JP2008254499A - 制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存のアクチュエータを用いて、ブレーキ圧の脈動の車輪間の伝達を低減する制動制御装置を提供することを課題とする。
【解決手段】第1制御弁21と、第2制御弁23と、第3制御弁24と、ポンプ27と、脈動検知手段と、脈動検知手段でブレーキ圧の脈動を検知した場合、第1制御弁21、第2制御弁23、第3制御弁24、ポンプ27を用いて脈動低減制御を行う制御手段とを備え、この脈動低減制御では、第1制御弁21によって第2制御弁23に負荷する圧力をマスタシリンダ圧より高い圧力に増圧し、第2制御弁23によって第3制御弁24に負荷する圧力を第2制御弁23に負荷する圧力より低い圧力に減圧するとともにマスタシリンダ側とホイールシリンダ側との連通を遮断し、第3制御弁24によって第3制御弁24に負荷する圧力を減圧し、ポンプ27によって第3制御弁24で減圧したブレーキ油を還流することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、制動時振動の要因となるブレーキ圧の脈動を低減する制動制御装置に関する。
車両に搭載されるブレーキは、通常、油圧配管系統がマスタシリンダから2系統に分かれており、主なものとして前後分割方式とX配管方式がある。各油圧配管系統では、マスタシリンダの各油圧室に油圧配管が接続され、油圧配管が途中で分岐し、分岐した各油圧配管が各輪のホイールシリンダにそれぞれ接続している。各油圧配管は、ブレーキの応答性を低下させないように、流量抵抗が小さい。このようにブレーキ配管における流量抵抗が小さいと、ある車輪でブレーキ圧の脈動が発生した場合、ブレーキ圧の脈動が減衰されずに、その脈動が油圧配管を通じて他の車両に伝達される。
ディスクブレーキ装置の場合、同じ油圧配管系統の一方の車輪側のディスクロータに肉厚差があると(ドラムブレーキ装置の場合には組付け変形)、制動時に、その肉厚差によってピストンが揺らされ、ホイールシリンダにブレーキ圧の脈動が発生する。その一方の車輪側で発生した脈動は、油圧配管を介して、マスタシリンダや他方の車輪側のホイールシリンダに伝達される。また、同じ油圧配管系統の両方の車輪の各ディスクロータにそれぞれ肉厚差があると、両方の車輪で発生した脈動が干渉し、脈動を増幅する場合がある。このような脈動は、各車輪での制動力の変動やブレーキペダルの脈動を発生させ、制動時のブレーキペダル、ステアリングホイールやボディなどの振動の要因となる。この制動時振動によって、運転者は不快感を受ける。
このような脈動による振動を抑制するために、特許文献1に記載の装置では、ABS[Antilock BrakeSystem]のアクチュエータの油圧回路にダンパ機構が設けられ、このダンパ機構が油圧回路に接続可能な第1及び第2の油圧径路と、第1の油圧径路又は第2の油圧径路の油圧回路への接続を切り替え可能な切替弁と、一方の油圧径路に設けられたダンパ手段で構成されている。そして、この装置では、ロータ肉厚差検出センサで検出したロータ肉厚差が所定の許容値より大きい場合、ダンパ手段側の油圧径路を油圧回路へ接続してダンパ手段を作動させ、ブレーキ圧による脈動を吸収し、振動を抑制する。
特開2004−114747号公報 特開2001−88669号公報 特開2000−179506号公報 特開2001−146152号公報 特開平5−170073号公報
上記の装置では、ABSに用いられる既存のアクチュエータに加えて脈動を抑制するためのダンパ機構を設けており、システム構成が複雑化する。
そこで、本発明は、既存のアクチュエータを用いて、ブレーキ圧の脈動の車輪間の伝達を低減する制動制御装置を提供することを課題とする。
本発明に係る制動制御装置は、マスタシリンダ圧に対してホイールシリンダ側のブレーキ圧を調整するための第1制御弁と、マスタシリンダ側とホイールシリンダ側との連通を遮断し、ホイールシリンダ圧を保持するための第2制御弁と、ホイールシリンダ圧を減圧するための第3制御弁と、ブレーキ油を第2制御弁のマスタシリンダ側に戻すためのポンプと、ブレーキ圧の脈動を検知する脈動検知手段と、脈動検知手段でブレーキ圧の脈動を検知した場合、第1制御弁、第2制御弁、第3制御弁、ポンプを用いて脈動低減制御を行う制御手段とを備え、制御手段による脈動低減制御では、第1制御弁によって第2制御弁に負荷する圧力をマスタシリンダ圧より高い圧力に増圧し、第2制御弁によって第3制御弁に負荷する圧力を第2制御弁に負荷する圧力より低い圧力に減圧するとともにマスタシリンダ側とホイールシリンダ側との連通を遮断し、第3制御弁によって第3制御弁に負荷する圧力を減圧し、ポンプによって第3制御弁で減圧したブレーキ油を還流することを特徴とする。
この制動制御装置は、ABS制御や車両安定化制御などで用いられるブレーキ圧を制御するための既存のアクチュエータとして、マスタシリンダ圧に対してホイールシリンダ側のブレーキ圧を調整するための第1制御弁と、マスタシリンダ側とホイールシリンダ側との連通を遮断し、ホイールシリンダ圧を保持するための第2制御弁と、ホイールシリンダ圧を減圧するための第3制御弁と、ブレーキ油を第2制御弁のマスタシリンダ側に戻すためのポンプを少なくとも備えている。そして、制動制御装置では、脈動検知手段でブレーキ圧の脈動を検知した場合、制御手段によって第1制御弁、第2制御弁、第3制御弁、ポンプを制御して脈動低減制御を行う。この脈動低減制御では、第1制御弁により、第2制御弁に負荷する圧力をマスタシリンダ圧より高い圧力に増圧する。そして、第2制御弁により、第3制御弁に負荷する圧力を第2制御弁に負荷している圧力より低い圧力に減圧するとともに、マスタシリンダ側とホイールシリンダ側とのブレーキ圧径路を遮断してその減圧した圧力をホイールシリンダ圧として保持する。