JP2008301184A - 通信機器用の接続装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無線パケット通信網に収容された端末間の通信が可能な通信システムを提供する。
【解決手段】無線パケット通信網40との接続用の通信機器20と、該通信機器20を介して通信を行う上位装置10との間に接続装置1を介在させる。接続装置1は、無線パケット通信網40との接続後、管理用コンピュータ51に第2の上位装置10bとの通信要求を送信する。管理用コンピュータ51は、第2の接続装置1bに対して呼び出しメッセージを送出する。第2の接続装置1bは、呼び出しメッセージを受信すると無線パケット通信網40に接続する。以降、各接続装置1a,1bは、各上位装置10a,10b間の通信を中継する。
【選択図】 図12
【解決手段】無線パケット通信網40との接続用の通信機器20と、該通信機器20を介して通信を行う上位装置10との間に接続装置1を介在させる。接続装置1は、無線パケット通信網40との接続後、管理用コンピュータ51に第2の上位装置10bとの通信要求を送信する。管理用コンピュータ51は、第2の接続装置1bに対して呼び出しメッセージを送出する。第2の接続装置1bは、呼び出しメッセージを受信すると無線パケット通信網40に接続する。以降、各接続装置1a,1bは、各上位装置10a,10b間の通信を中継する。
【選択図】 図12
Description
本発明は、自動販売機の販売情報収集などのテレメトリングの分野や移動体への交通情報配信などのテレマティクスの分野などで用いられる通信システムに関する。
近年、無線パケット通信網を介して情報の収集や配信等を行うテレメトリングやテレマティクスが普及してきている。テレメトリングとは、元来は、通信回線を使って計量器の計量値を読み出す仕組みのことの総称であった。しかし、近年は、一般的に、データの読み取りだけでなく、機器の動作監視や遠隔制御にも用いる用語である。テレメトリングの代表的な例としては、自動販売機の販売管理システム,ガス・水道などの使用量管理システム、無人駐車場における管理システムなどが挙げられる。自動販売機の販売管理システムについては特許文献1を参照されたい。また、テレマティクスとは、自動車などの移動体に通信システムを組み合わせてリアルタイムに情報サービスを提供することを意味する。テレマティクスの代表的な例としては、自動車に設置した端末に交通情報やナビゲーション情報をリアルタイムに提供する車載情報システムなどが挙げられる。
このような分野においては、遠隔地において無線パケット通信網に接続するための通信機器と該通信機器を用いる上位装置とを配置している。前記上位装置はデータ端末装置(DTE:Data Terminal Equipment)に相当する。また、前記通信機器はデータ通信装置(DCE:Data Circuit-terminating Equipment)に相当する。
例えば、自動販売機の販売管理システムにおいては、販売制御や庫内の温度制御を行う制御装置が上位装置に相当する。各上位装置は、定期的に又は任意時に、通信機器を介して所定のネットワークに接続し、該ネットワークを介して所定の管理コンピュータに接続する。そして、管理コンピュータに接続した上位装置は、種々の管理対象データを送信する。
特開2003−51056号公報
ところで、従来のシステムでは上位装置の通信相手先は専ら管理コンピュータなどのサーバのみであったが、一方で上位装置同士で通信を行いたいという要望があった。しかし、一の上位装置から他の上位装置に接続可能であるか否かは無線パケット通信網の規格やサービスに依存するため、必ずしも上記要望を満たせるとは限らなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無線パケット通信網に収容された端末間の通信が可能な通信システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本願では、無線パケット通信網を介してLANと無線通信端末とを接続する通信システムにおいて、無線通信端末は、無線パケット通信網に接続する通信機器と、該通信機器を用いて通信を行う上位装置と、通信機器と上位装置との間に介在して両者を接続する接続装置とを備え、前記接続装置は、上位装置による通信の接続を制御する接続制御手段と、上位装置による通信データを中継する通信制御手段とを備え、前記LAN側には、第1及び第2の無線通信端末の間の通信を管理する通信管理手段を有するサーバが配置され、第1の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、無線パケット通信網に収容されている第2の無線通信端末との通信を行う際には、該無線パケット通信網に接続し、第2の無線通信端末との通信要求を前記サーバに送信し、サーバの通信管理手段は、通信要求を受信すると無線パケット通信網で提供されているメッセージングサービスを利用して第2の無線通信端末に対して呼び出しメッセージを送信し、第2の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、前記サーバから呼び出しメッセージを受信すると無線パケット通信網に接続することを特徴とするものを提案する。
