JP2008239780A - 軸受組立用油性接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受の部品の組み込み時の脱落などを防止するように転動体と軌道輪または保持器等との仮接着ができ、しかも転がり軸受の回転動作での潤滑剤の作用を阻害せず、または固形状の異物を生じることなくオイルフィルタの目詰まりを起こさない軸受組立用油性接着剤とすることである。
【解決手段】ウレタン化合物を基油中に分散状態に保持してなり、粘着性および非可逆的に感圧液状化性を有する軸受組立用油性接着剤とする。所要の粘着性を有する組成物が軸受使用時に想定される軸受内温度の70℃程度に昇温すると液状化し、または軌道輪と転動体間の潤滑剤に作用する30MPa程度の圧力を負荷すると液状化し、圧力を解放しても液相状態が維持されるので、仮固定用の接着剤をそのまま使用しても潤滑剤の作用を阻害せず、固形状の異物を生じることなくオイルフィルタの目詰まりも起こさない。
【選択図】なし
【解決手段】ウレタン化合物を基油中に分散状態に保持してなり、粘着性および非可逆的に感圧液状化性を有する軸受組立用油性接着剤とする。所要の粘着性を有する組成物が軸受使用時に想定される軸受内温度の70℃程度に昇温すると液状化し、または軌道輪と転動体間の潤滑剤に作用する30MPa程度の圧力を負荷すると液状化し、圧力を解放しても液相状態が維持されるので、仮固定用の接着剤をそのまま使用しても潤滑剤の作用を阻害せず、固形状の異物を生じることなくオイルフィルタの目詰まりも起こさない。
【選択図】なし
Description
この発明は、転がり軸受を組立てる際に、転動体などの部品を仮止め接着するのに適した軸受組立用油性接着剤に関する。
各種産業機械や車両等の装置に組み込まれる転がり軸受の組立工程において、転動体と保持器を組み付けた内外輪のうちの一方の軌道輪を先に装置に組み込んでおき、次いで他方の軌道輪を先の軌道輪に対して、転動体が両軌道輪の間で整合し、かつ回転自在に保持されるように圧入する。
このような転がり軸受の組立工程では、一方の軌道輪に組み付けた転動体が他方の軌道輪を組み付ける前に保持器から脱落したり、不適当な位置に動いたり、僅かに傾いたりしやすく、その修正が容易でないので、他方の軌道輪をスムーズに組み込み難いという問題点がある。
このような問題に対し、保持器に転動体の脱落防止用の爪を設けて対応することが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような特許文献1に記載された転がり軸受は、脱落防止用の爪を曲げ加工によって保持器に一体に形成したものである。
しかし、特許文献1に記載された保持器に設けた爪によって転動体の脱落を防止する方法では、転がり軸受の使用状態で転動体が爪に接触するとき、転動体の表面に傷がつく恐れがある。
このような保持器に爪を設けなくても転動体を組み付けるときに、一時的に軌道輪に粘着性を有するワセリンや蝋を塗布しておけば、軌道輪に転動体を仮接着することにより組み込み作業時の転動体の脱落を防止することができると考えられる。
しかしながら、軌道輪にワセリンや蝋を塗布して転動体を仮接着すると、軸受の使用中に100℃程度になっても蝋などが液状化しない場合もあり、そのようなワセリンや蝋は、使用時にも溶けないで軸受内に固形状の異物として残るので、異物が軸受回転中におけるグリース等の潤滑性を阻害し、またはオイルフィルタに目詰まりが起こる原因になるという問題点がある。
そこで、この発明の課題は、軸受の部品の組み込み時の脱落などを防止するように転動体と軌道輪または保持器等との仮接着ができ、しかも転がり軸受の回転動作での潤滑剤の作用を阻害せず、または固形状の異物を生じることのない軸受組立用油性接着剤とすることである。
上記の課題を解決するために、この発明は、ウレタン化合物を基油中に分散状態に保持してなり、粘着性および非可逆的に感圧液状化性を有する軸受組立用油性接着剤としたのである。
上記の手段を採用するに至るまでに、本願の発明者らは、転がり軸受用の潤滑グリースとして、基油中に多官能イソシアネートと、アルコールとを反応させてウレタン化合物を生成することにより、所要の粘着性を有するウレタン化合物になり、軸受使用時に想定される軸受内温度が70℃程度に昇温すると液状化し、または軌道輪と転動体間の潤滑剤に作用する30MPa程度の圧力を負荷すると液状化し、圧力を解放しても液相状態が維持されるという非可逆的な感圧液状化性を有することを発見した。この発明は、このような発見に基づいてなされたものである。
