JP2008286787A - 放射線遮蔽安全ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】破損時に鋭利な破片が飛散することがなく安全で、かつ視認性に優れ、更に軽量な放射線遮蔽安全ガラスを提供する。
【解決手段】本発明の放射線遮蔽安全ガラスは、放射線遮蔽板ガラス10aの両面に、酸化物換算の質量百分率で、SiO2 50〜65%、Al23 3〜14%、MgO 0〜4%、CaO 0〜2.9%、SrO 2〜13%、BaO 2〜13%、MgO+CaO+SrO+BaO 17〜27%、Li2O 0〜1%、Na2O 2〜10%、K2O 2〜13%、Li2O+Na2O+K2O 7〜15%、ZrO2 1〜9%、TiO2 0〜5%、Sb23 0〜1%、As23 0〜1%の組成を有するカバー板ガラス10bを、樹脂層10cを介して貼着したものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療施設の放射線検査などで使用される放射線遮蔽安全ガラスに関する。
一般に、医療機関等の放射線を取り扱う施設の壁には、放射線を遮蔽するために金属鉛や鉄あるいはコンクリートが用いられているが、その場合に機器操作室や検査室等がコンクリートなどで仕切られる構造であると、室内に窓を取り付ける必要がある。また、被検体に放射線を発生する薬剤等を注射あるいは吸入して検査を行う場合には、医師または検査技師もしくは看護師等が、例えば被検体の顔色や脈拍を確認する等のように被検体をその近傍で観察するに際して、放射線を体全体に直接受けないようにするために防護衝立が必要となる。
これらの窓や防護衝立に要求される特性としては、放射線を遮蔽して人体に対する安全性を確保するために、放射線源からの放射線を遮蔽する能力、いわゆる放射線遮蔽能力が必要となる。しかも、被検体の存在を的確に視認できなければ、種々の弊害を招くことになり、特に医療分野においては、被検体の検査結果に悪影響を及ぼし得ることから、これらの窓や防護衝立には視認性が必要となる。
またPET検査を伴う診療の環境下では、検査薬を投与された被検体からガンマ線があらゆる方向に放射されることになるため、このガンマ線を医師等の検査者が体に直接受けないように遮蔽することが必須の条件となる。
例えば特許文献1には、放射線遮蔽窓及び放射線遮蔽防護衝立の代表例として、高い放射線遮蔽特性を有するPbOを含有したガラスが開示されている。また、特許文献2には、遮蔽ガラス、膨張層、フロート成形によるソーダライムガラスが積層された耐火性のX線遮蔽積層ガラスが開示されている。さらに、特許文献3には、本質的にPbを含有せず、100kVのX線に対する鉛当量が0.03mmPb/mm以上であるガラスからなる複数枚の板ガラスが樹脂フィルムによって貼り合わされてなる放射線遮蔽物品が開示されている。
特開平2−212331号公報 WO2004/087414A2号公報 特開2003−315490号公報
しかしながら、特許文献1の単板ガラスを用いた放射線遮蔽窓及び放射線遮蔽防護衝立では、ガラスの破損時に破損部分が鋭利な状態になり、また飛散することから、医療機関に用いられる材料であるにも関わらず安全性が低い。また、PbOを含有したガラスは、放射線遮蔽能力は優れているものの、透明性が不当に阻害される程度まで着色されていることから、視認性に劣るという問題を有しており、さらに化学的耐久性に乏しいため、長期間の使用によって表面やけが発生し視認性に劣る問題点も有しているなどの課題がある。また、特許文献2に記載の積層ガラスでは、放射線遮蔽能が小さいソーダライムガラスを用いているので、全体が厚くなり、重くなる傾向にある。さらに、特許文献3に記載の放射線遮蔽物品は、100kV以下の低エネルギーの放射線を防護する放射線遮蔽窓や放射線遮蔽防護衝立として好適であるが、高エネルギーの放射線を防護する用途には適さない。
