JP2008283007A - 液浸光学系、露光装置およびデバイス製造方法 - Google Patents

液浸光学系、露光装置およびデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 走査型露光装置の投影光学系として好適な液浸光学系において、NAを最終レンズに用いられる硝材の屈折率の屈折率近傍以上まで高める。
【解決手段】
液浸光学系において、最終レンズ面をDOEもしくはBOのような回折光学素子またはマイクロレンズアレイにより構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光源からの光を物体上に集束させる光学系、特に、最終レンズ面と物体との間に液体を満たした液浸光学系、これを備えた露光装置、およびこの露光装置を用いるデバイス製造方法に関するものである。
顕微鏡や半導体露光装置等の光学系の解像度を高めるために、物体と光学系の最終レンズ面との間に、屈折率が1より大きい液浸媒質(液体)を満たし、実効的な開口数(NA:Numerical Aperture)を高める液浸法が用いられている。
図11は、従来の液浸法を用いた光学系の一部を示すものである。該光学系は、最終レンズ501と、液浸媒質502とを有して構成され、光束500は、レンズ501に入射し、液浸媒質502を透過しながら物体503上に最大入射角度θで集束される。この場合の光学系のNAは、液浸媒質の屈折率をnとすると、
NA=n×sinθ 式1
となる。また、解像度Rと焦点深度DOFは、波長をλとすると、
R=k×λ/NA 式2
DOF=k×λ/[2×n×{1−(1−(NA/n1/2}] 式3
と表される。ここで、k、kはプロセスや照明条件に依存する比例定数である。
したがって、NAを高めることで解像度Rは値が小さくなり、より微細な光学像を得ることが可能となる。また、NAを高めることで焦点深度DOFは増大するため、物体位置の誤差やフォーカス位置の誤差による光学像の劣化を低減することが可能となる。
ここで、レンズと物体間に屈折率nが1より大きい液浸媒質を満たすことで、NAを1より高めることが可能となり、より小さい解像度(高い解像力)の光学系でありながらも焦点深度DOFの増大が可能となる。
現在は液浸露光装置が開発され、いっそうの高NA化が望まれ、2010年にはNAが1.5以上の高NA露光装置が必要とされるようになることが見込まれる。
しかしながら、図11に示すように、最終レンズ面が平面の場合は、
×sinθ=n×sinθ=n×sinθ 式4
であるので、NAの最大値は、n、n、nの最も小さいもので決定される。ここで、nは該レンズの硝材の屈折率、θは硝材の入射角、nは液浸媒質の屈折率、θは液浸媒質中への入射角、nはレジストなどの物体の屈折率、θは物体の入射角である。
現状では、例えば、光源を波長λ=193nmのArFレーザ、最終レンズの硝材をSiOとすると、屈折率n=1.56となる。液浸媒質としては、例えば、非特許文献1に記載されたJSR−HIF_1を用いると、波長193nmにおいてn=1.64の屈折率が得られる。また、レジストの屈折率は通常、n=1.7程度である。
屈折率が1.56以上の高屈折率硝材の開発も進んでいるが、透過率や複屈折性などの問題があり実用化は難しいため、液浸媒質と硝材とレジストの中で最も低い屈折率は硝材となっている。
また、sinθi(i=1,2,3)の理論上の最大値は1であるが、実際にはsinθiが1に近づくにつれて界面での反射率が急激に高くなるため、NAを硝材の屈折率n近傍まで高めることができない。
この最終レンズ面が平面の場合に光学系のNAを硝材の屈折率近傍以上に高めることができないという課題は、最終レンズ面をNAに応じた曲率半径を有した形状にすれば解決できる(特許文献1)。しかしこの場合、物体面上の一点に結像することは容易にできるが、物体に光が照射される領域全面で良好な結像特性を得ることが難しい。
特許文献1に記載されたレンズは、図12のように、光源からの光を第1の面13aに向かって集束させる光学系であり、該第1の面に最も近いレンズ面11aが凹面であるレンズと、該レンズ面と第1の面との間の光の透過領域を満たす液体12とを有する。さらに、以下の
d>L/[2×tan{arcsin(NA/n)}] 式5
の条件を満足することを特徴とする。
ここで、第1の面に対して略直交する方向において該レンズ面上の第1の点11bと第1の面上の第2の点13bとの間の距離が最大となる場合に、dは第1の点と第2の点との間の距離である。また、L/2は第2の点から第1の面上での光の照射領域の端までの最大距離、NAは該光学系の開口数、nは該液体12の屈折率である。
式5によると、例えば、波長193nm、NA=1.5、n=1.64、物体面上に一度に光を入射する領域の最大長さ20mm以上という条件は、d<4.42(mm)では成立しないことになる。
一方、液浸高NA露光による一般的な問題として、特許文献2では、液浸における液体の揺らぎから波面収差が発生する量について述べ、液浸液の厚さを波面収差の許容値から見積もっている。
液体の屈折率がnoからno+Δnの揺らぎがあった場合、波面収差の揺らぎによる変化ΔWは最大値として次式で表現される。
ΔW=Δn・d/cosθMAX 式6
上記例で、θMAX=66°、ΔWの許容発生量を30mλとして、d<4.42として上式に数値を代入すると、Δn<0.524(ppm)となる。
したがって、厳しい屈折率管理が必要となる。
逆に屈折率揺らぎがΔn=1(ppm)であったとき、液浸液の厚さは2.3(mm)まで、すなわちd<2.3としなければならない。
液体の屈折率揺らぎは、実際にはさまざまな要因からおこるが、主要な温度変化のみによるとすると液体固有の温度変化による屈折率変化(dn/dT)によって屈折率揺らぎを想定できる。
温度制御が例えば0.01(K)程度であったとき、上式から、液浸液が非特許文献1のJSR−HIF_1ではdn/dT=−5.60×10−4/Kなのでこれを用いてΔn=1(ppm)では厚さ0.4(mm)まで許容できる。また、水ではdn/dT=−1.0×10−4/Kなので厚さ2.3(mm)まで許容できる。
特開2006−189570号公報 特開2004−207709号公報 「Takashi Miyamatsu, Yong Wang, Motoyuki Shima, Shiro Kusumoto, Takashi Chiba, Hiroki,Nakagawa, Katsuhiko Hieda, and Tsutomu Shimokawa, "Material Design for Immersion Lithography with High Refractive Index Fluid (HIF)", Proc. SPIE. Vol. 5753, P. 10 (2005)」
