本発明は、光半導体モジュールおよびその組立方法に関し、詳しくは光通信システムや、光情報処理システムにおいて用いられる光半導体素子の実装に関するものである。
従来の光半導体モジュールでは、二つの光半導体素子をレンズを介して光学的に結合させる際には、高い光結合効率を得るために焦点距離がほぼ同一の二つのレンズを用いていた。これは、半導体素子の光のフィールド径、すなわち光半導体素子内を伝搬する光のパワー分布の半値全幅(FWHM)が、どの種類の素子でも同一の2μm程度であることから、半導体素子間の光結合では、焦点距離がほぼ同一の二つのレンズを用いて像倍率をほぼ1とすることにより、損失の少ない光結合を得ることができるためである(例えば、非特許文献1参照)。
すなわち、非特許文献1によれば、像倍率をm、第一の半導体素子の光のフィールド径をw1、第二の半導体素子の光のフィールド径をw2、第一の半導体素子から出射される光を平行光線にする第一のレンズの焦点距離をf1、第一のレンズを透過した光を集光する第二のレンズの焦点距離をf2とすると、非特許文献1の第58頁に記載の(4.3−6)式から、二つの素子の光のフィールド径が等しい(w1=w2)場合に最大の光結合効率が得られる最適像倍率moptが1となる。非特許文献1の第56頁に記載の(4.2−16)式から、像倍率mopt=1の場合、半導体素子間の光結合において最大の光結合効率が得られる二つのレンズの焦点距離f1,f2の関係はf1=f2となる。したがって、光半導体モジュールは、二つのレンズの焦点距離が等しい場合に最大の光結合効率が得られることがわかる。
一方、レンズ固定時の軸ズレ、すなわち一方の光半導体素子の出射端と、他方の光半導体素子の入射端とを結ぶ光軸に対して、この軸に直交する方向に生じるレンズの位置ズレや、位置調整の自由度の不足などによる光結合効率の低下を補うために、例えば、非特許文献2の第197頁、Fig1に示されているように、二つのレンズの間に第三のレンズまたはプリズムなど光の光線軸を補正するための光学部品を必要としていた。
しかし、二つの光半導体素子間を光結合するために焦点距離がほぼ同一の二つのレンズを用いると、レンズの軸ズレに対する結合損失が大きくなる。そして、例えばレンズや光軸補正用の光学部品を固定するためにエポキシ樹脂等の接着剤を用いた場合は、レンズ位置の長期的な安定性が悪く、時間とともに光結合効率が大幅に変化し、出力光強度が低下してしまうというおそれがあった。また、レンズや光軸補正用の光学部品を固定するためにYAGレーザ溶接による固定手段を用いると、長期的な安定性は確保できるものの、溶接時の軸ズレにより、光結合効率が劣化し、出力光強度が低下するという問題があった。
YAGレーザ溶接によるレンズの固定の際は、溶接時の金属の溶融および凝固時に発生する伸縮に伴い、レンズ位置に数μmのズレが生じる。一方、光半導体素子の光のフィールド径は、2μm程度であり、溶接時の軸ズレに比べて小さい。そのため、軸ズレに伴う光結合効率の劣化が大きな問題となっていた。
このようなことから本発明は、レンズの軸ズレによる光結合効率の低下を抑制し、光結合効率の安定した光半導体モジュールおよびその組立方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための第1の発明に係る光半導体モジュールは、第一の光半導体素子と、前記第一の光半導体素子から出射される光を平行光線にする第一のレンズと、前記平行光線を集光させる第二のレンズと、前記第二のレンズによって集光した光が光導波路に結合する位置に配置された第二の光半導体素子とを共通のサブマウント上に搭載した光半導体モジュールにおいて、前記第一のレンズの焦点距離と前記第二のレンズの焦点距離が互いに異なることを特徴とする。
第2の発明に係る光半導体モジュールは、第1の発明に係る光半導体モジュールにおいて、前記第二のレンズの焦点距離が前記第一のレンズの焦点距離に比較して長く、且つ前記第二の光半導体素子の光のフィールド径が前記第一の光半導体素子の光のフィールド径に比較して大きい、または、前記第一のレンズの焦点距離が前記第二のレンズの焦点距離に比較して長く、且つ前記第一の光半導体素子の光のフィールド径が前記第二の光半導体素子の光のフィールド径に比較して大きいことを特徴とする。
第3の発明に係る光半導体モジュールは、第2の発明に係る光半導体モジュールにおいて、前記第一の光半導体素子又は前記第二の光半導体素子のいずれか一方に、該光半導体素子の光のフィールド径が他方の光半導体素子の光のフィールド径に比較して大きくなるように、該光半導体素子の光のフィールド径を拡大するフィールド径拡大手段を設けたことを特徴とする。
第4の発明に係る光半導体モジュールは、第1乃至第3のいずれかの発明に係る光半導体モジュールにおいて、組立時に生じる前記レンズの軸ズレ量が、前記第一および第二の光半導体素子の光のフィールド径のうち小さいほうの光のフィールド径と同じか、又はそれよりも大きいことを特徴とする。
第5の発明に係る光半導体モジュールは、第1乃至第4のいずれかの発明に係る光半導体モジュールにおいて、前記二つのレンズの焦点距離の比が1:1.5以上かつ1:2.5以下であるとともに、像倍率1.5倍以上かつ2.5倍以下の光学系を形成していることを特徴とする。
