JP2008241942A - 平版印刷版原版および平版印刷版の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に画像形成層を有する平版印刷版原版であって、前記画像形成層が、光重合開始剤、重合性化合物およびグラフト鎖を有するバインダーポリマーを含有する感光性組成物からなり、かつ前記グラフト鎖が、親水性基を有する親水性グラフト鎖であることを特徴とする平版印刷版原版。該原版を用いた平版印刷版の作製方法。
【選択図】なし
Description
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の画像形成層(以下、感光層ともいう)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルム等の原画を通した露光を行った後、画像部となる画像形成層を残存させ、それ以外の不要な画像形成層をアルカリ性現像液または有機溶剤によって溶解して除去することで親水性の支持体の表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
2.前記親水性グラフト鎖が、前記親水性基を側鎖に有することを特徴とする前記1に記載の平版印刷版原版。
3.前記バインダーポリマーの酸価が0.3meq/g以下であることを特徴とする前記1または2に記載の平版印刷版原版。
4.pHが2〜10の現像液の存在下、非露光部の画像形成層を除去することが可能であることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版。
5.前記グラフト鎖を有するバインダーポリマーの主鎖が、(メタ)アクリル系樹脂またはポリウレタン樹脂であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の平版印刷版原版。
6.前記親水性グラフト鎖が、架橋性基を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の平版印刷版原版。
7.前記グラフト鎖を有するバインダーポリマーの主鎖が架橋性基を有することを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載の平版印刷版原版。
8.前記感光性組成物が、350nm〜450nmの光を吸収する増感色素を含むことを特徴とする前記1〜7のいずれかに記載の平版印刷版原版。
9.支持体上に画像形成層を有する平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法であって、前記画像形成層が、(A)350nm〜450nmの光を吸収する増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物および(D)グラフト鎖を有し、かつ前記グラフト鎖が親水性基を有する親水性グラフト鎖であるバインダーポリマーを含有する感光性組成物により形成されており、350nm〜450nmの範囲に発振波長を有する光源を搭載した露光装置を用いて前記画像形成層を露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、前記擦り部材で前記画像形成層を擦ることにより、非露光部の画像形成層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
特にpHが2〜10の現像液のような非アルカリ現像系において、上記親水性グラフト鎖を有するバインダーポリマーを採用することで、非グラフト型で導入する場合と比較して現像性が向上し、より少ない量の親水性基で現像可能となる。この機構は明確ではないが、現像性向上はグラフト化による親水性部位の運動性向上と水の浸透パス形成によると推定される。また、グラフト化による親水性基導入量の低下によって、耐刷性も向上する。
最初に本発明に用いる平版印刷版原版について説明する。
以下に、平版印刷版原版をさらに詳細に説明する。
本発明における平版印刷版原版の感光層は、水または水性の現像液の存在下除去可能な感光層であり、必須成分として、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物、(D)特定構造のバインダーポリマーを含有し、更に必要に応じて(A)増感色素、および着色剤や他の任意成分を含む感光性組成物により形成された重合性ネガ型の感光層である。
感光層の未露光部の現像速度や硬化後の感光層に対する現像液の浸透速度の制御は、上記(D)特定構造のバインダーポリマーを使用する方法に加えて、常法により行うことができ、例えば、未露光部の現像速度の向上には、親水性の化合物の添加が有用であり、露光部への現像液浸透抑制には、疎水性の化合物の添加手段が有用である。
本発明で使用される上記感光性組成物に用いられる350nm〜450nmの光を吸収する増感色素は、350nmから450nmの波長域に吸収極大を持つことが好ましい。この様な増感色素としては、例えば、下記一般式(I)に示されるメロシアニン色素類、下記一般式(II)で示されるベンゾピラン類、クマリン類、下記一般式(III)で表される芳香族ケトン類、下記一般式(IV)で表されるアントラセン類、等を挙げることができる。
具体例としては、ベンゾジチオール類(例えば、ベンゾジチオール、5-t-ブチルベンゾジチオール、5-メチルベンゾジチオール等)、ナフトジチオール類(例えば、ナフト[1,2]ジチオール、ナフト[2,1]ジチオール等)、ジチオール類(例えば、4,5-ジメチルジチオール類、4-フェニルジチオール類、4-メトキシカルボニルジチオール類、4,5-ジメトキシカルボニルベンゾジチオール類、4,5-ジトリフルオロメチルジチオール、4,5-ジシアノジチオール、4-メトキシカルボニルメチルジチオール、4-カルボキシメチルジチオール等を挙げることができる。
本発明に用いられる重合開始剤は、光または熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物である。このようなラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などから、適宜、選択して用いることができる。
