JP2008227436A - 多層集成マイカテープを用いた回転電機用コイル - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機及び発電機等の回転電機の電気絶縁性及び熱伝導性を向上することができる多層集成マイカテープを用いたコイルを提供する。
【解決手段】電動機及び発電機等の回転電機のコイルにテーピングされる集成マイカテープにおいて、集成マイカを2層以上(多層)にして、マイカ層の厚さを厚くした多層集成マイカテープを用いることで、コイルの電気絶縁性及び熱伝導性を向上することができる。
【選択図】図1
【解決手段】電動機及び発電機等の回転電機のコイルにテーピングされる集成マイカテープにおいて、集成マイカを2層以上(多層)にして、マイカ層の厚さを厚くした多層集成マイカテープを用いることで、コイルの電気絶縁性及び熱伝導性を向上することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、コイル絶縁層に多層集成マイカテープを用いた回転電機用コイルに関する。
回転電機用コイルに用いられる集成マイカテープは、マイカ原鉱を細かく粉砕して得たマイカ粒子を抄造した集成マイカと補強材及び接着剤により形成される。集成マイカは、硬質無焼成集成マイカ、硬質焼成集成マイカ、軟質集成マイカ、合成集成マイカよりなる。補強材は、ガラスクロス、ポリエステルフィルム、ポリエステル織布、ポリエステル不織布、ポリイミドフィルム、ポリアミド織布、ポリエチレンナフタレートフィルムよりなる。集成マイカと補強材は、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、イミド系樹脂、アミド系樹脂により接着する。
集成マイカテープは、耐電圧性及び耐コロナ性において優れた特徴を有すため、電動機及び発電機などの回転電機におけるコイルの電気絶縁として用いられる。
集成マイカテープをコイルに巻き付け又は被覆すること(以下、「テーピング」と略す。)により長期的に安定な電気絶縁性を付与することができる。
集成マイカテープをコイルに巻き付け又は被覆すること(以下、「テーピング」と略す。)により長期的に安定な電気絶縁性を付与することができる。
従来は、要求される電気絶縁性を満たすために集成マイカテープを多数回テーピングする必要があった。
回転電機用コイルに用いられる集成マイカテープにおいて電気絶縁を担う構成要素は、集成マイカと補強材及び接着剤である。電動機及び発電機などの回転電機では、コロナ放電等により補強材及び/又は接着剤の放電劣化が起こり、トリー状に進展し絶縁破壊に到るが、集成マイカは、放電劣化のブロックとなり絶縁破壊の進行を阻止する役目を果たす。従って、集成マイカテープに占める補強材及び接着剤の割合が多いと放電劣化が多数箇所で発生し、逆に集成マイカの割合が多いと耐電圧寿命などの電気絶縁性が向上する。
また、トリーの発生箇所は、一般に集成マイカテープをテーピングしてできる集成マイカ層と補強材の界面及び集成マイカテープ内の集成マイカ層と補強材の界面で発生しやすい。従って、集成マイカを厚くしテーピング回数を減らすことができればトリーの発生が低減できる。しかし、集成マイカは、その製造方法の欠点から、厚さは0.2mmが限界であった。
よって、本発明では複数の集成マイカを貼り合せることで厚くし、電気絶縁性を向上させた多層集成マイカテープを用いた回転電機用コイルの提供を目的とする。
また、トリーの発生箇所は、一般に集成マイカテープをテーピングしてできる集成マイカ層と補強材の界面及び集成マイカテープ内の集成マイカ層と補強材の界面で発生しやすい。従って、集成マイカを厚くしテーピング回数を減らすことができればトリーの発生が低減できる。しかし、集成マイカは、その製造方法の欠点から、厚さは0.2mmが限界であった。
よって、本発明では複数の集成マイカを貼り合せることで厚くし、電気絶縁性を向上させた多層集成マイカテープを用いた回転電機用コイルの提供を目的とする。
電動機及び発電機などの回転電機では、運転中に発生した熱は導体部よりも熱伝導性の低い絶縁層で断熱されるために、電気絶縁性は更に熱劣化しやすくなる。絶縁層の中でも接着剤及びポリエステルなどの有機系補強材は、集成マイカよりも熱伝導性が低い。
よって、本発明では絶縁層に占める接着剤及び有機系補強材の比率を少なくすることにより、熱伝導性を向上させた多層集成マイカテープを用いた回転電機用コイルの提供を目的とする。
よって、本発明では絶縁層に占める接着剤及び有機系補強材の比率を少なくすることにより、熱伝導性を向上させた多層集成マイカテープを用いた回転電機用コイルの提供を目的とする。
電動機及び発電機などの回転電機のコイルの電気絶縁を目的としてコイルにテーピングされる集成マイカテープにおいて、集成マイカが2層以上の複数の集成マイカ層より構成されたことを特徴とする多層集成マイカテープを用いる。