第6の発明に係る光半導体モジュールの組立方法は、第1乃至第5のいずれかの発明に係る光半導体モジュールを組み立てる方法であって、前記レンズを収容した金属筐体をYAGレーザ溶接によりレンズホルダを介して前記サブマウント上に固定したことを特徴とする。
第7の発明に係る光半導体モジュールの組立方法は、第1乃至第5のいずれかの発明に係る光半導体モジュールを組み立てる方法であって、前記二つの光半導体素子を前記サブマウント上に固定した後、前記レンズの位置を調整し、焦点距離の異なる前記第一のレンズおよび前記第二のレンズを固定する際、焦点距離の短いレンズを先に前記サブマウント上に固定し、焦点距離の長いレンズを後に前記サブマウント上に固定することを特徴とする。
第8の発明に係る光半導体モジュールは、第6又は第7の発明に係る光半導体モジュールの組立方法によって作製されたことを特徴とする。
上述した本発明による光半導体モジュールは、焦点距離が互いに異なる二つのレンズを用いて、半導体素子に結合する光の像倍率を拡大させている。焦点距離が互いに異なる二つのレンズを用いた場合、焦点距離の長いレンズを固定する際に、光軸に直交する方向に生じるレンズの軸ズレによる光結合効率の劣化は、焦点距離が略同一のレンズを用いた場合のレンズの軸ズレによる光結合効率の劣化に比べて小さいため、本発明による手段を用いることで、レンズ固定の際に軸ズレが生じた場合、出力光強度の低下を抑え、光結合効率の安定した光半導体モジュールを提供することができる。
さらに、第一のレンズの焦点距離と第二のレンズの焦点距離を互いに相違させるとともに、第二のレンズの焦点距離が第一のレンズの焦点距離より長い場合は第二の光半導体素子の光のフィールド径を大きくし、第一のレンズの焦点距離が第二のレンズの焦点距離より長い場合は第一の光半導体素子の光のフィールド径を大きくする構成とすれば、第一の光半導体素子と第二の光半導体素子の光結合を、第一の光半導体素子の光のフィールド径と第二の光半導体素子の光のフィールド径とがそれぞれ拡大された状態で行うこととなるため、レンズの軸ズレに対する光結合損失を低減することができる。
また、本発明に係る光半導体モジュールの組み立て方法によれば、光半導体モジュールの組立時にレンズの軸ズレが生じた場合であっても光結合効率の変化を抑制し、光結合効率の安定した光半導体モジュールを作製することができる。
以下に、本発明に係る光半導体モジュールおよびその組立方法の実施形態を示す。本実施形態は、一つのモジュール内に二つの光半導体素子を実装し、この二つの光半導体素子を焦点距離の互いに異なる二個のレンズを用いて光結合するものであり、且つ、二つの半導体光素子の入力部または出力部の光のフィールド径を相違させる、具体的には、焦点距離が長いレンズ側に位置する半導体光素子の光のフィールド径を、焦点距離が短いレンズ側に位置する半導体光素子の光のフィールド径に比較して大きくなるように設定するものである。さらに、光半導体モジュールを組み立てる際には、最初に焦点距離の短いレンズを固定し、次に、焦点距離の長いレンズを、焦点距離の短いレンズの固定時に生じた軸ズレを補正するように再調整した後、固定するものとする。
光半導体素子、特に導波路型光半導体素子は、素子の種類が異なっても略等しい光のフィールド径を持つことから、二つのレンズの焦点距離が等しい場合に最大の光結合効率が得られ、二つのレンズの焦点距離が異なると、光結合効率が低下する。したがって、従来の光半導体モジュールは、二個の光半導体素子を光結合する場合に焦点距離の等しい二個のレンズを用いていた。
しかし、本実施形態のように焦点距離が異なる二個のレンズを用いれば、光半導体モジュール組立において、レンズの軸ズレ、すなわち、光軸に直交する方向へのずれが発生しても、それぞれ焦点距離が等しい二個のレンズを用いた場合に比べ、軸ズレに伴う光結合効率の低下が少ないという効果がある。さらに、焦点距離の短いレンズの軸ズレ量に対し、焦点距離の長いレンズの軸ズレ量に対する光結合効率の低下は小さいため、焦点距離の短いレンズを固定した後に焦点距離の長いレンズを固定することで、より光結合効率の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態の光半導体モジュールは、実装する二個の光半導体素子の光のフィールド径が略等しい場合、およびモジュール組立時に生じるレンズの軸ズレ量が光半導体素子の光のフィールド径と同程度か、それよりも大きい場合に効果を有する。
光半導体素子の光のフィールド径の典型的な値は約2μmである。特に導波路型光半導体素子の場合は、素子の種類によらず約2μmである。したがって導波路型光半導体素子同士の場合は、光のフィールド径が略等しいと考えて差し支えない。また導波路型以外の光半導体素子の場合であっても、その光のフィールド径は大概1.0〜2.5μmの範囲に入る。この範囲に入る光のフィールド径をもつ光半導体素子同士を光結合する場合も、光のフィールド径が略等しい範疇に入り、本発明を適用することにより光結合損失を低減する効果が得られる。
