JP2008256993A - 液晶表示素子とその製造方法 - Google Patents

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川邊俊一
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Abstract

【課題】
ビーズスペーサを用いた液晶表示素子の不良発生の要因である液晶表示素子の製造過程及び搬送におけるビーズスペーサの位置ずれを抑え、その表示品質を確保すること。
【解決手段】
液晶表示素子を成す一対の基板の少なくとも一方の主面に配置されたビーズスペーサを配向膜又は有機材料膜で当該主面に固着させる。具体的には、基板主面に配置されたビーズスペーサを配向膜で覆い、または基板主面に形成された配向膜に有機材料膜でビーズスペーサを固着させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示素子(液晶表示パネル)の構造及び製造方法に係り、液晶表示素子を成す一対の基板間に空間を形成するビーズスペーサの配置を最適化するものである。
液晶表示パネル(液晶表示素子)9は、図9に示すように薄膜トランジスタが形成されたTFT(Thin Film Transistor)基板1aと赤,青,緑の色フィルタ14R,14G,14Bが形成されたCF(Color Filter)基板1bに代表される一対(2枚)の基板の間に液晶5を挟み込み、それら2枚の基板1aと1bを貼り合わせて、その周囲をシール材で囲み且つ接着固定した構造となっている。
液晶表示パネル9では、この液晶5が封入される2枚の基板1a,1bの間隔g(以下セルギャップと呼ぶ)が表示品質を決定づける重要な要素である。特に、このセルギャップgの絶対寸法と液晶表示パネル9の表示領域全面でのセルギャップgの均一性が重要となる。そのためこのような構成の液晶表示パネル9においては、2枚の基板の間隔を一定に保つために、図9に示すような粒径の均一なガラスまたは合成樹脂製の球形透明粒子スペーサ3(以下ビーズスペーサと呼ぶ)を2枚の基板の間に散布し利用するのが一般的である。
しかし、ビーズスペーサ3を基板上に散布し用いる方式の液晶表示パネルでは、ビーズスペーサを基板上に多数散布した後に組立作業を行うため、製造時にビーズスペーサが当該基板からこぼれだし、これが製造ラインの汚染をもたらし、製品不良の原因となる。また、組立が完了した液晶表示パネルにおいても、表示画素内に液晶と一緒にビーズスペーサが入っていると、ビーズスペーサが液晶を排除するため、この部分では所定の光の偏向が起こらず表示不良となる。例えばビーズスペーサに透明な粒子を使用し、液晶表示パネルを黒色表示に設定したときには、ビーズスペーサ部分のみ輝点となってしまう。
また、表示画素中にビーズスペーサが存在している場合、そのビーズスペーサ近傍の液晶分子の配列が乱され、この部分に光り漏れが発生する。これにより、液晶表示パネルのコントラストが低下し、表示品質に悪影響を及ぼすという問題が発生する。その為、図10に示すようにCF基板1b上の画素部と画素部の間(複数の画素14を隔てる非表示エリア部15の間。以下BM部と呼ぶ遮光層部)に柱状のスペーサ3a(以下フォトスペーサと呼ぶ)を設ける方法が提案され利用されている。
このフォトスペーサ3aは、一般的には次のような方法にて形成される。
(1)基板の主面上にスペーサとなる感光性樹脂をスピンコート法やスリットコート法あるいは印刷等によって所定の厚みとなるよう調整しながら塗布
(2)感光性樹脂を乾燥
(3)スペーサの部分が基板上で凸形状となるようなフォトマスクを用い、該フォトマスク越しに感光性樹脂を、露光用光源を用いて露光
(4)現像処理を実施し、スペーサとしない部分に塗布されている感光性樹脂の除去
(5)基板に付着している現像液の洗浄及び基板の乾燥
このような方法にて形成されるフォトスペーサは、表示品質に影響を与えない画素部と画素部の間の遮光部(ブラックマトリクス,BM)15の任意の位置に配置することが可能である為、ビーズスペーサで問題となっていたフォトスペーサ部分からの光抜けによる表示品質低下を防止することが出来る。
しかし、このようなフォトスペーサを基板に形成するには、前述したような工程が必要であり、コストアップに繋がるとともに、基板全面でフォトスペーサの高さを均一に揃えるには、技術的な課題も多い。
そこで近年、フォトスペーサに代えて、従来から使用されていた粒径の均一な合成樹脂製のビーズスペーサを基板上にランダムに配置するのではなく、インクジェット法や印刷法を用いて表示品質に影響を与えない画素部と画素部の間の遮光部を狙って配置する技術が検討され始めている。
ビーズスペーサの定点配置が可能となることにより、上述したフォトスペーサ形成に必要であったフォトリソ工程が必要なくなる。このため、フォトスペーサの材料である感光性樹脂やこれらの現像処理に必要な現像液や洗浄液が必要なくなり、原価低減に寄与するばかりでなく、資源や環境に配慮した量産技術の確立にも有効である。
ビーズスペーサの定点配置技術及びビーズスペーサの固着力に関する知見は、下記特許文献1乃至5に開示される。
また、ビーズスペーサが配置される配向膜の材料や特性は、下記特許文献6乃至12に開示される。
特開2005−37721号公報 特開2005−4094号公報 特開2004−170537号公報 特開2004−37855号公報 特開2006−53380号公報 特開平11−228823号公報 特開2006−30961号公報 特開2005−275118号公報 特開2003−295195号公報 特開2006−17982号公報 特開2006−152247号公報 特開2006−10995号公報
ビーズスペーサをフォトスペーサの様に予め基板上の画素部と画素部の間に配置することが出来た場合、該ビーズスペーサが表示品質に影響を与えることは無くなる。 しかし、この状態を保ち続けるには、ビーズスペーサを基板上に固定する必要がある。
通常ビーズスペーサを基板上に固定するには、ビーズスペーサ表面に接着剤をコーティングし、熱を加えることによって、ビーズスペーサと基板に接着力を発生させる方法や、ビーズスペーサを散布する際の分散液に接着力を持たせる方法などがある。
しかし、前述した方法の場合、ビーズスペーサの固定力はまだまだ十分ではない為、液晶表示パネルの組立工程にて表示品質に影響を与えない画素部と画素部の間に配置したはずのビーズスペーサが、有効画素内に移動してしまう場合や、液晶表示パネルの搬送中或いは使用中に、振動などによって有効画素内に移動してしまう恐れがあった。
そこで本発明の目的は、液晶表示パネルの組立中や、搬送中或いは使用中に、表示品質に影響を与えない画素部と画素部の間に配置したはずのビーズスペーサが、有効画素内に移動して表示品質に悪影響を与えない液晶表示パネルの構造及びビーズスペーサを用いた液晶表示パネルの製造方法を提供することである。
前記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明では以下の手段を用いる。
[手段1]ビーズスペーサを基板上に配置した後に、液晶分子の方向を一方向に揃える働きを持たせるために必要な配向膜を、ビーズスペーサ共々、基板全面に塗布する。
この手段に対し、本発明による液晶表示素子(液晶表示パネル)は:
夫々の主面が間隙を介して互いに対向するように貼り合わされた一対の基板;
前記一対の基板の夫々とは別に用意され且つ当該基板の前記主面間に配置された複数のビーズスペーサ;及び
前記間隙に液晶分子を封止して成る液晶層を備え、
前記一対の基板の一方には、その前記主面の反対側に前記液晶表示パネルの表示画面が設けられ、且つ当該表示画面内には前記液晶層の光透過率が各々制御される複数の画素が二次元的に設けられ、
前記ビーズスペーサは、前記一対の基板の少なくとも一つの前記主面の、前記表示画面の前記画素間に設けられた非表示部に対向する領域に配置され、
前記少なくとも一つの基板の前記主面には、前記液晶分子を配向させる配向膜と、当該配向膜とは組成が異なり且つ前記領域にて当該配向膜に覆われた有機膜とが形成され、
前記ビーズスペーサは、前記配向膜及び前記有機膜の各々に付着されて、前記領域内に納められていることを特徴とする。
前記有機膜は、例えば前記配向膜に含有される有機物質より表面張力の高い有機物質又はこれから派生する有機分子を含む。
また、前記配向膜は、これを形成する樹脂とは異なる第1有機物質及び第2有機物質を含み、前記第1有機物質は、第1の有機溶媒又はこれから派生する有機分子であり、前記第2有機物質は、前記第1の有機溶媒より表面張力の高い第2の有機溶媒又はこれから派生する有機分子であり、前記有機膜における前記第1有機物質に対する前記第2有機物質の比率は、前記配向膜における該比率より高い。
また、前記配向膜及び前記有機膜は、同じ樹脂膜で形成され、該樹脂膜に含有される該樹脂膜以外の有機物質及びその含有率の少なくとも一つで相違する。
一方、夫々の主面が間隙を介して互いに対向され且つ当該主面間で液晶層を挟持する第1基板及び第2基板と、当該第1基板の主面に形成され且つ当該液晶層を成す液晶分子を配向させる配向膜とを備える液晶表示素子(液晶表示パネル)の製造方法として、本発明は:
前記第1基板及び前記第2基板とは別に用意された複数のビーズスペーサを、分散液とともに、該第1基板の主面の画素間に位置する非表示部に着弾させる第1工程と、
前記第1基板の主面に前記配向膜の前駆体を含む溶液を塗布する第2工程と、
前記前駆体溶液の塗布膜を硬化させて前記配向膜を形成する第3工程とを順次行い、
前記分散液は、前記第2工程の開始時に前記第1基板の主面に残る溶媒を含有し、
