JP2008259464A - 腹持ち持続剤及び飲食品 - Google Patents

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Hideki Fujiwara
英樹 藤原
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Abstract

【課題】通常の食事で摂取される澱粉質や糖質を主体とした食品に配合することにより腹持ち感を持続させ、間食や過食を抑制することが可能な腹持ち持続剤及びこれを含む飲食品(ダイエット食品)を提供すること。
【解決手段】ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉及びそれらの加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする腹持ち持続剤及びこれを含有する飲食品
【選択図】なし

Description

本発明は、腹持ち持続剤及びこれを含有する飲食品に関する。
今日、多くの人が恒常的な運動不足の状況にあり、また、飽食の時代と言われて久しく多くの人が過食傾向にあるため、肥満者はますます増加傾向にある。一方、近年メタボリックシンドロームへの関心が高まっていることもあり、抗肥満、即ちダイエットには大きな関心が寄せられている。
ダイエットの最も基本的な方法は食事の摂取制限を行い、食事のカロリー摂取過多を予防することである。具体的には朝・昼・晩に摂られる通常の食事の量を減らす、間食を減らす、あるいはカロリーを抑えた献立・食品で通常の食事を代替するといった方法がとられる。このような食事の摂取制限をする際の問題点として、(1)カロリー以外の必須栄養素(ビタミン、ミネラルなど)をも摂取制限してしまう恐れがある、(2)空腹感が常に持続することで生活の活力に影響がでる、(3)空腹感を我慢できずに食事制限をやめることで却ってリバウンド(再度肥満に戻ること)が起こりやすい、などがある。
一方、動物の摂食行動に対して指令を出す部位は間脳の視床下部であるといわれている。具体的には満腹感には満腹中枢が関与しており、空腹感には摂食中枢が関与している。前記のような食事の摂取制限をする際の問題点を考慮した場合、特に(2)、(3)においては、いかに空腹感を感じないようにするかが重要である。
ダイエットを目的とした食品は既に市販されており、有効成分として含まれる素材・組成物として、こんにゃく、寒天、黒酢、もろみ酢、ビール酵母、にがり、キトサン、ギムネマ、白インゲン等を挙げる事ができる。ダイエット食品はその目的上、長期間連用することになるため、できるだけ通常の食事に近いことが望ましい。しかしながら、例示したようなダイエット食品に添加される素材・添加物を、主食となる澱粉質・糖質主体の食品に配合した場合、味や食感への影響は避けられない。従って、ダイエット食品に関しても、ダイエット食品自体の味に問題があったり、食事のバラエティが広がらないというデメリットがあったり、食品本来の風味や食感に乏しかったりと、満足できるものではなかった。
したがって、ダイエットを目指す者にとって、通常の食事と同じように摂取でき、かつ長時間空腹感を覚えないことにより、間食や過度の食事の摂取を抑えることが最も好ましいダイエットの態様と言える。
本発明は、かかる事情に基づきなされたものであり、通常の食事で摂取される澱粉質や糖質を主体とした食品に配合することにより腹持ち感を持続させ、間食や過食を抑制することが可能な腹持ち持続剤及びこれを含む飲食品(ダイエット食品)を提供することを課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するため、澱粉質もしくは糖質の代替組成物として調理が可能で、得られた食品を通常の食事として摂取でき、しかもより長い時間腹持ち感が持続するようなダイエット食品の開発を目指し検討を重ねた結果本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉及びそれらの加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする腹持ち持続剤及びこの腹持ち持続剤を含有する飲食品を提供するものである。
本発明によれば、澱粉質又は糖質の代替物として食品に配合、調理する事が可能で、しかも食感を損なう事のない、腹持ち感に優れた素材を提供することができるので、ダイエット食品の新たな市場開拓に貢献する事ができる。
本発明の腹持ち持続剤は、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉及びそれらの加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下、「本発明の主成分」ということもある)を含有するものであり、本発明の主成分のみでも良いし、例えば、甘味料、果汁、香料、ゲル化剤、酸味料、栄養強化剤、苦味料、光沢剤、殺菌剤、酸化防止剤、色調調整剤、安定剤、着色料、調味料、保存料、賦形剤などの成分、又、アルギン酸類、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、大豆繊維、セルロース以外の食物繊維等の副成分を含むものであっても良い。
本発明の腹持ち持続剤中の本発明の主成分の含有量は、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
本発明において「腹持ち感」とは、ある一定量の食事によって得られる満腹感が持続する状態、または空腹感が抑制されている状態をいう。腹持ち持続効果は、例えば同一の被験者が同程度に空腹である初期状態から一定量の食事を摂取し、食事からの経過時間に伴う空腹感の程度を、被験者が主観的に評価し数値化することによって測定する事ができる。
本発明に使用するヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉の原料澱粉としては、あらゆる天然供給源に由来し得る。本発明において用いられる天然の澱粉は、自然界に見出されるものである。また、交雑育種、転座、逆位、形質変換、またはそれらの変形を含む、あらゆる他の遺伝子工学または染色体工学の方法を含む標準的育種技術により得られた植物に由来する澱粉も本発明に使用する原料澱粉に適している。さらに、人工的突然変異、および既知の標準的な突然変異育種方法により生産することが可能な上述の属の組成物の変異により成長した植物に由来する澱粉も、本発明に使用する原料澱粉に適している。さらに、これらの澱粉を一般的な方法により選別して原料澱粉に用いることもできる。本発明に使用する原料澱粉として、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
澱粉への代表的な供給源は、穀類、塊茎、根、豆果および果物である。天然源の具体例として、トウモロコシ、エンドウ、ジャガイモ、サツマイモ、バナナ、オオムギ、コムギ、米、サゴ、アマランス、タピオカ、クズウコン、カンナ、モロコシおよびそれらのワキシーまたは高アミロース品種が挙げられる。本明細書において用いられる「ワキシー」という用語は、少なくとも約95質量%のアミロペクチンを含有する澱粉を含むことを意味し、「高アミロース」という用語は、少なくとも約40質量%のアミロースを含有する澱粉を含むことを意味する。
