JP2008281766A - 画像形成装置及び画像処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナー像が形成された用紙などの記録媒体を裁断する場合であっても、定着手段の耐久性を向上させる。
【解決手段】画像形成装置は、入力された画像データに基づいたトナー像を有色トナー及び透明トナーを用いて用紙に形成するとともに、用紙において画像データに基づいたトナー像が形成されない領域であって、裁断装置によって裁断される領域として予め決められた裁断領域Cに、トナー像を有色トナー又は透明トナーを用いて形成する。そして、用紙に形成されたトナー像を溶融させ、溶融したトナー像を周回させられる定着ベルトの表面に接触させて冷却することによって、トナー像を用紙に定着させる。これにより、定着ベルトと用紙との接触に起因して起こる、定着ベルトの磨耗を防ぐことができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、トナー像が形成された記録媒体を高光沢にする技術に関する。
透明トナーを用いて、画像を高光沢に仕上げる技術が知られている。例えば、特許文献1には、トナー像が形成された用紙の表面を覆うように、熱可逆性樹脂からなる透明な薄層を形成する技術が開示されている。また、特許文献2には、トナー像が形成された用紙に、最適な表面粗度で透明トナーの層を形成する技術が開示されている。
特開平11−002916号公報 特開2001−305816号公報
ところで、画像を高光沢に仕上げる方法として、表面が平滑に仕上げられた定着ベルトを用いた方法がある。この方法では、トナー像が形成された用紙に熱と圧力とが加えられることで、トナー像が溶融させられて定着ベルトの表面に密着させられる。この用紙は、溶融したトナーの粘度によって定着ベルトに付着させられた状態で、そのまま定着ベルトにより搬送されながら冷却され、その後に定着ベルトから剥離される。
例えばA3よりやや大きいサイズの用紙にA4サイズのトナー像を2つ形成し、そのトナー像の定着後に用紙を裁断して、A4サイズの印刷物を2部作成する場合がある。この場合、裁断される箇所の近傍領域はいわゆる余白部分に相当するため、この領域にはトナー像が形成されていない。この用紙に対して上記の定着方法によってトナー像を定着させる場合、裁断される箇所の近傍領域では、トナー像が無い用紙表面と定着ベルトの表面とが直接接触することになる。このとき、定着ベルトの表面が、用紙表面の微少な繊維との摩擦によって削られてしまう。このように、本来は平滑であるべき定着ベルトの表面が荒れてしまうと、定着後の画像の光沢が不十分になってしまう。そこで、従来から、定着ベルトの耐久性の向上を図ることが望まれていた。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、トナー像が形成された用紙などの記録媒体を裁断する場合であっても、定着手段の耐久性を向上させることにある。
上記課題を解決するため、本発明は、画像データが入力される入力手段と、前記入力手段に入力された画像データに基づいたトナー像を有色トナー及び透明トナーを用いて記録媒体に形成するとともに、前記記録媒体において前記画像データに基づいたトナー像が形成されない領域であって、裁断装置によって裁断される領域として予め決められた裁断領域に、有色トナー又は透明トナーを用いてトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を溶融させ、溶融した前記トナー像を周回させられるベルト部材の表面に接触させて冷却することによって、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明において、前記トナー像形成手段は、所定の閾値以上の面積率で前記裁断領域にトナー像を形成してもよい。
本発明においては、前記入力された画像データに基づいて前記記録媒体に形成されるトナー像の面積率が所定の閾値よりも小さいか否かを判断する判断手段を備え、前記判断手段によって前記トナー像の面積率が所定の閾値よりも小さいと判断された場合、前記トナー像形成手段は、前記入力された画像データに基づいて前記記録媒体にトナー像を形成する際に用いる透明トナーの量を増加させる、又は、前記裁断領域にトナー像を形成する際に用いる有色トナー又は透明トナーの量を増加させてもよい。
