JP2003315490A - 放射線遮蔽物品 - Google Patents

放射線遮蔽物品

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JP2003315490A
JP2003315490A JP2002120981A JP2002120981A JP2003315490A JP 2003315490 A JP2003315490 A JP 2003315490A JP 2002120981 A JP2002120981 A JP 2002120981A JP 2002120981 A JP2002120981 A JP 2002120981A JP 2003315490 A JP2003315490 A JP 2003315490A
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radiation shielding
shielding article
radiation
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Yasushi Mure
靖 牟禮
Michio Yamaji
道雄 山地
Yukihiko Yamaguchi
幸彦 山口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 環境汚染を引き起こすことなく、キズがつき
にくく、ガラスが割れてもその破片が飛散しない放射線
遮蔽物品を提供することである。 【構成】 複数枚のガラス板が樹脂フィルムによって貼
り合わされてなる放射線遮蔽物品であって、ガラス板
が、本質的にPbを含有せず、100kVのX線に対す
る鉛当量が0.03mmPb/mm以上であるガラスか
らなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主に、100kV
以下の低エネルギーの放射線を取り扱う施設における放
射線遮蔽窓、放射線遮蔽防護衝立等の放射線遮蔽物品に
関するものである。 【0002】 【従来の技術】放射線診断設備等の低エネルギーの放射
線を取り扱う施設において、放射線遮蔽窓、放射線遮蔽
防護衝立等の放射線遮蔽物品には、放射線源からの放射
線を遮蔽する能力、いわゆる放射線遮蔽能力と、この材
料を通して被検体を視認する高い透明性が要求される。
そのため、従来は、Pbを多量に含むガラスや合成樹脂
が単板で放射線遮蔽物品として使用されていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、Pbは有害
物質であるため、Pbを多量に含む放射線遮蔽物品は、
その生産において、Pbを含む原料がこぼれたり、飛散
することによって環境汚染を引き起こしやすいという問
題を有していた。 【0004】また、Pbを多量に含むガラスは、表面硬
度が低いため、研磨や切断等の加工工程において、表面
にキズがつきやすく、キズをオリジンとしてガラスが割
れることがあった。また、ガラスが割れた場合には、そ
の破片が散乱し非常に危険であった。 【0005】また、Pbを多量に含む合成樹脂は、キズ
が発生しても、割れにくいが、表面硬度が非常に低いた
め、キズが入りやすく、そのキズによって透明性が低下
しやすい。 【0006】本発明の目的は、環境汚染を引き起こすこ
となく、キズがつきにくく、ガラスが割れてもその破片
が飛散しない放射線遮蔽物品を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の放射線遮蔽物品
は、複数枚のガラス板が樹脂フィルムによって貼り合わ
されてなる放射線遮蔽物品であって、ガラス板が、本質
的にPbを含有せず、100kVのX線に対する鉛当量
が0.03mmPb/mm以上であるガラスからなるこ
とを特徴とする。 【0008】 【作用】本発明の放射線遮蔽物品は、複数枚のガラス板
が樹脂フィルムによって貼り合わされてなるため、ガラ
ス板が割れてもその破片が飛散せず、またX線やγ線以
外にも、中性子線を遮蔽する能力を有する。すなわち、
ガラス板が割れた場合、樹脂フィルムによって、ガラス
が保持され、また、樹脂フィルムは、水素を大量に含
み、その水素によって、中性子が捕獲されるからであ
る。 【0009】また、ガラス板が、本質的にPbを含有し
ないガラスからなるため、ガラスの生産において、Pb
を含む原料がこぼれたり、飛散することによって環境汚
