JP2008243192A - 公差決定方法、公差決定装置、プログラム、および記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造誤差により変化する性能の分布が所望の値になるような設計変数と公差を決定できる公差決定方法、公差決定装置、プログラム、および記録媒体を提供する。
【解決手段】設計変数最適化ステップ(STP11)が実行され、設計変数Xiが出力されると公差最適化ステップ(STP12)が実行され公差ΔXiが出力され、設計変数Xiと公差ΔXiに基づいて性能分布計算ステップ(STP13)が実行され、性能分布計算結果と生産性目標値に基づき生産性判定ステップ(STP14)が実行され、生産性が判定され、生産性判定に合格すれば設計手段を終了し、不合格の場合は公差限界判定ステップ(STP15)に移行する。公差が限界範囲内であれば再び公差最適化ステップ(STP12)を実行し、限界に達していれば設計変数最適化ステップ(STP11)に移行し以降の計算ステップを実行する。
【選択図】図3
【解決手段】設計変数最適化ステップ(STP11)が実行され、設計変数Xiが出力されると公差最適化ステップ(STP12)が実行され公差ΔXiが出力され、設計変数Xiと公差ΔXiに基づいて性能分布計算ステップ(STP13)が実行され、性能分布計算結果と生産性目標値に基づき生産性判定ステップ(STP14)が実行され、生産性が判定され、生産性判定に合格すれば設計手段を終了し、不合格の場合は公差限界判定ステップ(STP15)に移行する。公差が限界範囲内であれば再び公差最適化ステップ(STP12)を実行し、限界に達していれば設計変数最適化ステップ(STP11)に移行し以降の計算ステップを実行する。
【選択図】図3
Description
本発明は、たとえば設計変数と評価値の関係が線形でない光学系の公差を決定する公差決定方法、公差決定装置、プログラム、および記録媒体に関するものである。
従来、光学系の公差決定は、設計変数が光学性能に与える影響が複雑であることと評価する値が多いことから解析的に公差決定することが困難なため、設計者の経験に頼る部分が大きかった。
公差決定の補助手段として誤差感度解析がある。これは単一設計変数に微小な変化を与えて、それに対する性能評価値の変動量を解析する手段であり。誤差に対する性能評価値の敏感度を知る手段となりえる。これにより、公差の相対的な大小関係を知ることができるが、公差の値を決定することができないという問題点がある。
また、これに対して誤差逆感度解析と呼ばれる解析手段がある。これは設定された性能変化許容量に対応する単一設計変数変化量を解析する手段であり、単一設計変数に対する性能変化許容量を適切に設定できれば、公差を決定することができる。ただし設定値が適切かどうかを評価することが困難であるという問題点がある。
このような問題に対して、無作為に設計変数を変動させて性能評価を行い、性能分布を統計的に知ることができるモンテカルロ法があり、性能の規格値に対する公差の妥当性を検証することが可能になった(たとえば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、欠陥数を乱数によって決定するモンテカルロ法による歩留まりシミュレータが開示されている。
このシミュレータは、欠陥から生じる不良の種類とその発生確率を保持する不良種テーブルと、各欠陥から生じる不良の種類を乱数によって決定する決定手段と、決定された不良を基に対象システムの歩留まりを求める演算手段と、を有している。
このシミュレータは、欠陥から生じる不良の種類とその発生確率を保持する不良種テーブルと、各欠陥から生じる不良の種類を乱数によって決定する決定手段と、決定された不良を基に対象システムの歩留まりを求める演算手段と、を有している。
特許文献2には、複雑な関数演算を含む散乱の計算において、散乱確率テーブルと逐次計算を併用し各粒子各散乱機構についてテーブル参照が可能かどうかを判断し、可能なものは散乱確率テーブルを使用してテーブル参照計算を行い、不可能なものは関数演算を行うモンテカルロシミュレーション方法が開示されている。
特許文献3には、コンピュータで実行するのに適し、諸収差等の光学性能に加えて製造公差をも考慮したレンズ設計を効率良く行うことができるレンズ設計方法が開示されている。
特許文献4には、コンピュータで実行するのに適し、諸収差等の光学性能に加えて製造公差をも考慮したズームレンズ設計を効率良く行うことができるレンズ設計方法が開示されている。
特開平5−40765号公報
特開平5−89160号公報
特開平11−223764号公報
特開平11−223769号公報
特願2006−134010号
しかしながら、公差決定は妥当性検証結果に基づいて設計者が試行錯誤的に行うため、検討時間短縮のためには初期段階での公差設定が重要になる。
そこで、本出願人は特許文献5において、設計変数が変動することにより性能が変動する系において、性能が所望の許容可能な最低限界値を示す誤差量、すなわち公差を近似的に算出する手法を提案した。
しかしながら、特許文献5に開示したような近似的に算出された公差は最適なものとは言い難い。
従来は特許文献5による近似的な公差を元に、モンテカルロ法により性能分布を算出し、所望の歩留まりや最低性能保証値と比較して公差の妥当性を評価していた。公差による性能分布が所望の値を満たさない場合には、公差を試行錯誤的に変更して性能分布を再評価することを繰り返し、最適な公差を探索していた。
従来は特許文献5による近似的な公差を元に、モンテカルロ法により性能分布を算出し、所望の歩留まりや最低性能保証値と比較して公差の妥当性を評価していた。公差による性能分布が所望の値を満たさない場合には、公差を試行錯誤的に変更して性能分布を再評価することを繰り返し、最適な公差を探索していた。
以下に、一般的に光学系の設計方法に関する処理を図13に関連付けて説明する。
<ステップSTP1:設計変数最適化>
光学系の設計変数を最適化するには、光学素子の材料特性(屈折率、分散特性)、光学面形状、光学面の3次元的な配置などを変数とする。
設計性能としては、光学性能としての焦点距離、解像、歪曲などのほかに、機械的性能である全長などがあり、全ての設計性能をバランスよく満たすべく設計変数を最適化する。
光学系の設計変数を最適化するには、光学素子の材料特性(屈折率、分散特性)、光学面形状、光学面の3次元的な配置などを変数とする。
設計性能としては、光学性能としての焦点距離、解像、歪曲などのほかに、機械的性能である全長などがあり、全ての設計性能をバランスよく満たすべく設計変数を最適化する。
<ステップSTP2:公差最適化>
設計変数最適化により設計性能が仕様を満たすように設計変数が決まると、全設計変数に与える公差を設計する。
公差は加工や組立てなどの製造能力による限界値と、設計変数の微少変化に対する性能変化を算出する誤差感度解析結果を参考に、設計者により経験的に決定される。
設計変数最適化により設計性能が仕様を満たすように設計変数が決まると、全設計変数に与える公差を設計する。
公差は加工や組立てなどの製造能力による限界値と、設計変数の微少変化に対する性能変化を算出する誤差感度解析結果を参考に、設計者により経験的に決定される。
<ステップSTP3:性能分布計算>
公差決定後は、確率分布に従って無作為に誤差を発生させて性能を評価するモンテカルロ計算を実施し性能分布を算出する。確率分布は区間[-1,1]の一様分布や正規分布などであり加工や工程を反映した確率分布を設定する。
公差と確率の積により誤差を決定し設計変数に付与して性能計算を行う。以上の計算を複数回実行することにより性能分布を算出することができる。計算実行回数が多いほどより正確な分布になる。
公差決定後は、確率分布に従って無作為に誤差を発生させて性能を評価するモンテカルロ計算を実施し性能分布を算出する。確率分布は区間[-1,1]の一様分布や正規分布などであり加工や工程を反映した確率分布を設定する。
公差と確率の積により誤差を決定し設計変数に付与して性能計算を行う。以上の計算を複数回実行することにより性能分布を算出することができる。計算実行回数が多いほどより正確な分布になる。
<ステップSTP4:生産性評価>
性能分布からは、最小値、平均値、分散、工程能力指数(Cpk)、製品仕様から決まる歩留まりなどが算出可能になる。これらの数値から所定の基準により生産性可否を判断する。
性能分布からは、最小値、平均値、分散、工程能力指数(Cpk)、製品仕様から決まる歩留まりなどが算出可能になる。これらの数値から所定の基準により生産性可否を判断する。