本発明において、前記記録媒体は矩形の記録シートであり、前記トナー像形成手段は、前記記録媒体の4隅に相当する前記裁断領域にトナー像を形成する際に用いる有色トナー又は透明トナーの量を、その4隅以外の裁断領域にトナー像を形成する際に用いる有色トナー又は透明トナーの量よりも増加させてもよい。
また、本発明は、画像データが入力される入力手段と、前記入力手段に入力された画像データに基づいたトナー像を、有色トナーを用いて記録媒体に形成する有色トナー像形成手段と、前記有色トナー像形成手段によってトナー像が形成された記録媒体に対し、当該トナー像が形成された領域と、当該トナー像が形成されない領域であって且つ裁断装置によって裁断される領域として予め決められた裁断領域とを覆うように、透明トナーを用いたトナー像を形成する透明トナー像形成手段と、前記記録媒体に形成されたトナー像を溶融させ、溶融した前記トナー像を周回させられるベルト部材の表面に接触させて冷却することによって、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
さらに、本発明は、画像データが入力される入力手段と、前記記録媒体において前記入力手段に入力された画像データに基づいたトナー像が形成されない領域であって、裁断装置によって裁断される領域として予め決められた裁断領域に、所定の面積率のトナー像を形成するための画像データを生成し、生成した画像データと前記入力された画像データとを合成した合成画像データを、トナー像を形成するトナー像形成手段に出力する画像処理手段とを備えることを特徴とする画像処理装置を提供する。
トナー像が形成された用紙などの記録媒体を裁断する場合であっても、定着手段の耐久性を向上させることができる。
[実施形態]
図1は、画像形成装置1の構成を示す図である。この画像形成装置1は、制御部10と、入力部20と、画像処理部30と、トナー像形成部40と、定着部50とを備えている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを備えており、CPUがメモリに記憶されている制御ソフトウェアを実行することにより、画像形成装置1の各部を制御する。入力部20は、図示せぬ端末装置から送信される画像データ、又は、図示せぬ画像読取装置によって読み取られた画像データなどが入力される。画像処理部30は、入力部20に入力された画像データに各種の画像処理が施す。そして、画像処理部30は、画像処理を施した画像データをトナー像形成部40に供給する。
トナー像形成部40は、感光体ドラム41と、帯電器42と、露光器43と、現像器44と、転写部45と、クリーナ46とを備えている。感光体ドラム41は、像を保持する像保持体であり、図示せぬ駆動部により図中の矢印Aの方向に回転させられる。帯電器42は、感光体ドラム41を所定の帯電電位に一様に帯電させる。露光器43は、帯電器42によって帯電させられた感光体ドラム41に、各色の画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成する。現像器44は、いわゆるロータリー方式の現像器であり、画像データに応じたブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、透明の各色のトナーを露光器43によって形成された静電潜像に供給することで現像を行う。なお、透明トナーは、色材を含まないトナーのことであり、透明トナーによって形成されたトナー像は、用紙上において透明になる。
転写部45は、中間転写ベルト451と、一次転写部452と、二次転写部453とを備えている。中間転写ベルト451は、複数のロールに掛け渡されており、駆動部を有するロールにより図中の矢印Bの方向に回転させられる。一次転写部452は、中間転写ベルト451が感光体ドラム41と対向する位置において所定の電位差を生じさせ、この電位差によって感光体ドラム41の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト451に転写する。多色のカラー画像の形成を行う場合には、複数の色のトナー像が中間転写ベルト451上に重ねて転写されることになる。クリーナ46は、一次転写部452によってトナー像が転写された感光体ドラム41の表面に残留したトナーを取り除く。クリーナ46によって残留したトナーが取り除かれた感光体ドラム41は、次のトナー像形成に備えて、除電される。
