JP2008238746A - 熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】押出機22で溶融した熱可塑性樹脂を、ダイ24から回転する冷却ローラ28上にシート状に押し出して冷却固化することでフィルムを製膜する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、前記熱可塑性樹脂を窒素雰囲気中に1時間放置した場合において、その熱減量が0.3wt%となる温度をT0としたとき、溶融した前記熱可塑性樹脂を前記押出機22から押し出すときの押出温度T1をT0−40℃〜T0+30℃として押し出す押出工程と、押し出された熱可塑性樹脂が冷却ローラ28に着地するまでの間に、押出温度と同じか又は押出温度よりも高い着地温度になるように加熱する加熱工程とを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
【選択図】 図4
Description
(熱減量wt%)=
(((所定温度保持0分の重量)−(所定温度保持60分後の重量))/(加熱前の重量))×100
セルロースアシレート樹脂の場合、ダイから押し出されるときの温度が200℃を下回って低すぎると、結晶の融解が不十分となり、製造後のセルロースアシレートフィルムに微細な結晶が残存し易くなり、セルロースアシレートフィルムを延伸したときに、延伸性を阻害し、配向を十分に上げることができなくなる。逆に、ダイから押し出されるときの温度が260℃を超えて高すぎると、セルロースアシレート樹脂が劣化し、黄色み(YI値)の程度が悪化してしまう。従って、製造後のセルロースアシレートフィルムに黄色みが出にくく且つ延伸破断しにくくする観点からは、T0は、200℃〜260℃の範囲であり、好ましくは210℃〜250℃の範囲、特に好ましくは220℃〜240℃の範囲である。
Rth(nm)=|{(n(MD)+n(TD))/2}−n(TH)|×T(nm)
式中のn(MD)、n(TD)、n(TH)は長手(流れ)方向、幅方向、厚み方向の屈折率を示し、Tはnm単位で表した厚みを示す。
本発明におけるセルロースアシレートフィルムを製造するための樹脂には、多価アルコール系可塑剤を添加するのが好ましい。このような可塑剤は弾性率を低下させるだけではなく、表裏の結晶量の差を低減させる効果も有する。
多価アルコール系可塑剤の含有量は、セルロースアシレートに対し2〜20重量%が好ましい。多価アルコール系可塑剤の含有量を2〜20重量%が好ましく、より好ましくは3〜18重量%、さらに好ましくは4〜15重量%である。
本発明で具体的に用いることができる多価アルコール系可塑剤は、セルロース脂肪酸エステルとの相溶性が良く、また熱可塑化効果が顕著に現れるグリセリンエステル、ジグリセリンエステルなどグリセリン系のエステル化合物やポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールの水酸基にアシル基が結合した化合物などである。
本発明では、安定剤としてフォスファイト系化合物、亜リン酸エステル系化合物のいずれか、もしくは両方を用いることが好ましい。これにより、経時劣化を抑制できる上、ダイラインも改善できる。これは、これらの化合物がレベリング剤として働き、ダイの凹凸により形成されたダイラインを解消するためである。
これらの安定剤の配合量は、0.005〜0.5重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.01〜0.4重量%であり、さらに好ましくは0.02〜0.3重量%である。
具体的なホスファイト系着色防止剤は、特に限定されないが、化1〜3で示されるホスファイト系着色防止剤が好ましい。
これらのホスファイト系着色防止剤のk、qの数は好ましくは1〜10である。k、qの数が1以上にすることで加熱時の揮発性が小さくなり、10以下にすることでセルロースアセテートプロピオネートとの相溶性が向上するため好ましい。また、pの値は3〜10が好ましい。3以上のすることで加熱時の揮発性が小さくなり、10以下にすることでセルロースアセテートプロピオネートとの相溶性が向上するため好ましい。
亜リン酸エステル系安定剤は、例えばサイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。
弱有機酸、チオエーテル系化合物、エポキシ化合物等を安定剤として配合しても良い。
《セルロースアシレート樹脂》
(組成・置換度)
本発明で用いるセルロースアシレートは下記式(1)〜式(3)で表される要件すべてを満たすセルロースアシレートが好ましい。
0≦A≦2.0 式(2)
1.0≦B≦2.9 式(3)
(上記式(1)〜式(3)中、Aはアセテート基の置換度を示し、Bはプロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基およびヘキサノイル基の置換度の総和を示す。)
好ましくは、
2.0≦A+B≦3.0 式(4)
0≦A≦2.0 式(5)
1.2≦B≦2.9 式(6)
より好ましくは
2.4≦A+B≦3.0 式(7)
0.05≦A≦1.7 式(8)
1.3≦B≦2.9 式(9)
さらに好ましくは、
2.5≦A+B≦2.95 式(10)
0.1≦A≦1.55 式(11)