生産性が合格の場合は設計を終了し、設計変数とその公差が決定する。
不合格の場合は、公差もしくは設計値を再検討して性能分布計算し生産性を再評価することを繰り返す。
この場合、設計者が、設計性能を改善すべきか、誤差感度を緩和すべきか、公差配分を変更すべきか、等を再検討する。
不合格の場合は、公差もしくは設計値を再検討して性能分布計算し生産性を再評価することを繰り返す。
この場合、設計者が、設計性能を改善すべきか、誤差感度を緩和すべきか、公差配分を変更すべきか、等を再検討する。
公差を再検討する場合、生産性を改善するために公差の値を小さくする。公差を小さくする程度は、誤差感度解析結果と公差限界値との差異を考慮して設計者が試行錯誤的に決定する。
設計変数を再検討する場合、設計性能目標値を変更して設計変数を最適化する。
設計性能目標値を高く設定すると設計性能が高くなることで全体の性能が上がり生産性が改善することもあるが、逆に誤差感度が高くなることで誤差による性能劣化が大きくなり生産性が劣化することがある。設計性能目標値を下げることで誤差感度が低くなるとともに性能劣化が小さくなり生産性が改善されることがあるが、逆に全体的に性能が下がることで生産性が劣化することがある。よって設計性能目標値を上げるか下げるかは一意的には決まらないため、試行錯誤が必要になる。
設計性能目標値を高く設定すると設計性能が高くなることで全体の性能が上がり生産性が改善することもあるが、逆に誤差感度が高くなることで誤差による性能劣化が大きくなり生産性が劣化することがある。設計性能目標値を下げることで誤差感度が低くなるとともに性能劣化が小さくなり生産性が改善されることがあるが、逆に全体的に性能が下がることで生産性が劣化することがある。よって設計性能目標値を上げるか下げるかは一意的には決まらないため、試行錯誤が必要になる。
以上のように公差検討が試行錯誤的であることと、設計変数最適化における設計製の目標値と生産性との関係が単純でないことから、設計変数と公差の決定を効率的に行うことが困難であった。
本発明の目的は、設計変数の最適化と公差の最適化を統合し、製造誤差により変化する性能の分布が所望の値になるような設計変数と公差を決定することが可能で、試行錯誤的な公差決定過程を効率化することが可能な公差決定方法、公差決定装置、プログラム、および記録媒体を提供することにある。
本発明の第1の観点の公差決定方法は、設計変数初期値に応じて設計変数を最適化する設計変数最適化ステップと、設計性能目標値に応じて公差を最適化する公差最適化ステップと、誤差確率分布に応じて性能分布計算する性能分布計算ステップと、生産性目標値に基づいた生産性判定を行う生産性判定ステップと、公差限界値に応じた公差限界判定を行う公差限界判定ステップと、を含み、設計変数最適化ステップ、公差最適化ステップ、性能分布計算ステップ、生産性判定ステップの順に実行し、生産性判定ステップで合格した場合、計算を終了し、不合格の場合、公差限界判定ステップに移行し、公差が限界範囲内の場合、公差最適化ステップを実行し、公差が限界に達した場合、設計変数最適化ステップを実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す。
好適には、前記設計変数最適化ステップにおいて、設定される所定の公差により変化する性能最小値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化する。
好適には、性能最小値算出ステップを含み、当該性能最小値算出ステップにおいて、モンテカルロ法により算出された性能分布の中から最小値を抽出する。
好適には、性能最小値算出ステップを含み、当該性能最小値算出ステップにおいて、下記(1)式に従った処理を行う。
φ' = φo×{ β1^T1×β2^T2× … ×βn^Tn } (1)
ここで、φoは設計性能を、βは誤差感度を、Tは公差を、それぞれ示す。
φ' = φo×{ β1^T1×β2^T2× … ×βn^Tn } (1)
ここで、φoは設計性能を、βは誤差感度を、Tは公差を、それぞれ示す。
好適には、前記公差最適化ステップにおいて、公差を変数として、公差により変化する性能最小値評価関数を含むメリット関数を極小化する。
好適には、前記公差最適化ステップにおいて、性能最小値を与えて、下記(2),(3)式の公差重み係数を最適化変数として、下記(4)式の制約条件下で公差限界値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化する。
Wi = (βi^Ti) / { r^(1/n)}(nは公差設定数を示す) (2)
r = Φ(LIM) / Φo (3)
W1×W2×…×Wn = 1 (4)
ここで、Φoは設計性能を、Φ(LIM)は性能最小値を、それぞれ示す。
Wi = (βi^Ti) / { r^(1/n)}(nは公差設定数を示す) (2)
r = Φ(LIM) / Φo (3)
W1×W2×…×Wn = 1 (4)
ここで、Φoは設計性能を、Φ(LIM)は性能最小値を、それぞれ示す。
好適には、前記性能分布計算ステップにおいて、性能分布計算を、モンテカルロ法を適用して行う。
好適には、前記性能分布計算ステップにおいて、モンテカルロ法による計算を実行する過程で、判定基準に基づき合否判定を行い、歩留まりを算出する。
好適には、前記性能分布計算ステップにおいて、性能分布から性能最小値、平均値、分散、工程能力指数のうち少なくとも一つの値を算出する。
好適には、前記生産性判定ステップにおいて、歩留まり、性能最小値、平均値、分散、工程能力指数のうち少なくとも一つを規格値に対して評価する。
好適には、前記公差限界判定ステップにおいて、公差が限界範囲内の場合、公差最適化ステップの性能最小値目標値を高く更新する。
好適には、前記公差限界判定ステップにおいて、公差が限界値を超えた場合に、公差の値を限界値に固定し、性能最小値の目標値を高く更新して、設計変数最適化処理に移行する。
本発明の第2の観点の公差決定装置は、設計変数初期値に応じた設計変数最適化処理と、設計性能目標値に応じた公差最適化処理と、誤差確率分布に応じた性能分布計算処理と、生産性目標値に基づいた生産性判定処理と、公差限界値に応じた公差限界判定処理と、を行うことが可能な処理部を有し、前記処理部は、設計変数最適化処理、公差最適化処理、性能分布計算処理、生産性判定処理の順に実行し、生産性判定処理に合格した場合、計算を終了し、不合格の場合、公差限界判定処理に移行し、公差が限界範囲内の場合、公差最適化処理を実行し、公差が限界に達した場合、設計変数最適化処理を実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す。
本発明の第3の観点は、設計変数初期値に応じて設計変数を最適化する設計変数最適化ステップと、設計性能目標値に応じて公差を最適化する公差最適化ステップと、誤差確率分布に応じて性能分布計算する性能分布計算ステップと、生産性目標値に基づいた生産性判定を行う生産性判定ステップと、公差限界値に応じた公差限界判定を行う公差限界判定ステップと、を含み、設計変数最適化ステップ、公差最適化ステップ、性能分布計算ステップ、生産性判定ステップの順に実行し、生産性判定ステップで合格した場合、計算を終了し、不合格の場合、公差限界判定ステップに移行し、公差が限界範囲内の場合、公差最適化ステップを実行し、公差が限界に達した場合、設計変数最適化ステップを実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
本発明の第4の観点は、設計変数初期値に応じて設計変数を最適化する設計変数最適化ステップと、設計性能目標値に応じて公差を最適化する公差最適化ステップと、誤差確率分布に応じて性能分布計算する性能分布計算ステップと、生産性目標値に基づいた生産性判定を行う生産性判定ステップと、公差限界値に応じた公差限界判定を行う公差限界判定ステップと、を含み、設計変数最適化ステップ、公差最適化ステップ、性能分布計算ステップ、生産性判定ステップの順に実行し、生産性判定ステップで合格した場合、計算を終了し、不合格の場合、公差限界判定ステップに移行し、公差が限界範囲内の場合、公差最適化ステップを実行し、公差が限界に達した場合、設計変数最適化ステップを実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体である。
本発明によれば、設計変数の最適化と公差の最適化を統合し、製造誤差により変化する性能の分布が所望の値になるような設計変数と公差を決定することが可能で、試行錯誤的な公差決定過程を効率化するができる。
