JP2008306379A - 固体撮像素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】低照度被写体に対してSN比が高くて色再現性に優れ、かつエッジのある被写体に対しても解像度の劣化や偽信号の発生が起きないようにする。
【解決手段】信号処理回路6は、色分離処理部11と、色補間処理部12と、空間周波数の高い画素か否か、すなわち画素領域にエッジがあるか否かを判定するエッジ判定部20とを有する。エッジ判定部20は、中央にW画素を含む画素ブロックごとに、W画素の周囲に空間周波数の高い被写体が存在するか否かを検出するエッジ判定を行い、エッジが存在しない場合には、中央のW画素を3色データ値に色分離し、エッジが存在する場合には、中央のW画素をG画素として扱う。これにより、空間周波数の高い被写体の影響を受けて偽信号を生成するといった不具合が起きなくなる。
【選択図】図13
【解決手段】信号処理回路6は、色分離処理部11と、色補間処理部12と、空間周波数の高い画素か否か、すなわち画素領域にエッジがあるか否かを判定するエッジ判定部20とを有する。エッジ判定部20は、中央にW画素を含む画素ブロックごとに、W画素の周囲に空間周波数の高い被写体が存在するか否かを検出するエッジ判定を行い、エッジが存在しない場合には、中央のW画素を3色データ値に色分離し、エッジが存在する場合には、中央のW画素をG画素として扱う。これにより、空間周波数の高い被写体の影響を受けて偽信号を生成するといった不具合が起きなくなる。
【選択図】図13
Description
本発明は、光電変換素子を有する複数の画素をマトリクス状に配置した固体撮像素子に関する。
近年、CMOSイメージセンサの開発が盛んに行われている。特に、半導体プロセスの微細化(デザインルール縮小)に伴って、たとえば2.0μmの画素ピッチで500万画素を超える画素数の単板カラーイメージセンサが商品化されている。
ところが画素微細化のトレンドは画素ピッチが1.7μm、開口面積で1μm以下のレベルへと向かっており、このような画素サイズでは入射光の波動性が顕著となり、回折現象によって入射光量が画素面積の縮小割合よりも急速に低下していく。したがって、素子のSN比を高める新しい方策が必要とされている。
この種のCMOSイメージセンサでは、2行2列の画素ブロック中に、赤色(R)と青色(B)画素を1画素ずつと、緑色(G)画素を対角に2画素配置したベイヤー(Bayer)配列の色フィルタを備えるのが一般的である。画素ブロック中にG画素を2つ設けるのは、人間の緑色に対する視感度が高いためであり、緑画素を輝度(明るさ)情報を取得する画素として用いている。
このように、色フィルタの配列により画質が変化することから、色フィルタの配列を工夫して画質向上を図る技術が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2004-304706号公報
特開2003-318375号公報
特開平8-23542号公報
例えば、特許文献1には、緑色画素を中心にし、上下左右に輝度信号として用いる白色画素を配置して、輝度信号の信号電荷量を確保する技術が開示されている。しかしながら、特許文献1では、白色画素データの処理手順が開示されておらず、また、輝度が急激に変化するエッジ、すなわち高空間周波数の被写体に対応する画素信号の処理についても何ら考慮されていない。特許文献2,3においても、エッジの処理については開示も示唆もない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低照度被写体に対してSN比が高くて色再現性に優れ、かつエッジのある被写体に対しても解像度の劣化や偽信号の発生が起きない固体撮像装置を提供することにある。
本発明の一態様によれば、半導体基板上にマトリクス状に形成され、それぞれが光電変換素子を有する複数の画素と、前記複数の画素で光電変換された電気信号を読み出す読み出し回路と、前記読み出し回路で読み出した電気信号に対して信号処理を行う信号処理部と、を備え、前記複数の画素は、可視光波長の入射光を透明フィルタを介して対応する前記光電変換素子に導く第1の画素と、可視波長域中の第1の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第1の色フィルタを有する複数の第2の画素と、可視波長域中の前記第1の可視光波長域とは異なる第2の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第2の色フィルタを有する複数の第3の画素と、可視波長域中の前記第1および第2の可視光波長域とは異なる第3の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第3の色フィルタを有する複数の第4の画素と、をそれぞれ有し、前記信号処理部は、前記第1〜第4の画素を少なくとも一つずつ含む複数の画素からなる画素ブロックを単位として、該画素ブロック内の白色の前記第1の画素に対応する白色データ値、第1の色の前記第2の画素に対応する第1の色データ値、第2の色の前記第3の画素に対応する第2の色データ値および第3の色の前記第4の画素に対応する第3の色データ値を取得する色取得部と、前記画素ブロック内の信号処理対象となる前記第1の画素の周囲にエッジが存在するか否かを判定するエッジ判定部と、前記判定が否定された場合に、信号処理対象となる前記第1の画素の周囲に位置する前記第1〜第3の色の前記第1〜第3の色データ値に基づいて、前記第1の画素における色比率を計算し、計算された色比率と前記第1の画素に対応する前記白色データ値とを乗じることにより、前記第1の画素を色分離して前記第1〜第3色の色データ値を計算する色分離部と、前記判定が肯定された場合に、前記色比率を求めずに前記第1の画素を白色以外の他の単色とみなして、この単色の色データ値を計算する単色データ計算部と、を有することを特徴とする固体撮像素子が提供される。
