JP2008304225A - 絵画表面計測装置及びその計測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャンバスや木枠等の湾曲やねじれの影響をなくし、筆のタッチや絵具の凹凸を抽出できるようにして、絵画の立体複製を精密に行える絵画表面計測装置を提供する。
【解決手段】絵画表面計測装置100は、絵画10の表面形状及び色彩を測定する測定部20と、測定部20で測定された表面形状データから低周波成分を除去して又は高周波成分を抽出して、絵画10の描画層厚データとする描画層厚測定部30と、絵画の描画層厚データをクラス分けしてマップ化するマップ形成部40と、マップ形成部40でマップ化された描画層厚データと測定部20で測定された色彩データとを出力するデータ出力部60とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、絵画表面計測装置と絵画表面計測方法に関する。詳しくは絵画等の立体的計測を精密に行う絵画表面計測装置と絵画表面計測方法に関する。
従来、絵画の複製を作成する場合、2次元的にコピーを行うのが通常であり、立体的にその絵画の筆感や立体感を損なわずに再現することは困難であった。しかるに、ステレオカメラを用いた計測技術の発展により、高精度に物体の被接触3次元表面形状の測定が可能になっている。(例えば特許文献1,2参照)
特開2003−264852号公報(段落[0018]〜[0073]、図1〜図11) 特開2005−174151号公報(段落[0021]〜[0087]、図1〜図24)
しかしながら、絵画を立体的に複製するために、非接触三次元測定器を用いて表面形状の3次元計測を行う場合、筆のタッチの凹凸や描画層(絵具等の着色材料の層)の凹凸のみならず、絵画の支持体である木枠の伸縮やねじれ等の歪、絵画の被描画体であるキャンバスのうねりやたるみ等の湾曲の情報を含んだ状態で計測されてしまい、湾曲のオーダーの方が凹凸よりも大きいため、筆のタッチや表面の微細な絵具の凹凸を浮き立たせることができないという問題点、すなわち絵画の複製にはキャンバスや木枠の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を抽出できるようにしないと複製を立体的に作成できないという問題点があった。
図13に絵画10のベース(キャンバス等の被描画体及び木枠等の支持体で構成される物81を横に置いた場合の描画層82の凹凸の様子の例を示す。例えばキャンバスが1mm湾曲していた場合、実際の絵画10では、描画層82の厚みが通常数μmから数100μmの厚さであり、キャンバスの湾曲や歪みの中に描画層82の凹凸が埋もれてしまい、絵画10の描画層82の表面形状すなわち厚みを明確に表現できないという問題があった。
図14に絵画10のベース81を縦に置いた場合の描画層82の凹凸の様子の例を示す。絵画10の被描画体や支持体の湾曲や歪は、個別の絵画によって異なると共に計測する際の絵画設置状態によっても変化する。例えば壁に立て掛ける状態と床に置く状態を比較しても、被描画体や支持体の材質によっては例えばキャンバス自体のうねりが変化してしまい、キャンバス自体のうねりを同じように復元するのは実際的ではない。
また、その他、絵画から立体情報を取得する際に、接触式三次元測定器は、絵画の表面を損傷させるために利用できないという問題、非接触三次元計測法でもレーザー等の照射光を利用したアクティブ法による計測方法の場合は、黒色の部分を計測できない又は計測精度が悪いという問題、また長時間光を照射することによる絵画への温度変化等による影響も無視できないという問題があった。
本発明は、キャンバス等の被描画体や木枠等の支持体の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を抽出できるようにして、絵画の立体複製を精密に行える絵画表面計測装置と絵画表面計測方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様である絵画表面計測装置100は、例えば図1に示すように、絵画10の表面形状及び色彩を測定する測定部20と、測定部20で測定された表面形状データから低周波成分を除去して、絵画10の描画層厚データとする描画層厚測定部30とを備える。
ここにおいて、本発明が対象とする絵画は、水彩画、油絵等の紙やキャンバスに描かれた絵画、フレスコ画、テンペラ画等に限られず、壁画、ふすまや天井その他建造物に描かれた絵画、車体、衣類、陶器、家具、箱、玩具その他の物品に描かれた絵画を含み、表面に塗られた着色材料の厚さに起伏がある3次元的な絵画である。また、通常、絵画の表面形状及び色彩はキャンバス等の被描画体表面の2次元座標に対応して測定される。例外として、陶器等のように被描画体表面自体が湾曲している場合には被描画体表面を2次元的に展開して座標が割り当てられる。また、描画層は、絵具等の着色材料層に限られず、下塗り層、フレスコ画の漆喰等の下地層等の被描画体表面上に形成される層を含むものである。
また、着色材料には水彩絵具、油彩絵具、岩絵具、アクリル絵具、フレスコ画やテンペラ画の絵具、墨、インク、ポスターカラー、パステル、色鉛筆の芯、建造物、陶器や衣類に使用する顔料、染料、塗料、釉、漆等がある。また、低周波成分の除去には高周波成分の抽出を含むものとする。また、低周波成分と高周波成分の切り分けについては、通常、描画用の筆、刷毛、へらなどのタッチによる凹凸を高周波成分とみなし、キャンバス等の被描画体や木枠等の支持体の湾曲や歪を低周波成分とみなして区別する。このため、絵画の種類や使用する筆、刷毛、へらにもよるが、例えば、低周波成分を波長mmオーダー以上、高周波成分を波長μmオーダー以下とする。場合により、低周波成分を波長cmオーダー以上、高周波成分を波長mmオーダー以下としても良い。モザイク画のような場合は低周波成分をモザイクタイルの寸法より充分大きく例えば波長数十cm以上としても良い。このように構成すると、キャンバスや木枠等の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を抽出できるようにする絵画表面計測装置を提供できる。
