JP2008260692A - 医薬組成物 - Google Patents

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孝司 稲垣
Junichi Kondo
純一 近藤
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絵里子 土開
Yoshiko Abe
佳子 阿部
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Abstract

【課題】薬剤の溶解度が高く、優れた生体利用性、創傷治癒促進作用、アレルギー性及び非アレルギー性炎症抑制作用、免疫抑制作用、抗菌作用、抗腫瘍作用、サイトカイン誘導作用等を有する医薬組成物を提供する。
【解決手段】水に対する溶解度が極めて低い特定の構造を有する環状ペプチド及び/又は前記ペプチドの薬理学的に許容される塩若しくはエステルと、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及び、これらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のシクロデキストリン類とを含有する医薬組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、薬剤の溶解度が高く、優れた生体利用性、創傷治癒促進作用、アレルギー性及び非アレルギー性炎症抑制作用、免疫抑制作用、抗菌作用、抗腫瘍作用、サイトカイン誘導作用等を有する医薬組成物に関する。
アレルギー性及び非アレルギー性炎症抑制作用、免疫抑制作用、抗菌作用、抗腫瘍作用等を示し、炎症抑制剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗腫瘍剤等の用途に有用な物質として、特許文献1には、新規なペプチドが開示されており、特許文献2には、このようなペプチドを外科的切開、胃潰瘍、火傷、裂傷等の創傷を治癒するための創傷治癒剤に用いることにより、有用性の高い創傷治癒効果を発揮することが記載されている。また、非特許文献1には、該ペプチドがサイトカインの一種である形質転換増殖因子(TGF−β)の産生を誘導することが開示されている。
しかしながら、このようなペプチドは、水に対する溶解度が極めて低く、難溶性であることから、薬剤の生体利用性が小さく、該ペプチドの有する作用や治療効果が充分に発揮されないという問題があった。
特開平8−119993号公報 特開平9−040576号公報 阿部佳子ら、Eur J Pharmacol. 2000 17;408(2):213−8.
本発明は、薬剤の溶解度が高く、優れた生体利用性、創傷治癒促進作用、アレルギー性及び非アレルギー性炎症抑制作用、免疫抑制作用、抗菌作用、抗腫瘍作用、サイトカイン誘導作用等を有する医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(1)で表されるペプチド及び/又は上記ペプチドの薬理学的に許容される塩若しくはエステルと、シクロデキストリン類とを含有する医薬組成物である。
Figure 2008260692
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記式(1)で表されるペプチド及び/又は上記ペプチドの薬理学的に許容される塩若しくはエステルをシクロデキストリン類と共に用いることによって、上記式(1)で表されるペプチド及び/又は上記ペプチドの薬理学的に許容される塩若しくはエステルの溶解度を大幅に向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記(1)で表されるペプチドは、ストレプトマイセス属に属する該ペプチド生産菌株、例えば、放線菌ストレプトマイセス・ノビリス(Streptomyces nobilis、以下「S.ノビリス」という)を培養し、得られた培養液又は同液の乾固物若しくは培養菌体から有機溶剤によって抽出された抽出物を、各種クロマトグラフィーに付し、目的物を含むカラムクロマトグラフィー画分を再結晶処理することにより得られる。
上記ペプチドを得るための放線菌S.ノビリスは、公的保存機関から入手可能であり、例えば、理化学研究所の保存菌(JCM4274)(これは米国においてATCC19252、及び、オランダにおいてCBS198.65としても保存)等の菌が使用できる。
上記ペプチドを得るための具体的方法としては、例えば、本発明者らが先に出願したWO96/12732号公報に記載の方法が挙げられる。
本発明の医薬組成物では、上記ペプチドと上記ペプチドの薬理学的に許容される塩若しくはエステルとを同時に用いる場合や、上記ペプチドに代えて、上記ペプチドの薬理学的に許容される塩若しくはエステルを用いた場合でも、同様の効果を発揮することができる。