また、本発明の一態様によれば、半導体基板上にマトリクス状に形成され、それぞれが光電変換素子を有する複数の画素と、前記複数の画素で光電変換された電気信号を読み出す読み出し回路と、前記読み出し回路で読み出した電気信号に対して信号処理を行う信号処理部と、を備え、前記複数の画素は、可視光波長の入射光を透明フィルタを介して対応する前記光電変換素子に導く第1の画素と、可視波長域中の第1の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第1の色フィルタを有する複数の第2の画素と、可視波長域中の前記第1の可視光波長域とは異なる第2の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第2の色フィルタを有する複数の第3の画素と、可視波長域中の前記第1および第2の可視光波長域とは異なる第3の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第3の色フィルタを有する複数の第4の画素と、をそれぞれ有し、前記信号処理部は、前記第1〜第4の画素を少なくとも一つずつ含む複数の画素からなる画素ブロックを単位として、該画素ブロック内の白色の前記第1の画素に対応する白色データ値、第1の色の前記第2の画素に対応する第1の色データ値、第2の色の前記第3の画素に対応する第2の色データ値および第3の色の前記第4の画素に対応する第3の色データ値を取得する色取得部と、前記画素ブロック内の信号処理対象画素である前記第3の画素または前記第4の画素の周囲にエッジが存在するか否かをそれぞれ判定するエッジ判定部と、信号処理対象画素の周囲にエッジが存在しないと判定されると、信号処理対象となる画素の色データ値を変更せずに出力し、信号処理対象画素の周囲にエッジが存在すると判定されると、信号処理対象画素が前記第3の画素であれば該画素に前記第3の色の色データ値を追加し、信号処理対象画素が前記第4の画素であれば該画素に前記第2の色の色データ値を追加する色追加処理部と、を有することを特徴とする固体撮像素子が提供される。
本発明によれば、低照度被写体に対してSN比が高くて色再現性に優れ、かつエッジのある被写体に対しても解像度の劣化や偽信号の発生が起きない固体撮像装置を提供できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の概略構成を示すブロック図である。図1の固体撮像素子は、それぞれが光電変換素子を有する複数の画素をマトリクス状に配置した画素アレイ1と、画素アレイ1の各行に順に駆動電圧を供給する垂直スキャナ2と、個々の画素で光電変換された撮像信号に含まれるノイズの除去処理を行うノイズ減算回路3と、ノイズ減算回路3から出力された撮像信号をA/D変換するA/D変換回路4と、A/D変換後の撮像データを列ごとに順に選択して読み出す水平スキャナ5と、撮像データに対して後述する信号処理を行う信号処理回路6と、を備えている。
図1は本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の概略構成を示すブロック図である。図1の固体撮像素子は、それぞれが光電変換素子を有する複数の画素をマトリクス状に配置した画素アレイ1と、画素アレイ1の各行に順に駆動電圧を供給する垂直スキャナ2と、個々の画素で光電変換された撮像信号に含まれるノイズの除去処理を行うノイズ減算回路3と、ノイズ減算回路3から出力された撮像信号をA/D変換するA/D変換回路4と、A/D変換後の撮像データを列ごとに順に選択して読み出す水平スキャナ5と、撮像データに対して後述する信号処理を行う信号処理回路6と、を備えている。
信号処理回路6には、画素アレイ1内の各行ごとに、一列分ずつ直列に撮像データが入力される。垂直スキャナ2、ノイズ減算回路3、A/D変換回路4および水平スキャナ5は読み出し回路を構成する。読み出し回路は、複数の画素に対して1水平ライン同時、もしくは1画素ずつ順番に信号読み出しを行う。
読み出し回路と画素アレイ1は同一の半導体基板上に形成される。この半導体基板上に信号処理回路6を形成してもよいし、この半導体基板とは別個の半導体基板上に信号処理回路6を形成してもよい。この場合、読み出し回路の出力が、別個の半導体基板上の信号処理回路6に入力される。
画素アレイ1内の複数の画素は、隣接配置されたいくつかの画素を単位として、複数の画素ブロックに区分けされている。例えば、図2は2行2列の画素ブロックの一例を示す図であり、白色Wの画素(以下、W画素)と緑色Gの画素(以下、G画素)が対角上に配置され、残りの2つの画素は赤色Rと青色B(以下、R画素とB画素)である。
W画素は、可視光波長(例えば、400nm〜650nm)の入射光を透明フィルタを介して対応する光電変換素子に導く。透明フィルタは、可視光に対して透明な素材で形成されており、全可視光領域で高い感度を示す。
一方、G画素には、緑色の可視光波長域の光に対して高い透過率を有する色フィルタが設けられ、R画素には、赤色の可視光波長域の光に対して高い透過率を有する色フィルタが設けられ、B画素には、青色の可視光波長域の光に対して高い透過率を有する色フィルタが設けられている。
W画素を設ける理由は、白色画素は全可視波長域の光を透過するため、輝度情報を取得するのに適しているためである。輝度情報の取得には、緑色画素も利用できるため、図2では、白色画素と緑色画素を対角上に配置している。これにより、すべての行および列に対して均等に輝度情報を検出でき、輝度解像度の向上が図れる。
また、図2の画素ブロックが、W画素以外に、RGBの画素を有する理由は、RGBは原色であり、補色(黄、シアン、マゼンダ)の画素よりも色再現性に優れ、かつ信号処理の処理手順を簡略化できるためである。
ここで、W画素は例えば第1の画素に対応し、G画素、R画素およびB画素は例えば第2〜第4の画素にそれぞれ対応する。
図3は色フィルタの透過率を示すグラフ、図4は各色の色フィルタを付けた各画素の感度を示すグラフである。図3に示すように、白色Wのフィルタは全可視波長域(約400〜700nm)の光に対して95%以上の透過率を持ち、緑色Gの色フィルタは約500〜550nmの光に対して高い透過率を持ち、赤色Rの色フィルタは約600〜700nmの可視光波長域の光に対して高い透過率を持ち、青色Bの色フィルタは約450〜490nmの可視光波長域の光に対して高い透過率を持っている。
図4に示すように、感度も透過率と同様の特性を持っており、白色Wの画素は全可視波長域に対して高い感度を持ち、RGBの各画素単体の約2倍の感度を持っている。
また、青色Bと緑色Gのクロスポイント(分光スペクトルが交差する点の透過率)と緑Gと赤Rのクロスポイントが最大値の略50%となるようにカラーフィルタを設計することで、後述するように、白色Wから色信号を抽出する際に、白色Wから抽出された緑色Gの分光スペクトルを、緑色G単独の分光スペクトルと略相似形にすることができる。上記クロスポイントは、40〜60%の値の範囲内であれば良好な色再現性を得ることができ、30〜70%の範囲内でも実用レベルの色再現性が得られる。
図5は図2の画素ブロックを縦横に計4個配置した例を示す図である。また、図6(a)は行方向に隣接する3画素分の断面構造を模式的に示した断面図である。図6(a)に示すように、各画素は、半導体基板11上に形成される光電変換素子12と、その上に層間絶縁膜13を介して形成される色フィルタ14と、その上に形成されるマイクロレンズ15とを有する。層間絶縁膜13の内部には、隣接画素の光を遮断するための遮光膜16が形成されている。
光電変換素子12は、近赤外波長領域まで感度があるため、近赤外光(例えば650nm以上)をカットしないと、色再現性が悪化してしまう。例えば純粋な緑色光と近赤外光を放つ(反射する)被写体を撮像する場合、G画素において緑色光を検出し、R画素において近赤外光を検出してしまうことになり、上記被写体を純粋な緑色(R:G:B)=(0:1:0)として検出できなくなる。