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る公差決定方法を採用した公差決定装置の一構成例を示すブロック図である。
本公差決定装置10は、入力装置11、ディスク制御装置12、ディスク装置13、LCD等の表示装置14、主記憶装置15、および中央処理装置16を有する。
入力装置11は、キーボードやマウスでありプログラムを実行するためのコマンドや設定値を入力する装置である。入力装置11は、設計変数初期値、設計性能目標値、誤差確率分布、生産性目標値、公差限界値等の入力に用いられる。
ディスク装置13には、計算プログラム、光学系データファイル、公差限界値ファイルが記憶されており、ディスク制御装置12を介して中央処理装置16からアクセスされ、データが読み出されたり、書き込まれたりする。
ディスク装置13から読み出されたデータは中央処理装置16により主記憶装置15に記録され、計算プログラムで用いられる。
中央処理装置16は、入力装置11から入力されたコマンドに対応した計算プログラムを、ディスク制御装置12を介して、ディスク装置13から呼び出し実行する。
プログラムにより計算された結果は、中央処理装置16によりディスク装置13に保存されるとともに、表示装置14に表示される。
ディスク装置13には、計算プログラム、光学系データファイル、公差限界値ファイルが記憶されており、ディスク制御装置12を介して中央処理装置16からアクセスされ、データが読み出されたり、書き込まれたりする。
ディスク装置13から読み出されたデータは中央処理装置16により主記憶装置15に記録され、計算プログラムで用いられる。
中央処理装置16は、入力装置11から入力されたコマンドに対応した計算プログラムを、ディスク制御装置12を介して、ディスク装置13から呼び出し実行する。
プログラムにより計算された結果は、中央処理装置16によりディスク装置13に保存されるとともに、表示装置14に表示される。
中央処理装置16は、設計変数初期値に応じた設計変数最適化処理と、設計性能目標値に応じた公差最適化処理と、誤差確率分布に応じた性能分布計算処理と、生産性目標値に基づいた生産性判定処理と、公差限界値に応じた公差限界判定処理と、を行う。
中央処理装置16は、設計変数最適化処理、公差最適化処理、性能分布計算処理、生産性判定処理の順に実行し、生産性判定処理に合格した場合、計算を終了する。中央処理装置16は、生産性判定処理に不合格の場合、公差限界判定処理に移行し、公差が限界範囲内の場合、公差最適化処理を実行し、公差が限界に達した場合、設計変数最適化処理を実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す。
中央処理装置16は、設計変数最適化処理、公差最適化処理、性能分布計算処理、生産性判定処理の順に実行し、生産性判定処理に合格した場合、計算を終了する。中央処理装置16は、生産性判定処理に不合格の場合、公差限界判定処理に移行し、公差が限界範囲内の場合、公差最適化処理を実行し、公差が限界に達した場合、設計変数最適化処理を実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す。
図2は、本実施形態に係る設計変数と公差の最適化を効率的に行う処理について説明するための図である。
中央処理装置16においては、設計変数初期値、設計性能目標値、公差初期値、生産性目標値が与えられると設計変数最適化ステップ(STP11)が実行される。
設計変数Xiが出力されると公差最適化ステップ(STP12)が実行され公差ΔXiが出力される。
次に、設計変数Xiと公差ΔXiに基づいて性能分布計算ステップ(STP13)が実行される。性能分布計算結果と生産性目標値に基づき生産性判定ステップ(STP14)が実行され、生産性が判定される。
生産性判定に合格すれば設計手段を終了し、不合格の場合は公差限界判定ステップ(STP15)に移行する。
公差が限界範囲内であれば再び公差最適化ステップ(STP12)を実行し、限界に達していれば設計変数最適化ステップ(STP11)に移行し以降の計算ステップを実行する。
設計変数Xiが出力されると公差最適化ステップ(STP12)が実行され公差ΔXiが出力される。
次に、設計変数Xiと公差ΔXiに基づいて性能分布計算ステップ(STP13)が実行される。性能分布計算結果と生産性目標値に基づき生産性判定ステップ(STP14)が実行され、生産性が判定される。
生産性判定に合格すれば設計手段を終了し、不合格の場合は公差限界判定ステップ(STP15)に移行する。
公差が限界範囲内であれば再び公差最適化ステップ(STP12)を実行し、限界に達していれば設計変数最適化ステップ(STP11)に移行し以降の計算ステップを実行する。
これにより、設計者が初期値、最適化目標値、判定基準、誤差確率分布などの情報を与えれば、生産性と公差限界を考慮し、設計変数と公差の最適化を自動化することができる。自動化したプログラムを記憶媒体もしくは計算機に記録すれば、計算機上で実施することができ設計を効率化することができる。
中央処理装置16は、設計変数最適化処理において、設定される所定の公差により変化する性能最小値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化する。
このように、設計変数最適化ステップで、最適化メリット関数に性能最小値に関する評価関数を含めることで、従来の設計性能目標値に関する評価関数では生産性を加味した設計変数最適化を行うことができなかった問題点を解決することができる。
このように、設計変数最適化ステップで、最適化メリット関数に性能最小値に関する評価関数を含めることで、従来の設計性能目標値に関する評価関数では生産性を加味した設計変数最適化を行うことができなかった問題点を解決することができる。
中央処理装置16は、性能最小値算出処理において、モンテカルロ法により算出された性能分布の中から最小値を抽出する。
図4は、性能最小値を好適に計算する方法を示すものであり、モンテカルロ法を用いて統計的に性能分布を計算して、その中から性能最小値を抽出することにより性能最小値を算出することができる。
モンテカルロ法は実際の誤差分布を計算に反映することができる。また、製造工程では組み立て後に、部品の一部を移動させて性能調整を行うことがあるが、調整工程を再現するように、設計変数を変化させることで、調整工程を計算に反映することができるため、実際の製造状態をシミュレーションする事が可能である。よって高精度に性能最小値を算出すことができる。
図4は、性能最小値を好適に計算する方法を示すものであり、モンテカルロ法を用いて統計的に性能分布を計算して、その中から性能最小値を抽出することにより性能最小値を算出することができる。
モンテカルロ法は実際の誤差分布を計算に反映することができる。また、製造工程では組み立て後に、部品の一部を移動させて性能調整を行うことがあるが、調整工程を再現するように、設計変数を変化させることで、調整工程を計算に反映することができるため、実際の製造状態をシミュレーションする事が可能である。よって高精度に性能最小値を算出すことができる。
また、中央処理装置16は、性能最小値算出処理において、下記(1)式に従った処理を行う。
φ' = φo×{ β1^T1×β2^T2× … ×βn^Tn } (1)
ここで、φoは設計性能を、βは誤差感度を、Tは公差を、それぞれ示す。
φ' = φo×{ β1^T1×β2^T2× … ×βn^Tn } (1)
ここで、φoは設計性能を、βは誤差感度を、Tは公差を、それぞれ示す。
(1)式により、誤差感度と公差により近似的に性能最小値を算出することができる。これは、モンテカルロ法が、高精度であるが計算時間が長いという欠点を補うものであり、高速に近似的性能最小値を算出できる特徴を有している。
中央処理装置16は、公差最適化処理(ステップ)において、公差を変数として、公差により変化する性能最小値評価関数を含むメリット関数を極小化する。
中央処理装置16は、公差を最適化する場合に、誤差により変化する性能の中で最小値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化することにより、生産性を加味した公差の最適化を行うことができる。性能最小値は、上記したモンテカルロ法による手法や、(1)式による近似的計算手法が好ましい。
