JP2004137185A - チオフェン骨格を有する抗菌剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】グラム陽性菌及び耐性グラム陽性菌に対して優れた抗菌活性を有するチオフェン骨格を有する化合物を提供する。
【解決手段】チオフェン骨格を有する化合物は、次式で示される。
【化1】
(式中、
Xは、=CH−R8、=C(R8)2、=CO、=C=N−R11、−O−、−S−又は=N−R11であり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、
R6、R7、R8及びR9は、独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり、同一の置換基が同一の炭素原子上に2個存在する場合には、それらの置換基は、同一でも異なっていても良く、
R10は、ハロゲン置換されている低級アルキル基であり、
R11は、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アルカノイル基、ベンゾイル基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、
nは、1又は2である。)
【解決手段】チオフェン骨格を有する化合物は、次式で示される。
【化1】
(式中、
Xは、=CH−R8、=C(R8)2、=CO、=C=N−R11、−O−、−S−又は=N−R11であり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、
R6、R7、R8及びR9は、独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり、同一の置換基が同一の炭素原子上に2個存在する場合には、それらの置換基は、同一でも異なっていても良く、
R10は、ハロゲン置換されている低級アルキル基であり、
R11は、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アルカノイル基、ベンゾイル基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、
nは、1又は2である。)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた抗菌作用を発揮する、新規なチオフェン骨格を有する化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐性グラム陽性菌、例えば、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)は、既存の抗菌剤の治療に抵抗性を有する。このため、このような耐性グラム陽性菌に強い抗菌活性を有する抗菌剤の開発が望まれている。
これまで、各種の化学構造を有する抗菌性化合物が知られているが、チオフェン骨格を有する抗菌性化合物は、これまで知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規なチオフェン骨格を有する抗菌剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の式(I)で示されるチオフェン骨格を有する化合物又はその塩に関するものである。
【化19】
(式中、
Xは、=CH−R8、=C(R8)2、=CO、=C=N−R11、−O−、−S−又は=N−R11であり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基であり、
R6、R7、R8及びR9は、独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり、同一の置換基が同一の炭素原子上に2個存在する場合には、それらの置換基は、同一でも異なっていても良く、
R10は、ハロゲン原子で置換されている低級アルキル基であり、
R11は、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アルカノイル基、ベンゾイル基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、
nは、1又は2であり、そして、
但し、Xが=CH−R8である場合には、以下の置換基の組合せを除く。
(1)R8が水素原子である場合には、R1及びR2の一方が塩素原子又はメチル基でありかつ他方が水素原子であり、同時に、R3、R4、R5、R6、R7及びR9が水素原子であり、R10がトリフルオロメチルである場合、及び
(2)R8がメチル基である場合には、R3が臭素原子であり、R1、R2、R4、R5、R6、R7及びR9が水素原子であり、R10がトリフルオロメチルである場合。)
【0004】
また、本発明は、以下の式(I)で示されるチオフェン骨格を有する化合物又はその塩を含有することを特徴とする医薬組成物に関する。
【化20】
(式中、
Xは、=CH−R8、=C(R8)2、=CO、=C=N−R11、−O−、−S−又は=N−R11であり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、
R6、R7、R8及びR9は、独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり、同一の置換基が同一の炭素原子上に2個存在する場合には、それらの置換基は、同一でも異なっていても良く、
R10は、ハロゲン原子で置換されている低級アルキル基であり、
