JP2008267281A - ノジュラー鋳鉄製のスクロール圧縮機 - Google Patents

ノジュラー鋳鉄製のスクロール圧縮機 Download PDF

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Abstract

【課題】スクロール部材の強度および耐久性を向上したスクロール圧縮機を得る。
【解決手段】スクロール圧縮機が、基部と概ね渦巻き形のラップとを有するスクロール部材を有しており、そのラップが、基部から延びて圧縮室の一部を画定している。スクロール部材が、微細構造を備える鋳鉄材料でできており、その微細構造が黒鉛ノジュールを有している。
【選択図】図1

Description

本願は、スクロール圧縮機に関し、より具体的には、改善された強度および耐久性を有するスクロール圧縮機部材に関する。
スクロール圧縮機は、冷媒圧縮システムにおいて広く利用されつつある。周知のように、一対のスクロール部材それぞれは、概ね渦巻き形のラップを備える基部を有し、そのラップは基部から延びている。一般に、一方のスクロールは非旋回式であり、他方のスクロールは非旋回スクロールに対して旋回する。旋回スクロールは、非旋回スクロールに接触して、圧縮室を密封し画定する。旋回スクロール部材が非旋回スクロール部材に対して旋回されるとき、圧縮室の寸法が吐出しポートに向かって減少し、冷媒が圧縮される。
冷媒圧縮システムの一例に、空気調整または他の環境調整システムがある。周知のように、圧縮機は冷媒を圧縮し、その冷媒を下流の熱交換器へ、典型的には凝縮器(コンデンサ、冷却器)へ送る。凝縮器から、冷媒は主膨張装置を通過し、次いで屋内の熱交換器へ、典型的には蒸発器へ移動する。蒸発器から、冷媒は圧縮機へ戻る。一般に、システムの性能および効率は、少なくとも部分的に、スクロール圧縮機の容量および効率に依存している。したがって、より高容量でより高効率のスクロール圧縮機へと向かう傾向が存在する。
より高容量のスクロール圧縮機を設計する上での1つの懸念事項は、スクロール部材の強度および耐久性である。より高容量の圧縮機は、より大きな力やスクロール部材間のさらに高い摩擦など、ますます厳しい条件下で動作する。現行の材料をスクロール部材に使用すると、多くの圧縮機においては好結果をもたらすことが証明されているが、その材料の使用は、より厳しい動作条件には適さないことがある。例えば、限界動作条件下では、スクロール部材が破損したり過度に磨耗したりすることがある。したがって、より高容量の設計が可能ではあろうが、より強度がありかつより耐久性のあるスクロール部材の材料が、そのような設計による容量の利点を実現するために必要とされている。
したがって、圧縮機容量を増すために、より厳しい条件に耐えることが可能なスクロール部材を提供することが望ましい。
(発明の開示)
スクロール圧縮機の一実施形態は、基部と概ね渦巻き形のラップとを有するスクロール部材を有しており、そのラップは、基部から延びて圧縮室の少なくとも一部を画定している。スクロール部材は、黒鉛ノジュールを有する微細構造を有している。エーテル系潤滑剤が、スクロール部材に隣接するベアリングの少なくとも一部を潤滑する。
一実施形態のスクロール圧縮機は、一対のスクロール部材を有しており、その一対のスクロール部材はそれぞれ、基部と、その基部から延びる概ね渦巻き形のラップとを有している。渦巻き形のラップは組み合わさって圧縮室を画定し、スクロール部材の少なくとも一方は、黒鉛ノジュールを有する微細構造を有している。モータ駆動シャフトは、スクロール部材の少なくとも一方を選択的に駆動する。3つの滑り軸受はシャフトを支持し、エーテル系潤滑油は軸受を潤滑する。
このスクロール圧縮機を製造する一実施形態の方法は、鋳鉄材料を溶融して溶融材料を生成するステップと、ノジュール形成剤を溶融材料に添加するステップと、溶融材料を、スクロール圧縮機部材の形状を有する型に移すステップとを含んでいる。
開示する例において、スクロール部材は、比較的強度を有すると共に耐久性を有する。このことによって、スクロール圧縮機は、高容量の圧縮機設計に伴うより厳しい動作条件に耐えることが可能となる。