上記ペプチドの薬理学的に許容される塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩;トリエチルアミン塩やピリジン塩等の有機アミン塩のような有機塩基との塩;塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸付加塩;酢酸塩、マレイン酸塩等の有機カルボン酸付加塩;ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸付加塩;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸との塩等が挙げられる。
上記ペプチドの薬理学的に許容されるエステルとしては、例えば、少なくとも1つの適当な置換基を持っていてもよいメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル等のアルキルエステル、例えばアルカノイルオキシアルキルエステル(例えば、アセトキシメチルエステル、プロピオニルオキシメチルエステル、ブチリルオキシメチルエステル、バレリルオキシメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、ヘキサノイルオキシメチルエステル、1−又は2−アセトキシエチルエステル、1−,2−又は3−アセトキシプロピルエステル、1−,2−,3−又は4−アセトキシブチルエステル、1−又は2−プロピオニルオキシエチルエステル、1−,2−又は3−プロピオニルオキシプロピルエステル、1−又は2−ブチリルオキシエチルエステル、1−又は2−イソブチルオキシエチルエステル、1−又は2−ピバロイルオキシエチルエステル、1−又は2−ヘキサノイルオキシエチルエステル、イソブチリルオキシメチルエステル、2−エチルブチリルオキシメチルエステル、3,3−ジメチルブチリルオキシメチルエステル、1−又は2−ペンタノイルオキシエチルエステル等)、アルカンスルホニルアルキルエステル(例えば、2−メシルエチル等)、モノ−、ジ−又はトリハロアルキルエステル(例えば、2−ヨードエチルエステル、2,2,2−トリクロロエチルエステル等)、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステル(例えば、メトキシカルボニルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルオキシメチルエステル、2−メトキシカルボニルオキシエチルエステル、1−エトキシカルボニルオキシエチルエステル、1−イソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル等)、フタリジリデンアルキルエステル又は(5−アルキル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)アルキルエステル[例えば(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチルエステル、(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール)メチルエステル、(5−プロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)エチルエステル等]等、アルケニルエステル(例えば、ビニルエステル、アリルエステル等)、アルキニルエステル(例えば、エチニルエステル、プロピニルエステル等)、少なくとも1つの適当な置換基を持っていてもよいアリールアルキルエステル、例えば、非置換又は置換モノ、ジ又はトリフェニルアルキルエステル(例えば、ベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、フェネチルエステル、トリチルエステル、ベンズヒドリルエステルビス(メトキシフェニル)メチルエステル、3,4−ジメトキシベンジルエステル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルエステル等)等、少なくとも一つの適当な置換基を持っていてもよいアリルエステル(例えば、フェニルエステル、4−クロロフェニルエステル、トリルエステル、t−ブチルフェニルエステル、キシリルエステル、メシチルエステル、クメニルエステル等)、フタリジルエステル等が挙げられる。
本発明の医薬組成物において、上記ペプチド等の含有量としては特に限定されず、広範囲に適宜選択されるが、好ましい下限が10−7重量%、好ましい上限が10重量%である。10−7重量%未満であると、上記ペプチド等が有する創傷治癒作用等の作用を充分に発揮することができないことがあり、10重量%を超えると、製造上の問題が生じることがある。
上記シクロデキストリン類は、グルコースが環状に結合してなる化合物の総称である。本発明の医薬組成物では、上記シクロデキストリン類を溶解補助剤として用いることによって、上記ペプチド及び/又は上記ペプチドの薬理学的に許容される塩若しくはエステル(以下、上記ペプチド等ともいう)の水に対する溶解度を効果的に向上させることができる。一般に、溶解補助剤としては様々知られているが、本発明の医薬組成物では、上記シクロデキストリン類を溶解補助剤として用いなければ、上記ペプチド等の水に対する溶解度を効果的に向上させることができない。
