JP2008266133A - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】化学蒸着法により製造するカーボンナノチューブにおいて、アモルファス含量の少ないカーボンナノチューブを製造する方法および装置を提供することを課題とする。
【解決手段】固体触媒と炭素含有ガスをカーボンナノチューブ形成反応条件下で接触させてカーボンナノチューブを製造した後、酸素と不活性ガスとの混合ガスと間欠的接触させ、副生したアモルファスカーボンを酸化処理することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブの製造方法に関する。更に詳しくは触媒を利用した化学蒸着法により製造するカーボンナノチューブにおいて、アモルファスカーボン含量の少ないカーボンナノチューブを製造する方法に関するものである。
カーボンナノチューブが最初に広く報告されたのは1991年である(非特許文献1)。カーボンナノチューブは実質的にグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ(SWNT)、2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブ(DWNT)、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブ(MWNT)という。カーボンナノチューブは、高い機械的強度、高い導電性を有することから、燃料電池やリチウム2次電池用負極材、樹脂や有機半導体との複合材料からなる高強度樹脂、導電性樹脂、電磁波シールド材の材料として期待されており、さらに、L/D(長さ/直径の比)が大きく、直径は数nmであることから、走査型トンネル顕微鏡用プローブ、電界電子放出源、ナノピンセットの材料として、また、ナノサイズの空間を有することから、吸着材料、医療用ナノカプセル、MRI造影剤の材料として期待されている。いずれの用途の場合にも、カーボンナノチューブは分散して使用される。カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られている。なかでも、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価に製造する方法として、触媒を担体に担持して行う触媒化学気相成長法が知られている(触媒CVD法)。しかし、触媒CVD法で合成したカーボンナノチューブには、アモルファスカーボンを多く含まれ、そのままでは容易に分散させることができない。これらを除去するため、酸素と接触させてアモルファスカーボンを除去する方法が記載されている。(特許文献1、特許文献2、特許文献3)
特開2006−335604号公報 特開2004−277279号公報 特開2005−060170号公報 "ニューサイエンティスト(New Scientist)", 1996年7月6日, p.28-31, 「ナノチューブによって(Through the Nanotube)」, Philip Ball
上記特許文献1では、気相から固体状の析出物を製造した後、当該析出物に対し、酸化および酸を用いた溶解処理を施すことでカーボンナノチューブ以外の析出物および触媒を除去しており、本操作を繰り返すことでカーボンナノチューブの純度を上げている。本法は工業的に精製工程が長くなり、操作が煩雑になる問題がある。
特許文献2では担体分離後、空気雰囲気下で酸化するが、空気中でのカーボンナノチューブの燃焼温度が400〜600℃であること、更に、周囲に酸素が充分あることから、400℃以上の環境では選択的にアモルファスカーボンを酸化させることは困難であり、カーボンナノチューブも酸化されてしまう。
特許文献3も同様であるが、酸素濃度低減により酸化速度を遅く調整することで、制御性が改善されるものの、工業的に実施されるには工程が煩雑であるという問題が残る。
以上の様に、アモルファスカーボンを除去する手段として酸素を酸化剤として使用することは知られているが、未だ、工業化に耐えうるような、容易かつ効率的な精製法は提案されていない。
本発明者は上記のような事情に鑑み、アモルファスカーボン含有量を引き下げるに必要な技術を検討し本発明に至った。すなわち、本発明はアモルファスカーボンの含有率の低いカーボンナノチューブを大量生産し得る方法および装置を提供することを課題とする。
本発明者は課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、カーボンナノチューブを合成した後、酸素を間欠的に添加することで、容易にアモルファスカーボンを削減できることを見いだし本発明に至った。