本発明に使用するヒドロキシプロピル澱粉の製法は特に限定されない。例えば原料澱粉スラリーに、アルカリ条件下(pHが好ましくは10以上)、原料澱粉100質量部に対して好ましくは3〜15質量部の酸化プロピレンを糊化開始温度以下、通常40℃で12時間以上反応させる事により製造する事ができる。また、ヒドロキシプロピル澱粉はアルファ化等の処理(例えば澱粉の水懸濁液を、表面温度120〜150℃のドラムドライヤーで糊化と同時に乾燥し、次いで粉砕する)を併用してもよい。
本発明に使用するヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉の製法は特に限定されない。例えば原料澱粉スラリーに、原料澱粉100質量部に対して好ましくは0.001〜0.1質量部のオキシ塩化リンを加え、アルカリ条件下(pHが好ましくは10以上)、好ましくは糊化開始温度以下、通常40℃で1時間程度反応させた後、原料澱粉100質量部に対して好ましくは3〜15質量部の酸化プロピレンを糊化開始温度以下、通常40℃で12時間以上反応させる事により製造する事ができる。また、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉はアルファ化等の処理(例えば澱粉の水懸濁液を、表面温度120〜150℃のドラムドライヤーで糊化と同時に乾燥し、次いで粉砕する)を併用してもよい。
本発明に使用するヒドロキシプロピル澱粉又はヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉の加水分解物とはヒドロキシプロピル澱粉又はヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉を塩酸、シュウ酸等の酸や苛性ソーダ、苛性カリ等のアルカリ、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ等の酵素等により加水分解したものである。加水分解の程度は特に限定されないが、例えば酸分解の場合、pH1〜3の条件下、30〜50℃で5〜40時間の加水分解が適当である。また、酵素分解の場合、市販のα―アミラーゼを用い、その作用pH及び作用温度で30分程度の加水分解が適当である。
また本発明の腹持ち持続剤は殆ど全ての食品に使用することができる。この食品とは、ヒトの食品、動物園でのエサ及び家畜飼料、ペットフードなどを総称するものであり、従来デキストリンやマルトデキストリンが使用できる食品の全てが包含される。即ち、コーヒー、紅茶、コーラ、ジュース等の液体及び粉末の飲料類、パン、クッキー、ビスケット、ケーキ、ピザ、パイ等のベーカリー類、ウドン、ラーメン、ソバ等の麺類、スパゲッテイ、マカロニ、フェットチーネ等のパスタ類、キャンデー、チョコレート、チューインガム等の菓子類、ドーナッツ、ポテトチップス等の油菓子類、アイスクリーム、シェーク、シャーベット等の冷菓類、クリーム、チーズ、粉乳、練乳、クリーミィパウダー、コーヒーホワイトナー、乳飲料等の乳製品、プリン、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、ゼリー、ムース、ババロア等のチルドデザート類、各種スープ、シチュー、グラタン、カレー等のレトルトパウチないし缶詰類、各種味噌、醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング、ブイヨン、各種ルー等の調味料類、ハム、ソーセージ、ハンバーグ、ミートボール、コーンビーフ等の肉加工品及びそれらの冷凍食品、ピラフ、コロッケ、オムレツ、ドリア等の冷凍加工食品、クラブスティック、カマボコ等の水産加工品、乾燥マッシュポテト、ジャム、マーマレード、ピーナッツバター、ピーナッツ等の農産加工品、その他佃煮、餅、米菓、スナック食品、ファーストフードに効果的に使用できる。
本発明の腹持ち持続剤の食品への配合量は、食品の種類にもよるが通常は、食品100質量部に対して、本発明の主成分の量として3〜50質量部である。配合方法としては、食品中の澱粉質又は糖質の一部を本発明の腹持ち持続剤と置換する方法、新たに追加配合する方法等があるが、これらに限定されない。
以下に参考例、実施例を挙げ、更に詳しく本発明を説明する。但し、「部」は質量部を示す。
参考例1
水130部に、反応安定化剤としての硫酸ソーダ10部、タピオカ澱粉100部を加えたスラリーを用意し、これに攪拌下3%苛性ソーダ水溶液を加えてpH11に調整した。プロピレンオキサイド10部を加え、40℃で16時間反応させた後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥してヒドロキシプロピル澱粉を得た。得られたヒドロキシプロピル澱粉100部に水250部を加え、pH6に調整し、クライスターゼL1(α−アミラーゼ:大和化成株式会社)0.1部を添加して、攪拌しながら85℃に加熱・保持し、30分酵素分解を行った。得られた液を酸失活させ、中和の後、ろ過、精製、濃縮・乾燥し、試料No.1(ヒドロキシプロピル澱粉加水分解物)を得た。
また、還元澱粉分解物(H−PDX:松谷化学工業(株))、マルトデキストリン(TK−16:松谷化学工業(株))、難消化性デキストリン(ファイバーソル2:松谷化学工業(株))を、それぞれ試料No.2〜4とした。
実施例1
腹持ち試験飲料は表1に従って、150mLの水道水に試料No.1〜4を表1に記載された量を溶解して調製した。
被験者は健常な成人男女5名(男性4名、女性1名、平均年齢31歳)とし、試験の前日、被験者全員に同一の指定した食事を夕食として午後9時までに摂取させ、以後、試験開始まで水以外は飲食を禁止した。試験当日、被験者は朝食を摂らない状態で安静の保てる試験室に集合させた。
Figure 2008259464
空腹感は以下の5段階により評価した。
スコア5:空腹感を感じない
スコア4:少し空腹感を感じる
スコア3:空腹を感じる
スコア2:強く空腹を感じる
スコア1:空腹で耐えられない
被験者に、空腹感を評価させた直後(午前9時)、試験飲料を飲用させ、その後6時間にわたり30分ごとに空腹感を評価させた。なお試験は被験者が、「空腹で耐えられない」と感じた時点(スコア1)において終了とした。
一人の被験者に試験飲料A〜Dまでサンプルを換えて4回試験を実施した。1回の試験終了後、次の試験までウォッシュアウト期間として1週間、間隔をあけた。
結果を図1に示す。データは各測定時間におけるスコアの平均として表した。試験飲料A、即ちヒドロキシプロピル澱粉加水分解物を成分とした試験飲料を摂取した場合、他の澱粉質と比較して腹持ちがよいという結果が得られた。
ヒドロキシプロピル澱粉は生体内で消化酵素の作用により、加水分解される。従って、ヒドロキシプロピル澱粉にもヒドロキシプロピル澱粉加水分解物と同様の効果があることは、容易に予測される。
実施例2
表2の処方に従ってヒドロキシプロピル澱粉加水分解物を含む食事代替用の粉末飲料を調製した。この粉末飲料を水400部に溶解させる事で良好な飲料を得た。








