチド配列の5又は3末端位置、或いは基準配列におけるヌクレオチドの間に個々に散在した、又は基準配列内の1つ又は複数の連続的なグループ内に散在したそれらの末端位置の間のどこかで発生しうる。同様に、「配列番号B」の基準アミノ酸配列に対して少なくとも例えば95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、そのポリペプチド配列が、「配列番号B」の基準アミノ酸の100のアミノ酸毎に5つまでのアミノ酸変性物を含むことができるという点を除いては、そのポリペプチドのアミノ酸配列は基準配列と同一であることを意味する。換言すれば、基準アミノ酸配列に対して少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドを得るために、基準配列におけるアミノ酸残基の5%までを除去するか、又は他のアミノ酸で置換することができ、或いは基準配列における全アミノ酸残基の5%までの数のアミノ酸を基準配列に挿入することができる。これらの基準配列の変性は、基準アミノ酸配列のアミノ又はカルボキシ末端位置、或いは基準配列における残基の間に個々に散在した、又は基準配列内の1つ又は複数の連続的なグループ内のそれらの末端位置の間のどこかで発生しうる。
本明細書に記載されているように、「低厳密性」、「中厳密性」、「高厳密性」又は「極めて高厳密性条件」という用語は、核酸ハイブリダイゼーション及び洗浄のための条件を示す。ハイブリダイゼーション反応を実施するための指針は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、N.Y.(1989)、6.3.1−6.3.6に見い出すことができる。水性及び非水性法は、その参考文献に記載されており、いずれも用いることができる。本明細書で参照される具体的なハイブリダイゼーション条件は以下の通りである。(1)約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)に浸した後に、少なくとも50℃にて0.2×のSSC、0.1%SDSで2回洗浄する低厳密性ハイブリダイゼーション条件(低厳密性条件では洗浄の温度を55℃まで上げることが可能である)。(2)約45℃で6×のSSCに浸した後に、約60℃にて0.2×のSSC、0.1%SDSで1回又は複数回洗浄する中厳密性ハイブリダイゼーション条件。(3)約45℃で6×のSSCに浸した後に、65℃にて0.2×のSSC、0.1%SDSで1回又は複数回洗浄する高厳密性ハイブリダイゼーション条件。そして好ましくは(4)極めて高厳密性ハイブリダイゼーション条件は、65℃で0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDSに浸した後に、65℃にて0.2×のSSC、1%SDSで1回又は複数回洗浄するものである。
本明細書に用いられているように、「の濃度で」という語句は、所定のポリペプチドを単位体積当たり記載の質量又はモル量で溶液(好ましくは水溶液)に溶解することを意味する。したがって、「×の濃度で」又は「少なくとも×の濃度で」存在するポリペプチドは、ポリペプチドの乾燥調製物及び結晶化調製物を除く。
本明細書に用いられているように、「レパートリー」という用語は、多様な変異体、例えば、その一次配列が異なるポリペプチド変異体の集合体を意味する。本発明に用いられるライブラリーは、少なくとも1000のメンバーを含むポリペプチドのレパートリーを包含することになる。
本明細書に用いられているように、「ライブラリー」という用語は、異種のポリペプチド又は核酸の混合物を意味する。ライブラリーは、それぞれが単一ポリペプチド又は核酸配列を有するメンバーからなる。この限りでは、ライブラリーは、レパートリーと同義である。ライブラリーメンバーの間の配列差は、ライブラリーに存在する多様性の原因になっている。ライブラリーは、ポリペプチド又は核酸の単純な混合物の形をとることもできるし、核酸のライブラリーで形質転換された例えば細菌、ウィルス、動物及び植物細胞等の生物又は細胞の形をとることもできる。それぞれの個別的な生物又は細胞は、1つ又は限定された数のライブラリーメンバーを含むのが好ましい。有利には、核酸でコードされたポリペプチドの発現を可能にするために、核酸が発現ベクターに組み込まれる。したがって、好ましい態様において、ライブラリーは、その対応するポリペプチドメンバーを生成するように発現することが可能である核酸形態のライブラリーの単一メンバーを含む発現ベクターの1つ又は複数の複製物をそれぞれ含む宿主生物の集団の形をとることができる。したがって、その宿主生物の集団は、遺伝的に多様なポリペプチド変異体の大きなレパートリーをコードする潜在性を有する。
本明細書に用いられているように、「ポリマー」とは、繰返し単量体単位で構成された巨大分子を意味し、場合によっては置換された直鎖又は枝分れ鎖ポリアルキレン、ポリアルケニレン若しくはポリオキシアルキレンポリマー、又は枝分れ又は非枝分れ多糖類の如き非合成又は天然ポリマーを意味しうる。本明細書に用いられている「ポリマー」とは、具体的には、場合によっては置換又は枝分れ鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)又はポリ(ビニルアルコール)及びそれらの誘導体を意味する。
本明細書に用いられているように、「PEG」又は「PEGポリマー」は、ポリエチレングリコールを意味し、より具体的には、プロピオン酸スクシンイミジルの如きPEGのN−ヒドロキシルスクシンイミド(NHS)活性エステル、ベンゾトリアゾール活性エステル、マレイミド、ビニルスルホン又はチオール基で誘導体化されたPEGを含むが、それらに限定されないPEGの誘導体化形態を意味しうる。特定のPEG配合物は、PEG−O−CH2CH2CH2−CO2−NHS、PEG−O−CH2−NHS、PEG−O−CH2CH2−CO2−NHS、PEG−S−CH2CH2−CO−NHS、PEG−O2CNH−CH(R)−CO2−NHS、PEG−NHCO−CH2CH2−CO−NHS、及びPEG−O−CH2−CO2−NHS(ただし、Rは(CH2)4)NHCO2(mPEG)である)を含むことができる。本発明に有用なPEGポリマーは、線形分子であってもよいし、多数のPEG成分が単一ポリマー内に存在する枝分れ分子であってもよい。本発明に有用であるいくつかの特に好ましいPEG構造としては、以下の構造が挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書に用いられているように、「スルフヒドリル選択性試薬」は、PEGポリマーをチオール含有アミノ酸に結合させるのに有用な試薬である。アミノ酸残基システイン上のチオール基は、スルフヒドリル選択性試薬との相互作用に特に有用である。本発明に有用であるスルフヒドリル選択性試薬としては、マレイミド、ビニルスルホン及びチオールが挙げられるが、それらに限定されない。システイン残基に対する結合のためのスルフヒドリル選択性試薬の使用は、当該技術分野で知られており、本発明により必要に応じて改造されうる(例えばZalipsky、1995、Bioconjug.Chem.6:150;Greenwaldら、2000、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.17:101;Hermanら、1994、Macromol.Chem.Phys.195:203参照)。
本明細書に用いられているように、「抗原」という用語は、抗体又は抗体の結合領域(例えば可変領域)によって結合される分子を意味する。典型的には、抗原は、インビボで抗体応答を引き起こすことが可能である。抗原は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物又は他の分子でありうる。一般に、免疫グロブリン可変領域は、特定の抗原に対する標的特異性について選択される。
本明細書に用いられているように、「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンVH/VL対によって従来結合される構造の単位を意味する。エピトープは、抗体に対する最小結合部位を定めるため、抗体の特異性の標的を表す。単一領域抗体の場合は、エピトープは、個別に可変領域により結合される構造の単位を表す。
本明細書に用いられているように、「中和する」という用語は、本明細書に記載されている単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドを基準にして用いられる場合は、ポリペプチドが標的抗原の測定可能な活性又は機能に干渉することを意味する。ポリペプチドは、標的抗原の測定可能な活性又は機能を少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%、又は100%を含めて95%以上の抑制(すなわち標的抗原の検出可能な効果又は機能が存在しない)によって標的抗原の測定可能な活性又は機能を低下させる場合は、「中和」ポリペプチドである。標的抗原の測定可能な活性又は機能のこの低下は、当業者が、当該活性又は機能の1つ又は複数の指標を測定する標準的な方法を用いて評価できる。例として、標的がTNF−αである場合は、標準的なL929細胞死滅試験を用いて、或いはTNF−α誘発細胞活性化の測度である、HUVEC上のELAM−1のTNF−α誘発発現を抑制する単一免疫グロブリン可変領域の能力を測定することによって、中和活性を評価することが可能である。本明細書に用いられている「中和」と同様に、本明細書に用いられている「細胞毒性を抑制する」とは、細胞毒性が抑制され、細胞死が少なくとも10%以上低減される、例えば標準的なL929細胞死滅試験を用いて測定される細胞死の減少を意味する。
本明細書に用いられているように、「標的抗原の測定可能な活性」は、細胞シグナル伝達、酵素活性、結合活性、リガンド依存内在化、細胞死滅、細胞活性化、細胞生存の促進、及び遺伝子発現を含むが、それらに限定されない。当業者は、所定の標的抗原に対する当該活性を測定する試験を実施することが可能である。好ましくは、本明細書に用いられている「活性」は、(1)細胞ベースの試験におけるND50、(2)標的リガンドに対する親和性、(3)ELISA結合、又は(4)受容体結合試験によって規定される。これらの試験を実施するための方法は、当業者に知られており、それらを以下にさらに詳細に説明する。
本明細書に用いられているように、「活性を保持する」とは、活性が本明細書に記載されているようにして測定される、非PEG結合抗体ポリペプチドの活性のレベルの少なくとも10%、同じ配列の非PEG結合抗体ポリペプチドの活性の好ましくは少なくとも29%、30%、40%、50%、60%、70%、80%及び90%まで、好ましくは95%、98%及び100%までであるPEG結合抗体ポリペプチド、例えば単一可変領域の活性のレベルを意味する。より具体的には、非PEG結合抗体ポリペプチドと比較したPEG結合抗体ポリペプチドの活性は、抗体モル数を基準に測定されるべきである。すなわち、各試験において、同等のモル数の各々のPEG結合及び非PEG結合抗体ポリペプチドを使用するべきである。特定のPEG結合抗体ポリペプチドが「活性を保持する」かどうかを判断する際に、PEGの不在下で、PEG結合抗体ポリペプチドの活性を同じ抗体ポリペプチドの活性と比較することが好ましい。
本明細書に用いられているように、「ホモ二量体」、「ホモ三量体」、「ホモ四量体」及び「ホモ多量体」という用語は、それぞれ所定の単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチド配列の2又は3以上(例えば4、5等)の単量体を含む分子を意味する。例えば、ホモ二量体は、同一のVH配列の2つの複製物を含むことになる。単一の免疫グロブリン可変領域ポリペプチドの「単量体」は、特異的に抗原を結合する単一のVH又はVL配列である。ホモ二量体、ホモ三量体、ホモ四量体又はホモ多量体における単量体は、例えば単量体の間にペプチドリンカーを有する融合タンパク質としての発現によって、或いは翻訳後の単量体をジスルフィド結合、又はジ、トリ又は多価結合成分に対する結合により互いに直接又はリンカーを通じて化学的に結合させることによって結合されうる。一実施形態において、ホモ二量体、三量体、四量体又は多量体における単量体をマルチアームPEGポリマーによって結合することが可能であり、二量体、三量体、四量体又は多量体の各単量体は、上述したように、マルチアームPEGのPEG成分に結合される。
本明細書に用いられているように、「ヘテロ二量体」、「ヘテロ三量体」、「ヘテロ四量体」及び「ヘテロ多量体」という用語は、それぞれ2つ以上の異なる単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチド配列の2又は3以上(例えば4、5、6、7又は8以上)の単量体を含む分子を意味する。例えば、ヘテロ二量体は、VH1及びVH2の如き2つのVH配列を含むことになり、或いはVH及びVLの組合せを含んでいてもよい。ホモ二量体、三量体又は四量体と同様に、ヘテロ二量体、ヘテロ三量体、ヘテロ四量体又はヘテロ多量における単量体は、例えば単量体の間にペプチドリンカーを有する融合タンパク質としての発現によって、或いは翻訳後の単量体をジスルフィド結合、又はジ、トリ又は多価結合成分に対する結合により互いに直接又はリンカーを通じて化学的に結合させることによって結合されうる。一実施形態において、ヘテロ二量体、三量体、四量体又は多量体における単量体をマルチアームPEGポリマーによって結合することが可能であり、二量体、三量体、四量体又は多量体の各単量体は、上述したように、マルチアームPEGのPEG成分に結合される。
本明細書に用いられているように、「半減期」という用語は、リガンド(例えば単一免疫グロブリン可変領域の如き抗体ポリペプチド)の血清濃度が、例えばリガンドの分解、及び/又は自然のメカニズムによるリガンドのクリアランス若しくは隔離によってインビボで50%減少するのにかかる時間を意味する。抗体ポリペプチドは、インビボで安定化され、それらの半減期は、PEGの如き分解及び/又はクリアランス若しくは隔離に抵抗する分子に結合することによって増加する。抗体ポリペプチド、例えばdAb)の半減期は、その機能的活性が、PEGポリマーに結合しない同様のdAbより長期間にわたってインビボで持続する場合に増加する。典型的には、PEG化dAbの半減期は、非PEG化dAbに比べて10%、20%、30%、40%又は50%以上増加する。2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍以上の範囲の半減期の増加が可能である。代替的に、又は加えて、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍の半減期の増加が可能である。本発明によれば、PEG結合抗体単一可変領域は、0.25から170時間、好ましくは1から100時間、より好ましくは30から100時間、さらにより好ましくは50から100時間、170、180、190及び200時間までの半減期を有する。
本明細書に用いられているように、PEG又は他のポリマー結合dAb単量体若しくは多量体に対して用いられるときの「分解に対して抵抗性を有する」又は「分解に抵抗する」とは、PEG又は他のポリマー結合dAb単量体若しくは多量体が、pH2でペプシンに30分間接触したときに10%以下のレベルで分解する、好ましくは全く分解しないことを意味する。PEG又は他のポリマー結合dAb多量体(例えばヘテロ又はホモ二量体、三量体、四量体等)を具体的に取り上げると、分解に対して抵抗性を有する分子は、pH2で30分間にわたるペプシンの存在下では、5%未満のレベルで分解し、好ましくは全く分解しない。
本明細書に用いられているように、「ハイドロダイナミックサイズ」は、分子の水溶液の拡散に基づく分子(例えばタンパク質分子)の見かけのサイズを意味する。タンパク質の溶液の拡散又は運動を処理して、タンパク質粒子の「ストークス半径」又は「ハイドロダイナミック半径」によって与えられるタンパク質の見かけのサイズを導くことが可能である。タンパク質の「ハイドロダイナミックサイズ」は、同一の分子質量を有する2つのタンパク質がタンパク質の全体構造に基づく異なるハイドロダイナミックサイズを有するように、質量及び形状(構造)の両方に依存する。PEG結合抗体ポリペプチド、例えば単一可変領域(本明細書に記載されている抗体可変領域多量体を含む)のハイドロダイナミックサイズは、24kDaから500kDa、30から500kDa、40から500kDa、50から500kDa、100から500kDa、150から500kDa、200から500kDa、250から500kDa、300から500kDa、350から500kDa、400から500kDa及び450から500kDaの範囲でありうる。好ましくは、本発明のPEG化dAbのハイドロダイナミックサイズは、30から40kDa、70から80kDa又は200から300kDaである。撮像用途に抗体可変領域多量体が望まれる場合は、多量体は、50から100kDaのハイドロダイナミックサイズを有するべきである。或いは、治療用途に抗体単一領域多量体が望まれる場合は、多量体は、200kDaを上回るハイドロダイナミックサイズを有するべきである。
二重特異性抗体ポリペプチド
本発明人らは、本発明人らの国際特許出願WO2004/003019において、リガンドの1つの特異性が、それに結合することによってリガンドの半減期を増加させるように作用することができる生物にインビボで存在するタンパク質又はポリペプチドに向けられる二重特異性リガンドのさらなる改善について記載した。WO2004/003019には、第1の抗原又はエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン単一可変領域と、第2の抗体又はエピトープに対する結合活性を有する第2の相補的免疫グロブリン単一可変領域とを含む二重特異性リガンドであって、前記抗原又はエピトープの一方又は双方が、インビボでリガンドの半減期を増加させるように作用し、前記に重篤異性リガンドが、抗HSA VH領域及び抗pガラクトシダーゼVK領域で構成されなければ、前記第1及び第2の領域は、同一の特異性を共有する互いに相補的な領域を欠く二重特異性リガンドが記載されている。
本発明人らは、本発明人らの国際特許出願WO2004/003019において、リガンドの1つの特異性が、それに結合することによってリガンドの半減期を増加させるように作用することができる生物にインビボで存在するタンパク質又はポリペプチドに向けられる二重特異性リガンドのさらなる改善について記載した。WO2004/003019には、第1の抗原又はエピトープに対する結合特異性を有する第1の免疫グロブリン単一可変領域と、第2の抗体又はエピトープに対する結合活性を有する第2の相補的免疫グロブリン単一可変領域とを含む二重特異性リガンドであって、前記抗原又はエピトープの一方又は双方が、インビボでリガンドの半減期を増加させるように作用し、前記に重篤異性リガンドが、抗HSA VH領域及び抗pガラクトシダーゼVK領域で構成されなければ、前記第1及び第2の領域は、同一の特異性を共有する互いに相補的な領域を欠く二重特異性リガンドが記載されている。
本明細書に記載されているようにリガンドの半減期を増加させる抗原又はエピトープは、有利には、インビボで生物に見い出されるタンパク質又はポリペプチドに存在する。
例としては、細胞外基質タンパク質、血液タンパク質、及び生物の様々な組織に存在するタンパク質が挙げられる。それらのタンパク質は、血液からのリガンド分泌率を、例えば増量剤として作用することによって、又はリガンドを所望の作用部位に固定することによって低下させるように作用する。インビボの半減期を増加させる抗原/エピトープの例は、以下の付属書1に示されている。
半減期の増加は、免疫グロブリン、特に抗体、最も特別には小サイズの抗体断片のインビボ用途に有益である。当該断片(Fvs、ジスルフィド結合Fvs、Fabs、scFvs及びdAbs)は、身体から急速に分泌される。したがって、身体のたいていの部分に急速に到達することができ、迅速に生成され、容易に処理されるが、インビボで短時間しか存続しないことにより、それらのインビボ用途は制限されてきた。本発明は、インビボでのリガンドの半減期を増加させることによってこの問題を解決し、結果として、リガンドの機能的活性の身体における存続時間を長くする。
リガンド半減期の薬動力学的分析及び測定のための方法は、当業者であればよく知っているであろう。詳細は、Kenneth,Aら、「Chemical Stability of Pharmaceuticals:A Handbook for Pharmacists」及びPetersら、「Pharmacokinetic analysis:A Practical Approach」(1996)に見い出すことができる。tα及びtβ半減期並びに曲線下面積(AUC)の如き薬動力学的パラメータについて記載している「Pharmacokinetics」、M Gibaldi & D Perron、出版:Marcel Dekker、第2版(1982)も参照される。
半減期(T1/2α及びT1/2β)及びAUCを時間に対するリガンドの血清濃度の曲線から求めることが可能である。例えば、WinNonlin分析パッケージ(Pharsight Corp.(米国カリフォルニア州Mountain View所在)から入手可能)を使用して、曲線をモデル化することが可能である。第1の相(α相)において、リガンドは、主として患者のなかで分配され、一部は除去される。第2の相(β相)は、リガンドが分配され、患者から分泌されるのに従って血清濃度が低下するときの末端相である。tα半減期は第1の相の半減期であり、tβ半減期は第2の相の半減期である。したがって、有利には、本発明は、15分以上の範囲のtα半減期を有する本発明によるリガンド、又はリガンドを含む組成物を提供する。一実施形態において、その範囲の下端は30分、40分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、10時間、11時間又は12時間である。加えて、又は代替的に、本発明によるリガンド又は組成物は、12時間以内の範囲のtα半減期を有することになる。一実施形態において、その範囲の上端は、11、10、9、8、7、6又は5時間である。好適な範囲の例は、1から6時間、2から5時間又は3から4時間である。有利には、本発明は、2.5時間以上の範囲のtβ半減期を有する本発明によるリガンド、又はリガンド含む組成物を提供する。
一実施形態において、その範囲の下端は、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、10時間、11時間又は12時間である。加えて、又は代替的に、本発明によるリガンド又は組成物は、21日間以内の範囲のtβ半減期を有する。一実施形態において、その範囲の上端は、12時間、24時間、2日間、3日間、5日間、10日間、15日間又は20日間である。有利には、本発明によるリガンド又は組成物は、12から60時間の範囲のtβ半減期を有することになる。
さらなる実施形態において、半減期は12から48時間の範囲である。さらなる実施形態において、半減期は12から26時間の範囲である。
上記の基準に加えて、又はその代わりに、本発明は、1mg分/ml以上の範囲のAUC値(曲線下面積)を有する本発明によるリガンド、又はリガンドを含む組成物を提供する。一実施形態において、その範囲の下端は、5、10、15、20、30、100、200又は300mg分/mlである。加えて、又は代替的に、本発明によるリガンド又は組成物は、600mg分/mlまでの範囲のAUCを有する。
一実施形態において、その範囲の上端は、500、400、300、200、150、100、75又は50mg分/mlである。有利には、本発明によるリガンドは、15から150mg分/ml、15から100mg分/ml、15から75mg分/ml及び15から50mg分/mlからなる群から選択される範囲のAUCを有することになる。
第1の実施形態において、二重特異性リガンドは、2つの相補的可変領域、すなわち、それらの固有の環境において、本発明の範囲でそれらが個別的に同族エピトープに結合する場合であっても同族対又はグループとしてともに機能することが可能である2つの可変領域を含む。例えば、相補的可変領域は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖可変領域(VH及びVL)であってもよい。VH及びVL領域は、有利には、scFv又はFab抗体断片によって与えられる。例えば、各V領域のC末端にヒンジ領域を設け、ヒンジ領域においてシステイン同士をジスルフィド結合させること、その領域のC末端にそれぞれシステインを有するdAbsを設け、システインを互いにジスルフィド結合させること、又はFab形式を生成するためのV−CH&V−CLを生成すること、又は二量体、三量体、さらに多量体を生成するためのペプチドリンカー(例えば以下に記載するGly4Serリンカー)を使用することによって、多価リガンドを形成するために可変領域を互いに結合させることができる。本発明人らは、相補的可変領域を使用すると、2つの領域表面を互いに被覆させ、溶媒から隔離することが可能であることを見い出した。また、相補的領域は、互いを安定化させることが可能である。加えて、従来技術に使用されたハイブリッド雑種細胞の欠点、又はサブユニット界面における重鎖又は軽鎖をタンパク工学により改変する必要性を伴うことなく、二重特異性IgG抗体を作成することが可能である。
本発明の第1の態様の二重特異性リガンドは、少なくとも1つのVH/VL対を有する。したがって、本発明による二重特異性IgGは、1つの対がY形分子の各腕に存在する2つの当該対を含む。したがって、使用される鎖の比率が調製の成功を左右し、実用的な困難さをもたらす従来の二重特異性抗体又はダイアボディとは異なり、本発明の二重特異性リガンドには鎖の均衡についての問題はない。従来の二重特異性抗体における鎖の不均衡は、VL鎖1がVH鎖2とともに抗原又はエピトープ1に結合することが可能であり、VH鎖2がVH鎖2とともに抗原又はエピトープ2に結合することが可能であり、2つの適正な対合が何らかの方法で互いに結合する、2つの異なるVL鎖と2つの異なるVH鎖の会合に起因する。したがって、単一分子において、VL鎖1がVH鎖1に対合し、VL鎖2がVH鎖2に対合する場合にのみ、二重特異性がもたらされる。当該二重特異性分子を2つの異なる方法で作ることが可能である。第1に、(例えば二重特異性IgGにおける)異なる抗原又はエピトープにそれぞれ結合する2つの既存のVH/VL対合の会合によって作ることが可能である。この場合、VH/VL対合は、そのすべてが二重特異性である分子の集団を作るために、1:1の割合ですべて結合しなければならない。このようなことは、(相補的CH領域が「ノブインツホール」エンジニアリングによって強化されたとしても)生じることはなく、二重特異性分子、及び1つの抗原又はエピトープに結合することが可能であるが、他の抗原又はエピトープに結合することはできない分子の混合物を生じる。二重特異性抗体を作る第2の方法は、(例えば二重特異性ダイアボディにおける)2つの異なるVH鎖と2つの異なるVL鎖の同時会合による。この場合、VL鎖1がVH鎖1と対合し、VL鎖2がVH鎖2と対合する傾向(VL及びVH領域の「ノブインツホール」エンジニアリングによって強化されうる)があるが、この対合はすべての分子で達成されるわけではなく、混合調合物を生じることにより、抗原にもエピトープにも結合することができない不適切な対合が発生する。
本発明の第1の態様による二重特異性リガンド手法に従って構成される二重特異性抗体は、それぞれ抗原又はエピトープ1に対する結合がVH又はVL領域内に存在し、抗原又はエピトープ2に対する結合が相補的VL又はVH領域内に存在するため、これらのすべての問題を克服する。VH及びVL領域が1:1で対合するため、すべてのVH/VL対合は、二重特異性であり、したがってこれらのVH/VL対合を用いて構成されるすべての形式(Fv、scFvs、Fabs、ミニボディ、IgGs等)は、100%の二重特異性活性を有することになる。
本発明の範囲において、第1及び第2の「エピトープ」は、同一でなく、単一の一特異性リガンドによって結合されないエピトープであると理解される。本発明の第1の構成において、それらは、有利には、異なる抗原上に存在し、そのうちの1つは、インビボでリガンドの半減期を増加させるように作用する。同様に、第1及び第2の抗原は、有利には、同一でない。
本発明の二重特異性リガンドは、WO02/02773に記載されているようなリガンドを含まない。したがって、本発明のリガンドは、任意の1つ又は複数の抗原又はエピトープを共同で結合する相補的VH/VL対を含まない。その代わりに、本発明の第1の態様によるリガンドは、V領域が異なる特異性を有するVH/VL相補対を含む。
さらに、本発明の第1の態様によるリガンドは、非特異的に関連したエピトープ又は抗原に対する異なる特異性を有するVH/VL相補対を含む。構造的に関連したエピトープ又は抗原は、抗原又はエピトープを結合するように共同で作用する従来のVH/VL相補対によって結合されるのに十分な構造的類似性を有するエピトープ又は抗原であり、構造的に関連したエピトープの場合は、エピトープは、構造が十分に類似しているため、VH/VLに量体の抗原結合部位で形成された同一の結合ポケットに「収まる」。
第2の態様において、本発明は、第1の抗原又はエピトープ結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変領域と、第2の抗原又はエピトープ結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変領域とを含むリガンドであって、前記第1及び第2の可変領域の一方又は両方が、インビボでリガンドの半減期を増加させる抗原に結合し、可変領域は、互いに相補的でないリガンドを提供する。
一実施形態において、1つの可変領域に対する結合により、第2の可変領域に対するリガンドの結合が調節される。
本実施形態において、可変領域は、例えば、VH領域の対又はVL領域の対であってもよい。第1の結合部位における抗原の結合は、第2の部位における抗原の結合を強化又は抑制するというように調節することができる。例えば、第1の部位における結合は、第2の部位における抗原の結合を少なくとも部分的に抑制する。当該実施形態では、リガンドは、例えば、それが第2の標的抗原に結合され、半減期を増加させるタンパク質から解離する時まで、リガンドの半減期を増加させるタンパク質に対する結合を通じて、インビボで対象生物の体内に維持されうる。
上記脈絡における結合の調節は、互いに相対的な抗原結合部位の構造的近接の結果として達成される。そのような構造的近接は、2つ以上の抗原結合部位を結合させる構造的成分の性質によって、例えば抗原結合部位を近傍に保持する比較的硬い構造を有するリガンドを与えることによって達成されうる。有利には、2つ以上の抗原結合部位は、免疫グロブリン分子内の立体障害及び/又は構造的変化を含むプロセスによって、1つの部位が他の部位における抗原の結合を調節するように、互いに物理的に近接する。
第1及び第2の抗原結合領域を共有結合又は非共有結合で会合させることができる。それらの領域を共有結合で会合させる場合は、その会合を例えばジスルフィド結合によって、又は(Gly4Ser)n(n=1から8、例えば2、3、4、5又は7)の如きポリペプチドリンカーで仲介することができる。
本発明の本態様によるリガンドを非免疫グロブリン多重リガンド構造に統合して、同一の抗原の標的分子を結合する多価複合体を形成することによって、優れた結合活性を提供することができる一方、少なくとも1つの可変領域は、抗原を結合して、多量体の半減期を増加させる。例えば、1つ又は複数のエピトープに対して特異的に結合するリガンドを生成するためのCDRの移植のための骨組として、SpAの如き天然の細菌受容体が使用された。この手順の詳細は、米国特許第5,S31,012号に記載されている。他の好適な骨組としては、フィブロネクチン及びアフィボディに基づくものが挙げられる。好適な手順の詳細は、WO98/58965に記載されている。他の好適な骨組としては、van den Beukenら、J.Mol.Biol.(2001)310、591−601に記載されているリポカリン及びCTLA4、及び例えば細菌GroEL又は他のシャペロンポリペプチドの環構造に基づく、WO0069907(Medical Research Council)に記載されているような骨組が挙げられる。
タンパク質骨組を結合させ、例えば、CDRをCTLA4骨組に移植し、免疫グロブリンVH又はVL領域とともに使用して、リガンドを形成することができる。
同様に、フィブロネクチン、リポカリン及び他の骨組を結合させることもできる。
可変領域が、例えば本明細書に記載されているファージディスプレイ技術を用いて選択されたV遺伝子レパートリーから選択される場合は、これらの可変領域は、本明細書に定められている特定の汎用リガンドによって認識されうるように、包含的フレームワーク領域を含むことが可能である。包含的フレームワーク、汎用リガンド等の使用についてはWO99/20749に記載されている。本発明において、ファージディスプレイに対する言及は、ファージ及び/又はファージミドを含む。
V遺伝子レパートリーが用いられる場合は、ポリペプチド配列の変動は、好ましくは、可変領域の構造的ループ内に位置する。いずれの可変領域のポリペプチド配列も、各可変領域のその相補対との相互作用を強化するためにDNAシャフリング又は変異によって変えることができる。
本発明の好ましい実施形態において、「二重特異性リガンド」は、単一鎖Fv断片である。本発明の代替的な実施形態において、「二重特異性リガンド」は、抗体のFab領域からなる。「Fab領域」という用語は、2つのVH又は2つのVL領域が使用されるFab状領域を含む。
標的抗原又はエピトープに対して導かれる抗体から可変領域を誘導することができる。或いは、糸状バクテリオファージの表面に発現される領域の如き単一抗体領域のレパートリーから可変領域を誘導することができる。以下及び実施例に記載されるように選択することができる。
dAbsの調製
本発明の態様は、二重特異性リガンドのみならず、TNF−α単体、TNF−α及びHSA、又は二重特異性形式の他の半減期拡大ポリペプチドを結合するリガンド、並びに二重特異性形式のTNF−α及びVEGFを結合するリガンドの様々な構築物にも関する。VEGF及びHSA又は他の半減期拡大ポリペプチドを結合するリガンドを調製することも可能である。二重特異性TNF−α/VEGF構築物は、HSA又は他の半減期拡大ヌクレオチドに対するバインダをさらに含むことが可能である。これらの実施形態の各々において、個々のリガンド、すなわちTNF−α、HSA又はVEGFを結合するリガンドは、好ましくはdAbsでありうる。当該dAbsの生成については以下及び実施例に記載されている。
本発明の態様は、二重特異性リガンドのみならず、TNF−α単体、TNF−α及びHSA、又は二重特異性形式の他の半減期拡大ポリペプチドを結合するリガンド、並びに二重特異性形式のTNF−α及びVEGFを結合するリガンドの様々な構築物にも関する。VEGF及びHSA又は他の半減期拡大ポリペプチドを結合するリガンドを調製することも可能である。二重特異性TNF−α/VEGF構築物は、HSA又は他の半減期拡大ヌクレオチドに対するバインダをさらに含むことが可能である。これらの実施形態の各々において、個々のリガンド、すなわちTNF−α、HSA又はVEGFを結合するリガンドは、好ましくはdAbsでありうる。当該dAbsの生成については以下及び実施例に記載されている。
様々な態様において、本明細書に開示されているdAbsは、単量体形態、二量体形態、三量体形態、四量体形態、又はさらにより高度な多量体形態で存在しうる。多量体構築物は、二重特異性構築物の如きヘテロ二量体形態に加えて、ホモ多量体、すなわちホモ二量体、ホモ三量体及びホモ四量体等でありうる。ヘテロ三量体、ヘテロ四量体、及びより高次のヘテロ多量体も具体的に検討される。ポリペプチド構築物の血清半減期をさらに長くするために、様々なdAb構造の各々をポリエチレングリコール(PEG)の如きさらなる成分とさらに複合させることが可能である。PEG化は、当該技術分野で知られており、本明細書に記載されている。
単一免疫グロブリン可変領域又はdAbsは、いくつかの方法で調製される。好ましい態様において、dAbsは、ヒト単一免疫グロブリン可変領域である。これらの手法の各々については、よく知られている核酸配列の調製(例えば増幅、変異等)及び処理方法が適用可能である。
dAbsを調製する一手段は、所望の抗原を結合することが知られているクローン化抗体に対する重鎖及び軽鎖遺伝子のVH又はVL領域を増幅、発現することである。VH及びVL領域の境界は、Kabatら(1991、前出)によって設定されている。重鎖及び軽鎖遺伝子のVH及びVL領域の境界に関する情報は、所定の抗原を結合することが知られている抗体をコードするクローン化重鎖及び軽鎖コード配列からV領域を増幅するPCRプライマーを設計するのに用いられる。増幅されたV領域は、好適な発現ベクター、例えばpHEN−1(Hoogenboomら、1991、Nucleic Acids Res.19:4133−4137)に挿入され、単体、又は他のポリペプチド配列との融合体として発現される。次いで、発現されたVH又はVL領域は、重又は軽鎖ポリペプチドの残りの部分から分離して所望の抗原に結合する高度な親和性についてスクリーニングされる。本発明のすべての態様では、当該技術分野で知られているように、又は以下に記載されているように結合についてのスクリーニングが実施される。
VH又はVL領域のレパートリーは、例えばファージディスプレイ、所望の抗原に対するパニングによってスクリーニングされる。バクテリオファージディスプレイライブラリー及びラムダファージ発現ライブラリーの構成方法は、当該技術分野でよく知られており、McCaffertyら、1990、Nature 348:552;Kangら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、88:4363;Clacksonら、1991、Nature 352:624;Lowmanら、1991、Biochemistry 30:10832;Burtonら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.88:10134;Hoogenboomら、1991、Nucleic Acids Res.19:4133;Changら、1991、J.Immunol.147:3610;Breitlingら、1991、Gene、104:147;Marksら、1991、J.Mol.Biol.、222:581;Barbasら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4457;Hawkins及びWinter(1992)J.Immunol.、22:867;Marksら、(1992)J.Biol.Chem.、267:16007;及びLernerら、(1992)Science、258:1313に教示されている。scFvファージライブラリーは、例えば、Hustonら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.85:5879−5883;Chaudharyら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.87:1066−1070;McCaffertyら、1990、前出;Clacksonら、1991、前出;Marksら、1991、前出;Chiswellら、1992、Trends Biotech.10:80;及びMarksら、1992、前出に教示されている。バクテリオファージ被覆タンパク質に表示されたscFvライブラリーの様々な実施形態が記載されている。例えばWO96/06213及びWO92/01047(Medical Research Council他)並びにWO97/08320(Morphosys、前出)に記載されているように、ファージディスプレイ手法の改良型も知られている。
VH又はVL領域のレパートリーは免疫グロブリン配列の天然のレパートリー又は合成レパートリーでありうる。天然のレパートリーは、例えば、1つ又は複数の個体から収穫された免疫グロブリン発現細胞から調製されたものである。当該レパートリーは「原生」、すなわち、例えば、ヒト胎児又は新生免疫グロブリン発現細胞から調製することもできるし、再編成、すなわち、例えば成体ヒトB細胞から調製することもできる。天然レパートリーは、例えば、Marksら、1991、J.Mol.Biol.222:581及びVaughanら、1996、Nature Biotech.14:309に記載されている。望まれる場合は、標的抗原を結合する、その点について天然レパートリー又は任意のレパートリーから識別されたクローンを変異させ、結合特性が向上した変異体を生成、選択するためにさらにスクリーニングする。
単一免疫グロブリン可変領域の合成レパートリーは、クローン化V領域に多様性を人工的に導入することによって調製される。合成レパートリーは、例えば、Hoogenboom & Winter、1992、J.Mol.Biol.227:381;Barbasら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4457;Nissimら、1994、EMBO J.13:692;Griffithsら、1994、EMBO J.13:3245;DeKriufら、1995、J.Mol.Biol.248:97;及びWO99/20749に記載されている。
従来の抗体の抗原結合領域は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(Vκ又はVλでありうるVL)の2つの個別的領域を含む。当該抗体の抗原結合部位は、VH領域からの3つのポリペプチドループ(H1、H2及びH3)とVL領域からの3つのポリペプチドループ(L1、L2及びL3)からの3つのポリペプチドループの6つのポリペプチドループによって形成される。これらのループの境界は、例えばKabatら(1991、前出)に記載されている。VH及びVL領域をコードするV遺伝子の多様な一次レパートリーは、遺伝子セグメントの組合せ再編成によってインビボで生成される。VH遺伝子は、3つの遺伝子セグメントVH、D及びJHの組換えによって生成される。ヒトには、ハプロタイプに応じて、約51の機能的VHセグメント(Cook及びTomlinson(1995)Immunol Today 16:237)、25の機能的Dセグメント(Corbettら、(1997)J.Mol.Biol.268:69)、及び6つの機能的JHセグメント(Ravetchら、(1981)Cell 27:583)が存在する。VHセグメントは、VH領域(H1及びH2)の第1及び第2の抗原結合ループを形成するポリペプチド鎖の領域をコードするのに対して、VH、D及びJHセグメントは結合して、VH領域(H3)の第3の抗原結合ループを形成する。
VL遺伝子は、VL及びJLの2つだけの遺伝子セグメントの組換えによって生成される。ヒトには、ハプロタイプに応じて、約40の機能的Vκセグメント(Schable及びZachau(1993)Biol.Chem.Hoppe−Seyler 374:1001)、31の機能的Vκセグメント(Williamsら、(1996)J.Mol.Biol.264:220;Kawasakiら、(1997)Genome Res.7:250)、5つの機能的Jκセグメント(Hieterら、(1982)J.Biol.Chem.257:1516)及び4つの機能的Jλセグメント(Vasicek及びLeder(1990)J.Exp.Med.172:609)が存在する。VLセグメントは、VL領域(L1及びL2)の第1及び第2の抗原結合ループを形成するポリペプチド鎖の領域をコードするのに対して、VL及びJLセグメントは、結合して、VL領域(L3)の第3の抗原結合ループを形成する。この一次レパートリーから選択された抗体は、少なくとも中程度の親和性でほぼすべての抗原を結合するのに十分に多様性を有すると考えられる。高親和性抗体は、点変異が生成され、結合の向上に基づいて免疫系により選択される再構成遺伝子の「親和性成熟」によってインビボで生成される。
抗体の構造及び配列の分析により、6つの抗原結合ループのうちの5つのループ(H1、H2、L1、L2、L3)は、主鎖構造又は標準構造の数が限られていることが示された(Chothia及びLesk(1987)J.Mol.Biol.196:901;Chothiaら、(1989)、Nature 342:877)。主鎖構造は、(i)抗原結合ループの長さ、及び(ii)抗原結合ループ及び抗体フレームワークにおける一定の主要位置の特定の残基又は残基の種類によって決定される。ループ長及び主要残基の分析は、大多数のヒト抗体配列によってコードされるH1、H2、L1、L2及びL3の主鎖構造を予測することを可能にした(Chothiaら、(1992)J.Mol.Biol.227:799;Tomlinsonら、(1995)EMBO J.14:4628;Williamsら、(1996)J.Mol.Biol.264:220)。H3領域は、(Dセグメントの使用により)配列、長さ及び構造の観点ではるかに多様性を有するが、ループ及び抗体フレームワークにおける主要位置の特定の残基の長さ及び存在、又は残基の種類に依存する短ループ長に対して限られた数の主鎖構造を形成する(Martinら、(1996)J.Mol.Biol.263:800;Shiraiら、(1996)FEBS Letters 399:1)。
本発明の一実施形態によれば、様々な抗原結合ループのCDRにおける任意の部位に合成レパートリーの多様性を付加することが可能であるが、この手法は、適正に重畳しないため、抗原を結合する潜在性を有する分子の割合の低下に寄与するV領域の割合を高める。抗原結合ループの主鎖構造に寄与する残基を把握することによって、VH又はVL領域の合成レパートリーにおいて多様化する特定の残基の識別が可能になる。すなわち、多様性は、主鎖構造を維持するのに不可欠でない残基に最適に導入される。一例として、ループL2の多様化について、従来の手法は、Kabatら(1991、前出)によって定められた対応するCDR(CDR2)におけるすべての残基、すなわちある7つの残基を多様化することになる。しかし、L2については、位置50と53は、天然抗体では異なっており、抗原に接触することが観察されることが知られている。好ましい手法は、このループにおけるそれら2つの残基のみを多様化することになる。これは、一連の抗原結合特異性を作成するのに必要とされる機能的多様性の点で、有意な向上を示すものである。
一態様において、合成可変領域レパートリーは、人工的に多様化された生殖系列VH又はVκに基づいて、VH又はVκのバックグラウンドで調製される。例えば、VH領域レパートリーは、クローン化生殖系列VH遺伝子セグメントV3−23/DP47(Tomlinsonら、1992、J.Mol.Biol.227:7768)及びJH4bに基づく(図1及び2参照)。Vκ領域レパートリーは、例えば、生殖細胞Vκ遺伝子セグメントO2/O12/DPK9(Coxら、1994、Eur.J.Immunol.24:827)及びJκ1に基づく(図3参照)。多様性は、例えば、PCR変異誘発によって、これら又は他の遺伝子セグメントに導入される。多様性は、例えば、誤りがちPCR(Hawkinsら、1992、J.Mol.Biol.226:889)又は化学的変異誘発によって無作為に導入されうる。しかし、上述したように、多様性の導入は、特定の残基に向けられるのが好ましい。所望の残基を、すべてのアミノ酸及びTAG停止コドンをコードする、変異誘発性プライマーを使用するコドンNNK(IUPAC命名法(N=G、A、T又はC、且つK=G又はT)を用いる)の導入の標的にすることが好ましい。NNNコドン(さらなる停止コドンTGA及びTAAを生成させる)、DVTコドン(A/G/T)(A/G/C)T)、DVCコドン((A/G/T)(A/G/C)C)及びDVYコドン((A/G/T)(A/G/C)(C/T)を含む、同様の目的を達成する他のコドンも使用される。DVTコドンは、天然のヒト抗体の抗原結合部位に対するアミノ酸残基の分布に最もよく似ている、22%の血清及び11%のチロシン、アスパラギン、グリシン、アラニン、アスパラテート、スレオニン及びシステインをコードする。レパートリーは、1つ又は複数の選択された縮重コドンを各部位に有するPCRプライマーを使用して多様化される。PCR変異誘発は、当該技術分野でよく知られているが、本発明の方法に有用なプライマー設計及びPCR変異誘発を以下の「PCR変異誘発」の章で検討する。
一態様において、図1に示されるように、CDR1、2及び3における多様性に対応する多様性を、部位H30、H31、H33、H35、H50、H52、H52a、H53、H55、H56、H58、H95、H97及びH98にNNKコドンを使用して、ヒト生殖系列VH遺伝子セグメントV3−23/DP47(Tomlinsonら、1992、J.Mol.Biol.227:7768)及びJH4bに導入する。
他の態様において、図2に示されるように、CDR1、2及び3における多様性に対応する多様性を、例えば、部位H30、H31、H33、H35、H50、H52、H52a、H53、H55、H56、H58、H95、H97、H98、H99、H100、H100a及びH100bにNNKコドンを使用して、ヒト生殖系列VH遺伝子セグメントV3−23/DP47及びJH4bに導入する。
他の態様において、図3に示されるように、CDR1、2及び3における多様性に対応する多様性を、例えば、部位L30、L31、L32、L34、L50、L53、L91、L92、L93、L94及びL96にNNKコドンを使用して、ヒト生殖系列Vκ遺伝子セグメントO2/O12/DPK9及びJκ1に導入する。
当該技術分野で知られているように、且つ例えばWO99/20749に記載されているように、多様化されたレパートリーをファージディスプレイベクターにクローン化する。概して、本発明を実施するのに必要とされる核酸分子及びベクター構築物は、当該技術分野で利用可能であり、Sambrookら、(1989)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor、USAの如き標準的な実験マニュアルに記載されているように構築及び操作される。
本発明における核酸の操作は、典型的には、組換えベクターで実施される。本明細書に用いられているように、「ベクター」とは、異種DNAをその発現及び/又は複製のために細胞に導入するのに使用される個別の要素である。当該ベクターを選択又は構築し、次に使用するための方法は、当業者によく知られている。細菌プラスミド、バクテリオファージ、人工染色体及びエピソームベクターを含む多くのベクターが好適に利用可能である。当該ベクターを単純なクローニング及び変異誘発に使用することができる。或いは、本発明のレパートリー(プレレパートリー)メンバーが担持されるベクターの典型として、遺伝子発現ベクターが採用される。本発明に従って使用されるベクターは、所望のサイズ、典型的には0.25キロベース(kb)から40kbの長さのポリペプチドコード化配列に対応するように選択される。インビトロクローニング操作の後に好適な宿主細胞をベクターで形質転換する。各ベクターは、一般にはクローニング(又は「ポリリンカー」)部位、複製起点及び少なくとも1つの選択可能なマーカー遺伝子を含む様々な機能的成分を含む。所定のベクターが発現ベクターである場合は、それは、本発明によるポリペプチドレパートリーメンバーをコードする遺伝子に機能的に結合されるように、それぞれクローニング部位の近傍に位置するエンハンサーエレメント、プロモーター、転写終結因子及びシグナル配列のいずれかをさらに有する。
クローニングベクター及び発現ベクターの双方は、一般には、ベクターが、1つ又は複数の選択された宿主細胞で複製することを可能にする核酸配列を含有する。クローニングベクターにおいて典型的には、この配列は、ベクターが、宿主染色体DNAと無関係に複製することを可能にし、複製起点、又は自立的に複製する配列を含む。当該配列は、様々な細菌、酵母及びウィルスについてよく知られている。プラスミドpBR322からの複製起点は、たいていのグラム陰性細菌に好適であり、2ミクロンプラスミド起源は、酵母に好適であり、様々なウィルス起源(例えばSV40、アデノウィルス)は、哺乳類細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般には、複製起点は、哺乳類発現ベクターが、COS細胞の如き高レベルのDNAを複製することが可能な哺乳類細胞に使用されなければ、当該ベクターに必要とされない。
有利には、クローニング又は発現ベクターも、やはり選択可能マーカーと称する選択遺伝子を含有する。この遺伝子は、選択培地で成長した形質転換された宿主細胞の生存又は成長に必要なタンパク質をコードする。したがって、選択遺伝子を含有するベクターで形質転換されていない宿主細胞は、培地で生存しないことになる。典型的な選択遺伝子は、抗生物質及び他の毒素、例えばアンピシリン、ネオミシン、メトトレキセート又はテトラシクリンに対する耐性を与え、栄養要求欠乏を補い、或いは成長培地で得ることができない重要な栄養分を供給するタンパク質をコードする。
本発明によるベクターの複製は大腸菌において最も便利に実施されるため、大腸菌選択可能マーカー、例えば、抗生物質アンピシリンに対する耐性を与えるβ−ラクタマーゼ遺伝子が使用される。これらは、pBR322、又はpUC18若しくはpUC19のようなpUCプラスミドの如き大腸菌プラスミドから得ることが可能である。
発現ベクターは、宿主生物に認識され、対象とするコード化配列に機能的に結合されるプロモーターを通常含有する。当該プロモーターは、誘導性又は構成的でありうる。「作動的に結合される」という用語は、記載された成分が、それらが意図したように機能することを可能にする関係にある近位配列を意味する。コード化配列に「作動的に結合された」対照配列は、コード化配列の発現を対照配列に適合する条件下で達成するように結合される。
原核宿主生物に対する使用に好適なプロモーターとしては、例えば、β−ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びtacプロモーターの如きハイブリッドプロモーターが挙げられる。細菌系に使用されるプロモーターは、一般には、コード化配列に機能的に結合されたシャインダルガーノ配列をも含有することになる。
本明細書に記載されているライブラリー又はレパートリーにおいて、好ましいベクターは、ポリペプチドライブラリーメンバーに対応するヌクレオチド配列の発現を可能にする発現ベクターである。したがって、選択は、ポリペプチドライブラリーメンバーを発現する単一クローンの個別的な増殖及び発現、又は任意の選択ディスプレイ系の使用によって実施される。上述したように、好ましい選択ディスプレイ系は、バクテリオファージディスプレイを用いる。したがって、ファージ又はファージミドを使用することができる。好ましいベクターは、(二本鎖複製に対して)複製の大腸菌起源を有するとともに、(一本鎖DNAの生成に対して)複製のファージ起源を有するファージミドベクターである。当該ベクターの操作及び発現は、当該技術分野でよく知られている(Hoogenboom及びWinter(1992)前出;Nissimら、(1994)前出)。手短に述べると、ベクターは、β−ラクタマーゼ、又はプラスミドに関する選択性を与える選択可能マーカー遺伝子、(NからC末端が)(発現されたポリペプチドを細胞周辺腔に導く)pelBリーダー配列からなる発現カセットの上流のlacプロモーター、(ライブラリーメンバーのヌクレオチドバージョンをクローン化するための)多重クローニング部位、場合によっては(検出用の)1つ又は複数のペプチドタグ、場合によっては1つ又は複数のTAG停止コドン、及びファージタンパク質pIIIを含有する。大腸菌の様々なサプレッサー及び非サプレッサー株を使用し、グルコース、イソプロピルチオβ−D−ガラクトシド(IPTG)、又はVCS M13の如きヘルパーファージを加えると、ベクターは、発現のないプラスミドとして複製し、大量のポリペプチドライブラリーメンバーのみを生成し、又はそのいくつかがそれらの表面にポリペプチド−pIIIの少なくとも1つのコピーを含有するファージを生成することが可能になる。
好ましいベクターの例としては、グルコースの存在下で抑制され、IPTGにより誘発されるLacZプロモーターの制御下でpIII融合タンパク質の生成が行われるpHEN1ファージミドベクター(Hoogenboomら、1991、Nucl.Acids Res.19:4133−4137;例えばWO03/031611における配列番号7のような配列が利用可能である)がある。大腸菌のサプレッサー株、例えばTG1で成長されると、遺伝子III融合タンパク質が生成され、ファージにおさめられるのに対して、非サプレッサー株、例えばHB2151で成長されると、可溶性融合タンパク質の細菌周辺質及び培地への分泌を可能にする。遺伝子IIIの発現は、ヘルパーファージによる後の感染を防止するため、ファージミドベクターを収容する細菌は、ファージ解放のためのVCSM13ヘルパーファージによる感染前にグルコースの存在下で増殖される。
本発明によるベクターの構成には、従来の結合技術が採用される。単離されたベクター又はDNA断片は、切断され、調整され、必要なベクターを生成するのに望ましい形態で再結合される。要望に応じて、構成されたベクターに正しい配列が存在することを確認するための配列分析が、標準的な方法を用いて実施される。発現ベクターを構成し、インビトロで転写物を調製し、DNAを宿主細胞に導入し、発現及び機能を評価するための分析を実施するための好適な方法は、当業者に知られている。試料中の遺伝子配列の存在を検出し、その増幅及び/又は発現をサザン又はノザン解析、ウェスタンブロット法、DNA、RNA又はタンパク質のドットブロット法、in situハイブリダイゼーション、免疫細胞化学法、又は核酸若しくはタンパク質分子の配列解析の如き従来の方法によって定量化する。要望に応じて、それらの方法をどのように変更できるかを当業者なら容易に認識するであろう。
PCR変異誘発
プライマーは、ポリペプチドレパートリーメンバーをコードする核酸レパートリーメンバーの集合体の調製に使用される核酸分子のプールに存在する標的分子の一部に対して相補的である。プライマーは、化学又は酵素的合成方法によって調製されることが最も多い。変異誘発性オリゴヌクレオチドプライマーは、一般には、長さが15から100ヌクレオチド、理想的には20から40ヌクレオチドであるが、異なる長さのオリゴヌクレオチドも使用される。
プライマーは、ポリペプチドレパートリーメンバーをコードする核酸レパートリーメンバーの集合体の調製に使用される核酸分子のプールに存在する標的分子の一部に対して相補的である。プライマーは、化学又は酵素的合成方法によって調製されることが最も多い。変異誘発性オリゴヌクレオチドプライマーは、一般には、長さが15から100ヌクレオチド、理想的には20から40ヌクレオチドであるが、異なる長さのオリゴヌクレオチドも使用される。
典型的には、2つの核酸配列が実質的に相補的である(少なくとも14から25のヌクレオチドの範囲にわたって少なくとも約65%の相補性、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約85%又は90%の相補性)。参照により本明細書に組み込まれているKanehisa、1984、Nucleic Acids Res.12:203を参照されたい。結果として、プライミング部位におけるある程度の不一致は許容されることが期待される。当該不一致は、モノ、ジ又はトリヌクレオチドの如き小さいものでありうる。或いは、それは、不一致が、連続した4以上のヌクレオチドを包含する領域として本明細書に定められているヌクレオチドループを含むことができる。
概して、5つの要因が、第2の核酸分子に対するプライマーのハイブリダイゼーションの効率性及び選択性に影響を与える。これらの要因は、(i)プライマーの長さ、(ii)ヌクレオチド配列及び/又は組成物、(iii)ハイブリダイゼーション温度、(iv)緩衝化学作用及び(v)プライマーをハイブリダイズさせることが必要な領域における立体障害の潜在性であって、非無作為的なプライミング配列が設計される場合は重要な要素である。
プライマーの長さと、プライマーを標的配列にアニールする効率性及び精度との間には正の相関性がある。より長い配列はより短い配列より融解温度(TM)が高く、所定の標的配列内で繰り返される可能性がより低いことにより、乱交雑ハイブリダイゼーションを最小限にする。二分子ではなく、一分子のハイブリダイゼーション運動は一般には溶液において好適であるため、G−C含有率が高い、又は回文配列を含むプライマー配列は、それらの意図する標的部位のように、自己ハイブリダイズする傾向がある。それと同時に、標的配列に緻密に結合するのに十分な数のG−Cヌクレオチド対を含有するプライマーを設計することは、それぞれの当該対は、A塩基とT塩基が対合する時に見られる2つの水素結合ではなく、3つの水素結合によって結合されるため重要である。ハイブリダイゼーション温度は、ハイブリダイゼーション混合物に含まれうる有機溶媒、例えばホルムアミドの濃度のように、プライマーアニーリング効率に逆比例して変化するが、塩濃度の増加は、結合を促進させる。厳密なハイブリダイゼーション条件下では、より長いプローブは、より許容的な条件下では十分であるより短いプローブより効率的にハイブリダイズする。プライマーに対する厳密なハイブリダイゼーション条件は、典型的には、約1M未満、より一般的には約500mM未満、好ましくは約200mM未満の塩濃度を含む。ハイブリダイゼーション温度は、0℃から22℃より高い温度、約30℃より高い温度、そして(最も多くは)約37℃を超える温度の範囲にある。より長い断片は、特定のハイブリダイゼーションに対してより高いハイブリダイゼーション温度を必要とすることがある。いくつかの要因がハイブリダイゼーションの厳密性に影響を与えるため、パラメータの組合せの方が、ある単独のパラメータの絶対測定値より重要である。
プライマーは、これらの要素を念頭において設計される。多くの配列の相対的長所を当業者が頭で推定することができるが、これらのいくつかのパラメータの評価及びプライマー配列の最適化を支援するコンピュータプログラムが設計された。当該プログラムの例としては、DNAStar(商標)ソフトウェアパッケージ(DNAStar,Inc.(ウィスコンシン州Madison所在)の「PrimerSelect」及びOLIGO4.0(National Biosciences,Inc.)がある。好適なオリゴヌクレオチドが設計されると、好適な方法、例えばいずれも参照により本明細書に組み込まれているBeaucage及びCarruthers、1981、Tetrahedron Lett.22:1859に記載されているホスホラミダイト法、又はMatteucci及びCaruthers、1981、J.Am.Chem.Soc.103:3185に記載されているトリエステル法、或いは市販の自動ヌクレオチド合成装置、又は例えばVLSIPS(商標)技術を用いた他の化学的方法によって調製される。
PCRは、鋳型DNA(少なくとも1fg、より実用的には1〜1000ng)及び少なくとも25pmolのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して実施される。各配列は、プライマープールの分子のごく小さい部分で表され、後の増幅サイクルにおいて量が限定されるため、プライマープールが極めて不均一である場合はより多量のプライマーを使用するのが有利でありうる。典型的な反応混合物は、2μlのDNA、25pmolのオリゴヌクレオチドプライマー、2.5μlの10×PCR緩衝液1(Perkin−Elmer)、0.4μの1.25μM dNTP、0.15μl(又は2.5単位)のTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)、及び全体積が25μlとなる量の脱イオン水を含む。ミネラルオイルを重層し、プログラム式サーマルサイクラーを使用してPCRが実施される。