さらに、第3制御弁により、第3制御弁に負荷している圧力(すなわち、ホイールシリンダ圧)を減圧する。そして、ポンプにより、その減圧したブレーキ油を第2制御弁のマスタシリンダ側に還流する。このように、この制動制御装置では、ある車輪で脈動が発生した場合にはマスタシリンダ側とホイールシリンダ側との連通を遮断し、減圧したブレーキ油を還流させることにより、車輪間のブレーキ圧の伝達が遮断され、脈動が発生している車輪から他の車輪への脈動の伝達を低減(遮断)できる。この際、減圧してブレーキ油を還流させているが、この制動制御装置では、第2制御弁に負荷する圧力をマスタシリンダ圧より高い圧力に増圧してから減圧することにより、マスタシリンダ圧に対するホイールシリンダ圧の低下を抑制でき、運転者のブレーキ踏力に応じたブレーキ効きの低下を抑制できる。また、この制動制御装置では、既存のアクチュエータで脈動低減制御を実現できるので、装置構成が複雑化しない。
本発明の上記制動制御装置の制御手段による脈動低減制御では、第2制御弁によって第3制御弁に負荷する圧力を第2制御弁に負荷する圧力の増圧分減圧すると好適である。
脈動低減制御では、第1制御弁よって第2制御弁に負荷する圧力をマスタシリンダ圧より所定圧だけ高い圧力に増圧し、第2制御弁によって第3制御弁に負荷する圧力を第2制御弁に負荷する圧力よりその所定圧だけ低い圧力に減圧する。これによって、マスタシリンダ側とホイールシリンダ側との連通が遮断されているが、第3制御弁に負荷する圧力(すなわち、ホイールシリンダ圧)がマスタシリンダ圧に相当するブレーキ圧に調整され、運転者のブレーキ踏力に応じたブレーキ効きを保証することができる。
本発明の上記制動制御装置では、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、脈動低減制御の開始前と開始後のヨーレートの偏差が閾値以上の場合、制御手段による脈動低減制御を禁止するようにしてもよい。また、本発明の上記制動制御装置では、車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、脈動低減制御の開始前と開始後のヨーレートの偏差が閾値以上の場合、車両安定化制御を行う構成としてもよい。
この制動制御装置では、ヨーレート検出手段により、脈動低減制御の開始前と開始後の車両に作用しているヨーレートを検出する。そして、制動制御装置では、脈動低減制御の開始前と開始後のヨーレートの偏差が閾値以上の場合、制御手段による脈動低減制御を禁止する。あるいは、制動制御装置では、脈動低減制御の開始前と開始後のヨーレートの偏差が閾値以上の場合、車両安定化制御を行う。閾値は、車両の挙動が安定な状態から不安定な状態に移行しようとしているか否かを判定するための閾値あるいは車両の挙動が不安定な状態になったか否かを判定するための閾値である。脈動低減制御によって各車輪のホイールシリンダ圧を独立して調整しているので、車輪間でホイールシリンダ圧に差が発生し、車輪間でのブレーキ効きが不均衡となり、車両が安定な状態から不安定な状態になる場合がある。この場合、安定な状態に戻すために、その不安定な状態の要因の可能性がある脈動低減制御を禁止したり、あるいは、車両安定化制御を作動させて能動的に車両の挙動を安定化させる。
本発明は、既存のアクチュエータを用いてブレーキ圧の脈動の車輪間の伝達を低減(遮断)でき、脈動低減制御中でも運転者のブレーキ踏力に応じたブレーキ効きを保証できる。
以下、図面を参照して、本発明に係る制動制御装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明に係る制動制御装置を、ブレーキ油圧配管系統がX配管方式があるFF車両に搭載され、各車輪のディスクブレーキのホイールシリンダ圧を制御するブレーキ制御装置に適用する。本実施の形態に係るブレーキ制御装置は、ABSなどで用いられるブレーキ圧を調整するための既存のアクチュエータを備えており、各車輪のホイールシリンダ圧を独立して調整することが可能である。本実施の形態に係るブレーキ制御装置では、運転者のブレーキ踏力に応じたホイールシリンダ圧を発生させる通常制御、ブレーキ圧の脈動の車輪間の伝達を低減する脈動低減制御、制動時に車輪がロックしないように制御するABS制御、車両の挙動を安定化するように制御する車両安定化制御に用いられる。本実施の形態には、2つの形態があり、第1の実施の形態が車両安定化制御装置を搭載しない形態であり、第2の実施の形態が車両安定化制御装置を搭載した形態である。
図1〜図6を参照して、第1の実施の形態に係るブレーキ制御装置1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係るブレーキ制御装置の構成図である。図2は、本実施の形態に係るアクチュエータ部の構成図である。図3は、ハイパスフィルタ処理したマスタシリンダ圧の微分値の時間変化の一例である。図4は、図2のマスタカット弁のマスタカット弁電流と差圧との関係図である。図5は、図2の保持弁の保持弁電流と差圧との関係図である。図6は、図2の減圧弁の減圧弁電流と差圧との関係図である。
ブレーキ制御装置1は、各車輪のホイールシリンダ圧を独立して制御し、通常制御、ABS制御及び脈動低減制御に用いられる。特に、ブレーキ制御装置1では、脈動低減制御を行っている場合でも運転者のブレーキ踏力に応じたブレーキ効きを保証する。そのために、ブレーキ制御装置1は、ヨーレートセンサ10、車輪速センサ11、マスタ圧センサ12、アクチュエータ部20、ブレーキ制御[Electronic Control Unit]31を備えている。なお、第1の実施の形態では、ブレーキ制御ECU31が特許請求の範囲に記載する制御手段に相当し、マスタ圧センサ12とブレーキ制御ECU31が特許請求の範囲に記載する脈動検知手段に相当する。