本発明によれば、第1の無線通信端末がサーバに対して第2の無線通信端末との通信要求を送信すると、サーバから第2の無線通信端末に呼び出しメッセージが送出される。そして、第2の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、該呼び出しメッセージを受信すると無線パケット通信網に接続する。これにより、第1及び第2の無線通信端末の双方が無線通信パケット網に接続した状態となるので、両者間の通信が可能となる。
なお、前記上位装置はデータ端末装置(DTE:Data Terminal Equipment)に相当する。また、前記通信機器はデータ通信装置(DCE:Data Circuit-terminating Equipment)に相当する。
本発明の好適な態様としては、前記通信システムにおいて、前記呼び出しメッセージは第1の無線通信端末のアドレス情報を含み、第2の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、呼び出しメッセージに含まれるアドレス情報に基づき第1の無線通信端末との間で接続を確立し、以降第1及び第2の無線通信端末間でピア・トゥ・ピア通信を行うものが挙げられる。
また、本発明の他の好適な態様としては、前記通信システムにおいて、第1の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、無線パケット通信網に接続した後に、該無線パケット通信網を介してサーバとの間で接続を確立し、第2の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、サーバから呼び出しメッセージを受信すると無線パケット通信網に接続した後に、該無線パケット通信網を介してサーバとの間で接続を確立し、サーバの通信管理手段は第1及び第2の無線通信端末間の通信データを中継するものが挙げられる。
以上説明したように本発明によれば、第1の無線通信端末がサーバに対して第2の無線通信端末との通信要求を送信すると、サーバから第2の無線通信端末に呼び出しメッセージが送出される。そして、第2の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、該呼び出しメッセージを受信すると無線パケット通信網に接続する。これにより、第1及び第2の無線通信端末の双方が無線通信パケット網に接続した状態となるので、両者間の通信が可能となる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る通信システムについて図面を参照して説明する。図1は本発明に係る通信システムを用いたテレメトリングシステムの構成図である。
本発明の第1の実施の形態に係る通信システムについて図面を参照して説明する。図1は本発明に係る通信システムを用いたテレメトリングシステムの構成図である。
本システムは、図1に示すように、例えば下水道の流量監視用のコンピュータなどの上位装置10と、無線パケット通信網40を介して企業内LAN50とを接続したネットワーク環境を提供する。
ここで、上位装置10や企業内LAN50内の端末(図1の例では管理用コンピュータ51)は、固定的にIPアドレスを付与するネットワーク接続サービス用に設定されているとする。一方、無線パケット通信網40では動的にIPアドレスを付与するネットワークサービスを提供しているとする。本願発明では、上位装置10と通信モジュール20の間に接続装置1を介在させ、この接続装置1によりネットワーク環境の相違を吸収させている。この上位装置10と接続装置1と通信モジュール20の組が、無線パケット通信網40においては1つの無線通信端末に相当する。
上位装置10は、データ端末装置(DTE:Data Terminal Equipment)に相当する。この上位装置10は、特定のキャリア及びそのキャリアが提供するネットワーク接続サービスに対応するように設計されている。具体的には、接続端末に対して固定IPアドレスを付与するネットワーク接続サービスの利用を前提としており、該サービスに対応した通信モジュールを接続するとともに、該サービスに対応した接続プロトコル・認証プロトコル等に対応するよう設計されている。