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
本発明における感光層に用いる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
(ただし、R4およびR5は、HまたはCH3を示す。)
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光層中の他の成分(例えばバインダーポリマー、重合開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体や後述の保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
本発明に使用するバインダーポリマーは、グラフト鎖を有し、かつ前記グラフト鎖が、親水性基を有する親水性グラフト鎖であるバインダーポリマーである。
上記グラフト鎖としてはポリ(メタ)アクリレート、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステルなどのグラフト鎖が好ましいが特にバインダーポリマー主鎖がポリ(メタ)アクリレートの場合はグラフト鎖もポリ(メタ)アクリレートであることが好ましく、バインダーポリマー主鎖がポリウレタンである場合、グラフト鎖はポリ(メタ)アクリレートまたはポリエーテルであることが特に好ましい。
このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる主鎖からなる高分子が好ましい。なかでも、(メタ)アクリル系樹脂またはポリウレタン樹脂が好ましい。
バインダーポリマーは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。バインダーポリマーの含有量は、感光層の全固形分に対して、5〜90質量%であり、10〜70質量%であるのが好ましく、10〜60質量%であるのがより好ましい。この範囲内で、特に良好な画像部の強度と画像形成性が得られる。
バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性基を高分子の主鎖中および/またはグラフト鎖中に導入すればよい。架橋性基は、共重合により導入してもよいし、高分子反応によって導入してもよい。
ここで架橋性基とは、平版印刷版原版を露光した際に感光層中で起こるラジカル重合反応の過程でバインダーポリマーを架橋させる基のことである。このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。また光照射によりラジカルになり得る官能基であってもよく、そのような架橋性基としては、例えば、チオール基、ハロゲン基、オニウム塩構造等が挙げられる。なかでも、エチレン性不飽和結合基が好ましく、下記一般式(1)〜(3)で表される官能基が特に好ましい。
Xは、酸素原子、硫黄原子、またはN(R12)−を表し、R12は、水素原子、または1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、またはN(R12)−を表す。R12は、一般式(1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(1)と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、または置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
上記の中でも、側鎖に架橋性基を有する(メタ)アクリル酸共重合体およびポリウレタンがより好ましい。
本発明の感光層は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は感度および保存安定性向上に寄与する。連鎖移動剤として作用する化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。
なかでも、下記一般式(I)で表されるチオール化合物が特に好適に使用される。連鎖移動剤としてこのチオール化合物を用いることによって、臭気の問題、および感光層から蒸発や他の層への拡散による感度減少を回避し、保存安定性に優れ、さらには高感度で高耐刷の平版印刷版原版が得られる。
本発明においては、上記の感光層構成成分および後述のその他の構成成分を感光層に含有させる方法として、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の一部をマイクロカプセルに内包させて感光層に添加することができる。その場合、各構成成分はマイクロカプセル内および外に、任意の比率で含有させることが可能である。
本発明の感光層には、さらに、必要に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下、それらについて説明する。
本発明において、感光層には、現像性の促進および塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミタゾリン類が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜7質量%であるのがより好ましい。
本発明では、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、および特開昭62−293247号公報に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。
本発明の感光層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
本発明の感光層には、感光層の製造中または保存中において、ラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
本発明の感光層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