本発明は、破損時に鋭利な破片が飛散することなく安全であり、かつ視認性に優れ、更に軽量で医療施設の放射線検査などの使用に好適な放射線遮蔽安全ガラスの提供を課題とする。
上記技術的課題を解決するためになされた本発明に係る放射線遮蔽安全ガラスは、放射線遮蔽板ガラスの表面に、酸化物換算の質量百分率で、SiO2 50〜65%、Al23 3〜14%、MgO 0〜4%、CaO 0〜2.9%、SrO 2〜13%、BaO 2〜13%、MgO+CaO+SrO+BaO 17〜27%、Li2O 0〜1%、Na2O 2〜10%、K2O 2〜13%、Li2O+Na2O+K2O 7〜15%、ZrO2 1〜9%、TiO2 0〜5%、Sb23 0〜1%、As23 0〜1%の組成を有するカバー板ガラスが、樹脂層を介して貼着されてなることを特徴とするものであり、衝立等に使用される場合には、放射線遮蔽板ガラスの両面に、カバー板ガラスが貼着されてなるものであることが好ましい。
本発明で使用するカバー板ガラスとしては、SiO2を50〜65質量%、Al23を3〜14質量%含有するガラスからなるため、表面をクリーニングしても透明性が低下しにくく、吸水による変形や変色を起こすことがない。また、表面硬度が高いため、キズがつきにくく、キズによる割れや透明性の低下が起こりにくい。すなわち、SiO2が50質量%より少ないと、化学的耐久性が低いため、ガラス表面をクリーニングした後に、「ヤケ」が発生して、透明性が低下しやすく、65質量%よりも多いと溶融性が悪化しやすいため好ましくない。また、Al23は、ガラスの表面硬度を向上させるとともに、ガラスの化学的耐久性を向上させる成分であり、その含有量が3質量%よりも少ないと、表面硬度が低くなってキズがつきやすく、割れが発生しやすい。また化学的耐久性が低くなるため、ガラス表面をクリーニングした後に、「ヤケ」が発生して、透明性が低下しやすい。Al23が、14質量%よりも多いと、溶融性が悪化するとともに、液相温度が高くなりやすいため好ましくない。
また、本発明でカバー板ガラスは、100kVのX線に対する鉛当量が0.03mmPb/mm以上であることが好ましい。尚、鉛当量とは、X線の減衰能力が等しい鉛板の肉厚を示し、この値が大きいほど放射線遮蔽能力が優れていることを表す。
ZrO2は、放射線遮蔽能力及びガラスの化学的耐久性を向上させる成分であり、その含有量は、1〜9%、好ましくは、1〜8%である。ZrO2が1%よりも少ないと、放射線遮蔽能力が低く、また、ガラスの化学的耐久性が低下しやすく、9%よりも多いと、ガラスの成形時に失透物が生成しやすく、成形が困難となるため好ましくない。
MgO、CaO、SrO、BaOは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、特にSrO及びBaOは、放射線遮蔽能力を高める効果に優れた成分であり、MgO、CaO、SrO、BaOの合量が17〜27%である。これらの成分の合量が17%よりも少ないと、放射線遮蔽能力が低下するとともに、溶融性が悪化しやすい。27%よりも多いと、ガラスが失透しやすくなる。
MgOの好適な含有量は0〜4%、CaOは0〜2.9%である。また、BaO及びSrOの好適な含有量は、いずれも2〜13%である。
Li2O、Na2O及びK2Oは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、これらの成分の合量が7〜15%である。これらの成分の合量が7%よりも少ないと、溶融性が困難になり、15%よりも多いと、化学的耐久性が低下する。
また、Li2O、Na2O及びK2Oの好ましい含有量は、それぞれ0〜1%、2〜10%、2〜13%である。
