JP2008246393A - 乾式分離方法 - Google Patents

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直也 山川
Shingo Nakamu
真吾 中務
Yasuo Kubo
泰雄 久保
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幹生 吉田
Jun Oshitani
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Okayama University NUC
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HIRABAYASHI KINZOKU KK
Okayama University NUC
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Abstract

【課題】本発明の目的は、より高精度に分離対象物を分離することが可能であり、かつ、低コストで、環境に優しい乾式分離方法を提供することにある。
【解決手段】
本発明の乾式分離方法は、粉体を流動化させた固気流動層へ分離対象物を投入し、前記固気流動層へ分散させた気体を導入し、前記固気流動層の見掛け密度を利用して分離対象物を分離する乾式分離方法であって、
前記分離対象物のサイズが、前記粉体のサイズの40〜200倍であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体を用いることなく分離対象物の比重分離を行なう乾式分離方法に関する。
種々の素材から構成される工業製品、鉱物資源、さらには、産業廃棄物等においては、種々の異なる成分を含んでいる。このような成分毎の分離は、鉱物資源の精製、資源のリサイクル等を行なう上で、必要である。
現在までのところ、分離方法としては主として、湿式分離法及び乾式分離法が知られている。例えば、衝突粉砕処理工程を組み込むことによって、各比重に対応した二種の単層細小片集合物を高回収率、かつ高純度で得る回収処理方法が知られている(特許文献1)。
特開平7-156148号公報
しかしながら、上記乾式分離法はいずれも、装置コストが高く、効率も低いなどの問題がある。加えて、湿式分離法においては、廃液処理による環境汚染の問題や、水資源の少ないところでは利用できず、また、廃液処理や分離後の乾燥工程を必要とするなどの問題を抱えている。特に、上記特許文献1において、送風機19から空気が導入されているが、分散器を積極的に使用するというものではない。
また、いずれの分離方法においても、目的成分以外に、分離対象物中に不純物を含んでいる場合が殆どである。同時に流動層を形成する場合に、流動層内をより均一に維持するには、分散器の使用が好ましいが、流動層内を均一な状態に保つのに良好な分散器の開発や、流動層、分離対象物などの良好な条件設定に関する知見が望まれる。
そこで、本発明は、より高精度に分離対象物を分離することが可能であり、かつ、低コストで、環境に優しい乾式分離方法を提供することにある。
発明者らは、粉体を流動化させた固気流動層が密度や粘度などの液体に類似した性質を持つことに着目し、特に、流動化状態中の種々の密度を有する物体の挙動について、種々の分散器を用いて検討した結果、本発明の乾式分離方法を見出すに至った。
本発明の乾式分離方法は、粉体を流動化させた固気流動層へ分離対象物を投入し、前記固気流動層へ分散させた気体を導入し、前記固気流動層の見掛け密度を利用して分離対象物を分離する乾式分離方法であって、