そこで、例えば650nm以上の光を遮断する赤外カットフィルタを固体撮像素子と被写体、あるいは固体撮像素子とレンズとの間に設けて、波長可視光のみを固体撮像素子に入射させる。もしくは、図6(b)の断面図に示すように、色フィルタの上に赤外カットフィルタ17を配置してもよい。図6(b)の場合、白色画素については赤外カットフィルタ17を設けていない。これは、白色画素は輝度情報を取得するために設けられており、赤外カットフィルタ17がない方が低照度側の輝度情報をより確実に取得できるためである。
図7はRGBの画素のそれぞれに赤外カットフィルタ17を設け、白色画素(以下、W画素)には赤外カットフィルタ17を設けない場合の各画素の通過波長域と透過率との関係を示すグラフである。図示のように、W画素は、光電変換素子の基板材料であるシリコンが光電変換を行うことができる波長(約1.1μmの近赤外線)の光線まで吸収することができ、特に低照度の被写体を撮像する際に有利となり、近赤外カメラとしても用いることができる。
W画素の出力する信号値Wは、そのままでは汎用の映像信号であるRGB値として用いることができない。したがってW画素の白色データ値WをRGBの3色データに色分離する必要がある。以下、色分離を行う処理(以下、色分離処理)について説明する。
図8は図2の2行2列の画素ブロックを縦横に複数個ずつ配置した例を示す図である。以下では、図8に太線で示すように、W画素を中心とする3行3列の画素ブロックを基本単位とする。これは色分離処理をわかりやすく説明するためであり、実際の画素ブロックの基本単位は3行3列に限定されない。
色分離処理はW画素の周辺のRGB画素を用いて、以下の(1)〜(3)式により行う。
Rw←W・K1 …(1)
Gw←W・K2 …(2)
Bw←W・K3 …(3)
ここで、K1,K2,K3はそれぞれ、対象となるW画素の周辺のRGB画素から得られる色比率を表しており、例えば以下の(4)〜(6)式で表される。
ここで、Raverage,Gaverage,Baverageはそれぞれ、対象となるW画素の周辺の複数画素の色データ値RGBの平均であり、例えば、画素ブロック内に存在する赤色画素2画素分の平均色データ値、緑色画素4画素分の平均色データ値、青色画素2画素分の平均色データ値である。
Rw←W・K1 …(1)
Gw←W・K2 …(2)
Bw←W・K3 …(3)
ここで、K1,K2,K3はそれぞれ、対象となるW画素の周辺のRGB画素から得られる色比率を表しており、例えば以下の(4)〜(6)式で表される。
図8に示すように、W画素を取り囲む3行3列の画素ブロック内の色比率K1,K2,K3を求め、この色比率にW画素自身の輝度値(白色データ値W)を掛け合わせる。これにより、輝度解像度を劣化させずにW画素を色分離し、図9に示すように、W画素の位置に新たにRGBデータ値Rw,Gw,Bwを生成する。
色分離処理においては、隣接する行の色データ値を参照するため、行をまたがる演算を行う必要がある。そこで、ラインメモリに2行分の色データ値を一時的に格納しておき、画素ブロック内の最終行を読み出すタイミングで、ラインメモリに格納しておいた残り2行分の色データ値を読み出して、上述した(1)〜(3)式の演算を行う。
ここで、例えば画素ブロック内の色データ値が、W=200、(Raverage,Gaverage,Baverage)=(80,100,70)の場合には、(1)〜(6)式より、(Rw,Gw,Bw)=(64,80,56)となる。
このように、白色データ値Wを色データRw,Gw,Bwに変換すると、平均色データRaverage,Gaverage,Baverageに対して(64+80+56)/(80+100+70)=4/5倍になる。そこで、その逆数5/4を定数として、(1)〜(3)のそれぞれの右辺に掛け合わせた値を最終的な色データ値Rw,Gw,Bwとしてもよい。
色変換データRw,Gw,Bwは、本来SN比の高い白色データ値Wと、平均化によりSN比が向上した色データ値とを用いた乗算と除算のみにより得られるものであり、生成された色データ値はSN比がR、G、Bの色データ値単体よりも高くなる。
なお、上述したように、画素ブロックは3行3列に限定されない。例えば、図10はW画素を中心とする5行7列の画素ブロックの一例を示す図である。上述した色分離処理を行うのに使用するラインメモリの容量は画素ブロックの行数に依存し、行数が増えるに従ってラインメモリの容量も大きくなる。したがって、画素ブロックの行数を極端に増やすのは望ましくない。
色分離処理を終えると、色補間処理を行う。この色補間処理では、例えば図11に示すように、画素ブロック内のすべてのR画素とRw画素の平均値R’を計算する。同様に画素ブロック内のすべてのG画素とGw画素の平均値G’と、すべてのB画素とBw画素の平均値B’とを計算する。計算された画素平均値R’,G’,B’は、図11に示すように、画素ブロックの中心画素(信号処理対象画素)の色データ値としてみなされる。
この色補間処理では、W画素を含む画素ブロックの画素配列をベイヤー配列と同様に扱って、信号処理対象画素の周囲の画素の色データ値を用いて、信号処理対象画素の色データ値を補正する。これにより、すべての画素について、その周囲の3行3列の画素ブロック内の三色データ値RGBと色分離データ値Rw,Gw,Bwとの平均化により、最終的な色データ値R’,G’,B’を決定する。
以上の処理を繰り返すことで、すべての画素位置について、3色の色データ値R’,G’,B’が生成される。このうち特に色データ値R’,B’は、ベイヤー配列と比較して2倍の画素数のRデータ値とBデータ値に基づいて色補間を行って得られるものであり、SN比が従来の2倍程度まで向上する。
以上に説明した色分離処理では、3行3列の画素ブロックにおける色相(色比率K1〜K3)が均一であるという仮定の下で処理を行っている。ところが、3行3列よりも空間周波数の高い被写体を撮像する場合、すなわち画素ブロック中にエッジが含まれる場合には、上記仮定は成り立たなくなる。
例えば、図8において中心のW画素を含む列が輝度の高い真っ白なラインに対応し、かつそれ以外の領域は輝度ゼロであるような被写体を撮像する際に、上記(1)〜(6)式に従って色分離処理を愚直に行うと、G、R画素の出力値が非常に低くなり、それに対してW、B画素の出力値は非常に大きくなる。このとき、K1〜K3のうちK3(青色の比率)のみが大きな値をとり、K1,K2はゼロに近い値となる。
すなわち、色分離処理は、3行3列よりも空間周波数の高い被写体撮像データに対しては、実際の被写体の色とは異なる色の偽信号を算出してしまうことになる。
上記問題点を解決するために、本実施形態では空間周波数の高い画素領域を検出するエッジ判定部を設けている。
図12は本実施形態による信号処理回路6の内部構成を示すブロック図である。図示のように、信号処理回路6は、上述した(1)〜(6)式に基づいて色分離処理を行う色分離処理部11と、色分離後の色データ値の平均を取って最終的な色データ値を決定する色補間処理部12と、を有する他に、空間周波数の高い画素か否か、すなわち画素領域にエッジがあるか否かを判定するエッジ判定部20を有する。これら色分離処理部11、色補間処理部12およびエッジ判定部20はそれぞれ、複数画素からなる画素ブロックを単位として処理を行い、各部には、1画素ブロック分の色データ値を格納するメモリが設けられる。