上記の軸受組立用油性接着剤は、その粘着力によって転がり軸受の転動体を、保持器もしくは軌道輪または両者に粘着して保持できるので、転がり軸受を組み立てる際に内・外輪を順に組み込むとき、後から組み込む軌道輪に対して保持器や転動体が邪魔する位置に遊動せず、すなわち組み込む際に軌道輪が傾斜しても転動体が動かず、円滑に転動体、保持器および軌道輪を組み込んだ転がり軸受の製品が得られる。
得られた転がり軸受を回転させると、軸受組立用油性接着剤は、隣接する転動体同士に挟まれて加圧されたり、せん断されたりし、さらに軸受全体の温度上昇によって昇温し、液状化する。このような液状化は、非可逆的であるため、軸受の使用停止などによって軸受組立用油性接着剤に対する加圧力が低下しても、または軸受の温度が降下しても軸受組立用油性接着剤は、液相を維持する。
したがって、転がり軸受の回転動作での潤滑剤の作用は阻害されず、また潤滑油や潤滑グリース中に固形状の異物を生じることなく、それによる潤滑阻害がない。
したがって、転がり軸受の回転動作での潤滑剤の作用は阻害されず、また潤滑油や潤滑グリース中に固形状の異物を生じることなく、それによる潤滑阻害がない。
この発明におけるウレタン化合物は、上記のように粘着性および非可逆的に感圧液状化性を有するものであり、基油中に多官能イソシアネートと、単官能アルコールを反応させて得ることができる。多官能イソシアネートの例としては、ジイソシアネートであり、単官能アルコールは炭素数1〜18の脂肪族モノアルコールを採用して好ましい結果が充分に得られている。
このようなウレタン化合物としては、下記の化2に示されるジウレタン化合物であることが好ましい。
(式中、R2は炭素数6〜20の2価の芳香族系炭化水素基であり、R1、R3は脂肪族系炭化水素基、脂環族系炭化水素基または芳香族系炭化水素基を表し、R1、R3は同一であっても異なっていてもよい。)
また、化2に示されるジウレタン化合物としては、化2式中のR1およびR3が脂肪族系炭化水素基のジウレタン化合物を採用して好ましい軸受組立用油性接着剤が得られている。
化2の式中のR1、R2、R3の具体例について説明すると、先ずR2としては2価の芳香族炭化水素基であれば、特に限定されることなく、例えば以下の化3に示すものなどが挙げられる。
また、R1およびR3の具体例としては、先ず、脂肪族系炭化水素基として直鎖状または分岐状のアルキル基またはアルケニル基が挙げられ、次に脂環族系炭化水素基としてはシクロヘキシル基、またはメチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基などの炭素数7〜12程度のシクロヘキシル誘導体基などが挙げられる。さらに芳香族系炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、フェニルアルキル基、ナフチル基などが挙げられる。
また、化2の式中の複数の炭化水素基の個数は7個以下であることが好ましく、より好ましくは4個以下である。これらの炭化水素基の個数が多ければ、それだけウレタン化合物の液状化温度が高くなるからである。
また、前記の各炭化水素基の炭素数は20以下、好ましくは15以下であることが望ましい。これらの炭化水素基の炭素数が多くなっても、前記ウレタン化合物の液状化温度が高くなるからである。
この発明の軸受組立用油性接着剤は、ウレタン化合物を基油中に分散状態に保持し、粘着性および非可逆的に感圧液状化性を有するものであるため、軸受の部品の組み込み時の脱落などを防止するように転動体と軌道輪または保持器等との仮接着ができ、しかも転がり軸受の回転動作での潤滑剤の作用を阻害せず、または固形状の異物を生じることなくそれによる潤滑阻害のない軸受組立用油性接着剤となる利点がある。
この発明に係る軸受組立用油性接着剤の実施形態は、ウレタン化合物が基油中に分散状態に保持されており、粘着性および非可逆的に感圧液状化性を有する軸受組立用油性接着剤としたものである。このようなウレタン化合物は、多官能イソシアネートと、単官能アルコールを基油中で反応させて得られる。
上記の多官能イソシアネートは、1分子に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネートが挙げられ、またテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の直鎖脂肪族ジイソシアネートが挙げられ、またイソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、ジシクロへキシルエーテルジイソシネート、イソプロピリデンビス(シクロへキシルイソシアネート)等の環状脂肪族ジイソシアネートも挙げられ、また、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビス(ジイソシアネートトリル)フェニルメタン等3官能以上のイソシアネート化合物も挙げられる。