Figure 2008259464
※1 森永乳業株式会社製
※2 ADMファーイースト株式会社製
※3 味の素ヘルシーサプライ株式会社製
※4 ミヨシ油脂株式会社製
※5 株式会社明治フードマテリアル製
※6 高田香料株式会社製
実施例3
表3の処方に従ってヒドロキシプロピル澱粉加水分解物を含むゼリーを調製し、良好な製品を得た。
Figure 2008259464
※1 大日本製薬(株)(ケルコゲル)
※2 雄山商事(株)
※3 高田香料(株)(マスカットエッセンス#50631)
参考例2
水130部に硫酸ソーダ20部、馬鈴薯澱粉100部を加えたスラリーを用意し、これに攪拌下3%苛性ソーダ水溶液30部、オキシ塩化リン0.1部を加え40℃で1時間反応させた。得られた試料にプロピレンオキサイド10部を加え、40℃で20時間反応させた後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.5(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉)を得た。
実施例4
表4に示す中華まん生地配合(質量部)を用いて、一般的な製造条件に従ってあんまんを試作した。この結果、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉を含まない比較例との比較により、製造適性、味、風味ともほぼ同等の製品を得た。
Figure 2008259464
※1:奥野製薬工業株式会社製 トップベーキングパウダーDX
※2:日清フーズ株式会社製 スーパーカメリヤドライイースト
参考例3
水130部に硫酸ソーダ20部、馬鈴薯澱粉100部を加えたスラリーを用意し、これに攪拌下3%苛性ソーダ水溶液30部、プロピレンオキサイド10部を加え、40℃で20時間反応させた後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.6(ヒドロキシプロピル澱粉)を得た。
実施例5
表5に示す製パン配合を用いて、通常の中種工程により、全粒粉入り食パンを試作した。この結果、ヒドロキシプロピル澱粉を含まない比較例との比較において、製造適性はほぼ同等であり、実施例は、よりしっとりとしたソフトな製品を得た。










Figure 2008259464
試験飲料の腹持ち効果を評価したグラフである。

Claims (2)

  1. ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉及びそれらの加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする腹持ち持続剤。
  2. 請求項1に記載の腹持ち持続剤を含有する飲食品
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