JP2008253255A - 環境保全土壌及びこれを用いた環境保全花壇の造園方法 - Google Patents

環境保全土壌及びこれを用いた環境保全花壇の造園方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リサイクル材料のみ用いて、環境を保全し、植物育成のための良質な環境保全土壌を提供する。また、上記に係る環境保全土壌を用いて、雑草の根を張らせず、花壇の雑草掃除を従来に比べて格段に容易とする環境保全花壇の造園方法を提供する。
【解決手段】環境保全土壌は、いずれも産業廃棄物である石炭灰と、完熟木材片と、完熟堆肥とを混合して生産することを特徴とする。また、環境保全花壇1の造園方法は、上記環境保全土壌を準備するステップと、花壇の底面および側面を、シートで覆うステップと、前記環境保全土壌を前記シート上に堆積させるステップと、を含む。
【選択図】図6

Description

本発明の課題は、産業廃棄物をリサイクルして生産する環境保全土壌、及びこれを用いた環境保全花壇の造園方法に関する。
以前から石油や天然ガス等のエネルギーの供給の問題は人類・各国の関心事であったが、エネルギー使用の急激な増大に伴い、地球温暖化やオゾンホールの問題を始めとして、ごみ問題を含む環境汚染が深刻になっている。このような状況の中、様々な環境保全対策が近年考案されている。
例えば、二酸化炭素(CO)を発生しない発電所として風力発電が、また有害物質除去の技術を進歩させた石炭火力発電所が今日見直されている。電化製品や車等も省エネルギー化が進み、石油等の資源を効率的に使用し、かつ、環境を保護するための開発が日々行われている。
しかし、風力発電は設計によっては正常に作動せず、無用の長物になる例もあり、未だ本格的実用化にいたっているとは言い難く、また、大電力をまかなうのは困難とされる。
また、石炭火力発電所から発生する炭化灰は、微粉炭をボイラにて燃焼させた際に発生する赤熱溶融状態の石炭灰をボイラ底部の水槽に落下、急令させ、破砕機で破砕した砂状のクリンカアッシュと、その他電気集塵器で採取されるフライアッシュがある。しかし、上記石炭灰の一部が再生路磐補足材や環境保全土壌等にリサイクルされているものの、余った大量のクリンカ/フライアッシュは埋めて廃棄されているのが現状である。
このように、環境問題としては、年々増大するごみの処理も深刻である。特に大都市や工業地帯では、大量のごみを埋め立てる土地が非常に不足しているし、農村でも家畜の排泄物等による環境汚染は看過することができない。
従って、資源を節約するとともに産業廃棄物をリサイクルし、環境を有害物質やごみなどから守ることは、現代の人類にとって大きな課題となっている。
特許文献1には、農作物及び果樹・花木栽培の育成助長を目的とした、微粉炭燃焼灰と脱水汚泥と発酵菌とを、補助材としてピートモスと鶏糞を加えて、適切な比率で混合した環境保全土壌を提示している。
特開平11−100574号公報
しかし、混合する材料が多い上、調整が困難そうである。また、すべての混合材料がリサイクル材料とはいえない。
そこで本発明は、リサイクル材料のみ用いて、環境を保全し、植物育成のための良質な環境保全土壌を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、上記本発明に係る環境保全土壌を用いて、雑草の根を張らせず、花壇の雑草掃除を従来に比べて格段に容易とする環境保全花壇の造園方法を提供しようとすることにある。
本発明の環境保全土壌は、石炭灰に、完熟木材片と、完熟堆肥と、を混合した。このため、本発明の環境保全土壌は、従来の土壌に比べてPHの安定した土壌を提供することができる。
本発明の環境保全土壌は、前記石炭灰、完熟木材片および完熟堆肥は、すべてが産業廃棄物であることが望ましい。