R11は、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アルカノイル基、ベンゾイル基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、
nは、1又は2である。)
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明のチオフェン骨格を有する化合物又はその塩(以下、単に、「本発明の化合物」という)は、新規な化学構造を有する化合物である。本発明の化合物は、不斉中心を有さず、ナトリウム塩等の塩を作ることができる。
本発明の化合物は、グラム陽性菌に強い抗菌活性を示す。また、本発明は、耐性グラム陽性菌に強い抗菌活性を示す。
本明細書において特にことわらない限り、以下の用語は以下の意味を有する。ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が含まれる。
【0006】
低級アルキル基は、1〜8個、好ましくは、1〜5個、更に好ましくは、1〜3個の炭素数を有する飽和アルキル基であり、直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。具体的には、低級アルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基又はペンチル基等の低級アルキル基が好適に挙げられる。なお、低級アルキル基は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、カルボキシル基、フェニル基のようなアリール基等が含まれる。
【0007】
低級アルコキシ基は、低級アルキル基と結合した酸素原子からなるアルコキシ基である。低級アルコキシ基を構成する低級アルキル基としては、上記低級アルキル基と同様である。低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又はペンチルオキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルコキシ基が挙げられる。なお、低級アルコキシ基を構成する低級アルキル基は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、上記と同様に、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が含まれる。
【0008】
フェニル基は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、上記と同様に、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、ニトロ基等が含まれる。
アルカノイル基は、アルカン酸に由来するアシル基である。カルボニル基に結合するアルキル基としては、直鎖又は分岐したアルキル基が含まれる。このような低級アルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基又はペンチル基等の低級アルキル基の他に、デシル基や、ドデシル基、トリデシル基、ウンデシル基等の高級アルキル基が含まれる。なお、このようなアルキル基は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、カルボキシル基等が含まれる。
ベンゾイル基は、そのベンゼン環において、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、カルボキシル基、アルキル基、低級アルコキシ基等が含まれる。
【0009】
低級アルキルオキシカルボニル基は、−COORで示される基であり、ここで、Rは、低級アルキル基である。低級アルキル基の範囲は、上記の通りである。ベンジルオキシカルボニル基は、−COORで示される基であり、ここで、Rが、ベンジル基であるものである。なお、ベンゼン環は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、アルキル基、低級アルコキシ基等が好適に挙げられる。
ベンゼンスルホニル基は、ベンゼン環に連結されたスルホニル基(−SO2−)である。なお、ベンゼン環は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、アルキル基、低級アルコキシ基等が好適に挙げられる。
また、低級アルキルスルホニル基は、低級アルキル基に連結されたスルホニル基であり、低級アルキル基の範囲は、上記の通りである。
本発明の化合物は、基本的には、例えば、J. Indian Chem. Soc. 第55巻、822(1978) に記載された合成法に従い合成することができる。例えば、以下のスキーム(但し、R6、R7及びR9の記載を省略)に従って合成することができる。
【0010】
【化21】
【0011】
このスキームにおいては、化合物I及びIIと、例えば、酢酸アンモニウムを、ベンゼンと、酢酸等との混合溶媒に溶解し、加熱還流して、化合物IIIを得る。この得られた化合物IIIに、硫黄及びトリエチルアミンを加え、得られた混合物をエタノールに溶解し、加熱還流して、化合物IVを得る。この化合物IVを、次いで、(R10CO)2O等の酸無水物や、R10COCl等の酸クロリドで処理して、化合物Vを得る。
