JP2008266302A - 二酸化炭素を用いた害虫防除法及び害虫防除装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐圧チャンバーに殺虫処理の対象物を入れ、(i)−0.1013MPa〜−0.05MPaする減圧処理、(ii)二酸化炭素を0.6MPa以上1.0MPa以下の圧力まで封入し、15〜90分間保持する加圧処理、(iii)二酸化炭素を常圧にする復圧処理を行い、その後、(i)減圧処理、(ii)加圧処理及び(iii)復圧処理を1回以上繰り返す害虫防除法;対象物中に生息する害虫を減圧処理、加圧処理及び復圧処理、加圧処理中の温度制御により殺虫する装置であって、対象物を収納する耐圧チャンバーと、耐圧チャンバー内を負圧にする減圧手段と、耐圧チャンバー内に二酸化炭素を充填して加圧するガス供給手段と、設定圧力から負圧までの減圧手段と、耐圧チャンバー内の温度を制御する温度制御手段とを備える害虫防除装置。
【選択図】図2
Description
(a)二酸化炭素が神経軸策に作用して神経の伝達に重要な役割を担うNa/Kイオンのバランスを崩す。
(b)二酸化炭素が昆虫の体液を酸性化し各種の酵素作用を阻害する。
(c)昆虫が酸素を取り入れる気門という孔を開閉する筋肉に作用し、気門を開放状態にして体内水分を奪う。
(a)完全殺虫が可能である。
(b)処理時間が短い。
(c)ガスの毒性が低い。
(d)残留性がない。
(e)特殊な耐圧チャンバーと周辺装置が必要である。
(例)タバコシバムシの卵に対して、圧力3.0MPa、処理時間50分による処理工程を示す。(非特許文献2)
工程(1):二酸化炭素を常圧から3.0MPaまで昇圧する(0.1MPa/分)。
工程(2):圧力3.0MPaで50分保持する。
工程(3):圧力3.0MPaから常圧まで二酸化炭素を放出する(0.1MPa/分)。
(工程(2)のチャンバー内の温度は成り行きであり、15〜25℃と予想される。)
(1)耐圧チャンバーに殺虫処理の対象物を入れ、(i)−0.1013MPa〜−0.05MPaまで減圧する減圧処理、(ii)次いで、二酸化炭素を0.6MPa以上1.5MPa以下の圧力まで封入し、当該加圧状態を15〜90分間保持する加圧処理、(iii)次いで、二酸化炭素を常圧まで放出する復圧処理を行い、その後、前記の(i)減圧処理、(ii)加圧処理及び(iii)復圧処理を1回以上繰り返すことを特徴とする害虫防除法。
(2)殺虫処理の対象物が害虫に加害された農産物又は食品である前記(1)に記載の害虫防除法。
(4)耐圧チャンバーが0.6〜1.7MPaの耐圧構造を有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の害虫防除法。
(5)加圧処理時の耐圧チャンバー内の温度を26〜50℃にする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の害虫防除法。
(7)耐圧チャンバーが0.6〜1.7MPaの耐圧構造を有する前記(6)に記載の害虫防除装置。
(8)二酸化炭素の圧力を上昇させるための加圧ポンプを有しない前記(6)又は(7)に記載の害虫防除装置。
(9)高圧ガス保安法の適用対象外である前記(6)〜(8)のいずれかに記載の害虫防除装置。
前記工程(3)及び(6)において、熱交換装置により耐圧チャンバー内及び送入する二酸化炭素の温度を制御する。
(装置)
図2に示す害虫防除装置を用いた。
(試験生薬の選択)
試験生薬としてニンジン、トウキ、タクシャ、タイソウ、トウニン及びコウベイを選択した。
生薬類の害虫とその加害については、(i)桑田ら(生薬学雑誌1(2):31−38)、(ii)新穂ら(家屋害虫、19(2):29(1997)、浜防風を餌に用いたタバコシバンムシの生態学的研究について)、(iii)宮ノ下ら(日本応用動物昆虫学会第51回大会、2007)、ノシメマダラメイガのタイソウ及びトウニンの被害予測について)が報告している。前記文献を参考にして、ジンサンシバンムシ及びタバコシバンムシにより加害されることが報告されているタクシャ、トウキ、ニンジンを試験生薬に用いた。また、山本らは、これら生薬に対し、タバコシバンムシが生薬原体の深部まで穿孔することを報告しており(第18回生薬漢方製剤の微生物及び異物汚染対策ならびに品質管理に関するシンポジウム)、これら生薬に対する殺虫が困難となることが予想される。宮ノ下らはノシメマダラメイガの異物混入事例として乾燥イチジク等の果実に対する被害の報告をしている(ペストロジー 2005)。このことから、生薬では果実及び種子の代表であるタイソウ及びトウニンに対する加害が予測されるため試験生薬に用いた。
ニンジンはウコギ科のオタネニンジンの細根を除いた根である。タクシャはオモダカ科のサジオモダカ又はその他近縁植物の茎、葉基及び根を除いた塊茎である。トウキはセリ科のトウキ又はその他近縁植物の根である。コウベイはイネ科のイネの穀粒で籾を去った玄米である。タイソウはクロウメモドキ科のナツメ又はその他の近縁植物の果実である。トウニンはバラ科のモモの種子である。
試験加害虫としてタバコシバンムシ、コクゾウムシ及びノシメマダラメイガを選択した。これらの害虫について、(文化財害虫辞典 独立行政法人文化財研究所)及び(輸入農産物の防虫・くん蒸ハンドブック 中北ら サイエンスフォーラム)には、次のように記載されている。
二酸化炭素で処理していない群と処理群の成虫の頭数で殺虫率を算出した。
殺虫率(%)=[1−(成虫数/未処理群の成虫数)]×100
耐圧チャンバーに内蔵したセンサーからの信号を記録計に出力した実測値(MPa、℃)を示す。
(二酸化炭素処理群、暴露時間30分)
ニンジン50gを入れた容器にタバコシバンムシ(成虫)30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去した。この時のタバコシバンムシ(幼虫)とニンジンの容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し30分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(30分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は28℃であった。この二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、6頭のタバコシバンムシが成虫化した。
ニンジン50gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、更に25日間保持した容器からは52頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は87%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間45分)
実施例1と同様に、タバコシバンムシ(幼虫)とニンジンの容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し45分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(45分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで45分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は45℃であった。この二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、タバコシバンムシの成虫は認められなかった。
ニンジン50gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、更に25日間保持した容器からは52頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの殺虫率はいずれも100%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間30分、減圧処理なし)