本実施形態の信号処理回路6は、エッジ判定部20により、エッジがあると判定された場合とエッジがないと判定された場合で、色分離処理部11での処理内容を変化させている。
図13は図12のように構成される信号処理部の第1の実施形態の処理動作を示すフローチャートである。図14(a)〜図14(d)はエッジ判定に用いる画素ラインを説明する図である。
まず、図14(a)の太線で示すように、中央にW画素が位置する3行5列の画素ブロックを単位として、各画素ブロック内のRGBの色データ値C=(C1,C2,C3)と白色データ値Wを取得する(ステップS1)。画素ブロック内の中央のW画素が信号処理対象画素となる。
次に、図14(a)に示すように、W画素を中央に含む縦ライン3画素の色データ値の総和LineV0と、この縦ラインに隣接する両側の縦ライン3画素の色データ値の各総和LineV1, LineV2とを検出する。同様に、図14(b)に示すように、W画素を中心に含む横ライン3画素の色データ値の総和LineH0と、この横ラインに隣接する両側の横ライン3画素の色データ値の各総和LineH1, LineH2とを検出する。同様に、図14(c)に示すように、W画素を中心に含む右斜めライン3画素の色データ値の総和LineD0aと、この右斜めラインに隣接する両側の右斜めライン3画素の色データ値の各総和LineD1, LineD2とを検出する。同様に、図14(d)に示すように、W画素を中心に含む左斜めライン3画素の色データ値の総和LineD0bと、この左斜めラインに隣接する両側の左斜めライン3画素の色データ値の各総和LineD3, LineD4とを検出する(ステップS2)。
次に、エッジ判定部20は、縦ライン、横ライン、右斜めライン、左斜めラインのそれぞれについて、以下の(7)〜(10)式の条件を満たすか否かを判定する(ステップS3)。
|2×LineV0−(LineV1+LineV2)|>LevNV …(7)
|2×LineH0−(LineH1+LineH2)|>LevNH …(8)
|2×LineD0a−(LineD1+LineD2)|>LevNDa …(9)
|2×LineD0b−(LineD3+LineD4)|>LevNDb …(10)
ここで、LevNVは垂直方向のエッジ検出のための閾値、LevNHは水平方向のエッジ検出のための閾値、LevNDaは右斜め方向のエッジ検出のための閾値、LevNDbは左斜め方向のエッジ検出のための閾値である。
|2×LineV0−(LineV1+LineV2)|>LevNV …(7)
|2×LineH0−(LineH1+LineH2)|>LevNH …(8)
|2×LineD0a−(LineD1+LineD2)|>LevNDa …(9)
|2×LineD0b−(LineD3+LineD4)|>LevNDb …(10)
ここで、LevNVは垂直方向のエッジ検出のための閾値、LevNHは水平方向のエッジ検出のための閾値、LevNDaは右斜め方向のエッジ検出のための閾値、LevNDbは左斜め方向のエッジ検出のための閾値である。
例えば、(7)式が真となったとき、縦ラインのエッジが存在すると判断し、フラグflg=1とする。例えば、LineV0=100、LineV1=100、LineV2=20、LevNV=50とすると、式(7)は真となり、エッジが検出されて、flg=1となる。横ライン、右斜めラインおよび左斜めラインのエッジについても(8)〜(10)式がそれぞれ真のときにエッジが存在すると判断して、フラグflg=1に設定する。
上述したステップS3では、上記(7)〜(10)式の条件のうち、少なくとも一つを満たせば、エッジが存在すると判定して後述するステップS5の処理を行い、上記(7)〜(10)式のすべての条件を満たなければ、エッジが存在しないと判定して後述するステップS4の処理を行う。
上記(7)式は縦ラインエッジ判定部に、上記(8)式は横ラインエッジ判定部に、上記(9)式は右斜めラインエッジ判定部に、上記(10)式は左斜めラインエッジ判定部に対応する。
上記(7)〜(10)式によりエッジ検出を行えるが、比較対象となる3ラインのうち、中央ラインとその両側ラインとは画素の種類が異なっている。例えば、縦ラインの場合、図14(a)に示すように、中央の縦ラインはB画素とW画素で構成されるのに対し、その両側の縦ラインはG画素とR画素で構成されている。
このように、比較対象同士で画素の種類が異なると、エッジ検出を正しく行えないおそれがある。例えば、青の単色の被写体を図14(a)の画素ブロックで撮像する場合、元の被写体にはエッジが存在しなくても、中央の縦ラインだけが大きな色データ値を出力するため、式(7)が真となり、エッジとして認識してしまう。
そこで、図15(a)〜図15(d)に示すように、同じ種類の画素からなるライン同士で比較を行ってもよい。図15(a)〜図15(d)の場合は、隣接する3ラインではなく、それぞれ1画素行を間に挟んだ3ラインを選択しているが、比較対象の3ラインの画素の並びおよび種類は同じである。したがって、エッジ検出の精度が向上する。
ステップS3のエッジ判定処理を行った結果、エッジが存在しないと判定されると、色分離処理部11は、画素ブロック内の中央のW画素に対して上述した(1)〜(6)式に基づいて色分離処理を行って、Wデータ値をRGBの色データ値Rw,Gw,Bwに変換する(ステップS4)。
一方、ステップS3のエッジ判定処理を行った結果、エッジが存在すると判定されると、周囲の画素から正しい色比率を参照することができないため、以下の(11)式に従って、W画素をG画素として扱う(単色データ計算部、ステップS5)。G画素として扱う理由は、G画素は輝度情報を得るために用いられるためであり、R画素やB画素として扱わないことにより、偽信号の生成を抑制する。
Gw=aW+b …(11) (a,bは定数)
Gw=aW+b …(11) (a,bは定数)
もともと白色データ値は、同じ輝度の被写体に対して緑色データ値よりも2倍高い値を示すので、例えばa=0.5、b=0として信号値を補正する。この場合、例えば白色データ値が150のとき、Gw=75となる。値bは、例えばW画素とG画素で暗信号が異なる場合などに設定する。
上記ステップS5の処理を行う単色データ計算部は、図12の色分離処理部11の内部に設けてもよいし、色分離処理部11とは別個に設けてもよい。
以上の操作によって、エッジが存在する場合にはあたかもBayer配列のような信号マトリクスとなり、偽信号の生成を抑制することができる。
図13のステップS4またはS5の処理が終了すると、色補間処理部12は色補間処理を行う(ステップS6)。この色補間処理では、図11で説明したように、画素ブロック内のすべてのG画素の色データ値の平均とすべてのB画素の色データ値の平均を計算し、平均化されたG画素およびB画素の色データ値を画素ブロック中央のW画素の色データ値とする。
