本発明は、プロジェクタ、プロジェクションディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイなど光学系を通して画像を表示する画像表示装置に好適な画像処理技術に関する。
照明光を画像データに基づいて空間光変調して画像光として出射する画像表示素子を使用して、該画像表示素子から出射された画像光を光学系を通してスクリーンに表示する投射型画像表示装置などでは、画像表示素子では画素ごとに明確に区切られた範囲で各画素の表示が行われるが、それをスクリーンに拡大投射するためには各種の光学系を通して投射することが必要となる。しかし、レンズやフィルタなどの各種光学的な部品を通すごとに収差が発生し、それにより本来の画素の表示範囲外の隣接する画素にまで影響を与えることになってしまう。また、画像表示素子への光源からの光の特性や、画像表示素子の光源からの光を受けて画像光を出す特性によっても、本来の画素の表示範囲外の隣接する画素にまで影響を与えることが発生することがある。隣接画素への影響が非常に狭い範囲に限定される場合には、画像表示素子の画素間にブラックマトリックスを設けることにより、その影響を防止することができるが、ブラックマトリックスにより光の利用効率が低下してしまう。この光の利用効率の低下は、影響する範囲が広くなるほど無視できないものとなることから、大きな範囲のブラックマトリックスは使用することは現実的ではなく、影響範囲が狭い場合にしか用いることができない。
また、従来、特許文献1に記載のように、1フレームの画像データを複数のサブフレームの画像データに分割して、画素ずらしを行い、時分割して表示することで、画像表示素子の解像度以上の表示を実現する投射型画像表示装置が知られているが、この種の画像表示装置では、元の画素の表示範囲が表示解像度の画素の表示範囲より大きい場合には、他の画素の表示により影響を与えてしまい、画像のボケやにじみ、コントラストの低下などを発生させていた。図36は、縦横1/2ピッチ画素ずらしを行い、各々2倍の解像度の表示を行う例であり、表示する画素の大きさは丸印1の四角の範囲であるが、画像表示素子の一画素が表示する範囲は網掛けで示したaの範囲であることから、周囲の画素の表示により大きな影響を与えてしまい、画像のボケやにじみ、コントラストの低下などが発生する。このため、特許文献1では、画像表示素子の液晶セルから出射した光が投射光学系の光軸に対して平行になるような、液晶レンズアレイの特性が凸レンズの場合には、その光路を平行光にもどすような凹レンズアレイとするような光学素子を設けることで、元の画素の表示範囲が表示解像度の画素の表示範囲と合うようにすることを行っているが、全体の液晶の特性を合わせる正確な制御と、光学素子の設置が難しく、高コストなものとなってしまう。
また、特許文献2に記載のように、単位画素がRGBの順番に配列されたストライプ構造あるいは単位画素のRGBの順番が画面の垂直位置によって異なるモザイク構造を有する画素構造を持つディスプレイ(直視型の画像表示装置)では、RGB信号の信号レベルが急激に変化する領域で、本来RGB信号で単位画素を表わす場合、ディスプレイの構造上、RGB信号が空間的に異なる位置から出力され単位画素として表示されることで色にじみが目立つ場合があるが、引用文献2では、これを内挿によるデジタル信号処理で補正することにより改善している。さらに、白色または黒色の線幅を判定し、この線幅が細いほど、信号レベルの補正量を少なく設定することで、補正による白色または黒色線のコントラスト低下を抑えている。しかし、RGBの画素を各々1つの画素と考えて、隣接画素の表示への影響を低減しようとすると、画像の変化する境界部が滑らかになり、より画像がボケる方向になってしまい、光学系を通して画像を表示する投射型画像表示装置などには効果がほとんどない。
特開2003−228072号公報
特開2003−241731号公報
本発明は、上記のような課題を解決し、光学系を通して画像を表示する投射型画像表示装置、特に1フレームの画像データを複数のサブフレームの画像データに分割し、画素ずらしを行い時分割して表示することで、表示素子の解像度以上の表示を実現する投射型画像表示装置などに適した画像処理方法を提供することにある。
詳しくは、本発明は、画像データを表示のために出力するのに先立ち補正処理することで、低コストでもって、ある画素の表示が他の画素の表示に影響を与えることにより発生する画像のボケや、コントラストの低下などを軽減して本来の表示に近付け、より見易い画像を表示するための画像処理方法およびそれを実施する画像表示装置を提供することにある。
請求項1の発明は、画像データを入力し、各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一であり、他方の画素の画素値が補正対象画素の画素値と異なる値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項2の発明は、カラー画像データを入力し、複数の色成分で構成される各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して、補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値と補正対象画素の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の画素の画素値が少なくとも一つの色成分で補正対象画素の画素値と異なる値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項3の発明は、画像データを入力し、各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一であり、他方の画素の画素値が補正対象画素の画素値より大きな値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項4の発明は、カラー画像データを入力し、複数の色成分で構成される各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して、補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値と補正対象画素の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の画素の画素値が少なくとも一つの色成分で補正対象画素の画素値より大きな値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項5の発明は、画像データを入力し、各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一であり、他方の画素が補正対象画素の画素値より小さな値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項6の発明は、カラー画像データを入力し、複数の色成分で構成される各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して、補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値と補正対象画素の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の画素が少なくとも一つの色成分で補正対象画素の画素値より小さな値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項7の発明は、画像データを入力し、各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して、補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一であり、他方の画素の画素値が補正対象画素の画素値と異なる値を有し、さらに、前記他方の画素に隣接し、且つ前記他方の画素からみて補正対象画素の反対側に位置する画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一の値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項8の発明は、カラー画像データを入力し、複数の色成分で構成される各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して、補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値と補正対象画素の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の画素が少なくとも一つの色成分で補正対象画素の画素値と異なる値を有し、さらに、前記他方の画素に隣接し、且つ前記他方の画素からみて補正対象画素の反対側に位置する画素の画素値が各々の色成分毎に補正対象画素の画素値と同一の値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項9の発明は、画像データを入力し、各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して、補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一であり、他方の画素の画素値が補正対象画素の画素値より大きな値を有し、さらに、前記他方の画素に隣接し、且つ前記他方の画素からみて補正対象画素の反対側に位置する画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一の値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項10の発明は、カラー画像データを入力し、複数の色成分で構成される各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して、補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値と補正対象画素の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の画素が少なくとも一つの色成分で補正対象画素の画素値より大きな値を有し、さらに、前記他方の画素に隣接し、且つ前記他方の画素からみて補正対象画素の反対側に位置する画素の画素値が各々の色成分毎に補正対象画素の画素値と同一の値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項11の発明は、画像データを入力し、各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一であり、他方の画素の画素値が補正対象画素の画素値より小さな値を有し、さらに、前記他方の画素に隣接し、且つ前記他方の画素からみて補正対象画素の反対側に位置する画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一の値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項12の発明は、カラー画像データを入力し、複数の色成分で構成される各画素を補正対象画素として、少なくとも一方向に対して、補正対象画素に隣接する一方の画素の画素値と補正対象画素の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の画素が少なくとも一つの色成分で補正対象画素の画素値より小さな値を有し、さらに、前記他方の画素に隣接し、且つ前記他方の画素からみて補正対象画素の反対側に位置する画素の画素値が各々の色成分毎に補正対象画素の画素値と同一の値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項13の発明は、前記補正対象画素に隣接する前記他方の画素の画素値と前記補正対象画素の画値値との差に対応した値を補正値とし、前記補正値を前記補正対象画素の画素値に付加することで、前記補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項14の発明は、複数方向にて補正条件を満たした場合に、満たした方向のうちのより小さい補正値を用いて補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項15の発明は、複数方向にて補正条件を満たした場合に、満たした方向のうちのより大きい補正値を用いて補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項16の発明は、複数方向にて補正条件を満たした場合に、満たした方向の組合せにより、予め定められた方向の補正値を用いて補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項17の発明は、複数方向にて補正条件を満たした場合に、満たした複数方向の補正値の中間値を用いて補正対象画素の画素値を補正することを特徴とする。
請求項18の発明は、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の画像処理方法を実施してなる画像表示装置を特徴とする。