また、第2の態様の絵画表面計測装置100は、第1の態様において、例えば図1に示すように、絵画の描画層厚データをクラス分けしてマップ化するマップ形成部40と、マップ形成部40でマップ化された描画層厚データと測定部20で測定された色彩データとを出力するデータ出力部60とを備える。
ここにおいて、通常、マップ化された描画層厚データは被描画体表面等の2次元座標対応に取得され、描画層厚データ及び色彩データの出力も被描画体表面等の2次元座標対応に行なわれる。例外として、陶器等のように被描画体表面自体が湾曲している場合には被描画体表面を2次元的に展開して座標が割り当てられる。また、描画層厚データのクラス分けは、例えば全厚みを16段階、64段階、256段階、1024段階等に分け、可視光波長を同様に段階分けして色彩を割り当てても良く、また、例えば0〜200μmを第1層、200〜400μmを第2層、400〜600μmを第3層、600〜800μmを第4層、800〜1000μmを第5層として色彩を割り当てても良い。このように構成すると、抽出された筆のタッチや描画層の凹凸データに基づいて絵画の立体複製を精密に行える絵画表面計測装置を提供できる。
また、第3の態様の絵画表面計測装置100は、第2の態様において、例えば図1に示すように、測定部20は、光束を絵画10の表面に照射する照射部21と、光束を照射された絵画10の表面からの反射光を受光する受光部22と、受光部22で受光された受光信号の位相、強度、干渉波の変化のいずれか1つに基づき絵画10の表面形状を測定する第1の表面形状測定部23とを有する。ここにおいて、干渉波とは照射光からの分岐光と反射光とを合波させた干渉波をいう。このように構成すると、絵画表面の微小領域毎の凹凸の状況を精密に計測できる。
また、第4の態様の絵画表面計測装置100は、第3の態様において、例えば図1に示すように、マップ化された描画層厚データと測定部20で測定された色彩データとのマッチングを行なうマッチング部50を備える。ここにおいて、描画層厚データと色彩データとのマッチングは相互相関法等で行なうことができる。例えば、画面上で、絵筆に絵の具を付けてタッチした部分、絵筆を動かした部分では色が変化すると共に絵具の厚さが変化する。画面上にかかる部分が多数あるので、これらを特徴点として相互相関を取ることによりマッチングが可能である。また、マニュアル指定により確認しながら或いは相互相関を補完しながら行なうこともできる。このように構成すると、絵画表面の描画層厚データと色彩データとの対応関係を高精度に合わせることができる。
また、第5の態様の絵画表面計測装置100Aは、第2の態様において、例えば図7に示すように、測定部20は、基線長分離れた2つのカメラを有するステレオカメラ部25と、ステレオカメラ部25で撮影されたステレオ画像に基づき絵画10の表面形状を測定する第2の表面形状測定部23Aとを有する。このように構成すると、ステレオカメラという比較的簡易な手段を用いて絵画の表面形状を3次元的に精密に計測できる。
また、第6の態様の絵画表面計測装置100Aは、第5の態様において、例えば図7に示すように、測定部20は、ランダムパターンを照射するパターン照射部26を有する。このように構成すると、ランダムパターンから多数の特徴点を抽出して絵画の表面形状を測定でき、表面形状の精度を向上できる。
また、第7の態様の絵画表面計測装置100,100Aは、第1の態様ないし第6の態様のいずれかにおいて、例えば図1又は図7に示すように、描画層厚測定部30は、測定部20で測定された表面形状データから低周波成分を抽出する低周波成分抽出部31と、表面形状データと低周波成分抽出部31で抽出された低周波成分との差分を描画層厚データとして算出する演算部32とを有する。このように構成すると、例えばガウシアンフィルタを用いて低周波成分を抽出して、キャンバスや木枠等の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を的確に抽出できる。
上記課題を解決するために、本発明の第8の態様である絵画複製システムは、第2の態様の絵画表面計測装置と、データ出力部60から出力されたマップ化された描画層厚データと色彩データとに基づいて絵画10を印刷して複製する印刷装置とを備える。
このように構成すると、本発明による絵画表面計測装置を用いて、キャンバスや木枠等の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を抽出できるようにして、絵画の立体複製を精密に行える絵画複製システムを提供できる。
上記課題を解決するために、本発明の第9の態様である絵画表面計測方法は、例えば図2に示すように、絵画の表面形状を測定する表面形状測定工程S22と、絵画の表面の色彩を測定する色彩測定工程S24と、表面形状測定工程22で測定された表面形状データから低周波成分を除去して、絵画の描画層厚データとする描画層厚測定工程S30とを備える。このように構成すると、キャンバスや木枠等の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を抽出できるようにする絵画表面計測方法を提供できる。
また、第10の態様の絵画表面計測方法は、第9の態様において、絵画10の描画層厚データをクラス分けしてマップ化するマップ形成工程S40と、マップ形成工程S40でマップ化された描画層厚データと色彩測定工程S24で測定された色彩データとを出力するデータ出力工程S60とを備える。このように構成すると、抽出された筆のタッチや描画層の凹凸データに基づいて絵画の立体複製を精密に行える絵画表面計測方法を提供できる。
上記課題を解決するために、本発明の第11の態様であるプログラムは、第9の態様又は第10の態様の絵画表面計測方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
また、第12の態様の絵画表面計測装置100は、第1の態様において、例えば図1に示すように、測定部20は、光束を絵画10の表面に照射する照射部21と、光束を照射された絵画10の表面からの反射光を受光する受光部22と、受光部22で受光された受光信号の位相、強度、干渉波の変化のいずれか1つに基づき絵画10の表面形状を測定する第1の表面形状測定部23とを有する。ここにおいて、干渉波とは照射光からの分岐光と反射光とを合波させた干渉波をいう。このように構成すると、絵画表面の微小領域毎の凹凸の状況を精密に計測できる。