このように、第1の実施形態では、中央にW画素を含む画素ブロックごとに、W画素の周囲に空間周波数の高い被写体が存在するか否か、すなわち画素領域にエッジが存在するか否かを検出するエッジ判定を行い、エッジが存在しない場合には、中央のW画素を3色データ値に色分離し、エッジが存在する場合には、中央のW画素をG画素として扱う。これにより、空間周波数の高い被写体の影響を受けて偽信号を生成するといった不具合が起きなくなる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、エッジ判定に用いる画素ラインの種類が第1の実施形態とは異なるものである。
第2の実施形態は、エッジ判定に用いる画素ラインの種類が第1の実施形態とは異なるものである。
第1の実施形態では、図14(a)〜図14(d)または図15(a)〜図15(d)に示すように、エッジ検出用の比較対象として3ラインを画素ブロック内に設定し、このうちの中央ラインが画素ブロック内の中心に位置する信号処理対象のW画素を含む例を説明した。
比較対象となる画素ラインは、必ずしも画素ブロック中央に位置する信号処理対象のW画素を含んでいる必要はない。そこで、以下に説明する第2の実施形態では、中央のW画素に隣接する2ライン同士でエッジ判定を行うものである。また、比較対象となる2つの画素ラインの種類が同じであることを特徴とする。
図16は図12のように構成される信号処理回路6の第2の実施形態の処理動作を示すフローチャートである。図17(a)〜図17(d)はエッジ判定に用いる画素ラインを説明する図である。
まず、図13のステップS1と同様に、各画素ブロック内のRGBの色データ値と白色データ値を取得する(ステップS11)。次に、エッジ判定のための2ラインの色データ値の総和を検出する(ステップS12)。より具体的には、図17(a)に示すように、W画素を挟んで両側の縦ライン3画素の色データ値の各総和LineV1, LineV2と、図17(b)に示すように、W画素を挟んで両側の横ライン3画素の色データ値の各総和LineH1, LineH2とを検出する。同様に、図17(c)に示すように、W画素を挟んで両側の右斜めライン3画素の色データ値の各総和LineD1, LineD2と、図17(d)に示すように、W画素を挟んで両側の左斜めライン3画素の色データ値の各総和LineD3, LineD4とを検出する。
次に、エッジ検出部は、縦ライン、横ライン、右斜めライン、左斜めラインのそれぞれについて、以下の(12)〜(15)式の条件を満たすか否かを判定する(ステップS13)。
|LineV1−LineV2|>LevNV ・・・(12)
|LineH1−LineH2|>LevNH ・・・(13)
|LineD1−LineD2|>LevNDa ・・・(14)
|LineD3−LineD4|>LevNDb ・・・(15)
|LineV1−LineV2|>LevNV ・・・(12)
|LineH1−LineH2|>LevNH ・・・(13)
|LineD1−LineD2|>LevNDa ・・・(14)
|LineD3−LineD4|>LevNDb ・・・(15)
このステップS13では、上記(12)〜(15)式の条件のうち、少なくとも一つを満たせば、エッジが存在すると判定して、上記(11)式に基づいてW画素をG画素として扱う。(ステップS15)。一方、上記(12)〜(15)式のすべての条件を満たなければ、エッジが存在しないと判定して、上記(1)〜(6)式に基づいて白色データ値をRGB色データ値に変換する色分離処理を行う(ステップS14)。
ステップS14またはS15の処理が終わると、図13のステップS6と同様の色補間処理を行う(ステップS16)。
このように、第2の実施形態では、画素ブロック内の2つのライン同士の色データ値の比較によりエッジ判定を行うため、3ラインで色データ値を比較するよりも、少ない処理量でエッジ判定を行うことができる。また、比較対象となる2つの画素ラインを構成する画素の種類を同じにするため、誤ってエッジと判定するおそれがなくなる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、対象となるW画素の周辺でエッジが存在しない領域を検出して、この領域内で色分離処理を行うものである。
第3の実施形態は、対象となるW画素の周辺でエッジが存在しない領域を検出して、この領域内で色分離処理を行うものである。
図18は第3の実施形態による信号処理回路6の処理動作を示すフローチャート、図19(a)〜図19(d)はエッジ判定に用いる画素ラインを説明する図である。
まず、中央にW画素を含む画素ブロック内の色データ値を取得し(ステップS21)、次に、中央のW画素を信号対象画素として、このW画素を含む縦ラインLineV0の色データ値の総和と、その両側に1画素を隔てて配置される2つの縦ラインLineV1, LineV2それぞれの色データ値の総和と、W画素を含む横ラインLineH0の色データ値の総和と、その両側に1画素を隔てて配置される2つの横ラインLineH1, LineH2それぞれの色データ値の総和と、W画素を含む右斜めラインLineD0aの色データ値の総和と、その両側に1画素を隔てて配置される2つの右斜めラインLineD1, LineD2それぞれの色データ値の総和と、W画素を含む左斜めラインLineD0Bの色データ値の総和と、その両側に1画素を隔てて配置される2つの左斜めラインLineD3, LineD4それぞれの色データ値の総和とを計算する(ステップS22)。
次に、エッジ判定部20は、縦ライン、横ライン、右斜めライン、左斜めラインのそれぞれについて、上記(7)〜(10)式の条件を満たすか否かを判定する(ステップS23)。これら4つの条件のすべてを満たさない場合は、エッジなしと判定し、上記(1)〜(6)式に従って、信号処理対象のW画素をRGB画素に色分離する(ステップS24)。
一方、ステップS23の4つの条件の少なくとも一つを満たす場合、エッジ判定部20は、以下の(16)〜(19)式の少なくとも一つの条件を満たすか否かを判定する(ステップS25)。(16)、(17)式は、端の縦ラインの色データ値の総和と中央の縦ラインの色データ値の総和との差分が所定の閾値LevNH2未満か否かを判定する条件式である。(18)、(19)式は、端の横ラインの色データ値の総和と中央の横ラインの色データ値の総和との差分が所定の閾値LevNH2未満か否かを判定する条件式である。
|LineH1−LineH0|<LevNH2 …(16)
|LineH2−LineH0|<LevNH2 …(17)
|LineV1−LineV0|<LevNV2 …(18)
|LineV2−LineV0|<LevNV2 …(19)
|LineH1−LineH0|<LevNH2 …(16)
|LineH2−LineH0|<LevNH2 …(17)
|LineV1−LineV0|<LevNV2 …(18)
|LineV2−LineV0|<LevNV2 …(19)
