JP2008311707A - 電気音響変換器用振動板の製造方法およびその装置 - Google Patents

電気音響変換器用振動板の製造方法およびその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 一層目、二層目の紙層は均一で品質、外観等が良好で、かつ紙料分散液中に結束繊維が混入することない電気音響変換器用振動板の製造方法、装置を提供するところにある。
【解決手段】 第1の抄紙網1が設けられた第1の抄紙槽3を有する第1の抄紙装置5と、所定の位置に移動自在な第2の抄紙網7aおよび定位置に配された第2の抄紙槽8とを有する第2の抄紙装置5Aとを備え、前記第1の抄紙装置5によって一層目の紙層6を形成し、この一層目の紙層6を、前記第1の抄紙槽(3)側に位置させた前記第2の抄紙網7aに減圧により吸着せしめたまま、前記第2の抄紙槽8下方に移動、反転し、第2の抄紙槽8の内部に二層目の紙層用の紙料分散液9aを注入し、一層目の紙層6を吸着せしめたままの減圧により二層目の紙層12を抄き、前記紙料分散液9aを下方に排水することによって、前記一層目の紙層6に二層目の紙層12を堆積させることを構成とした。
【選択図】図7

Description

この発明は、音響機器の一種であるスピーカやマイクロホン等の電気音響変換器用振動板の製造方法およびその振動板を製造する装置に関する。
電気音響変換器用振動板としては、種々のものが存在するが、軽量で高剛性であり、製造条件のコントロールにより、目的とする性能が容易に得られ、自由度を有するパルプ抄紙振動板が古くから多く用いられてきた。
この振動板は抄紙工程を経て製造されるが、通常、1回の抄紙工程で単層のものを製造できる。
しかし、振動板として要求される物理的性質として、弾性、剛性、内部損失等がある。また、環境安定性として、耐水性、耐熱性、難燃性等があり、加えて最近では意匠面からの要求もあり、これらの相反する要求事項を満たすには1種類の材料から抄造される単層の振動板では困難である。
これらの相反する各種要求事項を満たす方法として、振動板を様々な機能を有する層を積層して構成し、単層では得られない性能を有する多層構造とする製造方法が種々提案されている。
この振動板を得る方法としては、一般的には、複数個の単層の振動板を用意しておき、これらをそれぞれ接着剤で貼り合わせて多層振動板を得ている。
しかしながら、この場合、各層間の接着層は本来の接着機能の他に、振動板本体の一部を構成することとなり、質量が増加するなど、振動板に求められる性質を満足するには却って障害となる場合が多い。
このため、接着剤を用いることなく、抄紙段階で多層構造をとり、各層間を材料相互の抄紙時の絡み合い等を利用して結合して一体化し、加熱乾燥して振動板を製造する、湿式の多層抄紙振動板が種々、提案されている。
このような先行例としては、例えば特許第3517736号(以下、従来例1という)が存在する。
この従来例1では、一次抄紙槽で一次抄紙を行い、この抄紙槽内で堆積した紙料を、抄紙槽内に搬入し転写型の構成部材である二次抄紙網に吸着して転写し、それを他の二次抄紙槽内の紙料分散液の液中に置き、いわゆる逆さ抄きと称し、紙料分散液を重力に抗し下方から上方に向って吸収して排水し、一層目の一次抄紙の紙料の下面に二層目の二次抄紙を堆積させて多層の振動板を製造するようにしている。
他の先行例としては、特許第3030914号(以下、従来例2という)が存在する。
この従来例2は、予め抄造した紙製の振動板抄紙型表面の網にセットし、これをミクロフィブリル化したパルプの分散液中に浸漬し、この紙振動板上にミクロフィブリル化したパルプを吸引堆積し振動板を多層構造としている。
特許第3517736号 特許第3030914号