中央処理装置16は、公差を最適化する場合に、誤差により変化する性能の中で最小値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化することにより、生産性を加味した公差の最適化を行うことができる。性能最小値は、上記したモンテカルロ法による手法や、(1)式による近似的計算手法が好ましい。
中央処理装置16は、公差最適化処理(ステップ)において、性能最小値を与えて、下記(2),(3)式の公差重み係数を最適化変数として、下記(4)式の制約条件下で公差限界値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化する。
Wi = (βi^Ti) / { r^(1/n)}(nは公差設定数を示す) (2)
r = Φ(LIM) / Φo (3)
W1×W2×…×Wn = 1 (4)
ここで、Φoは設計性能を、Φ(LIM)は性能最小値を、それぞれ示す。
Wi = (βi^Ti) / { r^(1/n)}(nは公差設定数を示す) (2)
r = Φ(LIM) / Φo (3)
W1×W2×…×Wn = 1 (4)
ここで、Φoは設計性能を、Φ(LIM)は性能最小値を、それぞれ示す。
中央処理装置16において、設計性能、性能最小値、誤差感度、公差を与えることで、(2),(3)式により重み係数Wiを算出することができる。重み係数Wiは(4)式の制約上条件を満たせば、近似的性能最小値Φ(LIM)を維持することができる。(4)式を満足する重み係数Wiの組み合わせは無限に存在する。
そこで、重み係数Wiから決まる公差Tiに制約条件を定めて制約条件違反量を評価関数としてWiを最適化することで、近似的性能最小値を維持しつつ制約条件評価関数を極小化するよう公差を最適化できる。
そこで、重み係数Wiから決まる公差Tiに制約条件を定めて制約条件違反量を評価関数としてWiを最適化することで、近似的性能最小値を維持しつつ制約条件評価関数を極小化するよう公差を最適化できる。
中央処理装置16は、性能分布計算処理(ステップ)を、モンテカルロ法を適用して行う。
このように、生産性を判定するための性能分布をモンテカルロ法により算出することで、誤差分布、調整工程を反映させることができ、性能分布を高精度に計算することができる。
このように、生産性を判定するための性能分布をモンテカルロ法により算出することで、誤差分布、調整工程を反映させることができ、性能分布を高精度に計算することができる。
また、中央処理装置16は、性能分布計算処理(ステップ)において、モンテカルロ法による計算を実行する過程で、判定基準に基づき合否判定を行い、歩留まりを算出する。
このように、性能分布計算ステップで、モンテカルロ法で誤差を付与する度に判定規格に基づいて合否判定して歩留まりを算出することで、歩留まりを基準とした生産性評価に反映することができる。
このように、性能分布計算ステップで、モンテカルロ法で誤差を付与する度に判定規格に基づいて合否判定して歩留まりを算出することで、歩留まりを基準とした生産性評価に反映することができる。
また、中央処理装置16は、性能分布計算処理(ステップ)において、性能分布から性能最小値、平均値、分散、工程能力指数のうち少なくとも一つの値を算出する。
このように、性能分布計算ステップで、性能最小値、平均値、分散、工程能力指数を算出することで生産性評価ステップに反映することができる。
性能最小値は製品性能の保証値であり製品仕様を反映している。性能分布の平均値、分散、工程能力指数は工程の品質を示す指標であり工程設計に反映することができる。
工程能力指数は性能の統計分布と規格値殻算出される工程能力を示す指標であり、一般的な品質工学の文献に記載されているためここでは説明を省略する。
このように、性能分布計算ステップで、性能最小値、平均値、分散、工程能力指数を算出することで生産性評価ステップに反映することができる。
性能最小値は製品性能の保証値であり製品仕様を反映している。性能分布の平均値、分散、工程能力指数は工程の品質を示す指標であり工程設計に反映することができる。
工程能力指数は性能の統計分布と規格値殻算出される工程能力を示す指標であり、一般的な品質工学の文献に記載されているためここでは説明を省略する。
図3(A)および(B)は、モンテカルロ法による性能分の計算例を示す図である。
乱数を複数回発生させて算出した性能の統計分布は、図3(A)および(B)に示すように、ヒストグラムで表現することができる。
図3(A)は、設計変数と公差が最適化される前の状態であり、設定された合否判定規格値よりも低い性能のものが発生している。
図3(B)は、最適化後の状態であり、分布が狭くなり性能最小値が合否判定規格よりも高くなっているのが分かる。
乱数を複数回発生させて算出した性能の統計分布は、図3(A)および(B)に示すように、ヒストグラムで表現することができる。
図3(A)は、設計変数と公差が最適化される前の状態であり、設定された合否判定規格値よりも低い性能のものが発生している。
図3(B)は、最適化後の状態であり、分布が狭くなり性能最小値が合否判定規格よりも高くなっているのが分かる。
また、中央処理装置16は、生産性判定処理(ステップ)において、歩留まり、性能最小値、平均値、分散、工程能力指数のうち少なくとも一つを規格値に対して評価する。
中央処理装置16は、このような具体的な生産性評価項目を用いた評価を行う。
ここであげた具体的な項目は、性能分布計算で統計的に算出可能な数値である。歩留まりは工程で発生する仕損を見積もるための数値であり採算を見積もるための重要な数値である。性能最小値は製品性能保証値であり製品仕様作成にあたり重要な数値である。性能の平均、分散、工程能力指数は品質保証における重要な数値である。よってこれらの数値で生産性を評価することで、製品仕様、採算、工程品質を加味した最適化ができる。
中央処理装置16は、このような具体的な生産性評価項目を用いた評価を行う。
ここであげた具体的な項目は、性能分布計算で統計的に算出可能な数値である。歩留まりは工程で発生する仕損を見積もるための数値であり採算を見積もるための重要な数値である。性能最小値は製品性能保証値であり製品仕様作成にあたり重要な数値である。性能の平均、分散、工程能力指数は品質保証における重要な数値である。よってこれらの数値で生産性を評価することで、製品仕様、採算、工程品質を加味した最適化ができる。
中央処理装置16は、公差限界判定処理(ステップ)において、公差が限界範囲内の場合、公差最適化ステップの性能最小値目標値を高く更新する。
このように、公差限界判定ステップにおいて、公差が限界範囲内の場合について示したものである。公差が限界範囲内でありながら生産性が不合格である場合、公差の値を小さくする必要がある。性能最小値を高くすることは設計性能に近づくことになるため結果として公差が小さくなるように最適化に作用する。
よって、性能最小値の目標値を高く設定することで、公差最適化ステップにより公差を小さくすることができる。
このように、公差限界判定ステップにおいて、公差が限界範囲内の場合について示したものである。公差が限界範囲内でありながら生産性が不合格である場合、公差の値を小さくする必要がある。性能最小値を高くすることは設計性能に近づくことになるため結果として公差が小さくなるように最適化に作用する。
よって、性能最小値の目標値を高く設定することで、公差最適化ステップにより公差を小さくすることができる。
中央処理装置16は、公差限界判定処理(ステップ)において、公差が限界値を超えた場合に、公差の値を限界値に固定し、性能最小値の目標値を高く更新して、設計変数最適化処理に移行する。
この処理は、公差限界判定ステップにおいて、公差が限界範囲を超えた場合の処理について示したものである。
公差が限界値を超えても生産性が不合格の場合、変更可能なパラメータは設計変数に限定される。公差を限界値に固定して設計変数最適化に移行することで、製造可能な公差で設計変数を最適化することができる。また、性能最小値の目標値を高く変更することで生産性が改善する方向に設計変数を最適化することができる。
この処理は、公差限界判定ステップにおいて、公差が限界範囲を超えた場合の処理について示したものである。
公差が限界値を超えても生産性が不合格の場合、変更可能なパラメータは設計変数に限定される。公差を限界値に固定して設計変数最適化に移行することで、製造可能な公差で設計変数を最適化することができる。また、性能最小値の目標値を高く変更することで生産性が改善する方向に設計変数を最適化することができる。