また、光結合効率は、略等しい光のフィールド径をもった光半導体素子同士を光結合する場合であっても、光のフィールド径が小さい方の光半導体素子の影響をより大きく受ける。したがって、モジュール組立時に生じるレンズの軸ズレ量が、光半導体素子の光のフィールドの小さい方の径と同じかそれよりも大きい場合に、本発明は効果を有する。さらに、実装する2個の光半導体素子の光のフィールド径が異なる場合であって、2個の光半導体素子のうち光のフィールド径が大きい光半導体素子側に位置するレンズの焦点距離を、光のフィールド径が小さい光半導体素子側に位置するレンズの焦点距離に比較して長く設定した場合、換言すると、焦点距離が長いレンズ側に位置する半導体光素子の光のフィールド径が、焦点距離が短いレンズ側に位置する半導体光素子の光のフィールド径に比較して大きい場合に、特に効果を奏する。
図1および図2に本発明の第1の実施例を示す。図1に示すように、本実施例による光半導体モジュールは、サブマウント105上に搭載された第一、第二の光半導体素子として、それぞれ導波路型の半導体レーザ101、半導体光変調器104を具備し、半導体レーザ101から出射された光が半導体光変調器104へ低損失に結合するよう位置調整された、第一のレンズ102および第二のレンズ103を備えている。第一のレンズ102および第二のレンズ103は、それぞれ金属筐体112,113に収められている。
第一のレンズ102は半導体レーザ101が出射した光を平行光線にし、第二のレンズ103は、上記平行光線を集光して半導体光変調器104に結合させる。これらのレンズ102,103は位置調整された後、レンズホルダ106を介してサブマウント105上に固定される。この際、まず、第一のレンズ102を固定し、次に、第二のレンズ103を第一のレンズ102の固定時に生じた軸ズレを補正するように再調整した後、固定する。なお、半導体光変調器104から出射された光は第三のレンズ107によって平行光線となり、第四のレンズ(図示省略)によって集光された光が光ファイバ(図示省略)に接続される。第三のレンズ107は、金属筐体117に収められている。
第一のレンズ102と、第二のレンズ103とは、互いに異なる焦点距離を有するものとし、図2(a)に示すように、第一のレンズ102の焦点距離をf1、第二のレンズ103の焦点距離をf2(f2≠f1)とすると、半導体レーザ101から出射され、二つのレンズ102,103を介して半導体光変調器104の入力導波路へ集光される光の像倍率、換言すると、半導体光変調器104に入射する光の像倍率はf2/f1になる。このため、焦点距離f1が焦点距離f2より小さいと、半導体光変調器104の入力導波路へ集光される光のフィールド111の径は、半導体レーザ101の出射端での光のフィールド110の径のf2/f1(>1)倍に拡大される。
なお、半導体素子の光のフィールド径は、どの種類の素子でも略同一であることから、半導体レーザ101の出射端での光のフィールド110の径と、半導体光変調器104の入射端での光のフィールド112の径とは、略等しいものとする。
図2(b)に、半導体光変調器104に入射する拡大した光のフィールド111、および、半導体光変調器104の光のフィールド112の例を示す。光結合効率は、上記拡大した光のフィールド111と、半導体光変調器104の光のフィールド112との重なり積分で表される。したがって、本実施例における光結合効率は、同じ大きさの光のフィールドを重ね合わせたときの光結合効率より低下するが、第二のレンズ103の図中矢印で示す方向に生じる軸ズレ、すなわち光軸と垂直方向に生じる軸ズレによる光結合効率の変化量は小さくなる。
このため、レンズ固定時に軸ズレが発生するような場合には、互いに異なる焦点距離を有する第一のレンズ102と第二のレンズ103とを用いることで、軸ズレによる光結合効率の低下を軽減することができるとともに、その変化量を一定値以内に収めることが容易になる。
したがって、本実施例によれば、光半導体モジュールの組立時にレンズの軸ズレが生じた場合であっても光結合効率の変化を抑制し、光結合効率の安定した光半導体モジュールを作製することができる。
図3および図4に本発明の第2の実施例を示す。図3に示すように、本実施例による光半導体モジュールは、サブマウント205上に搭載された第一、第二の光半導体素子として、それぞれ導波路型の半導体レーザ201と半導体光変調器204を具備し、半導体レーザ201から出射された光が半導体光変調器204へ低損失に結合するよう位置調整された、第一のレンズ202および第二のレンズ203を備えている。第一のレンズ202および第二のレンズ203は、それぞれ金属筐体212,213に収められている。
第一のレンズ202は半導体レーザ201が出射した光を平行光線にし、第二のレンズ203は、上記平行光線を集光して半導体光変調器204に結合させる。これらのレンズ202,203は位置調整された後、レンズホルダ206を介してサブマウント205上に固定される。この際、まず、第二のレンズ203を固定し、次に、第一のレンズ202を第二のレンズ203の固定時に生じた軸ズレを補正するように再調整した後、固定する。なお、半導体光変調器204から出射された光は第三のレンズ207によって平行光線となり、第四のレンズ(図示省略)によって集光された光が光ファイバ(図示省略)に接続される。第三のレンズ207は金属筐体217に収められている。