前記溶媒は、前記前駆体溶液より大きい表面張力を示すように調製される。
前記第2工程において、前記前駆体溶液は前記ビーズスペーサを覆うように塗布される。
[手段2]液晶分子の方向を一方向に揃える働きを持たせるために必要な配向膜が塗布された基板上にビーズスペーサが配置してある場合、ビーズスペーサを覆うように樹脂材料(例えば既に基板上に塗布してある配向膜と同様の材料)を基板の主面に塗布する。
この手段に対し、本発明による液晶表示素子(液晶表示パネル)は:
夫々の主面が間隙を介して互いに対向するように貼り合わされた一対の基板;
前記一対の基板の夫々とは別に用意され且つ当該基板の前記主面間に配置された複数のビーズスペーサ;及び
前記間隙に液晶分子を封止して成る液晶層を備え、
前記一対の基板の一方には、その前記主面の反対側に前記液晶表示パネルの表示画面が設けられ、且つ当該表示画面内には前記液晶層の光透過率が各々制御される複数の画素が二次元的に設けられ、
前記一対の基板の少なくとも一つの前記主面には前記液晶分子を配向させる配向膜が形成され、
前記ビーズスペーサは、前記配向膜上の前記表示画面の前記画素間に設けられた非表示部に対向する領域に配置され、且つ当該配向膜とは組成が異なり且つ当該領域にて当該配向膜上に付着した有機膜に付着されて、前記領域内に納められていることを特徴とする。
前記有機膜は、前記配向膜を形成する樹脂とは異なる組成の樹脂で形成される。また、前記配向膜及び前記有機膜は、同じ樹脂膜で形成され、当該樹脂膜に含有される当該樹脂膜以外の有機物質及びその含有率の少なくとも一つで相違する。
一方、夫々の主面が間隙を介して互いに対向され且つ当該主面間で液晶層を挟持する第1基板及び第2基板、当該第1基板の主面に二次元的に配置された複数の画素と当該画素間に位置する非表示部、及び当該第1基板の主面に形成され且つ当該液晶層を成す液晶分子を配向させる配向膜とを備える液晶表示素子(液晶表示パネル)の製造方法として、本発明は:
前記第1基板の主面に前記配向膜の前駆体を含む溶液を塗布して当該主面上に当該前駆体溶液の塗布膜を形成し、且つ当該塗布膜の乾燥又は焼成により当該配向膜を形成する第1工程と、
前記第1基板及び前記第2基板とは別に用意された複数のビーズスペーサを、分散液とともに、前記配向膜の前記非表示部を覆う領域上に着弾させる第2工程と、
前記ビーズスペーサを前記配向膜の前記領域上に固着させる樹脂材料又はその前駆体を含む有機材料液で前記ビーズスペーサを覆い、当該有機材料液を乾燥し且つ焼成する第3工程とを順次行い、
前記分散液及び前記有機材料液は、前記配向膜の前駆体を含む溶液より高い表面張力を示すように調製される。
また、前記有機材料液は、前記樹脂材料の前駆体として前記前駆体溶液に含まれる前記配向膜の前駆体を含む。さらに、前記第1工程後で且つ前記第2工程前に、前記配向膜にラビング処理が施される。
また、上述した液晶表示素子の製造方法の他に、本発明は:
夫々の主面が間隙を介して互いに対向され且つ当該主面間で液晶層を挟持する第1基板及び第2基板、当該第1基板の主面に二次元的に配置された複数の画素と当該画素間に位置する非表示部、及び当該第1基板の主面に形成され且つ当該液晶層を成す液晶分子を配向させる配向膜とを備える液晶表示素子を、
前記第1基板の主面に前記配向膜の前駆体を含む溶液を塗布して当該主面上に当該前駆体溶液の塗布膜を形成し、且つ当該塗布膜の乾燥又は焼成により当該配向膜を形成する第1工程と、
前記第1基板及び前記第2基板とは別に用意された複数のビーズスペーサを、分散液とともに、前記配向膜の前記非表示部を覆う領域上に着弾させる第2工程とを順次行い、
前記分散液に、前記ビーズスペーサを前記配向膜の前記領域上に固着させる樹脂材料又はその前駆体を含ませ、且つ前記配向膜の前駆体を含む溶液より高い表面張力を示すように調合し、且つ
前記第2工程にて前記分散液を乾燥し且つ焼成して製造する方法を提供する。
本発明によれば、液晶表示素子の基板へのビーズスペーサの固着力が向上するため、液晶表示素子の組立時や搬送時及び使用中におけるビーズスペーサのシフトが抑止され、画素部と画素部の間の表示品質に影響を与えない領域(非表示部)に配置したビーズスペーサが当該画素部へ移動することによる表示不良が防がれる。
また、従来から知られたビーズスペーサを用いるも、これを例えば配向膜に用いるような有機材料膜で基板主面の非表示部に固着させることにより、当該基板主面への配向膜の印刷や乾燥の工程、当該基板を備えた液晶表示素子をフレーム等へ組み付ける工程、液晶表示素子の搬送時及び使用時等にて、ビーズスペーサがこれに加えられた外力で破壊(塑性変形)される確率は格段に下がる。その理由は、ビーズスペーサを基板主面に固定する配向膜や有機材料膜が、その可撓性により、ビーズスペーサに加わる外力を吸収するにあるとも考察される。このため、ビーズスペーサの変形や破壊による液晶表示素子のセルギャップ変化が抑止され、不良品の発生確率が低減される。さらに、有機材料膜で支持されたビーズスペーサは、これに加わる外力を自らの反力による広い範囲での弾性変形で吸収するため、高品質な液晶表示素子の高歩留まりでの量産を可能にする。
本発明による液晶表示装置の構造及び製造方法を詳述する前に、この液晶表示装置の主な構成要件の詳細について説明して、後述する本発明の特徴を明確にする。
<ビーズスペーサ3の材料>
スペーサとして用いる球状や円筒状を呈する「片(Chip)」は、シリカ等の無機材料やプラスチック等の有機材料により形成される。後者は、プラスチックビーズ(Plastic Beads)とも呼ばれ、特に有機高分子で形成されたものは、これが接する配向膜等の樹脂層を傷つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚みの変化に追随しやすく、液晶表示装置内部での移動が比較的少ない。このプラスチックビーズを成す有機高分子は、例えば、「スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン等のスチレン誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;並びにン(メタ)アクリル酸メチル、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体に代表される単官能単量体」と、「ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;並びにプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートに代表される多官能単量体」との混合物の重合により得られる。
後述するスペーサ(ビーズスペーサ)3として、上述したプラスチックビーズを用いることが望ましく、その形状は球状や円筒状に限定されない。
<ビーズスペーサ3の分散液>
スペーサ分散液(Spacer dispersion liquid)の媒体として、水溶性又は親水性の液体を用いることが好ましい。インクジェットヘッド(インクジェットノズル)を用いてスペーサをポリアミド樹脂やポリイミド樹脂等からなる配向膜表面に配置するとき、この媒体として、配向膜を異物で汚染しない溶媒、即ち、配向膜に浸透し難く且つこれを溶解し難い溶媒を用いることが望ましい。このような分散液は、その基板主面へのスクリーン印刷においても、スクリーン版に形成された開口を目詰まりさせることなく当該主面に印刷され、この主面内の所望の位置にビーズスペーサ3を高い精度で配置させる。
インクジェットノズルから液滴を被加工物(本実施例では基板上に形成された薄膜の表面、以下、試料(Specimen))に向けて吐出させるとき、この液滴となる溶液の20℃の雰囲気における望ましき表面張力は30mN/m以上且つ50mN/m以下の範囲にあり、その望ましき粘度は0.5mPa・s以上且つ15mPa・s以下の範囲にある。なお、本願明細書では、表面張力をmN/m(ミリニュートン/メートル)の単位で記すが、この値はdyne/cm(ダイン/センチメートル)の単位でも記され、1mN/mの表面張力は、1dyne/cmとも記される。また、本願明細書では、粘度をmPa・s(ミリパスカル・秒)の単位で記すが、この値はcp(センチポアズ)の単位でも記され、1mPa・sの粘度は、1cpとも記される。インクジェットヘッドから吐出される液体の望ましき表面張力及び粘度の値は文献に応じて相違し、例えば特許文献5には、20℃の雰囲気における望ましき表面張力が20mN/m以上且つ50mN/m以下の範囲にあり、その望ましき粘度が0(零)mPa・s以上且つ50mPa・s以下の範囲にあると教示される。
特許文献4は、スペーサ分散液の媒体を、沸点の異なる少なくとも2種類の溶媒の混合液として調製することを推奨する。当該2種類の溶媒の一方は、その他方より高い沸点を示し、本明細書では、以降、特に断りのない限り、前者を「高沸点溶媒」、後者を「低沸点溶媒」として夫々記す。高沸点溶媒として、沸点が150℃以上の溶媒を用いるとよく、例えば,インクジェット法による配向膜形成に用いるインクの溶媒が利用できる。この種のインク溶媒として、特許文献6や特許文献7には、N−メチルー2−ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidinone,表面張力=41mN/m,沸点204℃,以下、NMPと略す)、γ−ブチロラクトン(γ-butyrolactone,表面張力=43.9mN/m,沸点203℃,以下、GBLと略す)、2−ブトキシエタノール(2-n-butoxyethanol,ブチルセロソルブ(n-butyl cellosolve)とも呼ばれる,表面張力=27.4mN/m,沸点171℃,以下、BCと略す)、N,N−ジメチルアセトアミド(N,N-dimethylacetamide,表面張力=32mN/m,沸点166℃,以下、DMAと略す)、及びジエチレングリコールジエチルエーテル(diethylene glycol diethyl ether,表面張力=25mN/m,沸点189℃)が例示されている。