PCRサイクルの各工程の長さ及び温度、並びにサイクル数は、実際の厳密性要件に従って調整される。アニーリング温度及びタイミングは、ともに、プライマーを鋳型にアニールする効率性、及び許容される不一致の程度によって決定づけられる。明らかに、核酸分子が同時に増幅及び変異誘発される場合は、合成の少なくとも第1ラウンドにおいて不一致が必要とされる。変異誘発性プライマーの混合プールを使用して分子の集団を増幅する試みにおいて、単に低融解温度に起因する潜在的変異生成物の厳密な(高温)アニーリング条件下での損失を、プライマーの標的部位以外の配列への無差別なアニーリングに対して計量する。プライマーアニーリング条件の厳密性を最適化する能力は、当業者の知識に十分に含められる。30℃と72℃の間のアニーリング温度が用いられる。通常は92℃と99℃の間の温度で4分間にわたって鋳型分子の最初の変性が生じ、その後に変性(94〜99℃、15秒から1分)、アニーリング(上述のように決定された温度;1〜2分)及び伸長(72℃、増幅生成物の長さに応じて1から5分)からなる20〜40のサイクルが続く。最後の伸長は、一般には、72℃で4分間にわたって行われ、その後に4℃の無期限の(0〜24時間の)工程が行われてもよい。
抗原結合についてのdAbsのスクリーニング
ファージの表面におけるdAbsのレパートリーの発現に続いて、ファージレパートリーを固定された標的抗原と接触させ、洗浄して未結合ファージを除去し、結合ファージを増殖させることによって選択が行われ、その全プロセスは「パニング」と称する。或いは、ファージは、重畳メンバーによってのみ結合される固定汎用リガンド(例えばタンパク質A又はタンパク質L)に対するパニングによって、適正に重畳されたメンバー変異体の発現について予備選択される。これには、非機能的メンバーの割合を減少させることによって、標的抗原を結合する可能性の高いメンバーの割合を増加させるという長所がある。汎用リガンドによる予備選択は、WO99/20749に教示されている。ファージ抗体ライブラリーのスクリーニングは、例えばHarrisonら、1996、Meth.Enzymol.267:83−109に広く記載されている。
ファージの表面におけるdAbsのレパートリーの発現に続いて、ファージレパートリーを固定された標的抗原と接触させ、洗浄して未結合ファージを除去し、結合ファージを増殖させることによって選択が行われ、その全プロセスは「パニング」と称する。或いは、ファージは、重畳メンバーによってのみ結合される固定汎用リガンド(例えばタンパク質A又はタンパク質L)に対するパニングによって、適正に重畳されたメンバー変異体の発現について予備選択される。これには、非機能的メンバーの割合を減少させることによって、標的抗原を結合する可能性の高いメンバーの割合を増加させるという長所がある。汎用リガンドによる予備選択は、WO99/20749に教示されている。ファージ抗体ライブラリーのスクリーニングは、例えばHarrisonら、1996、Meth.Enzymol.267:83−109に広く記載されている。
スクリーニングは、個体支持体、例えばプラスチックチューブ又はウェル、或いはクロマトグラフィマトリックス、例えばSepharose(商標)(Pharmacia)上に固定された生成済み抗原を使用して一般的に実施される。スクリーニング又は選択は、細胞の表面の如き複合抗原上でも実施されうる(Marksら、1993、BioTechnology 11:1145;de Kruifら、1995、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92:3938)。別法は、溶液中のビオチン化抗原を結合した後に、ストレプトアビジン被覆ビーズに捕捉することによる選択を含む。
好ましい態様において、パニングは、チューブ又はプレート内のウェル、例えばNunc MAXISORP(商標)免疫チューブ8ウェルストリップに(汎用又は特定)抗原を固定することによって実施される。ウェルを150μlの抗原(PBS中100μg/ml)でコーティングし、一晩インキュベートする。次いで、ウェルをPBSで3回洗浄し、37℃にて2時間にわたって400μlのPBS−2%スキムミルク(2%MPBS)でブロッキングる。その混合物を室温にて90分間インキュベートし、未結合ファージを含有する液体を除去する。ウェルをPBS−0.1%ツイーン20で10回濯ぎ、次いでPBSで10回濯いで、洗剤を除去する。200μlの新たに調製した100mMトリエチルアミンを添加し、十分に混合し、室温にて10分間インキュベートすることによって、結合ファージを溶出する。溶出されたファージを、100μlの1MトリスHCl(pH7.4)を含むチューブに移し、撹拌して、トリエチルアミンを中和する。指数関数的に増殖する大腸菌宿主細胞(例えばTG1)を37℃で30分間のインキュベートによって例えば150mlの希釈ファージに感染させる。感染細胞をスピンダウンさせ、新しい培地に再懸濁させ、上層アガロースに播種する。ファージプラークを溶出、又は宿主細胞の新たな培養物に突っ込んで、分析又はさらなる選択ラウンドに向けて増殖させる。必要ならば1つ又は複数のラウンドのプラーク生成を実施して、ナイーブな選択ファージの集団を確保する。他のスクリーニング手法は、Harrisonら、1996、前出に記載されている。
pHEN1の如きファージミドベクターが使用された場合に、所望の標的を結合する単一免疫グロブリン可変領域を発現するファージの識別に続いて、細菌の非サプレッサー株、例えば可溶性遺伝子III融合タンパク質の分泌を可能にするHB2151を感染することによって、可変領域融合タンパク質を可溶形態で容易に生成する。或いは、V領域配列を適切な発現ベクターにサブクローン化して、当該技術分野で知られている方法に従って可溶性タンパク質を生成することが可能である。
dAbsの精製及び濃縮
細胞周辺腔又は細菌の培地に分泌されたdAbポリペプチドは、回収され、知られている方法に従って精製される(Harrisonら、1996、前出)。Skerra & Pluckthun(1988、Science 240:1038)及びBreitlingら(1991、Gene 104:147)には、ペリプラズムからの抗体ポリペプチドの回収が記載されており、Betterら(1988、Science 240:1041)には、培養上澄みからの回収が記載されている。タンパク質A又はタンパク質Lの如き汎用リガンドに対する結合によって精製を達成することも可能である。或いは、親和性クロマトグラフィによる精製を容易にするペプチドタグ、例えばMyc、HA又は6×−Hisタグで可変領域を発現することが可能である。
細胞周辺腔又は細菌の培地に分泌されたdAbポリペプチドは、回収され、知られている方法に従って精製される(Harrisonら、1996、前出)。Skerra & Pluckthun(1988、Science 240:1038)及びBreitlingら(1991、Gene 104:147)には、ペリプラズムからの抗体ポリペプチドの回収が記載されており、Betterら(1988、Science 240:1041)には、培養上澄みからの回収が記載されている。タンパク質A又はタンパク質Lの如き汎用リガンドに対する結合によって精製を達成することも可能である。或いは、親和性クロマトグラフィによる精製を容易にするペプチドタグ、例えばMyc、HA又は6×−Hisタグで可変領域を発現することが可能である。
ポリペプチドは、例えば限外濾過、ダイアフィルトレーション及びタンジェンシャルフローフィルトレーションを含む、当該技術分野でよく知られているいくつかの方法によって濃縮される。限外濾過のプロセスは、半透膜及び圧力を用いて、分子種をサイズ及び形状に基づいて分離する。圧力は、ガス圧又は遠心によって与えられる。例えばMillipore(マサチューセッツ州Bedford所在;例としてはCentricon(商標)及びMicrocon(商標)濃縮器が挙げられる)及びVivascience(ドイツHannover所在;例としてはVivaspin(商標)濃縮器が挙げられる)による市販の限外濾過製品が広く利用可能である。標的ポリペプチドより小さい分子量カットオフ(10kD程度の差を問題なく用いることができるが、通常は標的ポリペプチドの分子量の1/3から1/6)を選択することによって、溶媒及びより小さい溶質が膜を通過する場合もポリペプチドは保持される。したがって、本明細書に記載されているdAbポリペプチドの濃縮には約5kDの分子量カットオフが有用である。
ポリペプチド調製において塩又は緩衝液を除去又は交換するのが望ましい場合には、「洗浄」プロセスに限外濾過膜を使用するダイアフィルトレーションが用いられる。ポリペプチドは、溶媒及び小さい溶質を膜に通すことによって濃縮され、残留する塩又は緩衝液は、保持されたポリペプチドを要望に応じて新たな緩衝液又は塩溶液又は水で希釈しながら限外濾過を続けることによって除去される。連続的ダイアフィルトレーションでは、新たな緩衝液が、濾過液が膜を通過するのと同じ速度で添加される。ダイアフィルトレーション容量は、ダイアフィルトレーションの開始前のポリペプチド溶液の体積であり、連続的なダイアフィルトレーションを用いると、6のダイアフィルトレーション容量を新たな緩衝液で洗浄することによって、99.5%を上回る量の完全透過性溶質を除去することが可能である。或いは、試料を繰り返し希釈し、次いで濾過して本来の体積に戻して、塩又は緩衝液を除去又は交換し、究極的にポリペプチドを濃縮する不連続的な方法で、そのプロセスを実施することが可能である。ダイアフィルトレーションのための装置、及びその使用のための詳細な手法は、例えば、Pall Life Sciences(ミシガン州Ann Arbor所在)及びSartorius AG/Vivascience(ドイツHannover所在)から入手可能である。
「クロスフロー濾過」としても知られているタンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)も限外濾過膜を使用する。標的ポリペプチドを含有する流体が、膜の表面に沿って接線方向に吸引される。圧力によって、流体の一部が、膜を通過する一方、標的ポリペプチドはフィルタ上方に保持される。しかし、標準的な限外濾過とは異なり、保持された分子は、膜の表面に蓄積せず、接線流によって運び去られる。フィルタを通過しない溶液(標的ポリペプチドを含有する)は、膜に繰り返し循環されて、所望の濃度を達成することができる。TFFのための装置、及びその使用のための詳細な手法は、例えば、Millopore(例えばProFlux M12(商標)Benchtop TFFシステム及びPellicon(商標)システム)及びPall Life Sciences(例えばMinim(商標)タンジェンシャルフローフィルトレーションシステム)から入手可能である。
タンパク質濃度は、当該技術分野でよく知られているいくつかの方法で測定される。これらの方法としては、例えば、アミノ酸分析、280nmにおける吸収、「ブラッドフォード」及び「ローリー」法、並びにSDS−PAGEが挙げられる。最も高精度な方法は、全加水分解の後に、HPLCによるアミノ酸分析を行うもので、次いで、dAbポリペプチドの知られている配列との比較により濃度を求める。この方法は最も高精度であるが、高価で時間がかかる。280nmのUV吸収の測定によるタンパク質測定は、より高速で、はるかに安価であるが、比較的高精度であり、アミノ酸分析に対する妥協として好まれている。280nmの吸収を用いて、本明細書に記載されている実施例に報告されているタンパク質濃度を測定した。
「ブラッドフォード」及び「ローリー」タンパク質試験(Bradford、1976、Anal.Biochem.72:248−254;Lowryら、1951、J.Biol.Chem.193:265−275)は、試料タンパク質濃度を最も頻繁にはウシ血清アルブミン(BSA)に基づく標準曲線と比較する。これらの方法は、精度が劣り、単一免疫グロブリン可変領域の濃度を実際より低く見積もる傾向がある。しかし、VH又はVκ単一領域ポリペプチドを標準として使用することによってそれらの精度を向上させることが可能である。
さらなるタンパク質試験法は、(参照により本明細書に組み込まれている)米国特許第4,839,295号に記載され、「BCAタンパク質試験(BCA Protein Assay)」(例えばピアスカタログ第23227)としてPierce Biotechnology(イリノイ州Rockford所在)が販売するビシンコニン酸試験である。
SDS−PAGE法は、知られている標準濃度、例えば単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドの知られている量と比較するゲル電気泳動及びクーマシーブルー染色を用いる。肉眼又は濃度測定によって定量することが可能である。
第3の態様において、本発明は、第1の結合特異性を有する第1の免疫グロブリン単一可変領域と、第2の(異なる)結合特異性を有する第2の単一免疫グロブリン単一可変領域とを含むリガンドであって、該結合特異性の一方又は両方が、インビボで該リガンドの半減期を増加させる抗原に対して特異的であるリガンドを製造するための方法であって、(a)第1の可変領域を第1のエピトープに結合するその能力によって選択する工程と、(b)第2の可変領域を第2のエピトープに結合するその能力によって選択する工程と、(c)可変領域を組み合わせる工程と、(d)リガンドを前記第1のエピトープ及び前記第2のエピトープに結合するその能力によって選択する工程とを含む方法を提供する。
リガンドは、第1及び第2のエピトープに同時に結合することが可能であり、或いは結合領域間にエピトープ結合をめぐる競合が存在する場合は、一方の領域の結合は、その同族のエピトープに対する他の領域の結合を排除することができる。したがって、一実施形態において、上記工程(d)は、第1及び第2の(そして恐らくはさらなる)エピトープに同時に結合することを必要とし、他の実施形態において、第1及び第2のエピトープに対する結合は同時に行われない。
エピトープは、好ましくは個別の抗原上に存在する。
リガンドは、有利には、上述したように、免疫グロブリン可変領域のVH/VLの組合せ、又はVH/VH若しくはVL/VLの組合せを含む。リガンドは、さらに、インビボでリガンドの半減期を増加させる抗原に対して特異的なVHH領域が、ニワトリ卵白リソザイム(HEL)、ブタ膵臓α−アミラーゼ又はNmC−Aを結合しなければ、ラクダVHH領域を含むことができる。半減期を増加させる抗原に対する特異性を用いて、インビボでリガンドの半減期を増加させることをいずれも記載していないConrathら、(2001)JBC 276:7346−7350及びWO99/23221に記載されているように、ブタ、BSA結合RR6アデノシン5染料若しくはS.は、HG982細胞を変異させる。
一実施形態において、前記第1の可変領域は、相補的可変領域の不在下で、前記第1のエピトープに対する結合について選択される(すなわち、上述したようにdAbとして選択される)。さらなる実施形態において、前記第1の可変領域は、前記第2の可変領域と異なり、第1の領域に対して相補的である第3の可変領域の存在下で、前記第1のエピトープ/抗原に対する結合について選択される。同様に、第2の領域は、相補的可変領域の不在又は存在下で選択されうる。
半減期を増加させるタンパク質に加えて、本発明のリガンドが標的とする抗原又はエピトープは、任意の抗原又はエピトープであってもよいが、有利には、治療的有益性について標的とされる抗原又はエピトープである。本発明は、任意の当該標的、特には本明細書にさらに特定される標的に対して特異的な開放構造、閉鎖構造及び隔離dAb単量体リガンドを含むリガンドを提供する。当該標的は、天然であっても合成であってもよいポリペプチド、タンパク質又は核酸、或いはその一部であってもよい。この点において、本発明のリガンドは、エピトープ又は抗原を結合し、アンタゴニスト又はアゴニスト(例えばEPO受容体アゴニスト)として作用することができる。選択は、広く多様であることを当業者なら理解するであろう。
それらは、例えば、ヒト又は動物タンパク質、サイトカイン、サイトカイン受容体、酵素、酵素に対する補因子、又はDNA結合タンパク質であってもよい。本明細書に記載されている一又は二重特異性結合ポリペプチドが標的とすることができる好適なサイトカイン及び成長因子としては、ApoE、Apo−SAA、BDNF、BLyS、カルジオトロフィン−1、EGF、EGF受容体、ENA−78、エオタキシン、エオタキシン−2、エキソダス−2、EpoR、酸性FGF、塩基性FGF、繊維芽細胞成長因子−10、FLT3リガンド、フラクタルキン(CX3C)、GDNF、G−CSF、GM−CSF、GF−01、インシュリン、IFN−y、IGF−I、IGF−II、IL−、IL−1p、20IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8(72a.a.)、IL−8(77a.a.)、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18(IGIF)、インヒビンα、インヒビンB IP−10、ケラチオサイト成長因子−2(KGF−2)、KGF、レプチン、LIF、リンホタクチン、ムレリアン阻害物質、単細胞コロニー阻害因子、単細胞誘引タンパク質、M−CSF、MDC(67a.a.)、MDC(69a.a.)、MCP−1(MCAF)、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MIG、MIP1α、MIP1β、MIP3α、MIP3β、MIP−4、骨髄前駆体阻害因子−1(MPIF−1)、NAP−2、ニュールツリン、神経成長因子、β−NGF、NT−3、NT−4、オンコスタチンM、PDGF−AA、PDGF−AB、PDGF−BB、PF−4、RANTES、SDF12、SDF1β、SCF、SCGF、幹細胞因子(SCF)、TARC、TGF−α、TGF−β、TGF−β2、TGF−β3、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、TNF−β、TNF受容体I、TNF受容体II、TNIL−1、TPO、VEGF、VEGF受容体1、VEGF受容体2、VEGF受容体3、GCP−2、GRO/MGSA、GRO−β、GRO−8、HCC1、1−309、HER1、HER2、HER3、HER4、TACE認識部位、TNF BP−I及びTNF BP−II、並びに本明細書の付属書に記載されている組合せ、異なる組合せ、又は個別に存在している付属書2又は付属書3に開示されている任意の標的が挙げられるが、それらに限定されない。
記載したように、好ましいリガンドは、単独で、合わせて、且つ/又は抗HSA結合活性とともにTNF−α及びVEGFを含む。
サイトカイン受容体は、先述のサイトカインに対する受容体を含む。このリストは網羅的でないことが理解されるであろう。
本発明の一実施形態において、可変領域は、抗原又はエピトープに対して導かれたそれぞれの抗体から誘導される。好ましい実施形態において、可変領域は、単一可変抗体領域のレパートリーから誘導される。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に定められている少なくとも1つの二重特異性リガンドをコードする1つ又は複数の核酸分子を提供する。
二重特異性リガンドを単一核酸分子でコードすることができる。或いは、核領域を個別の核酸分子でコードすることができる。リガンドが単一核酸分子でコードされる場合は、領域を、scFv分子の様式で、融合タンパク質として発現してもよいし、個別に発現し、次に、例えば化学結合剤を使用して互いに結合させてもよい。個別の核酸から発現されたリガンドは、適切な手段により互いに結合されることになる。
核酸は、発現されるとポリペプチドを宿主細胞から搬出するためのシグナル配列をさらにコードすることができ、発現と同時に糸状バクテリオファージ粒子(又は選択表示系の他の成分)の表面成分に融合することができる。
さらなる態様において、本発明は、本発明による二重特異性リガンドをコードする核酸を含むベクターを提供する。
さらなる態様において、本発明は、本発明による二重特異性リガンドをコードするベクターをトランスフェクトした宿主細胞を提供する。
当該ベクターからの発現を、例えばバクテリオファージ粒子の表面に選択のための可変領域を生成するように構成することができる。これにより、表示された可変領域の選択が可能になるため、本発明の方法を用いた「二重特異性リガンド」の選択が可能になる。
本発明は、本発明による少なくとも1つの二重特異性リガンドを含むキットをさらに提供する。
本発明による二重特異性リガンドは、好ましくは、重鎖及び軽鎖領域の組合せを含む。例えば、二重特異性リガンドは、scFvの形態で互いに結合されうるVH領域及びVL領域を含むことができる。加えて、リガンドは、1つ又は複数のCH又はCL領域を含むことができる。例えば、リガンドは、CH1領域、CH2又はCH3領域、及び/又はCL領域、Cμ、Cμ2、Cμ3又はCμ4領域、或いはその組合せを含むことができる。ヒンジ領域を含むこともできる。当該領域の組合せは、例えば、IgG又はIgMの如き天然抗体、或いはFv、scFv、Fab又はF(ab‘)2分子の如きその断片に類似していてもよい。VH、VL、CH1及びCL領域を含むIgG分子の単一腕の如き他の構造も考えられる。
本発明の好ましい実施形態において、可変領域は、単一領域V遺伝子レパートリーから選択される。一般には、単一抗体領域のレパートリーは、糸状バクテリオファージの表面に表示される。好ましい実施形態において、各単一抗体領域は、ファージレパートリーの抗原に対する結合によって選択される。
本発明の好ましい実施形態において、各単一可変領域を相補的可変領域の不在下におけるその標的抗原又はエピトープに対する結合について選択することができる。代替的な実施形態において、単一可変領域を相補的可変領域の存在下におけるその標的抗原又はエピトープに対する結合について選択することができる。したがって、第1の単一可変領域を第3の相補的可変領域について選択することができ、第2の可変領域を第4の相補的可変領域の存在下で選択することができる。相補的な第3又は第4の可変領域は、試験されている単一領域と同じ特異性を有する天然の同族可変領域、又は「ダミー」可変領域の如き非同族相補的領域であってもよい。
好ましくは、本発明の二重特異性リガンドは、2つの可変領域のみを含むが、いくつかの当該リガンドをともに同一のタンパク質に組み込むことができ、例えば2つの当該リガンドをIgG、又はIgMの如き多量体免疫グロブリンに組み込むことができる。或いは、他の実施形態において、複数の二重特異性リガンドを組み合わせて、多量体を形成する。例えば、2つの異なる二重特異性リガンドを組み合わせて、四重特異性分子を作る。
本発明の方法に従って製造された二重特異性リガンドの軽及び重可変領域は、同一のポリペプチド鎖に存在していてもよいし、或いは異なるポリペプチド鎖に存在していてもよいことを当業者なら理解するであろう。可変領域が異なるポリペプチド鎖に存在する場合は、それらは、リンカー、一般には(ポリペプチド鎖の如き)柔軟性リンカー、化学結合基、又は当該技術分野で知られている任意の他の方法を介して結合されうる。
さらなる態様において、本発明は、本発明の方法によって得られた二重特異性リガンド、及び薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含む組成物を提供する。
さらに、本発明は、本発明による「二重特異性リガンド」又は組成物を使用する疾病の治療及び/又は予防のための方法を提供する。
第2の構成において、本発明は、少なくとも2つの非相補的可変領域を含む多重特異性リガンドを提供する。例えば、一対のVH領域又は一対のVL領域を含むことができる。有利には、それらの領域は、非ラクダ由来の領域である。それらは、好ましくは、ヒト領域である、又はヒトフレームワーク領域(FW)及び1つ又は複数の非相同的CDRを含む。CDR及びフレームワーク領域は、免疫学に関するタンパク質の配列のKabatデータベースにおいて考えられる免疫グロブリン可変領域の領域である。
好ましいヒトフレームワーク領域は、生殖系列遺伝子セグメントDP47及びDPK9によってコードされる領域である。有利には、VH又はVL領域のFW1、FW2及びFW3は、DP47又はDPK9からのFW1、FW2又はFW3の配列を有する。ヒトフレームワークは、場合によっては、変異、例えば約5までのアミノ酸変化又は約10までのアミノ酸変化を本発明のリガンドに使用されるヒトフレームワークに一括して含むことができる。
本発明の第2の構成による多重特異性リガンドにおける可変領域を開放又は閉鎖構造で配置することができる。すなわち、可変領域は、それらの同族リガンドを独立的且つ同時に結合することができるように、或いは可変領域のうちの1つの領域のみが一度にその同族リガンドを結合することができるように、配置することができる。
本発明人らは、一定の構造的条件下において、非相補的可変領域(例えば2つの軽鎖可変領域又は2つの重鎖可変領域)は、当該非相補的領域が同族対としてともに機能しなくても、第1のエピトープの第1の可変領域に対する結合が、第2のエピトープの第2の可変領域に対する結合を抑制するように存在しうることを認識した。
有利には、リガンドは、2対以上の可変領域を含む。すなわち、少なくとも4つの可変領域を含む。有利には、4つの可変領域は、ヒト由来のフレームワークを含む。
好ましい実施形態において、ヒトフレームワークは、ヒト生殖系列配列のフレームワークと同一である。
本発明人らは、当該抗体は、治療及び他の用途に対するリガンド結合試験に特定の用途を有するものと考える。
したがって、第2の構成の第1の態様において、本発明は、多重特異性リガンドを製造するための方法であって、a)第1のエピトープ結合領域を第1のエピトープに結合するその能力によって選択する工程と、b)第2のエピトープ結合領域を第2のエピトープに結合するその能力によって選択する工程と、c)エピトープ結合領域を組み合わせる工程と、d)閉鎖構造多重特異性リガンドを前記第1の第2のエピトープ及び前記第2のエピトープに結合するその能力によって選択する工程とを含む方法を提供する。
第2の構成のさらなる態様において、本発明は、第1のエピトープ結合特異性を有する第1のエピトープ結合領域と、第2のエピトープ結合特異性を有する非相補的な第2のエピトープ結合領域とを含み、第1及び第2の結合特異性は、閉鎖構造多重特異性リガンドが両方のエピトープを同時に結合することができないように、エピトープ結合をめぐって競合する閉鎖構造多重特異性リガンドを調製するための方法であって、a)第1のエピトープ結合領域を第1のエピトープに結合するその能力によって選択する工程と、b)第2のエピトープ結合領域を第2のエピトープに結合するその能力によって選択する工程と、c)エピトープ結合領域を、それらの領域が閉鎖構造になるように組み合わせる工程と、d)閉鎖構造多重特異性リガンドを、前記第1の第2のエピトープ及び前記第2のエピトープに結合するが、前記第1及び第2のエピトープに同時に結合しないその能力によって選択する工程とを含む方法を提供する。
さらに、本発明は、第1のエピトープ結合特異性を有する第1のエピトープ結合領域と、第2のエピトープ結合特異性を有する非相補的な第2のエピトープ結合領域とを含み、第1及び第2の結合特異性は、閉鎖構造多重特異性リガンドが両方のエピトープを同時に結合することができないように、エピトープ結合をめぐって競合する閉鎖構造多重特異性リガンドを提供する。
本発明の第2の構成の上記態様の代替的な実施形態は、場合によっては、第3又はさらなるエピトープ結合領域を選択することを含むさらなる工程(bl)を含む。このように、製造された多重特異性リガンドは、開放構造であっても閉鎖構造であっても、2つ以上のエピトープ結合特異性を含む。本発明の第2の構成の好ましい態様において、多重特異性リガンドが2つ以上のエピトープ結合領域を含む場合は、前記領域のうちの少なくとも2つは閉鎖構造であり、結合をめぐって競合する。他の領域は、結合をめぐって競合してもよいし、それらの同族エピトープと独立的に会合するように遊離していてもよい。
本発明によれば、「多重特異性リガンド」という用語は、本明細書に定められる2つ以上のエピトープ結合特異性を有するリガンドを意味する。
本明細書に定められるように、「閉鎖構造」(多重特異性リガンド)という用語は、1つのエピトープ結合領域によるエピトープ結合が、他のエピトープ結合領域によるエピトープ結合と競合するように、リガンドのエピトープ結合領域が、場合によってはタンパク質骨組によって、互いに結合又は会合することを意味する。すなわち、同族エピトープは、各エピトープ結合領域によって個々に結合されうるが、同時に結合できない。本明細書に記載されている方法を用いて、リガンドの閉鎖構造を達成することが可能である。
「開放構造」とは、1つのエピトープ結合領域によるエピトープ結合が、他のエピトープ結合領域によるエピトープ結合と競合しないように、リガンドのエピトープ結合領域が、場合によってはタンパク質骨組によって、互いに結合又は会合することを意味する。
本明細書で参照されるように、「競合する」という用語は、第2のエピトープがその同族結合領域に結合される場合に第1のエピトープのその同族エピトープ結合領域に対する結合が阻害されることを意味する。例えば、結合は、例えば結合領域の物理的遮断によって、或いは結合領域の構造又は環境が、エピトープに対するその親和性又は結合活性が低減されるように変化することによって立体的に阻害されうる。
本発明の第2の構成のさらなる態様において、エピトープは、結合すると互いに変位させうる。例えば、第1のエピトープは、その同族の第1の結合領域に結合すると、第2の結合領域に結合されたエピトープを変位させる、第2の結合領域の立体障害又はその構造変化を引き起こす抗原上に存在しうる。
有利には、結合は、25%以上、有利には40%、50%、60%、70%、80%又は90%以上、好ましくは結合が完全に阻害されるように100%付近まで低減される。ELISAの如き従来の抗原結合試験、FRETを含む蛍光をベースとした技術、或いは分子の質量を測定する表面プラスモン共鳴の如き技術によって、エピトープの結合を測定することが可能である。
本発明の方法によれば、有利には、各エピトープ結合領域は、エピトープ結合特異性が異なる。
本発明の範囲において、第1及び第2の「エピトープ」は、同一でなく、単一の一特異性リガンドによって結合されないエピトープであると理解される。それらは、異なる抗原又は同一の抗原に存在しうるが、従来の抗体の単一の一特異性VH/VL結合対によって結合されうる単一物体を形成しない程度の距離だけ離れていてもよい。実験的に、単一鎖抗体形態(領域抗体又はdAbs)の個々の可変領域の双方が、2つのエピトープに対して一特異性VH/VLリガンドと個別に競合する場合は、それらの2つのエピトープは、本発明による個別のエピトープと見なされるほど十分に離れていない。
本発明の閉鎖構造一特異性リガンドは、WO02/02773に記載されているリガンドを含んでいない。したがって、本発明のリガンドは、任意の1つ又は複数の抗原又はエピトープを共同で結合する相補的VH/VL対を含まない。その代わりに、本発明によるリガンドは、好ましくは、非相補的なVH又はVL対を含む。有利には、各VH又はVL対における各VH又はVLは、異なるエピトープ結合特異性を有し、エピトープ結合部位は、1つの部位におけるエピトープの結合が他の部位におけるエピトープの結合と競合するように配置される。
本発明によれば、有利には、各エピトープ結合領域は、免疫グロブリン可変領域を含む。より有利には、各免疫グロブリン可変領域は、可変軽鎖領域(VL)又は可変重鎖領域VHである。本発明の第2の構成において、本発明によるリガンド上に存在しているときの免疫グロブリン領域は非相補的であり、すなわちVH/VL抗原結合部位を形成するように会合しない。したがって、本発明の第2の構成において考えられる多重特異性リガンドは、可変軽鎖領域(VL)又は可変重鎖領域(VH)である同一のサブタイプの免疫グロブリン領域を含む。さらに、本発明によるリガンドが閉鎖構造である場合は、免疫グロブリン領域はラクダVHH型であってもよい。
代替的な実施形態において、本発明によるリガンドは、ラクダVHH領域を含まない。より詳細には、本発明のリガンドは、ヒトVH領域と比較して、ラクダVHH領域に対して特異的な1つ又は複数のアミノ酸残基を含まない。
有利には、単一可変領域は、異なる抗原又はエピトープに対する結合活性について選択された抗体から誘導される。例えば、少なくとも一部にヒト免疫化によって可変領域を単離することができる。ヒト抗体ライブラリーからの単離及び人工抗体遺伝子の合成を含む代替的な方法が当該技術分野で知られている。
可変領域は、有利には、タンパク質A又はタンパク質Lの如き超抗原を結合する。超抗原に対する結合は、適切に重畳した抗体可変領域の特性であり、当該領域を例えば組換え又は変異領域から単離することを可能にする。本発明によるエピトープ結合領域は、タンパク質骨組及びエピトープ相互作用領域(有利には、タンパク質の表面に存在する)を含む。エピトープ結合領域は、免疫グロブリン領域以外のタンパク質骨組又は骨格を基礎としていてもよい。例えば、1つ又は複数のエピトープに対して特異的に結合するリガンドを生成するために、SpAの如き天然の細菌受容体がCDRの移植のための骨組として使用された。この手順の詳細は、米国特許第5,831,012号に記載されている。他の好適な骨組としては、フィブロネクチン及びアフィボディを基礎としたものが挙げられる。好適な手順の詳細は、WO98/58965に記載されている。他の好適な骨組としては、van den Beukenら、J.Mol.Biol.(2001)310、591−601に記載されているリポカリン及びCTLA4、及び例えば細菌GroEL又は他のシャペロンポリペプチドの環構造を基礎とする、W00069907(医学研究会議)に記載されているような骨組が挙げられる。タンパク質骨組を組み合わせることができる。例えば、CDRをCTLA4骨組に移植し、免疫グロブリンVH又はVL領域と併用して、多価リガンドを形成することができる。同様に、フィブロネクチン、リポカリン及び他の骨組を組み合わせることもできる。
本発明の方法に従って製造された閉鎖構造多重特異性リガンドのエピトープ結合領域は、同一のポリペプチド鎖、或いは異なるポリペプチド鎖に存在しうることを当業者なら理解するであろう。可変領域が異なるポリペプチド鎖に存在する場合は、リンカー、有利には(ポリペプチド鎖の如き)柔軟リンカー、化学結合基、又は当該技術分野で知られている任意の他の方法を介してそれらを結合することができる。
第1及び第2のエピトープ結合領域を共有結合的又は非共有結合的に会合させることができる。それらの領域が共有結合的に会合される場合は、その会合に例えばジスルフィド結合を仲介させることができる。
本発明の第2の態様において、第1及び第2のエピトープは、異なっていることが好ましい。それらは、天然又は合成物でありうるポリペプチド、タンパク質又は核酸、或いはその一部であってもよい。この点において、本発明のリガンドは、エピトープ又は抗原を結合することができ、アンタゴニスト又はアゴニスト(例えば受容体アゴニスト)として作用することができる。一実施形態におけるリガンドのエピトープ結合領域は、同一のエピトープ特異性を有し、例えば、多数のエピトープの複製物が同一の抗原に存在するときはそれらのエピトープを同時に結合することができる。他の実施形態において、これらのエピトープは、リガンドがエピトープを結合し、抗原を架橋することができるように、異なる抗原に設けられる。エピトープ及び抗原の選択は広く、多様であることを当業者なら理解するであろう。それらは、例えば、ヒト又は動物のタンパク質、サイトカイン、サイトカイン受容体、酵素、酵素に対する補因子、或いはDNA結合タンパク質であってもよい。
本明細書に記載されている一又は二重特異性結合ポリペプチドが標的とすることができる好適なサイトカイン及び成長因子としては、ApoE、Apo−SAA、BDNF、BLyS、カルジオトロフィン−1、EGF、EGF受容体、ENA−78、エオタキシン、エオタキシン−2、エキソダス−2、EpoR、酸性FGF、塩基性FGF、繊維芽細胞成長因子−10、FLT3リガンド、フラクタルキン(CX3C)、GDNF、G−CSF、GM−CSF、GF−01、インシュリン、IFN−y、IGF−I、IGF−II、IL−、IL−1p、20IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8(72a.a.)、IL−8(77a.a.)、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18(IGIF)、インヒビンα、インヒビンB IP−10、ケラチオサイト成長因子−2(KGF−2)、KGF、レプチン、LIF、リンホタクチン、ムレリアン阻害物質、単細胞コロニー阻害因子、単細胞誘引タンパク質、M−CSF、MDC(67a.a.)、MDC(69a.a.)、MCP−1(MCAF)、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MIG、MIP1α、MIP1β、MIP3α、MIP3β、MIP−4、骨髄前駆体阻害因子−1(MPIF−1)、NAP−2、ニュールツリン、神経成長因子、β−NGF、NT−3、NT−4、オンコスタチンM、PDGF−AA、PDGF−AB、PDGF−BB、PF−4、RANTES、SDF12、SDF1β、SCF、SCGF、幹細胞因子(SCF)、TARC、TGF−α、TGF−β、TGF−β2、TGF−β3、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、TNF−β、TNF受容体I、TNF受容体II、TNIL−1、TPO、VEGF、VEGF受容体1、VEGF受容体2、VEGF受容体3、GCP−2、GRO/MGSA、GRO−β、GRO−8、HCC1、1−309、HER1、HER2、HER3、HER4、TACE認識部位、TNF BP−I及びTNF BP−II、並びに本明細書の付属書に記載されている組合せ、異なる組合せ、又は個別に存在している付属書2又は付属書3に開示されている任意の標的が挙げられるが、それらに限定されない。
サイトカイン受容体は、先述のサイトカイン、例えばIL−1 R1、IL−GR、IL−10R、IL−18Rに対する受容体、並びに付属書2又は3に記載されているサイトカインに対する受容体、また付属書2及び3に開示されている受容体を含む。
このリストは網羅的でないことが理解されるであろう。多重特異性リガンドが、(同一又は異なる抗原上の)2つのエピトープに結合する場合は、抗原をこのリストから選択できる。
有利には、生物の身体の治療状況において相乗作用的に共同するサイトカイン及び他の分子を標的とする二重特異性リガンドを使用することができる。したがって、本発明は、2つ以上のサイトカインの活性を相乗作用させるための方法であって、前記2つ以上のサイトカインに対して結合することが可能な二重特異性リガンドを投与することを含む方法を提供する。本発明の本態様において、二重特異性リガンドは、相補的及び/又は非相補的領域で構成されるリガンド、開放構造のリガンド、及び閉鎖構造のリガンドを含む任意の二重特異性リガンドであってもよい。例えば、本明細書の本態様は、VH領域とVL領域の組合せ、VH領域のみ、及びVL領域のみに関する。
治療の観点での相乗作用をいくつかの方法で達成することができる。例えば、両方の標的がリガンドの標的になる場合は、標的の組合せは治療的に活性でありうるのに対して、1つの標的のみを標的とすることは治療的有効性がない。他の実施形態において、1つの標的だけでは、低い又は最小限の治療効果しかもたらすことができないが、第2の標的と合わせると、その組合せは、治療効果の相乗的上昇をもたらす。
好ましくは、本発明の本態様の二重特異性リガンドによって結合されるサイトカインは、付属書2に示されているリストから選択される。
さらに、1つの特異性は、サイトカイン細胞によって発現されるCD89を標的とし、他方は腫瘍に特異的である場合は、二重特異性リガンドを腫瘍学分野に使用できる。標的とすることができる腫瘍抗原の例は、付属書3に示されている。
本発明の第2の構成の一実施形態において、可変領域は、第1及び/又は第2の抗原又はエピトープに対して導かれる抗体から誘導される。好ましい実施形態において、可変領域は、単一可変抗体領域のレパートリーから誘導される。一例において、該レパートリーは、動物又は合成レパートリーにおいて作られないレパートリーである。他の例において、単一可変領域は、(少なくとも一部は)動物免疫化によって単離されない。したがって、単一領域を神経ライブラリーから単離することが可能である。
他の態様において、本発明の第2の構成は、第1のエピトープ結合特異性を有する第1のエピトープ結合領域と、第2のエピトープ結合特異性を有する非相補的な第2のエピトープ結合領域とを含む多重特異性リガンドを提供する。第1及び第2の結合特異性は、同一又は異なっていてもよい。
さらなる態様において、本発明は、第1のエピトープ結合特異性を有する第1のエピトープ結合領域と、第2のエピトープ結合特異性を有する非相補的な第2のエピトープ結合領域とを含み、第1及び第2の結合特異性は、閉鎖構造多重特異性リガンドが同時に両方のエピトープを結合できないように、エピトープ結合をめぐって競合することが可能である閉鎖構造多重特異性リガンドを提供する。
さらなる態様において、本発明は、同一の標的上の異なるエピトープに対して特異的である非相補的結合領域を含む開放構造リガンドを提供する。当該リガンドは、高い結合活性で標的に結合する。
同様に、本発明は、同一のエピトープに対して特異的な非相補的結合領域を含み、IL−5、PDGF−AA、PDGF−BB、TGFβ、TGFβ2、TGFβ3及びTNFα、例えばヒトTNFα受容体1及びヒトTNFαの如き前記エピトープの多数の複製物を含む標的に導かれる多価リガンドを提供する。
類似の態様において、個々のエピトープに対する結合は治療的有意性がないが、2つのエピトープに対する結合に起因する結合活性の向上が治療的有利性をもたらすように、本発明によるリガンドを低い親和性で個々のエピトープを結合するように構成することが可能である。特定の例において、正常細胞型には個別に存在し、腫瘍細胞の如き異常細胞又は疾病細胞にのみ集まって存在するエピトープを標的とすることができる。当該状況において、本発明による二重特異性リガンドは、異常又は腫瘍疾病細胞のみを効果的に標的とする。同一のエピトープの多数の複製物、又は同一の標的上の隣接するエピトープに対して特異的なリガンド(キレート化dAbsとして知られる)は、3又は4以上の非相補的結合領域を含む三量体又は多量体(四量体以上)のリガンドであってもよい。例えば、3又は4のVH領域又はVL領域を含むリガンドを構成することができる。
さらに、各結合領域が標的のサブユニットに対して特異的である多サブユニット標的に結合するリガンドが提供される。リガンドは、二量体、三量体又は多量体であってもよい。好ましくは、本発明の上記態様による多重特異性リガンドは、本発明の第1の態様の方法によって取得可能である。
本発明の第2の構成の上記態様によれば、有利には、第1のエピトープ結合領域及び第2のエピトープ結合領域は、本明細書に定められている非相補的免疫グロブリン可変領域である。それは、VH−VH又はVL−VL可変領域である。
特にキレート化dAbは、本発明の好ましい態様、すなわちリンカー配列の上流又は下流に構築物dAbを含むベクターを使用して二量体、三量体又は多量体dAbのライブラリーを構成し、第2、第3又はさらなるdAbsをリンカーの他の側に挿入するアンカーdAbsの使用により調製されうる。例えば、アンカー又は誘導dAbは、TAR1−5(VK)、TAR1−27(V)、TAR2h−5(VH)又はTAR2h−6(VK)であってもよい。
代替的手法において、例えば、VHとVLの如き結合領域間の非共有結合又は自然親和力を用いることによってリンカーの使用を避けることができる。よって、本発明は、キレート化リガンドを調製するための方法であって、
(a)標的上の第1のエピトープに対して特異的な単一結合領域をコードする核酸配列を含むベクターを設ける工程と、
(b)第1のエピトープと同一又は異なりうる、前記標的上の第2のエピトープに対して特異的な第2の結合領域を含むレパートリーをコードするベクターを設ける工程であって、前記第2のエピトープは前記第1のエピトープに隣接する工程と、
(c)前記第1及び第2の結合領域を発現する工程と、
(d)結合して、標的結合二量体を形成する第1及び第2の結合領域の組合せを単離する工程とを含む方法を提供する。
(a)標的上の第1のエピトープに対して特異的な単一結合領域をコードする核酸配列を含むベクターを設ける工程と、
(b)第1のエピトープと同一又は異なりうる、前記標的上の第2のエピトープに対して特異的な第2の結合領域を含むレパートリーをコードするベクターを設ける工程であって、前記第2のエピトープは前記第1のエピトープに隣接する工程と、
(c)前記第1及び第2の結合領域を発現する工程と、
(d)結合して、標的結合二量体を形成する第1及び第2の結合領域の組合せを単離する工程とを含む方法を提供する。
第1及び第2のエピトープは、多量体リガンドが両方のエピトープに同時に結合することができるように隣接する。これは、結合の活性の向上という利点をリガンドに付与する。エピトープが同一である場合には、向上した結合活性効果を得るために少なくとも2つの複製物を同時に結合させることを可能にする標的上のエピトープの多数の複製物の存在によって、向上した結合活性が得られる。
いくつかの方法、並びにリンカーの使用によって結合領域を会合させることができる。
例えば、結合領域は、システイン残基、アビジン及びストレプトアビジン基、又は非共有結合後の合成のための他の手段を含むことができる。標的に対して効率的に結合するそれらの組合せが単離されることになる。或いは、リンカーは、例えば上述したように第1の結合領域、リンカー、及び第2の結合領域のレパートリーを含む、単一ベクターからの単一ポリペプチドとして発現される第1の結合領域と第2の結合領域の間に存在していてもよい。
好ましい態様において、第1及び第2の結合領域は、抗原に結合すると自然に会合する。例えば、VH及びVK領域は、隣接するエピトープに結合すると、三元相互作用で自然に会合して、安定した二量体を形成する。当該会合タンパク質は、標的結合試験で単離されうる。この手順の長所は、正しい構造で近接するエピトープに結合する結合領域のみが会合し、標的に対する結合活性が向上した結果として単離されることである。
本発明の第2の構成の上記の態様の代替的な実施形態において、少なくとも1つのエピトープ結合領域は、本明細書に定められている非免疫グロブリン「タンパク質骨組」又は「タンパク質骨格」を含む。好適な非免疫グロブリンタンパク質骨組は、上述したSpA、フィブロネクチン、GroEL及び他のシャペロン、リポカリン、CCTLA4及びアフィボディからなる群から選択された骨組のいずれかを含むが、それに限定されない。
本発明の第2の構成の上記態様によれば、有利には、エピトープ結合領域は、「タンパク質骨格」に結合される。
有利には、本発明によるタンパク質骨格は、免疫グロブリン骨格である。本発明によれば、「免疫グロブリン骨格」という用語は、本発明に定められているように、少なくとも1つの免疫グロブリン重畳を含み、1つ又は複数のエピトープ結合領域に対する核として作用するタンパク質を意味する。
本明細書に定められている好ましい「免疫グロブリン骨格」は、少なくとも(i)抗体のCL(カッパ又はラムダサブクラス)又は(ii)抗体重鎖のCH1領域を含む免疫グロブリン分子;抗体重鎖のCH1及びCH2領域を含む免疫グロブリン分子;抗体重鎖のCH1、CH2及びCH3領域を含む免疫グロブリン分子;或いは抗体のCL(カッパ又はラムダサブクラス)と併用される集合体(ii)のいずれかから選択される骨格のいずれかを含む。ヒンジ領域を含めることもできる。領域の当該組合せは、例えば、IgG又はIgMの如き天然抗体、又はFv、scFv、Fab又はF(ab’)2分子の如きその断片に類似していてもよい。
このリストは網羅的であるように意図されたものでないことを当業者なら認識するであろう。
本明細書に定められているエピトープ結合領域に対する骨格の結合は、ポリペプチドレベルで、すなわち骨格及び/又はエピトープ結合領域をコードする核酸の発現の後に達成されうる。或いは、結合工程を核酸レベルで実施することができる。本発明によるタンパク質骨格を1つ又は複数のエピトープ結合領域に結合する方法は、当業者によく知られており、本明細書に記載されているタンパク質化学及び/又は分子生物学的技法の使用を含む。
有利には、閉鎖構造多重特異性リガンドは、標的分子を結合することが可能な第1の領域と、リガンドの半減期を延ばす分子又は基を結合することが可能な第2の領域とを含むことができる。例えば、該分子又は基は、HSA又は細胞マトリックスタンパク質の如き巨大作用物質であってもよい。本明細書に用いられているように、「リガンドの半減期を延ばす分子又は基」という語句は、本明細書に記載されている二重特異性リガンドに結合されると、その分子又は基を結合しないリガンドと比べて、動物に投与されたときの当該二重特異性リガンドのインビボ半減期を増加させる分子又は化学基を意味する。リガンドの半減期を延ばす分子又は基の例を後に記載する。好ましい実施形態において、閉鎖構造多重特異性リガンドは、半減期を増加させる分子又は基の変位に対してのみ標的分子を結合することが可能でありうる。したがって、例えば、閉鎖構造多重特異性リガンドは、HSAの如き巨大分子により、被検体の血流における循環が維持される。標的分子に遭遇すると、閉鎖構造多重特異性リガンドの結合領域間の競合により、HSAの変位及び標的の結合がもたらされる。
本発明の任意の態様によるリガンド、並びに当該リガンドを構成するのに有用なdAb単量体は、有利には、300nMから5pM(すなわち3×10−7から5×10−12M)、好ましくは50nMから20pM、又は5nMから200pM、又は1nMから100pM、1×10−7M以下、1×10−8M以下、1×10−9M以下、1×10−10M以下、又は1×10−11M以下のKd、及び/又は表面プラスモン共鳴で測定された5×10−1から1×10−7S−1、好ましくは1×10−2から1×10−6S−1、又は5×10−3から1×10−5S−1、又は5×10−1S−1以下、又は1×10−2S−1以下、又は1×10−3S−1以下、又は1×10−4S−1以下、又は1×10−5S−1以下、又は1×10−6S−1以下のKoff速度定数で、それらの同族20標的から解離することができる。Kd速度定数は、Koff/Konと定義づけられる。
特に、本発明は、各dAbがTNF−αに結合する抗TNF−α dAb単量体(又は当該dAbを含む二重特異性リガンド)、ホモ二量体、ヘテロ二量体又はホモ三量体リガンドを提供する。リガンドは、300nMから5pM(すなわち3×10−7から5×10−12M)、好ましくは50nMから20pM、より好ましくは5nMから200pM、最も好ましくは1nMから100pMのKdでTNF−αに結合する。別法で表現すると、Kdは、1×10−7M以下、好ましくは1×10−8M以下、より好ましくは1×10−9M以下、有利には1×10−10M以下、最も好ましくは1×10−11M以下、及び/又は表面プラスモン共鳴で測定された5×10−1から1×10−7S−1、好ましくは1×10−2から1×10−6S−1、より好ましくは5×10−3から1×10−5S−1、例えば5×10−1S−1以下、好ましくは1×10−2S−1以下、より好ましくは1×10−3S−1以下、有利には1×10−4S−1以下、さらに有利には1×10−5S−1以下、最も好ましくは1×10−6S−1以下のKoff速度定数である。
好ましくは、リガンドは、標準的なL929試験において、500nMから50pM、好ましくは100nMから50pM、有利には10nMから100pM、より好ましくは1nMから100pM、例えば50nM以下、好ましくは5nM以下、有利には500pM以下、より好ましくは200pM以下、最も好ましくは100pM以下のND50でTNF−αを中和する。
好ましくは、リガンドは、500nMから50pM、好ましくは100nMから50pM、より好ましくは510nMから100pM、有利には1nMから100pM、例えば50nM以下、好ましくは5nM以下、より好ましくは500pM以下、有利には200pM以下、最も好ましくは100pM以下のIC50でTNF−α受容体I(p55受容体)に対するTNF−αの結合を阻害する。好ましくは、TNF−αは、ヒトTNF−αである。
また、本発明は、300nMから5pM(すなわち3×10−7から5×10−12M)、好ましくは50nMから20pM、より好ましくは5nMから200pM、最も好ましくは1nMから100pM、例えば1×10−7M以下、好ましくは1×10−8M以下、より好ましくは1×10−9M以下、有利には1×10−10M以下、最も好ましくは1×10−11M以下のKd、及び/又は表面プラスモン共鳴で測定された5×10−1から1×10−7S−1、好ましくは1×10−2から1×10−6S−1、より好ましくは5×10−3から1×10−5S−1、例えば5×10−1S−1以下、好ましくは1×10−2S−1以下、より好ましくは1×10−3S−1以下、有利には1×10−4S−1以下、さらに有利には1×10−5S−1以下、最も好ましくは1×10−6S−1以下のKoff速度定数でTNF受容体Iに結合する抗TNF受容体I dAb単量体、又は当該dAbを含む二重特異性リガンドを提供する。
好ましくは、dAb単量体又はリガンドは、標準的な試験(例えば、本明細書に記載されているL929又はHeLa試験)において、500nMから50pM、好ましくは100nMから50pM、より好ましくは10nMから100pM、有利には1nMから100pM、例えば50nM以下、好ましくは5nM以下、より好ましくは500pM以下、有利には200pM以下、最も好ましくは100pM以下のND50でTNF−αを中和する。
好ましくは、dAb単量体又はリガンドは、500nMから50pM、好ましくは100nMから50pM、より好ましくは10nMから100pM、有利には1nMから100pM、例えば50nM以下、好ましくは5nM以下、より好ましくは500pM以下、有利には200pM以下、最も好ましくは100pM以下のIC50でTNF−α5受容体I(p55受容体)に対するTNF−αの結合を阻害する。好ましくは、TNF受容体I標的は、ヒトTNF−αである。
また、本発明は、1nMから500μM(例えば1×10−9から5×10−4)、好ましくは100nMから10uMのKdで血清アルブミン(SA)に結合するdAb単量体(又は当該dAbを含む二重特異性リガンド)を提供する。好ましくは、第1の抗SA dAb、及び他の標的に対する第2のdAbを含む二重特異性リガンドについては、第2のdAbのその標的に対する親和性(例えば、Kd、及び/又は表面プラスモン共鳴により、例えばBIAcoreを用いて測定されたKoff)は、第1のdAbのSAに対する親和性の1から100000倍(好ましくは100から100000倍、より好ましくは1000から100000倍、又は10000倍から100000倍である)。例えば、第1のdAbは、約10μMの親和性でSAを結合し、第2のdAbは、100pMの親和性でその標的を結合する。好ましくは、血清アルブミンは、ヒト血清アルブミン(HSA)である。
一実施形態において、第1のAdb(又はdAb単量体)は、約50、好ましくは70、より好ましくは100、150又は200nMのKdでSA(例えばHSA)を結合する。
本発明は、本発明の先述の態様に従って、上記dAb単量体の二量体、三量体及び重合体を提供する。
dAb単量体、二量体及び三量体を含む本発明によるリガンドを、CH2及びCH3領域の一方又は双方、並びに場合によってはヒンジ領域を含む抗体Fc領域に結合させることが可能である。例えば、単一ヌクレオチド配列としてFc領域に結合されるリガンドをコードするベクターを使用して、当該ポリペプチドを調製することができる。
本発明の第2の構成のさらなる態様において、本発明は、少なくとも本明細書に定められている多重特異性リガンドをコードする1つ又は複数の核酸分子を提供する。一実施形態において、リガンドは、閉鎖構造リガンドである。他の実施形態において、リガンドは、開放構造リガンドである。多重特異性リガンドは、単一核酸分子上でコードされうる。或いは、各エピトープ結合領域を個別的な核酸分子でコードすることもできる。リガンドが単一核酸分子でコードされる場合は、それらの領域を融合ポリペプチドとして発現してもよいし、個別的に発現し、続いて、例えば化学結合剤を使用して互いに結合させてもよい。個別的な核酸から発現されたリガンドは、適切な手段によって互いに結合されることになる。
核酸は、発現すると同時に宿主細胞からのポリペプチドを移出するために単一配列をコードすることができ、発現すると同時に糸状バクテリオファージ粒子の表面成分(又は選択表示系の他の成分)と融合することができる。細菌発現及び/又はファージ又はファージミド表示に用いることができるリーダー配列は、pelB、stII、ompA、phoA、bla及びpelAを含む。
本発明の第2の構成のさらなる態様において、本発明は、本発明による核酸を含むベクターを提供する。
さらなる態様において、本発明は、本発明によるベクターをトランスフェクトした宿主細胞を提供する。
当該ベクターからの発現を、例えばバクテリオファージ粒子の表面に、選択のためのエピトープ結合領域を生成するように構成することができる。これは、表示領域の選択、そして本発明の方法を用いた「多重特異性リガンド」の選択を可能にする。
本発明の第2の構成の好ましい実施形態において、エピトープ結合領域は、免疫グロブリン可変領域であり、単一領域V遺伝子レパートリーから選択される。一般には、単一抗体領域のレパートリーは、糸状バクテリオファージの表面に表示される。好ましい実施形態において、各単一抗体領域は、ファージレパートリーを抗原に結合することによって選択される。
本発明は、開放構造又は閉鎖構造リガンドであってもよい、本発明による少なくとも1つの多重特異性リガンドを含むキットをさらに提供する。本発明によるキットは、例えば、診断キット、治療キット、及び化学又は生物種検出用キット等であってもよい。
本発明の第2の構成のさらなる態様において、本発明は、本発明によるリガンドを使用する均一免疫試験を提供する。
本発明の第2の構成のさらなる態様において、本発明は、本発明の方法によって取得可能な閉鎖構造多重特異性リガンド、及び薬学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤を含む組成物を提供する。さらに、本発明は、本発明による閉鎖構造多重特異性リガンド又は組成物を使用して疾病を治療するための方法を提供する。本発明の好ましい実施形態において、疾病は、癌又は炎症性疾患、例えば関節リウマチ、喘息又はクローン病である。
本発明の第2の構成のさらなる態様において、本発明は、本発明による閉鎖構造多重特異性リガンド又は組成物を使用する疾病の診断を含む診断方法を提供する。
したがって、概して、閉鎖構造多重特異性リガンドに対する検体の結合を利用して、作用物質を変位させて、変位に関するシグナルを生成させることができる。例えば、検体(第2の抗原)の結合により、酵素(第1の抗原)を、特にその酵素がその活性部位を通じて抗体に保持された場合に抗体に結合させて、免疫試験の基礎を提供することが可能である。
したがって、第2の構成の最後の態様において、本発明は、標的分子の存在を検出するための方法であって、
(a)抗原に結合された閉鎖構造多重特異性リガンドを設ける工程であって、前記リガンドは、標的分子及び作用物質に対して特異的であり、リガンドにより結合される作用物質は、リガンドからの変位に関する検出可能なシグナルを生成させる工程と、
(b)閉鎖構造多重特異性リガンドを標的分子に接触させる工程と、
(c)作用物質の変位の結果として生成されたシグナルを検出する工程とを含む方法を提供する。
(a)抗原に結合された閉鎖構造多重特異性リガンドを設ける工程であって、前記リガンドは、標的分子及び作用物質に対して特異的であり、リガンドにより結合される作用物質は、リガンドからの変位に関する検出可能なシグナルを生成させる工程と、
(b)閉鎖構造多重特異性リガンドを標的分子に接触させる工程と、
(c)作用物質の変位の結果として生成されたシグナルを検出する工程とを含む方法を提供する。
本発明の第2の構成の上記態様によれば、有利には、作用物質は、閉鎖構造多重特異性リガンドにより結合されると不活性になる酵素である。或いは、作用物質は、酵素に対する基質、及びリガンドにより結合されると不活性になる、又は消失する蛍光、発光又は発色分子からなる群から選択されるいずれかであってもよい。
本明細書に開示されている配列に対して類似又は相同的(例えば少なくとも約70%の配列同一性を有する)配列も本発明の一部である。いくつかの実施形態において、アミノ酸レベルの配列同一性は、約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上でありうる。核酸レベルでは、配列同一性は、約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%以上でありうる。或いは、核酸セグメントが、選択的ハイブリダイゼーション条件(例えば極めて高厳密性のハイブリダイゼーション条件)下で鎖の補体に対してハイブリダイゼーションするときに実質的な同一性が存在する。核酸は、全細胞に存在してもよく、細胞可溶化物に存在してもよく、又は部分的に精製された形態又は実質的にナイーブな形態で存在していてもよい。
2つの配列の間の「相同性」又は「配列同一性」又は「類似性」(本明細書では、それらの用語を区別なく用いる)の計算は以下のようにして実施される。最適比較の目的に向けて配列の位置合せを行う(例えば、最適な位置合せのために第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列に一方又は双方にギャップを導入し、比較目的について非相同性配列を無視することができる)。
好ましい実施形態において、比較目的で位置合せされた基準配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置のアミノ酸残基又はヌクレオチド残基を比較する。第1の配列における位置は、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドで占められる場合は、それらの分子は、その位置で同一になる(本明細書に用いられるように、アミノ酸又は核酸「相同性」は、アミノ酸又は核酸「同一性」と同等である)。2つのアミノ酸の同一性割合は、2つの配列の最適な位置合せのために導入することが必要なギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、それらの配列が共有する同一位置の数の関数である。
有利には、パラメータをデフォルト値に設定したBLASTアルゴリズム(バージョン2.0)を配列の位置合せに採用する。BLASTアルゴリズムは、「blast_help.html」ファイルの「/Blast!」ディレクトリの米国政府(「.gov」)の国立衛生研究所(「nib」)の全国バイオテクノロジー情報センター(「.ncbi」)のワールドワイドウェブサイト(「www」)に詳細に記載されている。検索パラメータは、以下のように定められ、有利には規定されたデフォルトパラメータに設定される。
