JP2008228201A - 無線通信方法、無線送信装置及び無線受信装置 - Google Patents

無線通信方法、無線送信装置及び無線受信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない処理量と低消費電力の下で効果的なダイバーシチを実現する。
【解決手段】周波数軸上で対称な形状の電力スペクトラムをそれぞれ有する第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を共通のデータ信号から生成して異なる時刻に出力するように構成された送信機と、第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を送信する送信アンテナとを有する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、時間及び周波数のダイバーシチを利用した無線通信方法、無線送信装置及び無線受信装置に関する。
無線通信分野では、旧来よりいくつかのダイバーシチ技術が実用化されている。ダイバーシチとは、複数の無線通信リソースを利用して複数の信号の送受信を行い、受信側において通信状態の良い信号を選択したり、複数の信号を合成したりすることで、受信品質を向上させる技術である。ダイバーシチには、同一の信号を異なる時刻に2回送信する時間ダイバーシチ、同一の信号を異なる2つの周波数で送信する周波数ダイバーシチ、送信されてきた信号を異なる場所に配置された2つのアンテナにより受信するアンテナダイバーシチ、あるいは異なる伝搬経路を経てアンテナへ到達した複数の遅延波を合成するパスダイバーシチなどが知られている。
非特許文献1には、時間ダイバーシチと周波数ダイバーシチを組み合わせた技術が開示されている。非特許文献1では、図1に示されるように同一のデータ信号(非特許文献1では、ACK/NACK信号)から中心周波数の異なる2つの送信RF信号を生成し、これら2つの送信RF信号を異なる時刻に送信する。2つの送信RF信号の中心周波数が異なることから、各送信RF信号がマルチパスチャネルのような周波数選択性を有する伝搬路(チャネルという)を経て送信される場合であっても、両方の送信RF信号が共に電力減衰の大きい周波数帯を通過する可能性が低くなる(周波数ダイバーシチ)。また2つの送信RF信号の送信時刻が異なることにより、送信RF信号がマルチキャリア化してピーク電力が高くなることを抑えることができるようになるだけではなく、両方の送信RF信号が共に電力減衰の大きい時間帯に送信されることを防ぐことができる(時間ダイバーシチ)。
NTT DoCoMo, KDDI, Mitsubishi Electric, NEC, Panasonic and Sharp, "Repetition of ACK/NACK in E-UTRA Uplink,"R1-070101, 3GPP TSG-RAN WG1 Meeting, #47bis (2007.01)
非特許文献1に記載の方法では、同一のデータ信号を異なる周波数で異なる時刻に送信するために、周波数変換を2回行わなければならない。周波数変換には、例えば(a)正弦波信号を生成、(b)データ信号を変調して得られる送信ベースバンド信号に正弦波信号を乗算、及び(c)乗算された信号にフィルタを掛ける、という処理が必要である。非特許文献1の手法では、このような処理を周波数の異なる正弦波信号を用いて2回行うことになる。
一般に、このような周波数変換の処理にはデータ信号の信号長に応じて増大する演算量が必要になり、ディジタル信号処理であれば信号長に比例した乗算回数が必要になる。従って、周波数変換処理を2回行うことは、消費電力の増大及び回路規模の増大につながるので、小型・軽量及び低消費電力が要求される携帯機器においては好ましくない。
本発明は、少ない処理量と低消費電力の下で効果的なダイバーシチを実現できる無線通信方法、無線送信装置及び無線受信装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によると、周波数軸上で対称な形状の電力スペクトラムをそれぞれ有する第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を送信すべきデータ信号から生成するステップと、前記第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を異なる時刻に送信するステップと、前記第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を受信して第1の受信RF信号及び第2の受信RF信号を生成するステップと、前記第1の受信RF信号及び第2の受信RF信号から前記データ信号を再生するステップと、を具備する無線通信方法を提供する。
本発明によると、2回の周波数変換を必要としない簡単な処理により周波数ダイバーシチ及び時間ダイバーシチを併用した信頼性の高い無線通信を実現できる。
以下、図面を参照しながら本実施形態について詳細に説明する。
(無線通信システム)
図1に示されるように、本発明の一実施形態に従う無線通信システムは、複数の携帯端末のような端末101〜104と基地局105を有する。端末101〜104は、基地局105のカバーエリア108内に位置している。ここでは端末101〜104の数は4、基地局105の数は1であるが、これに限られない。例えば、端末の数は1でもよく、基地局の数は複数でもよい。基地局105から端末101〜104への通信には下りリンク106が利用され、端末101〜104から基地局105への通信には上りリンク107が利用される。
図2に示されるように、下りリンク106では基地局105に備えられた送信機201から送信アンテナ202を介してRF送信信号が送信される。送信機201では、送信ベースバンド信号生成部211によりデータ信号から送信ベースバンド信号が生成される。送信ベースバンド信号は送信RF部212に入力され、RF処理が施される。送信RF部212のRF処理は、送信ベースバンド信号をRF周波数にアップコンバートする処理及びアップコンバート後の信号に対して電力増幅を行う処理を含み、場合によってはさらにフィルタ処理を含む。このような送信RF部212のRF処理によって、送信RF信号が生成される。