さらに例示すると、多官能イソシアネートが、ジイソシアネートである場合、トルエンジイソシアネートとして、トルエン-2,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートとして、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
実施形態に用いられる単官能アルコールは、1分子中に水酸基を1つ含むアルコールであればよく、例えばエチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、トリデシルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ステアリルアルコール、フェニルエチルアルコールなどの脂肪族モノオール類が挙げられ、またフェノール、クレゾール、アセチルサリチル酸、1−ナフトール、2−ナフトールなどの芳香族モノオール類などが挙げられる。
上記の単官能アルコールが炭素数5〜19の脂肪族モノアルコールとジイソシアネートが組み合わされた後述の実施例により、代表的な好結果が得られている。
前記した化2に示されるようなウレタン化合物を分散させる基油としては、グリース等の原料として周知な鉱油、合成油およびこれらの混合油などを使用することができる。
そのような鉱油として、パラフィン系やナフテン系のものを挙げることができ、合成油としては、エステル油、エーテル油、合成炭化水素油等を挙げることができる。これらを任意の割合で混合した混合油を用いても良い。
そのような鉱油として、パラフィン系やナフテン系のものを挙げることができ、合成油としては、エステル油、エーテル油、合成炭化水素油等を挙げることができる。これらを任意の割合で混合した混合油を用いても良い。
基油の種類をより具体的に例示すると、エステル油としては、ジエステル油、ポリオールエステル油、芳香族エステル油等が挙げられ、エーテル油としては、ジアルキルジフェニルエーテル油、アルキルトリフェニルエーテル油、アルキルテトラフェニルエーテル油等が挙げられる。また、合成炭化水素油としては、ポリ−α−オレフィン油、α−オレフィン油とオレフィンとの共重合体、ポリブテン等の脂肪族系炭化水素油、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリフェニル、合成ナフテン等の芳香族系炭化水素油を挙げることができる。
これらの基油は、前記のウレタン化合物の粘着性を阻害しないように、室温(40℃)での動粘度が15mm2/s以上であるものを採用することが望ましい。
これらの基油は、前記のウレタン化合物の粘着性を阻害しないように、室温(40℃)での動粘度が15mm2/s以上であるものを採用することが望ましい。
また、この発明の軸受組立用油性接着剤には、必要に応じて、有機金属系、リン酸系、ハロゲン系等の極圧剤、二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE等の固体潤滑剤、アミン系化合物、フェノール系化合物等の酸化防止剤、有機スルホン酸のアンモニウム塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のスルホン酸塩等の防錆剤、トリアゾール系化合物等の金属不活性化剤、脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪酸エステル、リン酸エステル等の油性剤、ポリメタクリレート、ポリアクリレート等の粘度指数向上剤等を配合することもできる。
実施例および比較例に用いた軸受組立用油性接着剤の原材料を、以下に列記する。なお、表1中の材料に同一符号を付している。
(1)合成炭化水素油(新日鐵化学社製:シンフルード、40℃動粘度47mm2)
(2)エステル油(チバスペシャリティケミカルズ社製:レオルーブ、40℃動粘度53mm2)
(3)アルキルジフェニルエーテル油(松村石油研究所製:モレスコハイルーブ、40℃動粘度97mm2)
(4)鉱油(新日本石油社製:スーパーオイル、40℃動粘度98mm2)
(5)〜(10)和光純薬社製:試薬
(11)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製:ミリオネート)
(1)合成炭化水素油(新日鐵化学社製:シンフルード、40℃動粘度47mm2)