請求項1の発明では、表示面上で隣接する画素どうしが互いに影響を及ぼす画像表示装置において、少なくとも一方向に対して補正対象画素に隣接する一方の画素の値が補正対象画素の画素値と同一であり、他方の画素が異なる値を有する場合に、補正対象画素の画素値を補正することにより、画像の変わり目における周囲の画素の表示への影響を低減し、コントラストが向上した見易い画像を表示することができる。
請求項2の発明では、色成分の処理の条件を合わせることにより複数の色成分の表示において、色のにじみが発生させず、隣接画素の表示への影響を低減し、見易い画像を表示することができる。
請求項3の発明では、補正対象画素と隣接した異なる値を有する画素が、補正対象画素の画素値より大きな値を有する場合に処理を限定することにより、周囲よりも明るい画像の沈み込みを押さえた見易い画像を表示することができる。
請求項4の発明では、色成分の処理の条件を合わせ、補正対象画素と隣接した異なる値を有する画素が、補正対象画素の画素値より大きな値を有する場合に処理を限定することにより、周囲よりも明るい画像の沈み込みを押さえた見易い複数の色成分の画像を表示することができる。
請求項5の発明では、補正対象画素と隣接した異なる値を有する画素が、補正画素の画素値より小さな値を有する場合に処理を限定することにより、周囲よりも暗い画像の浮き上がりを押さえた見易い画像を表示することができる。
請求項6の発明では、色成分の処理の条件を合わせ、補正画素と隣接した異なる値を有する画素が、補正対象画素の画素値より小さな値を有する場合に処理を限定することにより、周囲よりも暗い画像の浮き上がりを押さえた見易い画像を表示することができる。
請求項7の発明では、少なくとも一方向に対して補正対象画素に隣接する一方の画素の値が同一であり、他方の画素の値が異なる値を有し、さらに前記他方の画素に隣接し、且つ前記他方の画素からみて補正対象画素の反対側に位置する画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一の値を有する場合に補正することで、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像を補正することにより、コントラストの向上した見易い画像を表示できる。
請求項8の発明では、色成分の処理の条件を合わせ、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像を補正することで、複数の色成分の表示で色のにじみが発生させずに、コントラストの向上した見易い画像を表示することができる。
請求項9の発明では、補正対象画素と隣接した異なる値を有する画素が、補正対象画素の画素値より大きな値を有する場合に処理を限定し、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像を補正することで、周囲よりも明るい画像の沈み込みを押さえた見易い画像を表示することができる。
請求項10の発明では、色成分の処理の条件を合わせ、補正対象画素と隣接した異なる値を有する画素が、補正対象画素の画素値より大きな値を有する場合に処理を限定し、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像を補正することで、周囲よりも明るい画像の沈み込みを押さえた見易い複数の色成分の画像を表示することができる。
請求項11の発明では、補正対象画素と隣接した異なる値を有する画素が、補正対象画素の画素値より小さな値を有する場合に処理を限定し、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像を補正することで、周囲よりも暗い画像の浮き上がりを押さえた見易い画像を表示することができる。
請求項12の発明では、色成分の処理の条件を合わせ、補正対象画素と隣接した異なる値を有する画素が、補正対象画素の画素値より小さな値を有する場合に処理を限定し、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像を補正することで、周囲よりも暗い画像の浮き上がりを押さえた見易い画像を表示することができる。
請求項13の発明では、補正対象画素の画素値に最も近い補正対象画素に隣接する補正対象画素と異なる値を有する画素の値と補正対象画素との差を用いて補正対象画素の画素値を補正することにより、参照画素と補正対象画素の画素値の関係が逆転することなく、画像の状況に応じた良好な補正を行うことができる。
請求項14の発明では、複数方向にて補正条件を満たした場合、より小さい補正値(補正対象画素の画素値と参照画素値の差が小さい方)を用いて補正することで、効果が大きくなり過ぎることなく、表示画像のコントラストを向上させることができる。
請求項15の発明では、同じく複数方向にて補正条件を満たした場合、より大きい補正値を用いて補正することで、補正処理の効果が大きくなり、表示画像のコントラストを向上させることができる。
請求項16の発明では、同じく複数方向にて補正条件を満たした場合、方向の組合せにより、予め定めた方向の補正値を用いて補正することで、処理が簡略になり回路規模が小さい低コストでありながら、表示画像のコントラストを向上させることができる。
請求項17の発明では、同じく複数方向にて補正条件を満たした場合、補正条件を満たした複数方向の補正値の中間値の第一の参照画素値を用いて補正することで、処理が簡略になり回路規模が小さく低コストでありながら、表示画像のコントラストを補正条件を満たした複数方向で向上させることができる。
請求項18の発明では、高コストになることなく、表示面上で隣接する画素同士が互いに影響を及ぼす現象を軽減して本来の表示に近付け、より見易い画像を表示する画像表示装置を提供できる。
まず、図1により本発明の基本原理を説明する。先に述べたように、光学系を通して画像を表示する投射型画像表示装置などでは、画像表示素子では画素ごとに明確に区切られた範囲で各画素の表示が行われるが、光学系を通すことにより画素の表示される範囲が広がり、他の画素の範囲にまで影響を与えるようになってしまう。特に表示される1フレームの画像データを複数のサブフレームの画像データに分割し、時分割で表示素子の解像度以上の表示を実現する投射型画像表示装置では、画素の縮小などを行わない限り、元の画素の表示範囲が表示解像度の画素の表示範囲より大きいため、他の画素の表示により大きな影響を与える。
図1(a)は本発明による処理前の表示状態の一例である。画素は左から1番目が画素B0、2番目が画素B1、3番目が画素B2、右端が画素B3とし、ここでは、画素B0とB2,B3が白表示、B1が黒を表示するとしている。図の中間調の部分は表示位置での表示の明るさを示しており、中間調の部分が多いほど明るさは増す。黒より明るい場合は、光学系の影響により他の画素に影響を及ぼし、B1では左右の画素の影響を受け、明るさが増加することで、本来あるべき黒より明るい表示になってしまう。本例では一画素のみの表示での最大の明るさは図の5の明るさであるが、光学系の影響により他の画素の影響を受けることにより、最も明るい表示は図の1の明るさとなる。また最も暗い表示は図の4の明るさになる。図1(a)の処理前では、B1の黒の表示は両隣の白表示画素の影響を受けることにより、最も暗いところでも、本来表示をしたい表示よりも図の2の明るさだけ明るくなってしまう。これは画像のボケやにじみにつながり、このような状況ではコントラストが低下することになる。
図1(b)は本発明による処理後の表示状態の一例で、B2を補正対象画素、B1,B3を参照画素とし、B2とB3の画素値が等しく、B2とB1の画素値が異なる場合、B1とB2の差に所定の割合Zを掛けた値をB2に加える。すなわち、B2の画素値を、B2=B2+Z(B1−B2)と補正する。Zは一般に0<Z<1の範囲とする(図1(b)では一例としてZ=0.25)。
本例では、B1<B2であるため、補正対象画素B2の明るさが減少し、その結果、黒のB1の明るさは、B2の影響量が減ることにより、図の2の明るさより3の明るさになる。これにより、本来あるべき黒の表示に近付けることができ、コントラストの低下を低減することができる。
勿論、本発明は図1のような処理に限られるものではない。図1では、水平方向の画素に絞って説明したが、垂直方向や斜め方向等の画素についても同様である。また、補正条件や補正式も、上記の例のほか、色々の実施形態が可能である。さらに、表示画素が複数の色成分(例えば、R,G,B)で構成される場合には、補正対象画素とそれに隣接する参照画素の各々の色成分に注目して、補正対象画素の画素値を補正することも可能である。これらについては後述する。
図2は本発明が適用される画像表示装置の第1の実施例のブロック図を示す。入力画像データは、画素、ライン、フレーム等の単位で一旦、入力画像データ記憶部10に格納され、順次、画像処理部20に送られる。画像処理部20は機能的に補正条件判定部22と画素補正処理26からなる。補正条件判定部22は、入力画像データ記憶部10から送られてくる入力画像データについて、各画素毎に、当該画素を補正対象画素として、隣接する水平方向や垂直方向(一般には、少なくとも一方向)の所定の画素を参照画素として、所定の補正条件を満たすか否か判定する。画素補正処理部26は、補正条件判定部22の判定結果をもとに、入力画像データの各画素(補正対象画素)について、順次、補正条件を満たす場合は所定の補正式にて補正処理を行い、満たさない場合はそのままとして、出力画像データを生成する。出力画像データは、出力画像データ記憶部30に格納された後、投射型画像表示装置などの表示部40に送られて表示される。表示部40には、例えば、特許文献1に記載のように、1フレームの画像データを複数のサブフレームの画像データに分割し、時分割で画像表示素子の解像度以上の表示を実現する画像表示装置などが使用される。
図3は本発明が適用される画像表示装置の第2の実施例のブロック図を示す。図2との相違は、画像処理部20に補正式選択部24を追加したもので、それ以外は図2と同じである。ここで、補正式選択部24は、補正条件判定部22の判定結果をもとに補正式を選択するもので、水平と垂直の両方向(一般には複数方向)にて補正条件を満たした場合、いずれかの方向の補正式あるいは別の第3の補正式などを選択する。画素補正処理部26は、補正対象画素について、補正式選択部24で選択された補正式にて補正処理を行う。
図2や図3の画像表示装置は一般にコンピュータ装置で構成され、画像処理部20はCPUとプログラム等に基づき、補正処理判定部22と画像補正処理部26の機能、あるいは、補正条件判定部22と補正式選択部24と画素補正処理部26の機能を一緒に処理する。本発明は、この画像処理部20の処理アルゴリズムに関する。この処理アルゴリズムの種々の実施例については後述する。
図4及び図5に後述の実施例で用いられる補正対象画素と参照画素との位置関係の一例を示す。
図4は3×3の画素に着目するもので、B2が補正対象画素、A2とC2が垂直方向の参照画素、B1とB3が水平方向の参照画素である。一実施例では、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素B2に隣接する一方の参照画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一で、他方の参照画素が異なる値を有する場合に、補正対象画素B2の画素値を補正する。例えば、垂直方向に対して、A2=B2でB2≠C2の場合、あるいは、B2=C2でA2≠B2の場合、B2の画素値を補正する。また、水平方向に対しては、B1=B2で、B2≠B3の場合、あるいはB2=B3でB1≠B2の場合、B2の画素値を補正する。先の図1は、一例としてB2=B3でB1≠B2の場合を示したものである。
図5は5×5の画素に着目するもので、C3が補正対象画素、A3とB3とD3とE3が垂直方向の参照画素、C1とC2とC4とC5が水平方向の参照画素である。一実施例では、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素C3に隣接する一方の参照画素の画素値が補正対象画素の画素値と同一で、他方の参照画素が異なる値を有し、さらに該他方の画素に隣接し、該他方の画素からみて補正対象画素の反対側に位置する画素と補正対象画素との画素値が同一の場合に、補正対象画素C3の画素値を補正する。例えば、垂直方向に対して、B3=C3=E3でC3≠D3の場合、あるいは、A3=C3=D3でB3≠C3の場合、C3の画素値を補正する。また、水平方向に対しては、C2=C3=C5で、C3≠C4の場合、あるいはC1=C3=C4でC2≠B2の場合、C3の画素値を補正する。
以下、本発明の種々の実施例について詳述する。ここで、実施例は、図2及び図3の構成と、図4及び図5の補正対象画素と参照画素の位置関係を適用した場合の組合せに分けられる。
まず、図2の構成について、補正対象画素と参照画素の位置関係は図4を適用した場合の実施例について説明する。
本実施例は、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素B2に隣接する一方の参照画素の画素値が補正対象画素B2の画素値と同一であり、他方の参照画素が異なる画素値を有する場合に、補正対象画素B2の画素値を補正するものである。本実施例によれば、画像の変わり目における周囲の画素の表示への影響を低減し、コントラストが向上した見易い画像を表示することができる(例えば、図1)。