染を引き起こすことがない。 【0010】ガラス板が、100kVのX線に対する鉛
当量が0.03mmPb/mm以上のガラスからなるた
め、100kV以下の低エネルギーの放射線を防護する
放射線遮蔽窓や放射線遮蔽防護衝立として好適である。
尚、鉛当量とは、X線の減衰能力が等しい鉛板の肉厚を
示し、この値が大きいほど放射線遮蔽能力が優れている
ことを表す。 【0011】ガラス板の1枚の肉厚は、必要とされる放
射線遮蔽能力や使用枚数によって変わるが、1〜10m
mである。 【0012】また、本発明の放射線遮蔽物品に使用する
樹脂フィルムとしては、ポリビニルブチラール(PV
B)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、フッ
素樹脂(THV)等が使用可能である。尚、樹脂フィル
ムの膜厚は、50〜2000μmである。 【0013】また、本発明の放射線遮蔽物品に使用する
ガラスが、SiO2を40〜70質量%、Al23
4.1〜15質量%含有すると、表面をクリーニングし
ても透明性が低下しにくく、吸水による変形や変色を起
こすことがない。また、ガラスの硬度が高いため、キズ
がつきにくく、キズによる割れや透明性の低下が起こり
にくい。すなわち、SiO2が40質量%より少ない
と、化学的耐久性が低いため、ガラス表面をクリーニン
グした後に、「ヤケ」が発生して、透明性が低下しやす
く、70質量%よりも多いと溶融性が悪化しやすいため
好ましくない。また、Al23は、ガラスの表面硬度を
向上させるとともに、ガラスの化学的耐久性を向上させ
る成分であり、その含有量が4.1質量%よりも少ない
と、ガラスの硬度が低くなってキズがつきやすく、割れ
が発生しやすい。また化学的耐久性が低くなるため、ガ
ラス表面をクリーニングした後に、「ヤケ」が発生し
て、透明性が低下しやすい。Al23が、15質量%よ
りも多いと、溶融性が悪化するとともに、液相温度が高
くなりやすいため好ましくない。 【0014】また、本発明において使用可能なガラスの
具体的組成は、質量%で、SiO250〜65%、Al2
3 5〜15%、ZrO2 0.1〜9%、MgO+C
aO+SrO+BaO+ZnO 10〜27%、Li2
O+Na2O+K2O 7〜15%である。 【0015】ZrO2は、放射線遮蔽能力及びガラスの
化学的耐久性を向上させる成分であり、その含有量は、
0.1〜9%、好ましくは、0.1〜8%である。Zr
2が0.1%よりも少ないと、放射線遮蔽能力が低
く、また、ガラスの化学的耐久性が低下しやすく、9%
よりも多いと、ガラスの成形時に失透物が生成しやす
く、成形が困難となるため好ましくない。 【0016】MgO、CaO、SrO、BaO及びZn
Oは、ガラスの溶融性を向上させる成分であり、特にS
rO及びBaOは、放射線遮蔽能力を高める効果に優れ
た成分であり、MgO、CaO、SrO、BaO及びZ
nOの合量が10〜27%、好ましくは、15〜25%
である。これらの成分の合量が10%よりも少ないと、
放射線遮蔽能力が低下するとともに、溶融性が悪化しや
すい。27%よりも多いと、ガラスが失透しやすくな
る。 【0017】MgO、CaO及びZnOの好適な含有量
は、いずれも0〜4%である。また、BaO及びSrO
の好適な含有量は、いずれも3〜12%である。 【0018】Li2O、Na2O及びK2Oは、ガラスの
溶融性を向上させる成分であり、これらの成分の合量が
7〜15%である。これらの成分の合量が7%よりも少
ないと、溶融性が困難になり、15%よりも多いと、化
学的耐久性が低下する。 【0019】また、Li2O、Na2O及びK2Oの好ま
しい含有量は、それぞれ0〜1%、2〜10%、2〜1
3%である。 【0020】上記した成分の他にも、TiO2を5%ま
で、P25を3%まで、Sb23及びAs23を1%ま
で添加しても構わない。 【0021】また、本発明の放射線遮蔽物品に使用する
ガラス板は、既存の成形法によって製板することが可能
であるが、特にフロート法によって製板すると、平滑性
に優れるため、研磨する必要がなく、研磨によるキズが
入ることがない。 【0022】 【実施例】本発明の放射線遮蔽物品を実施例に基づいて
説明する。表1に本発明の実施例1〜4を、表2に比較
例5〜8を示す。図1は、本発明の放射線遮蔽物品の説
明図である。 【0023】 【表1】 【0024】 【表2】【0025】まず、実施例1〜4は、表1に示した組成
となるように、バッチ原料を調製し、溶融した後、フロ
ート法によって肉厚3mmの板状に成形し、2000×