上述した上位装置10が前提としているネットワーク接続サービスについて説明する。このネットワーク接続サービスでは、通信モジュールに予めキャリアにより電話番号が割り当てられる。このネットワーク接続サービスの提供下にある無線パケット通信網には、回線制御やパケット中継等を行う中継装置が設けられている。中継装置には、接続先ネットワークである企業内LANに対応して電話番号が割り当てられている。通信モジュールを接続した端末は、無線パケット通信網内の中継装置の電話番号宛に発呼すると、企業内LANなどの所定のネットワークに接続する。中継装置への接続は、予め電話番号を割り当てた通信モジュールからのみ許可される。
本発明は、このような上位装置10及び管理用コンピュータ51をそのまま利用することを前提とし、動的IPを付与するネットワーク接続サービス提供下の無線パケット通信網40においてもネットワークシステムを構築可能とする。
次に、本実施の形態で利用する、動的IPアドレスを付与するネットワーク接続サービスについて説明する。このネットワーク接続サービスでは、通信モジュール20に予めキャリアにより電話番号が割り当てられる。無線パケット通信網40には、図1に示すように、回線制御やパケット中継等を行う中継装置41が設けられている。通信モジュール20を接続した端末は、予め定められている特別な番号を指定して発呼することにより無線パケット通信網40に接続する。そして、該端末は、中継装置41との間でPAP(Password Authentication Protocol)を用いた認証処理を行うことにより、接続先ネットワークである企業内LAN50に接続可能となる。なお、前記PAP認証では、接続先を特定する情報をユーザ名に含ませることにより、接続先ネットワークを特定する。このネットワーク接続サービスでは、キャリアから無線パケット通信網40に対して所定の範囲のIPアドレス群が割り当てられており、通信モジュール20にはそれぞれ該IPアドレス群に含まれるIPアドレスがIPCP(Internet Protocol Control Protocol)により動的に割り当てられる。
ここで、接続端末に付与するIPアドレスは予め定められたものである。図1に示すように、無線パケット通信網40にはアドレス管理サーバ43が設置されている。このアドレス管理サーバ43は、接続端末の電話番号と、当該電話番号を有する端末に対して配布するIPアドレスのリストを管理する。具体的には、アドレス管理サーバ43は、電話番号とIPアドレスとの対応を記述したアドレス対応テーブルを備えている。また、このアドレス管理サーバ43は、アドレス対応テーブルを更新できるようユーザに対してインタフェイスを提供している。
本接続サービスでは、無線パケット通信網40は、端末が接続してきた際に該接続端末の電話番号を取得する。そして、当該電話番号に対応するIPアドレスをアドレス対応テーブルから取得し、取得したIPアドレスを接続端末に配布する。このアドレス配布にはIPCPが用いられる。すなわち、本実施の形態では、IPCPという動的IP付与技術を用いているものの、配布IPアドレスは所定のものである。
また、本接続サービスでは、無線パケット通信網40は、端末に対応したIPアドレス宛のIPパケットを企業内LAN50から受信し、且つ、当該端末が無線パケット通信網40に接続してない状態の時には、メッセージングサーバ42が当該IPパケットに対応する電話番号をアドレス管理サーバ43から取得し、当該電話番号に対してメッセージを送信する。このメッセージングサービスは、TCP/IPを用いたネットワーク接続サービスではなく、無線通信網を利用した独自プロトコルにより実装されたものである。これにより端末は、企業内LAN50からの接続要求があったことを認識できる。
次に、接続装置1について詳述する。この接続装置1は、データ端末装置に相当する上位装置10と、データ通信装置(DCE:Data Circuit-terminating Equipment)に相当とする通信機器20とを接続する装置である。本実施の形態に係る接続装置1では、CDMA規格の通信モジュール20に対応する。通信モジュール20は、それぞれ対応するキャリアが構築する無線パケット通信網40に接続する通信機器であり、各キャリアが独自に定めた通信規格・通信プロトコル・サービスに対応している。上位装置10は、前述したように、特定のキャリア及びそのキャリアが提供するサービスに対応するように設計されている。具体的には、当該サービスに対応した通信モジュールを接続するとともに、該サービスに対応した接続プロトコル・認証プロトコル等に対応するよう設計されている。
本実施の形態に係る上位装置10は、PDC規格の通信モジュール及びPHS規格の通信モジュールと直接接続可能であるとする。そして、該通信モジュールを用いることにより、各無線パケット通信網を介して企業内LAN50に接続可能となっているとする。本実施の形態に係る接続装置1は、当該上位装置10を改造・変更することなく、CDMA規格の通信モジュール20を用いて、無線パケット通信網40を介して企業内LAN50に接続可能とする。以下、接続装置1についてさらに詳しく説明する。