ここで、第一のレンズ202と、第二のレンズ203とは焦点距離が異なるものとし、図4(a)に示すように、第一のレンズ202の焦点距離をf1、第二のレンズ203の焦点距離をf2とする。半導体光変調器204から光の進行方向と逆に光のフィールド形状をたどると、二つのレンズ202,203を介して半導体レーザ201の出力導波路に結合する光の像倍率は、f1/f2になる。このため、焦点距離f1が焦点距離f2より大きいと、半導体レーザ201の出力導波路に結合する光のフィールド211の径は、半導体光変調器204の光のフィールド210の径のf1/f2(>1)倍に拡大される。
なお、光半導体素子の光のフィールド径は、どの種類の素子でも略同一であることから、半導体レーザ201の出射端の光のフィールド212の径と、半導体光変調器204の入射端の光のフィールド210の径とは、略等しいものとする。
図4(b)に、半導体レーザ201の出力導波路に結合する拡大した光のフィールド211、及び、半導体レーザ201の光のフィールド212の例を示す。光結合効率は、この拡大した光のフィールド211と、半導体レーザ201の光のフィールド212との重なり積分で表される。本実施例における光結合効率は、同じ大きさの光のフィールドを重ね合わせたときの光結合効率よりも低下するが、第一のレンズ202の図中矢印で示す方向に生じる軸ズレ、すなわち光軸と垂直方向に生じる軸ズレによる光結合効率の変化量は小さくなる。このため、レンズ固定時に軸ズレが発生する場合には、軸ズレによる光結合効率の低下を軽減することができるとともに、その変化量を一定値以内に収めることが容易になる。
したがって、本実施例によれば、光半導体モジュールの組立時にレンズの軸ズレが生じた場合であっても光結合効率の変化を抑制し、光結合効率の安定した光半導体モジュールを作製することができる。
本発明の第3の実施例を示す。本実施例は、上記実施例1又は上記実施例2に記載の形態に適用可能である。以下、本実施例を実施例1の構成に適用した例を説明する。
本実施例による光半導体モジュールは、図1および図2に示す構成に適用され、サブマウント105上に搭載されたそれぞれ導波路型の光半導体素子である半導体レーザ101と半導体光変調器104を具備し、半導体レーザ101から出射された光が半導体光変調器104へ低損失に結合するよう位置調整された、第一のレンズ102および第二のレンズ103を備えている。そして、レンズ102,103は位置調整された後、レンズホルダ106を介してサブマウント105上にYAGレーザ溶接によって第一のレンズ102、第二のレンズ103の順に固定されているものとする。この際、まず、第一のレンズ102を固定し、次に、第二のレンズ103を第一のレンズ102の固定時に生じた軸ズレを補正するように再調整した後、固定する。
第一のレンズ102と、第二のレンズ103とは、焦点距離が異なるものとし、第一のレンズ102の焦点距離をf1、第二のレンズ103の焦点距離をf2とする。すると、半導体レーザ101から出射され、半導体光変調器104の入力導波路へ集光される光の像倍率はf2/f1になる。このため、焦点距離f1が焦点距離f2より小さいと、半導体レーザ101から出射され、半導体光変調器104の入力導波路に集光される光のフィールド111の径は、半導体レーザ101の出射端での光のフィールド110の径のf2/f1(>1)倍に拡大される。
なお、半導体素子の光のフィールド径は、どの種類の素子でも略同一であることから、半導体レーザ101の光のフィールド110の径と、半導体光変調器104の光のフィールド112の径とは、略等しいものとする。
光結合効率は、この拡大した光のフィールド111と、半導体光変調器104の光のフィールド112との重なり積分で表されるため、本実施例における光結合効率は、同じ大きさの光のフィールドを重ね合わせたときの効率よりも低下するが、第二のレンズ103の軸ズレによる光結合効率の変化量は小さくなる。
第二のレンズ103の、光軸に直交する方向への軸ズレに対する結合損失の変化を計算した結果を図5に示す。なお、レンズの焦点距離f1とf2の比は、f1:f2=1:1,1:1.5,1:2,1:2.5,1:3の五通りの場合について計算してある。
例えば、光半導体モジュールを組み立てる際にYAGレーザ溶接によってレンズを固定する場合、レンズの軸ズレ量は数μm(条件により5〜8μm)程度である。このズレ量は、溶接前にレンズ位置を収縮方向(ズレ方向)と反対にオフセットすることで光軸のズレを最小限に抑えることができるが、ズレ量のばらつきは補正することが困難である。そして、このズレ量のばらつきは1.0〜2.5μm程度であり、概ね二つの光半導体素子の光のフィールド径のうち小さいほうの光のフィールド径と同じか、又はそれよりも大きい値である。
図5より、第二のレンズ103の軸ズレ量が1.0μm以上である場合は、焦点距離f1とf2の比がf1:f2=1:1の場合より、f1:f2=1:1.5の場合の方が、第二のレンズ103の軸ズレに対して結合損失の低下が小さいことがわかる。また、第二のレンズ103の軸ズレ量が2.5μm以下である場合は、焦点距離f1とf2の比がf1:f2=1:3の場合より、f1:f2=1:2.5の場合の方が、第二のレンズ103の軸ズレに対して結合損失の低下が小さいことがわかる。
