JP2008291657A - 翼車の加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、翼車の背面における孔加工のみにより翼車の軽量化及び翼車におけるバランス調整を実現することができる翼車の加工方法及び翼車の提供にある。
【解決手段】ブレード支持体13に複数のブレード11が備えられる翼車10の加工方法であって、翼車10のバランスを計測し、バランスの計測結果に基づき、翼車10の背面に設定された複数の有底孔の孔形成位置Sに、有底孔18の孔内空間の容積が異なる少なくとも2個の有底孔18A、18Bを含むように、複数の有底孔18の孔内空間を設定し、孔内空間が設定された有底孔18を孔形成位置Sに夫々形成することにより、翼車10のバランスを調整する。
【選択図】 図1

Description

この発明は翼車の加工方法及び翼車に関し、特に、翼車の軽量化とバランスを図るための翼車の加工方法に関する。
従来から内燃機関等で用いられる排気駆動型の過給機は、略円錐台状のブレード支持体に複数のブレードを備えた翼車を有している。
ターボ過給機の場合、タービン側の翼車をタービン翼車と呼び、コンプレッサー側の翼車については単にインペラと称することが多い。
この種の翼車では、翼車の回転時に生じる応力低減のために翼車の軽量化が望まれているほか、運転中の安定した翼車の回転を実現するため、翼車の良好なバランスを確保することが要請されている。
例えば、特許文献1に開示されたセラミックタービンローターでは、複数の翼(ブレードに相当)を有する筒状のディスク(ブレード支持体に相当)の内部を開口部のない中空部とし、ディスクの中空化により翼車の軽量化を実現している。
一方、特許文献2や特許文献3には、翼車の良好なバランスを確保する技術が開示されている。
特許文献2に記載された過給機のタービン翼の加工方法は、タービン翼のロータ軸との接合部に、予め円筒形のロータ軸側ボス部を設け、このボス部外周面を半径方向の加工基準にしてタービン翼の先端部を円筒形に加工し、次いで、先端部外周面を半径方向の加工基準にしてロータ軸側ボス部を加工する技術である。
この技術では、タービン翼において不可避的に発生していたアンバランス量を大幅に低減することができるとしている。
特許文献3に記載された樹脂製インペラのバランス修正方法は、ターボチャージャ用インペラのボス部にバランス部材挿入穴を設け、樹脂製インペラ材料よりも比重の大きいバランス部材をバランス部材挿入穴に挿入して樹脂製インペラのバランスを修正する技術である。
この技術では、バランス修正時の切削量を低減することが可能であり、ボス部の強度が確保された上で樹脂製インペラのバランス修正を行うことにより、アンバランスの低減を図ることができるとしている。
特開平7−63001号公報(3−5頁、図1−3) 特開2004−52616号公報(3−5頁、図1−3) 特開平4−41934号公報(4−6頁、図2)
しかしながら、特許文献1に開示された翼車は、軽量化は図られるものの翼車のバランス調整についての開示はなく、この技術では翼車のバランスを調整することができないという問題がある。
一方、特許文献2に開示された技術では、翼車のバランスを調整することができるものの、翼車背面側のロータ軸側ボス部及び翼車先端側の先端部を加工する必要があるほか、加工対象が変わる度に加工基準を切り替えなくてはならない煩雑さが存在する。
他方、特許文献3に開示された技術では、翼車に設けたバランス部材挿入穴に挿入するためのバランス部材を別に用意しなければならないという問題がある。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、翼車の背面に複数の有底孔を形成することにより翼車の軽量化及び翼車におけるバランス調整を同時に実現することができる翼車の加工方法及び翼車の提供にある。
上記課題を達成するため、本発明は、ブレード支持体に複数のブレードが備えられる翼車の加工方法であって、前記翼車のバランスを計測し、前記バランスの計測結果に基づき、前記翼車の背面に設定された複数の有底孔の形成位置に、前記有底孔の孔内空間の容積が異なる少なくとも2個の有底孔を含むように、前記複数の有底孔の孔内空間を設定し、前記孔内空間が設定された前記有底孔を前記孔形成位置に夫々形成することにより、前記翼車のバランスを調整することを特徴とする。