図2及び図3を参照して本実施の形態に係る接続装置1について詳述する。図2は接続装置1の外観斜視図、図3は接続装置1の機能ブロック図である。なお、図3においては本発明の要旨に係るもののみを記載し、他の構成については省略した。
図2に示すように、接続装置1は、箱状の筐体100内に上述の通信モジュール20を着脱自在に内蔵している。筐体100の端面にはアンテナ接続用のコネクタ101と、上位装置10に接続するためのコネクタ102とが付設されている。
接続装置1は、図3に示すように、回線接続の確立などの接続制御を行う接続制御部121と、接続制御部121により確立された回線上でのデータ通信を制御する通信制御部122と、上位装置10とのインタフェイス123と、通信モジュール20とのインタフェイス124と、各種設定データを記憶した設定データ記憶部151と、パケットを一時的に記憶するパケット一時記憶部152とを備えている。接続制御部121は、ATコマンドによる回線接続制御、LCP(Link Control Protocol)及びIPCPによるIP層の接続制御、他の無線通信端末とのピア・トゥ・ピア通信のための接続制御を行う。通信制御部122は、接続制御部121により確立された回線上でのデータ通信において、IP層のヘッダに含まれるIPアドレスの変換処理や、TCPパケットの代理応答処理などを行う。
前記接続制御部121及び通信制御部122は、上位装置10と通信モジュール20との間のデータに対して、所定のルールに従って、変換・透過・廃棄等の処理を行う。これらのデータ処理に必要なデータは、前記設定データ記憶部151に記憶されている。
設定データ記憶部151に記憶されているデータについて図4及び図5を参照して説明する。図4は無線パケット通信網40に接続するために必要な接続設定データの一例である。図4に示すように、設定データ記憶部151には、接続設定データとして、無線パケット通信網40に接続するための発呼コマンド(電話番号を含む)、上位装置10の固定IPアドレス、無線パケット通信網40に接続する際に必要な認証データが記憶されている。また、設定データ記憶部151には、図5に示すように、上位装置10からの接続要求に対応するIPアドレスの一覧からなる設定データが記憶されている。この設定データは、図5に示すように、上位装置10の発呼コマンド(ATDTコマンド)に含まれる電話番号と、該電話番号に対応するIPアドレスとの組からなる。この設定データには、少なくとも、管理用コンピュータ51に関する情報を含み、必要に応じてピア・トゥ・ピア通信を行いたい他の無線通信端末に関する情報を含む。設定データ記憶部151は、例えばEPROMなどの不揮発性メモリからなる。
次に、管理用コンピュータについて図6を参照して説明する。管理用コンピュータ51は、図6に示すように、企業内LAN50に接続するためのインタフェイス52と、上位装置10により計測された下水道の流量を管理する流量管理部53と、流量データを蓄積・管理する管理データベース54と、一対の上位装置10間のピア・トゥ・ピア通信を管理する通信管理部55とを備えている。なお、本実施の形態では、1つの管理用コンピュータ51に流量管理機能とピア・トゥ・ピア通信の通信管理機能を実装していたが、互いに異なるサーバにより実現してもよい。上位装置10から受信したデータを、流量管理部53又は通信管理部55のどちらで処理するか否かは、該データの受付方法や該データにデータ種別を含ませる方法などが挙げられる。本実施の形態では、上位装置10と管理用コンピュータ51との間の通信においてTCP/IPを用いていることから、流量管理部53と通信管理部55のポート番号を互いに異なるものを採用する。
次に、本システムにおける通信手順について図面を参照して説明する。まず、図7及び図8を参照して、上位装置10から管理用コンピュータ51に対して通信を開始する場合について説明する。図7は上位装置から管理用コンピュータに通信開始する場合のシーケンスチャート、図8は上位装置から送信されたIPパケットのヘッダに記載されたIPアドレスの変換過程を説明する図である。
図7に示すように、上位装置10は、接続装置1に対して「ATDT080CCDD」コマンドを発呼すると(ステップS101)、接続装置1の接続制御部121は該コマンドを「ATD9999」に変換して通信モジュール20に転送する(ステップS102)。なお、この発呼の契機としては、図8に示すような宛先アドレス:192.168.9.10のIPパケットが生じた時などが挙げられる。前記ATコマンドにより通信モジュール20は無線パケット通信網40内の中継装置41に発呼する(ステップS103)。接続装置1の接続制御部121は、回線レベルで接続が完了した旨の応答「CONNECT」を通信モジュール20を介して受信すると(ステップS104)、PPPにより接続装置1を企業内LAN50に接続するよう処理を開始する。