そして、軸ズレ量1.0〜2.5μmの範囲においては、図5に示すように、第一のレンズ102および第二のレンズ103の焦点距離f1,f2の比を1:1.5〜1:2.5とすることで、焦点距離が等しい二つのレンズを用いる場合と比べて、レンズ固定時に軸ズレが発生する場合のレンズの軸ズレによる光結合効率の低下をより軽減することができるとともに、その変化量を一定値以内に収めることが容易になる。
したがって、本実施例によれば、光半導体モジュールの組立時にレンズの軸ズレが生じた場合であっても光結合効率の変化を抑制し、光結合効率の安定した光半導体モジュールを作製することができた。
本発明の第4の実施例を以下に示す。本実施例は上記実施例1から実施例3に記載の形態に適用される。以下、実施例1を例に挙げて説明する。
図1および図2に示すように、本実施例による光半導体モジュールは、サブマウント105上に搭載されたそれぞれ導波路型の光半導体素子である半導体レーザ101と半導体光変調器104を具備し、半導体レーザ101から出射された光が半導体光変調器104へ低損失に結合するよう位置調整された、第一のレンズ102および第二のレンズ103を備えている。レンズ102および103は位置調整された後、レンズホルダ106を介してサブマウント105上に固定されている。第一のレンズ102と第二のレンズ103は、焦点距離が異なるものとし、第一のレンズ102の焦点距離をf1、第二のレンズ103の焦点距離をf2とする。
図6に、第一のレンズ102を先に固定し、次に第二のレンズ103を第一のレンズ102の固定時に生じた軸ズレを補正するように再調整して固定した場合の第二のレンズ103の軸ズレ量に対する結合損失の変化を示したグラフを示す。図6は、第一および第二のレンズの焦点距離f1,f2の比をf1:f2=1:1,1:2,2:1とした三通りの場合について計算した結果である。
第一のレンズ102として焦点距離の短いレンズを用い、第二のレンズ103として焦点距離の長いレンズを用いた(f1:f2=1:2)場合、第二のレンズ103の軸ズレ量に対する結合損失は、図6中に実線で示すように変化し、第二のレンズ103の軸ズレ量が1.2μm以上の場合には、図6中に破線で示した、焦点距離が同一(f1:f2=1:1)の場合と比べて、結合損失が小さい。
一方、第一のレンズ102として焦点距離の長いレンズを用い、第二のレンズ103として焦点距離の短いレンズを用いた(f1:f2=2:1)場合、第二のレンズ103の軸ズレ量に対する結合損失は図6に点線で示すように変化し、軸ズレ量に対して結合損失が大きくなる。
すなわち、焦点距離の異なる二つのレンズを用いて半導体素子間の光結合をとる際には、焦点距離の短いレンズの軸ズレ量に対する光結合効率の低下は大きく、焦点距離の長いレンズの軸ズレ量に対する光結合効率の低下は小さいことがわかる。なお、図3に示す実施例2の構成において、焦点距離の短い第二のレンズ203を固定した後、焦点距離の長い第一のレンズ202を第二のレンズ203の固定時に生じた軸ズレを補正するように再調整して固定した場合、焦点距離の長い第一のレンズ202の軸ズレに対する光結合効率の変化は、図6に実線で示した計算結果と同一になる。
したがって、二つのレンズを固定する際は、レンズの位置調整により最適結合位置にレンズを持ってきた後、まず、焦点距離の短いレンズを固定し、この焦点距離の短いレンズの固定時に生じた軸ズレを補正するように、焦点距離の長いレンズを再調整した後、焦点距離の長いレンズを固定することにより、光半導体モジュールの組立時にレンズの軸ズレが生じた場合であっても光結合効率の低下を抑制し、光結合効率の安定した光半導体モジュールを作製することができる。
図7〜図9を用いて本発明の第5の実施例を説明する。
本実施例は、上記実施例1における半導体光変調器104に変えて、図7に示す、変調器部508とフィールド径拡大手段としてのスポットサイズ変換部509とを同一基板上に集積してなる第二の光半導体素子としての半導体光変調器504を用いる例である。なお、図7において、一点鎖線は変調器部508とスポットサイズ変換部509との境界を表している。その他の構成は実施例1に示したものと概ね同様であり、図1及び図2に示し上述した部材と同一の部材には同一符号を付して重複する説明は適宜省略する。
図8(a)に示すように、本実施例に係る光半導体モジュールは、第一、第二の光半導体素子として、導波路型の半導体レーザ101、半導体光変調器504を備えると共に、半導体レーザ101と半導体光変調器504の間に、半導体レーザ101から出射された光が半導体光変調器504へ低損失に結合するよう位置調整された、第一のレンズ102および第二のレンズ103を備えている。
図7に示すように、変調器部508はハイメサ構造を有し、InP下部クラッド層541、活性層581、InP上部クラッド層542からなる。活性層581は、幅が1.6μm、厚さが0.3μmであり、該変調器部508の光のフィールド径はx方向(光の進行方向に平行な方向)に1.2μm、y方向(光の進行方向に直交する方向)に0.8μmである。
また、スポットサイズ変換部509は、InP下部クラッド541、InGaAsPからなる傾斜型導波層591、及びInP上部クラッド層542から構成されている。傾斜型導波層591は、変調器部508側の端部(図7中、右側)から他方(図7中、左側)の端部へ向かうにしたがって層厚を薄層化した傾斜構造を有し、このような傾斜構造を有することにより、InPクラッド541,542より屈折率の大きい傾斜型導波層591を伝播する光を、該傾斜型導波層591の薄層化された部分から外部に放射させ、スポットサイズを拡大することができる(例えば、非特許文献3参照)。
