JP2008238099A - ガス分離膜を用いたガス製造方法およびガス製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 原料ガスの一部を第1バイパスガスとして第1残留ガスに添加するとともに、第1バイパスガスの流量を制御することによって、所望の純度の第1透過ガスあるいは第2透過ガスを作製し、易透過性ガスについて所望の回収率を確保することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
(i)純度や圧力の異なる複数の透過製品を得る場合、
(ii)操作温度や材質などの違いによる特性の異なる複数のガス分離モジュールを組合せ使用する場合
などに有効であることが知られている。つまり、図5の例においては、第1ガス分離膜の残留ガス中の水素を第2ガス分離膜に供給し、低圧の製品ガス(第2透過ガス)として有効に取り出すことができることから、回収率を上げることができる。特に、原料ガスの流量がほぼ一定の時には、その条件に応じて、各ガス分離膜の面積や、運転条件を設計時に選定することにより、製品純度および回収率等の最適な性能が期待できる。しかし、原料ガスの流量が変化する場合には問題が生じる。一般に、原料ガスの流量が基準の値から減少した場合、他の運転条件をそのままにしておくと、透過性ガスの割合が増加し、残留性ガスの割合は減少する。つまり、透過性ガス中の易透過性ガスの回収率は増加するが、その割合は減少し、透過性ガスが製品である場合には、製品の純度が低下する。従って、減量運転時においては、第1ガス分離膜の第1残留ガスの流量・純度・圧力の変化が直接的に第2ガス分離膜の運転に影響し、また、圧力などによる減量操作にも制限が出てくるため、第2ガス分離膜の水素製品の純度や流量が制約されるという欠点がある。
(1)複数のガス分離膜を、並列あるいは直列的に追加的に配設することによって、多くの数量の仕様の異なる製品が要求される場合に対応することが可能となり、個々の仕様に基づく各製品ガスの純度と本発明に係る構成全体としての回収率の安定性を確保することが可能となる。つまり、上流側のガス分離膜の供給ガスの一部を、バイパス流路を設けてそのガス分離膜の残留ガス流路と接続された構成とすることによって、その減量に対応した上流のガス分離膜の調整と下流側のガス分離膜の供給ガスの流量を調整することができるという従前にない機能を有することができる。
(2)特定のガス分離膜において、減量操作に対応した制御を容易にすることが可能となる。つまり、そのガス分離膜に導入する原料ガスの一部を、バイパス流路を設けてそのガス分離膜の透過ガス流路と接続し、減量操作に対応してバイパス流量を調整することによって、原料ガスの減量あるいは製品ガスの減量に対して、他のガス分離膜の特性に殆ど影響を与えず、所望の製品ガスの純度あるいは回収率を確保することが可能となる。
図1に、本発明に係るガス製造装置(以下「本装置1」という。)の1の構成例(第1構成例)を示す。具体的には、2つのガス分離膜S1,S2、原料ガス流路Uo、ガス分離膜S1,S2に接続する供給ガス流路U1,U2、透過ガス流路T1,T2、残留ガス流路R1,R2、バイパス流路B1、原料ガス流路Uoに設けられた流量計測手段FMo、残留ガス流路R1,R2に設けられた圧力調整手段PCr1(圧力制御弁PCV1および圧力調節計PC1),PCr2(圧力制御弁PCV2および圧力調節計PC2)、透過ガス流路T1,T2に設けられた流量計測手段FMt1,FMt2、バイパス流路B1に設けられた流量調整手段FCb1(流量制御弁FCV1および流量調節計FC1)および制御計算システム(図示せず)から構成される。また、ガス製造プロセスの性能確認用に、原料ガスの分析ポートAPoおよび第1透過ガスの分析ポートAP1および第2透過ガスの分析ポートAP2(ガスクロ分析計などによるバッチ分析に利用する)が設けられている。なお、分析ポートに代え、濃度計測手段を設けることも可能である。詳細は後述する。
