JP2008274787A - 水栓用発電機 - Google Patents

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尚幸 小野寺
Makoto Hatakeyama
真 畠山
Masahiro Kuroishi
正宏 黒石
Tomoko Sato
知子 佐藤
Takeshi Shimizu
剛 清水
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Abstract

【課題】動翼に回転力を与えない無駄な流れを抑制し、発電効率を向上させることのできる水栓用発電機を提供する。
【解決手段】主流路に対して略平行に設けられた軸部材と、軸部材よりも径外方に突出し主流路に設けられた動翼羽根部と、動翼羽根部よりも径外方に突出し主流路から分岐したバイパス流路の入口部及び出口部の少なくともいずれかに設けられたフランジ部とを有し、軸部材によって径方向の移動を規制されつつ軸部材のまわりに回転可能な動翼と、フランジ部の軸方向の端部が摺動自在に接触する受部とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、水栓に供される流水の流れを利用して発電する水栓用発電機に関する。
従来、蛇口の下に差し出された手をセンサで感知し、蛇口から水を自動的に吐水させる自動水栓装置が知られている。また、そのような自動水栓装置の流路に小型発電機を備え、この発電機で得られた電力を蓄電しておき、上述のセンサ等の回路の電力を補う装置も知られている。
例えば、特許文献1には、流体が流通する流路に、羽根部を有する軸流式の水車を設けた発電装置が開示されている。水車の羽根部の外周側には、略円筒状のマグネットが固定され、このマグネットの下流側にマグネットの回転により起電力を発生するコイルが配設されている。
しかし、特許文献1に開示されている技術では、流路配管とマグネットとの間に形成された隙間(マグネットの外周面側部分)を流れる水流の割合が多くなり、水車を流れる流量が低減するため、水力エネルギーから回転エネルギーへの変換効率が悪化し、発電効率が低下する問題がある。
特開2004−336982号公報
本発明は、動翼に回転力を与えない無駄な流れを抑制し、発電効率を向上させることのできる水栓用発電機を提供する。
本発明の一態様によれば、主流路に対して略平行に設けられた軸部材と、前記軸部材よりも径外方に突出し、前記主流路に設けられた動翼羽根部と、前記動翼羽根部よりも径外方に突出し、前記主流路から分岐したバイパス流路の入口部及び出口部の少なくともいずれかに設けられたフランジ部とを有し、前記軸部材によって径方向の移動を規制されつつ前記軸部材のまわりに回転可能な動翼と、前記フランジ部の軸方向の端部が摺動自在に接触する受部と、を備えたことを特徴とする水栓用発電機が提供される。
本発明によれば、動翼に回転力を与えない無駄な流れを抑制し、発電効率を向上させることのできる水栓用発電機が提供される。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面中、同一の構成要素には同一の符号を付す。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水栓用発電機1の模式断面図である。
この水栓用発電機1は、主として、筒体15、静翼21、動翼25、マグネットM、ステータ50などを備え、これらは、ケース12(図5を参照)の中に収容されている。
ここで、水栓用発電機1の説明をする前に、この水栓用発電機1を備えた水栓装置3の説明をする。
図4は、その水栓装置3の取付例を表す模式図である。
図5は、同水栓装置3の模式断面図である。
水栓装置3は、例えば、洗面台2などに取り付けられる。水栓装置3は、配管4を介して、水道水等の流入路5に接続されている。水栓装置3は、円筒状の本体3aと、この本体3aの上部に設けられ、本体3aの径外方向に延出する吐水部3bとを有する。吐水部3bの先端には、吐水口6が形成され、さらにこの吐水口6の近傍にはセンサ7が内蔵されている。