上記化合物Iにおいて、Xが、=N−Zである場合には、化合物Vの保護基Z、例えば、ベンジルオキシカルボニル基は、例えば、ハイドロジェノリシス又は臭化水素酸−酢酸処理のような常法に従い、脱保護し、次いで、例えば、R11OHと、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の縮合剤、又は(R11)2O等の酸無水物や、R11Cl等の酸クロリド(R11は、アルカノイル基又はベンゾイル基である。)と反応させることによって、化合物VIを得る。酸無水物、酸クロリド及び縮合剤を用いるアミド結合形成反応や、スルホンアミド形成反応、ウレタン結合形成反応は、常法に従って行うことができる。
【0012】
Xが、=N−Zの場合のスキームを示すと以下の通りである。
【0013】
【化22】
【0014】
上記スキームにおいて、出発物質である化合物Iは、公知化合物であり、市場において容易に入手可能であるか、又は合成可能である。
本発明の化合物の具体例を挙げると以下の通りである。
【化23】
【0015】
【表1】
表1
注)Meは、メチル基を示す。
Phは、フェニル基を示す。
t−Buは、tert−ブチル基を示す。
【0016】
【化24】
【0017】
【表2】
表1(続き)
【0018】
【化25】
【0019】
【表3】
表2
【0020】
【化26】
【0021】
【表4】
表3
(注:Acは、アセチル基を示す。)
【0022】
上記表3において、R11の置換基として使用した基は、以下の通りである。
p−1
【0023】
【化27】
【0024】
p−2
【0025】
【化28】
【0026】
p−3
【0027】
【化29】
【0028】
p−4
【0029】
【化30】
【0030】
p−5
【0031】
【化31】
【0032】
p−6
【0033】
【化32】
【0034】
【化33】
【0035】
【表5】
表4
【0036】
【化34】
【0037】
【表6】
表5
【0038】
上記具体例の化合物について、得られた化合物の融点及びNMRデータを以下に示す。
【0039】
【表7】
表6
【0040】
【表8】
【0041】
【表9】
表6(続き)
【0042】
【表10】
表6(続き)
【0043】
【表11】
表6(続き)
【0044】
【表12】
表6(続き)
【0045】
本発明の化合物は、塩として使用することができる。このような塩は、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウムや、カリウム等)や、アルカリ土類金属(カルシウムや、マグネシウム等)等の塩が含まれる。塩は、通常、式(I)において、カルボニル基を介してR10に連結しているアミノ基で生じる。
本発明の化合物は、例えば、グラム陽性菌や、耐性グラム陽性菌等によって引き起こされる人間や動物の局所性感染症や、全身性感染症を治療するのに有用な抗菌剤である。
グラム陽性菌としては、例えば、黄色ブドウ球菌や、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウム、化膿性連鎖球菌等が挙げられる。また、本発明の化合物は、これらの耐性菌、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌等にも効果を有する。
本発明の化合物は、単独で、もしくは医薬上許容され得る補助剤や、希釈剤、結合剤等とともに、例えば、錠剤や、糖衣錠、カプセル剤、注射剤、クリーム、軟膏剤、液剤、パウダー剤等のような一般的な医薬組成物の形で使用することができる。本発明の化合物は、単独で、あるいは複数の異なる化合物の混合物としても使用可能である。
【0046】
注射剤にあっては、水性あるいは用時溶解型剤型を構成しうる溶解剤ないし溶解補助剤(例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等)、pH調節剤(例えば、無機又は有機の酸あるいは塩基)、等張化剤(例えば、食塩、ブドウ糖、グリセリン等)、安定化剤等の製剤成分が使用される。
経口剤にあっては、賦形剤(例えば、乳糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク等)、コーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、酸化チタン等)、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール等)、基剤(例えば、ポリエチレングリコール、ハードファット等)等の製剤用成分が使用される。
また、外用剤にあっては、例えば、軟膏剤や、クリーム剤、貼付剤として適切な製剤成分(例えば、白色ワセリン、マクロゴール、グリセリン、流動パラフィン、綿布等)が使用される。
【0047】
本発明の化合物は、例えば、症状や、年齢、体重等によって変動するが、全身的投与の場合には、通常成人1日当たり、体重1kgにつき、例えば、0.1〜100mg、好ましくは、0.5〜30mgを投与することができる。
一方、局所的治療における有効成分の濃度は、例えば、0.1〜20質量%、好ましくは、0.5〜10質量%が最適である。
もちろん、本発明の化合物は、殺菌消毒剤として使用することができる。このような場合、本発明の化合物は、例えば、水や、エタノール等の媒体中に、例えば、0.01〜10質量%、好ましくは、0.05〜5質量%の量で使用することができる。
なお、本発明の化合物は、医療分野における使用だけではなく、農薬の分野においても使用することができる。
【0048】
本発明について、実施例及び参考例により、更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例及び参考例によって何ら限定されるものではない。
【0049】
合成例1
