JP2008291399A - 耐久性にすぐれたポリベンザゾール繊維 - Google Patents

耐久性にすぐれたポリベンザゾール繊維 Download PDF

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Abstract

【課題】屈曲性が高く、高温かつ高湿度下および光照射下に長時間暴露されても強度低下の小さいポリベンザゾール繊維を提供することを目的とする。
【解決手段】繊維中に鉱酸に溶解し、熱分解温度が200℃以上の高耐熱性の有機顔料で、好ましくはその分子構造中にーN=及び/又は−NH−基を有するもの、なかでもペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、またはジオキサジン類を含んでいることを特徴とする2重円筒構造を呈するポリベンザゾール繊維である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温かつ高湿度下に暴露されたときに優れた耐久性を有するポリベンザゾール繊維に関するものである。
高強度、高耐熱性を有する繊維として、ポリベンゾオキサゾールもしくはポリベンゾチアゾールまたはこれらのコポリマーから構成されるポリベンザゾール繊維が知られている。
通常、ポリベンザゾール繊維は、上記ポリマーやコポリマーと酸溶媒を含むドープを紡糸口金より押し出した後、凝固性流体(水、または水と無機酸の混合液)中に浸漬して凝固させ、さらに水洗浴中で徹底的に洗浄し大部分の溶媒を除去した後、水酸化ナトリウム等の無機塩基の水溶液槽を通り、糸中に抽出されずに残っている酸を中和した後、乾燥することによって得られる。
この様にして製造されるポリベンザゾール繊維は上述の通り、強度などの力学特性に優れ、かつ耐熱性も高いため、種々の用途に使用されているが、近年、さらに性能の向上が望まれており、特に、高温かつ高湿度下に長時間暴露された場合であっても強度を充分に維持することができるポリベンザゾール繊維が強く望まれている(例えば特許文献1参照)。
特開2005−120539号公報
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その課題は、高温かつ高湿度下に長時間暴露されても強度低下の小さいポリベンザゾール繊維を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本願発明を完成するに至った。すなわち本発明は、
1.熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料を繊維中に含んでいることを特徴とするシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
2.繊維中に含有される有機顔料がその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有することを特徴とする第1に記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
3.繊維中に含有される有機顔料がペリノン及び/又はペリレン類であることを特徴とする第1に記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
4.繊維中に含有される有機顔料がフタロシアニン類であることを特徴とする第1に記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
5.繊維中に含有される有機顔料がキナクリドン類であることを特徴とする第1に記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
6.繊維中に含有される有機顔料がジオキサジン類であることを特徴とする第1に記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維、
である。
本発明のポリベンザゾール繊維は、高温高湿度条件および光照射下において高い屈曲性と耐久性を有するという利点がある。
以下、本発明を詳述する。
本発明における熱分解温度が200℃以上の高耐熱性を有し鉱酸に溶解する有機顔料として不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、染色レーキ、イソインドリノン類、イソインドリン類、ジオキサジン類、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類等が挙げられる。その中でも分子内に−N=及び/又はNH−基を有するものが好ましく、より好ましくはジオキサジン類、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類である。