1.4≦B≦2.85 式(12)
このようにセルロース中にプロピオネート基、ブチレート基、ペンタノイル基およびヘキサノイル基を導入してセルロースアシレートとすることが特徴である。このような範囲にすることで融解温度を低下でき、溶融製膜に伴う熱分解を抑制でき好ましい。一方この範囲から出ると溶融温度と熱分解温度が近づいてしまい、熱分解を抑制しにくくなるため好ましくない。
次に、本発明に用いられるセルロースアシレートの製造方法について詳細に説明する。本発明のセルロースアシレートの、原料綿や合成方法については、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の7頁ないし12頁にも詳細に記載されている。
セルロース原料としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、綿花リンター由来のものが好ましく用いられる。セルロース原料としては、α−セルロース含量が92質量%以上99.9質量%以下の高純度のものを用いることが好ましい。
セルロース原料はアシル化に先立って、活性化剤と接触させる処理(活性化)を行うことが好ましい。活性化剤としては、カルボン酸または水を用いることができるが、水を用いた場合には、活性化の後に酸無水物を過剰に添加して脱水を行ったり、水を置換するためにカルボン酸で洗浄したり、アシル化の条件を調節したりするといった工程を含むことが好ましい。活性化剤はいかなる温度に調節して添加してもよく、添加方法としては噴霧、滴下、浸漬などの方法から選択することができる。
本発明におけるセルロースアシレートを製造する方法においては、セルロースにカルボン酸の酸無水物を加え、ブレンステッド酸またはルイス酸を触媒として反応させることで、セルロースの水酸基をアシル化することが好ましい。
カルボン酸の酸無水物として、好ましくはカルボン酸としての炭素数が2以上7以下であり、例えば、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、2−メチルプロピオン酸無水物、吉草酸無水物、3−メチル酪酸無水物、2−メチル酪酸無水物、2,2−ジメチルプロピオン酸無水物(ピバル酸無水物)、ヘキサン酸無水物、2−メチル吉草酸無水物、3−メチル吉草酸無水物、4−メチル吉草酸無水物、2,2−ジメチル酪酸無水物、2,3−ジメチル酪酸無水物、3,3−ジメチル酪酸無水物、シクロペンタンカルボン酸無水物、ヘプタン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物、安息香酸無水物などを挙げることができる。より好ましくは、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物などの無水物であり、特に好ましくは、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物である。
本発明におけるセルロースアシレートの製造に用いるアシル化の触媒には、ブレンステッド酸またはルイス酸を使用することが好ましい。ブレンステッド酸およびルイス酸の定義については、例えば、「理化学辞典」第五版(2000年)に記載されている。好ましいブレンステッド酸の例としては、硫酸、過塩素酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などを挙げることができる。好ましいルイス酸の例としては、塩化亜鉛、塩化スズ、塩化アンチモン、塩化マグネシウムなどを挙げることができる。
アシル化を行う際には、粘度、反応速度、攪拌性、アシル置換比などを調整する目的で、溶媒を添加してもよい。このような溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、カルボン酸、アセトン、エチルメチルケトン、トルエン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどを用いることもできるが、好ましくはカルボン酸であり、例えば、炭素数2以上7以下のカルボン酸{例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2−メチルプロピオン酸、吉草酸、3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2,2−ジメチルプロピオン酸(ピバル酸)、ヘキサン酸、2−メチル吉草酸、3−メチル吉草酸、4−メチル吉草酸、2,2−ジメチル酪酸、2,3−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、シクロペンタンカルボン酸}などを挙げることができる。更に好ましくは、酢酸、プロピオン酸、酪酸などを挙げることができる。これらの溶媒は混合して用いてもよい。
アシル化を行う際には、酸無水物と触媒、さらに、必要に応じて溶媒を混合してからセルロースと混合してもよく、またこれらを別々に逐次セルロースと混合してもよいが、通常は、酸無水物と触媒との混合物、又は、酸無水物と触媒と溶媒との混合物をアシル化剤として調整してからセルロースと反応させることが好ましい。アシル化の際の反応熱による反応容器内の温度上昇を抑制するために、アシル化剤は予め冷却しておくことが好ましい。冷却温度としては、−50°C〜20°Cが好ましく、−35°C〜10°Cがより好ましく、−25°C〜5°Cが特に好ましい。アシル化剤は液状で添加しても、凍結させて結晶、フレーク、又はブロック状の固体として添加してもよい。
