JP2008286039A - 過給機 - Google Patents

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Abstract

【課題】サージング現象の発生を防止するとともに、エンジンへの余分な負荷を防止し、かつターボ効率を向上させることができる過給機を提供することである。
【解決手段】排気タービン過給機100においては、排気タービン400、インペラ200およびクロスフロータービン300(回収タービン)が、回転伝達軸500上に固設されている。クロスフロータービン300に供給する気体の流量を調整可能な可変ベーン700、またはクラッチ900を備えてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、過給機におけるターボ効率を向上させる過給機に関する。
従来から、内燃機関においてパワー出力の向上のため、一般的に吸気を圧縮して過給を行う過給機が利用されている。
例えば、特許文献1には、エンジンのターボチャージャ装置について開示されている。特許文献1記載のエンジンのターボチャージャ装置においては、アシストタービンがターボチャージャに同軸で連結され、機関駆動の油ポンプからの油により駆動される。また、電磁クラッチが機関と油ポンプとの間に介挿され、油ポンプへの駆動力を断続させる。そして、機関の運転状況を検出する各種センサからのセンサ信号に基づき、アシストタービンを必要とするアシスト条件を満した時、コントローラにより電磁クラッチをオン作動させる。コントローラは、アシスト条件を満している時、ブースト圧センサにて検出したブースト圧がコンプレッサのサージング域に達した時、サージング表示ランプを点灯すると共に、電磁クラッチをオフ作動して、油ポンプの駆動を停止させるものである。
また、特許文献2には、簡単かつ低コストな構成で、サージを効果的に抑制できる遠心式過給機について開示されている。特許文献2記載の遠心式過給機においては、インペラが、インペラハウジングに回転自由に内装されており、インペラの周囲にはディフューザが設けられている。そしてディフューザに臨んで、リサーキュレーションバルブが配設されている。なお、弁体は、ディフューザの外周側内壁面に開口される開口部を開閉可能に配設されており、該弁体の開閉により、ディフューザとインペラの上流側とを連通または遮断可能となっている。上記構成によれば、システムの簡略化が図れると共に、サージが発生し易い場合には弁体を開弁させて加圧空気をインペラの上流側へ還流させ、以ってサージの発生を抑制することができる。
実開平05−42642号公報 特開平11−182257号公報
しかしながら、特許文献1記載のエンジンのターボチャージャ装置においては、アシストタービンを回転させるための液圧ポンプの駆動がエンジンにとって余分な負荷となって燃費を悪化させることになる。
また、特許文献2記載の遠心式過給機においては、インペラにより加圧した空気をインペラの上流に還流させているため、結果として還流させた分の加圧空気を加圧するエネルギーが無駄であり、ターボ全体の効率が悪くなる。
本発明の目的は、サージング現象の発生を防止するとともに、エンジンへの余分な負荷を防止し、かつターボ効率を向上させることができる過給機を提供することである。
(1)
本発明に係る過給機は、コンプレッサ羽根車を駆動手段により回転させることにより流体を加圧する過給機であって、コンプレッサ羽根車を収容する収容空間を有するコンプレッサハウジングと、収容空間に連通する上流側通路および下流側通路と、コンプレッサハウジングの上流側通路と下流側通路とを連結するように形成され、下流側通路の流体を上流側通路に戻す戻し通路と、戻し通路を流れる流体の流量を調整する流量調整手段と、戻し通路に設けられ、戻し通路を流れる流体により回転させられるアシストタービン羽根車とを備え、アシストタービン羽根車は、アシストタービン羽根車の回転力をコンプレッサ羽根車に伝達可能に形成されたものである。
本発明に係る過給機においては、アシストタービン羽根車の回転力をコンプレッサ羽根車に伝達することができる。
この場合、サージング現象が生じる条件の場合に、戻し通路に設けられた流量調整手段により戻し通路に流体が流れるようにすることで、コンプレッサ羽根車により加圧された流体がコンプレッサ羽根車の下流側通路からコンプレッサ羽根車の上流側通路に戻されるので、過給圧を下げることができ、サージングの発生を防止することができる。
また、戻し通路を流れる加圧された流体によりアシストタービン羽根車が回転駆動され、その回転力がコンプレッサ羽根車に伝達されるので、ターボ効率を向上させることができる。
(2)
アシストタービン羽根車は、コンプレッサ羽根車と一体に形成されてもよい。
この場合、アシストタービン羽根車とコンプレッサ羽根車とが一体に形成されることにより、機器の小型化を図ることができる。
