JP2008255270A - 接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体ウエハーなどの基板を、支持体に任意の貼り合わせ厚みで均一に仮止めすることができる接着剤組成物であって、基板の加工処理時には、良好な耐熱性および接着性を示し、加工処理後には、支持体から基板を容易に剥離することができ、基板に付着した接着剤をきれいに除去することができる接着剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の接着剤組成物は、分子量が200〜1000であり、分子中に3〜10個の芳香族環構造を含む化合物を80〜100重量%含有する(ただし、接着剤組成物中の全固形成分を100重量%とする。)。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体ウエハーなどの基板を加工処理する際に、基板を支持体に仮止めする接着剤組成物に関する。
半導体デバイスの製造工程では、略円板形状である半導体ウエハーの表面にIC、LSIなどの回路を格子状に多数形成し、該回路が形成された各領域を所定の切断ラインに沿ってダイシングすることにより、個々の半導体素子を製造している。このようにして半導体素子を製造するに際し、半導体素子の放熱性を良好にするとともに、携帯電話などのモバイル機器の小型化および低コスト化を実現するために、半導体素子の厚さをできるだけ薄く形成することが望まれている。そのため、半導体ウエハーを個々の素子に分割する前に、その裏面を研削して所定の厚さに加工する研削工程が行われている。この研削工程において、半導体素子は、研削機の定盤などの支持体に、仮止め接着剤にて堅固に固定されている必要があるが、研削終了後は支持体から剥離する必要がある。
従来より、化合物半導体の分野においては仮止め接着剤としてワックスが広く用いられており、種々のワックスが提案されている。たとえば、特許文献1にはHLB値が7〜13のポリグリセリン類を有効成分とするワックスが開示され、特許文献2には、酸価が100以上のロジン樹脂、ロジン樹脂の誘導体、ロジン樹脂の変成物、スチレン・アクリル共重合体の1種または2種以上を含むワックスが開示されている。
しかしながら、このような従来のワックスは、
(1)高温ではワックスが流動して接着強度が保てないことから、200℃での加工には適合できない、
(2)基板貼り合わせ厚みの面内のバラツキ精度が充分でない、および
(3)薄く研削された基板を支持体から剥離する際に剥離性が悪く、基板が破損しやすい、
などの問題点があった。
特開平7−224270号公報 特開平9−157628号公報
半導体ウエハーなどの基板を、支持体に任意の貼り合わせ厚みで均一に仮止めすることができる接着剤組成物であって、基板の加工処理時には、良好な耐熱性および接着性を示し、加工処理後には、支持体から基板を容易に剥離することができ、基板に付着した接着剤をきれいに除去することができる接着剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決して、半導体ウエハーなどの基板を支持体に均一に仮止めすることができ、基板の加工処理時に、良好な耐熱性および接着性を示し、加工処理後には、該支持体から基板を容易に剥離することができる接着剤組成物について鋭意研究し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の事項を含む。
本発明の接着剤組成物は、分子量が200〜1000であり、分子中に3〜10個の芳香族環構造を含む化合物を80〜100重量%含有することを特徴とする(ただし、接着
剤組成物中の全固形成分を100重量%とする。)。
前記化合物は、下記式(A)、(B)、(C)、(D)および(E)で表される構造ユニットを含む化合物ならびにオキサゾリン環を有する芳香族化合物(F)および縮合環を有する芳香族化合物(G)、テトラフェニルエタン誘導体(H)から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
Figure 2008255270
[式中、R1〜R56は、水素原子、水酸基、炭素数1〜12の鎖状もしくは環状のアルキ
ル基または置換アルキル基、および炭素数1〜12の置換もしくは非置換のフェニル基から選ばれる置換基であって、それぞれ同じでも異なってもよい。Arは、芳香族複素環または炭素環である。]
前記化合物の融点は、80〜300℃であることが好ましい。
前記化合物は、ヒンダードフェノール系化合物であることが好ましい。
前記化合物は、分子中に水酸基以外の官能基を有さないことが好ましい。
本発明の接着剤組成物によれば、基板と支持体とを加熱溶融して重ね合わせ、所定の温度で固化することにより、支持体と基板とを任意の厚みで、容易かつ均一に接着させることができる。さらに、接着剤層を再度加熱溶融することにより、基板を支持体から容易に剥離することができ、基板に残った接着剤残渣はきれいに洗浄除去できる。したがって、本発明の接着剤組成物は、たとえば、半導体基板の極薄研削処理および各種材料表面の微細加工処理などの際に基板を仮止めする接着剤として好適である。