ペリノン及び/又はペリレン類としては、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:2’、1’−i]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリンー8,17−ジオン、ビスベンズイミダゾ[2,1−b:1’、2’−j]ベンゾ[lmn][3,8]フェナントロリンー6,9−ジオン、2,9−ビス(p−メトキシベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−エトキシベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(3,5−ジメチルベンジル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−メトキシフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(p−エトキシフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(3,5−ジメチルフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ジメチルアントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、2,9−ビス(4−フェニルアゾフェニル)アントラ[2,1,9−def:6,5,10−d’e’f’]ジイソキノリンー1,3,8,10(2H,9H)−テトロン、8,16−ピランスレンジオン等があげられる。
これらのペリノン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜10%である。
フタロシアニン類としては、フタロシアニン骨格を有していればその中心に配位する金属の有無および原子種は問わない。これらの化合物の具体例としては、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32鉄、29H,31H−フタロシアニネート−N29,N30,N31,N32コバルト、29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅、オキソ(29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32),(SP−5−12)チタニウム等があげられる。また、これらのフタロシアニン骨格が1個以上のハロゲン原子、メチル基、メトキシ基等の置換基を有していてもよい。
これらのフタロシアニン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜10%である。
キナクリドン類としては、5,12−ジヒドロー2,9−ジメチルキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロー2,9−ジクロロキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン、5,12−ジヒドロー2,9−ジブロモキノ[2,3−b]アクリジンー7,14−ジオン等があげられる。
これらのキナクリドン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%〜20%、好ましくは0.1%〜10%である。
ジオキサジン類としては9,19−ジクロロ−5,15−ジエチル−5,15−ジヒドロジインドロ[2,3−c:2’,3’−n]トリフェノジオキサジン、8,18−ジクロロ−5,15−ジエチル−5,15−ジヒドロジインドロ[3,2−b:3’,2’−m]トリフェノジオキサジン等が挙げられる。これらのジオキサジン類の1つまたは2つ以上の化合物の併用もあり得る。添加量はポリベンザゾールに対して0.01%―20%、好ましくは0.1%―10%である。
また、ペリレン類、ペリノン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、およびジオキサジン類の2つまたは3つ以上の化合物の併用も可能である。
勿論本発明技術内容はこれらに限定されるものではない。
本発明におけるポリベンザゾール繊維とは、ポリベンザゾールポリマーよりなる繊維をいい、ポリベンザゾール(PBZ)とは、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、またはポリベンズイミダゾール(PBI)から選ばれる1種以上のポリマーをいう。本発明においてPBOは芳香族基に結合されたオキサゾール環を含むポリマーをいい、その芳香族基は必ずしもベンゼン環である必要は無い。さらにPBOは、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)や芳香族基に結合された複数のオキサゾール環の単位からなるポリマーが広く含まれる。同様の考え方は、PBTやPBIにも適用される。また、PBO、PBT及び、またはPBIの混合物、PBO、PBT及びPBIのブロックもしくはランダムコポリマー等のような二つまたはそれ以上のポリベンザゾールポリマーの混合物、コポリマー、ブロックポリマーも含まれる。好ましくは、ポリベンザゾールは、鉱酸中、特定濃度で液晶を形成するライオトロピック液晶ポリマーである。
PBZポリマーに含まれる構造単位としては、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択される。当該ポリマーは構造式 (a)〜(i)に記載されているモノマー単位から成る。
Figure 2008291399