また、第13の態様の絵画表面計測装置100Aは、第1の態様において、例えば図7に示すように、測定部20は、基線長分離れた2つのカメラを有するステレオカメラ部25と、ステレオカメラ部25で撮影されたステレオ画像に基づき絵画10の表面形状を測定する第2の表面形状測定部23Aとを有する。このように構成すると、ステレオカメラという比較的簡易な手段を用いて絵画の表面形状を3次元的に精密に計測できる。
本発明によれば、キャンバス等の被描画体や木枠等の支持体の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を抽出できるようにして、絵画の立体複製を精密に行える絵画表面計測装置と絵画表面計測方法を提供できる。
以下図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
図1は本実施の形態における絵画計測装置100の構成例及びデータの流れの例を示すブロック図である。本実施の形態は絵画10に光を照射し、その反射光を受光して表面形状を測定するアクティブ方式の例を説明する。図1において非接触三次元測定の対象となる絵画10は、一般には表面に筆のタッチの凹凸や絵具等の着色材料の凹凸があり、絵画10の支持体である枠や被描画体であるキャンバスの歪みもある。測定部20は光束を絵画10の表面に照射する照射部21、絵画10の表面からの反射光を受光する受光部22、絵画表面の凹凸情報等の表面形状を測定する第1の表面形状測定部23及び絵画表面の色彩を測定する色彩情報測定部24を有する。本実施の形態では照射部21は絵画10の表面をレーザーのスポット光でスキャンし、受光部22はアバランシェフォトダイオードで絵画10からの反射光を受光し、スポット光対応の微細部分毎に受光信号を増幅して表面形状測定部23に受光データを送信する。第1の表面形状測定部23は受光部22で受光された受光信号の位相、強度、干渉波の変化のいずれか1つに基づき絵画10の表面形状(厚さ方向の高低データ)を測定する。例えば、照射光からの分岐光と反射光とを合波させた干渉波を用いて、その位相の変化から表面の起伏を測定する。また色彩情報測定部24ではCCDカラーカメラで絵画10を撮影し、色彩情報を取得する。絵画10の表面形状はキャンバス等の被描画体表面の2次元座標、ここではレーザースポットの照射位置情報に対応して測定され、記憶部70に記憶される。なお、反射光束の周波数スペクトルに基づき絵画表面の色彩(明度、彩度も含む)を測定することも可能であり、この場合は色彩情報も被描画体表面の2次元座標、すなわちレーザースポットの照射位置情報に対応して測定され、記憶部70に記憶される。
アクティブ方式では、照射部21は、レーザー光の場合はスポットにして全面走査させたり、1次元(直線状)の光をあてて2次元状に走査させたりする。本実施の形態では照射部21は絵画10の表面を例えば1.5μmφのレーザー光でスキャンするものとする。受光部22は、照射部2のレーザー発射口近傍に設置された、表面を例えば1μm□の微細部分毎に受光信号を増幅して第1の表面形状測定部23に受光データを送信する。
照射部21では、レーザー光の他に、回折光、構造化された光(パターン化・コード化された光)などを照射することも可能である。構造化された光とは例えば2次元パターンでは、2次元コードのようなパターンや、正方格子形状のパターンなどが用いられる。この場合、1種類に限られず、複数の2次元パターンを照射することもある。2次元的に広がった照射光の受光はCCDカメラなどで撮影する。
描画層厚測定部30は、測定部20で測定された表面形状データから低周波成分を除去して又は高周波成分を抽出して、絵画の描画層厚データとするもので、本実施の形態では、表面形状データから低周波成分を抽出する低周波成分抽出部31と表面形状データと低周波成分抽出部31で抽出された低周波成分との差分を描画層厚データとして算出する演算部32とを有する。
低周波成分抽出部31は、例えばガウシアンフィルタを有し、第1の表面形状測定部23で計測された絵画10表面形状データ(凹凸データ)から低周波成分を抽出する。低周波成分は枠等の支持体や絵画の用紙やキャンバス等の被描画体のうねり等の湾曲、ねじれ等の歪に対応すると考えられる。演算部32は表面形状データと抽出された低周波成分との差分を演算し、低周波成分を除去することにより、湾曲や歪のデータを除去する。低周波成分を除去した高周波成分は筆、刷毛やへらのタッチ(下塗りを含む)などによる絵具の盛り上がりなどの描画層の起伏(凹凸)に対応すると考えられる。これにより、歪を除去した絵画表面の描画層厚データが得られる。描画層厚測定部30で得られた描画層厚データは被描画体表面の2次元座標、すなわちレーザースポットの照射位置情報に対応して算出され、測定情報記憶部70に記憶される。
マップ形成部40は、描画層厚データをクラス分けしてマップ化する。描画層厚データのクラス分けは、例えば全厚みを16段階、64段階、256段階、1024段階等に分けても良く、また、例えば0〜200μmを第1層、200〜400μmを第2層、400〜600μmを第3層、600〜800μmを第4層、800〜1000μmを第5層として分けても良い。さらに、クラス分けされたグループ毎に色分けして、カラーマップを作成すると見やすくて便利である。例えば、色彩数は赤から紫まで周波数をグループに対応して階層数割り当てるが、何色使用しても良い。なお、カラーマップの色彩は描画層厚を表し、絵画表面に塗られた実際の色彩とは異なるものである。
マッチング部50はマップ形成部40で作成されたカラーマップ(厚み情報)と色彩情報測定部24、本実施の形態ではCCDカラーカメラで撮影された実際の絵画の写真(色彩情報)との位置あわせ行う。カメラレンズなどを使用して撮影された画像は、予めレンズの内部パラメータ(レンズ歪、画面中心位置)を求めておき、補正により撮影装置の歪、レンズ歪や中心投影歪などを補正し、正射投影(オルソ)画像とする。オルソ画像化された色彩情報とカラーマップ化された描画層厚データとについて位置合わせのためマッチングが行われる。すなわち、被描画体表面等の2次元位置座標(xy方向)に対する描画層厚データ(高さ情報、z方向)と色彩データを対応させる。例えば、画面上で、絵筆に絵の具を付けてタッチした部分、絵筆を動かした部分では色が変化すると共に絵具の厚さが変化する。画面上にかかる両者が共に変化する部分が多数あるので、画面全体に分布するように特徴点を選んで、相互相関法を用いて相関を取ることによりマッチングが可能である。