したがって、NA=1.5以上の高NA光学系を有する液浸露光装置において、像面上に一度に光を入射する領域の最大長さが20mm以上である領域全面で良好な結像特性を得、かつ光学系の最終面と像面との間隔を狭くすることが課題となる。
本発明は、このような課題を解決するものである。
上記の課題を解決するために、本発明に係る第1の液浸光学系は、光源からの光を被照射面に向かって集束させるために、最終レンズ面と被照射面との間の前記光の透過領域を液体で満たして用いられる液浸光学系であって、前記最終レンズ面が凹面形状と等価な回折光学素子を有することを特徴とする。
また、本発明に係る第2の液浸光学系は、光源からの光を被照射面に向かって集束させるために、最終レンズ面と被照射面との間の前記光の透過領域を液体で満たして用いられる液浸光学系であって、前記光を複数の光束に分割すると共に、前記複数の光束をマイナスの曲率により前記被照射面上の異なる位置に集光する分割集光手段を有することを特徴とする。
そして、本発明に係る露光装置は、画像形成手段と該画像形成手段により形成される画像を基板上に投影する投影光学系とを備え、前記画像と前記基板とを前記投影光学系に対し走査方向に同期して走査することにより前記画像を前記基板に露光する露光装置であって、前記投影光学系が前記の液浸光学系であることを特徴とする。
本発明によれば、液浸法を用いた光学系において、液浸媒質よりも最終レンズの屈折率が低い場合においても該光学系のNAを最終レンズの屈折率近傍以上に高めることが可能となる。また、該光学系を投影光学系に用いた露光装置は、開口数を高めつつ現状と同等の画面サイズで良好な結像性能を得ることができ、従来に比べて、より微細なパターン転写を高速で行うことができるようになる。
液浸光学系は、光源からの光を被照射面に向かって集束させるために、最終レンズ面と被照射面との間の前記光の透過領域を液体で満たして用いられるものである。
そして、本発明に係る第1の液浸光学系は、前記最終レンズ面が凹面形状と等価な回折光学素子を有することを特徴としている。
また、本発明に係る第2の液浸光学系は、光源からの光を複数の光束に分割すると共に、前記複数の光束をマイナスの曲率により前記被照射面上の異なる位置に集光する分割集光手段を有することを特徴としている。
第2の液浸光学系の好ましい実施の形態において、前記最終レンズ面を構成する硝材の屈折率は前記液体(液浸媒質)の屈折率より小さい。また、前記最終レンズ面は、前記複数の各光束が透過する部分が、該部分の光軸に集束する前記最大入射角以下の光束が含まれる領域以上の大きさの円形要素として二次元的に周期的に配置してある。ここで最大入射角は、開口数NAと前記液体の屈折率nとで規定されるarc(sin(NA/n))である。前記円形要素の周りは光吸収体または金属膜のような反射体で遮光することが好ましい。また、該液浸光学系の瞳面において、前記複数の光束の各々の中心部を周辺部よりも暗くする瞳フィルタを更に設けることが好ましい。前記最終レンズ面は、例えば、前記被照射面側のレンズ面が凹面であるマイクロレンズを前記円形要素として二次元的に周期的に配置してなるマイクロレンズアレイにより構成されている。
本発明に係る露光装置は、画像形成手段と該画像形成手段により形成される画像を基板上に投影する投影光学系とを備え、前記画像と前記基板とを前記投影光学系の光軸に交差する走査方向に同期して走査することにより前記画像を前記基板に露光する。いわゆる走査型露光装置である。そして、前記投影光学系が前記第1または第2の液浸光学系であることを特徴としている。この露光装置においては、像面照度を平滑化しながら走査して露光することが好ましい。
露光装置の好ましい実施の形態において、前記画像形成手段は、露光光により照明されるレチクルまたは露光光を変調する空間光変調器である。
以下の実施形態は、前記投影光学系が前記第2の液浸光学系である場合のものである。
像面照度を前記走査方向と該走査方向に直交する方向でほぼ同じにすべく、前記円形要素の周期方向が前記走査方向に対して傾くように前記最終レンズを設置してある。また、前記液浸光学系により分割集光される前記複数の各光束を前記各円形要素の中心付近にのみ到達させる選択または集光手段を有する。
前記露光光の光源がパルス発光するレーザである場合、前記レーザのパルス周期と前記走査の速度との積が前記円形要素の周期に一致することが好ましい。さらに、前記画像形成手段が空間光変調器を用いたものである場合、この空間光変調器が駆動していない停止時間を前記パルス周期および円形要素の周期に同期させることが好ましい。
以下、本発明の実施例および比較例を図面を用いて説明する。
[比較例]
先ず、本発明の比較例について図12を用いて説明する。図12において、不図示の光源からの光束15を、不図示の屈折系および反射系のうち少なくとも一方によって、物体13が配置された第1の面(像面)13aに最も近い最終レンズ11まで導く。さらに該最終レンズ11の物体側のレンズ面11aから射出した光を、該最終レンズ面11aと物体13(被照射面)との間の領域を満たす液体としての液浸媒質12を透過させる。ここで該最終レンズ11の物体側のレンズ面11aは、該光学系において最も物体13に近いレンズ面であり、以下、最終レンズ面という。そして該第1の面13a上に所定の光照射領域Lを形成する。最終レンズ11を透過した光束15は、最終レンズ面11aと液浸媒質12との境界面で透過または屈折し、集束するように物体13上に進む。
最終レンズ面11aは、像面に配置された物体(被照射体)13側に向かって凹形状を有する。また、最終レンズ面11aのうち第1の面13aに対して略直交する方向において、該最終レンズ面11a上の第1の点11bと第1の面13a上の第2の点13bとの間の距離が最大となる場合に、該距離をdとする。
入射光束15のうち光束L0は、物体13上の光照射領域Lの中央に集光し、光束L1は光照射領域Lの端に集光する。
ここで、第1の点11bは、一般には最終レンズ11の光軸(但し、該光軸上を光線が通る必要はない)若しくは回転対称軸上の点であり、別の表現を用いれば、最終レンズ面11aの中心である。また、上記光軸または回転対称軸と物体13上の第1の面との交点は、光照射領域Lの中心である。なお、図12において、第1の面13aは平面とし、収差がなく平面として形成された理想的な像面に相当する。