なお、傾斜型導波層591は、変調器部508とは反対側の薄層化した端部において、導波層幅が3.0μm、導波層厚が0.1μmである。なお、スポットサイズ変換部509は、変調器部508に対して半導体光変調器504の入射端側に配置される。
上記スポットサイズ変換部509により、変調器部508の光のフィールド径はx方向に2.3μm、y方向に1.55μmに拡大される。即ち、半導体光変調器504の入射端(スポットサイズ変換部509の入射端)での図8に破線で示す光のフィールド512の径が、x方向に2.3μm、y方向に1.55μmとなる。これにより、半導体光変調器504の入射端(スポットサイズ変換部509の入射端)での光のフィールド512の径は半導体レーザ101の光のフィールド110の径より大きくなる。
一方、半導体レーザ101は、図示はしないがメサ形状に加工された活性層をInPで埋め込んだ埋め込み型構造とする。活性層の幅が1.0μm、厚さが0.3μmとし、光のフィールド110の径はx方向に1.2μm、y方向に0.8μmである。
本実施例において、図8(a)に示す半導体レーザ101側に位置する第一のレンズ102の焦点距離f1と、半導体光変調器504側に位置する第二のレンズ103の焦点距離f2の比はf1:f2=1:2とする。この場合、実施例1で説明したように、半導体レーザ101から出射され、二つのレンズ102,103を介して半導体光変調器504の入力導波路に集光される光の像倍率はf2/f1=2倍になるので、半導体光変調器504に入射する光のフィールド111の径は、x方向に2.4μm、y方向に1.6μmとなる。
この結果、図8(b)に示すように、半導体光変調器504に入射する光のフィールド111の径が、半導体光変調器504の入力導波路(スポットサイズ変換部509)の光のフィールド512の径(x方向に2.3μm、y方向に1.55μm)と同等の大きさになる。これにより、半導体光変調器504の入力導波路(スポットサイズ変換部509)における光の結合効率が向上するので、レンズの軸ズレの影響を低減することができる。
つまり、実施例1で説明したように、光結合効率は、上記拡大した光のフィールド111と、半導体光変調器504の光のフィールド512との重なり積分で表される。本実施例では、半導体レーザ101と半導体光変調器504とを光学的に結合させる際に、半導体レーザ101を出射して半導体光変調器504に入射する光のフィールド111の径と、半導体光変調器504の入射端での光のフィールド512の径がそれぞれ拡大される。このため、図8(b)に矢印で示すようなレンズの軸ズレが発生した場合であっても、従来に比較して、光のフィールド径に対する軸ズレ量を相対的に低減することができる。
図9に、図8(a)に示す構成において、第一のレンズ102の焦点距離と第二のレンズ103の焦点距離の比をf1:f2=1:2とし、スポットサイズ変換部半導体光変調器504の光のフィールド512の径を変化させた場合の光結合損失の軸ズレ量依存性の一例を示す。なお、図9には、半導体光変調器504の光のフィールド512の径の増加倍率(例えば、本実施例においては2倍)を、0.8倍、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍と変化させた例を示している。
上述したように光半導体モジュール組み立てにおけるレンズ固定時の軸ズレが1.0μmから2.5μm程度であることを考慮すると、図9から、半導体光変調器504の光のフィールド512の径の増加倍率が、1倍より大きく5倍以下である範囲、換言すれば、上記増加倍率が1倍より大きく、第一のレンズ102の焦点距f1と第二のレンズ103の焦点距離f2の比f2/f1の2.5倍程度の値以下の範囲で、光結合損失の低減に有効であることがわかる。
なお、図9においては半導体光変調器504の光のフィールド512の径の増加倍率を6倍とした場合、増加倍率を1倍とした場合に比較して一部(軸ズレ量が1.7μm以上の場合)光結合損失が小さくなっているが、光半導体モジュール組み立てにおけるレンズ固定時の軸ズレが1.0μmから2.5μm程度であることから、光のフィールド径の増加倍率は上述した1倍より大きく5倍以下の範囲が好適である。
以上に示したように、本実施例に係る光半導体モジュールによれば、第一のレンズ102の焦点距離f1と第二のレンズ103の焦点距離f2が互いに異なるように焦点距離の比をf1:f2=1:2とすると共に、半導体光変調器504を、変調器部508とスポットサイズ変換部509とから構成し、該半導体光変調器504の光のフィールド512の径を、半導体レーザ101の光のフィールド110の径に比較して拡大したことにより、レンズの軸ズレに対する光結合効率の変化量を低減しつつ、上述した実施例1による効果に加えて、光結合損失をより低減することが可能となった。
なお、本実施例では、第一のレンズ102の焦点距離f1と、第二のレンズ103の焦点距離f2の比をf1:f2=1:2としたが、前述したようにf1:f2が1:1.5〜1:2.5となるように、換言すると、f2/f1が1.5以上2.5以下の範囲となるように設定すれば、概ね同様の効果を得ることができる。