なお、設計変数最適化には、設計性能や性能最小値などの最適化目標値を設計者が与える。公差最適化には、性能最小値の最適化目標値を設計者が与える。
性能分布計算には、誤差分布や調整仕様(調整変数、調整範囲、調整精度など)、合否判定規格を設計者が与える。
生産性判定では、歩留まり、性能分布の平均値、分散、工程能力指数を設計者が与える。
公差限界判定では、加工、組立、測定管理能力に応じて公差の限界値を設計者が与える。
これら設定値は、数値データファイルとして記録し、各計算過程において読み込むことで自動的に計算することができ、設計を効率化することができる。
性能分布計算には、誤差分布や調整仕様(調整変数、調整範囲、調整精度など)、合否判定規格を設計者が与える。
生産性判定では、歩留まり、性能分布の平均値、分散、工程能力指数を設計者が与える。
公差限界判定では、加工、組立、測定管理能力に応じて公差の限界値を設計者が与える。
これら設定値は、数値データファイルとして記録し、各計算過程において読み込むことで自動的に計算することができ、設計を効率化することができる。
以上のように、本実施形態によれば、最適化の目標値や判定基準を数値化し、各計算ステップを一連の手順と判定ステップで制御することにより、光学系設計等における試行錯誤的な部分を排除したため、効率的に設計することができる。
これにより、設計者は光学系の構成が異なる複数の初期データを準備して、計算機で本発明の光学系設計手法を実行することで最も生産性のよい光学系の構成を短時間に比較検討することができる。
これにより、設計者は光学系の構成が異なる複数の初期データを準備して、計算機で本発明の光学系設計手法を実行することで最も生産性のよい光学系の構成を短時間に比較検討することができる。
以下、具体的な実施例について説明する。
[実施例1] モンテカルロ法による最適化
実施例1について図4〜図9に関連付けて説明する。
実施例1について図4〜図9に関連付けて説明する。
図4は、実施例1を具体的に説明するためのフローチャートである。
図4においては、図2の処理フローに加えて、公差限界判定ステップSTP15の判定後に、公差が限界範囲内であれば再び公差最適化ステップ(STP12)を実行する前に
性能最小値更新ステップSTP16、限界に達していれば設計変数最適化ステップSTP11に移行する前に、性能最小値更新ステップSTP17および公差固定ステップSTP18の処理が追加されている。
図4においては、図2の処理フローに加えて、公差限界判定ステップSTP15の判定後に、公差が限界範囲内であれば再び公差最適化ステップ(STP12)を実行する前に
性能最小値更新ステップSTP16、限界に達していれば設計変数最適化ステップSTP11に移行する前に、性能最小値更新ステップSTP17および公差固定ステップSTP18の処理が追加されている。
実施例1においては、中央処理装置16において、設計変数初期値データと設計性能目標値データを読み込み、設計変数最適化ステップにより設計性能が目標値に近づくように設計変数が最適化される(STP11)。
次に、公差データTiと誤差確率密度分布データを読み込む。区間[-1,1]の乱数Pを確率密度分布に従って発生させて公差と積算し設計変数誤差データΔXiを算出する。
ΔXi = Ti × P
i=1~n:変数番号
ΔXi = Ti × P
i=1~n:変数番号
設計変数Xiに誤差データを付与し新たに設計変数Xi'を算出する。
Xi' = Xi + ΔXi
Xi' = Xi + ΔXi
すべての設計変数Xi (i=1~I)について同様の計算を行い新たな設計変数群を発生させる。
新たな設計変数について性能f'j(j=1~J)を算出する。
新たな設計変数について性能f'j(j=1~J)を算出する。
公差と確率密度分布により得られた無作為な誤差を設計変数に付与し性能計算することをここではモンテカルロ法と呼ぶ。
図5は、モンテカルロ法のフローチャートを示す図である。また、図6は、モンテカルロ法による性能最小値算出方法を説明するための図である。
モンテカルロ法においては、図5に示すように、まず区間[-1,1]の乱数を発生させる(STP21)。乱数の確率密度関数は、一様分布や正規分布などがあるが生産上の数値のばらつきに対応しているものであればどのような確率密度でもよい。乱数と公差の積は変数の誤差にあたる。
全設計変数について誤差を算出(生成)後(STP22)、設計値に誤差を付加する(STP23)。誤差付加後の設計変数について評価性能を算出する(STP24)。
計算をN回行うと、性能f'jのデータ群が得られる。次に性能データ群の中から最小値f''jを抽出する。
全設計変数について誤差を算出(生成)後(STP22)、設計値に誤差を付加する(STP23)。誤差付加後の設計変数について評価性能を算出する(STP24)。
計算をN回行うと、性能f'jのデータ群が得られる。次に性能データ群の中から最小値f''jを抽出する。
中央処理装置16においては、図6に示すように、性能最小値f”jの目標値F”jデータを読み込み、目標値との差分の絶対値で評価関数値Φ”jを算出する。評価関数Φ”jをメリット関数に組入れて、設計変数を最適化することで性能最小値が目標値に近づくように設計変数を最適化する。
図7は、モンテカルロ法による性能最小値を評価関数とする設計変数最適化のフローチャートを示す図である。
図8は、モンテカルロ法による性能最小値を評価関数とする公差最適化のフローチャートを示す図である。
図9は、歩留まり計算のフローチャートを示す図である。
図8は、モンテカルロ法による性能最小値を評価関数とする公差最適化のフローチャートを示す図である。
図9は、歩留まり計算のフローチャートを示す図である。
図7に示すように、最小二乗法による最適化の場合、設計変数Xiの変動に対して、モンテカルロ法により性能最小値評価関数Φ”jの変動を算出し、微係数行列の要素aijとする(STP31〜STP33)。
微係数行列算出後は最小二乗法のアルゴリズムに従い最適化変数を更新しメリット関数変化が収束するまで変数の更新を繰り返す(STP34〜STP37)。
ここでは最小二乗法による最適化を例に説明したが、本発明はメリット関数を極小化する最適化であれば、そのアルゴリズムは問わない。最適化が収束するか否かは最適化のアルゴリズムに依存する。
微係数行列算出後は最小二乗法のアルゴリズムに従い最適化変数を更新しメリット関数変化が収束するまで変数の更新を繰り返す(STP34〜STP37)。
ここでは最小二乗法による最適化を例に説明したが、本発明はメリット関数を極小化する最適化であれば、そのアルゴリズムは問わない。最適化が収束するか否かは最適化のアルゴリズムに依存する。
次に、公差最適化ステップSTP12に移行する。公差最適化ステップSTP12では、設計変数Xiを定数として公差Tiを最適化変数とする。図8に示すように、評価関数は性能最小値とし、設計変数最適化ステップと同様にモンテカルロ法により算出可能な数値である(STP41〜STP47)。
図8に示すように、最小二乗法で最適化する場合は、公差の変動に対する性能最小値の変動をモンテカルロ法により算出して微係数行列要素とする。
図8に示すように、最小二乗法で最適化する場合は、公差の変動に対する性能最小値の変動をモンテカルロ法により算出して微係数行列要素とする。
次に、性能分布計算ステップSTP13に移行する。
図9に示すように、計算実行前に、合否判定規格データを読み込み、設計変数、公差、確率密度分布に基づいてモンテカルロ法により誤差性能f'jを算出する(STP51〜STP53)。そして、調整工程計算を行う(STP54)。
性能計算を行って(STP55)、すべての性能f'j (j=1〜J)が判定規格値を満足すれば合格とし、逆に一つでも不満足な性能があれば不合格として計数する(STP56〜STP59)。
モンテカルロ計算回数をNとし、合格数をn_okとすると歩留まりRは、
R = n_ok / N
で算出される(STP60)。
図9に示すように、計算実行前に、合否判定規格データを読み込み、設計変数、公差、確率密度分布に基づいてモンテカルロ法により誤差性能f'jを算出する(STP51〜STP53)。そして、調整工程計算を行う(STP54)。
性能計算を行って(STP55)、すべての性能f'j (j=1〜J)が判定規格値を満足すれば合格とし、逆に一つでも不満足な性能があれば不合格として計数する(STP56〜STP59)。
モンテカルロ計算回数をNとし、合格数をn_okとすると歩留まりRは、
R = n_ok / N
で算出される(STP60)。