しかしながら、従来例1では、二層目の抄きに際し、紙料分散液は排水管の中を下方から上方に向かって排水されるが、この場合、二層目の二次抄紙形成後は、排水管中の紙料分散液は排水管の中で重力方向である下方に逆流落下することにより形成した紙層を濡らすため、紙層の均一性を損ねたり、乾燥前の紙層を変形させたりして製品の品質や外観が安定しない問題がある。
また、二層目を抄き形成するときに、紙料分散液中に一層目を浸漬し、二層目を吸引堆積させた後に紙料分散液面から上昇させ液面から離れる瞬間または、搬送途中で吸引減圧の不安定により、紙層が二層目の紙料分散液中に落下し一層目の紙層の紙料と二層目の異なった紙料が混ざり合うことにより、このような異なる紙料の混ざり合った紙料は使用ができなくなる欠点がある。
従来例2では、抄紙用の網の取り付けられた抄紙型ごと液中に浸漬するため、紙料分散液の液中から出たときに抄紙型表面に紙料分散液中のパルプ繊維等が付着してしまう。パルプ繊維等は空気と触れ合い抄造を繰り返すことによりパルプ繊維等は結束状態となり易く、このパルプ繊維の結束した付着物が抄紙型から剥がれ落下し、紙料分散液中に結束繊維等が混入した場合、紙層に抄き込まれ振動板の表面や内部層の均一性を損ね不良となる欠点を持っている。
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、一層目の紙層と二層目の紙層は均一で品質、外観等が良好で、かつ紙料分散液中に結束繊維が混入することない電気音響変換器用振動板の製造方法およびその装置を提供するところにある。
請求項1記載の発明は、第1の抄紙網(1)が設けられた第1の抄紙槽(3)を有する第1の抄紙装置(5)と、所定の位置に移動自在な第2の抄紙網(7a)および定位置に配された第2の抄紙槽(8)とを有する第2の抄紙装置(5A)とを備え、
前記第1の抄紙装置(5)によって一層目の紙層(6)を形成し、この一層目の紙層(6)を、前記第1の抄紙槽(3)側に位置させた前記第2の抄紙網(7a)に減圧により吸着せしめたまま、前記第2の抄紙槽(8)下方に移動、反転し、第2の抄紙槽(8)の内部に二層目の紙層用の紙料分散液(9a)を注入し、一層目の紙層(6)を吸着せしめたままの減圧により二層目の紙層(12)を抄き、前記紙料分散液(9a)を下方に排水することによって、前記一層目の紙層(6)に二層目の紙層(12)を堆積させることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電気音響変換器用振動板の製造方法において、前記第2の抄紙槽(8)に注入される二層目の紙層用の紙料分散液(9a)は、予め濃度調整され、抄紙一回分ずつ定量計量し注入されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の電気音響変換器用振動板の製造方法において、前記二層目の紙層用の紙料分散液(9a)を注入する際に、液流で一層目の紙層(6)を乱す二層目の紙層用の紙料分散液(9a)の擾乱から一層目の紙層(6)を保護する円錐弁(10)が前記第2の抄紙槽(8)内に設けられていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の電気音響変換器用振動板の製造方法において、前記円錐弁(10)の中心に、一層目の紙層(6)の上方と円錐弁(10)との間にある空間と大気とをつなぐ通気孔(10c)を設けたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、第1の抄紙網(1)が設けられた第1の抄紙槽(3)を有し、一層目の紙層(6)を形成する第1の抄紙装置(5)と、この第1の抄紙装置(5)にて形成された前記一層目の紙層(6)を第2の抄紙網(7a)に減圧により吸着、