すなわち本発明は、固体触媒と炭素含有ガスをカーボンナノチューブ形成反応条件下で接触させてカーボンナノチューブを製造した後、酸素と不活性ガスの混合ガスと間欠的接触させ、副生したアモルファスカーボンを酸化処理することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法である。
本発明によれば、アモルファスカーボンを除去するため別途装置を導入することなく、カーボンナノチューブ合成器を利用することで容易にアモルファスカーボン含有量の少ないカーボンナノチューブを製造することができる。更に、カーボンナノチューブ合成温度で酸化処理するため、本操作のためのカーボンナノチューブ合成器の降温、昇温操作を必要とせず、処理後、引き続き次バッチのカーボンナノチューブの合成運転を行うことができる。また、バッチ毎に酸化操作が行われるため、カーボンナノチューブ合成器内のアモルファスを主体とするスケーリングが除去され、装置詰まり、閉塞が抑制でき、長期の安定運転が可能になる。
以下本発明について詳述する。カーボンナノチューブはグラファイトの一枚面を巻いて筒状にした形状を有し、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブと定義され、本発明により得られるカーボンナノチューブは、通常外直径が100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは50nm以下である。
本発明で用いる固体触媒は、粉末状の担体の表面にカーボンナノチューブの触媒である金属粒子を担持したものであればどのようなものでも良く、担体としてはシリカ、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、珪酸塩、珪藻土、アルミノシリケート、ゼオライト、活性炭、グラファイトなどが挙げられる。なかでもマグネシア、酸化チタンなど、流動床を形成し得る担体を用いることが好ましい。カーボンナノチューブを合成した後、酸により溶解除去できるマグネシアが好ましい。マグネシアは、市販品を使用しても良いし、合成したものを使用しても良い。また、ゼオライトなど担体の種類によっては流動床を形成しにくい担体もあるが、マグネシア等を流動化剤として共存させることにより流動床を形成させることが可能となる。
担持するカーボンナノチューブの触媒である金属粒子における金属の種類としては、通常カーボンナノチューブの合成に使用されるものを用いることができ、特に限定されないが、3〜12族の金属、特に好ましくは、5〜11族の金属が用いられる。中でも、V,Mo,Fe,Co,Ni,Pd,Pt,Rh、W、Cu等が特に好ましく、さらに好ましくは、Feが用いられる。
上記金属は、0価の状態とは限らない。反応中は0価の金属状態になっていると推定できるが、金属は広くその金属を含む化合物(以下、触媒成分と記載)、例えば、ギ酸金属塩、酢酸金属塩、トリフルオロ酢酸金属塩、クエン酸アンモニウム金属塩、硝酸金属塩、硫酸金属塩、金属ハロゲン化物などの有機酸塩または無機塩、エチレンジアミン4酢酸錯体やアセチルアセトナート錯体のような錯塩などが用いられる。
更に鉄の場合は広く鉄を含む化合物(以下、触媒成分と記載)、例えば、ギ酸鉄、酢酸鉄、トリフルオロ酢酸鉄、クエン酸アンモニウム鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、ハロゲン化鉄などの有機酸塩または無機塩、エチレンジアミン4酢酸錯体やアセチルアセトナート錯体のような錯塩などが用いられる。
マグネシアなどの担体に鉄などの金属を担持させる方法は、特に限定されない。担持したい金属化合物(触媒成分)を溶解させた非水溶液(例えばエタノール溶液)中または水溶液中に、担体を含浸し、攪拌や超音波照射などにより充分に分散混合した後、乾燥させる(含浸法)方法などが採用される。
金属担持量は多いほどカーボンナノチューブの収量が上がるが、多すぎると金属の粒子径が大きくなり、生成するカーボンナノチューブが太くなる。担持量が少ないと、担持される鉄などの金属の粒子径が小さくなり、外径の細いカーボンナノチューブが得られるが、収率が低くなる傾向がある。最適な金属担持量は、担体の細孔容量や外表面積、担持方法によって異なるが、担体に対して0.1〜20重量%の鉄を担持することが好ましい。
この様に合成した固体触媒は、粉末状(以下、粉末状触媒と記載する場合もある)である。
次に、本発明で用いるカーボンナノチューブの製造装置について図面を用いて説明する。図1に本発明で用い得るカーボンナノチューブの製造装置の一例を示す概略図であるが、装置形状などこれに限定されるものではない。