本発明によれば、翼車のバランスを計測するが、バランスの計測後に形成すべき有底孔は、有底孔を形成する前の翼車におけるバランスの計測結果に基づき、翼車の背面に設定された複数の有底孔の孔形成位置に、有底孔の孔内空間の容積が異なる少なくとも2個の有底孔を含む。
バランスの計測結果に基づき孔内空間が設定された複数の有底孔を孔形成位置に夫々形成すると、翼車の軽量化が図られるともに、翼車の径方向における重心を翼車軸心に近づけるように翼車のバランスが調整される。
従って、翼車の背面における孔形成位置に有底孔を夫々形成することにより翼車の軽量化及びバランス調整を同時に実現することができる。
なお、翼車のバランスとは、径方向の重量バランスや回転時における抵抗のバランス等、翼車の円滑な回転に必要なバランス要素の一部又は全てをいう。
また、本発明では、上記の翼車の加工方法において、複数の前記有底孔は、前記翼車の軸心を中心とする同一円周上に配列され、前記翼車の軸心方向と平行に穿孔されてもよい。
この場合、複数の有底孔は翼車の軸心を中心とする同一円周上に配列され、翼車の軸心方向と平行に穿孔される。
従って、複数の有底孔を形成する際、翼車の軸心を中心として翼車を一方向へ回転させることにより、両有底孔の孔明け位置を設定し易くすることができる。
また、翼車の軸心方向と平行に穿孔することも複数の有底孔を形成する上で都合がよい。
さらに、本発明では、上記の翼車の加工方法において、前記有底孔は、前記ブレード支持体に接続されるブレードのブレード基部と軸心方向において非重畳の位置に形成されてもよい。
この場合、複数の有底孔がブレード支持体に接続されるブレードのブレード基部と軸心方向において非重畳の位置に形成されるから、ブレードの強度を低下させることがない。
また、本発明では、上記の翼車の加工方法において、前記有底孔の個数と前記ブレードの個数は互いに一致してもよい。
この場合、有底孔の個数とブレードの個数が一致させることにより、軸心方向において複数の有底孔とブレード基部を確実に非重畳の位置に形成することができる。
本発明によれば、翼車の背面に複数の有底孔を形成することにより翼車の軽量化及び翼車におけるバランス調整を同時に実現することができる翼車の加工方法及び翼車を提供することができる。
〔第1の実施形態〕
以下、第1の実施形態に係る翼車と、この翼車の加工方法を図面に基づき説明する。
この実施形態の翼車は過給機のタービン翼車であり、過給機は自動車用ディーゼルエンジンに適用されるターボ過給機である。
図1は、第1の実施形態に係るタービン翼車を破断して示す側面図であり、図2は第1の実施形態に係るタービン翼車の背面図であり、図3はタービン翼車の加工の手順を示す説明図であり、図4はタービン翼車における径方向の重心の移動を示す背面図である。
図1に示す翼車としてのタービン翼車10は、多数のブレード11が備えられた略円錐台形状のブレード支持体13を有する。
ブレード支持体13は正面側(図1において右側)から背面側(図1において左側)へ向けて拡径する側面14を有し、各ブレード11はブレード支持体13の側面14に設けられている。
ブレード11とブレード支持体13は金属材料の鋳造により一体的に形成されている。
ブレード11はタービン翼車10の半径方向からの流体を軸線P方向へ変更可能な形状を有する公知のブレードである。
ブレード11のブレード基部12は、ブレード支持体13と接続される部位であるが、図2に示すように、タービン翼車10の軸心P側から外周側へ向かう配置となっている。
この実施形態のタービン翼車10では9枚のブレード11が備えられ、これらのブレード基部12はブレード支持体13において互いに等しい角度を保つ放射状の配置となっている。
ブレード支持体13の正面15及び背面16は、図1に示すように、タービン翼車10の軸心P方向と直角な面に形成されている。