ヨーレートセンサ10は、車輪に作用するヨーレートを検出するセンサである。ヨーレートセンサ10では、ヨーレートを検出し、その検出値をヨーレート信号としてブレーキ制御ECU31に送信する。
車輪速センサ11は、各車輪に設けられ、車輪の回転速度を検出するセンサである。各車輪速センサ11では、車輪の回転速度を検出し、その検出値を車輪速信号としてブレーキ制御ECU31に送信する。なお、ブレーキ制御ECU31では、車輪毎にこの回転速度から各車輪での車輪速を算出し、各車輪の車輪速から車速(車体速)を算出する。
マスタ圧センサ12は、ブレーキ油圧配管のX配管方式の各油圧配管系統A,Bに設けられ(図2参照)、マスタシリンダMCのブレーキ圧を検出するセンサである。マスタ圧センサ12では、マスタシリンダ圧を検出し、その検出値をマスタシリンダ圧信号としてブレーキ制御ECU31に送信する。マスタシリンダ圧は、運転者によるブレーキペダルBPの踏力がブレーキブースタBBで増幅され、その増幅された踏力がマスタシリンダMCで変換された油圧である。通常、マスタシリンダ圧と同じホイールシリンダ圧が発生するので、運転者のブレーキ踏力に応じたブレーキ力が発生する。
アクチュエータ部20は、マスタシリンダMCと各車輪のホイールシリンダWCFL,WCFR,WCRL,WCRRとの間の油圧配管上に設けられる。アクチュエータ部20では、マスタシリンダMCからブレーキ圧が入力され、各車輪のホイールシリンダWCFL,WCFR,WCRL,WCRRへ出力するブレーキ圧を調整する。X配管方式の場合、マスタシリンダMCの2つの油圧室に対して油圧配管系統Aと油圧配管系統Bが構成され、一方の油圧配管系統A側に前右輪のホイールシリンダWCFRと後左輪のホイールシリンダWCRLが接続し、他方の油圧配管系統B側に前左輪のホイールシリンダWCFLと後右輪のホイールシリンダWCRRが接続する。ホイールシリンダWCFR,WCRL側の油圧配管系統AとホイールシリンダWCFL,WCRR側の油圧配管系統Bとは、同じ構成のアクチュエータが設けられ、同じように動作する。そこで、ホイールシリンダWCFR,WCRL側の油圧配管系統Aについてのみ詳細に説明する。
油圧配管系統Aには、主に、マスタカット弁21A、吸入弁22A、保持弁23FR,23RL、減圧弁24FR,24RL、リザーバ25A、モータ26、ポンプ27Aを備えている。ただし、モータ26は、油圧配管系統Bと共用される。なお、本実施の形態では、マスタカット弁21A,21Bが特許請求の範囲に記載する第1制御弁に相当し、保持弁23FR,23RL,23FL,23RRが特許請求の範囲に記載する第2制御弁に相当し、減圧弁24FR,24RL、24FL,24RRが特許請求の範囲に記載する第3制御弁に相当し、ポンプ27A,27Bが特許請求の範囲に記載するポンプに相当する。
マスタカット弁21Aは、一方側のポートがマスタシリンダMCの油圧室に接続され、他方側のポートが保持弁23FR,23RLに接続される。マスタカット弁21Aは、リニアソレノイド弁であり、ブレーキ制御ECU31から供給されるマスタカット弁電流に応じて開度が変化し、一方側のポートと他方側のポート間の差圧をリニアに制御できる弁である(図4参照)。マスタカット弁21Aは、通常時には全開状態であり、他の制御時にはマスタシリンダ圧に対して保持弁23FR,23RLに負荷するブレーキ圧を調整するために開度が制御される。
吸入弁22Aは、一方側のポートがマスタシリンダMCの油圧室に接続され、他方側のポートがリザーバ25Aとポンプ27Aとの間に接続される。吸入弁22Aは、リニアソレノイド弁であり、ブレーキ制御ECU31から供給される吸入弁電流に応じて開度が変化し、一方側のポートと他方側のポート間の差圧をリニアに制御できる弁である。吸入弁22Aは、通常時やABS制御時には全閉状態であり、脈動低減制御時にはブレーキ油を還流するために開度が制御される。ちなみに、車両安定化制御装置が搭載された車両の場合、吸入弁22Aは、車両安定化制御時にリザーバ25Aからポンプ27Aに流れるブレーキ油を吸入するために開度が制御される。
保持弁23FRは、一方側のポートがマスタカット弁21Aに接続され、他方側のポートが減圧弁24FR及びホイールシリンダWCFRに接続される。保持弁23RLは、一方側のポートがマスタカット弁21Aに接続され、他方側のポートが減圧弁24RL及びホイールシリンダWCRLに接続される。保持弁23FR,23RLは、リニアソレノイド弁であり、ブレーキ制御ECU31から供給される保持弁電流に応じて開度が変化し、一方側のポートと他方側のポート間の差圧をリニアに制御できる弁である(図5参照)。保持弁23FR,23RLは、通常時には全開状態であり、他の制御時には減圧弁24FR,24RLに負荷するブレーキ圧(ホイールシリンダ圧)を調整するために開度が制御され、さらに、マスタシリンダMC側のブレーキ圧とホイールシリンダWCFR,WCRL側のブレーキ圧との連通を遮断してその調整したホイールシリンダ圧を保持する。
減圧弁24FRは、一方側のポートが保持弁23FR及びホイールシリンダWCFRに接続され、他方側のポートがリザーバ25Aとポンプ27Aとの間に接続される。減圧弁24RLは、一方側のポートが保持弁23RL及びホイールシリンダWCRLに接続され、他方側のポートがリザーバ25Aとポンプ27Aとの間に接続される。減圧弁24FR,24RLは、リニアソレノイド弁であり、ブレーキ制御ECU31から供給される減圧弁電流に応じて開度が変化し、一方側のポートと他方側のポート間の差圧をリニアに制御できる弁である(図6参照)。減圧弁24FR,24RLは、通常時には全閉状態であり、他の制御時には減圧弁24FR,24RLに負荷しているブレーキ圧(ホイールシリンダ圧)を減圧するために開度が制御される。