本発明に用いられるセルロースアシレートを製造する方法においては、アシル化反応の後に、反応停止剤を加えることが好ましい。
アシル化の反応停止工程あるいはアシル化の反応停止工程後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解、カルボン酸及びエステル化触媒の一部または全部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウム又は亜鉛の炭酸塩、酢酸塩、水酸化物又は酸化物)またはその溶液を添加してもよい。中和剤の溶媒としては、水、アルコール(例えばエタノール、メタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなど)、カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸など)、ケトン(例えば、アセトン、エチルメチルケトンなど)、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒、およびこれらの混合溶媒を好ましい例として挙げることができる。
このようにして得られたセルロースアシレートは、全置換度がほぼ3に近いものであるが、所望の置換度のものを得る目的で、少量の触媒(一般には、残存する硫酸などのアシル化触媒)と水との存在下で、20〜90°Cに数分〜数日間保つことによりエステル結合を部分的に加水分解し、セルロースアシレートのアシル置換度を所望の程度まで減少させること(いわゆる熟成)が一般的に行われる。部分加水分解の過程でセルロースの硫酸エステルも加水分解されることから、加水分解の条件を調節することにより、セルロースに結合した硫酸エステルの量を削減することができる。
セルロースアシレート中の未反応物、難溶解性塩、その他の異物などを除去または削減する目的として、反応混合物(ドープ)のろ過を行うことが好ましい。ろ過は、アシル化の完了から再沈殿までの間のいかなる工程において行ってもよい。ろ過圧や取り扱い性の制御の目的から、ろ過に先立って適切な溶媒で希釈することも好ましい。
このようにして得られたセルロースアシレート溶液を、水もしくはカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸など)水溶液のような貧溶媒中に混合するか、セルロースアシレート溶液中に、貧溶媒を混合することにより、セルロースアシレートを再沈殿させ、洗浄及び安定化処理により目的のセルロースアシレートを得ることができる。再沈殿は連続的に行っても、一定量ずつバッチ式で行ってもよい。セルロースアシレート溶液の濃度および貧溶媒の組成をセルロースアシレートの置換様式あるいは重合度により調整することで、再沈殿したセルロースアシレートの形態や分子量分布を制御することも好ましい。
生成したセルロースアシレートは洗浄処理することが好ましい。洗浄溶媒はセルロースアシレートの溶解性が低く、かつ、不純物を除去することができるものであればいかなるものでも良いが、通常は水または温水が用いられる。洗浄水の温度は、好ましくは25°Cないし100°Cであり、更に好ましくは30°Cないし90°Cであり、特に好ましくは40°Cないし80°Cである。洗浄処理はろ過と洗浄液の交換を繰り返すいわゆるバッチ式で行っても、連続洗浄装置を用いて行ってもよい。再沈殿および洗浄の工程で発生した廃液を再沈殿工程の貧溶媒として再利用したり、蒸留などの手段によりカルボン酸などの溶媒を回収して再利用することも好ましい。
温水処理による洗浄後のセルロースアシレートは、安定性を更に向上させたり、カルボン酸臭を低下させるために、弱アルカリ(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酸化物など)の水溶液などで処理することも好ましい。
残存不純物の量は、洗浄液の量、洗浄の温度、時間、攪拌方法、洗浄容器の形態、安定化剤の組成や濃度により制御できる。本発明においては、残留硫酸根量(硫黄原子の含有量として)が0〜500ppmになるようにアシル化、部分加水分解および洗浄の条件を設定する。
本発明においてセルロースアシレートの含水率を好ましい量に調整するためには、セルロースアシレートを乾燥することが好ましい。乾燥の方法については、目的とする含水率が得られるのであれば特に限定されないが、加熱、送風、減圧、攪拌などの手段を単独または組み合わせで用いることで効率的に行うことが好ましい。乾燥温度として好ましくは0〜200°Cであり、さらに好ましくは40〜180°Cであり、特に好ましくは50〜160°Cである。本発明のセルロースアシレートは、その含水率が2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.7質量%以下であることが特には好ましい。