水栓装置3の内部には、流入路5から流入し、配管4内を流れてきた給水を、吐水口6へと導く給水流路10が形成されている。本体3aの内部には、その給水流路10を開閉するための電磁弁8が内蔵され、さらに電磁弁8の下流側には、吐水量を一定に制限するための定流量弁55が内蔵されている。また、水道等の元圧が使用圧よりも高すぎる場合に減圧するための減圧弁または調圧弁(図示省略)が、電磁弁8より上流側に内蔵されている。なお、定流量弁55、減圧弁、調圧弁は、必要に応じて適宜設けるようにすればよい。
定流量弁55より下流の吐水部3bの内部には、水栓用発電機1が備えられている。本体3aの内部には、水栓用発電機1で発電された電力を充電しておく充電器56、センサ7の駆動や電磁弁8の開閉などを制御する制御部57が設けられている。水栓用発電機1は、電磁弁8及び定流量弁55よりも下流側に配設されているため、水道の元圧(一次圧)が、水栓用発電機1に直接作用することはない。そのため、水栓用発電機1は、それほど高い耐圧性を要求されず、このような配置は、信頼性やコストの点で有利である。
水栓用発電機1に具備されたコイル36(図1参照)と制御部57とは、図示しない配線を介して接続され、コイル36の出力が制御部57を介して充電器56に送られるようになっている。
なお、水栓用発電機1は、水栓装置3の水栓金具(本体3a及び吐水部3b)の内部に設けられることに限らない。例えば、水栓装置3の水栓金具と、これよりも上流側に設けられた止水栓(元栓)105(図4参照)との間を接続する配管(流路)4に設けてもよい。
水栓用発電機1は、止水栓(元栓)105と水栓装置3の吐水口6との間の流路に設けられ、止水栓105から水栓装置3の吐水口6へと向けて流れる流水の水力によって発電される。水栓装置としては、例えば、キッチン用水栓、リビングダイニング用水栓、シャワー用水栓、トイレ用水栓、洗面所用水栓などが挙げられる。また、水栓装置において、吐出流量は、例えば、毎分100リットル以下、望ましくは毎分30リットル以下に設定される。特に、洗面所用水栓においては、毎分5リットル以下に設定されていることが望ましい。また、トイレ用水栓のような吐出流量が比較的多い場合には、給水管から、発電機1に流れる水流を分岐させて、発電機1を流れる流量を毎分30リットル以下に調整することが望ましい。これは、給水管からのすべての水流を発電機1に流すと、動翼25の回転数が大きくなり、騒音や軸摩耗が増大する可能性が懸念され、また、回転数が増大しても適正回転数以下でなければ、渦電流やコイル熱によるエネルギー損失が生じるため、発電量は増大しないからである。また、水栓金具が取り付けられる水道管の給水圧としては、例えば、日本においては0.05(MPa)程度の低水圧である場合もあり得る。
また、水栓装置は、人体検知センサを用いた自動水栓に限らず、手動スイッチのオン/オフによるワンタッチ水栓、流量をカウントして止水する定量吐水水栓、設定時間を経過すると止水するタイマー水栓などであってもよい。
また、水栓用発電機1で発電された電力を、例えば、ライトアップ、アルカリイオン水や銀イオン含有水などの電解機能水の生成、流量表示(計量)、温度表示、音声ガイドなどに用いてもよい。
次に、図1に戻って、水栓用発電機1について説明する。
筒体15は、大径部16と小径部18とを有する段付き形状を呈し、その内部が給水流路に連通した状態で、図4、5に示される吐水部3b内に配設される。筒体15は、その中心軸方向が、吐水部3b内の給水流路10を流水が流れる方向に対して略平行となるように配設される。筒体15は、大径部16を上流側に、小径部18を下流側に向けて配設される。筒体15の内部における主流路には、上流側から順に、静翼21と動翼25が設けられている。
大径部16の上流端の開口は、Oリング33を介して、封止部材32により液密に塞がれている。封止部材32の内周部に静翼21が設けられている。
静翼21は、円柱体の一方の軸方向端面(上流側に位置する面)に、円錐体を一体的に設けた形状をしている。静翼21の周面には、径外方向に突出した複数の突起状の静翼羽根部22が設けられている。静翼羽根部22は、例えば、静翼21の軸中心に対して右方向にねじれつつ、上流側から下流側に向けて傾斜している。静翼21は、封止部材32の内周部に対して固定され、回転はしない。
静翼21の下流側には、静翼21に対してわずかの隙間をあけて動翼25が設けられている。動翼25の上流側部分は円柱状に形成され、その周面には、動翼25の軸中心(軸部材35)に対して径外方向に突出した複数の動翼羽根部26が設けられている。動翼羽根部26は、静翼羽根部22とは逆に、軸中心に対して左方向にねじれつつ、上流側から下流側に向けて傾斜している。