上記シクロデキストリン類としては特に限定されないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及び、これらの誘導体であることが好ましい。なかでも、β−シクロデキストリン、及び、この誘導体がより好適に用いられる。
上記誘導体としては特に限定されず、具体的には例えば、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、モノアセチル−β−シクロデキストリン、トリアセチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、モノクロロトリアジノ−β−シクロデキストリン、スルフォブチルエーテル−β−シクロデキストリン等が挙げられる。なかでも、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、モノアセチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリンがより好適に用いられる。
上記誘導体としては、これらの他にも、上記シクロデキストリン類を結合してなる高分子材料、無機材料等や、適当な架橋剤を用いて上記シクロデキストリン類を架橋してなるシクロデキストリンポリマー等が挙げられる。
本発明の医薬組成物において、上記シクロデキストリン類の含有量としては特に限定されず、広範囲に適宜選択されるが、上記ペプチド等1モルに対して、好ましい下限が10−2モル、好ましい上限が10モルである。上記ペプチド等1モルに対して10−2モル未満であると、上記ペプチド等の溶解度を充分に向上させることができず、上記ペプチド等が有する創傷治癒作用等の作用を充分に発揮することができないことがあり、上記ペプチド等1モルに対して10モルを超えると、製造上の問題が生じたり、これ以上添加してもこれ以上の効果が得られなかったりすることがある。上記ペプチド等1モルに対して、より好ましい下限が10−1モル、より好ましい上限が10モルである。
本発明の医薬組成物において、上記ペプチド等と、上記シクロデキストリン類との存在形態としては特に限定されず、例えば、単にこれらが共存しているだけでもよく、これらが包接化合物を形成していてもよい。なかでも、上記ペプチド等と上記シクロデキストリン類とが包接化合物を形成していることが好ましい。このような包接化合物は、上記ペプチド等(ゲスト)が上記シクロデキストリン類(ホスト)に包み込まれた構造を有しており、上記ペプチド等の水に対する溶解度をより効果的に向上させることができる。
本発明の医薬組成物は、必要に応じて、その他の薬理活性成分を含有してもよい。上記その他の薬理活性成分としては特に限定されず、例えば、創傷治療薬、鎮痛剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、プロスタグランジン類、抗アレルギー剤、コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗菌剤、殺菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、止血剤、収斂剤、抗糖尿病剤、抗新生物薬、駆虫剤、抗不整脈剤、抗凝固剤、抗うつ剤、抗てんかん薬、抗高血圧剤、抗ムスカリン剤、抗甲状腺薬、抗不安鎮静剤、β−アドレナリン受容体遮断薬、咳抑制剤、利尿剤、ドパミン作動性薬、性ホルモン剤、交感神経作用薬、副交感神経作用薬、血管拡張剤等が挙げられる。
本発明の医薬組成物には、必要に応じて、適当な添加剤を添加してもよい。
上記添加剤としては特に限定されず、例えば、賦形剤、界面活性剤、安定化剤、香料、着色料、甘味料、抗凝固剤、凝固促進剤等が挙げられる。
本発明の医薬組成物を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記シクロデキストリン類の水溶液中に上記ペプチド等を添加、撹拌して溶解させる方法等が挙げられる。
本発明の医薬組成物の製造方法において、上記ペプチド等と上記シクロデキストリン類とからなる包接化合物を形成させる方法としては特に限定されず、例えば、上記シクロデキストリン類の水溶液中に上記ペプチド等を添加、撹拌して溶解させる方法;上記シクロデキストリン類の水溶液中に上記ペプチド等を添加、撹拌して溶解させた後、凍結乾燥等により粉末化する方法;上記ペプチド等と上記シクロデキストリン類とを有機溶媒中で混和しながら、有機溶媒を徐々に蒸発させる方法等が挙げられる。
本発明の医薬組成物の製剤形態としては特に限定されず、広範囲に適宜選択され、例えば、水溶液等の液剤、凍結乾燥粉末等の散剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、硬膏剤、パップ剤、テープ剤等が挙げられる。
本発明の医薬組成物の用途としては特に限定されず、例えば、各種疾患の予防及び/又は治療等の医薬として用いられる他、各種疾患の検査・診断用途の材料として、或いは研究用途の材料としても用いられる。