本発明では、特定の低分子化合物を高含有率で含有させることにより、その化合物に固有の特定の温度(溶融温度)に加熱すると瞬時に固体から液体に状態変化して低粘性の液体となり、その化合物に固有の特定の温度(固化温度または結晶化温度)に温度を制御すると再び固体に状態変化する現象を接着性として発現させている。液体状態では粘性が低いため、基板の凹凸にも接着剤成分が充填され、接着層内の気泡残留を抑制しつつ、膜厚をセルフレベリング性により均一化できる。さらに、加熱溶融して剥離する際には、低粘性ゆえに基板に大きな応力をかけることなく剥離することができる。一方、固体状態は特定の温度以上になるまで接着性が保持されるため、溶融開始温度までは基板の加工が可能である。すなわち、溶融温度が高いほど広い温度域で基板などの加工処理をすることが可能である。
本発明の接着剤組成物は、接着から剥離に至る工程で化学変化を起こすことなく、接着剤組成物の状態変化のみで接着−非接着の機能を発現するという特徴がある。化学反応に伴うガス発生および反応率のバラツキなどの影響を受けることなく、接着−非接着状態を再現性よく発現させることができる。本発明は、上記特定の化合物を用いることで液体―固体の状態変化を適正な温度範囲に制御しており、半導体ウエハーなどの基材の接着、剥離および接着層の洗浄除去を可能にしている。
以下、本発明の接着剤組成物について詳細に説明する。
〔接着剤組成物の各構成成分〕
本発明の接着剤組成物は、接着機能を発現する化合物(以下、「機能成分」ともいう。)、揮発分(溶剤など)およびその他の添加剤を含有する。接着剤組成物の全固形分を100重量%とした場合の機能成分の含有量は、80〜100重量%、好ましくは90〜100重量%、さらに好ましくは97〜100重量%である。機能成分の含有量が80重量%より少ないと、加熱溶解させると低粘性の液体状態になり、特定の温度に制御すると結晶化するという状態変化が鈍化するために、接着および剥離の温度幅が広くなり、その結果、加工プロセス温度の上限が下がってしまう。
また、本発明の接着剤組成物は、粒径が1μm以上の粒子が10個/mL以下、およびアルカリ金属イオンおよび重金属イオンの合計含有量が100ppm以下であることが加工する基板への汚染を低減できるため好ましい。
〔機能成分〕
本発明に用いられる機能成分は、分子中に3〜10個の芳香族環構造を含む分子量が200〜1000、好ましくは230〜900の化合物である。分子量が200未満である場合、溶融温度において揮発性が大きく、基板を貼り合わせる際に揮発分が気泡となって残留し、十分な接着面積が確保できず、接着強度が弱くなる。一方、分子量が1000を越える場合、溶融した際の粘性が高くなり、剥離する際に基板にかかる応力が大きくなるため、基板を損傷する恐れがある。
本発明に用いられる機能成分は、分子中に3〜10個、好ましくは3〜7個の芳香族環構造を含有する。芳香族環が3個未満では、分子量が小さく、前述したように揮発性が大きくなるため、接着強度が弱くなる。一方、芳香族環が10個以上では、分子量が大きく、前述したように粘性が高くなるだけでなく、分子構造が複雑化し、安定した結晶状態をとりにくく、接着状態の再現性が低下し、接着強度が弱くなる。
本発明に用いられる機能成分の溶融温度は、80〜300℃、好ましくは80〜280℃、より好ましくは80〜260℃である。ここで、「溶融温度」とは、示差走査熱量分
析装置(DSC)で測定した溶融ピーク曲線におけるメインピークの温度をいう。機能成分の溶融温度から、加工処理の許容温度を予測することができる。溶融温度が高い方が、加工の許容温度が高く、多様な加工に適応可能である。また、本発明に用いられる機能成分の揮発性は機能成分10mgを示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 TG/DTA300)を用い、溶融温度+15℃で1時間保持したときの重量減少量を測定した場合、初期重量に対して0〜10%、好ましくは0〜2%である。揮発性が上記範囲内にあると貼り合わせ面に気泡が残留しにくいことから好ましい。
本発明に用いられる機能成分の固化温度は示差走査熱量装置(「RDC220」(セイコー社製))を用い、5℃/分、窒素下で測定した時の発熱ピーク曲線のピーク温度で求められる。固化温度は溶融温度より5〜50℃程低いのが一般的だが、温度範囲は特に限定されない。
接着材組成物を溶融させてから接着する工程においては溶融温度より5〜20℃程度低い方がプロセス温度制御の負担が少なく好ましい。逆に接着材組成物を溶融させない場合は、固化温度が低いほど接着のための熱量が低減できることから好ましい。
基板上に形成された配線および絶縁膜に対してダメージを与えず、汚染源ともならず、溶融時に接着剤層が化学変化または劣化を起こさないなどの観点から、機能成分が有する官能基として許容されるのは、水酸基のみである。水酸基以外のカルボキシル基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、エポキシ基、チオール基およびハロゲンなどの活性の高い官能基だけでなく、エーテルおよびエステル構造を含有することも好ましくない。また、アルカリ金属など、媒質中に拡散して絶縁性に悪影響を及ぼす金属(たとえば、Na、K、Ca、Fe、Cu、Ni、CrおよびAlなど)は、メタルフリー化処理して、該金属含有量を100ppm以下、好ましくは10ppm以下とすることが好ましい。なお、安定な形態で存在している金属酸化物などは、この限りではない。
上述したような要件を満たす化合物の例としては、下記の化学式(A)〜(E)で表される化合物ならびにオキサゾリン環を有する芳香族化合物(F)および縮合環を有する芳香族化合物(G)、テトラフェニルエタン誘導体(H)を挙げることができる。
Figure 2008255270
