以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本実施例では、遊技機の一例として弾球遊技機の一種であるパチンコ機、特に、第1種パチンコ遊技機を用いて説明する。なお、本発明を第3種パチンコ遊技機や他の遊技機に用いることは、当然に可能である。
図1は、第1実施例のパチンコ機Pの遊技盤1の正面図である。遊技盤1の周囲には、球が入賞することにより5個から15個の球が払い出される複数の入賞口2が設けられている。また、遊技盤1の中央には、複数種類の識別情報としての図柄などを表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す)3が設けられている。
このLCD3の表示画面は上下方向に3分割されており、3分割された各表示領域において、それぞれ右から左へ水平方向に複数の変動図柄10がスクロールして変動表示が行われる。変動図柄10には、「カメ」や「ジュゴン」などの生物を模したキャラクタと各キャラクタ毎に定められた「0」から「9」の数字とから構成される主図柄10aと、丸印で表示される副図柄10bとの2種類が設定されている(図4(a)参照)。変動表示中には、主図柄10aが上中下段の各表示領域に数字の大きさ順に表示されると共に、主図柄10aと副図柄10bとが交互に1つずつ順に表示され、各段のそれぞれに一連の変動図柄10による図柄リールが仮想的に形成される。変動表示は、その開始後に一定時間が経過すると、上段、下段、中段の順に変動が停止し、LCD3の表示画面の各段に3つずつ合計9個の変動図柄10が停止表示される。この停止時に、左、中、右の各縦ラインと対角線とで示される合計5本の当たりライン11上に、例えば、「3,3,3」や「6,6,6」などのように同じ数字が付された主図柄10aが3つ揃うと(予め定めた組み合わせとなると)、大当たりとなる。
LCD3の上方には、表面に「○」と「×」との普通図柄が表示された2つのLED6a,6bで構成された普通図柄表示装置6が配設されている。この普通図柄表示装置6では、遊技領域に打ち込まれた球がLCD3の両側に配設されたゲート7を通過した場合に、「○」と「×」とのLED6a,6bを交互に点灯させる変動表示が行われる。かかる変動表示が「○」のLED6aで終了した場合に当たりとなって普通電動役物4が所定時間(例えば0.5秒)開放される。
また、LCD3の下方には、図柄作動口(第1種始動口、普通電動役物)4が設けられており、球がこの図柄作動口4へ入賞することにより、始動条件が成立して前記したLCD3の変動表示が開始される。また、LCD3の変動表示の最中に、球が新たに図柄作動口4へ入賞した場合、その入賞により取得された変動表示を即座に開始することはできないので、実行中の変動表示が終了するまで待機(保留)される。この待機された変動表示は、実行中の変動表示終了後に引き続いて行われる。待機され得る変動表示の最大回数は、パチンコ機Pの機種毎に決められるが、本実施例のパチンコ機Pでは、変動表示の待機回数(保留球数)が最大4回に設定されている。LCD3上側には、4つの保留ランプ8a〜8dで構成される保留表示装置8が設けられており、保留球数は、その保留表示装置8によって遊技者に示される(図11参照)。保留表示装置8による保留球数の表示の詳細については後述する。
図柄作動口4の下方には、特定入賞口5(大入賞口)の開放状態と閉鎖状態とを形成する板とその板を前後に駆動して特定入賞口5を開閉させるソレノイド(図示せず)とを備える変動入賞装置が設けられている。この特定入賞口5は、LCD3の変動後の表示結果が、上記した予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、大当たりとなって、球が入賞しやすいように所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される入賞口である。
この特定入賞口5内には、Vゾーン5aが設けられており、特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5a内を通過すると、継続権が成立して、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5が所定時間(又は、特定入賞口5に球が所定個数入賞するまで)開放される。この特定入賞口5の開閉動作は、最高で16回(16ラウンド)繰り返し可能にされており、開閉動作の行われ得る状態が、いわゆる所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)である。
なお、第3種パチンコ遊技機において所定の遊技価値が付与された状態(特別遊技状態)とは、LCD3の変動後の表示結果が予め定められた図柄の組み合わせの1つと一致する場合に、特定入賞口が所定時間開放されることをいう。この特定入賞口の開放中に、球がその特定入賞口内へ入賞すると、特定入賞口とは別に設けられた大入賞口が所定時間、所定回数開放される。
次に、図1および図2を参照して保留球数を表示する保留表示装置8について説明する。図2(a)は、図1のIIa−IIa線における保留表示装置8の断面図であり、図2(b)は、保留表示装置8を構成するLED82,83の斜視図である。図2(a)においては、図面を判り易くするために、保留表示装置8を構成する部材のうち主要な部材のみを表示し、一部を省略して示している。
図1に示すように、保留表示装置8は、LCD3の上側に左右方向に4つ並んで配設された4つの保留ランプ8a〜8dを備えている。4つの保留ランプ8a〜8dは、中央側の正面視略矩形状の2つの領域と左右両側の正面視略三角形状の2つの領域とにより合計4つの領域に区分けされた部位(回数表示部)を形成しており、この区分けされた各領域の点灯状態によって保留球数が示される。この保留表示装置8は、図2(a)に示すように、パチンコ機P(遊技盤1)の前面側(図2(a)の下側)に向けて突出した部分を有するカバー部材81と、そのカバー部材81の内側に内蔵された4個の保留LED82と、各保留LED82の右側に並べて1個ずつ配設された4個の補助LED83と、保留LED82及び補助LED83を含む素子をユニット化して支持する基板84とを備えている。
カバー部材81は、LED82,83の発光を拡散しつつ透過して保留球数を表示するための部材である。このカバー部材81は、4カ所が前面側に突出して形成されており、それぞれの突出した領域によって4つの保留ランプ8a〜8dが形成されている。カバー部材81の内面側(図2(a)の上側)には、LED82,83が、各突出部分に2つずつ割り当てられて配設されている。
かかるカバー部材81は、白色半透明な樹脂材料(例えば、ポリカーボネートやアクリル等)で形成されており、LED82,83に対向する内面側には多数の起伏が形成されている。この起伏によってLED82,83から発光された光は屈折して広範囲に拡散され、カバー部材81を透過したときに保留ランプ8a〜8dを形成する突出部分を略均一に発光させる。
カバー部材81の内面側に内蔵された8個のLED82,83は、赤色、緑色、青色の3色に各々発光する3つのダイオードを組み合わせて一体化した、いわゆるチップLEDで構成されている。このLED82,83は、図2(b)に示すように、矩形の箱状に形成された一面に発光色の異なる3種類のLED(素子)91〜93を配設すると共に、その3種類のLED91〜93に連結された6つの端子94を両端側から突出させたものである。各端子94を介してLED91〜93の通過電流を制御することにより、3種類のLED91〜93の発光状態を多様に組み合わせて白色を含めた多彩な発色が可能となっている。
8個のLED82,83は、各保留ランプ8a〜8dにおけるカバー部材81の内面左側に配設されて保留球数を表示するための保留LED82と、各保留ランプ8a〜8dの右側に配設された補助LED83とで構成されている。保留LED82は、左側から順に保留球数の数分だけ赤色に点灯されるものであり(図11参照)、遊技を行う遊技者は、保留LED82の点灯によって点灯状態となる保留ランプ8a〜8dの数を確認することにより、現状の保留球数を確認することができる。
補助LED83は、保留LED82によって表示される保留球数を遊技者が視認し難いように隠蔽するためのものである。この補助LED83は、通常時には消灯状態となっており、4個の補助LED83のすべてが、一定条件を満たした変動表示の変動開始から終了まで、継続して赤、緑、青の3色の光を組み合わせて虹色に発光する点滅状態となる。具体的には、点滅状態においては、LED91〜93の点灯するタイミングをずらしつつ、2色以上のLED91〜93が重複して点灯するように点滅させる。LED91〜93のうち発光中のLED91〜93の組み合わせによって保留ランプ8a〜8dが異なる色に変化しつつ発光し、結果として保留ランプ8a〜8dが虹色に発光する。赤色に点灯して保留球数を示す保留ランプ8a〜8dの点灯個数が、補助LED83が虹色に発光することにより、視認し難いものとなる。
図3は、パチンコ機Pの電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機Pの主制御基板Cには、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU21が搭載されている。このMPU21には、MPU21により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM22と、そのROM22内に記憶される制御プログラムの実行に当たって各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM23と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。図5から図8に示すフローチャートのプログラムは制御プログラムの一部として、ROM22内に記憶されている。
RAM23は、保留球カウンタ23aと、内部乱数カウンタ23bと、リーチ乱数カウンタ23cと、連継演出乱数カウンタ23dと、大当たり図柄カウンタ23eと、ハズレ図柄カウンタ23fと、演出実行エリア23gと、演出実行1〜4メモリ23h〜23kと、カウンタ用バッファ23lとを備えている。
保留球カウンタ23aは、変動表示の待機回数(保留球数)を記憶するカウンタである。保留球カウンタ23aの値は、LCD3で変動表示が行われていない場合または変動表示が行われているが保留中の変動表示がない場合には「0」、保留中の変動表示が1回の場合には「1」、・・・、保留中の変動表示が4回の場合には「4」となる。本実施例のパチンコ機Pでは、変動表示の最大待機回数は4回であるので、保留球カウンタ23aの値は「0」から「4」の範囲で変化する。保留球カウンタ23aの値のカウントアップは、図柄作動口4へ入賞した球が第1種始動口スイッチ27で検出された場合に行われ(図6、S23参照)、カウントダウンは、変動表示の開始時に行われる(図6、S30参照)。