データ出力部60は、マップ形成部40でマップ化された描画層厚データと測定部20で測定された色彩データとを出力する。出力はレーザースポットのサイズで位置付けされた2次元座標対応に行なわれる。本実施の形態では、マッチング部50でマッチングされ、位置合わせされた描画層厚データと色彩データを出力する。データはこれらのデータに基づいて印刷して絵画を三次元的に複製する印刷装置のフォーマットにあわせて出力する。例えば印刷装置としては、インクジェット方式にて、インクを積層して立体形状を再現するものや、レーザー描画システムと専用の光硬化性樹脂との組み合わせにより造形を行なう光造形装置などを使用できる。描画層厚情報としてのカラーマップは、インクジェット方式の場合は、各層のインクの色彩情報として、bmpやtiffファイルとして出力する。光造形装置の場合は、描画層厚情報をcsvファイルとして高さ情報として出力したりする。
図2に、第1の実施の形態による絵画表面計測方法の処理フローの例を示す。まず、絵画を計測できるよう装置のセットアップを行う(セットアップ工程:S10)。すなわち、絵画表面計測装置100を起動し、照射部21からのレーザー光束の走査範囲に絵画10をセットする。次に、測定部20にて、絵画10の表面形状及び色彩を計測する(計測工程:S20)。計測工程は絵画10の表面形状を測定する表面形状測定工程(S22)と絵画の表面の色彩を測定する色彩測定工程(S24)に分かれる。本実施の形態のようなアクティブ方式の場合、測定部20では、例えば、照射部21にて絵画10にレーザースポットを照射し、絵画10表面からの反射光を受光部22にて例えばアバランシェフォトダイオードで受光し、受光信号を増幅して第1の表面形状測定部23に送信する。なおパッシブ装置の場合は光を照射せずとも計測が可能な場合もある。第1の表面形状測定部5では例えば干渉波の位相の変化から絵画10表面の表面形状データを求める(S22)。また、色彩情報測定部24にてCCDカラーカメラを用いて絵画10表面の色彩情報を求める(S24)。
次に、描画層厚測定部30では、表面形状測定工程(S22)で測定された表面形状データから低周波成分を除去して又は高周波成分を抽出して、絵画10の描画層厚データとする(描画層厚測定工程:S30)。本実施の形態では、まず、低周波成分抽出部31にて絵画10の表面形状データから低周波成分を抽出する(低周波成分抽出工程:S32)。低周波成分の抽出方法として、いくつかの手法がある。(1)計測データをフィルタリング処理によって、低周波成分とする。例えば、得られた絵画10の表面形状データについて、メディアンフィルタや平均値フィルタ、ガウシアンフィルタなどによって高周波成分を除去し低周波成分を抽出する。なお、フィルタリングに代えて解像度を変更して低周波成分を抽出することも可能である。すなわち、解像度を低くすると、画像処理により粗い画像が得られる。(2)表面形状データを周波数スペクトルに変換して、高周波成分を除去する。通常、絵画の筆、刷毛、へらなどのタッチによる詳細な凹凸は高い高周波成分であり、逆にキャンバスや木枠のうねり等の湾曲やねじれ等の歪は低い低周波成分となっているので、フィルタには絵画の長波長のうねり等を採取できるように大きいサイズのものを使用する。例えば、計測時の解像度にもよるが、高周波成分は、波長1mm以下なので、低周波成分にはmmのオーダーでぼかし処理できるものを使う。(3)表面形状測定を再度計測ピッチを粗くして行う。すなわち、前述の絵画表面の表面形状測定(S22)では計測ピッチを細かく、例えば0.1mm〜0.5mmくらいで行っているので、再度の測定ではピッチを、数mmピッチ、5mmピッチ、10mmピッチ等に設定して行う。このようにして得られた計測データが、低周波成分を抽出をした計測データとなる。
図3に絵画の低周波成分を抽出処理した結果の例を示す。後述するカラーマップの形成と同様に高低をカラーで表している。高い部分が赤く、低い部分が青く示されている。図5よりキャンバスがどのように歪んでいるかがわかる。この例では、キャンバスの右上から上部周辺にかけて大きく歪んでいるのがわかる。
図2に戻り、次に演算部32にて、絵画10の表面形状データと低周波成分抽出工程S32で抽出された低周波成分との差分を描画層厚データとして算出する(S34)。すなわち、表面形状データから低周波成分を除去する。低周波成分を除去することにより、絵画表面の詳細な描画層厚データ(凹凸情報)が抽出される。
次に、マップ形成部40にて、低周波成分抽出工程S32で抽出された絵画10の描画層厚データをクラス分けしてマップ化する(マップ形成工程:S40)。本実施の形態ではカラーマップを作成する。すなわち、描画層の厚さを色分けする。マップ化された描画層厚データは被描画体表面等の2次元座標対応に形成される。例外として、陶器等のように被描画体表面自体が湾曲している場合には被描画体表面を2次元的に展開して座標が割り当てられる。カラーマップを作成する方法、すなわち、描画層厚データのクラス分けとして次のような手法がある。(1)例えば全厚みを16段階、64段階、256段階、1024段階等に分け、可視光波長を同様に段階分けして色彩を割り当てる。(2)例えば0〜200μmを第1層、200〜400μmを第2層、400〜600μmを第3層、600〜800μmを第4層、800〜1000μmを第5層として色彩を割り当てる。
図4にカラーマップ(描画層厚情報)を色として抽出、表示した例を示す。この図から、絵画の筆、刷毛、へらのタッチによる凹凸が厚み情報として詳細に抽出されているのがわかる。赤が最も高い部分に相当し、黄、緑、青の順に順次低くなる。
