JP2008258025A - イオン源 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン化室へのイオン供給量および生成するプラズマを不安定にせずに、イオン源の出口でのビームスポットを極小化して高輝度の集束イオンビームを発することができるイオン源を提供することである。
【解決手段】気体などのイオン化材料をイオン化室2に供給する供給部3と、供給されたイオン化材料をイオン化させてイオン化室2から引き出すための引き出し電極4を備えたイオン源1で、イオン化室2内の引き出し電極4の引き出し方向前方に、絶縁体からなる先細り形状のキャピラリ6を配置し、生成したイオンをこのキャピラリ6を通過させてイオン化室2から引き出すようにした。それによりイオン材料のイオン化室2への供給量が極小化することはないため、イオン供給量が不安定とならず、キャピラリ出口の径寸法の高輝度の集束イオンビームをイオン源から発することができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、半導体をはじめとする各種材料の定量分析や組成分析を行う分析装置分野、イオンを材料に注入して表面改質や表面加工などを行なうイオン注入およびイオン加工分野、イオンを照射することにより殺菌や表面特性の改善などの効果が得られるイオン照射分野などに用いられるイオンビーム装置のイオン源に関するものである。
イオンビームは、上記のような各種分野で利用されている。従来から、イオンビームを集束させるためには、イオンビーム装置のイオン源が点光源であることが望まれている。例えば、特許文献1では、一方の末端側で外径及び内径が一方の末端に向かって小さく形成され、他方の末端から液体試料が導入されるキャピラリが使用され、このキャピラリの外周に沿ってガスを流してほぼ音速のガス流が形成され、前記一方の末端側から液体試料が集束・噴霧されて、気体状イオンが効率よく生成される質量分析装置のイオン源が記載されている。また、特許文献2では、イオンとして引き出される微粒子を液体に溶解・攪拌した混合液をテーパ状に絞られたキャピラリの先端部から吐出させ、陽極と陰極からなる電極間が形成する電界内で微粒子をイオン化し、陰極から微粒子を引き出すようにしたイオン源が記載されている。さらに、特許文献3では、低温度に保持された液体窒素などの液体のイオン材料をイオン化領域に導くために、先端がイオン化材料が滲みだす程度に細径化された金属製キャピラリを備え、前記イオン化材料が引き出し電極によってイオン化され、荷電液滴として前記キャピラリ先端から離脱させ、下流の第2キャピラリを通過させてビーム集束するようにしたイオン源が記載されている。これらの特許文献1〜3に記載されているように、イオン源に供給されるガスまたは液体イオン材料を、一端側を細径にしたキャピラリを通過させて集束させることにより、プラズマの発生箇所を点光源化する方法が考案されている。
特開2004−95451号公報 特開2004−165042号公報 特開平7−161322号公報
図5は、従来技術のイオン源の一例を模式的に示したものである。ガスまたは液体イオン材料は供給管3の一端側に設けられた細径のキャピラリ6で絞られて吐出され、引き出し電極4により、キャピラリ6の先端側でプラズマが形成され、イオンビーム8がイオン源1から引き出されるため、ガスまたは液体のイオン材料のイオン源1への供給箇所が極小化され、プラズマ発生域5も極小化される。
図5に示したように、プラズマ発生域5が極小化すると、プラズマが不安定となる。また、前記ガスまたは液体のイオン材料のイオン源への供給量も極小化するため、プラズマが不安定になるとともに、キャピラリ6の先端6dがガスまたは液体のイオン材料により磨耗し、イオン供給量も不安定となる。さらにキャピラリ6の先端6dがプラズマに曝されてスパッタリング等により消耗することもイオン供給量が不安定となって、プラズマを不安定にする要因となる。
そこで、この発明の課題は、イオン化室へのイオン供給量および生成するプラズマを不安定にせずに、イオン源の出口でのビームスポットを極小化して高輝度の集束イオンビームを発することができるイオン源を提供することである。
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
請求項1に係るイオン源は、イオン化材料をイオン化室に供給する供給部と、供給されたイオン化材料をイオン化させてイオン化室から引き出すための引き出し電極を備えたイオン源であって、前記イオン化室内の、前記引き出し電極の引き出し方向前方に、引き出し方向に先細りとなるように形成された、絶縁体からなるキャピラリを配置し、生成したイオンを前記キャピラリを通過させてイオン化室から引き出すようにしたことを特徴とする。