BLAST(ベーシックローカルアラインメントサーチツール)は、blastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastxプログラムによって採用される発見的検索アルゴリズムである。これらのプログラムは、いくつかの改善を伴うKarlin及びAltschul、1990、20 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87(6):2264−8(上述の「blast_help.html」参照の統計的手法を用いたそれらの発見に意義を帰するものである。BLASTプログラムは、例えば問合せ配列に対する相同性を特定する配列同一性検索に向けて作成された。それらのプログラムは、概してモチーフスタイル検索に有用ではない。配列データベースの類似性検索における基本的問題についての議論については、Altschulら(1994)を参照されたい。
国立バイオテクノロジー情報センターウェブサイトで入手可能な5つのBLASTプログラムは、以下のタスクを実行する。「blastp」は、タンパク質配列データベースに対してアミノ酸問合せ配列を比較する。「blastn」は、ヌクレオチド配列データベースに対してヌクレオチド問合せ配列を比較する。「blastx」は、タンパク質配列データベースに対してヌクレオチド問合せ配列(両鎖)の6枠概念翻訳プロダクトを比較する。「tblastn」は、すべての6つの読み枠(両鎖)において動的に翻訳されたヌクレオチド配列に対してタンパク質問合せ配列を比較する。「tblastx」は、ヌクレオチド配列データベースの6枠翻訳に対してヌクレオチド問合せ配列の6枠翻訳を比較する。
BLASTは、以下の検索パラメータを使用する。
ヒストグラム(HISTOGRAM):各検索に対するスコアのヒストグラムを表示する。デフォルトはyesである(BLASTマニュアルのパラメータH参照)。
デスクリプション(DESCRIPTIONS):報告された配列を特定された数に対応させる短記述の数を制限する。デフォルト限界は100記述である(マニュアルのページのパラメータV参照)。エクスペクト(EXPECT)及びカットオフ(CUTOFF)も参照されたい。
アラインメント(ALIGNMENT):高スコアセグメント対(HSP)が報告されている、特定された数にデータベース配列を制限する。デフォルト限界は50である。これより多くのデータベース配列が、報告のための統計的有意閾値を満たす場合は(以下のエクスペクト(EXPECT)及びカットオフ(CUTOFF)参照)、最大の統計的有意に帰する対応のみが報告される(BLASTマニュアルのパラメータB参照)。
エクスペクト(EXPECT):データベース配列に対する対応を報告するための統計的有意閾値。デフォルト値は、Karlin及びAltschul(1990)に従って、10の対応が単に偶然に見い出されることが期待される10である。対応に帰する統計的有意がエクスペクト(EXPECT)閾値を上回る場合は、その対応は報告されない。より低いエクスペクト(EXPECT)閾値はより厳密で、報告されるチャンス対応がより少なくなる。分数値も許容される(BLASTマニュアルのパラメータE参照)。
カットオフ(CUTOFF):高スコアセグメント対を報告するためのカットオフスコア。デフォルト値は、エクスペクト(EXPECT)値から計算される(上記参照)。HSPは、それらに帰する統計的有意が、カットオフ(CUTOFF)値に等しいスコアを有する孤立HSPに帰するものと少なくとも同程度である場合にのみ、データベース配列にについて報告される。より高いカットオフ(CUTOFF)値は、より厳密で、報告されるチャンス対応がより少なくなる(BLASTマニュアルのパラメータS参照)。典型的には、有意閾値は、エクスペクト(EXPECT)を用いてより直感的に管理されうる。
マトリックス(MATRIX):BLASTP、BLASTX、TBLASTN及びTBLASTXに対する代用採点マトリックス。デフォルトマトリックスは、BLOSUM62(Henikoff & Henikoff、1992、Proc.Natl.30 Acad.Sci.USA 89(22):10915−9)である。有効な代用選択肢は、PAM40、PAM120、PAM:250及びIDENTITYを含む。BLASTNに対しては利用可能な代用採点マトリックスはない。BLASTN配列におけるマトリックス(MATRIX)ディレクトリを指定すると、誤り応答が復帰する。
ストランド(STRAND):TBLASTN検索をデータベース配列の上端又は下端鎖に限定する。或いはBLASTN、BLASTX又はTBLASTX検索を問合せ配列の上端又は下端鎖の読取り枠に限定する。
フィルタ(FILTER):Wootton & Federhen(1993)Computers and Chemistry 17:149−163のSEGプログラムで測定される組成複雑性が低い問合せ配列のセグメント、或いはClaverie & States、1993、Computers and Chemistry 17:191−201のXNUプログラムによって、又はBLASTNについてはTatusov and LipmanのDUSTプログラムによって(NCBIのワールドワイドウェブサイト参照)測定される短周期内的繰返しから構成されるセグメントをマスクする。フィルタリングは、統計的に有意であるが、生物学的に重要でない報告をブラスト出力(例えば共通の酸性、塩基性又はプロリン豊富領域)から排除して、データベース配列に対する特定の対応付けに利用可能な問合せ配列のより生物学的に重要な領域を残すことが可能である。フィルタプログラムによって見い出される低複雑性配列は、ヌクレオチド配列の文字「N」(例えば13回繰り返された「N」)及びタンパク質配列の文字「X」(例えば9回繰り返される「X」)を用いて置換される。
フィルタリングは問合せ配列(又はその翻訳プロダクト)にのみ適用され、データベース配列に適用されない。デフォルトフィルタリングは、BLASTNではDUSTであり、他のプログラムではSEGである。SWISS−PROTにおける配列に適用される場合は、SEG、XNU又は双方によって何もマスクされないことが珍しくないため、フィルタリングは常に効果をもたらすものと期待すべきではない。また、配列が全面的にマスクされ、フィルタリングされていない問合せ配列に対して報告されたあらゆる対応の統計的有意が疑わしいことが示される場合もある。
NCBI−gi:取得及び/又は場所名に加えて、出力中にNCBI gi識別子を示させる。
最も好ましくは、配列比較は、「/BLAST」ディレクトリにおける、上記のNCBIワールドワイドウェブサイトで提供される単純なBLAST検索アルゴリズムを用いて実施される。
免疫グロブリンをベースとした多重特異性リガンドの調製
本発明による二重特異性リガンドは、本発明の望ましい構成による構造が開放構造であっても閉鎖構造であっても、scFv、「ファージ」抗体及び他の工作抗体分子を調製するために抗体工学の分野で用いられている既に確立された技術に従って調製されうる。抗体、特に二重特異性抗体を調製するための技術は、例えば、Winter & Milstein、(1991)Nature 349:293−299;Pluckthun(1992)Immunological Reviews 5 130:151−188;Wrightら、(1992)Crit.Rev.Immunol.12:125− 168;Holliger,P.& Winter、G.(1993)Curr.Op.Biotechn.4、446−449;Carterら、(1995)J.Hematother.4、463−470;Chester,K.A.& Hawkins,R.E.(1995)Trends Biotechn.13,294−300;Hoogenboom,H.R.(1997)Nature Biotechnol.15、125−126、Fearon、D.(1997)Nature Biotechnol.15、618−619;Pluckthun,A.& Pack,P.(1997)Immunotechnology 3,83−105;Carter,P.& Merchant,A.M.(1997)Curr.Opin.Biotechnol.8、449−454;Hollinger,P.& Winter,G.(1997)Cancer Immunol.Immunother.45、128−130の論文、及びそれらに引用されている参考文献に記載されている。
本発明による二重特異性リガンドは、本発明の望ましい構成による構造が開放構造であっても閉鎖構造であっても、scFv、「ファージ」抗体及び他の工作抗体分子を調製するために抗体工学の分野で用いられている既に確立された技術に従って調製されうる。抗体、特に二重特異性抗体を調製するための技術は、例えば、Winter & Milstein、(1991)Nature 349:293−299;Pluckthun(1992)Immunological Reviews 5 130:151−188;Wrightら、(1992)Crit.Rev.Immunol.12:125− 168;Holliger,P.& Winter、G.(1993)Curr.Op.Biotechn.4、446−449;Carterら、(1995)J.Hematother.4、463−470;Chester,K.A.& Hawkins,R.E.(1995)Trends Biotechn.13,294−300;Hoogenboom,H.R.(1997)Nature Biotechnol.15、125−126、Fearon、D.(1997)Nature Biotechnol.15、618−619;Pluckthun,A.& Pack,P.(1997)Immunotechnology 3,83−105;Carter,P.& Merchant,A.M.(1997)Curr.Opin.Biotechnol.8、449−454;Hollinger,P.& Winter,G.(1997)Cancer Immunol.Immunother.45、128−130の論文、及びそれらに引用されている参考文献に記載されている。
本発明は、2つの異なる抗原又はエピトープに対する可変領域の選択、及びその後の可変領域の組合せを考慮する。可変領域の選択に採用される技術には、当該技術分野で知られているライブラリー及び選択手順が採用される。ヒトB細胞から収穫された再編成V遺伝子を使用する天然ライブラリー(Marksら、(1991)J.Mol.Biol.、222:581;Vaughanら、(1996)Nature Biotech.、14:309)は、当業者によく知られている。合成ライブラリー(Hoogenboom & Winter(1992)J.Mol.Biol.、227:381;Barbasら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4457;Nissimら、(1994)EMBO J.、13:692;Griffithsら、(1994)EMBO]、13:3245;De Kruifら、(1995)J.Mol.Biol.、248:97)は、通常PCRを用いて、クローニング免疫グロブリンV遺伝子によって調製される。PCRプロセスにおける誤差は、高度の無作為化をもたらしうる。VH及び/又はVLライブラリーを標的抗原又はエピトープに対して個別に(この場合は、単一領域結合が直接選択される)又は一緒に選択することができる。
本発明による二重特異性リガンドを製造するための好ましい方法は、可変領域のレパートリーを第1の抗原又はエピトープに対する結合について選択し、可変領域のレパートリーを第2の抗原又はエピトープに対する結合について選択する選択系を使用することを含む。次いで、選択された第1及び第2の可変領域を組み合わせ、二重特異性リガンドを第1及び第2の抗原又はエピトープの両方に対する結合について選択する。閉鎖構造リガンドは、第1及び第2の抗原又はエピトープの両方を同時でなく、個別に結合することについて選択される。
A.ライブラリーベクター系
本発明における使用に好適な様々な選択系が、当該技術分野で知られている。当該系の例を以下に記載する。
本発明における使用に好適な様々な選択系が、当該技術分野で知られている。当該系の例を以下に記載する。
バクテリオファージラムダ発現系は、いずれも先述したバクテリオファージプラク又は溶原菌のコロニーとして直接スクリーニングすることができ(Museら、(1989)20 Science、246:1275;Caton及びKoprowsiki(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、87;Mullinaxら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、87:8095;Perssonら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、88:2432)、本発明に使用される。当該発現系を使用して、ライブラリーの106までの異なるメンバーをスクリーニングすることが可能であるが、それらは、実際には、より多数のメンバー(106を超えるメンバー)のスクリーニングに適さない。
ライブラリーの構成に特に使用されるのは、核酸をそれが発現するポリペプチドに結合させることを可能にする選択表示系である。本明細書に用いられているように、選択表示系は、汎用及び/又は標的リガンドを結合することによって、好適な表示手段によるライブラリーの個々のメンバーの選択を可能にする系である。
ファージディスプレイ技術に代表される、大規模ライブラリーの所望のメンバーを単離するための選択プロトコルが当該技術分野で知られている。多様なペプチド配列を糸状バクテリオファージの表面に表示する(Scott及びSmith(1990)Science、249:386)当該系は、標的抗原を結合する特異的抗体断片のインビトロ選択及び増幅のための抗体断片(及びそれらをコードするヌクレオチド配列)のライブラリーを作成するのに有用であることが証明された(McCaffertyら、WO92/01047)。VH及びVL領域をコードするヌクレオチド配列は、それらを大腸菌の細胞周辺腔に導くリーダーシグナルをコードする遺伝子断片に結合される。その結果として、得られた抗体断片は、典型的にはバクテリオファージ被覆タンパク質(例えばpIII又はpVIII)に対する融合物として、バクテリオファージの表面に表示される。
或いは、抗体断片は、ラムダファージカプシド(ファージボディ)に外部から表示される。ファージをベースとした表示系の長所は、生物系であるために、細菌細胞に選択されたライブラリーメンバーを含むファージを単に成長させることによって、選択されたライブラリーメンバーを増幅できることである。また、ポリペプチドライブラリーメンバーをコードするヌクレオチド配列は、ファージ又はファージミドベクターに含まれるため、配列決定、発現及び次の遺伝子操作は比較的簡単である。
バクテリオファージ抗体表示ライブラリー及びラムダファージ発現ライブラリーを構成するための方法は、当該技術分野でよく知られている(参照により本明細書に組み込まれているMcCaffertyら、(1990)Nature、348:552;Kangら、(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、88:4363;Clacksonら、(1991)Nature、352:624;Lowmanら、(1991)Biochemistry、30:10832;Burtonら、20(1991)Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.、88:10134;Hoogenboomら、(1991)Nucleic Acids Res.、19:4133;Changら、(1991)J.Immunol.、147:3610;Breitlingら、(1991)Gene、104:147;Marksら、(1991)前出;Barbasら、(1992)前出;Hawkins及びWinter(1992)J.Immunol.、22:867;Marksら、1992、J.Biol.Chem.、267:16007;Lernerら、(1992)Science、258:1313)。
1つの特に有利な手法は、scFvファージライブラリーを使用することである(Hustonら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.、85:5879−5883;Chaudharyら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.、87:1066−1070;McCaffertyら、(1990)前出;Clacksonら、(1991)Nature、352:624;Marksら、(1991)J.Mol.Biol.、222:581;Chiswellら、30(1992)Trends Biotech.、10:80;Marksら、(1992)J.Biol.Chem.、267)。バクテリオファージ被覆タンパク質に表示されたscFvライブラリーの様々な実施形態が記載されている。例えば、参照により本明細書に組み込まれているWO96/06213及びWO92/01047(医学研究会議)並びにWO97/08320(Morphosys)に記載されているファージディスプレイ手法の改良型も知られている。
ポリペプチドのライブラリーを生成するための他の系は、ライブラリーメンバーのインビトロ合成のための無細胞酵素機構の使用を含む。1つの方法において、標的リガンドに対する交替的選択及びPCR増幅によってRNAを選択する(Tuerk及びGold(1990)Science、249:505;Ellington及びSzostak(1990)Nature、346:818)。同様の技術を用いて、所定のヒト転写因子を結合するDNA配列を識別することができる(Thiesen及びBach(1990)Nucleic Acids Res.、18:3203;Beaudry及びJoyce(1992)Science、257:635;WO92/05258及びWO92/14843)。同様にして、大きいライブラリーを生成するための方法として、インビトロ翻訳を用いて、ポリペプチドを合成することが可能である。一般には、安定化されたポリソーム複合体を含むこれらの方法は、さらにWO88/08453、WO90/05785、WO90/07003、WO91/02076、WO91/05058及びWO92/02536に記載されている。WO95/22625及びWO95/11922(Affymax)に開示されている、ファージをベースとしない代替的な表示系は、選択のためのポリペプチドを表示するのにポリソームを使用する。
さらに他の範疇の技術は、遺伝子のその遺伝子産物との結合を可能にする人工的区画におけるレパートリーの選択を含む。例えば、所望の遺伝子産物をコードする核酸を、油中水エマルジョンで形成されたマイクロカプセルにおいて選択することができる選択系が、WO99/02671、WO00/40712及びTawfik & Griffiths(1998)Nature Biotechnol 16(7)、652−6に記載されている。所望の活性を有する遺伝子産物をコードする遺伝子要素をマイクロカプセルに区分し、次いで転写且つ/又は翻訳して、マイクロカプセル内にそれぞれの遺伝子産物(RNA又はタンパク質)を生成する。続いて、所望の活性を有する遺伝子産物を生成する遺伝子要素を分類する。この手法は、様々な手段によって、所望の活性を検出することにより対象とする遺伝子産物を選択する。
B.ライブラリー構成
選択を目的としたライブラリーは、例えば上述のように当該技術分野で知られている技術を用いて構成してもよいし、商業的供給源から購入してもよい。本発明に有用なライブラリーは、例えば、WO99/20749に記載されている。ベクター系が選択され、対象とするポリペプチドをコードする1つ又は複数の核酸配列がライブラリーベクターにクローン化されると、発現の前に変異誘発を受けることによって、クローン化分子内に多様性を生成することができる。或いは、変異誘発及びさらなる選択が実施される前に、上述したように、コード化タンパク質を発現、選択することができる。構造的に最適化されたポリペプチドをコードする核酸配列の変異誘発が標準的な分子法によって実施される。特に用いられるのは、ポリメラーゼ連鎖反応又はPCRである(参照により本明細書に組み込まれているMullis及びFaloona(1987)Methods E’nzymol.、155:335)。熱安定性のDNA依存性DNAポリメラーゼによって触媒された多数のサイクルのDNA複製を用いて、対象とする標的配列を増幅させるPCRは、当該技術分野でよく知られている。様々な抗体ライブラリーの構成については、Winterら、(1994)Ann.Rev.Immunology 12、433−55、及びそれに引用された参考文献に論述されている。
選択を目的としたライブラリーは、例えば上述のように当該技術分野で知られている技術を用いて構成してもよいし、商業的供給源から購入してもよい。本発明に有用なライブラリーは、例えば、WO99/20749に記載されている。ベクター系が選択され、対象とするポリペプチドをコードする1つ又は複数の核酸配列がライブラリーベクターにクローン化されると、発現の前に変異誘発を受けることによって、クローン化分子内に多様性を生成することができる。或いは、変異誘発及びさらなる選択が実施される前に、上述したように、コード化タンパク質を発現、選択することができる。構造的に最適化されたポリペプチドをコードする核酸配列の変異誘発が標準的な分子法によって実施される。特に用いられるのは、ポリメラーゼ連鎖反応又はPCRである(参照により本明細書に組み込まれているMullis及びFaloona(1987)Methods E’nzymol.、155:335)。熱安定性のDNA依存性DNAポリメラーゼによって触媒された多数のサイクルのDNA複製を用いて、対象とする標的配列を増幅させるPCRは、当該技術分野でよく知られている。様々な抗体ライブラリーの構成については、Winterら、(1994)Ann.Rev.Immunology 12、433−55、及びそれに引用された参考文献に論述されている。
PCRは、鋳型DNA(少なくとも1fg、より実用的には1〜1000ng)及び少なくとも25pmolのオリゴヌクレオチドプライマーを使用して実施される。各配列は、プライマープールの分子のごく小さい部分で表され、後の増幅サイクルにおいて量が限定されるため、プライマープールが極めて不均一である場合はより多量のプライマーを使用するのが有利でありうる。典型的な反応混合物は、2μlのDNA、25pmolのオリゴヌクレオチドプライマー、2.5μlの10×PCR緩衝液1(Perkin−Elmer(カリフォルニア州Foster City))、0.4μlの1.25μM dNTP、0.15μl(又は2.5単位)のTaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer(カリフォルニア州Foster City))、及び全体積が25μlとなる量の脱イオン水を含む。ミネラルオイルを重層し、プログラム式サーマルサイクラーを使用してPCRが実施される。PCRサイクルの各工程の長さ及び温度、並びにサイクル数は、実際の厳密性要件に従って調整される。アニーリング温度及びタイミングは、ともに、プライマーを鋳型にアニールする効率性、及び許容される不一致の程度によって決定づけられる。明らかに、核酸分子が同時に増幅及び変異誘発される場合は、合成の少なくとも第1ラウンドにおいて不一致が必要とされる。プライマーアニーリング条件の厳密性を最適化する能力は、当業者の知識に十分に含められる。30℃と72℃の間のアニーリング温度が用いられる。通常は92℃と99℃の間の温度で4分間にわたって鋳型分子の最初の変性が生じ、その後に変性(94〜99℃、15秒から1分)、アニーリング(上述のように決定された温度;1〜2分)及び伸長(72℃、増幅産物の長さに応じて1から5分)からなる20〜40のサイクルが続く。最後の伸長は、一般には、72℃で4分間にわたって行われ、その後に4℃の無期限の(0〜24時間の)工程が行われてもよい。
C.単一可変領域の組合せ
本発明に有用な領域を選択すると、共有結合法及び非共有結合法を含む、当該技術分野で知られている様々な方法によって組み合わせることができる。
本発明に有用な領域を選択すると、共有結合法及び非共有結合法を含む、当該技術分野で知られている様々な方法によって組み合わせることができる。
好ましい方法は、記載されているポリペプチドリンカーを例えばscFv分子と併用することを含む(Birdら、(1988)Science 242:423−426)。Birdら、Science 242、423−426;Hudsonら、Journal Immunol.Methods 231(1999)177−189;Hudsonら、Proc Nat Acad Sci USA 85、5879 5883には好適なリンカーについて論述されている。リンカーは、好ましくは、柔軟で、2つの単一領域が相互作用することを可能にする。1つのリンカーの例は、(Gly4 ser)nリンカー(n=1〜8、例えば2、3、4、5又は7)である。柔軟性が劣る、ダイアボディに使用されるリンカーを採用してもよい(Holligerら、(1993)PNAS(USA)90:6444−6448)。
一実施形態において、採用されるリンカーは、免疫グロブリンヒンジ領域ではない。
リンカー以外の方法を用いて様々な領域を組み合わせることができる。例えば、天然又は工作システイン残基を通じて提供されたジスルフィドブリッジの使用を利用して、VH−VH、VL−VL又はVH−VL二量体を安定化させる(Reiterら、(1994)Protein Eng.7:697−704)、或いは可変領域間の界面の改造を利用して、総合作用の「適合性」及び安定性を向上させることができる(Ridgewayら、(1996)Protein Eng.7:617−621;Zhuら、(1997)Protein Science 6:781−788)。
免疫グロブリンの可変領域、特に抗体VH領域を接合又は安定化するための他の技術を適宜採用することができる。
本発明によれば、二重特異性リガンドを、溶解状態で「閉鎖」構造とすることができる。「閉鎖」構造は、2つの領域(例えばVH及びVL)が、抗体結合部位を形成する会合VL対の形態の如き会合形態で存在している構造である。例えば、scFvは、VH及びVL領域を結合するのに使用されるリンカーの配置に応じて、閉鎖構造であってもよい。これが、領域が会合することを可能にするほど柔軟であるか、或いはそれらを会合位置に固定的に保持する場合は、それらの領域は恐らく閉鎖構造を採用することになる。
同様に、VH領域対及びVL領域対は、閉鎖構造で存在することができる。一般には、これは、リガンド分子における硬質リンカー等による領域の閉鎖構造の機能になる。閉鎖構造のリガンドは、リガンドの半減期を増加させる分子と第2の標的分子の両方を結合できない。したがって、リガンドは、典型的には、リガンドの半減期を増加させる分子からの解離に際して第2の標的分子のみを結合することになる。
さらに、リンカーのないVH/VH、VL/VL又はVH/VL二量体の構成は、領域間の競合を与える。
本発明によるリガンドは、さらに、開放構造であってもよい。当該構造において、リガンドは、リガンドの半減期を増加させる分子と、第2の標的分子の両方を同時に結合することができる。典型的には、開放構造における可変領域は、それらの領域が相互作用して、抗体結合領域を形成しないとともに、それぞれのエピトープに対する結合をめぐって競合しない程度に離れて保持される(VH VL対の場合)。VH/VH又はVI/VL二量体の場合は、それらの領域は、硬質リンカーによって結合されない。本来は、当該領域対は、抗原結合をめぐって競合したり、抗体結合部位を形成したりすることはない。
Fab断片及び全抗体は、主として閉鎖構造で存在するが、開放及び閉鎖二重特異性リガンドは、恐らく、異なる雰囲気下において様々な平衡状態で存在する。リガンドの標的に対する結合は、恐らく、平衡のバランスを開放構造へとシフトさせる。したがって、本発明による特定のリガンドは、溶解状態で2つの構造で存在することができ、その1つ(開放形態)は、2つの抗原又はエピトープを独立的に結合することができ、他方の構造(閉鎖形態)は、1つの抗原又はエピトープのみを結合することができる。したがって、抗原又はエピトープは、この構造においてリガンドに対する結合をめぐって競合する。
したがって、二重特異性リガンドの開放形態は、溶解状態で閉鎖形態と平衡に存在することができるが、平衡は閉鎖形態に有利であると想定される。さらに、開放形態は、標的結合によって封鎖されて、閉鎖構造になることが可能である。したがって、好ましくは、本発明の特定の二重特異性リガンドは、2つの構造(開放構造と閉鎖構造)の間で平衡して存在する。
本発明による二重特異性リガンドを、開放及び閉鎖構造に有利になるように改造することができる。例えば、ジスルフィド結合に対するVH−VL相互作用を安定化すると、閉鎖構造が安定する。さらに、VH領域及びVL領域対を含む領域を結合するのに使用されるリンカーを、開放形態に有利になるように構成することができる。例えば、リンカーは、大きなアミノ酸残基を反対方向に組み込むこと、又は領域を物理的に離す好適な硬質構築物を設計することによって、領域の会合を立体的に阻害することができる。
D.二重特異性リガンドの特徴付け
二重特異性リガンドのその特異的抗原又はエピトープに対する結合を、当業者によく知られ、ELISAを含む方法によって試験することが可能である。本発明の好ましい実施形態において、結合は、モノクローナルファージELISAを用いて試験される。
二重特異性リガンドのその特異的抗原又はエピトープに対する結合を、当業者によく知られ、ELISAを含む方法によって試験することが可能である。本発明の好ましい実施形態において、結合は、モノクローナルファージELISAを用いて試験される。
ファージELISAを任意の好適な手順に従って実施することができる。江里時的なプロトコルを以下に記載する。
各選択において生成されたファージの集団を、選択された抗原又はエピトープに対するELISAによる結合についてスクリーニングして、「ポリクローナル」ファージ抗体を識別することができる。次いで、これらの集団からの単一感染細菌コロニーからのファージをELISAによってスクリーニングして、「モノクローナル」ファージ抗体を識別することができる。また、可溶性抗体断片を抗原又はエピトープに対する結合についてスクリーニングすることが望ましく、これは、例えばC又はN末端タグに対する試薬を使用して、ELISAによって実施することも可能である(例えば、Winterら、(1994)Ann.Rev.Immunology 12、433−55及びそれに引用された参考文献を参照)。
選択されたファージモノクローナル抗体の多様性をPCR生成物のゲル5電気泳動(Marksら、1991、前出;Nissimら、1994、前出)、探査(Tomlinsonら、1992)J.Nol.Biol.227、776)又はベクターDNAの配列によって評価することもできる。
E.「二重特異性リガンド」の構造
上述のように、抗体は、本明細書では、少なくとも1つの重鎖及び軽鎖可変領域、少なくとも2つの重鎖可変領域、又は少なくとも2つの軽鎖可変領域を含む抗体(例えばIgG、IgM、IgA、IgA、IgE)又は断片(Fab、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、ダイアボディ)と定義づけられる(抗体という用語はdAbをも包含する)。抗体を、自然に抗体を生成する任意の種から少なくとも部分的に誘導するか、又は組換えDNA技術によって作ることができる(血清、B細胞、ハイブリドーマ、トランスフェクトーマ、酵母又は細菌から単離される)。
上述のように、抗体は、本明細書では、少なくとも1つの重鎖及び軽鎖可変領域、少なくとも2つの重鎖可変領域、又は少なくとも2つの軽鎖可変領域を含む抗体(例えばIgG、IgM、IgA、IgA、IgE)又は断片(Fab、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、ダイアボディ)と定義づけられる(抗体という用語はdAbをも包含する)。抗体を、自然に抗体を生成する任意の種から少なくとも部分的に誘導するか、又は組換えDNA技術によって作ることができる(血清、B細胞、ハイブリドーマ、トランスフェクトーマ、酵母又は細菌から単離される)。
本発明の好ましい実施形態において、二重特異性リガンドは、抗体の少なくとも1つの20単一重鎖可変領域、及び抗体の1つの単一軽鎖可変領域、又は2つの単一重又は軽鎖可変領域を含む。例えば、リガンドは、VH/VL対、一対のVH領域又は一対のVL領域を含むことができる。
当該リガンドの第1及び第2の可変領域は、同一のポリペプチド鎖上に存在していてもよい。或いは、それらは、個別のポリペプチド鎖上に存在していてもよい。同一のポリペプチド鎖上に存在する場合は、上述のように、好ましくはペプチド配列であるリンカーによって結合されうる。
第1及び第2の可変領域は、共有結合又は非共有結合的に会合することができる。それらが共有結合的に会合する場合は、共有結合は、ジスルフィド結合であってもよい。
可変領域が、例えば本明細書に記載されているファージディスプレイ技術を用いて選択されたV遺伝子レパートリーから選択される場合は、これらの可変領域は、本明細書に記載されている特異的汎用リガンドによって認識されうるように、汎用フレームワーク領域を含む。汎用フレームワーク及び汎用リガンドの使用については、WO99/20749に記載されている。
V遺伝子レパートリーが用いられる場合は、ポリペプチド配列の変動は、好ましくは、可変領域の構造的ループ内に位置する。いずれの可変領域のポリペプチド配列も、各可変領域のその相補対との相互作用を強化するためにDNAシャフリング又は変異によって変えることができる。DNAシャフリングは、当該技術分野で知られており、いずれも参照により本明細書に組み込まれているStemmer、1994、Nature 370:389−391及び米国特許第6,297,053号に教示されている。
本発明の好ましい実施形態において、「二重特異性リガンド」は、単一鎖Fv断片である。本発明の代替的な実施形態において、「二重特異性リガンド」は、Fab形式からなる。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に定められている少なくとも1つの「二重特異性リガンド」をコードする核酸を提供する。
本発明の態様に応じて、抗原及びエピトープの両方が同一の抗体分子に同時に結合できることを当業者なら理解するであろう。或いは、それらは、同一の抗体分子をめぐって競合しうる。例えば、両方のエピトープが同時に結合される場合は、二重特異性リガンドの両方の可変領域が、それらの標的エピトープを独立して結合することが可能である。それらの領域が競合する場合は、1つの可変領域は、その標的を結合することが可能であるが、他の可変領域がその同族標的を結合するのと同時に結合することはできない。或いは、第1の可変領域は、その標的を結合することが可能であるが、第2の可変領域がその同族標的を結合するのと同時に結合することはできない。
可変領域を、標的抗原又はエピトープに対して導かれる抗体から誘導することができる。或いは、糸状バクテリオファージの表面に発現される領域の如き単一の抗体領域のレパートリーから誘導することができる。以下のように選択することができる。
概して、本発明を実施するのに必要とされる核酸分子及びベクター構築物を、Sambrookら、(1989)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor、USAの如き標準的な実験マニュアルに記載されているように構築及び操作することができる。
本発明に有用な核酸の操作は、典型的には、組換えベクターで実施される。
したがって、さらなる態様において、本発明は、本明細書に定められている少なくとも1つの「二重特異性リガンド」をコードする核酸を含むベクターを提供する。
本明細書に用いられているように、ベクターは、非相同性DNAを、その発現及び/又は複製のための細胞に導入するのに使用される個別的な要素を意味する。当該ベクターを選択又は構成し、次に使用する方法は、当業者によく知られている。細菌プラスミド、バクテリオファージ、人工染色体及びエピソームベクターを含む多くのベクターが公的に利用可能である。当該ベクターを単純なクローニング及び遺伝子誘発に使用することができる。或いは、遺伝子発現ベクターが採用される。本発明に従って使用されるベクターは、所望のサイズ、典型的には長さが0.25キロベース(kb)から40kb以上のポリペプチドコード配列に対応するように選択されうる。好適な宿主細胞は、インビトロのクローニング処理の後にベクターで変換される。各ベクターは、一般には、クローニング(又は「ポリリンカー」)部位、複製起点及び少なくとも1つの選択可能マーカー遺伝子を含む様々な機能的成分を含有する。所定のベクターが発現ベクターである場合は、そのベクターは、本発明によるリガンドをコードする遺伝子に機能的に結合されるようにそれぞれクローニング部位の近傍に位置するエンハンサーエレメント、プロモーター、転写終結及びシグナル配列のいずれかを有する。
一般には、クローニングベクター及び発現ベクターは、いずれも、ベクターが1つ又は複数の選択された宿主細胞に発現することを可能にする核酸配列を含む。典型的には、クローニングベクターにおいて、この配列は、ベクターが宿主染色体DNAから独立して複製することを可能にし、複製起点、又は自立的に複製する配列を含む。当該配列は、様々な細菌、酵母及びウィルスについてよく知られている。
プラスミドpBR322からの複製起点は、たいていのグラム陰性細菌に好適であり、2ミクロンプラスミド起源は、酵母に好適であり、様々なウィルス起源(例えばSV40、アデノウィルス)は、哺乳類細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般には、複製起点は、哺乳類発現ベクターがCOS細胞の如き、高レベルのDNAを複製することが可能な哺乳類細胞に使用されなければ、これらのベクターに必要とされない。
有利には、クローニング又は発現ベクターは、選択可能マーカーとも称する選択遺伝子を含有することができる。この遺伝子は、選択的培地で成長された変換宿主細胞の生存又は成長に必要なタンパク質をコードする。したがって、選択遺伝子を含むベクターで変換されない宿主細胞は、その培地で生存しない。典型的な選択遺伝子は、抗生物質又は他の毒素、例えばアンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート又はテトラシクリン、補足栄養要求欠乏に対する抵抗性を与え、栄養要求欠乏を補い、或いは成長培地で得ることができない重要な栄養分を供給するタンパク質をコードする。本発明によるリガンドをコードするベクターの複製は大腸菌において最も便利に実施されるため、大腸菌選択可能マーカー、例えば、抗生アンピシリンに対する抵抗性を与えるβ−ラクタマーゼ遺伝子が使用される。これらは、pBR322、又はpUC18若しくはpUC19のようなpUCプラスミドの如き大腸菌プラスミドから得ることが可能である。
発現ベクターは、宿主成体に認識され、対象とするコード化配列に機能的に結合されるプロモーターを通常含有する。当該プロモーターは、誘導性又は構造性でありうる。「機能的に結合される」という用語は、記載された成分が、それらが意図したように機能することを可能にする関係にある近位配列を意味する。コード化配列に「機能的に結合された」対照配列は、コード化配列の発現を対照配列に適合する条件下で達成するように結合される。
原核宿主生物に対する使用に好適なプロモーターとしては、例えば、p−ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びtacプロモーターの如きハイブリッドプロモーターが挙げられる。細菌系に使用されるプロモーターも、一般には、コード化配列に機能的に結合されるシャインダルガーノ配列を含む。好ましいベクターは、ポリペプチドライブラリーメンバーに対応するヌクレオチド配列の発現を可能にする発現ベクターである。したがって、ポリペプチドライブラリーメンバーを発現する単一クローンの個別的増殖及び発現、又は任意の選択表示系の使用によって、第1及び/又は第2の抗原又はエピトープによる選択を行うことが可能である。上述したように、好ましい選択表示系は、バクテリオファージディスプレイである。したがって、ファージ又はファージミドベクター、例えばpIT1又はpIT2を使用することができる。本発明に有用なリーダー配列としては、pelB、stII、ompA、phoA、bla及びpelAが挙げられる。一例としては、(二本鎖複製に対して)複製の大腸菌起源を有するとともに、(一本鎖DNAの生成に対して)複製のファージ起源を有するファージミドベクターがある。当該ベクターの処理及び発現は、当該技術分野でよく知られている(Hoogenboom及びWinter(1992)前出;Nissimら、(1994)前出)。手短に述べると、ベクターは、β−ラクタマーゼ遺伝子、(NからC末端が)(発現されたポリペプチドを細胞周辺腔に導く)pelBリーダー配列からなる発現カセットの上流のlacプロモーター、(ライブラリーメンバーのヌクレオチドバージョンをクローン化するための)多重クローニング部位、場合によっては(検出用の)1つ又は複数のペプチドタグ、場合によっては1つ又は複数のTAG停止コドン、及びファージタンパク質pIIIを含有する。したがって、大腸菌の様々なサプレッサー及び非サプレッサー株を使用し、グルコース、イソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)、又はVCS M13の如きヘルパーファージを加えると、ベクターは、発現のないプラスミドとして複製し、大量のポリペプチドライブラリーメンバーのみを生成し、又はそのいくつかがそれらの表面にポリペプチド−pIII融合の少なくとも1つのコピーを含有するファージを生成することが可能になる。
本発明によるリガンドをコードするベクターの構成には、従来の結合技術が採用される。単離されたベクター又はDNA断片は、開裂され、調整され、必要なベクターを生成するのに望ましい形態で再結合される。要望に応じて、構成されたベクターに正しい配列が存在することを確認するための分析を知られている方法で実施することが可能である。発現ベクターを構成し、インビトロで転写物を調製し、DNAを宿主細胞に導入し、発現及び機能を評価するための分析を実施するための好適な方法は、当業者に知られている。試料中の遺伝子配列の存在を検出し、その増幅及び/又は発現をサザン又はノザン解析、ウェスタンブロット法、DNA、RNA又はタンパク質のドットブロット法、in situハイブリダイゼーション、免疫細胞化学法、又は核酸若しくはタンパク質分子の配列解析の如き従来の方法によって定量化する。要望に応じて、それらの方法をどのように変更できるかを当業者なら容易に認識するであろう。
閉鎖構造多重特異性リガンドの構造
本発明の第2の構成の態様によれば、2つ以上の非相補的エピトープ結合領域は、本明細書に定められる閉鎖構造になるように結合される。有利には、本明細書に記載されているリンカーの代わりに、又はそれに加えて、エピトープ結合部位の閉鎖構造の形成及び/又は維持を互いに容易にすることができる骨格にそれらの領域をさらに結合させることができる。
本発明の第2の構成の態様によれば、2つ以上の非相補的エピトープ結合領域は、本明細書に定められる閉鎖構造になるように結合される。有利には、本明細書に記載されているリンカーの代わりに、又はそれに加えて、エピトープ結合部位の閉鎖構造の形成及び/又は維持を互いに容易にすることができる骨格にそれらの領域をさらに結合させることができる。
(I)骨格
骨格は、上述した起源において、免疫グロブリン分子に基づいていてもよいし、非免疫グロブリンに基づいていてもよい。本明細書に定められている好ましい「免疫グロブリン骨格」は、少なくとも(i)抗体のCL(カッパ又はラムダサブクラス)領域又は(ii)抗体重鎖のCH1領域を含む免疫グロブリン分子;抗体重鎖のCH1及びCH2領域を含む免疫グロブリン分子;抗体重鎖のCH1、CH2及びCH3領域を含む免疫グロブリン分子;或いは抗体のCL(カッパ又はラムダサブクラス)領域と併用される集合体(ii)のいずれかから選択される骨格のいずれかを含む。ヒンジ領域を含めることもできる。領域の当該組合せは、例えば、IgG又はIgMの如き天然抗体、又はFv、scFv、Fab又はF(ab’)2分子の如きその断片に類似していてもよい。このリストは網羅的であるように意図されたものでないことを当業者なら認識するであろう。
骨格は、上述した起源において、免疫グロブリン分子に基づいていてもよいし、非免疫グロブリンに基づいていてもよい。本明細書に定められている好ましい「免疫グロブリン骨格」は、少なくとも(i)抗体のCL(カッパ又はラムダサブクラス)領域又は(ii)抗体重鎖のCH1領域を含む免疫グロブリン分子;抗体重鎖のCH1及びCH2領域を含む免疫グロブリン分子;抗体重鎖のCH1、CH2及びCH3領域を含む免疫グロブリン分子;或いは抗体のCL(カッパ又はラムダサブクラス)領域と併用される集合体(ii)のいずれかから選択される骨格のいずれかを含む。ヒンジ領域を含めることもできる。領域の当該組合せは、例えば、IgG又はIgMの如き天然抗体、又はFv、scFv、Fab又はF(ab’)2分子の如きその断片に類似していてもよい。このリストは網羅的であるように意図されたものでないことを当業者なら認識するであろう。
(II)タンパク質骨組
各エピトープ結合領域は、タンパク質骨組、及びその領域と1つ又は複数のエピトープの特異的相互作用に関与する1つ又は複数のCDRを含む。有利には、本発明によるエピトープ結合領域は、3つのCDRを含む。好適なタンパク質骨組は、免疫グロブリン領域に基づく骨組、フィブロネクチンに基づく骨組、アフィボディに基づく骨組、CTLA4に基づく骨組、GroELの如きシャペロンに基づく骨組、リポカリンに基づく骨組、並びに細菌Fc受容体SpA及びSpDに基づく骨組からなる群から選択される骨組のいずれかを含む。このリストは、網羅的であるように意図されたものではないことを当業者なら理解するであろう。
各エピトープ結合領域は、タンパク質骨組、及びその領域と1つ又は複数のエピトープの特異的相互作用に関与する1つ又は複数のCDRを含む。有利には、本発明によるエピトープ結合領域は、3つのCDRを含む。好適なタンパク質骨組は、免疫グロブリン領域に基づく骨組、フィブロネクチンに基づく骨組、アフィボディに基づく骨組、CTLA4に基づく骨組、GroELの如きシャペロンに基づく骨組、リポカリンに基づく骨組、並びに細菌Fc受容体SpA及びSpDに基づく骨組からなる群から選択される骨組のいずれかを含む。このリストは、網羅的であるように意図されたものではないことを当業者なら理解するであろう。
F:二重特異性リガンドの構成に使用される骨組
主鎖構造の選択
免疫グロブリンスーパーファミリーは、すべてそれらのポリペプチド鎖に対して同様の重畳を共有する。例えば、抗体は、それらの一時的配列の観点で高度に多様化しているが、配列及び結晶構造の比較により、予測に反して、抗体の6つの抗原結合ループのうちの5つ(H1、H2、L1、L2、L3)が、限られた数の主鎖構造、又は標準構造を採用することが明らかになった(Chothia及びLesk、(1987)、J.Mol.Biol.、196:901;Chothiaら、(1989)、Nature、342:877)。したがって、ループ長及び主要残基の分析により、大多数のヒト抗体に見い出されるH1、H2、L1、L2及びL3の主鎖構造の予測が可能になった(Chothiaら、(1992)、J.Mol.Biol.、227:799;Tomlinsonら、(1995)、EMBO J.、14:20 4628;Williamsら、(1996)、J.Mol.Biol.、264:220)。H3領域は、(Dセグメントの使用により)配列、長さ及び構造の観点ではるかに多様であるが、長さ、並びにループ及び抗体フレームワークの主要位置における特定の残基の存在又は残基の種類に依存する短ループ長に対する限られた数の主鎖構造をも形成する(Martinら、(1996)、J;Mol.Biol.、263:800;Shiraiら、(1996)、FEDS Letters、399:1)。
主鎖構造の選択
免疫グロブリンスーパーファミリーは、すべてそれらのポリペプチド鎖に対して同様の重畳を共有する。例えば、抗体は、それらの一時的配列の観点で高度に多様化しているが、配列及び結晶構造の比較により、予測に反して、抗体の6つの抗原結合ループのうちの5つ(H1、H2、L1、L2、L3)が、限られた数の主鎖構造、又は標準構造を採用することが明らかになった(Chothia及びLesk、(1987)、J.Mol.Biol.、196:901;Chothiaら、(1989)、Nature、342:877)。したがって、ループ長及び主要残基の分析により、大多数のヒト抗体に見い出されるH1、H2、L1、L2及びL3の主鎖構造の予測が可能になった(Chothiaら、(1992)、J.Mol.Biol.、227:799;Tomlinsonら、(1995)、EMBO J.、14:20 4628;Williamsら、(1996)、J.Mol.Biol.、264:220)。H3領域は、(Dセグメントの使用により)配列、長さ及び構造の観点ではるかに多様であるが、長さ、並びにループ及び抗体フレームワークの主要位置における特定の残基の存在又は残基の種類に依存する短ループ長に対する限られた数の主鎖構造をも形成する(Martinら、(1996)、J;Mol.Biol.、263:800;Shiraiら、(1996)、FEDS Letters、399:1)。
本発明の二重特異性リガンドは、有利には、VH領域のライブラリー及び/又はVL領域のライブラリーの如き領域のライブラリーから組み立てられる。さらに、本発明の二重特異性リガンドは、それ自体ライブラリーの形で提供されうる。本発明の一態様において、メンバーの主鎖構造が把握されるように、特定のループ長及び主要残基が選択された二重特異性リガンド及び/又は領域のライブラリーが設計される。有利には、これらは、上述したように、非機能的である確率を最小限にする、自然に見い出される免疫グロブリンスーパーファミリー分子の真の構造である。生殖系列V遺伝子セグメントは、抗体又はT細胞受容体ライブラリーを構成するための1つの好適な基本的フレームワークとして機能する。他の配列も使用される。少数の機能的メンバーが、その機能に影響を与えない変化した主鎖構造を有することができるように、低頻度で変化が生じうる。
標準構造理論は、リガンドにコードされた異なる主鎖構造の数の評価、リガンド配列に基づいた主鎖構造の予測、標準構造に影響を与えない多様化のための残基の選択にも用いられる。ヒトVK領域において、L1ループは、4つの標準構造の1つを採用することが可能であり、L2ループは、単一の標準構造を有し、ヒトVK領域の90%は、L3ループに対する4又は5の標準構造を採用することが知られている(Tomlinsonら、(1995)、前出)。したがって、VK領域単体において、異なる標準構造が組み合わさって、一連の異なる主鎖構造を作ることが可能である。Vα領域が、L1、L2及びL3ループに対する異なる一連の標準構造をコードし、VK及びVα領域が、H1及びH2ループに対するいくつかの標準構造をコードできる任意のVH領域と対合できると仮定すると、これらの5つのループに対して観察される標準構造の組合せの数は極めて大きい。これは、主鎖構造における多様性の生成は、広範な結合特異性の生成に不可欠でありうることを暗示している。しかし、単一の知られている主鎖構造に基づいて抗体ライブラリーを構成することによって、予測に反して、実質的にすべての抗原を標的とするのに十分な多様性を生成するのに主鎖構造における多様性を必要としないことがわかった。さらに驚くべきことは、単一主鎖構造は共通構造である必要がないことである。単一の天然構造をライブラリー全体に対する基礎として使用できる。したがって、好ましい態様において、本発明の二重特異性リガンドは、単一の知られている主鎖構造を有する。
選択される単一主鎖構造は、好ましくは、問題の免疫グロブリンスーパーファミリー型の分子の間で一般化されている。構造は、著しい数の天然分子がそれを採用していると認められる場合に一般化されている。よって、本発明の好ましい態様において、免疫グロブリン領域の各結合ループに対する異なる主鎖構造の自然発生を個別に検討し、次いで、異なるループに対する主鎖構造の所望の組合せを有する天然可変領域を選択する。該当するものがない場合は、最も近いものを選択する。異なるループに対する主鎖構造の所望の組合せは、所望の主鎖構造をコードする生殖系列遺伝子セグメントを選択することによって作られることが好ましい。選択された生殖系列遺伝子セグメントは、自然に高頻度で発現されることがより好ましく、それらは、すべての天然生殖系列遺伝子セグメントで発現されるのが最も好ましい。
二重特異性リガンド又はそのライブラリーを設計するのに際して、6つの抗原結合ループの各々に対する異なる主鎖構造の発生率を個別に検討することができる。H1、H2、L1、L2及びL3については、天然分子の抗原結合ループの20%から100%に採用される所定の構造が選択される。
典型的には、観察された発生率は、35%以上(すなわち35%から100%)、理想的には50%以上、さらには65%以上である。H3ループの大多数は、標準構造を有さないため、標準構造を示すそれらのループに共通する主鎖構造を選択するのが好ましい。したがって、それらのループの各々について、天然レパートリーに最も頻繁に観察される構造が選択される。ヒト抗体において、各ループに対する最も慣用的標準構造(CS)は、H1−CS1(発現されたレパートリーの79%)、H2−CS3(46%)、VKのL1−CS2(39%)、L2−CS1(100%)、VKのL3−CS1(36%)である(計算は、αk:λ比が70:30であることを前提としている。Hoodら、(1967)Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol、48:133)。標準構造を有するH3ループについては、塩架橋が残基94から残基101までの7つの残基のCDR3長(Kabatら、(1991)、免疫学に関するタンパク質の配列(Sequence of Immunological Interest)、米国保健福祉省)が最も一般的であると思われる。少なくとも16のヒト抗体配列が、その構造を形成する必要なH3長及び主要残基を含むEMBLデータライブラリーに存在し、少なくとも2つの結晶構造が、抗体モデル化のための基礎として使用できるタンパク質データバンクに存在する(2cgr及び1tet)。この標準構造の組合せの最も高頻度に発現される生殖系列遺伝子セグメントは、VHセグメント2−23(DP−47)、JHセグメントJH4b、VKセグメント02/012(DPK9)及びJKセグメントJK1である。VHセグメントDP45及びDP38も好適である。したがって、所望の単一主鎖構造によりライブラリーを形成するための基礎としてこれらのセグメントを併用することが可能である。
或いは、結合ループの各々について、異なる主鎖構造の自然発生率に基づいて単一主鎖構造を個別に選択する代わりに、単一主鎖構造を選択するための基礎として、主鎖構造の組合せの自然発生率を用いる。抗体の場合は、例えば、抗体結合ループの任意の2つ、3つ、4つ、5つ又はすべての6つの抗体に対する標準構造組合せの自然発生率を求めることが可能である。ここで、選択された構造は、天然抗体に共通していることが好ましく、天然レパートリーに最も高頻度に観察されることが最も好ましい。したがって、ヒト抗体において、例えば、5つの抗原結合ループH1、H2、L1、L2及びL3の自然の組合せを検討する場合は、標準構造の最も高頻度の組合せが求められ、次いで、単一主鎖構造を選択するための基礎として、H3ループに対する最もポピュラーな構造と組み合わせられる。
ii.標準配列の多様化
いくつかの選択された主鎖構造、又は好ましくは単一の知られている主鎖構造を選択すると、構造的且つ/又は機能的多様性を有するレパートリーを生成するために、分子の結合部位を変化させることによって本発明による二重特異性リガンド、又は本発明に使用されるライブラリーを構成することが可能である。これは、変異体が、一連の活性を提供できるようにそれらの構造及び/又はそれらの機能に十分な多様性を有するように生成されることを意味する。
いくつかの選択された主鎖構造、又は好ましくは単一の知られている主鎖構造を選択すると、構造的且つ/又は機能的多様性を有するレパートリーを生成するために、分子の結合部位を変化させることによって本発明による二重特異性リガンド、又は本発明に使用されるライブラリーを構成することが可能である。これは、変異体が、一連の活性を提供できるようにそれらの構造及び/又はそれらの機能に十分な多様性を有するように生成されることを意味する。
所望の多様性は、典型的には、1つ又は複数の位置における選択された分子を変化させることによって、生成される。変化させる位置は、無作為に選ぶことが可能であり、或いは好ましくは選択される。次いで、その間に常在のアミノ酸が天然又は合成の任意のアミノ酸又はその類似体に置換され、非常に多数の変異体が生成される無作為化によって、或いは常在のアミノ酸をアミノ酸の1つ又は複数の規定のサブセットで置換して、より限られた数の変異体を生成することによって、その変化を達成することが可能である。
当該多様性を導入するための様々な方法が報告されている。誤りがちPCR(Hawkinsら、(1992)、J.Mol.Biol.、226:889)、化学的変異誘発(Dengら、(1994)、J.Biol.Chem.、269:9533)又は細菌変異誘発遺伝子株(Lowら、(1996)J.Mol;.Biol.、260:359)を用いて、分子をコードする遺伝子に無作為変異を導入することが可能である。選択された位置を変異させるための方法も当該技術分野でよく知られており、PCRを使用して、又は使用せずに不適応オリゴヌクレオチド又は変性オリゴヌクレオチドを使用することを含む。例えば、変異を抗原結合ループに向けることによって、いくつかの合成抗体ライブラリーが作られた。ヒト破傷風トキソイド結合FabのH3領域を無作為化して、一連の新しい結合特異性が作られた(Barbasら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4457)。無作為又は半無作為H3及びL3領域を生殖系列V遺伝子セグメントに付加して、無変異フレームワーク領域を有する大きなライブラリーが生成された(Hoogenboom & Winter、(1992)、J:Mol.Biol.、227:381;Barbasら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4457;Nissimら、(1994)、EMBO J.、13:692;Griffithsら(1994)、EMBO J.、13:3245;De Kruifら、(1995)J.Mol.Biol.、248:97)。当該多様化は、他の抗原結合ループのいくつか又はすべてを含むように拡張された(Crameriら、(1996)、Nature Med.、52:100;Riechmannら、(1995)、Bio/Technology、13:475;Morphosys、WO97/08320、前出)。ループ無作為化は、H3のみに対して約1015を上回る構造を作り、他の5つのループに対して同様に多数の変異体を作る潜在性を有するため、現行の変換技術を使用して、又は無細胞系を使用しても、すべての可能な組合せを表すライブラリーを生成することは実現可能ではない。例えば、今日までに構成された最も大きいライブラリーの1つでも、この設計のライブラリーに対する潜在的な多様性に対してわずかな割合にすぎない6×1010の異なる抗体が生成されただけである(Griffithsら、(1994)、前出)。
好ましい実施形態において、分子の所望の機能の生成又は改造に直接関与するそれらの残基のみが多様化される。多くの分子については、その機能は、標的を結合することであるため、分子の包含的充填、又は選択された主鎖構造の維持にとって重要な残基の変化を回避しながら、多様性を標的結合部位に集中させる必要がある。
抗体領域に適用されたときの標準配列の多様化
抗体二重特異性リガンドの場合は、標的に対する結合は、抗原結合部位であることが最も多い。したがって、極めて好ましい態様において、本発明は、抗原部位における残基のみが変化される抗体二重特異性リガンドのライブラリー又はその組み立てのためのライブラリーを提供する。これらの残基は、ヒト抗体レパートリーにおいて極めて多様であり、高分解能の抗体/抗原複合体において接触することが知られている。例えば、L2では、位置50及び53は天然抗体において多様であり、抗体と接触するのが観察される。対照的に、従来の手法は、Kabatら、(1991、前出)によって定められたように、対応する相補的決定領域(CDR1)におけるすべての残基を多様化するものであり、7つの残基を、本発明による使用に向けて、ライブラリーで多様化された2つの残基と比較する。これは、一連の抗原結合特異性を生成するのに必要な機能的多様性の観点で、有意な向上を示すものである。
抗体二重特異性リガンドの場合は、標的に対する結合は、抗原結合部位であることが最も多い。したがって、極めて好ましい態様において、本発明は、抗原部位における残基のみが変化される抗体二重特異性リガンドのライブラリー又はその組み立てのためのライブラリーを提供する。これらの残基は、ヒト抗体レパートリーにおいて極めて多様であり、高分解能の抗体/抗原複合体において接触することが知られている。例えば、L2では、位置50及び53は天然抗体において多様であり、抗体と接触するのが観察される。対照的に、従来の手法は、Kabatら、(1991、前出)によって定められたように、対応する相補的決定領域(CDR1)におけるすべての残基を多様化するものであり、7つの残基を、本発明による使用に向けて、ライブラリーで多様化された2つの残基と比較する。これは、一連の抗原結合特異性を生成するのに必要な機能的多様性の観点で、有意な向上を示すものである。
本質的に、抗体多様性は、ナイーブの一次レパートリーを作るための生殖系列V、D及びJ遺伝子セグメントの体細胞組換え(いわゆる生殖系列及び接合部多様性)と、結果として生じる再編成V遺伝子の体細胞過剰変異との2つのプロセスの結果である。ヒト抗体配列の分析により、一次レパートリーにおける多様性は、抗原結合部位の中央に集中するのに対して、体細胞過剰変異は、一次レパートリーに高度に保存されている抗原結合部位の周辺の領域に対して多様性を普及させる(Tomlinsonら、(1996)、J.Mol.Biol.、256:813参照)。是は、恐らく、配列空間を調べるための効率的な方式として相補的に発達したものであり、明らかに抗体に特有のものであるが、他のポリペプチドレパートリーに容易に適用することが可能である。変化する残基は、標的に対する結合部位を形成する残基のサブセットである。標的結合部位における残基の異なる部分集合(重複するものも含む)は、要望に応じて、選択時に異なる段階で多様化される。
抗体レパートリーの場合は、抗原結合部位における残基のすべてではなく一部が多様化される場合に初期の「ナイーブ」レパートリーが作られる。この脈絡で本明細書に用いられているように、「ナイーブ」という用語は、所定の標的を有さない抗体分子を意味する。これらの分子は、その免疫系が、広範な抗原刺激をまだ受けていない胎児及び新生児個体の場合のように、免疫多様化を受けたことのない個体の免疫グロブリン遺伝子によってコードされる分子である。次いで、このレパートリーは、一連の抗原又はエピトープに対して選択される。次いで、必要に応じて、初期レパートリーにおいて多様化された領域の外側にさらなる多様性を導入することが可能である。この成熟レパートリーを、改造された機能、特異性又は親和性について選択することが可能である。