一方、一次転写部452によって中間転写ベルト451上に転写されたトナー像は、中間転写ベルト451によって二次転写部453に搬送される。二次転写部453は、中間転写ベルト451が給紙トレイ47から搬送されてきた用紙と対向する位置において、所定の電位差を生じさせ、この電位差によって用紙にトナー像を転写させる。この例では、給紙トレイ47には、A3よりも1回り大きいA3伸びサイズの用紙が収容されている。そして、二次転写部453によってトナー像が転写された用紙は、用紙搬送路によって定着部50に搬送される。
定着部50は、第1定着部51と第2定着部52とを備えている。第1定着部51は、加熱ロール513と加圧ロール514とを備えており、二次転写部453から搬送されてきた用紙に熱と圧力とを加えることで、トナー像を用紙に定着させる。そして、トナー像が定着された用紙は、用紙搬送路によって第2定着部52に搬送される。
図2は、第2定着部52の詳細な構成を示す図である。同図に示すように、第2定着部52は、定着ベルト521と、ステアリングロール522と、加熱ロール523と、加圧ロール524と、ヒートシンク525と、剥離ロール526とを備えている。定着ベルト521は、表面が平滑な無端のベルト部材であり、加熱ロール523、剥離ロール526及びステアリングロール522に掛け渡され、加熱ロール523の回転に従って周回する。この例では、定着ベルト521の周長は528mmである。図3は、定着ベルト521の詳細な構成を示す図である。同図に示すように、定着ベルト521は、熱硬化型ポリイミド製の無端状フィルム(ポリイミド基材521a)上に、表面が平滑な厚さ35μmのシリコーンゴム層521b等が被覆されたものである。定着ベルト521は、消費電力の面からは薄いものが望ましいが、強度的な観点からポリイミド基材521aは75μm以上、用紙上のトナー画像に密着して定着させる観点からシリコーンゴム層521bは30μm以上の厚さに設けられることが好ましい。
ステアリングロール522は、定着ベルト521を回転させることにより発生する定着ベルト521の片寄りを修正する。このステアリングロール522の一方の軸は固定されており、他方の軸は図示せぬ駆動部によって移動させられる。駆動部によって軸を移動させてステアリングロール522を傾けられることにより、周回移動している定着ベルト521は、軸方向の位置が変位し、いずれか一方の軸方向へ移動する。これにより、周回移動中にステアリングロール522の端部に片寄った定着ベルト521の位置が元の位置に戻される。
加熱ロール523は、熱伝導性の高い金属製のコアの表面に、PFAチューブ等のフッ素樹脂層からなる離型層が形成されたものである。加熱ロール523のコアの中には、ハロゲンランプなどの加熱源が設けられており、この加熱源によって加熱ロール523の表面温度が所定の温度に加熱される。また、加熱ロール523は、図示せぬ駆動部によって回転させられ、定着ベルト521を図中の矢印C方向に周回させる。
加圧ロール524は、熱伝導性の高い金属製のコアの周囲に、ゴム硬度(JIS−A)が40°程度のシリコーンゴム等からなる弾性体層が被覆され、さらにその表面PFAチューブ等のフッ素樹脂層からなる離型層が形成されたものである。加圧ロール524のコアの中には、ハロゲンランプなどの加熱源が設けられており、この加熱源によって加圧ロール524の表面温度が所定の温度になるように加熱される。また、加圧ロール524は、定着ベルト521を介して、加熱ロール523側に付勢されている。この例では、加圧ロール524と加熱ロール523との間にかかる圧力は、240Kgである。
ヒートシンク525は、定着ベルト521の内周面で、且つ加熱ロール523と剥離ロール526との間に配設されており、定着ベルト521の内周面に接触して定着ベルト521の熱を吸収することにより、定着ベルト521によって搬送される用紙を冷却する。この例では、ヒートシンク525は空冷式であり、定着ベルト521によって搬送される用紙の温度を約70℃に冷却する。
剥離ロール526は、定着ベルト521を巻き付けながら定着ベルト521に従動して回転することで、定着ベルト521によって搬送される用紙を用紙自体の剛性によって剥離させる。剥離ロール526の外径形状(寸法)は、定着ベルト521と用紙の付着力、及び定着ベルト521の剥離ロール526への巻き付け角度によって決定される。剥離ロール526によって定着ベルト521から剥離された用紙は、印刷物として排紙口から排紙される。