一方、低沸点溶媒としては、沸点が100℃以下の溶媒を用いるとよく、例えば、純水、エタノール(沸点78.3℃),n−プロパノール(沸点97.2℃),2−ブタノール(沸点100℃)等の低級アルコール類、ジエチルエーテル(沸点35℃),イソプロピルエーテル(沸点69℃)等の低級アルキルエーテル類、メチルアセテート(沸点56℃)等のアルキルエステル類、及びアセトン(沸点56.5℃)等のケトン類が利用できる。
<液晶表示装置の構造>
上述したスペーサ分散液がインクジェットノズルより滴下され又は印刷される主面を有する基板の構造を明らかにするために、本発明による液晶表示装置の構造を図5及び図6を参照して説明する。
図5は、VA(Vertical Alignment(垂直配向)の略)方式による液晶表示装置の画素の一例を示し、図5(a)には図5(b)に示された画素の平面構造のA−A’線で液晶表示パネルを切断した断面が示される。図6は、IPS(In-Plane-Switching(面内スイッチング)の略)方式による液晶表示装置の画素の一例を示し、図6(a)には図6(b)に示された画素の平面構造のA−A’線で液晶表示パネルを切断した断面が示される。
いずれの液晶表示装置においても、一対の基板1a,1bが夫々の周縁でシール剤により貼り合わされ、屈折率異方性に応じた楕円で示された液晶分子5aは、これらの基板間で且つシール剤に囲まれた空間に封止されて液晶層5を成す。一対の基板の一方1aは、その液晶層5に対向する主面に形成された薄膜トランジスタ(TFT)10に因み、本明細書では便宜的にTFT基板と記される。一対の基板の他方1bは、その液晶層5に対向する主面に形成された色フィルタ(CF)14に因み、本明細書では便宜的にCF基板と記される。本発明が適用される液晶表示装置の他の例では、TFT基板1aの主面に薄膜トランジスタ10と色フィルタ14とが形成されることもあり、画素間を仕切る遮光膜(ブラックマトリクス,BM)15が、CF基板1bでなく、TFT基板1aの主面に形成されることもある。CF基板1bの主面及びこれを含む液晶表示素子の表示画面において、遮光膜15が形成される領域又はこれに対向する領域は「非表示部」とも記される。
インクジェットノズルからスペーサ分散液とともに吐出されるスペーサ3は、これら一対の基板の少なくとも一方の主面に配置されるが、以下の説明では、CF基板1bの主面に代表させる。スペーサ3が、スペーサ分散液とともにCF基板1bの主面に印刷されたときも、液晶表示装置は図5(a)や図6(a)に示す如き断面構造を呈する。従って、以下の説明において、印刷法によりCF基板1bの主面に配置(印刷)されたスペーサ3に係る説明は割愛される。
図5(b)及び図6(b)の各々は、基本的にTFT基板1aの主面における一つの画素の平面構造を示すが、CF基板1bに形成される遮光膜15の開口(輪郭)15aとVA方式による液晶表示装置の共通電極12の開口(輪郭)12aも当該平面構造に投影された破線枠として示される。VA方式による液晶表示装置のTFT基板1aの主面には図5(b)に示される画素の複数個が、IPS方式による液晶表示装置のTFT基板1aの主面には図6(b)に示される画素の複数個が、二次元的(例えばマトリクス状)に夫々配置されて表示領域をなし、この表示領域の外周を囲むようにシール剤が形成される。
VA方式による液晶表示装置及びIPS方式による液晶表示装置のいずれにおいても、TFT基板1aの主面上には画素毎に薄膜トランジスタ10とこれを通してキャリア(電子や正孔)が供給される画素電極2が形成されている。薄膜トランジスタ10は、ガラスやプラスチック等の光透過率の高い材料(以下、透明な材料と記す)から成るTFT基板1a上に形成されたゲート電極(走査信号線)6、ゲート電極6を覆う酸化珪素や窒化珪素から成る第1絶縁膜(ゲート絶縁膜)INS1、第1絶縁膜INS1の少なくともゲート電極6上の領域に形成された半導体膜16、並びに半導体膜の一端に接するソース電極(映像信号線)8及び半導体膜の他端に接するドレイン電極11から成る。ソース電極は、TFT基板1aの主面内で第1方向(縦方向)に延び且つこの第1方向に交差する第2方向(横方向)に並設される複数の映像信号線8の一つに接続され、または当該一つの映像信号線8の一部として提供される。ゲート電極は、TFT基板1aの主面内で当該第2方向(横方向)に延び且つ当該第1方向(縦方向)に並設される複数の走査信号線6の一つに接続され、または当該一つの走査信号線6の一部として提供される。画素電極2に供給すべき上記キャリアは、複数の走査信号線6の当該画素電極2に対応した一つを通して、当該画素電極2を備えた「画素」に設けられた薄膜トランジスタ10に入力され、複数の走査信号線6の当該薄膜トランジスタ10に対応した一つ又はこれに接続されたゲート電極に走査信号(電圧信号)が印加されることにより、当該薄膜トランジスタ10の半導体膜16及びドレイン電極11を通して当該画素電極2に供給される。薄膜トランジスタ10を覆う第2絶縁膜INS2は、酸化珪素、窒化珪素等の無機材料又は樹脂等の有機材料で形成され、その薄膜トランジスタ10とこれに対応する画素電極2を分離する配置から層間絶縁膜とも呼ばれる。薄膜トランジスタ10(ドレイン電極11)と画素電極2とは、第2絶縁膜INS2を貫通するコンタクトホール13を介して電気的に接続される。第3絶縁膜INS3も第2絶縁膜INS2と同様に無機材料又は有機材料で形成され、その上面にポリイミドからなる配向膜7を形成する工程や光の透過率を考慮すると、有機材料としてアクリル樹脂を用いることが好ましい。第3絶縁膜INS3は、図5(a)において画素電極2に起因する起伏を均す平坦化膜として機能し、図6(a)において画素電極2と共通電極12とを電気的に絶縁する層間絶縁膜として機能する。
VA方式による液晶表示装置では、共通電極12はCF基板1bに形成され、画素毎の光透過領域(例えば、遮光膜15の開口15aや色フィルタ14の輪郭で規定される)において、共通電極12には、スリット(Slit)、切り欠き(Notch)、及び開口(Opening)の少なくとも一つが形成される。以後、スリットや切り欠きを含めて「共通電極の開口」12aと記す。共通電極の開口12aの画素電極2と対向した配置により、これらの電極間に発生する電界(図5(a)の<On>部分の破線矢印)は、一対の基板1a,1bを隔てる方向(以下、セルギャップ)に対して所定の角度で傾く。一軸性の複屈折率を有する液晶分子5aは、画素電極2と共通電極12との間に電界を発生させないとき、その分子軸(長軸)がセルギャップに沿うように初期配向される(図5(a)の<Off>部分参照)。液晶分子5aの斯様な初期配向は「垂直配向(VA)」と呼ばれ、液晶層5における光の透過を遮る。垂直配向された液晶分子5aの分子軸は、画素電極2と共通電極12との間の電界強度に応じて、セルギャップに対して傾き、その傾斜に応じて液晶層5における光の透過量は増える。画素電極2には共通電極12のようにスリット、切り欠き、又は開口を形成する必要はないが、図5(b)に示す如く、切り欠き2aを共通電極の開口12aと対向しないように形成してもよい。図5(b)に示される画素電極2及び共通電極12の各々には、延伸方向の異なる複数の切り欠き2a及び開口12aが形成され、VA方式による液晶表示装置の視野角特性を更に向上させている。斯様な画素構造を備える液晶表示装置は、MVA(Multi-domain Vertical Alignment)方式とも呼ばれる。
IPS方式による液晶表示装置では、共通電極12がTFT基板1aに形成されるため、CF基板1bには電極を配置する必要はない。画素電極2は、スリット、切り欠き、又は開口の複数個の形成により、例えば櫛歯形状を呈する。図6(b)に示された画素電極2は、複数の開口2bが並べて形成された格子形状を有する。図6(b)に示された共通電極12は、画素電極2及びその開口2bに対向する1枚のベタ膜(Solid Film)として、画素毎に形成される。共通電極12は、TFT基板1aの主面と画素電極2との間に形成され、上記第2方向(横方向)に延びる共通線12bにコンタクトホール12cを通して電気的に接続される。
図5及び図6に示した夫々の液晶表示装置において、上述した画素電極2及び共通電極12はITO(インジウム−錫−酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛−酸化物)、ATO(アンチモン添加酸化錫)、アルミニウム添加酸化亜鉛等の透明な導電性酸化物で形成される。
一方、VA方式による液晶表示装置に用いるCF基板1bは、共通電極12が形成されていることを除けば、IPS方式による液晶表示装置に用いるCF基板1bと略同じ構造を有する。ガラスやプラスチック等の透明な材料から成るCF基板1bの主面には色フィルタ14及び遮光膜15が形成される。色フィルタ14は、例えば顔料、染料、及び蛍光材料の少なくとも一つを含む樹脂材料で形成され、遮光膜15はCF基板1bや色フィルタ14に比べて光透過率の低い材料(以下、不透明な材料)で形成される。遮光膜15は、クロム(Cr)等の金属や合金の薄膜、又はカーボン、コバルト酸化物、黒色顔料等の光吸収率の高い粒子が分散された樹脂の薄膜として形成される。絶縁膜4は、色フィルタ14とその間に配置された遮光膜15によりCF基板1bの主面に生じた起伏を均す平坦化膜として機能し、第3絶縁膜INS3と同様に無機材料又は有機材料で形成されるが、その上面に配向膜7を形成する工程や光の透過率を考慮すると、アクリル樹脂で形成されることが好ましい。