本発明のセルロースアシレートは粒子状、粉末状、繊維状、塊状など種々の形状を取ることができるが、フィルム製造の原料としては粒子状または粉末状であることが好ましいことから、乾燥後のセルロースアシレートは、粒径の均一化や取り扱い性の改善のために、粉砕や篩がけを行っても良い。セルロースアシレートが粒子状であるとき、使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。また、本発明のセルロースアシレート粒子は、見かけ密度が好ましくは0.5ないし1.3、更に好ましくは0.7ないし1.2、特に好ましくは0.8ないし1.15である。見かけ密度の測定法に関しては、JIS K−7365に規定されている。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、平均重合度100〜300、好ましくは120〜250、更に好ましくは130〜200である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)、ゲル浸透クロマトグラフィー (GPC)による分子量分布測定などの方法により測定できる。更に特開平9−95538に詳細に記載されている。
以下に本発明に使用されるセルロースアシレートの合成例について、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
セルロース(広葉樹パルプ)150g、酢酸75gを、反応容器である還流装置を付けた5Lセパラブルフラスコに取り、60°Cに調節したオイルバスにて加熱しながら、2時間激しく攪拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、フラッフ状を呈した。反応容器を2°Cの氷水浴に30分間置き冷却した。
セルロース(広葉樹パルプ)100g、酢酸135gを、反応容器である還流装置を付けた5Lセパラブルフラスコに取り、60°Cに調節したオイルバスにて加熱しながら、1時間放置した。その後、60°Cに調節したオイルバスにて加熱しながら、1時間激しく攪拌した。このような前処理を行ったセルロースは膨潤、解砕されて、フラッフ状を呈した。反応容器を5°Cの氷水浴に1時間置き、セルロースを十分に冷却した。
(i)マット剤
マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度を低くでき好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
上記以外に種々の添加剤、例えば紫外線防止剤(例えば、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物等)、赤外線吸収剤、光学調整剤、界面活性剤および臭気トラップ剤(アミン等)など)を加えることができる。これらの詳細は、発明協会公開技法公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会),p.17−22に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
上記のセルロースアシレート混合物(セルロースアシレート、可塑剤、安定剤、その他の添加剤を混合したもの)は、以下の物性を満たすことが好ましい。
本発明の熱可塑性セルロースアセテートプロピオネート組成物は、220°Cにおける加熱減量率が5重量%以下である。ここで、加熱減量率とは窒素ガス雰囲気下において室温から10°C/分の昇温度速度で試料を昇温した時の、220°Cにおける重量減少率をいう。上記セルロースアシレート混合物にすることで、加熱減量率を5重量%以下にすることができる。より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。このようにすることにより、製膜中に発生する故障(気泡の発生)を抑制できる。
本発明の熱可塑性セルロースアセテートプロピオネート組成物は、220°C、1sec-1 における溶融粘度が100〜1000Pa・secが好ましく、より好ましくは200〜800Pa・sec、さらに好ましくは300〜700Pa・secである。このような高めの溶融粘度にすることで、ダイ出口の張力で伸びる(延伸される)ことがなく、延伸配向に起因する光学異方性(レターデーション)の増加を防止できる。
このような粘度の調整はどのような手法で達成しても良いが、例えばセルロースアシレートの重合度や可塑剤等の添加剤の量により達成できる。
上記セルロースアシレートと添加物は溶融製膜に先立ち混合しペレット化するのが好ましい。
(i)乾燥
上述の方法でペレット化したものを用いるのが好ましく、溶融製膜に先立ちペレット中の水分を減少させることが好ましい。
上述したセルロースアシレート樹脂は押出機(上記ペレット化の押出機とは別)の供給口を介してシリンダ内に供給される。シリンダ内は供給口側から順に、供給口から供給したセルロースアシレート樹脂を定量輸送する供給部(領域A)とセルロースアシレート樹脂を溶融混練・圧縮する圧縮部(領域B)と溶融混練・圧縮されたセルロースアシレート樹脂を計量する計量部(領域C)とで構成される。樹脂は上述の方法により水分量を低減させるために、乾燥することが好ましいが、残存する酸素による溶融樹脂の酸化を防止するために、押出機内を不活性(窒素等)気流中、あるいはベント付き押出し機を用い真空排気しながら実施するのがより好ましい。押出機のスクリュー圧縮比は2.5〜4.5に設定され、L/Dは20〜70に設定されている。ここでスクリュー圧縮比とは供給部Aと計量部Cとの容積比、即ち供給部Aの単位長さあたりの容積÷計量部Cの単位長さあたりの容積で表され、供給部Aのスクリュー軸の外径d1、計量部Cのスクリュー軸の外径d2、供給部Aの溝部径a1、及び計量部Cの溝部径a2とを使用して算出される。また、L/Dとはシリンダ内径に対するシリンダ長さの比である。また、押出温度は190〜240°Cに設定される。押出機内での温度が240°Cを超える場合には、押出機とダイとの間に冷却機を設ける様にすると良い。