送信RF信号は、チャネル(伝搬路)203を経て端末101〜104に備えられた受信アンテナ204へ到達し、受信アンテナ204から受信RF信号が出力される。受信RF信号は受信機205に入力され、受信RF部221によりRF処理が施される。受信RF処理部221のRF処理は、受信RF信号を増幅する処理及び増幅後の受信RF信号をベースバンド周波数にダウンコンバートする処理を含み、場合によってはさらにフィルタ処理を含む。このような受信RF部221の処理によって、受信ベースバンド信号が生成される。受信ベースバンド信号は、さらにベースバンド信号復調部222により復調され、送信データ信号が再生される。
一方、上りリンク107では、端末101〜104に備えられた送信機201から送信アンテナ202を介して信号が送信され、チャネル203を経て基地局105に備えられた受信アンテナ204へ到達し、受信機205に入力される。上りリンク107での送信機201及び受信機205の処理は、下りリンク106での処理と同様である。
送信及び受信ベースバンド信号と送信及び受信RF信号の周波数関係は、図3及び図4のいずれでもよい。図3によると、送信ベースバンド信号及び受信ベースバンド信号はDCを中心周波数とし、また送信RF信号及び受信RF信号はキャリア周波数fcを中心周波数とする。これに対し、図4では送信ベースバンド信号及び受信ベースバンド信号はDCを中心周波数とせず、また送信RF信号及び受信RF信号はキャリア周波数fcを中心周波数としていない。
図5は、チャネル203が持つインパルス応答(チャネル応答と呼ぶ)の周波数特性の一例を示している。一般的に、チャネル203はマルチパスチャネルとなることが多い。マルチパスチャネルにおいては、それぞれのチャネル間で信号の電力を強め合う周波数や、逆に電力を弱め合う周波数が生じる。図3の例では、周波数f1付近及び−f2付近の周波数帯域において大きな電力の低下を生じている。このようなマルチパスチャネルの特性は、周波数選択性と呼ばれている。
このような周波数選択性に起因して電力の低下を生じる周波数帯域では、受信電力が低くなることにより、相対的に雑音の影響を受けやすくなり、信号対雑音比(SNR)が低下する。そこで、受信電力の低下を生じる周波数帯域をFBlowSNRと称する。送信RF信号が狭帯域信号である場合、周波数帯域FBlowSNRで信号を送信すると、受信が失敗する可能性が高くなる。一般的には、送信RF信号を広帯域化することにより、送信RF信号の帯域全体が周波数帯域FBlowSNRに入ってしまうことを防ぎ、もって受信の失敗を避けることができる。
送信機201が送信に利用する周波数帯域、または送信可能周波数帯域は、図6に示されるようにq個のサブバンドに分割されているものとする。ここでは周波数の低い方から順に、第1サブバンド〜第qサブバンドと呼ぶことにする。送信機201は1つのサブバンドを用いて信号を送信するものとし、送信の際にどのサブバンド利用するかは、送信機201または受信機205からの指示により決めるものとする。このように複数のサブバンドを形成することによって、同時に複数の送信RF信号の送信を行う周波数分割多重(Frequency Division Multiplexing:FDM)通信が可能となる。
一方、受信機205は送信機201からいずれか一つのサブバンドを用いて送信された信号を受信するものとする。サブバンドの数や1サブバンドの周波数幅は、必ずしも固定されていなくてもよい。例えば、送信時に要求される伝送速度や、同時に通信を行う送受信機の数に応じてサブバンド数やサブバンドの周波数幅を可変としてもよい。
FDM通信の特殊な例として、直交周波数分割多元アクセス(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:OFDMA)通信がある。図7は、OFDMA通信における周波数の利用方法を示している。利用する周波数帯域がp個のサブバンドに分割されていることは図6と同様であるが、1つのサブバンドは複数のサブキャリアを含むことが図6と異なる。各サブキャリアは、周波数軸上で互いに直交するように配置されている。すなわち、各サブキャリアは他のサブキャリアに干渉を与えないように配置されている。本実施形態は、このようなOFDMA通信であっても、複数のサブキャリアを1つのサブバンドとみなすことで適用可能である。
本実施形態によると、送信機201において同じデータ信号から複数の送信RF信号が生成され、それらの送信RF信号が異なる時刻に送信アンテナ202及びチャネル203を介して送信される。チャネル203を介して送信された複数の送信RF信号は、受信アンテナ204を介して受信機205で受信される。
図8(A)の例によると、送信機201から2つの送信RF信号(第1及び第2の送信RF信号)が異なる送信時刻に送信される。すなわち、最初に第1の送信RF信号が送信され、次に第2の送信RF信号が送信される。第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号は、図8(B)に示されるようにチャネル203を介して受信機205で受信され、第1の受信RF信号及び第2の受信RF信号が得られる。
ここで送信時刻が異なるとは、第1の送信RF信号と第2の送信RF信号の送信開始時刻または送信終了時刻が異なることを意味する。従って、第1の送信RF信号と第2の送信RF信号が時間軸上で一部重なってもよいし、全く重ならなくてもよい。FDM通信を利用した状況では、第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号がそれぞれ異なるサブバンドを利用することにより、それぞれ送信RF信号の一部が互いに重なる状態で送信を行うことが可能である。この場合、送信開始時刻または送信終了時刻のいずれかが異なればよい。
本実施形態では、時間ダイバーシチを実現するために第1の送信RF信号と第2の送信RF信号が利用され、これらが異なる時刻に送信される。先に送られる第1の送信RF信号と後に送られる第2の送信RF信号は、同一のデータ信号を変調して得られる送信ベースバンド信号から生成される。もし変調方式や誤り訂正符号化方式が同一であれば、第1及び第2の送信RF信号は同じ時間波形となる。
このように送信機201から同じ時間波形の送信RF信号を2回送信し、受信機205では2つの送信RF信号を受信することにより、受信が失敗する可能性を減らすことができる。受信機205においては、2つの受信RF信号のうち、より正確に受信されたであろう一つの信号を選択して復調を行ってもよいし、両方の信号を合成してから復調を行ってもよい。このような方法により、受信誤りを軽減することが可能となる。以下、送信機201及び受信機205について具体的に説明する。