イオン化室で生成したイオンは、引き出し電極の電位により、イオン化室、すなわちイオン源から引き出される。このイオンを、イオン源から引き出される前に上記引き出し方向に先細りとなるように形成されたキャピラリを通過させることにより、イオンがキャピラリの内表面にぶつかり(衝突し)、キャピラリ内表面がイオン化される。前記イオンが正イオンであれば、キャピラリ内表面は+に帯電する。この+に帯電したキャピラリ内表面では、もともと存在する原子核の+電荷も加わって、次に到達するイオン(+イオン)に対して、クーロン力により反発する力が作用するため、この反発力の作用が引き出し後のイオンの発散角を小さくする方向に働く。したがって、単にイオンビームをカットして発散角を小さくした場合に比べて、キャピラリ出口(先細り形状の先端開口)から出るイオン(+)量を増加させる結果となる。このようなイオンの流れにより、キャピラリ出口の径寸法の高輝度のイオンビームをイオン源から発することが可能となる。なお、前記イオン化材料としては、気体が望ましいが、この気体のイオン源への供給過程で、金属イオンを含有させてもよい。また、液体のイオン化材料を使用することも可能である。
また、キャピラリを引き出し電極の引き出し方向前方に配置しているため、気体または液体のイオン材料のイオン化室への供給量は、前述のような極小化することはないため、イオン供給量が不安定とならず、キャピラリの先端がプラズマに曝されてスパッタリング等により消耗することはなく、したがって、プラズマが不安定となることもない。
請求項2に係るイオン源は、前記キャピラリが引き出し方向に曲線状に先細りとなるように形成されたことを特徴とする。
前述のように、+に帯電したキャピラリ内表面では、次に到達するイオン(+イオン)に対して、クーロン力により反発する力が作用するため、この反発力の作用が引き出し後のイオンの発散角を小さくする方向に働く。上記キャピラリは、引き出し方向に曲線状に先細りとなるように形成されているため、すなわちその内表面がイオン化した気体の引き出し方向に曲がって(湾曲して)先細り形状に形成されたているため、キャピラリ内表面の(+)帯電、およびもともと存在する原子核の+電荷による前記クーロン力により、イオン(+イオン)もキャピラリの曲がって形成された(湾曲した)内表面と同じ方向に曲がり、イオン化室、すなわちイオン源の出口で、生成したイオンの引き出し方向を曲げることが可能となる。また、イオン化室でイオン化されていない中性粒子は、前記クーロン力を受けないため、キャピラリの内表面の湾曲した形状の影響を受けずに直進し、キャピラリの内表面に当たる、または一部はそのまま直進する。そして、キャピラリを出てから、気体イオンと中性粒子との軌道が異なってくるため、生成したイオンと中性粒子との分離が可能となる。
この発明では、気体などをイオン化材料とするイオン源で、引き出し電極の引き出し方向前方に、引き出し方向に先細りとなるように形成された、絶縁体からなるキャピラリを配置し、生成したイオンを、この先細り形状のキャピラリを通過させてイオン化室から引き出すようにしたので、気体などのイオン化材料のイオン化室への供給量が極小化することがないため、イオン供給量が不安定とならない。また、キャピラリの先端がプラズマに曝されてスパッタリング等により消耗することがないため、プラズマが不安定となることもない。これらにより、単にビームカットにより発散角を小さくした場合に比べてイオン量が増加し、キャピラリ出口の径寸法の高輝度の集束イオンビームをイオン源から発することができる。
以下に、この発明の実施形態を添付の図1から図4に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施形態のイオン源を模式的に示したものである。例えば、ヘリウム(He)、水素(H2)、窒素(N2)、アルゴン(Ar)などの気体のイオン化材料は、イオン源1の真空状態に減圧されたイオン化室2にガス導入管(供給管)3によって供給される。このガス導入管3の供給端部3aの前方に、イオン化材料をイオン化させてイオン化室2から引き出すための引き出し電極4が配置され、この引き出し電極4の引き出し方向の前方に、ガラスまたはセラミックスなどの絶縁体からなる、例えば円錐形状などの、内表面(内周面)6aが引き出し方向に直線状の先細り形状に形成されたキャピラリ5が、引き出し電極4と同芯状に配置されている。ガス導入管3によってイオン化室2に供給された前記気体イオン化材料は、引き出し電極4の電位によってイオン化されて、ガス導入管3の供給端部3aと引き出し電極4の間にプラズマ発生域5が生じる。このプラズマ発生域5から引き出し電極4によって引き出されたHe、H、N、Arなどの気体イオンは、前記先細り形状のキャピラリ6を通過する。その際、図2(a)に模式的に示すように、気体イオン7がキャピラリ6の内表面6aにぶつかり(衝突し)、気体イオン7が前記He、H、N、Arなどのように+イオンであれば、この+イオン7は粒子または物体とぶつかると中性粒子となる性質があるため、キャピラリ内表面6aとぶつかることにより、キャピラリ内表面6aは+に帯電する。キャピラリ6の中央部を通過する気体イオンはそのままキャピラリ6を通過する。そして、引き出された気体イオン(+イオン)7は、図2(b)に示すように、キャピラリ内表面6aにあたり、キャピラリ内表面6aが帯電していく。引き出し電極4によってプラズマ発生域5から引き出された気体イオン(+)7がキャピラリ6の内表面6aに衝突し続けることで、図2(c)に模式的に示すように、キャピラリ6の内表面6aの帯電量は増加していく。気体イオン7は、ビームとして、キャピラリ6の内表面6aの広範囲にわたってあたる(衝突する)ため、キャピラリ6の内表面6aのいたるところで帯電(+)している。