反応器100は、装置中央部に粉末状触媒の保持とガス分散のための石英焼結板101を備え、密閉型触媒供給機102を介して触媒成分を担持した固体触媒を任意量計量し、不活性ガスに同伴させて反応器100に供給できる粉末状触媒供給ライン103、装置底部には不活性ガス並びに所定濃度の炭素含有ガスが供給される原料ガス供給ライン104を備える。その他、原料ガス供給ライン104には、合成後、酸素が添加できるよう酸素添加ライン105、合成済み粉末状触媒の回収ライン106、廃ガス排出ライン107、反応器を所定の温度に加熱、保持できるヒーター108、固体触媒の床中の温度を測定するための熱電対109を具備する。
次に、反応方法について説明する。予めヒーター108により反応温度まで加熱保持され、不活性ガスに置換された反応器に、粉末状触媒供給ライン103より所定量の粉末状触媒を供給する。その後、カーボンナノチューブ合成条件のガス流量で不活性ガスの供給を始め、反応器内で粉末状触媒の流動床を形成させると共に粉末状触媒の焼成を行う。本操作により触媒成分が分解し、担体上にカーボンナノチューブの触媒となる金属微粒子が形成される。流動床の温度は熱電対109で把握し、反応温度になるようにヒーター108の温度が調整される。粉末状触媒の供給量は流動床の流動状態から適量が選定される。供給量が多いと、流動状態が悪化し、ガスの偏流、混合不足により良好な流動床が形成されなくなる。不活性ガスの供給は、まず最小流動化速度以上に上げ、器内で粉末状触媒の流動化並びに焼成を行う。焼成後、原料ガス供給ライン104を開け、任意濃度に設定した炭素含有ガスの供給を始め、カーボンナノチューブの合成を開始する。上記は反応を固体触媒で流動床を形成させる方法の一例であるが、流動床とはせず、固定床とすることも可能である。その際の反応ガス供給量は最小流動化速度以下で行う。なお、本発明においては、反応は固体触媒で流動床を形成させて用いることが好ましいが、その態様としては沸騰床であることが好ましい。
本発明において、原料ガスとして使用する炭素含有化合物は、特に限定されないが、好ましくは炭化水素または酸素含有炭素化合物を使うとよい。炭化水素は芳香族であっても、非芳香族であってもよい。芳香族の炭化水素では、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンまたはこれらの混合物などを使用することができる。また、非芳香族の炭化水素では、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、またはこれらの混合物等を使用することができる。酸素含有炭素化合物としては、例えばメタノール若しくはエタノール、プロパノール、ブタノールのごときアルコール類、アセトンのごときケトン類、およびホルムアルデヒドもしくはアセトアルデヒドのごときアルデヒド類、トリオキサン、ジオキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルのごときエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、一酸化炭素またはこれらの混合物であってもよい。これらの中でも、特にメタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパンおよびプロピレンが最も好ましい炭素含有化合物である。これらは常温、常圧中で気体であるため、ガスとして供給量を規定して反応に供しやすい。他の炭素含有化合物は常圧で反応を行う場合、気化などの工程を追加する必要がある。
原料となる炭素含有化合物は、窒素、アルゴン、水素、ヘリウムなどの不活性ガスと混合して用いることができ、好ましくは窒素、アルゴンである。このように炭素含有化合物と不活性ガスの併用は、炭素化合物の濃度をコントロールしたり、キャリアガスとして機能させたり、あるいは固体触媒の流動状態を制御したりできることから好ましい。
これらのガスが粉末状触媒に供給される際のガス組成として、工業的には炭素含有ガスのガス濃度は高い程好ましいが、炭素源の種類によって適正値がある。つまり、反応性の高いアセチレンガスを使用する時など、数十容量%の濃度で用いると、熱分解によるロスおよび、カーボンナノチューブの合成品に多くのアモルファスカーボンを含むことから、0.5〜10容量%の間で使用される。
本法では粉末状触媒と原料となる炭素含有化合物を、カーボンナノチューブ形成条件下で接触させる。カーボンナノチューブ形成条件としては、600℃から1000℃が好ましく、さらに好ましくは550℃から950℃であり、より好ましくは700℃から950℃である。