(第1の実施形態の送信機)
次に、図9を参照して第1の実施形態に従う送信機201について説明する。図9に示されるように、送信機201はタイミングコントローラ300、送信データブロック生成器301、変調器302、メモリ303、演算器304、送信RF信号選択器305及び送信RF部306を有する。送信RF部306は図2中の送信RF部212に相当し、図2中の送信アンテナ202に相当する送信アンテナ307に接続される。送信データブロック生成器301、変調器302、メモリ303及び演算器304は、図2中の送信ベースバンド信号生成部211に相当する。
送信データブロック生成器301は、誤り訂正符号化されたデータから一定長のデータを切り出して送信データブロック(送信すべきデータブロック、以下、送信データ信号ともいう)を生成する。送信データ信号は、一例としてACK(Acknowledge)/NACK(Non-Acknowledge)/CQI(channel Quality Indicator)信号であるが、勿論これらの信号に限定されるものではない。生成された送信データ信号は、タイミングコントローラ300からの指示に従って変調器302に入力される。
変調器302では、送信データブロック生成器301から入力される送信データ信号が変調されることにより、変調信号である送信ベースバンド信号(第1の送信ベースバンド信号)が生成される。変調器302においては従来知られている種々のディジタル変調方式、例えばBPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、ASK(Amplitude Shift Keying)、FSK(Frequency Shift Keying)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、あるいはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などの変調方式が利用される。
本実施形態においては、送信機201は同じ送信データ信号を2回送信する必要があるため、変調器302により得られた送信ベースバンド信号(第1の送信ベースバンド信号)はメモリ303に記憶される。メモリ303に記憶された送信ベースバンド信号は随時読み出すことができ、またメモリ303の記憶内容は変調器302より新たな送信ベースバンド信号が入力されるまで保持されるものとする。メモリ303に記憶された送信ベースバンド信号は、タイミングコントローラ300によって与えられるタイミングで読み出され、演算器304及び送信RF信号選択器305へ送られる。
演算器304では、メモリ303から読み出される送信ベースバンド信号に対して、予め送信機201と受信機205間で取り決められた演算が施される。具体的な演算の手法については、後に詳しく説明する。演算器304による演算後の送信ベースバンド信号(第2の送信ベースバンド信号)は、送信RF信号選択器305へ送られる。
送信RF信号選択器305では、タイミングコントローラ300からの指示に従ってメモリ303から読み出される送信ベースバンド信号、または演算器304から出力される演算後のベースバンド信号のいずれかが選択され、選択されたベースバンド信号は送信RF部306に入力される。
送信RF部306では、送信RF信号選択器305により選択される送信ベースバンド信号をRF周波数に周波数変換されることによって、送信RF信号が生成される。すなわち、送信RF部306ではメモリ303から読み出される送信ベースバンド信号(第1の送信ベースバンド信号)に対応して第1の送信RF信号が生成され、また演算器304から出力される演算後の送信ベースバンド信号(第2の送信ベースバンド信号)に対応して第2の送信RF信号が生成される。
ここで、演算器304においては第1及び第2の送信RF信号が周波数軸上で対称な形状の電力スペクトラムを持つようにするための演算が第1の送信ベースバンド信号に施されることによって、第2の送信ベースバンド信号が生成される。送信RF部306では、さらに第1及び第2の送信RF信号が電力増幅されて送信アンテナ307へ供給される。送信アンテナ307によって、送信RF部306から出力された第1及び第2の送信RF信号が電波として送信される。
タイミングコントローラ300は、以下のように各部のタイミングを制御する。まず、タイミングコントローラ300は、送信データブロック生成器301に対しては送信データブロックを生成するタイミングを与える。本実施形態では、一つの送信データブロックに対して第1及び第2の送信RF信号が送信されるため、第1及び第2の送信RF信号の生成が終わるまでメモリ303の内容を変更しないように、第2の送信RF信号の送信終了まで次の送信データブロックの出力を待つように制御する。
タイミングコントローラ300は、メモリ303に対してはメモリ303に記憶されたベースバンド信号が第1及び第2の送信RF信号の送信のたびに読み出し動作を行うように指示を与える。さらに、タイミングコントローラ300は送信RF信号選択器305に対しては第1の送信RF信号の送信時刻にはメモリ303から読み出される第1の送信ベースバンド信号を選択し、また第2の送信RF信号の送信時刻には演算器304から出力される演算後の第2の送信ベースバンド信号を選択するように指示を与える。
(第1の実施形態の受信機)
次に、図10を参照して第1の実施形態に従う受信機205について説明する。図10に示されるように、受信機205はタイミングコントローラ400、受信RF部402、チャネル等化器403、チャネル推定器404、受信処理選択器405、演算器406、メモリ407、合成器408及び復調器409を有する。受信RF部402は図2中の受信RF部221に相当し、図2中の受信アンテナ204に相当する受信アンテナ401に接続される。
受信アンテナ401は、図9の送信機201から送信される第1及び第2の送信RF信号を受信し、第1及び第2の送信RF信号にそれぞれ対応する第1及び第2の受信RF信号を出力する。第1及び第2の受信RF信号は、受信RF部402に入力される。受信RF部402では第1及び第2の受信RF信号が増幅された後、ベースバンド周波数に変換されることよって、第1及び第2の受信ベースバンド信号が生成される。第1及び第2の受信ベースバンド信号は、チャネル推定器404及びチャネル等化器403へ送られる。