動翼25の外周側には、動翼羽根部26の周囲を囲むように動翼リング28が設けられている。動翼リング28における下流側の軸方向端部には、径外方に突出した環状のフランジ部29が一体に設けられ、そのフランジ部29の上流側に、マグネットMが動翼リング28の外周面に固定されて設けられている。動翼25、動翼リング28、フランジ部29およびマグネットMは一体となって回転する。
マグネットMは、筒状を呈し、その軸方向の端面には周方向に沿って交互にN極とS極とが着磁されている。
動翼25の下流側には、軸部材35を流路中に支持するための支持部材34が設けられている。軸部材35は、支持部材34の中心から上流側に向けて延在している。支持部材34は、筒体15の中心軸に対して略平行、すなわち主流路に対して略平行に設けられている。支持部材34は、筒体15の小径部18の内周面に対して固定されたスリーブ44と、軸中心からスリーブ44の内周面に向けて放射状に設けられた複数の連結部材43とを有し、連結部材43の中心に軸部材35が支持されている。複数の連結部材43は周方向に互いに離間して設けられ、連結部材43どうしの間は閉塞されず、流水の流れを許容する隙間が形成されている。
軸部材35は、動翼25の軸中心を貫通しており、動翼25は、軸部材35によって径方向の移動を規制されつつ、軸部材35のまわりを回転可能となっている。なお、軸部材35を動翼25に対して固定させ、軸部材35の両端部をそれぞれ静翼21及び支持部材34に対して摺動自在とし、動翼25と軸部材35とが一体となって軸部材35の中心軸まわりに回転するようにしてもよい。
筒体15の大径部16における下流側の端部は、小径部18の外周面よりも径外方に張り出した環状に形成され、その内面は、動翼25と一体に回転するフランジ部29の下流側の軸方向端部を摺動自在に支持する受部17として機能する。
受部17よりも下流側における小径部18の外側には、マグネットMの下流側の軸方向端面(N極とS極とが着磁された着磁面)に対向させるようにしてステータ50が設けられている。
ステータ50は、円筒状に巻回されたコイル36と、コイル36を囲む磁性体からなるヨーク40とを有する。ヨーク40は、周方向に沿って、交互に、且つ互いに離間して並んで設けられた複数のインダクタ(極歯)を有し、それらインダクタは、コイル36の一方の軸方向端面(図1においては上流側端面)に対向している。そのコイル36の一方の軸方向端面は、インダクタ、受部17およびフランジ部29を間に挟んで、マグネットMの下流側端面(着磁面)に対向している。
次に、水栓用発電機1及び水栓装置3の作用について説明をする。
使用者が、水栓装置3の吐水口6の下に手をかざすと、これをセンサ7が感知して、制御部57が電磁弁8を開にし、給水流路10が連通される。これにより、水栓用発電機1の筒体15の内部に流水が供給され、筒体15の内部を流れた水は吐水口6から吐水される。使用者が、吐水口6の下から手を遠ざけると、電磁弁8が閉となり、自動的に水が止まる。
筒体15内に流れ込んだ流水は、静翼21の円錐体表面を流れて径外方向に拡散され、図1に例示される構造では、軸中心に対して右方向に旋回するような旋回流となって、静翼羽根部22間の静翼流路23を流れる。
静翼流路23を流れた旋回流は、動翼羽根部26間の動翼流路27に流入し、動翼羽根部26の上側の傾斜面に衝突する。本具体例では、動翼流路27に流入する旋回流は、軸中心に対して右方向に旋回した流れなので、動翼羽根部26に対して右方向の力が作用し、動翼25は右回りに回転する。そして、動翼流路27を流れた流水は、筒体15の小径部18を軸方向に流れて筒体15内部を抜け、吐水口6(図5)へと至る。
前述した流水からの力を受けて動翼25が回転すると、これに固定されたマグネットMも回転する。マグネットMが回転すると、N極とS極とが周方向に沿って交互に着磁されているマグネットMの下流側の軸方向端面に対向しているヨーク40のインダクタの極性が変化してゆく。これにより、インダクタ及びヨーク40によって導かれる、コイル36に対する鎖交磁束の向きが変化し、コイル36に起電力が生じ、発電がされる。発電により生じた電力は、充電器56へと送られ、充電された後、例えば、電磁弁8、センサ7、制御部57の駆動などに使用される。