ブレード支持体13の背面中央には軸体17が接続されており、軸体17の軸心とブレード支持体13の軸心は一致する。
軸体17は図示しない軸受を介して回転自在に過給機本体(図示せず)に支持される部材である。
ブレード支持体13の背面16において、軸心Pを中心とする同一円周上には複数の有底孔18が配設されている(図2において同一円を仮想線Qにて図示)。
各有底孔18が形成される位置は、孔形成位置として有底孔18が形成される前のタービン翼車10の背面において予め設定されている。
この実施形態における有底孔18は、図2に示すように、軸心Pの伸びる方向においてブレード基部12と非重畳の位置に形成されている。
有底孔18が軸心Pの伸びる方向においてブレード基部12と重畳する位置に存在すると、ブレード11の強度低下を招くおそれがあり、この強度低下を回避するために、軸心Pの伸びる方向におけるブレード基部12と有底孔18が部分的にも重畳しないように、有底孔18とブレード基部12の配置が考慮されている。
また、この実施形態では、有底孔18の両側のブレード基部12からの距離が等しくなっているほか、隣り合う有底孔18は互いに等距離を保っている。
有底孔18の数はブレード11の数に応じたものとなっており、この実施形態では、ブレード11が9枚であることから、ブレード11間に位置する有底孔18は全部で9個である。
ところで、この実施形態の有底孔18は、第1有底孔18Aと第2有底孔18Bに区分される。
第1有底孔18A及び第2有底孔18Bは、主にタービン翼車10の軽量化のために形成される有底孔である。
第1有底孔18A及び第2有底孔18Bの孔内空間の容積は、タービン翼車10の軽量化に応じて設定されており、孔内空間は第1有底孔18A及び第2有底孔18Bの深さと横断面積により決定される。
この実施形態の第2有底孔18Bは、第1有底孔18Aより孔内空間が大きく設定される有底孔であり、この実施形態の第2有底孔18Bの横断面積は、第1有底孔18Aと同じ横断面積を有するが、深さは、図1に示すように、第1有底孔18Aよりも大きい。
つまり、両有底孔18A、18Bの孔内空間の容積差は、各有底孔18A、18Bの深さにより規定される。
第1有底孔18A及び第2有底孔18Bの孔内空間は、両有底孔18A、18Bを形成する前のタービン翼車10におけるバランスの計測結果に基づいて設定される。
タービン翼車10のバランスとは、例えば、径方向の重量バランスや回転時における抵抗のバランス等、タービン翼車10の円滑な回転に必要なバランス要素の一部又は全てをいう。
なお、第2有底孔18Bとは、第1有底孔18Aより深くなっている部分だけ指しているのではなく、有底孔全体を指している。
第2有底孔18Bと第1有底孔18Aの深さの差は、タービン翼車10のバランスにより異なる。
複数の第2有底孔18Bが生じる場合、同じ第2有底孔18Bとの間でも深さが異なってもよい。
この実施形態では、図4(b)に示すように、3個の第2有底孔18B(説明の便宜上、第2有底孔18B1〜18B3と表記する。)が形成されているが、第2有底孔18B1、18B3よりも第2有底孔18B2の方が深くなっている。
第2有底孔18Bは、タービン翼車10におけるバランスの計測結果に基づいて設定される有底孔であるから、タービン翼車10の軽量化に寄与する。
図4(b)に示す第2有底孔18Bの「塗りつぶし」は、孔の深さを示したものであり、「塗りつぶし」が濃いほど孔が深いことを表している。
次に、この実施形態のタービン翼車10の加工方法について説明する。
鋳造により形成されたタービン翼車10には軸体17が連結された状態にある。
まず、タービン翼車10の背面に複数の有底孔18の孔形成位置Sを夫々設定する。
この実施形態では、9個の有底孔18を形成することから、図4(a)に示すように、9個の孔形成位置S1〜S9が設定される。
次に、タービン翼車10のバランスを計測して重心Gの位置を把握する。
具体的には、図3(a)に示すように、タービン翼車10を回転させて、バランスを計測して重心Gの位置を把握する。
重心Gの位置が軸心Pと一致するとき、タービン翼車10におけるバランスについて偏りがないことになる。