ここで、MPU21には、電源断時においてもバックアップ電圧が供給されている。よって、停電などの発生によって電源がオフされても、MPU21のRAM23のデータは保持(バックアップ)される。従って、RAM23に設けられた保留球カウンタ23aの値(保留球数)は停電時においても保持され続けて、停電の解消後に残りの保留球数分の変動表示を引き続き行うことができる。また、RAM23には、賞球の払い出し残数も記憶されており、停電解消後に残りの賞球の払い出しも行うことができる。
内部乱数カウンタ23bは、大当たりの発生を決定するためのカウンタであり、後述するカウンタ更新処理(図5、S14参照)によって、「0〜599」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり599)に達した後に再び「0」に戻される。この内部乱数カウンタ23bの値は、遊技盤1の前面に打ち込まれた球が図柄作動口4へ入賞して後述する第1種始動口スイッチ27で検出されたとき(始動入賞時)に取得され、このとき取得された内部乱数カウンタ23bの値が「7」または「315」であった場合に大当たりの発生が確定する。
大当たりの発生が確定すると、主制御基板Cから後述する表示用制御基板Dへ大当たりとなる図柄の組み合わせ(大当たり図柄)を示す停止図柄コマンド(指令)が送信され、表示用制御基板Dは、その停止図柄コマンドに基づいてLCD3の変動後の表示結果を大当たりとなる図柄の組み合わせとする。なお、遊技者に所定の遊技価値(特別遊技状態)を付与するか否かの抽選は、内部乱数カウンタ23bの値を取得する始動入賞時に行われ、抽選結果の確認は、内部乱数カウンタ23bの値に基づいて後述する表示コマンド決定処理におけるS51の処理で行われる(図7参照)。その確認において始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であれば、所定の遊技価値を付与する抽選結果の導出(当選)となる。
リーチ乱数カウンタ23cは、ハズレリーチの発生を決定するためのカウンタである。変動表示の途中でリーチ表示を現出させてからハズレとなるハズレリーチとするか、リーチ表示を現出させない通常のハズレとするかは、リーチ乱数カウンタ23cの値に基づいて決定される。リーチ乱数カウンタ23cの値は、後述するカウンタ更新処理(図5、S14参照)によって、「0〜11」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり11)に達した後に再び「0」に戻される。
このリーチ乱数カウンタ23cの値は、前記した内部乱数カウンタ23bの値と同様に始動入賞時に取得され、前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、取得されたリーチ乱数カウンタ23cの値が「7」である場合にハズレリーチの発生が確定する。ハズレリーチの発生時には、後述するカウンタ用バッファ23lに記憶されるハズレリーチ図柄(ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせ)が停止図柄コマンドに設定され(図8、S55参照)、そのハズレリーチ図柄が変動後の表示結果として現出する。
ここで、リーチ表示とは、LCD3において図柄の変動表示が開始された後、先に停留する上段と下段の表示領域に表示される変動図柄10(主図柄10a)の組み合わせが大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている中段の変動図柄10の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合わせを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の一種である。興趣演出には、変動表示の途中でLCD3の表示画面にリーチ表示に代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカ29から特定の音声を出力したり、或いは、図示しない操作ハンドルを振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。この興趣演出の一形態として、遊技者の期待感を段階的に盛り上げるために、大当たりが発生する前の複数回の変動表示にリーチ表示等の特定の表示を連続して(繰り返して)現出させる連継演出がある。
連継演出乱数カウンタ23dは、変動表示の途中で連継演出の一部を構成する連継表示を現出させるか否かを決定するためのカウンタである。連継演出は、大当たりの発生前に連続して行われる複数回の変動表示における各変動表示に連継表示を連続して現出させることにより、大当たりを発生させる変動表示より前に行われる変動表示から遊技者に大当たりの発生を前もって示唆する演出である。
ここで、図4を参照して、パチンコ機Pに設定された連継演出を構成する連継表示について説明する。図4は、連継表示を伴う変動表示におけるLCD3の表示画面を例示した図である。図4(a)は、変動開始前におけるLCD3の表示画面を例示した図であり、図4(b)は、変動開始後に、連継表示として設定された「背景点滅」の表示が行われた状態を示し、図4(c)は、図4(b)の直後の状態を示している。
変動表示の開始前には、図4(a)に示すように、複数の主図柄10a及び副図柄10bで構成される変動図柄10が変動表示後の停止状態となっている。「背景点滅」の表示を伴う変動表示が実行される場合には、複数の主図柄10a及び副図柄10bが左方へ移動を開始して変動表示が開始され、その開始後0.5秒が経過すると、LCD3の表示画面における背景3aが白く発光した(LCD3の輝度が高められた)状態(図4(b)の状態)と、背景3aが変動停止時と同一色(本実施例においては水色)となった状態(図4(c)の状態)とが交互に切り替わる点滅状態となる。かかる点滅状態は、0.5秒間継続してから復帰するものであり、この点滅状態が変動表示に伴った場合に連継表示の現出となる。本実施例のパチンコ機Pにおいては、この「背景点滅」の表示の繰り返しによる連継演出によって大当たりの発生が示唆される。なお、「背景点滅」の表示を伴わない変動表示においては、図4(b)の状態が介在しないで、即ち背景3aが発光することなく変動表示が行われる。
図3に戻って、連継表示の実行条件等について説明する。連継演出乱数カウンタ23dは、カウンタ更新処理(図5、S14参照)によって「0」から「255」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり255)に達した後に再び「0」に戻される。この連継演出乱数カウンタ23dの値は、前記した内部乱数カウンタ23bの値等と同様に始動入賞時に取得され、同一の始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、連継演出乱数カウンタ23dの値が「7」である場合に開始される変動表示に対しては連継演出を構成する連継表示の実行抽選(選定)に当選したとして連継表示の現出が確定する。
大当たり図柄カウンタ23eは、大当たりのときにLCD3に停止表示される大当たり図柄(特別図柄)を決定するためのカウンタである。この大当たり図柄カウンタ23eは、後述するカウンタ更新処理(図5、S14参照)によって、「0〜44」の範囲内で順に1ずつ加算されて更新され、最大値(つまり44)に達した後に再び「0」に戻される。この大当たり図柄カウンタ23eの値は、前記した内部乱数カウンタ23b及びリーチ乱数カウンタ23cと共に始動入賞時に取得され、同時に取得された内部乱数カウンタ23bの値に基づいて大当たりの発生が確定すると、その大当たりを発生させる変動表示に対して停止表示される変動図柄10の組み合わせが大当たり図柄カウンタ23eの値に基づいて決定される。具体的には、この決定は、演出実行1〜4メモリ23h〜23kに同時に格納される大当たり図柄カウンタ23eの値に対応した変動図柄10の組み合わせ(大当たり図柄)を示す値を図示しないテーブル(大当たり図柄カウンタ23eの値と変動図柄10との対応関係を表すテーブル)に基づいて求め、停止図柄コマンドに設定することにより行われる(図8、S52参照)。
ハズレ図柄カウンタ23fは、ハズレ時にLCD3に停止表示される図柄の組み合わせ(ハズレ図柄)を決定するためのカウンタである。このハズレ図柄カウンタ23fは、各カウンタがLCD3の上段、中段、下段に表示される図柄に対応づけられた3つの図柄カウンタで構成されている。ハズレ図柄カウンタ23fは、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図5、S16参照)によって「0」から各段の図柄リールを構成する変動図柄10の数まで1ずつ加算されて更新され、最大値に達した後に再び「0」に戻される。また、下段の図柄カウンタが最大値に達した場合に中段の図柄カウンタが1加算されて更新され、中段の図柄カウンタが最大値に達した場合に上段の図柄カウンタが1加算されるようになっている。前記した内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でなく、且つ、リーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値でない場合における変動表示の停止図柄は、ハズレ図柄カウンタ23fの値に従ってLCD3に表示されるものであり、ハズレ図柄カウンタ23fの値を停止図柄コマンドに設定することにより行われる(図8、S57参照)。
演出実行エリア23gは、LCD3で実行中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、連継演出乱数カウンタ23d、大当たり図柄カウンタ23e、及び、ハズレ図柄カウンタ23fの値を変動表示のデータ(変動表示情報)として記憶するためのエリアである。この演出実行エリア23gには、LCD3で変動表示が実行中でなく、且つ、保留球カウンタ23aの値が「1」以上で保留中の変動表示がある場合に、保留中の変動表示のうち最初に書き込みが行われた演出実行1メモリ23hに記憶されている変動表示のデータが書き込まれる(図6、S31参照)。