(3)
アシストタービン羽根車の回転力をコンプレッサ羽根車に伝達する回転伝達手段をさらに備え、回転伝達手段は、アシストタービン羽根車の回転力をコンプレッサ羽根車に伝達させてもよい。
この場合、回転伝達手段は、アシストタービン羽根車の回転力をコンプレッサ羽根車に伝達させることにより、アシストタービン羽根車の回転力をコンプレッサ羽根車に確実に伝達することができる。その結果、サージング現象が生じる条件の場合に、戻し通路に設けられた流量調整手段により戻し通路に流体が流れるようにすることで、コンプレッサ羽根車により加圧された流体がコンプレッサ羽根車の下流側通路からコンプレッサ羽根車の上流側通路に戻されるので、過給圧を下げることができ、サージングの発生を防止することができる。
また、戻し通路を流れる加圧された流体によりアシストタービン羽根車が回転駆動され、その回転力が回転伝達手段によりコンプレッサ羽根車に伝達されるので、ターボ効率を向上させることができる。
(4)
コンプレッサハウジングには、コンプレッサ羽根車を収容する収容空間の下流側にスクロール室が形成され、戻し通路は、スクロール室に連通して形成されてもよい。
この場合、コンプレッサ羽根車により圧縮された流体は下流に行くに従い圧力が低下していくため、コンプレッサ収容空間に近いスクロール室内の圧力の高いままの流体を戻し通路に流すことにより、アシストタービン羽根車を効率良く回転させることができる。
(5)
流量調整手段は、アシストタービン羽根車の上流側の戻し通路の流路面積を調整可能な可変ベーンからなってもよい。
この場合、可変ベーンにより流体の流量に応じてアシストタービン羽根車の上流側の戻し通路の流路面積を調整することができるので、例えば流体の流量が少ない場合には可変ベーンによりアシストタービン羽根車の上流側の戻し通路の流路面積を絞ることで、アシストタービン羽根車に流入する流体の流速を速めることができ、アシストタービン羽根車を効率良く回転させることができる。
(6)
アシストタービン羽根車は、コンプレッサ羽根車の裏側に一体化して形成されてもよい。
この場合、コンプレッサ羽根車とアシストタービン羽根車とを一体に形成することにより、過給機の小型化および省スペース化を図ることができる。
(7)
アシストタービン羽根車の回転力をコンプレッサ羽根車に伝達する回転伝達手段と、アシストタービン羽根車の回転力を回転伝達手段に対して伝達および遮断のいずれか一方に切り替え可能なクラッチを備えてもよい。
この場合、クラッチにより回転伝達手段に対してアシストタービン羽根車の回転力を伝達させるか、遮断させるか、一方を選択することができる。したがって、サージング現象が生じる条件から外れた場合には、アシストタービン羽根車の回転力をクラッチにより遮断させることで、アシストタービン羽根車を用いない時にはアシストタービン羽根車がコンプレッサ羽根車の回転抵抗となることを回避することができる。
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。本実施の形態においては、本発明にかかる過給機を、排気タービン過給機に適用した場合について説明する。
(第1の実施の形態)
図1および図2は、第1の実施の形態に係る排気タービン過給機100の一例を説明するための模式図である。図1は後述するバルブ600が開放状態の場合を示し、図2は後述するバルブ600が閉塞状態の場合を示す。
まず、図1および図2に示すように、排気タービン過給機100は、インペラ200、クロスフロータービン(回収タービン)300、排気タービン400、回転伝達軸500およびバルブ600を含む。
図1および図2に示すように、排気タービン過給機100においては、インペラ200を外包するコンプレッサハウジング800が設けられており、配管810の一端がコンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側、ディフューザ)に接続され、配管810の他端がコンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側、インデューサ)に接続される。また、配管810には、バルブ600が介挿されており、バルブ600の下流側にクロスフロータービン300が介挿されている。クロスフロータービン300は円柱状をしており、周面には複数の羽根が設けられている。また、クロスフロータービン300の軸心部には図示しない貫通孔が形成されており、その貫通孔には回転伝達軸500が挿入されて溶接等により固定されている。配管810を通る空気によりクロスフロータービン300が回転されると、その回転エネルギーが回転伝達軸500に伝達されるようになっている。
また、図1および図2に示すように、排気タービン過給機100においては、排気タービン400を外包する排気タービンハウジング820が設けられている。また、インペラ200、クロスフロータービン300、排気タービン400は回転伝達軸500に固定されている。