図5及び図6に示した液晶表示装置のいずれにおいても、一対の基板1a,1bを隔てる間隙(セルギャップ)を決めるビーズスペーサ3は、CF基板1bの主面の遮光膜15で覆われた部分に配置されるが、TFT基板1aの主面の当該遮光膜15に対向する部分に配置しても、CF基板1bの当該部分及びTFT基板1aの当該部分の各々にビーズスペーサ3どうしが重ならないように配置してもよい。また、液晶表示装置の各々において、配向膜7はその前駆体を含む溶液をその下地膜(上述した絶縁膜4や第3絶縁膜INS3)の上面に塗布し、次いで当該溶液から溶媒を蒸発させながら当該前駆体を反応させることにより形成される。配向膜7の材料として汎く用いられるポリイミド樹脂は、その前駆体であるカルボン酸二無水物(Tetracarboxylic Dianhydride)とジアミン(Diamine)とによる次の重合反応により合成される。
Figure 2008256993
ポリイミド樹脂の前駆体となるカルボン酸二無水物として、例えば、ピロメリット酸二無水物(pyromellitic dianhydride,分子構造[2−1],以下、PMDAと略す)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルポン酸二無水物(3,3’,4,4’- biphenyltetracarboxylic acid dianhydride,分子構造[2−2],以下、BPDAと略す)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルポン酸二無水物(3, 3', 4, 4'-benzophenone tetracarboxylic dianhydride,分子構造[2−3],以下、BTDAと略す)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルポン酸二無水物(1,2,3,4-cyclobutanetetracarboxylic dianhydride,分子構造[2−4],以下、CBDAと略す)、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物(3,4-dicarboxy-1,2, 3,4-tetrahydro-1-naphthalenesuccinic acid dianhydride,分子構造[2−5],以下、TDAと略す)、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物(2,3,5-tricarboxycyclopentyl acetic dianhydride,分子構造[2−6],以下、TCAと略す)、及び1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(1, 2-dimethyl- cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride,分子構造[2−7],以下、DMCBと略す)が用いられる。
Figure 2008256993
一方、ポリイミド樹脂の前駆体となるジアミンとして、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4, 4'-diaminodiphenyl ether,分子構造[3−1],以下、DDEと略す)、p−フェニレンジアミン(p-phenylenediamine,分子構造[3−2],以下、PDAと略す)、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(2,2-bis [4-(4-aminophenoxy) phenyl] propane,分子構造[3−3],以下、BAPPと略す)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(4, 4'-diamino diphenyl methane,分子構造[3−4],以下、DDMと略す)、m−キシリレンジアミン(m-xylylene diamine,分子構造[3−5],以下、MXDAと略す)、及び2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(2, 2'-dimethyl- 4, 4'-diamino biphenyl,分子構造[3−6],以下、MDBと略す)が用いられる。
Figure 2008256993
更に特許文献8、特許文献9、及び特許文献10には、ポリイミド樹脂の重合に特化したジアミンが開示される。以降、本明細書では、特許文献8に開示される1,1’−ビス{4−[(4−アミノフェニル)メチル]フェニル}−4−n−ヘキシルシクロヘキサン(1,1-bis {4- [(4-aminophenyl) methyl] phenyl}4-n-hexylcyclohexane,分子構造[4−1])をジアミンA、5−{4−[2−(4−n−ヘキシルシクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル}フェニルメチル−1,3−ジアミノベンゼン(5- {4- [2- (4-n-hexylcyclohexyl) ethyl] cyclohexyl} phenylmethyl 1,3-diaminobenzene,分子構造[4−2])をジアミンB、と夫々記す。
Figure 2008256993
また、特許文献9及び特許文献10に開示される分子構造[5−1]を有する物質をジアミンC、特許文献9に開示される分子構造[5−2]を有する物質をジアミンD、特許文献10に開示される分子構造[5−3]を有する物質をジアミンE、と夫々記す。
Figure 2008256993
上述したカルボン酸二無水物及びジアミンを含むポリイミド樹脂の前駆体溶液として、特許文献6、特許文献8乃至10、及び特許文献11に開示された組成を表1に示し、組成毎に試薬1号乃至17号と記す。
Figure 2008256993
特許文献8には、図5に示したVA方式による液晶表示装置に好適な試薬4号乃至6号が開示される。試薬4号を用いて形成された配向膜7に対し、液晶分子は89.8°のプレチルト角(Pretilt Angle)で初期配向し、その電界印加に対する応答は14.3ms(ミリ秒)、フレーム期間(16.7ms)における印加電圧の保持率は93.4%である。また、試薬5号と試薬6号とが50:50の重量比で配合された前駆体溶液で形成された配向膜7に対し、液晶分子は89.9°のプレチルト角で初期配向し、その電界印加に対する応答は13.9ms(ミリ秒)、フレーム期間における印加電圧の保持率は93.0%である。
一方、特許文献11には、図6に示したIPS方式による液晶表示装置に好適な試薬7号が開示され、これを用いて形成された配向膜7にラビング処理を施し、液晶表示装置を作製した結果、その表示画面における残像の発生が抑えられた。
このように、VA方式、IPS方式のみならず、TN(Twisted Nematic)方式やOCB(Optically Compensated Birefringence)方式の液晶表示装置においても、その画質改善に係る配向膜の寄与は無視できないが、その形成工程で上述の如き前駆体溶液の下地膜への塗布が不可欠である故に、考慮すべき課題がある。例えば、前駆体溶液をインクジェットノズルから吐出させ、下地膜の面にストライプ状に逐次塗布して形成された配向膜の面には、その前駆体溶液の塗布膜における溶媒の不均一な蒸発により、筋状の起伏が生じる。この起伏を解消する手法として、特許文献12には、前駆体溶液の表面張力を32mN/m以下に抑えることを教示する。しかし、本発明者らはスペーサビーズ3を含むスペーサ分散液のインクジェットノズルからの吐出により、基板主面の所望の位置に着弾したスペーサビーズ3が、その着弾(landing)前後に当該基板主面に形成される配向膜により当該位置からシフトする問題を見出した。この問題は、スペーサ3をスペーサ分散液とともにCF基板1b等の基板主面に印刷するときも生じ、その原因は基板主面へのスペーサ3の配置方法より、これに用いるスペーサ分散液とスペーサ3を覆う配向膜7の原料液との組み合せにあるものと本発明者らは考察した。
この問題を、図5(a)に示したCF基板1bに着弾したスペーサビーズ3を例に、図7を参照して説明する。特許文献4の教示に倣い、低沸点溶媒と高沸点溶媒とを配合して調製したスペーサ分散液とともに絶縁膜(平坦化膜)4上に着弾したスペーサビーズ3を図7(a)に示す。インクジェットノズルから吐出されたスペーサ分散液の液滴は、スペーサビーズ3が配置されるべき位置、即ち絶縁膜4の遮光膜15に重なる部分に着弾する。その後、低沸点溶媒の蒸発により、液滴中の高沸点溶媒の濃度が上がるため、液滴は、高沸点溶媒の表面張力に応じた曲面を徐々に呈しながら縮小する。スペーサビーズ3は、液滴が縮小するに伴い、その中心に徐々にシフトし、図7(b)に示される如く、絶縁膜4の遮光膜15に重なる部分の中心上に寄せられる。図7(c)には、スペーサビーズ3が遮光部に寄せ集められたCF基板1bの主面(絶縁膜4の上面)に、スピンコート法で塗布される配向膜の前駆体溶液7’の流れが模式的に示される。図7(b)に示す如く縮小したスペーサ分散液(特に高沸点溶媒)の表面張力を白抜きの矢印、前駆体溶液7’の表面張力を色付きの矢印で夫々示すと、後者が前者より大きいとき、その差による外力を受けて、スペーサビーズ3はシフトし、破線円で示す如く、遮光部から画素内(光透過部)へとずれる。さらに、スペーサ分散液が図7(b)に示す如く残らず、殆んど蒸発したとき、スペーサビーズ3は所望の位置から前駆体溶液7’により流される。このような配向膜の前駆体溶液7’の流れは、前駆体溶液7’をインクジェットヘッドから吐出させてCF基板1bに塗布することで抑えられるが、それでも図7(b)に示す如く絶縁膜4上に配置されたスペーサビーズ3はシフトする。また、スペーサビーズ3をTFT基板1aの主面に着弾させても、同様な問題は生じる。