リザーバ25Aは、減圧弁24FR,24RLに接続され、減圧弁24FR,24RLによって減圧されたブレーキ油が貯える。ポンプ27Aは、リザーバ25Aと保持弁23FR,23RLのマスタシリンダMC側との間に設けられる。ポンプ27Aは、モータ26が接続され、モータ26の作動によってリザーバ25Aのブレーキ油を吸い上げて保持弁23FR,23RLのマスタシリンダMC側にブレーキ油を還流する。
ブレーキ制御ECU31は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[ReadOnly Memory]、RAM[Random Access Memory]、電流制御回路などからなり、ブレーキ制御装置1を統括制御する電子制御ユニットである。ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、各センサ10、11、12から検出信号を受信する。そして、ブレーキ制御ECU31では、通常制御、ABS制御、脈動低減制御などを行い、アクチュエータ部20の各アクチュエータを制御する。なお、通常制御、ABS制御については従来と同様の制御を行うので説明を省略し、以下では脈動低減制御についてのみ説明する。
ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、車速Vmを用いて、マスタシリンダ圧Pmcをハイパスフィルタ処理するためのハイパスフィルタ周波数F(=α1×Vm)を演算する。ブレーキ圧の脈動はディスクロータの肉厚差に起因して発生するので、脈動の周期は車輪の回転周期に依存し、車輪の回転1次で脈動周期が発生する。そこで、車輪に回転周期に応じて変化する車速Vmを用いて脈動が発生する可能性のある周波数を求める。α1は、定数であり、実験などによって予め設定される。ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、検出されたマスタシリンダ圧Pmcをハイパスフィルタ周波数Fでハイパスフィルタ処理する。このフィルタ処理によって、マスタシリンダ圧Pmcから脈動の振動成分のみを切り離すことができる。
ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、ハイパスフィルタ処理したマスタシリンダ圧を微分する。さらに、ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、その微分値(dp/dt)の絶対値を所定時間(t1〜t2)の間で時間積分し、その積分値を脈動エネルギEとする(図3参照)。所定時間は、実験などによって予め設定される。そして、ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、脈動エネルギEが脈動エネルギ閾値α2を超えたか否かを判定する。脈動エネルギ閾値α2は、制動時振動を発生させる程度のブレーキ圧の脈動が発生しているか否かを判定するための閾値であり、実験などによって予め設定される。脈動エネルギEが閾値α2を超えた場合、ブレーキ制御ECU31では、脈動が発生していると判断する。ここでは、ホイールシリンダWCFR,WCRL側の油圧配管系統AとホイールシリンダWCFL,WCRR側の油圧配管系統Bとで別々に脈動の有無を判定できる。
脈動が発生している場合、ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、車速Vmが下限車速閾値α3から上限車速閾値α4までの範囲内か否かを判定する。下限車速閾値α3、上限車速閾値α4は、脈動が発生する可能性がある車速範囲か否かを判定するための閾値であり、実験などによって予め設定される。また、ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、マスタシリンダ圧Pmcが下限マスタシリンダ圧閾値α5から上限マスタシリンダ圧閾値α6までの範囲内か否かを判定する。下限マスタシリンダ圧閾値α5、上限マスタシリンダ圧閾値α6は、脈動が発生する可能性があるマスタシリンダ圧範囲か否かを判定するための閾値であり、実験などによって予め設定される。車速Vmが下限車速閾値α3から上限車速閾値α4までの範囲かつマスタシリンダ圧Pmcが下限マスタシリンダ圧閾値α5から上限マスタシリンダ圧閾値α6までの範囲の場合、ブレーキEUU31では、脈動低減制御を許可する。なお、脈動低減制御を許可した場合、全ての車輪を対象として脈動低減制御を行ってもよいし、あるいは、ホイールシリンダWCFR,WCRL側の油圧配管系統AとホイールシリンダWCFL,WCRR側の油圧配管系統Bとで別々に脈動の有無を判定できるので、脈動が発生している油圧配管系統だけを対象として脈動低減制御を行ってもよい。
脈動低減制御許可の場合、各保持弁23に負荷する圧力をマスタシリンダ圧Pmcより高くするために、ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、マスタシリンダ圧Pmcに制御差圧|α7|を加算し、その加算値を保持弁23に負荷する目標圧力Ptとする。この目標圧力Ptとするためには、マスタカット弁21によって、マスタカット弁21に負荷しているマスタシリンダ圧Pmcから制御差圧|α7|分増圧する必要がある。そこで、ブレーキ制御ECU31では、制御マップなどを用いて、マスタカット弁21で差圧|α7|を発生させるためのマスタカット弁電流i1を設定する(図4参照)。α7は、差圧制御に適した圧力(例えば、100Pa〜300Pa)であり、実験などによって予め設定される。