ポリベンザゾール繊維は、ポリベンザゾールポリマーの溶液(PBZポリマードープ)より製造されるが、当該ドープを調製するための好適な溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解しうる非酸化性の鉱酸が挙げられる。好適な非酸化性鉱酸の例としては、ポリリン酸、メタンスルホン酸および高濃度の硫酸あるいはそれらの混合物が挙げられる。その中でもポリリン酸及びメタンスルホン酸が、最も好ましくはポリリン酸である。
ドープ中のポリマー濃度は、1〜30%、好ましくは1〜20%である。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取り扱い性により限定される。それらの限界要因のために、ポリマー濃度は通常では20重量%を越えることはない。
本発明において、好適なポリマーまたはコポリマーとドープは公知の方法で合成される。例えばWolfeらの米国特許第4,533,693号明細書(1985.8.6)、Sybertらの米国特許第4,772,678号明細書(1988.9.22)、Harrisの米国特許第4,847,350号明細書(1989.7.11)またはGregoryらの米国特許第5,089,591号明細書(1992.2.18)に記載されている。要約すると、好適なモノマーは非酸化性で脱水性の酸溶液中、非酸化性雰囲気で高速撹拌及び高剪断条件のもと約60℃から230℃までの間で段階的または一定昇温速度で温度を上げることで反応させられる。
この様にして重合されるドープは紡糸部に供給され、紡糸口金から通常100℃以上の温度で吐出される。口金細孔の配列は通常円周状、格子状に複数個配列されるが、その他の配列であっても良い。口金細孔数は特に限定されないが、紡糸口金面における紡糸細孔の配列は、紡出糸条(ドープフィラメント)間の融着などが発生しないような孔密度を保つことが肝要である。
紡出糸条は十分な延伸比(SDR)を得るため、米国特許第5296185号に記載されたように十分な長さのドローゾーン長が必要で、かつ比較的高温度(ドープの固化温度以上で紡糸温度以下)の整流された冷却風で均一に冷却されることが望ましい。ドローゾーンの長さ(L)は非凝固性の気体中で固化が完了する長さが要求され、大雑把には単孔吐出量(Q)によって決定される。良好な繊維物性を得るにはドローゾーンの取り出し応力がポリマー換算で(ポリマーのみに応力がかかるとして)2.2g/dtex以上が望ましい。
本発明においては、上記で得られたポリベンザゾールのドープフィラメント(延伸又は未延伸)は、ポリベンザゾールに非相溶の液体によって蒸気処理することが好ましい。
ポリベンザゾールに非相溶の液体とは、水、メタノール、エタノール、アセトン、エチレングリコールの少なくとも1種である。簡便性の点で、水が好ましい。
蒸気処理とは、これらの液体の蒸気を含む気体(空気)相にドープフィラメントを接触させるか通過させることよってドープフィラメントの主に表層部を凝固させるのである。
蒸気相の温度は、50〜150℃、好ましくは60〜140℃、さらに好ましくは70〜130℃、もっとも好ましくは75〜135℃である。蒸気相中の全気体成分に対して蒸気成分の含有率は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。蒸気相温度が低すぎると、シース層の厚みが発達せず目的のシース・コア構造が発現せず、所期の目的を達することができない。逆に温度が高すぎるとシース・コア構造は発現するが、通過中のフィラメントの温度も上昇するため、糸切れが多発する傾向がある。蒸気の含有率についても、低すぎるとシース・コア構造を発現せず好ましくない。蒸気処理する装置は、ドープフィラメントが蒸気に接触し、表層部の凝固を進行させることができるものであればよく、連続式、非連続式、密閉形、非密閉形など特に限定されない。
い。
蒸気相を通過したフィラメントは、次に抽出(凝固)浴に導かれて、ポリベンザゾールの溶剤の抽出とフィラメントの完全な凝固がなされる。抽出浴は、特に限定されず、如何なる形式の抽出浴でも良い。例えばファンネル型、水槽型、アスピレータ型あるいは滝型などが使用出来る。最終的に抽出浴においてフィラメント中に残存する溶剤が1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下になるように抽出する。本発明における抽出媒体として用いられる液体に特に限定はないが、好ましくはポリベンザゾールに対して実質的に相溶性を有しない水、メタノール、エタノール、アセトン、エチレングリコール等である。抽出液は燐酸水溶液や水が簡便で望ましい。また抽出(凝固)浴を多段に分離し燐酸水溶液の濃度を順次薄くし最終的に水で水洗する方法も採用できる。また、抽出(凝固)工程において、フィラメント束を水酸化ナトリウム水溶液などで中和処理して後、水洗することは好ましい方法である。この後乾燥、熱処理を施して目的のシース・コア構造を持つ繊維とすることができる。
本発明に係るポリベンザゾール繊維の第一の特徴は、有機顔料を含んでいることであり、これにより、温度80℃相対湿度80%雰囲気下で700時間暴露した後の引張強度保持率が85%以上を達成できる。ここでいう有機顔料は前述のごとく熱分解温度が200℃以上であり、鉱酸に溶解するものであり、好ましくはその分子構造中に−N=及び/又はNH−を有する顔料である。より好ましくは、ペリノン及び/又はペリレン類、フタロシアニン類、キナクリドン類、またはジオキサジン類である。また、鉱酸とは、メタンスルフォン酸またはポリリン酸である。