転写し、かつ所定位置に移動、かつ反転自在であって前記減圧により第2の紙料分散液(9a)を下方に排水して二層目の紙層(12)を形成する第2の抄紙網(7a)を着脱自在に保持する第2の抄紙型(7)およびこの第2の抄紙型(7)に着脱自在で、二層目の紙層用の紙料分散液(9a)が注入可能で、かつ前記第2の抄紙型(7)に前記紙料分散液(9a)を供給する第2の抄紙槽(8)を有する第2の抄紙装置(5A)とを備えたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の電気音響変換器用振動板の製造装置において、前記第2の抄紙槽(8)内に、前記二層目の紙層用の紙料分散液(9a)を注入する際に、液流で一層目の紙層(6)を乱す二層目の紙層用の紙料分散液(9a)の擾乱から、一層目の紙層(6)を保護する円錐弁(10)が設けられていることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の電気音響変換器用振動板の製造装置において、前記円錐弁(10)の中心に、一層目の紙層(6)の上方と円錐弁(10)との間にある空間と大気をつなぐ通気孔(10c)を設けたことを特徴とする。
本発明では、請求項1〜7記載の本発明によれば、一層目の紙層6を第2の抄紙型7に吸着、転写し、かつ二層目の紙層形成にあたり、第2の抄紙型7を反転させ二層目の紙料分散液9aの排水を上方から下方に向う重力方向にして紙層を形成するようにしている。乾燥前の抄紙層は含水率が約80%程度あり、その状態での繊維結着は極めて弱く水に接触すると解け容易に破壊される。二層目の紙層の抄きを下方から上方に排水して堆積する従来例1の多層抄き抄紙法では、排水管の逆流水に接触すると一層目の紙層と二層目の紙層が水によって溶けて複雑に混ざり合い一層目の紙層と二層目の紙層の均一性がなくなり、品質や外観を損ねていたが、本発明では、二次層形成時の排水が重力方向である下方に行われるので、排水は逆流することがないため、排水の逆流による形成した紙層を濡らし製品の外観や品質を損ねることがない。
また、請求項2記載のように、本発明の製造方法によれば、二層目の紙層12の抄き方式が吸引時間で振動板の質量を制御するのではなく、予め濃度調整された紙料分散液9aを抄紙一回分ずつ定量計量し、その分量のみを完全に抄いて層を形成するために安定した質量の振動板を得ることができる。
さらに、本発明の製造方法では、二層目を抄き形成するときに、従来例1のように、紙料分散液中に浸漬し吸引堆積させた後に紙料分散液面から上昇させ液面から離れる瞬間、または搬送途中で吸引減圧の不安定により、紙層が二層目の紙料分散液中に落下し一層目の紙層の紙料と二層目の異なった紙料が混ざり合ったことにより、異なる紙料の混ざり合った紙料は使用できなくなることはない。
さらにまた、請求項3、6記載のように本発明では、一層目の紙層6の上方に、二層目の紙層を形成させる紙料分散液9aを注入する際に、液流で一層目の紙層6を乱す二層目の紙層用の紙料分散液9aの液流から一層目の紙層6を保護する円錐弁10を設けたため、一層目の紙層6と二層目の紙層12は均一で外観的にも品質が優れる振動板の抄造が可能である。
また、請求項4、7記載のように、円錐弁10の下方と一層目の紙層6の上方にある空間と大気が円錐弁10の中心から空気を取り入れることが可能となり、減圧は弱くなり、円錐弁10の上昇が容易となり、一層目の紙層6も変形したりすることなく、二層目の紙層12も問題なく形成が可能である。
また、本発明の製造方法によれば、従来例2のように、二層目の紙層を形成するにあたり、抄紙型ごと二層目の紙層形成用の槽の紙料分散液の液中に浸漬しないため、抄紙型の紙料分散液による汚れが原因となる結束繊維の発生には至らない。