反応時間は、反応器の大きさ、固体触媒充填量、原料ガスの種類、濃度、供給速度などにより異なり、一概に決められないが、通常0.1分〜10時間程度、工業的に用いる大型反応器の場合では、1時間〜5時間程度である。
上記カーボンナノチューブの合成において、通常アモルファスカーボンが副生するので、本発明においてはカーボンナノチューブを合成後、このアモルファスカーボンを酸化処理する。この酸化処理はカーボンナノチューブを合成した装置中で引き続き行うことが作業効率上好ましい。
上記アモルファスカーボンの酸化処理の方法について説明する。上述の通りカーボンナノチューブを合成した後、不活性ガス流量を保持したまま、反応器に吹き込まれるガスの酸素濃度が0.1容量%〜10容量%、好ましくは0.1容量%〜5容量%になるように添加するのが好ましい。酸化処理温度としては、600℃から1000℃が好ましく、さらに好ましくは550℃から950℃であり、より好ましくは700℃から950℃である。すなわち、カーボンナノチューブの合成温度を維持することで新たに、温度操作を要せず容易に実施することができ、効率的に酸化処理が行えるため、好ましい。
ここで「カーボンナノチューブの合成温度に維持」するとは、カーボンナノチューブの合成温度と同じ温度に維持することを意味するが、厳密に同じ温度である必要はなく、カーボンナノチューブの合成温度±50℃程度の変動は許容される。操作が簡易である点からは、合成時に用いた温度(例えばヒーターの設定温度)をそのまま維持して行うことが、最も好ましい。
上記のとおり不活性ガス流量も保持したままとは、カーボンナノチューブ合成時の流量を維持することを意味するが、これも設定を変える必要はない点で効率的であるという意味であり、所望により不活性ガスの供給状態および流量を適宜変更することは差し支えない。
酸素の供給方法としては、酸素ガス、あるいは空気の態様で、不活性ガスに含ませることができ、供給する上記ガス中の酸素濃度が前記範囲となるよう添加する。カーボンナノチューブの合成の際、上記のとおり好ましくは炭素含有化合物のガスと共に不活性ガスを併用して流しており、この際に不活性ガスの流量を保持したまま、酸素を上記濃度となるように供給する方法が好ましい。酸素濃度を低くし、かつ酸素添加を間欠的に行うことで、カーボンナノチューブの合成温度下においても、アモルファスカーボンを選択的に酸化させることができる。すなわち、カーボンナノチューブの合成温度に維持した状態でも、酸素濃度を低くすることでアモルファスと、カーボンナノチューブの酸化速度に差が生じ、かつ、カーボンナノチューブの一部が酸化し始めても、間欠的な酸素供給で無酸素状態が形成されることで酸化を停止させることができる。すなわち、酸素(工業的な制御のしやすさを考慮すると低濃度の酸素であることが好ましい。)を供給すると、アモルファスカーボンを中心に燃焼が生じる。酸素の供給を止めると酸欠状態となり、燃焼が止まる。酸素の供給を再開すると、再びアモルファスカーボンを中心に燃焼が始まる。また、カーボンナノチューブの先端には触媒の金属微粒子があり、この部分はカーボンナノチューブが本来有する燃焼性よりも燃焼し易い状況にあるが、金属触媒を基点に燃焼しても、間欠的に無酸素状態となるため、カーボンナノチューブそれ自体の酸化を止めることができる。
次に、間欠的な酸素供給の間隔は合成済みの固体触媒の温度(固体触媒が流動床を形成している場合は流動床の温度)で調整する。具体的には、酸素間隔が短い又は、酸素濃度が高いほど、酸化が進行し固体触媒の温度が上昇するので、固体触媒の床の温度上昇幅、流動床である場合は流動床の温度上昇幅、すなわち床内温度上昇幅(系内温度上昇幅)を指標として調整することができる。酸素と不活性ガスとの混合ガスを添加すると、酸化により温度が上昇するが、その系内温度上昇幅を50℃以内とし、系内温度上昇幅が50℃を越える前に酸素の供給を停止し、酸化を止める。酸素の供給を止めると固体触媒の温度(床内温度)が下がるが、この温度が添加前の温度、すなわち、添加する前の温度の±5℃以内となったら、酸素の供給を再開することが好ましい。温度上昇幅は通常50℃を越える前に供給を止める方法が工業的には有利であるが、カーボンナノチューブ消失を抑制する点から、酸素吹き込み毎の酸化量を少なく管理することが好ましく、その場合は上昇幅を20℃以内とすることが更に好ましい。つまり、酸化速度は温度と酸素濃度によって制御されるが、一定酸素濃度の条件下で、極端に温度を上昇させるとアモルファスとカーボンナノチューブの酸化速度が加速し、選択性が低下する。
また、添加する酸素の総量は、通常合成した炭素モル数の3〜100モル%、好ましくは5〜80モル%の量とする。これにより必要以上のカーボンナノチューブの燃焼ロスを防止することができる。炭素モル数は以下の式で求める。