さらに、減圧弁24に負荷する圧力(すなわち、ホイールシリンダ圧)をマスタシリンダ圧Pmcと同じ圧力にするために、ブレーキ制御ECU31では、目標圧力Ptから制御差圧|α7|を減算し、その減算値を減圧弁24に負荷する目標圧力Pwとする。この目標圧力Pwとするためには、保持弁23によって、保持弁23に負荷している圧力Ptから制御差圧|α7|分減圧する必要がある。そこで、ブレーキ制御ECU31では、制御マップなどを用いて、保持弁23で差圧|α7|を発生させるための保持弁電流i2を設定する(図5参照)。
さらに、減圧弁24に負荷する圧力(ホイールシリンダ圧)を大気圧まで減圧するために、ブレーキ制御ECU31では、制御マップなどを用いて、減圧弁24で差圧|α8|(=目標圧力Pw)を発生させるための減圧弁電流i3を設定する(図6参照)。
さらに、吸入弁22のマスタシリンダMC側のブレーキ油を還流するために、ブレーキ制御ECU31では、吸入弁22を半開状態とするための吸入弁電流i4を設定する。また、リザーバ25に貯えられている減圧したブレーキ油や吸入弁22のマスタシリンダMC側のブレーキ油を保持弁23のマスタシリンダMC側に還流するために、ブレーキ制御ECU31では、制御マップなどを用いて、モータ26のモータ電流i5を設定する。
そして、ブレーキ制御ECU31では、マスタカット弁電流i1を各マスタカット弁21に通電し、保持弁電流i2を保持弁23に通電し、減圧弁電流i3を減圧弁24に通電し、吸入弁電流i4を吸入弁22に通電し、モータ電流i5をモータ26に通電する。
例えば、マスタシリンダ圧Pmcを150Paとし、制御差圧|α7|を250Paとした場合、保持弁23に負荷する目標圧力Ptが400Paに設定され、減圧弁24に負荷する目標圧力Pwが150Paに設定される。したがって、保持弁23で保持されるホイールシリンダ圧は150Paとなり、マスタシリンダ圧Pmcと同じ圧力がホイールシリンダWCに発生する。また、|α8|は、150Paとなる。
脈動低減制御を開始後、ブレーキ制御ECU31では、一定時間毎に、脈動低減制御の開始直前のヨーレートY0と開始後のヨーレートYとの偏差|Y0−Y|を演算する。そして、ブレーキ制御ECU31では、偏差|Y0−Y|が偏差閾値|α9|を超えたか否かを判定する。脈動低減制御では、各車輪のホイールシリンダ圧を独立して調整しているので、車輪間でホイールシリンダ圧に差が生じる可能性がある。車輪間でホイールシリンダ圧に差が生じると、車輪間でのブレーキ効きに不均衡が発生し、車両の挙動が安定な状態から不安定な状態になる場合がある。そこで、脈動低減制御を開始した後に、車両の挙動が安定な状態から不安定な状態に移行しようとしているか否か(あるいは車両の挙動が不安定な状態になったか否か)を判定する。偏差閾値|α9|は、車両の挙動が安定な状態から不安定な状態に移行しようとしているか否かを判定するための閾値(あるいは車両の挙動が不安定な状態になったか否かを判定するための閾値)であり、実験などによって予め設定される。
偏差|Y0−Y|が偏差閾値|α9|を超えた場合、脈動低減制御が車両挙動の不安定要因となっている可能性があるので、ブレーキ制御ECU31では、脈動低減制御を終了し、通常制御を行う。ちなみに、通常制御では、マスタカット弁21が全開状態、吸入弁22が全閉状態、保持弁23が全開状態、減圧弁24が全閉状態、モータ26が停止となるように制御する。
図1〜図6を参照して、ブレーキ制御装置1における脈動に関する動作について説明する。特に、ブレーキ制御ECU31における処理については図7のフローチャートに沿って説明する。図7は、図1のブレーキ制御ECUにおける脈動低減制御の流れを示すフローチャートである。ブレーキ制御装置1では、以下の動作を一定時間毎に繰り返し行う。
ヨーレートセンサ10では、車両に作用するヨーレートを検出し、ヨーレート信号をブレーキ制御ECU31に送信している。各車輪速センサ11では、各輪の回転速度を検出し、各車輪速信号をブレーキ制御ECU31に送信している。各マスタ圧センサ12では、マスタシリンダ圧を検出し、マスタシリンダ圧信号をブレーキ制御ECU31に送信している。
ブレーキ制御ECU31では、ヨーレート信号、各車輪速信号、各マスタシリンダ圧信号を受信し、ヨーレートY、車速Vm、マスタシリンダ圧Pmcを取得する(S1)。車速Vmについては、ブレーキ制御ECU31で車輪毎に車輪の回転速度から車輪速が算出され、各車輪の車輪速から車速Vmが算出される。
ブレーキ制御ECU31では、車速Vmを用いて、ハイパスフィルタ周波数Fを演算する(S2)。そして、ブレーキ制御ECU31では、マスタシリンダ圧Pmcをハイパスフィルタ周波数Fでハイパスフィルタ処理する(S3)。さらに、ブレーキ制御ECU31では、ハイパスフィルタ処理したマスタシリンダ圧を用いて、脈動エネルギEを演算する(S4)。そして、ブレーキ制御ECU31では、脈動エネルギEが脈動エネルギ閾値|α2|を超えるか否かを判定する(S5)。S5にて脈動エネルギEが脈動エネルギ閾値|α2|以下と判定した場合、脈動が発生していないので、ブレーキ制御ECU31では、今回の処理を終了する。
一方、S5にて脈動エネルギEが脈動エネルギ閾値|α2|を超えたと判定した場合、ブレーキ制御ECU31では、何れかの車輪で脈動有りと判定する(S6)。そして、ブレーキ制御ECU31では、車速Vmが下限車速閾値α3から上限車速閾値α4までの範囲内か否かを判定する(S7)。S7にて車速Vmがα3からα4までの範囲外と判定した場合、ブレーキ制御ECU31では、今回の処理を終了する。一方、S7にて車速Vmがα3からα4までの範囲内と判定した場合、ブレーキ制御ECU31では、マスタシリンダ圧Pmcが下限マスタシリンダ圧閾値α5から上限マスタシリンダ圧閾値α6までの範囲内か否かを判定する(S8)。S8にてマスタシリンダ圧Pmcがα5からα6までの範囲外と判定した場合、ブレーキ制御ECU31では、今回の処理を終了する。