[式中、R1〜R56は水素原子、水酸基、炭素数1〜12の鎖状もしくは環状のアルキル基または置換アルキル基、および炭素数1〜12の置換もしくは非置換のフェニル基から選ばれる置換基であって、それぞれ同じでも異なってもよい。Arは、芳香族複素環または脂肪族複素環である。]
化学式(A)で表される構造ユニットを含む化合物としては、たとえば、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンや、以下の化学式で示される化合物などが挙げられる。
Figure 2008255270
化学式(B)で表される構造ユニットを含む化合物としては、以下の化学式に例示されるようなノボラック樹脂(重合度3〜10)が挙げられる。
Figure 2008255270
化学式(C)で表される構造ユニットを含む化合物としては、たとえば、m−ターフェニル、o−ターフェニル、およびp−ターフェニルなどが挙げられる。
化学式(D)で表される構造ユニットを含む化合物としては、たとえば、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸などが挙げられる。
化学式(E)で表される構造ユニットを含む化合物としては、たとえば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)フェニル)プロパンなどや、以下の化学式で表される構造ユニットを含む化合物などが挙げられる。
Figure 2008255270
縮合環を有する芳香族化合物(F)としては、たとえば、α−ナフトールベンゼン、チモールフタレイン、α−ナフトールフタレイン、トリプチセンおよびコランニュレンなど;
オキサゾリン環を有する芳香族化合物(G)としては、たとえば、1,4−ビス[2−(4−メチル−5−フェニルオキサゾリル)]ベンゼンおよび1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサゾリル)]ベンゼンなどのポリオキサゾリンオリゴマー、ならびに、その誘導体が挙げられる。ただし、前記誘導体のうち、エステル誘導体は融点が低く、熱分解したときに酸性となり接着面を浸食する可能性があるなどの理由から好ましくない。
以上の化合物のうち、以下の化学式4などに示される、オルト位に置換基があるため立体障害が大きい、いわゆるヒンダードフェノール化合物が好ましく用いられる。
Figure 2008255270
化学式(D)で表される化合物、化学式(E)で表される化合物およびオキサゾリン環を有する芳香族化合物(G)、テトラフェニルエタン誘導体(H)が、溶融時の揮発分が少なく、熱安定性も良好であり好ましく、化学式(D)または化学式(E)に属するヒンダードフェノール化合物である、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)フェニル)プロパンおよびオキサゾリン環を有する芳香族化合物(G)、以下の化学式で示されるテトラフェニルエタン誘導体(H)がさらに好ましい。
Figure 2008255270
前記機能成分は、後述する溶融特性および接着性を損なわない限り、これらの化合物を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
前記機能成分のうち、固体から液体となる溶融温度幅は、0.5〜30℃、好ましくは1〜20℃であり、溶融温度における溶融粘度は、0.0001〜0.1Pa・s、好ましくは0.001〜0.05Pa・s、特に好ましくは0.001〜0.01Pa・sである。ここで、「溶融温度幅」とは、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定した溶融ピーク曲線におけるメインピークの始点の温度と終点の温度との差をいう。溶融温度幅および溶融粘度が上記範囲にあると、剥離容易性が向上するため、ウエハーを支持体から剥離する際に加える外力を小さくすることができる。
機能成分の溶融温度幅を狭くし、溶融粘度を低減し、さらに遊離金属イオン量を低減するために、機能成分の精製を行うことも好ましい。機能成分の精製方法としては、たとえば、
(a)機能成分を溶剤に溶解し、溶剤を徐々に留去して再結晶化させる方法、および
(b)機能成分を溶剤に溶解し、その溶液をイオン交換樹脂に接触させて遊離金属を除去する方法などが挙げられる。
〔溶剤〕
本発明で用いられる機能成分は、有機溶剤に溶解したワニス状態、あるいは、有機溶剤および/または水に分散させた分散液またはペースト状態にして用いることが可能であり、このような状態にして用いる方が接着剤組成物の取り扱い性が良好な場合がある。
ワニス状態にする場合、機能成分を所望の膜厚に成膜するためには、機能成分を5%〜80%、好ましくは10%〜60%、40℃の温度条件下で溶解できることが好ましい。溶解度が上記範囲よりも低いと、成膜できる機能成分の膜厚が薄くなり、支持体と基板の接着厚みを厚くすることが困難となる。一方、溶解度が上記範囲を越えると、ワニスの粘度が高くなりすぎて基材への塗布性が悪化する場合がある。溶剤の種類は上述した溶解度を満たすものであれば特に限定されないが、トルエン、メシチレン、リモネンおよびtert−ブチルベンゼンなどの炭化水素系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびテルピネオールなどのアルコール類;2−ヘプタノンおよびシクロヘキサノン、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。なかでも、メシチレン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが、塗布性および塗膜の膜厚均一性という観点から好ましい。