この多層集成マイカテープにおいて集成マイカは、硬質無焼成集成マイカ、硬質焼成集成マイカ、軟質集成マイカ、合成集成マイカである。
補強材は、ガラスクロス、ポリエステルフィルム、ポリエステル織布、ポリエステル不織布、ポリイミドフィルム、ポリアミド織布、ポリエチレンナフタレートフィルムである。
そして、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、イミド系樹脂、アミド系樹脂で集成マイカと補強材を接着する。
このとき、補強材は片面、両面のどちらでもよい。
この多層集成マイカテープの接着剤量は、全質量に対して1wt%以上60wt%以下であることを特徴とする。
この多層集成マイカテープの集成マイカ層の厚さは、0.0.5mm以上2mm以下であることを特徴とする。
また、集成マイカは、マイカと有機繊維又は無機繊維を混抄したものでもよい。
図4は、厚さ0.5mmの絶縁板をポリイミドフイルム(商品名:カプトンフィルム)又は硬質無焼成集成マイカで作製し、大気中で電圧を印加し絶縁破壊するまでの時間を測定した耐電圧寿命特性いわゆるV−t特性の例である。9kVの電圧では、硬質無焼成集成マイカの耐電圧寿命は、ポリイミドフイルム(商品名:カプトンフィルム)より50倍以上長いことがわかる。即ち、集成マイカは、ポリイミドフイルム(商品名:カプトンフィルム)よりも電圧劣化が少なく絶縁破壊するまでの耐電圧寿命が長いことが判る。
集成マイカは、マイカ原鉱を細かく粉砕したマイカ粒子の水溶液を連続的にろ過、乾燥することにより製造する。よって、集成マイカの厚さは、装置のろ過能力に影響を受けることから厚さ0.2mm程度が製造限界である。そこで、集成マイカを複数層貼り合せる事により、従来ではできなかった0.2mm以上の集成マイカ層を持つ多層集成マイカテープの製造が可能となった。
電動機又は発電機の導体部の絶縁で集成マイカ1層の集成マイカテープを例えば10層テーピングする必要がある場合、集成マイカ2層の多層集成マイカテープを用いて5層テーピングすれば要求される導体部の電気絶縁を確保することができる。
この場合、絶縁層の補強材の比率が半分に減少したことになる。
このことにより、テーピングにより発生する界面が半分になるとともに、集成マイカよりも長期的な電気絶縁性及び熱伝導率が低い樹脂及びポリエステルなどの有機系の補強材層が減少することになる。
これらのことより、本発明の多層集成マイカテープは、電気絶縁性能が向上することを示唆している。
また、表1は、代表的なマイカ、補強材、接着剤の熱伝導率であるが、接着剤及びポリエステルなどの有機系補強材の熱伝導率がマイカの熱伝導率よりも低いことが判る。つまり、絶縁層中の接着剤及びポリエステルなどの有機系補強材の比率が少なくなれば、熱伝導性が向上することを示唆している。
更に、絶縁層の補強材が減少し絶縁層全体の厚さが薄くなることで、熱伝導性が向上する。
以下、本発明の一実施形態である多層集成マイカテープを使用したことを特徴とする回転電機用コイルの製造方法について説明する。
本発明の回転電機用コイルの断面は図1に示ように、まずは導体部に集成マイカを2層以上貼り合せた多層集成マイカテープをテーピングする。
多層集成マイカテープの構成を図2に示す。集成マイカ層3は、複数の集成マイカを重ねて構成されており、補強材4と接着剤により貼り合わされてテープを形成している。集成マイカは、硬質無焼成集成マイカ、硬質焼成集成マイカ、軟質集成マイカ、合成集成マイカよりなる。補強材は、ガラスクロス、ポリエステルフィルム、ポリエステル織布、ポリエステル不織布、ポリイミドフィルム、ポリアミド織布、ポリエチレンナフタレートフィルムよりなる。接着剤は、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、イミド系樹脂、アミド系樹脂の熱硬化性樹脂よりなる。
導体部は銅材質のような電気抵抗が極めて低い金属素材が使用される。この導体部に多層集成マイカテープをテーピングする形態として図3に示すような巻き付け方式(a)と被服方式(b)がある。巻き付け方式は、導体部に対して多層集成マイカテープをテープ幅に対して約1/2重なるようにしてテーピングするものである。被服方式は導体部を多層集成マイカテープの幅方向で覆い被せるようにテーピングするものである。両者とも要求される電気絶縁性を満たすようになるまで、テーピングした外層にさらに多層集成マイカテープを巻き付けることで電気絶縁層が形成される。
この後、樹脂含浸・加熱硬化の工程を経て、本発明の多層集成マイカを用いた回転電機用コイルとなる。
厚さ0.10mmの硬質無焼成集成マイカ2層の片面に、エポキシ樹脂で厚さ0.03mmのガラスクロスを貼り付けて、厚さ0.23mmの本発明の多層集成マイカテープを作製した。このときのエポキシ樹脂の量は多層集成マイカテープ全体の質量に対して8wt%とした。