本発明の感光層は可塑剤を含有してもよい。可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。可塑剤の含有量は、感光層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
本発明の感光層は、画像部の硬化皮膜強度向上のために、無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物が好適に挙げられる。これらは光熱変換性でなくても、皮膜の強化、表面粗面化による界面接着性の強化等に用いることができる。無機微粒子は、平均粒径が5nm〜10μmであるのが好ましく、0.5〜3μmであるのがより好ましい。上記範囲内であると、感光層中に安定に分散して、感光層の膜強度を十分に保持し、印刷時の汚れを生じにくい親水性に優れる非画像部を形成することができる。
上述したような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物等の市販品として容易に入手することができる。
無機微粒子の含有量は、感光層の全固形分に対して、20質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
本発明の感光層は、現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有することができる。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩や、テトラエチルアミン塩酸塩等の有機4級アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明の感光層は、必要な上記各成分を溶剤に分散または溶解して塗布液を調製し、塗布して形成される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の感光層は、同一または異なる上記各成分を同一または異なる溶剤に分散、または溶かした塗布液を複数調製し、複数回の塗布、乾燥を繰り返して形成することも可能である。
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
本発明の平版印刷版原版には、露光時の重合反応を妨害する酸素の拡散侵入を遮断するため、感光層上に保護層(酸素遮断層)を設けることが好ましい。本発明に用いられる保護層は25℃、1気圧下における酸素透過性Aが1.0≦A≦20(mL/m2・day)であることが好ましい。酸素透過性Aが1.0(mL/m2・day)未満で極端に低い場合は、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。逆に、酸素透過性Aが20(mL/m2・day)を超えて高すぎる場合は感度の低下を招く。酸素透過性Aは、より好ましくは1.5≦A≦12(mL/m2・day)、更に好ましくは2.0≦A≦10.0(mL/m2・day)の範囲である。また、保護層に望まれる特性としては、上記酸素透過性以外に、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な保護層に関する工夫が従来なされており、米国特許第3,458,311号明細書、特公昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
ここで無機質の層状化合物とは、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、下記一般式
A(B,C)2-5 D4 O10(OH,F,O)2
〔ただし、AはK,Na,Caの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
本発明の平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状な親水性支持体であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
機械的粗面化処理の方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。
電気化学的粗面化処理の方法としては、例えば、塩酸、硝酸等の酸を含有する電解液中で交流または直流により行う方法が挙げられる。また、特開昭54−63902号公報に記載されているような混合酸を用いる方法も挙げられる。
陽極酸化処理の条件は、用いられる電解質により種々変わるので一概に特定することはできないが、一般的には、電解質濃度1〜80質量%溶液、液温度5〜70℃、電流密度5〜60A/d m2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分であるのが好ましい。形成される陽極酸化皮膜の量は、1.0〜5.0g/m2 であるのが好ましく、1.5〜4.0g/m2 であるのがより好ましい。この範囲内で、良好な耐刷性と平版印刷版の非画像部の良好な耐傷性が得られる。
なかでも、無機フッ素化合物を含有する水溶液による封孔処理、水蒸気による封孔処理および熱水による封孔処理が好ましい。
また、支持体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.65であるのが好ましい。この範囲内で、画像露光時のハレーション防止による良好な画像形成性と現像後の良好な検版性が得られる。
本発明の平版印刷版原版においては、支持体上に重合性基を含有する化合物の下塗り層を設けることが好ましい。下塗り層が用いられるときは、感光層は下塗り層の上に設けられる。下塗り層は、露光部においては支持体と感光層との密着性を強化し、また、未露光部においては、感光層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、現像性が向上する。
下塗り層としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物などが好適に挙げられる。特に好ましい化合物として、メタクリル基、アリル基などの重合性基とスルホン酸基、リン酸基、リン酸エステルなどの支持体吸着性基を有する化合物が挙げられる。重合性基と支持体吸着性基に加えてエチレンオキシド基などの親水性付与基を有する化合物も好適な化合物として挙げることができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1〜100mg/m2であるのが好ましく、1〜30mg/m2であるのがより好ましい。