チャネル推定器404では、第1及び第2の受信ベースバンド信号を利用してチャネル応答、言い換えればチャネル歪み(送信RF信号がチャネルで受ける歪み)の推定が行われる。ここでいう歪みとは、受信電力の変化及び位相変化を指すものとする。チャネル歪みを推定する一般的な方法としては、送信機から送信機と受信機間で予め取り決められた既知信号(パイロット信号と呼ばれる)を送信する方法が良く知られている。図2に示した送信機201も、このようなパイロット信号を送信するものとする。
送信機201から送信されるパイロット信号は、データ信号と同様にチャネル203上で歪みを受ける。そこで、受信機205では送信パイロット信号と受信パイロット信号とを比較することにより、各周波数における受信電力の変化や位相の変化を推定することができる。チャネル推定器404からは、こうして推定されたチャネル応答(チャネル歪み)を示す情報がチャネル等化器403へ送られる。
チャネル等化器403では、受信RF部402から出力される第1及び第2の受信ベースバンド信号からチャネル歪みを抑圧する処理(これをチャネル等化という)が行われ、第1及び第2の等化後ベースバンド信号が出力される。チャネル等化の方法はいくつか知られているが、一般的にはチャネル応答の逆特性を受信RF信号に乗じることでチャネル歪みを抑圧する方法がよく用いられる。すなわち、送信中に送信RF信号が弱くなってしまった場合には受信RF信号を増幅し、逆に送信RF信号が強くなってしまった場合には受信RF信号を減衰させる。一方、送信中に送信RF信号が位相回転を受けた場合には、逆方向の位相回転を乗じる。
チャネル等化器403では、上記の処理によりチャネル歪みが抑圧され、送信RF信号の波形が再生される。但し、チャネル推定の結果は雑音などに起因する誤差を持ち、チャネル等化においても計算による誤差が生じることから、送信RF信号の波形を完全に再生することは難しい。これらの誤差は、受信RF信号のSNRが低いほど大きくなる。マルチパスチャネルでは、チャネル応答が周波数特性を持つことから、受信RF信号の周波数によって誤差の大きさは異なる。すなわち、受信RF信号のスペクトラム内で誤差の大きい部分や小さい部分が混在する。これは復調時に誤りを生じる原因となる。
チャネル等化器403から出力される第1及び第2の等化後ベースバンド信号は、受信処理選択器405へ送られる。受信処理選択器405は、タイミングコントローラ400からの指示に従って、入力された等化後ベースバンド信号を演算器406またはメモリ407のいずれかへ導く。演算器406では、受信処理選択器405からの等化後ベースバンド信号に対して図9の送信機201内の演算器304による演算と逆の演算が施される。
演算器406により演算が施された信号は、合成器408に入力される。合成器408では、メモリ407から読み出される信号と演算器406から出力される信号が合成される。合成器408からの出力信号(合成ベースバンド信号)は、復調器409によって図7の送信機201内の変調器302により施された変調に対応した復調が施される。この結果、復調器409により元の送信データが再生される。
タイミングコントローラ400は、第1及び第2の送信RF信号の受信時刻に基づいてチャネル等化器403、チャネル推定器404、受信処理選択器405、メモリ407及び合成器408に対して処理を指示する。すなわち、タイミングコントローラ400はチャネル推定器404に対しては、送信機201からパイロット信号が送信された時刻において推定動作を行うよう指示を与える。
タイミングコントローラ400は、受信処理選択器405に対しては受信RF信号が第1の受信RF信号または第2の受信RF信号のいずれであるかを示す例えば1ビットの選択制御信号を与える。この結果、受信RF信号選択器405からは受信RF信号が第1の受信RF信号である場合には、第1の受信RF信号に対応する第1の等化後ベースバンド信号がメモリ407へ入力され、受信RF信号が第2の受信RF信号である場合には、第2の受信RF信号に対応する第2の等化後ベースバンド信号が演算器406へ入力される。
タイミングコントローラ400は、メモリ407に対しては受信RF信号が第1の受信RF信号である場合に、第1の受信RF信号に対応する第1の等化後ベースバンド信号を記憶する命令を出す。タイミングコントローラ400は、合成器408に対しても受信RF信号が第1の受信RF信号であるか第2の受信RF信号であるかを通知する。この結果、合成器408は受信RF信号が第1の受信RF信号の場合には、続く第2の受信RF信号に対応する第2の等化後ベースバンド信号を待つ。受信RF信号が第2の受信RF信号の場合には、メモリ407から読み出される第1の等化後ベースバンド信号に対して、第2の等化後ベースバンド信号を合成する。このような受信処理により、送信側で第2の送信ベースバンド信号に施されている演算の影響を取り除くことができる。
本実施形態によると、送信機201において第1の送信ベースバンド信号から第1の送信RF信号が生成され、第1の送信ベースバンド信号に演算器304により演算を施して得られる第2の送信ベースバンド信号から第2の送信RF信号が生成される。これにより変調器302の諸元を変えることなく、第1及び第2の送信RF信号を異なる時間波形にすることが可能となるため、第1及び第2の送信RF信号の電力スペクトラムの形状も異なるものとなる。従って、チャネル203がマルチパスチャネルであり、第1及び第2の送信RF信号にチャネル203上で同じ周波数選択性が重畳されたとしても、第1及び第2の受信RF信号がチャネル203上で受ける影響は互いに異なる。
一方、受信機205においては、第1及び第2の受信RF信号が前述のようにチャネル203上で異なる影響を受けている場合、その影響は第1及び第2の等化後ベースバンド信号にも伝搬される。ここで、第1及び第2の等化後ベースバンド信号は送信機201において演算器304により第2の送信ベースバンド信号に対して施されている演算と逆の演算が演算器406により第2の等化後ベースバンド信号に対して施される。この後、第1及び第2の等化後ベースバンド信号が合成器408によって合成される。
この結果、チャネル203上で第1及び第2の受信RF信号のいずれか一方に影響が大きく与えられる成分を第1及び第2の受信RF信号の他方によって補完することが可能となる。従って、受信エラーが生じる可能性は時間ダイバーシチの効果に加えてさらに減少し、受信性能が向上する。