図5に絵画表面をCCDカラーカメラで撮影した色彩情報の例を示す。ここでは、絵画表面の色彩が表現されている。次に、例えば図4に表現されたカラーマップと図5に表現された絵画の色彩情報についてマッチングすなわち位置合わせが行なわれる。通常位置あわせには、4点以上、絵画画像とカラーマップの描画層厚情報で同一点を指定して絵画画像を補正する。高精度なスキャナやテレセントリック光学系で読み取り誤差が無視できる場合は、点を指定する必要がない場合もある。位置合わせは例えば相互相関法でいわば自動的に、又はマニュアル指定で画面を確認しながら行なうこともでき、又はマニュアル指定で相互相関法を補完して半自動的に行なうこともできる。
次に、マッチング部50にて、マップ形成工程S40にてマップ化された描画層厚データ(凹凸情報)と色彩測定工程(S24)で測定された色彩データとのマッチングを行なう(マッチング工程:S50)。本実施の形態ではマップ形成工程S40により得られたカラーマップとCCDカラーカメラで撮影された色彩データとを相互相関法により位置あわせを行なう。なお、カメラレンズなどを使用して撮影された画像は、予めレンズの内部パラメータ(レンズ歪、画面中心位置)を求めておき、補正により撮影装置の歪、レンズ歪や中心投影歪などを補正しておく方が位置合わせ精度が良くなる。なお、テレセントリック光学系の装置などで読み取られた絵画の色彩データや、スキャンニングにより得られた色彩データは、平行投影画像なのでそのままレンズ系の歪みを補正して、位置あわせに供し、マッチングが可能である。
図6は相互相関法でマッチングを行う場合の2つの画像における探索範囲Iとテンプレート画像Tの一例を示す図である。例えば、指示された特徴点となる点を中心とした、N1×N1画素の画像をテンプレート画像Tとして第1の画像F1から切出す。次に、テンプレート画像Tより大きい第2の画像F2中のM1×M1画素を探索範囲I(画素数(M1−N1+1))として、探索範囲I上でテンプレート画像Tを動かす。次に、下記の式の相互相関係数C(a,b)が最大になるような画像位置を求めて、これによりテンプレート画像Tが探索されたとみなす。完全に第1の画像と第2の画像が一致していれば、相互相関係数値C(a,b)が1.0となる。
相互相関係数による方法では、次式を用いた以下の手順による。
再度図2の処理フローに戻る。データ出力部60にて、マップ形成工程40でマップ化された描画層厚データと色彩情報測定部24で測定された色彩データとを2次元座標対応に出力する(データ出力工程:S60)。本実施の形態ではマッチング工程S50でマッチングが行なわれた描画層厚データと色彩データとを出力する。この際に、描画層厚データと色彩データを印刷して絵画を複製する印刷装置に適合するデータフォーマットに変換して出力すると便宜である。
絵画計測装置の処理はここまでであるが、印刷装置(図示しない)はデータ出力工程(S60)を通して、所望のデータフォーマットに変換された絵画の描画層厚データ及び色彩データを取得し、これらのデータに基づいて印刷を行い絵画を立体的に複製する(S70)。印刷装置がインクジェット方式のものであれば、カラーマップデータから重ね印刷を行い、重ね塗りをしていくことから厚みをつけて立体形状を再現する。そして、厚みを再現した後、最後に色彩データにより色彩をつけて重ね印刷された立体上に印刷する。また、別の方式の印刷装置によれば、最初に色彩データを印刷し、その上から透明インクで厚みをつけるものもある。また造形装置、光造形や削りだし装置により複製する場合は、高さ情報を造型機に入力して立体形状を作成し、色彩情報は最後に付する。
以上のような処理をすることで、絵画の立体複製がなされる。本実施の形態によれば、キャンバス等の被描画体や木枠等の支持体の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を抽出できるようにして、絵画の立体複製を精密に行える絵画複製用計測装置と絵画複製用計測方法を提供できる。さらに、レーザー光束を用いることで、スポット光の微小単位で表面形状を高精度で計測できる。
[第2の実施の形態]
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、絵画表面形状測定にレーザーを用いるアクティブ方式について説明したが、本実施の形態ではステレオ画像法を用いて絵画10の表面形状を測定するパッシブ方式について説明する。パッシブ方式の利点は、アクティブ方式のように光やレーザーを長時間あてることがなく、瞬時に撮影するので、絵画を損傷、いためる心配がないことである。
図7に本実施の形態における絵画表面測定装置100Aの構成例及びデータの流れの例を示すブロック図を示す。図1と同様の機能を奏する部位については同一の符号を付して説明を省略する。図1に比して、測定部20の構成が異なる。すなわち、照射部21と受光部22の代わりに基線長分離れた2つのカメラを有するステレオカメラ部25及びランダムパターン等のパターンを照射するパターン照射部26が設置されている。ステレオカメラ部25で絵画10の左右のステレオ画像を撮影し、測定部20は、左右のステレオ画像の特徴点の位置の差異から表面形状データを測定する第2の表面形状測定部23Aを有する。絵画10の表面形状はキャンバス等の被描画体表面の2次元座標、ここではステレオ画像の各位置に対応して測定され、記憶部70に記憶される。また、色彩情報はステレオカメラ部25で同時に撮影され、色彩情報測定部24では撮影で得た色彩データを内部パラメータで補正後、記憶部70に記憶される。また、光を透過する透明パターンと光を遮る遮光パターンがランダムに配置されているランダムパターンを照射すると、パターンから多数の特徴点を抽出して絵画の表面形状を測定でき、表面形状の精度を向上できる。なお、パターンは特徴点を適度に抽出できればランダムパターンに限られず、絵画自体に多くの特徴点がある場合にはパターン照射しなくても良い。描画情報抽出部30及びマップ形成部40の構成は第1の実施の形態と同様である。表面形状測定と色彩測定に共にCCDカラーカメラによる同一の撮影データを使用するため、マッチング部は不要となり、マップ形成部40で形成されたマップ化された描画層データと色彩情報測定部24で測定され、必要に応じて内部パラメータや位置合わせ等により補正された色彩データはデータ出力部60に送信される。データ出力部60の機能も第1の実施の形態と同様である。
