JP2008301772A - Wallemia属のカビを用いた試験片及びこれを用いた環境評価法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ある環境が主にカビによって汚染される可能性があるか否かを予測可能な環境調査用試験片であって、試験片内部に封じ込まれた生物体の菌糸が外部に漏洩して環境を汚染する危険性が低く、かつ目視あるいは光学的手法により、簡便に定量的な調査結果を得ることが可能な、新規な試験片を提供すること。
【解決手段】通気性を持つシートまたは膜状素材を少なくとも一部に備える被覆材に、Wallemia 属のカビ、またはWallemia 属のカビを含む複数種の微生物を接種した担体が封じ込まれていることを特徴とする環境調査用試験片。
【選択図】 図1

Description

本発明は、微生物を指標生物とする環境調査用試験片およびこの試験片を用いて環境を評価する方法に関する。
従来、室内のカビ汚染を調査する方法としてはスワブ法、ローダックプレート法およびスタンプ法が知られており、また、室内空気中のカビ汚染を調査する方法としては落下菌法およびエアーサンプラー法が知られている(非特許文献1参照)。更に、室内で採取したハウスダスト中に含まれるカビの胞子数から室内のカビ汚染を検査する方法(非特許文献2参照)も知られている。以上の方法は、いずれも、既にカビによる汚染が起きた後にその汚染を検出するものであって、ある場所を支配している温度および湿度などの因子に依存する環境がカビの発育、すなわちカビの胞子の発芽、菌糸の伸長または胞子の着生などにどのように影響するのかを測定し、この環境がカビによって汚染される程度を予測するものではない。
一方、近年では、アルミサッシ、コンクリートおよび合成パネルなどの非通気性の建材が広く使用されるようになった上に、室内の冷暖房の向上を図るために気密性の高い建物が普及し、さらに冬期においては加湿機能を付与した暖房器具や空調設備、および加湿器が使用されるようになり、室内が年間を通じて暖かく湿気のこもった環境に置かれている建物が多くなってきている。このような室内の環境はカビの繁殖にとって絶好な環境となり易い。
住宅で繁殖したカビは、例えば喘息、過敏性肺炎およびアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の誘引となり、健康上有害である。また食品製造の場所がカビによって汚染された場合には、このカビが製品を汚染して品質を劣化させる原因となる。さらに、穀物や農産物を貯蔵するための貯蔵施設や倉庫がカビによって既に汚染されていると、そこに入れられた食料や飼料に二次汚染が起こるという不利益が生ずる。
カビによる被害は、住居や食品製造工場などの場所の汚染が目に付く程になったり、あるいは居住者がアレルギー疾患を起こしたり、あるいはカビで汚染された食料や飼料を購入した消費者からの苦情を受けたりして初めてその汚染に気が付くので、このような被害に対する対策はどうしても遅れがちになる。このため、建物内がカビの繁殖しやすい環境であるのかどうか、さらにカビが繁殖しやすい環境である場合はどの程度カビが繁殖し易いのかを予め把握して、カビによる被害を受ける前に、対策を立てることが望まれる。
そこで本発明者は、カビの発育に関する室内の環境を調査する手段として、すなわち、ある環境におけるカビの繁殖しやすさを予め判断するための手段として、カビの胞子を分散させた分散体を乾固させた状態で一対の通気性透明フィルムの間に入れて、その分散体をフィルム内に挟持させた真菌の生育環境調査用試験片を既に提案した(特許文献1)。
更に特許文献1に記載される試験片を改良した試験片として、生育環境調査用試験片を、水がかかるような箇所でも使用でき、試験片内部で多量の胞子が着生してもその胞子が外部に漏洩することが無いように、所定の間隔を空けて相対する指示用シートと通気性透湿性シートの間の間隙にカビとその栄養媒体を付着させた担体を挟み、指示用シートと通気性透湿性シートの周縁部を額縁状の両面接着テープで密着させて止める、あるいは前記周縁部をヒートシールすることにより内部にカビを封じ込めた試験片を提案し、さらにこの試験片を用いて、試験片内部のカビの発育によって現れる色調の変化を吸収光や反射光によって調べることから発育程度を判断する方法を提案した(特許文献2)。