炭素モル数(mol)=合成済み触媒量(g)×TGA値(重量%)÷100÷12
(12:炭素分子量)
TGA値は、酸素を添加せず合成した合成済みの粉末状触媒を示差熱分析装置(TGA)で熱分析測定し、炭素重量を求めることができる。具体的には、約10mgの試料を示差熱分析装置(島津製作所製 TGA-60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの減量をTGA値とする。
その後、抜き出し手段により合成器から合成済みの粉末状触媒を抜き出し、例えば触媒として鉄/マグネシアを用いる場合、塩酸等の酸によりマグネシアを溶解除去することで製品を得る。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、下記の実施例は例示のために示すものであって、いかなる意味においても、本発明を限定的に解釈するものとして使用してはならない。
[参考例1:担体への金属塩の担持]
クエン酸アンモニウム鉄(和光純薬工業社製)25gをメタノール(関東化学社製)1000mLに溶解した。この溶液に、軽質マグネシア(和光純薬工業社製、かさ密度0.16g/mL)を250g加え、超音波洗浄機で60分間処理した。2000mLナスフラスコに移液し、エバポレータで40℃から60℃で攪拌しながら脱溶媒した。その後、乳鉢で粉砕し、120℃の通風式乾燥機で2時間乾燥し、粉末状の固体触媒(粉末状触媒)約270gを製造した。
[実施例1]
[カーボンナノチューブの合成]
図2に示した流動床反応器でカーボンナノチューブを合成した。
反応器100は内径75mm、長さは120mmの円筒形石英管である。中央部に石英焼結板101を具備し、石英管下方部には、不活性ガスおよび原料ガス供給ライン104、上部には廃ガス排出ライン107および、粉末状触媒供給ライン103を具備する。さらに、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲むヒーター108と、、流動床形成部に熱電対109を具備する。ヒーター108には装置内の流動状態が確認できるよう流動化点検口110が設けられている。
先に製造した粉末状触媒100gを密閉型触媒供給機102から粉末状触媒供給ライン103を通して、石英焼結板101上にセットした。次いで、原料ガス供給ライン104から窒素ガスを1000mL/分で供給開始した。反応器内を窒素ガス雰囲気下とした後、床内温度を850℃に加熱した(昇温時間30分)。
850℃に到達した後、温度保持し、原料ガス供給ライン104の窒素流量を12L/分に上げ、石英焼結板上の粉末状触媒の流動化を開始させた。流動化点検口110から流動化して沸騰床となっていることを確認した後、さらにエチレンを0.12L/分(エチレン濃度1vol%)で反応器に供給開始した。該混合ガスを60分供給した後、窒素のみの流通に切り替え合成を終了させた。
その後、合成温度および窒素流量を維持したまま、酸素添加ライン105から酸素濃度1vol%になるよう酸素を添加した。窒素と酸素の混合ガスは、流動床の温度(床内温度)が860℃になった時点で酸素の添加を止め、850℃になって時点で再開する工程を繰り返し、後述する酸素量を添加し終わったところで酸素の添加を終了した。実施例1の場合、比較例1に示した通り、粉末状触媒に炭素析出物が5%製造できることから、酸素は析出する炭素量の40%が燃焼するに必要量を与えた。
その後、加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から粉末状触媒とカーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
[カーボンナノチューブの精製]
得られた粉末状触媒とカーボンナノチューブ合成物の混合物を6Nの塩酸水溶液に添加し、80℃のウォーターバス内で2時間攪拌した。濾過して得られた回収物を、さらに6Nの塩酸水溶液に添加し、80℃のウォーターバス内で1時間攪拌した。これを濾過し、数回水洗した後、濾過物を120℃のオーブンで一晩乾燥することでマグネシアおよび金属を除去でき、精製カーボンナノチューブを製造した。
[カーボンナノチューブ精製品の観察]
(カーボンナノチューブ含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)分析)
上記のようにして得たカーボンナノチューブ含有組成物をSEMで観察したところ、図3に示すように、繊維状のカーボンナノチューブが観察できた。
[比較例1]