本発明の環境保全土壌は、前記石炭灰は、クリンカアッシュであるのが好ましい。
本発明の環境保全土壌は、前記石炭灰が、全体の体積の60%〜80%を占め得る。本発明の環境保全土壌を使用する環境如何で、石炭灰の体積比は多少変化し得る。
本発明の環境保全花壇の造園方法は、石炭灰に、完熟木材片と、完熟堆肥と、を混合して環境保全土壌を準備するステップと、花壇の底面および側面を防草排水シートで覆い、該花壇の周縁構造物体に該防草排水シートの端部を接着させるステップと、前記防草排水シート上に前記環境保全土壌を堆積させるステップと、を含む。本方法によれば、よりPHの安定した花壇を構築し得る。
本発明の環境保全土壌は、石炭灰に、完熟木材片と、完熟堆肥と、を混合するだけで得ることができ、きわめて簡単に製造することができる。石炭灰は、石炭火力発電所から発生する産業廃棄物を使用でき、完熟木材片は木材加工業者が出す木屑を使用することができる。また、完熟堆肥は、例えば牛の糞を乾燥させて粉状とした市販品を用いることができる。したがって、本発明の環境保全土壌はすべて産業廃棄物を再利用した完全循環型であって、環境に悪影響を与えることなく資源の有効利用に貢献することができる。
また、本発明の環境保全花壇の造園は、上記環境保全土壌を準備し、花壇の底面および側面を防草排水シートで覆い、防草排水シート上に環境保全土壌を堆積させて得ることができる。本発明の環境保全土壌は完熟堆肥を含むので、花壇に植える草花に十分な養分を与えることができる。また、環境保全土壌に完熟木材片を加えたので、土壌中の微生物に十分な酸素を供給することができ、完熟木材片の腐食を進めて草花に養分を常時供給することができる。更に上記環境保全土壌は水通しのよい石炭灰を多量に含むので、保水性に富むと共に水を十分早く浸透させ、防草排水シートから排水することができる。
したがって、本発明の環境保全花壇の造園方法を用いれば、花壇に植える草花に十分な養分を与えることができるとともに、土を盛った従来の花壇に比べ格段に水はけがよい、環境に害を全く与えない花壇等を造ることができる。
また、花壇にとって雑草が花壇の底に根を張ることは宿命であり、そのため従来の花壇では草刈を行っても以前刈った雑草に加え、新しい雑草も根付いて、雑草が繁殖する一方であった。しかし、本発明の環境保全花壇は、PHを安定させる土壌に改善させる環境保全土壌の下に防草排水シートを敷いたので、草刈をすれば根こそぎ雑草を駆除できると共に、雑草の繁殖しにくい土壌環境を作ることができ、長年の課題であった雑草の繁殖を防止することができる。
本発明の環境保全土壌は、石炭灰に、完熟木材片と、完熟堆肥とを混合して構成され、PHを安定させる土壌に改善させることを特徴とする。したがって、本発明の環境保全土壌は、上記3つの産業廃棄物である材料を攪拌し、混合するだけで得ることができるので、きわめて簡単に製造することができる。
上記石炭灰は、本実施形態においては石炭火力発電所から発生する透水性および保水性の高いクリンカアッシュを使用するが、フライアッシュ等、その他の透水性等の高い材料を用いてもよい。また、上記完熟木材片は、木材加工業者が木材を加工する際発生する木屑等を使用することができるが、必ずしもこれに限定されず、完熟した、つまり一次発酵した木片であればよい。また、完熟堆肥は、例えば牛の糞を乾燥させて粉状とした市販品を用いることができるが、環境汚染を発生させないリサイクル堆肥であれば特に限定されない。
これら上記の3材料は、すべて産業廃棄物を再利用できるので、リサイクルという循環型社会の要請に応え、環境に悪影響を与えることなく資源の有効利用に貢献することができる。
石炭灰と、完熟木材片と、完熟堆肥とを混合してなる本発明の環境保全土壌における各成分の体積比は、順に7:2:1程度が望ましいが、環境によっては、石炭灰が60%〜80%を占めてもよい。