一方、S8にてマスタシリンダ圧Pmcがα5からα6までの範囲内と判定した場合、ブレーキ制御ECU31では、脈動低減制御許可と判定する(S9)。そして、ブレーキ制御ECU31では、マスタシリンダ圧Pmcを用いて保持弁23の負荷目標圧力Pt(=Pmc+|α7|)を演算し、マスタカット弁21によってマスタシリンダ圧Pmcから負荷目標圧力Ptまで増圧するためのマスタカット弁電流i1を設定する(S10)。また、ブレーキ制御ECU31では、負荷目標圧力Ptを用いて減圧弁24の負荷目標圧力Pw(=Pt−|α7|)を演算し、保持弁23によって負荷目標圧力Ptから負荷目標圧力Pwまで減圧するための保持弁電流i2を設定する(S11)。また、ブレーキ制御ECU31では、減圧弁24によって負荷目標圧力Pwから大気圧まで減圧するための減圧弁電流i3を設定する。また、ブレーキ制御ECU31では、吸入弁22を半開状態とするための吸入弁電流i4を設定し、モータ26を駆動するためのモータ電流i5を設定する。
そして、ブレーキ制御ECU31では、マスタカット弁電流i1をマスタカット弁21に通電し、保持弁電流i2を保持弁23に通電し、減圧弁電流i3を減圧弁24に通電し、吸入弁電流i4を吸入弁22に通電し、モータ電流i5をモータ26に通電する(S12)。なお、全ての車輪に対して脈動低減制御を行うでなく、ホイールシリンダWCFR,WCRL側の油圧配管系統AとホイールシリンダWCFL,WCRR側の油圧配管系統Bのうち脈動が発生している油圧配管系統だけを対象として脈動低減制御を行うようにしてもよい。
マスタカット弁電流i1が通電されると、マスタカット弁21では、マスタカット弁電流i1に応じて弁の開度を小さくし、マスタシリンダ圧Pmcに対して|α7|分増圧するように差圧が発生する。
保持弁23には、マスタシリンダ圧Pmcより差圧|α7|分高いブレーキ圧が負荷する。また、保持弁電流i2が通電されると、保持弁23では、保持弁電流i2に応じて弁の開度を大きくし、負荷する圧力(=マスタシリンダ圧Pmc+|α7|)から|α7|分減圧するように差圧が発生する。この際、保持弁23によって、マスタシリンダMC側とホイールシリンダWC側との径路が遮断され、この減圧した圧力(マスタシリンダ圧Pmcに相当するブレーキ圧)が保持される。これによって、ホイールシリンダWCには、マスタシリンダ圧Pmcに相当するブレーキ圧が発生する。その結果、運転者のブレーキ踏力に応じたブレーキ力が作用する。
減圧弁24には、マスタシリンダ圧Pmcに相当するブレーキ圧が負荷する。また、減圧弁電流i3が通電されると、減圧弁24では、減圧弁電流i3に応じて弁の開度を大きくし、負荷する圧力(=マスタシリンダ圧Pmc+|α7|−|α7|=|α8|)から|α8|分減圧するように差圧が発生する。
減圧弁24のリザーバ25側ではブレーキ圧が大気圧相当まで減圧し、減圧されたブレーキ油がリザーバ25に流れ込む。この際、モータ26はモータ電流i5に応じて駆動しているので、ポンプ27が作動している。このポンプ27の作動によって、リザーバ25のブレーキ油が吸い上げられ、このブレーキ油が保持弁23のマスタシリンダMC側に還流される。また、吸入弁22では、吸入弁電流i4に応じて弁の開度を大きくし、半開き状態となっている。そのため、吸入弁22のマスタシリンダMC側のブレーキ油も、ポンプ27の作動によって、吸入弁22を通って、保持弁23のマスタシリンダMC側に還流される。
このように、保持弁23によってマスタシリンダMC側とホイールシリンダWC側との径路を遮断し、ポンプ27によってブレーキ油を保持弁23のマスタシリンダMC側に還流しているので、ブレーキ圧の車輪間での伝達が遮断される。その結果、ブレーキ圧の脈動が発生している車輪での脈動は、他の車輪に伝達されない。
脈動低減制御開始後、ブレーキ制御ECU31では、脈動低減制御開始前のヨーレートY0を特定する(S13)。そして、ブレーキ制御ECU31では、今回検出されたヨーレートYと開始前のヨーレートY0との差|Y0−Y|が閾値|α9|より大きいか否かを判定する(S14)。S14にて差|Y0−Y|が閾値|α9|以下と判定した場合、ブレーキ制御ECU31では、今回の処理を終了する。
一方、S14にて差|Y0−Y|が閾値|α9|より大きいと判定した場合、脈動低減制御によって車両が不安定な状態になっている可能性があるので、ブレーキ制御ECU31では、脈動低減制御を終了し、通常制御に移行し、今回の処理を終了する(S15)。これによって、マスタカット弁21が全開状態、吸入弁22が全閉状態、保持弁23が全開状態、減圧弁24が全閉状態となり、各ホイールシリンダWCでは、マスタシリンダ圧と同じブレーキ圧が発生する。
このブレーキ制御装置1によれば、ある車輪で脈動が発生した場合でも、既存のアクチュエータを用いて車輪間のブレーキ圧の伝達を遮断するので、脈動が発生している車輪から他の車輪への脈動の伝達を防止できる。この際、減圧してブレーキ油を還流させているが、このブレーキ制御装置1では、保持弁23に負荷する圧力をマスタシリンダ圧より高い圧力に増圧してから減圧しているので、マスタシリンダ圧に対するホイールシリンダ圧の低下を抑制でき、運転者のブレーキ踏力に応じたブレーキ効きの低下を抑制できる。また、このブレーキ制御装置1では、ABSなどに用いられる既存のアクチュエータで脈動低減制御を実現できるので、装置構成が複雑化しない。