又、押出温度は上述の温度範囲にすることが好ましい。このようにして得たセルロースアシレートフィルムは、ヘイズが2.0%以下、イエローインデックス(YI値)が10以下である特性値を有している。
樹脂中の異物濾過のためや異物によるギアポンプ損傷を避けるため押出機出口にフィルター濾材を設けるいわゆるブレーカープレート式の濾過を行うことが好ましい。またさらに精度高く異物濾過をするために、ギアポンプ通過後にいわゆるリーフ型ディスクフィルターを組み込んだ濾過装置を設けることが好ましい。濾過は、濾過部を1カ所設けて行うことができ、また複数カ所設けて行う多段濾過でも良い。フィルター濾材の濾過精度は高い方が好ましいが、濾材の耐圧や濾材の目詰まりによる濾圧上昇から、濾過精度は15μm〜3μmが好ましく更に好ましくは10μm〜3μmである。特に最終的に異物濾過を行うリーフ型ディスクフィルター装置を使用する場合では品質の上で濾過精度の高い濾材を使用することが好ましく、耐圧,フィルターライフの適性を確保するために装填枚数にて調整することが可能である。濾材の種類は、高温高圧下で使用される点から鉄鋼材料を用いることが好ましく、鉄鋼材料の中でも特にステンレス鋼,スチールなどを用いることが好ましく、腐食の点から特にステンレス鋼を用いることが望ましい。濾材の構成としては、線材を編んだものの他に、例えば金属長繊維あるいは金属粉末を焼結し形成する焼結濾材が使用でき、濾過精度,フィルターライフの点から焼結濾材が好ましい。
厚み精度を向上させるためには、吐出量の変動を減少させることが重要であり、押出機とダイスの間にギアポンプを設けて、ギアポンプから一定量のセルロースアシレート樹脂を供給することは効果がある。ギアポンプとは、ドライブギアとドリブンギアとからなる一対のギアが互いに噛み合った状態で収容され、ドライブギアを駆動して両ギアを噛み合い回転させることにより、ハウジングに形成された吸引口から溶融状態の樹脂をキャビティ内に吸引し、同じくハウジングに形成された吐出口からその樹脂を一定量吐出するものである。押出機先端部分の樹脂圧力が若干の変動があっても、ギアポンプを用いることにより変動を吸収し、製膜装置下流の樹脂圧力の変動は非常に小さなものとなり、厚み変動が改善される。ギアポンプを用いることにより、ダイ部分の樹脂圧力の変動巾を±1%以内にすることが可能である。
上記の如く構成された押出機によってセルロースアシレート樹脂が溶融され、必要に応じ濾過機、ギアポンプを経由して溶融樹脂がダイに連続的に送られる。ダイはダイス内の溶融樹脂の滞留が少ない設計であれば、一般的に用いられるTダイ、フィッシュテールダイ、ハンガーコートダイの何れのタイプでも構わない。又、Tダイの直前に樹脂温度の均一性アップのためのスタティックミキサーを入れることも問題ない。Tダイ出口部分のクリアランスは一般的にフィルム厚みの1.0〜5.0倍が良く、好ましくは1.2〜3倍、更に好ましくは1.3〜2倍である。リップクリアランスがフィルム厚みの1.0倍未満の場合には製膜により面状の良好なシートを得ることが困難である。また、リップクリアランスがフィルム厚みの5.0倍を超えて大きい場合にはシートの厚み精度が低下するため好ましくない。ダイはフィルムの厚み精度を決定する非常に重要な設備であり、厚み調整がシビアにコントロール出来るものが好ましい。通常厚み調整は40〜50mm間隔で調整可能であるが、好ましくは35mm間隔以下、更に好ましくは25mm間隔以下でフィルム厚み調整が可能なタイプが好ましい。また、セルロースアシレート樹脂は、溶融粘度の温度依存性、せん断速度依存性が高いことから、ダイの温度ムラや巾方向の流速ムラの出来るだけ少ない設計が重要である。また、下流のフィルム厚みを計測して、厚み偏差を計算し、その結果をダイの厚み調整にフィードバックさせる自動厚み調整ダイも長期連続生産における厚み変動の低減に有効である。
上記方法にて、ダイよりシート上に押し出された溶融樹脂を、冷却ドラム上にシート状に押し出す。この時、ダイのリップの間隔を調整することで幅方向の厚みむらを調整することができる。
このようにして得たシートは両端をトリミングし、巻き取ることが好ましい。トリミングされた部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理や解重合・再重合等の処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料として又は異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。トリミングカッターはロータリーカッター、シャー刃、ナイフ等の何れのタイプの物を用いても構わない。材質についても、炭素鋼、ステンレス鋼何れを用いても構わない。一般的には、超硬刃、セラミック刃を用いると刃物の寿命が長く、また切り粉の発生が抑えられて好ましい。