図6に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、まず、垂直方向に対して参照画素A2,C2を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ101,102,103)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の画素値を補正する(ステップ104,105)。ここでは、A2=B2で、B2≠C2ならば、B2=B2+Z(C2−B2)を実行し(ステップ104)、B2=C2で、A2≠B2ならば、B2=B2+Z(A2−B2)を実行する(ステップ105)。これにより、補正対象画素B2の画素値が補正される。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して参照画素B1,B3を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ106,107)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の画素値を補正する(ステップ108,109)。一方、満たさなければ、補正対象画素値B2の画素値はそのままとする(ステップ110)。ここでは、B1=B2ならば、B2=B2+Z(C2−B2)を実行する(ステップ108)。これにより、B2≠B3であれば、補正対象画素B2の画素値が補正される。B1≠B2で、B2=B3ならば、B2=B2+Z(B1−B2)を実行する(ステップ109)。これにより、補正対象画素B2の画素値が補正される。
図2の画像処理部20は、ステップ101〜110の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ111)、出力画像データを生成する。
なお、図6の処理フローチャートはあくまでも一例であり、その処理の順番や補正処理を行う式は、図に示したものに限るものではなく、所定の条件に当てはまった際に、他の画素表示の影響を軽減する処理であればよい。これは、以降の各実施例についても同様である。
本実施例は、実施例1を各画素が複数の原色成分(色成分)で構成される場合に拡張し、少なくとも水平または垂直方向に対して、補正対象画素B2に隣接する一方の参照画素の画素値と補正対象画素B2の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の参照画素の画素値が少なくとも一つの色成分で異なる値を有する場合に、補正対象画素B2の画素値を補正するものである。
複数の色成分による表示では、補正処理の判断を個々の色成分で行うと、個々の色成分で異なる補正処理を行う場合があり、該異なる処理を行うことにより色バランスが崩れ、色のにじみが発生する。そこで本実施例では、実施例1の補正処理を行う条件が全ての色成分で整った場合にのみ補正処理を行うようにする。これにより、複数の色成分の表示において、色のにじみが発生せず、画像の変わり目における周囲の画素の表示への影響を低減し、コントラストが向上した見易い画像を表示することができる。
図7に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、N=1(Nは色成分変数)と初期設定した後(ステップ201)、まず、垂直方向に対して、各々の色成分について参照画素A2,C2を補正参照画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ202,203,204)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ205〜207,208〜210)。ここでは、全色成分でA2=B2で、少なくとも一つの色成分でB2≠C2のものがあれば、B2=B2+Z(C2−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ205〜207)。これにより、全色成分でA2=B2の場合、B2の画素値のうち、B2≠C2の色成分のものが補正される。また、全色成分でB2=C2で、少なくとも一つの色成分でA2≠B2のものがあれば、B2=B2+Z(A2−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ208〜210)。これにより、全色成分でB2=C2の場合、補正対象画素B2の画素値のうち、A2≠B2の色成分のものが補正される。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して、各々の色成分について参照画素B1,B3を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ211,212)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ213〜215,216〜218)。一方、満たされなければ、補正対象画素B2の画素値は、全色成分ともそのままとする(ステップ219〜221)。ここでは、全色成分でB1=B2ならばB2=B2+Z(B3−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ213〜215)。これにより、全色成分でB1=B2の場合、いずれかの色成分でB2≠B3のものがあれば、補正対象画素B2の画素値のうち、B3≠B2の色成分のものが補正される。また、全色成分でB2=B3で、少なくとも一つの色成分でB1≠B2のものがあれば、B2の各色成分について、B2=B2+Z(B1−B2)を実行する(ステップ216〜218)。これにより、全色成分でB2=B3の場合、補正対象画素B2の画素値のうち、B1≠B2の色成分のものが補正される。
図2の画像処理部20は、ステップ201〜221の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ222)、出力画像データを生成する。
本実施例は、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素B2に隣接する一方の参照画素の画素値が補正対象画素B2の画素値と同一であり、他方の参照画素が補正対象画素B2の画素値より大きな値を有する場合に、補正対象画素B2の画素値を補正するものである。
一般に周囲の画素の表示への影響は、周囲よりも明るい画像を沈み込ませる。そこで本実施例では、実施例1の補正条件を一部変更し、補正対象画素B2と隣接した該補正対象画素B2と異なる画素値を有する参照画素が、補正対象画素B2の画素値より大きな値を有する場合にのみ、補正対象画素B2の画素値を補正するようにする。具体的には補正対象画素B2の画素値を上げる。これにより、周囲よりも明るい画像の沈み込みを押さえた見易い画像を表示することができる。
図8に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、まず、垂直方向に対して参照画素A2,C2を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ301〜304)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の画素値を補正する(ステップ305,306)。ここでは、A2=B2で、C2>B2ならば、B2=B2+Z(C2−B2)を実行し(ステップ305)、B2=C2で、A2>B2ならば、B2=B2+Z(A2−B2)を実行する(ステップ306)。これにより、A2=B2では、C2>B2の場合にのみ、また、B2=C2では、A2>B2の場合にのみ、補正対象画素B2の画素値が補正される(画素値が上がる)。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して参照画素B1,B3を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ307〜310)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の画素値を補正する(ステップ311,313)。一方、満たさなければ、補正対象画素B2の画素値はそのままとする(ステップ312,314,315)。ここでは、B1=B2で、B3>B2ならば、B2=B2+Z(B3−B2)を実行し(ステップ311)、B2=B3で、B1>B2ならば、B2=B2+Z(B1−B2)を実行する(ステップ313)。これにより、B1=B2では、B3>B2の場合にのみ、また、B2=B3では、B1>B2の場合にのみ、補正対象画素B2の画素値が補正される(画素値が上がる)。
図2の画像処理部20は、ステップ301〜315の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ316)、出力画像データを生成する。
本実施例は、実施例3を各画素が複数の色成分で構成される場合に拡張し、少なくとも水平または垂直方向に対して、補正対象画素B2に隣接する一方の参照画素の画素値と補正対象画素B2の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の参照画素が少なくとも一つの色成分で補正対象画素B2の画素値より大きな値を有する場合に、補正対象画素B2の画素値を補正する(画素値を上げる)ものである。
これにより、複数の色成分の表示においても、色のにじみが発生せず、画像の変わり目における周囲の画素の表示への影響を低減し、周囲よりも明るい画像の沈み込みを押さえた見易い画像を表示することができる。
図9に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、N=1と初期設定した後(ステップ401)、まず、垂直方向に対して、各々の色成分について参照画素A2,C2を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ402〜406)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ407〜409,410〜412)。ここでは、全色成分でA2=B2で、少なくとも一つの色成分でC2>B2のものがあれば、B2=B2+Z(C2−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ407〜409)。これにより、全色成分でA2=B2の場合、補正対象画素B2の画素値のうち、C2>B2の色成分のものが補正される(画素値が上がる)。また、全色成分でB2=C2で、少なくとも一つの色成分でA2>B2のものがあれば、B2=B2+Z(A2−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ410〜412)。これにより、全色成分でB2=C2の場合、補正対象画素B2の画素値のうち、A2>B2の色成分のものが補正される(画素値が上がる)。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して、各々の色成分について参照画素B1,B3を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ413〜416)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ417〜419,424〜425)。一方、満たさなければ、補正対象画素B2の画素値は、全色成分ともそのままとする(ステップ420〜422,426〜428,429〜431)。ここでは、全色成分でB1=B2で、少なくとも一つの色成分でB3>B2のものがあれば、各B2=B2+Z(B3−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ417〜419)。これにより、全色成分でB1=B2の場合、補正対象画素B2の画素値のうち、B3>B2の色成分のものが補正される(画素値が上がる)。また、全色成分でB2=B3で、少なくとも一つの色成分でB1>B2のものがあれば、B2=B2+Z(B1−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ423〜425)。これにより、全色成分でB2=B3の場合、補正対象画素B2の画素値のうち、B1>B2の色成分のものが補正される(画素値が上がる)。
図2の画像処理部20は、ステップ401〜431の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ432)、出力画像データを生成する。
本実施例は先の実施例3とは逆に、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素B2に隣接する一方の参照画素の画素値が補正対象画素B2の画素値と同一であり、他方の参照画素が補正対象画素B2の画素値より小さな値を有する場合に、補正対象画素B2の画素値を補正するものである。
周囲の画素の表示への影響は、周囲よりも明るい画像を沈み込ませる。本実施例では、先の実施例3とは逆に、補正対象画素B2と隣接した該補正対象画素B2と異なる画素値を有する参照画素が、補正対象画素B2の画素値より小さな値を有する場合にのみ、補正対象画素B2の画素値を補正する(画素値を下げる)ことで、周囲よりも暗い画像の浮き上がりを押さえた見易い画像を表示できるようになる。