まず、接続装置1の接続制御部121は、無線パケット通信網40の中継装置41との間でLCPネゴシエーションを開始する(ステップS105)。次に、接続装置1の接続制御部121は、無線パケット通信網40の中継装置41との間でPAP認証処理を行う(ステップS106)。このPAP認証処理は、上位装置10では想定されていないものであるが、本実施の形態に係る無線パケット通信網40を利用する際には必要である。そこで、本実施の形態では、接続装置1が上位装置10に代理して認証処理を行っている。この認証処理が終了すると、接続装置1の接続制御部121は、接続装置1と無線パケット通信網40の中継装置41との間でIPCPネゴシエーションを開始する(ステップS107)。これによりIPCPネゴシエーションが完了し、接続装置1の接続制御部121には無線パケット通信網40から動的IPアドレス:172.16.0.Xが付与される。ここで付与されるIPアドレスは、接続端末である通信モジュール20に対して予め定めたものである。付与された動的IPアドレスはEPROM(図示省略)などの記憶手段に記憶しておく。
PPPネゴシエーションが完了すると、回線レベルで接続が完了した旨の応答「CONNECT」を上位装置10に送信する(ステップS108)。上位装置10は、当該応答を受けてLCPネゴシエーション及びIPCPネゴシエーションを開始する(ステップS109,S110)。ここで、注目すべき点は、接続装置1の接続制御部121が上位装置10に対して応答を行うことである。
以上の処理により上位装置10と企業内LAN50との接続が完了するので、上位装置10は管理用コンピュータ51へのデータ通信を開始する(ステップS111)。ここで、接続装置1の通信制御部122では、IPパケットのヘッダのアドレス変換を行う(ステップS112)。具体的には、図8に示すように、固定端末IPアドレス(192.168.0.1)と動的端末IPアドレス(172.16.0.X)とを相互に変換する。以上の処理により、上位装置10から開始する管理用コンピュータ51との通信が可能となる。
次に、企業内LAN50の管理用コンピュータ51から上位装置10に対して通信を開始する場合について図9乃至11を参照して説明する。図9及び図10は管理用コンピュータから開始する通信のシーケンス図、図11はアドレス変換の過程を説明する図である。
ここでは、上位装置10に接続されている通信モジュール20に対して、アドレス管理サーバ43においてIPアドレス「172.16.0.1」が割り当てられているものとする。
管理用コンピュータ51が、通信相手先の上位装置10と通信するために該上位装置10に接続されている通信モジュール20のIPアドレス「172.16.0.1」を宛先とした接続要求を発すると(ステップS151)、ルータ60は通常のルーティングルールに従って当該パケットを無線パケット通信網40に中継する(ステップS152)。
無線パケット通信網40は、ルータ60から受信したパケットの宛先IPアドレスを参照し、当該IPアドレスに対応する電話番号をアドレス管理サーバ43から取得する。そして、該電話番号宛に、企業内LAN50から接続要求があった旨をメッセージングサービスを利用して通知する(ステップS153)。なお、無線パケット通信網40は、ルータ60から受信した接続要求に係るパケットは破棄する。
メッセージを受信した接続装置1の接続制御部121は、設定データ記憶部151に記憶されている設定データに基づき企業内LAN50への接続処理を開始する。具体的には、「ATD9999」コマンドを通信モジュール20に送出する(ステップS154)。該ATコマンドにより通信モジュール20は無線パケット通信網40内の中継装置41に発呼する(ステップS155)。接続装置1の接続制御部121は、回線レベルで接続が完了した旨の応答「CONNECT」を通信モジュール20を介して受信すると(ステップS156)、PPPにより接続装置1を企業内LAN50に接続するよう処理を開始する。
まず、接続装置1の接続制御部121は、無線パケット通信網40の中継装置41との間でLCPネゴシエーションを開始する(ステップS157)。次に、接続装置1の接続制御部121は、無線パケット通信網40の中継装置41との間でPAP認証処理を行う(ステップS158)。次に、接続装置1の接続制御部121は、接続装置1と無線パケット通信網40の中継装置41との間でIPCPネゴシエーションを開始する(ステップS159)。これによりIPCPネゴシエーションが完了し、接続装置1の接続制御部121には無線パケット通信網40から動的IPアドレス:172.16.0.Xが付与される。ここで付与されるIPアドレスは、上述したように、接続端末である通信モジュール20に対して予め定めたものである。付与された動的IPアドレスはEPROM(図示省略)などの記憶手段に記憶しておく。