逆に、重心Gの位置が軸心Pと一致しないとき、バランスの偏りが存在することになる。
タービン翼車10のバランスを計測した後、タービン翼車10においてバランスの偏りが存在するとき、図3(b)に示すように、孔内空間の容積が互いに異なる第1有底孔18Aと第2有底孔18Bを含むように、複数の第1有底孔18A及び第2有底孔18Bの孔内空間が設定される。
タービン翼車10においてバランスの偏りが存在する場合、軸心Pと一致しない重心Gに近い位置に存在する少なくとも一つの孔形成位置S(図4(a)においてS4〜S6)を選択し、この孔形成位置S(S4〜S6)には第1有底孔18Aよりも深さを深くする第2有底孔18Bを設ける設定を行う。
図4(a)に示すタービン翼車10では、偏った重心Gに比較的近い3個の孔形成位置S4〜S6に第2有底孔18Bを形成する設定とする。
重心Gに一番近い孔形成位置S5については、最も深い孔内空間を有する第2有底孔18B(説明の便宜上、第2有底孔18B2と表記する。)が形成されるように設定する。
このこの重心Gに一番近い孔形成位置S5の両側に存在する別の孔形成位置S4、S6については、最も深い孔内空間を有する第2有底孔18B2の深さよりも浅く、かつ、第1有底孔18Aよりも深い孔内空間を有する第2有底孔18B(説明の便宜上、第2有底孔18B1、18B3と表記する。)が形成されるように設定する。
次に、タービン翼車10の背面における孔形成位置S1〜S9に、孔内空間が設定された有底孔18を形成する。
この実施形態では、図3(c)に示すように、ドリル工具Tを用いて第1有底孔18A及び第2有底孔18Bを順次穿孔する。
第1有底孔18A及び第2有底孔18Bの深さは、バランスの計測結果に基づき、意図するタービン翼車10の軽量化と強度維持を考慮して予め設定されており、ドリル工具Tの進退量により規定される。
なお、第1有底孔18A及び第2有底孔18Bを順次穿孔する際、ドリル工具Tの回転軸心を固定させておき、タービン翼車10を軸心P周りに所定角度分だけ回転させると、ドリル工具Tに次の穿孔位置を臨ませることができる。
必要とする第1有底孔18A及び第2有底孔18Bが全て穿孔された時点で、意図するタービン翼車10の軽量化はほぼ実現されている。
図4(b)は、第1有底孔18A及び第2有底孔18B(18B1〜18B3)が形成されたタービン翼車10を示しており、タービン翼車10の軸心Pと径方向の重心Gが一致した状態にある。
つまり、図4(b)に示すタービン翼車10では、第1有底孔18A及び第2有底孔18Bの形成により、第1有底孔18Aと第2有底孔18Bの孔内空間の容積差がバランスを調整し、タービン翼車10の軸心Pと径方向の重心Gが一致する状態にある。
孔内空間が設定された有底孔18A、18Bを孔形成位置Sに夫々形成したことにより、タービン翼車10の軽量化とともにバランスが調整されている。
図4(a)及び図4(b)に示したタービン翼車10は、バランスの具体的な調整を示す例であり、タービン翼車10におけるバランスの偏りに応じて、第1有底孔18A及び第2有底孔18Bの設定は製作されるタービン翼車10毎に異なる。
この実施形態では、以下の作用効果を奏する。
(1)第1有底孔18A及び第2有底孔18Bをタービン翼車10の背面16に形成することによりタービン翼車10の軽量化が図られる。第2有底孔18Bは第1有底孔18Aの孔内空間よりも拡大された孔内空間を有するから、両有底孔18A、18Bの孔内空間の容積差が存在する。タービン翼車10のバランスに応じて第1有底孔18Aと第2有底孔18Bを配置することにより、タービン翼車10の径方向における重心Gを軸心Pに近づけるようにタービン翼車10のバランスが調整される。従って、タービン翼車10の背面16における有底孔の形成によりタービン翼車10の軽量化及びバランス調整を同時に実現することができる。
(2)タービン翼車10の軽量化が図られる前に、タービン翼車10のバランスの計測結果に基づいて有底孔18が設定されるから、軽量化とバランス調整を一つの孔形成工程にまとめることができ、例えば、単一の孔形成装置を用いるだけで済むなど、翼車製造の時間短縮化に寄与する。