本装置1の第1ガス分離膜S1に供給される原料ガスから最終製品ガスまでのプロセスにおいては、第1ガス分離膜S1および第2ガス分離膜S2の各透過ガスを製品ガスとした場合、第1バイパスガス流量Fb1を制御して、所望の第2製品ガス流量(第2透過ガス流量)Ft2を確保しつつ、各製品ガス濃度および回収率を所望の範囲に調整する。つまり、上記のように第1バイパスガス流量Fb1がゼロのときは単純なカスケードサイクルとなり、第1バイパスガス流量Fb1を増加させることによって並列サイクルに近い機能を確保することができることから、第1バイパスガス流量Fb1を制御することによって、カスケードサイクルと並列サイクルの両方の機能を確保することができ、第1ガス分離膜S1の許容範囲内での第1透過ガスの純度の低下と、第2ガス分離膜S2の許容範囲内での第2透過ガスの純度の確保を図ることができる。具体的には、以下のような制御方法例が考えられる。
第2透過ガス流量Ft2が、所望の値になるよう流量計測手段FMt2と流量調節計FC1の流量制御ループで、第1バイパス流路B1に設置の流量制御弁FCV1の開度を制御する。例えば、原料流量の減量などで、第1分離膜S1の第1残留ガスの流量が少なくなり、かつ易透過性ガス成分の割合も少なくなり、第2透過ガス流量Ft2が少なくなった場合には流量制御弁FCV1の開度が大きくなり、原料ガスの一部が直接的に第2ガス分離膜S2に追加的に供給される。従って、対応する第2製品ガス流量Ft2が確保されると同時に第2ガス分離膜S2に対する原料ガス組成が良くなることにより、第2透過ガスの純度を上げる方向に制御できて好ましい。
例えば、第1ガス分離膜S1の第1残留ガス流路R1に設けられた圧力調整手段PCr1(圧力制御弁PCV1および圧力調節計PC1)にて制御される。図1に示した例のように、減量に際して、その設定値を一定とすることが好ましい場合もある。また、複数の製品に対する要求仕様によっては、その設定値を第1ガス分離膜S1への原料ガス流量Fu1あるいは第1透過ガス流量Ft1のある関数(例えば1次式)で演算し、変更するとの方法が好ましい場合もある。
例えば、第2ガス分離膜S2の第2残留ガス流路R2に設けられた圧力調整手段PCr2(圧力制御弁PCV2および圧力調節計PC2)にて制御される。減量に際して、その設定値を変更することが好ましいことが多いであろう。例えば、その設定値を第2ガス分離膜S2への原料ガス流量Fu2あるいは第2透過ガス流量Ft2のある関数(例えば1次式)で演算し、変更するとの方法が好ましい。
本発明に係るガス製造装置の他の構成例(第2構成例)を図2に示す。基本的な構成は第1構成例と同様であるが、第2ガス分離膜S2の供給ガス流路U2に分岐点を設け、流量調整手段FCb2(流量制御弁FCV2および流量調節計FC2)を介して第2残留ガス流路R2に接続する第2バイパス流路B2を形成した装置(以下「本装置2」という。)が構成される。
本発明に係るガス製造装置の第3の構成例を図3に示す。つまり、基本的な構成は、第2構成例と同様であるが、さらに、原料ガス流路Uoの流量計測手段FMoの下流に分岐点を設け、流量調整手段FCb3(流量制御弁FCV3および流量調節計FC3)を介して第1透過ガス流路T1に接続する第3バイパス流路B3を形成し、第1透過ガスに原料ガスの一部を混合した製品ガス(以下「第1製品ガス」という)を作製することができる装置(以下「本装置3」という。)が構成される。図3では、第1製品ガス流路P1に、第1製品ガス濃度調整手段AC(濃度計測器AT3および第1製品ガス濃度調節計AC1)が設けられた構成例を示す。