分散液またはペースト状態にする場合、機能成分の溶解性が低い溶剤および蒸気圧の低い溶剤を用いることが好ましい。たとえば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび2−(2−エトキシエトキシ)エタノールなどのグリコール系溶剤;プロピレンカーボネート;ジオキサンなどの環状エーテル類などが挙げられる。前記化合物は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
また、ペースト状態にする場合、ペーストとしての粘度特性を適正化するため、接着剤組成物中に後述する樹脂およびフィラーを含有させてもよい。
〔その他添加剤〕
機能成分には、種々の添加剤を含有させることができる。たとえば、基板への濡れ性を改善するために、界面活性剤を添加したり、塗布した機能成分の成膜性を向上させるために樹脂を添加したり、塗布液の流動性を制御するためにフィラーを添加したりすることが可能である。機能成分本来の性能を損なわないために、添加量は、全固形分を100重量部とした場合に、0.001〜10重量部、好ましくは、0.01〜5重量部である。
界面活性剤としては、たとえば、C919CONHC1225、C817SO2NH−(C2
4O)6H、「エフトップEF301、同EF303および同EF352」(新秋田化成
(株)製)、「メガファックF171および同F173」(大日本インキ(株)製)、「アサヒガードAG710」(旭硝子(株)製)、「フロラードFC−170C、同FC430および同FC431」(住友スリーエム(株)製)、「サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105および同SC106」(旭硝子(株)製)、「BM−1000および同1100」(B.M−Chemie社製)、「Schsego−Fluor」(Schwegmann社製)ならびに「FS1265」(東レダウコーニングシリコーン(株)製)などのフッ素系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどのポリエーテルアルキル系界面活性剤などが挙げられる。
前記ポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、具体的に、「エマルゲン105、430、810および920」、「レオドールSP−40SおよびレオドールTW−L120」、「エマノール3199および4110」、「エキセルP−40S」、「ブリッジ3
0、52、72および92」、「アラッセル20」、「エマゾール320」、「ツィーン20および60」、「マージ45」((株)花王製)、「ノニボール55」(三洋化成(株)製)、「SH−28PA、同−190および同−193」ならびに「SZ−6032およびSF−8428」(東レダウコーニングシリコーン(株)製)などが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などが挙げられ、具体的には、「ケミスタット2500」(三洋化成工業(株)製)、「SN−EX9228」(サンノプコ(株)製)および「ノナール530」(東邦化学工業(株)製)などが挙げられる。
樹脂としては、各種の増粘剤を好適に用いることができる。増粘剤としては、少量の添加量で成膜性を向上させ、かつ、機能成分と同じ溶剤に溶解するものが好ましく、たとえば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、澱粉およびデキストリンが挙げられる。
さらに、機能成分よりも高い耐熱性を有し、かつ、金属不純物含有量の少ない増粘剤がより好ましく用いられる。
フィラーとしては、たとえば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンおよび酸化ケイ素などの金属酸化物、ならびに、ポリスチレン架橋粒子(たとえば、「ミクロパールSPNおよび同SPSシリーズ」(積水化学社製))、フェノール樹脂架橋繊維(たとえば、「Kynol繊維、Kynol炭素繊維Kynol活性炭繊維シリーズ」(日本カイノール社
製))フェノール樹脂粒子(たとえば、「マリリンシリーズ」(群栄化学工業社製))が挙げられる。これらのフィラーは、分散液またはペーストの粘性を制御し、塗布性を適正化するだけでなく、貼り合わせの際に生じる間隙を制御するためのスペーサーとしての機能を果たす場合もある。また、BET比表面積値で100m2/gを超える表面積の大きな形状
のフィラーは、機能成分が溶融した際の溶融液の流動性を調節するために用いることができ、例えば導電性カーボン(ECP,ECP-600JD(ライオン(株)社製)、
ヒュームドシリカ(aerosilシリーズ (degussa社製)が挙げられる。
〔接着剤組成物の使用方法〕
[基材]
本発明の接着剤組成物は、基板同士を仮止め接着するのに用いられる。本発明で用いられる基板は、半導体分野で用いられる基板であって、加工温度条件下での耐熱性、および