次に、本実施形態の動作について説明する。以下の説明では、画像形成装置1から出力される印刷物をユーザが裁断装置を用いて裁断して、所定の大きさの印刷物を作成することを前提とする。図4は、このときに用いられる、裁断される前の印刷物の一例を示す図である。この印刷物には、A3伸びサイズの用紙の予め決められた位置に、A4サイズの2つの画像P,Qが形成されている。また、この印刷物において画像P,Qが形成されていない領域であって、裁断装置によって裁断される裁断領域Cには、Yトナーを用いた画像が形成されている。この画像P,Qはそれぞれ、有色トナーによって画像が描かれている描画領域Pa,Qaと、有色トナーによって画像が描かれておらず背景となる背景領域Pb,Qbとを有している。また、画像P,Qにはそれぞれ、裁断装置によって裁断される際の誤差を考慮した5mm程度の誤差領域Eが含まれている。なお、印刷物の端から4mm程度の余白領域Mには、定着部50における剥離性や転写部45でのトナー汚れの観点から、画像が形成されないようになっている。
次に、この印刷物を生成する画像形成装置1の動作について詳細に説明する。画像形成装置1の入力部20には、画像Pを表す画像データ及び画像Qを表す画像データと、これら2つの画像データに応じた画像P,QをA3伸びサイズの1枚の用紙に形成する指示とが入力される。入力部20に画像データが入力されると、画像処理部30は、その画像データに基づいて、画素値がゼロである背景領域(図4の背景領域Pb,Qb)を特定し、その背景領域に透明トナーの画素を配置することで、描画領域Pa,Qa及び背景領域Pb,Qbに相当する画像データを生成する。次に、画像処理部30は、裁断領域Cに所定の面積率のYのトナー像を形成するための画像データを生成する。そして、画像処理部30は、描画領域Pa,Qa及び背景領域Pb,Qbに相当する画像データと、裁断領域Cに相当する画像データとを合成する。このとき、描画領域Pa,Qa、背景領域Pb,Qb及び裁断領域Cにおけるトナー像の面積率が小さいと、第2定着部52においてトナー像が定着ベルト521の表面に付着させられた際に、用紙表面までもが定着ベルト521に接触してしまう。そこで、用紙表面が定着ベルト521に接触しないような面積率が予め実験又は計算により求められており、その面積率が画像処置部30に予め設定されている。画像処理部30によって合成された合成画像データは、各種の画像処理が施されて、トナー像形成部40に供給される。
トナー像形成部40は、入力部20に入力された合成画像データに基づいたトナー像TをY,M,C,Kの有色トナー及び透明トナーを用いて用紙Sに形成する。具体的に説明すると、トナー像形成部40は、画像処理部30から供給された合成画像データに基づいて、描画領域Pa,Qaに対応する合成画像データに基づいた静電潜像と、背景領域Pb,Qbに対応する合成画像データに基づいた静電潜像と、裁断領域Cに対応する合成画像データに基づいた静電潜像を、順次、感光体ドラム41の表面に形成する。そして、トナー像形成部40は、これらの静電潜像を、それぞれの静電潜像に応じた有色トナー又は透明トナーで現像する。
このようにして、感光体ドラム41上に形成されたトナー像Tは、用紙Sに重ねて転写される。これにより、用紙Sの表面には、画像P,Qを表すトナー像と、裁断領域Cに対応する所定の面積率のYのトナー像とが形成される。すなわち、用紙Sの表面は、余白領域Mを除く全ての領域にトナーが付与された状態になる。トナー像Tが形成された用紙Sは、用紙搬送路によって第1定着部51に搬送される。
第1定着部51に搬送された用紙Sは、第1定着部51によってトナー像Tが定着される。図5(a)は、用紙Sに転写された未定着のトナー像Tを示す図であり、図5(b)は、用紙Sに定着したトナー像Tを示す図である。同図にしめすように、第1定着部51によって用紙Sに定着させられたトナー像Tは、溶融して用紙Sに浸透する。トナー像Tが定着された用紙Sは、用紙搬送路によって第2定着部52に搬送される。