(2)エステル油(チバスペシャリティケミカルズ社製:レオルーブ、40℃動粘度53mm2)
(3)アルキルジフェニルエーテル油(松村石油研究所製:モレスコハイルーブ、40℃動粘度97mm2)
(4)鉱油(新日本石油社製:スーパーオイル、40℃動粘度98mm2)
(5)〜(10)和光純薬社製:試薬
(11)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製:ミリオネート)
[実施例1〜5、参考例1〜3]
表1に示す配合割合で、基油中に脂肪族または芳香族の単官能アルコールとジイソシアネートを配合し、化学反応させて基油中にウレタン化合物を析出させ、実施例1〜6の軸受組立用油性接着剤を作製した。各基油の40℃での動粘度は、いずれも15mm2/s以上とし、ウレタン化合物の配合割合は、いずれも20質量%とした。
表1に示す配合割合で、基油中に脂肪族または芳香族の単官能アルコールとジイソシアネートを配合し、化学反応させて基油中にウレタン化合物を析出させ、実施例1〜6の軸受組立用油性接着剤を作製した。各基油の40℃での動粘度は、いずれも15mm2/s以上とし、ウレタン化合物の配合割合は、いずれも20質量%とした。
[比較例1〜3]
比較例1、3として、それぞれワセリンまたは鉱油を採用した。
比較例2としては、表1に示す配合割合で基油中にアミンとジイソシアネートを配合し、化学反応させて基油中にウレア化合物を析出させ、軸受組立用接着剤を作製した。
比較例1、3として、それぞれワセリンまたは鉱油を採用した。
比較例2としては、表1に示す配合割合で基油中にアミンとジイソシアネートを配合し、化学反応させて基油中にウレア化合物を析出させ、軸受組立用接着剤を作製した。
上述した各実施例、参考例および比較例についての以下の試験方法にて粘着性試験(i)(ii)および感圧液状化試験を行ない、それらの結果を表1中に記号または数値(引き剥がし強度:gf)で併記した。
[粘着性試験(i)]
図1に示すように、粘着性試験(i)は、高炭素クロム軸受鋼SUJ2製の鋼板1の下面に実施例、参考例、比較例の軸受組立用油性接着剤Aを塗布し、この鋼板1の下面に、同じくSUJ2製のころ2(直径4mm、長さ16.8mm)を粘着させて、ころ2が落下するまでの時間を調べた。
図1に示すように、粘着性試験(i)は、高炭素クロム軸受鋼SUJ2製の鋼板1の下面に実施例、参考例、比較例の軸受組立用油性接着剤Aを塗布し、この鋼板1の下面に、同じくSUJ2製のころ2(直径4mm、長さ16.8mm)を粘着させて、ころ2が落下するまでの時間を調べた。
表1中に示した評価は、所定のころが接着後に1分間の経過後も落下しないものを○印とし、同1分以内に落下するものを△とし、ころが全く接着することなく落下するものを×印とする3段階評価を行なった。
表1の結果からも明らかなように、各実施例のものは、いずれも1分間以上ころ2を落下させないように粘着できることが確認され、これら実施例の軸受組立用油性接着剤Aは、転がり軸受の組み込み時に、一方の軌道輪に組み付けられる転動体の脱落を十分に防止できるものであることが確認できた。
これに対して、比較例3の鉱油は、転動体の脱落を防止できる程度の粘着性はみられなかった。
これに対して、比較例3の鉱油は、転動体の脱落を防止できる程度の粘着性はみられなかった。
[粘着性試験(ii)]
図2に示すように、粘着性試験(ii)では長方形板状(縦×横×厚さ=76mm×26mm×1mm)のプレパラート4の一面に実施例、参考例、比較例の軸受組立用油性接着剤Aを0.5g塗布し、この面に同形のプレパラート4を重ねて2枚を粘着力で一体化させ、次いで台座5に直立状態に固定した支柱6に一方のプレパラート4を固定すると共に、他方のプレパラート4に糸7の一端を固定し、その他端はロードセル8を介して1mm/秒という一定速度で垂直に強制的に引き上げ、ロードセル8に掛かる負荷(動摩擦測定値)による軸受組立用油性接着剤Aの引き剥がし強度(gf)を測定した。
図2に示すように、粘着性試験(ii)では長方形板状(縦×横×厚さ=76mm×26mm×1mm)のプレパラート4の一面に実施例、参考例、比較例の軸受組立用油性接着剤Aを0.5g塗布し、この面に同形のプレパラート4を重ねて2枚を粘着力で一体化させ、次いで台座5に直立状態に固定した支柱6に一方のプレパラート4を固定すると共に、他方のプレパラート4に糸7の一端を固定し、その他端はロードセル8を介して1mm/秒という一定速度で垂直に強制的に引き上げ、ロードセル8に掛かる負荷(動摩擦測定値)による軸受組立用油性接着剤Aの引き剥がし強度(gf)を測定した。