また、本実施例では半導体光変調器504のフィールド径を拡大させる手段としてスポットサイズ変換部509を用いる例を示したが、このような構成の他に、光半導体素子の発光層あるいは導波層の層構造を調整する、例えば、活性層とクラッド層の間に、該活性層とクラッド層の中間の組成からなる中間層(ガイド層)を導入することにより光半導体素子のフィールド径を拡大させることができる。
前記中間層を導入する場合は、特に、この中間層の組成(組成成長)や層厚を調整することによりフィールド径を拡大させることができる。例えば、この中間層の組成成長を短くしたり層厚を厚くしたりすることにより、フィールド径を拡大させることができる。また、中間層の組成成長を活性層側からクラッド層側に向けて徐々に短波長に変化するように設定することによりフィールド径を拡大させることができる。
図10及び図11を用いて本発明の第6の実施例を説明する。本実施例は、上記実施例2における半導体レーザ201に変えて、図10に示す、第一の光半導体素子としてのレーザ部608とフィールド径拡大手段としてのスポットサイズ変換部609とを同一基板上に集積してなる半導体レーザ601を用いる例である。なお、図10において、一点鎖線はレーザ部608とスポットサイズ変換部609との境界を表している。その他の構成は実施例2に示したものと概ね同様であり、以下、図3及び図4に示し上述した部材と同一の部材には同一符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図11(a)に示すように、本実施例に係る光半導体モジュールは、第一、第二の光半導体素子として、導波路型の半導体レーザ601、半導体光変調器204を具備し、これら半導体レーザ601と半導体光変調器204の間に、半導体レーザ601から出射された光が半導体光変調器204へ低損失に結合するよう位置調整された、第一のレンズ202および第二のレンズ203を備えている。
図10に示すように、レーザ部608は、メサ形状に加工された活性層681をInP642で埋め込んだ埋め込み型構造を有し、活性層681の幅が1.0μm、厚さが0.3μmとする。該レーザ部608の光のフィールド211の径はx方向(光の進行方向に平行な方向)に1.2μm、y方向(光の進行方向に直交する方向)に0.8μmである。
スポットサイズ変換部609は、InP下部クラッド層641、InGaAsPからなる傾斜型導波層691、及びInP上部クラッド層642を積層して構成されている。傾斜型導波層691は、レーザ部608側(図10中、右側)の端部から他方(図10中、左側)の端部へ向かって層厚を薄層化した傾斜構造となっており、レーザ部608とは反対側の端部において導波層幅が3.0μm、導波層厚が0.1μmである。なお、スポットサイズ変換部609は、半導体レーザ601の出射端側に配置される。
このスポットサイズ変換部609により、レーザ部608の光のフィールド径はx方向に2.4μm、y方向に1.6μmに拡大される。即ち、半導体レーザ601の出力導波路の図11中破線で示す光のフィールド612の径はx方向に2.4μm、y方向に1.6μmとなる。
一方、半導体光変調器204は、図示はしないがハイメサ構造を有し、InPクラッド層、活性層、InPクラッド層からなる。活性層の幅が1.6μm、厚さが0.3μmであり、該半導体光変調器204の光のフィールド210の径はx方向に1.2μm、y方向に0.8μmである。
図11(a)に示すように、第一のレンズ202の焦点距離をf1、第二のレンズ203の焦点距離をf2とし、二つの焦点距離の比f1:f2を2:1とする。実施例2で説明したように、半導体光変調器204から光の進行方向と逆に光のフィールド形状をたどると、二つのレンズ203,202を介して半導体レーザ601の出力導波路(スポットサイズ変換部609)に集光される光の像の倍率は、f1/f2、即ち2倍になるので、この半導体レーザ601の出力導波路(スポットサイズ変換部609)に集光される光のフィールド211の径はx方向に2.4μm、y方向に1.6μmとなる。
この結果、図11(b)に示すように、半導体レーザ601の出力導波路(スポットサイズ変換部609)に集光される拡大した光のフィールド211の径が、半導体レーザ601の出力導波路(スポットサイズ変換部609)の光のフィールド612の径(x方向に2.4μm、y方向に1.6μm)と同等になる。これにより、半導体レーザ601の出力導波路(スポットサイズ変換部609)における光の結合効率が向上するので、レンズの軸ズレの影響を低減することができる。
つまり、実施例2で説明したように、光結合効率は、半導体レーザ601の光のフィールド612と、上記拡大した光のフィールド211との重なり積分で表される。本実施例では、半導体レーザ601と半導体光変調器204を光学的に結合させる際に、半導体レーザの出力導波路(スポットサイズ変換部609)の光のフィールド612の径と、上記半導体レーザ601の出力導波路(スポットサイズ変換部609)に結合する光のフィールド211の径とがそれぞれ拡大される。このため、従来に比較して、図11(b)に矢印で示すようなレンズの軸ズレが生じた場合であっても、レンズの軸ズレに伴う光結合損失を光のフィールド径に対して相対的に低減することができるため、光結合効率の変化量を低減することができる。