第2定着部52は、用紙Sに形成されたトナー像Tを再び溶融させ、溶融したトナー像Tを周回させられる定着ベルト521の表面に接触させて冷却することによって、トナー像Tを用紙Sに定着させる。具体的に説明すると、第2定着部52に搬送された用紙Sは、加熱ロール523及び加圧ロール524によって熱と圧力とが加えられる。これにより、用紙S上のトナー像Tが溶融し、溶融したトナー像Tが周回する定着ベルト521の表面に押し当てられる。図6は、融解したトナー像Tが定着ベルト521の表面に接触する様子を示す図である。上述したように、この用紙Sの表面には、画像P,Qを表すトナー像と、裁断領域Cに対応する所定の面積率のYのトナー像とが形成されており、このYのトナー像の面積率は、第2定着部52においてトナー像Tが定着ベルト521の表面に付着させられた際に、用紙Sが定着ベルト521に接触しない値に設定されている。そのため、溶融したトナー像Tが定着ベルト521の表面に付着させられても、用紙Sと定着ベルト521とは接触しない。
定着ベルト521の表面に押し当てられた用紙Sは、定着ベルト521によって搬送される間、ヒートシンク525によって冷却される。これにより、溶融したトナー像Tは、定着ベルト521の表面に倣った平滑な状態で用紙Sに定着される。トナー像Tが定着させた用紙Sは、定着ベルト521から剥離されて、排紙口から排紙される。これにより、高光沢に仕上げられた印刷物が出力される。
画像形成装置1から印刷物が出力されると、ユーザは、裁断装置を用いて、用紙Sに予め付加されているトンボFに沿ってこの印刷物を裁断し、図7(a)に示したA4サイズの印刷物と、図7(b)に示したA4サイズの印刷物とを作成する。なお、図4に示した印刷物における裁断領域Cは、裁断装置によって裁ち落とされる。
本願発明者らは、本発明の効果を具体的に検証するために、面積率の異なるトナー像を用紙の裁断領域に形成させた印刷物を連続して出力させ、各々の印刷物の光沢度を調べる実験を行った。この実験では、面積率0%,25%,50%,100%のYのトナー像を用紙の裁断領域に形成させるとともに、面積率25%のトナー像の形状を図8(a)に示すドットパターンとし、面積率50%のトナー像の形状を図8(a)に示すドットパターン及び図8(b)に示すラインパターンとした。いずれも200線のスクリーンを用いた。また、この実験では、基準となる光沢度を70とし、光沢度が70以上となる印刷物の出力枚数を、第2定着部52が画像を高光沢に仕上げ得る出力枚数とした。印刷物の光沢度が70以上となる出力枚数が多いということは、第2定着部52の耐久性が高いことを意味する。
図9は、この実験の結果を示す図である。図に示すグラフの横軸は、印刷物の出力枚数(枚)を示し、縦軸は、印刷物の光沢度:20度を示している。この図では、面積率が0%のYのトナー像を形成したときの光沢度を折れ線「L1」で表している。また、面積率が100%のYのトナー像を形成したときの光沢度を折れ線「L2」で表し、面積率が50%でドットパターンのYのトナー像を形成したときの光沢度を折れ線L3、面積率が50%でラインパターンのYトナー像を形成したときの光沢度を折れ線L4、面積率25%でドットパターンのYのトナー像を形成したときの光沢度を折れ線L5で表している。
折れ線L1が示すように、面積率が0%のYのトナー像を形成したとき、すなわち裁断領域にトナー像を形成していない場合には、約5,000枚の印刷物を出力した時点で、印刷物の光沢度が70を下回ってしまった。これに対し、折れ線L2が示すように、裁断領域に面積率100%のYのトナー像を形成したときには、約50,000枚の印刷物を出力しても、印刷物の光沢度は70以上となった。また、折れ線L3が示すように、裁断領域に面積率が50%でドットパターンのYのトナー像を形成したときには、約48,000枚目の印刷物の光沢度が70を下回り、折れ線L4が示すように、裁断領域に面積率が50%でラインパターンのYのトナー像を形成したときには、約46,000枚目の印刷物の光沢度が70を下回った。さらに、折れ線L5が示すように、裁断領域に面積率が25%でドットパターンのYのトナー像を形成したときには、約35,000枚目の印刷物の光沢度が70を下回った。