ベンジル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート(2g)、N−(4−クロロフェニル)−2−シアノアセトアミド(2.4g)、酢酸アンモニウム(300mg)、酢酸(5ml)をベンゼン(100ml)中で5時間加熱還流後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトで精製して、3.8gのN−(4−クロロフェニル)−2−シアノ−2−(1−ベンジルオキシカルボニル−ピペリジン−4−イリジン)−アセトアミドを得た。
【0050】
【化35】
【0051】
N−(4−クロロフェニル)−2−シアノ−2−(1−ベンジルオキシカルボニル−ピペリジン−4−イリジン)−アセトアミド(3.8g)、硫黄(330mg)、トリエチルアミン(0.1ml)をエタノール(42ml)中で2時間加熱還流し、溶媒を減圧下で留去した。残渣にジエチルエーテルを加え、生じた結晶性粉末を濾取し、2.8gの2−アミノ−6−ベンジルオキシカルボニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミドを得た。
【0052】
【化36】
【0053】
2−アミノ−6−ベンジルオキシカルボニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)アミド(2.8g)、トリフルオロ酢酸無水物(4.6ml)をクロロホルム(90ml)中、0℃、10分間攪拌後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)を加え、クロロホルムで抽出した。抽出液を水洗、乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣にジエチルエーテルを加え、2.7gの無色結晶粉末の2−(トリフルオロアセチルアミノ)−6−ベンジルオキシカルボニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミド(化合物c−12)を得た。
【0054】
【化37】
【0055】
2−(トリフルオロアセチルアミノ)−6−ベンジルオキシカルボニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミド(1.5g)を33%臭化水素酸−酢酸(30ml)に溶解し、室温で6時間攪拌後、減圧下濃縮した。残渣にトルエンを加え再び減圧下濃縮し、残渣にジエチルエーテルを加え、無色粉末の2−(トリフルオロアセチルアミノ)−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミド(1.2g)を得た。
【0056】
【化38】
【0057】
2−(トリフルオロアセチルアミノ)−4,5,6,7−テトラヒドローチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミド(50mg)、ピバリン酸クロリド(23μl)、トリエチルアミン(52μl)をアセトニトリル(1.5ml)中、氷冷下30分間攪拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出物を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトで精製し、22mgの2−(トリフルオロアセチルアミノ)−6−(2,2−ジメチルプロピオニル)−4,5,6,7−テトラヒドローチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)アミド(化合物c−1)を得た。
【0058】
【化39】
【0059】
同様にして、表1〜5に記載された化合物を合成した。
【0060】
試験例1
抗菌試験方法(最小発育阻止濃度、 MIC( μ g/ml) の測定)
日本化学療法学会標準法[Chemotherapy 38:102 (1990)]に従い、カルシウムイオン、マグネシウムイオンを加えたミューラー・ヒントン培地を用いた微量液体希釈法で35℃、20時間培養後、MICを測定した。
結果を以下の表7に示す。なお、使用した化合物番号は、上記表1〜表5に記載した通りである。
【0061】
【表13】
表7
【0062】
【表14】
表7(続き)
【0063】
【表15】
表7(続き)
【0064】
【表16】
表7(続き)
【0065】
【表17】
表7(続き)
【0066】
【表18】
表7(続き)
【0067】
上記表7に示されたデータから分かるように、本発明の化合物は、グラム陽性菌並びに耐性グラム陽性菌に対して優れた抗菌活性を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた抗菌作用を発揮する、新規なチオフェン骨格を有する化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐性グラム陽性菌、例えば、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)は、既存の抗菌剤の治療に抵抗性を有する。このため、このような耐性グラム陽性菌に強い抗菌活性を有する抗菌剤の開発が望まれている。
これまで、各種の化学構造を有する抗菌性化合物が知られているが、チオフェン骨格を有する抗菌性化合物は、これまで知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規なチオフェン骨格を有する抗菌剤を提供することを目的とする。