このようにして得た未延伸セルロースアシレートフィルムは、フィルム長手方向を遅相軸としたとき、Re=0〜20nm,Rth=0〜20nmが好ましい。Re、Rthは各々面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)で光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rthは、上述のReおよび、面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°、−40°傾斜した方向から光を入射させて測定したレターデーションの計3方向から測定したレターデーション値を基に算出する。また製膜方向(長手方向)と、フィルムのReの遅相軸とのなす角度θが0°、+90°もしくは−90°に近いほど好ましい。
上記の方法で製膜したフィルムを延伸しても良い。これによりRe,Rthを制御できる。
このような延伸は出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸してもよく(縦延伸)、フィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方向(長手方向と直角方向)に広げても良い(横延伸)。また、特開2000−37772、特開2001−113591、特開2002−103445に記載の同時2軸延伸法を用いても良い。
500≧Re≧0
500≧Rth≧30
より好ましくは
Rth≧Re×1.1
150≧Re≧10
400≧Rth≧50
さらに好ましくは
Rth≧Re×1.2
100≧Re≧20
350≧Rth≧80
また製膜方向(長手方向)と、フィルムのReの遅相軸とのなす角度θが0°、+90°もしくは−90°に近いほど好ましい。即ち、縦延伸の場合は0°に近いほど好ましく、0±3°が好ましく、より好ましくは0±2°、さらに好ましくは0±1°である。横延伸の場合は、90±3°あるいは−90±3°が好ましく、より好ましくは90±2°あるいは−90±2°、さらに好ましくは90±1°あるいは−90±1°である。
未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムは表面処理を行うことによって、各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。具体的には特開2003−3266、同2003−229299、同2004−322928、同2005−76088等を用いることができる。
本発明の延伸および未延伸セルロースアシレートフィルムに、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光層の付与(偏光板)、光学補償層の付与(光学補償フィルム)、反射防止層の付与(反射防止フィルム)、ハードコート層の付与である。
[偏光層の使用素材]
現在、市販の偏光層は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素を浸透させることで作製されるのが一般的である。偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜も利用できる。偏光膜におけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。例えば、発明協会公開技法、公技番号2001−1745号、58頁(発行日2001年3月15日)に記載の化合物が挙げられる。
偏光膜は、偏光膜を延伸するか(延伸法)、もしくはラビングした(ラビング法)後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸に先立ち、PVAフィルムを膨潤させる。膨潤度は1.2〜2.0倍(膨潤前と膨潤後の質量比)である。この後、ガイドロール等を介して連続搬送しつつ、水系媒体浴内や二色性物質溶解の染色浴内で、15〜50°C、好ましくは17〜40°Cの浴温で延伸する。延伸は2対のニップロールで把持し、後段のニップロールの搬送速度を前段のそれより大きくすることで達成できる。延伸倍率は、延伸後/初期状態の長さ比(以下同じ)に基づくが前記作用効果の点より好ましい延伸倍率は1.2〜3.5倍、好ましくは1.5〜3.0倍である。この後、50°Cから90°Cにおいて乾燥させて偏光膜を得る。
特開2002−86554号に記載の斜め方向に傾斜め方向に張り出したテンターを用い延伸する方法を用いることができる。この延伸は空気中で延伸するため、事前に含水させて延伸しやすくすることが必用である。好ましい含水率は5%以上100%以下であり、延伸温度は40°C以上90°C以下が好ましく、延伸中の湿度は50%rh以上100%rh以下が好ましい。
上記鹸化後の延伸、未延伸セルロースアシレートフィルムと、延伸して調製した偏光層を貼り合わせ偏光板を調製する。張り合わせる方向は特に制限はないが、セルロースアシレートフィルムの流延軸方向と偏光板の延伸軸方向が0度、45度、90度のいずれかになるように行うのが好ましい。
ロ)A/P/B
ハ)A/P/T
ニ)B/P/B
ホ)B/P/T