(3)第1有底孔18A及び第2有底孔18Bは、タービン翼車10の軸心Pを中心とする同一円周上に配列され、タービン翼車10の軸心P方向と平行に穿孔される。従って、第1有底孔18A及び第2有底孔18Bを加工する際、タービン翼車10の軸心Pを中心としてタービン翼車10を一方向へ回転させることにより、孔明け位置を設定し易くすることができる。また、タービン翼車10の軸心P方向と平行に穿孔することも第1有底孔18A及び第2有底孔18Bを形成する上で都合がよい。
(4)タービン翼車10のバランスを計測し、タービン翼車10の背面側に有底孔18を形成するだけでタービン翼車10の軽量化及びバランス調整が図られているので製作が容易で安価なタービン翼車10を得ることができる。
(5)第1有底孔18A及び第2有底孔18Bが、ブレード支持体13に接続されるブレード11のブレード基部12と軸心P方向において非重畳の位置である孔形成位置に形成されるから、ブレード11の強度を低下させることがない。第1有底孔18Aと第2有底孔18Bが形成されてもブレード11の強度を維持することができる。
(6)有底孔18の個数とブレード11の個数が一致するから、軸心P方向において複数の有底孔18とブレード基部12を確実に非重畳の位置に形成することができる。
(7)通常通底孔18A及び第2有底孔18Bの孔内空間の容積差は、孔内空間の深さの差に基づくが、両有底孔18A、18Bの深さの差をつけるための加工はドリル加工等により比較的容易である。
(8)第1有底孔18Aと第2有底孔18Bは、両有底孔18A、18Bの径が一致していることから互いに等しい横断面積を有する。このため、第2有底孔18Bと第1有底孔18Aの形成では共通のドリル工具Tを使用することができ、両有底孔18A、18Bの形成においてドリル工具Tの交換が不要であり、タービン翼車10に対する加工効率を向上させることができる。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態について説明する。
図5(a)は第1有底孔を示す拡大背面図であり、図5(b)は第2の実施形態に係る第2有底孔を示す拡大背面図である。
この実施形態に係るタービン翼車の基本形態は、第1の実施形態とほぼ同一であるから、共通点は第1の実施形態の説明を援用し、相違する点についてのみ説明する。
また、説明の便宜上、相違する点を除き第1の実施形態で使用した符号を共通して用いる。
タービン翼車40の背面には有底孔41の孔形成位置Sが設定されている(図5(a)において孔形成位置Sは2箇所のみ示している)。
タービン翼車40のバランスが計測された後、このバランスの計測結果に基づき、有底孔41の孔内空間の容積が異なる少なくとも2個の有底孔41A、41Bを含むように、複数の有底孔41A、41Bの孔内空間が設定される。
そして、図5(b)に示すように、孔内空間が設定された有底孔41A、41Bを孔形成位置Sに夫々形成する。
図5(b)に示すタービン翼車40における第2有底孔41Bは、第1有底孔41Aの横断面積より大きな横断面積を有する。
第1有底孔41Aは第1の実施形態の第1有底孔18Aと同一であり、その横断面は円形である。
一方、第2有底孔41Bの横断面は長円形となっている。
この実施形態のタービン翼車40では、周方向に長円の短径d1が、半径方向に長径d2が位置する長円形の第2有底孔41Bが形成される。
第2有底孔41Bは、第1有底孔41Aを穿孔する際に用いたエンドミル工具を用いて形成する。
この実施形態に係る長円形の第2有底孔41Bは、エンドミル工具を第1有底孔41Aに挿入してエンドミル工具の軸線を変位することにより形成される。
エンドミル工具の軸線の変位により第1有底孔41Aの壁面が切削され、孔の横断面積が拡張される。
横断面積の拡張に伴う加工によって第1有底孔41Aの孔内空間が拡大され、第2有底孔41Bが形成される。
つまり、両有底孔41A、41Bの孔内空間の容積差は、両有底孔41A、41Bの横断面積の差に基づいて設定されていると言える。
なお、図5(b)では第1有底孔41Aおよび第2有底孔41Bのみについて説明したが、タービン翼車40におけるバランスの調整内容に応じて、孔内空間の容積が異なる複数の第2有底孔41Bを設けてもよいことは言うまでもない。