本発明は、二重特異性リガンドの構成のための結合領域の2つの異なるナイーブレパートリー、又は抗原結合部位における残基の一部又はすべてが変化する二重特異性リガンドのナイーブライブラリーを提供する。「一次」ライブラリーは、生殖系列V遺伝子セグメントにおいて多様である(生殖系列多様性)又は組換えプロセス中に多様化される(接合部多様性)抗原結合部位の中心の残基に多様性が限定される自然一次レパートリーに似ている。多様化されるそれらの残基としては、H50、H52、H52a、H53、H55、H56、HS8、H95、H96、H97、H98、L50、L53、L91、L92、L93、L94及びL96が挙げられるが、それらに限定されない。「体細胞」ライブラリーでは、多様性は、組換え中に多様化される(接合部多様性)、又は高度に体細胞変異する残基に限定される。多様化されるそれらの残基としては、H31、H33、H35、H95、H96、H97、H98、L30、L31、L32、L34及びL96が挙げられるが、それらに限定されない。これらのライブラリーにおける多様化に好適なものとして挙げたすべての残基は、1つ又は複数の抗体−抗原複合体で接触することが知られている。両方のライブラリーにおいて、抗原結合部位における残基のすべてが変化するわけではないため、そうすることが望まれる場合は、残留する残基を変化させることによって、選択時にさらなる多様性が導入される。これらの残基(又は抗原結合部位を含むさらなる残基)のいずれかの任意のサブセットを抗原結合部位の初期の且つ/又は後の多様化に使用できることを当業者なら理解するであろう。
本明細書に使用されるライブラリーの構成において、選択位置の多様化は、典型的には、いくつかの可能なアミノ酸(すべての20のアミノ酸又はそのサブセット)をその位置に導入できるように、ポリペプチドの配列を特定するコード配列を変化させることによって、核酸レベルで達成される。IUPAC命名法を用いると、尤も汎用的なコドンは、すべてのアミノ酸をコードするNNKコドン、並びにTAG停止コドンである。NNKコドンは、好ましくは、必要な多様性を導入するために使用される。さらなる停止コドンTGA及びTAAの生成をもたらすNNNコドンを含む、同じ目的を達成する他のコドンも使用される。
ヒト抗体の抗原結合部位における側鎖多様性の特徴は、特定のアミノ酸残基に有利である明白な偏りである。VH、Vk及びVλ領域の各々における10の最も多様な位置のアミノ酸組成物を合計すると、側鎖多様性の76%超が、わずか7つの異なる残基、すなわちセリン(24%)、チロシン(14%)、アスパラギン(11%)、グリシン(9%)、アラニン(7%)、アスパルテート(6%)及びスレオニン(6%)で占められる。主鎖柔軟性を提供できる親水性残基及び小さい残基へのこの偏りは、恐らく、広範な抗原又はエピトープを結合しやすい表面の発達を反映するものであり、一次レパートリーにおける抗体の乱交雑が必要であることを説明するのに役立つ。
このアミノ酸の分布に似ていることが好ましいため、変化される位置のアミノ酸の分布は、好ましくは、抗体の抗原結合部位に見られる分布に似ている。一連の標的抗原に対する特定のポリペプチド(抗体ポリペプチドだけではない)の選択を可能にするアミノ酸の置換におけるそのような偏りは、任意のポリペプチドレパートリーに容易に適用される。変化させる位置のアミノ酸分布を偏らせるための様々な方法(トリヌクレオチド変異誘発を用いること(WO97/08320参照)を含む)があり、そのなかで、合成が容易であるために好ましい方法は、従来の縮退コドンを用いることである。各位置において等しい割合の一重、二重、三重及び四重縮退性を有する)縮退コドンのすべての組合せによってコードされたアミノ酸プロフィルを天然アミノ酸の使用と比較することにより、最も典型的なコドンを計算することが可能である。それぞれIUPAC命名法を用いるコドン(AGT)(AGC)T、(AGT)(AGC)C及び(AGT)(AGC)(CT)、すなわちDVT、DVC及びDVYは、所望のアミノ酸プロフィルに最も近いコドンである。それらは、22%セリン、11%チロシン、アスパラギン、グリシン、アラニン、アスパルテート、スレオニン及びシステインをコードする。したがって、好ましくは、ライブラリーは、多様化された位置の各々におけるDVT、DVC又は30DVYコドンを用いて構成される。
G:リガンド半減期を増加させることが可能な抗原
本発明による二重特異性リガンドは、その一構成において、インビボでリガンドの半減期を増加させることができる1つ又は複数の分子に結合することが可能である。典型的には、当該分子は、インビボで自然に発生し、分解、及び生物から不必要な物質を除去する内因性機構により除去に抵抗するポリペプチドである。例えば、生物の半減期を増加させる分子を以下の分子から選択することができる。
本発明による二重特異性リガンドは、その一構成において、インビボでリガンドの半減期を増加させることができる1つ又は複数の分子に結合することが可能である。典型的には、当該分子は、インビボで自然に発生し、分解、及び生物から不必要な物質を除去する内因性機構により除去に抵抗するポリペプチドである。例えば、生物の半減期を増加させる分子を以下の分子から選択することができる。
細胞外基質からのタンパク質、例えばコラーゲン、ラミニン、インテグリン及びフィブロネクチン。コラーゲンは、細胞外基質の主なタンパク質である。約15種類のコラーゲン分子が現在知られており、例えば骨、皮膚、腱、靱帯、角膜及び内臓に見られるI型コラーゲン(身体コラーゲンの90%を占める)、又は軟骨、無脊椎盤、脊索、及び目の硝子体に見られるII型コラーゲンのように、身体の様々な部分に見られる。
フィブリン、α−2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲンB、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロブリン、タンパク質、ユビキチン、子宮グロブリン及びβ−2ミクログロブリンの如き血漿タンパク質、並びにプラスミノゲン、リソザイム、シスタチンC、α−1−アンチトリプシン及び膵臓キプシン阻害剤の如き酵素及び阻害剤を含む、血液に見られるタンパク質。プラスミノゲンは、トリプシン状セリンプロテアーゼプラスミンの不活性前駆体である。通常は、血流を循環するのが見られる。プラスミノゲンが活性化され、プラスミンに変換されると、血液細胞を血餅中に巻き込むフィブリノゲン繊維を溶解する強力な酵素領域を開く。これは、フィブリン溶解と呼ばれる。
IgE、IgG及びIgMの如き免疫系タンパク質。
レチノール結合タンパク質及びα−1ミクログロブリンの如き輸送タンパク質。
β−デフェンシン1、好中性デフェンシン1、2及び3の如きデフェンシン。
メラノコルチン受容体、ミエリン及びアスコルビン酸塩輸送体の如き血液脳障壁又は神経組織に見られるタンパク質。
トランスフェリン受容体特異性リガンド神経医薬融合タンパク質(US5977307参照)、脳毛細血管内皮細胞受容体、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、インシュリン、インシュリン類似成長因子1(IGF1)受容体、インシュリン類似成長因子2(IGF2)受容体及びインシュリン受容体。
ポリシスチン、IV型コラーゲン、有機アニオン輸送体K1及びヘイマン抗原の如き腎臓に局在化されるタンパク質。
例えばアルコール脱水素酵素、G250等の肝臓に局在化されるタンパク質。
血液凝固因子X
α−1アンチトリプシン
HNF1α
(IgAを結合する)分泌成分の如き肺に局在化されるタンパク質。
α−1アンチトリプシン
HNF1α
(IgAを結合する)分泌成分の如き肺に局在化されるタンパク質。
例えばHSP27等の心臓に局在化されるタンパク質。これは、拡張心筋症に関連づけられる。
例えばケラチン等の皮膚に局在化されるタンパク質。
造骨活性を示す形質転換成長因子βスーパーファミリーのサブセットである骨形態形成タンパク質(BMP)の如き骨特異性タンパク質。
例としては、BMP−2、−4、−5、−6、−7(造骨性タンパク質(OP−1)とも称する)及び−8(OP−2)が挙げられる。
ヒト栄養膜抗原、ヘルセプチン受容体、エストロゲン受容体、及びカテプシン、例えばカテプシンB(肝臓及び脾臓に見られる)を含む腫瘍特異性タンパク質。
LAG−3(リンパ球活性化遺伝子);骨プロテゲリンリガンド(OPGL)(Nature 402、304−309、1999参照);OX40(活性化T細胞、及びヒトT細胞白血病ウィルスI型(HTLV−I)生成細胞において特異的に上方制御されることが知られている唯一の同時刺激T細胞分子上に発現されるTNF受容体ファミリーのメンバー−J.Immunol.2000 Jul 1;16561):263−70参照;CG6512ショウジョウバエ、ヒトパラプレギン、ヒトFtsH、ヒトAFG3L2及びマウスftsHを含むメタロプロテアーゼ(関節炎/癌に関連づけられる);並びに酸性繊維芽細胞成長因子(FGF−1)、塩基性繊維芽細胞成長因子(FGF−2)、血管内皮成長因子/血管透過性因子(VEGF/VPF)、形質転換成長因子−α(TGF−α)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、アンジオゲニン、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−8(IL−8)、血漿起源の内皮成長因子(PD−ECGF)、胎盤成長因子(PIGF)、ミッドカイン血小板起源の成長因子−BB(PDGF)及びフラクタルカインを含む血管形成成長因子を含む、活性化T細胞にのみ発現される抗原の如き疾病特異性タンパク質。
ストレスタンパク質(熱ショックタンパク質)。
HSPは、通常細胞内に見られる。それらが、細胞外に見られる場合は、細胞が死んで、その内容物を放出したことを示す指標である。この非プログラム細胞死(壊死)は、外傷、疾病又は損傷の結果として、したがってインビボで、細胞外HSPが、感染及び疾病に抵抗する免疫系から応答を誘発するときに発生するにすぎない。細胞外HSPに結合する二重特異性を疾病部位に局在化させることが可能である。
HSPは、通常細胞内に見られる。それらが、細胞外に見られる場合は、細胞が死んで、その内容物を放出したことを示す指標である。この非プログラム細胞死(壊死)は、外傷、疾病又は損傷の結果として、したがってインビボで、細胞外HSPが、感染及び疾病に抵抗する免疫系から応答を誘発するときに発生するにすぎない。細胞外HSPに結合する二重特異性を疾病部位に局在化させることが可能である。
Fc輸送に関与するタンパク質
ブランベル受容体(FcRBとしても知られる)
このFc受容体は、いずれも送達に潜在的に有用である2つの機能を有する。それらの機能は、(1)胎盤を通じて母から子へIgGを輸送すること、(2)IgGを分解から保護することによって、IgGのその血清半減期を延ばすことである。受容体は、エンドソームからIgGを再生すると考えられる。Holligerら、Nat Biotechnol、1997、Jul;15(7):632−6を参照されたい。
ブランベル受容体(FcRBとしても知られる)
このFc受容体は、いずれも送達に潜在的に有用である2つの機能を有する。それらの機能は、(1)胎盤を通じて母から子へIgGを輸送すること、(2)IgGを分解から保護することによって、IgGのその血清半減期を延ばすことである。受容体は、エンドソームからIgGを再生すると考えられる。Holligerら、Nat Biotechnol、1997、Jul;15(7):632−6を参照されたい。
インビボでの半減期の増加を必要とせずに、又は増加させることなく、本発明によるリガンドを上記標的に対して特異的に設計することができる。例えば、本発明によるリガンドは、組織特異性であることにより、二重特異性リガンド、或いは半減期の増加をもたらすことができるが、半減期の増加にかかわらず、組織特異性治療関連標的を結合するdAb単量体の組織特異性標的設定を可能にする先述の標的から選択される標的に対して特異的でありうる。さらに、そのリガンド又はdAb単量体が腎臓又は肝臓を対象にする場合は、これは、そのリガンド又はdAb単量体をインビボで代替的なクリアランス経路に転送することができる(例えば、リガンドを肝臓クリアランスから腎臓クリアランスに転送することができる)。
インビボ半減期を増加させる他の手法
特異性の1つが、抗体ポリペプチド構築物の血清半減期を増加させる標的タンパク質に対応する二重特異性リガンドの設計に加えて、血清半減期を増加させる化学成分に対する結合によって、本明細書に記載されている抗体ポリペプチドをさらに安定させることが可能である。抗体分子の薬物動態を向上させるために、本発明は、安定性を高め、半減期を増加させるポリマーに結合される単一領域可変領域ポリペプチドを提供する。ポリマー分子(例えばポリエチレングリコール;PEG)のタンパク質に対する結合は、十分に確立され、修飾されたタンパク質の薬物動態特性を調節することが示された。例えば、タンパク質のPEG修飾は、インビボの循環半減期、抗原性、溶解性、及びタンパク質の分解に対する抵抗性を変えることが示された(Abuchowskiら、J.Biol.Chem.1977、252:3578;Nucciら、Adv.Drug Delivery Reviews、1991、6:133;Francisら、Pharmaceutical Biotechnology、第3版(Borchardt,R.T.編);及び「Stability of Protein Pharmaceuticals:in vivo Pathways of Degradation and Strategies for Protein Stabilization」、1991、pp235−263(ニューヨーク州Plenum所在))。
特異性の1つが、抗体ポリペプチド構築物の血清半減期を増加させる標的タンパク質に対応する二重特異性リガンドの設計に加えて、血清半減期を増加させる化学成分に対する結合によって、本明細書に記載されている抗体ポリペプチドをさらに安定させることが可能である。抗体分子の薬物動態を向上させるために、本発明は、安定性を高め、半減期を増加させるポリマーに結合される単一領域可変領域ポリペプチドを提供する。ポリマー分子(例えばポリエチレングリコール;PEG)のタンパク質に対する結合は、十分に確立され、修飾されたタンパク質の薬物動態特性を調節することが示された。例えば、タンパク質のPEG修飾は、インビボの循環半減期、抗原性、溶解性、及びタンパク質の分解に対する抵抗性を変えることが示された(Abuchowskiら、J.Biol.Chem.1977、252:3578;Nucciら、Adv.Drug Delivery Reviews、1991、6:133;Francisら、Pharmaceutical Biotechnology、第3版(Borchardt,R.T.編);及び「Stability of Protein Pharmaceuticals:in vivo Pathways of Degradation and Strategies for Protein Stabilization」、1991、pp235−263(ニューヨーク州Plenum所在))。
タンパク質分子の部位特異的及び無作為PEG化は、ともに当該技術分野で知られている(例えば、Zalipsky及びLee、「Poly(ethylene glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications」、1992、pp 347−370、Plenum、NY;Goodson及びKatre、1990、Bio/Technology、8:343;Hershfieldら、1991、PNAS、88:7185参照)。より具体的には、リジン残基及びチオール化誘導体における抗体分子の無作為PEG化が記載されている(Ling及びMattiasson、1983、Immunol.Methods、59:327;Wilkinsonら、1987、Immunol.Letters、15:17;Kitamuraら、1991、Cancer Res.、51:4310;Delgadoら、1996、Br.J.Cancer、73:175;Pedleyら、1994、Br.J.Cancer、70:1126)。
PEG化の方法は以下に記載されている。抗体ポリペプチド、及び特にdAbsのPEG化の例は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国に指定された2004年6月30日に出願された同時係属出願PCT/GB2004/002829、及び2004年1月8日に出願された米国暫定出願第60/535,076号に示されている。
親和性/活性の測定
本明細書に記載されている単離された単一領域抗体(例えばdAb)ポリペプチドは、少なくとも300nM以下、好ましくは少なくとも300nM〜50pM、200nM〜50pM、より好ましくは少なくとも
又はさらに50pM程度の親和性(解離定数、Kd=Koff/Kon)を有する。
本明細書に記載されている単離された単一領域抗体(例えばdAb)ポリペプチドは、少なくとも300nM以下、好ましくは少なくとも300nM〜50pM、200nM〜50pM、より好ましくは少なくとも
又はさらに50pM程度の親和性(解離定数、Kd=Koff/Kon)を有する。
BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor(ニューヨーク州Piscataway所在))を使用する表面プラスモン共鳴(SPR)によって、可変領域ポリペプチドの抗原結合親和性を便利に測定することが可能である。この方法では、抗原を、知られている濃度でBIAcoreチップに結合させ、可変領域ポリペプチドを導入する。可変領域ポリペプチドと固定抗原との特異的結合は、チップ基質に対するタンパク質濃度の増加、及びSPRシグナルの変化をもたらす。SPRシグナルの変化は、共鳴単位(RU)として記録され、センサーグラムのY軸に沿って時間に対して表示される。基準シグナルは、チップを通過する溶媒のみ(例えばPBS)で採取される。基準シグナルと可変領域ポリペプチド注入完了後のシグナルとの正味の差は、所定の試料の結合値を表す。オフ速度(Koff)、オン速度(Kon)及び解離速度(Kd)定数を求めるために、BIAcoreカイネチック評価ソフトウェア(例えばバージョン2.1)が用いられる。
高い親和性は、抗原の表面と抗体又は抗体断片のCDRとの相補性に依存する。相補性は、標的の部分とCDRとの間で可能な分子相互作用の種類及び強度、例えば潜在的イオン相互作用、ファンデルワールス引力、水素結合、又は生じうる他の相互作用によって測定される。CDR3は、恐らく一般的にサイズがより大きいために、CDR1及び2より抗原結合相互作用により貢献する傾向があり、好ましい表面相互作用のためのより多くの機会を提供する(例えば、Padlanら、1994、Mol.Immunol.31:169−217;Chothia & Lesk、1987、J.Mol.Biol.196:904−917;Chothiaら、1985、J.Mol.Biol.186:651−663参照)。高い親和性は、高度の相補性を有する単一免疫グロブリン可変領域/抗原対を示すもので、可変領域及び標的の構造に直接関係する。
抗原とポリペプチド構造とのドッキングを可能にする分子モデル化ソフトウェアを用いて、所定の抗原に対する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドの高い親和性を付与する構造を強調表示することが可能である。一般には、知られている親和性の単一免疫グロブリン可変領域の構造のコンピュータモデルを、知られている構造のポリペプチド又は他の標的抗原のコンピュータモデルとドッキングさせて、相互作用表面を測定することが可能である。当該知られている相互作用のための相互作用表面の構造が与えられると、相互作用の強さに対する可変領域配列における保守的な、又はより保守的でない置換の正又は負の影響を予測することによって、改善された結合分子の合理的な設計を可能にすることができる。
抗体単一可変領域の多量体形態
一態様において、本明細書に記載されている抗体ポリペプチド構築物(例えばdAb)は、例えばヘテロ又はホモ二量体、ヘテロ又はホモ三量体、ヘテロ又はホモ四量体、或いはより高次元のヘテロ又はホモ多量体(例えばヘテロ又はホモ五量体から八量体まで)として多量体化される。多量体化は、結合の強度が、多重結合部位の結合親和性の合計に関連づけられる結合活性効果を通じて抗原結合の強度を高めることが可能である。
一態様において、本明細書に記載されている抗体ポリペプチド構築物(例えばdAb)は、例えばヘテロ又はホモ二量体、ヘテロ又はホモ三量体、ヘテロ又はホモ四量体、或いはより高次元のヘテロ又はホモ多量体(例えばヘテロ又はホモ五量体から八量体まで)として多量体化される。多量体化は、結合の強度が、多重結合部位の結合親和性の合計に関連づけられる結合活性効果を通じて抗原結合の強度を高めることが可能である。
ヘテロ又はホモ多量体は、例えば、dAb−リンカー−dAb構成、又はその構成のより高次の多重構造をもたらすペプチドリンカーを通じて融合される単一領域抗体の発現を通じて調製される。多量体をさらなる成分、例えば血清半減期を増加させるポリペプチド配列、又は他のエフェクター成分、例えば毒素若しくは標的成分、例えばPEGに結合させることが可能である。任意のリンカーペプチド配列、例えばscFvを生成するために当該技術分野で使用されるリンカー配列を使用して、ヘテロ又はホモ多量体を生成することが可能である。一般的に有用な1つのリンカーは、nが1から約10である(例えばn=1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10)ペプチド配列(Gly4Ser)n(配列番号7)の繰返しを含む。例えば、そのリンカーは、(Gly4Ser)3(配列番号8)、(Gly4Ser)5(配列番号9)、(Gly4Ser)7(配列番号10)、又は別の多様な(Gly4Ser)(配列番号7)配列でありうる。
ペプチド配列によって結合される単量体としての多量体の発現の代替法は、単量体免疫グロブリン可変領域を、例えばジスルフィド結合又は他の化学結合翻訳後的に通じて結合することである。例えば、遊離システインが、例えば単量体ポリペプチドのC末端で作られ、単量体同士のジスルフィド結合が可能になる。本態様、又は遊離システインを必要とする他の態様において、システインは、dAb配列(C末端システインでは、プライマーにおける配列は、下流のPCRプライマーに導入されるため、実際は逆補体、すなわちACA又はGCAになる)のコドンに隣接し、且つ1つ又は複数の停止コドンの直前のPCRプライマー二システインコドン(TGT、TGC)を含めることによって導入される。要望に応じて、リンカーペプチド配列、例えば(Gly4Ser)n(配列番号7)は、dAb配列と遊離システインの間に配置される。遊離システイン残基を有する単量体の発現により、単量体形態と二量体形態の約1:1の混合物が得られる。二量体は、ゲルクロマトグラフィ、例えば塩勾配溶離によるイオン交換クロマトグラフィを用いて単量体から分離される。
或いは、作られた遊離システインを使用して、単量体を、三量体マレイミド分子(例えばトリス[2−マレイミドエチル]アミン、TMEA)又は二マレイミドPEG分子(例えばNektar(Shearwater)から入手可能)の如き多価化学リンカーにチオール結合を通じて結合する。
一実施形態において、本発明のホモ二量体又はヘテロ二量体は、C末端アミノ酸においてそれぞれ免疫グロブリンCH1領域又はCK領域に二重結合されるVH又はVL領域を含む。したがって、ヘテロ又はホモ二量体は、抗原結合領域が、C末端においてそれぞれCH1及びCK領域に共有結合された関連するVH及び/又はVL領域を含むFab類似分子であってもよい。加えて、又はその代わりに、本発明のdAb多量体を、軽鎖配列のない十分に機能的な高度特異性抗体の大部分を発現するラクダ種でモデル化することができる。ラクダ重鎖抗体は、それらの定常領域を介して二量体化される単一重鎖のホモ二量体として見い出される。これらのラクダ重鎖抗体の可変領域は、VHH領域と称し、VH鎖の断片として単離されると、高度な特異性で抗原を結合する能力を保持する(Hamers−Castermanら、1993、Nature 363:446−448;Gahroudiら、1997、FEBS Lett.414:521−526)。したがって、当該技術分野で知られている方法、及び上述の方法を用いて、ラクダ種重鎖抗体VHH構造を有する本発明の抗体単一可変領域多量体を構成することができる。
抗体ポリペプチドのPEG化
本発明は、非PEG化抗体ポリペプチドに比べて、活性(例えば結合親和性)の低下を伴わずに半減期を増加させ、分解に対する抵抗性を高めるPEG化抗体ポリペプチド(例えばdAb)単量体及び多量体を提供する。
本発明は、非PEG化抗体ポリペプチドに比べて、活性(例えば結合親和性)の低下を伴わずに半減期を増加させ、分解に対する抵抗性を高めるPEG化抗体ポリペプチド(例えばdAb)単量体及び多量体を提供する。
当該技術分野で知られている方法を用いて、本明細書に記載されている抗体ポリペプチド分子を、半減期の増加及び分解抵抗特性の向上を達成するのに有用なポリマー分子(好ましくはPEG)に結合させることが可能である。本発明に利用できるポリマー成分は、合成又は天然成分であり、直鎖状又は枝分れポリアルキレン、ポリアルケニレン又はポリオキシアルキレンポリマー、或いはホモ又はヘテロ多糖類の如き枝分れ又は非枝分れ多糖類を含むことができるが、それらに限定されない。本発明に使用できる合成ポリマーの好ましい例としては、直鎖状又は枝分れ鎖ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、又はポリ(ビニルアルコール)及びその誘導体又は置換形態が挙げられる。本明細書に記載されている抗体ポリペプチドに対する結合のための特に好ましい置換ポリマーとしては、メトキシ(ポリエチレングリコール)を含む置換PEGが挙げられる。PEGに加えて、又はその代わりに使用できる天然ポリマー成分としては、ラクトース、アミロース、デキストラン又はグリコーゲン、並びに当業者なら認識するであろうその誘導体が挙げられる。ポリマー分子の誘導体形態としては、例えば、本明細書に記載されている抗体ポリペプチドのアミノ酸残基との相互作用を可能にする追加的な成分又は反応基が内部に存在する誘導体が挙げられる。当該誘導体としては、N−ヒドロキシルスクシンイミド(NHS)活性エステル、プロピオン酸スクシンイミジルポリマー、マレイミド、ビニルスルホン及びチオールの如きスルフヒドリル選択性反応剤が挙げられる。特に好ましい誘導体化ポリマーとしては、PEG−O−CH2CH2CH2−CO2−NHS、PEG−O−CH2−NHS、PEG−O−CH2CH2−CO2−NHS、PEG−S−CH2CH2−CO−NHS、PEG−O2CNH−CH(R)−CO2−NHS、PEG−NHCO−CH2CH2−CO−NHS及びPEG−O−CH2−CO2−NHS(ただし、Rは(CH2)4)NHCO2(mPEG)である)の式を有するPEGポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。PEGポリマーは、線状分子でありうるし、又は多重PEG成分が単一ポリマーに存在する枝分れ分子でありうる。本発明に有用であるいくつかの特に好ましいPEG誘導体としては、
が挙げられるが、それらに限定されない。
反応基(例えばMAL、NHS、SPA、VS又はチオール)はPEGポリマーに直接結合されていてもよいし、リンカー分子を介してPEGに結合されていてもよい。
が挙げられるが、それらに限定されない。
反応基(例えばMAL、NHS、SPA、VS又はチオール)はPEGポリマーに直接結合されていてもよいし、リンカー分子を介してPEGに結合されていてもよい。
本発明に有用なポリマーのサイズは、500Daから60kDa、例えば1000Daから60kDa、10kDaから60kDa、20kDaから60kDa、30kDaから60kDa、40kDaから60kDa、及び50kDaから60kDaまでの範囲でありうる。本発明に使用されるポリマー、特にPEGは、直鎖状ポリマーであるか、又は分枝構造を有していてもよい。分子量と構造の組合せに応じて、ポリマー分子は、抗体構築物(例えばdAb)単量体又は多量体に結合されると、24から500kDaの平均ハイドロダイナミックサイズを有する分子を生成することになる。本明細書に用いられているポリマー分子のハイドロダイナミックサイズとは、分子の水溶液での拡散に基づく分子(例えばタンパク質分子)の見かけのサイズを意味する。タンパク質の溶液での拡散又は運動を処理して、サイズがタンパク質粒子のストークス半径又はハイドロダイナミック半径で与えられるタンパク質の見かけのサイズを導くことが可能である。タンパク質の「ハイドロダイナミックサイズ」は、同一の分子量を有する2つのタンパク質がタンパク質の全体構造に基づく異なるハイドロダイナミックサイズを有することができるように、質量と形状(構造)の両方に依存する。PEG結合抗体単一可変領域(本明細書に記載されている単一領域抗体多量体を含む)のハイドロダイナミックサイズは、24kDaから500kDa、30から500kDa、40から500kDa、50から500kDa、100から500kDa、150から500kDa、200から500kDa、250から500kDa、300から500kDa、350から500kDa、400から500kDa、450から500kDaでありうる。好ましくは、PEG化dAbのハイドロダイナミックサイズは、30から40kDa、70から80kDa、又は200から300kDaである。したがって、dAb又はdAb多量体の如き抗体ポリペプチドに結合されたポリマー分子のサイズを、所望の用途に応じて変えることが可能である。例えば、PEG化dAbが血中から出て、周辺組織に入るように意図する場合は、血流からの溢出を容易にするために、結合ポリマーのサイズを小さく維持することが望ましい。或いは、PEG化dAbがより長時間にわたって血中にとどまることが望ましい場合は、より高分子量のポリマー(例えば30から60kDaポリマー)を使用することが可能である。
当該技術分野でよく知られている方法を用いて、本発明に有用なポリマー(PEG)分子を抗体ポリペプチド構築物に結合することが可能である。本発明の抗体ポリペプチド単量体又は多量体に対するPEG又は他のポリマー成分の結合における第1の工程は、球電子体含有基によるPEGポリマーのヒドロキシル末端基の置換である。特に、PEGポリマーは、抗体ポリペプチド単量体又は多量体に存在するシステイン又はリジン残基に結合される。システイン及びリジン残基は天然物であるか、又は抗体ポリペプチド分子に作り変えることができる。例えば、システイン残基をdAbポリペプチドのC末端で組み換えることができ、或いはdAb又は他の抗体ポリペプチドにおける特定の溶媒接触可能位置の残基をシステイン又はリジンで置換することができる。好ましい実施形態において、PEG成分は、本明細書に記載されているdAb単量体又は多量体のC末端におけるヒンジ領域に存在するシステイン残基に結合される。
一実施形態において、PEGポリマーは、フレームワーク領域(FW)に存在する1つ又は複数のシステイン又はリジン残基、及びdAbの1つ又は複数の非相同的CDRに結合される。CDR及びフレームワーク領域は、免疫学に関するタンパク質の配列のKabatデータベース(Kabatら、(1991)、Sequences of proteins of immunological interest、米国保健福祉省)に定められている免疫グロブリン可変領域の領域である。好ましい実施形態において、PEGポリマーは、VHフレームワークセグメントDP47又はVkフレームワークセグメントDPK9におけるシスチン又はリジン残基に結合される。PEGに結合させることができるDP47のシステイン及び/又はリジン残基は、配列番号1(図21)の22又は96位のシステイン及び43、65、76又は98位のリジンを含む。本発明によるPEGに結合させることができるDPK9のシステイン及び/又はリジン残基は、配列番号2(図22)の23又は88位のシステイン残基及び39、42、45、103又は107位のリジン残基を含む。加えて、特定のシステイン又はリジン残基をVH標準フレームワーク領域DP38又はDP45におけるPEGに結合させることが可能である。
加えて、天然システイン又はリジン残基ではないdAb分子における特定の溶媒接触可能部位を、PEGポリマーの結合のためにシステイン又はリジンに変異させることが可能である。所定のdAbの結晶構造の分析の如き当該技術分野で知られている方法を用いて、任意の所定のdAb単量体又は多量体における溶媒接触可能残基を決定することが可能である。例えば、(鶏卵リソザイムを結合する(以下参照))VH dAb HEL4の溶解結晶構造を用いて、残基Gln−12、Pro−41、Asp−62、Glu−89、Gln−112、Leu−115、Thr−117、Ser−119及びSer−120が溶媒接触可能なものとして識別され、PEGポリマーの結合のためのシステイン又はリジン残基への変異の魅力的な候補となった。
HEL4の一次アミノ酸配列(配列番号5)
Vkダミーの一次アミノ酸配列(配列番号6)
加えて、VkダミーdAb(上記参照)の溶解結晶構造を用いて、残基Val−15、Pro−40、Gly−41、Ser−56、Gly−57、Ser−60、Pro−80、Gly−71、Gln−100、Lys−107及びArg−108が溶媒接触可能なものとして識別され、PEGポリマーの結合のためのシステイン又はリジン残基への変異の魅力的な候補となった。一実施形態において、PEGポリマーは、多溶媒接触可能システイン又はリジン残基、或いはシステイン又はリジン残基に変異された溶媒接触可能残基に結合される。或いは、特定の抗体ポリペプチド構築物が1つの溶媒接触可能システイン又はリジン(或いはシステイン又はリジンに修飾された残基)を有するにすぎない場合、或いは特定の溶媒接触可能残基が、PEG化のためのいくつかの当該残基から選択される場合には、1つの溶媒接触可能残基のみがPEGに結合される。
HEL4の一次アミノ酸配列(配列番号5)
Vkダミーの一次アミノ酸配列(配列番号6)
加えて、VkダミーdAb(上記参照)の溶解結晶構造を用いて、残基Val−15、Pro−40、Gly−41、Ser−56、Gly−57、Ser−60、Pro−80、Gly−71、Gln−100、Lys−107及びArg−108が溶媒接触可能なものとして識別され、PEGポリマーの結合のためのシステイン又はリジン残基への変異の魅力的な候補となった。一実施形態において、PEGポリマーは、多溶媒接触可能システイン又はリジン残基、或いはシステイン又はリジン残基に変異された溶媒接触可能残基に結合される。或いは、特定の抗体ポリペプチド構築物が1つの溶媒接触可能システイン又はリジン(或いはシステイン又はリジンに修飾された残基)を有するにすぎない場合、或いは特定の溶媒接触可能残基が、PEG化のためのいくつかの当該残基から選択される場合には、1つの溶媒接触可能残基のみがPEGに結合される。
本発明に有用であるいくつかの結合スキームがNektar社(カリフォルニア州SanCarlos所在)によって提供される。例えば、PEG又は他のポリマーのリジン残基に対する結合が望ましい場合は、プロピオン酸スクシンイミジルの如きN−ヒドロキシルスクシンイミドで誘導体化されたPEGポリマーの活性エステルを使用することができる。システイン残基に対する結合が意図される場合は、マレイミド、ビニルスルホン又はチオールの如きスルフヒドリル選択性試薬で誘導化されたPEGポリマーを使用することができる。PEG化dAbを生成するために本発明に従って使用できるPEG誘導体の具体的な実施形態の例は、Nektarカタログ(ワールドワイドウェブのnektar.comで入手可能)に見い出すことができる。加えて、本発明のdAb単量体又は多量体に対するPEGポリマーの結合を容易にするために、いくつかの誘導体化形態のPEGを本発明に従って使用することができる。本発明に有用なPEG誘導体としては、PEG−コハク酸スクシンイミジル、ウレタン結合PEG、PEGフェニルカルボネート、PEG炭酸スクシンイミジル、PEG−カルボキシメチルアジド、無水ジメチルマレイン酸PEG、PEGジチオカルボネート誘導体、PEG−トレシレート(2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート)、mPEGイミドエステル、及びZalipsky及びLee、(1992)(「Use of functionalized poly(ethylene glycol)s for modification of peptides」、「Poly(Ethylene Glycol)Chemistry:Biotechnical and Biomedical Applications」、J.Milton Harris編、Plenum Press、NY)に記載されている他の物質が挙げられるが、それらに限定されない。
上記実施形態の各々において、PEGポリマーを抗体ポリペプチド構築物ペプチドに存在する任意の適用可能な残基に結合することができ、又は好ましくは、その構築物の1つ又は複数の残基をシステイン又はリジン残基に修飾又は変異させ、次いでそれをPEGポリマーのための結合点として使用することができる。好ましくは、このようにして修飾される残基は、溶媒接触可能残基、すなわち、抗体ポリペプチド構築物が本来の重畳構造であるときに水性環境、そして誘導体化PEGポリマーに接触可能である残基である。これらの残基のいずれかが本発明によるシステイン残基に変異されると、線形又は枝分れMAL誘導体化PEG(MAL−PEG)を使用したPEG結合に利用可能となる。
一実施形態において、抗体単一可変領域及びPEGポリマーを含み、PEGポリマーの抗体単一可変領域に対する割合は少なくとも0.25:1のモル比である抗体構築物が提供される。さらなる実施形態において、PEGポリマーの抗体単一可変領域に対するモル比は、0.33:1以上である。さらなる実施形態において、PEGポリマーの抗体単一可変領域に対するモル比は0.5:1以上である。
H:本明細書に記載されているリガンドの使用
1)本発明の第2の構成による多重特異性リガンドの使用
本発明の第2の構成による多重特異性リガンドをインビボ治療及び予防用途、インビトロ及びインビボ診断用途、並びにインビトロ試験及び試薬用途等に採用することができる。例えば、当業者に知られている方法に従って、μELISA技術の如き抗体をベースとした試験技術に抗体分子を使用することができる。
1)本発明の第2の構成による多重特異性リガンドの使用
本発明の第2の構成による多重特異性リガンドをインビボ治療及び予防用途、インビトロ及びインビボ診断用途、並びにインビトロ試験及び試薬用途等に採用することができる。例えば、当業者に知られている方法に従って、μELISA技術の如き抗体をベースとした試験技術に抗体分子を使用することができる。
上記のように、本発明による多重特異性リガンドは、診断、予防及び治療手順に使用される。本発明による多重特異性抗体は、ウェスタン分析、及び標準的な免疫組織化学手順によるin situタンパク質検出に診断的に使用される。これらの用途に使用される場合は、当該技術分野に知られている技術に従ってリガンドをタグすることができる。加えて、当該抗体ポリペプチドは、樹脂の如きクロマトグラフ支持体に合成される場合は、親和性クロマトグラフィ手順に予備的に使用されうる。すべての当該技術は、当業者によく知られている。
本発明による閉鎖構造多重特異性リガンドの診断的使用は、2つの標的が同時に結合できないように2つの標的を競合的に結合する閉鎖構造多重特異性リガンドの能力(閉鎖構造)、或いは2つの標的を同時に結合する能力(開放構造)を利用する分析のための相同的試験を含む。
真の相同的免疫試験形式は、診断薬、及び薬品の発明及び開発に使用される調査試験システムの製造者によって熱心に求められてきた。主な診断市場としては、病院、医院及びクリニックにおける人体試験、商業的関連研究所、血液銀行、家庭、人体以外の診断薬(例えば食品試験、水試験、環境試験、バイオ防御及び獣医学的試験)、並びに最後に研究(薬物開発、基礎研究及び学術研究)が挙げられる。
現在では、これらのすべての市場は、化学発光、ELISA、蛍光、又は希な場合として放射免疫測定技術を中心として構築される免疫測定システムを利用する。これらの試験形式の各々は、分離工程(未結合試薬から結合試薬を分離する工程)を必要とする。場合によっては、いくつかの分離工程が必要とされる。これらのさらなる工程が追加されると、試薬及び自動操作が追加され、時間を要し、試験の究極的な成果に影響を及ぼす。人体の診断では、分離工程を自動化することができ、その問題が隠されるが、排除されることはない。ロボットシステム、さらなる試薬、及びさらなるインキュベート時間等により、多大な費用及び複雑さが加わる。非常に低レベルの試験分子を用いて事実上数百万の試料を一度に試験する高スループットスクリーニングの如き薬物開発では、さらなる分離工程を追加することにより、スクリーニングする能力が失われうる。しかし、分離を回避すると、読取りに過大なノイズが発生する。したがって、現行の試験形式から入手可能な範囲の感度を提供する真の相同的形式が必要とされている。有利には、試験は、感度が高く、ダイナミックレンジが大きい完全に定量的な読取りを有する。感度は、必要とされる試料の量を減少させる重要な要件である。こうした特徴はどちらとも、相同的システムが有する特徴である。これは、管理試験の点で、且つ試料が高価な薬物開発において非常に重要である。当該技術分野で現在利用可能な非相同的システムでは、大量の試料及び高価な試薬が必要とされる。
相同的試験の用途は、最大の試験が、前立腺癌について男性をスクリーニングするのに用いられる前立腺特異性抗原に対する試験である癌試験を含む。他の用途は、妊娠のためのβホグを含めることを試みる女性に対する一連の試験を提供する受精試験を含む。肝炎、HIV、風疹、並びに他のウィルス及び微生物及び性的伝染病を含む感染病に対する試験。試験、特にHIV、A、B、C型、非A型、非B型肝炎に対する試験は血液銀行に用いられる。治療薬監視試験は、効果及び毒性の回避のために患者における処方薬のレベル、例えば不整脈に対するジゴキシン、精神病におけるフェノバルビタルレベル、喘息に対するテオフィリンを監視することを含む。診断試験は、さらに、コカイン及びマリファナ等に対する試験の如き薬物中毒試験に有用である。代謝試験は、甲状腺機能、貧血症並びに他の生理的疾患及び機能を測定するために用いられる。
相同的免疫試験形式は、さらに、標準的な臨床化学試験の製造に有用である。免疫試験及び化学試験を同一の計器上に含めることは診断試験に極めて有利である。好適な化学試験は、グルコース、コレステロール及びカリウム等に対する試験を含む。
相同的免疫試験に対するさらなる主要用途は、薬物発明及び開発である。高スループットスクリーニングは、組合せ化学ライブラリー対超大量標的の試験を含む。シグナルが検出され、次いで陽性グループがより小さいグループに分類され、究極的には細胞、次いで動物において試験される。相同的試験をそれらのすべての種類の試験に用いることができる。薬物開発、特に動物試験及び臨床試験において、免疫試験がよく用いられる。相同的試験は、これらの手順を著しく加速及び簡素化する。他の用途は、食品及び飲料試験(大腸菌及びサルモネラ菌等について肉及び他の食品を試験すること)、大腸菌を含む全ての種類の汚染物質に対する水生植物における試験を含む水試験、及び獣医学的試験を含む。
広範な実施形態において、本発明は、本発明による閉鎖構造多重特異性リガンドに結合され、その検出可能特性が、検体の前記閉鎖構造多重特異性リガンドに対する結合によって変化する検出可能薬剤を含む結合試験を提供する。当該試験を、それぞれが閉鎖構造多重特異性リガンドの上記特性を利用するいくつかの異なる方法で構成することができる。
試験は、薬剤の検出特性の変化をもたらす検体による薬剤の直接又は間接的変位に依存する。例えば、薬剤が、検出可能な終点を有する反応を触媒することが可能である酵素である場合には、前記酵素は、リガンドに結合されて、その活性部位が遮断されることなどによって、酵素が不活性化されうる。やはり閉鎖構造多重特異性リガンドに結合される検体は、酵素を変位させ、活性部位の自由化を通じて活性にする。次いで、酵素は、基質と反応して、検出可能事象を誘発する。代替的な実施形態において、リガンドは、活性部位の外側の酵素を結合して、酵素の構造に影響を与えるとともに、その活性を変化させることができる。例えば、活性部位の構造をリガンドの結合によって制限することができ、或いは活性に必要な共同因子の結合を回避することができる。
試験の物理的実施態様は、当該技術分野で知られている任意の形態をとることができる。例えば、閉鎖構造多重特異性リガンド/酵素複合体を試験片に設けることができ、基質を試験帯の異なる領域、及びリガンド/酵素複合体を通じて移動することが可能な検体を含有する溶液に設け、酵素を変位させ、それを基質領域に運んで、シグナルを生成することができる。或いは、リガンド/酵素複合体を試験棒又は他の固相上に設け、検体/基質溶液に浸漬させ、検体の存在に応じて酵素を溶液中に放出させることができる。
検体の各分子は、潜在的に1つの酵素分子を放出するため、検体は定量的であり、所定時間内に生成されたシグナルの強度は、溶液における検体の濃度に依存する。
閉鎖構造の検体を使用するさらなる構成が可能である。例えば、閉鎖構造多重特異性リガンドを、アロステリック部位で酵素を結合するように構成することによって、酵素を活性化することができる。当該実施形態において、酵素は、検体の不在下で活性である。検体を添加することで、酵素を変位させ、アロステリック活性化を除去し、酵素を不活性化させる。
酵素活性を検体濃度の測度として採用する上記実施形態の脈絡において、酵素の活性化又は不活性化は、シグナル生成反応を触媒する酵素の能力として測定される酵素の活性の増加又は低下を意味する。例えば、酵素は、検出不可能な基質のその検出可能な形態への変換を触媒する。例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼは、商業的に入手可能である色素産性又は化学発光基質とともに当該技術分野で広く使用されている。酵素の活性の増加又は低下のレベルは、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%の如き10%と100%の間であってもよい。活性の増加の場合は、その増加は、100%を上回る、すなわち200%、300%又は500%以上、或いは阻害酵素の基準活性が検出不可能である場合は百分率で測定できない。
さらなる構成において、閉鎖構造多重特異性リガンドは、酵素ではなく、酵素/基質対を結合することができる。したがって、基質は、検体の結合を通じて閉鎖構造多重特異性リガンドから放出されるまで酵素に利用できない。この構成に対する実施態様は、酵素を結合する構成に対する実施態様である。
さらに、蛍光がリガンドに結合すると消滅するような構造において、フルオレセイン又は他の蛍光体の如き蛍光分子を結合するように試験を構成することができる。この場合、検体がリガンドに結合すると、蛍光分子が変位され、シグナルが生成されることになる。本発明に有用な蛍光分子の代用としては、ルシフェリン/ルシフェラーゼの如き発光剤、及びHRPの如き免疫試験に広く使用される薬剤を含む色素産性剤が挙げられる。
本発明に従って調製される多重特異性リガンドの治療及び予防上の使用は、人間等の受容体哺乳類に対する本発明によるリガンドの投与を含む。多重特異性は、抗体が強い結合活性で多量体抗原に結合することを可能にすることができる。多重特異性リガンドは、例えば腫瘍細胞系の死滅を仲介する細胞傷害性T細胞を採用する際に2つの抗原の架橋を可能にする。
少なくとも90から95%の相同性を有する実質的にナイーブなリガンド又はその結合タンパク質、例えばdAb単量体は、哺乳類に対する投与に好ましく、98から99%以上の相同性は、特に哺乳類が人間の場合に、薬学的使用に最も好ましい。部分的又は所望の相同性に純化されると、リガンドは、(体外を含む)診断又は治療に、或いは試験手順及び免疫蛍光染色等の開発及び実施に使用されうる(Lefkovite及びPernis、(1979及び1981)、Immunological Methods、Volumes I and II、Academic Press(ニューヨーク州所在)。
本発明のリガンド又はその結合タンパク質、例えばdAb単量体は、典型的には、炎症状態、アレルギー性過敏症、癌、細菌又はウィルス感染、及び自己免疫疾患(I型糖尿病、喘息、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、クローン病及び重症筋無力症を含むが、それらに限定されない)の予防、抑制又は治療に使用されることになる。
関節リウマチに加えて、本明細書に記載されている抗TNF−αポリペプチドは、アジソン病(副腎)、耳の自己免疫疾患(耳)、目の自己免疫疾患(目)、自己免疫性肝炎(肝臓)、自己免疫性耳下腺炎(耳下腺)、クローン病及び炎症性腸疾患(腸)、I型糖尿病(膵臓)、精巣上体炎(精巣上体)、糸球体腎炎(腎臓)、グレーブス病(甲状腺)、ギラン−バレ症候群(神経細胞)、橋本病(甲状腺)、溶血性貧血症(赤血球細胞)、全身性紅斑性狼瘡(多組織)、男性不妊症(精液)、多発性硬化症(神経細胞)、重症筋無力症(神経筋接合部)、天痘瘡(主に皮膚)、乾癬(皮膚)、リウマチ熱(心臓及び接合部)、サルコイド(多組織及び器官)、強皮症(皮膚及び接合組織)、シェーグレン症候群(外分泌腺及び他の組織)、脊椎関節症(体軸骨格及び他の組織)、甲状腺炎(甲状腺)、潰瘍性大腸炎(腸)及び血管炎(血管)(括弧内は影響を受ける器官)を含むが、それらに限定されない自己免疫疾患の治療に適用可能である。
本明細書に記載されている抗VEGFポリペプチドは、関節リウマチ及び他の慢性炎症疾患(例えばクローン病及び乾癬等)に加えて、糖尿病、急性ミエロイド性白血病、白血病、並びに黄斑変性及び糖尿病性網膜症を含む眼疾患の治療に使用されうる。
本出願において、「予防」という用語は、疾病の誘発に先立つ保護組成物の投与を含む。「抑制」とは、誘発的事象後で、疾病の臨床的発現前の該組成物の投与を意味する。
疾病から保護する又は疾病を治療する上での抗体又はその結合タンパク質の効果を調べるのに使用できる動物モデルシステムが利用可能である。感受性マウスにおける全身性紅斑性狼瘡(SLE)を試験するための方法は、当該技術分野で知られている(Knightら、(1978)、J.Exp.Med.、147:1653;Reinerstenら、(1978)、New Eng.J.Med.、299:515)。他の生物種からの可溶性AchRタンパク質で疾病を誘発することによって、SJL/J雌マウスにおける重症筋無力症(MG)が試験されている(Lindstromら、(1988)、Adv.Immurzol.、42:233)。II型コラーゲンを30回注射することによって、感受性系統のマウスに関節炎が誘発されている(Stuartら、(1984)、Ann.Rev.Immunol、42:233)。ミコバクテリア熱ショックタンパク質の注入によって影響を受けやすいラットにアジュバンド関節炎を誘発するモデルが記載されている(Van Edenら、(1988)、Nature、331:171)。記載されているように、チログロブリンの投与によってマウスに甲状腺炎が誘発されている(Maronら、(1980)、J.Exp.Med.、152:1115)。インシュリン依存性真性糖尿病(IDDM)は、自然に発生するか、或いはKanasawaら、(1984)、Diabetologia、27:113に記載されているマウスの如き特定の系統のマウスに誘発されうる。マウス及びラットにおけるEAEは、人間におけるMSのモデルとして機能する。このモデルでは、ミエリン塩基性タンパク質を投与することによって脱髄疾患が誘発される(Paterson、(1986)、Textbook of Immuopathopathology、Mischerら編、Grune and Stratton(ニューヨーク)、pp.179−213;McFarlinら、(1973)、Science、179:478;及びSatohら、(1987)、J.Immunol、138:179参照)。
一般に、本リガンドは、薬理学的に適切な担体とともに純化された形態で利用される。典型的には、これらの担体は、水性又はアルコール/水溶液、エマルジョン又は懸濁液を含み、いずれも塩及び/又は緩衝媒体を含む。非経口媒体は、塩化ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖及び塩化ナトリウム、及び乳酸加リンガー液を含む。必要に応じてポリペプチド複合体を懸濁液に維持するための好適な生理学的に許容可能なアジュバントは、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン及びアルギン酸塩の如き濃縮剤から選択されうる。
静脈内媒体は、流体及び栄養素補充液、並びにリンガーブドウ糖に基づく液の如き電解質補充液を含む。抗微生物剤、酸化防止剤、キレート化剤及び不活性ガスの如き防腐剤及び他の添加剤が存在していてもよい(Mack、(1982)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版)。
本発明のリガンドを個別に投与する組成物として、又は他の薬剤と併用して使用することができる。これらは、シクロスポリン、メトトレキセート、アドリアマイシン又はシスプラチン及び免疫毒素の如き様々な免疫治療薬を含むことができる。医薬組成物は、本発明のリガンド、或いはさらに、投与前に蓄積されているか否かにかかわらず、異なる標的抗原又はエピトープを使用して選択されたリガンドの如き異なる特異性を有する本発明によるリガンドの組合せとともに様々な細胞毒性又は他の作用物質の「カクテル」を含むことができる。
本発明による医薬組成物の投与の経路は、当業者に広く知られている経路のいずれかであってもよい。免疫治療を含むが、それに限定されない治療では、本発明の選択されたリガンドを標準的な技術に従って任意の患者に投与することが可能である。投与は、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹膜内投与、経皮投与、肺経路を介する投与を含む任意の適切な方式により、或いはまた適切にカテーテルによる直接的な注入によって可能である。投与の用量及び頻度は、患者の年齢、性別及び状態、他の薬物の同時投与、反対効果、及び臨床医が考慮する他のパラメータに依存することになる。
当業者であれば理解するように、投与の経路及び/又は方式は、所望の結果に応じて変わる。特定の実施形態において、植込錠、経皮パッチ及びマイクロカプセル送達システムを含む徐放製剤形態の如き、化合物を急速な放出から保護する担体を用いて活性化合物を調製することが可能である。単一抗体構築物は、一部にはサイズが小さいために、徐放製剤としての製剤形態によく適している−用量当たりのモル数は、例えばフルサイズの抗体の投与物よりはるかに大きいといえる。エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル及びポリ乳酸の如き生物分解性、生物適合性ポリマーを使用することができる。吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物に含めることによって、注射可能組成物の吸収を長時間化することが可能である。当該製剤形態を調製するための方法の多くは、特許化されており、或いは当業者に広く知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson編、Marcel Dekker,Inc(ニューヨーク)、1978を参照されたい。本明細書に開示されている単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドの如きポリペプチドの徐放又は長時間放出に適用可能なさらなる方法は、例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,306,406号及び6,346,274号、並びに例えば米国特許出願第US20020182254号及びUS20020051808号に記載されている。
本明細書に記載されているリガンドを保存のために凍結乾燥し、使用前に好適な担体中に復元することが可能である。この技術は、従来の免疫グロブリンに有効であることが示されており、当該技術分野で知られている凍結乾燥及び復元技術を採用することが可能である。凍結乾燥及び復元は、様々な度合いの抗体活性損失をもたらしうること(例えば従来の免疫グロブリンでは、IgM抗体は、IgG抗体より活性ロスが大きい傾向にある)、及び使用レベルを上方調節して補償しなければならないことがあることを当業者なら理解するであろう。
本リガンド又はそのカクテルを含有する組成物を予防及び/又は治療措置のために投与することが可能である。特定の治療用途において、選択された細胞の集団の少なくとも部分的な阻害、抑制、調節、死滅又はいくつかの他の測定可能パラメータを達成するための十分な量を「治療有効用量」と定義づける。この用量を達成するのに必要な量は、疾病の重症度及び患者自身の免疫系の全体的状態に依存するが、一般には体重1kg当たりのリガンド、例えば抗体、受容体(例えばT細胞受容体)又はその結合タンパク質の量が0.005から5.0mgの範囲であり、0.05から2.0mg/kg/用量が最も広く用いられている。予防用途でも、本リガンド又はそのカクテルを含有する組成物を同様の用量、又はわずかに少ない用量で投与することができる。
本明細書に記載されている組成物を使用して実施される治療は、1つ又は複数の症状が、治療前の当該症状と比べて、或いは当該組成物で治療されていない個体(人間又はモデル動物)における症状と比べて(例えば少なくとも10%、又は臨床評価スケールで少なくとも1ポイント)低減される場合に「有効」と見なされる。症状は、明らかに、標的とする疾病又は疾患に応じて異なるが、通常の熟練度の臨床医又は技術者によって測定されうる。当該症状は、例えば、疾病又は疾患の1つ又は複数の生化学的指標のレベル(例えば疾病に相関づけられる酵素又は代謝物質のレベル、影響を受けた細胞数等)を監視することによって、物理的症状(例えば炎症、腫瘍サイズ等)を監視することによって、或いは認められた臨床評価スケール、例えば(多発性硬化症に対する)拡大傷病状態スケール、アーバイン炎症性腸疾患質問調査(32ポイント評価により腸機能、全身的症状、社会的機能及び情動状態を評価する−スコアは32から224の範囲にあり、スコアが高いほど生活の質が良好であることを示す)、生活の質関節リウマチスケール、又は当該分野で知られている他の認められた臨床評価スケールによって、測定されうる。少なくとも10%、又は所定のスケールでの1ポイント以上の疾病又は疾患症状の継続的な(例えば1日以上、好ましくはより長期的な)低減は、「有効」治療を示す。同様に、本明細書に記載されている組成物を使用して実施される予防は、1つ又は複数の症状の発症又は重症度が、その組成物で治療されていない同様の個体(人間又は動物モデル)における当該症状に比べて、遅延、低減又は消滅される場合に「有効」である。
本発明によるリガンド又はそのカクテルを含有する組成物を予防及び治療環境に利用して、哺乳類における選択標的細胞集団の改変、不活性化、死滅又は除去を支援することができる。加えて、本明細書に記載されているポリペプチドの選択されたレパートリーを体外又はインビトロで選択的に使用して、細胞の非相同的集合体から標的細胞群を死滅、消滅或いは効果的に除去することができる。哺乳類の血液をリガンド、例えば抗体、細胞表面受容体又はその結合タンパク質と体外で組み合わせることにより、望ましくない細胞を死滅させ、或いは血液から除去し、標準的な技術に従って血液を哺乳類に戻すことができる。
2:本発明による半減期向上二重特異性リガンドの使用
本発明の方法による二重特異性リガンドをインビボ治療及び予防用途、及びインビボ診断用途等に採用することができる。
本発明の方法による二重特異性リガンドをインビボ治療及び予防用途、及びインビボ診断用途等に採用することができる。
本発明に従って調製された二重特異性リガンドの治療及び予防上の使用は、人間の如き哺乳類に対して本発明によるリガンドを投与することを含む。本発明による二重特異性抗体は、半減期向上分子に対する少なくとも1つの特異性を有する。1つ又は複数のさらなる特異性を標的分子に対して導くことができる。例えば、二重特異性IgGは、その1つが半減期向上分子上にある4つのエピトープに対して特異的でありうる。二重特異性は、抗体が強い結合活性で多量体抗原に結合することを可能にすることができる。二重特異性抗体は、例えば、腫瘍細胞系の死滅を仲介する細胞傷害性T細胞を採用する際に、2つの抗原の架橋を可能にすることができる。
少なくとも90から95%の相同性を有する、dAb単量体の如き、実質的にナイーブなリガンド又はその結合タンパク質は、哺乳類に対する投与に好ましく、98から99%以上の相同性は、特に哺乳類が人間の場合に、薬学的使用に最も好ましい。部分的又は所望の相同性に純化されると、リガンドは、(体外を含む)診断又は治療に、或いは試験手順及び免疫蛍光染色の開発及び実施に使用されうる(Lefkovite及びPernis、(1979及び1981)、Immunological Methods、Volumes I and II、Academic Press(ニューヨーク州所在)。
本発明のリガンドは、典型的には、炎症状態、アレルギー性過敏症、癌、細菌又はウィルス感染、及び自己免疫疾患(I型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、クローン病及び重症筋無力症を含むが、それらに限定されない)の予防、抑制又は治療に使用されることになる。
疾病から保護する又は疾病を治療する上で二重特異性リガンドの効果を調べるのに使用できる動物モデルシステムが利用可能である。影響を受けやすいマウスにおける全身性紅斑性狼瘡(SLE)を試験するための方法は、当該技術分野で知られている(Knightら、(1978)、J.Exp.Med.、147:1653;Reinerstenら、(1978)、New Eng.J.Med.、299:s515)。他の生物種からの可溶性AchRタンパク質で疾病を誘発することによって、SJL/J雌マウスにおける重症筋無力症(MG)が試験されている(Lindstromら、(1988)、Adv.Immunol.、42:233)。II型コラーゲンの注入によって、影響を受けやすい系統のマウスに関節炎が誘発されている(Stuartら、(1984)、Ann.Rev.Immunol、42:233)。ミコバクテリア熱ショックタンパク質の注入によって影響を受けやすいラットにアジュバンド関節炎を誘発するモデルが記載されている(Van Edenら、(1988)、Nature、331:171)。記載されているように、チログロブリンの投与によってマウスに甲状腺炎が誘発されている(Maronら、(1980)、J.Exp.Med.、152:1115)。インシュリン依存性真性糖尿病(IDDM)は、自然に発生するか、或いはKanasawaら、(1984)、Diabetologia、27:113に記載されているマウスの如き特定の系統のマウスに誘発されうる。マウス及びラットにおけるEAEは、人間におけるMSのモデルとして機能する。このモデルでは、ミエリン塩基性タンパク質を投与することによって5脱髄疾患が誘発される(Paterson、(1986)、Textbook of Immunopathopathology、Mischerら編、Grune and Stratton(ニューヨーク)、pp.179−213;McFarlinら、(1973)、Science、179:478;及びSatohら、(1987)、J.Immunol、138:179参照)。
本発明による二重特異性リガンド、及びエンドサイトーシスに関与する細胞外標的(例えばクラスリン)に結合することができるdAb単量体は、二重特異性リガンドを飲食運動させることを可能に、細胞内標的に結合することができる他の特異性を細胞内環境に送達することを可能にする。この手法は、二重特異性リガンドが細胞内部で機能性を維持することを可能にする物理的特性を有する二重特異性リガンドを必要とする。或いは、最終標的の細胞内区画が酸化性である場合は、十分に重畳したリガンドは、ジスルフィドフリーである必要はない。