「第1の面13aに対して略直交する方向」とは、面13aに対して正確に直交する方向だけでなく、最終レンズ11や物体13の偏心や傾き等に起因する光学性能に影響を与えない誤差の許容範囲内で該直交方向に対して傾きを有する場合も含む意味である。また、この方向の直線を、以下の説明においては単に物体の法線と称する場合がある。
この光学系の数値例を挙げると、光照射領域Lのとき最大像高L/2は20mm程度である。また、液体の屈折率nは1.64、硝材の屈折率nは1.56、光学系の開口数NAは1.60、最終レンズの曲率rは−150mm、レンズ面と被照射面との最大距離d>8.2mmである。これらより、最大像高でのレンズ面と被照射面との法線上の距離>6.73mmである。
このような構成の液浸光学系を、光学装置の1つである半導体露光装置の投影光学系に適用した場合について、図2を併せ用いて説明する。図2において、本発明の一側面としての露光装置について説明する。ここで、図2は、露光装置1の概略構成を示す図である。露光装置1は、レチクル(原版)20のパターン(回路パターン)22を被照射体であるウエハ(基板)40に露光する投影露光装置である。露光装置1は、本実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置である。
露光装置1は、照明装置10と、レチクル20を載置するレチクルステージ25と、投影光学系30と、ウエハ40を載置するウエハステージ45を有する。
照明装置10は、転写用のパターン22が形成されたレチクル20を照明するもので、図示しない光源部と、図示しない照明光学系とを有する。光源部は、例えば、光源として、波長約193nmのArFエキシマレーザや波長約248nmのKrFエキシマレーザを使用する。または波長約157nmのFエキシマレーザを使用してもよいし、そのレーザの個数も限定されない。但し、光源の種類は、エキシマレーザに限定されず、例えば、複数のLED光源を配置しても良い(特開2006−201476)。照明光学系は、光源部からの光L1をレチクル20を照明する光学系であり、レンズ、ミラー、オプティカルインテグレータ、絞り等を含む。
レチクル20は、例えば、石英製で、転写されるべきパターン22が形成され、レチクルステージ25に支持及び駆動される。レチクル20のパターン22は、投影光学系30を介して、ウエハ40上に投影される。レチクル20とウエハ40は、光学的に共役の関係に配置される。露光装置1は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、レチクル20とウエハ40を走査することにより、レチクル20のパターン22を図2では図示しない液体の媒質を介してウエハ40上に転写する。
レチクルステージ25は、レチクル20を支持して図示しない移動機構に接続されている。レチクルステージ25は、当業界周知のいかなる構成をも適用できる。図示しない移動機構は、リニアモータなどで構成され、XY方向にレチクルステージ25を駆動することでレチクル20を移動させることができる。
投影光学系30は、レチクル20のパターンをウエハ40上に投影(結像)する。投影光学系30としては、複数のレンズ素子と少なくとも一枚の反射鏡とを有する反射屈折光学系、複数のレンズ素子のみからなる屈折光学系などを使用することができる。投影光学系30は、物面側(レチクル側)と像面側(ウエハ側)がともに、主光線がレンズ光軸に対して平行である略テレセントリックな光学系となっている。
なお、投影光学系30において、色収差の補正の必要な場合には、互いに分散値(アッベ値)の異なるガラス材からなる複数のレンズ素子を使用したり、回折光学素子をレンズ素子と逆方向の分散が生じるように使用したりする。
被照射体または被処理体は、本実施形態では、ウエハであるが、ガラスプレート、その他の被照射体または被処理体を広く含む。被照射体または被処理体には、フォトレジスト(感光剤)が塗布されている。
ウエハステージ45は、ウエハ40を支持する。ウエハステージ45は、当業界で周知のいかなる構造をも適用することができる。ウエハステージ45は、例えば、リニアモータを利用してXY方向にウエハ40を移動させることができる。例えば、レチクル20とウエハ40は同期走査され、ウエハステージ45とレチクルステージ25の位置は、レーザ干渉計などにより監視され、両者は一定の速度比率で駆動される。
露光工程において、照明装置10の光源部から発せられた光束は、照明光学系によりレチクル20を、例えばケーラー照明する。レチクル20に入射してマスクパターンを反映する光は、投影光学系30によりウエハ40上に結像される。この際、マスクパターンの像は、投影光学系30により縮小されてウエハ40上に形成される。
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る液浸光学系の要部構成を示す。該光学系の最終レンズ面301は、図1のような、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Elements)とする。この回折光学素子は光軸に沿って光線の進む方向に対してマイナスの曲率をもつ光学素子と等価なものであり、ブレーズド型の素子であっても良いし、バイナリ型の素子(BO:Binary Optics)でも良い。具体的には、図1の最終レンズ38のウエハ40側(像面側)のレンズ面(最終レンズ面301)の回折光学素子は、図12の第1の面13aに最も近いレンズ面11aの凹面形状と等価である。
本実施例の液浸光学系は、上述した図2に示すような露光装置1の投影光学系30として用いられる。
以下、図2の投影光学系30に注目してより詳しく、図1を参照して説明する。光源から照明光学系(照明装置)10およびレチクル20を介した光(ここでは、波長193nmのレーザ光とする)は、投影光学系30に入射し、該投影光学系30の最終レンズ38に到達する。
最終レンズに到達した光は、最終レンズ38から液浸媒質39を経て、被照射体であるウエハ40に光L4として照射される。ウエハ40上には、光と相互作用が生じるレジストが塗布してあり、ウエハ40上に、マスクのパターンが結像され、レジストにパターンが転写される。この場合、半導体露光のスループットを向上させるために、ウエハ40に転写されるパターン領域は、一定以上の大きさをもつことが必要である。ArFレーザを用いたスキャン方式の半導体露光装置では、レチクル(またはマスク)に光が照射される領域は、ある大きさを有するスリットにより決定され、ウエハ40上では、その領域の大きさに投影光学系の倍率を乗じた大きさの領域に光が結像される。
最終レンズの形状は、例えば図3(A)のように最終レンズ面301の反対側の面302は凸形状であっても良いし、図3(B)のように曲率のない平板であっても良い。但し、最終レンズ38の液体に接する面301はマクロ的にはほぼ平板とみなせ回折格子のような微細構造を持つ。