本発明の医薬組成物を医薬として用いる場合の具体的用途としては特に限定されず、例えば、創傷の予防及び/又は治療、骨・歯・神経・血管等の組織の生成及び/又は再生に用いられる他、炎症性疾患、感染性疾患、悪性新生物の予防及び/又は治療等に用いられる。
本発明の医薬組成物を医薬として用いる場合の適用部位としては特に限定されず、その目的に応じて様々な部位に適用することができ、例えば、皮膚、又は、創傷皮膚・骨組織・歯周組織・神経組織・血管組織等の損傷組織等に適用することができる。また、経口、静脈内、動脈内、皮下、皮内、筋肉内、吸入、点眼、点鼻投与することもできる。更に、血液、血液成分等の体外に取り出した体液を本発明の医薬組成物によって処理し、体内に返却することもできる。
本発明は、薬剤の溶解度が高く、優れた生体利用性、創傷治癒促進作用、アレルギー性及び非アレルギー性炎症抑制作用、免疫抑制作用、抗菌作用、抗腫瘍作用、サイトカイン誘導作用等を有する医薬組成物を提供できる。
本発明を更に詳しく説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1〜23)
(1)ペプチドの調製
理化学研究所から入手した放線菌S.ノビリス(JCM4274)を、酵母エキス0.2%(w/v)添加澱粉・アンモニウム培地50mLを含む500mL容坂口スラスコ5本で、26℃、150rpm、120時間振盪培養(前々培養)した。続いて同培地12Lを含む20L容ジャーファメンターに前々培養菌液240mLを接種し、26℃、410rpm、通気量4L/分で24時間培養(前培養)した。更に、澱粉・アンモニウム培地(蒸留水100mL中に可溶性澱粉を1g、リン酸水素二カリウムを0.05g、塩化アンモニウムを0.05g含む)140Lを含む200L容ジャーファメンターに、前培養菌液12Lを接種し、26℃、24時間種培養した。
次いで、澱粉・アンモニウム培地1400Lを含む2000L容タンクに、種培養菌液140Lを接種し、26℃、140rpm、通気量700L/分、pH7.5で7日間培養した。
培養終了後、濾過により菌体を濾別した。このようにして得られた菌体6.34kg(湿重量)のうち、菌体1kg(湿重量)にジクロロメタン3Lを加え、室温で15時間攪拌後、菌体を濾別し、菌体抽出液を得た。菌体については、同操作を3回繰り返した。得られた菌体抽出液を濃縮後、シリカゲル担体120gに吸着させた。本吸着シリカゲル担体をシリカゲルカラムにより精製した。
シリカゲル担体800gを充填した径8.0cmのカラムに上記抽出物吸着担体約120gをチャージし、シリカゲルカラムを作成した。このシリカゲルカラムを下記の条件を用いて精製を行った。溶出溶剤として、a)ヘキサン:酢酸エチル=4:6を4L、b)酢酸エチルを3.5L、c)メタノール2Lを、この順に流速500mL/時間で流した。分画は、溶剤組成を変更する毎に行い、特に酢酸エチルの溶出画分は500mLずつ分画した(従って、酢酸エチルについては、溶出画分数は合計7画分となる)。
上記の各溶出画分について、それぞれ、ODS−80TM、内径4.6mm×長さ25.0cmのカラム(東ソー社製)を用いたHPLC(日立社製、ポンプL−6000、L−6200、検出器L−3000、カラムオーブン655A−52)によって、検出波長210nm、カラム温度40℃、流速1mL/分の条件で、溶離液として水:アセトニトリル=3:7を用いて、純度を確認した。
上記のHPLCによる純度確認において、リテンションタイムが12〜15分で溶出されるピーク面積が、全溶出ピーク面積の80%以上を占めることが確認されたシリカゲルカラム溶出画分を合わせ、同一画分とした。本画分を濃縮乾固後、メタノール−ジクロロメタン系を用いて繰り返し再結晶を行い、柱状結晶3.5gを得た。
この物質の構造は、種々の機器分析データよりWO96/12732号公報に記載された物質と同一であり、上記式(1)で表されるペプチドであることがわかった。
得られたペプチドの機器分析データを以下に示す。
1.MS
・ESI−MS:m/z=913.6(M+H−HO)、931.6(M+H)、953.6(M+Na)
・HRFAB−MS
Found:m/z=913.5079(M+H−HO)、m/z=913、953、931(913がメイン,931は非常に小さい)
Calcd for:C456912
m/z=913.5053
2.IR
IR:3,400cm−1:−OH,−NH
2,900cm−1:アルキル基
1,750cm−1:−C(=O),−O−
1,650cm−1:−C(=O),−NH−
3.アミノ酸分析
加水分解物としてD−セリン、L−アラニンおよびD−N−メチル−フェニルアラニンが認められた。
(2)医薬組成物の作製
精製水に、α−シクロデキストリン(純正化学社製)、β−シクロデキストリン(純正化学社製)、γ−シクロデキストリン(純正化学社製)、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(純正化学社製)、メチル−β−シクロデキストリン(純正化学社製)、又は、モノアセチル−β−シクロデキストリン(純正化学社製)を下記表1に示した濃度(0.01〜10重量%)となるように添加、攪拌して溶解させることによって、シクロデキストリン水溶液を調製した。得られた各シクロデキストリン水溶液10mLに、得られたペプチド25mgを加えて、25℃で30分間撹拌した後、0.22μmのフィルターを用いて濾過することによって、無色透明の水溶液として医薬組成物を得た。