剥離後の残渣の除去が困難なため、剥離容易性を要する。本発明で用いられる基板は、ガラス、半導体、金属およびセラミックの中から選ばれる1以上の加工用基材から構成される平板である。具体的には、表面に半導体素子が形成された半導体ウエハー、化合物半導体ウエハー、無アルカリガラス、アルミナ、ジルコニア、チタニアおよび各種金属板などの基材が挙げられる。また、表面に銅、金、SUSおよびニッケルなどの金属膜または配線構造物が形成された基材も挙げられる。
[使用方法]
本発明の接着剤組成物について、半導体ウエハーの仮止め接着剤としての用途を例に、使用方法を以下に詳細に説明するが、本発明はこの使用方法に限定されるのもではない。
半導体ウエハーの加工処理方法は、通常、
(1)本発明の接着剤組成物を半導体ウエハーまたは支持体に塗布および乾燥する工程と、
(2)均一に塗布された機能成分を加熱溶融し、半導体ウエハーを支持体に固定化する工
程と、
(3)支持体に固定化された半導体ウエハーを加工処理する工程と、
(4)加工処理した半導体ウエハーを支持体から剥離する工程と、
(5)剥離した半導体ウエハーを洗浄する工程と
を含む。前記各工程について、以下に説明する。
<工程(1)>
本発明の接着剤組成物は、ワニス、分散液およびペーストなど、いずれの形態でも上記半導体ウエハーへの塗布に用いることができる。塗布方法としては、スピンコート、スプレーコート、流延塗布、スキャンコート、ディップコートおよび印刷などの方法が挙げられ、支持体などの基板表面に薄く均一に塗布して乾燥し、機能成分の塗膜を形成させる。また、基板表面に複数種の機能成分を部分的に成膜することも可能である。
接着剤層の厚みは、接着剤組成物の塗布量および接着の際の圧力によって制御することができ、0.01μm〜2mm、好ましくは0.05μm〜1mm、より好ましくは0.1
μm〜0.5mmの範囲である。接着剤層の厚みが前記範囲よりも薄いと、充分に接着されないことがある。一方、接着剤層の厚みが前記範囲を超えると、接着強度が低下し、接着面から接着剤が剥がれ、材料破壊を引き起こすことがある。
本発明の接着剤組成物を半導体ウエハーまたは支持体などに塗布するに際して、機能成分の面内への広がりを均一にするため、該半導体ウエハーまたは支持体表面をあらかじめ疎水化処理しておくことが好ましい。または、あらかじめ半導体ウエハーに溶剤を塗布して濡らしておくことも好ましい。
本発明の接着剤組成物を半導体ウエハーに塗布した後は、乾燥させる必要があるが、前述したように半導体ウエハーまたは支持体表面にあらかじめ表面処理剤を塗布し、疎水化処理しておくことが好ましい。
前記表面処理剤としては、たとえば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリ
エトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピル
トリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランおよびヘキサメチルジシラザンなどのカップリング剤が挙げられる。
<工程(2)>
上記半導体ウエハーを支持体に固定化する工程は、機能成分中の気泡ならびにウエハーおよび支持体表面の凹凸部の気泡を除去し、接着層の厚みを一定にするため、200Torr以下の減圧下で行うことが好ましい。
本発明の機能成分を加熱溶融させる温度は、「溶融温度+2℃」〜「溶融温度+50℃」、好ましくは「溶融温度+2℃」〜「溶融温度+30℃」、特に好ましくは「溶融温度+5℃」〜「溶融温度+20℃」の範囲である。加熱溶融させる温度が前記範囲よりも低いと、機能成分の被着体面内での広がりが不十分となり、接着ムラが生じる場合がある。一方、加熱溶融温度が上記範囲を超えると、機能成分の揮発または分解が部分的に進行し、所望の接着性を得られない場合がある。
貼り合わせ操作においては、半導体ウエハーまたは支持体に膜厚ムラがある場合も考慮し、半導体ウエハーと支持体との距離を機械的に制御する機能を有する熱プレス装置などを用いることが好ましい。このような熱プレス装置を用いて圧力または上下プレス板間の距離を制御することにより、接着剤層の厚みまたは貼り合わせ物の平坦度を所定の範囲に抑えることができる。
半導体ウエハーと支持体とを貼り合せた後、機能成分の有する固化温度にまで温度を下げると、該半導体ウエハーと支持体とが強固に接着される。
なお、機能成分によっては、その機能成分の有する熱特性により、溶融させずに、加熱プレスのみ用いて接着および結晶化を行うことも可能である。
接着強度は図1に示すように、シリコンウエハーとガラス基板とを機能成分のみを接着剤として貼り合わせたサンプルを準備し、これをテンシロン型引張り試験機を用いて、引張速度1.67×10-4m/秒で上下に引っ張り、ずり方向の接着強度を測定した場合に、0.4kgf/cm2以上であり、好ましくは1.0kgf/cm2以上である。接着強度が上記範囲内にあると裏面研削加工、搬送の衝撃に耐えることができ好ましい。
<工程(3)>
支持体に固定化された半導体ウエハーの加工処理は、機能成分の溶融温度より低い温度で行うことが好ましい。加工処理方法としては、半導体ウエハーを機械的に研削、研磨またはウェットエッチングする方法だけでなく、スパッタ成膜、レジストパターンの形成、絶縁膜の形成、配線形成、ドリル、リアクティブイオンエッチング、放電加工などによる穴,溝形成、ダイシング、接着シートへの貼り換えなどの方法が挙げられる。
<工程(4)>