この実験結果により、裁断領域にトナー像を形成した場合には、光沢度が70以上となる印刷物の枚数が多くなるため、第2定着部52の耐久性が向上することが確認できた。また、裁断領域に形成するトナー像の面積率を大きくすると、トナー像の面積率が小さいときに比べて光沢度が70以上となる印刷物の枚数が増えるため、第2定着部52の耐久性がより向上することがわかった。従って、裁断領域のトナー像の面積率は、第2定着部52の耐久性の観点から見ると、より大きい方が好ましい。しかし、画像形成にかかるコストの観点から見ると、このトナー像の面積率は、なるべく小さいほうが望ましい。そのため、裁断領域のトナー像の面積率は、第2定着部52が画像を高光沢に仕上げ得る出力枚数と、画像形成にかかるコストとを考慮して決定するとよい。
以上説明した実施形態によると、トナー像が形成された用紙を裁断する場合であっても、定着ベルトの耐久性を向上させることができる。これにより、第2定着部を交換する期間を長くすることができる。
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を適宜組み合わせてもよい。
(1)上述した実施形態では、トナー像形成部40が、透明トナーを用いて、背景領域に対応する画像データに基づいたトナー像を形成していた。これに対し、透明のトナー像を形成する透明トナー像形成部を別途設けて、トナー像形成部40は、Y,M,C,Kの有色トナーのみを用いて、描画領域に対応する画像データに基づいたトナー像だけを形成してもよい。図10は、この変形例にかかる画像形成装置1の構成を示す図である。同図に示すように、この画像形成装置1には、第1定着部51と第2定着部52との間に、透明トナー像形成部48が設けられている。この透明トナー像形成部48は、透明トナーを用いて、トナー像形成部40とよってトナー像が形成された用紙に対して、トナー像が形成された領域と裁断領域Cとを一様に覆うトナー像を形成する。これにより、画像処理部30が裁断領域Cに所定の面積率のトナー像を形成するための画像データを生成する処理を省くことができるとともに、トナー像形成部40において行われる処理も少なくなるため、画像形成処理を簡素化することができる。
(2)上述した実施形態では、画像形成装置1によって生成された印刷物を、ユーザが裁断装置を用いて裁断していた。これに対し、この裁断装置は、画像形成装置1の内部における第2定着部52と排紙口との間に、裁断部として設けられていてもよい。この裁断部は、例えばスリッターと、レシプロカッターと、複数の搬送ロールとを備えている。スリッターは用紙の両端をその搬送方向に沿って裁断する円盤状のカッターであり、レシプロカッターは用紙を搬送方向に直交する方向に裁断するカッターである。搬送ロールは用紙を搬送方向に移動させる。なお、スリッターおよびレシプロカッターは用紙をトンボに沿って裁断するように位置調整されている。裁断部は用紙Sの4辺を裁断することにより、A3伸びサイズの印刷物からA4サイズの2枚の印刷物を作成する。これにより、画像が形成された用紙を、ユーザの手を介すことなく裁断することができる。
(3)上述した実施形態では、用紙Sの裁断領域Cには、画像データに基づいて形成されるトナー像の有色トナーの量に関わらず所定の面積率のトナー像が形成されていた。そのため、入力された画像データに基づいて形成されるトナー像の有色トナーの量が少ない場合には、定着ベルト521によって搬送される用紙Sが剥離ロール526に到達する前に剥がれ落ちる、用紙の脱落が発生することがあった。また、薄紙が使用された場合にも、同様に用紙の脱落が発生することがあった。これは、第2定着部の加熱ロールと冷却部の間の温度差が大きいため紙にひずみ応力が発生しやすく、薄紙など腰の弱い用紙の場合には局所的に座屈する場合があるためである。従って、入力された画像データに基づいて形成されるトナー像の有色トナー量が少ない場合、又は、薄紙が使用された場合には、剥がれがおきやすい用紙の端に当たる裁断領域に形成されるトナー像のトナーの量を増やすとよい。用紙の端とは、矩形の用紙面のうち、例えばその用紙面の4隅に相当する裁断領域の部分である。