上記した成分の他にも、TiO2を5%まで、P25を3%まで、Sb23及びAs23を1%まで添加しても構わない。
また、本発明のカバー板ガラスは、既存の成形法によって製板することが可能であるが、特にフロート法によって製板すると、平滑性に優れるため、研磨する必要がなく、研磨によるキズが入ることがない。
このような構成によれば、優れた放射性遮蔽能力を持つ合せガラスを構成することが可能となり、万一、衝撃力によりガラスが破損した場合でも破損部分が鋭利な状態とならず、かつガラスの飛散は発生しない。
また、本発明の放射線遮蔽安全ガラスに使用する樹脂層としては、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、フッ素樹脂(THV)等が使用可能であり、液状の接着剤としてカバー板ガラスの接着に使用してもよいが、取り扱いが容易な点で樹脂フィルムの形態が好ましい。なお、樹脂層の厚さは50〜2000μmであることが好適である。
更に、本発明では放射線遮蔽板ガラスが、酸化物換算の質量百分率で、SiO2 10〜35%、PbO 55〜80%、B23 0〜10%、Al23 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、Na2O 0〜10%、K2O 0〜10%の組成を有することを特徴とする放射線遮蔽安全ガラスとすれば、PbOが55%以上あることから放射線遮蔽能力を確保することが可能となる。
このようにガラス組成を規制することにより、ガラス特性として十分なガンマ線遮蔽能力を得ることができるとともに、ガラス組成にPbOを多量に含有させても失透することがない。また、上記の組成範囲は非常に失透しにくい組成範囲であるため、失透することなしにガラスの板厚を容易に厚くすることが可能である。従って、ガラスのガンマ線遮蔽能力を極めて高めることができ、ポジトロン核種から発生するガンマ線を的確に遮蔽することが可能となり、PET検査を行う医師および検査技師、看護師等がガンマ線を累積的に浴び、被爆するといった事態を有効に回避することが可能となる。
放射線遮蔽板ガラスのガラスの各成分の割合を上記のように限定した理由を以下に述べる。
SiO2は、ガラスのネットワークを形成する成分である。その含有量は10〜35%、好ましくは15〜30%、より好ましくは20〜30%である。SiO2の含有量が35%よりも多くなると、ガラスの高温粘度が高くなり、溶融、成形が難しくなったり、ガンマ線遮蔽能力が低下する。一方、SiO2の含有量が10%より少なくなると、ガラスの骨格を形成する成分が少なくなりすぎ、ガラスが構造的に不安定になるとともに、ガラスの耐水性が低下する。
PbOは、ガンマ線を遮蔽させるための成分である。その含有量は55〜80%、好ましくは62〜80%、さらに好ましくは67〜80%、最も好ましくは70〜80%である。PbOの含有量が80%より多くなると、PbO以外の成分が相対的に少なくなり、ガラスが熱的に不安定になる。一方、PbOの含有量が50%未満であるとガンマ線遮蔽能力が低下してしまう。
23は、ガラスの高温粘度を低下させて溶融性や成形性を高めたり、熱的安定性を高める成分である。その含有量は0〜10%、好ましくは0.1〜8%、より好ましくは0.1〜5%である。B23の含有量が10%より多くなると、ガラスの耐水性が低下する。
Al23は、ガラスの熱的安定性を高くする成分である。その含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%である。Al23の含有量が10%より多くなると、ガラスの高温粘度が高くなり、溶融、成形が難しくなったり、ガンマ線遮蔽能力が落ちる。
SrOやBaOは、ガラスの粘度や失透性を調整する成分であり、ガンマ線遮蔽能力を高める成分である。その含有量はそれぞれ0〜10%、好ましくは0〜8%、より好ましくは0〜5%である。SrOやBaOの含有量が10%より多くなると、ガラスが熱的に不安定になる。