この多層集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで3回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを実施例1とした。
この多層集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで3回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを実施例1とした。
比較例1として厚さ0.10mmの硬質無焼成集成マイカ1層の片面に、エポキシ樹脂で厚さ0.03mmのガラスクロスを貼り付けて、厚さ0.13mmの従来の集成マイカテープを作製した。このときのエポキシ樹脂の量は、集成マイカテープ全体の質量に対して8wt%とした。
この集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで6回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを比較例1とした。
この集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで6回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを比較例1とした。
表2のように実施例1と比較例1の外形寸法を比較すると10%減少しているが、逆に図5で示すV−t特性は、6.6kVでの耐久時間において実施例1の方が40倍長くなった。
更に、実施例1及び比較例1の絶縁層を切り出して、熱伝導率を測定したところ、図6のように実施例1の絶縁層は0.38W/m・Kであったが、比較例1の絶縁層は0.28W/m・Kで35%向上していることを確認した。
厚さ0.07mmの硬質無焼成集成マイカ2層の両面に、エポキシ樹脂で厚さ0.012mmのポリエステルフィルムを貼り付けて、厚さ0.17mmの本発明の多層集成マイカテープを作製した。このときのエポキシ樹脂の量は、多層集成マイカテープ全体の質量に対して10wt%とした。
この多層集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで3回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを実施例2とした。
この多層集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで3回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを実施例2とした。
比較例2として厚さ0.07mmの硬質無焼成集成マイカ1層の両面に、エポキシ樹脂で厚さ0.012mmのポリエステルフィルムを貼り付けて、厚さ0.10mmの従来の集成マイカテープを作製した。このときのエポキシ樹脂の量は、集成マイカテープ全体の質量に対して10wt%とした。
この集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで6回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを比較例2とした。
この集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで6回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを比較例2とした。
表2のように実施例2と比較例2の外形寸法を比較すると15%減少しているが、逆に図5で示すV−t特性は、6.6kVでの耐久時間において実施例2の方が5倍長くなった。
更に、実施例2及び比較例2の絶縁層を切り出して、熱伝導率を測定したところ、図6のように実施例2の絶縁層は0.32W/m・Kであったが、比較例2の絶縁層は0.21W/m・Kで50%向上していることを確認した。
硬質焼成集成マイカの粒子とメタフェニレンイソフタルアミドの繊維を質量比で90/10となるように調整した水溶液を連続抄造して得た厚さ0.1mmの混抄マイカ2層の片面に、エポキシ樹脂で厚さ0.03mmのガラスクロスを貼り付けて、厚さ0.23mmの本発明の多層集成マイカテープを作製した。このときのエポキシ樹脂の量は、多層集成マイカテープ全体の質量に対して5wt%とした。
この多層集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで3回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを実施例3とした。
この多層集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで3回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを実施例3とした。