一般に、本二重特異性リガンドは、薬理学的に適切な担体とともに純化された形態で利用される。典型的には、これらの担体は、水性又はアルコール/水溶液、エマルジョン又は懸濁液を含み、いずれも塩及び/又は緩衝媒体を含む。非経口媒体は、塩化ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖及び塩化ナトリウム、及び乳酸加リンガー液を含む。必要に応じてポリペプチド複合体を懸濁液に維持するための好適な生理学的に許容可能なアジュバントは、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン及びアルギン酸塩の如き濃縮剤から選択されうる。静脈内媒体は、流体及び栄養素補充液、並びにリンガーブドウ糖に基づく液の如き電解質補充液を含む。抗微生物剤、酸化防止剤、キレート化剤及び不活性ガスの如き防腐剤及び他の添加剤が存在していてもよい(Mack、(1982)、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版)。
本発明のリガンドを個別に投与する組成物として、又は他の薬剤と併用して使用することができる。これらは、シクロスポリン、メトトレキセート、アドリアマイシン又はシスプラチン及び免疫毒素の如き様々な免疫治療薬を含むことができる。医薬組成物は、本発明のリガンドとともに様々な細胞毒又は他の作用物質の「カクテル」を含むことができる。
本発明による医薬組成物の投与の経路は、当業者に広く知られている経路のいずれかであってもよい。免疫治療を含むが、それに限定されない治療では、本発明のリガンドを標準的な技術に従って任意の患者に投与することが可能である。投与は、非経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹膜内投与、経皮投与、肺経路を介する投与を含む任意の適切な方式により、或いはまた適切にカテーテルによる直接的な注入によって可能である。投与の用量及び頻度は、患者の年齢、性別及び状態、他の薬物の同時投与、反対効果、及び臨床医が考慮する他のパラメータに依存することになる。
本発明のリガンドを保存のために凍結乾燥し、使用前に好適な担体中に復元することが可能である。この技術は、従来の免疫グロブリンに有効であることが示されており、当該技術分野で知られている凍結乾燥及び復元技術を採用することが可能である。凍結乾燥及び30復元は、様々な度合いの抗体活性損失をもたらしうること(例えば従来の免疫グロブリンでは、IgM抗体は、IgG抗体より活性ロスが大きい傾向にある)、及び使用レベルを上方調節して補償しなければならないことがあることを当業者なら理解するであろう。
本リガンド又はそのカクテルを含有する組成物を予防及び/又は治療処置のために投与することが可能である。特定の治療用途において、選択された細胞の集団の少なくとも部分的な阻害、抑制、調節、死滅又はいくつかの他の測定可能パラメータを達成するための十分な量を「治療有効用量」と定義づける。この用量を達成するのに必要な量は、疾病の重症度及び患者自身の免疫系の全体的状態に依存するが、一般には体重1kg当たりのリガンド量が0.005から5.0mgの範囲であり、0.05から2.0mg/kg用量が最も広く用いられている。予防用途でも、本リガンド又はそのカクテルを含有する組成物を同様の用量、又はわずかに少ない用量で投与することができる。
本発明によるリガンドを含有する組成物を予防及び治療環境に利用して、哺乳類における選択標的細胞集団の改変、不活性化、死滅又は除去を支援することができる。
加えて、本明細書に記載されているポリペプチドの選択されたレパートリーを対外又はインビトロで選択的に使用して、細胞の非相同的集合体から標的細胞群を死滅、消滅或いは効果的に除去することができる。哺乳類の血液をリガンド、例えば抗体、細胞表面受容体又はその結合タンパク質と体外で組み合わせることにより、望ましくない細胞を死滅させ、或いは血液から除去し、標準的な技術に従って血液を哺乳類に戻すことができる。例示のみを目的として、本発明を以下の実施例でさらに説明する。本明細書に用いられているように、dAb命名法の目的で、TNF−αをTAR1と呼び、ヒトTNFα受容体1(p55受容体)をTAR2と呼ぶ。
3.関節リウマチの治療
好ましい実施形態において、本明細書に記載されているリガンドを使用して、関節リウマチを治療することができる。
好ましい実施形態において、本明細書に記載されているリガンドを使用して、関節リウマチを治療することができる。
一実施形態において、本発明は、関節リウマチを治療する方法であって、そのいずれかがヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物を使用することを含む。本発明は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物と、リガンドの1つの特異性が、TNFαに向けられる単一領域抗体であり、第2の特異性が、VEGF又はHSAに向けられる単一領域抗体である二重特異性リガンドとを含む組成物を包含する。本発明は、リガンドの1つの特異性がVEGFに向けられ、第2の特異性がHSAに向けられる二重特異性リガンドをさらに包含する。
一実施形態において、本発明は、関節リウマチを治療する方法であって、1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物を投与することを含み、該構築物のいずれかが、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、且つ/又は関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止し、且つ/又はL929細胞傷害性試験におけるTNF−αを中和する方法を提供する。特に、関節炎を治療する方法は、1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物を投与することを含み、該構築物のいずれかがTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、該組成物のTg197遺伝子組換えマウスに対する投与は、関節炎スコアの増加を防止する。
a)受容体結合試験
関節リウマチを治療するためのリガンドは、TNF−αのTNF−α受容体に対する結合に干渉することが可能である。受容体は、孤立した(通常は膜結合した)受容体であるか、或いはインビトロ又はインビボで細胞上に存在する受容体でありうる。
関節リウマチを治療するためのリガンドは、TNF−αのTNF−α受容体に対する結合に干渉することが可能である。受容体は、孤立した(通常は膜結合した)受容体であるか、或いはインビトロ又はインビボで細胞上に存在する受容体でありうる。
TNF−α受容体結合、及び本明細書に記載されているリガンドによる当該結合に対する干渉を測定するための試験を実施例6に記載する。これらは、ELISA(実施例6、セクション1.3.1)、BIAcore分析(実施例6、セクション1.3.2)、及び孤立した(又は膜会合した)受容体(実施例6、セクション1.3.3)と培養細胞の表面に発現した受容体(実施例6、セクション1.3.3)の両方を使用する生化学的受容体結合試験を含む。
本明細書に用いられているように、受容体の「結合に拮抗する」という用語は、TNF−α(又はVEGF又は他の因子)の同族受容体に対する結合に干渉する所定の抗体ポリペプチド構築物の能力又は効果を意味する。拮抗性は、本明細書に記載されているインビトロの細胞ベースの試験又はインビボ試験のいずれかを用いて測定される。したがって、受容体は、孤立しているか、膜結合しているか、又は細胞表面に存在しうる。構築物は、構築物の存在下で検出された結合に、構築物が不在のときに比べて統計的に有意な低下がある場合に、同族受容体(例えばTNFR1、TNFR2、VEGFR1、VEGFR)に対する結合に干渉しているか、又はその結合に拮抗している。或いは、構築物は、構築物の存在下における結合測定値が構築物が不在のときに比べて少なくとも10%低下している場合に、結合に干渉している。
b)L929細胞傷害性試験
関節リウマチの治療のためのリガンドは、L929細胞傷害性試験において、TNF−αの細胞傷害性効果に干渉することができる。Evansら、2000、Molecular Biotechnology、15:243−248に記載されている試験に基づくこの試験を実施例6、セクション1.3.3に記載する。関節リウマチの治療に有用な抗TNF−αリガンドは、この細胞試験において、TNF−αの活性を中和することができる。
関節リウマチの治療のためのリガンドは、L929細胞傷害性試験において、TNF−αの細胞傷害性効果に干渉することができる。Evansら、2000、Molecular Biotechnology、15:243−248に記載されている試験に基づくこの試験を実施例6、セクション1.3.3に記載する。関節リウマチの治療に有用な抗TNF−αリガンドは、この細胞試験において、TNF−αの活性を中和することができる。
本明細書に用いられているように、「中和」という用語は、本明細書に記載されている抗体又はdAbポリペプチドに関して用いられるときは、ポリペプチドが標的抗原の測定可能な活性又は機能に干渉することを意味する。ポリペプチドは、標的抗原の測定可能な活性又は機能を少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%、95%以上、又は100%の抑制率(すなわち、標的抗原の効果又は機能が検出されない抑制率)で低減する場合に、「中和」ポリペプチドである。したがって、標的がTNF−αである場合は、本明細書に記載されている標準的なL929細胞死滅試験を用いて、或いはTNF−α誘発細胞活性を測定するHUVECでELAM−1のTNF−α誘発発現を抑制する抗TNF−αポリペプチド構築物の能力を測定することによって、中和活性を評価することが可能である。
TNF−αの受容体結合活性に対する抗体ポリペプチド干渉についてのさらなる試験は、実施例6、セクション1.3.3にも記載されているHeLa IL−8試験を含む。
c)インビボ試験
Tg197遺伝子組換えマウス関節炎モデルを用いて、本明細書に記載されている抗TNF−αリガンドの効果を評価することが可能である。Tg197マウスは、ヒトTNF−グロビンハイブリッド遺伝子に対する遺伝子組換えマウスで、4〜7週齢におけるヘテロ接合体は、関節リウマチと共通の組織学的特徴を有する慢性の進行性多発関節炎を生じる(Kefferら、1991、EMBO J.10:4025−4031)。関節可動度及び間接腫脹を評価することによって関節炎表現型を採点することが可能である。関節の関節炎表現型を関節のX線撮像、並びに膝及び踝/足関節の固定部の組織病理学的分析によって採点することが可能である。
Tg197遺伝子組換えマウス関節炎モデルを用いて、本明細書に記載されている抗TNF−αリガンドの効果を評価することが可能である。Tg197マウスは、ヒトTNF−グロビンハイブリッド遺伝子に対する遺伝子組換えマウスで、4〜7週齢におけるヘテロ接合体は、関節リウマチと共通の組織学的特徴を有する慢性の進行性多発関節炎を生じる(Kefferら、1991、EMBO J.10:4025−4031)。関節可動度及び間接腫脹を評価することによって関節炎表現型を採点することが可能である。関節の関節炎表現型を関節のX線撮像、並びに膝及び踝/足関節の固定部の組織病理学的分析によって採点することが可能である。
所定の抗体ポリペプチド構築物の効果を評価するための実験的処理を以下のように実施する。
1)抗体ポリペプチド構築物による関節炎の予防を試験するために、動物を以下のように処理する。
a)ヘテロ接合性Tg197マウスを、雌と雄が同数の10の動物のグループに分ける。3週齢から処理を開始し、抗体ポリペプチドをPBSで毎週腹膜内投与し、又は対照動物にはPBSのみを投与する。
b)毎週マウスの体重を測定する。
c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候についてマウスを採点する。
1)抗体ポリペプチド構築物による関節炎の予防を試験するために、動物を以下のように処理する。
a)ヘテロ接合性Tg197マウスを、雌と雄が同数の10の動物のグループに分ける。3週齢から処理を開始し、抗体ポリペプチドをPBSで毎週腹膜内投与し、又は対照動物にはPBSのみを投与する。
b)毎週マウスの体重を測定する。
c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候についてマウスを採点する。
個々の採点が試験グループに対してブラインドされるように、試験を最適に実施すべきである。この試験の抗体送達の好ましい機構は、IP注射である。しかし、皮下注射、IV注射(例えば尾静脈を介する)、筋肉内注射、又は経口、吸入若しくは局所的投与を用いるように試験を構成することが可能である。
処理グループにおける平均関節炎スコアが媒体のみの対照グループより(統計的に有意な量だけ)低い場合に、処理は、Tg197モデルシステムで有効である。平均関節炎スコアが、媒体のみの対照動物と比べて、少なくとも0.5単位、少なくとも1.0単位、少なくとも1.5単位、又は少なくとも2単位低い場合にも処理は有効であると見なされる。或いは、平均関節炎スコアが、治療処置の過程を通じて0から0.25に維持又は低下される場合に、処理は有効である。
処理グループにおける平均関節炎スコアが、実験の過程を通じて増加しているが、この増加の始まりが、媒体のみの対照と比較した場合に遅れている場合に、処理はTg197モデルシステムにおいて有効である。媒体のみの対照と比較した場合の処理グループの平均関節炎スコアの増加の始まりが、少なくとも0.5週間、少なくとも1週間、少なくとも1.5週間、少なくとも2週間、又は3週間を上回る期間だけ遅れている場合も処理は有効であると見なされる。
マクロ表現型の採点の代替として、処理中の様々な間隔で、踝/足及び膝関節を固定し、0=検出可能な病状なし、1=滑膜の過形成及び多形核浸潤物の存在、2=パンヌス及び繊維状組織の形成並びに限局性軟骨下骨浸食、4=広範な関節軟骨破壊及び骨浸食のシステムを用いて組織病理学的に分析することが可能である。平均組織病理学的スコアが、媒体のみの対照グループより(統計的に有利な量だけ)低い場合に、処理は有効であると見なされる。平均組織病理学的スコアが、媒体のみの対照グループと比べて、少なくとも0.5単位、少なくとも1.0単位、少なくとも1.5単位、少なくとも2.0単位、少なくとも2.5単位、少なくとも2.5単位、少なくとも3.0単位、又は少なくとも3.5単位だけ低い場合にも処理は有効であると見なされる。或いは、平均組織病理学的スコアが、治療処置の過程を通じて0から0.5に維持又は低下される場合に、処理は有効である。
2)確立された関節炎に対する抗体ポリペプチド構築物(抗TNF−α、抗VEGF等)の効果を試験するために、動物が有意な関節炎表現型を有する時である6週齢から処理を開始し、Tg197に対して上述のように試験を実施することが可能である。採点及び効果分析も上述のように行う。上述の抗TNF−αdAb構築物は、記載されたモデルシステムのいずれかにおいて、確立された関節炎の進行を停止又は逆転させることが可能である。
いずれの形式においても、処理手法は、単量体、二量体又は他の多量体形態の抗TNF−α(例えば本明細書に記載されている)抗TNF−αdAb、単量体、二量体又は他の多量体形態の抗VEGF(例えば、ラクダ抗VEGFdAbをも含む、本明細書に記載されている抗VEGFdAbs)二重特異性形式の抗TNF/抗VEGF、及び抗HSA、PEG又は他の半減期改変成分を担持する個別又は二重特異性構築物を含む。また、本明細書に記載されている抗VEGF組成物を、エタネルセプト(エンブレル)、D2E7(フミラ)及びインフリキシマブ(レミケード)の如き他の抗TNF組成物と組み合わせて投与することが可能である。当該組合せ治療の効果を、例えば、細胞培養、及び本明細書に記載されているインビボモデルシステムを用いて評価することが可能である。
受け入れられているさらなる関節炎の動物モデルとしては、例えばHorsfallら、1997、J.of Immunol.169:5687に記載されているコラーゲン誘発関節炎(CIA)、及び例えばStaslukら、1997、Immunol.90:81に記載されているプリスタン誘発関節炎が挙げられる。
抗VEGFポリペプチド構築物効果に対する試験:
a)VEGF受容体2結合試験
この方法は、VEGF受容体2に対するVEGF165の結合を防止する可溶性領域抗体(dAbs)の能力を測定するためのVEGF受容体結合試験を示す。
a)VEGF受容体2結合試験
この方法は、VEGF受容体2に対するVEGF165の結合を防止する可溶性領域抗体(dAbs)の能力を測定するためのVEGF受容体結合試験を示す。
VEGFは、インビトロで内皮細胞に対する特異的ミトゲンであり、インビボで強力な血管形成因子であり、高レベルのタンパク質が様々な種類の腫瘍で発現される。それは、ホモ二量体として活性の45kDa糖タンパク質である。これまで、代替的なmRNA分裂を通じて発生する5つの異なるイソ型が記載されている。これらのイソ型のうち、VEGF121及びVEGF165が最も多い。
内皮細胞に対するVEGFの特異的作用は、主に、VEGF R1(Flt−1)とVEGF R2(KDR/Flk−1)の二種類の受容体チロシンキナーゼ(RTK)によって調節される。しかし、両受容体が、VEGFの結合に際してリン酸化されても、分裂促進性、化学走性、及び形態的変化の誘発の如きVEGF活性は、VEGF R2によって媒介される。
この試験には、ヒトIgG1のFc領域に融合されるヒトVEGF R2の細胞外領域を含む組換えヒトVEGF R2/Fcキメラを使用する。手短に言えば、受容体をELISAプレートに捕捉し、次いで非特異性結合を防止するためにプレートを遮断する。次いで、VEGF165とdAbタンパク質の混合物を添加し、プレートを洗浄し、ビオチン化抗VEGF抗体及びHRPHRP共役抗ビオチン抗体を使用して、受容体結合VEGF165を検出する。比色基質を使用してプレートを現像し、450nmでODを読み取る。dAbがVEGFの受容体に対する結合を遮断すれば、色は検出されない。
試験は、以下のように実施される。炭酸塩緩衝液に0.5μg/mlの濃度で含められた組換えヒトVEGF R2/Fc(R&D Systems、Cat.No:357−KD−050)をウェル当たり100μlの量で96ウェルのヌンクマキシソープ試験プレートに4℃にて一晩塗布する。ウェルを0.05%ツイーン/PBSで3回、PBSで3回洗浄する。PBSに含められた2%BSAをウェル当たり200μl添加して、プレートを遮断し、プレートを室温にて最低1時間インキュベートする。
ウェルを(上記のように)洗浄し、次いで生成したdAbタンパク質を各ウェルに50μlずつ添加する。次いで、希釈液に6ng/mlの濃度(最終濃度を3ng/mlとする)で含められたVEGFを各ウェルに50μl添加し、プレートを2時間インキュベートする(上澄みの試験;80μlの上澄みを各ウェルに添加し、次いで15ng/mlの濃度のVEGFを20μl添加する)。
以下の対照、すなわち0ng/ml VEGF(希釈液のみ);3ng/mlのVEGF(R&D Systems、Cat.No:293−VE−050);0.1μg/mlの抗VEGF中和抗体を含む3ng/mlのVEGF(R&D Systems cat#MAB293)を含めるべきである。
プレートを(上記のように)洗浄し、次いで希釈液に0.5μg/mlの濃度で含められた100μlのビオチン化抗VEGF抗体(R&D Systems、Cat No:BAF293)を添加し、室温にて2時間インキュベートする。
ウェルを(上記のように)洗浄し、次いで100μlのHRP共役抗ビオチン抗体(希釈液で1:5000に希釈;Stratech、Cat No:200−032−096)を添加する。次いで、プレートを室温にて1時間インキュベートする。
プレートを(上記のように)洗浄し、ツイーン20のあらゆる痕跡を除去して、次のペルオキシダーゼ試験におけるバックグラウンドを制限するとともに、OD読取りを不正確にする試験プレートウェル内の泡を防止するようにする。
100μlのSureBlue1−コンポーネントTMBマイクロウェルペルオキシダーゼ溶液を各ウェルに添加し、プレートを室温にて最大20分間放置する。結合したHRPタグ複合体が基質と反応すると、濃青色の可溶性生成物が発生する。100μlの1M塩酸を添加することによって反応を停止させる(青色が黄色に変わる)。プレートの450nmにおけるODを、酸を添加してから30分以内に96ウェルプレートリーダーで読み取るべきである。450nmのODは、結合ストレプトアビジン−HRP複合体の量に比例する。
期待される対照からの結果は以下の通りである。0ng/mlのVEGFは、0.15OD未満の低シグナルを与え、3ng/mlのVEGFは、0.5ODを上回るシグナルを与え、0.1μg/mlの中和抗体で予めインキュベートされた3ng/mlのVEGFは、0.2OD未満のシグナルを与える。
b)VEGF受容体1結合試験
この試験は、VEGF165のVEGF R1に対する結合、及びこの相互作用を阻止するdAbsの能力を測定する。
この試験は、VEGF165のVEGF R1に対する結合、及びこの相互作用を阻止するdAbsの能力を測定する。
ここでは、ヒトIgG1のFc領域に融合されたヒトVEGF R1の細胞外領域を含む組換えヒトVEGF R1/Fcキメラを使用する。受容体をELISAプレートに捕捉し、次いで非特異性結合を防止するためにプレートを遮断する。次いで、VEGF165とdAbタンパク質の混合物を添加し、プレートを洗浄し、ビオチン化抗VEGF抗体及びHRPHRP共役抗ビオチン抗体を使用して、受容体結合VEGF165を検出する。比色基質を使用してプレートを現像し、450nmでODを読み取る。dAbがVEGFの受容体に対する結合を遮断すれば、色は検出されない。
試験は、以下のように実施される。炭酸塩緩衝液に0.1μg/mlの濃度で含められた組換えヒトVEGF R1/Fc(R&D Systems、Cat.No:321−FL−050)をウェル当たり100μlの量で96ウェルのヌンクマキシソープ試験プレートに4℃にて一晩塗布する。ウェルを0.05%ツイーン/PBSで3回、PBSで3回洗浄する。
PBSに含められた2%BSAをウェル当たり200μl添加して、プレートを遮断し、プレートを室温にて最低1時間インキュベートする。
ウェルを(上記のように)洗浄し、次いで生成したdAbタンパク質を各ウェルに50μlずつ添加する。次いで、希釈液に1ng/mlの濃度(最終濃度を500pg/mlとする)で含められたVEGFを各ウェルに50μl添加し、プレートを1時間インキュベートする(上澄みの試験;80μlの上澄みを各ウェルに添加し、次いで2.5ng/mlの濃度のVEGFを20μl添加する)。
以下の対照、すなわち0ng/ml VEGF(希釈液のみ);500pg/mlのVEGF;及び1μg/mlの抗VEGF中和抗体を含む500pg/mlのVEGF(R&D Systems cat#MAB293)を含めるべきである。
プレートを(上記のように)洗浄し、次いで希釈液に50ng/mlの濃度で含められた100μlのビオチン化抗VEGF抗体を添加し、室温にて1時間インキュベートする。
ウェルを(上記のように)洗浄し、次いで100μlのHRP共役抗ビオチン抗体(希釈液で1:5000に希釈)を添加する。次いで、プレートを室温にて1時間インキュベートする。
プレートを(上記のように)洗浄し、ツイーン20のあらゆる痕跡を除去して、次のペルオキシダーゼ試験におけるバックグラウンドを制限するとともに、OD読取りを不正確にする試験プレートウェル内の泡を防止するようにする。
100μlのSureBlue1−コンポーネントTMBマイクロウェルペルオキシダーゼ溶液を各ウェルに添加し、プレートを室温にて最大20分間放置する。結合したHRPタグ複合体が基質と反応すると、濃青色の可溶性生成物が発生する。100μlの1M塩酸を添加することによって反応を停止させる(青色が黄色に変わる)。プレートの450nmにおけるODを、酸を添加してから30分以内に96ウェルプレートリーダーで読み取るべきである。450nmのODは、結合ストレプトアビジン−HRP複合体の量に比例する。
期待される対照からの結果は以下の通りである。0ng/mlのVEGFは、0.15OD未満の低シグナルを与え、500pg/mlのVEGFは、0.8ODを上回るシグナルを与え、1μg/mlの中和抗体で予めインキュベートされた500pg/mlのVEGFは、0.3OD未満のシグナルを与える。
c)VEGF活性に対する細胞をベースとした試験
この生物学的試験は、HUVE細胞のVEGF誘発増殖を中和する抗体ポリペプチド(例えばdAbs)及び他の阻害剤の能力を測定する。96ウェルプレートに仕込まれたHUVE細胞を、予め平衡にされたVEGF及びdAbタンパク質とともに72時間インキュベートする。次いで、細胞生死判別色素を使用して、細胞数を測定する。
この生物学的試験は、HUVE細胞のVEGF誘発増殖を中和する抗体ポリペプチド(例えばdAbs)及び他の阻害剤の能力を測定する。96ウェルプレートに仕込まれたHUVE細胞を、予め平衡にされたVEGF及びdAbタンパク質とともに72時間インキュベートする。次いで、細胞生死判別色素を使用して、細胞数を測定する。
試験は、以下のように実施される。HUVE細胞を準合流175cm2フラスコからトリプシン処理する。媒体を吸い出し、細胞を5mlのトリプシンで洗浄し、次いで2mlのトリプシンとともに室温にて5分間インキュベートする。手に打ち付けることによってフラスコの底から細胞を静かに取り除く。次いで、8mlの誘発媒体をフラスコに加え、細胞をピペットで採取して、すべての凝集塊を分散させる。トリパンブルー染料を使用して、生細胞を数える。
細胞をスピンダウンさせ、誘発媒体で2回洗浄し、細胞をスピンダウンさせ、それぞれの洗浄の後に媒体を吸引する。最後の吸引後に、細胞を105個/ml(誘発媒体中)まで希釈し、ウェル当たり100μlの量で96ウェルプレートに仕込む(10000個/ウェル)。プレートを37℃にて2時間を上回る時間にわたってインキュベートして、細胞を接着させる。
60μlのdAbタンパク質、及び40ng/mlのVEGF165(最終濃度は10ng/ml)を含有する60μlの誘発媒体をv底の96ウェルプレートに加え、フィルムで封止する。次いで、dAb/VEGF混合物を37℃にて0.5〜1時間インキュベートする。
dAb/VEGFプレートをインキュベータから除去し、100μlの溶液をHUVEC含有プレートの各ウェルに加える(最終体積200μl)。次いで、このプレートを、少なくとも72時間にわたって、37℃のインキュベータに戻す。
対照ウェルとしては、細胞を含むが、VEGFを含まないウェル;細胞、陽性対照中和抗VEGF抗体及びVEGFを含むウェル;並びに細胞及びVEGFのみを含む対照ウェルが挙げられる。
細胞タイター96試薬をウェル当たり20μl添加することによって細胞生死を評価し、プレートを、褐色を帯びるまで37℃にて2〜4時間インキュベートする。10%(w/v)SDSをウェル当たり20μl添加することによって反応を停止させる。次いで、ワラクマイクロプレートリーダーを使用して、490nmの吸光度を読み取る。
VEGFを含まない対照ウェルの吸光度を他のすべての値から減算する。吸光度は、細胞数に比例する。対照抗VEGF抗体を含む対照ウェルは、最小細胞増殖をも示すはずである。VEGFのみを含むウェルは、最小細胞増殖を示すはずである。
d)VEGF活性に対するインビボ試験
抗VEGFポリペプチド構築物(単量体、多量体又は二重若しくは多重特異性)の効果を関節炎疾患のTg197遺伝子組換えマウスモデルで試験することも可能である。投与法及び採点は、基本的には、抗TNF−αポリペプチド構築物について記載したように行われる。
抗VEGFポリペプチド構築物(単量体、多量体又は二重若しくは多重特異性)の効果を関節炎疾患のTg197遺伝子組換えマウスモデルで試験することも可能である。投与法及び採点は、基本的には、抗TNF−αポリペプチド構築物について記載したように行われる。
4.クローン病の治療
本明細書に記載されている抗TNF−αポリペプチドを使用して、人間のクローン病を治療することが可能である。一実施形態において、本発明は、クローン病、又はTNF−αが関与する他の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法を提供する。該方法は、1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物を投与することを含み、該構築物のいずれかが、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、且つ/又はIBDのTnfΔARE遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると急性又は慢性炎症性腸スコアの増加を防止し、且つ/又はL929細胞傷害性試験におけるTNF−αを中和する。特に、クローン病又は他の炎症性腸疾患を治療する方法は、1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物を投与することを含み、該構築物は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、該組成物のTnfΔARE遺伝子組換えマウスに対する投与は、急性又は慢性炎症性腸スコアの増加を防止し、又は減少をもたらす。
本明細書に記載されている抗TNF−αポリペプチドを使用して、人間のクローン病を治療することが可能である。一実施形態において、本発明は、クローン病、又はTNF−αが関与する他の炎症性腸疾患(IBD)を治療する方法を提供する。該方法は、1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物を投与することを含み、該構築物のいずれかが、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、且つ/又はIBDのTnfΔARE遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると急性又は慢性炎症性腸スコアの増加を防止し、且つ/又はL929細胞傷害性試験におけるTNF−αを中和する。特に、クローン病又は他の炎症性腸疾患を治療する方法は、1つ又は複数の単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物を投与することを含み、該構築物は、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、該組成物のTnfΔARE遺伝子組換えマウスに対する投与は、急性又は慢性炎症性腸スコアの増加を防止し、又は減少をもたらす。
クローン病のTnfΔARE遺伝子組換えマウスモデルは、最初は、Kontoyiannisら、1999、Immunity 10:387−398に記載された。Kontoyiannisら、2002、J.Exp.Med.196:1563−1574も参照されたい。これらのマウスは、TNF−α mRNAの3’AUリッチ要素(ARE)に標的欠失変異を有する。AUリッチ要素は、低いmRNA安定性の維持に関与し、それらが崩壊すると、これらの動物にマウスTNF−αの過剰発現が生じる。それらの動物は、4週齢と8週齢の間に始まるクローン病と極めて類似したIBD表現型を生じる。基本的な組織病理学的特徴は、不均一の経壁炎症をもたらす、PMN/マクロファージ及びリンパ球浸出物が支配的な繊毛鈍化及び粘膜下炎症、並びにリンパ球凝集体及び痕跡的肉芽腫の外観を含む(Kontoyiannisら、2002、前出)。これらの動物は、関節炎表現型をも生じるため、RAにおける抗TNF−α治療の効果を個別的に評価するのに使用することも可能である。
処理がIBDを予防するその効果について評価される場合は、所定の抗体ポリペプチド構築物の最初の週間IP投与により、例えば3週齢から処理を開始する。ある程度、投与頻度は、初期試験の結果に応じて、当業者が選択することが可能である。次いで、Kontoyiannisら、2002、前出に記載されている標準スケールに従って動物を腸疾患について監視することが可能である。回腸のパラフィン埋込み腸組織を、以下のスケールに従ってブラインド的に組織学的に評価する。急性及び慢性炎症を最小限8のハイパワーフィールド(hpf)で以下のように評価する。急性炎症スコアでは、0=hpf当たり0〜1の多形核(PMN)細胞(PMN/hpf);1=2〜10PMN/hpf(粘膜内);2=11〜20PMN/hpf(粘膜内);3=21〜30PMN/hpf(粘膜内)又は11〜20PMN/hpf(粘膜筋板下の拡がり);及び4=>30PMN/hpf(軟膜内)又は>20(粘膜筋板下の拡がり)。慢性炎症スコアでは、0=hpf当たり0〜10の単核白血球(ML)(ML/hpf)(粘膜内);1=11〜20ML/hpf(粘膜内);2=21〜30ML/hpf(粘膜内)又は11〜20ML/hpf(粘膜筋板下の拡がり);3=31〜40ML/hpf(粘膜内)又は21〜30ML/hpf(粘膜筋板下の拡がり又は濾胞過形成);及び4=>40ML/hpf(粘膜内)、又は30ML/hpf(粘膜筋板下の拡がり又は濾胞過形成)。マウス毎の合計疾病スコアは、各マウスについて急性炎症又は慢性炎症スコアを加算することによって計算される。
確定された疾病に対する処理の効果を評価するために、生後6〜8ヶ月から処理を開始し、同様にして採点を行うことが可能である。
処理された動物において平均組織病理学的疾病スコアが、媒体対照グループより(統計的に有意な量だけ)低い場合に処理は有効であると見なされる。平均組織病理学的スコアが、媒体のみの対照グループと比べて、少なくとも0.5単位、少なくとも1.0単位、少なくとも1.5単位、少なくとも2.0単位、少なくとも2.5単位、少なくとも3.0単位、又は少なくとも3.5単位だけ低い場合にも処理は有効であると見なされる、或いは、平均組織病理学的スコアが、治療処置の過程を通じて0から0.5に維持又は低下される場合に、処理は有効である。
IBDの他のモデルは、例えば、BALB/cマウスにおける大腸炎のDSS(デキストラン硫酸ナトリウム)を含む。DSSモデルは、最初に、Okayasuら、1990、Gastroenterology 98:694−702に記載され、Kojouharoffら、1997、Clin Exp.Immunol.107:353−358によって改造された(参照により本明細書に組み込まれている、米国を指定するWO2004/041862号も参照されたい)。体重が21〜22gのBALB/cマウスを処理して、7日間の処理とDSSを含まない12日間の回復間隔のサイクルで、飲み水に5%w/vの濃度で含めたDSSを投与することによって慢性大腸炎を誘発する。より短い回復によってモデル化される急性状態ではなく、慢性炎症状態を示すために、4回目の回復期間を12から21日に延長することが可能である。最後の回復期間の後に、抗体ポリペプチド、例えば本明細書に記載されているTNF−αポリペプチドによる処理を行う。最初は週毎の投与が推奨されるが、(特に、半減期改変成分が異なる投与形態を評価するために)必要に応じて当業者が調整することが可能である。処理中に一定の間隔で、動物を殺し、腸を解剖し、本明細書、又はKojouharoffら、1997、前出に記載されているようにして組織病理学的スコアを評価する。
炎症性腸疾患の他の動物モデルは、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸の直腸滴下により誘発される慢性腸炎症を含む(TNBS:Neurathら、1995、J.Exp.Med.182:1281に記載されている方法;参照により本明細書に組み込まれている米国第6,764,838号も参照されたい)。上述したのと同じ基準を用いて、組織病理学的採点を実施することが可能である。
他の抗TNF−α剤との比較
本明細書に開示されるのは、RA、クローン病及び他のTNF−α媒介疾患の治療に有効なTNF−α dAb構築物である。一態様において、抗TNF−α dAb構築物の効果は、エタネルセプト(ENBREL)、インフリキシマブ(REMICADE)及びD2E7(HUMIRA;参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,090,382号参照)からなる群から選択される薬剤の効果以上である。
本明細書に開示されるのは、RA、クローン病及び他のTNF−α媒介疾患の治療に有効なTNF−α dAb構築物である。一態様において、抗TNF−α dAb構築物の効果は、エタネルセプト(ENBREL)、インフリキシマブ(REMICADE)及びD2E7(HUMIRA;参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,090,382号参照)からなる群から選択される薬剤の効果以上である。
ヒトIgG1(sTNFR(p75):Fc、ENBREL、イムネクス)のFc部に結合された可溶性ヒトTNFR(p75)の組換え型の臨床試験により、その投与がRA疾患活性を有意且つ迅速に低減させたことが示されている(Morelandら、1997、N.Eng.J.Med.、337:141−147)。加えて、TNFR(p75):Fcに対する小児科臨床試験からの予備安全性データは、この薬物は、一般的に、若年関節リウマチ(JRA)の患者に十分に許容されることを示している(Garrisonら、1998、Am.College of Rheumatology meeting、Nov.9,1998、abstract 584)。
上述したように、ENBRELは、ヒトIgG1のFc部に結合されたヒト75キロダルトン(p75)TNFR(GenBankアクセッション番号P20333)の細胞外リガンド結合部からなる二量体融合タンパク質である。ENBRELのFc成分は、CH2領域、CH3領域及びヒンジ領域を含有するが、IgG1のCH1領域を含有しない。ENBRELは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)哺乳類細胞発現系で生成される。それは、934のアミノ酸からなり、見かけの分子量は約150キロダルトンである(Smithら、1990、Science、248:1019−1023;Mohlerら、1993、J.Immunol.151:1548−1561;参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,395,760号(Immunex Corporation(ワシントン州Seattle所在));参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,605,690号(Immunex Corporation(ワシントン州Seattle所在))。
TNF−αに対して導かれるモノクローナル抗体(インフリキシマブ、REMICADE、セントコル)は、メトトレキセートとともに投与されてもメトトレキセートを伴わずに投与されても、RAの治療における臨床効果を実証した(Elliottら、1993、Arthritis Rheum、36:1681−1690;Elliottら、1994、Lancet、344:1105−1110)。これらのデータは、4、12及び26週目におけるパウルス(Paulus)20%及び50%基準の有意な低減を実証している。この処理は静脈内投与され、抗TNFモノクローナル抗体は、2ヶ月間の期間にわたって血中から消える。投与を繰り返すと、効果の持続期間が短くなるものと思われる。患者は、この治療の効果及び持続期間を制限する抗TNF抗体に対する抗体を生成することができる(Kavanaughら、1998、Rheum.Dis.Clim.、North Am.、24:593−614)。メトトレキセートをインフリキシマブと組み合わせて投与すると、抗インフリキシマブ抗体の発生を防止するのに役立つ(Mainiら、1998、Arthritis Rheum.、41:1552−1563)。インフリキシマブも炎症腸疾患クローン病の治療における臨床効果を実証した(Baertら、1999、Gastroenterology、116:22−28)。
背景のセクションで述べたように、インフリキシマブは、ヒトIgG4定常領域及びマウス可変領域を有するキメラモノクローナルIgG抗体である。インフリキシマブポリペプチドは、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,698,195号及び5,656,272号に記載されている。
これら又は他の抗TNF−α組成物との効果を比較するためには、抗TNF−α dAb構築物を既存の組成物と併用して、本明細書に記載された受容体結合試験、細胞ベースの試験及びインビボ試験のいずれかを実施すればよい。したがって、この手法は、試験のいずれかにおいて、比較組成物の効果と同等、又は(統計的に有意に)上回るTNF−αの効果を抑制する効果を示す抗TNF−α dAb構築物を識別する。同等又はより優れた効果を示す当該構築物及び分析の例を実施例に示す。
(実施例1)
ヒト血清アルブミン(HSA)及びβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)に対して導かれる二重特異性scFv抗体(K8)の選択
本実施例では、生殖系列(ダミー)VH領域に結合されたVK可変領域のレパートリーがp−galに対する結合について選択され、生殖系列(ダミー)VK領域に結合されたVH可変領域のレパートリーがHSAに対する結合について選択される、β−gal及びHSAに対して導かれる二重特異性リガンドの製造方法を説明する。次いで、選択された可変VH HSA及びVKβ−gal領域を合わせ、抗体をβ−gal及びHSAに対する結合について選択する。HSAは、ヒト血液に見られる半減期増加タンパク質である。
ヒト血清アルブミン(HSA)及びβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)に対して導かれる二重特異性scFv抗体(K8)の選択
本実施例では、生殖系列(ダミー)VH領域に結合されたVK可変領域のレパートリーがp−galに対する結合について選択され、生殖系列(ダミー)VK領域に結合されたVH可変領域のレパートリーがHSAに対する結合について選択される、β−gal及びHSAに対して導かれる二重特異性リガンドの製造方法を説明する。次いで、選択された可変VH HSA及びVKβ−gal領域を合わせ、抗体をβ−gal及びHSAに対する結合について選択する。HSAは、ヒト血液に見られる半減期増加タンパク質である。
この実験では、4つのヒトファージ抗体ライブラリーを使用した。
ライブラリー1 生殖系列VK/DVT VH 8.46×107
ライブラリー2 生殖系列VK/NNK VH 9.64×107
ライブラリー3 生殖系列VH/DVT VK 1.47×108
ライブラリー4 生殖系列VH/NNK VK 1.45×108
ライブラリー1 生殖系列VK/DVT VH 8.46×107
ライブラリー2 生殖系列VK/NNK VH 9.64×107
ライブラリー3 生殖系列VH/DVT VK 1.47×108
ライブラリー4 生殖系列VH/NNK VK 1.45×108
すべてのライブラリーは、側鎖多様性が相補性決定領域(CDR2及びCDR3)に導入された、VH(V3−23/DP47及びJH4b)及びVK(O12/O2/DPK9及びJK1)に対する単一ヒトフレームワークに基づいている。
ライブラリー1及びライブラリー2は、VK配列を含有するのに対して、VHの配列は、H50、H52、H52a、H53、H55、H56、H58、H95、H96、H97及びH98の位置において多様化されている(それぞれDVT又はNNKコードされる)(図1)。ライブラリー3及びライブラリー4は、VH配列を含有するのに対して、VKの配列は、L50、L53、L91、H92、H93、H94及びL96の位置において多様化されている(それぞれDVT又はNNKコードされる)(図1)。それらのライブラリーは、ファージミドpIT2/ScFv形式であり(図2)、未選択のライブラリーにおけるクローンの大多数が機能的になるように、汎用リガンド、すなわちタンパク質A及びタンパク質Lに対する結合について予め選択されている。上記のライブラリーのサイズは、予備選択の後のサイズに対応する。抗原についての選択に先だってライブラリー1とライブラリー2を混合して、単一VH/ダミーVKライブラリーを生成し、ライブラリー3とライブラリー4を混合して、単一VK/ダミーVHライブラリーを形成した。
VK/ダミーVHライブラリーを用いてβ−galについて3ラウンドの選択を行い、VH/ダミーVKライブラリーを用いてHSAについて3ラウンドの選択を行った。β−galの場合は、ファージ力価が、第1ラウンドの1.1×106から第3ラウンドの2.0×108に上昇した。HSAの場合は、ファージ力価が、第1ラウンドの2×104から第3ラウンドの1.4×109に上昇した。それらの選択は、(D2領域とD3領域の間にプロテアーゼ開裂を有するpIIIタンパク質を含有する)KM13ヘルパーファージを使用し、PBSに含めた1mg/mlトリプシンでファージを溶出したことを除いて、Griffithら、(1993)に記載されているようにして行われた。トリプシンを添加すると、ヘルパーファージから誘導されたpIIIタンパク質(ファージミドから誘導されたタンパク質ではない)が開裂され、c−mycタグ(図2)における開裂により結合scFvファージが溶出することによって、機能的scFvsを発現するファージがさらに富化し、対応してバックグラウンドが低減される(Kristensen & Winter、Folding & Design、3:321−328、Jul 9、1998)。HSA又はβ−galを100μg/mlの濃度で塗布したイムノチューブを使用して、選択を行った。
結合について調べるために、各選択の第3ラウンドからのコロニーをモノクローナルファージELISAによりスクリーニングした。Harrisonら、Methods Enzymol.、1996;267:83−109に記載されているようにしてファージ粒子を製造した。96ウェルELISAプレートに、OBSに含めた10μg/mlの濃度のHSA又はβ−gal100μlを4℃で一晩かけて塗布した。抗M13−HRP複合体による結合ファージの検出を用いて標準的なELISAプロトコルを実施した。クローンの選択により、50μlの上澄みとともに1.0を上回るELISAシグナルを与えた。
次に、QIAprepスピンミニプレップキット(Qiagen)を使用して、HSAについて選択されたVH/ダミーVKライブラリー、及びβ−galについて選択されたVK/ダミーVHライブラリーからDNAプレップを製造した。
多様性の大半を利用するために、DNAプレップを3ラウンドの選択の各々から製造し、次いで各々の抗原毎にまとめた。次いで、DNAプレップを37℃にて一晩SalI/NotIで消化させた。断片のゲル精製に続いて、β−galについて選択されたVK/ダミーVHライブラリーからのVK鎖を、HSAについて選択されたVH/ダミーVKライブラリーのダミーVK鎖の代わりに結合させて、3.3×109のクローンを作った。
次いで、このライブラリーをHSA(第1ラウンド)及びβ−gal(第2ラウンド)について選択し(HSA/β−gal選択)、又はβ−gal(第1ラウンド)及びHSA(第2のラウンド)について選択した(β−gal/HSA選択)。選択は、上述のように行われた。第2ラウンドの後のそれぞれの場合において、(上述の)モノクローナルファージELISA、及び可溶性scFv断片のELISAによってHSA及びβ−galに対する結合について48のクローンを試験した。Harrisonら、(1996)に記載されているようにして可溶性抗体断片を製造し、2%ツイーン/PBSをブロッキング緩衝液として使用し、タンパク質L−HRPで結合scFvsを検出することを除いて、標準的なELISAプロトコルを実施した(Hoogenboomら、(1991)、Nucleic Acids Res.、19:4133)。HSA/β−gal選択による3つのクローン(E4、E5及びE8)、及びβ−gal/HSA選択による2つのクローン(K8及びK10)は、両抗原を結合することが可能であった。これらのクローンからのscFvsをPCR増幅し、プライマーLMB3及びpHENseqを使用して、Ignatovichら、(1999)、J.Mol.Biol.1999 Nov.26;294(2):457−65に記載されているようにして配列させた。すべてのクローンが同一であることが配列分析により明らかになった。したがって、二重特異性抗体(K8)をコードする1つのクローンのみを次の試験に向けて選択した(図3)。
(実施例2)
K8抗体の結合特性の特徴付け
第1に、K8抗体の結合特性をモノクローナルファージELISAによって特徴付けた。96ウェルプレートに、アルカリリン酸塩(APS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ピーナッツ凝集素、リソザイム及びシトクロムc(交差反応検査用)とともに、PBSに含めた10μg/mlの濃度の100μlのHSA及びβ−gal10μg/mlを4℃にて一晩かけて塗布した。K8クローンからのファージミドをHarrisonら、(1996)に記載されているようにKM13で解放し、ファージを含有する上澄み(50μl)を直接試験した。抗M13−HRP複合体による結合ファージの検出を用いて、標準的なELISAプロトコルを実施した(Hoogenboomら、1991)。二重特異性K8抗体は、1.0を上回る吸収シグナルによりファージの表面に表示されると、HSA及びβ−galに結合することが確認された(図4)。BSAに対する強い結合も観察された(図4)。
K8抗体の結合特性の特徴付け
第1に、K8抗体の結合特性をモノクローナルファージELISAによって特徴付けた。96ウェルプレートに、アルカリリン酸塩(APS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ピーナッツ凝集素、リソザイム及びシトクロムc(交差反応検査用)とともに、PBSに含めた10μg/mlの濃度の100μlのHSA及びβ−gal10μg/mlを4℃にて一晩かけて塗布した。K8クローンからのファージミドをHarrisonら、(1996)に記載されているようにKM13で解放し、ファージを含有する上澄み(50μl)を直接試験した。抗M13−HRP複合体による結合ファージの検出を用いて、標準的なELISAプロトコルを実施した(Hoogenboomら、1991)。二重特異性K8抗体は、1.0を上回る吸収シグナルによりファージの表面に表示されると、HSA及びβ−galに結合することが確認された(図4)。BSAに対する強い結合も観察された(図4)。
HSAとBSAはアミノ酸レベルで76%の相同性を有するため、K8抗体が、これらの構造的に関連したタンパク質の両方を認識したことは意外なことではない。他のタンパク質との交差反応は検出されなかった(図4)。
第2に、K8抗体の結合特性を可溶性scFv ELISAで試験した。
Harrisonら、(1996)に記載されているように、IPTGにより可溶性scFv断片の生成を誘発した。K8scFvの発現レベルを測定するために、Harlow及びLane、Antibodies:a Laboratory Manual、(1988)、Cold Spring Harborに記載されているように、タンパク質Aセファロースカラムを使用して、50ml誘導物の上澄みから可溶性抗体断片を精製した。次いで、OD280を測定し、Sambrookら、(1989)に記載されているようにしてタンパク質濃度を計算した。K8scFvを上澄みに19mg/lの濃度で生成させた。
次いで、知られている濃度のK8抗体断片を使用して、可溶性scFv ELISAを実施した。96ウェルプレートに、10μg/mlの濃度の100μlのHSA、BSA及びβ−gal、及び1μg/mlの濃度のタンパク質Aを塗布した。K8scFvの連続希釈液を50μl塗布し、結合抗体断片をタンパク質L−HRPで検出した。ELISA結果により、K8抗体の二重特異性が確認された(図5)。
β−galに対する結合はVK領域により決定づけられ、HAS/BSAに対する結合はK8scFv抗体のVH領域によって決定づけられることを確認するために、SalI/NotI消化によりVK領域をK8scFv DNAから切り出し、ダミーVH鎖を含有するSalI/NotI消化pIT2ベクターに結合させた(図1及び2)。得られたクローンK8VK/ダミーVHの結合特性を可溶性scFv ELISAによって分析した。Harrisonら、(1996)に記載されているように、IPTGにより可溶性scFv断片の生成を誘発し、scFvsを含有する上澄み(50μl)を直接試験した。実施例1に記載されているようにして可溶性scFv ELISAを実施し、scFvsをタンパク質L−HRPで検出した。ELISA結果により、このクローンはβ−galを結合することが可能であるのに対して、BSAに対する結合は消滅した(図6)。
(実施例3)
単一VH領域抗体抗原A及びB、並びに抗原C及びDに対して導かれる単一VK領域抗体の選択
本実施例では、抗原A及びBに対して導かれる単一VH領域抗体、並びに抗原C及びDに対して導かれる単一VK領域抗体を、相補的可変領域の不在下におけるこれらの抗原に対する結合についてナイーブな単一抗体可変領域のレパートリーを選択することによって製造するための方法を説明する。
単一VH領域抗体抗原A及びB、並びに抗原C及びDに対して導かれる単一VK領域抗体の選択
本実施例では、抗原A及びBに対して導かれる単一VH領域抗体、並びに抗原C及びDに対して導かれる単一VK領域抗体を、相補的可変領域の不在下におけるこれらの抗原に対する結合についてナイーブな単一抗体可変領域のレパートリーを選択することによって製造するための方法を説明する。
結合クローンの選択及び特徴付けを先述のようにして行う(実施例5、PCT/GB02/003014参照)。以下の4つのクローンをさらなる試験に向けて選択する。
VH1−抗AVH
VH2−抗BVH
VK1−抗CVK
VK2−抗DVK
VH1−抗AVH
VH2−抗BVH
VK1−抗CVK
VK2−抗DVK
実施例1〜3に記載された手順を同様に実施して、VH領域(すなわちVHリガンド)の組合せと、VL領域(VL−VLリガンド)の組合せとを含む二量体分子を生成することができる。
(実施例4)
二重特異性ScFv抗体(抗原A及びBに対して導かれるVH1/VH2、及び抗原C及びDに対して導かれるVK1/VK2の作製及び特徴付け)
本実施例では、ScFvベクターにおけるそれぞれの抗原に対して選択されたVK及びVH単一領域を組み合わせることによって、二重特異性ScFv抗体(抗原A及びBに対して導かれたVH1/VH2、及び抗原C及びDに対して導かれるVK1/VK2)を作ることが可能であることを実証する。二重特異性抗体VH1/VH2を作るために、VH1単一領域をNcoI/XhoI消化により可変領域ベクター1(図7)から切除し、NcoI/XhoI消化可変領域ベクター2(図7)に結合させて、VH1/可変領域ベクター2を作る。プライマーを使用して、VH2単一領域を可変領域ベクターからPCR増幅して、SalI制限部位を5’末端に導入し、NotI制限部位を3’末端に導入する。次いで、PCR生成物をSalI/NotIで消化し、SalI/NotI消化VH1/可変領域ベクター2に結合させて、VH1/VH2/可変領域ベクター2を作る。
二重特異性ScFv抗体(抗原A及びBに対して導かれるVH1/VH2、及び抗原C及びDに対して導かれるVK1/VK2の作製及び特徴付け)
本実施例では、ScFvベクターにおけるそれぞれの抗原に対して選択されたVK及びVH単一領域を組み合わせることによって、二重特異性ScFv抗体(抗原A及びBに対して導かれたVH1/VH2、及び抗原C及びDに対して導かれるVK1/VK2)を作ることが可能であることを実証する。二重特異性抗体VH1/VH2を作るために、VH1単一領域をNcoI/XhoI消化により可変領域ベクター1(図7)から切除し、NcoI/XhoI消化可変領域ベクター2(図7)に結合させて、VH1/可変領域ベクター2を作る。プライマーを使用して、VH2単一領域を可変領域ベクターからPCR増幅して、SalI制限部位を5’末端に導入し、NotI制限部位を3’末端に導入する。次いで、PCR生成物をSalI/NotIで消化し、SalI/NotI消化VH1/可変領域ベクター2に結合させて、VH1/VH2/可変領域ベクター2を作る。
同様にして、VK1/VK2/可変領域ベクター2を作る。生成されたVH1/VH2ScFv及びVK1/VK2ScFvの二重特異性を先述したように可溶性ScFv ELISAで試験する(実施例6、PCT/GB02/003014参照)。先述のように競合ELISAを実施する(実施例8、PCT/GB02/003014参照)。
予想される結果
−VH1/VH2 ScFvは、抗原A及びBを同時に結合することができる。
−VK1/VK2 ScFvは、抗原C及びDを同時に結合することができる。
−VH1/VH2 ScFv結合は競合的である(抗原Aに結合すると、VH1/VH2 ScFvは、抗原Bを結合することができない)。
−VK1/VK2 ScFv結合は競合的である(抗原Cに結合すると、VK1/VK2 ScFvは、抗原Dを結合することができない)。
−VH1/VH2 ScFvは、抗原A及びBを同時に結合することができる。
−VK1/VK2 ScFvは、抗原C及びDを同時に結合することができる。
−VH1/VH2 ScFv結合は競合的である(抗原Aに結合すると、VH1/VH2 ScFvは、抗原Bを結合することができない)。
−VK1/VK2 ScFv結合は競合的である(抗原Cに結合すると、VK1/VK2 ScFvは、抗原Dを結合することができない)。
(実施例5)
二重特異性VH1/VH2 Fabの構成、及びそれらの結合特性の分析
VH1/VH2 Fabを作るために、VH1単一領域をNcoI/XhoI消化CHベクター(図8)に結合させて、VH1/CHを作り、VH2単一領域をSalI/NotI消化CKベクター(図9)に結合させて、VH2/CKを作る。VH1/CH及びVH2/CKからのプラスミドを使用して、先述のように競合大腸菌細胞を同時形質転換する(実施例8、PCT/GB02/003014参照)。
二重特異性VH1/VH2 Fabの構成、及びそれらの結合特性の分析
VH1/VH2 Fabを作るために、VH1単一領域をNcoI/XhoI消化CHベクター(図8)に結合させて、VH1/CHを作り、VH2単一領域をSalI/NotI消化CKベクター(図9)に結合させて、VH2/CKを作る。VH1/CH及びVH2/CKからのプラスミドを使用して、先述のように競合大腸菌細胞を同時形質転換する(実施例8、PCT/GB02/003014参照)。
次いで、先述のように可溶性VH1/VH2 Fabを生成するように、VH1/CH及びVH2/CKプラスミドを含有するクローンをIPTGにより誘発する(実施例8、PCT/GB02/003014参照)。
同様にして、VK1/VK2 Fabを生成する。
先述のように、生成されたFabの結合特性を競合ELISAによって試験する(実施例8、PCT/GB02/003014参照)。
予想される結果
−VH1/VH2 Fabは、抗原A及びBを同時に結合することができる。
−VK1/VK2 Fabは、抗原C及びDを同時に結合することができる。
−VH1/VH2 Fab結合は競合的である(抗原Aに結合すると、VH1/VH2 Fabは、抗原Bを結合することができない)。
−VK1/VK2 Fab結合は競合的である(抗原Cに結合すると、VK1/VK2 Fabは、抗原Dを結合することができない)。
−VH1/VH2 Fabは、抗原A及びBを同時に結合することができる。
−VK1/VK2 Fabは、抗原C及びDを同時に結合することができる。
−VH1/VH2 Fab結合は競合的である(抗原Aに結合すると、VH1/VH2 Fabは、抗原Bを結合することができない)。
−VK1/VK2 Fab結合は競合的である(抗原Cに結合すると、VK1/VK2 Fabは、抗原Dを結合することができない)。
(実施例6)
キレート化dAb二量体
概要
柔軟ポリペプチドリンカーを使用して、dAb−リンカー−dAb形式のVH及びVKホモ二量体を作る。長さの異なるグリシン−セリンリンカー3U:(Gly4Ser)3、5U:(Gly4Ser)5、7U:(Gly4Ser)7を含有するdAbリンカー−dAb形式のベクターを作った。リンカーの上流の案内dAbsを使用して二量体ライブラリー、すなわちTAR1−5(VK)、5TAR1−27(VK)、TAR2−5(VH)又はTAR2−6(VK)、及びリンカーの後の対応する第2のdAbsのライブラリーを作った。この方法を用いて、新規の二量体dAbsを選択した。抗原結合に対する二量化の効果をELISA及びBIAcore試験、並びに細胞中和及び受容体結合試験で測定した。TAR1−5及びTAR1−27の両方を二量化することにより、結合親和性及び中和レベルが有意に向上した。
キレート化dAb二量体
概要
柔軟ポリペプチドリンカーを使用して、dAb−リンカー−dAb形式のVH及びVKホモ二量体を作る。長さの異なるグリシン−セリンリンカー3U:(Gly4Ser)3、5U:(Gly4Ser)5、7U:(Gly4Ser)7を含有するdAbリンカー−dAb形式のベクターを作った。リンカーの上流の案内dAbsを使用して二量体ライブラリー、すなわちTAR1−5(VK)、5TAR1−27(VK)、TAR2−5(VH)又はTAR2−6(VK)、及びリンカーの後の対応する第2のdAbsのライブラリーを作った。この方法を用いて、新規の二量体dAbsを選択した。抗原結合に対する二量化の効果をELISA及びBIAcore試験、並びに細胞中和及び受容体結合試験で測定した。TAR1−5及びTAR1−27の両方を二量化することにより、結合親和性及び中和レベルが有意に向上した。
1.0 方法
1.1 ライブラリー生成
1.1.1 ベクター
pEDA3U、pEDA5U及びpEDA7Uベクターを、dAb−リンカー−dAb形式に適合する異なるリンカー長を導入するように設計した。pEDA3Uについては、センス及びアンチセンス73塩基対オリゴリンカーを、0.1MのNaCl、10mMのトリスHClを含有する緩衝剤(pH7.4)中で低速アニーリングプログラム(95℃−5分、80℃−10分、70℃−15分、56℃−15分、使用まで42℃)を用いてアニールし、XhoI及びNotI制限部位を使用してクローン化した。
1.1 ライブラリー生成
1.1.1 ベクター
pEDA3U、pEDA5U及びpEDA7Uベクターを、dAb−リンカー−dAb形式に適合する異なるリンカー長を導入するように設計した。pEDA3Uについては、センス及びアンチセンス73塩基対オリゴリンカーを、0.1MのNaCl、10mMのトリスHClを含有する緩衝剤(pH7.4)中で低速アニーリングプログラム(95℃−5分、80℃−10分、70℃−15分、56℃−15分、使用まで42℃)を用いてアニールし、XhoI及びNotI制限部位を使用してクローン化した。
リンカーは、3つの(Gly4Ser)(配列番号7)単位、及びSalI及びNotIクローニング部位の間に収容されたスタッファ領域を包含していた(スキーム1)。単量体dAbsがファージディスプレイについて選択される可能性を低減するために、3つの停止コドン、SacI制限部位、及び第2のdAbが存在しないときに領域を枠から除外する枠シフト変異を含むように、スタッファ領域を設計した。pEDA5U及び7Uについては、必要とされるリンカーの長さにより、重複するオリゴ−リンカーをベクター毎に設計し、アニールし、クレノウを用いて伸長した。次いで、断片を精製し、適切な酵素を使用して消化させてから、XhoI及びNotI制限部位を使用してクローニングを行った。