図10に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、まず、垂直方向に対して参照画素A2,C2を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ501〜504)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の画素値を補正する(ステップ505,506)。ここでは、A2=B2で、C2<B2ならば、B2=B2+Z(C2−B2)を実行し(ステップ505)、B2=C2で、A2<B2ならば、B2=B2+Z(A2−B2)を実行する(ステップ506)。これにより、A2=B2では、C2<B2の場合にのみ、また、B2=C2では、A2<B2の場合にのみ、補正対象画素B2の画素値が補正される(画素値が下がる)。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向の参照画素B1,B3を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ507〜510)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の画素値を補正する(ステップ511,513)。一方、満たさなければ、補正対象画素B2の画素値はそのままとする(ステップ512,514,515)。ここでは、B1=B2で、B3<B2ならば、B2=B2+(B3−B2)を実行し(ステップ511)、B2=B3で、B1<B2ならば、B2=B2+Z(B1−B2)を実行する(ステップ513)。これにより、B1=B2では、B3<B2の場合にのみ、また、B2=B3では、B1<B2の場合にのみ、補正対象画素B2の画素値が補正される(画素値が下がる)。
図2の画像処理部20は、ステップ501〜515の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ516)、出力画像データを生成する。
本実施例は、実施例5を各画素が複数の色成分で構成される場合に拡張し、すなわち、実施例4とは逆に、少なくとも水平または垂直方向に対して、補正対象画素B2に隣接する一方の参照画素の画素値が補正対象画素B2の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の参照画素が少なくとも一つの色成分で補正対象画素B2の画素値より小さな値を有する場合に、補正対象画素B2の画素値を補正する(画素値を下げる)ものである。
周囲の画素の表示への影響は、周囲よりも明るい画像を沈み込ませる。この場合、本実施例では、先の実施例4とは逆に、補正対象画素B2と隣接した該補正対象画素と異なる値を有する参照画素が、補正対象画素B2の画素値より小さな値を有する場合にのみ補正処理を行うことにすることで(補正対象画素の画素値を下げる)、複数の色成分の表示においても、色のにじみが発生せず、画像の変わり目における周囲の画素の表示への影響を低減し、周囲よりも暗い画像の浮き上がりを押さえた見易い画像を表示することができるようになる。
図11に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、N=1と初期設定した後(ステップ601)、まず、垂直方向に対して、各々の色成分について参照画素A2,C2を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ602〜606)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ607〜609,610〜612)。ここでは、全色成分でA2=B2で、少なくとも一つの色成分でC2<B2のものがあれば、B2=B2+Z(C2−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ607〜609)。これにより、全色成分でA2=B2の場合、補正対象画素B2の画素のうち、C2<B2の色成分のものが補正される(画素値が下がる)。また、全色成分でB2=C2で、少なくとも一つの色成分でA2<B2のものがあれば、B2=B2+Z(A2−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ610〜612)。これにより、全色成分でB2=C2の場合、補正対象画素B2の画素値のうち、A2<B2の色成分のものが補正される(画素値が下がる)。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して、各々の色成分にで参照画素B1,B3を補正対象画素B2と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ613〜616)、満たせば、その時点で補正対象画素B2の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ617〜619,624〜625)。一方、満たさなければ、補正対象画素B2の画素値は、全色成分ともそのままとする(ステップ620〜622,626〜628,629〜631)。ここでは、全色成分でB1=B2で、少なくとも一つの色成分でB3<B2のものがあれば、B2=B2+Z(B3−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ617〜619)。これにより、全色成分でB1=B2の場合、補正対象画素B2の画素値のうち、B3<B2の色成分のものが補正される(画素値が下がる)。また、全色成分でB2=B3で、少なくとも一つの色成分でB1<B2のものがあれば、B2=B2+Z(B1−B2)を色成分の数だけ実行する(ステップ623〜625)。これにより、全色成分でB2=B3の場合、補正対象画素B2の画素値のうち、B1<B2の色成分のものが補正される(画素値が下がる)。
図2の画像処理部20は、ステップ601〜631の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ632)、出力画像データを生成する。
次に、図2の構成において、図5に示した補正対象画素と参照画素の位置関係を適用した場合の実施例について説明する。
表示面上で隣接する画素どうしが互いに影響を及ぼすことにより、本来表示しようとする画素値との乖離が発生し、これによりコントラストの低下が発生する。
本実施例は、この隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像を補正するため、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素C3に隣接する一方の参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値と同一であり、他方の参照画素の画素値が異なる値を有し、さらに、該他方の参照画素に隣接し、且つ該他方の画素からみて補正対象画素C3の反対側に位置する参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値と同一の値を有する場合に、補正対象画素C3の画素値を補正するようにする。これにより、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像を補正することができ、コントラストの向上した見易い画像を表示することができる。
図12に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、まず、垂直方向に対して、参照画素A3,B3,D3,E3を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ701〜704)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ705,706)。ここでは、B3=C3=E3で、C3≠D3ならば、C3=C3+Z(D3−C3)を実行し(ステップ705)、A3=C3=D3で、B3≠C3ならば、C3=C3+Z(D3−C3)を実行する(ステップ706)。これにより、補正対象画素C3の画素値が補正される。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して、参照画素C1,C2,C4,C5を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ707,708)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ709,710)。一方、満たさなければ、補正対象画素C3の画素値はそのままとする(ステップ711)。ここでは、C2=C3=C5ならば、C3=C3+Z(C4−C3)を実行する(ステップ709)。これにより、C3≠C4であれば、補正対象画素C3の画素値が補正される。また、C1=C3=C4ならば、C3=C3+Z(C2−C3)を実行する(ステップ710)。これにより、C2≠C3であれば、補正対象画素C3の画素値が補正される。
図2の画像処理部20は、ステップ701〜711の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ712)、出力画像データを生成する。
本実施例は、実施例7を各画素が複数の色成分で構成される場合に拡張し、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素C3に隣接する一方の参照画素の画素値と補正対象画素C3の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の参照画素の画素値が少なくとも一つの色成分で異なる値を有し、さらに、該他方の参照画素に隣接し、該他方の参照画素からみて補正対象画素C3の反対側に位置する参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値と各々の色成分毎に同一である場合に、補正対象画素C3の画素値を補正するものである。
複数の色成分による表示では、処理の判断を個々の色成分で行うと、個々の色成分で異なる処理を行う場合があり、異なる処理を行うことにより色バランスが崩れ、色のにじみが発生する。そこで本実施例では実施例7の補正処理を行う条件が全ての色成分で整った場合にのみ、補正対象画素C3に対して補正処理を行うようにする。これにより、複数の色成分の表示においても、色のにじみが発生せず、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像における周囲の画素の表示への影響を低減し、コントラストが向上した見易い画像を表示することができる。
図13に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、N=1と初期設定した後(ステップ801)、まず、垂直方向に対して、各々の色成分について参照画素A3,B3,D3,E3を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ801〜805)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ806〜808,809〜811)。ここでは、全色成分でB3=C3=E3で、少なくとも一つの色成分でC3≠D3のものがあれば、C3=C3+Z(D3−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ806〜808)。これにより、全色成分でB3=C3=E3の場合、補正対象画素C3の画素値のうち、C3≠D3の色成分のものが補正される。また、全色成分でA3=C3=D3で、少なくとも一つの色成分でB3≠C3のものがあれば、C3=C3+Z(B3−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ809〜811)。これにより、全色成分でA3=C3=D3の場合、補正対象画素C3の画素値のうち、B3≠C3の色成分のものが補正される。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して、各々の色成分について参照画素C1,C2,C4,C5を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ812,813)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ814〜816,817〜819)。一方、満たされなければ、補正対象画素C3の画素値は、全色成分ともそのままとする。(ステップ820〜822)。ここでは、全色成分でC32=C3=C5ならば、C3=C3+Z(C4−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ814〜816)。これにより、全色成分でC2=C3=C5の場合、いずれかの色成分でC3≠C4のものがあれば、補正対象画素C3の画素値のうち、C3≠C4の色成分のものが補正される。また、全色成分でC1=C3=C4ならば、C3=C3+Z(C2−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ817〜819)。これにより、全色成分でC1=C3=C4の場合、いずれかの色成分でC2≠C3のものがあれば、補正対象画素C3の画素値のうち、C2≠C3の色成分のものが補正される。