再び図1を参照して、通常、レチクルは6インチ角であり、投影光学系の倍率が1/4の場合、ウエハ40上に一度に光を照射する領域の最大長さLはL=26mm程度である。
図1において、最終レンズ38の液体に接する面301は回折格子であるが中央部分のみ誇張して示している。
ここで、前述したように、最終レンズ面が凹面である構成では、硝材の屈折率nと液浸媒質の屈折率nがn<nの場合、NAの最大値NAMAXは、液浸媒質の屈折率nと液浸媒質への最大入射角θとで決定される。すなわち、
NAMAX=n×sinθ
となる。sinθの理論上の最大値は1に近づき、NAを液浸媒質の屈折率nの近傍にまで高めることができる。最終レンズ面の形状を凹面形状とすると光軸近傍で像面との間隔があいてしまう。しかし、凹面(マイナスの曲率)と等価な回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Elements)とすると最終面は回折光学素子の凹凸のみになりミクロン程度になる。
例えば、波長193nmの投影光学系において、硝材の屈折率をn=1.56、液浸倍率の屈折率をn=1.64とすると、回折光学素子の深さδは以下のようになる。
δ=(2n+1)λ/(2(n−n))
すなわち、回折光学素子の深さδは、n=0で1.2μm、n=1で3.6μmとなる。
先ほどの図12の数値例で最終レンズ面と被照射面との最大距離d>8.2mmのとき、最大像高での最終レンズ面と被照射面との法線上の距離>6.73mmであったから、被照射面内でのレンズの深さは1.47mm以上あることになる。この光路長差1.47(n−n)mmを収差補正するためにd>8.2mm必要であった。しかし、数μmの凹凸の場合は光路長差が1/1000になったことに相当し、単純にはレンズ面と被照射面との最大距離dもその程度まで縮小することは光学設計上可能であると考えられる。
前述の液浸媒質の厚さは0.4(mm)まで許容できるとすると、回折光学素子の深さを考慮したレンズ面と被照射面との最大距離はこれ以下にすることができる。
このような光学系では、光軸上の画面の中心付近ではNAによって規定される最大入射角以下のすべての光を像面上に結像させるので像性能がよいが、光軸を離れた画面の周辺に行くほど入射角度の大きい光がけられてしまうため像性能が悪化する。
そこで、像面上に結像位置をずらして走査露光すると、像性能が平均化され、画面上で一様な像性能が得られる。
あるいは投影光学系30が反射屈折光学系であった場合には、画面中心が光学系の軸から偏心していることが多い。そのようなときには図4(A)のように回折光学素子の中心102を光学系の軸101から偏心させて画面(被照射面)中心と一致させるようにしても良い。すなわち、回折光学素子と等価な凹面の中心位置を画面中心と一致させることである。画面の領域Lが光学系の軸を含まないような最終面の半分以下しか光線が通過しない場合、図4(B)のように180度対称な位置に回折光学素子を配置すると良い。すると、最終レンズが劣化したときなど、最終レンズを180度回転させることによって劣化していない部分を用いることができる。
なお、図4(A)および図4(B)は回折光学素子を例示的に示したものであって、実際の形状とは異なるものである。
光軸を離れた画面の周辺で入射角度の大きい光がけられると、垂直に入射する光が多く入射しフレアとなって像のコントラストを劣化させる要因となる。そのため図2に示すように、投影光学系30の瞳面において、入射角度の大きい光の成分を強調し、像のコントラストを劣化させる要因となる低周波成分を減衰させる瞳フィルタ150を用いてもよい。
[実施例2]
図5は、本発明の実施例2に係る液浸光学系の要部構成を示す。該光学系30の最終面の光軸に沿った断面は、図5のような、マイクロレンズ31が並んだマイクロレンズアレイとする。ここで、個々のマイクロレンズはDOEまたはBOとしてもよい。
マイクロレンズ31は光軸に沿って光線の進む方向に対してマイナスの曲率をもつ光学素子である。すなわち、マイクロレンズ31の被照射体(ウエハ)40の表面(被照射面)側のレンズ面は凹面である。マイクロレンズアレイにおいて、マイクロレンズ31は、光軸に直交する平面では図6(A)または図6(B)のように二次元的に周期的に配列しているものとする。
図6(A)または図6(B)は、マイクロレンズアレイの配置例を示す図である。マイクロレンズアレイは、図6(A)または図6(B)に示すように、マイクロレンズ31が一定の間隔を隔てて形成されている。各々のマイクロレンズは、光L4をウエハ(被照射面)40に集光し、集光スポット列を形成する。
また、ウエハ40に露光すべきパターンに対して相対的に、マイクロレンズアレイを図に示すx方向に走査させることによって、パターン上のスポットは軌跡TRのように走査され、パターン全域をウエハ40に転写することができる。更に、マイクロレンズアレイのマイクロレンズの配列方向をxy平面内で傾けて(傾き角φ)配列することによって、y方向のスポット間隔(s・sinφ)をマイクロレンズの間隔(s)より狭めることができ、y方向の照度分布を均一にすることができる。
露光装置ではスキャン方向に対して、マイクロレンズの配列方向をxy平面内で傾けてあり、スキャン後の像面照度がスキャン方向とスキャンの直行方向で同程度となるように、スキャン方向がマイクロレンズの配列の方向と関連付けられている。例えば図6(B)のような横方向と縦方向のピッチが等しい二次元的な配置はスキャン方向とスキャンの直交方向で対称性が良い。一方、図6(A)のような60度ごとに回転対称性があるもの(マイクロレンズを蜂の巣状に配置したもの)はx方向に最短ピッチを持つような周期的な方向を15度付近の傾けて配置すると良い。また、後で述べるが、レーザのパルスごとにマイクロレンズアレイのピッチと重なるように走査するようになっている。
なお、図5、図6(A)および図6(B)では、最終レンズ38の液体に接する面301のマイクロレンズアレイの中央部分のみを誇張して示している。最終レンズ38の形状は、例えば図3(A)のように最終レンズ面301の反対側の面302は凸形状であっても良いし、図3(B)のように曲率のない平板であっても良い。但し、最終レンズ38の液体に接する面301はマイクロレンズアレイのような微細構造をもつ。あるいは、図3(C)のように面302もマイクロレンズアレイのような微細構造をもっても良い。図中の301m、302mは面301、302の拡大部分を示している。但し面302のマイクロレンズアレイのそれぞれレンズの曲率中心位置(x,y)と面302のマイクロレンズアレイのそれぞれレンズの曲率中心位置(x,y)を一致させている。