また、本実施形態では、動翼羽根部26の周囲を囲むように設けた動翼リング28が、動翼流路27と筒体15内壁面とを隔てる隔壁として機能し、動翼流路27から遠心方向(径外方)へと流れ出る流水がなくなるため、より多くの流水が動翼リング28の内側の動翼流路27を流れる。このように動翼羽根部26に沿って流れる流量が多くなることで、動翼25の回転力がより高まり、発電能力を高めることができる。
動翼25及びこれに固定されたマグネットMの回転を許容するためには、これらの周囲に設けられた静止体(封止部材32、筒体15)との間に隙間を設ける必要があるが、その隙間が、流水が動翼羽根部26を介さないで流れるバイパス流路となる。
図8に示す第1の比較例の構造では、封止部材32の下流側端面と、動翼リング28及びマグネットMとの間の隙間、マグネットMの外周面と筒体15の大径部16内周面との間の隙間、マグネットM及び動翼リング28の下流側端面と、大径部16の下流側端面16aとの間の隙間によってバイパス流路が形成される。
静翼21を流れた流水は、動翼羽根部26(動翼流路27)を介さないバイパス流路を流れるバイパス流Fbと、動翼羽根部26(動翼流路27)を流れる主流Faとに分岐する。このうち、主流Faは、前述したように動翼25を回転させつつ動翼流路27を通り、そのまま下流へと流出する。一方、バイパス流Fbは、バイパス流路を通り、動翼25の回転すなわち発電に寄与することなく、そのまま下流へと流れ、動翼25の下流側で主流と合流する。そのため、バイパス流路を流れるバイパス流Fbの量が多くなると、発電に寄与する動翼流路27を流れる主流Faの量がその分少なくなり、発電効率の低下をまねく。
そこで、本実施形態では、図1に表すように、バイパス流路100の一部分で動翼25が軸部材35の軸方向に支持される構造とすることで、バイパス流路を実質閉塞し、バイパス流をほぼゼロにしている。
具体的には、動翼羽根部26及び動翼リング28よりも径外方に突出するフランジ部29を、バイパス流路100の出口部に設けている。動翼本体、動翼羽根部26、動翼リング28およびフランジ部29は、例えば樹脂の一体成型品であり、これらは一体となって回転する。
動翼25は、上流側から流れてくる流水の圧力を受けて下流側に付勢されるが、フランジ部29が受部17に接触することで、それ以上の動翼25の軸方向下流側への移動が規制される。さらに、動翼25の回転時、フランジ部29は、バイパス流路内に満たされる水による潤滑軸受構造によって受部17に対してすべり運動し、動翼25の回転を許容する。受部17に対するフランジ部29のすべり運動によってそれら両者の間の潤滑水膜に圧力(動圧)が生じ、これによって負荷(動翼25)が軸方向に支持される。フランジ部29及び受部17はともに樹脂材料からなり、滑らかな摺動性が得られる。
このような構造とすることで、フランジ部29によってバイパス流路100の出口が塞がれ、バイパス流路100からのバイパス流の流出が阻害される。したがって、バイパス流路100への流水の流入が抑制され、その分、動翼羽根部26を介した動翼流路27を流れる発電に寄与する主流の流量を増大させることができ、発電効率を向上させることができる。
図8に示した第1の比較例(バイパス流路が塞がれていない構成)と、図1に示す本実施形態の構成とで、「バイパス流割合」、「圧損」、「トルク」、「羽根車効率」をシミュレーションにより求め、比較した結果を表1に示す。このときのシミュレーションの条件は、発電機1に供給する流水量を毎分1.8リットル、動翼25の回転を2500rpmとした。「羽根車効率」は、水力エネルギーを回転エネルギーに変換する際の効率を表し、羽根車効率η=(T・N)/(ΔP・Q)で求めることができる。ここで、Tは回転トルク、Nは回転数、ΔPは水圧、Qは流量である。そのため、分子のT・Nは回転エネルギー、分母のΔP・Qは水力エネルギーとなる。
Figure 2008274787
表1の結果より、第1の比較例では、バイパス流割合は約39%であり、これは、発電機に供給された流水のうち4割近くのものが発電に寄与せず無駄になっていることを意味する。これに対して、本実施形態では、バイパス流割合は0%であり、発電機に供給された流水をすべて動翼羽根部26を介した動翼流路27に流すことができ、羽根車効率を比較例に比べて大きくできる。