以下、バルブ600が開放状態にある場合について説明する。
まず、排気タービンハウジング820の入口(上流側)から矢印HFの方向に排気ガスが流入し、流入された排気ガスにより排気タービン400が回転される。排気タービン820を回転させた気体は、排気タービンハウジング820の出口(下流側)から矢印HPFの方向に排出される。それにより回転伝達軸500が回転し、インペラ200が稼動される。インペラ200が稼動されることによりコンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側)から矢印FWの方向に気体が吸引され、吸引された気体がインペラ200により圧縮され、圧縮された気体がコンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から矢印PFの方向に排出される。
また、インペラ200により圧縮された気体は、コンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から配管810へ矢印IFの方向に流入する。図1においては、バルブ600が開放されているため、圧縮された気体がバルブ600を通過し、クロスフロータービン300を回転させる。クロスフロータービン300を回転させた気体は、矢印RFの方向に排出され、コンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側)に還流される。
一方、図2に示すように、バルブ600が閉塞状態にある場合、インペラ200により圧縮された気体が、コンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から配管810へ矢印IFの方向に流入されない。したがって、インペラ200が稼動することによりコンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側)から吸引された矢印FWの方向の気体が、総てコンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から矢印PFの方向に排出される。
ここで、サージング現象について説明する。サージング(surging)現象はターボ型送風機またはターボ型圧縮機と、配管とを含めた系が一種の自励振動を起こし、特有の定められた周期で吐出し、圧力およびガス量が変動する現象をいう。一般に、圧力−風量曲線において、送風機系またはポンプ系の吐出弁を絞ると、運転点が移動し、さらに弁を絞ると運転点が圧力曲線の右上りの部分に至り、風量および圧力が急に脈動を起こし、送風機または圧縮機本体、および配管系の振動が大きくなる。圧力の高いブロワや圧縮機では脈動が相当大きなものとなり、系全体が激しく振動して運転不能となる。これがサージング現象である。例えば、エンジンに使用される排気タービン過給機においては、エンジンが低回転の時にインペラの回転数を高くするとサージング現象が発生する。
以上のように、本実施の形態に係る排気タービン過給機100においては、サージング現象が生じる条件の場合に、配管810のバルブ600を開き、過給圧を下げることができるので、サージング現象の発生を防止することができる。
また、配管810を通る加圧された空気によりクロスフロータービン300が回転駆動されるので、ターボ効率を向上させることができる。その結果、排気ガスの抵抗が低減されることに伴い、ポンプロスが低減されるので、エンジンの燃費を向上させることができる。
(他の実施の形態)
図3および図4は、図1および図2に示した排気タービン過給機100の他の例を説明するための模式図である。図3は後述するバルブ600が開放状態の場合を示し、図4は後述するバルブ600が閉塞状態の場合を示す。
まず、図3および図4に示すように、排気タービン過給機100aは、排気タービン過給機100と異なり、インペラ200およびクロスフロータービン(回収タービン)300が一体の筐体内に配設されている。したがって、図3および図4に示すように、排気タービン過給機100aは、インペラ200、クロスフロータービン(回収タービン)300、排気タービン400、回転伝達軸510およびバルブ600を含む。
図3および図4に示すように、排気タービン過給機100aにおいては、インペラ200を外包するコンプレッサハウジング800とクロスフロータービン300のハウジングが一体に設けられている。また、配管830の一端がコンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側、ディフューザ)に接続され、配管830の他端がコンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側、インデューサ)に接続される。また、配管830には、バルブ600が介挿されている。