1.1.2 ライブラリー調製
NcoI及びXhoI制限部位を使用して、案内dAbに対応するN末端V遺伝子をリンカーの上流でクローン化した。VH遺伝子は既存の適合部位を有するが、VK遺伝子をクローン化するには、好適な制限部位の導入が必要であった。これは、SuperTaq(HTBiotechnology Ltd)とpfuターボ(Stratagene)の2:1の混合物を使用する30サイクルのPCR増幅で修飾PCRプライマー(VK−DLIBF:5’cggccatggcgtcaacggacat−3’;VKXhoIR:5’atgtgcgctcgagcgtttgattt−3’)を使用することによって達成される。これによって、5NcoI部位が5’末端に維持される一方、隣接するSalI部位が破壊され、XhoI部位が3’末端に導入された。5つの案内dAbsを3つの二量体ベクターの各々にクローニングした(TAR1−5(VK)、TAR1−27(VK)、TAR2−5(VH)、TAR2−6(VK)及びTAR2−7(VK))。配列解析によってすべての構築物を検証した。
NcoI及びXhoI制限部位を使用して、案内dAbに対応するN末端V遺伝子をリンカーの上流でクローン化した。VH遺伝子は既存の適合部位を有するが、VK遺伝子をクローン化するには、好適な制限部位の導入が必要であった。これは、SuperTaq(HTBiotechnology Ltd)とpfuターボ(Stratagene)の2:1の混合物を使用する30サイクルのPCR増幅で修飾PCRプライマー(VK−DLIBF:5’cggccatggcgtcaacggacat−3’;VKXhoIR:5’atgtgcgctcgagcgtttgattt−3’)を使用することによって達成される。これによって、5NcoI部位が5’末端に維持される一方、隣接するSalI部位が破壊され、XhoI部位が3’末端に導入された。5つの案内dAbsを3つの二量体ベクターの各々にクローニングした(TAR1−5(VK)、TAR1−27(VK)、TAR2−5(VH)、TAR2−6(VK)及びTAR2−7(VK))。配列解析によってすべての構築物を検証した。
ベクター(pEDA3U、5U及び7U)の各々におけるリンカーの上流の案内dAbsをクローニングすると(TAR1−5(VK)、TAR1−27(VK)、TAR2−5(VH)又はTAR2−6(VK))、対応する第2のdAbsのライブラリーをリンカーの後にクローニングした。これを達成するために、TAR1−5又はTAR1−27が案内dAbsであるときはヒトTNF−αに対するVKライブラリー(ラウンド1後は約1×106の多様性)、或いはTAR2−5又はTAR2−6がそれぞれ案内dAbsであるときはヒトp55TNF受容体に対するVH又はVKライブラリー(いずれもラウンド1後は約1×105の多様性)のラウンド1の選択から回収されたファージから相補的dAbライブラリーをPCR増幅した。VKライブラリーについては、SuperTaqとpfuターボの2:1の混合物を使用する30サイクルのPCR増幅でプライマーを使用してPCR増幅を実施した。SalI制限部位を遺伝子の5’末端に導入するために、プライマーを使用してVHライブラリーをPCR増幅した。dAbライブラリーPCRを適切な制限酵素で消化し、SalI/NotI制限部位を使用してリンカーの下流の対応するベクターに結合させ、新たに調製した競合TG1細胞に電気穿孔した。
1.2 選択
1.2.1 TNF−α
イムノチューブに受動的に塗布されたヒトTNFaを使用して選択を実施した。手短に述べると、1〜4mlの必要な抗原を一晩かけてイムノチューブに塗布した。次いで、イムノチューブをPBSで3回洗浄し、PBSに含めた2%ミルク粉末で1〜2時間にわたって遮断し、PBSでさらに3回洗浄した。ファージ溶液をPBSに含めた2%ミルク粉末で希釈し、室温にて2時間インキュベートする。次いで、チューブをPBSで洗浄し、ファージを1mg/mlトリプシン−PBSで溶出させる。TAR1−5二量体ライブラリーに対する3つの選択手法を調べた。イムノチューブにおいて、1μg/ml又は20μg/mlの濃度で塗布されたヒトTNFaを使用し、PBS0.1%ツイーンで20回洗浄して、第1ラウンドの選択を行った。TG1細胞を溶出したファージで感染させ、力価を求める(例えば、Marksら、J Mol Biol.、1991、Dec 5;222(3):581−97、Richmannら、Biochemistry.、1993、Aug 31;32(34):8848−55)。
1.2.1 TNF−α
イムノチューブに受動的に塗布されたヒトTNFaを使用して選択を実施した。手短に述べると、1〜4mlの必要な抗原を一晩かけてイムノチューブに塗布した。次いで、イムノチューブをPBSで3回洗浄し、PBSに含めた2%ミルク粉末で1〜2時間にわたって遮断し、PBSでさらに3回洗浄した。ファージ溶液をPBSに含めた2%ミルク粉末で希釈し、室温にて2時間インキュベートする。次いで、チューブをPBSで洗浄し、ファージを1mg/mlトリプシン−PBSで溶出させる。TAR1−5二量体ライブラリーに対する3つの選択手法を調べた。イムノチューブにおいて、1μg/ml又は20μg/mlの濃度で塗布されたヒトTNFaを使用し、PBS0.1%ツイーンで20回洗浄して、第1ラウンドの選択を行った。TG1細胞を溶出したファージで感染させ、力価を求める(例えば、Marksら、J Mol Biol.、1991、Dec 5;222(3):581−97、Richmannら、Biochemistry.、1993、Aug 31;32(34):8848−55)。
第2ラウンドの選択を、3つの異なる方法を用いて行った。
1.イムノチューブにおいて、20回洗浄し、一晩インキュベートした後に、さらに10回洗浄する。
2.イムノチューブにおいて、20回洗浄した後に、(1μg/mlのTNF−α)とともに室温にて洗浄緩衝液中で1時間インキュベートし、さらに10回洗浄する。
3.33ピコモルのビオチン化ヒトTNF−αを使用するストレプトアビジンビーズについての選択(Henderikxら、2002、「ビオチン化抗原に対する抗体の選択。抗体ファージディスプレイ:方法及びプロトコル(Selection of antibodies against biotinylated antigens.Antibody Phage Display:Methods and protocols)」O’Brien and Atkin編、Humana Perss)。ラウンド2の選択からの単一クローンを96ウェルプレートに集め、2ml96ウェルプレート形式で粗上澄みプレップを作製した。
1.イムノチューブにおいて、20回洗浄し、一晩インキュベートした後に、さらに10回洗浄する。
2.イムノチューブにおいて、20回洗浄した後に、(1μg/mlのTNF−α)とともに室温にて洗浄緩衝液中で1時間インキュベートし、さらに10回洗浄する。
3.33ピコモルのビオチン化ヒトTNF−αを使用するストレプトアビジンビーズについての選択(Henderikxら、2002、「ビオチン化抗原に対する抗体の選択。抗体ファージディスプレイ:方法及びプロトコル(Selection of antibodies against biotinylated antigens.Antibody Phage Display:Methods and protocols)」O’Brien and Atkin編、Humana Perss)。ラウンド2の選択からの単一クローンを96ウェルプレートに集め、2ml96ウェルプレート形式で粗上澄みプレップを作製した。
TAR1−27については、以下の変更を加えて、先述したように選択を行った。イムノチューブにおいて、1μg/ml又は20μg/mlの濃度で塗布されたヒトTNF−αを使用し、PBS0.1%ツイーンで20回洗浄して、第1ラウンドの選択を行った。イムノチューブにおいて、20回洗浄して、一晩インキュベートした後に、さらに20回洗浄して、第2ラウンドの選択を行った。ラウンド2の選択による単一クローンを96ウェルプレートに集め、2ml96ウェルプレート形式で粗上澄みプレップを作製した。
1.2.2 TNF受容体1(p55受容体;TAR2)
TAR2h−5ライブラリーのみについて、先述のように選択を実施した。イムノチューブにおいて、1μg/mlのヒトp55TNF受容体又は10μg/mlのヒトp55TNF受容体を使用し、PBS0.1%ツイーンで20回洗浄して、一晩インキュベートした後にさらに20回洗浄して、第3ラウンドの選択を行った。ラウンド2及び3の選択による単一クローンを96ウェルプレートに集め、2ml96ウェルプレート形式で粗上澄みプレップを作製した。
TAR2h−5ライブラリーのみについて、先述のように選択を実施した。イムノチューブにおいて、1μg/mlのヒトp55TNF受容体又は10μg/mlのヒトp55TNF受容体を使用し、PBS0.1%ツイーンで20回洗浄して、一晩インキュベートした後にさらに20回洗浄して、第3ラウンドの選択を行った。ラウンド2及び3の選択による単一クローンを96ウェルプレートに集め、2ml96ウェルプレート形式で粗上澄みプレップを作製した。
1.3 スクリーニング
ラウンド2又は3の選択による単一クローンを、適宜異なる選択方法による3U、5U及び7Uライブラリーの各々から採取した。クローンを、100μg/mlのアンピシリン及び1%グルコースを含む2×TYで37℃にて一晩成長させた。この培養物の1/100希釈物を、2ml96ウェルプレート形式で、100μg/mlのアンピシリン及び0.1%グルコースを含む2mlの2×TYに接種し、OD600が約0.9になるまで振とうしながら37℃で成長させた。次いで、1mMのIPTGにより30℃にて一晩培養を促進させた。
ラウンド2又は3の選択による単一クローンを、適宜異なる選択方法による3U、5U及び7Uライブラリーの各々から採取した。クローンを、100μg/mlのアンピシリン及び1%グルコースを含む2×TYで37℃にて一晩成長させた。この培養物の1/100希釈物を、2ml96ウェルプレート形式で、100μg/mlのアンピシリン及び0.1%グルコースを含む2mlの2×TYに接種し、OD600が約0.9になるまで振とうしながら37℃で成長させた。次いで、1mMのIPTGにより30℃にて一晩培養を促進させた。
Sorvalプレート遠心分離機にて、4000rpmで15分間遠心分離することにより上澄みを透明にした。上澄みプレップを最初のスクリーニングに使用した。
1.3.1 ELISA
タンパク質A/L ELISA又は抗原ELISAによって、二量体組換えタンパク質の結合活性を単量体と比較した。手短に述べると、96ウェルプレートに抗原又はタンパク質A/Lを塗布し、4℃にて一晩置いた。プレートを0.05%ツイーン−PBSで洗浄し、2時間にわたって2%ツイーン−PBSで遮断する。試料をプレートに添加し、室温にて1時間インキュベートする。プレートを洗浄し、二次試薬とともに室温にて1時間インキュベートする。プレートを洗浄し、TMB基質を展開する。タンパク質A/L HRP又はインディア−HRPを二次試薬として使用した。抗原ELISAについては、用いた抗原濃度は、ヒトTNFa及びヒトTNF受容体1に対してPBS中1μg/mlであった。案内dAbの存在により、たいていの場合は、二量体は、ELISAシグナルを与えたため、オフレート測定をBIAcoreによって考察した。
タンパク質A/L ELISA又は抗原ELISAによって、二量体組換えタンパク質の結合活性を単量体と比較した。手短に述べると、96ウェルプレートに抗原又はタンパク質A/Lを塗布し、4℃にて一晩置いた。プレートを0.05%ツイーン−PBSで洗浄し、2時間にわたって2%ツイーン−PBSで遮断する。試料をプレートに添加し、室温にて1時間インキュベートする。プレートを洗浄し、二次試薬とともに室温にて1時間インキュベートする。プレートを洗浄し、TMB基質を展開する。タンパク質A/L HRP又はインディア−HRPを二次試薬として使用した。抗原ELISAについては、用いた抗原濃度は、ヒトTNFa及びヒトTNF受容体1に対してPBS中1μg/mlであった。案内dAbの存在により、たいていの場合は、二量体は、ELISAシグナルを与えたため、オフレート測定をBIAcoreによって考察した。
1.3.2 BIAcore
BIAcore分析をTAR1−5及びTAR2h−5クローンに対して実施した。スクリーニングのために、ヒトTNF−αを高密度(約10000RU)でCM5チップに結合した。
BIAcore分析をTAR1−5及びTAR2h−5クローンに対して実施した。スクリーニングのために、ヒトTNF−αを高密度(約10000RU)でCM5チップに結合した。
50μlのヒトTNFa(50μg/ml)を、酢酸緩衝液(pH5.5)において5μl/minでチップに結合した。標準的な方法を用いた分析に続くチップの再生は、ヒトTNF−αの不安定性により可能ではない。したがって、各試料を分析した後に、チップを緩衝液で10分間洗浄した。
TAR1−5については、ラウンド2の選択によるクローン上澄みをBIAcoreによってスクリーニングした。以下の選択方法を用いて、3U、5U及び7Uライブラリーの各々から48のクローンをスクリーニングした。
R1:1μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、R2 1μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、一晩洗浄。
R1:20μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、R2 20μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、一晩洗浄。
R1:1μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、R2 ビーズ上の33ピコモルビオチン化ヒトTNF−α
R1:20μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、R2 ビーズ上の33ピコモルビオチン化ヒトTNF−α
R1:1μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、R2 1μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、一晩洗浄。
R1:20μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、R2 20μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、一晩洗浄。
R1:1μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、R2 ビーズ上の33ピコモルビオチン化ヒトTNF−α
R1:20μg/mlヒトTNF−αイムノチューブ、R2 ビーズ上の33ピコモルビオチン化ヒトTNF−α
スクリーニングのために、ヒトp55TNF受容体をCM5チップに高密度(約4000RU)で結合した。100μlのヒトp55TNF受容体(10 10μg/ml)を酢酸緩衝液(pH5.5)において5μl/minでチップに結合した。標準的な再生条件(グリシンpH2又はpH3)を検討したが、それぞれの場合において、抗原をチップの表面から除去したため、TNF−αについては、各試料を分析した後で、チップを緩衝液で10分間洗浄した。
TAR2−5については、ラウンド選択によるクローン上澄みをスクリーニングした。
以下の選択方法を用いて、3U、5U及び7Uの各々から48のクローンをスクリーニングした。
R1:1μg/mlヒトp55TNF受容体イムノチューブ、R2 1μg/mlヒトp55TNF受容体イムノチューブ、一晩洗浄。
R1:10μg/mlヒトp55TNF受容体イムノチューブ、R2 10μg/mlヒトp55TNF受容体イムノチューブ、一晩洗浄。
R1:1μg/mlヒトp55TNF受容体イムノチューブ、R2 1μg/mlヒトp55TNF受容体イムノチューブ、一晩洗浄。
R1:10μg/mlヒトp55TNF受容体イムノチューブ、R2 10μg/mlヒトp55TNF受容体イムノチューブ、一晩洗浄。
1.3.3 受容体及び細胞試験
受容体試験における二量体の中和する能力を以下のように誘導した。
受容体結合
組換えTNF受容体1(p55)に対するTNFの結合を抑制する能力について抗TNF dAbを試験した。手短に述べると、Maxisorpプレートを30mg/mlの抗ヒトFcマウスモノクローナル抗体(Zymed(米国San Francisco所在))とともに一晩インキュベートした。ウェルを、0.05%ツイーン20を含有するリン酸緩衝塩(PBS)で洗浄し、次いでPBSに含めた1%BSAで遮断してから、100ng/mlのTNF受容体1Fc融合タンパク質(R&D Systems(米国Minneapolis所在))とともにインキュベートした。抗TNF dAbをTNFと混合し、洗浄したウェルに最終濃度が10ng/mlになるように添加した。TNF結合を0.2mg/mlビオチン化抗TNF抗体(HyCult biotechnology(オランダUben所在))で検出した後に、ホースラディッシュペルオキシダーゼタグストレプトアビジン(Amersham Biosciences(英国))で1:500に希釈し、次いでTMB基質(KPL(米国Gaithersburg所在))とともにインキュベートした。HClを添加することによって反応を停止させ、450nmの吸光度を読み取った。抗TNF dAb活性は、TNF結合の低下をもたらしたため、TNFのみの対照と比較して吸光度が低下していた。
受容体試験における二量体の中和する能力を以下のように誘導した。
受容体結合
組換えTNF受容体1(p55)に対するTNFの結合を抑制する能力について抗TNF dAbを試験した。手短に述べると、Maxisorpプレートを30mg/mlの抗ヒトFcマウスモノクローナル抗体(Zymed(米国San Francisco所在))とともに一晩インキュベートした。ウェルを、0.05%ツイーン20を含有するリン酸緩衝塩(PBS)で洗浄し、次いでPBSに含めた1%BSAで遮断してから、100ng/mlのTNF受容体1Fc融合タンパク質(R&D Systems(米国Minneapolis所在))とともにインキュベートした。抗TNF dAbをTNFと混合し、洗浄したウェルに最終濃度が10ng/mlになるように添加した。TNF結合を0.2mg/mlビオチン化抗TNF抗体(HyCult biotechnology(オランダUben所在))で検出した後に、ホースラディッシュペルオキシダーゼタグストレプトアビジン(Amersham Biosciences(英国))で1:500に希釈し、次いでTMB基質(KPL(米国Gaithersburg所在))とともにインキュベートした。HClを添加することによって反応を停止させ、450nmの吸光度を読み取った。抗TNF dAb活性は、TNF結合の低下をもたらしたため、TNFのみの対照と比較して吸光度が低下していた。
マウスL929線維芽細胞に対するTNFの細胞傷害性活性を中和する能力についてのL929細胞傷害性試験抗TNF dAbの試験も行った(Evans、T.(2000)、Molecular Biotechnology、15、243−248)。手短に述べると、ミクロタイタプレートに仕込まれたL929細胞を抗TNF dAb、100pg/mlのTNF及び1mg/mlのアクチノマイシンD(Sigma(英国Poole所在))とともに一晩インキュベートした。[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム(Promega(米国Madison所在))とともにインキュベートした後に、490nmの吸光度を読み取ることによって細胞生死判別の測定を行った。抗TNF dAb活性は、TNF細胞傷害性の低下をもたらしたため、TNFのみの対照と比較して吸光度が増加していた。
初期スクリーニングにおいて、上述のBIAcore分析のために調製された上澄みも受容体試験に使用した。受容体及び細胞試験において、精製されたタンパク質を使用して、選択された二量体のさらなる分析を実施した。
HeLa IL−8試験
HeLa細胞におけるTNFによるIL−8分泌の誘導を中和する能力について、抗TNFR1又は抗TNFαdAbsを試験した(HUVECにおけるIL−1によるIL−8の誘導について記載しているAkeson,L.ら、(1996)、Journal of Biological Chemistry、271、30517−30523の方法から採用した方法;ここでは、ヒトTNFαによる誘導を検討し、HUVEC細胞系の代わりにHeLa細胞を使用する)。手短に述べると、マイクロタイタプレートに仕込んだHeLa細胞をdAb及び300pg/mlのTNFとともに一晩インキュベートした。インキュベート後、上澄みを細胞から吸い出し、サンドイッチELISA(R&D Systems)を介してIL−8濃度を測定した。抗TNFR1 dAb活性は、TNFのみの対照と比較して、上澄みへのIL−8分泌の低下をもたらした。
HeLa細胞におけるTNFによるIL−8分泌の誘導を中和する能力について、抗TNFR1又は抗TNFαdAbsを試験した(HUVECにおけるIL−1によるIL−8の誘導について記載しているAkeson,L.ら、(1996)、Journal of Biological Chemistry、271、30517−30523の方法から採用した方法;ここでは、ヒトTNFαによる誘導を検討し、HUVEC細胞系の代わりにHeLa細胞を使用する)。手短に述べると、マイクロタイタプレートに仕込んだHeLa細胞をdAb及び300pg/mlのTNFとともに一晩インキュベートした。インキュベート後、上澄みを細胞から吸い出し、サンドイッチELISA(R&D Systems)を介してIL−8濃度を測定した。抗TNFR1 dAb活性は、TNFのみの対照と比較して、上澄みへのIL−8分泌の低下をもたらした。
以下の実験の全体を通してL929試験を用いる。しかし、抗TNF受容体1(p55)リガンドを測定するには、HeLa IL−8試験を用いるのが好ましい。L929試験におけるマウスp55の存在が、その使用の確定的な制限要因である。
1.4 配列分析
BIAcore及び受容体試験スクリーニングにおいて興味深い特性を有することが証明された二量体を配列させた。配列は、以下の配列表、図面及び実施例に詳述されている。
BIAcore及び受容体試験スクリーニングにおいて興味深い特性を有することが証明された二量体を配列させた。配列は、以下の配列表、図面及び実施例に詳述されている。
1.5 設定
1.5.1 TAR1−5−19二量体
良好な中和特性を有することが示されたTAR1−5二量体を再設定し、細胞及び受容体試験で分析した。TAR1−5案内dAbを親和性成熟クローンTAR1−5−19で置換した。これを達成するために、TAR1−5を個々の二量体対からクローンし、PCRによって増幅されたTAR1−5−19で置換した。加えて、TAR1−5−19ホモ二量体も3U、5U及び7Uベクターで構成した。遺伝子のN末端複製物をPCRによって増幅し、上述のようにクローンし、SalI及びNotI制限部位を使用してC末端遺伝子断片をクローンした。
1.5.1 TAR1−5−19二量体
良好な中和特性を有することが示されたTAR1−5二量体を再設定し、細胞及び受容体試験で分析した。TAR1−5案内dAbを親和性成熟クローンTAR1−5−19で置換した。これを達成するために、TAR1−5を個々の二量体対からクローンし、PCRによって増幅されたTAR1−5−19で置換した。加えて、TAR1−5−19ホモ二量体も3U、5U及び7Uベクターで構成した。遺伝子のN末端複製物をPCRによって増幅し、上述のようにクローンし、SalI及びNotI制限部位を使用してC末端遺伝子断片をクローンした。
1.5.2 変異誘発
TAR1−5二量体対におけるC末端dAbの1つであるdAb2に存在するアンバー停止コドンを部位誘導変異誘発によってグルタミンに変異させた。
TAR1−5二量体対におけるC末端dAbの1つであるdAb2に存在するアンバー停止コドンを部位誘導変異誘発によってグルタミンに変異させた。
1.5.3 Fabs
TAR1−5又はTAR1−5−19を含む二量体をFab発現ベクターに再設定する。SfiI及びNotI制限部位を使用して、dAbsを、CK又はCH遺伝子を含む発現ベクターにクローンし、配列分析によって検証した。CKベクターをpUCベースのアンピシリン耐性ベクターから誘導し、CHベクターをpACYCクロラムフェニコール耐性ベクターから誘導する。Fab発現については、dAb−CH及びdAb−CK構築物をHB2151細胞に同時形質転換し、0.1%グルコース、100μg/mlアンピシリン及び10μg/mlクロラムフェニコールを含有する2×TYで成長させた。
TAR1−5又はTAR1−5−19を含む二量体をFab発現ベクターに再設定する。SfiI及びNotI制限部位を使用して、dAbsを、CK又はCH遺伝子を含む発現ベクターにクローンし、配列分析によって検証した。CKベクターをpUCベースのアンピシリン耐性ベクターから誘導し、CHベクターをpACYCクロラムフェニコール耐性ベクターから誘導する。Fab発現については、dAb−CH及びdAb−CK構築物をHB2151細胞に同時形質転換し、0.1%グルコース、100μg/mlアンピシリン及び10μg/mlクロラムフェニコールを含有する2×TYで成長させた。
1.5.3ヒンジ二量体化
シスチン結合形成によるdAbsの二量化を調べた。アミノ酸の短配列EPKSGDKTHTCPPCP(配列番号11)ヒトIgGC1ヒンジの改造形態をdAbのC末端領域に作った。この配列に対してコードするオリゴリンカーを合成し、先述のようにアニールした。XhoI及びNotI制限部位を使用して、リンカーを、TAR1−5−19を含むpEDAベクターにクローンした。二量体化は、周辺質のin situで行われる。
シスチン結合形成によるdAbsの二量化を調べた。アミノ酸の短配列EPKSGDKTHTCPPCP(配列番号11)ヒトIgGC1ヒンジの改造形態をdAbのC末端領域に作った。この配列に対してコードするオリゴリンカーを合成し、先述のようにアニールした。XhoI及びNotI制限部位を使用して、リンカーを、TAR1−5−19を含むpEDAベクターにクローンした。二量体化は、周辺質のin situで行われる。
1.6 発現及び精製
1.6.1 発現
先述のように、最初のスクリーニングのために、2ml96ウェルプレート形式に上澄みを調製した。最初のスクリーニングプロセスに続いて、選択された二量体をさらに分析した。上澄みとしてTOP10F’又はHB2151細胞に二量体構築物を発現した。手短に述べると、新たに縞づけしたプレートからの個々のコロニーを、100μg/mlアンピシリン及び1%グルコースを含む2×TY中で、37℃にて一晩成長させた。この培養物の1/100希釈物を、100μg/mlアンピシリン及び0.1%グルコースを含む2×TYに接種し、OD600が約0.9になるまで振とうしながら37℃で成長させた。次いで、培養物を1mMのIPTGにより30℃で一晩誘導した。細胞を遠心分離によって除去し、上澄みをタンパク質A又はLアガロースで精製した。
1.6.1 発現
先述のように、最初のスクリーニングのために、2ml96ウェルプレート形式に上澄みを調製した。最初のスクリーニングプロセスに続いて、選択された二量体をさらに分析した。上澄みとしてTOP10F’又はHB2151細胞に二量体構築物を発現した。手短に述べると、新たに縞づけしたプレートからの個々のコロニーを、100μg/mlアンピシリン及び1%グルコースを含む2×TY中で、37℃にて一晩成長させた。この培養物の1/100希釈物を、100μg/mlアンピシリン及び0.1%グルコースを含む2×TYに接種し、OD600が約0.9になるまで振とうしながら37℃で成長させた。次いで、培養物を1mMのIPTGにより30℃で一晩誘導した。細胞を遠心分離によって除去し、上澄みをタンパク質A又はLアガロースで精製した。
Fab及びシステインヒンジ二量体をHB2152細胞における周辺質タンパク質として発現させた。
一晩培養物の1/100希釈物を、0.1%グルコース及び適切な抗生物質を含む2×TYに接種し、OD600が約0.9になるまで振とうしながら37℃で成長させた。次いで、培養物を1mMのIPTGにより30℃で3〜4時間誘導させた。細胞を遠心分離によって収穫し、ペレットを周辺質調製緩衝液(30mMのトリスHCl(pH8.0)、1mMのEDTA、20%スクロース)に再懸濁させた。遠心分離に続いて、上澄みを保持し、ペレットを5mMのMgSO4に再懸濁させた。再び遠心分離によって上澄みを収穫し、蓄積し、精製した。
1.6.2 タンパク質A/L精製
タンパク質Lアガロース(Affitech(ノルウェー))又はタンパク質Aアガロース(Sigma(英国))からの二量体タンパク質の精製の最適化を調べた。タンパク質を、バッチ、又は蠕動ポンプを使用するカラム溶出によって溶出した。0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH2.6)、0.2Mグリシン(pH2.5)及び0.1Mグリシン(pH2.5)の3つの緩衝液を調べた。
タンパク質Lアガロース(Affitech(ノルウェー))又はタンパク質Aアガロース(Sigma(英国))からの二量体タンパク質の精製の最適化を調べた。タンパク質を、バッチ、又は蠕動ポンプを使用するカラム溶出によって溶出した。0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH2.6)、0.2Mグリシン(pH2.5)及び0.1Mグリシン(pH2.5)の3つの緩衝液を調べた。
最適な条件は、10カラム容量に対して0.1Mグリシン(pH2.5)を使用する蠕動ポンプ条件であると決定された。0.1Mグリシン(pH2.5)を使用する蠕動ポンプ条件でタンパク質Aによる精製を実施した。
1.6.3 FPLC精製
AKTAエクスプローラ100システム(Amersham Biosciences Ltd)におけるFPLC分析によってさらなる精製を行った。50mM酢酸緩衝液(pH4)における0〜1MのNaCl勾配で溶出される陽イオン交換クロマトグラフィ(1ml Resource S−Amersham Biosciences Ltd)によってTAR1−5及びTAR1−5−19二量体を分別した。25mMトリスHCl(pH8.0)における0〜1MのNaCl勾配で溶出されるイオン交換(1ml Resource Q Amersham Biosciences Ltd)によってヒンジ二量体を精製した。0.05%ツイーンを含むPBSにおいて0.5ml/minの流速で処理されるSuperose12(Amersham Biosciences Ltd)カラムを使用するサイズ排除クロマトグラフィによってFabsを精製した、精製に続いて、Vivaspin 5Kカットオフ濃縮器(Vivascience Ltd)を使用して試料を濃縮した。
AKTAエクスプローラ100システム(Amersham Biosciences Ltd)におけるFPLC分析によってさらなる精製を行った。50mM酢酸緩衝液(pH4)における0〜1MのNaCl勾配で溶出される陽イオン交換クロマトグラフィ(1ml Resource S−Amersham Biosciences Ltd)によってTAR1−5及びTAR1−5−19二量体を分別した。25mMトリスHCl(pH8.0)における0〜1MのNaCl勾配で溶出されるイオン交換(1ml Resource Q Amersham Biosciences Ltd)によってヒンジ二量体を精製した。0.05%ツイーンを含むPBSにおいて0.5ml/minの流速で処理されるSuperose12(Amersham Biosciences Ltd)カラムを使用するサイズ排除クロマトグラフィによってFabsを精製した、精製に続いて、Vivaspin 5Kカットオフ濃縮器(Vivascience Ltd)を使用して試料を濃縮した。
2.0 結果
2.1 TAR1−5二量体
すべてのライブラリー及び選択条件を包含する第2ラウンドの選択から6×96のクローンを採取した。上澄みプレップを作り、抗原及びタンパク質L ELISA、BIAcore並びに受容体試験で試験した。ELISAでは、陽性のクローンを各選択方法から同定し、3Uライブラリー、5Uライブラリー及び7Uライブラリーに分配した。しかし、案内dAbが常に存在するため、この方法によって高親和性と低親和性を判別するのは不可能であった。したがって、BIAcore分析を実施した。
2.1 TAR1−5二量体
すべてのライブラリー及び選択条件を包含する第2ラウンドの選択から6×96のクローンを採取した。上澄みプレップを作り、抗原及びタンパク質L ELISA、BIAcore並びに受容体試験で試験した。ELISAでは、陽性のクローンを各選択方法から同定し、3Uライブラリー、5Uライブラリー及び7Uライブラリーに分配した。しかし、案内dAbが常に存在するため、この方法によって高親和性と低親和性を判別するのは不可能であった。したがって、BIAcore分析を実施した。
上澄み2mlを使用してBIAcore分析を実施した。BIAcore分析により、単量体TAR1−5と比較して二量体Koffレートが著しく向上していることが明らかになった。10−3〜10−4Mの範囲にある二量体Koffレートと比較して、単量体Koffレートは10−1Mの範囲にあった。オフレートが非常に遅いと思われる16のクローンを選択し、これらは3U、5U及び7Uライブラリーから得られ、配列決定された。加えて、受容体試験においてヒトTNF−αを中和できるかどうかについて上澄みを分析した。
これらの試験で中和した6つのリードクローン(以下のd1〜d6)は配列決定されている。それらの結果は、得られた6つのクローンのうち、異なる第2のdAbは3つ(dAb1、dAb2及びdAb3)しか存在しないが、第2のdAbが二度以上認められると、異なる長さのリンカーと結合される。
TAR1−5d1:3Uリンカー第2のdAb=dAb1−1μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d2:3Uリンカー第2のdAb=dAb2−1μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d3:5Uリンカー第2のdAb=dAb2−1μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d4:5Uリンカー第2のdAb=dAb3−20μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d5:5Uリンカー第2のdAb=dAb1−20μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d6:7Uリンカー第2のdAb=dAb1−R1:1μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄、R2:ビーズ
TAR1−5d1:3Uリンカー第2のdAb=dAb1−1μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d2:3Uリンカー第2のdAb=dAb2−1μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d3:5Uリンカー第2のdAb=dAb2−1μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d4:5Uリンカー第2のdAb=dAb3−20μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d5:5Uリンカー第2のdAb=dAb1−20μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄
TAR1−5d6:7Uリンカー第2のdAb=dAb1−R1:1μg/ml Agイムノチューブ、一晩洗浄、R2:ビーズ
6つのリードクローンをさらに調べた。タンパク質を周辺質及び上澄みから生成し、タンパク質Lアガロースで精製し、細胞及び受容体試験で調べた。中和のレベルはばらつきがあった(表1)。タンパク質調製のための最適な条件を決定した。上澄みとしてHB2151細胞から生成されたタンパク質で最も高い収率(約10mgs/Lの培養物)が得られた。上澄みをタンパク質Lアガロースとともに室温にて2時間又は4℃で一晩インキュベートした。ビーズをPBS/NaClで洗浄し、蠕動ポンプを使用してFPLCカラムに充填した。ビーズを10カラム容量のPBS/NaClで洗浄し、0.1Mのグリシン(pH2.5)で溶出させた。概して、二量体タンパク質は、単量体の後に溶出される。
TAR1−5dl−6二量体をFPLCによって精製した。3つの化学種をFPLC精製によって得て、SDS PAGEにより同定した。1つの化学種は単量体に対応し、他の2つの化学種は異なるサイズの二量体に対応する。それらの2つの化学種の大きい方は、恐らく、C末端タグの存在による。これらのタンパク質を受容体試験で調べた。表1に示されたデータは、2つの二量体化学種(図11)から得られた最適な結果を表す。二量体対(すなわちdAb1、dAb2及びdAb3)からの3つの第2のdAbを単量体としてクローニングし、ELISA及び細胞及び受容体試験で調べた。すべての3つのdAbは、抗原ELISAによりTNFに対して特異的に結合し、プラスチック又はBSAと交差反応しない。単量体として、dAbが細胞又は受容体試験において中和する。
2.1.2 TAR−5−19二量体
6つのリードクローンにおいてTAR1−5−19をTAR1−5に代用した。特に指定のない限り全タンパク質(精製されたタンパク質Lのみ)を使用して、細胞及び受容体試験におけるすべてのTAR1−5−19二量体の分析を実施した(表2)。TAR1−5−19d4及びTAR1−5−19d3は、細胞試験において最良のND50(約5nM)を有し、これは、受容体試験結果と一致しており、TAR1−5−19単量体(ND50約30nM)に比べて向上している。精製されたTAR1−5二量体は、受容体及び細胞検体においてばらついた結果を示すが、TAR1−5−19二量体はより一定していた。タンパク質精製中に異なる溶出緩衝液を使用するとばらつきが示された。0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH2.6)又は0.2Mグリシン(pH2.5)を使用する溶出では、たいていの場合にタンパク質Lからすべてのタンパク質が除去されたが、機能性がより低くなった。
6つのリードクローンにおいてTAR1−5−19をTAR1−5に代用した。特に指定のない限り全タンパク質(精製されたタンパク質Lのみ)を使用して、細胞及び受容体試験におけるすべてのTAR1−5−19二量体の分析を実施した(表2)。TAR1−5−19d4及びTAR1−5−19d3は、細胞試験において最良のND50(約5nM)を有し、これは、受容体試験結果と一致しており、TAR1−5−19単量体(ND50約30nM)に比べて向上している。精製されたTAR1−5二量体は、受容体及び細胞検体においてばらついた結果を示すが、TAR1−5−19二量体はより一定していた。タンパク質精製中に異なる溶出緩衝液を使用するとばらつきが示された。0.1Mリン酸−クエン酸緩衝液(pH2.6)又は0.2Mグリシン(pH2.5)を使用する溶出では、たいていの場合にタンパク質Lからすべてのタンパク質が除去されたが、機能性がより低くなった。
TAR1−5−19d4を発酵槽で発現させ、陽イオン交換FPLCで精製して、完全にナイーブな二量体を生成した。TAR1−5d4については、FPLC生成により、単量体及び2つの二量体化学種に対応する3つの化学種を得た。この二量体のアミノ酸配列を決定した。次いで、TAR1−5−19単量体及びTAR1−5−19d4を受容体試験で調べ、単量体に対して得られたIC50は30nMであり、二量体に対して得られたIC50は5nMであった。
TAR1−5−19単量体とTAR1−5−19d4とTAR1−5d4とを比較した受容体試験の結果を図10に示す。
TAR1−5−19ホモ二量体を3U、5U及び7Uベクターで作製し、発現させ、タンパク質Lで精製した。それらのタンパク質を細胞及び受容体試験で調べ、得られるIC50(受容体試験に対する)及びND50(細胞試験に対する)を求めた(表3、図12)。
2.2 Fab
TAR1−5及びTAR1−5−19二量体もFab形式にクローンし、発現し、タンパク質Lアガロースで精製した。Fabを受容体試験で評価した(表4)。それらの結果は、TAR1−5−19及びTAR1−5二量体の両方について、中和レベルは、それらが誘導された本来のGly4Serリンカー二量体と類似していることを示していた。TAR1−5−19をCHとCKの両方に表示したTAR1−5−19Fabを発現し、タンパク質L生成し、受容体試験で評価した。得られたIC50は、約1nMであった。
TAR1−5及びTAR1−5−19二量体もFab形式にクローンし、発現し、タンパク質Lアガロースで精製した。Fabを受容体試験で評価した(表4)。それらの結果は、TAR1−5−19及びTAR1−5二量体の両方について、中和レベルは、それらが誘導された本来のGly4Serリンカー二量体と類似していることを示していた。TAR1−5−19をCHとCKの両方に表示したTAR1−5−19Fabを発現し、タンパク質L生成し、受容体試験で評価した。得られたIC50は、約1nMであった。
2.3 TAR1−27二量体
3×96のクローンを、すべてのライブラリー及び選択条件を包含するラウンド2の選択から採取した。2mlの上澄みプレップをELISA及び生物試験での分析のために作製した。抗原ELISAでは、71の陽性クローンが得られた。粗上澄みの受容体試験では、阻害特性を有する42のクローンが生成された(TNF結合0〜60%)。ほとんどの場合において、阻害特性は、強いELISAシグナルと相関していた。42のクローンを配列決定し、これらのうちの39は第2のdAb配列を有する。最良の阻害特性を与えた12の二量体をさらに分析した。
3×96のクローンを、すべてのライブラリー及び選択条件を包含するラウンド2の選択から採取した。2mlの上澄みプレップをELISA及び生物試験での分析のために作製した。抗原ELISAでは、71の陽性クローンが得られた。粗上澄みの受容体試験では、阻害特性を有する42のクローンが生成された(TNF結合0〜60%)。ほとんどの場合において、阻害特性は、強いELISAシグナルと相関していた。42のクローンを配列決定し、これらのうちの39は第2のdAb配列を有する。最良の阻害特性を与えた12の二量体をさらに分析した。
12の中和クローンを200mlの上澄みプレップとして発現し、タンパク質Lで精製した。これらをタンパク質L及び抗原ELISA、BIAcore及び受容体試験で評価した。すべての場合において、強い陽性のELISAが得られた。BIAcore分析により、すべてのクローンが高速のオン及びオフレートを有することが明らかになった。オフレートは、単量体TAR1−27と比較して向上したが、TAR1−27二量体のオフレート(Koffは約10−1から10−2Mの範囲にある)は、先に調べたTAR1−5二量体(Koffは10−3〜10−4Mの範囲にある)より速かった。精製された二量体の安定性は疑問があったため、安定性を向上させるために、5%グリコール、0.5%トリトンX100又は0.5%NP40(Sigma)の添加を2つのTAR1−27二量体(d2及びdl6)の精製に含めた。NP40又はトリトンX100の添加により、精製生成物の収率が約2倍に向上した。両方の二量体を受容体試験で評価した。TAR1−27d2では、すべての精製条件下で約30nMのIC50が得られた。TAR1−27d16では、安定化剤を使用せずに精製された場合は中和効果を示さなかったが、安定化条件下で精製された場合は約50nMのIC50が得られた。さらなる分析を実施しなかった。
2.4 TAR1−5二量体
3×96クローンを、すべてのライブラリー及び選択条件を包含する第2ラウンドの選択から採取した。2mlの上澄みを分析用に作製した。タンパク質A及び抗原ELISAをプレート毎に実施した。BIAcoreによる良好なオフレート(Koffは10−2〜10−3Mの範囲にある)を有するものとして30の興味深いクローンを同定した。クローンを配列決定し、配列分析により13のユニークな二量体を同定した。
3×96クローンを、すべてのライブラリー及び選択条件を包含する第2ラウンドの選択から採取した。2mlの上澄みを分析用に作製した。タンパク質A及び抗原ELISAをプレート毎に実施した。BIAcoreによる良好なオフレート(Koffは10−2〜10−3Mの範囲にある)を有するものとして30の興味深いクローンを同定した。クローンを配列決定し、配列分析により13のユニークな二量体を同定した。
表1:TAR1−5二量体
*二量体2及び二量体3は、同じ第2のdAb(dAb2と呼ばれる)を有するが、リンカー長が異なる(d2=(Gly4Ser)3、d3=(Gly4Ser)3)ことに留意されたい。dAb1は、二量体1、5及び6に対するパートナーdAbである。dAb3は、二量体4に対するパートナーdAbである。パートナーdAbのいずれも単独で中和しない。FPLC精製は、特に指定のない限り陽イオン交換によって行われる。EPLCによって得られた各二量体に対する最適な二量体化学種がこれらの試験で決定された。
*二量体2及び二量体3は、同じ第2のdAb(dAb2と呼ばれる)を有するが、リンカー長が異なる(d2=(Gly4Ser)3、d3=(Gly4Ser)3)ことに留意されたい。dAb1は、二量体1、5及び6に対するパートナーdAbである。dAb3は、二量体4に対するパートナーdAbである。パートナーdAbのいずれも単独で中和しない。FPLC精製は、特に指定のない限り陽イオン交換によって行われる。EPLCによって得られた各二量体に対する最適な二量体化学種がこれらの試験で決定された。
TAR1−5−19CYS二量体のPCR構成
dAb三量体について記載している実施例8を参照されたい。三量体は、単量体と二量体と三量体の混合物を生成する。
dAb三量体について記載している実施例8を参照されたい。三量体は、単量体と二量体と三量体の混合物を生成する。
TAR1−5−19CYS二量体の発現及び精製
実施例8に概説されているように、タンパク質Lアガロース上に捕捉することによって培養物の上澄みから二量体を精製した。
実施例8に概説されているように、タンパク質Lアガロース上に捕捉することによって培養物の上澄みから二量体を精製した。
TAR1−5−19CYS二量体からのTAR1−5−19CYS単量体の分離
陽イオン交換分離の前に、製造元のガイドラインに従って、PD−10カラム(Amersham Pharmacia)を使用して、単量体/二量体混合試料を50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)にバッファー交換した。次いで、50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)と予め平衡化された1mL Resource S陽イオン交換カラム(Amersham Pharmacia)に試料を入れた。50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)における以下の塩勾配を用いて、単量体及び二量体を分離した。
15カラム容量に対する150から200mMの塩化ナトリウム
10カラム容量に対する200から450mMの塩化ナトリウム
15カラム容量に対する450から100mMの塩化ナトリウム
陽イオン交換分離の前に、製造元のガイドラインに従って、PD−10カラム(Amersham Pharmacia)を使用して、単量体/二量体混合試料を50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)にバッファー交換した。次いで、50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)と予め平衡化された1mL Resource S陽イオン交換カラム(Amersham Pharmacia)に試料を入れた。50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)における以下の塩勾配を用いて、単量体及び二量体を分離した。
15カラム容量に対する150から200mMの塩化ナトリウム
10カラム容量に対する200から450mMの塩化ナトリウム
15カラム容量に対する450から100mMの塩化ナトリウム
二量体のみを含有する成分を、SDS−PAGEを使用して同定し、次いでプールし、1/5容量の1Mトリス(pH8.0)を添加することによってpHを8に増加させた。
インビトロ機能的結合試験:TNF受容体試験及び細胞試験
TNF受容体及び細胞試験を用いて、ヒトTNFczに対する二量体の親和性を測定した。受容体試験におけるIC50は約0.3〜0.8nMであった。細胞試験におけるND50は約3〜8nMであった。
TNF受容体及び細胞試験を用いて、ヒトTNFczに対する二量体の親和性を測定した。受容体試験におけるIC50は約0.3〜0.8nMであった。細胞試験におけるND50は約3〜8nMであった。
考えられる他のTAR1−5−19CYS二量体形式
PEG二量体及びカスタム合成マレイミド二量体
Nektar(Shearwater)は、小さいリンカーがdAbを分離し、ともにサイズが5から40kDaの範囲のPEGに結合される二量体として単量体をフォーマットすることを可能にする一連の二マレイミドPEG[mPEG2−(MAL)2又はmPEG−(MAL)2]を提供している。5kDaのmPEG−(MAL)2(すなわち、マレイミドが二量体において互いに結合している[TAR1−5−19]−シス−マレイミド−PEGx2)は、TNF受容体試験においてオフから1〜3nMの親和性を有することが示された。また、TMEA(トリス[25マレイミドエチル]アミン)(Pierce Biotechnology)又は他の二機能性リンカーを使用して二量体を生成することも可能である。
PEG二量体及びカスタム合成マレイミド二量体
Nektar(Shearwater)は、小さいリンカーがdAbを分離し、ともにサイズが5から40kDaの範囲のPEGに結合される二量体として単量体をフォーマットすることを可能にする一連の二マレイミドPEG[mPEG2−(MAL)2又はmPEG−(MAL)2]を提供している。5kDaのmPEG−(MAL)2(すなわち、マレイミドが二量体において互いに結合している[TAR1−5−19]−シス−マレイミド−PEGx2)は、TNF受容体試験においてオフから1〜3nMの親和性を有することが示された。また、TMEA(トリス[25マレイミドエチル]アミン)(Pierce Biotechnology)又は他の二機能性リンカーを使用して二量体を生成することも可能である。
2,2’−ジチオジピリジン(Sigmaアルドリッチ)及び還元単量体を使用する化学的結合手順を用いて、ジスルフィド二量体を生成することも可能である。
dAbのC末端に対するポリペプチドリンカー又はヒンジの添加
小さいリンカー、すなわち(Gly4Ser)n(n=1から10、例えば1、2、3、4、5、6又は7)或いは免疫グロブリン(例えばIgGヒンジ領域又は無作為ペプチド配列(例えば無作為ペプチド配列のライブラリーから選択される))をdAbと末端システイン残基の間に作ることが可能である。次いで、これを使用して、上述のように二量体を作ることが可能である。
小さいリンカー、すなわち(Gly4Ser)n(n=1から10、例えば1、2、3、4、5、6又は7)或いは免疫グロブリン(例えばIgGヒンジ領域又は無作為ペプチド配列(例えば無作為ペプチド配列のライブラリーから選択される))をdAbと末端システイン残基の間に作ることが可能である。次いで、これを使用して、上述のように二量体を作ることが可能である。
(実施例8)
dAb三量体化
概要
dAb三量体化では、タンパク質のC末端に遊離システインが必要とされる。次いで、遊離チオールを与えるように還元されたシステイン残基を使用して、三量体マレイミド分子、例えばTMEA(トリス[2マレイミドエチル]アミン)にタンパク質を特異的に結合させることが可能である。
dAb三量体化
概要
dAb三量体化では、タンパク質のC末端に遊離システインが必要とされる。次いで、遊離チオールを与えるように還元されたシステイン残基を使用して、三量体マレイミド分子、例えばTMEA(トリス[2マレイミドエチル]アミン)にタンパク質を特異的に結合させることが可能である。
TAR1−5−19CYSのPCR構成
クローニングのためにPCR TAR1−5−19をSalI及びBamHI部位に特異的に結合させるとともに、C末端システイン残基を導入するために、以下のオリゴヌクレオチドを使用した。
PCR反応(体積50μL)を、200μMのdNTP、0.4μMの各プライマー、5μLの10×PfuTurbo緩衝液(Stratagene)、100ngの鋳型プラスミド(TAR1−5−19をコードする)、1μLのPfuTurbo酵素(Stratagene)に設定し、無菌水を使用して体積を50μLに調整した。以下のPCR条件を用いた。:94℃2分間の初期変性工程、次いで94℃30秒間、64℃30秒間及び72℃30秒間のサイクル。72℃5分間の最終伸長工程も含めた。PCR産物を精製し、SalI及びBamHIで消化し、セインレスキクション酵素で切断されたベクターにライゲートした。DNAシークエンシングによって正確なクローンを検証した。
クローニングのためにPCR TAR1−5−19をSalI及びBamHI部位に特異的に結合させるとともに、C末端システイン残基を導入するために、以下のオリゴヌクレオチドを使用した。
PCR反応(体積50μL)を、200μMのdNTP、0.4μMの各プライマー、5μLの10×PfuTurbo緩衝液(Stratagene)、100ngの鋳型プラスミド(TAR1−5−19をコードする)、1μLのPfuTurbo酵素(Stratagene)に設定し、無菌水を使用して体積を50μLに調整した。以下のPCR条件を用いた。:94℃2分間の初期変性工程、次いで94℃30秒間、64℃30秒間及び72℃30秒間のサイクル。72℃5分間の最終伸長工程も含めた。PCR産物を精製し、SalI及びBamHIで消化し、セインレスキクション酵素で切断されたベクターにライゲートした。DNAシークエンシングによって正確なクローンを検証した。
TAR1−5−19CYSの発現及び精製
製造元のプロトコルに従って、TAR1−5−19CYSベクターを化学的にコンピテントな細胞BL21(DE3)pLysS(Novagen)に形質転換した。100μg/mLカルベニシリン及び37μg/mLクロラムフェニコールを使用するために、dAbプラスミドを担持する細胞を選択した。500mLの培養液(Sigma−Aldrich)、100μg/mLカルベニシリウム及び37μg/mLクロラムフェニコールを含むバッフル付き2Lフラスコに培養物を設定した。培養物を30℃で200rpmの条件で1〜1.5のO.D.600に成長させ、次いで1mMのIPTG(Melford Laboratoriesのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)で誘導した。dAbの発現を30℃で12〜16時間持続させた。dAbの大半が培地に存在していることが確認された。したがって、遠心分離(8000×g、30分間)によって細胞を培地から分離し、上澄みを使用して、dAbを精製した。上澄み1リットル当たり、30mLのタンパク質Lアガロース(Afftech)を添加し、2時間撹拌しながらdAbをバッチ結合させた。上澄みが吸い出される前に、さらに1時間にわたって樹脂を重力により沈降させた。次いで、アガロースをXK50カラム(Amersham Phamacia)に充填し、10カラム量のPBSで洗浄した。結合したdAbを100mMグリシン(pH2.0)で溶出し、次いで、1.5容量の1Mトリス(pH8.0)を添加することによってタンパク質含有成分を中和した。培養上澄み1リットル当たり、50対50の割合の単量体と二量体を含有する20mgのナイーブなタンパク質を単離した。
製造元のプロトコルに従って、TAR1−5−19CYSベクターを化学的にコンピテントな細胞BL21(DE3)pLysS(Novagen)に形質転換した。100μg/mLカルベニシリン及び37μg/mLクロラムフェニコールを使用するために、dAbプラスミドを担持する細胞を選択した。500mLの培養液(Sigma−Aldrich)、100μg/mLカルベニシリウム及び37μg/mLクロラムフェニコールを含むバッフル付き2Lフラスコに培養物を設定した。培養物を30℃で200rpmの条件で1〜1.5のO.D.600に成長させ、次いで1mMのIPTG(Melford Laboratoriesのイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)で誘導した。dAbの発現を30℃で12〜16時間持続させた。dAbの大半が培地に存在していることが確認された。したがって、遠心分離(8000×g、30分間)によって細胞を培地から分離し、上澄みを使用して、dAbを精製した。上澄み1リットル当たり、30mLのタンパク質Lアガロース(Afftech)を添加し、2時間撹拌しながらdAbをバッチ結合させた。上澄みが吸い出される前に、さらに1時間にわたって樹脂を重力により沈降させた。次いで、アガロースをXK50カラム(Amersham Phamacia)に充填し、10カラム量のPBSで洗浄した。結合したdAbを100mMグリシン(pH2.0)で溶出し、次いで、1.5容量の1Mトリス(pH8.0)を添加することによってタンパク質含有成分を中和した。培養上澄み1リットル当たり、50対50の割合の単量体と二量体を含有する20mgのナイーブなタンパク質を単離した。
TAR1−5−19CYSの三量体化
2.5mlの100MのTAR1−5−19CYSを5mMジチオスレイトールで還元し、室温で20分間にわたって放置した。次いで、PD−10カラム(Amersham Pharmacia)を使用して試料をバッファー交換した。カラムを5mMのEDTA、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5)と予め平衡させ、試料を入れ、製造元のガイドラインに従って溶出させた。試料を必要になるまで氷上に置いた。TMEA(トリス[2−マレイミドエチル]アミン)をPierce Biotechnologyから購入した。TMEAの20mMの原液を100%DMSO(ジメチルスルホキシド)で作った。TMEAの濃度が3:1(dAb:TMEAのモル比)より大きいと、タンパク質の急速な沈殿及び架橋が生じることが確認された。また、沈殿及び架橋の速度は、pHが高くなるに従って大きくなった。したがって、100μMの還元TAR1−5−19CYSを使用し、25μMのTMEAを添加して、タンパク質を三量体化し、室温にて2時間反応を進行させた。グリセロール又はエチレングリコールの如き添加剤を20%(v/v)まで添加すると、カップリング反応が進行するに従って三量体の沈殿が有意に低下することが確認された。カップリングの後、SDS−PAGE分析により、単量体、二量体及び三量体が溶液中に存在していることが示された。
2.5mlの100MのTAR1−5−19CYSを5mMジチオスレイトールで還元し、室温で20分間にわたって放置した。次いで、PD−10カラム(Amersham Pharmacia)を使用して試料をバッファー交換した。カラムを5mMのEDTA、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.5)と予め平衡させ、試料を入れ、製造元のガイドラインに従って溶出させた。試料を必要になるまで氷上に置いた。TMEA(トリス[2−マレイミドエチル]アミン)をPierce Biotechnologyから購入した。TMEAの20mMの原液を100%DMSO(ジメチルスルホキシド)で作った。TMEAの濃度が3:1(dAb:TMEAのモル比)より大きいと、タンパク質の急速な沈殿及び架橋が生じることが確認された。また、沈殿及び架橋の速度は、pHが高くなるに従って大きくなった。したがって、100μMの還元TAR1−5−19CYSを使用し、25μMのTMEAを添加して、タンパク質を三量体化し、室温にて2時間反応を進行させた。グリセロール又はエチレングリコールの如き添加剤を20%(v/v)まで添加すると、カップリング反応が進行するに従って三量体の沈殿が有意に低下することが確認された。カップリングの後、SDS−PAGE分析により、単量体、二量体及び三量体が溶液中に存在していることが示された。
三量体TAR1−5−19CYSの精製
TMEA−TAR1−5−19cys反応物1mL当たり40μLの40%氷酢酸を添加して、pHを4に低下させた。次いで、50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)と予め平衡させた1mLのResource S陽イオン交換カラム(Amersham Phamacia)に試料を入れた。30カラム容量に対して340から450mM塩化ナトリウム、50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)の塩勾配を用いて、二量体と三量体を部分的に分離させた。SDS−PAGEを使用して三量体のみを含有する成分を同定し、次いで蓄積し、1/5容量の1Mトリス(pH8.0)を添加することによってpHを8に上昇させた。(5KカットオフVivaスピン濃縮器(Vivascience)を使用する)濃縮工程中の三量体の沈殿を防止するために、10%グリセロールを試料に添加した。
TMEA−TAR1−5−19cys反応物1mL当たり40μLの40%氷酢酸を添加して、pHを4に低下させた。次いで、50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)と予め平衡させた1mLのResource S陽イオン交換カラム(Amersham Phamacia)に試料を入れた。30カラム容量に対して340から450mM塩化ナトリウム、50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)の塩勾配を用いて、二量体と三量体を部分的に分離させた。SDS−PAGEを使用して三量体のみを含有する成分を同定し、次いで蓄積し、1/5容量の1Mトリス(pH8.0)を添加することによってpHを8に上昇させた。(5KカットオフVivaスピン濃縮器(Vivascience)を使用する)濃縮工程中の三量体の沈殿を防止するために、10%グリセロールを試料に添加した。
インビトロ機能的結合試験:TNF受容体試験及び細胞試験
TNF受容体及び細胞試験を用いて、ヒトTNF−αに対する三量体の親和性を測定した。受容体試験におけるIC50は、0.3nMであった。細胞試験におけるND50は、3から10nMの範囲(例えば3nM)であった。
TNF受容体及び細胞試験を用いて、ヒトTNF−αに対する三量体の親和性を測定した。受容体試験におけるIC50は、0.3nMであった。細胞試験におけるND50は、3から10nMの範囲(例えば3nM)であった。
考えられる他のTAR1−5−19CYS三量体形式
以下の試薬を使用して、TAR1−5−19CYSを三量体に設定することもできる。
PEG三量体及びカスタム合成マレイミド三量体