支持体に表面処理を施した後または下塗り層を形成させた後、必要に応じて、支持体の裏面にバックコートを設けることができる。
バックコートとしては、例えば、特開平5−45885号公報に記載されている有機高分子化合物、特開平6−35174号公報に記載されている有機金属化合物または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好適に挙げられる。中でも、Si(OCH3 )4 、Si(OC2 H5 )4 、Si(OC3 H7 )4 、Si(OC4 H9 )4 等のケイ素のアルコキシ化合物を用いるのが、原料が安価で入手しやすい点で好ましい。
本発明における平版印刷版原版を、350nm〜450nmの光源で画像露光した後、自動現像機により、pHが2〜10の現像液の存在下、擦り部材で版面(感光層)を擦ることにより、保護層および非露光部の感光層を一括除去し、アルミニウム板支持体表面に画像を形成することができる。
すなわち、保護層および非露光部の感光層を一括除去した後、直ちに印刷機にセットして印刷することができる。
また、このような自動現像機での処理は、機上現像の場合に生ずる保護層/感光層の由来の現像カスへの対応から開放されるという優位性がある。
尚、酸性〜中性の現像液を用いる場合は、有機酸或いは無機酸のいずれかを含有することが好ましい。有機酸或いは無機酸を含有させることにより、製版時には現像性を向上させることができ、また製版された印刷版の非画像部に汚れが発生するのを抑制することができる。
これらノニオン性界面活系剤は、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。本発明においては、ソルビトールおよび/またはソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
またアセチレングリコール系とアセチレンアルコール系のオキシエチレン付加物、フッ素系、シリコン系等の界面活性剤も同様に使用することができる。
本発明の現像液に使用する界面活性剤としては、抑泡性の観点から、ノニオン性界面活性剤が特に好適である。
その中で乳化分散型および可溶化等がいずれも使用できる。
また、ブラシ素材としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6.6、ナイロン6.10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、および、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維)を使用することができ、例えば、繊維の毛の直径は、20〜400μm、毛の長さは、5〜30mmのものが好適に使用できる。
さらに、回転ブラシロールの外径は、30〜200mmが好ましく、版面を擦るブラシの先端の周速は、0.1〜5m/secが好ましい。
また、回転ブラシロールは、2本以上の複数本用いることが好ましい。
望ましい光源の波長は350nmから450nmであり、具体的にはInGaN系半導体レーザーが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでもよい。
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザとして、Arイオンレーザ(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザ(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)、その他、パルスレーザとしてN2レーザ(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)。特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置
以上のようなレーザー直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq 1)が成立する。
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4) が成立する。
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミニウム表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
このようにして得た支持体表面の中心線平均粗さRa(JIS B0601)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
・下塗り化合物(1) 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
グラフトユニット1の合成
コンデンサー、撹拌機を取り付けた三口フラスコに、1-メトキシ−2−プロパノール75gを入れ75℃に加熱した。窒素気流下ジメチルアクリルアミド50g、メルカプト酢酸、V-601(商品名:和光純薬製)0.23gを1-メトキシ-2-プロパノール75gで溶解した溶液を2時間半かけて滴下させた。さらに75℃で2時間反応させた。次に反応溶液をヘキサンに投じ、共重合体を析出させた。これをろ取、洗浄、乾燥し、グラフトユニット前駆体Q-1を得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、1000であった。
得られた前駆体Q-1を10gをキシレンに溶解させた後、グリシジルメタクリレート1.3gを加え140℃3時間攪拌後精製することでグラフトユニット1を得た。
グラフトユニット2〜9、11も同様の方法で合成した。
グラフトユニット10の合成
攪拌機を取り付けた二口フラスコに3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12gを入れ、AM-90G(新中村化学工業(株)製、EO変性アクリレート)48gを滴下した。室温で6時間攪拌後NMRによりグラフトユニット10の生成を確認した。