実施例1と同様に、タバコシバンムシ(幼虫)とニンジンの容器を耐圧チャンバーに入れ、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し30分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、加圧、保持及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は28℃であった。この二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、26頭のタバコシバンムシが成虫化した。
ニンジン50gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、更に25日間保持した容器からは52頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は51%であった。
(二酸化炭素処理群、圧力1.45MPa、暴露時間30分、繰返し回数1回)
実施例1と同様に、タバコシバンムシ(幼虫)とニンジンの容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を10分間で1.45MPaの圧力まで封入し30分間保持し、更に10分間で常圧まで復圧した。このときに圧力1.45MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は28℃であった。この二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、15頭のタバコシバンムシが成虫化した。
ニンジン50gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、更に25日間保持した。容器からは52頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は70%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間45分、耐圧チャンバー内温度19℃)
タクシャ約48gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去した。この容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し45分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(45分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで45分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は19℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、9頭のタバコシバンムシが成虫化した。
タクシャ約48gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、更に25日間保持した容器からは48頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は81%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間30分、耐圧チャンバー内温度45℃)
タクシャ約45gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫50頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去した。この容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し30分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(30分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は45℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、タバコシバンムシの成虫は認められなかった。
タクシャ約45gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫50頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、25日間保持した容器からは113頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素ガス処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は100%であった。
(二酸化炭素ガス処理群、暴露時間20分、耐圧チャンバー内温度22℃、繰返し回数3回)
タクシャ約45gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫50頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去した。この容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し20分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。前記の減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(20分)及び復圧の操作を3回繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで20分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は22℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、10頭のタバコシバンムシが成虫化した。
タクシャ約45gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫50頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、25日間保持した容器からは115頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素ガス処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は92%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間120分、減圧処理なし、耐圧チャンバー内温度22℃、繰返し回数1回)
実施例3と同様に、タバコシバンムシ(幼虫)とタクシャの容器を耐圧チャンバーに入れ、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し120分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。このときに圧力0.95MPaで120分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は22℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、46頭のタバコシバンムシが成虫化した。