なお、受部17に対するフランジ部29の軸受構造としては、水膜を介したすべり軸受に限らず、ボールベアリング等を用いた転がり軸受を用いることもできるが、動翼25回転時、流路内は水で満たされるため、その水を利用するだけでよい水潤滑すべり軸受にした方が転がり軸受よりも構造が簡単になりコストを低く抑えることができ、また、ゴミ等の噛み込みによる摺動不具合も生じにくくできる。
また、第2の比較例として特開平5−111216号公報では、ロータの径方向の支持(径方向の移動の規制)も、ロータの外周側に設けた軸受で担っている。すなわち、ロータの外周面がその外側に設けられた軸受に対して摺動する構成となっている。本実施形態では、軸部材35の外周面と、そのまわりを囲む動翼25の中心に形成された貫通孔内周面とが摺動することで径方向の移動が規制される。それら径方向支持のための摺動部における摺動トルク(回転中心からの摺動部の距離×摺動部における摩擦力)は、回転体の回転の抵抗となるが、その摺動トルクは回転中心から摺動部までの距離に比例し、よって、より外周側の周面が軸受に対して摺動する特開平5−111216号公報の方が本実施形態よりも回転体に対して大きな摺動トルクが作用しやすく、回転体の回転を妨げる抵抗が大きくなりがちである。すなわち、本実施形態では、動翼25の径方向の移動を規制するための摺動部における抵抗を、特開平5−111216号公報よりも小さく抑え、その分エネルギーロスを抑えて発電効率を向上できる。
軸流式の発電機において、水力エネルギーを効率良く利用して動翼25を回転させるために、動翼25に旋回流を与えることが効果的であり、本実施形態では、動翼25の上流側に設けた静翼21によって、動翼25に与える旋回流を形成している。
しかし、旋回流は遠心方向の速度成分を持ち、静翼流路23からバイパス流路へと流入しやすい。しかし、本実施形態では、前述したように、フランジ部29によってバイパス流路100の出口が塞がれているため、バイパス流路を介した流水の無駄な流れが抑制される。すなわち、静翼21からの旋回流を効果的に動翼25に作用させることができ、発電効率を向上できる。
なお、第2の比較例としての特開平5−111216号公報には、流体により回転される羽根を有するロータの外周側で、そのロータを軸方向に支持した構成が開示されている。
流体から回転体が大きなトルクを得るには、回転体のより外側で大きな流体力を付与する必要があるが、それには、動翼の内径を大きくし、動翼の外側で動翼流路の通水面積を狭めることで、動翼羽根部へ衝突する流速を大きくする必要がある。さらには、動翼の上流側に、内径を大きくして噴流速度を増加させた静翼を設置するのが効果的である。しかし、特開平5−111216号公報の構成は、ロータ(羽根)の中心にシャフトがない構成のため、ロータの径を大きくすることができず、さらには、静翼も備えていないため、ある決められた流量という制限内で流速を大きくすることが難しく高出力が得難い。
これに対して本実施形態では、動翼25の中心を貫通する軸部材35のまわりを動翼25が回転する構成としたため、ある決められた流量制限内であっても内径寸法を大きくしつつ流速の増大を図りやすく、特開平5−111216号公報の構成に比べて高出力を出しやすい。
次に、図2は、本発明の第2の実施形態に係る水栓用発電機の模式断面図である。
本実施形態では、バイパス流路100の出口(主流路との合流部)で動翼25が軸部材35の軸方向に支持される構造とすることで、バイパス流路を実質閉塞し、バイパス流をほぼゼロにしている。
具体的には、軸部材35を支持するための支持部材34のスリーブ44の上流側端部を、バイパス流路の出口にまで延在させて、そのスリーブ44の上流側端部に対して、フランジ部29の下流側の軸方向端部が摺動自在に支持されるようにしている。すなわち、本実施形態では、スリーブ44の上流側端部が動翼25を軸方向に支持する受部44aとして機能する。
フランジ部29は、その下流側の軸方向端面の全面が、受部44aに対して摺動支持されるのではなく、内周側の一部分のみが受部44aに対して摺動支持される。したがって、図1に表される第1の実施形態に比べて、軸受面の接触面積が低減し、摺動抵抗を低減できる。これにより、動翼25の回転ロスを抑制し発電効率の向上が図れる。