バインダーポリマー1の合成
コンデンサー、撹拌機を取り付けた三口フラスコに、1-メトキシ−2−プロパノール40gを入れ75℃に加熱した。窒素気流下メタクリル酸メチル酸29.7g、グラフトユニット1 3g、V-601(商品名:和光純薬製)0.35gを1-メトキシ-2-プロパノール40gで溶解した溶液を2時間半かけて滴下させた。さらに75℃で2時間反応させた。次に反応溶液を水に投じ、共重合体を析出させた。これをろ取、洗浄、乾燥し、バインダーポリマー1を得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、70000であった。
同様の方法でバインダーポリマー1〜6および比較用ポリマー1、2を合成した。
バインダーポリマー7の合成
コンデンサー、撹拌機を備えた500ml三口フラスコにてグラフトユニット7 1g、ポリプロピレングリコール(和光純薬(株)製、平均分子量1000)49g、3,3‐ジメチル1,2‐プロパンジオール5.25gを1−メチル−2−ピロリドン80gを用いて溶解した。これにイソホロンジイソシアネート13.3g、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート6.7g、ジブチル錫ラウレート0.1gを添加し、100℃にて8時間加熱撹拌した。その後1−メトキシ−2−プロパノール80gにて希釈し、30分間撹拌した。反応溶液を水3L中に撹拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。これをろ取、洗浄、乾燥し、バインダーポリマー7を得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、6.0万であった。
同様の方法でバインダーポリマー8、9、10、11を合成した。
コンデンサー、撹拌機を取り付けた三口フラスコに、1-メトキシ−2−プロパノール35gを入れ75℃に加熱した。窒素気流下メタクリル酸メチル酸27g、N,N-ジメチルアクリルアミド 3g、V-601(商品名:和光純薬製)0.7gを1-メトキシ-2-プロパノール35gで溶解した溶液を2時間半かけて滴下させた。さらに75℃で2時間反応させた。次に反応溶液を水に投じ、共重合体を析出させた。これをろ取、洗浄、乾燥し、比較用ポリマー1を得た。ポリスチレンを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、質量平均分子量を測定した結果、60000であった。同様の方法で、比較用ポリマー2を得た。
上記の下塗り層を付与した支持体上に、下記組成の感光層塗布液(1)をバー塗布した後、70℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.1g/m2の感光層を形成し、この上に下記組成よりなる保護層塗布液(1)を、乾燥塗布量が0.75g/m2となるようにバーを用いて塗布した後、125℃、70秒で間乾燥して平版印刷版原版(1)を得た。
・下記バインダーポリマー(表1に記載のものを使用) 0.54g
・重合性化合物 0.40g
イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート
(東亜合成(株)製、アロニックスM−315)
・重合性化合物
エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート 0.08g
(日本化薬(株)製、SR9035、EO付加モル数15、分子量1000)
・下記増感色素(1) 0.06g
・下記重合開始剤(1) 0.18g
・下記連鎖移動剤(1) 0.07g
・ε―フタロシアニン顔料の分散物 0.40g
(顔料:15質量部、分散剤 バインダーポリマー:10質量部、溶剤:シクロヘキサノン/メトキシプロピルアセテート/1−メトキシ−2−プロパノール=15質量部/20質量部/40質量部)
・熱重合禁止剤 0.01g
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩
・下記水溶性フッ素系界面活性剤(1) 0.001g
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物 0.04g
(旭電化工業(株)製、プルロニックL44)
・テトラエチルアミン塩酸塩 0.01g
・1−メトキシ−2−プロパノール 3.5g
・メチルエチルケトン 8.0g
・ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度500)
40g
・ポリビニルピロリドン(分子量5万) 5g
・ポリ(ビニルピロリドン/酢酸ビニル(1/1))分子量7万
0.5g
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)製)
0.5g
・水 950g
両面を厚さ約20μmのポリエチレンでコートした厚さ約200μmの印画紙用原紙の表面に、前記感光層上に塗布するのと同様に保護層を塗布、乾燥し、測定用の試料を作製した。予め測定した印画紙用原紙の酸素透過率は、下記測定条件において約700ml/(m2・day・atom)であり、保護層における酸素透過率を測定する際には十分無視できる値であった。
このようにして得られた試料を用い、JIS K7126BおよびASTM D3985に記載の気体透過度試験方法に準じて、モコン社製OX−TRAN2/20を用いて、25℃60%RHの条件で酸素透過率〔ml/(m2・day・atom)〕を測定した。
(1)露光、現像および印刷
上記平版印刷版原版(1)について、出力100mWの405nm半導体レーザーを用いて、エネルギー密度を変えて画像様露光を行った。