前記キャピラリ6の内表面6aでは、図2(c)に示したように、この内表面6aに到達する気体イオン(+)7には、内表面6aに反発する方向(矢印Fで表示)にクーロン力が働くため、内表面6aから離れる方向に力を受け、気体イオンはキャピラリ6の内表面6aに近づくことができずに曲がる。一方、気体イオンの進行(引き出し)方向へのクーロン力の分力は保存されているので、気体イオン7は、円錐状などの先細り形状のキャピラリ6の頂部の狭い出口6bから出て行くことになる。この出口6bから、ほとんどの気体イオンが出て行くことになるため、キャピラリ6の出口6bの径寸法により、イオンビームの輝度が決まることになる。なお、前記イオン化材料としては、ヘリウム(He)、水素(H)、窒素(N)、アルゴン(Ar)などの気体が望ましいが、これらの気体のイオン源への供給過程で、この気体に、Gaイオン、Feイオン、Liイオンなどの金属イオンを含有させてもよい。また、Ga、Liなどの金属をイオン源内で溶かして、液体のイオン化材料として使用することも可能である。
図3は、引き出し電極4の引き出し方向前方に配置される先細り形状のキャピラリ6Aが、イオン化した気体の引き出し方向に、曲線状に先細りとなるように形成されている場合、すなわち内表面(内周面)が引き出し方向に曲がって(湾曲して)形成された場合を模式的に示したものである。前述の、キャピラリ6が直線状の先細り形状の場合と同様に、キャピラリ6Aの内表面(内周面)6aの帯電量が増加していくと、この内表面6aに到達する気体イオン(+)7は、内表面6aに反発する方向(矢印Fで表示)にクーロン力が働くため、内表面6aから離れる方向に力を受け、気体イオン(+)7はキャピラリ6Aの内表面6aに近づくことができずに、内表面の曲がった(湾曲した)面に沿って曲がることになる。そして、この曲線状の先細り形状のキャピラリ6Aの出口6bからほとんどの気体イオン(+)7が出て行くことになり、キャピラリ6の出口6bの径寸法により、イオンビームの輝度が決まることになる。なお、前記引き出し方向に、曲がった(湾曲した)先細り形状となるように形成されたキャピラリ6の寸法の一例を挙げると、入口6cの相当直径D1がφ1〜φ10mm、出口6bの相当直径D2がφ1μm〜1mm、長さLcが10〜50mmである。そして、キャピラリ6Aの湾曲の程度は、入口6cと出口6bの内周面6aが、生成したイオンの引き出し方向に円弧状に形成されていると見なしたときの、この円弧に対する円周角が0.1〜5度程度の湾曲である。
なお、前記キャピラリ6および6Aの代わりに、ガラスまたはセラミックスなどの絶縁体からなる平板を上下に、引き出し方向に先細り形状となるように配置したビーム集束手段(図示省略)を用いることもできる。図2に示した直線状の先細り形状、図3に示した曲線状の先細り形状、前記ビーム集束手段のいずれの場合も、イオン化していない中性粒子は、図4に示すように、キャピラリ6の内表面6aからクーロン力を受けないため直進し、キャピラリ6の内表面6aにあたって(衝突して)キャピラリ6に吸収されるか、または、キャピラリの出口6bから出て行った場合でも直進するため、キャピラリ6の内表面6aからクーロン力を受けたイオンとキャピラリ6を出てからの進行方向に差異があることにより、キャピラリ6を出てから、それぞれ分離できる。
この発明の実施形態のイオン源を模式的に示す説明図である。 (a)〜(c)図1のイオン源の先細り形状キャピラリの帯電状況を模式的に示す説明図である。 他の実施形態のイオン源の先細りキャピラリにおける帯電状況を模式的に示す説明図である。 実施形態のイオン源での中性粒子の挙動を模式的に示す説明図である。 従来技術のイオン源を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1:イオン源 2:イオン化室 3:ガス導入管(供給管)
4:引き出し電極 5:プラズマ発生域 6、6A:キャピラリ
6a:キャピラリ内表面 6b:キャピラリ出口 6c:キャピラリ入口 6d:キャピラリ先端 7:気体イオン(+) 7a:中性粒子
8:イオンビーム

Claims (2)

  1. イオン化材料をイオン化室に供給する供給部と、供給されたイオン化材料をイオン化させてイオン化室から引き出すための引き出し電極を備えたイオン源であって、前記イオン化室内の、前記引き出し電極の引き出し方向前方に、引き出し方向に先細りとなるように形成された、絶縁体からなるキャピラリを配置し、生成したイオンを前記キャピラリを通過させてイオン化室から引き出すようにしたことを特徴とするイオン源。
  2. 前記キャピラリが引き出し方向に曲線状に先細りとなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載のイオン源。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011165561A (ja) * 2010-02-12 2011-08-25 Toyo Univ イオンビーム軌道制御装置

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