ここで、ステレオ法の原理について説明する。図8はステレオ法の原理の説明図である。図8に示すように、2台のカメラC1、C2が、光軸が平行で、カメラレンズの主点から撮像面としてのCCD面までの距離aが等しく、CCDは光軸に直角に置かれているものとする。また、2つのカメラC1、C2の光軸間距離と等しい基線長をBとする。
このとき、物体上の計測点P(x,y,z)の2台のカメラC1、C2のCCD撮像面での座標P1(x1,y1)、P2(x2,y2)の間には、以下のような関係がある。
x1=ax/z −−−(1)
y1=y2=ay/z −−−(2)
x2−x1=aB/z −−−(3)
但し、全体の座標系(x,y,z)の原点をカメラC1のレンズ主点にとるものとする。(3)式よりzを求め、これを用いて(1)式、(2)式よりx,yが求められる。以上で、左右画像の対応点を求めれば、その位置の三次元座標を計測することが可能となる。
図9に本実施の形態におけるステレオ法におけるカメラC1、C2と絵画10の配置例の概要を示す。図9(a)は絵画10、図9(b)はステレオカメラC1、C2、図9(c)はプロジェクター28の模式図である。1台のカメラを手に持って2枚以上の画像を撮影してもよいが、高精度化をはかるために、図9のように、2台のカメラC1,C2をステレオバー27上に設置する。ステレオバー27の長さ、基線長Bは絵画10の計測したい精度に合わせて設定する。
例えば、
平面方向の精度:Δxy=H×Δp/f
奥行き方向の精度:Δz=H×H×Δp/(B×f)
H:撮影距離、Δp:受光部の読み取りピッチ、f:レンズの焦点距離、B:基線長(カメラの光軸間距離)とする。
上記の計算式により撮影距離H、レンズの焦点距離f、カメラ基線長B及び使用するカメラを決める。
絵画10側には、スケールを決めるために基準尺11を同時に写しこむ。基準尺11とは長さの基準となるもので、2点間距離が既知のものである。
また、ステレオ法で計測を確実にするために、パターン照射部26にプロジェクター28を用意し、計測用のパターンを投影してもよい。このようにすれば、あまり模様のない絵画でも高精度に3次元計測することが可能となる。またパターンとしてランダムパターン29を使用すると、画像処理によるステレオマッチングをより確実に行うことができ望ましい。なお、パターン投影は撮影時の一瞬だけでよいので絵画に影響はない。
図10は基準点フレームを説明するための図である。基準点12(三次元座標が既知の点、計測済みの点)を3点以上絵画10のまわりに設置できる基準点フレーム(枠)13を作成し、絵画10の周囲に設置して撮影しても良い。このように、基準尺12や基準点フレーム13を使用することにより、絵画表面座標の補正を行い測定精度を向上できる。
ステレオカメラを用いる場合の絵画表面形状の測定は、撮影→標定→自動3次元計測(ステレオマッチング)の順に行われる。ここで相互標定について説明する。
相互標定は、画像中の6点以上の対応点によりカメラの相対的な位置と傾きを求める原理である。図11は相互標定を説明するための図である。すなわち、ステレオ画像におけるモデル画像座標系XYZとカメラ座標系xyzの説明図である。モデル画像座標系の原点を左側の投影中心O1にとり、右側の投影中心O2を結ぶ線をX軸にとるようにする。縮尺は、基線長を単位長さにとる。このとき求めるパラメータは、左側のカメラのZ軸の回転角κ1、Y軸の回転角φ1、右側のカメラのZ軸の回転角κ2、Y軸の回転角φ2、X軸の回転角ω2の5つの回転角となる。この場合左側のカメラのX軸の回転角ω1は0なので、考慮する必要ない。
まず、以下の共面条件式(1)により、左右カメラの位置を定めるのに必要とされるパラメータを求める。
上述の条件にすると、共面条件式(1)は式(2)のように変形され、式(2)を解けば各パラメータが求まる。
ここで、モデル画像座標系XYZとカメラ座標系xyzの間には、次に示すような座標変換の関係式、式(3)、式(4)が成り立つ。
これらの式(1)〜式(4)を用いて、次の手順により、未知パラメータを求める。
(i)パラメータ(κ1、φ1、κ2、2、ω2)の初期近似値は通常0とする。
(ii)共面条件式(2)を近似値のまわりにテーラー展開し、線形化したときの微分係数の値を式(3)、式(4)により求め、観測方程式をたてる。
(iii)最小二乗法を適用して、近似値に対する補正量を求める。
(iv)近似値を補正する。
(v)補正された近似値を用いて(ii)〜(v)までの操作を収束するまで繰り返す。
仮に、標定点の配置が悪い等の場合、収束しない場合がありうる。正常に行われなかった場合は、標定結果表示でエラーを出力しどこの画像が悪いか表示する。この場合、画像上に別の標定点があれば変更して上記計算を繰り返す。だめなら標定点の配置変更を行なう。
相互標定後は相互相関法によるステレオマッチング等を用いて三次元計測を行い、絵画10の表面形状を測定する。
図12に第2の実施の形態による絵画表面計測方法の処理フローの例を示す。まず、絵画10を計測できるよう装置のセットアップを行う(S110)。すなわち図9のように、絵画10をセットし、絵画全面を撮影できるようにステレオカメラC1,C2をセットし、絵画10に映像を投射できるようにプロジェクター28をセットする。絵画10は図10のような基準フレーム13上に設置してもよい。また計測に先立ち、2台のステレオカメラC1,C2をキャリブレーションしておく。すなわち、カメラの内部パラメータである主点位置、レンズ歪パラメータを求めておく。またステレカメラ方式の場合、カメラの外部パラメータ(カメラの傾き、基線長)を求めておいても良い。なお、外部パラメータは予め求めておかなくとも、撮影後、計測時に標定処理により求めることも可能である。