本実施形態においても、動翼25は、上流側から流れてくる流水の圧力を受けて下流側に付勢されるが、フランジ部29が受部44aに接触することで、それ以上の動翼25の軸方向下流側への移動が規制される。さらに、動翼25の回転時、フランジ部29は、バイパス流路内に満たされる水による潤滑軸受構造によって受部44aに対してすべり運動し、動翼25の回転を許容する。受部44aに対するフランジ部29のすべり運動によってそれら両者の間の潤滑水膜に圧力(動圧)が生じ、これによって負荷(動翼25)が軸方向に支持される。フランジ部29及び受部44aはともに樹脂材料からなり、滑らかな摺動性が得られる。
本実施形態においても、フランジ部29によってバイパス流路100の出口が塞がれ、バイパス流路100からのバイパス流の流出が阻害される。したがって、バイパス流路100への流水の流入が抑制され、その分、動翼羽根部26を介した動翼流路27を流れる発電に寄与する主流の流量を増大させることができ、発電効率を向上させることができる。
次に、図3は、本発明の第3の実施形態に係る水栓用発電機の模式断面図である。
本実施形態に係る水栓用発電機も、主として、筒体61、静翼21、動翼25、マグネットM、ステータ50などを備える。
筒体61は、大径部63と小径部62とを有する段付き形状を呈し、その内部が給水流路に連通した状態で、図4、5に示される吐水部3b内に配設される。筒体61は、その中心軸方向が、吐水部3b内の給水流路10を流水が流れる方向に対して略平行となるように配設される。筒体61は、小径部62を上流側に、大径部63を下流側に向けて配設される。筒体61の内部における主流路には、上流側から順に、静翼21と動翼25が設けられている。大径部63の下流端の開口は、Oリング33を介して、封止部材65により液密に塞がれている。
静翼21は小径部62内に設けられている。静翼21は、円柱体の一方の軸方向端面(上流側に位置する面)に、円錐体を一体的に設けた形状をしている。静翼21の周面には、径外方向に突出した複数の突起状の静翼羽根部22が設けられている。静翼羽根部22は、例えば、静翼21の軸中心に対して右方向にねじれつつ、上流側から下流側に向けて傾斜している。静翼21は、小径部62に対して固定され、回転はしない。
静翼21の下流側には、静翼21に対してわずかの隙間をあけて動翼25が設けられている。動翼25の上流側部分は円柱状に形成され、その周面には、動翼25の軸中心(軸部材35)に対して径外方向に突出した複数の動翼羽根部26が設けられている。動翼羽根部26は、静翼羽根部22とは逆に、軸中心に対して左方向にねじれつつ、上流側から下流側に向けて傾斜している。
動翼25の外周側には、動翼羽根部26の周囲を囲むように動翼リング28が設けられている。動翼リング28における下流側の軸方向端部には、径外方に突出した環状のフランジ部29が一体に設けられ、そのフランジ部29の上流側に、マグネットMが動翼リング28の外周面に固定されて設けられている。動翼25、動翼リング28、フランジ部29およびマグネットMは一体となって回転する。
マグネットMは、筒状を呈し、その軸方向の端面には周方向に沿って交互にN極とS極とが着磁されている。
動翼25の下流側には、軸部材35を流路中に支持するための支持部材34が設けられている。軸部材35は、支持部材34の中心から上流側に向けて延在している。支持部材34は、筒体61の中心軸に対して略平行、すなわち主流路に対して略平行に設けられている。支持部材34は、封止部材65の内周面に対して固定されたスリーブ44と、軸中心からスリーブ44の内周面に向けて放射状に設けられた複数の連結部材43とを有し、連結部材43の中心に軸部材35が支持されている。複数の連結部材43は周方向に互いに離間して設けられ、連結部材43どうしの間は閉塞されず、流水の流れを許容する隙間が形成されている。
軸部材35は、動翼25の軸中心を貫通しており、動翼25は、軸部材35によって径方向の移動を規制されつつ、軸部材35のまわりを回転可能となっている。
封止部材65における上流側の環状に形成された端面は、動翼25と一体に回転するフランジ部29の下流側の軸方向端部を摺動自在に支持する受部65aとして機能する。
本実施形態では、マグネットMの上流側にステータ50が設けられている。ステータ50は、小径部62の外側に設けられ、マグネットMの上流側の軸方向端面(N極とS極とが着磁された着磁面)に対向している。