モンテカルロ法実施されると、算出された誤差性能f'jはN個のデータ群になる。そして、N個のデータ群から、最小値、平均値、分散、工程能力指数を算出する。
次に、規格値データを読み込み生産性判定ステップSTP14に移行する。
この場合、規格値は、歩留まり、性能最低、性能分布の平均値、分散、工程能力指数で構成される。各規格値と計算値を比較して生産性を判定する。たとえば全ての規格値を満足する場合だけ生産性合格と判断し終了する。
この場合、規格値は、歩留まり、性能最低、性能分布の平均値、分散、工程能力指数で構成される。各規格値と計算値を比較して生産性を判定する。たとえば全ての規格値を満足する場合だけ生産性合格と判断し終了する。
生産性が不合格の場合、公差限界データを読み込んで公差限界判定ステップSTP15に移行する。
公差限界データには、レンズ加工精度限界に伴う面形状公差限界値や面偏心公差限界地、レンズ保持機構の加工精度やレンズ組込み精度限界に伴うレンズブロック偏心公差限界値など全設計変数の公差についての限界値が記載されている。
公差限界データには、レンズ加工精度限界に伴う面形状公差限界値や面偏心公差限界地、レンズ保持機構の加工精度やレンズ組込み精度限界に伴うレンズブロック偏心公差限界値など全設計変数の公差についての限界値が記載されている。
公差限界値と設定公差を比較して、公差が限界範囲内にあるかどうかを判定する。すべての公差が限界範囲内であるか、もしくは一部の公差が限界値を超えた場合は、公差最適化ステップSTP16に移行する。その際、公差最適化の性能最小値目標値を上方修正するステップSTP16の処理を実行する。
すべての公差が限界値を超えた場合は、公差最適化が不可能と判断し、設計変数最適化ステップに移行する。その際、性能最小値の目標値を上方修正するステップSTP17の処理を実行し、公差の値を限界値に固定するステップSTP18の処理を実施する。
これにより限界公差の状態において性能差最小値を目標値とすることで生産性が向上するように設計変数を最適化することが可能になる。
これにより限界公差の状態において性能差最小値を目標値とすることで生産性が向上するように設計変数を最適化することが可能になる。
[実施例2] 性能最小値近似計算による最適化
実施例2は、設計変数最適化ステップと公差最適化ステップが実施例1と異なる。よって設計変数最適化ステップと公差最適化ステップについて、図10〜図12に関連付けて説明する。
図10は、近似性能最小値算出処理のフローチャートを示す図である。
図11は、公差重み係数最適化のフローチャートを示す図である。
図12は、公差制約条件違反量評価関数算出処理のフローチャートを示す図である。
実施例2は、設計変数最適化ステップと公差最適化ステップが実施例1と異なる。よって設計変数最適化ステップと公差最適化ステップについて、図10〜図12に関連付けて説明する。
図10は、近似性能最小値算出処理のフローチャートを示す図である。
図11は、公差重み係数最適化のフローチャートを示す図である。
図12は、公差制約条件違反量評価関数算出処理のフローチャートを示す図である。
2−(1) 設計変数最適化ステップ
第2の実施例は、設計変数最適化ステップにおける、性能最小値算出処理において、上記(1)式に従った処理を行う。
第2の実施例は、設計変数最適化ステップにおける、性能最小値算出処理において、上記(1)式に従った処理を行う。
この性能最小値算出処理は、各設計変数の公差による性能変化寄与率の積算により性能最小値を近似的に計算するものであり、以下に説明する。設計変数Xiに微少変化δXiを付与したときの性能をf'jとし、誤差感度βijを次式で定義する。
βij = ( f'j / fj ) / δXi
ここで、i:変数番号、j:性能項目番号
βij = ( f'j / fj ) / δXi
ここで、i:変数番号、j:性能項目番号
次に、単独変数の変化による性能変化寄与率Kiを次式で定義する。
Kij = βij^Tij
Kij = βij^Tij
性能変化率rは性能最小値f”と設計性能fの比で定義される。
rj = fj”' / fj
rj = fj”' / fj
性能変化を性能変化寄与率の積で近似すると次のようになる。
rj = K1j×K2j×…×Knj
rj = K1j×K2j×…×Knj
よって、公差Tiと誤差感度βijにより近似性能最小値fj”は、次式で算出される。
f”j = fj ×{ β1j^T1×β2j^T2× … ×βnj^Tn }
f”j = fj ×{ β1j^T1×β2j^T2× … ×βnj^Tn }
最適化の過程においては、公差と誤差感度により算出された性能最小値f”jと性能最小値の目標値の差分絶対値を評価関数としてメリット関数に取り込むことにより近似的性能最小値を評価関数として設計変数を最適化することができる。
<近似的性能最小値算出処理の計算フロー>
近似的性能最小値算出処理の計算フローを図10に関連付けて説明する。
近似的性能最小値算出処理は、公差読込みステップSTP61と、性能計算ステップSTP62と、設計変数微少変更ステップSTP63と、性能計算ステップSTP64と、誤差感度計算ステップSTP65と、変数別寄与率計算ステップSTP66と、寄与率積算ステップSTP67と、性能最小値計算ステップSTP68とにより構成される。
近似的性能最小値算出処理の計算フローを図10に関連付けて説明する。
近似的性能最小値算出処理は、公差読込みステップSTP61と、性能計算ステップSTP62と、設計変数微少変更ステップSTP63と、性能計算ステップSTP64と、誤差感度計算ステップSTP65と、変数別寄与率計算ステップSTP66と、寄与率積算ステップSTP67と、性能最小値計算ステップSTP68とにより構成される。
最初に変数別寄与率を計算するために必要な公差データTiを読み込む(STP61)。
次に、誤差感度計算に必要な、誤差がない状態での設計性能fを計算する(STP62)。
次に、設計変数Xiに微少変動δXiを与えて新たにX'iを算出する(STP63)。
次に、変数Xiが微少変動した状態の性能f'を計算する(STP64)。
次に、誤差感度βiを算出し、変数別寄与率Kiを算出する(STP65)。
寄与率Kiを算出したら、変数Xiを誤差がない状態に戻して、全変数について寄与率Ki計算を繰り返す。全変数についてKiを算出したら(STP66)、寄与率Kiをすべて積算し、変化率rを算出する(STP67)。
最後に設計性能fと変化率rを積算して性能最小値f”を算出する(STP68)。
以上により公差と誤差感度から近似的性能最小値が算出される。
次に、誤差感度計算に必要な、誤差がない状態での設計性能fを計算する(STP62)。
次に、設計変数Xiに微少変動δXiを与えて新たにX'iを算出する(STP63)。
次に、変数Xiが微少変動した状態の性能f'を計算する(STP64)。
次に、誤差感度βiを算出し、変数別寄与率Kiを算出する(STP65)。
寄与率Kiを算出したら、変数Xiを誤差がない状態に戻して、全変数について寄与率Ki計算を繰り返す。全変数についてKiを算出したら(STP66)、寄与率Kiをすべて積算し、変化率rを算出する(STP67)。
最後に設計性能fと変化率rを積算して性能最小値f”を算出する(STP68)。
以上により公差と誤差感度から近似的性能最小値が算出される。
2−(2)公差最適化ステップ
次に、性能最小値を与えて、上記(2),(3)式の公差重み係数を最適化変数として、上記(4)式の制約条件下で公差限界値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化する公差最適化ステップについて説明する。
次に、性能最小値を与えて、上記(2),(3)式の公差重み係数を最適化変数として、上記(4)式の制約条件下で公差限界値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化する公差最適化ステップについて説明する。
この公差最適化ステップでは、性能最小値を設定して公差制約条件評価関数を極小化して、公差重み係数Wiを最適化する。
等配分寄与率Kを次式で定義する。
K = r^(1/n) “^”:べき乗記号、n:公差設定数
等配分寄与率Kを次式で定義する。
K = r^(1/n) “^”:べき乗記号、n:公差設定数
等配分寄与率Kと重み係数Wiの積で寄与率Kiを次式で定義する。
Ki = K×Wi
Ki = K×Wi
重み係数Wiと等配分寄与率Kを用いて公差を表現すると次式のようになる。
Ti = Logβi[ Ki ] = Logβi[ K×Wi ]
Ti = Logβi[ Ki ] = Logβi[ K×Wi ]