また、図3および図4において、図1および図2と同様に、排気タービン過給機100aにおいては、排気タービン400を外包する排気タービンハウジング820が設けられている。また、インペラ200、クロスフロータービン300、排気タービン400は回転伝達軸510上に設けられている。
以下、バルブ600が開放状態にある場合について説明する。
まず、排気タービンハウジング820の入口(上流側)から矢印HFの方向に排気ガスが流入し、流入された排気ガスにより排気タービン400が回転される。排気タービン820を回転させた気体は、排気タービンハウジング820の出口(下流側)から矢印HPFの方向に排出される。それにより回転伝達軸510が回転し、インペラ200が稼動される。インペラ200が稼動されることによりコンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側)から矢印FWの方向に気体が吸引され、吸引された気体がインペラ200により圧縮され、圧縮された気体がコンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から矢印PFの方向に排出される。
また、インペラ200により圧縮された気体は、コンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から配管830へ矢印IFの方向に流入する。図3においては、バルブ600が開放されているため、圧縮された気体がバルブ600を通過し、クロスフロータービン300を回転させる。クロスフロータービン300を回転させた気体は、矢印RFの方向に排出され、コンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側)に還流される。
一方、図4に示すように、バルブ600が閉塞状態にある場合、インペラ200により圧縮された気体が、コンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から配管830へ矢印IFの方向に流入されない。したがって、インペラ200が稼動することによりコンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側)から吸引された矢印FWの方向の気体が、総てコンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から矢印PFの方向に排出される。
以上のように、本実施の形態に係る排気タービン過給機100aにおいては、サージング現象が生じる条件の場合に、配管810のバルブ600を開き、過給圧を下げることができるので、サージング現象の発生を防止することができる。
また、配管810を通る加圧された空気によりクロスフロータービン300が回転駆動されるので、ターボ効率を向上させることができる。その結果、排気ガスの抵抗が低減されることに伴い、ポンプロスが低減されるので、エンジンの燃費を向上させることができる。
(さらに他の実施の形態)
図5および図6は、図1〜図4までに示した排気タービン過給機100、100aのさらに他の実施の形態を説明するための模式図である。図5は矢印IFの方向に流れる流量が多い場合を示し、図6は矢印IFの方向に流れる流量が少ない場合を示す。
図5および図6に示す排気タービン過給機100bにおいては、インペラ200、クロスフロータービン(回収タービン)300、排気タービン400、回転伝達軸500、可変ベーン700およびクラッチ900を含む。
図5および図6に示すように、排気タービン過給機100bにおいては、インペラ200を外包するコンプレッサハウジング800が設けられており、配管810の一端がコンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側、ディフューザ)に接続され、配管810の他端がコンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側、インデューサ)に接続される。また、配管810には、可変ベーン700が介挿されており、可変ベーン700の下流側にクロスフロータービン300が介挿されている。ここで、可変ベーン700はクロスフロータービン300の上流側における配管810の流路面積を絞ることができるものである。
また、図5および図6に示すように、排気タービン過給機100bにおいては、排気タービン400を外包する排気タービンハウジング820が設けられている。また、インペラ200、クロスフロータービン300、排気タービン400は回転伝達軸500上に設けられている。クロスフロータービン300は、クラッチ900を介して回転伝達軸500上に設けられる。
以下、矢印IFの方向に流れる流量が多い場合について説明する。