このようなスペーサビーズ3のシフトを防止する上で、本発明は、スペーサ分散液に含まれる高沸点溶媒の表面張力を配向膜の前駆体溶液7’の表面張力より高めることにより、スペーサ分散液の残滓によりスペーサビーズ3をCF基板1b又はTFT基板1aの主面の遮光部に留める。基板(CF基板1b)の主面に着弾したスペーサ分散液は、配向膜の前駆体溶液7’が当該主面に塗布される前に或る程度蒸発し、その一部が当該主面に残る。スペーサ分散液の残滓は、当該前駆体溶液7’が塗布される直前に基板主面に残るスペーサ分散液の一部を指す。低沸点溶媒と高沸点溶媒を含むスペーサ分散液において、スペーサ分散液の残滓はスペーサ分散液自体より高い濃度の高沸点溶媒を含む。また、表1に示されるような配向膜の前駆体材料(カルボン酸二無水物及びジアミン)をスペーサ分散液に含ませて、その残滓の表面張力や粘度を高めてもよい。
<配向膜の前駆体溶液及びスペーサ分散液の組成>
基板主面におけるスペーサ分散液の残滓は、その液滴で表面が濡れたスペーサビーズ3を、当該液滴の表面張力や粘度により当該基板主面の所望の領域(上述した遮光部)内にとどめる。即ち、スペーサビーズ3は、基板主面の特定の位置に固定されなくとも、当該基板主面に塗布された配向膜の前駆体溶液7’により当該領域の外へ流されることはない。勿論、スペーサ分散液の残滓の表面張力又は粘度を高めて、当該領域内におけるスペーサビーズ3のシフトを抑えても、スペーサ分散液に配向膜の前駆体を添加し且つその残滓で当該前駆体を重合させて、スペーサビーズ3を基板主面の特定の位置に固定させてもよい。従って、図7(c)を参照して上述した技術的課題を解決するに好ましい本発明による液晶表示装置は、図7(d)に例示される如く、スペーサビーズ3に付着した第1有機層30(スペーサ分散液の残滓)とこの第1有機層30を覆い且つ第1有機層30とは組成の異なる第2有機膜(配向膜7)とが主面に形成された基板(CF基板1b)を有する。第1有機層30は、上述したスペーサ分散液(特に高沸点溶媒)又はこれから派生した有機物質を含む。「スペーサ分散液から派生した有機物質」とは、当該スペーサ分散液に溶媒として含まれる有機分子の酸化、還元、修飾、縮合、二量化、分解等により生じる物質を指す。第1の有機層30は、当該有機物質のみで形成されなくともよく、後述する配向膜7の当該有機物質を含む一部として形成されてもよい。
例えば、図5に示されるVA方式の液晶表示装置の配向膜7を、試薬5号と試薬6号とを50:50の重量比で配合して調製された前駆体溶液7’(以下、試薬5号と試薬6号との混合液)で生成するとき、その溶媒はNMP(表面張力=41mN/m,沸点204℃)とBC(表面張力=27.4mN/m,沸点171℃)とを前駆体溶液7’の表面張力が32mN/m以下となるように調合される。配向膜7の面における筋状起伏の発生を抑える上で、前駆体溶液7’の表面張力をその硬化段階で32mN/m以下に調整することが望ましい。従って、前駆体溶液7’の表面張力は、これに用いる上記高沸点溶媒の選定やその混合比で調整される。これに対し、スペーサ分散液は、例えば、高沸点溶媒としてNMPやGBL(表面張力=43.9mN/m,沸点203℃)を含み、その液滴上に上記前駆体溶液7’が塗布される段階(図7(b)参照)で、当該前駆体溶液7’より大きい表面張力を示すように調合される。また、スペーサ分散液は、これに含まれる高沸点溶媒と調合されて、その表面張力や粘度を、そのインクジェットヘッドからの吐出に適した範囲に調整する低沸点溶媒を含む。スペーサ分散液中の低沸点溶媒は、当該スペーサ分散液が滴下された基板主面に配向膜の前駆体溶液7’が塗布される前に、当該スペーサ分散液の液滴から殆んど蒸発するため、上述した「前駆体溶液7’に対するスペーサ分散液(液滴)の表面張力」を実質的に低下させない。前駆体溶液7’の塗布膜の乾燥や焼成により硬化した配向膜7(第2有機層)には、高沸点溶媒(NMPやBC)は殆んど残らないが、これにより覆われた第1有機層30には、高沸点溶媒(NMP及び/又はGBL)やこれに派生する有機材料が残る。また、硬化した配向膜7にその前駆体溶液7’に含まれた高沸点溶媒又はこれから派生する物質が残るときも、その組成(含有量に対する比率)は第1有機層30に含まれるそれと異なる。さらに、第1有機層30は、これに配向膜の前駆体溶液7’の塗布膜から拡散したカルボン酸二無水物(TDA)とジアミン(Diamine A,Diamine B,DDM)とによるポリイミド膜(樹脂膜)として形成されることもあるが、斯様な樹脂膜も「スペーサ分散液の高沸点溶媒やこれに派生する有機材料」を含有することやその組成で、配向膜7(第2有機層)と識別される。
配向膜の前駆体溶液7’の流れに対してスペーサビーズ3を基板(CF基板1b)の主面(平坦化膜4)に固定するために、当該前駆体溶液7’とは異なる前駆体溶液として、例えば、表1に挙げた試薬8号(表面張力=42mN/m)、試薬9号(表面張力=44mN/m)、試薬10号(表面張力=41mN/m)、試薬11号(表面張力=41mN/m)、及び試薬12号(表面張力=41mN/m)の少なくとも一つをスペーサ分散液に添加してもよい。例えば、試薬10号と低沸点溶媒とを調合して得られたスペーサ分散液を基板(CF基板1b)の主面に滴下すると、低沸点溶媒の蒸発に伴い、試薬10号に含まれるカルボン酸二無水物(PMDA,DMCB)とジアミン(BAPP)との混合液が、高沸点溶媒に代わって、スペーサビーズ3を当該基板主面の遮光部上に寄せ集める。この基板主面に配向膜の前駆体溶液7’(試薬5号と試薬6号との混合液)が塗布される前に、当該混合液をこれに含まれるカルボン酸二無水物とジアミンとの重合により硬化させると、第1有機層30は、配向膜7(試薬5号と試薬6号とを用いて形成された第2有機層)とは異なる組成のポリイミド膜として形成される。試薬10号を用いて形成された第1有機層30は、その上面に塗布された試薬5号と試薬6号との混合液(配向膜の前駆体溶液7’)に含まれる溶媒で部分的に溶かされても、これに含まれるポリイミド前駆体の表面張力や粘度により、スペーサビーズ3を所定の位置に固定し続ける。なお、試薬8号、試薬11号、及び試薬12号の各々は、2種類の「カルボン酸二無水物とジアミンとの混合液」で調合され、その一方であるアスタリスクが付された括弧内に記される[カルボン酸二無水物]と[ジアミン]との混合液は、ピリジンと無水酢酸の添加により90%超のイミド化がなされた状態で、他方の混合液に添加される。スペーサ分散液に配向膜の前駆体溶液7’と同様にカルボン酸二無水物とジアミンとを含ませても、夫々に含まれる高沸点溶媒の相違により、第1有機層30と配向膜7(第2有機層)とは異なる組成を示す。
図7(d)に示した基板主面におけるスペーサビーズ3の固定構造は、TFT基板1aにも適用でき、また、VA方式以外の、IPS方式、TN方式、及びOCB方式の液晶表示装置のいずれにも適用できる。また、配向膜の前駆体溶液7’として、表1に挙げた試薬1号、試薬2号、及び試薬3号のいずれかを用いたとき、スペーサ分散液の溶媒として、当該試薬に含まれる高沸点溶媒の混合物より表面張力の高い物質を選び、又はその混合液を調整するとよい。また、配向膜の前駆体溶液7’として表面張力の比較的低い試薬13号(表面張力=30mN/m)、試薬14号(表面張力=31mN/m)、試薬15号(表面張力=31mN/m)、試薬16号(表面張力=30mN/m)、及び試薬17号(表面張力=30mN/m)の少なくとも一つを選ぶとともに、スペーサ分散液の溶媒に試薬8号乃至12号の少なくとも一つを添加してもよい。なお、試薬14号に含まれる溶媒:DEDGは、ジエチレングリコールジエチルエーテル(Diethylene Glycol Diethyl Ether,沸点217℃)の略である。本実施例は、ポリイミドで形成された配向膜7を前提としたが、ポリイミド以外の有機材料で配向膜が形成される液晶表示装置においても、上述した要旨に倣って配向膜の前駆体溶液7’及びスペーサ分散液を準備することにより、本発明に特徴付けられる構造は具現化される。
<液晶表示素子の製造工程>
本実施例による液晶表示素子(液晶表示パネル)の製造方法に特徴的な工程を、図1を用いて説明する。ビーズスペーサ3を用いた液晶表示パネルの製造において、これを構成する一対の基板の少なくとも一方の表面(主面)に液晶分子の方向を一方向に揃える働きを持たせるために必要な配向膜7を印刷又は塗布により形成した後、この配向膜7上に配置するのが一般的である。従来の手法によりビーズスペーサ3が配置された基板(CF基板1b)の平面構造は図8(a)に、この基板を他の基板(TFT基板1a)に貼り合わせて組み立てられた液晶表示パネルの断面構造は図8(b)に夫々例示され、図8(c)には当該断面構造のビーズスペーサ3の周辺が拡大して示される。