図2の画像処理部20は、ステップ801〜822の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ823)、出力画像データを生成する。
本実施例は実施例7と基本的に同様であるが、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素C3に隣接する一方の参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値と同一であり、他方の参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値より大きな値を有し、さらに該他方の参照画素に隣接し、且つ、該他方の参照画素からみて補正対象画素C3の反対側に位置する参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値と同一の値を有する場合に、補正対象画素C3の画素値を補正するものである。
周囲の画素の表示への影響は、周囲よりも明るい画像を沈み込ませる。そこで、本実施例では、実施例7の補正条件を一部変更し、補正対象画素C3と隣接した該補正対象画素と異なる画素値を有する参照画素が、補正対象画素C3の画素値より大きな値を有する場合にのみ補正処理を行うようにする。具体的には補正対象画素C3の画素値を上げる。これにより、周囲よりも明るい画像の沈み込みを押さえた見易い画像を表示することができる。
図14に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、まず、垂直方向に対して、参照画素A3,B3,D3,E3を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ901〜904)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ905,906)。ここでは、B3=C3=E3で、D3>C3ならば、C3=C3+Z(D3−C3)を実行し(ステップ905)、A3=C3=D3で、B3>C3ならば、C3=C3+Z(D3−C3)を実行する(ステップ906)。これにより、B3=C3=E3では、D3>C3の場合にのみ、また、A3=C3=D3では、B3>C3の場合にのみ、補正対象画素C3の画素値が補正される(画素値が上がる)。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して参照画素C1,C2,C4,C5を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ907〜910)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ911,913)。一方、満たさなければ、補正対象画素C3の画素値はそのままとする(ステップ912,914,915)。ここでは、C2=C3=C5で、C4>C3ならば、C3=C3+Z(C4−C3)を実行し(ステップ911)、C1=C3=C4で、C2>C3ならば、C3=C3+Z(C2−C3)を実行する(ステップ913)。これにより、C2=C3=C5では、C4>C3の場合にのみ、また、C1=C3=C4では、C2>C3の場合にのみ、補正対象画素C3の画素値が補正される(画素値が上がる)。
図2の画像処理部20は、ステップ901〜915の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ916)、出力画像データを生成する。
本実施例は、実施例9を各画素が複数の色成分で構成される場合に拡張し、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素C3に隣接する一方の参照画素の画素値と補正対象画素C3の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の参照画素の画素値が少なくとも一つの色成分で補正対象画素C3の画素値より大きな値を有し、さらに、該他方の参照画素に隣接し、該他方の参照画素からみて補正対象画素C3の反対側に位置する参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値と各々の色成分毎に同一である場合に、補正対象画素C3の画素値を補正する(画素値を上げる)ものである。
これにより、複数の色成分の表示においても、色のにじみが発生せず、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像における周囲の画素の表示への影響を低減し、周囲よりも明るい画像の沈み込みを押さえた見易い画像を表示することができる。
図15に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、N=1と初期設定した後(ステップ1001)、まず、垂直方向に対して、各々の色成分について参照画素A3,B3,D3,E3を補正参照画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ1002〜1006)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ1007〜1009,1010〜1012)。ここでは、全色成分でB3=C3=E3で、少なくとも一つの色成分でD3>C3のものがあれば、C3=C3+Z(D3−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ1007〜1009)。これにより、全色成分でB3=C3=E3の場合、補正対象画素C3の画素値のうち、D3>C3の色成分のものが補正される(画素値が上がる)。また、全色成分でA3=C3=D3で、少なくとも一つの色成分でB3>C3のものがあれば、C3=C3+Z(B3−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ1010〜1012)。これにより、全色成分でA3=C3=D3の場合、補正対象画素C3の画素値のうち、B3>C3の色成分のものが補正される(画素値が上がる)。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して、各々の色成分について参照画素C1,C2,C4,C5を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ1013〜1016)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ1017〜1019,1023〜1025)。一方、満たされなければ、補正対象画素C3の画素値は、全色成分ともそのままとする。(ステップ1020〜1022,1026〜1028,1029〜1031)。ここでは、全色成分でC2=C3=C5で、少なくとも一つの色成分でC4>C3のものがあれば、C3=C3+Z(C4−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ1017〜1019)。これにより、全色成分でC2=C3=C5の場合、補正対象画素C3の画素値のうち、C4>C3の色成分のものが補正される(画素値が上がる)。また、全色成分でC1=C3=C4で、少なくとも一つの色成分でC2>C3のものがあれば、C3=C3+Z(C2−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ1023〜1025)。これにより、全色成分でC1=C3=C4の場合、補正対象画素C3の画素値のうち、C2>C3の色成分のものが補正される(画素値が上がる)。
図2の画像処理部20は、ステップ1001〜1031の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ1023)、出力画像データを生成する。
本実施例は実施例9とは逆に、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素C3に隣接する一方の参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値と同一であり、他方の参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値より小さな値を有し、さらに、該他方の参照画素に隣接し、且つ、該他方の参照画素からみて補正対象画素C3の反対側に位置する参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値と同一の値を有する場合に、補正対象画素C3の画素値を補正する(画素値を下げる)ものである。
周囲の画素の表示への影響は、周囲よりも明るい画像を沈み込ませる。この場合、本実施例では先の実施例9とは逆に、補正対象画素C3と隣接した該補正対象画素と異なる画素値を有する参照画素が、補正対象画素C3の画素値より小さな値を有する場合にのみ補正処理を行うことにすることで(補正対象画素の画素値を下げる)、周囲よりも明るい画像の浮き上がりを押さえた見易い画像を表示できるようになる。
図16に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、まず、垂直方向に対して、参照画素A3,B3,D3,E3を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ1101〜1104)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ1105,1106)。ここでは、B3=C3=E3で、D3<C3ならば、C3=C3+Z(D3−C3)を実行し(ステップ1105)、A3=C3=D3で、B3>C3ならば、C3=C3+Z(D3−C3)を実行する(ステップ1106)。これにより、B3=C3=E3では、D3<C3の場合にのみ、また、A3=C3=D3では、B3<C3の場合にのみ、補正対象画素C3の画素値が補正される(画素値が下がる)。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して参照画素C1,C2,C4,C5を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ1107〜1110)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ1111,1113)。一方、満たさなければ、補正対象画素C3の画素値はそのままとする(ステップ1112,1114,1115)。ここでは、C2=C3=C5で、C4<C3ならば、C3=C3+Z(C4−C3)を実行し(ステップ1111)、C1=C3=C4で、C2<C3ならば、C3=C3+Z(C2−C3)を実行する(ステップ1113)。これにより、C2=C3=C5では、C4<C3の場合にのみ、また、C1=C3=C4ではC2<C3の場合にのみ、補正対象画素C3の画素値が補正される(画素値が下がる)。
図2の画像処理部20は、ステップ1101〜1115の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ1116)、出力画像データを生成する。
本実施例は、実施例11を各画素が複数の色成分で構成される場合に拡張し、すなわち、実施例10とは逆に、少なくとも水平または垂直方向に対して補正対象画素C3に隣接する一方の参照画素の画素値と補正対象画素C3の画素値が各々の色成分毎に同一であり、他方の参照画素の画素値が少なくとも一つの色成分で補正対象画素C3の画素値より小さな値を有し、さらに該他方の参照画素に隣接し、該他方の参照画素からみて補正対象画素C3の反対側に位置する参照画素の画素値が補正対象画素C3の画素値と各々の色成分毎に同一である場合に、補正対象画素C3の画素値を補正する(画素値を下げる)ものである。
周囲の画素の表示への影響は、周囲よりも明るい画像を沈み込ませる。この場合、本実施例では先の実施例10とは逆に、補正対象画素C3と隣接した該補正対象画素と異なる画素値を有する参照画素が補正対象画素C3の画素値より小さな値を有する場合にのみ補正処理を行うことにすることで(補正対象画素の画素値を下げる)、複数の色成分の表示においても、色のにじみが発生せず、隣接画素の表示への影響を最も受ける一画素ピッチの画像における周囲の画素の表示への影響を低減し、周囲よりも明るい画像の浮き上がりを押さえた見易い画像を表示できるようになる。
図17に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。処理は図2の画像処理部20がつかさどる。
画像処理部20は、N=1と初期設定した後(ステップ1201)、まず、垂直方向に対して、各々の色成分について参照画素A3,B3,D3,E3を補正参照画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ1202〜1206)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ1207〜1209,1210〜1212)。ここでは、全色成分でB3=C3=E3で、少なくとも一つの色成分でD3<C3のものがあれば、C3=C3+Z(D3−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ1207〜1209)。これにより、全色成分でB3=C3=E3の場合、補正対象の画素C3の画素値のうち、D3<C3の色成分のものが補正される(画素値が下がる)。また、全色成分でA3=C3=D3で、少なくとも一つの色成分でB3<C3のものがあれば、C3=C3+Z(B3−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ1210〜1212)。これにより、全色成分でA3=C3=D3の場合、補正対象画素C3の画素値のうち、B3<C3の色成分のものが補正される(画素値が下がる)。