具体的に説明すると、制御部10は、入力部20に画像データが入力されると、入力された画像データに基づいて用紙に形成されるトナー像の面積率が所定の閾値よりも小さいか否かを判断する。また用紙種類の入力あるいはセンサによる用紙種の判別により薄紙か否か判断する。例えば、この閾値を7%とすると、入力された画像データに基づいて用紙に形成されるトナー像の面積率が5%である場合、制御部10は、そのトナー像の面積率が閾値よりも小さいと判断することになる。制御部10が、入力された画像データに基づいて用紙に形成されるトナー像の面積率が閾値よりも小さいと判断した場合、又は、薄紙(たとえば80g/m2以下)と判断された場合、画像処理部30は、裁断領域に所定の面積率よりも多い面積率のトナー像を形成するための画像データを生成する。一方、トナー像の面積率が閾値以上と判断された場合には、画像処理部30は、裁断領域において上記の所定の面積率のトナー像を形成するための画像データを生成することになる。例えば、所定の面積率よりも25%多い面積率のトナー像を形成するための画像データや、裁断領域の4隅だけ所定の面積率よりも25%多い面積率のトナー像を形成するための画像データが生成される。
このようにして生成された画像データに基づいたトナー像が用紙に形成され、その用紙が加熱されて定着ベルト521に押し当てられると、トナー像が定着ベルト521にしっかりと付着するため、用紙の脱落が発生しない。
本願発明者らは、この変形例にかかる発明の効果を具体的に検証するために、有色トナーの量が少ないトナー像を形成するための画像データを入力して、裁断領域に異なるトナー量のトナー像を形成させた印刷物を出力させて、用紙の脱落が発生するかを調べる実験を行った。この実験では、裁断領域に形成するトナー像の面積率を、所定の面積率にした場合と、所定の面積率よりも25%多くした場合と、裁断領域の4隅だけ所定の面積率よりも25%多くした場合について調べた。また、用紙の脱落は、用紙の厚さが薄いほど発生しやすくなるため、この実験では、厚さが異なる、ミラーコートプラチナ(王子製紙株式会社製、以下MCPと略す)256g/m2の用紙と、MCP157g/m2の用紙と、MCP105g/m2の用紙とを用いて画像形成を行った。
図11は、この実験の結果を表す図である。図中の「○」は、用紙の脱落が発生しなかったことを表し、「×」は、用紙の脱落が発生したことを表している。図に示すように、裁断領域に形成するトナー像の面積率を所定の面積率にした場合、最も薄いMCP105g/m2の用紙と、2番目に薄いMCP157g/m2の用紙を用いて画像形成を行うと、用紙の脱落が発生した。これに対し、裁断領域に形成するトナー像の面積率を所定の面積率よりも25%多くした場合と、裁断領域の4隅だけ所定の面積率よりも25%多くした場合には、いずれの用紙を用いて画像形成を行っても、用紙の脱落は発生しなかった。
これにより、有色トナーの量が少ないトナー像を形成するための画像データが入力された場合には、裁断領域に形成されるトナー像のトナーの量を増やすことによって、用紙の脱落が発生しにくくなることが確認できた。これにより、用紙の脱落に起因する印刷物の光沢不足や光沢にムラを防ぐことができる。
また、画像形成装置1は、入力された画像データに基づいて形成されるトナー像の有色トナー量が少ない場合、上述と同様にして、その画像データに基づいて形成されるトナー像のうち、透明のトナー像のトナー量を増やしてもよい。この方法でも、上述と同様の効果が得られる。
(4)上述した実施形態では、有色トナーによって画像が描かれている描画領域Pa,Qaと、有色トナーによって画像が描かれておらず背景となる背景領域Pb,Qbとを区別し、背景領域Pb,Qbに透明トナーの画素を配置していた。この描画領域Pa,Qaの面積率が小さい場合には、隣り合う有色画素どうしの間の領域を、上記の背景領域Pb,Qbと同じように背景とみなして、その領域に透明トナーの画素を配置するようにしてもよい。
(5)上述した実施形態では、画像読取装置は、画像形成装置1と別体の装置として設けられていた。これに対し、画像読取装置は、画像読取部として画像形成装置1の内部に備えられていてもよい。この構成でも、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
(6)上述した実施形態では、画像処理部30は、画像形成装置1の内部に備えられていた。これに対し、画像処理部30は、画像形成装置1とは別体の画像処理装置として設けられ、この画像処理装置が単体で動作してもよい。
画像形成装置1の構成を示す図である。 第2定着部52の詳細な構成を示す図である。 定着ベルト521の詳細な構成を示す図である。 裁断される前の印刷物の一例を示す図である。 トナー像Tが用紙Sに定着する様子を示す図である。 トナー像Tが定着ベルト521の表面に接触する様子を示す図である。 裁断により作成された印刷物を示す図である。 裁断領域に形成されるトナー像の形状を示す図である。 実験の結果を示す図である。 変形例にかかる画像形成装置1の構成を示す図である。 変形例にかかる実験の結果を示す図である。