演出実行1〜4メモリ23h〜23kは、保留中の変動表示に対する内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、連継演出乱数カウンタ23d、大当たり図柄カウンタ23e、及び、ハズレ図柄カウンタ23fの値を変動表示のデータとして記憶するメモリである。この演出実行1〜4メモリ23h〜23kへの変動表示のデータの書き込みは、始動入賞時に実行される。また、本実施例における変動表示の待機回数は最大4回であるので、4つの演出実行1〜4メモリ23h〜23kが設けられている。これら4つの演出実行1〜4メモリ23h〜23kに保留中のデータがある場合には、1回の変動表示毎に1つずつ演出実行エリア23gにデータが書き込まれて使用される。
また、演出実行1〜4メモリ23h〜23kへの変動表示のデータの書き込みは、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに対して行われる。即ち、保留球カウンタ23aの値が「1」の場合には演出実行1メモリ23hへ、保留球カウンタ23aの値が「2」の場合には演出実行2メモリ23iへ、・・・、保留球カウンタ23aの値が「4」の場合には演出実行4メモリ23kへ変動表示のデータが書き込まれる(図6、S25参照)。
カウンタ用バッファ23lは、更新中のカウンタの値を一時的に記憶するための領域であり、上記した各カウンタ23b〜23fの値は、更新される毎にカウンタ用バッファ23lに書き込まれて記憶される。また、後述するハズレ図柄カウンタ更新処理(図5、S16参照)によってハズレ図柄カウンタ23fの値が更新された場合に、ハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値(カウント値)となったとき、そのカウント値をハズレリーチの発生時に使用する値として記憶する。具体的には、ハズレ図柄カウンタ23fを構成する上段の図柄カウンタと下段の図柄カウンタとが1のライン上に同一図柄を停止表示させるカウント値の組み合わせとなり、且つ、その図柄とは異なる図柄を中段の図柄カウンタが示している場合(例えば、上段、中段、下段の図柄の組み合わせが「767」や「151」などとなっている場合)に、ハズレ図柄カウンタ23fのカウント値がハズレリーチを構成する図柄の組み合わせを示す値としてカウンタ用バッファ23lに記憶される。
かかるROM22およびRAM23を内蔵したMPU21はバスラインを介して入出力ポート25と接続されており、入出力ポート25は、払出用モータ26によって賞球や貸球の払出制御を行う払出制御基板Hと、前記した図柄の変動表示等の制御を行う表示用制御基板Dと、第1種始動口スイッチ27と、そのほか、他の入出力装置30とにそれぞれ接続されている。
第1種始動口スイッチ27は、図柄作動口(第1種始動口)4に入賞した球を検出するためのスイッチであり、図柄作動口4の近傍に設けられている。第1種始動口スイッチ27によって球が検出されると、払出制御基板Hの制御によって払出用モータ26が駆動され、5個の賞球が払い出される。また、第1種始動口スイッチ27によって球が検出された場合には、内部乱数カウンタ23b等の値が取得され、その取得された値が変動表示のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに書き込まれて記憶される。
表示用制御基板Dは、1チップマイコンとしてのMPU31、ビデオRAM34、キャラクタROM35、画像コントローラ36、入出力ポート37、出力ポート38等を備えている。入出力ポート37の一方には、主制御基板Cの入出力ポート25と、音声ランプ制御基板Lとが接続され、入出力ポート37の他方には、バスラインを介してMPU31が接続されている。また、出力ポート38の入力には画像コントローラ36が接続され、出力ポート37の出力にはLCD3が接続されている。
表示用制御基板DのMPU31は、主制御基板Cから送信される制御用コマンドに基づいて、LCD3の(変動)表示を制御するためのものであり、ROM32とRAM33とを備えている。ROM32には、MPU31により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図9のフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部としてROM32に記憶されている。
RAM33は、MPU31による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリであり、保留球カウンタ33aと、連継フラグ33bと、演出実行エリア33cとを備えている。
保留球カウンタ33aは、変動表示の待機回数(保留球数)を記憶して音声ランプ制御基板Lを介して保留ランプ8a〜8dの点灯を制御するためのカウンタである。この保留球カウンタ33aは、始動入賞時に主制御基板Cから送信される始動入賞コマンドを表示用制御基板Dが受信した場合に「1」ずつ加算され(図9、S73参照)、変動表示の開始時に「1」ずつ減算される(図9、S76参照)。保留球カウンタ33aの値が更新されるときには、表示用制御基板Dは、音声ランプ制御基板Lへ保留球カウンタ33aの値を付加した点灯コマンドを送信し、音声ランプ制御基板Lは、その点灯コマンドの指示に従って保留LED82の点灯状態を更新し、保留ランプ8a〜8dの点灯個数を保留球数に一致させる。なお、表示用制御基板Dの保留球カウンタ33aの値は、主制御基板Cの保留球カウンタ23aと同期して「0」から「4」の範囲で変化するものであるので、必ずしも表示用制御基板Dに設ける必要はなく、主制御基板Cの保留球カウンタ23aの値を始動入賞時および変動開始時に毎回受信する構成としても良い。
連継フラグ33bは、連継演出の実行中であることを認識するために設けられたフラグである。この連継フラグ33bは、主制御基板Cから連継表示の現出を示す表示コマンドを受信した場合にオンされる(図9、S80参照)。この連継フラグ33bがオンされた場合には、点滅開始コマンドが音声ランプ制御基板Lへ送信され、音声ランプ制御基板Lは、その点滅開始コマンドの指示に従って4個の補助LED83全てを点滅させる。補助LED83の点滅に伴って保留ランプ8a〜8dの全てが点滅状態となり、遊技者にとって保留球数が視認し難い状態となる。この連継フラグ33bがオンである間、即ち、連継フラグ33bのオン状態で受信した表示コマンドが連継表示の現出を示すものであって連継演出が継続されている間は、保留ランプ8a〜8dの点滅状態が継続される。
連継フラグ33bのオン状態で主制御基板Cから受信した表示コマンドが連継表示の現出を示すものでなければ、連継フラグ33bはオフされる(図9、S83参照)。連継フラグ33bがオフされると、点滅終了コマンドが音声ランプ制御基板Lへ送信され、音声ランプ制御基板Lの制御によって保留ランプ8a〜8d(補助LED83)の点滅状態が終了し、保留球数が視認し易い状態となる。
連継フラグ33bのオン状態で変動が停止し、保留球カウンタ33aの値が「0」となっているときには、変動停止後に引き続き行われる変動表示がなく、連継演出が継続されない。この場合には、連継フラグ33bがオフされると共に(図9、S90参照)、点滅終了コマンドが音声ランプ制御基板Lへ送信され、保留ランプ8a〜8dの点滅状態が終了する。
演出実行エリア33cは、主制御基板Cから送信される表示コマンドを受信した場合に、その表示コマンドに付加される変動パターン及び停止図柄に関するデータを記憶するためのものである。表示用制御基板Dが表示コマンドを受信すると、その表示コマンドに付加される変動パターン及び停止図柄に関するデータが演出実行エリア33cに書き込まれ(図9、S75参照)、その書き込まれたデータに従って変動表示が行われる。
ビデオRAM34は、LCD3に表示される表示データが記憶されるメモリであり、このビデオRAM34の内容を書き換えることにより、LCD3の表示内容が変更される。キャラクタROM35は、LCD3に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ36は、MPU31、ビデオRAM34、出力ポート37のそれぞれのタイミングを調整して、データの読み書きを介在するとともに、ビデオRAM34に記憶される表示データをキャラクタROM35を参照して所定のタイミングでLCD3に表示させるものである。
音声ランプ制御基板Lは、スピーカ29から出力される効果音の音声制御と、保留ランプ8a〜8dを構成する保留LED82、補助LED83及びその他の各種ランプ28の点灯制御を行うものである。音声ランプ制御基板Lは、表示用制御基板Dから送信されるコマンドによって制御されるものであり、表示用制御基板Dによって制御されるLCD3と、音声ランプ制御基板Lによって制御されるランプ28やスピーカ29等が同期して変動表示や各種の演出が実行される。
音声ランプ制御基板Lには、1チップマイコンとしてのMPU41が設けられており、このMPU41によって、表示用制御基板Dから送信される制御用コマンドに基づいてランプ28やスピーカ29等の制御が行われる。MPU41は、ROM42とRAM43とを備え、ROM42には、MPU41により実行される各種の制御プログラムや固定値データが記憶されている。図10のフローチャートのプログラムおよび図11に示す各保留ランプ8a〜8dの点灯パターンに対応した情報(表示情報)は、制御に必要な情報としてROM42に記憶されている。RAM43は、MPU41による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグが記憶されるメモリである。
次に、上記のように構成されたパチンコ機Pで実行される各処理を、図5から図10の各フローチャートを参照して説明する。図5は、パチンコ機Pの主制御基板Cにおいて実行されるメイン処理のフローチャートである。メイン処理では、バックアップデータがある場合の復元や、RAMやI/O等の各値の初期化、及び、タイマ割込等の各割込の設定を行う等の初期化処理(S11)を実行し、その後に、S12からS17の各処理を所定時間毎(例えば、2ms毎)に繰り返し実行して、遊技の制御を行う。
始動入賞変動開始処理(S12)では、球が図柄作動口(第1種始動口)4へ入賞したか否かを確認して変動表示の内容を設定すると共に、変動開始のタイミングであれば、変動表示を開始させる表示コマンドを表示用制御基板Dへ送信する。この始動入賞変動開始処理(S12)の詳細については、図6を参照して後述する。