これらの有機顔料を糸中に含有させる方法としては、特に限定されず、ポリベンザゾールの重合のいずれの段階または重合終了時のポリマードープの段階で含有させることができる。例えば、有機顔料をポリベンザゾールの原料を仕込む際に同時に仕込む方法、段階的または一定昇温速度で温度を上げて反応させている任意の時点で添加する方法、また、重合反応終了時に反応系中に添加し、撹拌混合する方法が好ましい。
本発明の第二のポイントは、延伸されたドープフィラメントをまず蒸気で凝固した後、フィラメント中に残った燐酸などの溶剤を抽出することにある。このような、蒸気で凝固した後に液体で溶剤を抽出することで、シース層の厚みが従来になく厚い特殊なシース・コア型構造を呈するようになり、屈曲に対する耐久性が向上する。
この屈曲に対する耐久性が向上する理由は明確ではないが、蒸気の作用でシース層の結晶の配向が適度に乱れて繊維表層の方向性や特定方向への応力集中が緩和され、フィブリル化が抑制されるためと推察できる。
本発明のポリベンザゾール繊維におけるシース層とコア層との簡便な判別は、繊維断面を光学顕微鏡で観察することによって可能である。すなわち、繊維断面を光学顕微鏡で観察できる厚さに切断し、光学顕微鏡で40倍程度に拡大して観察すると、シース層とコア層の境界が円形の線として認められる。この円形の線の外側がシース層で、内側がコア層である。
本発明のポリベンザゾール繊維におけるシース層とコア層との比率、すなわち、繊維断面方向におけるコア層の平均径(r)の、繊維全断面径(r)に対する比率R=(r/r)×100は、10〜90%であることが必要であり、好ましくは 20〜80%である。
R(コア比率)が10%未満では、耐屈曲性能が不十分であり、逆にコア層が90%以上では、繊維強度が不十分であり好ましくない。
電子線回折から求めたS1/ S2は0.1〜0.8、好ましくは0.2〜0.7である。0.1未満では耐屈曲性能が不十分であり、逆に0.8を超えると繊維強度が不十分であり好ましくない。
こののち繊維を乾燥させ更に熱処理工程を通す。乾燥温度は繊維強度の低下をもたらさない温度とし、具体的には150℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上300℃以下、更に好ましくは220℃以上270℃以下とする。弾性率を向上させる目的で、必要に応じて張力下にて熱処理を施しても良い。熱処理温度については、400℃以上700℃以下、好ましくは500℃以上680℃以下、更に好ましくは550℃以上630℃以下とする。かける張力は0.3〜1.2g/d、好ましくは0.5〜1.1g/d、さらに好ましくは0.7〜1.0g/dである。
以下に実例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の主旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に含まれる。
評価方法は、以下の通りである。
高温かつ高湿度下における強度低下の評価は、直径10cmの紙管に繊維を巻き付けた状態で恒温恒湿器中で高温かつ高湿度保管処理した後、サンプルを取り出し、室温にて引張試験を実施、処理前の強度に対する処理後の強度保持率で評価を行った。なお、高温高湿度下での保管試験にはヤマト科学社製Humidic Chamber 1G43Mを使用し、80℃、相対湿度80%の条件下にて700時間処理を実施した。
金属濃度測定:フィラメント中の残留リン濃度は、試料をペレット状に固めて蛍光X線測定装置(フィリップスPW1404/DY685)を用いて測定し、ナトリウム濃度は中性子活性化分析法で測定した。
光暴露試験:水冷キセノンアーク式ウェザーメーター(アトラス社製、形式Ci35A)を使用し、金属フレームにフィルムを固定して装置にセットし、内側フィルターガラスに石英、外側フィルターガラスにボロシリケート、タイプSを使用し、放射照度:0.35W/m2(at 340nm)、ブラックパネル温度:60℃±3℃、試験槽内湿度:50%±5%で100時間連続照射を行った。
(極限粘度)
メタンスルホン酸を溶媒として、0.5g/lの濃度に調製したポリマー溶液の粘度をオストワルド粘度計を用いて25℃恒温槽中で測定した。
(繊維断面観察の方法)
サンプル繊維をガタン社製のG―2エポキシ樹脂に胞埋したものを、日本電子(株)製クロスセクションポリッシャーSM−09010にてアルゴンイオンエッチングして、観察用繊維断面を得た。次いで、光学顕微鏡によってコア層とシース層との境界線を観察し、コア層の平均径(r)と繊維全断面径(r)とを測定し、コア層の平均径(r)の繊維全断面径(r)に対する比率(R%)を求めた。
R(%)=(r/r)×100
(屈曲性の評価:相対結節強度比の測定)
標準状態(温度:20±2℃、相対湿度(RH)65±2%)の試験室内に24時間以上放置後、繊維の引張強度、弾性率、結節強度を、JIS L 1015に準じて引張試験機にて測定した。なお、結節強度は、試料のつかみ間隔の中央に、Z撚りの本結びを1個作った状態で、引張試験して測定した。相対結節強度比は下記の式を用いて求めた。