ステータ50は、円筒状に巻回されたコイル36と、コイル36を囲む磁性体からなるヨーク40とを有する。ヨーク40は、周方向に沿って、交互に、且つ互いに離間して並んで設けられた複数のインダクタ(極歯)を有し、それらインダクタは、コイル36の一方の軸方向端面(図3においては下流側端面)に対向している。そのコイル36の一方の軸方向端面は、インダクタを介してマグネットMの上流側端面(着磁面)に対向している。
筒体61内に流入する流水からの力を受けて動翼25が回転すると、これに固定されたマグネットMも回転する。マグネットMが回転すると、N極とS極とが周方向に沿って交互に着磁されているマグネットMの上流側の軸方向端面に対向しているヨーク40のインダクタの極性が変化してゆく。これにより、インダクタ及びヨーク40によって導かれる、コイル36に対する鎖交磁束の向きが変化し、コイル36に起電力が生じ、発電がされる。
本実施形態においても、マグネットMの外周側のバイパス流路101の一部分で動翼25が軸部材35の軸方向に支持される構造とすることで、バイパス流路を実質閉塞し、バイパス流をほぼゼロにしている。
具体的には、動翼羽根部26及び動翼リング28よりも径外方に突出するフランジ部29を、バイパス流路100の出口部に設けている。
動翼25は、上流側から流れてくる流水の圧力を受けて下流側に付勢されるが、フランジ部29が受部65aに接触することで、それ以上の動翼25の軸方向下流側への移動が規制される。さらに、動翼25の回転時、フランジ部29は、バイパス流路内に満たされる水による潤滑軸受構造によって受部65aに対してすべり運動し、動翼25の回転を許容する。受部65aに対するフランジ部29のすべり運動によってそれら両者の間の潤滑水膜に圧力(動圧)が生じ、これによって負荷(動翼25)が軸方向に支持される。フランジ部29及び受部65aはともに樹脂材料からなり、滑らかな摺動性が得られる。
このような構造とすることで、フランジ部29によってバイパス流路101の出口が塞がれ、バイパス流路101からのバイパス流の流出が阻害される。したがって、バイパス流路101への流水の流入が抑制され、その分、動翼羽根部26を介した動翼流路27を流れる発電に寄与する主流の流量を増大させることができ、発電効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、ステータ50(コイル36及びヨーク40)を、マグネットMの上流側に設けることで、マグネットMの上流側の軸方向端面とこれに対向するヨーク40のインダクタとの間に作用する磁気吸引力によって、動翼25の下流側への付勢力を軽減して、受部65aに対して過大に軸方向の力が作用することを抑制できる。この結果、受部65aにおける摺動抵抗の増大や摩耗を抑えることができる。
次に、図6は、本発明の第4の実施形態に係る水栓用発電機の模式断面図である。
本実施形態では、動翼リング28における上流側の軸方向端部に、径外方に突出した環状のフランジ部75が一体に設けられ、そのフランジ部75の下流側に、マグネットMが動翼リング28の外周面に固定されて設けられている。
封止部材32の下流側の環状の端面は、フランジ部75の上流側の軸方向端部が摺動自在に接触可能な受部32aとして機能する。
発電機1内に導入される水流の水勢、軸部材35の位置、動翼25の重さなどによっては、動翼25は、水流が流れる方向とは逆方向(上流側)に浮き上がるように付勢される場合がある。特に、インダクタとマグネットMとの間に作用する磁気吸引力によってマグネットMがインダクタ側に付勢される力の方向と、給水流路を流れる流水から動翼25が受ける付勢力の方向とが逆方向である場合には、動翼25は、水流が流れる方向とは逆方向に浮き上がるように付勢されやすい。
その場合、前述したフランジ部75が受部32aに接触することで、それ以上の動翼25の軸方向上流側への移動が規制される。さらに、動翼25の回転時、フランジ部75は、バイパス流路内に満たされる水による潤滑軸受構造によって受部32aに対してすべり運動し、動翼25の回転を許容する。フランジ部75及び受部32aはともに樹脂材料からなり、滑らかな摺動性が得られる。
フランジ部75が受部32aに接触することで、バイパス流路100の入口部が塞がれ、バイパス流路100へのバイパス流の流入が阻害され、その分、動翼羽根部26を介した動翼流路27を流れる発電に寄与する主流の流量を増大させることができ、発電効率を向上させることができる。