このような構成の液浸光学系を、実施例1で示したような露光装置1の投影光学系に適用した場合について、図2を併せ用いて説明する。ここで、図2は、露光装置1の概略構成を示す図であり、実施例1に詳細を示している。
露光装置1における、投影光学系30の最終面については図5を用いて説明する。光源から照明装置10およびレチクル20を介した光(ここでは、波長193nmのレーザ光とする)は、投影光学系30に入射し、該投影光学系30の最終レンズ38に到達する。
最終レンズに到達した光は、最終レンズ38から液浸媒質39を経て、被照射体であるウエハ40に光L4として照射される。ウエハ40上には、光と相互作用が生じるレジストが塗布してあり、ウエハ40上に、マスクのパターンが結像され、レジストにパターンが転写される。光L4からの離散的な集光点も走査露光することによって像面では平滑化され、画面上で一様な像性能が得られる。
図7はマイクロレンズアレイの断面構造の詳細を示したもので、図の斜線で示された部分が硝材を示している。
マイクロレンズアレイのピッチは光学系のNAと媒質の屈折率nと像面との間隔(最小の間隔d’)から求められる。
すなわち、NA=n・sinθ、NA=1.55、n=1.64のとき、θ=arc(sin(NA/n))=70.9(deg.)である。ここで、d’=0.1(mm)とすると、マイクロレンズアレイの半径はr=0.29(mm)、したがって最小ピッチは0.58(mm)となる。
また、マイクロレンズの中心と像面との間隔dはマイクロレンズの曲率Rに関連し、R=−150(mm)のとき、d=0.1003(mm)となる。マイクロレンズの凹みは0.3μm程度となり、非常に小さなものになる。
前述のように液浸媒質の厚さは0.4(mm)まで許容できるとすると、実施例1と同様な理由でマイクロレンズと被照射面との間隔は問題とならないように設定することができる。
またマイクロレンズの配列方向はスキャン方向に対して、xy平面内で傾けてある。レーザのパルスごとにマイクロレンズアレイのピッチと重なるようにすると効率が良くなるが、簡単な例を図6(B)で説明する。
スキャン方向とスキャンの直交方向のピッチは、マイクロレンズの配列方向とスキャンの方向との傾き角φとマイクロレンズの間隔sを用いて、s・sinφである。スキャン速度をvとして、1パルスあたりの時間をτ、1パルス後にスキャン方向の隣のピッチに進むとすると、
vτ=s・sinφ
となる。v=500mm/secとして、8kHzのレーザを用いた場合、マイクロレンズアレイのピッチを0.5(mm)とすると、φ=7.2(deg.)となる。
マイクロレンズそれぞれの光軸付近では、NAと液浸媒質の屈折率nとで規定される最大入射角arc(sin(NA/n))以下のすべての光を像面上に結像させるので、マイクロレンズのピッチごとに像性能がよい。マイクロレンズとマイクロレンズの間に入射する光や、マイクロレンズが最小ピッチ以上に離れている場合にはマイクロレンズの光軸を中心とするNAによって規定される広がりの外側に入射する光はフレア光となる。
フレア光となって結像に関与しない光を遮光するためには、マイクロレンズとマイクロレンズの間や、マイクロレンズが最小ピッチ以上に離れている場合にはNAによって規定される広がりの外側に遮光体(遮光膜)を設けて光を遮光するようにしても良い。遮光体または遮光膜としては、金属や光吸収体などを用いることができる。
図8(A)は最小ピッチ以上のマイクロレンズの間に金属などの遮光体(遮光膜)302を設けて光を遮光するようにした光学系最終面(最終レンズ面)の断面図である。光軸と直交した光学系最終面の平面図は図8(B)のようになる。
[実施例3]
実施例3に係る液浸光学系では実施例2同様、該光学系の最終面の光軸に沿った断面は、図5のようなマイクロレンズアレイである。マイクロレンズは光軸に沿って光線の進む方向に対してマイナスの曲率をもつ光学素子であり、光軸に直交する平面では図6(A)または図6(B)のように周期的に配列している。マイクロレンズから結像した光線L4は像面であるウエハ面上でマイクロレンズそれぞれの光軸に沿って結像する。マイクロレンズの光軸を離れたところに光線が入射した場合、フレア光となるため、結像に関与しない。したがって、像面上でのマイクロレンズによる結像位置のピッチはマイクロレンズのピッチと等しくなる。
実施例3ではこのような構成の液浸光学系を、実施例2の露光装置1を変形させた露光装置1A、1B、1Cの投影光学系に適用する。図5と、図9(A)、(B)、(C)を併せ用いて説明する。露光装置1A、1B、1Cは図5の露光装置1に集光光学系100を加えたものである。ここで、図9(A)、(B)、(C)はそれぞれ、露光装置1A、1B、1Cの概略構成を示す図である。露光装置1A、1B、1Cにおける、投影光学系30の最終面については図5から図8(B)に示すようになっている。
図9(A)〜(C)において、集光光学系100は、照明光学系(照明装置10)からの光L1を用いて、レチクル20を照明する光学系であり、本実施例では、光学素子または光学部材120と、ステージ190とを有する。なお、本実施例では、集光光学系100と照明光学系とを分けているが、集光光学系100が照明光学系の一部を構成してもよい。また、光学部材120や光学部材120に近接して配置される素子には、光吸収による発熱の影響を低減させるために、水や気体を循環させる冷却機構やペルチェ素子などの冷却機構を備えてもよい。図9(A)は光学部材120として遮光板を、図9(B)は光学部材120としてマイクロレンズアレイを、そして、図9(C)は光学部材120として回折格子を用いる例を示している。マイクロレンズアレイは、フレネルゾーンプレートなどの回折光学素子で形成してもよいし、CGH(Computer Generated Hologram)を用いてもよい。これらの光学部材120を通して選択または集光された光L2は像面側の集光された光L4と1対1に対応するようになっている。
投影光学系30は物体側と像側がともに、主光線がレンズ光軸に対して平行であるテレセントリックな光学系となっている。そのため、物体側の光線L2の集光点のピッチに投影光学系の倍率をかけたものが像側の光線L4のピッチとなっている。
すなわち、像側の光線L4のピッチは光学系のNAと最終面と像面との間隔で決まり、これに対応するような集光光学系100の光学部材120のピッチとなっている。
集光光学系100は、照明装置10からの光L1を複数の光L2に分割する。また、集光光学系100は、複数の光L2をレチクル20上の異なる位置に集光する。但し、光学部材120が遮光板である場合、集光光学系100は、複数の光L2をレチクル20上の異なる位置に導光する。