次に、本発明の環境保全花壇の造園方法は、上記環境保全土壌を準備し、現存の花壇(土壌)を約200〜300mm程度掘り起こし、花壇の底面および側面を防草排水シートで覆い、当該花壇の周縁構造物体に当該防草排水シートの端部を接着させ、防草排水シート上に環境保全土壌を堆積させて得ることができる。ただし、植栽樹林が低木(有効土層300cm以上)の場合は、環境保全土壌を良質客土に30%程度混合し、表層10cm程度を本発明の環境保全土壌で覆うのが好ましい。
環境保全花壇の周縁構造物体、例えばコンクリートやレンガ等、に防草排水シートの端部を接着させるのは、防草排水シートを花壇に固定すると共に、上記周縁構造物体と防草排水シートの隙間から、防草排水シートの下の残存雑草根が侵入してくるのを防ぐためである。周縁構造物体と防草排水シートとの接着には、両者との相性がよい任意の接着剤を使用してよい。
上記環境保全土壌については上述の通りであるので、説明は省略する。
防草排水シートは、雑草根が花壇内に侵入するのを防ぎ、排水性の良い素材であれば特に限定されず、例えば高密度ポリエステル素材のシートを用いることができる。
本発明の環境保全花壇の造園方法を用いれば、上記環境保全土壌の含む完熟堆肥により花壇に植える草花に十分な養分を与えることができ、完熟木材片を含むことで土壌中の微生物に十分な酸素を供給することができ、完熟木材片の腐食を進めて草花に養分を常時供給することができる。更に上記環境保全土壌は水通しのよい石炭灰を主成分とするので、保水性に優れると共に、水を十分早く防草排水シートから排水することができる。したがって、本方法を用いれば、花壇に植える草花に十分な養分を与えることができるとともに、水はけがよい、環境に害を全く与えない花壇等を造ることができる。
また、本発明の環境保全花壇は、環境保全土壌の下に防草排水シートを敷いたので、草刈をすれば根こそぎ雑草を駆除でき、雑草の再生を遮断することができる。さらに、近年の酸性雨や排気ガス、粉塵等により繁殖しやすいチガヤ・ヨモギ・ギシギシ・スギナ等雑草の繁殖を、本発明の環境保全土壌によって土壌のPHを安定させることにより抑制すると共に、飛散する雑草の発芽をも抑制し、なおかつ所望の植物を早く繁殖させることができる。このようにして、長年の課題であった雑草の繁殖を防止し、所望の植物を繁栄・維持させることができる。
以上、本発明に係る環境保全花壇の造園方法について説明したが、本発明の造園方法は上記実施形態に限定されない。例えば本発明に係る上記環境保全土壌に、通常の花壇に用いられる土を任意の割合で混合し、花壇の土壌としてもよい。
また、現存の花壇を約200〜300mm掘り起こし、花壇の底面および側面を防草排水シートで覆い、環境保全土壌または環境保全土壌と掘り起こした土を混合して、防草排水シート上に堆積させてもよい。
但し、上記のように土を混合させる場合は、土に含有される雑草根を十分に排除する必要がある。
また、本発明の環境保全土壌及び環境保全花壇の造園方法の使用は、花壇に限定されるものではなく、緑地や道路の中央分離帯に植える草花あるいは木などにも適用し得る。以下、本発明に係る環境保全花壇の造園方法について、実施例を用いて更に説明する。
本実施例においては、道路の中央分離帯に草花を育成する場合に、本発明の環境保全花壇の造園方法を適用する。
まず図1のように、中央分離帯の草花を育成する花壇部の底面および側面を防草排水シートで覆う。既存の中央分離帯の花壇がある場合は、既存の土壌を掘り起こした上で、花壇部の底面および側面を防草排水シートで覆う。
図2のように、環境保全土壌を防草排水シート上に堆積させる。環境保全土壌と、先に掘り起こした土を混合して、防草排水シート上に堆積させてもよい。この際、先に掘り起こした土からは、根を丁寧に取り除いておく。
次に図3のように、上記過程で中央分離帯の花壇部に堆積した環境保全土壌に、所望の草花等を植える。