比較例3として、上記の厚さ0.1mmの混抄マイカ1層の片面に、エポキシ樹脂で厚さ0.03mmのガラスクロスを貼り付けて、厚さ0.13mmの従来の集成マイカテープを作製した。このときのエポキシ樹脂の量は、集成マイカテープ全体の質量に対して5wt%とした。
この集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで6回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを比較例3とした。
この集成マイカテープを銅製導体に1/2ラップで6回テーピングしてコイル状とし、更にエポキシ樹脂を含浸した後150℃で5時間加熱硬化したものを比較例3とした。
表2のように実施例3と比較例3の外形寸法を比較すると10%減少しているが、逆に図5で示すV−t特性は、6.6kVでの耐久時間において実施例3の方が10倍長くなった。
更に、実施例3及び比較例3の絶縁層を切り出して、熱伝導率を測定したところ、図6のように実施例3の絶縁層は0.33W/m・Kであったが、比較例3の絶縁層は0.24W/m・Kで40%向上していることを確認した。
Claims (8)
- 電動機及び発電機等の回転電機に用いられるコイルの絶縁層に使用されるマイカテープにおいて、集成マイカを2層以上貼り合せた多層集成マイカテープをテーピングしたことを特徴とする回転電機用コイル。
- 請求項1記載の回転電機用コイルに使用される多層集成マイカテープにおいて集成マイカが、硬質無焼成集成マイカ、硬質焼成集成マイカ、軟質集成マイカ、合成集成マイカのいずれかであることを特徴とする回転電機用コイル。
- 請求項1記載の回転電機用コイルに使用される多層集成マイカテープにおいて補強材が、ガラスクロス、ポリエステルフィルム、ポリエステル織布、ポリエステル不織布、ポリイミドフィルム、ポリアミド織布、ポリエチレンナフタレートフィルムのいずれかであることを特徴とする回転電機用コイル。
- 請求項1記載の回転電機用コイルに使用される多層集成マイカテープにおいて接着剤が、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、イミド系樹脂、アミド系樹脂のいずれかであることを特徴とする回転電機用コイル。
- 請求項1記載の回転電機用コイルに使用される多層集成マイカテープにおいて補強材が、片面又は両面のどちらかであることを特徴とする回転電機用コイル。
- 請求項1記載の回転電機用コイルに使用される多層集成マイカテープにおいて接着剤量が、全質量に対して1wt%以上60wt%以下であることを特徴とする回転電機用コイル。
- 請求項1記載の回転電機用コイルに使用される多層集成マイカテープにおいて集成マイカ層の厚さが、0.05mm以上2.0mm以下であることを特徴とする回転電機用コイル。
- 請求項1記載の回転電機用コイルに使用される多層集成マイカテープにおいて集成マイカが、マイカと有機繊維又は無機繊維を混抄であることを特徴とする回転電機用コイル。
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JP2007101080A JP2008227436A (ja) | 2007-03-08 | 2007-03-08 | 多層集成マイカテープを用いた回転電機用コイル |
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CN101917081A (zh) * | 2010-08-24 | 2010-12-15 | 无锡市中达电机有限公司 | 一种10kV高压电机定子线圈的绝缘结构 |
JP2011082387A (ja) * | 2009-10-08 | 2011-04-21 | Tokuden Co Ltd | 静止型誘導機器 |
CN103325505A (zh) * | 2013-05-27 | 2013-09-25 | 常州欧贝斯绝缘材料有限公司 | 高温耐火合成晶体绝缘带及其生产工艺 |
CN104917321A (zh) * | 2015-06-03 | 2015-09-16 | 卧龙电气集团股份有限公司 | 一种10kv高压电机成型线圈及其加工方法 |
CN106782762A (zh) * | 2016-12-29 | 2017-05-31 | 盐城工学院 | 一种单面复合云母带 |
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2007
- 2007-03-08 JP JP2007101080A patent/JP2008227436A/ja active Pending
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