更に特許文献2に記載される試験片を改良した試験片として、指標生物を通過させないフィルタを少なくとも一部に備える被覆材により形成された内部に指標菌を封じ込めた試験片で、その被覆材が人の皮膚を傷つけない柔軟な素材により被覆される試験片を提案し、この試験片を用いて、試験片内部のカビの発育によって現れる色調の変化を明度や色差で調べることにより発育程度を判断する方法を提案した(特許文献3)。
前記の何れの試験片でも、調査すべき環境についてカビの発育しやすさを簡単に、かつ定量的に測定することができるものの、富栄養状態で水分が多い環境に曝露する、例えば寒天培地に前記試験片を直接置いた場合、試験片内部のカビが発育し色調の変化が現れる状態になった時期には、試験片内部で発育したカビの菌糸が、菌接種担体を覆う通気性透湿性シート(特許文献2)やフィルタ(特許文献3)の狭い間隙をくぐりぬけて外部にまで発育し、試験片に接した寒天培地表面に、内部から漏洩したカビが発育することが明らかになった。
そこで、本発明者は様々なカビ菌糸の伸長について調査検討し、様々なカビを指標菌とする試験片を製造し、これらの試験片を寒天培地に直接載せて培養し、試験片内部で発育したカビの菌糸が外部まで伸長して寒天培地に到達するかどうかを調査した。その結果、接種するカビとしてWallemia sebiを用いて、特許文献2や特許文献3に記載されるような試験片を作製し、寒天培地に載せて培養すると、試験片内部でカビが発育し色調の変化が現れる状態になった時期でも、菌糸が通気性透湿性シートやフィルタの間隙をくぐりぬけて寒天培地に到達することは無かった。Wallemia sebiを封じ込めた試験片は、長期間カビ発育環境に曝露しても菌糸は伸長せず、発育可能環境が続いた場合でも菌糸が100〜200μm程度の短い状態で発育が停止していた。従って、本菌を指標菌として用いた試験片であれば、カビが発育し易い環境中に曝露しても、試験片内部から外部の調査環境にカビが発育して漏洩する可能性が無い試験片にできることが明らかになった。
Wallemia sebiは、一般には発育速度が遅いカビとして知られている(非特許文献3)。しかし、発明者の調査研究から、本菌は、菌糸発育の期間が短く早期に胞子形成に切り替わる性質を持つライフサイクルの期間が短いカビであり、培地上で菌糸が長くなることが無いためコロニーのサイズが大きくならず、発育速度が遅いカビと理解されていたことが判明した。胞子の形成は早い時期から開始するため、胞子形成による着色が早期に現れることが明らかになり、発育後の色の変化から環境評価する方法では指標菌として適していることが判明した。
Wallemia sebiは好乾性カビであるため人体内のように水分の多い環境では発育しない。さらに37℃(体温)では発育できないカビであり、病原菌になることの無い安全なカビである。仮に試験片を破壊するなどして人為的に菌を漏洩させることがあっても重大な事故にはならないという利点がある。
特許文献2に記載される実施例1および、特許文献3に記載される実施例1では、試験片内部でのカビ発育を光学的手法で色の変化から調査している。Wallemia sebiも同様に光学的手法を用いてその発育に伴って現れる色の変化が調査でき、その発育程度は明度、色差、吸光度ないし輝度などの光学的手法を用いれば定量的な測定が可能である。
前述の特許文献2の実施例1および、特許文献3の実施例1では、内部に封入した担体全面に胞子が付着している状態の試験片を用いたが、これらの担体全面に胞子を付着させた試験片よりも担体中央にスポット状に接種した試験片のほうが、同じ環境に曝露した場合、短期間で着色し色調の変化も大きいことが判明した。
更に、特許文献3の実施例6では、オーレオバシディウム・プルランス、クラドスポリウム・ハーバルム、およびペニシリウムを、栄養分を含ませた濾紙にスポット状に接種して試験片に封入しカビが発育する環境を調査しているが、ここで用いたカビが発育できる環境は相対湿度80%以上である。一方、相対湿度75%から100%までの広範囲の湿度環境で発育するWallemia sebiは、カビ発育環境を調査するための指標菌としてより優れているといえる。