PPPネゴシエーションが完了すると、管理用コンピュータ51から接続要求パケットが接続装置1に到達する(ステップS160)。上述したように、無線パケット通信網40は、前記ステップS151で管理用コンピュータ51が送出したパケットを破棄している。このため、管理用コンピュータ51は、当該接続要求パケットの応答を受信できず、タイムアウトにより接続要求パケットを再送する。また、上記ステップS153〜S159の処理にはある程度の時間が必要となるため、再送したパケットの幾つかは更にタイムアウトする。したがって、接続装置1に到達する接続要求パケットは数回再送されたパケットのうちの最新のものである。
接続装置1の接続制御部121は、管理用コンピュータ51から接続要求パケットを受信すると、上位装置10に対して着信があったことを通知する(ステップS161)。上位装置10は、着信通知を受信すると、当該着信通知に対する応答を接続装置1に通知するとともに(ステップS162)、LCPネゴシエーション及びIPCPネゴシエーションを開始する(ステップS163,S164)。ここで、注目すべき点は、接続装置1の接続制御部121が上位装置10に対して応答を行うことである。
このPPPネゴシエーションが完了すると、接続装置1の接続制御部121は、前記ステップS160で管理用コンピュータ51から受信した接続要求パケットを上位装置10に転送する(ステップS165)。接続要求パケットを受信した上位装置10は、当該応答を接続装置1に応答する(ステップS166)。接続装置1は、当該応答パケットをルータ60に中継する(ステップS167)。ルータ60は、通常のルーティングルールに従って当該応答パケットを管理用コンピュータ51に中継する(ステップS168)。
以上の処理により、上位装置10は管理用コンピュータ51への接続が完了したものと判断し、管理用コンピュータ51へのデータ通信を開始する(ステップS169)。ここで、接続装置1の通信制御部122は、IPパケットのヘッダのアドレス変換を行う(ステップS170)。具体的には、図11に示すように、固定端末IPアドレス(192.168.0.1)と動的端末IPアドレス(172.16.0.1)とを相互に変換する。
次に、無線パケット通信網40を介して第1及び第2の上位装置10a,10bの間でピア・トゥ・ピア通信を行う場合について図12を参照して説明する。ここでは、第1及び第2の上位装置10a,10bの間の通信はいわゆる「無手順」であることを想定する。一方、無線パケット通信網40はIP網である。そこで、本願発明では、第1の上位装置10aに接続した第1の接続装置1aと、第2の上位装置10bに接続した第2の接続装置1bの間にTCPコネクションを形成する。そして、該TCPコネクション上に上位装置10a,10b間の通信データを載せる。以下、第1の上位装置10aが第2の上位装置10bに接続し、両者間でピア・トゥ・ピア通信を行う場合について詳述する。
第1の上位装置10aは、図12に示すように、接続装置1に対して接続要求である発呼コマンドを送信する(ステップS201)。この発呼コマンドは、第2の上位装置10bに接続した第2の通信モジュール20bに割り当てられた電話番号を含む。第1の接続装置1aの接続制御部121は、無線パケット通信網40への接続処理を開始する(ステップS202)。該無線パケット通信網40への接続処理は、図7を参照して詳述した接続処理(ステップS102〜S107)と同様である。無線パケット通信網40への接続が完了すると、第1の接続装置1aの接続制御部121は、管理用コンピュータ51の通信管理部55に対して第2の上位装置10bとの通信要求を送信する(ステップS203)。この通信要求には、第2の上位装置10bに接続した通信モジュール20bのIPアドレスを含む。該IPアドレスは、前記ステップS201で第1の上位装置10aから受信した発呼コマンドに含まれる電話番号をキーとして、図5に示す設定データから抽出する。
管理用コンピュータ51の通信管理部55は、第1の接続装置1aから通信要求を受信すると、該通信要求に含まれる第2の接続装置1bのIPアドレス宛にIPパケットを送出する(ステップS204)。このIPパケットの送出は、無線パケット通信網40で提供されているメッセージングサービスによるメッセージを送信するためである。したがって、当該IPパケットの上位プロトコル等の種別は不問である。本実施の形態では第2の接続装置1bに対してPINGを送出する。なお、このIPパケットは、上述のように、無線パケット通信網40において破棄される。ステップS204のIPパケットの送出により、無線パケット通信網40のメッセージングサーバ42は、宛先IPアドレスに対応する第2の接続装置1bに対してメッセージを送信する(ステップS205)。なお、このステップS204及びS205の処理は、通信管理部55が第2の接続装置1bを呼び出す呼び出しメッセージの送信処理を意味する。
第2の接続装置1bの接続制御部121は、呼び出しメッセージを受信すると、無線パケット通信網40への接続処理を開始する(ステップS206)。この接続処理は、図7を参照して詳述した接続処理(ステップS102〜S107)と同様である。無線パケット通信網40への接続が完了すると、第2の接続装置1bの接続制御部121は、第2の上位装置10bに対して着信があった旨を通知する(ステップS207)。