相対結節強度比率E(%) =(結節強度/繊維強度)×100
強度保持率は、高温高湿度保管前後の引張強度を測定し、高温高湿度保管試験後の引張強度を高温高湿度保管試験前の引張強度で除して求めた。
(電子線回折の測定)
繊維を薄く切って作った超薄切片の制限視野電子線回折像を測定することで求める。単繊維と硬化剤を混合した電子顕微鏡切片作成用エポキシ樹脂(Spurrエポキシレジン)で包埋したものを摂氏70度のオーブン中で一夜放置し固化固定する。次にこのレジンブロックをライヘルト社製のウルトラマイクロトームに取り付け、ガラスナイフを用いて包埋した繊維がブロック表面近傍に現れるまで研磨する。次にダイアトーム社製ダイアモンドナイフを用いて超薄切片を作成した後、300メッシュの銅グリッド上に回収し薄くカーボン蒸着を施す。電子顕微鏡内に超薄切片を入れ、繊維の中心と表面の両方を併せ持つ切片を探しだし、表面と中心の両方について制限視野電子線回折像を撮影する。制限視野(アパチャー)の径は1μm以下とする。電子線回折の記録はイメージングプレートシステム(JEOL PixsysTEM)を用いて記録する。得られた電子線回折図形から得た赤道方向のプロファイルを、ローレンツ関数を用いて近似して、(200)、(010)、(−210)由来の回折の積分強度(面積)を算出する。(200)の面積をS1、(010)と(−210)の面積の和をS2とする。
(実施例1)
窒素気流下、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩334.5g,テレフタル酸260.8g,122%ポリリン酸2078.2gを60℃で30分間撹拌した後、ゆっくりと昇温して135℃で20時間、150℃で5時間、170℃で20時間反応せしめた。得られた30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が30dL/gのポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)ドープ2.0kgに29H,31H−フタロシアニネート(2−)−N29,N30,N31,N32銅15.2gを添加して撹拌混合した。その後、ドープは金属網状の濾材を通過させ、次いで2軸から成る混練り装置で混練りと脱泡を行った後、昇圧させ、重合体溶液温度を170℃に保ち、孔数166を有する紡糸口金から170℃で紡出し、温度60℃の冷却風を用いて吐出糸条を冷却した後、さらに自然冷却で40℃まで吐出糸条を冷却した後、まず温度120℃、蒸気分率100%に調整した蒸気層に、引きつづき凝固浴中に導入した。凝固液及びその温度を変えて繊維を作成した。次に繊維をゴゼットロールに巻き付け一定速度を与えて第2の抽出浴中でイオン交換水で糸条を洗浄した後、0.1規定の水酸化ナトリウム溶液中に浸漬し中和処理を施した。更に水洗浴で水洗した後、巻き取り、80℃の乾燥オーブン中で乾燥し繊維中に含まれる水分率が2%以下になるまで放置した。結果を表1に示す。
(比較例1)
蒸気層を通過させないこと以外は実施例1と同じ製法により繊維を得た。結果を表1にまとめる。
Figure 2008291399
(実施例2)
実施例1で得た繊維を張力下(1.0g/d)、温度600℃に調整したオーブン中を0.3秒間通過させて熱処理糸を得た。結果を表2に示す。
Figure 2008291399
本発明によると、高温かつ高湿度下および光に長時間暴露された場合であっても強度を充分に維持することができるポリベンザゾール繊維を提供できるため、産業用資材として実用性を高め利用分野を拡大する効果が絶大である。即ち、ケーブル、電線や光ファイバー等のテンションメンバー、ロープ、等の緊張材、耐弾材等の耐衝撃用部材、手袋等の耐切創用部材、ベルト、タイヤ、靴底、ロープ、ホース、等のゴム補強材、等広範にわたる用途に使用可能である。

Claims (6)

  1. 熱分解温度が200℃以上の高耐熱性であり鉱酸に溶解する有機顔料を繊維中に含んでいることを特徴とするシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
  2. 繊維中に含有される有機顔料がその分子構造中に−N=及び/又はNH−基を有することを特徴とする請求項1記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
  3. 繊維中に含有される有機顔料がペリノン及び/又はペリレン類であることを特徴とする請求項1記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
  4. 繊維中に含有される有機顔料がフタロシアニン類であることを特徴とする請求項1記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
  5. 繊維中に含有される有機顔料がキナクリドン類であることを特徴とする請求項1記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
  6. 繊維中に含有される有機顔料がジオキサジン類であることを特徴とする請求項1記載のシース・コア型ポリベンザゾール繊維。
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