まず、排気タービンハウジング820の入口(上流側)から矢印HFの方向に排気ガスが流入し、流入された排気ガスにより排気タービン400が回転される。排気タービン820を回転させた気体は、排気タービンハウジングの出口(下流側)から矢印HPFの方向に排出される。それにより回転伝達軸500が回転し、インペラ200が稼動される。インペラ200が稼動されることによりコンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側)から矢印FWの方向に気体が吸引され、吸引された気体がインペラ200により圧縮され、圧縮された気体がコンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から矢印PFの方向に排出される。
また、インペラ200により圧縮された気体は、コンプレッサハウジング800の出口(インペラ200の下流側)から配管810へ矢印IFの方向に流入する。
ここで図5においては、矢印IFの方向に流れる気体量が多いため、可変ベーン700は配管810を絞らない状態とし、気体がクロスフロータービン300に流入しやすくする。それにより、多量の気体が効率よくクロスフロータービン300を回転させた後、矢印RFの方向に排出され、コンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側)に還流される。
一方、図6に示すように、矢印IFの方向に流れる気体量が少ない場合、インペラ200により圧縮された気体が、配管810へ矢印IFの方向に流入する。少量の圧縮された気体がクロスフロータービン300に効率良く吹き付けられるように可変タービン700により配管810の流路面積を小さくすることで、クロスフロータービン300に流入する気体の流速を上げる。それにより、少量の気体が効率よくクロスフロータービン300を回転させた後、矢印RFの方向に排出され、コンプレッサハウジング800の入口(インペラ200の上流側)に還流される。また、サージング現象が生じる条件から外れた場合には、可変ベーン700を完全に閉じることで配管810に加圧された空気が流れないようにする。さらに、可変ベーン700を閉じた時にはクラッチ900により回転伝達軸500がクロスフロータービン300の回転から切り離される。それにより、クロスフロータービン300を用いない時にはクロスフロータービン300が回転伝達軸500の回転抵抗となることを回避することができる。
以上のように、本実施の形態の排気タービン過給機100bにおいては、サージング現象が生じる条件の場合に、配管810のバルブ600を開き、過給圧を下げることができるので、サージング現象の発生を防止することができる。
また、配管810を通る加圧された空気によりクロスフロータービン300が回転駆動されるので、ターボ効率を向上させることができる。その結果、排気ガスの抵抗が低減されることに伴い、ポンプロスが低減されるので、エンジンの燃費を向上させることができる。
また、可変ベーン700により気体の流量に応じてクロスタービン300に供給する気体の流量を調整することができるので、クロスタービン300の回転を効率よく行うことができる。その結果、排気タービン過給機100bの全体における効率を向上させることができる。また、クロスフロータービン300は、回転伝達軸500の回転に従動回転および自由回転のいずれか一方に切り替え可能なクラッチ900を有しているので、クロスフロータービン300をクラッチ900により回転伝達軸500の回転に従動回転させるか、または自由回転させるかのいずれか一方を選択することができるので、クロスフロータービン300による抵抗を防止することができる。
続いて、図7および図8は、上述した3つの本実施の形態に係る排気タービン過給機における効果を示す模式図である。図7は内燃機関に対する空気流量と圧縮比との関係を示す図であり、図8は内燃機関に対する空気流量とターボ効率との関係を示す図である。図7の縦軸は圧縮比を示し、横軸は内燃機関に対する空気流量を示す。また、図8の縦軸はターボ効率を示し、横軸は内燃機関に対する空気流量を示す。
図7の線Bは従来(特許文献2記載の遠心式過給機)の内燃機関の空気流量と圧縮比との関係を示すものであり、線Aは本発明に係る排気タービン過給機における内燃機関の空気流量と圧縮比との関係を示すものである。また、図8の線Bは従来(特許文献2記載の遠心式過給機)の内燃機関に対する空気流量とターボ効率との関係を示すものであり、線Aは本発明に係る排気タービン過給機における内燃機関に対する空気流量とターボ効率との関係を示すものである。また、図8の領域FRは、空気循環状態を示す領域である。
図7からわかるように、従来はサージング現象が起こらないような圧縮比で排気タービン過給機が運転しなくてはいけないために圧縮比が低く設定されていたが、上述した3つの本実施の形態の排気タービン過給機によれば、配管810に加圧された空気を流すことで過給圧を下げてサージング現象の発生を防止することができるので、サージング現象発生の限界近くまで圧縮比を上げることができる。そのため、従来の領域αBに対して領域αAの分だけ圧縮比を高めることができる。