(実施例24〜27)
1重量%β−シクロデキストリン水溶液、1重量%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液、1重量%メチル−β−シクロデキストリン水溶液、又は、1重量%モノアセチル−β−シクロデキストリン水溶液100mLに、実施例1〜23で得られたペプチド1mgを添加、撹拌して溶解させた後、得られた水溶液を凍結乾燥させることによって、白色粉末として医薬組成物を得た。
(比較例1)
シクロデキストリン水溶液10mLを用いた代わりに、シクロデキストリン類を含有しない精製水10mLを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、無色透明の水溶液として医薬組成物を得た。
(比較例2〜7)
シクロデキストリン水溶液10mLを用いた代わりに、精製水に、溶解補助剤としてマンニトール(糖類、和光純薬社製)、ソルビトール(糖類、和光純薬社製)、Tween80(非イオン性界面活性剤、和光純薬社製)、Triton WR1339(非イオン性界面活性剤、和光純薬社製)、コール酸ナトリウム(陰イオン性界面活性剤、和光純薬社製)、又は、大豆レシチン(両性界面活性剤、和光純薬社製)を下記表1に示した濃度(0.1〜5重量%)となるように添加、攪拌して溶解させることによって得られた水溶液10mLを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、無色透明の水溶液として医薬組成物を得た。
(評価)
実施例1〜27及び比較例1〜7で得られた医薬組成物について、以下の方法により評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
(1)溶解度測定試験
実施例1〜23及び比較例1〜7で得られた各無色透明の水溶液について、高速液体クロマトグラフィー(カラム:ODS−80TM、東ソー社製)による分析を実施して、ペプチドの溶解度を測定した。本試験はそれぞれ3回行い、上記溶解度の平均値を算出した。結果を表1に示した。
表1に示すように、比較例1〜7では、ペプチドは精製水に対してほとんど溶解していなかった。これに対して、本発明の医薬組成物(実施例1〜23)では、ペプチドの溶解性が大幅に向上していることが判った。すなわち、本発明の医薬組成物は、水に対する溶解度が高いことから、投与時の生体利用性が高まると考えられる。
(2)溶状試験
実施例24〜27で得られた各粉末1g(ペプチドとして1mgに相当)を秤取し、精製水100mLを添加して、25℃で30分間撹拌した後、溶状を目視で確認した。
また、参考例1として、実施例1等で得られたペプチド1mgを秤取し、精製水100mLを添加して、25℃で30分間撹拌した後、溶状を目視で確認した。
本試験はそれぞれ3回行い、溶状は、以下の基準で評価を行った。結果を表2に示す。
○:3回とも、溶解していた。
×:3回とも、溶解していなかった。
表2に示すように、参考例1では、ペプチドは精製水に対して30分以内には溶解しなかった。これに対して、本発明の医薬組成物(実施例24〜27)は、精製水に対して速やかに溶解し、溶解性が大幅に向上していることが判った。すなわち、本発明の医薬組成物は、水に対する溶解度が高いことから、投与時の生体利用性が高まると考えられる。
Figure 2008260692
Figure 2008260692
本発明によれば、薬剤の溶解度が高く、優れた生体利用性、創傷治癒促進作用、アレルギー性及び非アレルギー性炎症抑制作用、免疫抑制作用、抗菌作用、抗腫瘍作用、サイトカイン誘導作用等を有する医薬組成物を提供できる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表されるペプチド及び/又は前記ペプチドの薬理学的に許容される塩若しくはエステルと、シクロデキストリン類とを含有することを特徴とする医薬組成物。
    Figure 2008260692
  2. シクロデキストリン類は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及び、これらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
  3. シクロデキストリン類は、β−シクロデキストリン及びこの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の医薬組成物。
  4. 下記式(1)で表されるペプチド又は前記ペプチドの薬理学的に許容される塩若しくはエステルと、シクロデキストリン類とが包接化合物を形成していることを特徴とする請求項1、2又は3記載の医薬組成物。
    Figure 2008260692
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