実施例の反応器を用い、同様条件でカーボンナノチューブを合成した。合成後、酸素の添加を行わず、その後、加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から粉末状触媒とカーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。これを熱重量測定装置(TGA)により熱分析測定したところ、炭素重量は5%であった。
実施例1と同様操作によりカーボンナノチューブの精製処理を加え、SEM観察したところ、図4に示す様にアモルファスに覆われた純度の低いカーボンナノチューブが得られた。
[実施例2]
実施例1記載の方法でカーボンナノチューブの合成と酸化処理を、合成温度850℃を維持したまま、5バッチ連続して実施した。ガス供給ラインの圧力は殆ど変わらなかった。
その後、比較例2と同様、加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器を解体し、石英焼結板101を確認したところ、運転初期と同様白色であり、炭化物の堆積は認められなかった。
[比較例2]
実施例1記載の方法でカーボンナノチューブを合成し、酸化処理を行わず、合成温度850℃を維持したまま、5バッチ連続して実施した。ガス供給ラインの圧力は300mm水中上昇した。その後、加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器を解体調査したところ、石英焼結板101が炭化物により目詰まりしていた。
[実施例3]
[カーボンナノチューブの合成]
実施例1の流動床反応器でカーボンナノチューブを合成した。参考例1の方法で製造した粉末状触媒100gを密閉型触媒供給機102から粉末状触媒供給ライン103を通して、石英焼結板101上にセットした。次いで、原料ガス供給ライン104から窒素ガスを1000mL/分で供給開始した。反応器内を窒素ガス雰囲気下とした後、床内温度を850℃に加熱した(昇温時間30分)。
850℃に到達した後、原料ガス供給ライン104の窒素流量を11.46L/分に上げ、石英焼結板上の粉末状触媒の流動化を開始させた。流動化点検口110から流動化して沸騰床となっていることを確認した後、さらにメタンを0.54L/分(メタン濃度4.5vol%)で反応器に供給開始した。該混合ガスを60分供給した後、窒素のみの流通に切り替え合成を終了させた。
その後、合成温度および窒素流量を維持したまま、酸素添加ライン105から酸素濃度1vol%になるよう酸素を添加した。窒素と酸素の混合ガスは、流動床の温度(床内温度)が870℃になった時点で酸素の添加を止め、855℃になった時点で再開する工程を繰り返し、後述する酸素量を添加し終わったところで酸素の添加を終了した。実施例3の場合、比較例3に示した通り、粉末状触媒に炭素析出物が約2%製造できることから、酸素は析出する炭素量の80%が燃焼するに必要量を与えた。
その後、加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から粉末状触媒とカーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。
[カーボンナノチューブの精製]
得られた粉末状触媒とカーボンナノチューブ合成物の混合物を実施例1と同様操作で処理し、精製カーボンナノチューブを製造した。
[カーボンナノチューブ精製品の観察]
(カーボンナノチューブ含有組成物の走査型電子顕微鏡(SEM)分析)
上記のようにして得たカーボンナノチューブ含有組成物をSEMで観察したところ、図5に示すように、繊維状のカーボンナノチューブが観察できた。
(カーボンナノチューブ含有組成物の示差熱(TGA)分析)
上記のカーボンナノチューブ含有組成物を示差熱分析装置(島津製作所製 TGA-60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの発熱チャートを図7に示す。比較例3で示す600℃近傍の発熱ピークは消失し、650℃近傍に発熱ピークを持つ組成物になっていることが確認される。
[比較例3]
実施例3の反応器を用い、同様条件でカーボンナノチューブを合成した。合成後、酸素の添加を行わず、その後、加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から粉末状触媒とカーボンナノチューブを含有する組成物を取り出した。これを熱重量測定装置(TGA)により熱分析測定したところ、炭素重量は1.8%であった。
実施例3と同様操作によりカーボンナノチューブの精製処理を加え、SEM観察したところ、図6に示す様にアモルファスに覆われた純度の低いカーボンナノチューブが得られた。