しかし、本実施例では、配向膜7が印刷或いは塗布される前の基板1の表面にビーズスペーサ3を定点配置した後に、配向膜7を印刷或いは塗布する工程に特徴付けられる。配向膜7は、通常印刷或いは塗布後、まずは60から70℃の温度で加熱して乾燥され、続いて200℃以上の温度で焼成処理するのが一般的である。本実施例では、配向膜7が印刷或いは塗布される前の基板1にビーズスペーサ3を表示品質に影響を与えない画素部と画素部の間(図1ではCF基板1bのBM15上)に配置後、ビーズスペーサ3を覆うように配向膜7の原料液を印刷或いは塗布する。これにより、配向膜7の原料液がビーズスペーサ3と基板1bとの隙間に入り込みフィレットを形成する。その後、この原料液の乾燥および焼成処理を行うことにより、フィレットを含めた原料液が硬化するため、ビーズスペーサ3はこれに付着したフィレット及び配向膜7の端部により基板1bの主面(平坦化膜4の上面)に固着される。本実施例によるビーズスペーサ3の基板1bへの固着力は、基板表面に予め印刷或いは塗布された配向膜7に配置したビーズスペーサ3の基板1bへの固着力より飛躍的に向上する。
上述した配向膜7の原料液を、表1に示した試薬1号を用い、これに含まれるNMPのDMAに対する比率を0.1以下に抑えて、当該原料液の表面張力が35mN/mとなるように調製した。一方、NMPとGBLとを1:1の重量比で含み且つビーズスペーサ3が分散された分散液を、配向膜7の原料液で覆われる前の基板1bの主面の遮光部15上に滴下した。ビーズスペーサ3が配置された基板1bの主面を配向膜7の原料液で覆うと、当該原料液の流動に対し、分散液はその原料液より高い表面張力で拮抗して、ビーズスペーサ3をその滴下位置に維持する。この過程で、原料液に含まれたポリイミドの前駆体であるPMDAとDDEとは浸透圧にて分散液内へ拡散する。その後、基板1bをNMPやGBLの沸点より高い250℃で焼成し、配向膜7を完成させると、配向膜7とともにフィレットもポリイミド樹脂として硬化される。しかし、配向膜7及びフィレットを成すポリイミド樹脂には、NMP、及びDMA又はGBLから派生した有機物が不純物として残存する。図1(a)に示す基板1bをA−A’線で切断した断面を巨視的に示した図1(b)では、上記フィレットが配向膜7のみで形成されているように見えるが、この断面を拡大した図1(c)には分散液に起因する有機物質膜30が認められる。二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry)により、ビーズスペーサ3の下部に付着する有機物質膜30と配向膜7との組成を分析すると、夫々で検出されたフラグメントイオン(Fragment Ion)により有機物質膜30と配向膜7との組成の相違が認められた。
本実施例による液晶表示素子(液晶表示パネル)の製造方法におけるCF基板1bの処理の流れを図2に示す。その比較例として、図11を参照して説明されたTFT基板1aとCF基板1bとの間隔をビーズスペーサ3で一定に保つ従来の液晶表示素子における基板1bの処理の流れを図11に示す。本実施例における「基板主面へのビーズスペーサ3の定点配置」より前の工程、従来の液晶表示素子における「基板主面への配向膜の印刷」より前の工程、及びCF基板1bをTFT基板1aに貼り合わせ、その間に液晶材料を封入する「液晶表示素子の組立・液晶注入工程」の説明は、当該工程が、本実施例においても従来の液晶表示素子と同様に行われるため、省略する。
従来プロセスでは、先ず初めに基板上へ配向膜(その原料液)を所定の膜厚となるよう制御しながら、印刷し又は塗布する。次に塗布された配向膜の乾燥及び焼成処理を行う。これにより硬化された配向膜に、液晶分子の方向を一定の方向へ揃えるために必要なラビング処理を実施する(VA方式の液晶表示素子ではラビング処理は必須でない)。その後、必要に応じて基板主面の洗浄処理を行ない、続いて当該主面にビーズスペーサを配置する。さらに、ビーズスペーサの配置の後に、ビーズスペーサを配向膜に固定する固着処理がなされることもある。通常この固着処理は、ビーズ表面にコーティングしてある固着剤に熱を加え、またはビーズスペーサとともに基板主面に着弾した分散液の乾燥により、基板とビーズスペーサとの間に固着力を発生させる。
これに対し、図1を参照して説明した本実施例による液晶表示素子に備えられる基板1bは、図2に示す工程の順に処理される。
本実施例によるプロセスでは、先ず初めにビーズスペーサを基板主面の所定の場所(遮光部又は非表示部)へ配置する。その後、必要に応じてビーズスペーサを基板主面の所定位置に固定する固着処理を行い、その後、配置したビーズスペーサの上から基板上へ配向膜(その原料液)を所定の膜厚となるよう制御しながら、印刷し又は塗布する。インクジェット法でビーズスペーサを基板主面に配置するとき、上記固着処理は、ビーズスペーサを含む分散液(インクともよばれる)に含まれる低沸点溶媒の蒸発と高沸点溶媒の高い表面張力により進行し、この分散液をスクリーン版等により印刷するときも同様に進行する。
ビーズスペーサを含む基板主面に塗布又は印刷された配向膜の原料液は、基板1bの加熱により、乾燥され且つ焼成処理されて、配向膜として硬化される。この配向膜の上面に、液晶分子の方向を一定の方向へ揃えるために必要なラビング処理を実施する。その後、必要に応じて基板の洗浄処理を行い、他方の基板1aとの貼り合わせを含めた液晶表示素子の組立ラインへ搬送される。
図7を参照して上述した技術的課題を解決する他の実施例として、図6(a)に示す如く、基板(CF基板1b)の主面に配向膜7を形成した後で、この配向膜7(その遮光膜15を覆う部分)上にスペーサビーズ3をインクジェット法で配置する手法を以下に説明する。
この手法では、スペーサビーズ3は配向膜の前駆体溶液7’に流されない。しかし、配向膜7(CF基板1bの主面)上に滴下され、または互いに対向して貼り合わされた一対の基板1間の空間(セルギャップ)に封入される液晶材料の流れによる「スペーサビーズ3のシフト」が新たな課題として浮上する。また、スペーサビーズ3は液晶材料に接するため、接着剤によるスペーサビーズ3の配向膜7への固定は、当該接着剤による液晶層5の汚染や液晶分子5aの光学特性の劣化を惹き起こす。
本実施例では、液晶層5にダメージを与えることなく、その内部でスペーサビーズ3を基板主面の所定の領域(遮光部)にとどめる材料として、配向膜として用いられる有機物質を選ぶ。しかし、ポリイミドに代表される配向材料の前駆体(カルボン酸二無水物とジアミン)の混合液は一般に粘稠(viscous)であり、これ自体をインクジェットノズルから吐出させることはかなり困難である。また、この混合液を溶媒で希釈し、又は特定の前駆体を用いてスペーサ分散液を調整しても、配向膜7の上面におけるスペーサ分散液の濡れ広がりや、スペーサ分散液による配向膜7の部分的な溶解で、スペーサビーズ3は配向膜7上の着弾位置から上記所定領域の外側へ移動させられる。
この新たな技術的課題に対し、本発明では、スペーサ分散液に「配向膜として用いられる有機物質」の前駆体を含ませて、そのインクジェットノズルからの吐出における障害を低減し、その配向膜7への着弾後における当該前駆体の重合により、その配向膜7における着弾位置又はこの近傍にスペーサビーズ3を固定する。
<配向膜の前駆体溶液及びスペーサ分散液の組成>
例えば、図6に示すIPS方式の液晶表示装置の配向膜7を、前駆体溶液7’として試薬7号を用いて形成したとき、スペーサビーズ3を試薬8号乃至12号の少なくとも一つで調合されたスペーサ分散液に分散させて、インクジェットノズルから配向膜7の上記所定領域内に着弾させる。試薬8号乃至12号のいずれも、カルボン酸二無水物とジアミンとの混合液として、インクジェットノズルから吐出に十分な低さの粘度(10mPa・s)を示し、また、試薬7号を用いて形成され且つ焼成された配向膜7の表面を溶かす溶媒を含まない。さらに、試薬7号に含まれる溶媒NMP,BC,GBLの組成が、試薬7号の表面張力が40mN/m以下に調整されたとき、これらの溶媒が配向膜7に残留しても、40mN/m超の表面張力を示す試薬8号乃至12号の各々はスペーサビーズ3の当該所定領域外へのシフトを十分に抑える。また、試薬7号を用いて形成された配向膜7に、スペーサビーズ3を試薬7号で調合したスペーサ分散液を用いて着弾させてもよい。この場合、スペーサ分散液(高沸点溶媒)における「BCの含有率に対するNMP及びGBLの含有率の和」を、配向膜の前駆体溶液7’として用いられる試薬7号のそれより高くして、スペーサ分散液の表面張力を配向膜の前駆体溶液7’より高めることで、スペーサ分散液により部分的に溶解した配向膜7の表面におけるスペーサビーズ3のシフトが抑えられる。
上述したいずれの例でも、スペーサビーズ3は、図6(a)に示される如く、配向膜(樹脂膜)7上に形成され且つ配向膜7とは組成の異なる有機膜(樹脂膜)31で配向膜7の上面(液晶層5に対向する面)に固定される。即ち、有機膜31は配向膜7と同じ前駆体の重合で形成されるも、スペーサビーズ3を配向膜7上の所望の位置にとどめるに適した溶媒とともに配向膜7上に滴下されるため、有機膜31には、その乾燥又は焼成の過程で、当該溶媒又はこれから派生した有機物質が取り込まれる。
有機膜31を形作る樹脂材料は、スペーサビーズ3と別に配向膜7上に供給してもよく、例えば配向膜7上にスペーサビーズ3を着弾させた後に、当該樹脂材料(の前駆体)を含む溶液をスペーサビーズ3上に塗布し又は印刷してもよい。このように有機膜31の主成分となる樹脂材料やその前駆体(以下、有機膜31の原料)でスペーサビーズ3を覆うとき、これらの樹脂材料や前駆体を含む溶液(以下、有機膜31の原料液)や、スペーサビーズ3を着弾させるための分散液(当該樹脂材料及び前駆体を含まない)の表面張力は、上述したスペーサ分散液のそれと同様に高めることが望ましい。例えば、有機膜31の原料液として、上述した40mN/m超の表面張力を示す試薬7号乃至12号を用いるとき、有機膜31の原料を含まない上記分散液は、比較的に高い表面張力を示すNMPやGBL等の有機溶媒を用いて調製される。