菌糸が長く伸長した後に胞子を形成する種類のカビ、例えばEurotium herbariorumを担体表面にスポット状に接種した場合、発育した菌糸がこのスポットの位置から担体全面に広がり、胞子形成によるスポット状の着色が明瞭に現れにくい。一方、Wallemia sebiの胞子を、スポット状に担体表面に接種した場合、菌糸が伸長しないため、その接種箇所から周囲にカビの菌糸が広がる事が無く、担体表面で本菌が発育した場合に、接種位置だけが明瞭なスポット状に着色することもわかった。
特開平6-141891号公報 特開2001-343382号公報 特開2002-065296号公報 平成3年1月27日株式会社アイオーエム発行、村石房雄等著「新築微生物の防カビ設計・仕様」第172頁参照 1994年、真菌誌第35巻、第410頁〜第412頁、高鳥浩介、他著「アレルギー関連真菌」 「わかりやすい真菌(かび)検査法と汚染防止対策」200頁、高鳥浩介監修、(株)テクノシステム発行
本発明は、上記のような様々な知見に基づいてなされたものであり、ある環境が主にカビによって汚染される可能性があるか否かを予測可能な環境調査用試験片であって、試験片内部に封じ込まれた生物体の菌糸が外部に漏洩して環境を汚染する危険性が低く、かつ目視あるいは光学的手法により、簡便に定量的な調査結果を得ることが可能な、新規な試験片を提供する。
本発明の態様は以下の通りである:
1.通気性を持つシートまたは膜状素材を少なくとも一部に備える被覆材に、Wallemia 属のカビ、またはWallemia 属のカビを含む複数種の微生物を接種した担体が封じ込まれていることを特徴とする試験片。
2.上記1記載の試験片を一定期間被調査環境に曝露し、曝露期間中に起きた試験片内部の菌の発育からその環境を評価する環境評価方法。
3.上記1記載の試験片に封じ込まれている菌の発育により現れた色の変化を、光学的に測定することによって被調査環境を数値で表すことを特徴とする前記方法。
本発明で用いられる通気性を持つシートまたは膜状素材として、不織布、織布、写真用フィルム、透析膜、ガス透過膜あるいはセロファンなどが挙げられる。特に不織布あるいは未感光のミニコピーフィルムを現像して透明フィルムとしたものが好適である。
本発明で用いられる通気性をもつシートまたは膜状素材を少なくとも一部に備えた被覆材とは、上記の通気性をもつシートまたは膜状素材単独、あるいは上記通気性をもつシートまたは膜状素材と、これを支持するシートとを組み合わせた複合材を意味する。該被覆材を、通気性をもつシートまたは膜状素材とこれを支持するシートとを組み合わせたものとする場合、好適な支持シートとしては、合成樹脂(例えばポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標))のフィルムまたはガラス材料が挙げられる。本発明の被覆材は、通気性をもつシートまたは膜状素材と支持シートとを相対させ、これらの周縁部をのり付け、テープ貼り、あるいはヒートシールすることにより袋状としたものが特に好適である。通気性をもつシートまたは膜状素材と支持シートとをヒートシールする場合、両者の面積はいずれが大きくても良く、等しくても良い。また、本発明の試験片を用いて環境調査を行う場合に、後述の通り目視または光学的手法により簡便に結果を得ることができるよう、該被覆材の少なくとも一部は透明であって、内部に封じ込まれたカビまたはカビを含む複数種の微生物を接種した担体(後述)が見えるような態様になっていることが特に好ましい。
カビまたはカビを含む複数種の微生物を接種するための担体として、紙、布、木材、建材または食品などが挙げられる。紙または布が好ましく、特に濾紙を好適に用いることができる。
本発明の被覆材に、カビまたはカビを含む複数種の微生物を接種した担体を封じ込ませる方法として、以下のようなものが挙げられる。すなわち、通気性シートまたは膜状素材と支持シートとを相対させ、これらの周縁部を適宜な手段で貼り合わせた袋状の被覆材を用いた場合は、当該袋の内部にカビまたはカビを含む複数種の微生物を接種した担体を入れ、口を適宜な手段で貼り合わせることができる。あるいは、通気性をもつシートまたは膜状素材でカビまたはカビを含む複数種の微生物を接種した担体を包み、口部を結ぶか、あるいはのり付け、テープ貼り、またはヒートシール等の方法により適宜接着することもできる。