この測定の結果は、表1に示すように、比較例3は引き剥がし強度が小さすぎて使用に耐えないものであった。また、参考例1〜3は、増ちょう剤の材料として単官能アルコールが炭素数5〜19の範囲外であり(参考例1、2)、またはフエノールを使用したもの(参考例3)であり、引き剥がし強度が比較的小さく、大型の転がり軸受の組立には不向きであるが、転がり軸受の部品の大きさが小さくて軽量なものであれば使用に耐えるものと考えられた。
また、実施例1〜5の軸受組立用油性接着剤Aは、比較的大型の転がり軸受の組み込み時に、一方の軌道輪に組み付けられる転動体の脱落を十分に防止できる仮接着が可能なものであることが確認された。
また、実施例1〜5の軸受組立用油性接着剤Aは、比較的大型の転がり軸受の組み込み時に、一方の軌道輪に組み付けられる転動体の脱落を十分に防止できる仮接着が可能なものであることが確認された。
[感圧液状化試験]
感圧液状化試験は、図3に示すように、水平方向に向けたSUJ2製の2本のロール3を下向き回転で対接させて、回転する2本対のロール3間に30MPaの面圧を付与し、これらの面圧を付与した対のロール3間に、上方から実施例の軸受組立用油性接着剤Aを供給し、対のロール3間から下方に排出された実施例の性状を観察し、完全に液状化しているものを○印、少しでも固形状物または半固形状物が残るものを×印とする2段階に評価し、これらの結果を表1中に併記した。
感圧液状化試験は、図3に示すように、水平方向に向けたSUJ2製の2本のロール3を下向き回転で対接させて、回転する2本対のロール3間に30MPaの面圧を付与し、これらの面圧を付与した対のロール3間に、上方から実施例の軸受組立用油性接着剤Aを供給し、対のロール3間から下方に排出された実施例の性状を観察し、完全に液状化しているものを○印、少しでも固形状物または半固形状物が残るものを×印とする2段階に評価し、これらの結果を表1中に併記した。
この結果、各実施例は、いずれもロール3間から排出されたものが完全に液状化していることが確認され、また液状化した後に静置しておいても液状を保っていた。これにより、実施例の軸受組立用油性接着剤Aは、軸受回転動作中には、良好な潤滑性能を確保することができ、非可逆的に感圧液状化性を有することが確認できた。
これに対して、比較例1の接着剤とした半固体状のワセリンは、加圧しても液状化せず、これでは潤滑油または液状化した潤滑グリースと一体化せずに潤滑性を阻害することがあるものと推定された。
A 粘着性潤滑剤
1 鋼板
2 ころ
3 ロール
4 プレパラート
5 台座
6 支柱
7 糸
8 ロードセル
1 鋼板
2 ころ
3 ロール
4 プレパラート
5 台座
6 支柱
7 糸
8 ロードセル
Claims (5)
- ウレタン化合物を基油中に分散状態に保持してなり、粘着性および非可逆的に感圧液状化性を有する軸受組立用油性接着剤。
- ウレタン化合物が、多官能イソシアネートと、単官能アルコールを反応させてなるウレタン化合物である請求項1に記載の軸受組立用油性接着剤。
- 多官能イソシアネートが、ジイソシアネートであり、単官能アルコールが炭素数5〜19の脂肪族モノアルコールである請求項2に記載の軸受組立用油性接着剤。
- 化1に示されるジウレタン化合物が、化1式中のR1およびR3が脂肪族系炭化水素基のジウレタン化合物である請求項4に記載の軸受組立用油性接着剤。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012189161A (ja) * | 2011-03-11 | 2012-10-04 | Nippon Thompson Co Ltd | ころ保持用のゲル状潤滑剤を充填した総ころ軸受 |
CN111927892A (zh) * | 2020-07-21 | 2020-11-13 | 方剑 | 一种高速轴承内外圈自动装配装置 |
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2007
- 2007-03-27 JP JP2007081848A patent/JP2008239780A/ja active Pending
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JP2012189161A (ja) * | 2011-03-11 | 2012-10-04 | Nippon Thompson Co Ltd | ころ保持用のゲル状潤滑剤を充填した総ころ軸受 |
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