本発明は、以下の式(I)で示されるチオフェン骨格を有する化合物又はその塩に関するものである。
【化19】
(式中、
Xは、=CH−R8、=C(R8)2、=CO、=C=N−R11、−O−、−S−又は=N−R11であり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、低級アルキル基、又は低級アルコキシ基であり、
R6、R7、R8及びR9は、独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり、同一の置換基が同一の炭素原子上に2個存在する場合には、それらの置換基は、同一でも異なっていても良く、
R10は、ハロゲン原子で置換されている低級アルキル基であり、
R11は、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アルカノイル基、ベンゾイル基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、
nは、1又は2であり、そして、
但し、Xが=CH−R8である場合には、以下の置換基の組合せを除く。
(1)R8が水素原子である場合には、R1及びR2の一方が塩素原子又はメチル基でありかつ他方が水素原子であり、同時に、R3、R4、R5、R6、R7及びR9が水素原子であり、R10がトリフルオロメチルである場合、及び
(2)R8がメチル基である場合には、R3が臭素原子であり、R1、R2、R4、R5、R6、R7及びR9が水素原子であり、R10がトリフルオロメチルである場合。)
【0004】
また、本発明は、以下の式(I)で示されるチオフェン骨格を有する化合物又はその塩を含有することを特徴とする医薬組成物に関する。
【化20】
(式中、
Xは、=CH−R8、=C(R8)2、=CO、=C=N−R11、−O−、−S−又は=N−R11であり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、
R6、R7、R8及びR9は、独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり、同一の置換基が同一の炭素原子上に2個存在する場合には、それらの置換基は、同一でも異なっていても良く、
R10は、ハロゲン原子で置換されている低級アルキル基であり、
R11は、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アルカノイル基、ベンゾイル基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、
nは、1又は2である。)
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
本発明のチオフェン骨格を有する化合物又はその塩(以下、単に、「本発明の化合物」という)は、新規な化学構造を有する化合物である。本発明の化合物は、不斉中心を有さず、ナトリウム塩等の塩を作ることができる。
本発明の化合物は、グラム陽性菌に強い抗菌活性を示す。また、本発明は、耐性グラム陽性菌に強い抗菌活性を示す。
本明細書において特にことわらない限り、以下の用語は以下の意味を有する。ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が含まれる。
【0006】
低級アルキル基は、1〜8個、好ましくは、1〜5個、更に好ましくは、1〜3個の炭素数を有する飽和アルキル基であり、直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。具体的には、低級アルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基又はペンチル基等の低級アルキル基が好適に挙げられる。なお、低級アルキル基は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、カルボキシル基、フェニル基のようなアリール基等が含まれる。
【0007】
低級アルコキシ基は、低級アルキル基と結合した酸素原子からなるアルコキシ基である。低級アルコキシ基を構成する低級アルキル基としては、上記低級アルキル基と同様である。低級アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又はペンチルオキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状の低級アルコキシ基が挙げられる。なお、低級アルコキシ基を構成する低級アルキル基は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、上記と同様に、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子等が含まれる。
【0008】
フェニル基は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、上記と同様に、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、ニトロ基等が含まれる。
アルカノイル基は、アルカン酸に由来するアシル基である。カルボニル基に結合するアルキル基としては、直鎖又は分岐したアルキル基が含まれる。このような低級アルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基又はペンチル基等の低級アルキル基の他に、デシル基や、ドデシル基、トリデシル基、ウンデシル基等の高級アルキル基が含まれる。なお、このようなアルキル基は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、カルボキシル基等が含まれる。