なお、集光光学系100の代わりに、集光光学系100のスポットごとに光源を対応させた複数のLED光源を用いても良い。複数のLED光源は互いに干渉せず、インコヒーレントな像となる。
ステージ190は、集光光学系100(本実施例では、光学部材120)を支持及び駆動する。ステージ190は、当業界で周知のいかなる構成をも適用することができる。ステージ190は、例えば、リニアモータを利用してXYZ方向(水平垂直方向)に集光光学系100を移動させることができる。この機構により像面側L4の集光点と物面側の集光点L2の位置合わせを行うことができる。
ここで、光学部材120によって集光された光L2について説明する。複数の光L2は、レチクルステージ25に支持されたレチクル20のパターン22(パターン面)に集光し、複数のスポットを形成する。レチクル20において、複数の光L2の一部は、パターン22によって吸収または位相変調される。一方、複数の光L2のうちレチクル20を透過した光L3は、投影光学系30に入射する。
光L3は、投影光学系30で屈折及び/または反射され、複数の集束光L4となり、ウエハ40上に複数のビームスポットを形成する。かかるビームスポットが、被照射体であるウエハ40に塗布されたレジスト等の感光材または熱反応材にレチクル20のパターン22を形成する。
本実施例では、レチクル20のパターン22で集光された複数のスポットから生じる光L3は、互いにコヒーレンス度が低いため、ウエハ40における複数のビームスポット強度の和が、像形成に寄与する。そのため、照明光が複数の光L2に分割されても干渉による悪化はない。
レチクル20において、複数の光L2の一部はパターン22によって吸収され、複数の光L2のうちレチクル20を透過した(即ち、パターン22以外の領域を通過した)光L3は、投影光学系30に入射する。なお、レチクル20を透過した光L3には、レチクル20のパターン22に従って回折光が含まれる。光学部材120の製造誤差から発生する低周波成分や、光学部材120がマイクロレンズアレイであった場合に各マイクロレンズの間の隙間から生じる低周波成分(0次光)を投影光学系30の瞳面に配置された瞳フィルタ150によって遮光してもよい。
瞳150を透過した光は、投影光学系30で屈折及び/または反射し、複数の集束光L4となり、ウエハ40上に複数のビームスポットを形成する。かかるビームスポットが、ウエハ40上に塗布されたレジスト等の感光材または熱反応材にレチクル20のパターン22を形成する。
露光装置1A及び1Cが用いる瞳フィルタ150は、投影光学系30が通常の屈折光学系である場合、金属や、反射防止膜をコーティングした金属で構成される遮光体を使用すればよい。これにより、投影光学系30における不要な反射光を防止し、高い遮光性能を得ることができる。勿論、反射防止膜は、反射防止効果を得られるように、表面に微細加工を施した構造でもよい。
瞳フィルタ150は、反射型であってもよい。
レチクル20を透過した光L3は、瞳フィルタ150に入射し、光L3の一部が反射膜で反射され、反射光となり、ウエハ40上の結像に寄与する。光L2のうち、反射膜で反射されない光は、透過光となり、ウエハ40上の結像には寄与しないようにしても良い。
瞳150から最終レンズ38に到達した光は、最終レンズ38から液浸媒質39を経て、被照射体であるウエハ40に光L4として照射される。ウエハ40上には、光と相互作用が生じるレジストが塗布してあり、ウエハ40上に、マスクのパターンが結像され、レジストにパターンが転写される。光L4からの離散的な集光点も走査露光することによって像面では平滑化され、画面上で一様な像性能が得られる。
[実施例4]
本発明の実施例4に係る液浸光学系の図10(A)、(B)、(C)に要部構成を示す。図10(A)、(B)、(C)は本発明をマスクレス投影露光装置に適用した場合の概略図である。マスクレス投影露光装置においては、マスク(またはレチクル)の代わりに、空間光変調器等の画像形成手段を用いる。
実施例4では実施例2、3同様、液浸光学系30の最終面の光軸に沿った断面は、図5のようなマイクロレンズアレイである。マイクロレンズは光軸に沿って光線の進む方向に対してマイナスの曲率をもつ光学素子であり、光軸に直交する平面では図6(A)または図6(B)のように周期的に配列している。
実施例4ではこのような構成の液浸光学系を、実施例3の露光装置1Bを変形させた露光装置2A、2Bの投影光学系に適用する。図5と、図10(A)および図10(B)を併せ用いて説明する。
露光装置2A、2Bは図9(B)に示す露光装置1Bのレチクル20を反射型の空間光変調器(SLM)200に変えたものである。空間光変調器は、例えば、液晶パネル、DMD(Deformable Mirror Device)、GLV(Grating
Light valve)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などである。なかでもDMDは反射体の表面の形状を変化させて光の変調を行うもので、高コントラスト、高安定性であり、また比較的に短い波長で使用できるので露光装置に好適である。
図10(A)において、照明光学系(照明装置10)からの光L1はミラーまたはプリズムのような反射面で反射し、集光光学系100を経て、空間光変調器200に入射する。集光光学系100は、照明光学系(照明装置10)からの光L1をスポット光L2に集光する集光用の光学部材120とこれらを支えるステージ190からなる。空間光変調器200はDMDのような反射体の表面の形状を変化させて反射角度を個別の単位要素222ごとに変調させる光変調素子220とこれらを支えるステージ221とからなる光学系である。
あるいは、図10(B)の露光装置2Bで示すように、照明光学系(照明装置10)からの光L1は光分割器/結合器に入射し、光L1は信号光と参照光L5に分割される構成も考えられる。このような露光装置は、例えば、特開2006−93487に記載されている。
あるいは、図10(C)の露光装置2Cで示すように、照明光学系(照明装置10)からの光L1は空間光変調器200に対して斜入射する構成も考えられる。図10(C)にあるように斜入射し、GLVを用いた光学系としては、例えば特開2006−93460に記載されたものを応用することができる。