以下、図面に沿って本発明の実施例を説明する。
図1〜図10は、一層目の抄き工程と、それに続く二層目の抄き工程とを備えてなる本発明の電気音響変換器の製造方法およびその装置の一実施例を示す。
このうち、図1〜図3は本発明の一層目の抄き工程を示す。図1において、1は所望の振動板形状に形成された第1の抄紙網、2はこの第1の抄紙網1が上方開口部に設けられたほぼ漏斗状をなす第1の抄紙型で、下部中央部には排水孔2aが設けられ、この排水孔2aの後方には調整弁2bを有する排水管2cが接続され、かつ排水管2cには真空ポンプ(図示せず)が設けられている。
3はほぼ円筒状をなす第1の抄紙槽で、この第1の抄紙槽3は第1の抄紙型2の上部に着脱自在に設けられる。また、第1の抄紙型2または第1の抄紙槽3はエアシリンダを用いるなどした適宜構成の昇降機構に連結され上下動自在になっており、例えば第1の抄紙網1がセットされた第1の抄紙型2に対し第1の抄紙槽3を下動し、その外周のフランジ部3aを第1の抄紙型2の外周部に戴置し、密着して一体化される。一体化は、第1の抄紙槽3を定位置とし、第1の抄紙型2を上動させても良い。
4は、第1の抄紙型2に取り付けられた第1の抄紙槽3内に第1の紙料分散液(一般にパルプスラリーともいう)を注入可能なほぼ有底円筒状をなす第1の計量槽4で、底部には原料搬送用の調整弁4bを有するパイプ4cが設けられ、その先端部は第1の抄紙槽3に設けられ、第1の抄紙槽3内に、予め計量された第1の紙料分散液4aを所定量注入可能に構成されている。紙料分散液は、水中に例えば紙パルプ、有機繊維、無機繊維、その他の材料を均一に分散させたものからなり、所望の物性を得るために必要に応じどのような材料を用いるかが選択され、予め濃度が調整されている。
これらによって一層目の紙層を形成する第1の抄紙装置5が構成されている。
一層目の抄き工程にあたっては、図2に示すように、第1の抄紙槽3内に第1の計量槽4内の一回の抄き用の所定量の紙料分散液4aを注入し、ついで第1の抄紙型2下方の調整弁2bを開いて真空ポンプを駆動してその紙料分散液4aを下方に吸引、排水し、図3に示すように、第1の抄紙網1上に、第1の紙層6を形成する。
その後、第1の紙層6を取り出すために第1の抄紙型2と第1の抄紙槽3とを分離する。
形成された第1の紙層6は、図4(a)に示すように、第1の抄紙網1からいわゆる転写型としても機能する第2の抄紙型7に転写される。
この第2の抄紙型7は、エアシリンダ等によって上下動可能に構成され、かつ所定の位置に移動自在であると共に反転可能に構成され、図4(a)の状態において、下部に位置し、第1の抄紙網1と対向配置可能な第2の抄紙網7aと、この第2の抄紙網7aが設けられた反転可能であって内部が中空状の抄紙型本体7’と、図示の状態において上部に設けられ、真空ポンプ(図示せず)と接続された排気用の吸引管7bと、この吸引管7bに設けられた調整バルブ7cとを備え、第2の抄紙型7は、特に図示しない回転手段と接続され、反転可能に構成されている。
回転手段としては、電動モーターの駆動軸を適宜の歯車機構を介し第2の抄紙型7に連結し、所望の範囲で回転させるようにすれば良い。
第1の紙層6の転写は、第2の抄紙型7を下動させ、吸引管7bに設けられた真空ポンプを作動させ、減圧作用により第2の抄紙網7aに第1の紙層6を吸着させる。この吸着は後述する第2の紙層が形成完了まで維持される。吸着後は、吸着状態を維持しつつ抄紙型7を上動させ、(b)に示すように、所定の位置に移動させ、(c)に示すように反転させる。この移動手段としては、例えばガイドレールに移動可能な台車(いずれも図示せず)を設け、この台車に第2の抄紙型7を連結して構成すれば良い。
図5(a)に示すように、第2の抄紙槽8の位置に移動させた後、第2の抄紙型7を反転させる。この第2の抄紙槽8、第2の抄紙型7等によって第2の抄紙装置が構成されている。