ベンゾイル基は、そのベンゼン環において、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、カルボキシル基、アルキル基、低級アルコキシ基等が含まれる。
【0009】
低級アルキルオキシカルボニル基は、−COORで示される基であり、ここで、Rは、低級アルキル基である。低級アルキル基の範囲は、上記の通りである。ベンジルオキシカルボニル基は、−COORで示される基であり、ここで、Rが、ベンジル基であるものである。なお、ベンゼン環は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、アルキル基、低級アルコキシ基等が好適に挙げられる。
ベンゼンスルホニル基は、ベンゼン環に連結されたスルホニル基(−SO2−)である。なお、ベンゼン環は、化合物の抗菌性に影響しない範囲内において、任意の置換基で置換されていてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子や、アルキル基、低級アルコキシ基等が好適に挙げられる。
また、低級アルキルスルホニル基は、低級アルキル基に連結されたスルホニル基であり、低級アルキル基の範囲は、上記の通りである。
本発明の化合物は、基本的には、例えば、J. Indian Chem. Soc. 第55巻、822(1978) に記載された合成法に従い合成することができる。例えば、以下のスキーム(但し、R6、R7及びR9の記載を省略)に従って合成することができる。
【0010】
【化21】
【0011】
このスキームにおいては、化合物I及びIIと、例えば、酢酸アンモニウムを、ベンゼンと、酢酸等との混合溶媒に溶解し、加熱還流して、化合物IIIを得る。この得られた化合物IIIに、硫黄及びトリエチルアミンを加え、得られた混合物をエタノールに溶解し、加熱還流して、化合物IVを得る。この化合物IVを、次いで、(R10CO)2O等の酸無水物や、R10COCl等の酸クロリドで処理して、化合物Vを得る。
上記化合物Iにおいて、Xが、=N−Zである場合には、化合物Vの保護基Z、例えば、ベンジルオキシカルボニル基は、例えば、ハイドロジェノリシス又は臭化水素酸−酢酸処理のような常法に従い、脱保護し、次いで、例えば、R11OHと、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等の縮合剤、又は(R11)2O等の酸無水物や、R11Cl等の酸クロリド(R11は、アルカノイル基又はベンゾイル基である。)と反応させることによって、化合物VIを得る。酸無水物、酸クロリド及び縮合剤を用いるアミド結合形成反応や、スルホンアミド形成反応、ウレタン結合形成反応は、常法に従って行うことができる。
【0012】
Xが、=N−Zの場合のスキームを示すと以下の通りである。
【0013】
【化22】
【0014】
上記スキームにおいて、出発物質である化合物Iは、公知化合物であり、市場において容易に入手可能であるか、又は合成可能である。
本発明の化合物の具体例を挙げると以下の通りである。
【化23】
【0015】
【表1】
表1
注)Meは、メチル基を示す。
Phは、フェニル基を示す。
t−Buは、tert−ブチル基を示す。
【0016】
【化24】
【0017】
【表2】
表1(続き)
【0018】
【化25】
【0019】
【表3】
表2
【0020】
【化26】
【0021】
【表4】
表3
(注:Acは、アセチル基を示す。)
【0022】
上記表3において、R11の置換基として使用した基は、以下の通りである。
p−1
【0023】
【化27】
【0024】
p−2
【0025】
【化28】
【0026】
p−3
【0027】
【化29】
【0028】
p−4
【0029】
【化30】
【0030】
p−5
【0031】
【化31】
【0032】
p−6
【0033】
【化32】
【0034】
【化33】
【0035】
【表5】
表4
【0036】
【化34】
【0037】
【表6】
表5
【0038】
上記具体例の化合物について、得られた化合物の融点及びNMRデータを以下に示す。
【0039】
【表7】
表6
【0040】
【表8】
【0041】
【表9】
表6(続き)
【0042】
【表10】
表6(続き)
【0043】
【表11】
表6(続き)
【0044】
【表12】
表6(続き)
【0045】
本発明の化合物は、塩として使用することができる。このような塩は、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウムや、カリウム等)や、アルカリ土類金属(カルシウムや、マグネシウム等)等の塩が含まれる。塩は、通常、式(I)において、カルボニル基を介してR10に連結しているアミノ基で生じる。
本発明の化合物は、例えば、グラム陽性菌や、耐性グラム陽性菌等によって引き起こされる人間や動物の局所性感染症や、全身性感染症を治療するのに有用な抗菌剤である。
グラム陽性菌としては、例えば、黄色ブドウ球菌や、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウム、化膿性連鎖球菌等が挙げられる。また、本発明の化合物は、これらの耐性菌、例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌等にも効果を有する。