Na2OやK2Oはガラスの高温粘度を低下させて溶融性や成形性を高める成分である。その含有量はそれぞれ0〜10%、好ましくは0〜8%、より好ましくは1〜5%である。これらの含有量が10%より多くなると、ガンマ線遮蔽能力が低下する。
Sb23は、清澄剤として作用する成分である。その含有量は、100ppm〜2%(好ましくは、200ppm〜2%、500ppm〜2%、1000ppm〜2%、5000超ppm〜2%、5500ppm〜2%、6000ppm〜2%)である。Sb23の含有量が100ppmよりも少なくなると、清澄力が得られ難くなり、ガラス内の泡を低減し難くなる。また、Sb23の含有量が2%より多くなると、Sb23が高価であるため、原料コストが上昇することになる。
Cl2は、清澄剤として作用する成分である。その含有量は、0ppm〜2%、好ましくは200ppm〜2%、より好ましくは500ppm〜2%、さらに好ましくは1000ppm〜1%である。Cl2の含有量が2%より多くなると、Cl2の蒸発量が多くなり過ぎてガラスが変質し易くなる。尚、Cl2の含有量は、ガラス中の残存量を指している。
本実施形態において清澄剤として使用するSb23は、900℃以上の温度域でSbイオンの価数変化による化学反応により多量の清澄ガス(酸素ガス)を発生する。特に1000〜1200℃の低温で清澄ガスを多量に発生する。また、Cl2は900℃以上の温度域で分解、蒸発して清澄ガス(塩素ガス等)を発生する。したがって、清澄剤としてSb23やCl2を使用することにより、ガラス化反応時から均質化溶融時にかけての温度域が低温であっても、高い清澄効果が得られるため、着色や泡が存在しない放射線遮蔽板ガラスを効率よく得ることができる。
なお、ガラスの特性を損なわない範囲で他の成分を10%まで添加できる。
本実施形態の放射線遮蔽板ガラスを製造するに際しては、溶融炉でガラス原料を溶融して溶融ガラスとした後に、その溶融ガラスをロールアウト法により成形して板ガラスとする。
また、本発明で放射線遮蔽板ガラスが、厚さ10mmについて、全光線透過率が50%以上である放射線遮蔽安全ガラスとすれば、視認性を充分確保することが可能なものとなる。ここで、上記の厚さ「10mmについて」とは、当該放射線遮蔽板ガラスを板厚が10mmの板ガラスと仮定した場合についての事項を意味し、また「全光線透過率」とは、JIS K7105(光源:CIEの標準の光A)又はJIS K7361(光源:CIEの標準の光D65)に準拠しCIEの標準の光A又はCIEの標準の光D65を使用して測定した透光板への平行入射光束に対する全透過光束の割合である。一般に、ヘーズメーターと呼ばれる測定装置を使用して、その板ガラスについて測定された全光線透過率を意味する(以下、同様)。なお、以下で記載する%表示は、質量%を指す。
さらに、本発明でカバー板ガラスの厚みが1mm以上で、かつ4mm以下であることが好ましい。カバー板ガラスの厚みが1mm未満であると、放射線遮蔽効果が十分でなくヤケ対策のみとなる。一方、4mmを超えると、放射線遮蔽能力は向上するものの、従来と同程度の厚さとなり、薄型化、軽量化のメリットが少なくなってしまう。
また、本発明の放射線遮蔽安全ガラスは、樹脂層が、半透明又は透明樹脂フィルムであり、着色及び/又は模様を施されてなることを特徴とする。
本発明で、樹脂層が、半透明又は透明樹脂フィルムであり、着色及び/又は模様を施されてなるとは、着色フィルムや模様着きフィルムを樹脂層として用いることを意味している。これにより、放射線遮蔽板ガラスの意匠設計の自由度を大きく広げることが可能となり、医療現場の無味乾燥な空間を改善できる等が好適である。更に、紫外線の遮蔽性能を有すると共に中赤外線を大幅に遮蔽し、日射熱を低減する遮熱樹脂フィルムや、意匠性を高める装飾用樹脂フィルムを使用することにより、本発明の放射線遮蔽安全ガラスに遮熱性能や意匠性を付与することができる。