Nektar(Shearwater)は、PEGの末端で化学修飾することが可能である一連のマルチアームPEGを提供している。したがって、各腕の末端におけるマレイミド官能基とともにPEG三量体を使用すると、THEAを使用する上述の三量体化と同様にしてdAbを三量体化することが可能になる。PEGは、三量体の溶解度を高めることで、凝集の問題を防止するという点においても有利でありうる。したがって、各dAbが、マレイミド官能基に結合されたC末端システインを有し、マレイミド官能基がPEG三量体に結合されたdAbを生成することが可能である。
以下の試薬を使用して、TAR1−5−19CYSを三量体に設定することもできる。
PEG三量体及びカスタム合成マレイミド三量体
Nektar(Shearwater)は、PEGの末端で化学修飾することが可能である一連のマルチアームPEGを提供している。したがって、各腕の末端におけるマレイミド官能基とともにPEG三量体を使用すると、THEAを使用する上述の三量体化と同様にしてdAbを三量体化することが可能になる。PEGは、三量体の溶解度を高めることで、凝集の問題を防止するという点においても有利でありうる。したがって、各dAbが、マレイミド官能基に結合されたC末端システインを有し、マレイミド官能基がPEG三量体に結合されたdAbを生成することが可能である。
dAbのC末端へのポリペプチドリンカー又はヒンジの添加
小さいリンカー、すなわち(Gly4Ser)n(n=1から10、例えば1、2、3、4、5、6又は7)、免疫グロブリン(例えばIgGヒンジ領域)又は無作為ペプチド配列(例えば無作為ペプチド配列のライブラリーから選択される)をdAbと末端システイン残基の間に作ることが可能である。多量体(例えば二量体又は三量体)を作るのに使用されるときは、これによってもより高度な柔軟性、及びより大きい個別単量体間の距離が導入され、標的、例えばヒトTNF−αの如きマルチサブユニット標的に対する結合特性が向上しうる。
小さいリンカー、すなわち(Gly4Ser)n(n=1から10、例えば1、2、3、4、5、6又は7)、免疫グロブリン(例えばIgGヒンジ領域)又は無作為ペプチド配列(例えば無作為ペプチド配列のライブラリーから選択される)をdAbと末端システイン残基の間に作ることが可能である。多量体(例えば二量体又は三量体)を作るのに使用されるときは、これによってもより高度な柔軟性、及びより大きい個別単量体間の距離が導入され、標的、例えばヒトTNF−αの如きマルチサブユニット標的に対する結合特性が向上しうる。
(実施例9)
ヒト血清アルブミン(HSA)及びマウス血清アルブミン(MSA)に対して導かれる単一領域抗体(dAb)の集合体の選択
この実施例では、血清アルブミンに対して導かれる単一領域抗体(dAb)を製造するための方法を説明する。マウス血清アルブミン(MSA)とヒト血清アルブミン(HSA)の両方に対するdAbの選択について説明する。それぞれがVH(図13:V3−23/DP47及びJH4bに基づくダミーVHの配列参照)及びVK(図15:012/02/DPK9及びJk1に基づくダミーVKの配列参照)に対する単一ヒトフレームワークに基づいており、NNKコドンにコードされる側鎖多様性が相補性決定領域(CDR1、CDR2及びCDR3)に組み込まれた3つのヒトファージディスプレイ抗体ライブラリーをこの実験に使用した。
ヒト血清アルブミン(HSA)及びマウス血清アルブミン(MSA)に対して導かれる単一領域抗体(dAb)の集合体の選択
この実施例では、血清アルブミンに対して導かれる単一領域抗体(dAb)を製造するための方法を説明する。マウス血清アルブミン(MSA)とヒト血清アルブミン(HSA)の両方に対するdAbの選択について説明する。それぞれがVH(図13:V3−23/DP47及びJH4bに基づくダミーVHの配列参照)及びVK(図15:012/02/DPK9及びJk1に基づくダミーVKの配列参照)に対する単一ヒトフレームワークに基づいており、NNKコドンにコードされる側鎖多様性が相補性決定領域(CDR1、CDR2及びCDR3)に組み込まれた3つのヒトファージディスプレイ抗体ライブラリーをこの実験に使用した。
ライブラリー1(VH):
位置:H30、H31、H33、H35、H50、H52、H52a、H53、H55、H56、H58、H95、H97、H98での多様性。
ライブラリーサイズ:6.2×109
ライブラリー2(VH):
位置:H30、H31、H33、H35、H50、H52、H52a、H53、H55、H56、H58、H95、H97、H98、H99、H100、H100a、H100bでの多様性。
ライブラリーサイズ:4.3×109
ライブラリー3(VK):
位置:L30、L31、L32、L34、L50、L53、L91、L92、L93、L94、L96での多様性。
ライブラリーサイズ:2×109
位置:H30、H31、H33、H35、H50、H52、H52a、H53、H55、H56、H58、H95、H97、H98での多様性。
ライブラリーサイズ:6.2×109
ライブラリー2(VH):
位置:H30、H31、H33、H35、H50、H52、H52a、H53、H55、H56、H58、H95、H97、H98、H99、H100、H100a、H100bでの多様性。
ライブラリーサイズ:4.3×109
ライブラリー3(VK):
位置:L30、L31、L32、L34、L50、L53、L91、L92、L93、L94、L96での多様性。
ライブラリーサイズ:2×109
未選択のライブラリーにおけるクローンの大多数が機能的になるように、汎用遺伝子リガンドタンパク質A及びタンパク質Lに対する結合についてVH及びVKライブラリーを予備選択した。上記に示したライブラリーのサイズは、予備選択後のサイズに対応する。ライブラリーの各々を個別的に使用して、2ラウンドの選択を血清アルブミンについて行った。それぞれの選択では、4mlのPBSに100μg/mlの濃度で含めた抗原をイムノチューブ(nunc)に入れた。第1ラウンドの選択において、3つのライブラリーの各々をHSA(Sigma)及びMSA(Sigma)に対して個別的にパニングした。第2ラウンドの選択において、6つの第1ラウンドの選択の各々によるファージを(i)再び同じ抗原(例えば第1ラウンドMSA、第2ラウンドMSA)に対してパニングし、(ii)相反的抗原(例えば第1ラウンドMSA、第2ラウンドHSA)に対してパニングして、合計12の第2ラウンドの選択を行った。それぞれの場合において、第2ラウンドの選択後に、HSA及びMSAに対する結合について48のクローンを試験した。可溶性dAb断片を、Harrisonら、Methods Enzymol.、1996;267:83−109によりscFv断片について記載されているように生成し、2%ツイーンPBSをブロッキング緩衝液として使用し、結合dAbをタンパク質L−HRP(Sigma)(VKs用)及びタンパク質A−HRP(Amersham Phamacia Biotech)(VHs用)で検出したことを除いて、標準的なELISAプロトコルに従った(Hoogenboomら、(1991)、nucleic Acids Res.、19:4133)。
MSA、HSA又はその両方に対する結合を示すバックグラウンド上のシグナルを与えるdAbをプラスチックのみに対する結合についてELISA可溶性形態で試験したが、いずれも血清アルブミンに対して特異的であった。次いで、クローンを配列したところ(以下の表参照)、21の固有のdAb配列が同定されていることが明らかになった。選択されたVK dAbクローン間の(アミノ酸レベルでの)最小類似性は86.25%であった((69/80)×100;多様化された残基のすべてが異なっていた場合の結果(例えばクローン24及び34))。選択されたVH dAbクローン間の最小類似性は94%であった((127/136)×100)。
次に、ビオチン化抗原を溶液から取り込む能力について、血清アルブミンdAbを試験した。ELISAプレートに1μg/mlタンパク質L(VKクローン用)及び1μg/mlタンパク質A(VHクローン用)を適用したことを除いては、(上述の)ELISAプロトコルに従った。プロトコル通りに可溶性dAbを溶液から取り込み、ビオチン化MSA又はHSA及びストレプトアビジンHRPで検出を行った。ビオチン化MSA及びHSAは、血清アルブミン分子毎に平均2つのビオチンを達成する目的で、製造元の説明書に従って調製されたものである。ELISAにおいてビオチン化MSAを溶液から取り込んだ24のクローンが同定された。これらのうちの2つ(以下のクローン2及び38)は、取り込まれたビオチン化HSAでもあった。次に、CM5BIAcoreチップに塗布されたMSAを結合する能力について、dAbを試験した。BIAcore上のMSAを結合した8つのクローンが確認された。
いずれの場合も、それらのフレームワークは、CDRにおける多様性が上の表に示されている通りの対応するダミー配列におけるフレームワークと同一であった。
BIAcore上のMSAを結合した8つのクローンのうち、大腸菌に多く発現される2つのクローン(クローンMSA16及びMSA26)をさらなる試験に向けて選択した(実施例10参照)。
MSA16及び26に対する全ヌクレオチド及びアミノ酸配列を図16に示す。
(実施例10)
MSA結合dAb MSA16及びMSA26のマウスにおける親和性及び血清半減期の測定
dαbs MSA16及びMSA26を大腸菌の周辺質で発現させ、タンパク質L−アガロース親和性樹脂(Affitech(ノルウェー))に対するバッチ吸着、及び続くpH2.2のグリシンによる溶出を用いて精製した。次いで、精製したdAbを阻害BIAcoreによって分析して、Kdを求めた。手短に述べると、精製されたMSA16及びMSA26を試験して、高密度のMSAが塗布されたBIAcoreCM5チップ上に200RUの応答を達成するのに必要とされるdAbの濃度を求めた。dAbの必要な濃度が求められると、期待されるKd付近の一連の濃度のMSAをdAbと混合し、一晩インキュベートした。次いで、それらの混合物の各々におけるdAbのMSA塗布BIAcoreチップを30μl/分の高い流速で測定した。得られた曲線を用いて、クロッツプロットを作成したところ、推定Kdは、MSA16に対しては200nMで、MSA26に対しては70nMであった(図17A及び図17B)。
MSA結合dAb MSA16及びMSA26のマウスにおける親和性及び血清半減期の測定
dαbs MSA16及びMSA26を大腸菌の周辺質で発現させ、タンパク質L−アガロース親和性樹脂(Affitech(ノルウェー))に対するバッチ吸着、及び続くpH2.2のグリシンによる溶出を用いて精製した。次いで、精製したdAbを阻害BIAcoreによって分析して、Kdを求めた。手短に述べると、精製されたMSA16及びMSA26を試験して、高密度のMSAが塗布されたBIAcoreCM5チップ上に200RUの応答を達成するのに必要とされるdAbの濃度を求めた。dAbの必要な濃度が求められると、期待されるKd付近の一連の濃度のMSAをdAbと混合し、一晩インキュベートした。次いで、それらの混合物の各々におけるdAbのMSA塗布BIAcoreチップを30μl/分の高い流速で測定した。得られた曲線を用いて、クロッツプロットを作成したところ、推定Kdは、MSA16に対しては200nMで、MSA26に対しては70nMであった(図17A及び図17B)。
次に、クローンMSA16及びMSA26を、HAタグ(核酸配列:TATCCTTATGATGTTCCTGATTATGCA(配列番号91)及びアミノ酸配列:YPYDVPDYA(配列番号92))を有する発現ベクターにクローニングし、2〜10mgの量を大腸菌で発現させ、タンパク質L−アガロース親和性樹脂(Affitech(ノルウェー))で上澄みから精製し、pH2.2のグリシンで溶出した。マウスにおけるdAbの血清半減期を求めた。MSA26 30及びMSA16を単一静脈内注射として約1.5mg/kgの濃度でCD1マウスに投与した。
4%Marvelで遮断されたヤギ抗HA(Abcam(英国))捕捉及びタンパク質L−HRP(Invitrogen)検出ELISAによって血清レベルの分析を行った。0.05%ツイーンPBSで洗浄した。試験試料との比較のために、1×マウス血清の存在下でdAbの知られている濃度の検量線を設定した。2区画モデルによるモデル化により、MSA−26は、0.16時間のt1/2α、14.5時間のt1/2β、及び465時間・mg/mlの曲線下面積(AUC)(データは不図示)を有し、MSA−16は、0.98時間のt1/2α、36.5時間のt1/2β、及び913時間・mg/mlのAUC(図18)を有することが示された。両MSAクローンは、0.06時間のt1/2α及び0.34時間のt1/2βを有するHEL4(抗鶏卵白リソザイムdAb)と比較して、はるかに長い半減期を有していた。
(実施例11)
VH−VH及びVK−VK二重特異性Fab類似断片の作製
本実施例では、Fab類似断片としてVH及びVK二重特異性を製造するための方法について説明する。記載のFab類似断片の各々を構成する前に、第1に、対象となる標的に結合するdAbを実施例9に記載されているライブラリーに類似したdAbライブラリーから選択した。鶏卵リソザイム(Sigma)に結合するVH dAb、HEL4を単離し、TNF−α受容体(R及びDシステム)に結合する第2のVH dAb(TAR2h−5)も単離した。これらの配列は配列表に示されている。TNF−α(TAR1−5−19)を結合するVK dAbを選択及び親和性成熟によって単離したが、その配列も配列表に示されている。その配列が図17Bに示されている、実施例9に記載された第2のVK dAb(MSA26)もこれらの実験に使用した。
VH−VH及びVK−VK二重特異性Fab類似断片の作製
本実施例では、Fab類似断片としてVH及びVK二重特異性を製造するための方法について説明する。記載のFab類似断片の各々を構成する前に、第1に、対象となる標的に結合するdAbを実施例9に記載されているライブラリーに類似したdAbライブラリーから選択した。鶏卵リソザイム(Sigma)に結合するVH dAb、HEL4を単離し、TNF−α受容体(R及びDシステム)に結合する第2のVH dAb(TAR2h−5)も単離した。これらの配列は配列表に示されている。TNF−α(TAR1−5−19)を結合するVK dAbを選択及び親和性成熟によって単離したが、その配列も配列表に示されている。その配列が図17Bに示されている、実施例9に記載された第2のVK dAb(MSA26)もこれらの実験に使用した。
上記の4つのdAbを含む発現ベクターからのDNAを酵素SalI及びNotIで消化して、dAbに対してコードするDNAを切除した。消化物をアガロースゲルで泳動させ、そのバンドを切り出した後、Qiagenゲル精製キット(Qiagen(英国))を使用したゲル精製を行うことによって、想定されるサイズ(300〜400bp)のバンドを精製した。次いで、dAbをコードするDNAを以下の表に示されるCH又はCKベクター(図8及び図9)に挿入した。
VHCH及びVHCκ構築物をHB2151細胞に同時形質転換した。それとは別に、VκCH及びVκCκ構築物をHB2151細胞に同時形質転換した。同時形質転換細胞系の各々の培養物を一晩成長させた(5%グルコース、10μg/mlクロラムフェニコール、及びCH及びCκプラスミドの双方に対する抗生物質選択を維持するための100μg/mlアンピシリンを含有する2×TY中)。一晩置いた培養物を使用して、新鮮な培地(2×TY、10μg/mlクロラムフェニコール及び100μg/mlアンピシリン)に接種し、IPTGの添加によりそれらのCH及びCκ構築物を発現させる前にOD0.7〜0.9まで成長させた。
次いで、発現されたFab類似断片を(同時形質転換されたVHCH及びVHCκに対する)タンパク質A精製及び(同時形質転換されたVκCH及びVκCκに対する)MSA親和性樹脂精製によって周辺質から精製した。
VH−VH二重特異性
ゲル上のタンパク質を処理することによって、VHCH及びVHCκ二重特異性の発現を試験した。ゲルをブロットし、Fab断片に対する想定サイズのバンドをウェスタンブロットで検出することが可能であり、Fab類似断片のVHCH及びVHCκ部の両方が存在していることが示された。次に、二重特異性の2つの半体が同一のFab類似断片に存在しているかどうかを判断するために、重炭酸ナトリウム緩衝液に3mg/mlの濃度で含めた鶏卵リソザイム(HEL)をウェル当たり100μlELISAプレートに塗布し、4℃で一晩置いた。次いで、プレートを(実施例1に記載されているように)2%ツイーンPBSで遮断した後に、VHCH/VHCκ二重特異性Fab類似断片とともにインキュベートした。二重特異性のHELに対する結合の検出を、9el0(mycタグを結合するモノクローナル抗体、Roche)及び抗マウスIgG−HRP(Amersham Phamacia Biotech)を使用して、非同族鎖を介して行った。VHCH/VHCκ二重特異性Fab類似断片に対するシグナルは、単独で発現されたVHCκに対する0.069のバックグラウンドシグナルと比較して0.154であった。これは、Fab類似断片が標的抗原に対して結合特異性を有していることを実証している。
ゲル上のタンパク質を処理することによって、VHCH及びVHCκ二重特異性の発現を試験した。ゲルをブロットし、Fab断片に対する想定サイズのバンドをウェスタンブロットで検出することが可能であり、Fab類似断片のVHCH及びVHCκ部の両方が存在していることが示された。次に、二重特異性の2つの半体が同一のFab類似断片に存在しているかどうかを判断するために、重炭酸ナトリウム緩衝液に3mg/mlの濃度で含めた鶏卵リソザイム(HEL)をウェル当たり100μlELISAプレートに塗布し、4℃で一晩置いた。次いで、プレートを(実施例1に記載されているように)2%ツイーンPBSで遮断した後に、VHCH/VHCκ二重特異性Fab類似断片とともにインキュベートした。二重特異性のHELに対する結合の検出を、9el0(mycタグを結合するモノクローナル抗体、Roche)及び抗マウスIgG−HRP(Amersham Phamacia Biotech)を使用して、非同族鎖を介して行った。VHCH/VHCκ二重特異性Fab類似断片に対するシグナルは、単独で発現されたVHCκに対する0.069のバックグラウンドシグナルと比較して0.154であった。これは、Fab類似断片が標的抗原に対して結合特異性を有していることを実証している。
VK−VK二重特異性
同時形質転換されたVKCH及びVKCK二重特異性Fab類似断片をMSA親和性樹脂で精製した後に、得られたタンパク質を使用して、1μg/mlのTNF−αが塗布されたELISAプレート、及び10μg/mlのMSAが塗布されたELISAプレートを探査した。想定されたように、両方のELISAプレート上のタンパク質L−HRPで検出した場合にバックグラウンドの上にシグナルが存在した(データは不図示)。これは、MSAに結合することができる(したがってMSA親和性カラムで精製された)タンパク質の成分も後続のELISAにおいてTNF−αに結合することができることを示すもので、抗体断片の二重特異性が確認された。次いで、このタンパク質の成分を後続の2つの実験に使用した。第1に、1μg/mlTNF−αが塗布されたELISAプレートを二重特異性VKCH及びVKCKFab類似断片により探査するとともに、ELISAで同様のシグナルを与えるように計算された濃度の対照TNF−α結合dAbにより探査した。二重特異性と対照dAbの両方を使用して、2mg/mlMSAの存在下及び不在下でELISAプレートを探査した。二重特異性のウェルにおけるシグナルは、50%以上低下したが、dAbウェルにおけるシグナルは全く低下しなかった(図19a参照)。また、MSAを用いた受容体試験及びMSAを用いない受容体試験に同一のタンパク質を含め、MSAによる競合も示した(図19c参照)。これは、MSAの二重特異性に対する結合がTNF−αに対する結合と競合することを実証するものである。
同時形質転換されたVKCH及びVKCK二重特異性Fab類似断片をMSA親和性樹脂で精製した後に、得られたタンパク質を使用して、1μg/mlのTNF−αが塗布されたELISAプレート、及び10μg/mlのMSAが塗布されたELISAプレートを探査した。想定されたように、両方のELISAプレート上のタンパク質L−HRPで検出した場合にバックグラウンドの上にシグナルが存在した(データは不図示)。これは、MSAに結合することができる(したがってMSA親和性カラムで精製された)タンパク質の成分も後続のELISAにおいてTNF−αに結合することができることを示すもので、抗体断片の二重特異性が確認された。次いで、このタンパク質の成分を後続の2つの実験に使用した。第1に、1μg/mlTNF−αが塗布されたELISAプレートを二重特異性VKCH及びVKCKFab類似断片により探査するとともに、ELISAで同様のシグナルを与えるように計算された濃度の対照TNF−α結合dAbにより探査した。二重特異性と対照dAbの両方を使用して、2mg/mlMSAの存在下及び不在下でELISAプレートを探査した。二重特異性のウェルにおけるシグナルは、50%以上低下したが、dAbウェルにおけるシグナルは全く低下しなかった(図19a参照)。また、MSAを用いた受容体試験及びMSAを用いない受容体試験に同一のタンパク質を含め、MSAによる競合も示した(図19c参照)。これは、MSAの二重特異性に対する結合がTNF−αに対する結合と競合することを実証するものである。
(実施例12)
マウス血清アルブミン及びTNFαに対する特異性を有するVK−VK二重特異性cys結合二重特異性の作製
本実施例では、ジスルフィド結合を介する化学結合によって、マウス血清アルブミン及びTNF−αの両方に対して特異的な二重特異性抗体断片を製造するための方法について説明する。MSA16(実施例1による)及びTAR1−5−19dAbの両方を、C末端システインを有し、タグを有さないpETベースのベクターに再びクローニングした。2つのdAbを4〜10mgレベルで発現し、タンパク質Lアガロース親和性樹脂(Affitech(ノルウェー))を使用して上澄みから精製した。次いで、システインタグdAbをジチオスレイトールで減少させた。次いで、TAR1−5−19dAbをジチオジピリジンと結合させて、PEP1−5−19ホモ二量体の形成をもたらすジスルフィド結合の再形成を阻止した。次いで、2つの異なるdAbをpH6.5で混合して、ジスルフィド結合形成、及びTAR1−5−19、MSA16シス結合ヘテロ二量体の生成を促進させた。2つの非類似タンパク質の複合体を製造するためのこの方法は、本来は、Kingら(King TP、Li Kochoumian Biochemistry.1978、第17巻:1499−506、「分子間ジスルフィド結合形成によるタンパク質複合体の調製(Preparation of protein conjugates via intermolecular disulfide bond formation)」)によって記載された。ヘテロ二量体を陽イオン交換により単量体化学種から分離した。期待されたサイズのバンドがSDSゲル上に存在することにより分離を確認した。得られたヘテロ二量体化学種TNF受容体試験で試験し、約18nMのTNFを中和するためのIC50を有することを確認した。次に、一定の濃度のヘテロ二量体(18nM)並びにMSA及びHSAの一連の希釈物を使用して受容体試験を繰り返した。ある範囲の濃度(2mg/mlまで)のHSAの存在が、TNF−αを抑制する二量体の能力の低下を引き起こすことはなかった。
マウス血清アルブミン及びTNFαに対する特異性を有するVK−VK二重特異性cys結合二重特異性の作製
本実施例では、ジスルフィド結合を介する化学結合によって、マウス血清アルブミン及びTNF−αの両方に対して特異的な二重特異性抗体断片を製造するための方法について説明する。MSA16(実施例1による)及びTAR1−5−19dAbの両方を、C末端システインを有し、タグを有さないpETベースのベクターに再びクローニングした。2つのdAbを4〜10mgレベルで発現し、タンパク質Lアガロース親和性樹脂(Affitech(ノルウェー))を使用して上澄みから精製した。次いで、システインタグdAbをジチオスレイトールで減少させた。次いで、TAR1−5−19dAbをジチオジピリジンと結合させて、PEP1−5−19ホモ二量体の形成をもたらすジスルフィド結合の再形成を阻止した。次いで、2つの異なるdAbをpH6.5で混合して、ジスルフィド結合形成、及びTAR1−5−19、MSA16シス結合ヘテロ二量体の生成を促進させた。2つの非類似タンパク質の複合体を製造するためのこの方法は、本来は、Kingら(King TP、Li Kochoumian Biochemistry.1978、第17巻:1499−506、「分子間ジスルフィド結合形成によるタンパク質複合体の調製(Preparation of protein conjugates via intermolecular disulfide bond formation)」)によって記載された。ヘテロ二量体を陽イオン交換により単量体化学種から分離した。期待されたサイズのバンドがSDSゲル上に存在することにより分離を確認した。得られたヘテロ二量体化学種TNF受容体試験で試験し、約18nMのTNFを中和するためのIC50を有することを確認した。次に、一定の濃度のヘテロ二量体(18nM)並びにMSA及びHSAの一連の希釈物を使用して受容体試験を繰り返した。ある範囲の濃度(2mg/mlまで)のHSAの存在が、TNF−αを抑制する二量体の能力の低下を引き起こすことはなかった。
しかし、MSAの添加により、TNF−αを抑制する二量体の能力が投与量に応じて低下した(図20)。これは、MSAとTNF−αが、シス結合TAR1−19、MSA16二量体に対する結合をめぐって競合することを実証している。
データ概要
先述の実施例に記載した実験で得られたデータの概要が付属書4に記載されている。
先述の実施例に記載した実験で得られたデータの概要が付属書4に記載されている。
(実施例13)
抗TNF−α dAbに対する核酸及びポリペプチド配列の概要
本明細書に記載されている抗TNF−α dAbに関する試験の過程全体を通じて、ヒト及び/又はマウスTNF−αを結合するいくつかの異なるdAbを同定した。配列及びさらなる情報を以下に示す。
抗TNF−α dAbに対する核酸及びポリペプチド配列の概要
本明細書に記載されている抗TNF−α dAbに関する試験の過程全体を通じて、ヒト及び/又はマウスTNF−αを結合するいくつかの異なるdAbを同定した。配列及びさらなる情報を以下に示す。
マウスTNF−αを結合するクローン
4つの抗マウスTNF−α dAbに対するヌクレオチド及びアミノ酸配列を以下に示す。これらのうちの2つ(TAR1−2m−9及びTAR1−2m−30)は、マウスTNF−αの活性を抑制し、2つ(TAR1−2m−1及びTAR1−2m−2)は結合するが、抑制しない。
4つの抗マウスTNF−α dAbに対するヌクレオチド及びアミノ酸配列を以下に示す。これらのうちの2つ(TAR1−2m−9及びTAR1−2m−30)は、マウスTNF−αの活性を抑制し、2つ(TAR1−2m−1及びTAR1−2m−2)は結合するが、抑制しない。
TAR1−2m−9
TAR−2m−9は、6μMのIC50及び5μMのND50を有するVkクローンである。IC50及びND50は、タンパク質L架橋により向上しない。このクローンは、ヒトTNF−αに対する効果はないが(2つの濃度の細胞試験で化学種交差反応性を評価した)、ラットTNF−αに対して同様の中和活性を有する。
アミノ酸配列(CDR3は太字で示される)(配列番号93):
TAR−2m−9は、6μMのIC50及び5μMのND50を有するVkクローンである。IC50及びND50は、タンパク質L架橋により向上しない。このクローンは、ヒトTNF−αに対する効果はないが(2つの濃度の細胞試験で化学種交差反応性を評価した)、ラットTNF−αに対して同様の中和活性を有する。
アミノ酸配列(CDR3は太字で示される)(配列番号93):
TAR1−2m−30:
TAR1−2m−30は、10μMのND50を有するVkクローンである。ND50は、タンパク質L架橋により向上しない。このクローンは、ヒトTNF−αに対する効果はなく(2つの濃度の細胞試験で化学種交差反応性を評価した)、マウスと比較すると、ラットTNFに対する効果はわずかに小さい。
アミノ酸配列(CDR3は太字で示される)(配列番号95):
TAR1−2m−30は、10μMのND50を有するVkクローンである。ND50は、タンパク質L架橋により向上しない。このクローンは、ヒトTNF−αに対する効果はなく(2つの濃度の細胞試験で化学種交差反応性を評価した)、マウスと比較すると、ラットTNFに対する効果はわずかに小さい。
アミノ酸配列(CDR3は太字で示される)(配列番号95):
さらなる抗ヒトTNF−αdAbクローンとしては、以下のものが挙げられる。
いくつかのクローンを親和性成熟させた。クローンTAR1−100−47は、L929細胞試験におけるND50が30〜50nMで、タンパク質Lと架橋させた場合のND50が3〜5nMである親和性成熟クローンである。TAR1−100−47は、アカゲザルTNFと交差反応する。そのアミノ酸配列、及びいくつかの他のクローンのアミノ酸配列を以下に示す。TAR1−2−100及びTAR1−2−109は、ライブラリーの構成に使用される親クローンである。この群における良好なTAR1クローンは、以下の共通配列を有する。
TAR1−100−47において太字で示されるD/E30、W32、R94及びF96。
いくつかのクローンを親和性成熟させた。クローンTAR1−100−47は、L929細胞試験におけるND50が30〜50nMで、タンパク質Lと架橋させた場合のND50が3〜5nMである親和性成熟クローンである。TAR1−100−47は、アカゲザルTNFと交差反応する。そのアミノ酸配列、及びいくつかの他のクローンのアミノ酸配列を以下に示す。TAR1−2−100及びTAR1−2−109は、ライブラリーの構成に使用される親クローンである。この群における良好なTAR1クローンは、以下の共通配列を有する。
TAR1−100−47において太字で示されるD/E30、W32、R94及びF96。
(実施例14)
関節炎の予防モデルにおけるPEG化TAR1−5−19の効果試験
Tg197マウスは、ヒトTNF−グロビンハイブリッド遺伝子に対する遺伝子組換えマウスであり、4〜7週齢におけるヘテロ接合体は、関節リウマチと共通の組織学的特徴を有する慢性の多発性進行性関節炎を発生させる[Keffer,J.、Probert,L.、Cazlaris,H.、Georgopoulos,S.、Kaslaris,E.、Kioussis,D.、Kollias,G.(1991)、「ヒト腫瘍壊死因子を発現する遺伝子組換えマウス:関節炎の予測的遺伝子モデル(Transgenic mice expressing human tumor nectrosis factor:a predictive genetic model of arthritis.)」、EMBO J.、第10巻、4025〜4031頁]。
関節炎の予防モデルにおけるPEG化TAR1−5−19の効果試験
Tg197マウスは、ヒトTNF−グロビンハイブリッド遺伝子に対する遺伝子組換えマウスであり、4〜7週齢におけるヘテロ接合体は、関節リウマチと共通の組織学的特徴を有する慢性の多発性進行性関節炎を発生させる[Keffer,J.、Probert,L.、Cazlaris,H.、Georgopoulos,S.、Kaslaris,E.、Kioussis,D.、Kollias,G.(1991)、「ヒト腫瘍壊死因子を発現する遺伝子組換えマウス:関節炎の予測的遺伝子モデル(Transgenic mice expressing human tumor nectrosis factor:a predictive genetic model of arthritis.)」、EMBO J.、第10巻、4025〜4031頁]。
Tg197モデルでの関節炎の予防におけるPEG化dAb(dAb[すなわち40K mPEG2 MAL2]の結合のための2つの部位を有し、dAbがTAR1−5−19シスである2x20k枝分れされるPEG形式)の効果を試験するために、ヘテロ接合遺伝子組換えマウスを雄と雌が同数の10匹の群に分けた。3週齢から処理を開始し、試験品目を毎週腹腔内注射した。TAR1−5−19単量体の発現及びPEG化の概要が、セクション1.3.3、実施例1に記載されている。すべてのタンパク質調製物をリン酸緩衝食塩水に含め、エンドトキシンの許容レベルについて試験した。
試験をブラインドで行った。毎週、動物の体重を測定し、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(膨れ、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候を採点した。
試験の結果は、10mg/kgのPEG化TAR1−5−19が関節炎の発生を抑制し、食塩水対照と処理群の関節炎スコアに有意な差があることを明確に実証していた。1mg/kg用量のPEG化TAR1−5−19も食塩水対照群に比べて統計的に有意に低い中間関節炎スコアをもたらした(ウィルコクソン試験に対する標準的な近似値を用いた場合はp<0.05%)。
(実施例15)
関節炎の治療モデルにおけるPEG化TAR1−5−19の効果試験
Tg197マウスモデルにおける関節炎の治療モデルにおけるPEG化dAbの効果を試験するために、ヘテロ接合遺伝子組換えマウスを雄と雌が同数の10匹の群に分けた。マウスが有意な関節炎表現型を有していた6週齢から処理を開始した。試験品目を4.6mg/kg腹腔内注射する処理を毎週2回行った。試料調製及び疾病採点は、実施例14に記載した通りである。
関節炎の治療モデルにおけるPEG化TAR1−5−19の効果試験
Tg197マウスモデルにおける関節炎の治療モデルにおけるPEG化dAbの効果を試験するために、ヘテロ接合遺伝子組換えマウスを雄と雌が同数の10匹の群に分けた。マウスが有意な関節炎表現型を有していた6週齢から処理を開始した。試験品目を4.6mg/kg腹腔内注射する処理を毎週2回行った。試料調製及び疾病採点は、実施例14に記載した通りである。
関節炎採点は、PEG化TAR1−5−19は治療モデルにおける関節炎の進行を抑制することを明確に実証した。4.6mg/kg用量のPEG化TAR1−5−19は、9週間目において、食塩水対照群に比べて統計的に有意に低い中間関節炎スコアをもたらした(ウィルコクソン試験に対する標準的な近似値を用いた場合はp<0.01%)。
(実施例16)
低速放出形式におけるdAb効果
低速放出形式によるdAbの効果を試験するために、小さいPEG分子を有するdAb(PEGは、C末端シス残基を有するdAbの結合のための4つの部位を有する4x5kで、dAbはTAR1−5−19[すなわち20K PEG4腕MAL]である)を0.2mlの蠕動ポンプに充填した。蠕動ポンプは、4週間に0.2mlの放出速度を有し、上述の治療Tg197モデルにおいて6週間目にマウスに皮下移植された。これらの動物の関節炎スコアは、生理食塩水を充填したポンプが移植された動物と比較すると明確に遅い速度で上昇した。これは、dAbが遅い放出形式により送達された場合に効果があることを実証している。
低速放出形式におけるdAb効果
低速放出形式によるdAbの効果を試験するために、小さいPEG分子を有するdAb(PEGは、C末端シス残基を有するdAbの結合のための4つの部位を有する4x5kで、dAbはTAR1−5−19[すなわち20K PEG4腕MAL]である)を0.2mlの蠕動ポンプに充填した。蠕動ポンプは、4週間に0.2mlの放出速度を有し、上述の治療Tg197モデルにおいて6週間目にマウスに皮下移植された。これらの動物の関節炎スコアは、生理食塩水を充填したポンプが移植された動物と比較すると明確に遅い速度で上昇した。これは、dAbが遅い放出形式により送達された場合に効果があることを実証している。
(実施例17)
半減期安定化抗ヒトTNF−αdAbは、Tg197マウスモデルにおけるRAの発症を防止する
本明細書に記載されているdAb単量体TAR1−5−19は、受動的に塗布されたTNF−αを使用して初期に選択されたdAbから誘導された親和性成熟dAb単量体である。初期のクローンは、L929TNF細胞傷害性中和試験におけるND50が5μMより大きい。本明細書に記載されているようにFc融合として設定された場合は、TAR1−5−19クローンは、L929試験におけるND50が5nMより小さい。
半減期安定化抗ヒトTNF−αdAbは、Tg197マウスモデルにおけるRAの発症を防止する
本明細書に記載されているdAb単量体TAR1−5−19は、受動的に塗布されたTNF−αを使用して初期に選択されたdAbから誘導された親和性成熟dAb単量体である。初期のクローンは、L929TNF細胞傷害性中和試験におけるND50が5μMより大きい。本明細書に記載されているようにFc融合として設定された場合は、TAR1−5−19クローンは、L929試験におけるND50が5nMより小さい。
マウスに注入した後に、TAR1−5−19dAb Fc融合の血清半減期を調べた。結果を図24に示す。TAR1−5−19dAb単量体が約20分間のt1/2βを有していた場合には、同じdAbのFc融合形式バージョンは、24時間を上回るt1/2βを有し、血清半減期の増加が70倍を上回っていた。
上述のRAのTg197マウスモデルにおいてTAR1−5−19dAb Fc融合構築物を試験した。マウスを、群毎に雌と雄が同数の10匹を含む5つの群に分けた。TAR1−5−19dAb Fc融合物、ENBREL又は生理食塩水のIP注射を毎週2回行う処理を、RA症状がまだ示されていない3週齢から開始した。試験を7週間にわたって実施した。図25に示されるように、2種類の用量、すなわち1mg/kg及び10mg/kgのTAR1−5−19dAb Fc融合物を投与した。陰性の対照動物は、陰性の対照抗β−gal Fc融合物を10mg/kgの用量で毎週2回与えられ、1つの群は、生理食塩水注射により毎週2回処理された。比較のために、1つの群に10mg/kgのENBRELを毎週2回与えた。
動物をブラインド方式で本明細書に記載されているように関節炎スコアについて評価した。7週間の処理過程の最後において、10mg/kgの用量のTAR1−5−19dAb Fc融合物を毎週2回与えられた動物は、ENBRELを10mg/kgの用量で与えられた動物より関節炎スコアが低く、未処理の動物、又は陰性の対照dAb Fc融合物を与えられた動物と比べて、関節炎疾患が実質的に完全に予防されていた。
TNF−αは悪液質と関連づけられる。抗TNF−αdAb処理の全課程を通じて動物の体重を測定した。TAR1−5−19dAb Fc融合物が与えられた動物の体重は、陰性の対照dAb Fc融合物を与えられた動物、及び処理を受けていない動物より有意に大きく、ENBREL注入を受けた動物の体重と類似していた。
要約すると、10mg/kgのTAR1−5−19は、Tg197モデルにおいて関節炎の発症を完全に防止した。この応答は、投与量に依存し、一部の効果は1mg/kgの投与量に起因し、応答は、同様の投与量の既存の抗TNF−α役ENBRELによって観察された応答より優れていた、この試験は、ヒトの疾患の臨床的に許容されるモデルにおける治療薬としてのdAbの効果を実証している。
動物の関節の固定部の組織病理学的分析は、これらのデータ(不図示)と一致する。
(実施例18)
異なる拡大半減期形式に対するインビボ試験
3つの異なる拡大半減期抗TNF−αdAb形式を関節炎スコアに対する効果について調べた。これらの形式は、抗TNF−αdAb Fc融合物(ヒトIgG CH2/CH3領域に対する融合によってホモ二量体化された2つの抗ヒトTNF−αdAb)、2つの異なるPEG結合抗TNF−αdAb構築物(2x20K枝分れPEGに対する2つの同一のdAbのシスマレイミド結合によって形成されたホモ二量体、及び4x10K枝分れPEGに対する4つの同一のdAbに対するシスマレイミド結合によって形成されたホモ四量体)、並びに2つの同一の抗TNF−αdAbと、それらに続く抗マウス血清アルブミンdAbを含む二重特異性抗TNF−α/抗SA dAbであった。
異なる拡大半減期形式に対するインビボ試験
3つの異なる拡大半減期抗TNF−αdAb形式を関節炎スコアに対する効果について調べた。これらの形式は、抗TNF−αdAb Fc融合物(ヒトIgG CH2/CH3領域に対する融合によってホモ二量体化された2つの抗ヒトTNF−αdAb)、2つの異なるPEG結合抗TNF−αdAb構築物(2x20K枝分れPEGに対する2つの同一のdAbのシスマレイミド結合によって形成されたホモ二量体、及び4x10K枝分れPEGに対する4つの同一のdAbに対するシスマレイミド結合によって形成されたホモ四量体)、並びに2つの同一の抗TNF−αdAbと、それらに続く抗マウス血清アルブミンdAbを含む二重特異性抗TNF−α/抗SA dAbであった。
個別的な試験において、3週齢から開始し、7週間にわたって継続的に、医薬組成物を図26に示されるように10mg/kg又は1mg/kgの投与量で毎週投与し、或いは用量を変えながら毎週2回投与した。
PEG化抗TNF dAbホモ二量体は、関節炎スコアに基づく関節炎の完全な予防については、毎週注入プロトコルにおいて10mg/kgが有効であった。比較のために使用した現行の抗TNF−α薬は、未処理の動物と比べて関節炎スコアが低下したが、PEG化dAb構築物によって達成されたスコアより統計的に有意に高かった。抗TNF−α/抗SA二重特異性及びFc融合物は、未処理のものと比べて効果を示した。
1mg/kgを毎週注入する療法において、どの処理も疾患の発症を予防する効果が100%ではなかったが、PEG化抗TNF−αdAb構築物は、無処理のもの及び現行の抗TNF−α薬と比べて、疾病症状の進行を予防する効果が高かった。この投与療法において、抗TNF−αdAb Fc融合物及び二重特異性構築物も現行の薬物より効果的であった。
要約すると、3つの異なる形式の半減期拡大dAbを使用する毎週投与療法試験では、ヒトの疾病の臨床的に許容されるモデルにおける処理の効果をさらに検証する。
(実施例19)
確定された疾病に対する既存の抗TNF−α治療薬と比較したTg197マウスRAモデルにおける抗ヒトTNF−αdAbの効果
この試験において、確立された疾病に対する様々な形式及び投与療法の抗TNF−αdAb構築物の効果を、Tg197RAモデルにおける同モル用量の現行の抗TNF−α治療薬ENBREL、HUMIRA及びREMICADEと比較した。3週間ではなく、関節炎症状が既に示された6週間から動物への治療薬の投与を開始した。症状を組織学的にモニタリングし(9週間目)、ブラインド的に関節炎採点を行った(毎週)。
確定された疾病に対する既存の抗TNF−α治療薬と比較したTg197マウスRAモデルにおける抗ヒトTNF−αdAbの効果
この試験において、確立された疾病に対する様々な形式及び投与療法の抗TNF−αdAb構築物の効果を、Tg197RAモデルにおける同モル用量の現行の抗TNF−α治療薬ENBREL、HUMIRA及びREMICADEと比較した。3週間ではなく、関節炎症状が既に示された6週間から動物への治療薬の投与を開始した。症状を組織学的にモニタリングし(9週間目)、ブラインド的に関節炎採点を行った(毎週)。
毎週2回の投与に対する様々な形式及び投与量が図27に示されている。形式は、Fc融合物(ヒトIgG1 CH2/CH3領域に対する融合によって二量体化されたTAR1−5−19dAbの2つの複製物)、TAR1−5−19dAb PEG二量体(2x20K枝分れPEGに対する2つの同一のdAbのシス−マレイミド結合によって形成されたホモ二量体)、TAR1−5−19dAb PEG四量体(4x20K枝分れPEGに対する4つの同一のdAbのシス−マレイミド結合によって形成されたホモ四量体)及びTAR1−5−19dAb/抗マウスSA二重特異性(2つの同一の抗TNF−αdAb、及びそれに続く抗マウス血清アルブミンdAbの線形融合物)を含んでいた。投与療法を図28に概略的に示す。移植蠕動ポンプを介する4x5k PEG化TAR1−5−19構築物の連続投与の評価も行った。
試験の結果は、現行の生物製剤はいずれも9週間で関節炎スコアを顕著に逆転させていないことを示していた。TAR形式は、いずれも、食塩水対照と比較した場合に関節炎スコアを多かれ少なかれ安定化させ、これは統計的に有意であった。さらに、6週間目のスコアと比較した場合に、疾病の逆転の徴候があった。
また、9週間目における関節炎の関節は、組織病理学的疾病状態について調べると、6週間目の関節と比較した場合に、TAR形式で処理した後の疾病重症度が低減されていた。これにより、TAR形式は、確立された疾病の関節炎表現型の逆転を誘発できることが確認される。
これらの試験は、試験された抗TNF−αdAb構築物の確立された関節炎疾病の効果を、少なくとも部分的に疾病の過程を逆転させるTNFα−dAbの能力を含めて実証している。
(実施例20)
抗血清アルブミンdAbとの融合物としての抗TNF dAbの効果
関節炎の予防モデルにおけるTAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物の効果試験
Tg197マウスは、ヒトTNF−グロビンハイブリッド遺伝子に対する遺伝子組換えマウスであり、4〜7週齢におけるヘテロ接合体は、関節リウマチと共通の組織学的特徴を有する慢性の多発性進行性関節炎を発生させる[Keffer,J.、Probert,L.、Cazlaris,H.、Georgopoulos,S.、Kaslaris,E.、Kioussis,D.、Kollias,G.(1991)、「ヒト腫瘍壊死因子を発現する遺伝子組換えマウス:関節炎の予測的遺伝子モデル(Transgenic mice expressing human tumor nectrosis factor:a predictive genetic model of arthritis.)」、EMBO J.、第10巻、4025〜4031頁]。
抗血清アルブミンdAbとの融合物としての抗TNF dAbの効果
関節炎の予防モデルにおけるTAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物の効果試験
Tg197マウスは、ヒトTNF−グロビンハイブリッド遺伝子に対する遺伝子組換えマウスであり、4〜7週齢におけるヘテロ接合体は、関節リウマチと共通の組織学的特徴を有する慢性の多発性進行性関節炎を発生させる[Keffer,J.、Probert,L.、Cazlaris,H.、Georgopoulos,S.、Kaslaris,E.、Kioussis,D.、Kollias,G.(1991)、「ヒト腫瘍壊死因子を発現する遺伝子組換えマウス:関節炎の予測的遺伝子モデル(Transgenic mice expressing human tumor nectrosis factor:a predictive genetic model of arthritis.)」、EMBO J.、第10巻、4025〜4031頁]。
Tg197モデルにおける関節炎の予防におけるTAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物(TAR1−5−19、TAR1−5−19及び抗マウス血清アルブミンdAbである3dAbのインライン三量体)を試験するために、ヘテロ接合遺伝子組換えマウスを雄と雌が同数の10匹の群に分けた。3週齢から処理を開始し、試験品目を毎週腹腔内注射した。TAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物を、C末端ヘキサヒスチジンタグで大腸菌に発現させ、Ni親和性クロマトグラフィ、IEX及びゲル濾過によって精製した。すべてのタンパク質調製物をリン酸緩衝食塩水に含め、エンドトキシンの許容レベルについて試験した。
試験をブラインドで行った。毎週、動物の体重を測定し、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(膨れ、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候を採点した。
試験の結果は、10mg/kgのTAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物が関節炎の発生を抑制し、食塩水対照と処理群の関節炎スコアに有意な差があることを明確に実証していた。1mg/kg用量のTAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物も食塩水対照群に比べて統計的に有意に低い中間関節炎スコアをもたらした(ウィルコクソン試験に対する標準的な近似値を用いた場合はp<2%)。
B 関節炎の治療モデルにおけるTAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物の効果試験
Tg197モデルにおける関節炎の治療モデルにおけるTAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物の効果を試験するために、ヘテロ接合遺伝子組換えマウスを雄と雌が同数の10匹の群に分けた。動物が有意な関節炎表現型を有していた6週齢から処理を開始した。試験品目を2.7mg/kg腹腔内注射する処理を毎週2回行った。試料調製及び疾病採点は、上述した通りである。
Tg197モデルにおける関節炎の治療モデルにおけるTAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物の効果を試験するために、ヘテロ接合遺伝子組換えマウスを雄と雌が同数の10匹の群に分けた。動物が有意な関節炎表現型を有していた6週齢から処理を開始した。試験品目を2.7mg/kg腹腔内注射する処理を毎週2回行った。試料調製及び疾病採点は、上述した通りである。
関節炎採点は、TAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物は治療モデルにおける関節炎の進行を抑制することを明確に実証した。2.7mg/kg用量のTAR1−5−19/抗血清アルブミンdAb融合物は、9週間目において、食塩水対照群に比べて統計的に有意に低い中間関節炎スコアをもたらした(ウィルコクソン試験に対する標準的な近似値を用いた場合はp<0.05%)。
これは、抗TNF dAbは抗SA dAbによる形式において有効でありうること、及び抗SA dAbは、抗TNF dAb単体に対して期待される半減期より抗TNF dAbの半減期を延ばしたことを明確に実証している。
(実施例21)
RAのTg197マウスモデルにおける関節炎及び組織病理学的スコアに対する本明細書に記載されている抗TNF−αdAbの効果の調査
RAのTg197モデルにおける関節炎及び組織病理学的スコアに対する抗TNF−αdAbの効果を調べる2つのさらなる試験を行った。
RAのTg197マウスモデルにおける関節炎及び組織病理学的スコアに対する本明細書に記載されている抗TNF−αdAbの効果の調査
RAのTg197モデルにおける関節炎及び組織病理学的スコアに対する抗TNF−αdAbの効果を調べる2つのさらなる試験を行った。
第1の試験において、RA症状の発症前の3週齢から、毎週2回10mg/kgの用量で上述のTAR1−5−19dAb Fc融合物の投与を開始した。同じスケジュールによる食塩水、ENBREL及び対照Fc融合dAb注入物との比較において結果を判断した。
TAR1−5−19dAb Fc融合物は、関節炎スコアによって判断されたように、且つ組織スライドの分析から、RA症状の発症を防止する上でENBRELより効果的であった。
第2の試験において、3週齢から開始した、10又は1mg/kgの抗TNF−αdAb Fc融合物、PEG二量体及び二重特異性抗TNF/抗SAを毎週投与することの効果を調べる。ENBREL及びHUMIRAと比較する。
1mg/kg又は10mg/kgの投与量で与えられるすべてのTAR形式に対する関節炎スコアは、食塩水対照と比較すると減少した。さらに、疾病の発症が遅れるという証拠があった。PEG化及び抗SA二重特異性形式は、HUMIRA及びENBRELと比較すると、関節炎の重症度の低減により効果的であった。加えて、10週間目における関節の組織の分析により、TAR形式は、食塩水対照と比較するとより効果的で疾病重症度を低減していたことが示された。
要約すると、Fc融合物におけるTAR1−5−19抗TNF−dAb、PEG化及び抗SA二重特異性形式は、関節炎症状の発症の前に投与されても後に投与されても、Tg197モデルにおけるRA症状に対してすべて効果的である。最も効果的な抗TNF dAb形式は、HUMIRAと同等か、又はより効果的であり、最も効果的な抗TNF dAb形式は、すべての試験においてENBRELより有意に効果的である。
TAR15−1クローンは、低密度BIAcoreチップにおいて様々な濃度で試験された場合に50〜80nMのKdを有する。他のVKクローンを、1つの濃度(50nM)で低密度チップに接触させた。異なるクローンは、異なる動力学的プロフィルを示す。
アミノ酸配列:
共通配列:W28、G30、E32、S34、H50及びY93。
アミノ酸配列:
共通配列:W28、G30、E32、S34、H50及びY93。
(実施例23)
抗VEGF dAbによるさらなる試験
本明細書に記載されている抗VEGFdAbを、例えばFc融合物、Fab、PEG化形態、二量体、四量体及び抗SA二重特異性形態を含む、抗TNF−αdAbについて上述した様々な形式における効果について試験することが可能である。抗VEGF dAbを本明細書に記載されている抗TNF−αdAbばかりでなく、HUMIRA、ENBREL及び/又はREMICADEの如き他の抗TNF−α調製物で評価することも可能である。
抗VEGF dAbによるさらなる試験
本明細書に記載されている抗VEGFdAbを、例えばFc融合物、Fab、PEG化形態、二量体、四量体及び抗SA二重特異性形態を含む、抗TNF−αdAbについて上述した様々な形式における効果について試験することが可能である。抗VEGF dAbを本明細書に記載されている抗TNF−αdAbばかりでなく、HUMIRA、ENBREL及び/又はREMICADEの如き他の抗TNF−α調製物で評価することも可能である。
例えば、RAのTg197モデルにおける関節炎及び組織病理学的スコアに対する光VEGF dAbの効果を調べるためにさらなる試験を行うことができる。
例えば、3週齢(RA症状の発症の前)又は6週齢(症状の発症の後)から毎週1回又は2回、1mg/kg又は10mg/kgで、上述したTAR1−5−19Fc融合物に類似したTAR15dAb Fc融合物の腹腔内投与を開始し、7週間以上にわたって継続させた。好ましくは等しいモル量の食塩水、対照Fc融合物(抗β−gal)、TAR1−5−19単体、ENBREL、REMICADE及び/又はHUMIRAとの比較において結果を判断する。
上述したマクロ表現型指標(例えば関節炎スコア)及び組織病理学的スコアについて動物を採点する。効果は、
i)3週齢から動物への投与を開始した場合に(関節炎又は組織病理学的スコアによって明示される)疾病症状を発生させないこと、
ii)3週齢から投与を開始した場合に、対照動物と比べて、現れる疾病症状の重症度が低いこと、
iii)6週齢から投与を開始した場合に、対照動物と比べて、より重症度の高い疾病に進行することがないか、或いは進行速度が低いこと、
iv)6週齢から動物に対する投与を開始した場合に、7、8、9、10、11、12又は14週間目のいずれかにおいて(ここでも関節炎スコア又は組織病理学的スコアによる)症状が逆転することのいずれかによって実証される。
i)3週齢から動物への投与を開始した場合に(関節炎又は組織病理学的スコアによって明示される)疾病症状を発生させないこと、
ii)3週齢から投与を開始した場合に、対照動物と比べて、現れる疾病症状の重症度が低いこと、
iii)6週齢から投与を開始した場合に、対照動物と比べて、より重症度の高い疾病に進行することがないか、或いは進行速度が低いこと、
iv)6週齢から動物に対する投与を開始した場合に、7、8、9、10、11、12又は14週間目のいずれかにおいて(ここでも関節炎スコア又は組織病理学的スコアによる)症状が逆転することのいずれかによって実証される。
上述の異なる形式、例えばFab、PEG化形態、二量体、四量体及び抗SA二重特異性形態の各々により同様の試験を行うことが可能である。
TAR15 dAbの如き抗VEGF dAbをHUMIRA、ENBREL及び/又はREMICADEと組み合わせてTg197マウスモデルに投与することも可能である。当該試験は、VEGF dAb単体の試験について上述したのと同様に実施され、効果も同様に測定される。
(実施例24)
クローン病モデルにおける抗TNF−αdAbの評価
クローン病における抗TNF−αdAb(及び/又は抗VEGF dAb)の効果を評価するために、最初にKontoyiannisら、1999、Immunity、10:387−398に記載されたクローン病のTnfΔARE遺伝子組換えマウスモデルを使用する。それらの動物は、4週齢と8週齢の間に始まる、クローン病に対する類似性を有するIBD表現型を生じる。したがって、抗TNF−a dAb、例えば様々な形式のTAR1−5−19(Fc融合物、Fab、PEG化(二量体、四量対等)、VEGFによる二重特異性、抗SAによる二重特異性等)を(疾病の予防を試験するために)3週齢、又は(疾病症状の安定化、進行の防止又は逆転を試験するために)6週齢に投与し、本明細書に記載されているように体重により、且つ組織学的に動物を採点する。初期試験には1mg/kg及び10mg/kgの腹腔内投与を用い、これらの初期試験の結果に応じて調整する。試験組成物を毎週1回又は2回投与するか、或いは例えば蠕動ポンプを使用して連続的に投与することが可能である。或いは、例えばザンタックを用いた胃管栄養法又は腸溶性製剤による経口投与製剤を適用することも可能である。試験は、開始されてから7週間、又はそれ以上継続される。
クローン病モデルにおける抗TNF−αdAbの評価
クローン病における抗TNF−αdAb(及び/又は抗VEGF dAb)の効果を評価するために、最初にKontoyiannisら、1999、Immunity、10:387−398に記載されたクローン病のTnfΔARE遺伝子組換えマウスモデルを使用する。それらの動物は、4週齢と8週齢の間に始まる、クローン病に対する類似性を有するIBD表現型を生じる。したがって、抗TNF−a dAb、例えば様々な形式のTAR1−5−19(Fc融合物、Fab、PEG化(二量体、四量対等)、VEGFによる二重特異性、抗SAによる二重特異性等)を(疾病の予防を試験するために)3週齢、又は(疾病症状の安定化、進行の防止又は逆転を試験するために)6週齢に投与し、本明細書に記載されているように体重により、且つ組織学的に動物を採点する。初期試験には1mg/kg及び10mg/kgの腹腔内投与を用い、これらの初期試験の結果に応じて調整する。試験組成物を毎週1回又は2回投与するか、或いは例えば蠕動ポンプを使用して連続的に投与することが可能である。或いは、例えばザンタックを用いた胃管栄養法又は腸溶性製剤による経口投与製剤を適用することも可能である。試験は、開始されてから7週間、又はそれ以上継続される。
クローン病のTnfΔAREモデルにおける効果は、
i)3週齢から動物への投与を開始した場合に疾病症状を発生させないこと、
ii)3週齢から投与を開始した場合に、対照動物と比べて、現れる疾病症状の重症度が低いこと、
iii)6週齢から投与を開始した場合に、対照動物と比べて、より重症度の高い疾病に進行することがないか、或いは進行速度が低いこと、
iv)6週齢から動物に対する投与を開始した場合に、7、8、9、10、11、12又は14週間目のいずれかにおいて症状が逆転することのいずれかによって示される。
i)3週齢から動物への投与を開始した場合に疾病症状を発生させないこと、
ii)3週齢から投与を開始した場合に、対照動物と比べて、現れる疾病症状の重症度が低いこと、
iii)6週齢から投与を開始した場合に、対照動物と比べて、より重症度の高い疾病に進行することがないか、或いは進行速度が低いこと、
iv)6週齢から動物に対する投与を開始した場合に、7、8、9、10、11、12又は14週間目のいずれかにおいて症状が逆転することのいずれかによって示される。
特に、処理された動物における平均の組織病理学的疾病スコアが媒体対照群より(統計的に有意な量だけ)低い場合に処理は有効であると見なされる。平均の組織病理学的スコアが、媒体のみの対照群と比べて、少なくとも0.5単位、少なくとも1.0単位、少なくとも1.5単位、少なくとも2.0単位、少なくとも2.5単位、少なくとも3.0単位、又は少なくとも3.5単位だけ低い場合にも処理は有効であると見なされる。或いは、平均の組織病理学的スコアが、治療措置の過程全体を通じて0から0.5又はそれ以下に維持されている場合に処理は有効である。
RAモデルについては、VEGFに対して特異的なdAb又は他の抗TNF−a組成物(例えばENBREL、REMICADE及び/又はHUMIRA)を用いた組合せ治療の効果もこのモデルで評価される。
(実施例25)
ヒトTNF−α及びヒトVEGFに対して導かれる二重特異性IgG
以下に記載する改変IgG類似二重特異性形式において、2つの異なる特異性のdAbが、それぞれ重鎖及び軽鎖定常領域に融合される。細胞に同時発現すると、2つの治療標的(例えば、TNF−αに対して特異的な標的及びVEGFに対して特異的な標的)に結合することが可能な2つの可変領域が二重標的IgGの各腕に存在する二腕IgG類似分子が生成される。
ヒトTNF−α及びヒトVEGFに対して導かれる二重特異性IgG
以下に記載する改変IgG類似二重特異性形式において、2つの異なる特異性のdAbが、それぞれ重鎖及び軽鎖定常領域に融合される。細胞に同時発現すると、2つの治療標的(例えば、TNF−αに対して特異的な標的及びVEGFに対して特異的な標的)に結合することが可能な2つの可変領域が二重標的IgGの各腕に存在する二腕IgG類似分子が生成される。
DNA構築物。使用された哺乳類発現ベクターは、CMV最初期プロモーターを介して哺乳類細胞における遺伝子発現を促進するInvitrogenのpcDNA3.1骨格に基づいていた。重鎖発現については、ヒトCD33シグナルペプチド及びヒトIgG1重鎖定常領域からなるカセットをベクターpcDNA3.1(+)のNheI及びXbaI制限部位に挿入し、HindIII及びNotI制限部位を使用して、VEGFに対して特異的で、重鎖ポリペプチドの一部として発現された可変領域をCD33シグナルペプチドとIgG1重鎖定常領域の間でこのカセットにクローニングした。軽鎖発現については、CD33シグナルペプチド及びヒトCカッパ定常領域からなるカセットをベクターpcDNA3.1zeo(+)のNheI及びXhoI制限部位に挿入し、HindIII及びNotI制限部位を使用して、TNF−αに対して特異的で、軽鎖ポリペプチドの一部として発現された可変領域をCD33シグナルペプチドとCカッパ定常領域の間でこのカセットにクローニングした。
タンパク質発現及び精製。重鎖及び軽鎖発現ベクターのDNAを、製造元の説明書に従ってQiagen EndoFreeプラスミドメガキットを使用して調製し、HEK293(ヨーロッパ細胞培養コレクションから入手)又はCos−7細胞(アメリカンタイプカルチャコレクションから入手)にRocheトランスフェクト試薬Fugene6を製造元の説明書に従ってトランスフェクトするのに使用した。5日後、培養上澄みを遠心分離によって収穫し、二工程親和性精製を用いて、スクリーニングされた二重特異性抗体を精製した。第1に、培養上澄みにリン酸緩衝食塩水(PBS)を補給して、最終濃度を1.5×PBSとし、Amershamストリームラインタンパク質A樹脂上に抗体を取り込んだ。樹脂を2×PBSで洗浄した後に、10mMのトリス(pH8)で洗浄し、0.1Mグリシン(pH2)を使用して、結合抗体を溶出した。25%容量のMトリス(pH8)を添加することによって溶出物を中和し、組換え抗体をAffitechタンパク質Lアガロース樹脂上に取り込んだ。樹脂を再び2×PBSを使用して洗浄した後に、10mMトリス(pH8)で洗浄し、0.1Mグリシン(pH2)を使用して、結合した組換え抗体を溶出し、25%容量の1Mトリス(pH8)を添加することによって溶出物を中和した。