(1)原料ガスの最大流量に対して易透過性ガスの所望の回収率を得るべく膜の面積(モジュール数)を選択し、透過ガスの純度が所望の値より高くなる稼動条件を設定した場合であって、かつ、原料ガスの一部を第3バイパス流路B3に割振った場合には、第1ガス分離膜S1へ供給される供給ガス流量Fu1が少なくなり、この流量に比例してモジュール数を減少させることが可能である。このとき、第1ガス分離膜S1を透過する第1透過ガスの純度および第1ガス分離膜自体の回収率は、不変に保つことができる。従って、第3バイパスガス流量Fb3を適切に調整すれば、第1製品ガスの純度を所望の値以上に保つことができる。
(2)一方、第3バイパスガスは全て易透過性ガスを主成分とする第1製品ガスに回収されるので、第3バイパス流路B3を含めた系全体での総合回収率は所望値以上になる。結局、モジュール数をさらに減少させた状態で、第1製品ガスの純度と回収率を所望の値以上に保つことが可能である。つまり、第3のバイパスを使用しない場合に比較し、少ないモジュール数で第1ガスの純度と回収率を所望の値以上に保つことが可能である。
基本的な制御方法は第2構成例と同様であるが、さらに、第1ガス分離膜S1について、減量に応じて第3バイパスガス流量Fb3を制御して、第1製品ガスの純度を所望の範囲に調整することができる。制御方法の例としては、
(1)図3に示したように、第3バイパスガス流量Fb3を、第1製品ガス流路P1に設けられた濃度計測器AT3の出力に基づき、第1製品ガス濃度調節計AC1によって制御する。あるいは、
(2)第3バイパスガス流量Fb3を、第1製品ガスの流量Fp1(=Ft1+Fb3)の関数(例えば1次式)として演算された値で制御する。その係数は、第1製品ガス流路P1に設けられた分析ポートから採取した第1製品ガス中の所望の易透過性ガスの濃度計測値を指標として、微調整する。
などの方法が可能である。なお、ここでは、第2ガス分離膜の第2バイパス流路B2がある場合を例示したが、もちろん用途によっては、第2バイパス流路B2を省略した装置で充分な場合もあることは自明である。
次に、上記の構成例の制御方法を、水素ガス製造プロセスを設定し、第1および第2透過ガスの純度や回収率の数値解析を行った結果を以下に示す。
(1−1)原料ガスの組成を表1に例示する。
(1−3)原料ガスのガス分離膜入口温度は、90℃とした。
(1−4)原料ガスの一次圧力の初期設定値は40bar(abs)とし、定格時(最大処理時)の原料ガスの流量は、10,000Nm3/hとした。なお、以下の表2および3においては、流量の表現は、上記原料ガスの最大値に対する割合(%)によって表示した。従って、膜面積の絶対値は、問題にする必要がない。
(1−5)第1透過ガス(製品ガス1)圧力は20bar(abs)とし、第2透過ガス(製品ガス2)圧力は10bar(abs)とした。なお、製品水素純度は97mol%以上を基準と捉えた。
(1−6)定格時の第1透過ガス流量は定格原料ガス流量の70%、第2透過ガス流量は定格原料ガス流量の10%を確保する。
(1−7)減量条件として、原料ガス流量は定格流量を基準として100%〜50%の範囲で変化させる。また、第2透過ガス流量は定格原料ガス流量の10%〜5%(つまり、第2透過ガス流量に関して100%〜50%)の範囲で(原料流量の減量度に関わらず)変化させる。第1透過ガス流量は、残りの原料ガスを用いてできるだけ回収するとの条件とした。
(2−1)実施例1
本装置1において、上記〔本装置1を用いた制御方法例〕(第1残留ガスの圧力は一定、第2残留ガスの圧力は第2透過ガス流量の1次式で変更する)に基づき、上記(1−7)の条件を適用した。その結果、表2に示すように、第1および第2透過ガスの純度に対する高い安定性と高い回収率(いかなる運転モードにおいても88.7%以上)を確保することができた。特に、原料流量を50%に減量し、かつ、第2透過ガス流量に関して最大値を得る時に最大の回収率(95.2%)を得ることができた。