このステップS25の処理は、信号処理対象のW画素の周囲で、エッジが存在しない平滑領域を検出するために行われる。例えば、縦ラインについて比較を行った結果、LineV1=100、LineV0=90、LineV2=20、LevNV2=30の場合、図19(a)の破線で囲んだ3行3列の画素領域はエッジが存在しない平滑領域であると判断される。同様に、横ラインについて比較を行った結果、図19(b)の破線で囲んだ3行3列の画素領域がエッジが存在しない平滑領域と判断される。
この場合、図19(a)と図19(b)の破線領域の共通部分である、図19(c)の2行2列の画素領域が最終的にエッジの存在しない平滑領域と判断される(ステップS26)。そして、この平滑領域に対してステップS24にて色分離処理を行う。
一方、上記(16)〜(19)式のいずれの判定も否定された場合には、平滑領域が存在しないために正常な色分離処理ができないと判断して、上記(11)式に基づいて、信号処理対象のW画素をG画素として扱う(ステップS27)。
このように、第3の実施形態では、信号処理対象のW画素の周囲にエッジが存在する場合に、W画素の周囲に平滑領域が存在するか否かを判定し、平滑領域が存在する場合には、この平滑領域内でW画素の色分離処理を行うため、エッジが存在する場合でも、できる限り信頼性のある色分離処理を行うことができ、色再現性のよいRGB画像を得ることができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1〜第3の実施形態とは異なる画素配列を採用し、エッジ判定に用いる画素列の種類も変えるものである。
第4の実施形態は、第1〜第3の実施形態とは異なる画素配列を採用し、エッジ判定に用いる画素列の種類も変えるものである。
図20は第4の実施形態で用いる画素配列を示す図である。図20の画素配列では、W画素が千鳥状に配置され、全体の画素数の50%を占めている。W画素の合間にG,R,Bの各画素が25%、12.5%、12.5%の割合で配置されている。RとBの画素の割合が小さい理由は、緑色の光に対する人間の視感度は高く、赤と青の色情報は緑ほどは要求されないためである。
図21は第4の実施形態による信号処理回路6の処理手順を示すフローチャートである。第1〜第3の実施形態では、信号処理対象はW画素に限定されたが、本実施形態ではW画素だけでなく、RGBの各画素も信号処理対象となる。そこで、色データ値を取得した(ステップS31)後に、信号処理対象の画素(中心画素)がW画素か否かを判定する(ステップS32)。
信号処理対象がW画素であれば、図13と同様の処理を行う(ステップS33〜S37)。このとき、W画素の周囲の3行3列の画素ブロックの色データ値を用いて処理を行ってもよいし、図22に示すように5行5列や5行7列の画素ブロックなど、3行3列の画素ブロックよりも広い範囲の色データ値を用いてステップS33〜S37の処理を行ってもよい。
画素ブロックが大きいほど参照画素数が多くなり、RGB画素の色データ値の平均に含まれるランダムノイズが抑制されるが、信号処理量が増大してしまう。したがって、ノイズ低減と信号処理量の増大のトレードオフを鑑みて、画素ブロックのサイズを選択すればよい。
エッジが存在しない場合には、上記ステップS33〜S37の処理により、W画素をRGB画素に色分離でき、エッジが存在する場合にはW画素をG画素に置換できる。
一方、信号処理対象がW画素でなく、R画素かB画素の場合は、以下に説明するステップS38〜S41の処理を行う。図20の画素配列の場合、G画素の半分の数しかR画素とB画素が存在しない。このため、図23のように、信号対象画素であるB画素を含む右斜めラインにはR画素が存在せず、右斜めラインに沿ってエッジが存在するような白黒縞模様の被写体を撮像すると、G画素とB画素の色データ値が非常に大きくなり、本来検出されるべきR画素の色データ値が出力されなくなり、強い偽信号を生成する要因になる。左斜めラインに沿ってエッジが存在するような被写体を撮像する場合も同様である。また、信号対象画素がR画素の場合にも同様の問題が起き、この場合は本来検出されるべきB画素の色データ値が出力されなくなる。
そこで、図21のステップS38〜S41では、信号処理対象のB画素の位置にR画素を、信号処理対象のR画素の位置にB画素をそれぞれ割り振る補間処理を行う。
まず、図24(a)および図24(b)に示すように、信号処理対象のB画素の両側に隣接する2つの右斜めラインそれぞれの色データ値の総和LineD5, LineD6と、信号処理対象のB画素の両側に隣接する2つの左斜めラインそれぞれの色データ値の総和LineD7, LineD8とを検出し、以下の(20)および(21)式の条件の少なくとも一つを満たすか否かを判定し、条件を満たす場合には、フラグflgを「1」に設定し、条件を満たさない場合は条件をフラグflgを「0」に設定する。
|LineD5−LineD6|>LevNDc …(20)
|LineD7−LineD8|>LevNDd …(21)
ここで、LevNDc, LevNDdは予め定められる閾値であり、例えば、LineD5=100、LineD6=300、LevNDc=40の場合は、(20)式の条件を満たすことになり、フラグflg=1になる。上記(20)式は右斜めエッジ判定部に対応し、上記(21)式は左斜めエッジ判定部に対応する。
|LineD5−LineD6|>LevNDc …(20)
|LineD7−LineD8|>LevNDd …(21)
ここで、LevNDc, LevNDdは予め定められる閾値であり、例えば、LineD5=100、LineD6=300、LevNDc=40の場合は、(20)式の条件を満たすことになり、フラグflg=1になる。上記(20)式は右斜めエッジ判定部に対応し、上記(21)式は左斜めエッジ判定部に対応する。
フラグflg=1の場合、信号対象画素がB画素であれば、B画素の位置に新たにR画素を設定する(ステップS40)。ここでは、画素ブロック内のW画素、G画素およびB画素の平均値を求め、以下の(22)式に従って減算処理を行う。
R1=aWaverage−(bBaverage+cGaverage) …(22)
ここで、a,b,cは各画素の感度比によって決定される係数である。例えば、Waverage=150、Baverage=100、Gaverage=100のときに、a=1.2、b=0.4、c=0.4とすると、R1=100となる。
R1=aWaverage−(bBaverage+cGaverage) …(22)
ここで、a,b,cは各画素の感度比によって決定される係数である。例えば、Waverage=150、Baverage=100、Gaverage=100のときに、a=1.2、b=0.4、c=0.4とすると、R1=100となる。
同様に、フラグflg=1の場合、信号対象画素がR画素であれば、以下の(23)式に従って、R画素の位置に新たにB画素を設定する(ステップS41)。
B1=dWaverage−(eBaverage+fGaverage) …(22)