以上に説明したように、本実施例によれば、第一のレンズ202の焦点距離f1と第二のレンズ203の焦点距離f2が相互に異なるようにf1:f2=2;1に設定すると共に、半導体レーザ601をレーザ部608とスポットサイズ変換部609とから構成し、半導体レーザ601の光のフィールド612を半導体光変調器204の光のフィールド210に比較して拡大したことにより、上述した実施例2による効果に加えて、光結合損失をより低減することが可能となった。
なお、本実施例においても実施例5と同様に、スポットサイズ変換部609により半導体レーザ601の光のフィールド612の径を半導体光変調器204に比較して拡大させる倍率は、1倍より大きく、第一のレンズ202の焦点距離f1と第二のレンズ203の焦点距離f2との比f2/f1の2.5倍程度の値以下の範囲とすれば好適である。
また、本実施例では半導体レーザ601の光のフィールド径を拡大させる手段としてスポットサイズ変換部609を用いる例を示したが、このような構成の他に、実施例5でも説明したように、光半導体素子の発光層あるいは導波層の層構造を調整する、例えば、活性層とクラッド層の間に、該活性層とクラッド層の中間の組成からなる中間層(ガイド層)を導入することにより光半導体素子のフィールド径を拡大させることができる。
前記中間層を導入する場合は、特に、この中間層の組成(組成成長)や層厚を調整することによりフィールド径を拡大させることができる。例えば、この中間層の組成成長を短くしたり層厚を厚くしたりすることにより、フィールド径を拡大させることができる。また、中間層の組成成長を活性層側からクラッド層側に向けて徐々に短波長に変化するように設定することによりフィールド径を拡大させることができる。
本発明の第7の実施例を以下に示す。本実施例は、上述した実施例1において半導体レーザ101、半導体光変調器104として、それぞれ多波長レーザ(Tunable Laser Array;TLA)、マッハツェンダ型光変調器(例えば、特願2005−503564参照)を用いる例である。
多波長レーザはDFBレーザをアレイ状に集積したレーザであり(例えば、非特許文献4参照)、本実施例では10本のDFBレーザを並列にアレイ状に集積したものを用いるものとする。該多波長レーザは1530nmから1560nmの範囲の波長の光を可変に選択して出力することができる。
本実施例の光半導体モジュールを用いて、100km−SMF(シングルモード光ファイバ)を用いた伝送測定を行った結果、10Gb/sの信号で良好なアイパターンが観測された。このことは、本実施例の光半導体モジュールが組み立て時のレンズの軸ズレの影響を低減し、光結合効率に優れるものであることを示す。
なお、本発明は上述した実施例に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。例えば、上述した実施例では光半導体素子として半導体レーザ、半導体光変調器を用いる例を示したが、本発明は、光半導体素子として半導体光増幅器など他の素子に適用することができる。
本発明は、光半導体モジュールおよびその組立方法に関し、詳しくは光通信システムや、光情報処理システムにおいて用いられる光半導体素子の実装に利用可能である。
本発明の実施例1の構成を模式的に示す概略構成図である。
図2(a)は本発明の実施例1における構成と光のフィールドとの関係を示す模式図、図2(b)は光のフィールドを示す説明図である。
本発明の実施例2の構成を模式的に示す概略構成図である。
図4(a)は本発明の実施例1における構成と光のフィールドとの関係を示す模式図、図4(b)は光のフィールドを示す説明図である。
本発明の実施例3による軸ズレ量と光結合損失の関係を示すグラフである。
本発明の実施例4による軸ズレ量と光結合損失の関係を示すグラフである。
本発明の実施例5に係る半導体光変調器の層構造を示す概略断面図である。
図8(a)は本発明の実施例5に係る光半導体モジュールの概略構成図、図8(b)は実施例5に係る半導体光変調器の光のフィールドと半導体光変調器に入射する光のフィールドの関係を示す説明図である。
本発明の実施例5による軸ズレ量と光結合損失の関係を示すグラフである。
本発明の実施例6に係る半導体レーザの層構造を示す概略断面図である。
図11(a)は本発明の実施例6に係る光半導体モジュールの概略構成図、図11(b)は実施例5に係る半導体レーザの光のフィールドと半導体レーザから出射される光のフィールドの関係を示す説明図である。
符号の説明
101,201,601 半導体レーザ
102,202 第一のレンズ
103,203 第二のレンズ
104,204,504 半導体光変調器
105,205 サブマウント
106,206 レンズホルダ
110,212,612 半導体レーザ出射端での光のフィールド
111 レンズによって倍率変換された半導体レーザの光のフィールド
112,210,512 半導体光変調器入射端での光のフィールド
211 レンズによって倍率変換された半導体光変調器の光のフィールド
508 変調器部
509,609 スポットサイズ変換部
608 レーザ部