前記分離対象物のサイズが、前記粉体のサイズの40〜200倍であることを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、前記分離対象物のサイズが、前記粉体のサイズの50〜150倍であることを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、前記気体の導入を、多孔性材料からなる気体分散板を介して行うことを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、多孔性材料が、パンチング板であることを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、前記粉体の流動化を、前記固気流動層の下部からの送風により行なうことを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、通気性が5.0(cm/s)/cm以下の条件下で、送風を行なうことを特徴する。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、空塔速度をu0として粉体の最小流動化空塔速度をu mfとした場合、u0/umf が1〜4の範囲において前記送風を行なうことを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、固気流動層の見掛け密度を、分離しようとする分離対象物中の各成分の最大密度と最小密度との間に設定することを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、粉体が、ユニビーズ、ガラスビーズ、ジルコンサンド、ポリスチレン粒子、スチールショット及びこれらと同程度の密度を有する粉体からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、分離対象物が、自動車シュレダーダストであることを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、分離対象物が、塩素含有及び塩素非含有プラスチックであり、塩素含有プラスチックと塩素非含有プラスチックとを分離することを特徴とする。
本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、粉体の平均粒径が、100〜500μmであることを特徴とする。
本発明によれば、コストが安価で、効率が高く、廃液処理や分離後の乾燥工程が不用であって、環境への影響もほとんどないという有利な効果を奏する。
また、本発明によれば、いわゆる乾式分離であるため、水資源の少ないところでも利用することができる。
まず、本発明の分離の原理について説明すると、以下のようになる。すなわち、粉体を流動化させ、液体系の比重選別と同様な粉体流動化媒体、すなわち固気流動層を利用して分離対象物を主としてその密度によって、分離するものである。ここで、固気流動層とは、粉体を流動化させて液体に類似した性質を持つものを意図する。
まず、固気流動層による分離の概念を以下に説明する。粉体に気体を送り浮遊流動化させた場合、粉体からなる流動層は、液体と同様の挙動を示す。従って、流動層の見掛け密度ρfbは下記の式で表される。
ρfb=Wp /Vf =(1−εf )ρp
ここでWp は流動化媒体の粉体重量、Vf は流動化時の体積、εf は流動化時の空隙率、ρp は流動化媒体の粉体密度である。
このような見掛け密度ρfbを有する流動層中に密度ρs の分離対象物を混在させたとき、ρs <ρfbの分離対象物成分は流動層上部に浮揚し、ρs >ρfbの当該分離対象物成分は流動層下部に沈降する。そしてρs =ρfbの当該分離対象物成分は流動層中間部を浮遊する。このことを利用して分離対象物の比重選別を行なうのである。これによって、分離された各成分を容易にリサイクルすることも可能となる。
このような分離原理に基づいて、本発明において分離可能な分離対象物は特に限定されない。分離対象物としては、各種鉱物資源、工業製品の他、シュレッダーダスト等を挙げる事ができる。各種鉱物資源としては、珪石、ろう石などの鉱石、炭鉱で採掘された原炭等が挙げられ、シュレッダーダストには、家庭用ごみ、自動車、家電製品等からのシュレッダーダスト等由来のものを挙げることができる。例えば、プラスチックのリサイクルにおいて、リサイクル品に塩素が混入していると燃焼炉の腐食の原因となるが、本発明によれば、塩素含有プラスチックと塩素非含有プラスチックとの分離も高精度に達成することが可能である。
なお、このようにいずれか由来の分離対象物であっても良いが、分離対象物が汚れている場合は、洗浄した後に分離するのが好ましい。これは本発明の分離方法によれば、主として分離対象物の成分をその比重差によって分離するため、分離対象物が汚れていると比重が変動するおそれがあるからである。