上記の例は、限定を意図するものではない。さらなる例について以下で説明する。本発明のこれらの特徴および他の特徴は、以下の明細書および図面から最もよく理解することができ、以下はその図面の簡単な説明である。
図1は、スクロール圧縮機20を示す。図示のように、圧縮機ポンプセット22が、密封シェル24内に装着されている。吸込室26は、吸込冷媒を管27から受け取る。理解できるように、この冷媒は、室26内で循環することができ、電気モータ28の上方で流れる。電気モータ28は、圧縮機20の動作軸Aを画定するシャフト30を駆動する。圧縮機ポンプセット22は、非旋回スクロール32と旋回スクロール34とを有しており、旋回スクロール34はクランクケース35上で支持されている。周知のように、シャフト30は、非旋回スクロール32に対して旋回するように旋回スクロール34を駆動して、冷媒を圧縮する。
この例において、シャフト30は、圧縮機20内で3つの異なる軸受ブッシュによって支持されている。シャフト30の底部は、第1の軸受ブッシュ56、すなわち下部軸受ブッシュを有しており、その軸受ブッシュは軸受ハブ58内で受け入れられている。第2の軸受ブッシュ、すなわちクランクケース軸受ブッシュが、圧縮機20のさらに頂部に向かってシャフト30とクランクケース35との間に配置されている。第3の軸受ブッシュ62、すなわち旋回スクロール用軸受ブッシュが、シャフト30の頂部付近で旋回スクロール34とシャフト30との間に配置されている。
圧縮機20の動作から分かるように、軸受ブッシュ56、60、および62は、軸受ブッシュ56、60、および62の摩擦面の間の磨耗を低減するために潤滑される。この目的で、圧縮機20の密封シェル24は、エーテル系潤滑剤66を保持するための潤滑剤溜り部64を有している。この例において、溜り部(リザーバ)64は所望量のエーテル系潤滑剤66で満たされている。
さらなる例において、エーテル系潤滑剤66はポリビニルエーテルである。ポリビニルエーテルは、重大な加水分解の影響を受けないが、この加水分解はエステル系潤滑剤の問題点であり、エステル系潤滑剤は、水の存在下で分解して金属石鹸、酸、または圧縮動作に望ましくない他の副産物を生成する。さらに、さまざまな粘度のポリビニルエーテルが、冷媒における混和性など、類似した特性を有しているが、この特性は、エステル系潤滑剤のもう一つの欠点であり、エステル系潤滑剤は粘度の差と共に著しく変化する特性を有している。さらに、ポリビニルエーテルは、エステル系潤滑剤と比較して潤滑性を向上させる。ポリビニルエーテルは、摩擦面、特に境界潤滑を伴う摩擦面において、摩擦および磨耗を低減する。このことにより、エステル系潤滑剤を使用する類似の圧縮機と比較して、圧縮機20の消費電力が低減され、またスクロールラップの先端部とスクロール基部との間の磨耗が低減されるという利点がもたらされる。さらなる例において、ポリビニルエーテルでは、エステル系潤滑剤よりも20%〜30%低い摩擦係数が得られる。
任意選択により、ポリビニルエーテルは、ポリビニルエーテルの性能を向上させるために、1つまたは複数の添加剤を含む。一例において、高圧下での磨耗を減少させるために、極圧(「EP」)添加剤がポリビニルエーテルに使用される。1つ(または複数)のEP添加剤が、圧縮機20の金属表面と反応して境界膜を形成し、その境界膜は、スクロール部材32および34ならびに軸受ブッシュ56、60および62における摩擦面間の磨耗を軽減する。一例において、EP添加剤は、有機硫黄、リン化合物、または塩素化合物のうちの1つまたは複数を含む。さらなる例において、EP添加剤はリン酸トリクレシルを含む。この説明を考慮すれば、当業者には、当業者の特定の要求を満たす添加剤または添加剤パッケージが分かるであろう。
任意選択により、耐磨耗剤、潤滑剤、腐食および酸化防止剤、金属表面不活性剤、遊離基捕捉剤(フリーラジカルスカベンジャー)、整泡剤など、さらなる種類の添加剤が、ポリビニルエーテルの性能をさらに向上させるために使用される。
ポリビニルエーテルの潤滑剤はまた、関連する粘度を有している。一例において、粘度は、40℃で1センチストークス(cSt)と40℃で140cStの間である。さらなる例において、粘度は、40℃で約10cStと40℃で約68cStの間である。さらなる例において、粘度は、40℃で約32cStである。「約」という語は、この説明においては、公称の粘度を指すために使用されており、その公称の粘度は、数センチストークスの許容差内で実験による粘度から変動することがある。