本発明の試験片において使用されるカビは、環境調査用の指標菌となるものが好ましく特に、Wallemia 属のカビである。上述の通り、Wallemia属のカビであるWallemia sebiは、一般には発育速度が遅いカビとされてきた。しかし、本発明者の調査研究から、本菌は、菌糸発育の期間が短く早期に胞子形成に切り替わる性質を持つライフサイクルの期間が短いカビであり、培地上で菌糸が長くなることが無いためコロニーのサイズが大きくならず、発育速度が遅いカビと理解されていたことが判明した。Wallemia sebiの胞子の形成は早い時期から開始するため、胞子形成による着色が早期に現れるため、本発明の試験片に使用する指標菌として好適である。Wallemia sebiはその発育に伴って色の変化が現れるカビであり、その発育程度は明度、色差、吸光度ないし輝度などの光学的手法を用いれば定量的な測定が可能であり、また目視によっても直ちに判別可能である。さらにWallemia sebiは好乾性カビであって人体内のように水分の多い環境では発育せず、さらに37℃(体温)では発育できないカビであるため病原菌になることが無い。万一試験片を破壊するなどして人為的に菌を漏洩させることがあっても重大な事故にはなりえない。このような観点から、Wallemia属のカビを用いることが非常に好適である。
Wallemia属のカビと共に担体に接種可能な他の種類の微生物としては、発育しても菌糸が長く伸長しないカビあるいは菌糸の無い微生物(例えば酵母、細菌、放線菌など)が特に好適である。すなわち、被覆材の外部にまで菌糸を伸ばしたり、被覆材の外部に漏洩したりすることのない微生物を選択すべきである。
Wallemia属のカビの胞子またはWallemia属のカビの胞子を含む複数種の微生物を適当な液体に分散させた懸濁物を担体に接種し、乾燥させる。このようにして得たカビまたはカビを含む複数種の微生物を接種した担体を上記の方法により被覆材に封じ込み、本発明に係る環境調査用試験片を得ることができる。
[発明を実施するための形態]
本発明に係る環境調査用試験片を用いて環境調査をする方法を具体的に説明する。
本発明に係る試験片を、被調査環境にそのまま置いたり、壁面に貼り付けたり、あるいは適宜の方法により吊り下げるなどして、被調査環境に一定期間曝露させる。被調査環境の温度、湿度、日当たり、風通し等種々の要因に応じてWallemia属のカビが発育する。すなわち被調査箇所がカビの発育する環境を保っていた場合は、試験片内のWallemia 属のカビが発育し着色スポット(胞子の色)が現れる。スポットの色は、被調査環境がカビの発育しやすい環境であるほど短期間で濃色のスポットとなる。これに対し被調査環境がカビの発育しない環境を保っていた場合は、着色スポットは現れない。したがって着色スポットの有無、及び着色スポットが濃色に変化する速度を目視により観測することにより、被調査環境がカビの生育しやすい箇所であるか否かを判断することができる。被調査環境のカビの生育しやすさの程度を定量化したい場合は、本発明に係る試験片の着色部分を光学的手法(例えば表面吸光度測定法、反射光測定法等)を用いて測定することにより、試験片中に封じ込められたWallemia属カビの発育程度を定量化することが可能である。このようにして被調査環境のカビの生育しやすさを数値化することができる。
本発明の環境調査用試験片を用いれば、被調査環境のカビの生育しやすさを予測することが可能となり、カビの生育予防対策を早期に講ずることができる。本発明の試験片は、使用する環境に応じて種々のサイズのものを作成することができ、例えば携帯容易な比較的小さなサイズに作製することも可能である。本発明の環境調査用試験片は、例えば工場、研究所、食品倉庫など、あらゆる産業における環境の調査、あるいは各家庭における環境調査を容易に行うことを可能とする。本発明の方法は、目視による簡易な手法で被調査環境のカビの生育しやすさの目安を得ることを可能とするほか、さらに光学的手法を用いることにより、カビの生育しやすさを数値化した結果を得ることを可能とする。
方法