変動停止処理(S13)では、まず、大当たり中であるか否かを判定する。ここで、大当たり中には、大当たりの際にLCD3で表示される特別遊技の最中と特別遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。特別遊技終了後の所定時間は、例えばパチンコ機Pの各状態を整えるのに要する時間などとして設定される。大当たり中ではないと判定されると、リーチ表示の有無など変動表示の態様に応じて区分けした種別を表す変動パターンにおける変動時間が終了しているか否かを判定する。この処理は、各変動パターン毎に設定された時間を経過したかを判定することにより行われる。変動時間が終了していれば、変動の停止と確認のために制御用コマンドの1つである確定コマンドを表示用制御基板Dへ出力し、この処理を終了する。表示用制御基板Dは、確定コマンドを入力すると、LCD3の変動表示を停止表示(確定)させる。
カウンタ更新処理(S14)では、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、連継演出乱数カウンタ23d、大当たり図柄カウンタ23eの各カウンタの値を更新する。大当たり処理(S15)では、大当たりか否かを判定し、大当たりである場合には特定入賞口5(図1参照)の開放処理を行う。一方、大当たりでない場合には、該処理をスキップしてこの処理を終了する。特定入賞口5の開放処理では、球が入賞しやすいように特定入賞口5を所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放する。特定入賞口5の開放中に、球がVゾーン5aを通過すると、継続権を成立させて、特定入賞口5の閉鎖後、再度、その特定入賞口5を所定時間(又は、球が10個入賞するまで)開放する。この特定入賞口5の開閉動作を、最高で16回(16ラウンド)繰り返す。
ハズレ図柄カウンタ更新処理(S16)では、ハズレ図柄カウンタ23fの値を更新する。その後、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間の間、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S16)を繰り返し実行する。S12〜S15の各処理は定期的に実行する必要があるので、S17の処理において、前回のS12の処理の実行からの経過時間をチェックする(S17)。チェックの結果、前回のS12の処理の実行から所定時間(例えば2ms)経過していれば(S17:Yes)、処理をS12へ移行する。一方、所定時間経過していなければ(S17:No)、処理をS16へ移行して、ハズレ図柄カウンタ更新処理(S16)を繰り返す。ここで、S12〜S15の各処理の実行時間は、遊技の状態に応じて変化するので、次のS12の処理の実行タイミングが到来するまでの残余時間は、一定の時間ではない。よって、かかる残余時間を使用してハズレ図柄カウンタ更新処理(S16)を繰り返し実行することにより、ハズレ図柄カウンタ23fの値をランダムに更新することができる。
図6は、主制御基板Cのメイン処理(図5参照)の中で実行される始動入賞変動開始処理(S12)のフローチャートである。この始動入賞変動開始処理(S12)は、始動入賞の有無を確認して変動表示の表示態様を選定すると共に、その選定された表示態様を伴う変動表示を表示用制御基板Dを介してLCD3に行わせる処理である。
この始動入賞変動開始処理(S12)では、まず、第1種始動口スイッチ27が球を検出したか否かを確認する(S21)。球を検出していれば(S21:Yes)、保留球カウンタ23aの値が「4」以上であるか否かを確認する(S22)。その値が「4」未満であれば(S22:No)、変動表示のデータが最大の待機回数分記憶されていないので、保留球カウンタ23aの値に「1」を加算した後(S23)、加算後の保留球カウンタ23aの値を付加した始動入賞コマンドを表示用制御基板Dへ送信する(S24)。
始動入賞コマンドは、2バイトのデータで構成され、始動入賞の発生を示す1バイト目のデータと、「1」から「4」の保留球カウンタ23aの値を示す2バイト目のデータで構成される。主制御基板Cからのコマンドの送信は、図示しない主制御基板Cの送信バッファにコマンドが一旦書き込まれ、その書き込み順に表示用制御基板Dへ1バイトずつ送信される。
S24の処理後、内部乱数カウンタ23b、リーチ乱数カウンタ23c、連継演出乱数カウンタ23d、大当たり図柄カウンタ23e、及び、ハズレ図柄カウンタ23fの各値を変動表示のデータとして保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに書き込んで記憶し(S25)、内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値の1つである「7」であるか否かを確認する(S26)。
S26の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」であれば(S26:Yes)、演出実行1〜4メモリ23h〜23kに記憶された変動表示のデータを書き換えて、大当たりを発生させる変動表示と待機中の変動表示とに連継表示を現出させる演出実行メモリ書換処理を実行し(S27、図7参照)、処理をS28へ移行する。一方、S26の処理において内部乱数カウンタ23bの値が「7」以外の値であれば(S26:No)、演出実行メモリ書換処理(S27)をスキップして処理をS28へ移行する。
ここで、内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値としては、「7」と「315」との2種類があり、このうち「7」である場合に限ってS27の処理において変動表示のデータを書き換えて、大当たりを発生させる変動表示と待機中の変動表示とに連継表示を現出させる。よって、大当たりが発生する場合に必ずしも連継表示の現出が行われるとは限らないので、遊技者には、連継表示の現出がない場合であっても大当たりの発生を期待させることができる。
S21の処理において、第1種始動口スイッチ27が球を検出していなければ(S21:No)、始動入賞の成立時でなく、また、S22の処理において保留球カウンタ23aの値が「4」以上であれば(S22:Yes)、最大待機回数分の変動表示のデータが記憶されているので、S23〜S27の処理をスキップして処理をS28へ移行する。
S28からの処理では、まず、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であるか否かを確認する(S28)。「1」以上であれば(S28:Yes)、変動表示中か又は大当たり中(所定の遊技価値が付与される特別遊技状態中)であるか否かを確認する(S29)。変動表示中でなく且つ大当たり中でもなければ(S29:No)、保留球カウンタ23aの値から「1」を減算して(S30)、演出実行1メモリ23hに記憶されて演出を実行するための変動表示のデータを演出実行エリア23gに書き込む(S31)。
次に、演出実行2〜4メモリ23i〜23kに記憶されている変動表示のデータを、演出実行1〜3メモリ23h〜23jへそれぞれ1つずつシフトする(S32)。更に、演出実行エリア23gに書き込まれたデータに基づいて変動パターンや停止図柄等の変動表示の態様を選定し、表示コマンドの内容を決定する表示コマンド決定処理を行い(S33、図8参照)、その表示コマンド決定処理(S33)により決定された表示コマンドを表示用制御基板Dに送信して(S34)、この始動入賞変動開始処理(S12)を終了する。表示用制御基板Dは、S34の処理に基づいて送信される表示コマンドを、図9に示すコマンド受信処理で受信するとLCD3の表示を制御する各処理を実行する。
一方、S28の処理において保留球カウンタ23aの値が「1」未満、即ち、「0」であることが確認された場合(S28:No)、及び、S29の処理において変動表示中か又は大当たり中であることが確認された場合には(S29:Yes)、S30からS34の処理をスキップして始動入賞変動開始処理(S12)を終了する。
次に、図7を参照して、始動入賞変動開始処理(S12)の中で実行される演出実行メモリ書換処理(S27)について説明する。演出実行メモリ書換処理(S27)は、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」である場合に、その時点で変動表示のデータを書き換えて待機中の変動表示の全てに連継表示を現出させる処理である。
演出実行メモリ書換処理(S27)では、まず、保留球カウンタ23aの値を退避し(S41)、保留球カウンタ23aの値が示す演出実行1〜4メモリ23h〜23kに記憶された連継演出乱数カウンタ23dの値を、連継表示を現出させる値である「7」に書き換える(S42)。この1回目の書き換えによって大当たりを発生させる変動表示に連継表示が必ず現出することとなる。
次に、保留球カウンタ23aの値を「1」減算し(S43)、減算後の保留球カウンタ23aの値が「1」未満(つまり「0」)であれば(S44:No)、大当たり発生前に実行される待機中の変動表示がないので、S41の処理で退避した保留球カウンタ23aの値を元に戻して(S45)、この演出実行メモリ書換処理(S27)を終了する。
S44の処理において、保留球カウンタ23aの値が「1」以上であれば(S44:Yes)、今回の大当たりを発生させる変動表示の前に行われる待機中の変動表示が1以上存在する。この場合には、処理をS42へ移行し、大当たりの変動表示前に行われる待機中の変動表示に連継表示を現出させるように演出実行1〜4メモリ23h〜23kに記憶されたデータを書き換える(S42)。
S42の処理後は、再度、保留球カウンタ23aの値を「1」減算し(S43)、保留球カウンタ23aの値が「0」になるまで、S42からS44の処理を繰り返す。そして、減算された保留球カウンタ23aの値が「0」になると(S44:No)、S41の処理で退避した保留球カウンタ23aの値を元に戻して(S45)、この演出実行メモリ書換処理(S27)を終了する。
このように、演出実行メモリ書換処理(S27)では、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」である場合、即ち、大当たりを発生させる始動入賞時に、S42の処理によって大当たりを発生させる変動表示と、その始動入賞時に待機中の変動表示のすべてに対応する演出実行1〜4メモリ23h〜23kに記憶された連継演出乱数カウンタ23dの値を、連継表示を現出させる値である「7」に書き換える。このため、大当たりを発生させる変動表示と、その前に行われる待機中の変動表示のすべてに対して連継表示が現出する。よって、待機中の変動表示が1以上ある状態で演出実行メモリ書換処理(S27)が実行されると、大当たりの発生前に連継表示が現出し、その後に大当たりを発生させる変動表示にも連継表示が現出するので、複数回の変動表示にわたって連継表示が連続して現出した後に大当たりとなって特別遊技状態へ遷移する。従って、特別遊技状態に対する期待感を複数回の動的表示にわたって現出する連継表示の現出によって継続して抱かせることができる。