また、洗浄後に分離対象物を乾燥させて分離することも必要である。リサイクル用に分離する場合、乾燥後は装置の大きさ等の関係から、分離対象物をシュレッダー等で粉砕したものを分離に使用するのが好ましい。
また、固気流動層内の層内流れにより分離対象物は局所的にランダムな方向に外力を受け、その外力の大きさや方向は分離対象物のサイズに依存すると考えられ、層内流れの影響を受けにくい大きさという観点から、分離対象物のサイズとしては、粉体のサイズの40〜200倍であることが好ましく、粉体のサイズの50〜150倍であることがさらに好ましい。
本発明において、成分毎に連続的に分離するには、例えば、固気流動層の見掛け密度を変化させるか、2つ以上からなる固気流動層を直列に配列すること等により行なう事ができる。
固気流動層の見掛け密度を変化させるには、後述するu0/umfの値を変化させること、固気流動層に用いる粉体を変化させること、粉体の粒径を変化させること、混合粉体の混合割合を変化させること等のいずれかの方法により行なう事ができる。
見掛け密度の変化は、分離対象物の種類にも依存するので、u0/umfの値を上げれば、必ず見掛け密度が減少するとは限らない。一方、固気流動層に用いる粉体の密度が高いものを用いると、固気流動層の見掛け密度も一般に上昇する傾向がある。また、粉体の粒径を大きくすると、見掛け密度が大きくなるという傾向がある。したがって、これらを考慮して、見掛け密度を変化させれば、連続的な各成分の分離が可能となる。
また、本発明の乾式分離方法の好ましい実施態様において、粉体の流動化を、前記固気流動層の下部からの送風により行なうことができる。分離することが可能な成分がより多くなるからである。但し、下部からの送風に限定される意図ではなく、たとえば、比較的比重が低い成分においては横風を送っても分離は可能である。明らかに比重が低い成分が存在する場合、横風でも飛散距離が大きいため高効率で分離可能である。したがって、まず、横風で比重が低い成分を除去した後、残存する分離対象物の各成分を除去してもよい。
分離対象物中に目的成分以外に不純物として比重が低い成分が存在する場合も同様の手順で、不純物を除去することができる。
そして、本発明においては、通気性が5.0(cm/s)/cm以下の条件下で、送風を行なうことができる。これは、通気性を制御することにより、浮沈の安定化を図る事ができるからである。被分離対象にもより、特に限定されないが、通気性を5.0(cm/s)/cm以下、好ましくは、3.0(cm/s)/cm以下、さらに好ましくは、1.0(cm/s)/cm以下とすることができる。
本発明において、空塔速度をu0として粉体の最小流動化空塔速度をumfとした場合、u0/umf が分離を制御する1つの要因となる。なぜなら、空塔速度を調節することにより、例えば、2つの非常に近接した密度差を有する成分を容易に除去できたり、逆に、密度差の大きい成分の分離には、空塔速度を上げることにより、短時間で分離することができるからである。
一般に、空塔速度を最小流動化空塔速度以上で当該最小流動化空塔速度近傍に設定すると、固気流動層内に浮遊する分離対象物の成分の密度分布は狭くなり、空塔速度をさらに上げていくと、固気流動層内に浮遊する分離対象物の成分の密度分布は広がる。
したがって、本発明においては、従来では分離が困難とされていた密度差の小さな2成分 (2物体)を分離することができるという利点を有する。このように微妙に空塔速度をコントロールするには、固気流動層下部の空気を分散させる部分に空気の通気性が低いものを用いることなどが挙げられる。
大まかに成分を分離する場合は、基本的に、成分が浮揚、中層に位置、沈降の3種類に分けて分離可能である。しかしながら、最終的には、分離の困難な密度差の小さい成分同士の分離となる場合が多いので、中層に位置する成分の密度分布をできる限り小さくして成分が浮揚するか沈降するかのどちらかになるように上記u0/umfを設定すれば、より分離精度及び回収率の高い分離を行なう事ができる。
当該u0/umfの値としては、例えば、1〜4の範囲とすることができる。かかる範囲であれば、安定した固気流動層を形成することができるからである。但し、かかる範囲に限定されるものではなく、密度差の大きい成分同士を迅速に分離する場合には、u0/umfの値が4以上であってもよい。