符号の説明
1…画像形成装置、10…制御部、20…入力部、30…画像処理部、40…トナー像形成部、41…感光体ドラム、42…帯電器、43…露光器、44…現像器、45…転写部、451…中間転写ベルト、452…一次転写部、453…二次転写部、46…クリーナ、47…給紙トレイ、48…透明トナー像形成部、50…定着部、51…第1定着部、52…第2定着部、521…定着ベルト、521a…ポリイミド基材、521b…シリコーンゴム層、522…ステアリングロール、513,523…加熱ロール、514,524…加圧ロール、525…ヒートシンク、526…剥離ロール。

Claims (6)

  1. 画像データが入力される入力手段と、
    前記入力手段に入力された画像データに基づいたトナー像を有色トナー及び透明トナーを用いて記録媒体に形成するとともに、前記記録媒体において前記画像データに基づいたトナー像が形成されない領域であって、裁断装置によって裁断される領域として予め決められた裁断領域に、有色トナー又は透明トナーを用いてトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を溶融させ、溶融した前記トナー像を周回させられるベルト部材の表面に接触させて冷却することによって、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記トナー像形成手段は、所定の閾値以上の面積率で前記裁断領域にトナー像を形成する
    ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記入力された画像データに基づいて前記記録媒体に形成されるトナー像の面積率が所定の閾値よりも小さいか否かを判断する判断手段を備え、
    前記判断手段によって前記トナー像の面積率が所定の閾値よりも小さいと判断された場合、前記トナー像形成手段は、前記入力された画像データに基づいて前記記録媒体にトナー像を形成する際に用いる透明トナーの量を増加させる、又は、前記裁断領域にトナー像を形成する際に用いる有色トナー又は透明トナーの量を増加させる
    ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 前記記録媒体は矩形の記録シートであり、
    前記トナー像形成手段は、前記記録媒体の4隅に相当する前記裁断領域にトナー像を形成する際に用いる有色トナー又は透明トナーの量を、その4隅以外の裁断領域にトナー像を形成する際に用いる有色トナー又は透明トナーの量よりも増加させる
    ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
  5. 画像データが入力される入力手段と、
    前記入力手段に入力された画像データに基づいたトナー像を、有色トナーを用いて記録媒体に形成する有色トナー像形成手段と、
    前記有色トナー像形成手段によってトナー像が形成された記録媒体に対し、当該トナー像が形成された領域と、当該トナー像が形成されない領域であって且つ裁断装置によって裁断される領域として予め決められた裁断領域とを覆うように、透明トナーを用いたトナー像を形成する透明トナー像形成手段と、
    前記記録媒体に形成されたトナー像を溶融させ、溶融した前記トナー像を周回させられるベルト部材の表面に接触させて冷却することによって、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  6. 画像データが入力される入力手段と、
    前記記録媒体において前記入力手段に入力された画像データに基づいたトナー像が形成されない領域であって、裁断装置によって裁断される領域として予め決められた裁断領域に、所定の面積率のトナー像を形成するための画像データを生成し、生成した画像データと前記入力された画像データとを合成した合成画像データを、トナー像を形成するトナー像形成手段に出力する画像処理手段と
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
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