JP2008303160A - アルコールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】遷移金属を一種以上含む錯体および塩基の存在下で、炭素数4以下の原料アルコールを2量化するアルコールの製造方法であって、該錯体が、ホスフィン化合物由来の配位子を有することを特徴とするアルコールの製造方法。
【選択図】 なし
Description
に、塩基性化合物、及び遷移金属とホスフィン化合物からなる錯体を用いて、原料アルコールから水素が引き抜かれる反応(水素移動反応)により、対応するアルデヒド中間体が生成する反応、そのアルデヒド中間体がアルドール縮合反応によって二量化したα,β−不飽和アルデヒド中間体となる反応、更にそのα,β−不飽和アルデヒド中間体が水素化反応(水素移動反応)で二量化アルコールとなる反応の3つの反応の組合せで進行すると考えられている(非特許文献1及び非特許文献2)。
しかしながら、原料アルコールが炭素数4以下の場合に適用された例はない。例えば、原料アルコールが炭素数2のエタノールであって、その二量化アルコールであるn−ブタノールの製造に適用された例はない。これは、得られるn−ブタノールの収率や選択性が低く、工業的に有利な反応ではないからであり、より少量の触媒で、高収率で選択性が高いn−ブタノールの製造方法が希求されていた。
[1] 遷移金属を一種以上含む錯体および塩基の存在下で、炭素数4以下の原料アルコールを二量化するアルコールの製造方法であって、該錯体が、ホスフィン化合物由来の配位子を有すること特徴とするアルコールの製造方法。
[2] 前記ホスフィン化合物が、トリアリールホスフィンであることを特徴とする[1]に記載の製造方法。
[3] 前記トリアリールホスフィンが、トリフェニルホスフィンであることを特徴とする[2]に記載の製造方法。
[4] 前記ホスフィン化合物が、トリアルキルホスフィンであることを特徴とする[1]に記載の製造方法。
[5] 前記トリアルキルホスフィンが、トリベンジルホスフィンであることを特徴とする[4]に記載の製造方法。
[6]前記炭素数4以下の原料アルコールがエタノールであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記遷移金属が第8族〜第10族の遷移金属であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 第8族〜第10族の遷移金属が、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、及び白金からなる群より選ばれることを特徴とする[7]に記載の製造方法。
本発明の例として、第8族〜第10族遷移金属を一種類以上含む錯体と塩基を用いて、原料エタノールの二量化反応により、n−ブタノールを製造するに際し、ホスフィン化合物由来の配位子からなる錯体を用いる態様について説明する。
また、添加方法に関しては、金属化合物とホスフィン化合物をそれぞれ単独に反応系に添加してもよいし、或いは予め錯化した状態で使用しても良い。更に、1種類のホスフィン化合物のみを使用して反応を行っても2種類以上のホスフィン化合物を同時に用いて反応を行ってもよい。
本発明においては、溶媒の存在下或いは非存在下のどちらでも反応させることができる。溶媒を使用する場合、好ましい溶媒としては、触媒、塩基性化合物及び原料化合物を少なくとも一部溶解させるものであって、反応活性や反応の選択性に悪影響を及ぼさないものであれば使用可能であり特に限定はないが、本発明は塩基性化合物存在下で反応を行うため、塩基の効果を保持できる中性またはアルカリ性を示す溶媒を使用する。溶媒の具体例としては、水の他、例えば、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ジアリルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、γ-ブチロラクトン、ジ(n-オクチル)フタレイト等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類等が挙げられる。この他、本反応の副生物として生成するエタノールやn-ブタノールよりも高い沸点を有する高沸物が挙げられる。
反応器内の雰囲気としては、原料アルコールがエタノールの場合、エタノール原料、反応中間体、n-ブタノール、副生成物等の蒸気、溶媒使用時にはその溶媒の蒸気が存在するが、それ以外の成分として窒素やアルゴン等の不活性ガスが存在していてもよい。特に注意を払うべき点としては、空気の漏れ込み等による酸素の混入は、触媒の劣化、特にホスフィン化合物の酸化消失の原因となるので、酸素の存在量は極力低減させることが望ましい。
また、反応系の全圧は、反応温度に応じたエタノール、反応中間体、n-ブタノール、副生成物等の蒸気圧、溶媒使用時にはその溶媒の蒸気圧、窒素等の不活性ガス含有時にはその分圧等の和で決まり、特に制限はないものの、不必要に反応器内の圧力を高めることは経済性や安全性の観点からも避けるべきである。
本発明の反応を実施するための反応方式としては、攪拌型の完全混合反応器やプラグフロー型の反応器を用いて、連続方式、半連続方式または回分方式のいずれでも行うことができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1〜9>
内容積50mlのステンレス製オートクレーブに、0.258mmolの金属化合物、1.538mmol(金属のmol数に対して6等量)の単座ホスフィン化合物、10.28mmolのt-ブトキシカリウム、53.08mmol(2.45g)のエタノール、溶媒として67.83mmol(7.20g)のo-キシレン、およびガスクロマトグレフィー(GC)分析用の内部標準として4.42mmol(0.75g)のn-ドデカンを窒素下で仕込み、密閉状態のまま180℃で2h加熱して反応を行い、室温まで冷却して、放圧後、反応液をGCにて分析した。金属化合物、単座ホスフィン化合物の種類を種々変えることで、実施例1〜9を得た。なお、実施例1〜9で実際に用いた金属化合物、単座ホスフィン化合物、および実験結果(n-ブタノールの収率と選択率)に関しては、下の表1に記載した。なお、収率と選択率とは、以下の式で求めることができる。
n−ブタノール選択率(%)=(n−ブタノール収率/エタノール転化率)×100
実施例1において、ホスフィン化合物を用いなかったり(比較例1および2)、ホスフィン化合物以外の他の化合物を配位子として用いたり(比較例3〜6)、第8族遷移金属以外の金属化合物を用いたり(比較例7)することで、比較例1〜7を得た。なお、変更点以外の条件は、実施例1〜9の条件と同様の条件を採用した。ただし、比較例5においては二座アミンを配位子として用いたが、金属に対して3mol等量の量を用いた。実際に採用した条件および実験結果に関しては、下の表2に記載した。
<実施例10〜12>
実施例1において、Ruに対して6mol等量のPPh3を用いた代わりに、3mol等量の二座ホスフィン化合物を用いたこと以外、同様の条件で反応を行った。3種類の二座ホスフィン化合物を用いることで、実施例10〜12を得た。なお、実際に用いた二座ホスフィン化合物、およびその時の実験結果(n-ブタノールの収率と選択率)に関しては、下の表3に記載した。
Claims (8)
- 遷移金属を一種以上含む錯体および塩基の存在下で、炭素数4以下の原料アルコールを二量化するアルコールの製造方法であって、該錯体が、ホスフィン化合物由来の配位子を有すること特徴とするアルコールの製造方法。
- 前記ホスフィン化合物が、トリアリールホスフィンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記トリアリールホスフィンが、トリフェニルホスフィンであることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
- 前記ホスフィン化合物が、トリアルキルホスフィンであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記トリアルキルホスフィンが、トリベンジルホスフィンであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
- 前記炭素数4以下の原料アルコールがエタノールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記遷移金属が第8族〜第10族の遷移金属であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 第8族〜第10族の遷移金属が、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、及び白金からなる群より選ばれることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
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