単一の粉体を流動化させた場合において、密度差が小さい成分同士を分離するとき、使用する粉体にもよるが、u0/umfの値は、できるだけ1に近い値とするのが好ましい。u0/umfの値を、1〜1.5、好ましくは、1〜1.2、さらに好ましくは、1〜1.1とすることができる。
複数の粉体を流動化させた場合においては、当該複数の粉体が実質的に均一に混合するようなu0/umf 値下で行なうことが好ましい。これは、実質的に均一に混合していないと、固気流動層の上方ほど見掛け密度が小さくなり、下方ほど見かけ密度が大きくなるために、固気流動層内の中層に位置する成分の密度分布が大きくなる傾向があるからである。
また、粉体の種類についても、分離する分離対象物の種類により特に限定されないが、例えば、粉体を、ユニビーズ、ガラスビーズ、ジルコンサンド、ポリスチレン粒子、スチールショット及びこれらと同程度の密度を有する粉体からなる群から選択される少なくとも1種とすることができる。
使用する粉体の平均粒径についても特に限定されないが、粉体の流動化を比較的小さな空塔速度で行うことと、付着性に起因する粉体の凝集を抑制するという観点から、100〜500μmとするのが好ましい。
以上のように分離された分離対象物の各成分を、最終的に、浮揚させるか、沈降させることにより適当な方法によって、回収することができる。
次に、本発明の乾式分離方法に適用可能な乾式分離装置の一実施態様を添付図面に基づいて説明する。図1は、固気流動層内での物体の浮沈を示した図である。1は、流動層の見掛け密度より軽い物体である。2は、固気流動層である。3は、流動層の見掛け密度より重い物体である。4は、分離槽である。5は、気体分散板である。この図から明らかなように、粉体の流動化状態においては、固気流動層の見掛け密度によって、物体を分離できることが分かる。
分離手順の一例を示すと、前記分離槽内に流動化媒体であるガラスビーズ、ユニビーズ、ジルコンサンド、ポリスチレン粒子などを仕込み、分離槽4の下面から気体分散板5を通して均一に分離槽4内に気体を送り込み粉体を流動化させ、流動層を形成する。そこで分離槽4の上面開口から分離対象物を投入すると、使用する粉体よりも密度の大きい分離対象物成分は沈降する。図2は、分離した分離対象物成分を回収する装置の一例を示す。図2(a)は、概要を示し、図2(b)は、装置を横から見た図を示し、図2(c)は、装置を前から見た図を示す。
図2(a)において、6は収集手段、7は運搬手段、8は保護板、9は誘導板、10は気体室である。図2において収集手段6は、矢印(図2(c)中のc)の方向へ可動しており、ゆっくりした速度で回転し、沈降してくる分離対象物中の重い成分3を回収し、分離槽4外へ排出する。即ち、誘導板9が分離対象物中の重い成分3を、前記収集手段6へ誘導し、それによって、収集手段中に設置されたバスケット11内へ重い成分3を収集する。バスケット11内の重い成分3は、収集手段の回転と共に分離槽上部へ移動し、上部において、重い成分3の自重によって排出口12へ移動する。
一方、運搬手段7は矢印(図2(c)中のd)の方向へ稼動しており、ゆっくりした速度で回転し、浮揚する分離対象物中の軽い成分1を回収し、分離槽4外へ排出する。この時、保護板8が分離対象物中の軽い成分1を前記運搬手段へ誘導を容易にする。すなわち、この保護板は特に設置しなくとも軽い成分を回収することができるが、回収率を上げて効率的に回収するのに必要である。このように誘導された軽い成分1は、例えばコンベアーのような運搬手段7によって、分離槽4外へ排出される。
なお、図2中の5は、気体分散板であり、金網等の多孔性材料より成るが、分離しようとする分離対象物成分が通過しない程細かいメッシュにしておく必要がある。なお、流動層を形成するための気体は空気に限らず、他のものでもよい。
保護板、誘導板は、それぞれ、軽い成分、重い成分を運搬手段、収集手段へ誘導しやすくするような作用を有していれば、図2の形態に限定されるものではなく適宜変更可能である。例えば、複数の多孔板を設けて、浮揚する成分と沈降する成分とが回収途中で混在しない様にすることもできる。また、保護板の代わりに、浮揚成分用にプロペラを設けてもよく、誘導板の代わりに、固気流動層の底にプロペラを設けて沈降成分を効率よく収集手段に誘導するようにしても良い。