本発明の化合物は、単独で、もしくは医薬上許容され得る補助剤や、希釈剤、結合剤等とともに、例えば、錠剤や、糖衣錠、カプセル剤、注射剤、クリーム、軟膏剤、液剤、パウダー剤等のような一般的な医薬組成物の形で使用することができる。本発明の化合物は、単独で、あるいは複数の異なる化合物の混合物としても使用可能である。
【0046】
注射剤にあっては、水性あるいは用時溶解型剤型を構成しうる溶解剤ないし溶解補助剤(例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール等)、pH調節剤(例えば、無機又は有機の酸あるいは塩基)、等張化剤(例えば、食塩、ブドウ糖、グリセリン等)、安定化剤等の製剤成分が使用される。
経口剤にあっては、賦形剤(例えば、乳糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク等)、コーティング剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、酸化チタン等)、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール等)、基剤(例えば、ポリエチレングリコール、ハードファット等)等の製剤用成分が使用される。
また、外用剤にあっては、例えば、軟膏剤や、クリーム剤、貼付剤として適切な製剤成分(例えば、白色ワセリン、マクロゴール、グリセリン、流動パラフィン、綿布等)が使用される。
【0047】
本発明の化合物は、例えば、症状や、年齢、体重等によって変動するが、全身的投与の場合には、通常成人1日当たり、体重1kgにつき、例えば、0.1〜100mg、好ましくは、0.5〜30mgを投与することができる。
一方、局所的治療における有効成分の濃度は、例えば、0.1〜20質量%、好ましくは、0.5〜10質量%が最適である。
もちろん、本発明の化合物は、殺菌消毒剤として使用することができる。このような場合、本発明の化合物は、例えば、水や、エタノール等の媒体中に、例えば、0.01〜10質量%、好ましくは、0.05〜5質量%の量で使用することができる。
なお、本発明の化合物は、医療分野における使用だけではなく、農薬の分野においても使用することができる。
【0048】
本発明について、実施例及び参考例により、更に詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例及び参考例によって何ら限定されるものではない。
【0049】
合成例1
ベンジル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシレート(2g)、N−(4−クロロフェニル)−2−シアノアセトアミド(2.4g)、酢酸アンモニウム(300mg)、酢酸(5ml)をベンゼン(100ml)中で5時間加熱還流後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトで精製して、3.8gのN−(4−クロロフェニル)−2−シアノ−2−(1−ベンジルオキシカルボニル−ピペリジン−4−イリジン)−アセトアミドを得た。
【0050】
【化35】
【0051】
N−(4−クロロフェニル)−2−シアノ−2−(1−ベンジルオキシカルボニル−ピペリジン−4−イリジン)−アセトアミド(3.8g)、硫黄(330mg)、トリエチルアミン(0.1ml)をエタノール(42ml)中で2時間加熱還流し、溶媒を減圧下で留去した。残渣にジエチルエーテルを加え、生じた結晶性粉末を濾取し、2.8gの2−アミノ−6−ベンジルオキシカルボニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミドを得た。
【0052】
【化36】
【0053】
2−アミノ−6−ベンジルオキシカルボニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)アミド(2.8g)、トリフルオロ酢酸無水物(4.6ml)をクロロホルム(90ml)中、0℃、10分間攪拌後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)を加え、クロロホルムで抽出した。抽出液を水洗、乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣にジエチルエーテルを加え、2.7gの無色結晶粉末の2−(トリフルオロアセチルアミノ)−6−ベンジルオキシカルボニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミド(化合物c−12)を得た。
【0054】
【化37】
【0055】
2−(トリフルオロアセチルアミノ)−6−ベンジルオキシカルボニル−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミド(1.5g)を33%臭化水素酸−酢酸(30ml)に溶解し、室温で6時間攪拌後、減圧下濃縮した。残渣にトルエンを加え再び減圧下濃縮し、残渣にジエチルエーテルを加え、無色粉末の2−(トリフルオロアセチルアミノ)−4,5,6,7−テトラヒドロ−チエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミド(1.2g)を得た。
【0056】
【化38】
【0057】