選択した粘度は、圧縮機20の効率に影響を与える。例えば、より粘性の低い潤滑剤は、軸受ブッシュ56、60、および62内の摩擦面の間のずり抵抗をより小さくする。しかしながら、粘度が低すぎる場合、所望量の潤滑性は得られない。先のエステル系潤滑剤を用いる場合、図示の圧縮機20に類似したスクロール圧縮機は通常、所望量の潤滑性を得るために、40℃で32cStまたは40℃で68cStの粘度を利用する。そのようなエステル系潤滑剤の粘度を低下させて効率の向上を達成すると、結果として、潤滑性の低下によって望ましくない量の磨耗が生じる。しかしながら、エーテル系潤滑剤66の潤滑性を向上させると、エステル系潤滑剤よりも低い粘度が、潤滑性を犠牲にすることなく使用できる。
一例において、ポリビニルエーテルの粘度は、40℃で22cStとなっており(すなわち、通常使用されるエステル系潤滑剤の、40℃で32cStよりも低い)、圧縮機20の効率の向上を達成している。このことにより、従来の典型的なエステル系潤滑剤と比較して、潤滑性がありかつ圧縮機20の効率の向上するという望ましい組合せがもたらされる。この説明を考慮すれば、当業者には、当業者の特定の潤滑性および効率の必要性を満たす適切な粘度が分かるであろう。
図示の例において、シャフト30は、遠心ポンプとして機能して、エーテル系潤滑剤66を軸受ブッシュ56、60、および62のそれぞれに送る。シャフト30は、エーテル系潤滑剤66を潤滑剤入口80を通じて受け取る第1の通路77を有している。パドル82はシャフト30と共に回転して、油を第1の通路77を通じて汲み上げる。この例において、供給口84は、第1の通路77を第1の軸受ブッシュ56に流体連結し、その結果、エーテル系潤滑剤66は、パドル82がシャフト30の回転と共に汲上げを行うとき、供給口84を通じて供給される。
シャフト30内の第2の通路86は、第1の通路77と流体連結している。この例において、第2の通路86は、第1の通路77から片寄っており、第1の通路77と既知の方式で協働して、エーテル系潤滑剤66を軸受ブッシュ56、60、および62へ、遠心力によって汲み上げる。この例において、第2の通路は、供給口88aおよび88bを有している。図示の例において、供給口88bは、シャフト30の頂部にある開口部である。
供給口88aは、第1の通路77内の供給口84と同様の方式で、エーテル系潤滑剤66を第2の軸受ブッシュ60に供給する。エーテル系潤滑剤は、シャフト30の端部にある供給口88bから流出して、第3の軸受ブッシュ62を潤滑する。各軸受ブッシュ56、60、および62を潤滑した後、重力によって、エーテル系潤滑剤66は、圧縮機20全体にわたる戻り流路を通じて既知の方式で元の溜り部64に流入する。
図2は非旋回スクロール32の斜視図を示し、図3は旋回スクロール34の斜視図を示す。非旋回スクロール32および旋回スクロール34のそれぞれは、基部44と概ね渦巻き形のラップ46とを有しており、そのラップ46は、基部44から先端部47へ延びている。組み立てると、渦巻き形のラップ46が組み合わさって、非旋回スクロール32と旋回スクロール34との間に圧縮室36(図1)を画定する。
図示の例においては、非旋回スクロール32と旋回スクロール34との間に、半径方向および軸方向コンプライアンスが(軸Aに対して)存在する。コンプライアンスによって、スクロール32および34は、粒子をスクロール圧縮機20に通すなどのために、特定の条件下で分離する。軸方向コンプライアンスによって、旋回スクロール34のラップ46は、非旋回スクロール32の基部44と接触した状態に維持され、通常の動作条件下で密封がもたらされる。タップTは、圧縮された冷媒を、旋回スクロール34の基部44の背後で室100に送り込む。その合力が、2つのスクロール部材を付勢して接触させる。他のスクロール圧縮機において、室は非旋回スクロールの基部の背後にあってもよい。半径方向コンプライアンスによって、非旋回スクロール32および旋回スクロール34のラップ46は、通常の動作条件下で接触した状態に維持される。