また、別の回収方法を一例として説明すれば、図3のようになる。図3は、例えば、分離したシュレッダーダスト成分を回収する装置の一例を示す。図3において、運搬手段7bは、矢印の方向へ可動しており、ゆっくりした速度で回転し、沈降してくるシュレッダーダスト中の重い成分を回収し、分離槽4外へ排出する。
一方、運搬手段7aは矢印の方向へ稼動しており、ゆっくりした速度で回転し、浮揚するシュレッダーダスト中の軽い成分を回収し、分離槽4外へ排出する。
なお、図2中の13は、多孔板であり、金網等の多孔性材料より成るが、分離しようとするシュレッダーダスト成分が通過しない程細かいメッシュにしておく必要がある。気体分散板5も同様である。なお、流動層を形成するための気体は空気に限らず、他のものでもよい。
また、多孔板13は、浮揚する成分と沈降する成分とを別々のコンベアーなどの運搬手段に誘導することが可能であれば、図3のような構成に限定されることはなく、適宜変更可能である。例えば、複数の多孔板を設けて、浮揚する成分と沈降する成分とが回収途中で混在しない様にすることもできる。また、図3では、浮揚成分用にプロペラを設けているが、固気流動層の底にプロペラを設けて沈降成分を効率よくコンベアーに誘導することもできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定して解釈される意図ではない。
実施例1
図1に示すように粉体層下部からの送風により流動化させた固気流動層は液体に類似した見掛け比重を持つことから、ここでは、分離対象物としてプラスチックを用いて実験を行った。
一般的に非塩プラの比重は1.2未満、塩プラの比重は約1.4であることが知られている。したがって、送風量の調節により、見掛け比重を非塩プラと塩プラの中間にコントロールすることで非塩プラを浮揚、かつ、塩プラを沈降させることが可能となる。
ここでは、分離精度低下の1つの原因として、本手法は粉体層下部からの送風を行っているため、気泡上昇などの気体の流動やそれに伴う粒子の流動(以下、合わせて「層内流れ」)の影響を受けることが考えられるので、種々の気体分散器を用いて実験を行った。
また、分離精度低下のもう1つの原因として、分離対象物のサイズの影響を調べてみた。これは、層内流れにより分離対象物は局所的にランダムな方向に外力を受け、その外力の大きさや方向は分離対象物のサイズに依存するためであると考えられるからである。
以上のことから、分散器の選択により層内流れを出来るだけ抑制すること、及び層内流れの影響を受けにくいプラスチックサイズの指針を得ることが重要であることがわかる。
<分離対象物(ASR)>
廃棄物業者から破砕済みのASRを入手した。まず比重を1.2に調節した塩化カルシウム水溶液中でASRを浮沈させ、浮揚したものを非塩プラ、沈降したものを塩プラと定義した。その後、図4に示すように篩を用いて3種類の大きさに分類し、見分けやすいようにスプレーによって着色した。なお、着色後も再度塩化カルシウム水溶液中で浮沈させ、比重が変化していないことを確認済みである。
<実験方法>
まず、カラム内に流動化粉体である砂を20 cm投入した後、層上部に各大きさのASR(100 g)を均一に投入した。その後、送風速度5.66cm/sにおいて所定時間流動化させることによりASRを浮揚および沈降させた。ASRを上下層に分離後、浮揚物と沈降物をそれぞれ流動化粉体と共に吸引し、吸引機内に設置した篩によって浮沈したASRのみを回収した。ここで浮揚物とは層上部から10 cmの部分、沈降物とは層下部から10 cm部分に位置したASRをそれぞれ示す。その後、浮揚物中と沈降物中のASRを塩プラと非塩プラに手作業で分別し、それらの重量を測定した。分離精度を評価するパラメータとして、以下の式[数1]、[数2]に示す非塩プラの回収率R(nonCl)、および、浮揚物中の非塩プラ純度P(nonCl)を算出した。