本装置3において、上記(2−1)実施例1と第1ガス分離膜S1および第2ガス分離膜S2について同じ膜面積を用い、〔本装置3を用いた制御方法例〕に基づき、第1透過ガスとバイパス流路B3の合流後の純度は97mol%に制御される(第1残留ガスの圧力は一定、第2残留ガスの圧力は第2透過ガス流量の1次式で変更する)として、上記(1−7)の条件を適用した。その結果、表3に示すように、第1および第2透過ガスの純度に対する高い安定性と高い回収率(いかなる運転モードにおいても90.3%以上)を確保することができた。特に、原料流量を50%に減量し、かつ、第2透過ガス流量に関して最大値を得る時に最大の回収率(95.5%)を得ることができた。
図6に例示された並列サイクルを用いた場合、上記(1−6)の条件を得るためには、上記(2−1)実施例1および(2−2)実施例2に比較して、約2.06倍のガス分離膜の面積が必要であった。
上記の結果に示すように、本装置1および3における制御方法例のいずれについても、透過ガスの純度に対する高い安定性と高い回収率を安定的に保することができた。また、並列サイクルによるよりも少ない膜面積で高い回収率を確保できることが分かった。
なお、上記においては、ガス分離膜を2つ設けカスケードに接続した場合について説明したが、さらに多数のガス分離膜を用いて、その機能を活かし汎用性の高いガス製造装置とすることも可能である。例えば、その一部を第1のガス分離膜として並列的に接続された複数のグループに分け異なる条件の製品ガスを得るようにし、各グループの残留ガスを集合して第2のガス分離膜に供給するよう変更することも可能である。
AC1 第1製品ガス濃度調節計
APo,AP1,AP2 分析ポート
AT3 濃度計測器
B1,B2,B3 バイパス流路
FC1 流量調節計
FCb1 流量調整手段
FCV1 流量制御弁
FMo,FMt1,FMt2 流量計測手段
P1 第1製品ガス流路
PC1,PC2 圧力調節計
PCr1,PCr2 圧力調整手段
PCV1,PCV2 圧力制御弁
R1,R2 残留ガス流路
S1,S2 ガス分離膜
T1,T2 透過ガス流路
Uo 原料ガス流路
U1,U2 供給ガス流路
Claims (2)
- 選択的透過性を有する少なくとも2つのガス分離膜のうちの上流の第1ガス分離膜に対して透過性の異なる複数の成分ガスを含むガス混合物を原料ガスとして供給し、該第1ガス分離膜によって第1透過ガスと第1残留ガスに分離し、該第1残留ガスをさらに第2ガス分離膜に供給して第2透過ガスと第2残留ガスに分離し、易透過性ガスに富んだ透過ガスを製造する方法であって、前記原料ガスの一部を第1バイパスガスとして前記第1残留ガスに添加するとともに、該第1バイパスガスの流量を制御することによって、所望の純度の第1透過ガスあるいは第2透過ガスを作製し、易透過性ガスについて所望の回収率を確保することを特徴とするガス分離膜を用いたガス製造方法。
- 選択的透過性を有する少なくとも2つのガス分離膜、
該ガス分離膜の1つである上流の第1ガス分離膜に対して透過性の異なる複数の成分ガスを含むガス混合物が供給される原料ガス流路、
前記第1ガス分離膜から透過される透過ガスが取り出される第1透過ガス流路、
前記第1ガス分離膜からの残留ガスが供出され、その下流に配設された第2ガス分離膜に対して供給される第1残留ガス流路、
前記原料ガス流路から分岐され、前記第1残留ガス流路と合流する第1バイパス流路、
前記第2ガス分離膜から透過される透過ガスが取り出される第2透過ガス流路、
前記第2ガス分離膜からの残留ガスが供出される第2残留ガス流路、
前記流路のいずれかに設けられる圧力調整手段、流量調整手段、圧力計測手段、流量計測手段のいずれかまたはその組み合わせ、
前記第1バイパス流路の流量を制御する制御手段、
を有するガス製造装置であって、
前記制御手段によって、第1バイパス流路に設けられた流量調整手段または/および原料ガス流路あるいは各残留ガス流路に設けられた圧力調整手段を制御し、各透過ガスの純度および易透過性ガスについての回収率を所望の範囲内に制御操作を行う機能を有することを特徴とするガス分離膜を用いたガス製造装置。
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