半導体ウエハーを加工処理した後は、支持体から半導体ウエハーを剥離する。この剥離工程については、半導体ウエハーおよび支持体のうち少なくとも一方を、機能成分を溶融温度以上に加熱することにより、接着層を液状とし、支持体から半導体ウエハーを剥離する。また、接着層を液状になるまで加熱しなくても剥離することもでき、たとえば、接着層に切り込みを入れて引き剥がすか、あるいは、半導体ウエハーまたは支持体のいずれか一方を中央が凸状になるまで反らせて外周部を浮き上がらせてから引き剥がしてもよい。
<工程(5)>
剥離後、半導体ウエハーの表面に接着剤が残存している場合は、上記溶剤で洗浄して除去することができる。洗浄方法としては、ウエハーを洗浄液に浸漬する方法およびウエハーに洗浄液をスプレーする方法などが挙げられる。洗浄液の温度は特に限定されないが、好ましくは20〜80℃、より好ましくは30〜50℃である。
[実施例]
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例で用いた機能成分は、あらかじめテトラヒドロフラン溶液とし、20重量部のイオン交換樹脂を加えて10時間撹拌混合することによって脱イオン化処理を行い、
Na,K,Ca,Fe,Cu,Ni,CrおよびAlの各金属含有量が1ppm以下であることを確認してから用いた。また、機能成分の特性値は、下記の測定および評価方法により求めた。
<溶融温度、溶融温度幅および固化温度>
示差走査熱量装置(「RDC220」(セイコー社製))を用い、5℃/分、窒素下で機能成分のみの値を測定した。溶融ピーク曲線のメインピーク温度を溶融温度とし、該溶融ピーク曲線の始点と終点との温度差を溶融温度幅とした。また、発熱ピーク曲線のピーク温度を固化温度とした。
<溶融粘度>
B型粘度計(東機産業社製)を用い、機能成分の溶融温度にて機能成分のみの粘度(mPa・s)を測定した。
<揮発性>
機能成分10mgを示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製
TG/DTA300)を用い、溶融温度+15℃で1時間保持したときの重量減少量が初期重量の何%であるかを測定した。2%未満の場合は良好、2%〜10%の場合は可、10%以上の場合は、貼り合わせ時に揮発分が気泡として接着層に残留するため、不良と判断した。
<加工許容温度>
図1に示すように、シリコンウエハーとガラス基板とを機能成分のみを接着剤として用いて貼り合わせ、50g荷重下で基板を引っ張った状態で加温ヒーターでサンプルを加熱し、基板が剥がれたときの温度を加工許容温度(℃)とした。この加工許容温度を、上述したような種々の加工処理を行う場合の上限温度の目安とした。
<接着強度>
図1に示すように、シリコンウエハーとガラス基板とを機能成分のみを接着剤として貼り合わせたサンプルを準備し、これをテンシロン型引張り試験機を用いて、引張速度1.67×10-4m/秒で上下に引っ張り、ずり方向の接着強度を測定した。測定は室温で行い、0.4kgf/cm2以下の場合は不良、0.4〜2kgf/cm2の場合は可、2kgf/cm2以上の場合は良好と判断した。
<剥離および洗浄除去性>
シリコンウエハー上に銅をスパッタ成膜し、銅上に50μmφおよび高さ30μmの円柱状のハンダパターンをパターン間隔0.1mmで100本形成したシリコンウエハー片(12mm×50mm)とガラス基板とを機能成分のみを接着剤として貼り合わせた図1に示すようなサンプルを準備し、これを溶融温度に加熱してずり方向に引き剥がした。剥がしたシリコンウエハー片の100本の円柱状ハンダパターンの形状変化を顕微鏡観察し、形状変化のないパターンの個数を計測し、剥離容易性の指標とした。すなわち、形状変化しないパターンの個数が多いほど容易に剥離できたことを示す。なお、前記ハンダパターンを形成したシリコンウエハー上にセロハンテープを貼り、シリコンウエハー片に対して直角方向に引き剥がすと、100本のハンダパターンのうち60本が脱落していた。また、剥がしたシリコンウエハー片をイソプロピルアルコール中に40℃で10分間浸し、接着剤がハンダパターン形成面に残留している否かをFT−IR分析により、2800〜3200cm-1の領域に有機物に起因するCH伸縮振動ピークが観察されるかどうかにより判断した。
<塗膜の均一性>
適当な塗布方法で接着剤組成物を8インチシリコンウエハーの全面に膜厚2〜20μmの範囲になるように塗布し、塗膜を形成し、面内の任意の10ケ所における厚みを触針式膜厚計を用いて測定し、最高膜厚と最低膜厚との厚み差を算出した。平均膜厚に対する厚み差のパーセンテージを算出して塗膜均一性の評価を行った。平均膜厚に対する厚み差のパーセンテージが、5%以下であれば均一な塗膜であると判断した。なお、塗膜均一性は接着後の接着均一性にも影響を与える。
[実施例1]
<接着剤組成物の調製および特性評価>
機能成分として1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(分子量775.2;溶融温度247℃;溶融温度幅15℃;固化温度167℃;溶融粘度2mPa・s)5gを用い、シクロヘキサノン20gに溶解させ、固形分濃度20%および溶液粘度6mPa・sの接着剤溶液(1)を調製した。この溶液をメンブレンフィルター(孔径0.5μm)で3回ろ過精製すると、粒径が1μm以上の粒子数が1個/mLまで減少した。この接着剤溶液(1)を用いて、図1に示す試験を行ったところ、接着強度は良好で、加工許容温度は230℃であるため、200℃の条件の工程に対しても耐性があることが分かった。図2にこの機能成分のDSCサーモグラムを示す。また、表1にこの接着剤組成物の特性を示す。また、表2
に接着剤組成物を用いた場合の測定および評価結果を示す。
<加工基板の実証評価>