なお、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値である場合に(図6、S26:Yes)、待機中の変動表示のすべてに対応する演出実行1〜4メモリ23h〜23kに記憶されたデータを書き換えて連継表示を現出させる必要はなく、大当たりを発生させる変動表示の直前に実行される待機中の変動表示の少なくとも1つ以上に対する該データを書き換えて連継表示を現出させるものとしても良い。大当たり発生前に連継表示が連続して現出する回数は低減するものの、複数回の動的表示にわたって現出する連継表示の現出によって特別遊技状態に対する期待感を遊技者に抱かせることができる。
また、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であると確認された場合に(図6、S26:Yes)、そのすぐ後の処理で変動表示のデータを書き換えて連継表示を現出させる必要はなく、図6のS33に示す表示コマンド決定処理で変動表示の態様を選定するときに、待機中の変動表示のデータに大当たりを発生させるデータが含まれているか否かを確認し、その確認によって大当たりのデータが含まれているときに連継表示を現出させるように、連継表示の現出を選定する制御を行っても良い。
更に、大当たりを発生させる抽選に当選した場合に、その大当たり抽選に対する当選を一旦記憶し、待機中の変動表示の有無に拘わらず、2回以上の連継表示の現出を伴うハズレの変動表示を実行してから大当たりを発生させる変動表示を実行しても良い。また、大当たりを発生させる変動表示に対する変動パターンとして、1回の変動表示の中で、連継表示の現出を伴う2回以上のハズレの表示結果を仮想的に表示させた後に再変動を行う仮の変動表示を複数回行って、遊技者にはあたかも複数回の変動表示にわたって連継表示が現出しているかのような印象を持たせるものであっても良い。つまり、大当たりの発生前に連継表示が複数回の変動表示にわたって現出し易いように変動表示の表示態様を選定するものであれば良く、大当たりの発生前に連継表示が2回以上の動的表示にわたって連続して行われる頻度を高めることで、有利な遊技状態に対する期待感を複数回の動的表示にわたって継続して持たせることができる。
図8は、図6に示す始動入賞変動開始処理(S12)の中で実行される表示コマンド決定処理(S33)のフローチャートである。表示コマンドは、主制御基板Cから表示用制御基板Dに送信されるものであり、変動表示後の停止時の図柄を指定するための停止図柄コマンドと、変動表示の変動パターンを指定するための変動パターンコマンドとから構成されている。表示コマンド決定処理(S33)では、始動入賞時に取得された変動表示のデータに基づいて変動表示の内容(表示態様)を示す表示コマンドを決定する。
この表示コマンド決定処理(S33)では、まず、演出実行エリア23gに記憶された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値であるか否かを判断する(S51)。その値が大当たりを発生させる値であれば(S51:Yes)、大当たりを発生させる変動表示に対する変動パターンを選定するときである。この場合には、演出実行エリア23gに記憶された大当たり図柄カウンタ23eの値に対応した変動図柄10の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S52)、更に、大当たり前にリーチ表示を伴わせる変動表示に対応する変動パターンコマンドを設定して(S53)、処理をS59へ移行する。
S51の処理において内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値でない場合には(S51:No)、演出実行エリア23gに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値であるか否かを判断する(S54)。その値がハズレリーチを発生させる値であれば(S54:Yes)、カウンタ用バッファ23lに記憶されたハズレリーチを構成する変動図柄10の組み合わせを示す値を停止図柄コマンドに設定し(S55)、更に、ハズレリーチに対応する変動パターンコマンドを表示コマンドとして設定し(S56)、処理をS59へ移行する。
S54の処理において演出実行エリア23gに記憶されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値でない場合には(S54:No)、演出実行エリア23gに記憶されたハズレ図柄カウンタ23fの値を停止図柄コマンドに設定し(S57)、更にリーチ表示を伴わないハズレの変動表示に対応するデータを変動パターンコマンドとして設定し(S58)、処理をS59へ移行する。
S59以降の処理では、演出実行エリア23gに記憶された連継演出乱数カウンタ23dの値が連継表示を現出させる値である「7」であるか確認し(S59)、その値が「7」であれば(S59:Yes)、連継表示の現出を示すデータを表示コマンドに付加する(S60)。本実施例においては、表示コマンドを構成する変動パターンコマンドの最下位ビットは、連継表示の現出を示すデータを付加するためのものであり、その最下位ビットをオンすることにより連継表示の現出を示し、最下位ビットがオフの場合に連継表示を非現出とするように設定される。表示用制御基板Dは、表示コマンドを受信した場合に、そのコマンドに連継表示の現出を示すデータが付加されているか否かを変動パターンコマンドの最下位ビットによって認識し、連継表示の現出が必要な場合に変動表示の開始後に連継表示としての「背景点滅」の表示(図4参照)を現出させる。
S60の処理後には、この表示コマンド決定処理(S33)を終了し、処理を始動入賞変動開始処理(S12)に戻す。S59の処理において演出実行エリア23gに記憶された連継演出乱数カウンタ23dの値が連継表示を現出させる値でない場合には(S59:No)、S60の処理をスキップして表示コマンドに連継表示の現出を示すデータを付加することなく、表示コマンド決定処理(S33)を終了する。表示用制御基板Dは、表示コマンドに連継表示の現出を示すデータが付されていない場合には、連継表示を現出させない変動表示であることを認識し、「背景点滅」の表示(図4参照)を伴わせないで変動表示を実行する。
図9は、表示用制御基板Dで実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。このコマンド受信処理は、表示用制御基板Dにおいて主制御基板Cからコマンドを受信した場合に実行される割込処理であり、この処理によって主制御基板Cから送信されたコマンドに予め対応付けされた処理が表示用制御基板Dで行われる。
このコマンド受信処理では、まず、始動入賞コマンドを受信したか確認する(S71)。始動入賞コマンドを受信していれば(S71:Yes)、図柄作動口4へ球が入賞したタイミングであるので、保留球カウンタ33aの値を「1」加算する(S72)。更に、保留球カウンタ33aの値を付加した点灯コマンドを音声ランプ制御基板Lへ送信し(S73)、音声ランプ制御基板Lの制御により保留ランプ8a〜8d(保留LED82)の点灯状態を更新させる。S71の処理において始動入賞コマンドを受信していなければ(S71:No)、始動入賞コマンド以外のコマンドを受信しているので、S72およびS73の処理をスキップして処理をS74へ移行する。
S74の処理では、表示コマンドを受信したか確認する(S74)。表示コマンドの受信でなければ(S74:No)、表示コマンドの受信時に実行するS75からS85の処理をスキップして処理をS86へ移行する。表示コマンドの受信が確認されると(S74:Yes)、表示コマンドを構成する変動パターンコマンドと停止図柄コマンドとに基づいて表示コマンドに付加された停止図柄及び変動パターンを示すデータを演出実行エリア33cに書き込む(S75)。また、表示コマンドを受信した場合には変動表示を開始するタイミングであるので、保留球カウンタ33aの値を「1」減算すると共に(S76)、減算した保留球カウンタ33aの値を付加した点灯コマンドを音声ランプ制御基板Lへ送信し(S77)、音声ランプ制御基板Lに保留ランプ8a〜8dの点灯状態を更新させる。
S77の処理後、受信した表示コマンドが連継表示の現出を示すものか否かを確認し(S78)、連継表示の現出を示すものであれば(S78:Yes)、連継フラグ33bがオンであるか確認する(S79)。連継フラグ33bがオンでなければ(S79:No)、連継フラグ33bをオンし(S80)、連継演出が開始されることを記憶する。更に、点滅開始コマンドを音声ランプ制御基板Lへ送信して(S81)、音声ランプ制御基板Lに保留ランプ8a〜8dを点滅させて、遊技者が保留球数を視認し難いようにしてから、LCD3の表示を制御して変動表示を開始させる(S85)。S79の処理において連継フラグ33bがオンであれば(S79:Yes)、連継演出の実行中であるので、S80及びS81の処理をスキップして処理をS85へ移行する。
S78の処理において、受信した表示コマンドが連継表示の現出を示すものでなければ(S78:No)、連継フラグ33bがオンであるか確認する(S82)。連継フラグ33bがオンであれば(S82:Yes)、前回までの変動表示で連継演出が実行されており、今回の変動表示から連継表示を伴わない通常の演出を実行させるので、連継フラグ33bをオフすると共に(S83)、点滅終了コマンドを音声ランプ制御基板Lへ送信し(S84)、処理をS85へ移行する。S82の処理において連継フラグ33bがオフであれば(S82:No)、S83及びS84の処理をスキップして処理をS85へ移行する。
S86の処理では、確定コマンドを受信したか確認する(S86)。確定コマンドの受信が確認されると(S86:Yes)、変動表示を停止表示させて確定させ(S87)、連継フラグ33bがオンか確認する(S88)。連継フラグ33bがオンであれば(S88:Yes)、更に、保留球カウンタ33aの値が「0」か確認する(S89)。連継フラグ33bがオンであって、且つ、保留球カウンタ33aの値が「0」である場合には(S88,S89:Yes)、連継演出の実行された変動表示の終了時であるものの、その後に継続して実行される変動表示がない場合であるので、連継フラグ33bをオフすると共に(S90)、点滅終了コマンドを音声ランプ制御基板Lへ送信して(S91)、処理をS92へ移行する。S91の処理により、音声ランプ制御基板Lは、点滅終了コマンドに基づいて保留ランプ8a〜8dの点滅状態を終了させる。