次に、演算器304及び406について具体的に説明する。演算器304では、入力である第1の送信ベースバンド信号に対して例えば複素共役演算(第1の演算)が施され、第2の送信ベースバンド信号が生成される。複素共役演算とは、例えば入力信号である複素信号の実部(実数成分)の符号を反転するか、あるいは−1を乗じる演算をいう。このような複素共役演算を入力信号に対して施すことにより、信号の周波数を直流に対して線対称の周波数へと移動させることができる。
この原理は、図11に示される通りである。例えば、入力信号である正の周波数f0の信号は複素平面上で左回りに回転する信号であるが、これに複素共役演算を施すと、同じ回転速度を持ち、かつ回転方向が反転した出力信号を生成することができる。これは複素共役演算により、周波数−f0の信号を生成することができることを意味している。
次に、図12(A)(B)(C)(D)(E)及び(F)を用いて第1の実施形態に従う処理について説明する。図1の無線通信システムは、RF周波数で通信が行われるが、図12(A)〜(F)では説明の都合上、送信RF部306によるベースバンド周波数からRF周波数への周波数変換(アップコンバート)、及び受信RF部402によるRF周波数からベースバンド周波数への周波数変換(ダウンコンバート)については省略している。また、図12(A)のチャネル応答ではキャリア周波数fcの周辺の周波数帯のみ示している。キャリア周波数fcは、ベースバンド信号ではDCに対応する。さらに図12(A)〜(F)において、FBlowSNRは図5で説明した通り受信電力が低下する低SNRの周波数帯域を表す。
チャネル203は、図12(A)のチャネル応答に示されるように、周波数fc+f1及びfc−f2において受信電力が落ち込むような特性を持つと仮定する。この場合、周波数fc+f1及びfc−f2のRF信号(ベースバンドでは周波数f1及び−f2の信号)のSNRが低くなる。図12(B)(C)(D)(E)及び(F)は、各ベースバンド信号の電力スペクトラムを示している。
第1の送信ベースバンド信号のスペクトラムは、例えば図12(B)に示される。第1の送信ベースバンド信号は、スペクトラムの一部に低SNRである周波数f1の成分を含んでいるとする。第1の送信ベースバンド信号に対して演算器304により複素共役演算を施すと、図12(C)に示されるスペクトラムを持つ第2の送信RF信号が得られる。図12(B)及び(C)から明らかなように、第1の送信ベースバンド信号と第2の送信ベースバンド信号は周波数軸上でDCに相当する周波数を中心に線対称な形状を持ったスペクトラムとなる。
第1及び第2の送信ベースバンド信号は、送信機201からそれぞれ第1及び第2の送信RF信号として異なる時刻でチャネル203を経て送信される。第1及び第2の送信RF信号は、チャネル203を経て受信機205において第1及び第2の受信RF信号として受信され、図12(D)及び(E)に示されるスペクトラムを持つ第1及び第2の受信ベースバンド信号が生成される。ここで第1及び受信ベースバンド信号のうち、周波数f1の成分はチャネル203上で受信電力が減衰するため、SNRが低い。従って、チャネル等化処理によりスペクトラム形状は補正されるものの、周波数f1付近の成分については誤差を多く含んでいる。スペクトラムの一部が誤差を含む場合、時間波形にも誤差が生じるため、復調時に誤りを生じやすくなることは明らかである。
本実施形態においては、第2の送信ベースバンド信号は第1の送信ベースバンド信号に対して複素共役演算を施して得られた信号である。このため第2の送信ベースバンド信号は、第1の送信ベースバンド信号のスペクトラムに対して反転したスペクトラムを持つ。そこで、受信機204において第2の送信ベースバンド信号に対応する第2の受信ベースバンド信号に対して、演算器406により複素共役演算の逆の演算(第2の演算)を施すことによりスペクトラムの反転を元に戻し、図12(F)に示されるスペクトラムを持つ第2の受信ベースバンド信号を得る。これにより第2の受信ベースバンド信号のうち、低SNRである周波数f1の成分は周波数−f1に移動する。
なお、スペクトラム反転の逆演算はやはりスペクトラム反転であり、複素共役演算の逆演算とは、複素共役演算そのものに他ならない。すなわち、演算器406で施す演算(第2の演算)は、送信機において施した演算(第1の演算)をもう一度行うことにも相当する。 第1の受信ベースバンド信号のうち、周波数f1の成分のSNRは低いが、その他の周波数の成分のSNRは比較的高い。演算後の第2の受信ベースバンド信号については、周波数−f1の部分のSNRが低いものの、他の周波数の成分は比較的SNRが高い。従って、第1の受信ベースバンド信号と演算後の第2の受信ベースバンド信号を合成器408で合成することにより、第1の受信ベースバンド信号と第2の受信ベースバンド信号との間で、SNRの低い部分を互いに補完することができる。この結果、復調時に誤りを生じる可能性が低減される。
このように第1の実施形態によると、時刻を異ならせて送信される第1及び第2の送信RF信号のスペクトラムを周波数軸上で対称の形状とすることにより、時間ダイバーシチ効果に加えて周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。この場合、複素共役演算という非常に簡単な演算を追加するのみでよく、非特許文献1に開示の手法に比較して演算量が小さく、消費電力も格段に低い。特に、第1の送信ベースバンド信号がディジタル信号であり、そのディジタル信号の最上位ビット(MSB)は極性(正負の符号)を表し、残りのビットは絶対値を表している場合、複素共役演算はMSBを反転させる操作のみで実現される。
ここでは演算器304及び406の演算として複素共役演算を用いたが、必ずしも複素共役演算でなくてもよい。複素共役演算は、虚部の符号を反転させる演算だが、これに代えて、実部の符号を反転する演算でも同様の結果が得られる。さらに、演算器304により送信RF信号の実部と虚部を入れ替える演算を施すことでも、同様の結果が得られる。この場合、受信機205では演算器406により受信RF信号の実部と虚部を入れ替える演算を施すことで、スペクトラム形状を元に戻すことができる。
(第2の実施形態の送信機)
次に、図13を用いて本発明の第2の実施形態に従う送信機201について説明する。図13に示される送信機201では、図9に示した送信機201に対して送信周波数変換器310が追加されている。