ちなみに、保持弁23に負荷する圧力をマスタシリンダ圧より高くなるように制御せずに、マスタシリンダMC側とホイールシリンダWC側との連通を遮断し、保持弁23のホイールシリンダWC側で減圧してその減圧したブレーキ油をポンプ27で還流することにより、脈動の車輪間の伝達を遮断することは可能である。しかし、この場合、減圧によってホイールシリンダ圧がマスタシリンダ圧より低下するので、運転者のブレーキ踏力に応じたブレーキ力を発生できず、ブレーキ効きが低下してしまう。
特に、このブレーキ制御装置1では、保持弁23に負荷する圧力の増圧量と減圧弁24に負荷する圧力(すなわち、ホイールシリンダ圧)の減圧量が同じになるように制御しているので、ホイールシリンダ圧としてマスタシリンダ圧に相当するブレーキ圧を発生させることができ、運転者のブレーキ踏力に応じたブレーキ効きを確実に保証することができる。
また、このブレーキ制御装置1では、各弁にリニアソレノイド弁を適用しているので、通電量に応じた差圧制御によってブレーキ圧を高精度に制御できる。また、このブレーキ制御装置1では、車速に応じたハイパスフィルタ周波数を設定し、そのハイパスフィルタ周波数でマスタシリンダ圧をハイパスフィルタ処理してから脈動の検知を行うので、マスタシリンダ圧から脈動の振動成分だけを切り離すことができ、脈動を高精度に検知することができる。さらに、このブレーキ制御装置1では、車速範囲条件及びマスタシリンダ圧範囲条件を満たした場合に脈動低減制御を許可しているので、脈動が確実に発生している場合にだけ脈動低減制御を行うことができる。
また、ブレーキ制御装置1では、脈動低減制御開始後に車両が不安定な状態に移行した場合に脈動低減制御を終了しているので、脈動低減制御によって車両が不安定になっている場合にはその不安定な状態を解消でき、車両を安定な状態に戻すことができる。
図2〜図6及び図8を参照して、第2の実施の形態に係るブレーキ制御装置2について説明する。図8は、第2の実施の形態に係るブレーキ制御装置の構成図である。なお、ブレーキ制御装置2では、第1の実施の形態に係るブレーキ制御装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
ブレーキ制御装置2は、各車輪のホイールシリンダ圧を独立して制御でき、通常制御、ABS制御、車両安定化制御及び脈動低減制御に用いられる。ブレーキ制御装置2は、ブレーキ制御装置1と比較すると、車両安定化制御が作動した場合と脈動低減制御中に車両が不安定な状態に移行したときの対処だけが異なる。そのため、ブレーキ制御装置2は、ブレーキ制御装置1に対してブレーキ制御ECU32における処理だけが異なる。なお、第2の実施の形態では、ブレーキ制御ECU32が特許請求の範囲に記載する制御手段に相当し、マスタ圧センサ12とブレーキ制御ECU32が特許請求の範囲に記載する脈動検知手段に相当する。
ブレーキ制御ECU32は、CPU、ROM、RAM、電流制御回路などからなり、ブレーキ制御装置2を統括制御する電子制御ユニットである。ブレーキ制御ECU32は、第1の実施の形態に係るブレーキ制御ECU31と比較すると、車両安定化制御が作動した場合と脈動低減制御中に車両が不安定な状態に移行したときの処理だけが異なる。そこで、この異なる点についてのみ説明する。
車両安定化制御が作動した場合、ブレーキ制御ECU32では、車両安定化制御ECU40からブレーキ制御の指令信号を受信し、この指令信号に応じて各車輪のホイールシリンダ圧を独立して制御する。なお、車両安定化制御については従来と同様の制御を行うので説明を省略する。ちなみに、車両安定化制御では、ブレーキ制御だけでなく、エンジン制御も行う。
脈動低減制御を開始後にヨーレートの偏差|Y0−Y|が偏差閾値|α9|を超えた場合、ブレーキ制御ECU31では、車両挙動安定化制御を作動させるために、車両安定化制御ECU40にON指令信号を送信する。一方、脈動低減制御を開始後に偏差|Y0−Y|が偏差閾値|α9|を超えていない場合、ブレーキ制御ECU31では、車両安定化制御ECU40にOFF指令信号を送信する。なお、車両挙動安定化制御を作動させるときだけ、指令信号を送信するようにしてもよい。
図2〜図6及び図8を参照して、ブレーキ制御装置2における脈動に関する動作について説明する。特に、ブレーキ制御ECU32における処理については図9のフローチャートに沿って説明する。図9は、図8のブレーキ制御ECUにおける脈動低減制御の流れを示すフローチャートである。ブレーキ制御装置2では、ブレーキ制御ECU32におけるS34の処理まで、上記で説明したブレーキ制御装置1と同様の動作を行う。そこで、S34の処理以降の動作について説明する。
ブレーキ制御ECU32では、今回のヨーレートYと開始前のヨーレートY0との差|Y0−Y|が閾値|α9|より大きいか否かを判定する(S34)。S34にて差|Y0−Y|が閾値|α9|より大きいと判定した場合、車両が不安定な状態になっているので、ブレーキ制御ECU32では、車両安定化制御ECU40にON指令信号を送信し、今回の処理を終了する(S35)。これによって、車両安定化制御が作動し、車両が安定化するように、ブレーキ制御とエンジン制御が行われる。一方、S34にて差|Y0−Y|が閾値|α9|以下と判定した場合、ブレーキ制御ECU32では、車両安定化制御ECU40にOFF指令信号を送信し、今回の処理を終了する(S36)。これによって、車両安定化制御が作動しない。
このブレーキ制御装置2によれば、第1の実施の形態に係るブレーキ制御装置1と同様の効果を奏する。特に、ブレーキ制御装置2では、脈動低減制御開始後に車両が不安定な状態に移行した場合に車両安定化制御を作動させるので、車両の不安定な状態を能動的に解消でき、車両を安定な状態に戻すことができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態ではブレーキ油圧配管系統がX配管方式であり、ディスクブレーキの車両に適用したが、前後分割方式などの他の油圧配管にも適用可能であり、また、ドラムブレーキにも適用可能である。