等配分寄与率Kは設計性能f、性能最小値f”、公差設定数により決まる定数である。重み係数Wiが決まると等配分寄与率Kと誤差感度βiから公差Tiが決定する。
よって、性能最小値f”を定めて、重み係数Wiを変数として最適化することは、公差を最適化することに相当する。
よって、性能最小値f”を定めて、重み係数Wiを変数として最適化することは、公差を最適化することに相当する。
<重み係数Wiの制約条件>
次に,重み係数Wiの制約条件について説明する。
積算した寄与率{r = K1×K2×…×Kn}を重み係数Wiを用いて表すと、次のようになる。
r = (K×W1)×(K×W2)×…×(K×Wn)
= ( K^n ) ×( W1×W2×…×Wn )
ここで、K = r^(1/n)であることから、K^n = rとなる。
よって、次のようなる。
( W1×W2×…×Wn ) = 1
設定した性能最小値を固定して、Wiを最適化するには、Wiに関する上記制約条件を満足する必要がある。制約条件を違反すると設定した性能最小値から変動する。
次に,重み係数Wiの制約条件について説明する。
積算した寄与率{r = K1×K2×…×Kn}を重み係数Wiを用いて表すと、次のようになる。
r = (K×W1)×(K×W2)×…×(K×Wn)
= ( K^n ) ×( W1×W2×…×Wn )
ここで、K = r^(1/n)であることから、K^n = rとなる。
よって、次のようなる。
( W1×W2×…×Wn ) = 1
設定した性能最小値を固定して、Wiを最適化するには、Wiに関する上記制約条件を満足する必要がある。制約条件を違反すると設定した性能最小値から変動する。
<最適化変数Wiの初期値>
次に,最適化変数Wiの初期値について説明する。
初期値は設計者により任意に設定することができるが、初期状態で公差が性能変化に与える影響度を等しくする場合について説明する。
次に,最適化変数Wiの初期値について説明する。
初期値は設計者により任意に設定することができるが、初期状態で公差が性能変化に与える影響度を等しくする場合について説明する。
公差が性能変化に与える影響度は前記寄与率Kiに相当する。影響度を等しくすることは寄与率Kiがすべて等しい場合に相当し、次のようになる。
K1 = K2 = … = Kn = K
K1 = K2 = … = Kn = K
これを、重み係数に換算すると次のようになる。
W1 = W2 = … = Wn = 1
このような初期値から最適化を開始すれば、公差により影響度が極端に異なることを防ぐことができる。
W1 = W2 = … = Wn = 1
このような初期値から最適化を開始すれば、公差により影響度が極端に異なることを防ぐことができる。
<公差最適化の評価関数>
次に,公差最適化の評価関数について説明する。
前記重み係数に関する制約条件を満たす場合、近似計算の性能最小値は変化しない。よって評価関数は公差制約条件に関する評価関数とする。
公差には加工や組立て精度に依存する最小限界値が存在する。また,過大な公差が存在すると、最適化の過程で他の公差を小さくする方向に作用する。よって公差の上限値と下限値を設定する。
評価関数値は、限界範囲内では0とする。範囲外の場合は、境界値からの差分絶対値Δを算出し、Δの増加に伴い増加する評価関数を設定する。
次に,公差最適化の評価関数について説明する。
前記重み係数に関する制約条件を満たす場合、近似計算の性能最小値は変化しない。よって評価関数は公差制約条件に関する評価関数とする。
公差には加工や組立て精度に依存する最小限界値が存在する。また,過大な公差が存在すると、最適化の過程で他の公差を小さくする方向に作用する。よって公差の上限値と下限値を設定する。
評価関数値は、限界範囲内では0とする。範囲外の場合は、境界値からの差分絶対値Δを算出し、Δの増加に伴い増加する評価関数を設定する。
以上のように、重み係変数とし、公差制約条件違反量評価関数を極小化する最適化を行うことによって近似的な性能最小値を設定した上で、公差が制約条件を満たすように最適化することができる。
また,重み係数Wi制約条件違反量を評価関数として加えることで、近似的性能最小値に変動幅を持たせながら公差を最適化することができる。
また,重み係数Wi制約条件違反量を評価関数として加えることで、近似的性能最小値に変動幅を持たせながら公差を最適化することができる。
<公差重み係数最適化フロー>
公差重み係数最適化フローについて図11に関連付けて説明する。
最適化を開始する前に、各性能項目について等配分寄与率Kを算出する(STP71〜STP74)。誤差がない状態での設計性能fを算出し(STP71)、次に性能最小値f”を設定する(STP72)。両者の比から性能変化率rを算出し(STP73)、K = r^(1/n)により等配分寄与率Kを算出する(STP74)。
これを全ての性能項目について行う。算出されたKは次の最適化ループ内で使用する。
公差重み係数最適化フローについて図11に関連付けて説明する。
最適化を開始する前に、各性能項目について等配分寄与率Kを算出する(STP71〜STP74)。誤差がない状態での設計性能fを算出し(STP71)、次に性能最小値f”を設定する(STP72)。両者の比から性能変化率rを算出し(STP73)、K = r^(1/n)により等配分寄与率Kを算出する(STP74)。
これを全ての性能項目について行う。算出されたKは次の最適化ループ内で使用する。
最適化ループを開始する前に、重み係数初期値を設定する。重み係数Wiは制約条件を満たせばどのような数値でもかまわないが、ここではW1=W2=…=Wn=1とする。
最適化ループは、重み係数初期値設定ステップSTP75と、メリット関数初期化ステップSTP76と、評価関数初期化ステップSTP77と、変数別寄与率算出ステップSTP78と、公差計算ステップSTP79と、公差制約条件違反量計算ステップSTP80と、公差制約条件違反量評価関数計算ステップSTP81と、メリット関数計算ステップSTP82と、メリット関数変化率計算ステップSTP83と、メリット関数保存ステップSTP84と、メリット関数変化率判定ステップSTP85と、公差重み係数最適化ステップSTP86とにより構成される。
メリット関数初期化ステップSTP76でメリット関数Φ=0に初期化する。性能項目ループでは評価関数φ=0に初期化し変数番号ループに入る。
変数番号ループでは、変数別寄与率ステップSTP78、公差計算ステップSYP79、公差制約条件違反量計算ステップSTP80、公差制約条件違反量評価関数計算ステップSTP81の順に実行する。
公差制約条件違反量評価関数は公差制約条件違反量を順次加算することで算出される。 また性能評価項目ごとに評価関数を加算することでメリット関数を算出する。
変数番号ループでは、変数別寄与率ステップSTP78、公差計算ステップSYP79、公差制約条件違反量計算ステップSTP80、公差制約条件違反量評価関数計算ステップSTP81の順に実行する。
公差制約条件違反量評価関数は公差制約条件違反量を順次加算することで算出される。 また性能評価項目ごとに評価関数を加算することでメリット関数を算出する。
公差制約条件違反量計算ステップの詳細を図12に関連付けて説明する。
公差制約条件読込みステップSTP90により公差の上限値と下限値が読み込まれる。
公差が下限値より大きく上限値より小さい場合(STP91)、限界範囲内と判断し違反量=0とする(STP92)。
そうでない場合は(STP92)、上限値を超えているか、下限値を下回っているか判断する(STP93)。
上限値を上回る場合は境界値を上限値に設定し(STP94)、下限値を下回る場合は境界値を下限値に設定する(STP95)。
違反量Δは境界値と公差の差分絶対値で定義する。よって違反量は0以上の値になり、評価関数は単純に総和計算になる。最適化の重要度が異なる場合は、違反量に重み付けした総和で評価関数を算出してもよい。
公差制約条件読込みステップSTP90により公差の上限値と下限値が読み込まれる。
公差が下限値より大きく上限値より小さい場合(STP91)、限界範囲内と判断し違反量=0とする(STP92)。
そうでない場合は(STP92)、上限値を超えているか、下限値を下回っているか判断する(STP93)。
上限値を上回る場合は境界値を上限値に設定し(STP94)、下限値を下回る場合は境界値を下限値に設定する(STP95)。
違反量Δは境界値と公差の差分絶対値で定義する。よって違反量は0以上の値になり、評価関数は単純に総和計算になる。最適化の重要度が異なる場合は、違反量に重み付けした総和で評価関数を算出してもよい。