S86の処理において確定コマンドの受信でない場合(S86:No)、S88の処理において連継フラグ33bがオフである場合(S88:No)、及び、S89の処理で保留球カウンタ33aの値が「0」でなく「1」以上であることが確認された場合には(S89:No)、上記したコマンド以外の他のコマンドの受信時に、受信したコマンドに対応するその他処理を行い(S92)、コマンド受信処理を終了する。
図10は、音声ランプ制御基板Lで実行されるコマンド受信処理のフローチャートである。このコマンド受信処理は、音声ランプ制御基板Lにおいて表示用制御基板Cからコマンドを受信した場合に実行される割込処理であり、この処理によって表示用制御基板Dから送信されたコマンドに予め対応付けされた保留ランプ8a〜8dの点灯制御が音声ランプ制御基板Lによって行われる。
音声ランプ制御基板Lのコマンド受信処理では、まず、点灯コマンドを受信したか確認し(S101)、点灯コマンドを受信していれば(S101:Yes)、点灯コマンドに付加された保留球カウンタ33aの値を読み取り(S102)、その読み取った保留球カウンタ33aの値に応じた個数の保留LED82を点灯する(S103、図11(a)〜図11(e)参照)。S101の処理において、点灯コマンドの受信でなければ(S101:No)、S102及びS103の処理をスキップして処理をS104へ移行する。
S104の処理では、点滅開始コマンドを受信したか確認し(S104)、点滅開始コマンドを受信していれば(S104:Yes)、4個の補助LED83をすべて点滅させて(S105)保留ランプ8a〜8dを虹色に点滅させ、遊技者が保留球数を視認し難い状態とする(図11(f)の状態)。この点滅状態はS107の補助LED83を消灯する処理が行われるまで継続する。S104の処理において、点滅開始コマンドの受信でなければ(S104:No)、S105の処理をスキップして処理をS106へ移行する。
S106の処理では、点滅終了コマンドを受信したか確認し(S106)、点滅終了コマンドを受信していれば(S106:Yes)、4個の補助LED83をすべて消灯し(S107)、保留ランプ8a〜8dの点滅状態から遊技者が保留球数を視認し易い状態に復帰させる。S106の処理において、点滅終了コマンドの受信でなければ(S106:No)、S107の処理をスキップし、処理をS108へ移行する。S106の処理において、点滅開始コマンドの受信でなければ(S106:No)、S105の処理をスキップして処理をS106へ移行する。
S108の処理では、上記した点滅コマンド、点滅開始コマンド、及び、点滅終了コマンド以外の他のコマンドの受信時に、その受信したコマンドに対応するその他処理を行い(S108)、コマンド受信処理を終了する。
このように、音声ランプ制御基板Lのコマンド受信処理では、点灯コマンドを受信した場合に、S103の処理によって表示用制御基板Dの保留球カウンタ33aの値に応じた個数の保留LED82を点灯状態にする。点灯コマンドは、保留球数が更新される毎に表示用制御基板Dから送信されるので、保留LED82の点灯状態を、常に保留球数に対応した個数分だけ点灯させることができる。
また、音声ランプ制御基板Lのコマンド受信処理では、点滅開始コマンドを受信した場合に、保留ランプ8a〜8dを構成する4個の補助LED83をすべて点滅状態にし、その点滅状態は、点滅終了コマンドを受信するまで継続される。点滅開始コマンドは、連継表示を伴う変動表示の開始時に表示用制御基板Dから送信され、点滅終了コマンドは、連継表示を伴う変動表示の終了時に送信されるので、連継表示を伴う変動表示が複数回の変動表示にわたって連続して実行される期間(連継演出の実行期間)中には、継続して保留ランプ8a〜8dを虹色に点滅させることができる。
次に、上記した第1実施例のパチンコ機Pにおける連継演出の遊技について、図11を主に参照して説明する。図11は、保留ランプ8a〜8dの点灯状態を保留球数毎に例示した図である。
遊技の開始時には、待機中の変動表示が全くなく、保留球数が「0」の状態である。この場合には、図11(a)に示すように、保留ランプ8a〜8dは、すべて消灯状態となっている。遊技者が遊技を行うことにより、図柄作動口4(図1参照)へ球が入賞すると変動表示が開始され、その変動表示の実行中に更に図柄作動口4への入賞があると、保留球数(変動表示の待機回数)が増加する。保留球数が増加すると、音声ランプ制御基板Lの制御により、その増加に応じた個数分だけ保留ランプ8a〜8dが点灯し、図11(b)から図11(d)のいずれかに示す状態となる。一方、保留ランプ8a〜8dが1つ以上点灯した状態で変動表示が終了すると、点灯中の保留ランプのうち一番右側の保留ランプが1個消灯され、1回分の保留球数の消化となって変動表示が引き続いて行われる。
また、連継表示を伴う変動表示の開始時においては、連継表示としての「背景点滅」の現出前に、図11(f)に示すように、保留ランプ8a〜8dを構成する4個の補助LED83がすべて点滅状態となる。遊技者にとっては、保留LED82の点灯に基づいた保留球数の視認が難しくなる。この点滅状態は、連継表示が複数回の変動表示にわたって実行されている間は継続するので、遊技者にとっては、連継演出の実行期間中には継続して保留球数の視認がし難くなる。
連継演出を構成する連継表示は、図8に示すS59の処理によって、演出実行エリア23gに記憶された連継演出乱数カウンタ23dの値が「7」であるという条件を満たした場合に現出する。連継演出乱数カウンタ23dは、「0〜255」の範囲内で更新されるものであり、始動入賞時に256分の1の確率で「7」の値が取得されるので、始動入賞時に「7」の値が連続して取得され、連継表示が複数回の変動表示に連続して現出することは少ない。
一方、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」である場合には(図6、S26:Yes)、演出実行メモリ書換処理(S27)によって、その大当たりを発生させる変動表示と、待機中の変動表示のすべてとに対応する演出実行1〜4メモリ23h〜23kに記憶された連継演出乱数カウンタ23dの値が、連継表示を現出させる値「7」に書き換えられる。このため、大当たりを発生させる変動表示の前に行われる待機中の変動表示のすべてに対して、変動開始後にLCD3の背景3aが点滅する「背景点滅」が現出する。その後に大当たりを発生させる変動表示が実行されるときにも「背景点滅」が現出するので、遊技者は、変動表示に「背景点滅」が現出することを視認することにより、次回以降にも「背景点滅」の現出を期待して前もって大当たりへの遷移を期待することができる。
ここで、従来の遊技機においても、始動入賞時に大当たりの発生が確定した場合に、その確定以前に待機中の変動表示にハズレリーチを毎回現出させたり、特定のキャラクタ(例えば、「恐竜」)の表示を毎回現出させる制御を行って連継演出を実行するものがある。しかし、かかる遊技機において、連継演出を構成する特定のキャラクタ等が大当たりの発生が確定する以前に待機中の変動表示の回数分を限度に行われることを遊技者が知ってしまうことがある。遊技者は、連継演出を構成する特定のキャラクタがLCDに表示された場合に、保留ランプで変動表示の待機回数を確認し、その時点で待機中の変動表示のうち最後の変動表示にのみ期待して遊技を行うことがあり、この場合、最後の変動表示に到達するまでの途中の変動表示が遊技者にとって消化的なものとなり、大当たりの発生を期待する対象となる変動表示が少なくなってしまうという問題点があった。
これに対し、本実施例のパチンコ機Pにおいては、連継表示としての「背景点滅」の現出を伴う変動表示の実行中には、保留ランプ8a〜8dが虹色に点滅して遊技者が保留球数を視認し難い状態となるので、遊技者は、「背景点滅」の現出を視認してから保留球数を簡単には確認できなくなる。よって、遊技者は、変動表示の次の変動表示が待機中の最後の変動表示かもしれないという期待をもって変動表示を視認することとなる。従って、連継演出の開始以降の各回の変動表示に期待を持って遊技を行うことができると共に、連継演出を構成する変動表示が積み重なるにつれて、より大きな期待感を抱くことができる。即ち、連継演出中に保留ランプ8a〜8dを視認し難いようにすることで、連継演出の発生の契機となった変動表示が察知され難くなり、連継演出の実行中における変動表示毎に遊技者に特定の遊技状態への遷移を期待させることができ、連継演出によって有利な遊技状態への遷移を期待させる変動表示の対象を増大することができるのである。
なお、パチンコ機Pにおいて、連継表示としての「背景点滅」の現出は、必ずしも表示させる必要はなく、補助LED83を点滅させることによる保留ランプ8a〜8dの点滅を連継表示の現出としても良い。遊技者は、保留ランプ8a〜8dの状態変化に気づいた時点で連継表示の現出を認識する一方、その連継表示の現出時には、保留球数が視認し難い状態となっているので「背景点滅」の現出を伴わせなくても上記した実施例と同様に連継演出によって有利な遊技状態への遷移を期待させる変動表示の対象を増大することができる。
また、S107の処理で4個の補助LED83をすべて消灯するタイミングは、変動表示を開始してから「背景点滅」が現出するまでの一定時間が経過した後にしても良い。「背景点滅」が連続現出して保留球数を視認し難い状態が継続した後に、保留球数を視認し得る変動表示に復帰する変動表示において、「背景点滅」が現出する時期までは、その現出を継続して期待させることができる。よって、連継表示が伴わない動的表示においても、遊技者が連継表示の現出開始時期より前に保留球数の視認し難い状態の終了を確認してしまい、連継表示の連続を期待する遊技の興趣低下を抑制することができる。
次に、図12を参照して、第2実施例について説明する。上記した第1実施例では、LCD3の上側に配設された保留ランプ8a〜8dの点灯によって保留球数を表示し、連継演出中にすべての保留ランプ8a〜8dを点滅させて遊技者が保留球数を視認し難いようにした。これに対し、第2実施例では、保留ランプ8a〜8dによる保留球数の表示に代えて、LCD3の表示画面に保留球数を表示する回数表示領域101を設け、表示用制御基板Dの制御によって回数表示領域101の表示を更新して保留球数を表示するものである。以下、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみについて説明する。
図12は、第2実施例のパチンコ機PにおけるLCD3の表示画面を例示した図である。LCD3の表示画面における中央上部には、左右方向に沿って4つの白抜きの丸印が並べて表示された回数表示領域101が設けられており、この回数表示領域101の丸印が保留球数に対応した個数分だけ赤色の丸印の表示に変化して保留球数が表示される。表示用制御基板Dの制御については、公知のものであるので、その説明を省略する。