あらかじめヘキサメチルジシラザン(HMDS)の5%イソプロピルアルコール溶液をスピンコート塗布後、乾燥して表面の疎水化処理を行った6インチシリコンウエハー(厚さ650μm)を支持板として用いた。
接着剤溶液(1)をスキャンコート法に用いて前記支持板上に成膜し、90℃ホットプレートで10分間乾燥させて、厚さ3μmの薄膜状の接着剤層を形成した。
得られた支持板の上に、別の6インチシリコンウエハー(厚さ650μm)を静置し、真空熱プレス装置に入れて100Torrまで減圧にした後、5分間ホールドした。次いで、真空熱プレス装置の上下ヒーターを260℃まで昇温し、260℃に到達した時点で直ちに上下プレス板を、設定値(1302μm)の厚みまでプレスし、常圧に戻すと同時に室温まで急冷した。その後、プレス解除して220℃で5分間加熱した後、室温まで冷却した。
得られた貼り合わせ物の厚みをマイクロメーターで測定したところ、1302.5±1μmであり、接着剤層の厚みは、シリコンウエハーのバラツキ込みで2.5±1μmの範囲内に制御されていた。
次に、市販の研磨装置(「MA−400D」(ムサシノ電子社製))を用いて、貼り合わせたシリコンウエハーの裏面をウエハー厚みが30μmになるまで研磨した。このとき、ウエハーの温度は60℃に達したが、ウエハーが剥がれることはなかった。再び貼り合わせ物の厚みを測定すると、面内の厚みバラツキは±1μmの範囲内にあり、面内均一に研磨できていることが分かった。
30μmまで薄化したシリコンウエハーの研磨面全面にチタンを0.1μm、その上に銅を0.3μmの厚みになるようにスパッタ成膜し、これをシード層として電解メッキにより銅を5μmの厚みに成長させた。さらに、その銅の上に感光性絶縁膜(「WPR1201」(JSR(株)製))を膜厚15μmとなるように成膜し、200℃で1時間硬化させた。メッキ、絶縁膜塗布および硬化処理によっても薄化ウエハーが支持体から剥がれることはなかった。
得られたサンプルを、260℃に加熱したバキュームチャック機能付きホットプレート上に絶縁膜層を下にして置き、上の支持板を横に移動することにより支持板を容易に剥離することができた。次いで、剥離した薄化ウエハーをチャッキングしたまま室温まで冷却し、40℃のイソプロピルアルコールをスプレーして、残留する機能成分を除去した。支持体を剥離しても薄化ウエハーが反ることはなかった。また、ウエハーの剥離面を反射型FT―IRで表面分析したが、有機化合物に起因する吸収は一切観察されず、貼り合わせに用いた接着剤は洗浄により除去されたことが分かった。表3に結果を示す。
[実施例2〜4]
機能成分を表1に示す化合物に変更した以外は、実施例1と同様に接着剤組成物の調製および特性の評価を行った。表1〜2に結果を示す。
[実施例5]
<接着剤組成物の調製および特性評価>
実施例1の機能成分5gおよびメガファックF171 0.15gをシクロヘキサノン4.5gとアセトン10.5gの混合溶剤に溶解させ、固形分濃度25%および溶液粘度1.5mPa・sの接着剤溶液(2)を調製した。この溶液をメンブレンフィルター(孔径0.5μm)で3回ろ過精製すると、粒径が1μm以上の粒子数が1個/mLまで減少した。この接着剤溶液(2)を用いて図1に示すように試験を行ったところ、接着強度は良好で、加工許容温度は230℃であるため、200℃の条件の工程に対しても耐性があることが分かった。表1〜3に結果を示す。
<加工基板の実証評価>
銅スパッタした6インチシリコンウエハー(厚さ650μm)上に、30μmφおよび高さ15μmの円柱状の突起を1mm間隔で銅メッキで形成しし、これを基板として用いた。
上記基板に接着剤溶液(2)をスピンコート法にて成膜して50℃ホットプレートで10分間乾燥して厚さ17μmの薄膜状の接着層を形成した。
得られた基板の上にあらかじめ接着剤溶液(2)をスピンコート法にて3μm成膜して180℃で3分間乾燥させた6インチシリコンウエハー(厚さ650μm)を静置し、これを真空熱プレス装置に入れて100Torrまで減圧にし、5分間ホールドした。次いで、真空熱プレス装置の上下ヒーターを130℃まで昇温し、上下プレス板を300kgf荷重下、設定値(1320μm)の厚みまでプレスし、130℃に到達後、1分間保持し、常圧に戻すと同時に室温まで急冷した。室温まで冷却してからプレス解除した。
得られた貼り合わせ物の厚みをマイクロメーターで測定したところ、1319±1μmとなっており、接着層の厚みは、シリコンウエハーのバラツキ込みで19±1μmの範囲に制御されていた。
次に、市販の研磨装置(「MA−400D」(ムサシノ電子社製))を用いて、突起を設けたシリコンウエハーの裏面をウエハー厚みが30μm(突起は含まず)になるまで研磨した。このとき、ウエハーの温度は50℃に達したが、ウエハーが剥がれることはなかった。再び貼り合わせ物の厚みを測定すると、表面の厚みバラツキは±1μmの範囲内にあり、表面に均一に研磨できていることが分かった。
薄化したシリコンウエハーの研磨面にダイシングテープ(「T−120HW」(トーヨーアドテック社製))を貼り合わせ、ダイシングテープをバキュームチャックに吸着固定した。接着剤層の部分の外周にカッターナイフで切り込みを入れ、バキュームチャックで吸着した支持体(6インチシリコンウエハー)を切れ込みを起点に引き剥がした。薄化した突起付きウエハーは破損することなくダイシングテープに固定されていた。