図4を参照すると、非旋回スクロール32と旋回スクロール34の一方または双方が、微細構造56を有する鋳鉄材料でできており、その微細構造56は黒鉛ノジュール58を含んでいる。図示の例において、黒鉛ノジュールは、パーライト母材などの母材60内にある。この例における微細構造56は、およそ36倍の倍率で示してある。鋳鉄材料は、既知の方法で研磨されエッチングされて、微細構造56をあらわにする。
微細構造56は、付随するノジュール(団塊)度を有しており、そのノジュール度とは、母材60内における他の形の黒鉛を含む黒鉛全体に対する黒鉛ノジュールの比である。一例において、ノジュール度は、約80%を超えかつ100%未満である。図4に示す例において、ノジュール度は約80%である。図5に示す他の例において、ノジュール度は約99%である。
黒鉛ノジュール58は、非旋回スクロール32および旋回スクロール34に強度と耐久性をもたらしている。主として片状黒鉛を含むものなど、他の鋳鉄の微細構造は、片状黒鉛の鋭利な端部における切欠き効果(ノッチ効果)によってもろくなる。黒鉛ノジュール58はしかしながら、形が球状であり、したがって、材料をもろくする鋭利な端部を有していない。一般に、ノジュール度が高くなるほど、結果として、強度がより高く、また靭性がより高くなる。一例において、黒鉛ノジュール58を有する鋳鉄材料は、少なくとも60kpsi(413.7MPa)の引張り強度を有する。例えば、引張り強度は、ASTM A395または他の周知の規格を用いて試験することができる。強度および耐久性が高いために、非旋回スクロール32および旋回スクロール34は、比較的強度があると共に耐摩耗性があり、そのことによって、スクロール圧縮機20を、比較的厳しい動作条件および高容量に対応して設計することが可能となっている。一例において、黒鉛ノジュール58を有する鋳鉄材料を用いることによって、ラップ46の長さ(すなわち、基部44から延びる長さ)を増して圧縮室36の寸法を増し、スクロール圧縮機20の容量を増加させることが可能となる。さらに、黒鉛ノジュール58を有する鋳鉄材料と、エーテル系潤滑剤66の使用とがあいまって、摩擦を軽減して消費電力を低減した高容量圧縮機20の利点がもたらされる。
一例において、比較的厳しい動作条件が、少なくとも幾分かは、非旋回スクロール32と旋回スクロール34との間の軸方向および半径方向コンプライアンスから生じる。軸方向および半径方向コンプライアンスによって、上述のように、非旋回スクロール32と旋回スクロール34との接触が生じる。スクロール圧縮機20の動作中、接触によって、非旋回スクロール32と旋回スクロール34との間に磨耗および応力が生じる。黒鉛ノジュール58を有する高強度で高耐久性の材料は、そのような動作条件に耐えるのに適している。加えて、エーテル系潤滑剤66を使用すると、潤滑性が向上することによって、そのような条件下での動作がさらに向上する。開示する例において、エーテル系潤滑剤66の少なくと幾分かは、冷媒に溶解し、非旋回スクロール32および旋回スクロール34の黒鉛ノジュール58を有する鋳鉄材料を被覆する。開示する例において、エーテル系潤滑剤は、渦巻き形のラップ46を、先端部47を含めて被覆して、スクロール32と34の間の磨耗を軽減する。言い換えれば、黒鉛ノジュール58を有する高強度で高耐久性の鋳鉄材料と、潤滑性を向上したエーテル系潤滑剤66との組合せにより、比較的過酷な動作条件に適した圧縮機20の利点が得られる。
非旋回スクロール32および/または旋回スクロール34の鋳鉄材料は、鋳込みの間に黒鉛ノジュール58の形成を促進する黒鉛ノジュール形成剤を含んでいる。一実施形態において、鋳鉄材料の組成は、3.20重量%〜4.10重量%の炭素、1.80重量%〜3.00重量%のケイ素、0.10重量%〜1.00重量%のマンガン、最大0.050重量%のリン、および一定量の黒鉛ノジュール形成剤を含む。さらなる例において、鋳鉄材料の組成は、約3.60重量%〜3.80重量%の炭素を含む。
一例において、黒鉛ノジュール形成剤はマグネシウムを含む。マグネシウムは、非旋回スクロール32および/または旋回スクロール34の鋳鉄材料に、約0.02重量%と約0.08重量%の間のある量で存在する。他の例において、マグネシウムは、約0.03重量%と約0.06重量%の間のある量で存在する。