図4のように、飛来する種子などにより、地下茎植物であるスギナ、チガヤ、ヨモギ等の雑草が中央分離帯に生成するが、花壇部の底面および側面を覆う防草排水シートにより、根を張るのを阻むことができる。
以上のような工程により、雑草の繁殖を最小限に抑制することができる中央分離帯の花壇部を得ることができ、長距離にわたる中央分離帯の雑草取りの労力を最小限に抑えることができる。
平成19年4月〜20年2月にかけて、雑草(主に、スギナ、チガヤ、ヨモギ等の地下茎雑草)の繁殖した花壇の一部に、本発明の環境保全花壇(A花壇およびB花壇)を造園した。なお、A花壇およびB花壇で育成する花樹は特に限定されない。
図5は環境保全花壇の造園前の状態を表し、図6には、その後環境保全花壇を造園した、A花壇、B花壇を示している。
図6からわかるように、A花壇およびB花壇には雑草の混入が見られない。なお、図6は、平成19年4月20日のA花壇およびB花壇を造園後30日後の状態を表し、平成19年10月頃までの任意の時期においても同様の状態とみなすことができる。
図7は、平成19年11月1日時点でのA花壇およびB花壇の状態であるが、雑草の飛来発生は見られなかった。また、図8で、平成20年2月における両環境保全花壇の植栽植物の繁茂密度は、A花壇およびB花壇を造園後30日後の繁茂密度の85%〜90%であった。
実施例1及び2よりわかるように、本発明の環境保全花壇を造園する環境によっては多少雑草が飛来発生する場合もあるが、当該雑草は防草排水シートにより根を張るのを阻まれるため、容易に根こそぎ駆除することができる。また、実施例2のように、本発明の環境保全土壌と相性のいい環境で造園できれば、略完全に雑草の発生を抑制することができる。
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
本発明に係る環境保全土壌及びこれを用いた環境保全花壇の造園方法は、家庭や公園の庭や花壇、高速道路の中央分離帯など、樹木や花を育成して美観を与える環境や、雑草の繁殖により特に美観を損ね、害虫等の繁殖を招く地や、草刈掃除の困難な場所に利用することができる。
本発明に係る環境保全花壇の造園方法を表す模式図であり、図は中央分離帯の底面及び側面を防草排水シート覆った断面図である。 図1の中央分離帯を覆った防草排水シート上に、本発明に係る環境保全土壌を堆積させた断面図である。 中央分離帯の花壇部に、草花を植えた断面図である。 中央分離帯の花壇部に、雑草が繁殖した断面図である。 本発明の環境保全花壇の造園前の花壇の状態を表す横断面図である。 本発明の環境保全花壇であるA花壇およびB花壇の造園後30日後の花壇の状態を表す横断面図である。 平成19年11月1日時点での本発明に係るA花壇およびB花壇の状態を表す横断面図である。 平成20年2月における本発明に係るA花壇およびB花壇の状態を表す横断面図である。
符号の説明
1:環境保全花壇

Claims (5)

  1. 石炭灰に、
    完熟木材片と、完熟堆肥と、
    を混合した環境保全土壌。
  2. 前記石炭灰、完熟木材片および完熟堆肥は、産業廃棄物である、
    請求項1に記載の環境保全土壌。
  3. 前記石炭灰は、クリンカアッシュである請求項1または2に記載の環境保全土壌。
  4. 前記石炭灰が、全体の体積の60%〜80%を占める請求項1乃至3のいずれか1項に記載の環境保全土壌。
  5. 石炭灰に、完熟木材片と、完熟堆肥と、を混合して環境保全土壌を準備するステップと、
    花壇の底面および側面を防草排水シートで覆い、該花壇の周縁構造物体に該防草排水シートの端部を接着させるステップと、
    前記防草排水シート上に前記環境保全土壌を堆積させるステップと、
    を含む環境保全花壇の造園方法。

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