タクシャ約45gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫50頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、更に25日間保持した容器からは113頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は61%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間45分、耐圧チャンバー内温度19℃)
トウキ約34gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去した。この容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し45分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(45分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで45分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は19℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、80頭のタバコシバンムシが成虫化した。
トウキ約34gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、更に25日間保持した容器からは229頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素ガス処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は65%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間30分、耐圧チャンバー内温度44℃)
トウキ約35gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去した。この容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し30分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(30分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は44℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、2頭のタバコシバンムシが成虫化した。
トウキ約35gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、更に25日間保持した容器からは272頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は99%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間20分、耐圧チャンバー内温度22℃、繰返し回数3回)
トウキ約35gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去した。この容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し20分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。前記の減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(20分)及び復圧の操作を3回繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで20分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は22℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、62頭のタバコシバンムシが成虫化した。
トウキ約35gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、更に25日間保持した容器からは272頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は77%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間120分、減圧処理なし、耐圧チャンバー内温度22℃、繰返し回数1回)
トウキ約35gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去した。この容器を耐圧チャンバーに入れ、二酸化炭素ガスを5分間で0.95MPaの圧力まで封入し120分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。このときに圧力0.95MPaで120分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は22℃であった。容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で25日間保持したところ、124頭のタバコシバンムシが成虫化した。
トウキ約35gを入れた容器にタバコシバンムシ成虫30頭を入れ20日間保持して卵を産ませた後に死亡成虫を除去し、25日間保持した容器からは272頭のタバコシバンムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は54%であった。
実施例1〜8及び比較例1〜4の処理条件及び結果を表1に示す。
(二酸化炭素処理、圧力0.5MPa、暴露時間120分、減圧処理なし、耐圧チャンバー内温度17℃、繰返し回数1回)
コクゾウムシ成虫100頭を入れた容器を耐圧チャンバーに入れ、二酸化炭素を常圧から3分間で0.5MPaの圧力まで封入し120分間保持した後に、5分間で常圧まで復圧した。この容器にコウベイ30gを静かに加え6日間放置した。この容器から歩行能力のあるコクゾウムシ97頭を回収した。本実験を5回繰り返したときの平均殺虫率は3%であった。
(二酸化炭素処理、圧力0.5MPa、暴露時間30分、耐圧チャンバー内温度17℃、繰返し回数2回)
コクゾウムシ成虫200頭を入れた容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.5MPaの圧力まで封入し30分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.5MPa)、保持(30分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.5MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は17℃であった。この二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で3時間保持したところ、歩行能力のあるコクゾウムシは190頭であった。本実験の殺虫率は5%であった。
(二酸化炭素処理、圧力0.95MPa、暴露時間60分、減圧処理なし、耐圧チャンバー内温度23℃、繰返し回数1回)
コクゾウムシ成虫100頭を入れた容器を耐圧チャンバーに入れ、二酸化炭素を常圧から5分間で0.95MPaの圧力まで封入し60分間保持した後に、5分間で常圧まで復圧した。この二酸化炭素で処理した容器にコウベイ30gを静かに加え6日間放置した。この容器から歩行能力のあるコクゾウムシ24頭を回収した。本実験の殺虫率は76%であった。
(二酸化炭素処理、暴露時間30分、耐圧チャンバー内温度19℃)