その後、下記組成の現像液(1)を用い、図1に示す構造の自動現像処理機にて、現像処理を実施した。現像液のpHは、約5であった。自動現像処理機は、回転ブラシロールを2本有する自動処理機であり、回転ブラシロールとしては、1本目のブラシロールに、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径90mmのブラシロールを用い、搬送方向と同一方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.94m/sec)させ、2本目のブラシロールには、ポリブチレンテレフタレート製の繊維(毛の直径200μm、毛の長さ17mm)を植え込んだ外径60mmのブラシロールを用い、搬送方向と反対方向に毎分200回転(ブラシの先端の周速0.63m/sec)させた。平版印刷版原版の搬送は、搬送速度100cm/minで行った。
現像液は、循環ポンプによりスプレーパイプからシャワーリングして、版面に供給した。現像液のタンク容量は、10リットルであった。
・水 100g
・ベンジルアルコール 1g
・下記構造式のアニオン界面活性 1g
・ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.5g
・アラビアガム 1g
・エチレングリコール 0.5g
・第1リン酸アンモニウム 0.05g
・クエン酸 0.05g
・エチレンジアミンテトラアセテート4ナトリウム塩 0.05g
・消泡剤FSアンチホームDR110N(ダウコーニング社製、シリコーン系エマルジョン) 0.1g
先に作成した平版印刷版原版を用いて、現像性、耐刷性を下記のように評価した。結果を下記表1にしめす。
得られた平版印刷版原版を上記の通り露光現像を行った。
現像処理後に、平版印刷版の非画像部を目視確認し、感光層の残存の有無を評価した。
○:無し、△:僅かに残膜、×:残膜有り
〈耐刷性〉
印刷枚数を増やしていくと徐々に感光層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。インキ濃度(反射濃度)が印刷開始時よりも0.1低下したときの印刷枚数により、耐刷性を評価した。
平版印刷版原版(1)をFUJIFILM Electronic Imaging Ltd 製Violet半導体レーザープレートセッターVx9600(InGaN系半導体レーザー405nm±10nm発光/出力30mWを搭載)により画像露光を実施した。画像は、解像度2438dpiで、富士フイルム(株)製FMスクリーン(TAFFETA 20)を用い、35%の平網を、版面露光量0.09mJ/cm2で描画した。露光後の平版印刷版原版を画像露光後、30分以内に、富士フイルム(株)製自動現像機LP1250PLXを用いて、現像処理を実施した。前記自動現像機は、加熱ユニット/水洗ユニット/現像ユニット/リンスユニット/フィニッシングユニットの順番に構成されており、加熱ユニットの加熱条件は、100℃、10秒間で行い、水洗ユニット、現像ユニット、リンスユニット/フィニッシングユニットの全ての浴には、前記現像液(1)を仕込んで実施した。現像液の温度は、28℃であり、平版印刷版の搬送は、搬送速度110cm/minで行った。
現像処理後に、平版印刷版の非画像部および画像を目視で確認したところ、非画像部での感光層の残存はなく、ムラのない均一な平網画像が形成された。さらに、この平版印刷版を上記の印刷条件で印刷したところ、非画像部の汚れなく、ムラのない均一な平網画像の良好な印刷物が得られた。実施例1〜11と同様の評価を行なったところ、現像性○、耐刷性70000であった。
2:受けロール
3:搬送ロール
4:搬送ガイド板
5:スプレーパイプ
6:管路
7:フィルター
8:給版台
9:排版台
10:現像液タンク
11:循環ポンプ
12:版
Claims (9)
- 支持体上に画像形成層を有する平版印刷版原版であって、前記画像形成層が、光重合開始剤、重合性化合物およびグラフト鎖を有するバインダーポリマーを含有する感光性組成物からなり、かつ前記グラフト鎖が、親水性基を有する親水性グラフト鎖であることを特徴とする平版印刷版原版。
- 前記親水性グラフト鎖が、前記親水性基を側鎖に有することを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版原版。
- 前記バインダーポリマーの酸価が0.3meq/g以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版原版。
- pHが2〜10の現像液の存在下、非露光部の画像形成層を除去することが可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版原版。
- 前記グラフト鎖を有するバインダーポリマーの主鎖が、(メタ)アクリル系樹脂またはポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版原版。
- 前記親水性グラフト鎖が、架橋性基を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の平版印刷版原版。
- 前記グラフト鎖を有するバインダーポリマーの主鎖が架橋性基を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の平版印刷版原版。
- 前記感光性組成物が、350nm〜450nmの光を吸収する増感色素を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の平版印刷版原版。
- 支持体上に画像形成層を有する平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法であって、前記画像形成層が、(A)350nm〜450nmの光を吸収する増感色素、(B)重合開始剤、(C)重合性化合物および(D)グラフト鎖を有し、かつ前記グラフト鎖が親水性基を有する親水性グラフト鎖であるバインダーポリマーを含有する感光性組成物により形成されており、350nm〜450nmの範囲に発振波長を有する光源を搭載した露光装置を用いて前記画像形成層を露光した後、擦り部材を備えた自動処理機により、前記擦り部材で前記画像形成層を擦ることにより、非露光部の画像形成層を除去することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
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