B1=dWaverage−(eBaverage+fGaverage) …(22)
これらステップS40,S41は、色追加処理部に対応する。ステップS35、S36、S40、S41の処理が終了した場合は、色補間処理を行う(ステップS37)。
このように、第4の実施形態では、右斜め方向および左斜め方向にRGBの3色のうち2色しか現れないような画素配列を採用する場合、存在しない色の画素を信号対象の画素に仮想的に設定するため、特定の色成分のみが強くなる偽信号の生成を抑制でき、SN比の良好なRGB画像を得ることができる。
1 画素アレイ
2 垂直スキャナ
3 ノイズ減算回路
4 A/D変換回路
5 水平スキャナ
6 信号処理回路
11 色分離処理部
12 色補間処理部
20 エッジ判定部
2 垂直スキャナ
3 ノイズ減算回路
4 A/D変換回路
5 水平スキャナ
6 信号処理回路
11 色分離処理部
12 色補間処理部
20 エッジ判定部
Claims (19)
- 半導体基板上にマトリクス状に形成され、それぞれが光電変換素子を有する複数の画素と、
前記複数の画素で光電変換された電気信号を読み出す読み出し回路と、
前記読み出し回路で読み出した電気信号に対して信号処理を行う信号処理部と、を備え、
前記複数の画素は、
可視光波長の入射光を透明フィルタを介して対応する前記光電変換素子に導く第1の画素と、
可視波長域中の第1の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第1の色フィルタを有する複数の第2の画素と、
可視波長域中の前記第1の可視光波長域とは異なる第2の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第2の色フィルタを有する複数の第3の画素と、
可視波長域中の前記第1および第2の可視光波長域とは異なる第3の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第3の色フィルタを有する複数の第4の画素と、をそれぞれ有し、
前記信号処理部は、
前記第1〜第4の画素を少なくとも一つずつ含む複数の画素からなる画素ブロックを単位として、該画素ブロック内の白色の前記第1の画素に対応する白色データ値、第1の色の前記第2の画素に対応する第1の色データ値、第2の色の前記第3の画素に対応する第2の色データ値および第3の色の前記第4の画素に対応する第3の色データ値を取得する色取得部と、
前記画素ブロック内の信号処理対象となる前記第1の画素の周囲にエッジが存在するか否かを判定するエッジ判定部と、
前記判定が否定された場合に、信号処理対象となる前記第1の画素の周囲に位置する前記第1〜第3の色の前記第1〜第3の色データ値に基づいて、前記第1の画素における色比率を計算し、計算された色比率と前記第1の画素に対応する前記白色データ値とを乗じることにより、前記第1の画素を色分離して前記第1〜第3色の色データ値を計算する色分離部と、
前記判定が肯定された場合に、前記色比率を求めずに前記第1の画素を白色以外の他の単色とみなして、この単色の色データ値を計算する単色データ計算部と、を有することを特徴とする固体撮像素子。 - 前記エッジ判定部は、
前記画素ブロック内の信号処理対象となる白色画素を含む縦ラインにおける複数画素の色データ値の総和と、この縦ラインの両側に配置された2つの縦ラインそれぞれにおける複数画素の色データ値の総和と、の差分が第1の基準値を超えるか否かを判定する縦ラインエッジ判定部と、
前記画素ブロック内の信号処理対象となる白色画素を含む横ラインにおける複数画素の色データ値の総和と、この横ラインの両側に配置された2つの横ラインそれぞれにおける複数画素の色データ値の総和と、の差分が第2の基準値を超えるか否かを判定する横ラインエッジ判定部と、
前記画素ブロック内の信号処理対象となる白色画素を含む斜めラインにおける複数画素の色データ値の総和と、この斜めラインの両側に配置された2つの斜めラインそれぞれにおける複数画素の色データ値の総和と、の差分が第3の基準値を超えるか否かを判定する斜めラインエッジ判定部と、
少なくとも一つの前記判定が肯定された場合には、信号処理対象となる白色画素の周囲にエッジが存在すると判断することを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像素子。 - 前記斜めラインエッジ判定部は、
前記画素ブロック内の信号処理対象となる白色画素を含む右斜めライン上の複数画素の色データ値の総和と、この右斜めラインの両側に配置された2つの右斜めライン上の複数画素の色データ値の総和と、の差分が第4の基準値を超えるか否かを判定する右斜めラインエッジ判定部と、
前記画素ブロック内の信号処理の対象である白色画素を含む左斜めライン上の複数画素の色データ値の総和と、この左斜めラインの両側に配置された2つの左斜めライン上の複数画素の色データ値の総和と、の差分が第5の基準値を超えるか否かを判定する左斜めラインエッジ判定部と、を有し、
前記エッジ判定部は、前記縦ラインエッジ判定部、前記横ラインエッジ判定部、前記右斜めラインエッジ判定部および前記左斜めラインエッジ判定部の少なくとも一つで前記判定が肯定された場合には、信号処理対象となる白色画素の周囲にエッジが存在すると判断することを特徴とする請求項3に記載の固体撮像素子。 - 前記縦ラインエッジ判定部が前記判定に用いる3つの縦ラインは、隣接して配置されるか、あるいは1画素の間隔をそれぞれ挟んで配置され、
前記横ラインエッジ判定部が前記判定に用いる3つの横ラインは、隣接して配置されるか、あるいは1画素の間隔をそれぞれ挟んで配置され、
前記斜めラインエッジ判定部が前記判定に用いる3つの斜めラインは、隣接して配置されるか、あるいは1画素の間隔をそれぞれ挟んで配置されることを特徴とする請求項3または4に記載の固体撮像素子。 - 前記縦ラインエッジ判定部が前記判定に用いる3つの縦ラインは、1画素の間隔をそれぞれ挟んで配置され、かつ各縦ラインの画素の種類および並びが共通であり、
前記横ラインエッジ判定部が前記判定に用いる3つの横ラインは、1画素の間隔をそれぞれ挟んで配置され、かつ各横ラインの画素の種類および並びが共通であり、
前記斜めラインエッジ判定部が前記判定に用いる3つの斜めラインは、1画素の間隔をそれぞれ挟んで配置され、かつ各斜めラインの画素の種類および並びが共通であることを特徴とする請求項5に記載の固体撮像素子。 - 前記エッジ判定部は、
前記画素ブロック内の信号処理対象となる白色画素を含む縦ラインの両側に配置された2つの縦ラインそれぞれにおける複数画素の色データ値の総和同士の差分が第1の基準値を超えるか否かを判定する縦ラインエッジ判定部と、
前記画素ブロック内の信号処理対象となる白色画素を含む横ラインの両側に配置された2つの横ラインそれぞれにおける複数画素の色データ値の総和同士の差分が第2の基準値を超えるか否かを判定する横ラインエッジ判定部と、
前記画素ブロック内の信号処理対象となる白色画素を含む斜めラインの両側に配置された2つの斜めラインそれぞれにおける複数画素の色データ値の総和同士の差分が第3の基準値を超えるか否かを判定する斜めラインエッジ判定部と、