図6(a)に示した基板主面におけるスペーサビーズ3の固定構造は、TFT基板1aにも適用でき、また、IPS方式以外の、VA方式、TN方式、及びOCB方式の液晶表示装置のいずれにも適用できる。また、配向膜の前駆体溶液7’及びスペーサ分散液は、前者の表面張力より後者のそれが高くなるように調合されることが望ましく、また、後者(スペーサ分散液)は有機膜31の前駆体の混合液として提供されることが望ましい。有機膜31を成す樹脂材料で予め配向膜7上に配置したスペーサビーズ3を覆う場合、上記有機膜31の原料液を、上述したスペーサ分散液と同様に調合することが望ましく、有機膜31の原料を含まない上記分散液の表面張力は、例えば実施例1に例示した有機溶媒で調合することが望ましい。配向膜の前駆体溶液7’、スペーサ分散液、及び有機膜31を成す樹脂材料又はその前駆体を含む溶液の組成は、上述の例に限定されず、例えば、表1に挙げた試薬13号乃至17号(いずれも30mN/m以下の表面張力を示す)の少なくとも一つを配向膜の前駆体溶液7’として用い、試薬8号乃至12号(いずれも40mN/m超の表面張力を示す)の少なくとも一つをスペーサ分散液又は有機膜31の原料液として用いてもよい。また、試薬1号乃至4号のいずれかを配向膜の前駆体溶液7’及びスペーサ分散液として用い、スペーサ分散液や有機膜31の原料液の溶媒における「DMA又はBCに対するNMPの含有比」を配向膜の前駆体溶液7’のそれより高くしてもよい。本実施例も、ポリイミドで形成された配向膜7を前提とするが、ポリイミド以外の有機材料で配向膜が形成される液晶表示装置においても、上述した要旨に倣って配向膜の前駆体溶液7’、並びにスペーサ分散液、又は有機膜31の原料液及び有機膜31の原料を含まない分散液を準備することにより、本発明に特徴付けられる構造は具現化される。
<液晶表示素子の製造工程>
本実施例による液晶表示素子(液晶表示パネル)の製造方法に特徴的な工程を、図3を用いて説明する。実施例1では、配向膜が印刷或いは塗布される前の基板へ、ビーズスペーサを定点配置した後に、配向膜を印刷或いは塗布していた。しかし、本実施例では、従来の液晶パネルと同様、基板主面に配向膜の原料液を印刷或いは塗布し、その塗布膜の乾燥および焼成処理により配向膜を形成し、更にこの配向膜のラビング処理や洗浄処理を終了した後に、当該配向膜の上面にビーズスペーサ3を定点配置する。ビーズスペーサ3は、液晶表示素子の表示品質に影響を与えない領域、即ち配向膜の画素部と画素部とを隔てる遮光部15(非表示部)を覆う部分に配置される。図1(a)及び図3(a)の各々において、複数の遮光部15は、図5(b)や図6(b)に示されるTFT基板1aの主面上に形成された複数の走査信号線6に夫々対向して延在し、映像信号線8に対向しては形成されない。しかし、この遮光部15を映像信号線8に対向させて延びるように形成しても、走査信号線6及び映像信号線8に対向させて格子状に形成してもよい。図6には、CF基板1bの主面に格子状に(画素毎に開口を有するように)形成された遮光膜15と、配向膜7の遮光膜15上に位置する数箇所の部分に夫々配置されたビーズスペーサ3とが示される。
さらに、ビーズスペーサ3が定点配置された配向膜7上の各領域には、有機材料液が印刷又は塗布され、その硬化により有機材料膜31が形成される。有機材料液として、例えば表1に例示されるような配向膜の前駆体を含む溶液を用いるとよく、有機材料膜31により液晶層5が汚染されることもない。また、有機材料液には、配向膜7の形成に用いた前駆体を含めてもよく、さらに当該有機材料液を、その表面張力が配向膜7の形成に用いた前駆体溶液(原料液)より大きくなるように調合し、またはその粘度が配向膜7の原料液より高くなるように調合することが望ましい。上記領域でビーズスペーサ3と配向膜7の上面に付着するフィレットを成す有機材料液の塗布膜は、その乾燥および焼成処理により硬化して有機材料膜31となり、ビーズスペーサ3を配向膜7の上面に固着する。このように、ビーズスペーサ3を基板上に配置した後に有機材料液(例えば、配向膜の原料液)を印刷或いは塗布し、そして当該有機材料液の膜を乾燥し且つ焼成処理することにより、有機材料液は実施例1に記した配向膜の原料液と同様に、ビーズスペーサ3と基板1との隙間に入り込みフィレットを形成する。有機材料液の粘度にも拠るが、フィレットを成す有機材料液の塗布膜は、その硬化によりフィレットに似た形状の有機材料膜31へ変化する。有機材料膜(配向材料膜)31によるビーズスペーサ3の配向膜7(基板1b)への固着力は、基板表面に予め印刷或いは塗布された配向膜7に配置したビーズスペーサ3の配向膜7(基板1b)への固着力より飛躍的に向上する。
また、フィレット状に形成された有機材料膜31は配向膜7上の上記領域(画素間の非表示部上)に収まるため、これにより画素(色フィルタ14)を透過する光が散乱されることはない。従って、乾燥および焼成処理が施された配向膜7の上面に、ビーズスペーサ3を定点配置する前に、液晶分子の方向を一定の方向へ規定するために必要なラビング処理を行い、更にラビング処理後の基板の洗浄処理を行っても、配向膜7の画素(色フィルタ14)に対向する領域の配向規制力は劣化することなく、液晶表示素子の表示品質にも影響は生じない。その結果、有機材料膜31の焼成によりビーズスペーサ3が固着された配向膜7を改めて配向膜7をラビング処理する必要もなくなる。
図3を参照して説明した本実施例による液晶表示素子に備えられるCF基板1bは、図4に示す工程の順に処理される。
本実施例による液晶表示素子の製造において、CF基板1bの主面への配向膜の印刷から当該配向膜のラビング後のCF基板1b洗浄までは、図11を参照して説明された従来のプロセスと同様に行われる。CF基板1bの洗浄後、配向膜7上の表示品質に影響を与えない画素部と画素部の間(非表示部)に位置する領域にビーズスペーサ3を配置し、その後、上述した有機材料液(例えば、配向膜の原料液)をビーズスペーサが配置された領域に印刷或いは塗布する。この時、有機材料液は、上記領域毎に全てのビーズスペーサ上に印刷或いは塗布される必要がある。図3において、有機材料液は、配向膜7上の該ビーズスペーサが配置された領域毎に、ドット状に印刷或いは塗布されて示される。しかし、有機材料液は非表示部に留まる(画素内に突き出ない)限りにおいて、例えば遮光膜15の延在方向に沿うライン状に印刷し又は塗布してもよい。即ち、有機材料液の塗布膜は、その硬化により上述の有機材料膜31となるため、これが画素部と画素部の間からはみ出し、液晶層5により光透過率が制御される画素(有効表示画素)に形成させない配慮が必要である。その後、有機材料液の塗布膜の乾燥と焼成処理が行われ、CF基板1bはTFT基板1aとの貼り合わせを含めた液晶表示素子の組立ラインへ搬送される。
この製造工程において、配向膜7の原料液を、表1に示した試薬1号を用い、これに含まれるNMPとDMAに対する比率を0.1以下に抑えて、当該原料液の表面張力が35mN/mとなるように調製した。一方、ビーズスペーサ3は、これをNMPとDMAとを9:1の重量比で調合させた分散液に分散させ、この分散液を配向膜7上の上記領域(非表示部上)に印刷し又はインクジェットノズルを用いて着弾させた。インクジェット法でビーズスペーサ3を配向膜7に配置する場合、分散液にNMP及びDMAの他にこれらより沸点の低い溶媒(上記低沸点溶媒)を加え、その表面張力をインクジェットノズルから吐出しやすい範囲に調整した。有機材料液は、配向膜7の原料液と同様に、表1に示した試薬1号を用いて調合したが、これに含まれるNMPとDMAとの重量比を上記分散液と同様に9:1とし、その表面張力を配向膜7の原料液より大きくさせた。
分散液及び有機材料液は、乾燥及び焼成処理により硬化した配向膜7の表面に滴下されるが、ともに配向膜7のポリイミド樹脂を成すカルボン酸二無水物:PMDAとジアミン:DDEを溶かす溶媒を含むため、配向膜7の表面が部分的に溶ける可能性は否めない。しかし、分散液はその高い表面張力により、ビーズスペーサ3を非表示部上に凝集させ、有機材料液もその高い表面張力でビーズスペーサ3の凝集を保ちながら、その表面にポリイミド樹脂の前駆体であるPMDAとDDEとを付着させる。有機材料液の表面張力が大きいほど、有機材料液は非表示部上の特定の位置に集まり、ビーズスペーサ3の表面に高く這い上がる。従って、有機材料液の塗布膜で形成されるフィレットは、その裾が非表示部の外側にはみ出なくなる。なお、配向膜7の原料液が斯様に大きな表面張力を有すると、その微妙な塗布条件又は印刷条件の相違に応じた起伏が配向膜7の上面に顕著に現れる。
有機材料液の塗布膜は、配向膜7の上面からビーズスペーサ3の表面に這い上がるフィレットを成した状態で乾燥され且つ焼結されて、有機材料膜31となる。配向膜7及び有機材料膜31を成すポリイミド樹脂には、NMP及びDMAから派生した有機物が不純物として残存する。図3(b)には、図3(a)に示す基板1bをA−A’線で切断した断面が示される。この断面のビーズスペーサ3の周辺は、図3(c)に拡大して示される。二次イオン質量分析法により、有機材料膜31と配向膜7との組成を分析すると、夫々で検出されたフラグメントイオンにより、有機物質膜30と配向膜7との組成の間に、有機材料液及び分散液におけるNMPとDMAとの含有比と配向膜7の原料液におけるNMPとDMAとの含有比とに応じた相違が認められた。
本発明により提供される液晶表示素子及びその製造方法は、当該液晶表示素子が搭載されたテレビジョン受像機、情報通信端末、携帯電話等に汎く利用され、これらの量産における歩留まりを向上させる。