あらかじめ培地(酵母エキス1%、シュークロース10%)を含ませて乾燥させた濾紙(15mm×15mm)の中央に3μLの Wallemia sebi J-155株の胞子懸濁液(106sores/mL)を接種し、乾燥させた。乾燥させた胞子接種済み担体を、片面が不織布製(タイベック1073B、旭デュポン・フラッシュプロダクツ社製)、もう片面が透明なポリエチレンフィルム製の袋(50mm×50mm)に入れ、袋の口をヒートシールし、本発明の環境調査用試験片を得た。この袋内部の担体は、胞子接種面を透明ポリエチレンフィルム側に向けた。培養開始前の試験片(約3000個の胞子を担体に接種した状態の試験片)では、胞子による着色は認められなかった。
作製した試験片を温度25℃で相対湿度の異なる湿室内に入れ、一定の雰囲気下に一定期間曝露した。
尚、相対湿度の異なる環境の作成は、以下のように行った:特定の塩とその飽和水溶液を密閉容器の中に入れると、その上部空間の相対湿度は塩の種類により特定の相対湿度になることが知られている(ASTM E-104)。以下に、一定の相対湿度の雰囲気を作製するために用いた塩の種類と、各塩の飽和溶液とその結晶を温度25℃で密閉容器に入れた場合の各内部空間の相対湿度および、試験片を各雰囲気下に曝露し始めてから着色スポットを測定するまでの時間(日数)を示す。
結果
K2SO4湿室(相対湿度97%)に入れた試験片は1日の曝露では明確なスポットが出現しなかったが、2日間の曝露で濃色のスポットが現れた。KNO3湿室(相対湿度94%)に入れた試験片は2日間の曝露では淡色のスポットであったが、4日間の曝露で濃色のスポットに変化した。KCl湿室(相対湿度84%)に入れた試験片は4日間の曝露ではスポットが出現せず、7日間の曝露で淡色のスポットが現れ、14日間の曝露で濃色のスポットに変化した。NaCl湿室(相対湿度75%)に入れた試験片では14日間の曝露ではスポットが出現しなかったが28日間の曝露で淡色のスポットが現れた。この結果を模式的に表したものを図1に示す。
一般に、高湿度の雰囲気ほどカビが発育しやすいことが知られている。Wallemia sebiJ-155株を用いた本実施例の試験片は、湿度が高い雰囲気ほど、短期間でスポットが現れて短期間で濃色に変化した。したがって、本発明の試験片の色変化の速度を観測することにより、被調査環境の相対湿度、ひいてはカビの発育しやすい環境を見積もることができることがわかった。
なお、本実施例で用いたWallemia sebiJ-155株は、一般的なカビよりも広範囲の湿度環境で発育するカビとして本発明者が自然界から分離した菌株で、環境評価用の指標菌として広範囲の環境で発育するカビをスクリーニングした時に得られた菌株であり、既に発表している(防菌防黴21巻pp. 557-565(1993))。特開平06-141891号「真菌の生育環境調査用試験片」では、環境曝露後に発育した菌糸の長さを環境評価に用いたため、菌糸が長く伸長することの無い本菌は、広範囲の湿度環境で発育するにもかかわらず、カビ発育環境調査用試験片の指標菌として適切ではなかった。
本実施例で用いたWallemia sebiJ-155株は、ブダペスト条約に従って2007年5月24日独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD:National Institute of Technology and Evaluation, Patent Microorganisms Depositary;日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に寄託された、受託番号NITE BP-365のカビである。
実施例で用いた試験片の色変化を模式的に表した図である。

Claims (3)

  1. 通気性を持つシートまたは膜状素材を少なくとも一部に備える被覆材に、Wallemia 属のカビ、またはWallemia 属のカビを含む複数種の微生物を接種した担体が封じ込まれていることを特徴とする環境調査用試験片。
  2. 請求項1記載の試験片を一定期間被調査環境に曝露し、曝露期間中に起きた試験片内部の菌の発育からその環境を評価する環境評価方法。
  3. 請求項1記載の試験片に封じ込まれている菌の発育により現れた色の変化を、光学的に測定することによって被調査環境を数値で表すことを特徴とする前記方法。
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