次に、測定部20にて、絵画10の表面形状及び色彩を測定する(計測工程:S120)。計測工程S120は絵画の表面形状を測定する表面形状測定工程(S122)と絵画の表面の色彩を測定する色彩測定工程(S124)に分かれる。本実施の形態のようなパッシブ方式の場合、測定部20では、ステレオカメラ部25にて左右2つの画像を撮影し、表面形状を3次元的に計測する(S122)。パターン照射部26にてパターンを投影する場合は、表面形状測定用として絵画10にパターン投影した画像と絵画表面の色彩測定用としてパターン投影しない画像の2通りを撮影する。パターンとしてランダムパターンを投影すれば、多くの特徴点を抽出できるので、三次元計測処理でステレオマッチング処理をするときに確実に処理が行え、測定精度を向上できる。絵画10に多くの特徴点がある場合はパターンを投影せずとも良いが、そのときは、絵画10のステレオ画像又は2枚以上の画像を撮影して表面形状測定に供する。次に、撮影された画像を用いてステレオマッチング処理を行い、絵画全面の三次元計測(表面形状の自動計測)を行う。また、先にカメラの外部パラメータを求めておかなかった場合は、三次元計測の前に、2枚以上の絵画の同一点を6点以上指示して標定を行い、カメラの外部パラメータ(カメラの位置、傾き)を計算処理により求める。
描画層厚測定工程(S30)〜マップ形成工程(S40)の処理は第1の実施の形態と同様である。
マップ形成工程(S40)にてカラーマップ作成後、撮影画像の正射投影(オルソ)画像変換を行う(オルソ画像変換工程:S150)。撮影工程(S120)で撮影した表面形状測定に用いるパターン投影画像(パターン投影しない場合はステレオ画像)の座標と色彩測定に用いるパターンを投影していない画像の座標とは一致しているため、第1の実施の形態でのマッチング工程(位置合わせ処理)(S50)は必要なく、表面形状データを利用して、撮影データを正射投影画像に変換する。こうすることで表面形状データと完全に一致した絵画の色彩データを取得できる。このようにパッシブ方式では、アクティブ方式とは異なりマッチング(位置合わせ)が不要という利点がある。すなわち、第1の実施の形態のように表面形状データと色彩データを位置あわせする場合には、通常、表面形状データと色彩データの同一点を4点以上双方から選択して位置合わせすることになり、表面形状データのカラーマップは色彩データの画像と異なるので、同一点の選択が難しいケースがあるという問題がある。また、マッチング処理によって変換された表面形状データのカラーマップと色彩データの画像とを画素単位で比較した場合、完全に一致しているとは限らないという問題もある。ステレオ画像法を用いる第2の実施の形態ではこのような問題は生じない。但し、絵画10を高精細に、色再現よく複製したい場合には、別の特殊なカメラ装置やスキャナで色彩情報を読み取り、オルソ画像変換工程(S150)に代えてマッチング工程(S50)を採用し、ステレオ画像法によって得られた表面形状データと読み取った色彩データとの位置合わせを高精度に行っても良い。
データ出力工程(S60)及び絵画作成工程(S70)は第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態によれば、以上のような処理を行うことで、絵画の立体複製がなされる。本実施の形態によれば、キャンバス等の被描画体や木枠等の支持体の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を抽出できるようにして、絵画の立体複製を精密に行える絵画表面計測装置と絵画表面計測方法を提供できる。さらに、ステレオ画像法を利用することで、絵画に損傷を与えず、かつ絵画の三次元情報と色情報の位置合わせが必要なく、高精度な立体形状を復元した絵画の複製を作成することが可能となる。
[第3の実施の形態]
第1、第2の実施の形態では絵画表面計測装置と絵画表面計測方法について説明したが、本実施の形態では、本発明の絵画表面計測装置を印刷装置と連結して絵画複製システムを構成する例を説明する。すなわち、絵画表面計測装置の出力データを印刷装置に入力し、印刷装置で当該出力データに基づいて印刷を行うことにより、絵画を立体的に複製できるシステムの例である。印刷装置として、例えばインクジェットプリンタを使用し、カラーマップの色分けすなわち描画層厚に応じて印刷しながら印刷層を多重化する。例えば、カラーマップの青色部分は1層目の印刷のみを行い、赤色部分は1層目〜5層目の印刷を多重に行う等である。最上層以外は透明のインクで印刷を行い、最上層は色彩データ通りの色彩で印刷を行う。その結果、絵画の描画層が立体的に複製される。
本実施の形態によれば、キャンバス等の被描画体や木枠等の支持体の湾曲や歪の影響をなくし、筆のタッチや描画層の凹凸を抽出できるようにして、絵画の立体複製を精密に行える絵画複製システム及び絵画複製方法を提供できる。例えば、キャンバスや枠がねじれていた場合でも、また絵画を置く位置、向きなどを気にせず、計測しやすいように置いて、その歪の影響を無視して忠実に描画層だけの3次元計測を行い、絵画の立体形状を再現し、複製を作成することができる絵画複製システム及び絵画複製方法を提供できる。
また、本発明による絵画の複製方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムとしても実現可能である。プログラムはコンピュータの内蔵メモリに蓄積して使用してもよく、システム内外の記憶装置に蓄積して使用してもよく、インターネットからダウンロードして使用しても良い。また、当該プログラムを記録した記録媒体としても実現可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態に種々変更を加えられることは明白である。
例えば、以上の実施の形態では、絵画の表面形状の測定について、レーザーの反射光を使用する方法とステレオカメラを使用する方法について、それぞれ典型例を挙げて説明したが、例えば、絵画を縦に設置した状態と横に設置した状態の2状態について測定を行い、平均化する又は一方を補完的に使用する、3以上のカメラを用いる、建物内部の壁画についてはレーザースキャンを円周方向に行う等、それ以外の方法も可能である。また、第1の実施の形態では色彩データをCCDカラーカメラで取得する例を主に説明したが、受光部で受光した光の周波数から取得しても良い。また、低周波成分の抽出については、フィルタ回路による他に、サンプリング周期を変えて短周期のデータを高周波成分、長周期のデータを低周波成分としても良い。また、カラーマッピングの代わりに明度の差異でマッピングしても良く、高さに応じてランク(A〜Z等)付けするだけでも良い。また、表面形状測定工程(S22)と色彩情報測定工程(S24)とはどちらを先に行なっても良く、同時に行なっても良い。その他、マッピングの階層数、レーザー光のスポットサイズ、ステレオカメラの基線長などは様々に設定可能である。