また、層内流れに大きく影響を及ぼすと考えられる空気分散器の種類が分離精度に及ぼす影響を検討するため以下に示す3種類の分散器を用意し、分離精度を比較した。(1)パンチング多孔板(径2.0 mm、厚さ1.0 mm)2枚で濾布2枚を挟んだもの、(2)メッシュ板(厚さ0.25 mm)に濾布2枚を重ねたもの、(3)プラスチック板(フィルダスS、厚さ3.2 mm、三菱樹脂製)に濾布2枚を重ねたものである。
なお、実験条件としては、u0/umf 値については、u0/umf=1.6であった。また、粉体の粒径としては、10〜600μmの範囲のものを用いた。
図5に各ASRサイズで分散器を変化させた場合の、流動化時間に対する非塩プラ回収率を示す。丸点線で囲ったサイズ大の300 secを除けば、流動化時間に伴う変化はほとんど無く、いずれの条件においても約70から90 %の高い回収率が得られていることが確認できる。これはプラスチックの投入位置が層上部であるため、浮揚すべき非塩プラは移動距離がほとんど無く、短い流動化時間であっても最終的な定常状態に速く達するためであると考えられる。なお、サイズ大の300 secの条件において、急激に減少した理由については次ページの浮揚物中の非塩プラの純度の結果と合わせて考察する。
図6に各ASRサイズで分散器を変化させた場合の、流動化時間に対する浮揚物中の非塩プラ純度を示す。なお、図6の右下のグラフはプラスチックサイズの影響を理解しやすくするため、サイズ大・中・小のグラフからパンチング板の結果のみを抽出して、再度示した。
まず、楕円形の点線で囲ったサイズ小でのプラスチック板の結果を除けば、いずれのサイズにおいても流動化時間に伴い、浮揚物中における非塩プラ純度が増加することが確認できる。これは、塩プラが投入位置である層上部から徐々に沈降していくためであり、妥当な結果だと考えられる。また、各サイズにおける空気分散器の違いを比較すると、ほぼ全ての条件においてパンチング→メッシュ→プラスチックの順に非塩プラ純度が低下することが確認できる。これは、非塩プラ純度が低いほど、空気分散器の性能が悪く、流動化時の層内流れが抑制できていないためであると考えられる。なお、流動化時の気泡の様子を上部から観察すると、パンチングが最も均一であり、メッシュ、プラスチックと分散器が変化するのに伴って、気泡の大きさのばらつきが大きくなるだけでなく、空間的にも不均質になることが確認できた。気泡が不均質になると、局所的に空気が抜けやすい箇所ができるため、層内流れが生じやすくなる。その結果、その流れにASRが巻き込まれるため比重差どおりに浮沈できず純度が低下したと考えられる。メッシュとプラスチックにおいて層内流れが生じやすかった理由は次のように考えられる。メッシュでは気泡径を細かくすることを目的としてパンチングより目の細かいものを用いたが、メッシュと濾布の間に流動化粉体である砂が入り込むと排出されにくいことが確認された。この分散器への砂の侵入により粉体層下部からの供給空気を均一に分散できなかったためであると考えられる。一方、プラスチック板では光学顕微鏡での表面観察結果より無数の高分子粒子をゆるい充填状態で固めた構造であることが確認できた。これにより、プラスチック板を通過する空気の通路の大きさが空間的に不均質であるためだと考えられる。したがって、図5では分散器によらずほぼ同じ回収率を得ることを確認したが、メッシュとプラスチックに関しては上述したように比重差どおりに浮沈せず、吸引回収した際に偶然、浮揚物領域に存在していた可能性も否めない。
つづいて、最も良い分散器と判断されたパンチングでのASRサイズの違いを比較(図6の右下)すると、ASRサイズが大きいほどより非塩プラの純度が高くなることが明らかとなった。このような結果が得られた理由として、次のように考えられる。固気流動層は粒子層下部からの送風により初めて液体に類似した見掛け比重を持つため、たとえパンチングの空気分散器においても多少の層内流れが生じることは避けられないと考えられる。ASRサイズが大きい方が重量も重いため、この層内流れに巻き込まれにくく、比重差どおりに浮沈しやすいためだと考えられる。