本発明の実施例1による液晶表示素子(CF基板)の平面構造及び断面構造を示す。 本発明の実施例1による液晶表示素子(CF基板)の製造工程の流れを示す。 本発明の実施例2による液晶表示素子(CF基板)の平面構造及び断面構造を示す。 本発明の実施例2による液晶表示素子(CF基板)の製造工程の流れを示す。 本発明による液晶表示素子(VA方式)の画素周辺の断面構造及び平面構造を示す。 本発明による液晶表示素子(IPS方式)の画素周辺の断面構造及び平面構造を示す。 本発明により解決しようとする技術的課題の説明と、これを解決するに適した液晶表示素子(CF基板)の断面構造とを示す。 ビーズスペーサを用いた従来の液晶表示パネルの平面構造及び断面構造を示す。 ビーズスペーサを用いた従来の液晶表示パネル(CF基板)の斜視図及び断面図を示す。 柱状スペーサを用いた従来の液晶表示パネル(CF基板)の斜視図及び断面図を示す。 ビーズスペーサをスペーサとして用いた従来の液晶表示素子(CF基板)の製造工程の流れを示す。
符号の説明
1…基板(1a…TFT基板,1b…CF基板)、2…画素電極、3…ビーズスペーサ、4…平坦化膜(絶縁膜)、5…液晶層(5a…液晶分子)、6…走査信号線(ゲート電極)、7…配向膜、8…映像信号線(ソース電極)、9…液晶表示パネル、10…薄膜トランジスタ(TFT)、11…ドレイン電極、12…共通電極(12a…共通電極の開口)、13…コンタクトホール、14…色フィルタ(CF)、15…遮光膜(BM)、16…半導体膜(チャネル)、30…第1有機層(樹脂膜)、31…有機膜(樹脂膜)。

Claims (16)

  1. 夫々の主面が間隙を介して互いに対向するように貼り合わされた一対の基板、
    前記一対の基板の夫々とは別に用意され且つ該基板の前記主面間に配置された複数のビーズスペーサ、及び
    前記間隙に液晶分子を封止して成る液晶層を備えた液晶表示素子であって、
    前記一対の基板の一方には、その前記主面の反対側に前記液晶表示素子の表示画面が設けられ、且つ該表示画面内には前記液晶層の光透過率が各々制御される複数の画素が二次元的に設けられ、
    前記ビーズスペーサは、前記一対の基板の少なくとも一つの前記主面の、前記表示画面の前記画素間に設けられた非表示部に対向する領域に配置され、
    前記少なくとも一つの基板の前記主面には、前記液晶分子を配向させる配向膜と、該配向膜とは組成が異なり且つ前記領域にて該配向膜に覆われた有機膜とが形成され、
    前記ビーズスペーサは、前記配向膜及び前記有機膜の各々に付着されて、前記領域内に納められていることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 前記有機膜は、前記配向膜に含有される有機物質より表面張力の高い有機物質又はこれから派生する有機分子を含むことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 前記配向膜は、これを形成する樹脂とは異なる第1有機物質及び第2有機物質を含み、
    前記第1有機物質は、第1の有機溶媒又はこれから派生する有機分子であり、
    前記第2有機物質は、前記第1の有機溶媒より表面張力の高い第2の有機溶媒又はこれから派生する有機分子であり、
    前記有機膜における前記第1有機物質に対する前記第2有機物質の比率は、前記配向膜における該比率より高いことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  4. 前記配向膜及び前記有機膜は、同じ樹脂膜で形成され、該樹脂膜に含有される該樹脂膜以外の有機物質及びその含有率の少なくとも一つで相違することを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  5. 夫々の主面が間隙を介して互いに対向するように貼り合わされた一対の基板、
    前記一対の基板の夫々とは別に用意され且つ該基板の前記主面間に配置された複数のビーズスペーサ、及び
    前記間隙に液晶分子を封止して成る液晶層を備えた液晶表示素子であって、
    前記一対の基板の一方には、その前記主面の反対側に前記液晶表示素子の表示画面が設けられ、且つ該表示画面内には前記液晶層の光透過率が各々制御される複数の画素が二次元的に設けられ、
    前記一対の基板の少なくとも一つの前記主面には前記液晶分子を配向させる配向膜が形成され、
    前記ビーズスペーサは、前記配向膜上の前記表示画面の前記画素間に設けられた非表示部に対向する領域に配置され、且つ該配向膜とは組成が異なり且つ該領域にて該配向膜上に付着した有機膜に付着されて、前記領域内に納められていることを特徴とする液晶表示素子。
  6. 前記有機膜は、前記配向膜を形成する樹脂とは異なる組成の樹脂で形成されていることを特徴とする請求項5記載の液晶表示素子。
  7. 前記配向膜及び前記有機膜は、同じ樹脂膜で形成され、該樹脂膜に含有される該樹脂膜以外の有機物質及びその含有率の少なくとも一つで相違することを特徴とする請求項5記載の液晶表示素子。
  8. 夫々の主面が間隙を介して互いに対向され且つ該主面間で液晶層を挟持する第1基板及び第2基板と、該第1基板の主面に形成され且つ該液晶層を成す液晶分子を配向させる配向膜とを備える液晶表示素子の製造方法であって、
    前記第1基板及び前記第2基板とは別に用意された複数のビーズスペーサを、分散液とともに、該第1基板の主面の画素間に位置する非表示部に着弾させる第1工程と、
    前記第1基板の主面に前記配向膜の前駆体を含む溶液を塗布する第2工程と、
    前記前駆体溶液の塗布膜を硬化させて前記配向膜を形成する第3工程とを順次行い、
    前記分散液は、前記第2工程の開始時に前記第1基板の主面に残る溶媒を含有し、
    前記溶媒は、前記前駆体溶液より大きい表面張力を示すことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  9. 前記第3工程において、前記前駆体溶液の塗布膜を乾燥し且つ焼成し、
    前記第3工程の後に前記配向膜にラビング処理を施すことを特徴とする請求項8記載の液晶表示素子の製造方法。
  10. 前記第1工程において、前記ビーズスペーサは、これが分散された前記分散液をインクジェットノズルから吐出させて、前記第1基板の主面の前記非表示部に着弾させることを特徴とする請求項8記載の液晶表示素子の製造方法。
  11. 前記第2工程において、前記前駆体溶液は前記ビーズスペーサを覆うように塗布されることを特徴とする請求項8記載の液晶表示素子の製造方法。
  12. 夫々の主面が間隙を介して互いに対向され且つ該主面間で液晶層を挟持する第1基板及び第2基板、該第1基板の主面に二次元的に配置された複数の画素と該画素間に位置する非表示部、及び該第1基板の主面に形成され且つ該液晶層を成す液晶分子を配向させる配向膜とを備える液晶表示素子の製造方法であって、
    前記第1基板の主面に前記配向膜の前駆体を含む溶液を塗布して該主面上に該前駆体溶液の塗布膜を形成し、且つ該塗布膜の乾燥又は焼成により該配向膜を形成する第1工程と、
    前記第1基板及び前記第2基板とは別に用意された複数のビーズスペーサを、分散液とともに、前記配向膜の前記非表示部を覆う領域上に着弾させる第2工程とを順次行い、
    前記分散液は、前記ビーズスペーサを前記配向膜の前記領域上に固着させる樹脂材料又はその前駆体を含み且つ前記配向膜の前駆体を含む溶液より高い表面張力を示し、前記第2工程にて乾燥され且つ焼成されることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  13. 前記分散液は前記樹脂材料の前駆体として前記前駆体溶液に含まれる前記配向膜の前駆体を含むことを特徴とする請求項12記載の液晶表示素子の製造方法。
  14. 夫々の主面が間隙を介して互いに対向され且つ該主面間で液晶層を挟持する第1基板及び第2基板、該第1基板の主面に二次元的に配置された複数の画素と該画素間に位置する非表示部、及び該第1基板の主面に形成され且つ該液晶層を成す液晶分子を配向させる配向膜とを備える液晶表示素子の製造方法であって、
    前記第1基板の主面に前記配向膜の前駆体を含む溶液を塗布して該主面上に該前駆体溶液の塗布膜を形成し、且つ該塗布膜の乾燥又は焼成により該配向膜を形成する第1工程と、
    前記第1基板及び前記第2基板とは別に用意された複数のビーズスペーサを、分散液とともに、前記配向膜の前記非表示部を覆う領域上に着弾させる第2工程と、
    前記ビーズスペーサを前記配向膜の前記領域上に固着させる樹脂材料又はその前駆体を含む有機材料液で前記ビーズスペーサを覆い、該有機材料液を乾燥し且つ焼成する第3工程とを順次行い、
    前記分散液及び前記有機材料液は、前記配向膜の前駆体を含む溶液より高い表面張力を示すことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  15. 前記有機材料液は前記樹脂材料の前駆体として前記前駆体溶液に含まれる前記配向膜の前駆体を含むことを特徴とする請求項14記載の液晶表示素子の製造方法。
  16. 前記第1工程の終了後で且つ前記第2工程の開始前に前記配向膜にラビング処理を施すことを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の液晶表示素子の製造方法。
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