900の寸法に切断した後、徐冷炉で冷却して、ガラス
板を作製した。 【0026】次いで、図1に示すように、3枚のガラス
板11の間に肉厚200μmのPVB樹脂フィルム12
を挿置した後、熱圧着することによって放射線遮蔽物品
10を作製した。 【0027】比較例5〜7は、表2に示した組成となる
ように、バッチ原料を調製し、溶融した後、ロールアウ
ト法によって肉厚9.5mmの板状に成形し、2000
×900の寸法に切断した後、徐冷炉で冷却して、ガラ
ス板を作製した。 【0028】次いで、このガラス板の両面を光学研磨し
て、肉厚9mmの放射線遮蔽物品を作製した。 【0029】比較例8は、アクリル酸を20質量%含有
したアクリル酸−メタクリル酸共重合体100質量部と
酸化鉛50質量部を混合後、シート状に成形し、得られ
たシートを熱プレスして、肉厚9mmの透明樹脂板を作
製した。 【0030】尚、30〜380℃における熱膨張係数α
30-380は、ディラトメーター(マックサイエンス製、T
D−5000)によって測定した。また、100kVの
X線に対する肉厚1mmでの鉛当量は、JIS Z 4
501に基づいて測定した鉛当量を肉厚1mmに換算し
て求めた。 【0031】表面硬度(ヌープ硬度:Hk)は、ヌープ
硬度計を用いて、荷重10gで30秒間、ダイヤモンド
圧子で押圧し、菱形の圧痕の対角長さを測定することに
よって求めた。 【0032】化学耐久性は、耐酸性と耐アルカリ性で評
価し、耐酸性は、3質量%HCl水溶液に、耐アルカリ
性は、3質量%NaOH水溶液に、ガラス板及び樹脂板
をそれぞれ25℃で30分間浸漬した後、表面の状態を
観察し、表面に光沢があり、ヤケが発生していないもの
を「○」、少しヤケが発生し、表面が少し曇っているも
のを「△」、ヤケが発生し、表面が白く濁っているもの
を「×」とした。 【0033】表1に示すように、実施例1〜4は、表面
硬度が高く、化学耐久性に優れていた。 【0034】一方、表2に示すように、比較例5〜8
は、表面硬度が低く、また、化学耐久性も低かった。
尚、比較例8のヌープ硬度は、表面硬度が非常に低いた
め、測定不能であった。 【0035】 【効果】以上説明したように、本発明の放射線遮蔽物品
は、環境汚染を引き起こすことなく、表面をクリーニン
グしても透明性が低下しにくく、またキズがつきにく
く、ガラスが割れてもその破片が飛散しないため、10
0kV以下の低エネルギーの放射線を遮蔽するための放
射線遮蔽窓や放射線遮蔽防護衝立として好適である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の放射線遮蔽物品の説明図である。 【符号の説明】 10 放射線遮蔽物品 11 ガラス板 12 PVB樹脂フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G061 AA00 BA00 CB05 CB19 CD02 CD18 DA23 4G062 AA01 BB01 DA06 DB03 DB04 DC01 DD01 DE01 DE02 DE03 DE04 DF01 EA01 EA02 EA03 EA04 EA10 EB01 EB02 EB03 EB04 EC01 EC02 EC03 EC04 ED01 ED02 ED03 ED04 EE01 EE02 EE03 EE04 EF01 EF02 EF03 EF04 EG01 EG02 EG03 EG04 FA01 FB01 FC02 FC03 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM01 MM40 NN14

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数枚のガラス板が樹脂フィルムによっ
    て貼り合わされてなる放射線遮蔽物品であって、ガラス
    板が、本質的にPbを含有せず、100kVのX線に対
    する鉛当量が0.03mmPb/mm以上であるガラス
    からなることを特徴とする放射線遮蔽物品。
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JP2012254920A (ja) * 2011-05-18 2012-12-27 Nippon Electric Glass Co Ltd ガラス

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