垂直方向で補正条件を満たさなかったなら、次に水平方向に対して、各々の色成分について参照画素C1,C2,C4,C5を補正対象画素C3と比較し、補正条件を満たすか判定し(ステップ1213〜1216)、満たせば、その時点で補正対象画素C3の補正処理を色成分の数だけ実行する(ステップ1217〜1219,1223〜1225)。一方、満たされなければ、補正対象画素C3の画素値は、全色成分ともそのままとする。(ステップ1220〜1222,1226〜1228,1229〜1231)。ここでは、全色成分でC32=C3=C5で、少なくとも一つの色成分でC4<C3のものがあれば、C3=C3+Z(C4−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ1217〜1219)。これにより、全色成分でC2=C3=C5の場合、補正対象画素C3の画素値のうち、C4<C3の色成分のものが補正される(画素値が下がる)。また、全色成分でC1=C3=C4で、少なくとも一つの色成分でC2<C3のものがあれば、C3=C3+Z(C2−C3)を色成分の数だけ実行する(ステップ1223〜1225)。これにより、全色成分でC1=C3=C4の場合、補正対象画素C3の画素値のうち、C2<C3の色成分のものが補正される(画素値が下がる)。
図2の画像処理部20は、ステップ1201〜1231の処理を入力画像データがなくなるまで繰り返すことで(ステップ1223)、出力画像データを生成する。
これまでの実施例1〜12はすべて、垂直および水平方向に対して各々個別に参照画素を補正対象画素と比較し、いずれかで補正条件を満たせば、その時点で補正対象画素の画素値を補正するというものであった。これに対し、本実施例は垂直および水平の両方向に着目して参照画素を補正対象画素と比較して、両方向にて補正条件を満たした場合、補正値が小となる方の補正式を用いて補正対象画素の画素値を補正するものである。一方向にて補正条件を満たした場合は、これまでの実施例1〜12と同様である。
垂直と水平の二方向にて補正条件を満たした場合、例えば、補正対象画素と隣接した該補正対象画素と異なる値を有する二方向の参照画素が、ともに補正対象画素値よりも小さい場合、補正対象画素の補正処理後の画素値が、補正対象画素の画素値に近い方の参照画素の画素値よりも小さくなった場合には、補正対象画素の画素値に近い方の前記参照画素の表示が本来の表示よりも暗くなり、二方向の参照画素がともに補正対象画素よりも大きい場合、補正対象画素の画素値に近い方の前記参照画素の画素値よりも大きくなった場合には、補正対象画素の画素値に近い方の前記参照画素の表示が、本来の表示よりも明るくなってしまう。また、補正対象画素の画素値が、二つの前記参照画素の画素値の間にある場合には、補正により一方の参照画素を本来の表示から遠ざけることになり、一方の画質を低下させることになる。
そこで、本実施例では、垂直と水平の二方向にて補正条件を満たした場合、補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素の画素値を補正する。例えば、補正対象画素と隣接した二方向の参照画素の画素値がともに補正対象画素より大きいか小さい場合には、補正対象画素の画素値に近い方の参照画素と補正対象画素との画素値の差分以下の範囲で補正処理を行うようにする。これにより、画質の低下を防止することができるようになる。
図18乃至29に本実施例のフローチャートの一例を示す。これらは実施例1〜12の例に本実施例の処理を付加したものである。以下では、各処理フローチャートにおいて特に本実施例に関係する部分について概要を説明することにする。なお、本実施例の処理は図3の画像処理部20がつかさどる。
図18は図6に示した実施例1の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。この図18の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表1に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表1の1〜4のいずれか一つの補正条件をみたした場合には、そのまま右側の対応する補正式にて補正対象画素B2の画素値を補正する。これは先の図6の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素B2の画素値を補正する。例えば、表1の1と3の両方で補正条件を満たした場合、|C2−B2|と|B3−B2|の大小(C2とB3の大小)を比較し、B3<C2ならば、3の補正式を選択し、C2<B3ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素B2の画素値を補正する。図18のステップ121〜123は、この場合の処理を示している。同様に、図18のステップ131〜133は表1の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ141〜143は表1の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ151〜153は表1の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図19は図7に示した実施例2の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。なお、煩雑になるので、判定ブロックは一部を除き色成分の記述を省略している。この図19の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表2に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表2の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま右側の対応する補正式にて補正対象画素B2の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素B2の画素値はそのままである。これは先の図7の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、各色成分毎に補正値が小となる方の補正式を選択して補正対画素B2の画素値を補正する。例えば、表2の1と3の両方で補正条件を満たした場合、各色成分毎に、|C2−B2|と|B3−B2|の大小(C2とB3の大小)を比較し、B3<C2ならば、3の補正式を選択し、C2<B3ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素B2の当該色成分の画素値を補正する。図19のステップ231〜235は、この場合の処理を示している。同様に、図19のステップ241〜245は表2の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ151〜155は表2の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ161〜165は表2の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図20は図8に示した実施例3の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。この図20の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表3に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表3の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま右側の対応する補正式にて補正対象画素B2の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素B2の画素値はそのままである。これは先の図8の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素B2の画素値を補正する。例えば、表3の1と3の両方で補正条件を満たした場合、|C2−B2|と|B3−B2|の大小(C2とB3の大小)を比較し、B3<C2ならば、3の補正式を選択し、C2<B3ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素B2の画素値を補正する。図20のステップ321〜323は、この場合の処理を示している。同様に、図20のステップ331〜333は表3の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ341〜343は表3の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ351〜353は表3の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図21は図9に示した実施例4の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。なお、煩雑になるので、判定ブロックは一部を除き色成分の記述を省略している。この図21の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表4に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表4の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま右側の対応する補正式にて補正対象画素B2の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素B2の画素値はそのままである。これは先の図9の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、各色成分毎に補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素B2の画素値を補正する。例えば、表4の1と3の両方で補正条件を満たした場合、各色成分毎に、|C2−B2|と|B3−B2|の大小(C2とB3の大小)を比較し、B3<C2ならば、3の補正式を選択し、C2<B3ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素B2の当該色成分の画素値を補正する。図21のステップ241〜245は、この場合の処理を示している。同様に、図21のステップ251〜255は表4の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ161〜165は表4の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ171〜175は表4の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図22は図10に示した実施例5の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。この図22の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表5に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表5の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素B2の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素B2の画素値はそのままである。これは先の図10の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素B2の画素値を補正する。例えば、表5の1と3の両方で補正条件を満たした場合、|C2−B2|と|B3−B2|の大小(C2とB3の大小)を比較し、B3<C2ならば、3の補正式を選択し、C2<B3ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素B2の画素値を補正する。図22のステップ521〜523は、この場合の処理を示している。同様に、図20のステップ531〜533は表5の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ541〜543は表5の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ551〜553は表3の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図23は図11に示した実施例6の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。