また、図8に示すように、領域FRにおいて加圧された気体によりクロスフロータービンを回転させた場合、従来の線Bよりも領域FRにおいてターボ効率を高めることができる。
本実施の形態に係る排気タービン過給機100,100a,100bは、排気タービン過給機100,100a,100bが過給機に相当し、回転伝達軸500が回転伝達手段に相当し、インペラ200がコンプレッサ羽根車に相当し、クロスフロータービン300がアシストタービン羽根車に相当し、可変ベーン700が可変ベーンに相当し、クラッチ900がクラッチに相当する。
本発明は、上記の好ましい一実施の形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
なお、本発明に係る過給機は、本実施の形態において説明した排気タービン過給機に限定されるものではなく、スーパーチャージャまたはモータ駆動式過給機等、他の任意の装置にも適用することができる。
なお、クロスフロータービン300をインペラ200の裏面にインペラ200と一体的に結合して形成してもよい。また、クロスフロータービン300の構造は、加圧された気体により回転させることができる構造であれば特にどんな構造のものでもよく、実施の形態に記載した構造に限定されず、他の任意の構造を用いてもよい。
第1の実施の形態に係る排気タービン過給機の一例を説明するための模式図 第1の実施の形態に係る排気タービン過給機の一例を説明するための模式図 排気タービン過給機の他の例を説明するための模式図 排気タービン過給機の他の例を説明するための模式図 排気タービン過給機のさらに他の実施の形態を説明するための模式図 排気タービン過給機のさらに他の実施の形態を説明するための模式図 本実施の形態に係る排気タービン過給機における効果を示す模式図 本実施の形態に係る排気タービン過給機における効果を示す模式図
符号の説明
100,100a,100b 排気タービン過給機
400 排気タービン
500 回転伝達軸
200 インペラ
300 クロスフロータービン
700 可変ベーン
900 クラッチ

Claims (7)

  1. コンプレッサ羽根車を駆動手段により回転させることにより流体を加圧する過給機であって、
    前記コンプレッサ羽根車を収容する収容空間を有するコンプレッサハウジングと、
    前記収容空間に連通する上流側通路および下流側通路と、
    前記コンプレッサハウジングの上流側通路と下流側通路とを連結するように形成され、前記下流側通路の流体を前記上流側通路に戻す戻し通路と、
    前記戻し通路を流れる流体の流量を調整する流量調整手段と、
    前記戻し通路に設けられ、前記戻し通路を流れる流体により回転させられるアシストタービン羽根車とを備え、
    前記アシストタービン羽根車は、前記アシストタービン羽根車の回転力を前記コンプレッサ羽根車に伝達可能に形成されたことを特徴とする過給機。
  2. 前記アシストタービン羽根車は、前記コンプレッサ羽根車と一体に形成されたことを特徴とする請求項1記載の過給機。
  3. 前記アシストタービン羽根車の回転力を前記コンプレッサ羽根車に伝達する回転伝達手段をさらに備え、
    前記回転伝達手段は、前記アシストタービン羽根車の回転力を前記コンプレッサ羽根車に伝達させることを特徴とする請求項1記載の過給機。
  4. 前記コンプレッサハウジングには、前記コンプレッサ羽根車を収容する収容空間の下流側にスクロール室が形成され、
    前記戻し通路は、前記スクロール室に連通して形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の過給機。
  5. 前記流量調整手段は、前記アシストタービン羽根車の上流側の前記戻し通路の流路面積を調整可能な可変ベーンからなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の過給機。
  6. 前記アシストタービン羽根車は、前記コンプレッサ羽根車の裏側に一体化して形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の過給機。
  7. 前記アシストタービン羽根車の回転力を前記コンプレッサ羽根車に伝達する回転伝達手段と、
    前記アシストタービン羽根車の回転力を前記回転伝達手段に対して伝達および遮断のいずれか一方に切り替え可能なクラッチを備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の過給機。


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