他の例において、黒鉛ノジュール形成剤は、マグネシウム合金などの合金である。一例において、合金は、マグネシウムおよびニッケルを含む。マグネシウムは、約4重量%と約18重量%の間の合金を含んでおり、残りはニッケルおよびおそらくは極微量の他の材料である。
他の例において、黒鉛ノジュール形成剤は、マグネシウムとセシウムの両方を含む。一例において、マグネシウムは、非旋回スクロール32および/または旋回スクロール34の鋳鉄材料に上述の量で存在し、セシウムは、約0.0005重量%と約0.01重量%の間の量で存在する。マグネシウムおよびセシウムは、上述のように溶融鋳鉄に添加される。別法として、またはマグネシウムおよびセシウムに加えて、希土類金属が最大0.300重量%の量で用いられて、黒鉛ノジュール58が形成される。例としての希土類金属には、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、イットリウム、スカンジウム、トリウム、およびジルコニウムがあるが、これらの使用は、入手のしやすさおよび/またはコストによって制限されることがある。
黒鉛ノジュール形成剤は、非旋回スクロール32および/または旋回スクロール34の鋳込み工程の間に溶融鋳鉄に添加される。例えば、添加される量は、上述の組成の範囲となるのに適切なものである。
溶融鋳鉄に添加される黒鉛ノジュール形成剤の量は、一般に、上述の組成の範囲よりも多い。一例において、約0.3重量%の黒鉛ノジュール形成剤が添加される。このことによって、黒鉛ノジュール58の形成を促進するのに十分な黒鉛ノジュール形成剤が添加され、一方で揮発などによって黒鉛ノジュール形成剤の除去が可能となるという利点がもたらされる。この説明を考慮すれば、当業者には、当業者の特定の必要性を満たすために溶融鋳鉄に添加する適切な黒鉛ノジュール形成剤の量が分かるであろう。
黒鉛ノジュール形成剤の量によって、微細構造56のノジュール度が制御される。例えば、比較的少ない量であればノジュール度が低下し、比較的多い量であればノジュール度が増加する。したがって、本明細書で説明した黒鉛ノジュール形成剤の組成範囲を用いて、非旋回スクロール32および/または旋回スクロール34の強度、磨耗性、摩損性などの特性を、スクロール圧縮機20の特定の動作要求事項に適応させることができる。
図6は、一例の鋳込み工程を概略的に示す。鋳型70は、非旋回スクロール32または旋回スクロール34の形状を形成するための空洞72を画定している。取瓶などの容器74は溶融鋳鉄76を保持し、溶融鋳鉄76は鋳型70に注入され凝固する。注入前に、黒鉛ノジュール形成剤78が溶融鋳鉄材料76に添加される。任意選択により、黒鉛ノジュール形成剤の添加と鋳型70への溶融鋳鉄材料76の注入との間で、所定の時間を経過させて、黒鉛ノジュール形成剤78を溶融鋳鉄材料内に拡散させる。
本発明の好ましい実施形態について開示したが、特定の修正が本発明の範囲に含まれることが、当業者には理解されよう。したがって、先の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲および内容を定めるために検討されるべきである。
図1は、一例のスクロール圧縮機の断面図である。 図2は、図1のスクロール圧縮機で使用するための非旋回スクロール部材の斜視図である。 図3は、図1のスクロール圧縮機で使用するための旋回スクロール部材の斜視図である。 図4は、スクロール部材の作製に用いる鋳鉄材料の、黒鉛ノジュールを有する微細構造の概略図である。 図5は、黒鉛ノジュールを有する他の例の微細構造を概略的に示す。 図6は、一例の鋳込み工程を概略的に示す。

Claims (19)

  1. スクロール圧縮機であって、
    基部と概ね渦巻き形のラップとを有するスクロール部材であって、前記ラップが前記基部から延びて圧縮室の少なくとも一部を画定し、前記スクロール部材が、黒鉛ノジュールを有する微細構造を備えるスクロール部材と、
    前記スクロール部材の少なくとも一部を被覆するエーテル系潤滑剤と、
    を備えるスクロール圧縮機。
  2. 請求項1に記載のスクロール部材であって、前記スクロール部材に隣接する少なくとも1つの軸受を備え、前記少なくとも1つの軸受が、前記エーテル系潤滑剤で被覆されるスクロール部材。