以上の処理により第1及び第2の上位装置10a,10bが共に無線パケット通信網40に対してオンラインの状態になる。次に、第1の接続装置1aの接続制御部121は、第2の接続装置1bとの間でTCPコネクションを確立する(ステップS208)。以降、各接続装置1a,1bの通信制御部122は、各上位装置10a,10bから受信したデータグラムをTCPコネクション上に流し、TCPコネクションから受信したデータグラムを上位装置10a,10bに送出する。これにより、上位装置10a,10b間でピア・トゥ・ピアのトンネル通信が可能となる(ステップS209)。
このように、本実施の形態に係る接続装置1によれば、上位装置10に改造・変更等を加えることなく、本来上位装置10が前提としていなかった無線パケット通信網40を用いた通信が可能となる。また、本実施の形態に係る接続装置1によれば、第1の上位装置10aが第2の上位装置10bを呼び出して、両者間のデータ通信が可能となる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る通信システムについて図面を参照して説明する。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、一対の上位装置10a,10bの間の通信の経路にある。他の構成・作用・効果等は第1の実施の形態と同様である。以下に相違点について説明する。
本発明の第2の実施の形態に係る通信システムについて図面を参照して説明する。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、一対の上位装置10a,10bの間の通信の経路にある。他の構成・作用・効果等は第1の実施の形態と同様である。以下に相違点について説明する。
上記第1の実施の形態では、第1及び第2の上位装置10a,10bの間の通信は第1及び第2の接続装置1a,1b間に形成したTCPコネクション上を通過している。一方、本実施の形態では、第1の接続装置1aと管理用コンピュータ51との間、及び、第2の接続装置1bと管理用コンピュータ51との間にそれぞれTCPコネクションを形成する。そして、管理用コンピュータ51の通信管理部55が、第1及び第2の上位装置10a,10b間に通信を中継することを特徴としている。以下に詳細な手順について説明する。
第1の上位装置10aは、図13に示すように、接続装置1に対して接続要求である発呼コマンドを送信する(ステップS251)。この発呼コマンドは、第2の上位装置10bに接続した第2の通信モジュール20bに割り当てられた電話番号を含む。第1の接続装置1aの接続制御部121は、無線パケット通信網40への接続処理を開始する(ステップS252)。該無線パケット通信網40への接続処理は、図7を参照して詳述した接続処理(ステップS102〜S107)と同様である。無線パケット通信網40への接続が完了すると、第1の接続装置1aの接続制御部121は、管理用コンピュータ51の通信管理部55に対して第2の上位装置10bとの通信要求を送信する(ステップS253)。この通信要求には、第2の上位装置10bに接続した通信モジュール20bのIPアドレスを含む。該IPアドレスは、前記ステップS201で第1の上位装置10aから受信した発呼コマンドに含まれる電話番号をキーとして、図5に示す設定データから抽出する。
管理用コンピュータ51の通信管理部55は、第1の接続装置1aから通信要求を受信すると、該通信要求に含まれる第2の接続装置1bのIPアドレス宛にIPパケットを送出する(ステップS254)。このIPパケットの送出は、無線パケット通信網40で提供されているメッセージングサービスによるメッセージを送信するためである。したがって、当該IPパケットの上位プロトコル等の種別は不問である。本実施の形態では第2の接続装置1bに対してPINGを送出する。なお、このIPパケットは、上述のように、無線パケット通信網40において破棄される。ステップS204のIPパケットの送出により、無線パケット通信網40のメッセージングサーバ42は、宛先IPアドレスに対応する第2の接続装置1bに対してメッセージを送信する(ステップS255)。なお、このステップS204及びS205の処理は、通信管理部55が第2の接続装置1bを呼び出す呼び出しメッセージの送信処理を意味する。
第2の接続装置1bの接続制御部121は、呼び出しメッセージを受信すると、無線パケット通信網40への接続処理を開始する(ステップS256)。この接続処理は、図7を参照して詳述した接続処理(ステップS102〜S107)と同様である。無線パケット通信網40への接続が完了すると、第2の接続装置1bの接続制御部121は、第2の上位装置10bに対して着信があった旨を通知する(ステップS257)。