動翼羽根部26よりも径外方に突出し動翼25と一体に回転するフランジ部が、バイパス流路の入口部または出口部を塞ぐように受部に対して摺動自在に接触する部分は、面状に限らず、図7に表すように、突起状もしくは線状であってもよい。
図7に示す例では、フランジ部29の下流側の軸方向端部における径内方側部分に、下流側に向けて突出する環状の突起82が設けられ、その突起82がスリーブ44の上流側端部に設けられた受部44aに対して摺動自在に接触する。
また、動翼リング28が、バイパス流路の入口部を塞ぐために動翼羽根部26よりも径外方に突出したフランジ部としても機能し、具体的には、動翼リング28における上流側の軸方向端部に、上流側に向けて突出する環状の突起81が設けられ、その突起81が封止部材32の下流側の環状端面に設けられた受部32aに対して摺動自在に接触する。
突起82が受部44aに接触することでそれ以上の動翼25の軸方向下流側への移動が規制され、突起81が受部32aに接触することでそれ以上の動翼25の軸方向上流側への移動が規制される。動翼25の回転時、突起81、82は、バイパス流路内に満たされる水による潤滑軸受構造によって、それぞれ受部32a、44aに対してすべり運動し、動翼25の回転を許容する。突起81、82及び受部32a、44aは樹脂材料からなり、滑らかな摺動性が得られる。
突起81と受部32aとの接触によってバイパス流路の入口部が塞がれ、突起82と受部44aとの接触によってバイパス流路の出口部が塞がれる。これにより、流水がバイパス流路をほとんど流れないようにすることができ、その分、動翼羽根部26を介した動翼流路27を流れる発電に寄与する主流の流量を増大させることができ、発電効率を向上させることができる。
なお、突起81、82はいずれか一方のみでもよく、また突起81、82を両方とも受部に対して接触させても、フランジ部の面全体を受部に対して接触させる場合よりも接触面積が小さく、摺動抵抗によって動翼25の回転性を損なうことがない。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
前述した各実施形態において、動翼リング28を設けずに、マグネットMを直接動翼羽根部26の周囲を囲むように設けることで、そのマグネットの内周面によって、動翼流路27を流れる流水の径外方向への流出を阻止するようにしてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る水栓用発電機の模式断面図。 本発明の第2の実施形態に係る水栓用発電機の模式断面図。 本発明の第3の実施形態に係る水栓用発電機の模式断面図。 本発明の実施形態に係る水栓装置の取付例を表す模式図。 同水栓装置内部の構成を表す模式図。 本発明の第4の実施形態に係る水栓用発電機の模式断面図。 本発明の第5の実施形態に係る水栓用発電機の要部の拡大模式図。 比較例に係る水栓用発電機の模式断面図。
符号の説明
1…水栓用発電機、3…水栓装置、7…センサ、8…電磁弁、17…受部、21…静翼、22…静翼羽根部、23…静翼流路、25…動翼、26…動翼羽根部、27…動翼流路、28…動翼リング、29…フランジ部、35…軸部材、36…コイル、40…ヨーク、50…ステータ

Claims (3)

  1. 主流路に対して略平行に設けられた軸部材と、
    前記軸部材よりも径外方に突出し、前記主流路に設けられた動翼羽根部と、前記動翼羽根部よりも径外方に突出し、前記主流路から分岐したバイパス流路の入口部及び出口部の少なくともいずれかに設けられたフランジ部とを有し、前記軸部材によって径方向の移動を規制されつつ前記軸部材のまわりに回転可能な動翼と、
    前記フランジ部の軸方向の端部が摺動自在に接触する受部と、
    を備えたことを特徴とする水栓用発電機。
  2. 前記フランジ部は、水潤滑軸受構造によって前記受部に対してすべり運動することを特徴とする請求項1記載の水栓用発電機。
  3. 前記動翼よりも上流側の流路に固定して設けられ、前記動翼に対して旋回流を与える静翼をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の水栓用発電機。
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