送信周波数変換器310では、変調器302から出力される変調信号の周波数が変換されることによって、第1の送信ベースバンド信号が生成される。ここでは、一例として変調信号は中心周波数f3の信号に変換されるものとする。周波数が変換された第1の送信ベースバンド信号は、メモリ303へと出力される。図13の送信周波数変換器310以外の部分は、第1の実施形態と同様である。また、演算器304の演算は複素共役演算であると仮定する。ただし、前述したように必ずしも複素共役演算でなくてもよく、第1の実施形態において述べた他の演算を利用することもできる。
(第2の実施形態の受信機)
図14は、本発明の第2の実施形態に従う受信機205であり、図10に示した受信機205に対して受信周波数変換器410が追加されている。図14の周波数変換器410以外の部分は、第1の実施形態と同様である。また、演算器304の演算は複素共役演算であると仮定する。ただし、前述したように必ずしも複素共役演算でなくてもよく、第1の実施形態において述べた他の演算を利用することもできる。
受信周波数変換器410では、合成器408からの合成ベースバンド信号に対して周波数変換が施され、変換ベースバンド信号が生成される。周波数変換により周波数はある量(周波数シフト量という)だけある方向(周波数シフト方向という)にシフトする。受信周波数変換器410での周波数シフト量は、図13に示した送信機201における送信周波数変換器310での周波数シフト量にマイナスを乗じた値とする。すなわち、受信周波数変換器410での周波数シフト量は送信周波数変換器310での周波数シフト量と同じであり、受信周波数変換器410での周波数シフト方向は送信周波数変換器310での周波数シフト方向と逆である。例えば、送信周波数変換器310における周波数変換シフトがf3(周波数シフト量はf3、周波数シフト方向は正)の場合、受信周波数変換器410での周波数シフトを−f3(周波数シフト量はf3、周波数シフト方向は負)とすることで、送信時の周波数シフトを相殺することができる。
次に、図15(A)(B)(C)(D)(E)及び(F)を用いて第2の実施形態に従う処理について説明する。ここでは、図12(A)〜(F)で説明したと同様に、送信RF部306によるベースバンド周波数からRF周波数へのアップコンバート及び受信RF部402によるRF周波数からベースバンド周波数へのダウンコンバートについては省略している。また、図15(A)のチャネル応答ではキャリア周波数fcの周辺の周波数帯のみ示している。キャリア周波数fcは、ベースバンド信号ではDCに対応する。さらに図15(A)〜(F)において、FBlowSNRは図5で説明した通り受信電力が低下する低SNRの周波数帯域を表す。
チャネル203は、図15(A)のチャネル応答に示されるように周波数f1+fc及び周波数fc−f2において、受信電力が落ち込むような特性を持つと仮定する。この場合、周波数fc+f1及びfc−f2のRF信号(ベースバンドでは周波数f1及び−f2の信号)のSNRが低くなる。図15(B)(C)(D)(E)及び(F)は、各ベースバンド信号の電力スペクトラムを示している。
第1の送信ベースバンド信号は、周波数f3の周波数変換が施されているため、図15(B)に示されるように第1の送信ベースバンド信号のスペクトラムの中心周波数は周波数f3にある。第1の送信ベースバンド信号のスペクトラムは、周波数−f2の成分を含んでいる。一方、第2の送信ベースバンド信号は第1の送信ベースバンド信号に対して複素共役演算を施した信号であるため、図15(C)に示されるように第2の送信ベースバンド信号のスペクトラムはDCを中心として第1の送信ベースバンド信号のスペクトラムと線対称となり、中心周波数は−f3となる。このように複素共役演算を用いることにより、第1の送信RF信号と第2の送信RF信号の中心周波数を容易に異ならせることができ、これによって周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。
第1及び第2の送信ベースバンド信号は、送信機201からそれぞれ第1及び第2の送信RF信号として異なる時刻でチャネル203を経て送信される。第1及び第2の送信RF信号は、チャネル203を経て受信機205において第1及び第2の受信RF信号として受信される。第1の受信RF信号に対応する第1の送信ベースバンド信号は、図15(D)に示されるように周波数f3を中心とするスペクトラムを持つ。第1の受信ベースバンド信号のスペクトラムは、低SNRである周波数−f2の成分を含む。一方、第2の受信RF信号に対応する第2の受信ベースバンド信号は、図15(E)に示されるように周波数−f3を中心とするスペクトラムを持つため、低SNRの周波数−f2の成分を含まず、全体的に比較的高いSNRを有する。
受信機205では、第2の受信ベースバンド信号に対して複素共役演算を施すことにより中心周波数をf3に戻すことができ、しかもスペクトラムの反転も回復される。従って、第1の受信ベースバンド信号と複素共役演算後の第2の受信ベースバンド信号を合成器408において合成することにより、第1の受信ベースバンド信号の低SNR成分を回復させ、復調時の誤りを低減することができる。
このように第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、複素共役演算という非常に簡素な演算を追加するのみで、時間ダイバーシチ効果に加えて周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。また、第2の実施形態では周波数変換を組み合わせることで、第1の送信RF信号と第2の送信RF信号の周波数を大きく離すことにより、より効果的な周波数ダイバーシチ効果を得ることができる。さらに、第2の実施形態では周波数変換を第1の送信ベースバンド信号に対してのみ施せばよいので、二つの送信ベースバンド信号に周波数変換を施す場合に比較して演算量が著しく減少する。
以下、第2の実施形態の利点について詳しく述べる。非特許文献1のような従来の技術によると、中心周波数の異なる第1及び第2の送信RF信号を生成するために、2回の周波数変換を行わなければならない。前述したように周波数変換のための演算量は大きいため、必要な回路規模が大きくなる。また、このような周波数変換を送信の度に行うことは消費電力の増大を招く。受信側においては、中心周波数の異なる第1及び第2の受信RF信号に対して異なる周波数シフト量の周波数変換を施すことによって、受信ベースバンド信号を生成する必要がある。
一方、第2の実施形態によると送信機201における周波数変換は第1の送信ベースバンド信号に対してのみ行えばよい。第2の送信ベースバンド信号は、第1の送信ベースバンド信号に対して複素共役演算、例えば虚数成分の符号を反転させるという簡単な操作を行うのみで生成可能であり、周波数変換は不要である。受信機205における周波数変換については、合成器408から得られる合成後の受信ベースバンド信号に対してのみ行えばよい。