また、本実施の形態ではブレーキ制御装置をABS制御や車両安定化制御で用いる場合に適用したが、ホイールシリンダ圧の調整が必要な他の制御で用いてもよい。
また、本実施の形態ではマスタシリンダ圧をハイパスフィルタ処理し、そのハイパスフィルタ処理後のマスタシリンダ圧を用いて脈動を検知する構成としたが、ハイパスフィルタ処理しないで脈動を検知するようにしてもよいし、あるいは、ホイールシリンダ圧などの他のパラメータを用いて脈動を検知するようにしてもよい。
また、本実施の形態では車速範囲条件及びマスタシリンダ圧範囲条件を満たした場合に脈動低減制御を許可する構成としたが、脈動を検知した場合にはこれらの条件判定をせずに脈動低減制御を行うようにしてもよいし、あるいは、いずれかの一方の条件を満たした場合に脈動低減制御を行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では各弁としてリニアソレノイド弁を適用したが、他の弁を適用してもよい。また、アクチュエータの構成としても他の構成を適用してもよい。
また、本実施の形態では保持弁に負荷する圧力の増圧量と減圧弁に負荷する圧力の減圧量が同量になるように制御したが、運転者が違和感を感じない程度にブレーキ効きを保証できるなら、増圧量と減圧量を同量に制御しなくてもよい。
また、本実施の形態では脈動低減制御を開始後に制御前後のヨーレートの偏差が偏差閾値より大きくなると脈動低減制御を終了又は車両安定化制御を作動する構成としたが、脈動低減制御を終了しかつ車両安定化制御を作動する構成としてもよい。
第1の実施の形態に係るブレーキ制御装置の構成図である。 本実施の形態に係るアクチュエータ部の構成図である。 ハイパスフィルタ処理したマスタシリンダ圧の微分値の時間変化の一例である。 図2のマスタカット弁のマスタカット弁電流と差圧との関係図である。 図2の保持弁の保持弁電流と差圧との関係図である。 図2の減圧弁の減圧弁電流と差圧との関係図である。 図1のブレーキ制御ECUにおける脈動低減制御の流れを示すフローチャートである。 第2の実施の形態に係るブレーキ制御装置の構成図である。 図8のブレーキ制御ECUにおける脈動低減制御の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1,2…ブレーキ制御装置、10…ヨーレートセンサ、11…車輪速センサ、12…マスタ圧センサ、20…アクチュエータ部、21(21A,21B)…マスタカット弁、22(22A,22B)…吸入弁、23(23FL,23FR,23RL,23RR)…保持弁、24(24FL,24FR,24RL,24RR)…減圧弁、25(25A,25B)…リザーバ、26…モータ、27(27A,27B)…ポンプ、31,32…ブレーキ制御ECU、40…車両安定化制御ECU

Claims (4)

  1. マスタシリンダ圧に対してホイールシリンダ側のブレーキ圧を調整するための第1制御弁と、
    マスタシリンダ側とホイールシリンダ側との連通を遮断し、ホイールシリンダ圧を保持するための第2制御弁と、
    ホイールシリンダ圧を減圧するための第3制御弁と、
    ブレーキ油を前記第2制御弁のマスタシリンダ側に戻すためのポンプと、
    ブレーキ圧の脈動を検知する脈動検知手段と、
    前記脈動検知手段でブレーキ圧の脈動を検知した場合、前記第1制御弁、前記第2制御弁、前記第3制御弁、前記ポンプを用いて脈動低減制御を行う制御手段と
    を備え、
    前記制御手段による脈動低減制御では、前記第1制御弁によって第2制御弁に負荷する圧力をマスタシリンダ圧より高い圧力に増圧し、前記第2制御弁によって前記第3制御弁に負荷する圧力を前記第2制御弁に負荷する圧力より低い圧力に減圧するとともにマスタシリンダ側とホイールシリンダ側との連通を遮断し、前記第3制御弁によって前記第3制御弁に負荷する圧力を減圧し、前記ポンプによって前記第3制御弁で減圧したブレーキ油を還流することを特徴とする制動制御装置。
  2. 前記制御手段による脈動低減制御では、前記第2制御弁によって前記第3制御弁に負荷する圧力を前記第2制御弁に負荷する圧力の増圧分減圧することを特徴とする請求項1に記載する制動制御装置。
  3. 車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、
    脈動低減制御の開始前と開始後のヨーレートの偏差が閾値以上の場合、前記制御手段による脈動低減制御を禁止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する制動制御装置。
  4. 車両のヨーレートを検出するヨーレート検出手段を備え、
    脈動低減制御の開始前と開始後のヨーレートの偏差が閾値以上の場合、車両安定化制御を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載する制動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011037404A (ja) * 2009-08-18 2011-02-24 Toyota Motor Corp ブレーキ制御装置
JP2017171246A (ja) * 2016-03-25 2017-09-28 株式会社アドヴィックス 車両用制動装置

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