  3. 請求項1に記載のスクロール圧縮機であって、前記エーテル系潤滑剤がポリビニルエーテルを含むスクロール圧縮機。
  4. 請求項3に記載のスクロール圧縮機であって、前記ポリビニルエーテルが極圧添加剤を含むスクロール圧縮機。
  5. 請求項4に記載のスクロール圧縮機であって、前記極圧添加剤がリン酸塩を含むスクロール圧縮機。
  6. 請求項5に記載のスクロール圧縮機であって、前記極圧添加剤がリン酸トリクレシルを含むスクロール圧縮機。
  7. 請求項1に記載のスクロール圧縮機であって、前記エーテル系潤滑剤が、40℃で約1cStと40℃で約140cStの間の粘度を有するスクロール圧縮機。
  8. 請求項7に記載のスクロール圧縮機であって、前記エーテル系潤滑剤が、40℃で約10cStと40℃で約68cStの間の粘度を有するスクロール圧縮機。
  9. 請求項8に記載のスクロール圧縮機であって、前記エーテル系潤滑剤が、40℃で約22cStの粘度を有するスクロール圧縮機。
  10. 請求項1に記載のスクロール圧縮機であって、前記少なくとも1つの軸受が、それぞれが前記エーテル系潤滑剤で少なくとも部分的に被覆される第1の軸受と第2の軸受とを含むスクロール圧縮機。
  11. 請求項10に記載のスクロール圧縮機であって、前記少なくとも1つの軸受が、前記エーテル系潤滑剤で少なくとも部分的に被覆される第3の軸受を含むスクロール圧縮機。
  12. スクロール圧縮機であって、
    それぞれが基部と前記基部から延びる概ね渦巻き形のラップとを有する一対のスクロール部材であって、前記渦巻き形のラップが、組み合わさって圧縮室を画定し、前記一対のスクロール部材のうちの少なくとも一方が、黒鉛ノジュールを有する微細構造を備える一対のスクロール部材と、
    前記一対のスクロール部材のうちの少なくとも一方を駆動するように動作するモータ駆動シャフトと、
    前記シャフトを支持する3つの滑り軸受と、
    前記軸受のうちの少なくとも1つを被覆するエーテル系潤滑剤と、
    を備えるスクロール圧縮機。
  13. 請求項12に記載のスクロール圧縮機であって、前記3つの滑り軸受が、前記一対のスクロール部材のうちの旋回スクロール部材と前記シャフトとの間の軸受ブッシュを有するスクロール圧縮機。
  14. 請求項12に記載のスクロール圧縮機であって、前記3つの滑り軸受が、前記一対のスクロール部材のうちの旋回スクロール部材を支持するクランクケースと前記シャフトとの間の軸受ブッシュを有するスクロール圧縮機。
  15. 請求項12に記載のスクロール圧縮機であって、前記3つの滑り軸受が、軸受ハブと前記シャフトとの間の軸受ブッシュを有するスクロール圧縮機。
  16. 請求項12に記載のスクロール圧縮機であって、前記3つの滑り軸受のうちの第1の滑り軸受が、前記シャフトの一方の端部に配置され、前記3つの滑り軸受のうちの第2の滑り軸受が、前記シャフトの反対側の端部に配置されるスクロール圧縮機。
  17. 請求項12に記載のスクロール圧縮機であって、前記3つの滑り軸受が、前記一対のスクロール部材のうちの旋回スクロール部材と、前記旋回スクロール部材を駆動するシャフトとの間の第1の軸受ブッシュ、前記旋回スクロール部材を支持するクランクケースと前記シャフトとの間の第2の軸受ブッシュ、ならびに軸受ハブと前記シャフトとの間の第3の軸受ブッシュを有するスクロール圧縮機。
  18. 請求項12に記載のスクロール圧縮機であって、前記渦巻き形のラップが、前記基部に接触する先端部を有し、前記エーテル系潤滑剤が、前記先端部を被覆するスクロール圧縮機。
  19. 請求項12に記載のスクロール圧縮機であって、前記エーテル系潤滑剤が前記渦巻き形のラップを被覆するスクロール圧縮機。
JP2007111910A 2007-04-20 2007-04-20 ノジュラー鋳鉄製のスクロール圧縮機 Withdrawn JP2008267281A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105201824A (zh) * 2014-06-19 2015-12-30 日立空调·家用电器株式会社 涡旋压缩机和空气调节机

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