上述したように、最も安定な比重分離が行える条件は分散器がパンチング、ASRサイズは大であることが明らかとなった。しかし、図5では丸点線で示したように、この条件においては300 secで非塩プラ回収率が急激に減少した。これは、流動化粉体の粒度偏析の影響であると考えられる。粒度偏析とは、広い粒子径分布を持つ流動化粉体にある送風量で空気を供給すると、大きな粒子径が流動化しにくく、その粒子間の空隙を小さい粒子径の粒子が潜り抜けて上層に達しやすくなり、上層に小さな粒子径、下層に大きな粒子径の粒子が多く存在する状況を指す。今回用いた流動化粒子は実用化を視野に入れ、粒子径選別がされていない広い粒子径分布を持った砂を用いたため、粒度偏析が起こることは十分考えられる。この粒度偏析が生じると上下層に見掛け比重の差が生じ、上層の見掛け比重が小さくなるため非塩プラが沈降しやすくなり、回収率が低下したと考えられる。粒度偏析は層内流れが激しいと粒子が十分に混合されるため、層内流れが最も抑制されているパンチングでのみ生じたと考えられる。
したがって、最も安定な比重分離が行える分散器はパンチングであり、ASRサイズは大(11.0〜約30.0 mm)であると言える。粉体のサイズとの関係において比較すると、分離対象物であるプラスチックの場合には、分離対象物の大きさは、粉体の44〜120倍の大きさが好ましい事が分かる。ただし分散器をパンチングにした場合は、流動化時間を長く取りすぎると粒度偏析を生じ非塩プラの回収率が下がる可能性があるため、流動化時間の選定には注意が必要である。
本発明により、自動車シュレッダーダストをはじめとするリサイクルのための素材分離の分野に広く貢献することが可能である。
分離対象物を分離する装置の一実施態様における概略図を示す。 分離対象物の成分を回収する一実施態様における概略図を示す。 分離対象物の成分を回収する一実施態様における概略図を示す。 篩分けによって分類されたASRを示す。 流動化時間に対する非塩プラ回収率を示す。 流動化時間に対する浮揚物中の非塩プラ純度を示す。
符号の説明
1 流動層の見掛け密度より軽い物体
2 固気流動層
3 流動層の見掛け密度より重い物体
4 分離槽
5 気体分散板
6 収集手段
7、7a、7b 運搬手段
8 保護板
9 誘導板
10 気体室
11 バスケット
12 排出口
13 多孔板
14 プロぺラ

Claims (12)

  1. 粉体を流動化させた固気流動層へ分離対象物を投入し、前記固気流動層へ分散させた気体を導入し、前記固気流動層の見掛け密度を利用して分離対象物を分離する乾式分離方法であって、
    前記分離対象物のサイズが、前記粉体のサイズの40〜200倍であることを特徴とする乾式分離方法。
  2. 前記分離対象物のサイズが、前記粉体のサイズの50〜150倍であることを特徴とする請求項1記載の乾式分離方法。
  3. 前記気体の導入を、多孔性材料からなる気体分散板を介して行う請求項1又は2項に記載の乾式分離方法。
  4. 多孔性材料が、パンチング板である請求項4記載の方法。
  5. 前記粉体の流動化を、前記固気流動層の下部からの送風により行なう請求項1〜4項のいずれか1項に記載の方法。
  6. 通気性が5.0(cm/s)/cm以下の条件下で、送風を行なうことを特徴する請求項1〜5項のいずれか1項に記載の方法。
  7. 空塔速度をu0として粉体の最小流動化空塔速度をu mfとした場合、u0/umf が1〜4の範囲において前記送風を行なうことを特徴とする請求項1〜6項のいずれか1項に記載の方法。
  8. 固気流動層の見掛け密度を、分離しようとする分離対象物中の各成分の最大密度と最小密度との間に設定することを特徴とする請求項1〜7項のいずれか1項に記載の方法。
  9. 粉体が、ユニビーズ、ガラスビーズ、ジルコンサンド、ポリスチレン粒子、スチールショット及びこれらと同程度の密度を有する粉体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜8項のいずれか1項に記載の方法。
  10. 分離対象物が、自動車シュレダーダストである請求項1〜9項のいずれか1項に記載の方法。
  11. 分離対象物が、塩素含有及び塩素非含有プラスチックであり、塩素含有プラスチックと塩素非含有プラスチックとを分離することを特徴とする請求項1〜10項のいずれか1項に記載の方法。
  12. 粉体の平均粒径が、100〜500μmであることを特徴とする請求項1〜10項のいずれか1項に記載の方法。
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