光学部材120等を通して集光された光L2は、空間光変調器200により反射し、反射光と回折光(あるいはそのどちらか)が投影光学系30に入射する。光変調素子220を構成する単位要素222はコンピュータ制御により、単位要素ごとに反射面の角度が調整される。すなわち、光学系入射として指示された場合、反射光と回折光(あるいはそのどちらか)が投影光学系に入射するように反射面の角度を調整する。一方、光学系入射として指示されなかった場合、反射光と回折光(のどちらも)が投影光学系に入射しないように反射面の角度を調整するものである。投影光学系に入射させない光は例えば図10(C)のように光L6として光学系の外に射出され吸収体50などに吸収される。投影光学系30の物面側の集光された光L2は、光変調素子220により変調され、投影光学系30を通過した後、像面側の集光された光L4と1対1に対応するようになっている。
投影光学系30は物体側と像側がともに、主光線がレンズ光軸に対して平行であるテレセントリックな光学系となっているために、物体側の光線L2の集光点のピッチに投影光学系の倍率をかけたものが像側の光線L4のピッチとなっている。
また、空間光変調器200の単位要素222のピッチと像面上での所望の解像力に応じて倍率は決定される。所望の解像力に比べて空間光変調器の単位要素222のピッチが大きいために倍率は非常に小さくなり、例えば1/10程度であってもよい。例えば前述の例で像面側のNAが1.55、L4のピッチが0.56mmのとき、倍率が1/4だったら、物面側のNAが0.3875、L2のピッチが2.24mmとなる。一方、倍率が1/10なら、物面側のNAは0.155、L2のピッチは5.6mmとなる。
物面側の集光点L2のピッチが大きすぎるため、空間光変調器の素子のピッチにより、光L2が当たらない場所ができてしまうが、高速にスキャンすることにより、1つの要素から次の要素上に移動させることによってすべての要素に光が当たるようにする。
空間光変調器が駆動しているときや、光変調素子の要素間に光があたってしまうと散乱光となり、フレアなどの悪影響を与える。そのため、図6(A)または図6(B)のような光L2のスポットの配列の方向と空間光変調器の傾きを考慮し、次の要素上に移動したときに光源のパルスがあたり、空間光変調器が駆動していない停止時間を同期させると効率が良い。すなわち、レーザのパルス周期とスポットが最終レンズ面における円形要素(または空間光変調器の単位要素)に当たる周期と空間光変調器が駆動していない停止時間とを同期させると良い。
集光光学系100は、照明装置10からの光L1を複数の光L2に分割する。また、集光光学系100は、複数の光L2を空間光変調器200上の異なる位置に集光する。
ステージ190は、集光光学系100を支持及び駆動する。ステージ190は、当業界で周知のいかなる構成をも適用することができる。ステージ190は、例えば、リニアモータを利用してXYZ方向(水平垂直方向)に集光光学系100を移動させることができる。この機構により像側L4の集光点と物体側の集光点L2の位置合わせを行うことができる。
ここで、光学部材120によって集光された光L2について説明する。複数の光L2は、空間光変調器200の単位要素(パターン)222に集光し、複数のスポットを形成する。
空間光変調器200において、複数の光L2の一部は、単位要素222によって反射される。一方、複数の光L2のうち単位要素222によって反射された光L3は、投影光学系30に入射する。
光L3は、投影光学系30で屈折及び/または反射され、複数の集束光L4となり、ウエハ40上に複数のビームスポットを形成する。かかるビームスポットが、ウエハ40に塗布されたレジスト等の感光材または熱反応材に空間光変調器200の単位要素222群が形成するパターンを転写する。
本実施例では、空間光変調器200の単位要素222で集光された複数のスポットから生じる光L3は、互いにコヒーレンス度が低いため、ウエハ40における複数のビームスポット強度の和が、像形成に寄与する。そのため、照明光が複数の光L2に分割されても干渉による悪化はない。
マイクロレンズ31(図5)から結像した光線L4は像面であるウエハ面上でマイクロレンズそれぞれの光軸にそって結像する。マイクロレンズ31の光軸を離れたところに光線が入射した場合、フレア光となるため、結像に関与しない。したがって、像面上でのマイクロレンズによる結像位置のピッチはマイクロレンズのピッチと等しくなる。
瞳150から最終レンズ38に到達した光は、最終レンズ38から液浸媒質39を経て、被照射体に相当するウエハ40上(被照射面)に光L4として照射される。ウエハ40上には、光と相互作用が生じるレジストが塗布してあり、ウエハ40上に、空間光変調器のパターンが結像され、レジストにパターンが転写される。光L4からの離散的な集光点も走査露光することによって像面では平滑化され、画面上で一様な像性能が得られる。
本実施例に示すように、パターン像形成手段(画像形成手段)はレチクルあるいはマスクに限られるものではなく、空間光変調器(SLM)などでも良いし、透過型、反射型の双方に適用できることが理解できる。
[デバイス製造方法の実施例]
次に、図13および図14を参照して、上述の露光装置を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図13は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造方法を例に説明する。
ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンに基づいてマスク(原版またはレチクルともいう)を製作する。ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハ(基板ともいう)を製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、マスクとウエハを用いて、上記の露光装置によりリソグラフィ技術を利用してウエハ上(基板上)に実際の回路を形成する。ステップ5(組立)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組立工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、それが出荷(ステップ7)される。
図14は、ステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウエハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)では、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)では、ウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