なお、Aは本発明の未延伸フィルム、Bは本発明の延伸フィルム、Tはセルローストリアセテートフィルム(フジタック)、Pは偏光層を指す。イ)、ロ)の構成の場合A,Bは同一組成のセルロースアセテートでも異なっていても良い。ニ)の構成の場合、Bは同一組成のセルロースアセテートでも異なっていても良く、同一延伸倍率でも異なっていても良い。また液晶表示装置に組み込んで使用する場合は、どちらを液晶面にしても良いが、構成ロ)、ホ)の場合はBを液晶側にするのがより好ましい。
光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶化合物を補償するためのものであり、延伸、未延伸セルロースアシレートフィルムの上に配向膜を形成し、さらに光学異方性層を付与することで形成される。
上記表面処理した延伸、未延伸セルロースアシレートフィルム上に配向膜を設ける。この膜は、液晶性分子の配向方向を規定する機能を有する。しかし、液晶性化合物を配向後にその配向状態を固定してしまえば、配向膜はその役割を果たしているために、本発明の構成要素としては必ずしも必須のものではない。即ち、配向状態が固定された配向膜上の光学異方性層のみを偏光子上に転写して本発明の偏光板を作製することも可能である。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
上記の液晶性分子と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶分子の配向性等を向上することが出来る。液晶性分子と相溶性を有し、液晶性分子の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
このような光学補償フィルムが用いられる各液晶モードについて説明する。
カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。TNモードの黒表示における液晶セル中の配向状態は、セル中央部で棒状液晶性分子が立ち上がり、セルの基板近傍では棒状液晶性分子が寝た配向状態にある。
棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルである。ベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置は、米国特許4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend) 液晶モードとも呼ばれる。
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向しているのが特徴であり、VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n-ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に面内に水平に配向しているのが特徴であり、これが電圧印加の有無で液晶の配向方向を変えることでスイッチングするのが特徴である。具体的には特開2004−365941号、特開2004−12731号、特開2004−215620号、特開2002−221726号、特開2002−55341号、特開2003−195333号に記載のものなどを使用できる。
ECBモードおよびSTN(Supper Twisted Nematic)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)モード、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードに対しても、上記と同様の考え方で光学的に補償することができる。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。
反射防止膜は、一般に、防汚性層でもある低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)とを透明基体上に設けて成る。
基体上に少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止膜は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計される。
反射防止膜の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成る。
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55である。好ましくは1.30〜1.50である。
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、延伸・未延伸セルロースアシレートフィルムの表面に設ける。特に、延伸・未延伸セルロースアシレートフィルムと前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。また、反射防止層を付与せず直接延伸・未延伸セルロースアシレートフィルム上に塗設することも好ましい。
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
上記の層以外に、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。