(送信RF信号の周波数配置について)
次に、図16を参照して第1及び第2の送信RF信号の好ましい周波数配置について説明する。送信機201による送信可能周波数帯域は、図16に示されるようにfc−4f0からfc+4f0の間(帯域幅は8f0)に限定されているものとする。送信可能周波数帯域は8つのサブバンドに分割され、送信機201からの送信RF信号の帯域幅はf0であるとする。1回の送信時間は、T0であるとする。
図16に示すように、第1の送信RF信号と第2の送信RF信号を送信可能周波数帯域の両端に配置する。すなわち、第1の送信RF信号の中心周波数をfc−3.5f0、第2の送信RF信号の中心周波数をfc+3.5f0とする。このようにすることにより、第1の送信RF信号と第2の送信RF信号の周波数間隔を最大限に広げることができる。このため、チャネル203上で受ける第1及び第2の送信RF信号のチャネル歪みはより無相関に近くなり、周波数ダイバーシチの効果が最大限に発揮される。
このとき、第2の送信ベースバンド信号は第2の実施形態に従って生成される。すなわち、まず第1の送信ベースバンド信号を生成し、続いて第1の送信ベースバンド信号に対して複素共役演算を施すことで第2の送信ベースバンド信号を生成する。図16の例では第1の送信RF信号の送信後、時間間隔を空けずに第2の送信RF信号が送信されているが、第2の送信RF信号が送信されてから、ある程度の時間間隔を空けて第2のRF信号が送信されるようにしてもよい。
(DFT−s−OFDMAへの適用例)
次に、図17を用いて送信周波数変換器310の好ましい例について説明する。図17は、DFT−s−OFDMAと呼ばれる通信方式に用いられる、周波数変換及びサンプルレート変換装置を示している。DFT−s−OFDMAのDFTは離散フーリエ変換、sはspread、OFDMAは直交周波数分割多元アクセス(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)を表す。図16に示した周波数配置に従って第1及び第2の送信RF信号を送信する場合、送信機201において第1の送信RF信号の生成時に変調器302によって生成される第1の送信ベースバンド信号を周波数変換器310によって中心周波数−3.5f0の信号に周波数変換しなければならない。
図17の送信周波数変換器310では、まず変調器302の出力は第1の変換器であるDFT(離散フーリエ変換)ユニット501に入力される。DFTユニット501の出力として、周波数領域の信号スペクトラムが得られる。ここでは一例として、DFTユニット501におけるDFTサイズは4とする。
DFTユニット501により得られた第1の信号スペクトラムは、第2の変換器であるIFFT(逆高速フーリエ変換)ユニット503によって中心周波数が変換され、かつ時間波形に変換されることにより、第1の送信ベースバンド信号が生成される。DFTユニット501により得られた信号スペクトラムは、IFFTユニット503の例えば周波数−4f0から−3f0に対応する第1〜第4入力ポートに入力される。IFFTユニット503の他の第5〜第32入力ポートには、0値発生ユニット503から“0”が入力される。
すなわち、図17の例ではIFFTサイズは32であり、これを周波数−4f0から4f0に対応させる場合、周波数−4f0から−3f0に対応する入力ポートは第1〜第4入力ポートとなる。IFFTユニット503の出力をサンプルレート4f0で観測すると、中心周波数−3.5f0に変換された時間波形である第1の送信ベースバンド信号が得られる。
送信周波数変換器310を図17のように構成する場合、第1の送信RF信号の生成時にのみ、DFTユニット501及びIFFTユニット503を動作させればよい。非特許文献1に従うと第1及び第2の送信RF信号の生成時にDFTユニット及びIFFTユニットを動作させなければならないのに対して、第1の送信RF信号の生成時にのみDFTユニット501及びIFFTユニット503を動作させると、消費電力はほぼ1/2に低減されることになる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
基地局及び端末を含む無線通信システムの概略を示す図 基地局及び端末に備えられる送受信システムを示すブロック図 送信及び受信ベースバンド信号と送信及び受信RF信号の周波数関係の一例を示す図 送信及び受信ベースバンド信号と送信及び受信RF信号の周波数関係の他の例を示す図 チャネル応答の例を示す図 FDMA通信におけるサブバンドの周波数配置の例を示す図 OFDMA通信におけるサブバンド及びサブキャリアの周波数配置の例を示す図 複数の送信RF信号及び複数の受信RF信号の関係を示す図 第1の実施形態に従う送信機を示すブロック図 第1の実施形態に従う受信機を示すブロック図 図9及び図10における演算器で用いられる複素共役演算について説明する図 第1の実施形態における各部の周波数特性を示す図 第2の実施形態に従う送信機を示すブロック図 第2の実施形態に従う受信機を示すブロック図 第2の実施形態における各部の周波数特性を示す図 第1及び第2の送信RF信号の周波数配置の例を示す図 図13における送信周波数変換器の具体例を示すブロック図
符号の説明
101〜104・・・端末
105・・・基地局
106・・・カバーエリア
201・・・送信機
202・・・送信アンテナ
203・・・チャネル
204・・・受信アンテナ
205・・・受信機
300・・・タイミングコントローラ
301・・・送信データブロック生成部
302・・・変調器
303・・・メモリ
304・・・演算器
305・・・送信RF信号選択器
306・・・送信RF部
307・・・送信アンテナ
310・・・送信周波数変換器
400・・・タイミングコントローラ
401・・・受信アンテナ
402・・・受信RF部
403・・・チャネル等化器
404・・・チャネル推定器
405・・・受信処理選択器
406・・・演算器
407・・・メモリ
408・・・合成器
409・・・復調器
410・・・受信周波数変換器
501・・・DFTユニット(第1の変換器)
503・・・IFFTユニット(第2の変換器)

Claims (14)

  1. 周波数軸上で対称な形状の電力スペクトラムをそれぞれ有する第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を送信すべきデータ信号から生成するステップと、