銅の突起部に残留する機能成分を40℃のイソプロピルアルコールをスプレーして除去した。銅表面を反射型FT―IRで表面分析したが、有機化合物に起因する吸収は一切観察されず、貼り合わせに用いた接着剤は洗浄により除去されたことが分かった。結果を表3に示す。
[比較例1]
機能成分として、分子中の芳香族環数が2個の4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)を用いてその物性値を測定したところ、図2に示すような固化に起因する明確なピークは現れず、加工許容温度は溶融温度より100℃低い110℃であった。また、接着強度が低く、加工処理が大きく制限される。表1〜2に結
果を示す。
[比較例2]
機能成分として、アントラセン(分子量178)を用いてその物性値を測定したところ、化合物が溶融せずに昇華してしまった。この化合物は揮発性が著しく高いため、接着剤としては適さないことが分かった。表1〜2に結果を示す。
[比較例3]
機能成分として、分子中の芳香族環数が0個のコレステロールを用いてその物性値を測定したところ、加工許容温度は130℃だが、接着強度、剥離および洗浄除去性は可能だった。加工許容温度が130℃のため、高温(200℃)での加工処理には適さないが、適用範囲を限定すれば、接着剤として使用可能と判断した。表1〜2に結果を示す。
[比較例4]
機能成分として、実施例1の化合物70部と比較例3の化合物30部との混合物を用いてその物性値を測定したところ、溶融温度幅が40℃と広く、固化に起因する明確なピークは現れないことが分かった。接着強度は弱く、加工許容温度も比較例3と同じであった。表1〜2に結果を示す。
[比較例5]
機能成分として、芳香族環を多数含むノボラック樹脂を用いたところ、溶融時の粘度が980mPa・sと非常に高く、剥離容易性および洗浄除去性が悪かった。表1〜2に結
果を示す。
[比較例6]
機能成分として、市販のエレクトロンワックス(「ワックスH」(フルウチ化学社製))を用いて特性評価を行った。ワックスHは、スティック状の固体で、平均分子量は2000、また、芳香族環は有していない。このスティックを加熱した基材に押し付けて適量使用するか、または、ナイフで削って粉状にして評価を行った。70℃で溶融するが、粘度が40mPa・sの粘ちょうな液体であり、加工許容温度は40℃と低かった。表1〜2に結果を示す。
Figure 2008255270

表1中の記号は以下の通りである。
F−1:1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
F−2:1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサゾリル)]ベンゼン
F−3:1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
F−4:m−ターフェニル
F−5:4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)
F−6:アントラセン
F−7:コレステロール
F−8:ノボラック樹脂(「レジトップ PSM−4326」(群栄化学工業社製))
F−9:エレクトロンワックス(「ワックスH」(フルウチ化学社製))
DGMEA:酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル
Figure 2008255270
Figure 2008255270
加工許容温度の測定方法を示す図である。 1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゼンのDSCサーモグラムである。

Claims (6)

  1. 分子量が200〜1000であり、分子中に3〜10個の芳香族環構造を含む化合物を80〜100重量%含有する仮止め用接着剤組成物(ただし、接着剤組成物中の全固形成分を100重量%とする。)。
  2. 前記化合物が、下記式(A)、(B)、(C)、(D)(E)で表される構造ユニットを含む化合物、オキサゾリン環を有する芳香族化合物(F)、縮合環を有する芳香族化合物(G)、およびテトラフェニルエタン誘導体(H)から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の接着剤組成物。
    Figure 2008255270
    [式中、R1〜R56は、水素原子、水酸基、炭素数1〜12の鎖状もしくは環状のアルキ
    ル基または置換アルキル基、および炭素数1〜12の置換もしくは非置換のフェニル基から選ばれる置換基であって、それぞれ同じでも異なってもよく、環を構成してもよい。Arは、芳香族複素環または脂肪族複素環である。]
  3. 前記化合物の融点が80〜300℃である請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記化合物がヒンダードフェノール系化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  5. 前記化合物が分子中に水酸基以外の官能基を有さない請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤組成物。
  6. 半導体基板の微細加工処理において、基板を支持体に仮止めすることに用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤組成物。
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