反射防止膜は、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止膜がアンチグレア機能を有する場合、反射防止膜のヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
本発明の未延伸、延伸セルロースアシレートフィルムは、光学フィルム、特に偏光板保護フィルム用、液晶表示装置の光学補償シート(位相差フィルムともいう)、反射型液晶表示装置の光学補償シート、ハロゲン化銀写真感光材料用支持体として有用である。
23°C70%rh雰囲気中、引張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し弾性率を求めた。MD、TDで測定しこの平均値を弾性率とした。
セルロースアシレートの各アシル基の置換度およびこれらの6位の置換度は、Carbohydr.Res.273(1995)83−91(手塚他)に記載の方法で13C−NMRにより求めた。
サンプルフィルム300mgを酢酸メチル30mlに溶解したもの(サンプルA)、およびジクロロメタン30mlに溶解したもの(サンプルB)を作成した。
これらをガスクロマトグラフィー(GC)を用い、下記条件で測定した。
カラム温度:50°C
キャリアーガス:窒素
分析時間:15分間
サンプル注入量:1μml
下記方法で溶剤量を求めた。
SaとSbの和を残留溶剤量とする。
(株)マック・サイエンス社製TG−DTA2000Sを用い、窒素下において室温から400°Cまで10°C/分の昇温度速度で試料を加熱した時、220°Cにおけるサンプル10mgの重量変化を加熱減量率とした。
コーンプレートを用いた粘弾性測定装置(例えばAnton Paar社製モジュラーコンパクトレオメーター:Physica MCR301)を用い下記条件で測定する。
樹脂を十分乾燥し含水率を0.1%以下とした後、ギャップ500μm、温度220°Cで剪断速度(1/秒)で測定する。
フィルムの幅方向に等間隔で10点サンプリングし、これを25°C、60%rhにて4時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて、25°C60%RHにおいて、サンプルフィルム表面に対し垂直方向および遅相軸を回転軸としてフィルム面法線から+50°から−50°まで10°刻みで傾斜させた方向から波長590nmにおける位相差値を測定する事から、面内レターデーション値(Re)と膜厚方向のレターデーション値(Rth)とを算出した。
YI={(1.28X−1.06Z)/Y}×100
さらにフィルムのYI値は、上記式にて算出したYI値を、そのフィルムの厚みで割り、1mmあたりに換算して比較した。
Claims (9)
- 押出機で溶融した熱可塑性樹脂を、ダイから回転する冷却ローラ上にシート状に押し出して冷却固化することでフィルムを製膜する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、
前記熱可塑性樹脂を窒素雰囲気中に1時間放置した場合において、その熱減量が0.30wt%となる温度をT0としたとき、
溶融した前記熱可塑性樹脂を前記押出機から押し出すときの押出温度T1をT0−40℃〜T0+30℃として押し出す押出工程と、
前記押し出された熱可塑性樹脂が前記冷却ローラに着地するまでの間に、前記押出温度と同じか又は前記押出温度よりも高い着地温度になるように加熱する加熱工程と、
を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。 - 前記着地温度の上限は、前記T1+40℃であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂は、セルロース系樹脂であって、前記T0が210℃〜240℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂は、環状オレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記押し出しから前記着地までの前記熱可塑性樹脂を、2.1μm〜3.7μmに中心波長を有する遠赤外線ヒーターで加熱することを特徴とする請求項3又は4項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記ダイから押し出されて前記冷却ローラに着地する熱可塑性樹脂を、前記冷却ローラとタッチローラとでニップすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記タッチローラは弾性ローラであることを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 前記冷却ローラと前記タッチローラとが前記シート状の熱可塑性樹脂をニップする線圧を、0.05MPa〜1.5MPaとすることを特徴とする請求項6又は7に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
- 請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法で製造されたことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム。
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