上記本発明の放射線遮蔽安全ガラスは、放射線遮蔽板ガラスの表面に、酸化物換算の質量百分率で、SiO2 50〜65%、Al23 3〜14%、MgO 0〜4%、CaO 0〜2.9%、SrO 2〜13%、BaO 2〜13%、MgO+CaO+SrO+BaO 17〜27%、Li2O 0〜1%、Na2O 2〜10%、K2O 2〜13%、Li2O+Na2O+K2O 7〜15%、ZrO2 1〜9%、TiO2 0〜5%、Sb23 0〜1%、As23 0〜1%の組成を有するカバー板ガラスを、樹脂層を介して貼着しているので、放射線遮蔽板ガラスの表面に樹脂層で貼着されたカバー板ガラスにも放射線遮蔽能力があるため、建築窓用で用いられるソーダライムガラスを貼着したものに比べて、同じ放射線遮蔽能力を有する放射線遮蔽安全ガラスに比べて、合計の肉厚を小さくすることが可能となり、例えば放射線遮蔽防護衝立を軽量にすることができ、取り扱いが容易になる。
また、上記構成によれば、放射線遮蔽板ガラスの表面に樹脂層で貼着されたカバー板ガラスが、ソーダライムガラスに比べて化学耐久性に優れることから長期間の使用によって表面やけが発生することがなく、透明性が維持されるので、見づらくなることがない。
また、上記構成によれば、カバー板ガラスが、本質的にPbを含有しないガラスからなるため、ガラスの生産において、Pbを含む原料がこぼれたり、放射線遮蔽安全ガラスが破損した際に飛散することによって環境汚染を引き起こすことがない。
本発明の放射線遮蔽安全ガラスは、複数枚の板ガラスが樹脂層によって貼り合わされてなるため、板ガラスが割れてもその破片が飛散せず、またX線やγ線以外にも、中性子線を遮蔽する能力を有する。すなわち、板ガラスが割れた場合、樹脂層によって、ガラスが保持され、また、樹脂層は、水素を大量に含み、その水素によって、中性子が捕獲されるからである。
また、本発明の放射線遮蔽安全ガラスは、放射線遮蔽板ガラスが、酸化物換算の質量百分率で、SiO2 10〜35%、PbO 55〜80%、B23 0〜10%、Al23 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、Na2O 0〜10%、K2O 0〜10%の組成を有するので、薄い厚さでガンマ線等の十分な放射線遮蔽能力を発揮することができる。
また、本発明の放射線遮蔽安全ガラスは、放射線遮蔽板ガラスが、厚さ10mmについて、全光線透過率が50%以上であるので、視認性を充分確保することが可能なものとなる。
さらに、本発明の放射線遮蔽安全ガラスは、カバー板ガラスが、100kVのX線に対する鉛当量が0.03mmPb/mm以上のガラスからなるため、カバー板ガラスの厚みが1mm以上で、かつ4mm以下で、放射線遮蔽能力を発揮するので、従来のソーダライムガラス等に比べてはるかに薄いものとなり、放射線を防護する放射線遮蔽窓や放射線遮蔽防護衝立の薄型化及び軽量化に大きく貢献することができる。
また、本発明の放射線遮蔽安全ガラスは、樹脂層が、半透明又は透明樹脂フィルムであり、着色及び/又は模様を施されてなるので、多様な意匠表現が可能となる。
以下、本発明の放射線遮蔽安全ガラスの実施形態について、図を参照して説明する。
本発明の放射線遮蔽安全ガラスを実施例に基づいて説明する。表1に本発明に使用するカバー板ガラスの実施例1〜5及び比較例1〜3を示す。
Figure 2008286787
まず、実施例1〜4は、表1に示した組成となるようにバッチ原料を調製し、溶融した後、フロート法によって肉厚1.8mmの板状に成形し、2000mm×900mmの寸法に切断した後、徐冷炉で冷却して、カバー板ガラスを作製した。