最適化の過程で変数更新前後のメリット関数の変化率εを算出する。ここではεを1とメリット関数比の差分とする。こうすることにより、メリット関数の変化が少なくなり最適化が収束するとεの値が小さくなる。εに目標値を設けて、εが目標値を下回った場合は最適化収束したと判断し最適化を終了する。収束条件を満たさない場合は、最適化ループを繰り返す。
以上説明したように、本実施形態によれば、最適化の目標値や判定基準を数値化し、各計算ステップを一連の手順と判定ステップで制御することにより、光学系設計等における試行錯誤的な部分を排除したため、効率的に設計することができる。
これにより、設計者は光学系の構成が異なる複数の初期データを準備して、計算機で本発明の光学系設計手法を実行することで最も生産性のよい光学系の構成を短時間に比較検討することができる。
これにより、設計者は光学系の構成が異なる複数の初期データを準備して、計算機で本発明の光学系設計手法を実行することで最も生産性のよい光学系の構成を短時間に比較検討することができる。
なお、以上詳細に説明した公差決定方法は、上記手順に応じたプログラムとして形成し、CPU等のコンピュータで実行するように構成することも可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、図13ではディスク装置13に記録し、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、図13ではディスク装置13に記録し、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
10・・・公差決定装置、11・・・入力装置、12・・・ディスク制御装置、13・・・ディスク装置、14・・・表示装置、15・・・主記憶装置、16・・・中央処理装置。
Claims (15)
- 設計変数初期値に応じて設計変数を最適化する設計変数最適化ステップと、
設計性能目標値に応じて公差を最適化する公差最適化ステップと、
誤差確率分布に応じて性能分布計算する性能分布計算ステップと、
生産性目標値に基づいた生産性判定を行う生産性判定ステップと、
公差限界値に応じた公差限界判定を行う公差限界判定ステップと、を含み、
設計変数最適化ステップ、公差最適化ステップ、性能分布計算ステップ、生産性判定ステップの順に実行し、
生産性判定ステップで合格した場合、計算を終了し、不合格の場合、公差限界判定ステップに移行し、
公差が限界範囲内の場合、公差最適化ステップを実行し、
公差が限界に達した場合、設計変数最適化ステップを実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す
公差決定方法。 - 前記設計変数最適化ステップにおいて、設定される所定の公差により変化する性能最小値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化する
請求項1記載の公差決定方法。 - 性能最小値算出ステップを含み、当該性能最小値算出ステップにおいて、モンテカルロ法により算出された性能分布の中から最小値を抽出する
請求項2記載の公差決定方法。 - 性能最小値算出ステップを含み、当該性能最小値算出ステップにおいて、下記(1)式に従った処理を行う
請求項2記載の公差決定方法。
φ' = φo×{ β1^T1×β2^T2× … ×βn^Tn } (1)
ここで、φoは設計性能を、βは誤差感度を、Tは公差を、それぞれ示す。 - 前記公差最適化ステップにおいて、公差を変数として、公差により変化する性能最小値評価関数を含むメリット関数を極小化する
請求項1記載の公差決定方法。 - 前記公差最適化ステップにおいて、性能最小値を与えて、下記(2),(3)式の公差重み係数を最適化変数として、下記(4)式の制約条件下で公差限界値に関する評価関数を含むメリット関数を極小化する
請求項1記載の公差決定方法。
Wi = (βi^Ti) / { r^(1/n)}(nは公差設定数を示す) (2)
r = Φ(LIM) / Φo (3)
W1×W2×…×Wn = 1 (4)
ここで、Φoは設計性能を、Φ(LIM)は性能最小値を、それぞれ示す。 - 前記性能分布計算ステップにおいて、性能分布計算を、モンテカルロ法を適用して行う
請求項1記載の公差決定方法。 - 前記性能分布計算ステップにおいて、モンテカルロ法による計算を実行する過程で、判定基準に基づき合否判定を行い、歩留まりを算出する
請求項7記載の公差決定方法。 - 前記性能分布計算ステップにおいて、性能分布から性能最小値、平均値、分散、工程能力指数のうち少なくとも一つの値を算出する
請求項1記載の公差決定方法。 - 前記生産性判定ステップにおいて、歩留まり、性能最小値、平均値、分散、工程能力指数のうち少なくとも一つを規格値に対して評価する
請求項1記載の公差決定方法。 - 前記公差限界判定ステップにおいて、公差が限界範囲内の場合、公差最適化ステップの性能最小値目標値を高く更新する
請求項5記載の公差決定方法。 - 前記公差限界判定ステップにおいて、公差が限界値を超えた場合に、公差の値を限界値に固定し、性能最小値の目標値を高く更新して、設計変数最適化処理に移行する
請求項2記載の公差決定方法。 - 設計変数初期値に応じた設計変数最適化処理と、設計性能目標値に応じた公差最適化処理と、誤差確率分布に応じた性能分布計算処理と、生産性目標値に基づいた生産性判定処理と、公差限界値に応じた公差限界判定処理と、を行うことが可能な処理部を有し、
前記処理部は、
設計変数最適化処理、公差最適化処理、性能分布計算処理、生産性判定処理の順に実行し、
生産性判定処理に合格した場合、計算を終了し、不合格の場合、公差限界判定処理に移行し、
公差が限界範囲内の場合、公差最適化処理を実行し、
公差が限界に達した場合、設計変数最適化処理を実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す
公差決定装置。 - 設計変数初期値に応じて設計変数を最適化する設計変数最適化ステップと、
設計性能目標値に応じて公差を最適化する公差最適化ステップと、
誤差確率分布に応じて性能分布計算する性能分布計算ステップと、
生産性目標値に基づいた生産性判定を行う生産性判定ステップと、
公差限界値に応じた公差限界判定を行う公差限界判定ステップと、を含み、
設計変数最適化ステップ、公差最適化ステップ、性能分布計算ステップ、生産性判定ステップの順に実行し、
生産性判定ステップで合格した場合、計算を終了し、不合格の場合、公差限界判定ステップに移行し、
公差が限界範囲内の場合、公差最適化ステップを実行し、
公差が限界に達した場合、設計変数最適化ステップを実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す処理を
コンピュータに実行させるプログラム。 - 設計変数初期値に応じて設計変数を最適化する設計変数最適化ステップと、
設計性能目標値に応じて公差を最適化する公差最適化ステップと、
誤差確率分布に応じて性能分布計算する性能分布計算ステップと、
生産性目標値に基づいた生産性判定を行う生産性判定ステップと、
公差限界値に応じた公差限界判定を行う公差限界判定ステップと、を含み、
設計変数最適化ステップ、公差最適化ステップ、性能分布計算ステップ、生産性判定ステップの順に実行し、
生産性判定ステップで合格した場合、計算を終了し、不合格の場合、公差限界判定ステップに移行し、
公差が限界範囲内の場合、公差最適化ステップを実行し、
公差が限界に達した場合、設計変数最適化ステップを実行し、公差最適化以降の計算を繰り返す処理を
コンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
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JP2008044331A JP2008243192A (ja) | 2007-02-26 | 2008-02-26 | 公差決定方法、公差決定装置、プログラム、および記録媒体 |
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- 2008-02-26 JP JP2008044331A patent/JP2008243192A/ja active Pending
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