本発明の実施例1に係る液浸光学系の構成を示す図である。 本発明の適用対象の1つである露光装置の構成を示す図である。 図1の液浸光学系における最終レンズの像面側の構造例を示す断面図である。 図1の液浸光学系における最終レンズの像面側の他の構造例を示す断面図である。 図3(A)および(B)の最終レンズの物面側である最終レンズ面の構造例を示す断面図である。 図1の液浸光学系の最終レンズ面における回折光学素子の構造例を示す平面図である。 図1の液浸光学系の最終レンズ面における回折光学素子の他の構造例を示す平面図である。 本発明の実施例2に係る液浸光学系の構成を示す図である。 図5の液浸光学系の最終レンズ面に用いられる、マイクロレンズを蜂の巣状に配置したマイクロレンズアレイの例を示す図である。 図5の液浸光学系の最終レンズ面に用いられる、マイクロレンズを横方向と縦方向に等ピッチで配置したマイクロレンズアレイの例を示す図である。 図6(A)および(B)におけるマイクロレンズアレイの断面構造の詳細を示す図である。 最小ピッチ以上のマイクロレンズの間に遮光体(遮光膜)を設けた最終レンズの断面図である。 図8(A)における最終レンズ面の平面図である。 本発明の実施例3に係る露光装置の第1の構成例を示す図である。 本発明の実施例3に係る露光装置の第2の構成例を示す図である。 本発明の実施例3に係る露光装置の第3の構成例を示す図である。 本発明の実施例4に係る露光装置の第1の構成例を示す図である。 本発明の実施例4に係る露光装置の第2の構成例を示す図である。 本発明の実施例4に係る露光装置の第3の構成例を示す図である。 液浸光学系の最終レンズから被照射面に至る光線の進行状態の説明図である。 本発明の従来例に係る液浸光学系における最終レンズ面の構成を説明するための図である。 露光装置を使用したデバイスの製造を説明するためのフローチャートである。 図13に示すフローチャートにおけるステップ4のウエハプロセスの詳細なフローチャートである。
符号の説明
1、1A、1B、1C、2A、2B、2C 露光装置
10 照明装置
20 レチクル(原版)
25 レチクルステージ
30 投影光学系(液浸光学系)
31 マイクロレンズ
38 最終レンズ
39 液浸媒質(液体)
40 ウエハ(被照射体または基板)
45 ウエハステージ
100 集光光学系
120 光学部材
150 瞳(または瞳フィルタ)
200 空間光変調器(画像形成手段)
301 最終レンズ面(最終面)
301m 最終レンズの物面側の面(最終レンズ面)
302m 最終レンズの像面側の面
302 遮光体(遮光膜)

Claims (14)

  1. 光源からの光を被照射面に向かって集束させるために、最終レンズ面と被照射面との間の前記光の透過領域を液体で満たして用いられる液浸光学系であって、
    前記最終レンズ面が凹面形状と等価な回折光学素子を有することを特徴とする液浸光学系。
  2. 光源からの光を被照射面に向かって集束させるために、最終レンズ面と被照射面との間の前記光の透過領域を液体で満たして用いられる液浸光学系であって、
    前記光を複数の光束に分割すると共に、前記複数の光束をマイナスの曲率により前記被照射面上の異なる位置に集光する分割集光手段を有することを特徴とする液浸光学系。
  3. 前記最終レンズ面は、開口数をNA、前記液体の屈折率をnとしてarc(sin(NA/n))で表わされる最大入射角に関し、前記複数の各光束が透過する部分が、該部分の光軸に集束する前記最大入射角以下の光束が含まれる領域以上の大きさの円形要素として二次元的に周期的に配置したことを特徴とする請求項2に記載の液浸光学系。
  4. 前記円形要素の周りを光吸収体または反射体で遮光したことを特徴とする請求項3に記載の液浸光学系。
  5. 該液浸光学系の瞳面において、前記複数の光束の各々の中心部を周辺部よりも暗くする瞳フィルタを更に有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の液浸光学系。
  6. 前記最終レンズ面は、前記被照射面側のレンズ面が凹面であるマイクロレンズを前記円形要素として二次元的に周期的に配置してなるマイクロレンズアレイにより構成されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の液浸光学系。
  7. 前記液体の屈折率よりも前記最終レンズ面を構成する硝材の屈折率のほうが小さいことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の液浸光学系。
  8. 画像形成手段と該画像形成手段により形成される画像を基板上に投影する投影光学系とを備え、前記画像と前記基板とを前記投影光学系に対し走査方向に同期して走査することにより前記画像を前記基板に露光する露光装置であって、
    前記投影光学系が請求項1乃至7のいずれかに記載の液浸光学系であることを特徴とする露光装置。
  9. 像面照度が前記走査方向と該走査方向に直交する方向でほぼ同じにすべく、前記円形要素の周期方向が前記走査方向に対して傾くように前記最終レンズを設置することを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
  10. 前記液浸光学系により分割集光される前記複数の各光束を前記各円形要素の中心付近にのみ到達させる選択または集光手段を有することを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
  11. 前記画像形成手段は、露光光により照明されるレチクルまたは露光光を変調する空間光変調器であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の露光装置。
  12. 前記露光光の光源がパルス発光するレーザであり、前記レーザのパルス周期と前記走査の速度との積が前記円形要素の周期に一致することを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
  13. 前記空間光変調器が駆動していない停止時間を更に同期させることを特徴とする請求項12に記載の露光装置。
  14. 請求項8乃至13のいずれか1つに記載の露光装置を用いて基板を露光するステップを有することを特徴とするデバイス製造方法。
JP2007126242A 2007-05-11 2007-05-11 液浸光学系、露光装置およびデバイス製造方法 Pending JP2008283007A (ja)

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