なお、煩雑になるので、判定ブロックは一部を除き色成分の記述を省略している。この図23の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表6に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表6の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素B2の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素B2の画素値はそのままである。これは先の図11の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、各色成分毎に補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素B2の画素値を補正する。例えば、表6の1と3の両方で補正条件を満たした場合、各色成分毎に、|C2−B2|と|B3−B2|の大小(C2とB3の大小)を比較し、B3<C2ならば、3の補正式を選択し、C2<B3ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素B2の当該色成分の画素値を補正する。図23のステップ641〜645は、この場合の処理を示している。同様に、図23のステップ651〜655は表6の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ661〜665は表6の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ671〜675は表6の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図24は図12に示した実施例7の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。この図24の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表7に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表7の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素C3の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素C3の画素値はそのままである。これは先の図12の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素C3の画素値を補正する。例えば、表7の1と3の両方で補正条件を満たした場合、|D3−C3|と|C4−C3|の大小(D3とC4の大小)を比較し、C4<D3ならば、3の補正式を選択し、D3<C4ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素C3の画素値を補正する。図24のステップ721〜723は、この場合の処理を示している。同様に、図24のステップ731,732,723は表7の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ741〜743は表7の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ751,752,743は表7の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図25は図13に示した実施例8の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。なお、煩雑になるので、判定ブロックは一部を除き色成分の記述を省略している。この図25の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表8に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表8の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素C3の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素C3の画素値はそのままである。これは先の図13の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、各色成分毎に補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素C3の画素値を補正する。例えば、表8の1と3の両方で補正条件を満たした場合、各色成分毎に、|D3−C3|と|C4−C3|の大小(D3とC4の大小)を比較し、C4<D3ならば、3の補正式を選択し、D3<C4ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素C3の当該色成分の画素値を補正する。図25のステップ831〜835は、この場合の処理を示している。同様に、図25のステップ841〜845は表8の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ851〜855は表8の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ861〜865は表8の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図26は図14に示した実施例9の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。この図26の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表9に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表9の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素C3の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素C3の画素値はそのままである。これは先の図14の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素C3の画素値を補正する。例えば、表9の1と3の両方で補正条件を満たした場合、|D3−C3|と|C4−C3|の大小(D3とC4の大小)を比較し、C4<D3ならば、3の補正式を選択し、D3<C4ならば、1の補正式を選択し、補正対象画素C3の画素値を補正する。図26のステップ921〜923は、この場合の処理を示している。同様に、図26のステップ931〜933は表9の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ941〜943は表9の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ951〜953は表9の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図27は図15に示した実施例10の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。なお、煩雑になるので、判定ブロックは一部を除き色成分の記述を省略している。この図27の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表10に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、表10の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素C3の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素C3の画素値はそのままである。これは先の図15の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、各色成分毎に補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素C3の画素値を補正する。例えば、表10の1と3の両方で補正条件を満たした場合、各色成分毎に、|D3−C3|と|C4−C3|の大小(D3とC4の大小)を比較し、C4<D3ならば、3の補正式を選択し、D3<C4ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素C3の当該色成分の画素値を補正する。図27のステップ1041〜1045は、この場合の処理を示している。同様に、図27のステップ1051〜1055は表10の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ1061〜1065は表10の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ1071〜1075は表10の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図28は図16に示した実施例11の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。この図28の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表11に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合には、すなわち、表11の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素C3の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素C3の画素値はそのままである。これは先の図16の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、各色成分毎に補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素C3の画素値を補正する。例えば、表11と1と3の両方で補正条件を満たした場合、各色成分毎に、|D3−C3|と|C4−C3|の大小(D3とC4の大小)を比較し、C4<D3ならば、3の補正式を選択し、D3<C4ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素C3の当該色成分の画素値を補正する。図28のステップ1121〜1123は、この場合の処理を示している。同様に、図28のステップ1131〜1133は表11の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ1141〜1143は表11の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ1151〜1153は表11の2と4の両方で補正条件を満たした場合の処理を示している。
図29は図17に示した実施例12の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。なお、煩雑になるので、判定ブロックは一部を除き色成分の記述を省略している。この図29の処理で選択される補正式と補正条件の対応関係を表12に示す。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合には、すなわち、表12の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、右側の対応する補正式にて補正対象画素C3の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素C3の画素値はそのままである。これは先の図17の場合と同じである。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、各色成分毎に補正値が小となる方の補正式を選択して補正対象画素C3の画素値を補正する。例えば、表12と1と3の両方で補正条件を満たした場合、各色成分毎に、|D3−C3|と|C4−C3|の大小(D3とC4の大小)を比較し、C4<D3ならば、3の補正式を選択し、D3<C4ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素C3の当該色成分の画素値を補正する。図29のステップ1241〜1245は、この場合の処理を示している。同様に、図29のステップ1251〜1255は表12の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ1261〜1265は表12の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ1271〜1275は表12の2と4の両方で(一般には複数方向)補正条件を満たした場合の処理を示している。