少なくとも一つの前記判定が肯定された場合には、信号処理対象となる白色画素の周囲にエッジが存在すると判断することを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像素子。 - 前記斜めラインエッジ判定部は、
前記画素ブロック内の信号処理対象となる白色画素を含む右斜めラインの両側に配置された2つの右斜めライン上の複数画素の色データ値の総和同士の差分が第4の基準値を超えるか否かを判定する右斜めラインエッジ判定部と、
前記画素ブロック内の信号処理の対象である白色画素を含む左斜めラインの両側に配置された2つの左斜めライン上の複数画素の色データ値の総和同士の差分が第5の基準値を超えるか否かを判定する左斜めラインエッジ判定部と、を有し、
前記エッジ判定部は、前記縦ラインエッジ判定部、前記横ラインエッジ判定部、前記右斜めラインエッジ判定部および前記左斜めラインエッジ判定部の少なくとも一つで前記判定が肯定された場合には、信号処理対象となる白色画素の周囲にエッジが存在すると判断することを特徴とする請求項7に記載の固体撮像素子。 - 前記色分離部は、エッジ判定部における判定が肯定された場合に、信号処理対象となる白色画素を緑色画素の色データ値に変換することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の固体撮像素子。
- 前記色分離部で生成した前記第1〜第3色の色データ値を用いて、白色画素の周囲の画素の色データ値を補正する補間処理部を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の固体撮像素子。
- 前記補間処理部は、前記画素ブロック内の画素の配列がベイヤー配列となるように、前記色分離部で生成した前記第1〜第3の色データ値を用いて、白色画素の周囲の画素の色データ値を補正することを特徴とする請求項10に記載の固体撮像素子。
- 前記エッジ判定部は、信号処理対象となる白色画素を含む前記画素ブロック内において、前記白色画素を含んでかつエッジが存在しない画素領域を特定し、
前記色分離処理部は、前記エッジ検出部にて特定された前記画素領域に存在する前記第1〜第3の色の色データ値C1、C2およびC3を用いて、前記(1)〜(4)式に従って前記白色データ値を色分離して、前記第1〜第3の色の色データ値C1w,C2w,C3wを計算することを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。 - 半導体基板上にマトリクス状に形成され、それぞれが光電変換素子を有する複数の画素と、
前記複数の画素で光電変換された電気信号を読み出す読み出し回路と、
前記読み出し回路で読み出した電気信号に対して信号処理を行う信号処理部と、を備え、
前記複数の画素は、可視光波長の入射光を透明フィルタを介して対応する前記光電変換素子に導く第1の画素と、可視波長域中の第1の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第1の色フィルタを有する複数の第2の画素と、可視波長域中の前記第1の可視光波長域とは異なる第2の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第2の色フィルタを有する複数の第3の画素と、可視波長域中の前記第1および第2の可視光波長域とは異なる第3の可視光波長域に対して他の可視光波長域よりも高い透過率を持つ第3の色フィルタを有する複数の第4の画素と、をそれぞれ有し、
前記信号処理部は、
前記第1〜第4の画素を少なくとも一つずつ含む複数の画素からなる画素ブロックを単位として、該画素ブロック内の白色の前記第1の画素に対応する白色データ値、第1の色の前記第2の画素に対応する第1の色データ値、第2の色の前記第3の画素に対応する第2の色データ値および第3の色の前記第4の画素に対応する第3の色データ値を取得する色取得部と、
前記画素ブロック内の信号処理対象画素である前記第3の画素または前記第4の画素の周囲にエッジが存在するか否かをそれぞれ判定するエッジ判定部と、
信号処理対象画素の周囲にエッジが存在しないと判定されると、信号処理対象となる画素の色データ値を変更せずに出力し、信号処理対象画素の周囲にエッジが存在すると判定されると、信号処理対象画素が前記第3の画素であれば該画素に前記第3の色の色データ値を追加し、信号処理対象画素が前記第4の画素であれば該画素に前記第2の色の色データ値を追加する色追加処理部と、を有することを特徴とする固体撮像素子。 - 前記第2の画素に対応する前記第1の色は緑色、前記第3および第4の画素に対応する前記第2および第3の色の一方は赤色で、他方は青色であり、
前記画素ブロック内における前記第3および第4の画素の割合は、前記第2の画素の割合よりも少なく、
前記画素ブロック内における前記第2の画素の割合は、前記第1の画素の割合よりも少ないことを特徴とする請求項13に記載の固体撮像素子。 - 前記エッジ判定部は、信号処理対象画素である前記第3の画素または前記第4の画素を挟んで両側2つの斜めラインの色データ値の総和の差分が所定の閾値を超える場合には、信号処理対象画素の周囲にエッジが存在すると判断することを特徴とする請求項14に記載の固体撮像素子。
- 前記エッジ判定部は、
信号処理対象画素である前記第3の画素または前記第4の画素を挟んで両側2つの右斜めラインの色データ値の総和の差分が所定の閾値を超えるか否かを判定する右斜めエッジ判定部と、
前記信号処理対象画素を挟んで両側2つの左斜めラインの色データ値の総和の差分が所定の閾値を超えるか否かを判定する左斜めエッジ判定部と、の少なくとも一方が肯定されると、前記信号処理対象画素の周囲にエッジが存在すると判断することを特徴とする請求項15に記載の固体撮像素子。 - 前記画素ブロックは、隣接配置される2行2列の4個の前記第1乃至第4画素を含んでおり、
前記画素ブロック内の前記第1及び第2の画素は対角上に配置されることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の固体撮像素子。 - 前記画素ブロックは、千鳥格子状に配置される前記第1の画素と、その合間に2:1:1の密度で配置される前記第2の画素、前記第3の画素、及び前記第4の画素からなることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の固体撮像素子。
- 前記信号処理部は、前記複数の画素と前記読み出し回路とが形成された前記半導体基板とは異なる半導体基板上に形成され、
前記読み出し回路の出力が前記信号処理回路に入力されることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の固体撮像素子。
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