2−(トリフルオロアセチルアミノ)−4,5,6,7−テトラヒドローチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)−アミド(50mg)、ピバリン酸クロリド(23μl)、トリエチルアミン(52μl)をアセトニトリル(1.5ml)中、氷冷下30分間攪拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出物を濃縮後、シリカゲルカラムクロマトで精製し、22mgの2−(トリフルオロアセチルアミノ)−6−(2,2−ジメチルプロピオニル)−4,5,6,7−テトラヒドローチエノ[2,3−c]ピリジン−3−カルボキシリックアシッド(4−クロロフェニル)アミド(化合物c−1)を得た。
【0058】
【化39】
【0059】
同様にして、表1〜5に記載された化合物を合成した。
【0060】
試験例1
抗菌試験方法(最小発育阻止濃度、 MIC( μ g/ml) の測定)
日本化学療法学会標準法[Chemotherapy 38:102 (1990)]に従い、カルシウムイオン、マグネシウムイオンを加えたミューラー・ヒントン培地を用いた微量液体希釈法で35℃、20時間培養後、MICを測定した。
結果を以下の表7に示す。なお、使用した化合物番号は、上記表1〜表5に記載した通りである。
【0061】
【表13】
表7
【0062】
【表14】
表7(続き)
【0063】
【表15】
表7(続き)
【0064】
【表16】
表7(続き)
【0065】
【表17】
表7(続き)
【0066】
【表18】
表7(続き)
【0067】
上記表7に示されたデータから分かるように、本発明の化合物は、グラム陽性菌並びに耐性グラム陽性菌に対して優れた抗菌活性を有する。
Claims (7)
- 以下の式(I)で示されるチオフェン骨格を有する化合物又はその塩。
Xは、=CH−R8、=C(R8)2、=CO、=C=N−R11、−O−、−S−又は=N−R11であり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、
R6、R7、R8及びR9は、独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり、同一の置換基が同一の炭素原子上に2個存在する場合には、それらの置換基は、同一でも異なっていても良く、
R10は、ハロゲン置換されている低級アルキル基であり、
R11は、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アルカノイル基、ベンゾイル基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、
nは、1又は2であり、そして、
但し、Xが=CH−R8である場合には、以下の置換基の組合せを除く。
(1)R8が水素原子である場合には、R1及びR2の一方が塩素原子又はメチル基でありかつ他方が水素原子であり、同時に、R3、R4、R5、R6、R7及びR9が水素原子であり、R10がトリフルオロメチルである場合、及び
(2)R8がメチル基である場合には、R3が臭素原子であり、R1、R2、R4、R5、R6、R7及びR9が水素原子であり、R10がトリフルオロメチルである場合。) - 以下の式(I)で示されるチオフェン骨格を有する化合物又はその塩を含有することを特徴とする医薬組成物。
Xは、=CH−R8、=C(R8)2、=CO、=C=N−R11、−O−、−S−又は=N−R11であり、
R1、R2、R3、R4及びR5は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、
R6、R7、R8及びR9は、独立に、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はフェニル基であり、同一の置換基が同一の炭素原子上に2個存在する場合には、それらの置換基は、同一でも異なっていても良く、
R10は、ハロゲン置換されている低級アルキル基であり、
R11は、水素原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アルカノイル基、ベンゾイル基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルスルホニル基、ベンゼンスルホニル基又はベンジルオキシカルボニル基であり、
nは、1又は2である。) - 抗菌剤である請求項2に記載の医薬組成物。
- 請求項1に記載のチオフェン骨格を有する化合物又はその塩を製造する方法であって、以下の工程、
(1) 次式(I)、
で示される化合物(I)を、次式(II)、
(2)得られた化合物(III)を、硫黄と反応させて、次式(IV)、
(3)得られた化合物(IV)を、(R10CO)2O又はR10COY(Yは、ハロゲン原子である。)と反応させて、次式(V)、
(4)得られた化合物(V)の保護基を除去した後、R11OHと縮合するか、又は(R11)2O若しくはR11Y(R11は、アルカノイル基又はベンゾイル基であり、Yは、ハロゲン原子である。)と反応させて、次式(VI)、
を含むことを特徴とする方法。 - 請求項1に記載のチオフェン骨格を有する化合物又はその塩を製造する方法であって、以下の工程、
(1) 次式(III)、
で示される化合物(III)を、硫黄と反応させて、次式(IV)、
(2)得られた化合物(IV)を、(R10CO)2O又はR10COY(Yは、ハロゲン原子)と反応させて、次式(V)、
(3)得られた化合物(V)の保護基を除去した後、R11OHと縮合するか、又は(R11)2O若しくはR11Y(R11は、アルカノイル基又はベンゾイル基であり、Yは、ハロゲン原子である。)と反応させて、次式(VI)、
を含むことを特徴とする方法。
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