比較例1〜3は、表1に示した組成となるようにバッチ原料を調製し、溶融した後、フロート法によって肉厚4mmの板状に成形し、2000mm×900mmの寸法に切断した後、徐冷炉で冷却して、ガラス成形体を作製した。
次いで、このガラス成形体の両面を光学研磨して肉厚3mmのカバー板ガラスを作製した。
尚、30〜380℃における熱膨張係数α30-380は、ディラトメーター(マックサイエンス製、TD−5000)によって測定した。また、100kVのX線に対する肉厚1mmでの鉛当量は、JIS Z 4501に基づいて測定した鉛当量を肉厚1mmに換算して求めた。
表面硬度(ヌープ硬度:Hk)は、ヌープ硬度計を用いて、荷重10gで30秒間、ダイヤモンド圧子で押圧し、菱形の圧痕の対角長さを測定することによって求めた。
化学耐久性は、耐酸性と耐アルカリ性で評価し、耐酸性は、3質量%HCl水溶液に、耐アルカリ性は、3質量%NaOH水溶液に、板ガラス及び樹脂板をそれぞれ25℃で30分間浸漬した後、表面の状態を観察し、表面に光沢があり、ヤケが発生していないものを「○」、少しヤケが発生し、表面が少し曇っているものを「△」、ヤケが発生し、表面が白く濁っているものを「×」とした。
表1に示すように、実施例1〜4は、表面硬度が高く、化学耐久性に優れていた。
一方、比較例1〜3は、表面硬度が低く、また、化学耐久性も低かった。
次に、本発明の放射線遮蔽安全ガラスに使用するPET検査用ガンマ線遮蔽能を有する放射線遮蔽板ガラスの実施例に基づいて詳しく説明する。表2に本発明の実施例5〜12を示し、表3に比較例4、5を示す。
Figure 2008286787
Figure 2008286787
まず、表2、3に示す組成を有するガラスとなるように原料を調合し、白金ルツボに調合バッチを入れ、表2、3に示した1150℃で1時間溶融した。その後、溶融ガラスをカーボン板の上に流し出して板状に成形し、徐冷後、各評価のための試料ガラスを作製した。
このようして得られた各試料について、密度、熱膨張係数、ガンマ線のエネルギー(0.511MeV)におけるガンマ線吸収係数を表2、3に示した。また、密度は、周知のアルキメデス法で測定した。さらに、熱膨張係数αは、直径5.0mm、長さ20mmの円柱状の試料を作製し、ディラトメーターで30〜380℃における平均熱膨張係数を測定した。また、ガンマ線のエネルギー(0.511MeV)におけるガンマ線吸収係数は、Photxのデータから計算によって算出した。また、全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社社製、NDH−1001DP)によって測定した。
表2から明らかなように、本発明で使用する放射線遮蔽ガラスは、0.511MeVにおけるガンマ線吸収係数が0.66cm-1以上であり、良好なガンマ線遮蔽能力を有していた。また、本発明で使用する放射線遮蔽ガラスは、厚さ10mmについて、全光線透過率が50%以上の65〜75%であり、視認性を充分確保することが可能なものとなっている。
一方、表3から明らかなように、比較例4のガンマ線遮蔽ガラスは、ガラス内のPbO含有量が37%と少なかったため、ガンマ線吸収係数が0.36cm-1であり、ガンマ線遮蔽能力が小さかった。また、比較例5のガンマ線遮蔽ガラスも、ガラス内のPbO含有量が33%と少なかったため、ガンマ線吸収係数が0.34cm-1であり、ガンマ線遮蔽能力が小さかった。
次いで、図1に示すように、1.1mmPbの鉛当量の性能を有する比重4.35で厚さが6mmの放射線遮蔽板ガラス10aの両面に、PVB製樹脂フィルム10cを介して、表1の実施例3の組成をもつ厚さが1.8mmのカバー板ガラス10bを熱圧着により貼着して放射線遮蔽安全ガラスを作製した。