(カーボンナノチューブ含有組成物の示差熱分析(TGA)分析)
上記のカーボンナノチューブ含有組成物を示差熱分析装置(島津製作所製 TGA-60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときの発熱チャートを図9に示す。600℃近傍と、650℃近傍の2カ所に発熱ピークが観察される。すなわち、低温(600℃)で消失する組成物と高温(650℃)で消失する組成物で構成されていることが推察される。
本発明によれば、触媒CVD法により合成したカーボンナノチューブについて、アモルファスカーボンを除去するため別途装置を導入することなく、カーボンナノチューブ合成器を利用し容易にアモルファスカーボンの含有量の少ないカーボンナノチューブを製造することができる。また、バッチ毎に焼成操作が行われるため、合成装置内のアモルファスを主体とするスケーリングが除去され、装置詰まり、閉塞が抑制でき、長期の安定運転が可能になる。
本発明で用い得るカーボンナノチューブ合成装置の一例を示す概略図である。 実施例で用いた触媒の焼成装置の概略を示す図である。 実施例1で製造したカーボンナノチューブのSEM観察を示す図である。 比較例1で製造したカーボンナノチューブのSEM観察を示す図である。 実施例3で製造したカーボンナノチューブのSEM観察を示す図である。 比較例3で製造したカーボンナノチューブのSEM観察を示す図である。 実施例3で製造したカーボンナノチューブの示差熱分析結果を示す図である。 実施例3で製造したカーボンナノチューブの示差熱分析結果を示す図である。
符号の説明
100 反応器
101 石英焼結板
102 密閉型触媒供給機
103 粉末状触媒供給ライン
104 原料ガス供給ライン
105 酸素添加ライン
106 合成済み粉末状触媒の回収ライン
107 廃ガス排出ライン
108 ヒーター
109 熱電対
110 流動化点検口

Claims (10)

  1. 固体触媒と炭素含有ガスをカーボンナノチューブ形成反応条件下で接触させてカーボンナノチューブを製造した後、酸素と不活性ガスの混合ガスと間欠的に接触させ、副生したアモルファスカーボンを酸化処理することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  2. カーボンナノチューブの合成温度が600〜1000℃であり、前記、酸化処理の温度が600〜1000℃である請求項1記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 酸化処理がカーボンナノチューブの合成温度±50℃に維持することである請求項1または2記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  4. 酸素と不活性ガスとの混合ガス酸素濃度が、0.1容量%から10容量%である請求項1〜3のいずれか記載のカーボンナノチューブの製造方法
  5. 上記供給する酸素の総量が、合成した炭素析出物のモル数に対し、5から80モル%である請求項1〜4のいずれか記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  6. 不活性ガスが窒素又はアルゴンである請求項1〜5のいずれか記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  7. 酸化処理を、カーボンナノチューブを合成後、その合成した装置内で実施する請求項1〜6のいずれか記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  8. 前記酸素と不活性ガスの混合ガスを間欠的に供給する方法が、酸素と不活性ガスの混合ガスの添加による系内温度上昇幅を指標とし、酸化による系内温度上昇幅が50℃以内とし、酸素供給の停止後、添加する前の温度±5℃以内となったら供給を再開することである請求項1〜7のいずれか記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  9. 前記カーボンナノチューブの合成方法がバッチ式であり、合成する装置が固体触媒で形成される流動床を含む装置である請求項1〜8のいずれか記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  10. 前記カーボンナノチューブを合成する装置における流動床が沸騰床である請求項9記載のカーボンナノチューブの製造方法。
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