本実施例のように、垂直と水平の両方で補正条件を満たした場合、補正値として小さい方の値を用いることで、画像の一部が不鮮明になることのない、適正な補正の施された見易い画像を表示することができる。
本実施例は、実施例13と同様に垂直および水平の両方向に着目して参照画素を補正対象画素と比較するが、実施例13とは逆に、垂直と水平の両方にて補正条件を満たした場合、補正値として大きい方の値を用いて補正対象画素の画素値を補正するものである。
図30に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。これは、図17に示した実施例12の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したもので、ステップ1241,1251,1261,1271の不等号の向きが逆である以外、先の図29の処理フローチャートとまったく同じである。同様に、先の図18〜図28に対応した処理フローチャートも考えられるが、煩雑になるので省略する。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、先の表12の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素C3の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素C3の画素値はそのままである。これは先の図29の場合と同様である。
一方、垂直および水平の二方向にて補正条件を満たした場合、各色成分毎に補正値が大となる方の補正式を選択して補正対象画素C3の画素値を補正する。例えば、先の表12の1と3の両方で補正条件を満たした場合、各色成分毎に、|D3−C3|と|C4−C3|の大小(D3とC4の大小)を比較し、C4>D3ならば、3の補正式を選択し、D3>C4ならば、1の補正式を選択して、補正対象画素C3の当該風呂成分の画素値を補正する。図30のステップ1241〜1245は、この場合の処理を示している。同様に、図30のステップ1251〜1255は表12の1と4の両方で補正条件を満たした場合、ステップ1261〜1265は表12の2と3の両方で補正条件を満たした場合、ステップ1271〜1275は表12の2と4の両方で補正条件を満たした場合であり、それぞれ各成分毎に補正値が大となる方の補正式を選択して、補正対象画素C3の画素値を補正する。
本実施例のように、垂直と水平の両方で補正条件を満たした場合、補正値として大きい方の値を用いることにより、差の小さな参照画素側に過剰な補正が係る場合もあるが、その頻度は一般に少なく、画像全体では影響が軽微であり、また、係数Zを変えることにより影響を軽減することもできる。その影響に比べ、はるかにコントラストが向上し、見易い画像を表示することができる。
本実施例は、実施例13と同様に垂直および水平の両方向に着目して参照画素を補正対象画素と比較するが、垂直と水平の両方にて補正条件を満たした場合、該満たした方向の組合せにより、予め定めた方向の補正値を用いて補正対象画素の画素値を補正するものである。
図31に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。これは、図17に示した実施例12の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。なお、判定ブロックは一部を除き色成分の記述を省略している。同様に、図6〜図16に示した実施例1〜11の処理フローチャートに本実施例の処理を付加した処理フローチャートも考えられるが、煩雑になるので省略する。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、先の表12の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素C3の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素C3の画素値はそのままである。これは先の図17の場合と同様である。
一方、垂直および水平の両方向にて補正条件を満たした場合には、該補正条件を満たした方向の組合せにより、予め定めた補正式を選択して、補正対象画素C3の画素値を補正する。図32の例においては、表12の1と3の両方で補正条件を満たした場合には、3の補正式を選択して、補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ1311〜1313)。表12の1と4の両方で補正条件を満足した場合には、1の補正式を選択して、補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ1321〜1323)。表12の2と3の両方で補正条件を満たした場合には、2の補正式を選択して、補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ1331〜1333)。表12の2と4の両方で補正条件を満足した場合には、4の補正式を選択して、補正対象画素C3の画素値を補正する(ステップ1341〜1344)。
図31と先の図29や図30と比較して明らかな如く、本実施例によれば処理が簡略になる。このことから補正処理を行う回路規模が小さくなり、低コスト化することができる。また、複数方向にて補正条件を満たし、且つ参照画素値と補間画素の画素値の差が複数方向で異なることは、画像全体から見ると少なく、画質への影響は少ないことが多いので、図29や図30の例に比べても、画質の差が少ないのに低コストで、コントラストが向上した、見易い画像を表示することができる。
本実施例は、実施例13と同様に垂直および水平の両方向に着目して参照画素を補正対象画素と比較するが、垂直と水平の両方にて補正条件を満たした場合、該補正条件を満たした両方の補正値の中間値を用いて補正対象画素の画素値を補正するものである。ここでは平均値を用いるとする。
図32に本実施例の処理フローチャートの一例を示す。これは、図17に示した実施例12の処理フローチャートに本実施例の処理を付加したものである。なお、判定ブロックは一部を除き色成分の記述を省略している。同様に、図6〜図16に示した実施例1〜11の処理フローチャートに本実施例の処理を付加した処理フローチャートも考えられるが、煩雑になるので省略する。
垂直あるいは水平のいずれか一方向にて補正条件を満たした場合、すなわち、先の表12の1〜4のいずれか一つの補正条件を満たした場合には、そのまま、右側の対応する補正式にて補正対象画素C3の画素値を補正する。いずれの補正条件も満たさない場合には、補正対象画素C3の画素値はそのままである。これは先の図17の場合と同様である。
一方、垂直および水平の両方向にて補正条件を満たした場合、該補正条件を満たした両方の補正値の中間の値(ここでは平均値)を用いて補正対象画素C3の画素値を補正する。例えば、表12の1と3の両方で補正条件を満たした場合には、各色成分毎に、C3=C3+Z{(C4−C3)+(D3−C3)}/2を実行して、補正対象画素C3の画素値を補正する。図32のステップ1411〜1413は、この場合の処理を示している。同様に、図32のステップ1421〜1423は表12の1と4の両方で補正条件を満足した場合、ステップ1431〜1433は表12の2と4の両方で補正条件を満足した場合、ステップ1441〜1443は表12の2と4の両方で補正条件を満たした場合であり、それぞれ各色成分毎に両方の平均値を計算して、補正対象画素C3の画素値を補正する。
本実施例によれば、先の図29、図30と比較して明らかな如く処理が簡略になるので補正処理を行う回路規模が小さくなり、低コスト化することができる。また、補正条件が複数方向で満たされた場合に、各々の参照画素値と補正対象画素値との差を用いて補正量をバランスを取りながら画像処理をすることとなり、低コストでコントラストが向上した、見易い画像を表示することができるようになる。
以上、本発明の種々の実施例を説明したが、隣接する画素同士の画素値が同一という条件は、まったく同一である必要はなく、所定の範囲内であれば異なる値も同一と見做しうることは云うまでもない。また、これら実施例は画像の種類等に応じて使い分けるようにすることも可能である。
さらに、実施例では、水平方向と垂直方向について説明したが、本発明は斜め方向に対しても同様の処理を行うことで、斜め方向でも同様の効果が得られる。
図33は、図4に斜め方向を加えた場合の補正対象画素と参照画素との位置関係を示した図である。例えば、斜め方向A1,B2,C3について、A1=B2でB2≠C3の場合、あるいは、B2=C3でA1≠B2の場合、補正対象画素B2を補正するようにする。斜め方向A3,B2,C1についても同様である。
図34は、図5に斜め方向を加えた場合の補正対象画素と参照画素との位置関係を示した図である。例えば、斜め方向A1,B2,C3,D4,E5について、B2=C3=E5でC3≠D4の場合、あるいはA1=C3=D4でB2の場合、補正対象画素C3の画素値を補正するようにする。斜め方向A5,B4,C3,D2,E1についても同様である。
図35は、画素がデルタ配列の場合の補正対象画素と参照画素との位置関係を示した図であり、(A2,B2,C3,D3,E4)や(A4,B3,C3,D2,E2)を斜め方向と見なして、同様に補正対象画素C3の画素値を補正することができる。
本発明には、一般に複数方向中の少なくとも一方向あるいはそれ以上の方向について、これまで説明したような処理を行うことが含まれる。
なお、各実施例で示した処理手順をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータに実行させることができることは言うまでもなく、コンピュータにその処理手順を実行させるためのプログラムを、そのコンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、FD、MO、ROM、メモリカード、CD、DVD、リムーバブルディスクなどに記録して、保存したり、提供したりすることができるとともに、インターネット等のネットワークを通してそのプログラムを配布したりすることが可能である。
本発明の原理を説明するための補正処理前後の表示状態の一例を示すブロック図。
本発明が適用される画像表示装置の構成例を示すブロック図。
本発明が適用される画像表示装置の別の構成例を示すブロック図。
本発明の実施例で使用される補正対象画素と参照画素の位置関係を示す図。
本発明の実施例で使用される別の補正対象画素と参照画素の位置関係を示す図。
実施例1のフローチャートの一例を示す図。
実施例2のフローチャートの一例を示す図。
実施例3のフローチャートの一例を示す図。
実施例4のフローチャートの一例を示す図。
実施例5のフローチャートの一例を示す図。
実施例6のフローチャートの一例を示す図。
実施例7のフローチャートの一例を示す図。
実施例8のフローチャートの一例を示す図。
実施例9のフローチャートの一例を示す図。
実施例10のフローチャートの一例を示す図。
実施例11のフローチャートの一例を示す図。
実施例12のフローチャートの一例を示す図。
実施例13の図6に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図7に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図8に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図9に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図10に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図11に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図12に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図13に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図14に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図15に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図16に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例13の図17に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例14の図17に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例15の図17に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
実施例16の図17に対応する処理フローチャートの一例を示す図。
図4に斜め方向を加えた場合の補正対象画素と参照画素の位置関係を示す図。
図5に斜め方向を加えた場合の補正対象画素と参照画素の位置関係を示す図。
画素がデルタ配列の場合の補正対象画素と参照画素の位置関係を示す図。
画素ずらしによる表示の表示画素及び表示範囲例を示す図。
符号の説明
10 入力画像データ記憶部
20 画像処理部
22 補正条件判定部
24 補正式選択部
26 画素補正処理部
30 出力画像データ記憶部
40 表示部