上記の600×600mmで作製した放射線遮蔽安全ガラスの放射線遮蔽性能を計測した。150kVまでのX線を作製した放射線遮蔽安全ガラスの片面にある線原から照射して、反対側にある検出器で測定し何mmの厚さの鉛に相当するかを確認した。測定した結果、1.5mmPbの鉛当量の性能を有することを確認した。
従来の放射線遮蔽安全ガラスで1.5mmPbの鉛当量の樹脂フィルムを除くガラスの肉厚は、ソーダライムガラス製のカバー板ガラス:3mm+放射線遮蔽板ガラス:7mm+カバー板ガラス:3mmで計13mmの厚さとなるが、本実施例では、カバー板ガラス10b:1.8mm+放射線遮蔽板ガラス10a:6mm+カバー板ガラス10b:1.8mmで計9.6mmの厚さとなり、従来品よりも3.4mm肉厚を小さくすることが可能である。また、上記の条件で、質量の比較を行うと、従来品が45.5kg/m2、発明品が36.2kg/m2となり、単位面積あたりでは9.3kg/m2と約20%の質量減が可能となる。更に、このような構成によれば、放射線遮蔽板ガラス10aの両面に樹脂フィルム10cで接着されたカバー板ガラス10bが、ソーダライムガラスに比べて化学耐久性に優れることから長期間の使用によって表面やけが発生することがなく、透明性が維持されるので、見づらくなることがない。
また、放射線遮蔽板ガラスとカバー板ガラス間に、ポリビニルブチラール(PVB)製で薄い白色の透明樹脂フィルムに、和紙模様が施されたフィルムを部分的に挟み込んで放射線遮蔽安全ガラスを作製したところ、過去の放射線遮蔽安全ガラスにはない柔和な外観を有する放射線遮蔽安全ガラスを得ることができた。
本発明は、放射線遮蔽安全ガラスは医療施設以外の宇宙線等の放射線学術研究その他の施設にも適用可能である。
本発明の放射線遮蔽安全ガラスの断面図。
符号の説明
10 放射線遮蔽安全ガラス
10a 放射線遮蔽板ガラス
10b カバー板ガラス
10c 樹脂フィルム(樹脂層)

Claims (5)

  1. 放射線遮蔽板ガラスの表面に、酸化物換算の質量百分率で、SiO2 50〜65%、Al23 3〜14%、MgO 0〜4%、CaO 0〜2.9%、SrO 2〜13%、BaO 2〜13%、MgO+CaO+SrO+BaO 17〜27%、Li2O 0〜1%、Na2O 2〜10%、K2O 2〜13%、Li2O+Na2O+K2O 7〜15%、ZrO2 1〜9%、TiO2 0〜5%、Sb23 0〜1%、As23 0〜1%の組成を有するカバー板ガラスが、樹脂層を介して貼着されてなることを特徴とする放射線遮蔽安全ガラス。
  2. 放射線遮蔽板ガラスが、酸化物換算の質量百分率で、SiO2 10〜35%、PbO 55〜80%、B23 0〜10%、Al23 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜10%、Na2O 0〜10%、K2O 0〜10%の組成を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽安全ガラス。
  3. 放射線遮蔽板ガラスが、厚さ10mmについて、全光線透過率が50%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線遮蔽安全ガラス。
  4. カバー板ガラスの厚みが1mm以上で、かつ4mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の放射線遮蔽安全ガラス。
  5. 樹脂層が、半透明又は透明樹脂フィルムであり、着色及び/又は模様を施されてなることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の放射線遮蔽安全ガラス。
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