    前記第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を異なる時刻に送信するステップと、
    前記第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を受信して第1の受信RF信号及び第2の受信RF信号を生成するステップと、
    前記第1の受信RF信号及び第2の受信RF信号から前記データ信号を再生するステップと、を具備することを特徴とする無線通信方法。
  2. 周波数軸上で対称な形状の電力スペクトラムをそれぞれ有する第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を送信すべきデータ信号から生成して異なる時刻に出力するように構成された送信機と、
    前記第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を送信する送信アンテナと、を具備することを特徴とする無線送信装置。
  3. 前記第1の送信RF信号と第2の送信RF信号は、異なる中心周波数を持つことを特徴とする請求項2記載の無線送信装置。
  4. 前記第1の送信RF信号は送信可能な下限の周波数を持ち、前記第2の送信RF信号は前記送信可能な上限の周波数を持つことを特徴とする請求項2記載の無線送信装置。
  5. 前記送信機は、前記データ信号を変調して第1の電力スペクトラムを有する第1の送信ベースバンド信号を生成する変調器と、前記第1の送信ベースバンド信号に第1の演算を施して周波数軸上で前記第1の電力スペクトラムと対称な形状の電力スペクトラムを有する第2の送信ベースバンド信号を生成する第1の演算器と、前記第1の送信ベースバンド信号及び前記第2の送信ベースバンド信号にRF処理を施して前記第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を生成するように構成された送信RF部と、を有することを特徴とする請求項2記載の無線送信装置。
  6. 前記第1の送信ベースバンド信号は、実部と虚部を持つ複素数信号であり、前記演算は、前記実部及び前記虚部のいずれか一方に−1を乗じる演算であることを特徴とする請求項5記載の無線送信装置。
  7. 前記第1の送信ベースバンド信号は、実部と虚部を持つ複素数信号であり、前記演算は、前記実部と前記虚部とを入れ替える演算であることを特徴とする請求項5記載の無線送信装置。
  8. 前記送信機は、前記送信データ信号を変調して変調信号を生成する変調器と、前記変調信号に第1の周波数シフト量及び第1の周波数シフト方向の周波数変換を施して第1の送信ベースバンド信号を生成する第1の周波数変換器と、前記第1の送信ベースバンド信号に第1の演算を施して周波数軸上で前記第1の電力スペクトラムと対称な形状の電力スペクトラムを有する第2の送信ベースバンド信号を生成する第1の演算器と、前記第1の送信ベースバンド信号及び前記第2の送信ベースバンド信号にRF処理を施して前記第1の送信RF信号及び第2の送信RF信号を生成するように構成された送信RF部と、を有することを特徴とする請求項2記載の無線送信装置。
  9. 前記第1の送信ベースバンド信号は、実部と虚部を持つ複素数信号であり、前記第1の演算は、前記実部及び前記虚部のいずれか一方に−1を乗じる演算であることを特徴とする請求項8記載の無線送信装置。
  10. 前記第1の送信ベースバンド信号は、実部と虚部を持つ複素数信号であり、前記第1の演算は、前記実部と前記虚部とを入れ替える演算であることを特徴とする請求項8記載の無線送信装置。
  11. 前記周波数変換器は、前記変調信号を周波数領域の第1の信号スペクトラムに変換する第1の変換器と、前記第1の信号スペクトラムの中心周波数を変換すると共に時間波形に変換することにより前記第1の送信ベースバンド信号を生成する第2の変換器と、を有することを特徴とする請求項8記載の無線送信装置。
  12. 前記第1の変換器はDFTユニットであり、前記第2の変換器はIFFTユニットであることを特徴とする請求項11記載の無線送信装置。
  13. 請求項5に記載の無線送信装置から送信される前記第1の送信RF信号及び前記第2の送信RF信号を受信して第1の受信RF信号及び第2の受信RF信号を得る受信アンテナと、
    前記第1の受信RF信号及び前記第2の受信RF信号にRF処理を施して第1の受信ベースバンド信号及び第2の受信ベースバンド信号を生成する受信RF部と、
    前記第1の受信ベースバンド信号及び第2の受信ベースバンド信号に対してチャネル等化を行って第1の等化後ベースバンド信号及び第2の等化後ベースバンド信号を得るチャネル等化器と、
    前記第2の等化後ベースバンド信号に対して第2の演算を施す第2の演算器と、
    前記第2の演算が施された前記第2の等化後ベースバンド信号と前記第1の等化後ベースバンド信号とを合成して合成ベースバンド信号を得る合成器と、
    前記合成ベースバンド信号を復調して前記データ信号を再生する復調器と、を具備する無線受信装置。
  14. 請求項8に記載の無線送信装置から送信される前記第1の送信RF信号及び前記第2の送信RF信号を受信して第1の受信RF信号及び第2の受信RF信号を得る受信アンテナと、
    前記第1の受信RF信号及び前記第2の受信RF信号にRF処理を施して第1の受信ベースバンド信号及び第2の受信ベースバンド信号を生成する受信RF部と、
    前記第1の受信ベースバンド信号及び第2の受信ベースバンド信号に対してチャネル等化を行って第1の等化後ベースバンド信号及び第2の等化後ベースバンド信号を得るチャネル等化器と、
    前記第2の等化後ベースバンド信号に対して第2の演算を施す第2の演算器と、
    前記第2の演算が施された前記第2の等化後ベースバンド信号と前記第1の等化後ベースバンド信号とを合成して合成ベースバンド信号を得る合成器と、
    前記合成ベースバンド信号に前記第1の周波数シフト量及び前記第1の周波数シフト方向と逆の第2の周波数シフト方向の周波数変換を施して変換ベースバンド信号を生成する周波数変換器と、
    前記変換ベースバンド信号を復調して前記データ信号を再生する復調器と、を具備する無線受信装置。
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