この第2実施例のパチンコ機Pにおいては、第1実施例における連継表示としての「背景点滅」を現出させるタイミングで、飛行体を模したキャラクタ102が表示画面の上方から矢印D方向に沿って下降して表示される。その後、矢印U方向に沿ってキャラクタ102は、上昇するものであるが、このキャラクタ102が上昇しても、LCD3の回数表示領域101には、4つの丸印が消去された状態とする。遊技者にとっては、回数表示領域101の消去によって保留球数を確認し得ない状態となる。回数表示領域101の4つの丸印は、第1実施例における点滅中の補助LED83を消灯して保留ランプ8a〜8dの表示を通常の状態に復帰させるタイミングで、表示画面の上方から下降して表示させ、遊技者が保留球数を確認可能な状態にする。
このように、第2実施例のパチンコ機Pにおいては、遊技者は、連継表示としてのキャラクタ102の現出を視認した後の連継演出の実行期間中には保留球数を確認し得なくなる。よって、遊技者は、変動表示の次の変動表示が待機中の最後の変動表示かもしれないという期待をより確実に遊技者に抱かせることができ、連継演出の開始以降の各回の変動表示に期待を持って遊技を行わせることができる。
また、連継表示としてのキャラクタ102は、表示画面上で保留球数を表示する回数表示領域101に重なりつつ配置されて保留球数が視認し得ないように隠蔽されるので、回数表示領域101の隠蔽時において遊技者に感じさせる違和感の少ない変動表示を実現することができる。更に、保留球数が変動図柄10の表示と同一のLCD3に表示されることにより、部品構成を単純化して製造コストを抑えることができる。
なお、保留球数を表示する回数表示領域101に重なって配置されるキャラクタ102は、必ずしも表示画面に画像で表示される平面的なものとする必要はなく、回数表示領域101の上側に樹脂で立体的に形成したキャラクタを、回数表示領域101に重なるように上下方向に動作させるモータやソレノイドを駆動して回数表示領域101を隠蔽する構成としても良い。
ここで、請求項1記載の遊技機および後述する遊技機1における検出手段としては、上記実施例における第1種始動口スイッチ27および主制御基板Cの処理であって第1種始動口スイッチ27が球を検出したか否かを確認する処理(図6のS21の処理)が該当し、抽選手段としては、上記実施例における主制御基板CのRAM23に設けられて2ms毎に更新される内部乱数カウンタ23bと、その内部乱数カウンタ23bの値を始動入賞時に取得する始動入賞変動開始処理(図5のS12の処理)とが該当し、抽選手段による所定の抽選結果の導出としては、始動入賞時に取得して演出実行1〜4メモリ23h〜23jに書き込まれた内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる「7」又は「315」の値であるときが該当する。また、請求項1記載の遊技機および遊技機1における選定手段としては、上記実施例における変動パターン等の変動表示の態様を選定する表示コマンド決定処理(図6のS33の処理)が該当し、変動実行手段としては、上記実施例における表示用制御基板Dが該当し、変動入賞手段としては、特定入賞口5(大入賞口)を開閉させる変動入賞装置が該当する。
また、請求項1記載の遊技機および遊技機1における回数表示更新手段としては、上記第1実施例における音声ランプ制御基板Lで実行される保留LED82を点灯する処理(図10のS103の処理)が該当し、遊技状態判定手段としては、上記実施例における始動入賞時に取得して演出実行1〜4メモリ23h〜23jに書き込まれた内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」か確認する処理(図6のS26の処理)が該当する。また、回数表示変更手段としては、上記第1実施例における4個の補助LED83と演出実行メモリ書換処理(図6のS27の処理)とその演出実行メモリ書換処理に基づいて4個の補助LED83をすべて点滅させる処理(図10のS105の処理)とが該当する。また、回数表示復帰手段としては、上記第1実施例における点滅中の4個の補助LED83をすべて消灯する処理(S107の処理)が該当する。また、上記第2実施例においては、回数表示更新手段、回数表示変更手段、および、回数表示復帰手段としては、LCD3の回数表示領域101に表示される画像を制御する表示用制御基板Dが該当する。
また、請求項1記載の遊技機および遊技機1における回数表示変更手段が、「遊技状態判定手段の判定に基づいて・・・特定の態様に変化させる」とは、遊技状態判定手段の判定結果に対応して回数表示部の態様を特定の態様に変化させることを意味しており、遊技状態判定手段によって遊技状態を特定の遊技状態へ遷移させると判定された場合に、回数表示部の態様を、各回数(各待機回数)毎に設定された複数種類の態様とは異なる特定の態様に変化させることとしても良い。また、待機回数表示手段によって回数表示部に表示される複数種類の態様としては、LCDや7セグメントのダイオード等によって数字で待機回数が表示される場合における待機回数毎に各数字で表示される態様であっても、予め定められた区画内における特定の態様を有する領域の数(例えば、赤色で点灯するランプの点灯数)や大きさ等で表示される場合におけるその区画に待機回数毎に表示される態様であっても良い。
また、請求項1記載の遊技機および遊技機1における回数表示変更手段によって変化させられる回数表示部における特定の態様としては、各回数毎に設定された複数種類の態様とは全く別の態様に変化させるものはもちろん、一時的には複数種類の態様のいずれかに一致するものの、連続的に態様を変化させることにより遊技者が視認した場合に複数種類の態様とは異なる態様として視認し得るものをも含む趣旨である。例えば、回数表示部に各回数毎に特定色(例えば赤色)の発光体(ランプ)の点灯個数を異ならせた態様を複数種類の態様として設定された場合に、その複数種類の態様を連続して変化させる態様(ランプの点灯個数が1個、2個、3個、4個と次第に増加した後に、再度1個からランプの点灯増加が開始される態様)を特定の態様としても良い。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記第1実施例においては、遊技者が保留ランプ8a〜8dによって保留球数を視認し難くなるように、補助LED83を点滅状態としたが、補助LED83が点滅状態となったときには、遊技者が保留球数を視認し得ないように補助LED83の輝度に比べて保留LED82の輝度を低くし、或いは、保留LED82を消灯しても良い。また、補助LED83の点滅の早さや点灯色を調整して遊技者から視認し得ない状態を形成することは好ましい。
また、上記第1実施例においては、保留球数を表示するための保留LED82とは別に、遊技者に保留球数を視認し難くさせるための補助LED83を設けたが、必ずしも補助LED83を設ける必要はない。上記第1実施例において補助LED83の点滅期間中においては、4個の保留LED82のすべてを点滅状態とするなど、保留球数を表示する態様とは異なる態様に点灯状態を更新し、上記第1実施例において点滅中の補助LED83を消灯するタイミングで保留LED82の点灯状態が保留球数に対応するように、音声ランプ制御基板Lに制御を行わせても良い。
更に、上記各実施例においては、始動入賞時に取得された内部乱数カウンタ23bの値が大当たりを発生させる値「7」である場合に演出実行メモリ書換処理(図7参照)を実行し、複数回の変動表示にわたる連継表示の現出によって大当たりの発生に基づく特別遊技状態への遷移を遊技者に示唆した。しかし、連継表示の現出によって遷移を示唆する遊技状態を、必ずしも上記実施例における特別遊技状態とする必要はない。遷移を示唆する特別遊技状態としては、大当たりの発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、普通図柄による変動表示が高確率で当たりとなると共に普通電動役物4が通常状態時より長時間(例えば、通常状態時に0.5秒開放するのに対して3秒)開放されて図柄作動口4への入賞が通常状態より容易となり、更に1回の変動表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が短期間で付与され易い時間短縮状態、又は、上記した遊技状態の組み合わせなどとしても良い。また、連継表示の現出によって直接的には遊技者に遊技価値が付与されない他の遊技状態への遷移を示唆しても良い。例えば、リーチ表示を現出させる場合、即ち、大当たりを発生させる場合に加えて始動入賞時に取得されたリーチ乱数カウンタ23cの値がハズレリーチを発生させる値「7」である場合に演出実行メモリ書換処理(図7参照)を実行し、リーチ表示が現出して特別遊技状態の発生が期待できる遊技状態への遷移を連継表示の現出によって示唆しても良い。
更に、上記実施例に示すように、動的表示の一種である変動表示は、LCD3上で識別情報としての図柄を横方向にスクロールさせるものに限定されず、縦方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、図柄と共に或いは図柄とは別に、識別情報として用いられる。
本発明を上記実施例とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に有利な大当たり状態が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の遊技機および変形例を示す。識別情報を表示する表示装置と、所定の始動条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段によって前記始動条件の成立が検出された場合に抽選を行う抽選手段と、その抽選手段による抽選結果に基づいて前記表示装置に表示される前記識別情報の動的表示の態様を選定する選定手段と、その選定手段によって選定された前記動的表示の態様で前記表示装置に前記動的表示を行わせる変動実行手段と、前記抽選手段による所定の抽選結果の導出を条件として第1状態から遊技者にとって有利な第2状態に変化する変動入賞手段とを備え、前記所定の抽選結果が導出されると、前記動的表示に予め定めた表示結果を現出させると共に前記変動入賞手段によって遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技機において、前記表示装置による動的表示の待機回数を記憶する待機回数記憶手段と、その待機回数記憶手段によって記憶された待機回数を各回数毎に設定された複数種類の態様で所定の回数表示部に表示する待機回数表示手段と、その待機回数表示手段によって前記回数表示部に表示される前記複数種類の態様に対応した表示情報を記憶する表示情報記憶手段と、その表示情報記憶手段によって記憶された表示情報に基づいて前記待機回数表示手段を制御して、前記回数表示部の態様を前記待機回数記憶手段に記憶された待機回数に対応した態様に更新する回数表示更新手段と、前記検出手段によって検出された始動条件の成立に基づいて遊技者にとって有利な特定の遊技状態へ遊技状態を遷移させるか否かを判定する遊技状態判定手段と、その遊技状態判定手段の判定に基づいて、前記回数表示部の態様を、前記複数種類の態様とは異なる特定の態様に変化させる回数表示変更手段と、その回数表示変更手段によって前記特定の態様に変化させられた前記回数表示部の態様を、待機中の動的表示を少なくとも1つ含めて前記特定の遊技状態への遷移以前に連続して行われる複数回の動的表示にわたって継続した後に、前記複数種類の態様のいずれかに復帰させる回数表示復帰手段とを備えていることを特徴とする遊技機1。