本発明は絵画の立体的計測及び立体的複製に利用できる。
第1の実施の形態における絵画表面計測装置の構成例及びデータの流れの例を示すブロック図である。 第1の実施の形態による絵画表面計測方法の処理フローの例を示す図である。 絵画の低周波成分を抽出処理した結果の例を示す図である。 カラーマップ(高さ情報)を色として抽出、表示した例を示す図である。 絵画表面を撮影した色彩情報の例を示す図である。 相互相関法における探索範囲とテンプレート画像の一例を示す図である。 第2の実施の形態における絵画表面計測装置の構成例及びデータの流れの例を示すブロック図である。 ステレオ法の原理の説明図である。 第2の実施の形態におけるステレオ法におけるカメラと絵画の配置例の概要を示す図である。 基準点フレームを説明するための図である。 相互標定を説明するための図である。 第2の実施の形態による絵画表面計測方法の処理フローの例を示す図である。 ベースを横に置いた場合の描画面の凹凸の様子の例を示す図である。 ベースを縦に置いた場合の描画面の凹凸の様子の例を示す図である。
符号の説明
10 絵画
11 基準尺
12 基準点
13 基準点フレーム
20 測定部
21 照射部
22 受光部
23 第1の表面形状測定部
23A 第2の表面形状測定部
24 色彩情報測定部
25 ステレオカメラ部
26 パターン照射部
27 ステレオバー
28 プロジェクター
29 ランダムパターン
30 描画層厚測定部
31 低周波成分抽出部
32 演算部
40 形成部
50 マッチング部
60 データ出力部
70 記憶部
81 ベース
82 描画層
100,100A 絵画計測装置
a カメラレンズの主点から撮像面までの距離
B 基線長
C1,C2 カメラ
F1,F2 第1、第2の画像
f レンズの焦点距離
H 撮影距離
O1,O2 モデル画像座標系の左側、右側の投影中心
P(x,y,z) 物体上の計測点
P1(x1,y1),P2(x2,y2) CCD撮像面での座標
κ1,κ2 左側、右側のカメラのZ軸の回転角
φ1,φ2 左側、右側のカメラのY軸の回転角
ω1,ω2 左側、右側のカメラのX軸の回転角

Claims (13)

  1. 絵画の表面形状及び色彩を測定する測定部と;
    前記測定部で測定された表面形状データから低周波成分を除去して、絵画の描画層厚データとする描画層厚測定部とを備える;
    絵画表面計測装置。
  2. 前記絵画の描画層厚データをクラス分けしてマップ化するマップ形成部と;
    前記マップ形成部でマップ化された描画層厚データと前記測定部で測定された色彩データとを出力するデータ出力部とを備える;
    請求項1に記載の絵画表面計測装置。
  3. 前記測定部は、光束を絵画の表面に照射する照射部と;
    前記光束を照射された絵画の表面からの反射光を受光する受光部と;
    前記受光部で受光された受光信号の少なくとも位相、強度、干渉波の変化のいずれか1つに基づき前記絵画の表面形状を測定する第1の表面形状測定部とを有する;
    請求項2に記載の絵画表面計測装置。
  4. 前記マップ化された描画層厚データと前記測定部で測定された色彩データとのマッチングを行なうマッチング部を備える;
    請求項3に記載の絵画表面計測装置。
  5. 前記測定部は、基線長分離れた2つのカメラを有するステレオカメラ部と;
    前記ステレオカメラ部で撮影されたステレオ画像に基づき前記絵画の表面形状を測定する第2の表面形状測定部とを有する;
    請求項2に記載の絵画表面計測装置。
  6. 前記測定部は、ランダムパターンを照射するパターン照射部を有する;
    請求項5に記載の絵画表面計測装置。
  7. 前記描画層厚測定部は、前記測定部で測定された表面形状データから低周波成分を抽出する低周波成分抽出部と;
    前記表面形状データと前記低周波成分抽出部で抽出された低周波成分との差分を前記描画層厚データとして算出する演算部とを有する;
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の絵画表面計測装置。
  8. 請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の絵画表面計測装置と;
    前記データ出力部から出力されたマップ化された描画層厚データと色彩データとに基づいて印刷して前記絵画を複製する印刷装置とを備える;
    絵画複製システム。
  9. 絵画の表面形状を測定する表面形状測定工程と;
    絵画の表面の色彩を測定する色彩測定工程と;
    前記表面形状測定工程で測定された表面形状データから低周波成分を除去して、絵画の描画層厚データとする描画層厚測定工程とを備える;
    絵画表面計測方法。
  10. 前記絵画の描画層厚データをクラス分けしてマップ化するマップ形成工程と;
    前記マップ形成工程でマップ化された描画層厚データと前記色彩測定工程で測定された色彩データとを出力するデータ出力工程とを備える;
    請求項9に記載の絵画表面計測方法。
  11. 請求項9又は請求項10に記載の絵画表面計測方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  12. 前記測定部は、光束を絵画の表面に照射する照射部と;
    前記光束を照射された絵画の表面からの反射光を受光する受光部と;
    前記受光部で受光された受光信号の少なくとも位相、強度、干渉波の変化のいずれか1つに基づき前記絵画の表面形状を測定する第1の表面形状測定部とを有する;
    請求項1に記載の絵画表面計測装置。
  13. 前記測定部は、基線長分離れた2つのカメラを有するステレオカメラ部と;
    前記ステレオカメラ部で撮影されたステレオ画像に基づき前記絵画の表面形状を測定する第2の表面形状測定部とを有する;
    請求項1に記載の絵画表面計測装置。

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