この状態において、二層目の抄き工程が行われる。
図4〜図8は二層目の抄き工程を示す。図5において、8は第2の抄紙型7に対し着脱自在なほぼ円筒状をなす第2の抄紙槽で、基本的には第1の抄紙槽3と同様に構成され、内部に第2の計量槽9内に第2の紙料分散液9aが流入可能になっている。この第2の紙料分散液9aは第1の紙料分散液4aと物性が異なる。
また、第2の抄紙槽8内には、円錐弁10が軸方向に昇降自在に構成されている。
この円錐弁10は、円錐形をなし、下方に向って径が順次増大する円錐部本体10aと、この円錐部本体10aの頂部に先端部が接続されたパイプ10bとを備え、パイプ10bの中心には通気孔10cが設けられ、この通気孔10cは円錐部本体10aの下面中心部分からパイプ10bの上端部にわたって形成されている。
二層目の抄きを行う場合、第2の抄紙槽8と第2の抄紙型7とを一体化し、第2の紙料分散液9aが漏れないようにする。
第2の抄紙槽8内には円錐弁10が設けられている。図5(b)は、第2の抄紙槽8内に円錐弁10がある場合の平面断面図を示す。
第2の抄紙槽8と円錐弁10とは同心円状をなし、かつ円錐部本体10aの最外径は第2の抄紙槽8の内径より小径に形成され、第2の抄紙槽8の内径と円錐部本体10aの下方外周部との間に隙間11が形成されている。この隙間11はリング状をなし、その幅は全周にわたってほぼ均一となっており、円錐弁10の外周から下方に向って第2の紙料分散液9aが全周から同時に均一に流入するようになっている。
この状態において、図6(a)に示すように、第2の計量槽9から二層目の紙料分散液9aが第2の抄紙槽8内に注入される。
この場合、第2の計量槽9内には予め濃度調整された紙料分散液9aを抄紙一回分ずつ定量計量した量が入れられており、その分量を第2の抄紙槽8内に注入する。
図6(b)はその拡大図を示す。円錐弁10の下面は平面となっており、かつ外周部にはリブ10dが突設され、このリブ10dの下面は第1の紙層6の外周部の一部と接離可能となっている。リブ10dの内側に振動板本体ないしエッジ部が形成されるようになっている。
当初、リブ10dの下面は第1の紙層6と接触している。したがって第2の紙料分散液9aを第2の抄紙槽8内に上方から注入した際、注入による液流で一層目の紙層6を乱す第2の紙料分散液9aの擾乱からの一層目の紙層6の保護が可能である。ここで、円錐弁10は第1の紙層6が減圧等によって下方の第2の抄紙網7a側に減圧吸着されているのと同様に、円錐弁10の下面の下方も減圧されているので、この状態では容易に上昇させることが困難である。
すなわち、一層目の紙層6を保護する円錐弁10を設けてあっても、第1の紙層6が減圧等のよって下方の第2の抄紙網7aに吸着せしめたままの減圧状態で二層目の紙層12を抄き、下方に排水する方式の場合、円錐弁10の中心に通気孔10cがない場合は、円錐弁10の下方も減圧状態のため、円錐弁10を上昇させるためには大きな力が必要となり、上昇が容易ではない。これを無理矢理大きな力で円錐弁10を上昇させると、円錐弁10を上昇させた瞬間に、円錐弁10と一層目の紙層6の間の減圧状態が強くなり、一層目の紙層6が上方に引っ張られ円錐弁10のリブ10dが一層目の紙層6から離れた瞬間に、二層目の紙層用の紙料分散液9aが減圧による吸引により、円錐弁10の外周部より一気に流入し、一層目の紙層6は第2の抄紙網7aから離れ、一層目の紙層6を変形させる等の問題が発生する。
そこで、本発明では、円錐弁10の中心に通気孔10cを設けることにより、円錐弁10の下方と一層目の紙層6の上方にある空間と大気とが円錐弁10の通気孔10cを通じて結ばれるため、これにより円錐弁10の中心から空気を取り入れることが可能となり減圧は弱くなり、円錐弁10の上昇が容易となる。