組換え抗体の分析。280nmにおける吸光度読取り値を用いて、精製された組換え抗体を分光光度計で定量し、Invitrogen NuPAGE4−12%ビス−トリスゲル及びSilverQuest染色を用いて、製造元の説明書に従って、SDS−PAGEにより分析した。図29は、ヒトIgG1重鎖定常領域に融合されたヒトVEGFに対して特異的なカッパ可変領域と、ヒトCカッパ定常領域に融合されたヒトTNF−αに対して特異的なカッパ可変領域とを含む二重特異性抗体のSDS−PAGE分析を示す図である。レーン1にInvitrogenマルチマーク分子量マーカーを充填し、レーン2に、1×Invitrogen NuPAGE LDS試料緩衝液に含めた二重特異性抗体を充填し、レーン3に、10mMβメルカプトエタノールを補充した1×Invitrogen NuPAGE LDS試料緩衝液に含めた二重特異性抗体を充填した。レーン3では、重鎖が50kDaのバンドとして見られ、軽鎖が25kDaのバンドとして見られる。
二重特異性の試験。ヒトTNF細胞試験及びヒトVEGF受容体結合試験の双方における各々の精製された抗体のバッチの抗力を測定することによって、発現された抗体の二重特異性を実証した。
用いたヒトTNF細胞ベースの試験は、Evans(2000、Molecular Biotechnology、15、243−248)に記載されたL929細胞傷害性試験であった。手短に述べると、マイクロタイタプレートに仕込んだL929細胞を二重特異性抗体、100pg/mlのTNF及び1mg/mlのアクチノマイシンD(Sigma(英国Poole所在))とともに一晩インキュベートした。[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホニル)−2H−テトラゾリウム(Promega(米国Madison所在))とともにインキュベートした後に、490nmの吸光度を読み取ることによって細胞生死を測定した。抗TNF活性により、TNF細胞傷害性が低下したため、TNFのみの対照と比較して吸光度が高くなった。
基本的には「免疫グロブリンをベースとした多重特異性リガンドの調製」というタイトルのセクションに記載したように、VEGFR2を使用してVEGF活性を測定した。手短に述べると、96ウェルNunc Maxisorp試験プレートに、炭酸緩衝液に0.5μg/mlの濃度で含めた組換えヒトVEGF R2/Fc(R&D Systems、Cat.No:357−KD−050)を一晩かけて塗布した。0.05%ツイーン/PBS、次いでPBSでウェルを繰り返し洗浄した。PBSに含められた2%BSAを添加して、プレートを遮断した。ウェルを(上述のように)洗浄し、次いで精製した二重特異性抗体を各ウェルに添加した。次いで、希釈液に6ng/mlの濃度(最終濃度を3ng/mlとする)で含められたVEGFを各ウェルに添加し、プレートを室温にて2時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、次いで希釈液に0.5μg/mlの濃度で含められたビオチン化抗VEGF抗体(R&D Systems、Cat No:BAF293)を添加し、室温にて2時間インキュベートした。ウェルを上記のように洗浄した後に、HRP共役抗ビオチン抗体(希釈液で1:5000に希釈;Stratech、Cat No:200−032−096)を添加した。次いで、プレートを室温にて1時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄し、ツイーン20のあらゆる痕跡を除去した。検出のために、100μlのSureBlue 1−成分TMBマイクロウェルペロキシダーゼ溶液を各ウェルに添加した。1M塩酸を添加することによって反応を停止させた後に、プレートリーダーを使用してOD450を読み取った。
図30は、ヒトIgG1重鎖定常領域に融合されたヒトVEGFに対して特異的なカッパ可変領域と、ヒトCカッパ定常領域に融合されたヒトTNF−αに対して特異的なカッパ可変領域とを含む二重特異性抗体に対する結果を示す図である。二重特異性抗体(抗TNF−αx抗VEGFを表す)は、ヒトTNF−α及びヒトVEGFの両方を結合した。抗体は、両方の標的に対して二価である。TNF−αに対するND50は、可変領域として二重特異性分子におけるCカッパに融合される抗TNF−α単量体(200nM)に対するND50より有意に低い(24nM)。VEGFに対するEC50は、可変領域として二重特異性分子における重鎖定常領域に融合される抗VEGF単量体(12nM、不図示)に対するEC50よりはるかに低く(75pM)、タンパク質L架橋によってオリゴマー形成された抗VEGF単量体に対するEC50よりも低い(平方で示されたデータ点を有する直線、990pM)。
本実施形態の構築物は、第1のエピトープを結合するVH又はVL単一領域抗体の2つの複製物と、第2のエピトープを結合するVH又はVL単一領域抗体の2つの複製物とを含む四価の二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物である。第1のエピトープを結合する単一領域抗体の2つの複製物の各々は、IgG重鎖定常領域に融合され、第2のエピトープを結合する単一領域抗体の2つの複製物の各々は、軽鎖定常領域に融合される。
当業者は、例えば、他の抗TNF−α及び抗VEGF抗体配列、例えば本明細書に記載されている配列のいずれかを使用して、本実施例に記載されている構築物に類似したさらなる二重特異性四価ポリペプチド構築物を生成することが可能である。他の実施形態において、Cκ又はCλ軽鎖定常領域を使用することができ、IgG1以外のIgG重鎖定常領域を使用することもできる。この種の構築物への展開に使用するのに特に興味深いのは、dAb単量体として関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止する単一領域抗TNF−α抗体クローン、並びにdAb単量体としてコラーゲン誘発関節炎マウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止する単一領域抗VEGF抗体クローンである。また、単一領域抗TNF−α抗体クローンの単量体は、L929細胞傷害性試験においてヒトTNF−αを中和すること、及び単一領域抗VEGF抗体クローンの単量体は、本明細書に記載されているVEGF受容体2結合の試験においてVEGF受容体結合に拮抗することが好ましい。使用される単一領域抗体クローンは、100nM未満のKdでそれぞれのエピトープを結合することが好ましい。また、当該二重特異性四価構築物は、100nM未満のKdでそれぞれのエピトープを結合し、本明細書に記載されている関節炎のTg197及びCIAモデルのいずれか又は両方において関節炎スコアの増加を防止することが好ましい。
当該構築物を、投与、投与量、及び効果のモニタリングの観点で本明細書に記載されている他の構築物と同様にして、関節リウマチの治療に使用することが可能である。例えば、PEG成分の添加、及び/又は循環半減期を増加させるタンパク質、例えばHSAの如き血清タンパク質に対して特異的な結合成分(例えばさらなる単一領域抗体)のさらなる融合によって、上述したように構築物の半減期を改変することが可能である。
本明細書に言及されているすべての出版物、特許及び公開特許出願、並びに前記出版物に引用されている参考文献は、参照により本明細書に組み込まれている。本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく本発明の記載の方法及びシステムに様々な修正及び変更が加えられることを当業者なら理解するであろう。本発明を具体的な好ましい実施形態について説明したが、請求されている発明は当該具体的な実施形態に過度に限定されないことを理解されたい。実際、分子生物学又は関連分野の当業者に自明である、発明を実施するための記載の形態に対する様々な修正が、添付の特許請求の範囲の範囲内に含められるように意図されている。
付属書1:インビボの半減期を向上させるポリペプチド
α−1糖タンパク質(オロソムコイド)(AAG)
α−1アンチキロモトリムシン(ACT)
α−1アンチトリプシン(AAT)
α−1ミクログロブリン(タンパク質HC)(AIM)
α−2マクログロブリン(A2M)
アンチトロンビンIII(ATIII)
アポリポタンパク質A−1(ApoA−1)
アポリタンパク質B(ApoB)
β−2−ミクログロブリン(β2M)
セルロプラスミン(Cp)
補体成分(C3)
補体成分(C4)
C1エステラーゼ阻害剤(C1INH)
C−反応性タンパク質(CRP)
システインC(シスC)
フェリチン(FER)
フィブリノゲン(FIB)
フィブロネクチン(FN)
ハプトグロビン(Hp)
ヘモペクチン(HPX)
免疫グロブリンA(IgA)
免疫グロブリンD(IgD)
免疫グロブリンE(IgE)
免疫グロブリンG(IgG)
免疫グロブリンM(IgM)
免疫グロブリン軽鎖(カッパ/ラムダ)
リポタンパク質(a)[Lp(a)]
マンノース結合タンパク質(MBP)
ミオグロビン(Myo)
プラスミノゲン(PSM)
プレアルブミン(トランスチレチン)(PAL)
レチノール結合タンパク質(RBP)
レオマトイド因子(RF)
血清アミロイドA(SAA)
可溶性トランスフェリン受容体(sTfR)
トランスフェリン(Tf)
α−1糖タンパク質(オロソムコイド)(AAG)
α−1アンチキロモトリムシン(ACT)
α−1アンチトリプシン(AAT)
α−1ミクログロブリン(タンパク質HC)(AIM)
α−2マクログロブリン(A2M)
アンチトロンビンIII(ATIII)
アポリポタンパク質A−1(ApoA−1)
アポリタンパク質B(ApoB)
β−2−ミクログロブリン(β2M)
セルロプラスミン(Cp)
補体成分(C3)
補体成分(C4)
C1エステラーゼ阻害剤(C1INH)
C−反応性タンパク質(CRP)
システインC(シスC)
フェリチン(FER)
フィブリノゲン(FIB)
フィブロネクチン(FN)
ハプトグロビン(Hp)
ヘモペクチン(HPX)
免疫グロブリンA(IgA)
免疫グロブリンD(IgD)
免疫グロブリンE(IgE)
免疫グロブリンG(IgG)
免疫グロブリンM(IgM)
免疫グロブリン軽鎖(カッパ/ラムダ)
リポタンパク質(a)[Lp(a)]
マンノース結合タンパク質(MBP)
ミオグロビン(Myo)
プラスミノゲン(PSM)
プレアルブミン(トランスチレチン)(PAL)
レチノール結合タンパク質(RBP)
レオマトイド因子(RF)
血清アミロイドA(SAA)
可溶性トランスフェリン受容体(sTfR)
トランスフェリン(Tf)
Claims (202)
- 関節リウマチの治療、予防、進行の抑制又は発症の遅延のための医薬品を調製するための、インビトロでのヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物の使用。
- 関節リウマチの1つ又は複数の指標に統計的に有意な変化を誘発するための医薬品を調製するための、インビトロでのヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物の使用。
- 前記組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止する請求項1又は2に記載の使用。
- 前記投与は、RAの1つ又は複数の指標の統計的に有意な変化をもたらす請求項3に記載の使用。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、血沈(ESR)、リッチ関節指数及び朝のこわばりの持続時間、関節可動度、関節腫脹、1つ又は複数の関節のX線撮像、並びに1つ又は複数の関節の固定部の組織病理学的分析のいずれかを含む請求項4に記載の使用。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、前記組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、前記Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎の前記マクロ表現型徴候について採点され、関節炎の前記マクロ表現型徴候は、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って採点される請求項4に記載の使用。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、前記組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、前記Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎の前記マクロ表現型徴候について採点され、関節炎の前記組織病理学的徴候は、関節に実現され、0=検出可能な病状なし、1=滑膜の過形成及び多形核浸潤物の存在、2=パンヌス及び繊維状組織の形成並びに限局性軟骨下骨浸食、3=関節軟骨破壊及び骨浸食、4=広範な関節軟骨破壊及び骨浸食のシステムを用いて採点される請求項4に記載の使用。
- Tg197遺伝子組換えマウスに対する前記組成物の投与は、
a)異型接合Tg197遺伝子組換えマウスに対して前記組成物を腹腔内注射により毎週投与する工程と、
b)工程a)のマウスの重量を毎週測定する工程と、
c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候について前記マウスを毎週採点する工程とを含む請求項3に記載の使用。 - 前記組成物は、関節炎症状の発症が示される前に投与される請求項3に記載の使用。
- 前記マウスが3週齢のときに前記組成物が最初に投与される請求項3に記載の使用。
- 前記マウスが6週齢のときに前記組成物が最初に投与される請求項3に記載の使用。
- 前記組成物は、エタネルセプト、インフリキシマブ及びD2E7からなる群から選択される薬剤以上である、Tg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から11までのいずれかに記載の使用。
- 前記組成物は、治療が0から0.5の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から12までのいずれかに記載の使用。
- 前記組成物は、治療が0から1.0の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から13までのいずれかに記載の使用。
- 前記組成物は、治療が0から1.5の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から14までのいずれかに記載の使用。
- 前記組成物は、治療が0から2.0の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から15までのいずれかに記載の使用。
- 関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、それによって関節リウマチが治療される方法。
- 関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒトTNFαのTNFα受容体に対する結合を抑制し、それによって前記関節リウマチが治療される方法。
- 前記治療は、前記関節リウマチの進行を抑制することを含む請求項17又は18に記載の方法。
- 前記治療は、関節リウマチの発症を防止する、又は遅らせることを含む請求項17又は18に記載の方法。
- 前記組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する請求項17又は18に記載の方法、或いは請求項3又は4に記載の使用。
- 前記投与は、RAの1つ又は複数の指標の統計的に有意な変化をもたらす請求項21に記載の方法。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、血沈(ESR)、リッチ関節指数及び朝のこわばりの持続時間、関節可動度、関節腫脹、1つ又は複数の関節のX線撮像、並びに1つ又は複数の関節の固定部の組織病理学的分析のいずれかを含む請求項22に記載の方法。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、前記組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、前記Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎の前記マクロ表現型徴候について採点され、関節炎の前記マクロ表現型徴候は、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って採点される請求項22に記載の方法。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、前記組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、前記Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎の前記マクロ表現型徴候について採点され、関節炎の前記組織病理学的徴候は、関節に実現され、0=検出可能な病状なし、1=滑膜の過形成及び多形核浸潤物の存在、2=パンヌス及び繊維状組織の形成並びに限局性軟骨下骨浸食、3=関節軟骨破壊及び骨浸食、4=広範な関節軟骨破壊及び骨浸食のシステムを用いて採点される請求項22に記載の方法。
- Tg197遺伝子組換えマウスに対する前記組成物の投与は、
a)異型接合Tg197遺伝子組換えマウスに対して前記組成物を腹腔内注射により毎週投与する工程と、
b)工程a)のマウスの重量を毎週測定する工程と、
c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候について前記マウスを毎週採点する工程とを含む請求項21に記載の方法。 - 前記組成物は、関節炎症状の発症が示される前に投与される請求項21に記載の方法。
- 前記マウスが3週齢のときに前記組成物が最初に投与される請求項21に記載の方法。
- 前記マウスが6週齢のときに前記組成物が最初に投与される請求項21に記載の方法。
- 前記組成物は、エタネルセプト、インフリキシマブ及びD2E7からなる群から選択される薬剤以上である、Tg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から29までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記組成物は、治療が0から0.5の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から30までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記組成物は、治療が0から1.0の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から31までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記組成物は、治療が0から1.5の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から32までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記組成物は、治療が0から2.0の関節炎スコアをもたらすようなTg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項1から33までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒト単一領域抗体ポリペプチドを含む請求項1から34までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記ヒト単一領域抗体ポリペプチドはTNFαを結合する請求項1から35までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する請求項1から36までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nMから50pMの範囲のKdでヒトTNFαを結合する請求項1から37までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、30nMから50pMのKdでヒトTNFαを結合する請求項1から38までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、10nMから50pMのKdでヒトTNFαを結合する請求項1から39までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、1nmから50pMの範囲のKdでヒトTNFαを結合する請求項1から40までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαに拮抗する請求項1から41までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、細胞表面受容体に結合するヒトTNF−αに特異的に結合する請求項1から42までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15分から12時間の範囲のインビボtα半減期を有する請求項1から43までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、1から6時間の範囲のインビボtα半減期を有する請求項1から44までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、2から5時間の範囲のインビボtα半減期を有する請求項1から45までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、3から4時間の範囲のインビボtα半減期を有する請求項1から46までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から60時間の範囲のインビボtβ半減期を有する請求項1から47までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から48時間の範囲のインビボtβ半減期を有する請求項1から48までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、12から26時間の範囲のインビボtβ半減期を有する請求項1から49までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから150mg分/mlのインビボAUC半減期を有する請求項1から50までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから100mg分/mlのインビボAUC半減期を有する請求項1から51までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから75mg分/mlのインビボAUC半減期を有する請求項1から52までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、15mg分/mlから50mg分/mlのインビボAUC半減期を有する請求項1から53までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、PEG分子に結合される請求項1から54までのいずれかに記載の方法又は使用。
- PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも24kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである請求項55に記載の方法又は使用。
- PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも200kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである請求項55に記載の方法又は使用。
- PEG結合タンパク質は、平均で、1〜20のポリエチレングリコール分子に結合する請求項55に記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する2つ以上の単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドを含む請求項1から58までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ二量体を含む請求項1から59までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ三量体を含む請求項1から60までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ四量体を含む請求項1から61までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、TNFα以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドをさらに含む請求項1から62までのいずれかに記載の方法又は使用。
- TNFα以外の抗原に対して特異的な前記抗体ポリペプチドは、単一領域抗体ポリペプチドを含む請求項63に記載の方法又は使用。
- TNFα以外の抗原に対して特異的な前記抗体ポリペプチドによるTNFα以外の前記抗原の結合は、前記抗体ポリペプチド構築物のインビボ半減期を増加させる請求項63又は64に記載の方法又は使用。
- TNFα以外の前記抗原は、血清タンパク質を含む請求項63から65までに記載の方法又は使用。
- 前記血清タンパク質は、フィブリン、α−2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲン、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、タンパク質、ユビキチン、子宮グロブリン及びβ−2−ミクログロブリンからなる群から選択される請求項66に記載の方法又は使用。
- TNFα以外の前記抗原はHSAを含む請求項63に記載の方法又は使用。
- 前記治療は、少なくとも1つのさらなる治療薬の投与をさらに含む請求項17から68までのいずれか一項に記載の方法。
- 関節リウマチの治療、予防、進行の抑制又は発症の遅延のための医薬品を調製するための、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物であって、
前記組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止し、
前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合し、
前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和する組成物の使用。 - 関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、
前記組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防ぎ、
前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合し、
前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和し、
前記関節リウマチが治療される方法。 - 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
a)IgG重鎖定常領域に融合した、第1のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第1の融合タンパク質の第1の複製物と、
b)前記第1の融合タンパク質の第2の複製物と、
c)軽鎖定常領域に融合した、第2のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第2の融合タンパク質の第1の複製物と、
d)前記第2の融合タンパク質の第2の複製物とを含み、
前記第1の融合タンパク質の前記第1及び前記第2の複製物は、それぞれのIgG重鎖定常領域を介して互いにジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第1の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第1の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第2の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第2の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記ポリペプチド構築物は、前記第1及び前記第2のエピトープを結合する四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物を含む請求項1から79までのいずれか一項に記載の方法又は使用。 - 前記第1及び/又は前記第2のエピトープは、TNF−αエピトープである請求項80に記載の方法又は使用。
- ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防ぎ、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和する組成物。
- ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防ぎ、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制する組成物。
- ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防ぎ、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する組成物。
- ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合する組成物。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
a)IgG重鎖定常領域に融合した、第1のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第1の融合タンパク質の第1の複製物と、
b)前記第1の融合タンパク質の第2の複製物と、
c)軽鎖定常領域に融合した、第2のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第2の融合タンパク質の第1の複製物と、
d)前記第2の融合タンパク質の第2の複製物とを含み、
前記第1の融合タンパク質の前記第1及び前記第2の複製物は、それぞれのIgG重鎖定常領域を介して互いにジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第1の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第1の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第2の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第2の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記ポリペプチド構築物は、前記第1及び前記第2のエピトープを結合する四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物を含む請求項82から85までのいずれか一項に記載の組成物。 - 前記第1及び/又は前記第2のエピトープは、TNF−αエピトープである請求項86に記載の組成物。
- 関節リウマチの治療、予防、進行の抑制又は発症の遅延のための医薬品を調製するための、ヒトVEGFのVEGF受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物の使用。
- 関節リウマチを治療する方法であって、当該治療を必要とする個体に対して、ヒトVEGFのVEGF受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、それによって前記関節リウマチが治療される方法。
- 前記組成物は、コラーゲン誘発関節炎(CIA)マウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止する請求項96に記載の使用、又は請求項97に記載の方法。
- 前記マウスに対する前記組成物の投与は、
a)CIAモデルマウスに対して前記組成物を腹腔内注射により毎週投与する工程と、
b)工程a)のマウスの重量を毎週測定する工程と、
c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候について前記マウスを採点する工程とを含む請求項98に記載の方法又は使用。 - 前記治療は、前記関節リウマチの進行を抑制することを含む請求項97から99までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記治療は、関節リウマチの発症を防止する、又は遅らせることを含む請求項97から99までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記投与は、RAの1つ又は複数の指標の統計的に有意な変化をもたらす請求項97から99までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、血沈(ESR)、リッチ関節指数及び朝のこわばりの持続時間、関節可動度、関節腫脹、1つ又は複数の関節のX線撮像、並びに1つ又は複数の関節の固定部の組織病理学的分析のいずれかを含む請求項102に記載の方法又は使用。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、コラーゲン誘発関節炎マウスモデルのマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、
前記組成物は前記マウスに投与され、
前記マウスは、関節炎の前記マクロ表現型徴候について採点され、
関節炎の前記マクロ表現型徴候は、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って採点される請求項102に記載の方法又は使用。 - RAの前記1つ又は複数の指標は、コラーゲン誘発関節炎マウスモデルのマウスにおける関節炎の組織病理学的徴候のマクロ表現型徴候の減少を含み、
前記組成物は該マウスに投与され、
前記マウスは、関節炎の前記組織病理学的徴候について採点され、
関節炎の前記組織病理学的徴候は、関節に実現され、0=検出可能な病状なし、1=滑膜の過形成及び多形核浸潤物の存在、2=パンヌス及び繊維状組織の形成並びに限局性軟骨下骨浸食、3=関節軟骨破壊及び骨浸食、4=広範な関節軟骨破壊及び骨浸食のシステムを用いて採点される請求項102に記載の方法又は使用。 - 前記二重特異性抗体構築物は、
a)IgG重鎖定常領域に融合した、第1のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第1の融合タンパク質の第1の複製物と、
b)前記第1の融合タンパク質の第2の複製物と、
c)軽鎖定常領域に融合した、第2のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第2の融合タンパク質の第1の複製物と、
d)前記第2の融合タンパク質の第2の複製物とを含み、
前記第1の融合タンパク質の前記第1及び前記第2の複製物は、それぞれのIgG重鎖定常領域を介して互いにジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第1の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第1の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第2の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第2の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記ポリペプチド構築物は、前記第1及び前記第2のエピトープを結合する四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物を含む請求項134に記載の使用又は方法。 - 前記第1及び/又は前記第2のエピトープは、VEGFエピトープである請求項106に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒト単一領域抗体ポリペプチドを含む請求項96から107までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記ヒト単一領域抗体ポリペプチドは、VEGFを結合する請求項108に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトVEGFを結合する請求項96から109までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nMから50pMの範囲のKdでヒトVEGFを結合する請求項96から109までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、30nMから50pMのKdでヒトVEGFを結合する請求項96から109までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、10nMから50pMのKdでヒトVEGFを結合する請求項96から109までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、1nmから50pMの範囲のKdでヒトVEGFを結合する請求項96から109までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、VEGF受容体1試験又はVEGF受容体2試験で測定されるヒトVEGFを中和する請求項96から114までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、細胞表面受容体に結合するヒトVEGFに特異的に結合する請求項96から115までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、PEG分子に結合される請求項96から116までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも24kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである請求項117に記載の方法又は使用。
- PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも200kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである請求項117に記載の方法又は使用。
- PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、平均で、2つ以上のポリエチレングリコール分子に結合される請求項117から119までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、平均で、2〜20のPEG分子に結合される請求項117から119までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトVEGFを結合する2つ以上の単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドを含む請求項96から121までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ二量体を含む請求項96から121までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ三量体を含む請求項96から121までのいずれかに記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ四量体を含む請求項96から121までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記構築物は、VEGF以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドをさらに含む請求項96から125までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- VEGF以外の抗原に対して特異的な前記抗体ポリペプチドは、単一領域抗体ポリペプチドを含む請求項126に記載の方法又は使用。
- VEGF以外の抗原に対して特異的な前記抗体ポリペプチドによるVEGF以外の前記抗原の結合は、前記抗体ポリペプチド構築物のインビボ半減期を増加させる請求項126又は127に記載の方法又は使用。
- VEGF以外の前記抗原は、血清タンパク質を含む請求項126から128までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記血清タンパク質は、フィブリン、α−2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲン、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、タンパク質、ユビキチン、子宮グロブリン及びβ−2−ミクログロブリンからなる群から選択される請求項129に記載の方法又は使用。
- VEGF以外の前記抗原はHSAを含む請求項126から129までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記治療は、少なくとも1つのさらなる治療薬の投与をさらに含む請求項97から131までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記治療薬は、エタネルセプト、インフリキシマブ及びD2E7からなる群から選択される請求項132に記載の方法。
- 前記治療薬は、コルチコステロイド、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)、アセチルサリチル酸、ピラゾロン、フェナム酸塩、ジフルニサル、酢酸誘導体、プロピオン酸誘導体、オキシカム、メフェナム酸、ポンステル、メクロフェナム酸塩、メクロメン、フェニルブタゾン、ブタゾリジン、ジフルニサル、ドロビド、ジクロフェナク、ボルタレン、インドメタシン、インドシン、スリンダク、クリノリル、エトドラク、ロジン、ケトロラク、トラドール、ナブメトン、レラフェン、トルメチン、トレクチン、イブプロフェン、モツリン、フェノプロフェン、ナルフォン、フルルビプロフェン、アンテ、カルプロフェン、リマジル、ケトプロフェン、オルジス、ナプロキセン、アナプロクス、ナプロシン、ピロキシカム及びフェルデンからなる群から選択される請求項132に記載の方法。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、
a)IgG重鎖定常領域に融合した、第1のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第1の融合タンパク質の第1の複製物と、
b)前記第1の融合タンパク質の第2の複製物と、
c)軽鎖定常領域に融合した、第2のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第2の融合タンパク質の第1の複製物と、
d)前記第2の融合タンパク質の第2の複製物とを含み、
前記第1の融合タンパク質の前記第1及び前記第2の複製物は、それぞれのIgG重鎖定常領域を介して互いにジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第1の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第1の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第2の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第2の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記ポリペプチド構築物は、前記第1及び前記第2のエピトープを結合する四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物を含む請求項143から150までのいずれか一項に記載の組成物。 - 前記第1及び/又は前記第2のエピトープは、VEGFエピトープである請求項151に記載の組成物。
- 関節リウマチの治療、予防、進行の防止又は発症の遅延のための医薬品を調製するための、ヒトTNFαの活性に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物の使用。
- 関節リウマチの治療、予防、進行の防止又は発症の遅延のための医薬品を調製するための、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物の使用。
- 関節リウマチを治療する方法であって、その治療を必要とする個体に対して、ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む治療有効量の組成物を投与することを含み、それによって前記関節リウマチが治療される方法。
- 前記ポリペプチド構築物は、二重特異性抗体構築物である請求項153又は154に記載の使用、或いは請求項155に記載の方法。
- 前記二重特異性抗体構築物は、
a)IgG重鎖定常領域に融合した、第1のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第1の融合タンパク質の第1の複製物と、
b)前記第1の融合タンパク質の第2の複製物と、
c)軽鎖定常領域に融合した、第2のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第2の融合タンパク質の第1の複製物と、
d)前記第2の融合タンパク質の第2の複製物とを含み、
前記第1の融合タンパク質の前記第1及び前記第2の複製物は、それぞれのIgG重鎖定常領域を介して互いにジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第1の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第1の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第2の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第2の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記ポリペプチド構築物は、前記第1及び前記第2のエピトープを結合する四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物を含む請求項134に記載の使用又は方法。 - 前記組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止する請求項153から157までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- Tg197遺伝子組換えマウスに対する前記組成物の投与は、
a)異型接合Tg197遺伝子組換えマウスに対して前記組成物を腹腔内注射により毎週投与する工程と、
b)工程a)のマウスの重量を毎週測定する工程と、
c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候について前記マウスを毎週採点する工程とを含む請求項158に記載の方法又は使用。 - 前記組成物は、エタネルセプト、インフリキシマブ及びD2E7からなる群から選択される薬剤以上である、Tg197遺伝子組換えマウス関節炎試験における効果を有する請求項158に記載の方法又は使用。
- 前記組成物は、コラーゲン誘発関節炎(CIA)マウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止する請求項153から157までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記マウスに対する前記組成物の投与は、
a)CIAモデルマウスに対して前記組成物を腹腔内注射により毎週投与する工程と、
b)工程a)のマウスの重量を毎週測定する工程と、
c)0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って、関節炎のマクロ表現型徴候について前記マウスを採点する工程とを含む請求項161に記載の方法又は使用。 - 前記投与は、RAの1つ又は複数の指標の統計的に有意な変化をもたらす請求項158に記載の方法又は使用。
- 前記治療は、前記関節リウマチの進行を抑制することを含む請求項131又は134から137までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記治療は、関節リウマチの発症を防止する、又は遅らせることを含む請求項155から163までのいずれか一項に記載の方法。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、血沈(ESR)、リッチ関節指数及び朝のこわばりの持続時間、関節可動度、関節腫脹、1つ又は複数の関節のX線撮像、並びに1つ又は複数の関節の固定部の組織病理学的分析のいずれかを含む請求項163に記載の方法又は使用。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、
前記組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、
前記Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎の前記マクロ表現型徴候について採点され、
関節炎の前記マクロ表現型徴候は、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って採点される請求項163に記載の方法又は使用。 - RAの前記1つ又は複数の指標は、Tg197遺伝子組換えマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、
前記組成物はTg197遺伝子組換えマウスに投与され、
前記Tg197遺伝子組換えマウスは、関節炎の前記マクロ表現型徴候について採点され、
関節炎の前記組織病理学的徴候は、関節に実現され、0=検出可能な病状なし、1=滑膜の過形成及び多形核浸潤物の存在、2=パンヌス及び繊維状組織の形成並びに限局性軟骨下骨浸食、3=関節軟骨破壊及び骨浸食、4=広範な関節軟骨破壊及び骨浸食のシステムを用いて採点される請求項140に記載の方法又は使用。 - 前記投与は、RAの1つ又は複数の指標の統計的に有意な変化をもたらす請求項161に記載の方法又は使用。
- RAの前記1つ又は複数の指標は、コラーゲン誘発関節炎マウスモデルのマウスにおける関節炎のマクロ表現型徴候の減少を含み、
前記組成物は前記マウスに投与され、
前記マウスは、関節炎の前記マクロ表現型徴候について採点され、
関節炎の前記マクロ表現型徴候は、0=関節炎ではない(正常な外観及び屈曲)、1=軽度の関節炎(関節の歪み)、2=中等度の関節炎(腫脹、関節の変形)、3=重度の関節炎(著しい運動障害)のシステムに従って採点される請求項169に記載の方法又は使用。 - RAの前記1つ又は複数の指標は、コラーゲン誘発関節炎マウスモデルのマウスにおける関節炎の組織病理学的徴候のマクロ表現型徴候の減少を含み、
前記組成物は該マウスに投与され、
前記マウスは、関節炎の前記組織病理学的徴候について採点され、
関節炎の前記組織病理学的徴候は、関節に実現され、0=検出可能な病状なし、1=滑膜の過形成及び多形核浸潤物の存在、2=パンヌス及び繊維状組織の形成並びに限局性軟骨下骨浸食、3=関節軟骨破壊及び骨浸食、4=広範な関節軟骨破壊及び骨浸食のシステムを用いて採点される請求項169に記載の方法又は使用。 - 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、ヒト単一領域抗体ポリペプチドを含む請求項153から171までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記ヒト単一領域抗体ポリペプチド構築物は、TNFα及びVEGFを結合する請求項172に記載の方法又は使用。
- ヒトVEGFの活性に拮抗する前記単一領域抗体ポリペプチド成分は、VEGF受容体1試験又はVEGF受容体2試験で測定されるヒトVEGFを中和する請求項172に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和する請求項153から174までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、PEG分子に結合される請求項153から175までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも24kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである請求項176に記載の方法又は使用。
- PEG結合単一領域抗体ポリペプチド構築物は、少なくとも200kDaのハイドロダイナミックサイズを有し、全PEGサイズは20から60kDaである請求項176に記載の方法又は使用。
- 前記抗体ポリペプチド構築物は、平均で、2つ以上のポリエチレングリコール分子に結合される請求項176から178までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記抗体ポリペプチド構築物は、平均で、2〜20のPEG分子に結合される請求項176から178までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する2つ以上の単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチド、及び/又はヒトVEGFを結合する2つ以上の単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチド請求項153から180までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ二量体、及び/又はヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ二量体を含む請求項153から180までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ三量体、及び/又はヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ三量体を含む請求項153から180までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記抗体構築物は、ヒトTNFαを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ四量体、及び/又はヒトVEGFを結合する単一免疫グロブリン可変領域ポリペプチドのホモ四量体を含む請求項153から180までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記構築物は、TNFα又はVEGF以外の抗原に対して特異的な抗体ポリペプチドをさらに含む請求項153から180までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- TNFα又はVEGF以外の抗原に対して特異的な前記抗体ポリペプチドは、単一領域抗体ポリペプチドを含む請求項185に記載の方法又は使用。
- TNFα又はVEGF以外の抗原に対して特異的な前記抗体ポリペプチドによるTNFα又はVEGF以外の前記抗原の結合は、前記抗体ポリペプチド構築物のインビボ半減期を増加させる請求項185又は186に記載の方法又は使用。
- TNFα又はVEGF以外の前記抗原は、血清タンパク質を含む請求項185から187までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記血清タンパク質は、フィブリン、α−2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲン、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、タンパク質、ユビキチン、子宮グロブリン及びβ−2−ミクログロブリンからなる群から選択される請求項188に記載の方法又は使用。
- TNFα以外の前記抗原はHSAを含む請求項185から189までのいずれか一項に記載の方法又は使用。
- 前記治療は、少なくとも1つのさらなる治療薬の投与をさらに含む請求項155から190までのいずれか一項に記載の方法。
- 前記さらなる治療薬は、コルチコステロイド、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)、アセチルサリチル酸、ピラゾロン、フェナム酸塩、ジフルニサル、酢酸誘導体、プロピオン酸誘導体、オキシカム、メフェナム酸、ポンステル、メクロフェナム酸塩、メクロメン、フェニルブタゾン、ブタゾリジン、ジフルニサル、ドロビド、ジクロフェナク、ボルタレン、インドメタシン、インドシン、スリンダク、クリノリル、エトドラク、ロジン、ケトロラク、トラドール、ナブメトン、レラフェン、トルメチン、トレクチン、イブプロフェン、モツリン、フェノプロフェン、ナルフォン、フルルビプロフェン、アンテ、カルプロフェン、リマジル、ケトプロフェン、オルジス、ナプロキセン、アナプロクス、ナプロシン、ピロキシカム及びフェルデンからなる群から選択される請求項191に記載の方法。
- TNF−αを結合する第1の抗体単一領域ポリペプチドと、VEGFを結合する第2の抗体単一領域ポリペプチドとを含む二重特異性抗原結合ポリペプチド。
- 前記構築物は、
a)IgG重鎖定常領域に融合した、第1のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第1の融合タンパク質の第1の複製物と、
b)前記第1の融合タンパク質の第2の複製物と、
c)軽鎖定常領域に融合した、第2のエピトープを結合する単一領域抗体ポリペプチドを含む第2の融合タンパク質の第1の複製物と、
d)前記第2の融合タンパク質の第2の複製物とを含み、
前記第1の融合タンパク質の前記第1及び前記第2の複製物は、それぞれのIgG重鎖定常領域を介して互いにジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第1の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第1の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記第2の融合タンパク質の前記第2の複製物の前記軽鎖定常領域は、前記第1の融合タンパク質の前記第2の複製物のIgG重鎖定常領域にジスルフィド結合され、
前記ポリペプチド構築物は、前記第1及び前記第2のエピトープを結合する四価二重特異性抗原結合ポリペプチド構築物を含む請求項193に記載の二重特異性抗原結合ポリペプチド。 - 前記第1のエピトープはTNF−αエピトープであり、前記第2のエピトープはVEGFエピトープである請求項165に記載の二重特異性抗原結合ポリペプチド。
- 前記第1のエピトープはVEGFエピトープであり、前記第2のエピトープはTNF−αエピトープである請求項165に記載の二重特異性抗原結合ポリペプチド。
- ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制する組成物。
- ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含む組成物であって、前記組成物は、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると、関節炎スコアの増加を防止し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制する組成物。
- ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のTg197遺伝子組換えマウスモデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、標準的なL929細胞試験で測定されるヒトTNFαを中和し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、100nM未満のKdでヒトTNFαを結合し、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制する組成物。
- ヒトTNFαの受容体に対する結合に拮抗し、ヒトVEGFの受容体に対する結合に拮抗する単一領域抗体ポリペプチド構築物を含み、関節炎のコラーゲン誘発関節炎モデルのマウスに投与されると関節炎スコアの増加を防止する組成物であって、前記単一領域抗体ポリペプチド構築物は、関節リウマチの進行を抑制する組成物。
- 前記組成物は、少なくとも1つのさらなる治療薬とともに投与される請求項193から200までのいずれか一項に記載の組成物。
- 前記さらなる治療薬は、コルチコステロイド、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)、アセチルサリチル酸、ピラゾロン、フェナム酸塩、ジフルニサル、酢酸誘導体、プロピオン酸誘導体、オキシカム、メフェナム酸、ポンステル、メクロフェナム酸塩、メクロメン、フェニルブタゾン、ブタゾリジン、ジフルニサル、ドロビド、ジクロフェナク、ボルタレン、インドメタシン、インドシン、スリンダク、クリノリル、エトドラク、ロジン、ケトロラク、トラドール、ナブメトン、レラフェン、トルメチン、トレクチン、イブプロフェン、モツリン、フェノプロフェン、ナルフォン、フルルビプロフェン、アンテ、カルプロフェン、リマジル、ケトプロフェン、オルジス、ナプロキセン、アナプロクス、ナプロシン、ピロキシカム及びフェルデンからなる群から選択される請求項201に記載の組成物。
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