遊技機1において、前記選定手段は、前記回数表示変更手段によって回数表示部の態様を特定の態様に変化させた状態を含む動的表示に対しては、前記回数表示更新手段によって前記回数表示部の態様を前記待機回数に対応した態様に更新して行われる動的表示より高確率で前記表示装置に所定の連継情報を表示させるものであることを特徴とする遊技機2。
遊技機2によれば、回数表示変更手段によって待機回数が特定の態様に変化させられた動的表示に対しては、回数表示更新手段によって待機回数に対応した態様に更新して行われる動的表示より高確率で所定の連継情報が表示される。このため、連継情報は、待機回数が視認し難い状態で連続して行われる複数回の動的表示に対して表示されやすいものとなる。よって、連継情報が複数回の動的表示に対して連続して表示されることで、遊技者に待機回数が視認し難い連継演出の実行期間中であることを、回数表示部を視認することなく示唆することができる。従って、遊技中には、予め定めた表示結果の現出によって所定の遊技価値の付与を示す表示装置に遊技者の意識を向けさせつつ、連継演出の実行期間中を示唆することができ、更に、待機回数を視認し難くすることによって連継演出の発生の契機となった動的表示を察知させ難くすることができる。
なお、選定手段は、回数表示変更手段によって回数表示部の態様を特定の態様に変化させた状態を含む動的表示に限って表示装置に所定の連継情報を表示させ、回数表示更新手段によって回数表示部の態様を待機回数に対応した態様に更新して行われる動的表示に対しては連継情報を表示させないものであっても良い。連継情報が表示される動的表示においては、必然的に待機回数を視認し難くすることができるので、遊技者には、動的表示の待機回数に基づいて連継演出の発生の契機となった動的表示を一層察知させ難くすることができる。
また、遊技機2における連継情報としては、動的表示を視認して情報の有無を視認し得るものを意味しており、表示装置に通常とは異なる態様で表示された識別情報(例えば、通常は黒色で表示される図柄を赤色で表示する)であっても、予め設定して動的表示の途中で現出するキャラクタ(例えば、大量の泡や魚群など)であっても、上記実施例のように表示装置に通常とは異なる態様で表示された背景(例えば、「背景点滅」の表示)であっても良い。
遊技機2において、前記変動実行手段は、前記動的表示を開始してから一定時間の経過後に前記表示装置に前記連継情報を表示させるものであり、前記回数表示変更手段は、前記変動実行手段によって前記連継情報を表示させる動的表示におけるその連継情報の表示開始前に前記回数表示部の態様を前記特定の態様に変化させるものであることを特徴とする遊技機3。
遊技機3によれば、回数表示変更手段は、連継情報の表示を開始する前に回数表示部の態様を特定の態様に変化させる。このため、回数表示部の態様が特定の態様に変化する動的表示において連継情報が表示装置に表示されたときには、待機回数を視認し難い状態とすることができる。よって、遊技者が連継情報の視認後に待機回数を確認し、連継演出の発生の契機となった動的表示を察知することを防止することができる。
なお、「連継情報の表示開始前」とは、連継情報の表示を伴う動的表示と連継情報の表示を伴わない動的表示との表示内容が一致して進行する期間の終了までを意味しており、上記実施例においては、動的表示の開始後に連継情報としての図4(b)の「背景点滅」の表示を開始する前の状態が例示される。
遊技機2又は3において、前記変動実行手段は、前記動的表示を開始してから一定時間が経過した後に前記表示装置に前記連継情報を表示させるものであり、前記回数表示復帰手段は、前記回数表示部の態様を前記複数種類の態様に復帰させる動的表示における前記連継情報の表示開始時期より後に前記回数表示部の態様を復帰させるものであることを特徴とする遊技機4。
遊技機4によれば、回数表示復帰手段は、待機回数を示す複数種類の態様に回数表示部の態様を復帰させる動的表示における連継情報の表示開始時期より後に回数表示部の態様を復帰させる。このため、待機回数が視認し難い状態が終了する動的表示において連継情報の表示が開始される時期には待機回数が視認し難い状態とすることができる。よって、連継情報の表示が伴わない動的表示においても、遊技者が連継情報の表示開始時期より前に待機回数の視認し難い状態の終了を確認してしまい、連継情報の連続を期待する遊技の興趣低下を抑制することができる。
遊技機1から4のいずれかにおいて、前記待機回数表示手段は、前記回数表示部を一面側に形成する透明又は半透明なカバー部材と、そのカバー部材における前記回数表示部の裏面側に配設される第1の発光体とを備え、前記表示情報記憶手段は、前記第1の発光体を複数種類の態様で発光させる発光パターンに対応した表示情報を記憶し、前記回数表示更新手段は、前記第1の発光体を制御して前記回数表示部の態様を前記待機回数に対応した態様に更新するものであり、前記回数表示変更手段は、前記第1の発光体とは別に設けられた第2の発光体を備え、その第2の発光体を前記待機回数記憶手段によって記憶された待機回数に拘わらず略同一の態様で発光させて前記回数表示部の態様を前記特定の態様に変化させるものであることを特徴とする遊技機5。
遊技機5によれば、回数表示更新手段によって第1の発光体が制御されて回数表示部に待機回数が表示される一方、待機回数の表示に使用する第1の発光体とは別の第2の発光体によって回数表示部の態様が特定の態様に変化させられる。よって、待機回数の表示制御を従来の制御と同一のものにして設計変更の規模を少なくすることができ、待機回数が視認し難い状態を生じさせることができる。
遊技機1から4のいずれかにおいて、前記待機回数表示手段は、前記待機回数記憶手段によって記憶された待機回数を複数種類の態様で発光して表示する発光体であり、前記回数表示変更手段は、その発光体が発光する態様を前記複数種類の態様とは異なる態様であって、前記待機回数記憶手段によって記憶された待機回数に拘わらずに略同一の態様で発光させて前記回数表示部の態様を前記特定の態様に変化させるものであることを特徴とする遊技機6。
遊技機6によれば、回数表示変更手段は、その発光体が発光する態様を複数種類の態様とは異なる態様で発光させて前記回数表示部の態様を前記特定の態様に変化させるので、特定の態様に変化させるために専用の発光体や他の部材を設ける場合に比較して発光体に要するコストを低減することができ、遊技機全体のコストの増加を抑えることができる。
遊技機1から4のいずれかにおいて、前記待機回数表示手段は、前記待機回数記憶手段によって記憶された待機回数を前記回数表示部に画像で表示するものであり、前記回数表示変更手段は、前記回数表示部における前記待機回数を表示する画像より前面側に重ねて特定の画像を表示することにより前記回数表示部の態様を前記特定の態様に変化させるものであることを特徴とする遊技機7。
遊技機7における特定の画像としては、画像を表示可能な表示装置の表示領域に表示される人物、動物、シンボル等のイメージを付した対象物(キャラクタ)や、対象物以外の柄や模様等、待機回数を表示する画像を覆う大きさの画像であれば良い。また、識別情報を表示する表示装置に回数表示部を形成し、遊技機2等に記載の表示装置に表示される連継情報を、遊技機7における特定の画像とすることは好ましい。待機回数の表示と、識別情報の表示とを同一の表示装置で構成することにより、部品構成を単純化して製造コストを抑えつつ、待機回数の回数表示領域の隠蔽時において遊技者に感じさせる違和感を抑制した動的表示を実現することができる。
遊技機1から7のいずれかにおいて、前記特定の遊技状態は、前記所定の遊技価値を遊技者に付与する特別遊技状態であることを特徴とする遊技機8。
遊技機8によれば、回数表示変更手段によって待機回数を視認し難くすることによって特別遊技状態への遷移を示唆することができ、遊技者に所定の遊技価値の付与を期待させて遊技の興趣を高めることができる。なお、特別遊技状態とは、遊技者に所定の遊技価値を付与する遊技状態であり、例えば、球等の有価価値を有する遊技媒体が遊技者に付与される大当たり状態、大当たり状態の発生確率が通常状態より高確率とされる確率変動状態、又は、始動条件の成立が通常状態より容易にされると共に1の動的表示に要する時間が短縮されて特別遊技状態が付与され易い時間短縮状態等が例示される。
遊技機1から8のいずれかにおいて、前記特定の遊技状態は、前記動的表示の実行途中であって前記所定の遊技価値の付与を遊技者に期待させる期待態様の現出後における遊技状態であることを特徴とする遊技機9。
遊技機9によれば、回数表示変更手段によって待機回数を視認し難くすることによって期待態様の現出後における遊技状態(例えば、リーチ表示が表示された後であって動的表示の表示結果が表示されるまでの遊技状態)への遷移を示唆することができ、遊技者には、所定の遊技価値の付与を、期待態様の現出を介して間接的に期待させることができる。また、期待態様は、所定の遊技価値の付与とは異なり、直接的に遊技者に利益が付与されるものではないので、所定の遊技価値が付与される場合に限定して特定の遊技状態を構成する場合に比較して、遊技場の損害を抑えつつ回数表示変更手段によって待機回数が視認し難くなる遊技の興趣を頻繁に付与することができる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機10。中でも、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機11。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機12。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。