したがって、円錐弁10を徐々に上昇させることができ、上昇させると図6(c)において矢印で示すように、注入された二層目の紙層用の紙料分散液9aを一層目の紙層6の上方外周部より全周同時に注入されると同時に二層目の紙層12の抄紙が開始される。図7は二層目の紙層形成工程を示す。もし、ここで一層目の紙層6の下方が減圧されていない状態で円錐弁10を上昇させると円錐弁10の下方と一層目の紙層6の間、および第2の抄紙網7aの下方にある空間の空気が、円錐弁10の外周部より上昇すると同時に流入する二層目の紙層用の紙料分散液9aとがぶつかり合い、二層目の紙層用の紙料分散液9aが一層目の紙層6の上方で予想できない乱流となり、一層目の紙層6を擾乱し二層目の紙層12の抄紙層の形成構造の均一性を乱す他、二層目の紙層用の紙料分散液9aの水が第2の抄紙網7aを通過して下方に流れ、下方の空間を満たすと、その水の浮力により一層目の紙層6が二層目の紙層用の紙料分散液9a中に浮いて一層目の紙層6を形成している紙料と二層目の紙層用の紙料分散液9aとが混ざり合ってしまう。
しかしながら、本発明では、二層目の紙層形成まで減圧しているので、そのようなことはない。
また、円錐弁10を徐々に上昇させることができるので、二層目の紙層用の紙料分散液9aは円錐弁10の外周部から一気に流入することはなく、一層目の紙層6は第2の抄紙網7aから離れたり、変形してしまうことはない。
なお、本発明では二層目の紙層12(図8参照)の抄きは、第2の抄紙型7側に設けた真空ポンプの吸引時間で振動板の質量を制御するのではなく、予め濃度調整された紙料分散液9aを抄紙一回分ずつ定量計量し、その分量のみを完全に抄いて層を形成するようにしている。したがって製品ごとのばらつきはなく、安定した質量の振動板を得ることができる。
二層目の紙層12が形成されたら、この多層構造となった紙層13を取り出すために図8に示すように、第2の抄紙型7と第2の抄紙槽8とを分離する。
適宜の手段により第2の抄紙型7から多層構造の紙層13を取り出し、図9に示すように、凹成型金型14の上に移載する。
次に、凸成型金型15を降下して重ね合わせ、一層目の紙層6、二層目の紙層12からなる多層構造の紙層13を同時に加熱プレスして成形し、成形後、成形金型から取り出し、外周部に不要な部分があれば切除し、図10に示すように、接着剤を介しエッジ部16を設ければ多層構造の振動板17が完成する。
なお、上記実施例では、振動板をコーン状のものとし、その平面形状が円形のものを例としたため、それに対応して円錐弁10も、図5bに示したように、平面形状が円形のものとしたが、楕円、長円形等の振動板の場合には各部材はそれに対応したものとすれば良い。
本発明の一実施例にかかる一層目の紙層形成に用いられる製造装置の概略説明図および一層目の紙層形成の製造工程を示す説明図である。 同上の製造方法の次の工程説明図。 同上の製造方法の次の工程説明図。 同上の製造方法の次の工程説明図であって、(a)〜(c)は本発明の一実施例における二層目の紙層形成に用いられる第2の抄紙型およびその動作説明を示す。 (a)は本発明の一実施例にかかる二層目の紙層形成に用いられる製造装置の概略説明図および二層目の紙層形成の工程を示す。 (a)は本発明に係る第2の抄紙装置の説明図であって、(a)〜(c)は二層目の紙層形成状態を示す。 同上の製造方法の次の工程説明図。 同上の製造方法の次の工程説明図。 同上の製造方法の次の工程説明図。 本発明の製造装置、製造方法によって製造された振動板の断面図を示す。
符号の説明
1 第1の抄紙網
2 第1の抄紙型
2a 排水孔
2b 調整弁
2c 排水管
3 第1の抄紙槽
4 第1の計量槽
4a 第1の紙料分散液
5 第1の抄紙装置