以上の処理により第1及び第2の上位装置10a,10bが共に無線パケット通信網40に対してオンラインの状態になる。次に、第1の接続装置1aの接続制御部121は、管理用コンピュータ51との間でTCPコネクションを確立する(ステップS258)。同様に、第2の接続装置1bの接続制御部121は、管理用コンピュータ51との間でTCPコネクションを確立する(ステップS259)。以降、各接続装置1a,1bの通信制御部122は、各上位装置10a,10bから受信したデータグラムをTCPコネクション上に流し、TCPコネクションから受信したデータグラムを上位装置10a,10bに送出する。また、管理用コンピュータ51の通信管理部55は、第1の接続装置1aから受信したデータは第2の接続装置1bに転送し、第2の接続装置1bから受信したデータは第1の接続装置1aに転送する。これにより、上位装置10a,10b間でピア・トゥ・ピアのトンネル通信が可能となる(ステップS260)。
以上、本発明の一実施の形態について詳述したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、無線パケット通信網40において、動的IP付与技術を用いているものの割り当てるIPアドレスは予め決められたものであるが、任意のIPアドレスを付与するネットワークであっても本願発明を実施できる。
また、上記実施の形態では、上位装置10間の通信プロトコルを「無手順」としたが、これは上位装置10側において任意の上位プロトコルを適宜使用可能であることを意味する。したがって、上位装置10間の通信プロトコルはどのようなものであってもよい。
また、上記実施の形態では下水道の流量監視を行うテレメトリングシステムについて説明したが、他のテレメトリングシステムや、テレマティクスシステムにおいても本発明を実施できる。
また、上記各実施の形態では、通信モジュールとしてCDMA規格のものを例示したが、他の規格のものであっても本発明を実施できる。同様に、上位装置側のインタフェイス規格についても、上述したもの以外のものを適用できる。
1,1a,1b…接続装置、121…接続制御部、122…通信制御部、、10,10a,10b…上位装置、20,20a,20b…通信モジュール、40…無線パケット通信網、42…メッセージングサーバ、43…アドレス管理サーバ、50…企業内LAN、51…管理用コンピュータ、55…通信管理部、60…ネットワークルータ
Claims (3)
- 無線パケット通信網を介してLANと無線通信端末とを接続する通信システムにおいて、
無線通信端末は、無線パケット通信網に接続する通信機器と、該通信機器を用いて通信を行う上位装置と、通信機器と上位装置との間に介在して両者を接続する接続装置とを備え、
前記接続装置は、上位装置による通信の接続を制御する接続制御手段と、上位装置による通信データを中継する通信制御手段とを備え、
前記LAN側には、第1及び第2の無線通信端末の間の通信を管理する通信管理手段を有するサーバが配置され、
第1の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、無線パケット通信網に収容されている第2の無線通信端末との通信を行う際には、該無線パケット通信網に接続し、第2の無線通信端末との通信要求を前記サーバに送信し、
サーバの通信管理手段は、通信要求を受信すると無線パケット通信網で提供されているメッセージングサービスを利用して第2の無線通信端末に対して呼び出しメッセージを送信し、
第2の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、前記サーバから呼び出しメッセージを受信すると無線パケット通信網に接続する
ことを特徴とする通信システム。 - 前記第1及び第2の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、第2の無線通信端末の無線パケット通信網への接続が完了すると両端末間で接続を確立し、以降第1及び第2の無線通信端末間でピア・トゥ・ピア通信を行う
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。 - 第1の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、無線パケット通信網に接続した後に、該無線パケット通信網を介してサーバとの間で接続を確立し、
第2の無線通信端末に係る接続装置の接続制御手段は、サーバから呼び出しメッセージを受信すると無線パケット通信網に接続した後に、該無線パケット通信網を介してサーバとの間で接続を確立し、
サーバの通信管理手段は第1及び第2の無線通信端末間の通信データを中継する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
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