コクゾウムシ成虫200頭を入れた容器を耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し30分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(30分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は19℃であった。この二酸化炭素で処理した容器にコウベイ30gを静かに加え4日間放置した。この容器から歩行能力のあるコクゾウムシ10頭を回収した。本実験の殺虫率は95%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間30分、耐圧チャンバー内温度23℃)
コウベイ約20gを入れた容器にコクゾウムシの成虫(約50頭)を入れ3日間保持して卵を産ませた後に成虫を除去した。この容器を、更に一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で8日間保持した後に、耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し30分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(30分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は23℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で35日間保持したところ、1頭のコクゾウムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群と同様にして作製した未処理群の容器からは、106頭のコクゾウムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を5回繰返したときの平均殺虫率は99%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間60分、耐圧チャンバー内温度17℃)
コウベイ約20gを入れた容器にコクゾウムシの成虫(約50頭)を入れ3日間保持して卵を産ませた後に成虫を除去した。この容器を、更に一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で8日間保持した後に、耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し60分間保持し、更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(60分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで60分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は17℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で35日間保持したところ、コクゾウムシの成虫は認められなかった。
二酸化炭素処理群と同様にして作製した未処理群の容器からは、106頭のコクゾウムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を5回繰返したときの平均殺虫率は100%であった。
コクゾウ(卵)
実施例12
(二酸化炭素処理群、暴露時間30分、耐圧チャンバー内温度22℃)
コウベイ約20gを入れた容器にコクゾウムシの成虫(約50頭)を入れ3日間保持して卵を産ませた後に成虫を除去した。この容器を、耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し30分間保持し更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(30分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は22℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で42日間保持したところ、34頭のコクゾウムシが成虫化した。
実施例12と同様にして作製した未処理群の容器からは、88頭のコクゾウムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を5回繰返したときの平均殺虫率は62%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間30分、耐圧チャンバー内温度43℃)
実施例12と同様にコクゾウムシ(卵)とコウベイの容器を、耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し30分間保持し更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(30分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は43℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で42日間保持したところ、コクゾウムシの成虫は認められなかった。
実施例13と同様にして作製した未処理群の容器からは、117頭のコクゾウムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を5回繰返したときの平均殺虫率は100%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間45分、耐圧チャンバー内温度22℃)
実施例12と同様にコクゾウムシ(卵)とコウベイの容器を、耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し45分間保持し更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(45分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで45分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は22℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で42日間保持したところ、10頭のコクゾウムシが成虫化した。
実施例14と同様にして作製した未処理群の容器からは、88頭のコクゾウムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を5回繰返したときの平均殺虫率は88%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間20分、耐圧チャンバー内温度25℃、3回繰返す)
実施例12と同様にコクゾウムシ(卵)とコウベイの容器を、耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し20分間保持し更に5分間で常圧まで復圧した。減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(20分)及び復圧の操作を3回繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで20分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は25℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で42日間保持したところ、18頭のコクゾウムシが成虫化した。
実施例15と同様にして作製した未処理群の容器からは、71頭のコクゾウムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を5回繰返したときの平均殺虫率は75%であった。
(炭酸ガス処理群、暴露時間90分、耐圧チャンバー内温度24℃)