5A 第2の抄紙装置
6 第1の紙層
7 第2の抄紙型
7a 第2の抄紙網
7b 吸引管
7c 調整バルブ
8 第2の抄紙槽
9 第2の計量槽
9a 第2の紙料分散液
10 円錐弁
10a 円錐部本体
10b パイプ
10c 通気孔
10d リブ
11 隙間
12 第2の紙層
13 多層構造の紙層
14 凹成形金型
15 凸成形金型
16 エッジ部
17 振動板

Claims (7)

  1. 第1の抄紙網(1)が設けられた第1の抄紙槽(3)を有する第1の抄紙装置(5)と、所定の位置に移動自在な第2の抄紙網(7a)および定位置に配された第2の抄紙槽(8)とを有する第2の抄紙装置(5A)とを備え、
    前記第1の抄紙装置(5)によって一層目の紙層(6)を形成し、この一層目の紙層(6)を、前記第1の抄紙槽(3)側に位置させた前記第2の抄紙網(7a)に減圧により吸着せしめたまま、前記第2の抄紙槽(8)下方に移動、反転し、第2の抄紙槽(8)の内部に二層目の紙層用の紙料分散液(9a)を注入し、一層目の紙層(6)を吸着せしめたままの減圧により二層目の紙層(12)を抄き、前記紙料分散液(9a)を下方に排水することによって、前記一層目の紙層(6)に二層目の紙層(12)を堆積させることを特徴とする電気音響変換器用振動板の製造方法。
  2. 請求項1記載の電気音響変換器用振動板の製造方法において、前記第2の抄紙槽(8)に注入される二層目の紙層用の紙料分散液(9a)は、予め濃度調整され、抄紙一回分ずつ定量計量し注入されることを特徴とする電気音響変換器用振動板の製造方法。
  3. 請求項1記載の電気音響変換器用振動板の製造方法において、前記二層目の紙層用の紙料分散液(9a)を注入する際に、液流で一層目の紙層(6)を乱す二層目の紙層用の紙料分散液(9a)の擾乱から一層目の紙層(6)を保護する円錐弁(10)が前記第2の抄紙槽(8)内に設けられていることを特徴とする電気音響変換器用振動板の製造方法。
  4. 請求項3記載の電気音響変換器用振動板の製造方法において、前記円錐弁(10)の中心に、一層目の紙層(6)の上方と円錐弁(10)との間にある空間と大気とをつなぐ通気孔(10c)を設けたことを特徴とする電気音響変換器用振動板の製造方法。
  5. 第1の抄紙網(1)が設けられた第1の抄紙槽(3)を有し、一層目の紙層(6)を形成する第1の抄紙装置(5)と、この第1の抄紙装置(5)にて形成された前記一層目の紙層(6)を第2の抄紙網(7a)に減圧により吸着、転写し、かつ所定位置に移動、かつ反転自在であって前記減圧により第2の紙料分散液(9a)を下方に排水して二層目の紙層(12)を形成する第2の抄紙網(7a)を着脱自在に保持する第2の抄紙型(7)およびこの第2の抄紙型(7)に着脱自在で、二層目の紙層用の紙料分散液(9a)が注入可能で、かつ前記第2の抄紙型(7)に前記紙料分散液(9a)を供給する第2の抄紙槽(8)を有する第2の抄紙装置(5A)とを備えたことを特徴とする電気音響変換器用振動板の製造装置。
  6. 請求項5記載の電気音響変換器用振動板の製造装置において、前記第2の抄紙槽(8)内に、前記二層目の紙層用の紙料分散液(9a)を注入する際に、液流で一層目の紙層(6)を乱す二層目の紙層用の紙料分散液(9a)の擾乱から、一層目の紙層(6)を保護する円錐弁(10)が設けられていることを特徴とする電気音響変換器用振動板の製造装置。
  7. 請求項6記載の電気音響変換器用振動板の製造装置において、前記円錐弁(10)の中心に、一層目の紙層(6)の上方と円錐弁(10)との間にある空間と大気をつなぐ通気孔(10c)を設けたことを特徴とする電気音響変換器用振動板の製造装置。
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