この実施形態では、第1の実施形態の作用効果(1)〜(6)と同等の作用効果を奏する。
さらに言うと、加工するための工具を変更することなく第1有底孔の横断面積を拡大し、第1有底孔41Aと第2有底孔41Bの孔内空間の容積差を設けることができる。
なお、上記の第1、第2の実施形態は、本発明の一実施形態を夫々示すものであり、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、下記のように発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能である。
○ 第1、第2の実施形態では、複数の有底孔を形成してタービン翼車におけるバランスを調整するようにしたが、有底孔はバランスを考慮すると少なくとも2個以上形成する必要があり、また3個以上形成することが好ましい。また、複数の有底孔のうちバランスの調整に必要な第2有底孔は少なくとも1以上存在すればよい。
○ 第1、第2の実施形態では、第1有底孔を円形とし、第2有底孔は円形又は長円形としたが、通常有形孔及び第2有底孔の横断形状は特に限定されず、方形状や楕円形など加工可能な形状であればとくに限定されない。
○ 第1〜第4の実施形態では、いずれもタービン翼車及びタービン翼車の加工方法について説明したが、過給機や遠心圧縮機におけるインペラ、外燃機関のタービンに本発明を適用することもできる。
○ 本発明はディーゼルエンジンに適用されるターボ過給機のタービン翼車に限定されず、例えば、ガソリンエンジンに適用されるターボ過給機のタービン翼車に適用してもよい。
○ 第1の実施形態では、重心が偏っている位置に近い有底孔の深さを深くすることでバランス調製を行っていたが、それとは逆に、重心が偏っている位置よりも遠い位置にある有底孔の深さを浅くすることによりバランス調製を行ってもよい。
第1の実施形態に係るタービン翼車を破断して示す側面図である。 第1の実施形態に係るタービン翼車の背面図である。 第1の実施形態に係るタービン翼車の加工方法を説明する説明図である。 第1の実施形態に係るタービン翼車における径方向の重心を示す背面図であり、(a)はバランス調整前のタービン翼車の背面図であり、(b)はバランス調整後のタービン翼車の背面図である。 第2の実施形態に係るタービン翼車を示し、(a)は第1有底孔を示す拡大背面図であり、(b)は第2有底孔を示す拡大背面図である。
符号の説明
10、20、30、40 タービン翼車
11 ブレード
12 ブレード基部
13 ブレード支持体
14 側面
15 背面
18A、41A 第1有底孔
18B、41B 第2有底孔
P 軸心
T ドリル工具
G、g 重心

Claims (4)

  1. ブレード支持体に複数のブレードが備えられる翼車の加工方法であって、
    前記翼車のバランスを計測し、
    前記バランスの計測結果に基づき、前記翼車の背面に設定された複数の有底孔の形成位置に、前記有底孔の孔内空間の容積が異なる少なくとも2個の有底孔を含むように、前記複数の有底孔の孔内空間を設定し、
    前記孔内空間が設定された前記有底孔を前記孔形成位置に夫々形成することにより、前記翼車のバランスを調整することを特徴とする翼車の加工方法。
  2. 複数の前記有底孔は、前記翼車の軸心を中心とする同一円周上に配列され、前記翼車の軸心方向と平行に穿孔されることを特徴とする請求項1記載の翼車の加工方法。
  3. 前記有底孔は、前記ブレード支持体に接続されるブレードのブレード基部と軸心方向において非重畳の位置に形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の翼車の加工方法。
  4. 前記有底孔の個数と前記ブレードの個数は互いに一致することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の翼車の加工方法。
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