実施例12同様にコクゾウムシ(卵)とコウベイの容器を、耐圧チャンバーに入れ、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し90分間保持し更に5分間で常圧まで復圧した。このときに圧力0.95MPaで90分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は24℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で42日間保持したところ、27頭のコクゾウムシが成虫化した。
比較例8と同様にして作製した未処理群の容器からは、71頭のコクゾウムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を5回繰返したときの平均殺虫率は62%であった。
(二酸化炭素処理群、圧力1.45MPa、暴露時間30分、耐圧チャンバー内温度22℃)
実施例12と同様にコクゾウムシ(卵)とコウベイの容器を、耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を10分間で1.45MPaの圧力まで封入し30分間保持し更に7分間で常圧まで復圧した。更に減圧(−0.1MPa)、加圧(1.45MPa)、保持(30分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力1.45MPaで30分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は22℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で42日間保持したところ、9頭のコクゾウムシが成虫化した。
実施例16と同様にして作製した未処理群の容器からは、88頭のコクゾウムシが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を5回繰返したときの平均殺虫率は、90%であった。
ノシメマダラメイガ(幼虫)
実施例17
(二酸化炭素処理群、暴露時間45分、耐圧チャンバー内温度34℃)
タイソウ約60gを入れた容器に大量のノシメマダラメイガ(幼虫と卵の混在)を入れ14日間一定条件で保持した。この容器を、耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し45分間保持し更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(45分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで45分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は34℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で45日間保持したところ、ノシメマダラメイガの成虫は認められなかった。
実施例17と同様にして作製した未処理群の容器からは、24頭のノシメマダラメイガが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は、100%であった。
(二酸化炭素処理群、暴露時間45分、耐圧チャンバー内温度34℃)
トウニン約50gを入れた容器に大量のノシメマダラメイガ(幼虫と卵の混在)を入れ14日間一定条件で保持した。この容器を、耐圧チャンバーに入れ、−0.1MPaまで減圧した後、二酸化炭素を5分間で0.95MPaの圧力まで封入し45分間保持し更に5分間で常圧まで復圧した。再度、減圧(−0.1MPa)、加圧(0.95MPa)、保持(45分)及び復圧の操作を繰り返し常圧にて容器を取り出した。このときに圧力0.95MPaで45分間保持したときの耐圧チャンバー内の最終温度は34℃であった。更に二酸化炭素で処理した容器を一定条件(30℃、湿度70%、16L8D)で45日間保持したところ、ノシメマダラメイガの成虫は認められなかった。
実施例18と同様にして作製した未処理群の容器からは、23頭のノシメマダラメイガが成虫化した。
二酸化炭素処理群の実験を3回繰返したときの平均殺虫率は、100%であった。
(試験目的)
二酸化炭素による殺虫において1MPa未満の圧力で本発明による殺虫効果を栗で確認する。
以下の2種類の栗の臭化メチルくん蒸処理をしていないものを用いた。
(1)宮崎県産 品種「筑波」
(2)茨城県産 品種「おくで」他の混合
それぞれ対照群を設定した。
図2に示す害虫防除装置を用いた。
(1)処理時の温度の影響
30℃(サンプルを30℃に予熱する)及び20℃
(2)処理サイクル数の検討
処理回数(サイクル)1回及び2回
処理後栗は25℃で保持し、栗より脱出した幼虫頭数の総数を対照群と処理群で比較し、効果を評価した。
殺虫率=[1−(処理群の幼虫出現数合算)÷(対照群の幼虫出現数合算)]×100
検討する条件を表4に示すように設定した。1群1回の処理量は8kgとした。宮崎県産「筑波」については3回、茨城県産「おくで」他の混合については2回、同様の実験を繰り返し、幼虫出現数を合算した。
(1)予熱処理群:サンプルは保冷状態より出し1日以上室温においた後栗内部中心部の温度がおよそ30℃になるまでインキュベータに入れ予熱処理した(殺虫処理前4時間。温度測定器のプローブを差し込み測定)。
(2)その他処理群:サンプルは保冷状態より出し、1日以上室温においた。
下記の(1)〜(4)のサイクルを2回繰り返した。但し、比較例9においては下記の(1)〜(4)のサイクルを1回だけ実施した。
(1)真空ポンプで約10〜4mmHg(−0.1MPa)に減圧した。
(2)二酸化炭素ガスを0.98MPaまで送入した。
(3)30分間保持した。
(4)約5分間で常圧まで復圧した(0.2MPa/分)。
茨城産群は36日間、宮崎産群は35日後まで観察した。栗の産地により寄生率の違いはあるが、クリシギゾウムシに対して明らかに本発明の二酸化炭素処理の有効性が認められた。結果を表4に示す。
a 圧力測定装置
a2 調節バルブ
b 圧力測定装置
b2 調節バルブ
Claims (9)
- 耐圧チャンバーに殺虫処理の対象物を入れ、(i)−0.1013MPa〜−0.05MPaまで減圧する減圧処理、(ii)次いで、二酸化炭素を0.6MPa以上1.5MPa以下の圧力まで封入し、当該加圧状態を15〜90分間保持する加圧処理、(iii)次いで、二酸化炭素を常圧まで放出する復圧処理を行い、その後、前記の(i)減圧処理、(ii)加圧処理及び(iii)復圧処理を1回以上繰り返すことを特徴とする害虫防除法。
- 殺虫処理の対象物が害虫に加害された農産物又は食品である請求項1記載の害虫防除法。
- 加圧処理を、二酸化炭素を0.6MPa以上1MPa未満の圧力まで封入し、当該加圧状態を15〜90分間保持することにより行う請求項1又は2記載の害虫防除法。
- 耐圧チャンバーが0.6〜1.7MPaの耐圧構造を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の害虫防除法。
- 加圧処理時の耐圧チャンバー内の温度を26〜50℃にする請求項1〜4のいずれか1項に記載の害虫防除法。
- 対象物中に生息する害虫を減圧処理、加圧処理及び復圧処理、並びに加圧処理中の温度制御により殺虫する装置であって、対象物を収納する耐圧チャンバーと、当該耐圧チャンバー内を負圧にする減圧手段と、当該耐圧チャンバー内に二酸化炭素を充填して加圧するガス供給手段と、設定圧力から負圧までの減圧手段と、当該耐圧チャンバー内の温度を制御する温度制御手段とを備えることを特徴とする害虫防除装置。
- 耐圧チャンバーが0.6〜1.7MPaの耐圧構造を有する請求項6記載の害虫防除装置。
- 二酸化炭素の圧力を上昇させるための加圧ポンプを有しない請求項6又は7記載の害虫防除装置。
- 高圧ガス保安法の適用対象外である請求項6〜8のいずれか1項に記載の害虫防除装置。
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